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JP2016081871A - 電極の製造方法および製造装置 - Google Patents

電極の製造方法および製造装置 Download PDF

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勝志 榎原
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勝志 榎原
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Abstract

【課題】電極材料の固形分率に関係なく、基材に対するダメージが小さく、表面側に充分な空隙を有する電極層を形成することが可能な電極の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る電極の製造方法は、互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロール131および第2ロール132の間に電極材料120Mを供給すると共に、第2ロール132の面上に基材110を供給することにより、第2ロール132の面上に供給された基材110上に、第1ロール131および第2ロール132の間に供給された電極材料120Mを圧縮付着させて、電極層120または後工程において電極層120となる電極材料層120Xを形成する工程を有する。本発明に係る電極の製造方法では、第1ロール131および第2ロール132として、第1ロール131の表面剛性が第2ロール132の表面剛性より小さいロールの組合せを用いる。
【選択図】図2A

Description

本発明は、電極の製造方法および製造装置に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池は、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、あるいは電気自動車(EV)等に利用されている。
非水電解質二次電池は、一対の電極である正極および負極と、これらの間を絶縁するセパレータと、非水電解質とを備える。
非水電解質二次電池用の電極(正極または負極)の構造としては、金属箔等からなる集電体とその上に形成された電極活物質を含む電極層(電極活物質層)とを含む構造が知られている。
上記構造の電極の製造方法として、
互いに逆方向に回転する第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料を供給し、この電極材料を圧縮して第2ロール面に付着させて電極層または後工程において電極層となる電極材料層を形成する工程と、
第2ロール面に付着された電極層または電極材料層を基材上に転写する転写工程とを有する電極の製造方法が知られている
(特許文献1の請求項1等)。
特許文献1には、
第2ロール面に電極材料を付着させる方法として、
第1ロールと第2ロールの外周表面性状に差をつける方法、
第1ロールと第2ロールとして、電気伝導度、熱伝導率、放射率、あるいは熱吸収率等の異なる材質を用いる方法、
第1ロールと第2ロールの回転数あるいは径に差をつける方法等が挙げられている
(段落0071、0072)。
本明細書において、第1ロールおよび第2ロールの間に供給された電極材料を第2ロール面に圧縮付着させて、電極層または電極材料層を形成することを「ロール成膜」と言う。
電極材料を調製する際、通常、電極活物質等の固形物質は粒子状(粉末状)の形態で配合される。電極材料は、電極活物質を含む1種または2種以上の粒子状の固形物質を含み、必要に応じて1種または2種以上の液体成分を含む。
ここで、「液体成分」は、NMP等の有機分散媒または水等の無機分散媒である。
電極材料が分散媒を含む場合、分散媒は最終的に乾燥除去される。
電極材料が分散媒を含まない場合、ロール成膜により第2ロール面上に電極層が形成される。
電極材料が分散媒を含む場合、ロール成膜により第2ロール面上に分散媒を含む電極材料層が形成される。この場合、後工程において分散媒が乾燥除去されて、電極材料層が電極層となる。
特開2013-077560号公報
特許文献1に記載の製造方法では、第1ロールおよび第2ロールの間で電極材料が圧縮され、圧縮された電極材料が電極層または電極材料層となって第2ロール面に付着される。この際、第1ロールおよび第2ロールの間に生じるせん断力等の応力によって、第2ロール面上に圧縮付着形成される電極層は、第2ロール面に近い方がより緻密化された構造となる。
この電極層または電極材料層を基材上に転写すると、電極層または電極材料層のより緻密化した側が最終的に得られる電極層の表面側となる。そのため、得られる電極層は、表面側の粒子間空隙がより少なく、リチウムイオン等の伝導イオンが電極層の内部に侵入しづらい構造となる。この場合、電極層のイオン伝導性が低下し、各種電池特性が悪化してしまう。
上記方法の他、転写工程を実施しない方法がある。
この方法では、第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料を供給すると共に、第2ロール面上に基材を供給し、第1ロールおよび第2ロールの間で電極材料を圧縮して第2ロール面上に供給された基材上に直接、電極層または電極材料層を形成する。
この方法では、電極層または電極材料層の基材に近い側がより緻密化するので、表面側の粒子間空隙がより多い電極層が得られる。しかしながら、この方法では、電極材料の圧縮にかかる応力が金属箔等からなる基材に直接かかるため、基材にかかるダメージが大きく、基材に、破損、屈曲、あるいは皺等が発生しやすい。
特に電極材料の固形分率が高い場合、分散媒がない/または少ないことに起因して、電極材料を圧縮展延する際の加工抵抗が大きくなる傾向がある。したがって、この課題は、電極材料の固形分率が高い程、顕著となる。
以上の課題は、非水電解質二次電池用の電極に限らず、基材とこの基材上に形成された電極層とを有する任意用途の電極において生じ得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電極材料の固形分率に関係なく、基材に対するダメージが小さく、表面側に充分な粒子間空隙を有する電極層を形成することが可能な電極の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の電極の製造方法は、
基材と当該基材上に形成された電極層とを有する電極の製造方法であって、
互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料を供給すると共に、前記第2ロールの面上に前記基材を供給することにより、前記第2ロールの面上に供給された前記基材上に、前記第1ロールおよび前記第2ロールの間に供給された前記電極材料を圧縮付着させて、前記電極層または後工程において前記電極層となる電極材料層を形成する工程を有し、
前記第1ロールおよび前記第2ロールとして、前記第1ロールの表面剛性が前記第2ロールの表面剛性より小さいロールの組合せを用いるものである。
