JP2016079169A - 糖アルコールの製造方法および糖液 - Google Patents
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Abstract
Description
る工程では、糖分解物などの様々な不純物が含まれると考えられるので、糖類を糖アルコールやその他糖誘導体に化学変換する工程に問題が生じる場合がある。
すなわち、本発明の要旨は以下に存する。
該糖化液中の反応阻害物を除去する処理を行って処理糖化液を得る除去工程と、
該処理糖化液を水素雰囲気下で金属触媒と接触させる水素化反応工程とを有し、
該水素化反応工程で糖から糖アルコールを製造することを特徴とする糖アルコールの製造方法。
[2] 前記糖化液がグルコースおよび/またはキシロースを含む、[1]に記載の糖アルコールの製造方法。
[3] 前記除去工程において、炭素系多孔質材料および/または金属酸化物を用いて糖化液の処理を行う、[1]または[2]に記載の糖アルコールの製造方法。
[4] 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子を0ppm超、10ppm以下の範囲で含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。
[5] 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、ギ酸を0ppm超、1500ppm以下の範囲で含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。
[6] 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、窒素(N)原子を0ppm超、350ppm以下の範囲で含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。[7] 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、塩素(Cl)原子を5ppm以上1000ppm以下の範囲で含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。
[8] 前記金属触媒が、周期表第8族、第9族、第10族および第11族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。
[9] 前記金属触媒が、ルテニウムを含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。
[10] 前記糖アルコールが、ソルビトールおよび/またはキシリトールである、[1]〜[9]のいずれかに記載の糖アルコールの製造方法。
[11] 塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含み、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子を0ppm超、10ppm以下の範囲で含むことを特徴とする糖液。
[12] 塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含み、ギ酸を0ppm超、1500ppm以下の範囲で含むことを特徴とする糖液。
[13] 塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含み、窒素(N)原子を0ppm超、350ppm以下の範囲で含むことを特徴とする糖液。
[14] 塩素(Cl)原子と、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子、ギ酸、および窒素(N)原子の少なくとも1つと、を含む糖液であって、
前記塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下、前記硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子を0ppm超、10ppm以下、および前記ギ酸を0ppm超
、1500ppm以下、窒素(N)原子を0ppm超、350ppm以下のいずれかの範囲で含むことを特徴とする糖液。
また、本発明の糖液は、水素化反応の原料に用いることで、触媒の活性を低下させることなく、高い収率で糖アルコールを製造することができる。
これらのことより、糖アルコールの製造において、生産効率に優れたプロセス設計が可能になる。
本発明の製造方法は、非可食バイオマスを糖化して糖化液を得る糖化工程と、該糖化液中の反応阻害物を除去する処理を行って処理糖化液を得る除去工程と、該処理糖化液を金属触媒に接触させて水素雰囲気とする水素化反応工程とを有する。
以下、それぞれの工程に分けて詳細に説明する。
本発明の製造方法で行われる糖化工程は、非可食バイオマスに含まれる多糖類をその構成単位である糖類まで分解(糖化)してオリゴ糖や単糖を含む糖化液を得ることができればよく、糖化方法については特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
例えばセルロースやヘミセルロースを、濃硫酸を用いてグルコースに代表されるヘキソースや、キシロースに代表されるペントースといった単糖まで加水分解する方法や、多糖類の反応性を向上させる前処理を施した後に、酵素反応、亜臨界水、超臨界水等により加水分解する方法等が挙げられる。
糖化液は、非可食バイオマスに含まれる多糖の少なくとも一部を糖化して生成する単糖を含む液である。糖化液は単糖以外の糖類を含んでいてもよく、多糖やオリゴ糖などを含んでいてもよい。
また、通常、ギ酸、乳酸、酢酸、酪酸、ピルビン酸、グルコン酸、アミノ酸などの有機酸;フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、ホルムアルデヒド、ヒドロキシアルデヒドなどのアルデヒド類;硫酸イオン、硝酸イオンなどの無機酸イオン類;塩素、フッ素などのハロゲン元素;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属元素;マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属元素;ケイ素元素;リグニン等の、非可食バイオマスに由来する糖類以外の化合物を含む。ここで、上記に示した元素は糖化液中でどのような形態で存在しているかは特に限定されず、たとえば、糖化液中の化合物やイオンを構成する元素の一部であってもよい。