本発明の電極の製造方法では、第1ロールおよび第2ロールのうち、基材側の第2ロールの表面剛性を相対的に大きくし、電極材料側の第1ロールの表面剛性を相対的に小さくしている。
上記構成では、ロール成膜により形成される電極層または電極材料層は、表面剛性が相対的に大きい第2ロール側、すなわち、基材側がより大きく圧縮され、より粒子間空隙の少ない緻密な構造となる。
上記構成では、ロール成膜により形成される電極層または電極材料層は、表面剛性が相対的に小さい第1ロール側、すなわち、電極層または電極材料層の表面側がより小さく圧縮され、より粒子間空隙の多い構造となる。
本発明の電極の製造方法では、電極材料側の第1ロールの表面剛性を相対的に小さくすることで、第1ロールおよび第2ロール間の垂直応力が低減される。これにより、基材にかかる応力が低減される。したがって、転写工程を実施せずに基材上に直接ロール成膜を実施しても、基材に対するダメージが低減される。この結果、基材に、破損、屈曲、あるいは皺等が発生することが抑制される。
以上の作用効果により、本発明の電極の製造方法では、基材に対するダメージを低減しつつ、表面側に充分な粒子間空隙を有する電極層を形成することができる。
得られる電極層は、厚み方向に見て、基材側から表面側に向けて粒子間空隙が多くなる構造を有する。
得られる電極層は表面側に充分な粒子間空隙を有するので、リチウムイオン等の伝導イオンが電極層の内部に侵入しやすく、電極層はイオン伝導性が良好となる。この電極層を用いた非水電解質二次電池は、各種電池特性が良好なものとなる。
一般に、電極材料の固形分率が高い程、第1ロールと電極材料との間の摩擦力が大きくなり、電極材料を圧縮展延する際の加工抵抗が大きくなり、基材へのダメージが増す傾向がある。
本発明の電極の製造方法では、電極材料側の第1ロールの表面剛性を相対的に小さくすることで、電極材料の固形分率が高くても、第1ロールと電極材料との間の摩擦力が低減され、上記加工抵抗が低減される。したがって、電極材料の固形分率が高い程、基材へのダメージの低減効果がより顕著に得られる。
本発明の電極の製造方法は、電極材料の固形分率が70質量%以上である場合に好ましく適用できる。
電極材料が造粒体を含む場合、第1ロールと電極材料との間の摩擦力が大きくなり、電極材料を圧縮展延する際の加工抵抗が相対的に大きくなる傾向がある。
本発明の電極の製造方法では、電極材料側の第1ロールの表面剛性を相対的に小さくすることで、電極材料が造粒体を含む場合においても、第1ロールと電極材料との間の摩擦力が低減され、上記加工抵抗が低減される。
したがって、本発明の電極の製造方法は、電極材料が造粒体を含む場合、基材へのダメージの低減効果がより顕著に得られる。
なお、造粒体の径が過大では、加工抵抗の低減効果が充分に得られない恐れがある。
造粒体の平均径は2mm以下であることが好ましい。
すなわち、本発明の電極の製造方法は、電極材料が平均径2mm以下の造粒体を含む場合に好ましく適用できる。
電極材料の固形分率が比較的高い場合、あるいは、電極材料が造粒体を含む場合、電極材料を圧縮展延する際の加工抵抗が大きくなる傾向がある。
第1ロールと第2ロールとの間で電極材料が良好に圧縮展延される場合、得られる電極層または電極材料層の膜厚は、ロール間距離と同等またはそれに近い値となる。
上記のように加工抵抗が大きい条件の場合、第1ロールおよび第2ロールの回転速度が同一の条件では、第1ロールおよび第2ロールの間に供給された電極材料を効果的に圧縮展延することが難しく、得られる電極層または電極材料層の厚みが設定値(設定ロール間距離)より過度に厚くなる恐れがある。
また、この場合、第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料が厚いまま残り、過剰な電極材料によって表面剛性が相対的に小さい第1ロールの電極材料に接触する部分に変形等が生じ、基材に、破損、屈曲、あるいは皺等が発生する恐れがある。
電極層または電極材料層が圧縮付着形成される側の第2ロールの回転速度を第1ロールの回転速度より速くすることが好ましい。この場合、第1ロールおよび第2ロールの間に供給された電極材料は、回転速度が相対的に速い第2ロールによって効果的に展延される。
したがって、上記のように電極材料を圧縮展延する際の加工抵抗が大きい条件においても、電極材料の展延性が向上し、所望の厚みの電極層が安定的に得られる。また、過剰な厚みの電極材料に起因する第1ロールの部分変形が抑制され、基材へのダメージが低減される。
本発明の電極の製造方法において、電極材料120Mの展延性の向上効果が効果的に得られることから、第2ロールの回転速度を第1ロールの回転速度の2.5〜30倍とすることが好ましい。
本発明の電極の製造方法において、第1ロールとして、表面に凹凸を有するロールを用いることが好ましい。
第1ロールとして表面凹凸ロールを用いる場合、第2ロール上に供給された基材上に電極層または電極材料層が形成される際に、電極層または電極材料層の表面に第1ロールの表面凹凸パターンが転写される。
表面凹凸パターンを有する電極層は、表面に複数の凹部を有するので、リチウムイオン等の伝導イオンが凹部を介して電極層の内部により侵入しやすくなる。そのため、電極層のイオン伝導性が向上され、非水電解質二次電池の各種電池特性が向上される。
本発明の電極の製造装置は、
基材と当該基材上に形成された電極層とを有する電極の製造装置であって、
互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロールおよび第2ロールと、
前記第1ロールおよび前記第2ロールの間に電極材料を供給する電極材料供給手段と、
前記第2ロールの面上に前記基材を供給する基材供給手段とを含み、
前記第2ロールの面上に供給された前記基材上に、前記第1ロールおよび前記第2ロールの間に供給された前記電極材料を圧縮付着させて、前記電極層または後工程において前記電極層となる電極材料層を形成する電極層/または電極材料層の形成手段を備え、
前記第1ロールの表面剛性が前記第2ロールの表面剛性より小さいものである。
本発明の電極の製造装置は、電極材料の固形分率が70質量%以上である場合に好ましく適用できる。
本発明の電極の製造装置は、電極材料が平均径2mm以下の造粒体を含む場合に好ましく適用できる。
本発明の電極の製造装置において、第2ロールの回転速度が前記第1ロールの回転速度の2.5〜30倍であることが好ましい。
本発明の電極の製造装置において、第1ロールは表面に凹凸を有するロールであることが好ましい。
本発明によれば、電極材料の固形分率に関係なく、基材に対するダメージが小さく、表面側に充分な粒子間空隙を有する電極層を形成することが可能な電極の製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明に係る一実施形態の非水電解質二次電池の構成例を示す模式全体図である。 図1Aの非水電解質二次電池における電極積層体の模式断面図である。 本発明に係る一実施形態の電極の模式断面図である。 本発明に係る一実施形態の電極の製造装置の概略図である。 図2Aの設計変更例を示す図である。 図2Aの設計変更例を示す図である。 図2Aの設計変更例を示す図である。 図2Aの製造装置における第1ロールの設計変更例を示す図である。 図1Cの電極の構造変更例を示す図である。 [実施例]において、ロール間距離を振ったときの、ロールの回転速度比と得られた電極層の膜厚との関係を示すグラフである。 [実施例]において、ロール間距離を振ったときの、ロールの回転速度比と得られた電極層の膜厚との関係を示すグラフである。
本発明は、基材と基材上に形成された電極層とを有する電極の製造技術(製造方法および製造装置)に関する。
電極としては特に制限されず、本発明の技術は、基材と基材上に形成された電極層とを有する任意の電極に適用可能である。
電極としては、電池用電極等が挙げられる。
電池としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池等が挙げられる。
「非水電解質二次電池」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の非水電解質二次電池の構成について説明する。
図1Aは本実施形態の非水電解質二次電池の模式全体図である。
図1Bは電極積層体の模式断面図である。
図1Cは本発明に係る一実施形態の電極の模式断面図である。この図に示す電極は、非水電解質二次電池における正極または負極である。
図1Aに示すように、本実施形態の非水電解質二次電池1は、外装体(電池容器)11内に、電極積層体20と非水電解質(符号略)とが収容されたものである。外装体11の外面には、外部接続用の2個の外部端子(プラス端子およびマイナス端子)12が設けられている。
図1Bに示すように、電極積層体20は、一対の電極21がこれらを絶縁するセパレータ22を介して積層されたものである。一対の電極21は、正極21Aおよび負極21Bである。
図1Cに示すように、電極21(正極21Aまたは負極21B)は、基材110上に、電極層120が形成されたものである。
本実施形態において、基材110は金属箔等の集電体であり、電極層120は電極活物質を含む電極活物質層である。
非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。
以下、リチウムイオン二次電池を例として、主な構成要素について説明する。
(正極)
基材としては、アルミニウム箔等の集電体が好ましく用いられる。
正極活物質としては特に制限なく、例えば、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−x)、およびLiNiCoMn(1−x−y)等のリチウム含有複合酸化物等が挙げられる(式中、0<x<1、0<y<1)。
正極活物質層用の電極材料の組成は特に制限されず、公知の組成を適用可能である。
正極活物質層用の電極材料は例えば、上記の正極活物質とポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを含み、さらに必要に応じて、炭素粉末等の導電助剤、およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の分散媒を含むことができる。
(負極)
基材としては、銅箔等の集電体が好ましく用いられる。
負極活物質としては特に制限なく、Li/Li+基準で2.0V以下にリチウム吸蔵能力を持つものが好ましく用いられる。負極活物質としては、黒鉛等の炭素、金属リチウム、リチウム合金、リチウムイオンのド−プ・脱ド−プが可能な遷移金属酸化物/遷移金属窒化物/遷移金属硫化物、及び、これらの組合わせ等が挙げられる。
負極活物質層用の電極材料の組成は特に制限されず、公知の組成を適用可能である。
負極活物質層の電極材料は例えば、上記の負極活物質とスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)等の結着剤とを含み、さらに必要に応じて、カルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)等の増粘剤、および水等の分散媒を含むことができる。
(非水電解質)
非水電解質としては公知のものが使用でき、液状、ゲル状もしくは固体状の非水電解質が使用できる。
例えば、プロピレンカーボネ−トあるいはエチレンカーボネ−ト等の高誘電率カーボネート溶媒と、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の低粘度カーボネート溶媒との混合溶媒に、リチウム含有電解質を溶解した非水電界液が好ましく用いられる。
混合溶媒としては例えば、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒が好ましく用いられる。
リチウム含有電解質としては例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF{C(2k+1)(6−n)(n=1〜5の整数、k=1〜8の整数)等のリチウム塩、およびこれらの組合わせが挙げられる。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜であればよく、多孔質高分子フィルムが好ましく使用される。
セパレータとしては例えば、PP(ポリプロピレン)製多孔質フィルム、PE(ポリエチレン)製多孔質フィルム、あるいは、PP(ポリプロピレン)−PE(ポリエチレン)の積層型多孔質フィルム等のポリオレフィン製多孔質フィルムが好ましく用いられる。
(外装体(電池容器))
外装体としては公知のものが使用できる。
二次電池の型としては、円筒型、コイン型、角型、あるいはフィルム型(ラミネート型)等があり、所望の型に合わせて外装体を選定することができる。
「電極の製造方法」
本発明の電極の製造方法は、
互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料を供給すると共に、第2ロールの面上に基材を供給することにより、第2ロールの面上に供給された基材上に、第1ロールおよび第2ロールの間に供給された電極材料を圧縮付着させて、電極層または後工程において電極層となる電極材料層を形成する工程を有する。
電極材料は、分散媒(液体成分)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
電極材料が分散媒を含まない場合、基材上に電極材料を圧縮付着させて、電極層を形成する。
電極材料が分散媒を含む場合、基材上に電極材料を圧縮付着させて、分散媒を含む電極材料層を形成した後、後工程で分散媒を乾燥除去して、電極層を形成する。
本発明の電極の製造方法においては、第1ロールおよび第2ロールとして、第1ロールの表面剛性が第2ロールの表面剛性より小さいロールの組合せを用いる。
第1ロールおよび第2ロールの表面剛性は、表面材質、表面凹凸等の表面形状、表面処理の有無、表面処理の種類、およびこれらの組合せ等によって調整できる。
したがって、第1ロールの表面剛性が第2ロールの表面剛性より小さくなるように、これらロールの、表面材質、表面形状、表面処理の有無、および表面処理の種類等を適宜選択する。
第1ロールおよび第2のロールの形態としては、
ロール本体(母材)単体、
ロール本体に樹脂層等の被覆層が形成されたもの、
および