本発明で用いる糖化液に含まれる糖類は、非可食バイオマス由来の単糖を含んでいれば特に限定はされず、いわゆる糖類一般を用いることができる。
具体的にはグリセルアルデヒド等の炭素数3の単糖(トリオース);エリトロース、トレオース、エリトルロース等の炭素数4の単糖(テトロース);リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、デオキシリボース、キシルロース、リブロース等の炭素数5の単糖(ペントース);アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マ
ンノース、ガラクトース、イドース、フコース、フクロース、ラムノース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等の炭素数6の単糖(ヘキソース);セドヘプツロース等の炭素数7の単糖(ヘプトース)等が挙げられる。これらの単糖の中でも、ヘキソース、ペントースが好ましい。これらは自然界、植物の構成成分となっていることから豊富に存在し、原料の入手が容易であるためである。
本発明で用いる糖化液は、上記の単糖の1種類を単独で含有していてもよいし、2種類以上を含有していてもよい。
非可食バイオマスとしては、上記の糖類を構成成分とする多糖類を含んでいれば特に限定されないが、たとえば、セルロース、ヘミセルロースを含む植物等が挙げられる。
非可食バイオマスとしては、具体的には、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、稲わら、麦わら、米ぬか、植物油カス、ササ、タケ、パルプ類、古紙、食品廃棄物、水産物残渣、家畜廃棄物等が挙げられる。また、砂糖の製造工程で発生する糖蜜から砂糖を回収した後に残る廃糖蜜も非可食バイオマスとして使用可能である。
上記の非可食バイオマスは、可食バイオマスと異なり、食用用途と競合せず、また通常であれば廃棄、焼却処理をされるものが多いため、安定的な供給、資源の有効利用が図れる点で好ましい。
本発明で行われる除去工程とは、糖化工程で得られた糖化液中の反応阻害物を除去する処理を行って処理糖化液を得る工程である。
上述の糖化工程で非可食バイオマスを糖化して得られる糖化液には、非可食バイオマス
に由来する糖類以外の種々の化合物を含んでいる。発明者の検討により、これらの化合物の一部が水素化反応を阻害し、糖アルコールの生成効率を低減させることを見出した。そのため、多段階による精製を経て高純度の糖類を得る工程を経ずとも、除去工程を実施して糖化液中の水素化反応を阻害する化合物を選択的に除去した処理糖化液を作製することによって、効率的に糖アルコールを製造し得る原料となる糖液を得ることに成功した。
反応阻害物とは、除去工程の後に続く水素化反応工程において、水素化反応を阻害する物質のことをいう。発明者が検討した結果、これらの反応阻害物は、水素化反応で用いられる金属触媒を被毒したり、触媒表面を覆ってしまったりすることにより触媒活性を低下させ、その結果、糖アルコールの収率を低減させることを見出した。
硫黄含有有機化合物に含まれるS原子の量については、燃焼吸収イオンクロマトグラフ分析で測定した全S原子の量から水溶解イオンクロマトグラフ分析で測定したS原子の量(6価のS原子の量に相当)を差し引くことで求められる。
ここで、硫黄含有有機化合物に含まれる2価や4価のS原子は糖化液中でどのような形態で存在しているかは特に限定されず、通常、糖化液中に存在する化合物を構成する元素の一部として存在する。
ものである。
除去工程を実施して得られる処理糖化液中のN原子量は、糖化液重量に対してN原子として2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは400ppm以下、それより好ましくは350ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、最も好ましくは10ppm以下とすることが望ましい。N原子は全く含まれないことが特に好ましいが、上述の範囲であれば、含有していても水素化反応工程を実施するうえで大きな問題とはならない。
ここで、N原子は糖化液中でどのような形態で存在しているかは特に限定されず、通常、糖化液中に存在する化合物やイオンを構成する元素の一部として存在する。以下、N原子を含む化合物をN原子含有成分と称する場合がある。
そのため、除去工程を実施して得られる処理糖化液中のギ酸量は、糖化液質量に対して30000ppm以下、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは1500ppm以下、それより好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm、最も好ましくは100ppm以下とすることが望ましい。ギ酸は全く含まれないことが特に好ましいが、上述の範囲であれば、含有していても水素化反応工程を実施するうえで大きな問題とはならない。
処理糖化液は、反応阻害物を除去する処理を施されたものであり、上述の反応阻害物の少なくとも一部が除去されている糖液である。反応阻害物の含有量は、上述の通りである。処理糖化液は、生産効率のよい糖アルコール製造の原料となる糖液として有用である。
主に、単糖や二糖などの糖類を含み、その他非可食バイオマスに由来する糖以外の化合物を含んでいてもよい。たとえば、塩素、フッ素などのハロゲン元素;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属元素;マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属元素;ケイ素元素;硫酸イオン、硝酸イオン等を含んでいてもよい。ここで、上記に示した元素は処理糖化液中でどのような形態で存在しているかは特に限定されず、たとえば、処理糖化液中の化合物やイオンを構成する元素の一部であってもよい。
除去工程を実施して得られる処理糖化液中のCl原子量は、糖化液重量に対してCl原子として5ppm以上、場合によっては50ppm以上含んでいてもよく、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下とすることが望ましい。
ここで、Cl原子は糖化液中でどのような形態で存在しているかは特に限定されず、糖化液中に存在する化合物やイオンを構成する元素の一部として存在したり、単独でClイオンとして存在していてもよい。