ロール本体に樹脂フィルムまたは樹脂テープ等の樹脂材が付着あるいは貼着されたもの等が挙げられる。
これらロールには、表面処理が施されていてもよい。
以下、「被覆層」および「被覆材」を合わせて、「表層材」と言う。
第1ロールおよび第2ロールの表面剛性は、ロール表面の材料のヤング率でもって評価できる。
表面剛性はまた、表面硬度でもって評価できる。
表面硬度は、ナノインデーテンション法等により測定可能である。
ナノインデーテンション法等による表面硬度の測定は、市販の微小硬度計を用いて実施することができる。
なお、表層材がない/または電極層の厚みに対して無視できるくらいに薄い場合、第1ロールおよび第2のロールの表面剛性は、ロール本体の剛性でもって評価される。
樹脂材は、ロール本体に対して、ドーピング、分散、あるいは共析等により複合化されてもよい。
第1のロール組合せとして、
第1ロールは少なくとも表面が樹脂からなるロールであり、第2ロールは少なくとも表面が金属またはセラミックスからなるロールである組合せが挙げられる。
一般に、樹脂のヤング率は10GPa未満であり、1〜5GPa程度である。一般に、金属またはセラミックスのヤング率は100GPa以上である。
例えば、セラミックスの1種であるジルコニア(ZrO)のヤング率は250GPa程度(文献値)であり、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)のヤング率は500MPa程度(本発明者の実測値)である。
なお、本明細書において、特に明記しない限り、「金属」は汎用金属を指し、汎用金属よりも硬度の高い超硬合金等の特殊材料は含まないものとする。
上記第1のロール組合せの場合、
第1ロールとしては、
樹脂製のロール本体単体、
金属製またはセラミックス製のロール本体に樹脂層が形成されたもの、
あるいは、
金属製またはセラミックス製のロール本体に樹脂材(樹脂フィルムまたは樹脂テープ等)が付着、貼着、ドーピング、分散、および共析等により複合化されたものが挙げられる。
第1ロールは、公知の各種表面処理が施されたものでもよい。
第1ロールの表面は、電極材料が付着しづらいことが好ましい。
他の条件が同一であれば、電極材料の固形分率が低い程、電極材料が第1ロールの表面に付着しやすくなる傾向がある。
電極材料の固形分率が比較的低い場合、電極材料が第1ロールに付着することを抑制するために、第1ロールの表面エネルギーを小さく設計することが好ましい。具体的には、第1ロールの表面は、水の接触角が90°以上であることが好ましい。
第1ロールの表面エネルギーは、第1ロールの、表面材質、表面凹凸等の表面形状、表面処理の有無、および表面処理の種類等によって調整できる。
電極材料が付着しづらい第1ロールの態様としては、表面処理として公知の離型処理が施されたものが挙げられる。
離型処理が施されていない場合、第1ロールは、少なくとも表面がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有樹脂またはシリコーン樹脂等の離型性に優れた樹脂からなることが好ましい。
例えば、金属製またはセラミックス製のロール本体に、上記の離型性に優れた樹脂からなる樹脂層が形成されたもの、
あるいは、
金属製またはセラミックス製のロール本体に、上記の離型性に優れた樹脂からなる樹脂材(樹脂フィルムまたは樹脂テープ等)が付着、貼着、ドーピング、分散、および共析等により複合化されたものが好ましく用いられる。
かかる態様では、第1のロールは、ロール全体として充分な強度を有しつつ、表面剛性が充分に小さく、かつ、電極材料の付着が少なく、好ましい。しかも、かかる態様の第1のロールは、ロール全体がフッ素含有樹脂またはシリコーン樹脂からなる態様よりも低コストである。
上記作用効果が良好に得られることから、離型性に優れた樹脂からなる樹脂層または樹脂材の厚みは、1〜200μmが好ましい。
上記第1のロール組合せの場合、
第2ロールとしては、
金属製またはセラミックス製のロール本体単体、
および
金属製のロール本体に対してセラミックス溶射または超硬合金溶射等にてロール本体より剛性の大きい材料が被覆されたもの等が挙げられる。
第2のロール組合せとして、
第1ロールは少なくとも表面が金属からなるロールであり、第2ロールは少なくとも表面がセラミックスまたは超硬合金からなるロールである組合せが挙げられる。
この組合せでは、いずれのロールも表面材料のヤング率が100GPa以上であるが、第1ロールの表面剛性よりも第2ロールの表面剛性の方が相対的に大きくなっている。
第2のロール組合せの場合、第1ロールとしては金属製のロール本体単体が挙げられる。
第2ロールとしては、
セラミックス製のロール本体単体、
金属製のロール本体に対してセラミックス溶射等にてロール本体より剛性の大きいセラミックス層が形成されたもの、
および
金属製のロール本体に対して超硬合金溶射等にてロール本体より剛性の大きい超硬合金層が形成されたもの等が挙げられる。
第2のロール組合せにおいても、第1ロールの表面は電極材料が付着しづらいことが好ましいことは、第1のロール組合せと同様である。したがって、第1ロールは、表面処理として公知の離型処理が施されたものでもよい。
上記のロール組合せの中でも、第1ロールと第2ロールの表面剛性の差を付けやすく、かつ、低コストに第1ロールと第2ロールの表面剛性の差を付けられることから、第1ロールは少なくとも表面が樹脂からなるロールであり、第2ロールは少なくとも表面が金属またはセラミックスからなるロールである第1のロール組合せが好ましい。
この場合、上記のように、第1ロールの表面材料のヤング率は10GMPa未満、第2ロールの表面材料のヤング率は100GPa以上とすることができる。
本発明の電極の製造方法は、本発明に係る実施形態の後記製造装置2A〜2Dを用いて実施することができる。
「電極の製造装置」
図面を参照して、本発明に係る実施形態の電極の製造装置について説明する。
ここでは、図1Cに示した電極21(正極21Aまたは負極21B)を製造する場合を例として説明する。
図2Aは、一実施形態の電極の製造装置の概略図である。
図2B〜図2Dは、図2Aの設計変更例を示す概略図である。
図2A〜図2Dにおいては、実際の装置の上下が図面上下に対応している。
これら図面において、同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
図2A〜図2Dに示す電極の製造装置2A〜2Dは、電極層/または電極材料層の形成手段3を備える。
以下、電極層/または電極材料層の形成手段は、「電極(材料)層形成手段」と略記する。
電極(材料)層形成手段3は、
互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロール131および第2ロール132と、
第1ロール131および第2ロール132の間に電極材料120Mを供給する電極材料供給手段140と、
第2ロール132の面上に基材110を供給する基材供給手段150とを含む。
電極材料供給手段140および基材供給手段150は、公知のものである。
これら電極材料供給手段140および基材供給手段150の図示は模式的なものであり、製造装置の中で、各手段の範囲は明確なものでない。
したがって、製造装置の中で、電極(材料)層形成手段3の範囲も明確なものでない。
電極(材料)層形成手段3は、
第2ロール132の面上に供給された基材110上に、第1ロール131および第2ロール132の間に供給された電極材料120Mを圧縮付着させて、電極層120または後工程において電極層120となる電極材料層120Xを形成する。
電極材料供給手段140は、電極材料120M中の固形分率に応じて選択され、公知のものを使用できる。
電極材料120Mの固形分率が比較的高い場合、電極材料供給手段140は乾式法にて電極材料120Mを供給することができる。この場合、電極材料供給手段140としては、ホッパ等が挙げられる。
電極材料120Mの固形分率が比較的低い場合、電極材料供給手段140は湿式法にて電極材料120Mを供給することができる。この場合、電極材料供給手段140としては、塗工ダイ等が挙げられる。
詳細については後記するが、本発明は特に電極材料120Mの固形分率が比較的高い場合に有効である。
電極材料120Mの固形分率によらず、
電極材料120Mが分散媒(液体成分)を含む場合、
電極の製造装置2A〜2Dは、電極(材料)層形成手段3の後段に、分散媒を乾燥除去する乾燥手段4をさらに備える。
乾燥手段4としては公知のものを使用でき、赤外線を用いて加熱乾燥する赤外線乾燥炉等が挙げられる。
乾燥温度等の乾燥条件は、公知方法と同様である。
この場合、ロール成膜により分散媒を含む電極材料層120Xが形成され、乾燥手段4による乾燥工程後に電極材料層120X中の分散媒が乾燥除去されて、電極材料層120Xが電極層120となる。
電極材料120Mの固形分率が100質量%である場合(分散媒を含まない場合)、乾燥手段4は特に必要ない。この場合、ロール成膜により直接、電極層120が形成される。
図2A〜図2Dは、電極材料120Mは固形分率が比較的高いが分散媒を含む場合について図示してある。
これらの図では、電極材料供給手段140は乾式法により電極材料120Mを供給するホッパである。
これらの図では、ロール成膜により電極材料層120Xが形成され、乾燥手段4による乾燥工程後に電極材料層120Xが電極層120となっている。
本明細書において、「電極材料120Mの固形分率が比較的高い場合」とは例えば、固形分率が70〜100質量%の場合である。
「電極材料120Mの固形分率が比較的低い場合」とは例えば、固形分率が70質量%未満の場合である。
基材供給手段150は、公知のものを使用できる。
基材供給手段150は例えば、基材を送り出す送出しロールおよび1つ以上の搬送ロール等を含む搬送系である。
図2Aに示す製造装置2Aでは、第1ロール131および第2ロール132は横方向に並んで配列されている。この例では、第1ロール131が図示左側、第2ロール132が図示右側に配置されている。電極材料供給手段140は、第1ロール131および第2ロール132の上方に配置されている。この例では、電極材料供給手段140から第1ロール131および第2ロール132の間に電極材料120Mが落下して供給される。
この例では、第2ロール132の上端側に図示右方から基材110が供給され、第1ロール131および第2ロール132の間で基材110上に電極材料120Mが圧縮付着され、第2ロール132の下端側から、基材110上に電極材料層120Xが形成された積層体21Xが図示右方に繰り出される。この積層体21Xは、第1ロール131および第2ロール132の図示右方に配置された乾燥手段4に搬送される。
図2Bに示す製造装置2Bでは、第1ロール131および第2ロール132は横方向に並んで配列されている。この例では、第1ロール131は図示右側、第2ロール132は図示左側に配置されている。この例では、下方から第2ロール132の図示左端側に基材110が供給され、第1ロール131および第2ロール132の間で基材110上に電極材料120Mが圧縮付着され、第2ロール132の図示右端側から、基材110上に電極材料層120Xが形成された積層体21Xが下方に向けて繰り出される。この積層体21Xは、搬送ロールにより搬送方向が図示右方に変更され、第1ロール131および第2ロール132の図示右方に配置された乾燥手段4に搬送される。
図2Cに示す製造装置2Cでは、第2ロール132上に中心位置を上下に揃えて、第2ロール132より径の小さい第1ロール131が配置されている。この例では、第2ロール132の第1ロール131より張り出た部分の上に電極材料供給手段140が配置されている。電極材料120Mは、第2ロール132の第1ロール131より張り出た部分の上から、第1ロール131および第2ロール132の間に供給される。
この例では、下方から第2ロール132の図示左端側に基材110が供給され、第1ロール131および第2ロール132の間で基材110上に電極材料120Mが圧縮付着され、第2ロール132の上端側から、基材110上に電極材料層120Xが形成された積層体21Xが図示右方に向けて繰り出される。この積層体21Xは、第1ロール131および第2ロール132の図示右方に配置された乾燥手段4に搬送される。
図2Dに示す製造装置2Dでは、第1ロール131および第2ロール132は横方向に並んで配列されている。この例では、第1ロール131が図示左側、第2ロール132が図示右側に配置されている。
電極材料供給手段140は、第1ロール131および第2ロール132の下方に配置され、ポンプ141等を用いて、第1ロール131および第2ロール132の間に下方から電極材料120Mが供給される。
この例では、第2ロール132の下端側に図示右方から基材110が供給され、第1ロール131および第2ロール132の間で基材110上に電極材料120Mが圧縮付着され、第2ロール132の上端側から、基材110上に電極材料層120Xが形成された積層体21Xが図示右方に繰り出される。この積層体21Xは、第1ロール131および第2ロール132の図示右方に配置された乾燥手段4に搬送される。
なお、製造装置2A〜2Dにおける各構成要素の配置は例に過ぎず、適宜設計変更可能である。
電極の製造装置2A〜2Dにおいては、第1ロール131および第2ロール132として、第1ロール131の表面剛性が第2ロール132の表面剛性より小さいロールの組合せを用いる、
上記したように、第1ロール131および第2ロール132の表面剛性は、表面材質、表面形状、表面処理の有無、表面処理の種類、およびこれらの組合せ等によって調整できる。
したがって、第1ロール131の表面剛性が第2ロール132の表面剛性より小さくなるように、これらロールの、表面材質、表面形状、表面処理の有無、および表面処理の種類等を適宜選択する。
表面剛性の異なる第1ロール131と第2ロール132の組合せの例については、「電極の製造方法」の項にて説明したので、ここでは省略する。
上記のように、本実施形態では、第1ロール131および第2ロール132のうち、基材110側の第2ロール132の表面剛性を相対的に大きくし、電極材料120M側の第1ロール131の表面剛性を相対的に小さくしている。
上記構成では、ロール成膜により形成される電極層120または電極材料層120Xは、表面剛性が相対的に大きい第2ロール132側、すなわち、基材110側がより大きく圧縮され、より粒子間空隙の少ない緻密な構造となる。
上記構成では、ロール成膜により形成される電極層120または電極材料層120Xは、表面剛性が相対的に小さい第1ロール131側、すなわち、電極層120または電極材料層120Xの表面側がより小さく圧縮され、より粒子間空隙の多い構造となる。
本実施形態では、電極材料120M側の第1ロール131の表面剛性を相対的に小さくすることで、第1ロール131および第2ロール132間の垂直応力が低減される。これにより、金属箔等からなる基材110にかかる応力が低減される。したがって、転写工程を実施せずに基材110上に直接ロール成膜を実施しても、基材110に対するダメージが低減される。この結果、基材110に、破損、屈曲、あるいは皺等が発生することが抑制される。
以上の作用効果により、本実施形態では、基材110に対するダメージを低減しつつ、表面側に充分な粒子間空隙を有する電極層120を形成することができる。
得られる電極層120は、厚み方向に見て、基材110側から表面側に向けて粒子間空隙が多くなる構造を有する。
得られる電極層120は表面側に充分な粒子間空隙を有するので、リチウムイオン等の伝導イオンが電極層120の内部に侵入しやすく、電極層120はイオン伝導性が良好となる。この電極層120を用いた非水電解質二次電池1は、各種電池特性が良好なものとなる。
電極材料120Mの固形分率は特に制限されない。
一般に、電極材料の固形分率が高い程、第1ロールと電極材料との間の摩擦力が大きくなり、電極材料を圧縮展延する際の加工抵抗が大きくなり、基材へのダメージが増す傾向がある。
本実施形態では、電極材料120M側の第1ロール131の表面剛性を相対的に小さくすることで、電極材料120Mの固形分率が高くても、第1ロール131と電極材料120Mとの間の摩擦力が低減され、上記加工抵抗が低減される。したがって、電極材料120Mの固形分率が高い程、基材110へのダメージの低減効果がより顕著に得られる。
具体的には、電極材料120Mの固形分率が70質量%以上(70〜100質量%)のときに、基材110へのダメージの低減効果がより顕著に得られる。
電極材料120Mは、造粒体を含むことができる。
造粒体は、電極材料に含まれる粒子状の固形物質を1種または2種以上を造粒したものである。
造粒体は電極層120に表面凹凸を付与する場合等に好ましく用いられる。
電極材料120Mが造粒体を含む場合、第1ロール131と電極材料120Mとの間の摩擦力が大きくなり、電極材料120Mを圧縮展延する際の加工抵抗が相対的に大きくなる傾向がある。
本実施形態では、電極材料120M側の第1ロール131の表面剛性を相対的に小さくすることで、電極材料120Mが造粒体を含む場合においても、第1ロール131と電極材料120Mとの間の摩擦力が低減され、上記加工抵抗が低減される。
したがって、電極材料120Mが造粒体を含む場合、基材110へのダメージの低減効果がより顕著に得られる。
なお、造粒体の径が過大では、加工抵抗の低減効果が充分に得られない恐れがある。
造粒体の平均径は2mm以下であることが好ましい。
本明細書において、造粒体の「平均径」とは、粒径分布において、中位径D50より大きい粒子の質量が全粒子の質量の50%となる粒径である。
第1ロール131および第2ロール132の回転速度(回転数)は同一でも非同一でもよい。
上記したように、電極材料120Mの固形分率が比較的高い場合、あるいは、電極材料120Mが造粒体を含む場合、電極材料120Mを圧縮展延する際の加工抵抗が大きくなる傾向がある。
第1ロール131と第2ロール132との間で電極材料120Mが良好に圧縮展延される場合、得られる電極層120または電極材料層120Xの膜厚は、ロール間距離と同等またはそれに近い値となる。
しかしながら、上記のように加工抵抗が大きい条件の場合、第1ロール131および第2ロール132の回転速度が同一の条件では、第1ロール131および第2ロール132の間に供給された電極材料120Mを効果的に圧縮展延することが難しく、得られる電極層120または電極材料層120Xの厚みが設定値(設定ロール間距離)より過度に厚くなる恐れがある。
また、この場合、第1ロール131および第2ロール132の間に電極材料120Mが厚いまま残り、過剰な電極材料120Mによって表面剛性が相対的に小さい第1ロール131の電極材料120Mに接触する部分に変形等が生じ、基材110に、破損、屈曲、あるいは皺等が発生する恐れがある。
電極層120または電極材料層120Xが圧縮付着形成される側の第2ロール132の回転速度を第1ロール131の回転速度より速くすることが好ましい。この場合、第1ロール131および第2ロール132の間に供給された電極材料120Mは、回転速度が相対的に速い第2ロール132によって効果的に展延される。
したがって、上記のように電極材料120Mを圧縮展延する際の加工抵抗が大きい条件においても、電極材料120Mの展延性が向上し、所望の厚みの電極層120が安定的に得られる。また、過剰な厚みの電極材料120Mに起因する第1ロール131の部分変形が抑制され、基材110へのダメージが低減される。
電極材料120Mの展延性の向上効果が効果的に得られることから、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(=第2ロールの回転速度/第1ロールの回転速度)(以下、単に「ロールの回転速度比」とも言う。)が2.5以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。
装置設計上、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)の上限は、30が実用的であり、25がより実用的である。
すなわち、電極材料120Mの展延性および装置の実用設計を考慮すれば、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)は、2.5〜30が好ましく、5.0〜30がより好ましく、5.0〜25が特に好ましい。
本実施形態において、図3に示すように、第1ロール131として、表面に凹凸を有するロール(表面凹凸ロール)を用いることができる。
図中、符号131Aはロール本体であり、131Pは表面凹凸パターンである。
図3に示す第1ロール131は例えば、ロール本体131Aの表面に、表面凹凸パターン131Pを有する樹脂材131R(樹脂フィルムまたは樹脂テープ等)を付着または貼着させることで、製造できる。
表面凹凸パターン131Pを有する樹脂材131Rは例えば、表面パターンを有しない樹脂材等に対して、表面凹凸パターン131Pの反転パターンを有するモールドを用いて、ナノインプリント法等によりパターン転写を行うことで、製造できる。
なお、図示する表面凹凸パターンは一例であり、適宜設計変更可能である。
ここでは、表面凹凸を大きく誇張して図示してあるが、実際には後記表面粗さで示すように、μmオーダーあるいはnmオーダー等の微小なものである。また、表面凹凸形状も模式的なものである。
第1ロール131として表面凹凸ロールを用いる場合、第2ロール132上に供給された基材110上に電極層120または電極材料層120Xが形成される際に、電極層120または電極材料層120Xの表面に第1ロール131の表面凹凸パターン131Pが転写される。これによって、例えば図4に示すように、第1ロール131の表面凹凸パターン131Pに対応した表面凹凸パターン120Pを有する電極層120が形成される。
なお、表面凹凸パターン120Pのパターン形状も、表面凹凸パターン131Pと同様、模式的なものである。
表面凹凸パターン120Pを有する電極層120は、表面に複数の凹部を有するので、リチウムイオン等の伝導イオンが凹部を介して電極層120の内部により侵入しやすくなる。そのため、図1Cに示した表面凹凸パターン120Pを有しない電極層120に比して、電極層120のイオン伝導性が向上され、非水電解質二次電池の各種電池特性が向上される。
表面凹凸パターンの表面凹凸レベルは、特に制限されない。
表面凹凸レベルの指標としては例えば、表面粗さRaがある。
ここで、表面粗さRaは「算術平均粗さ」であり、市販の表面粗さ計を用いて測定可能である。
表面粗さRaが過小では、表面凹凸ロールによる電極層または電極材料層に対する表面凹凸付与効果が不充分となる恐れがある。
表面粗さRaが過大では、電極層または電極材料層にダメージを与える恐れがある。
本明細書において、「表面凹凸」とは、積極的に付与された表面凹凸であり、表面粗さRaが0.1μm以上のものにより定義されるものとする。
表面凹凸ロールの表面粗さRaは、0.1〜10μmが好ましい。
電極層120に対する表面凹凸付与方法としては、
第1ロール131として表面凹凸ロールを用いる代わりに、
第1ロール131として表面凹凸を有しないロール(表面平坦ロール)を用いて平坦な電極層120または電極材料層120Xを形成した後、表面凹凸パターンを有する第3ロール(図示略)を用いて、表面パターン転写を行う方法がある。
電極材料120Mが分散媒(液体成分)を含む場合、第3ロールによる表面パターン転写は乾燥工程の前に実施される。
なお、表面凹凸の有無に関係なく、第1ロール131は断面視略円状であり、全体的に曲面を有しているが、「表面凹凸ロール」に対する用語として、表面凹凸を有しないロールのことを便宜上「表面平坦ロール」と表記してある。
表面凹凸パターン120Pを有する電極層120を製造する場合、電極材料120Mは、ロール成膜に充分な展延性と表面凹凸の形状記憶に充分な可塑性とを有する造粒体を含むことが好ましい。
造粒体は、電極材料120Mに含まれる粒子状の固形物質を1種または2種以上を造粒したものである。
上記したように、造粒体の径が過大では、加工抵抗の低減効果が充分に得られない恐れがある。
造粒体の平均径は2mm以下であることが好ましい。
造粒体の径が過小では、表面凹凸の形状記憶効果が充分に発現されない恐れがある。
造粒体の平均径は100μm以上であることが好ましい。
ロール成膜に充分な展延性と電極層120への表面凹凸付与に充分な可塑性を有することから、造粒体としては、以下のものを用いることが好ましい。
乾式法にてロール成膜を行う場合、造粒体は、熱溶融バインダおよび光硬化バインダからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂バインダを含むことが好ましい。
熱溶融バインダとしては、PTFEバインダ等が挙げられる。
光硬化バインダとしては、UV(紫外光)硬化バインダ等が挙げられる。
熱溶融バインダは、ロール成膜に充分な展延性と電極層120または電極材料層120Xへの表面凹凸付与に充分な可塑性を有する。
表面凹凸ロールを用いて電極層120または電極材料層120Xに表面凹凸を付与する場合、熱溶融バインダを溶融または軟化させるために、必要に応じて表面凹凸ロールを加温することができる。
なお、表面凹凸ロールを積極的に加温しなくても、表面凹凸ロールと電極材料との間の摩擦熱により、熱溶融バインダの溶融または軟化は起こり得る。
熱溶融バインダは、溶融または軟化の後、常温に戻った際に固化する。
以上の作用効果が相俟って、電極層120または電極材料層120Xへの表面凹凸形状付与とその形状維持効果が効果的に得られる。
光硬化バインダは硬化前は分散媒として働くため、これを添加した造粒体はロール成膜に充分な展延性と電極層120または電極材料層120Xへの表面凹凸付与に充分な可塑性を有する。
光硬化バインダを用いる場合、電極層120または電極材料層120Xへの表面凹凸付与後に、紫外光(UV)等の光照射によりバインダを硬化させる。
以上の作用効果が相俟って、電極層120または電極材料層120Xへの表面凹凸形状付与とその形状維持効果が効果的に得られる。
湿式法にてロール成膜を行う場合、造粒体は分散媒を含む未乾燥の造粒体であることが好ましい。
分散媒を含む造粒体は、ロール成膜に充分な展延性と電極材料層120Xへの表面凹凸付与に充分な可塑性を有する。
ただし、造粒体中の分散媒濃度が過大では、表面凹凸を良好に付与できない恐れがある。
造粒体中の分散媒濃度は30質量%以下が好ましい。
ロール成膜に充分な展延性と電極材料層120Xへの表面凹凸付与に充分な可塑性とを考慮すれば、造粒体中の分散媒濃度は10〜30質量%が好ましい。
造粒体中の分散媒は、電極材料層120Xの乾燥工程時に除去される。乾燥工程において、電極材料層120Xは固化して電極層120となる。
以上の作用効果が相俟って、電極層120への表面凹凸形状付与とその形状維持効果が効果的に得られる。
以上説明したように、本実施形態によれば、電極材料の固形分率に関係なく、基材110に対するダメージが小さく、表面側に充分な粒子間空隙を有する電極層120を形成することが可能な電極21の製造方法および製造装置2A〜2Dを提供することができる。
本実施形態によれば、電極層120における粒子間空隙の厚み方向の分布をリチウムイオン等の伝導イオンの伝導に適した分布とすることができる。その結果、各種電池特性の優れた非水電解質二次電池等の電池を提供することができる。
以下、本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1〜17)
実施例1〜17では、図2Aに示したような製造装置を用いて、電極を製造した。
これら実施例では、リチウムイオン二次電池の負極を製造した。
基材として、銅箔を用意した。
黒鉛(負極活物質)と、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR、結着剤)と、少量のカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC、増粘剤)と、水(分散媒)とを含む固形分率79質量%の電極材料を用意した。
SBRは、ラテックスの形態で配合した。
電極材料中の固形分総量100質量%に対して、黒鉛の量は95質量%以上であり、結着剤の量は5質量%以下であった。
電極材料は、黒鉛の造粒体を含み、その平均径は300μmであった。
各実施例では、湿式法にて、第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料を供給すると共に、第2ロールの面上に基材を供給することにより、第2ロールの面上に供給された基材上に、第1ロールおよび第2ロールの間に供給された電極材料を圧縮付着させて、電極材料層を形成した。
いずれの実施例においても、第1ロールおよび第2ロールとして、以下の組合せを用いた。
第1ロールとして、ジルコニア(ZrO)製ロール本体に対して200μm厚のテフロン(登録商標)(PTFE)テープ(特段の表面凹凸付与処理なし、Ra0.1μm未満)を付着させたロール(PTFE/ZrOロール)を用いた。
第2ロールとして、ジルコニア(ZrO)製ロール本体単体(ZrOロール)を用いた。
このロール組合せでは、第1ロールの表面剛性が第2ロールの表面剛性より小さい。
具体的には、ジルコニア(ZrO)のヤング率は250GPa程度(文献値)であり、テフロン(登録商標)(PTFE)のヤング率は500MPa程度(本発明者の実測値)である。
上記のように基材上に電極材料層をロール成膜した後、赤外線乾燥炉を用い、公知方法にて電極材料層を乾燥して、電極層を形成した。
実施例1〜17では、第1ロールと第2ロールの回転数(回転速度)、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)、および、第1ロールと第2ロールの離間距離(ロール間距離)を変更し、その他の条件は同一として、電極を製造した。
各実施例の製造条件と、製造された電極層の質量、目付、膜厚、および密度を、表1、表2に示す。
各実施例において、「電極層の質量」はサンプル数2の平均値である。
各実施例において、「電極層の膜厚」はサンプル数2〜8の平均値である。
なお、電極層の膜厚は、集電体も含めて電極全体の膜厚を測定し、集電体の厚みを差し引くことで、求めた。
各実施例において得られた電極層について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面観察を実施した。
第1ロールおよび第2ロールとして、第1ロールの表面剛性が前記第2ロールの表面剛性より小さいロールの組合せを用いた実施例1〜17では、得られた電極層はいずれも、基材側(第2ロール側に相当)が相対的に粒子間空隙の少なく緻密な構造であり、表面側(第1ロール側に相当)が相対的に粒子間空隙の多い構造であった。
いずれの例においても、基材に、破損、屈曲、あるいは皺等の不良は見られなかった。
ロール間距離を振ったときのロールの回転速度比と得られた電極層の膜厚との関係を、図5A、図5Bに示す。
図5A、図5B中、「GAP」はロール間距離である。
基本的には、第1ロールと第2ロールとの間で電極材料が良好に圧縮展延される場合、得られる電極層の膜厚はロール間距離と同等またはそれに近い値となる。
実施例1〜17では、用いた電極材料は固形分率が70質量%以上であり、造粒体も含んでいるため、従来の方法では圧縮展延加工が難しい。
図5Aに示すように、第1ロールの回転速度と第2ロールの回転速度とが同一(ロールの回転速度比が1)の条件では、ロール間距離よりも電極層の膜厚が大きくなっている(実施例5)。
図5A、図5Bには、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)が大きくなる程、電極層の膜厚は設定値(設定ロール間距離)に近づく様子が示されている。
図5A、図5Bには、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)は2.5以上が好ましく、5.0以上がより好ましいことが示されている。
装置設計上、第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)の上限は、30が実用的であり、25がより実用的である。
第1ロールの回転速度に対する第2ロールの回転速度の比(ロールの回転速度比)は2.5〜30が好ましく、5.0〜30がより好ましく、5.0〜25が特に好ましい。
Figure 2016081871
Figure 2016081871
1 非水電解質二次電池
20 電極積層体
21 電極
21A 正極
21B 負極
22 セパレータ
110 基材
120 電極層
120M 電極材料
120X 電極材料層
120P 表面凹凸パターン
2A〜2D 電極の製造装置
131 第1ロール
131A ロール本体
131R 樹脂材
131P 表面凹凸パターン
132 第2ロール
140 電極材料供給手段
150 基材供給手段
3 電極層/または電極材料層の形成手段(電極(材料)層形成手段)
4 乾燥手段

Claims (10)

  1. 基材と当該基材上に形成された電極層とを有する電極の製造方法であって、
    互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロールおよび第2ロールの間に電極材料を供給すると共に、前記第2ロールの面上に前記基材を供給することにより、前記第2ロールの面上に供給された前記基材上に、前記第1ロールおよび前記第2ロールの間に供給された前記電極材料を圧縮付着させて、前記電極層または後工程において前記電極層となる電極材料層を形成する工程を有し、
    前記第1ロールおよび前記第2ロールとして、前記第1ロールの表面剛性が前記第2ロールの表面剛性より小さいロールの組合せを用いる、
    電極の製造方法。
  2. 前記電極材料は、固形分率が70質量%以上である、
    請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 前記電極材料は、平均径2mm以下の造粒体を含む、
    請求項1または2に記載の電極の製造方法。
  4. 前記第2ロールの回転速度を、前記第1ロールの回転速度の2.5〜30倍とする、
    請求項1〜3のいずれかに記載の電極の製造方法。
  5. 前記第1ロールとして、表面に凹凸を有するロールを用いる、
    請求項1〜4のいずれかに記載の電極の製造方法。
  6. 基材と当該基材上に形成された電極層とを有する電極の製造装置であって、
    互いに対向配置された回転可能な一対の第1ロールおよび第2ロールと、
    前記第1ロールおよび前記第2ロールの間に電極材料を供給する電極材料供給手段と、
    前記第2ロールの面上に前記基材を供給する基材供給手段とを含み、
    前記第2ロールの面上に供給された前記基材上に、前記第1ロールおよび前記第2ロールの間に供給された前記電極材料を圧縮付着させて、前記電極層または後工程において前記電極層となる電極材料層を形成する電極層/または電極材料層の形成手段を備え、
    前記第1ロールの表面剛性が前記第2ロールの表面剛性より小さい、
    電極の製造装置。
  7. 前記電極材料は、固形分率が70質量%以上である、
    請求項6に記載の電極の製造装置。
  8. 前記電極材料は、平均径2mm以下の造粒体を含む、
    請求項6または7に記載の電極の製造装置。
  9. 前記第2ロールの回転速度が、前記第1ロールの回転速度の2.5〜30倍である、
    請求項6〜8のいずれかに記載の電極の製造装置。
  10. 前記第1ロールは、表面に凹凸を有するロールである、
    請求項6〜9のいずれかに記載の電極の製造装置。
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