本発明の製造方法の除去工程において、前記反応阻害物を除去する処理方法としては、炭素系多孔質材料や金属酸化物などの吸着剤に吸着させて除去する方法(以下、吸着処理ということがある)、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂に接触させて除去する方法、糖液から晶析でグルコースやキシロースを得る際に母液から除去する方法、還元剤などと
反応させて除去する方法、蒸留で物理的性質を利用して除去する方法等がある。特に吸着剤で吸着させる方法では、糖化液のpH糖濃度を大きく変化させることなく、操作も簡便であることから好ましい。より好ましくは、炭素系多孔質材料および/または金属酸化物を用いて糖化液の処理を行うことである。
前述の吸着処理に使用できる吸着剤としては、反応阻害物質を吸着できるものであれば何でもよく、例えば活性炭、カーボンブラック、シリコンカーバイドなどの炭素系多孔質材料、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ニオビア、チタニア、セリア、珪藻土、ゼオライト、酸化亜鉛等の金属酸化物等が挙げられる。特に活性炭、アルミナ、酸化亜鉛が硫黄含有有機化合物の吸着能が高いので好ましい。
上記吸着剤の形状については特に制約はないが、1μm程度の粉状のものから数mm程度の直径をもつ粒状のものでもよい。糖化液の吸着処理後に吸着剤と糖液を分離する上で、操作が簡便なため、工業規模の操作で用いる場合には、粒状のものが好ましい。
吸着処理の様式については、回分式でも連続式でもよく、効率上の観点からは連続式が
好ましい。
本発明の製造方法で行われる水素化反応工程は、該処理糖化液を水素雰囲気下で金属触媒と接触させて、処理糖液中の糖を還元して糖アルコールにする工程である。糖を糖アルコールへ水素化することができれば、反応手順は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。以下に、好ましい態様を説明する。
本発明の製造方法の水素化反応工程において使用される金属触媒の金属成分は、糖類を糖アルコールに水素化できるものであれば特に限定されないが、通常ルテニウム、ニッケル、銅、パラジウム、金、白金、鉄、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム等の金属を用いることができる。なかでも、水素化能力を発揮するものとして、周期表第8族、第9族、第10族および第11族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、特に水素化能力が高いことから、周期表第8族、第9族、および第10族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、特に選択性が高いことからルテニウム、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金が好ましく、特にカルボニル基の水素化能力の高さからルテニウム、ニッケルがより好ましい。
金属を2種類以上用いるときは、その組み合わせは特に限定されず、それぞれの金属が触媒活性を有するもの(共触媒)でも、1種類以上の金属の触媒活性を向上させるもの(助触媒)であってもよいが、これらのうち助触媒が好ましい。
活性安定化の面で好ましい。
であり、好ましくは10〜1500m2/gである。前記下限値以上のものを用いること
で、金属を担体に高い分散度で担持することを可能とし、十分な触媒活性を得る上で好ましい。また前記上限値以下のものを用いることは、通常担体が有する細孔を有効に利用できる点で好ましい。特に担体として活性炭を用いる場合は、その表面積が500〜1500m2/gであることが、高い生産性を得る上でより好ましい。
しい。
本発明において行なわれる還元反応は、水素雰囲気下で行われる。
本発明の実施態様における水素源としては特に限定はされないが、反応終了後に分離精製の必要がない気体の水素を用いることが望ましい。
一般的には、反応圧力を上昇させると金属触媒への水素供給が促進され、反応速度が向上する。一方で、高い反応圧力で実施するには特別に耐圧性を高めた反応器等の設備が必要となるほか、水素化能力が上るため水素化分解が進行する可能性がある。
また水素雰囲気下における水素濃度は、特に限定はされないが、通常70体積%以上、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上であり、上限は通常100体積%であり、好ましくは95体積%以下である。
なお前記収率は、下記の通りの計算式で算出した。
収率(%) = (反応後の対応する糖アルコール(mol)/ 仕込原料糖類化合物(mol))×100
本発明の製造方法によって得られた糖アルコールは、ソルビトールおよび/またはキシリトールであることが好ましい。
これらは食品添加物、蓄熱材、ポリマー原料として使用できる。ソルビトールについては続いて脱水反応を行えば、イソソルバイドまで誘導が可能である。イソソルバイドは2級のジオールで、光学特性に優れたポリカーボネートのモノマーとして使用できるため、その前駆体であるソルビトールも重要なモノマー原料である。
本発明の糖液は、塩素(Cl)原子と、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子、ギ酸、および窒素(N)原子の少なくとも1つと、を含む糖液である。本発明の糖液は、塩素(Cl)原子のほか、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子、ギ酸、窒素(N)原子を単独または2種以上の成分を含んでいてもよい。
たとえば本発明の糖液は、塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含み、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子を0ppm超、10ppm以下の範囲で含む。
また、本発明の別の糖液は、塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含み、ギ酸を0ppm超、1500ppm以下の範囲で含む。
また、本発明の別の糖液は、塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含み、窒素(N)原子を0ppm超、350ppm以下の範囲で含む。
製した糖類を溶解した糖液とは明確に異なる。
本発明のいずれの糖液も、前述した本発明の製造方法の除去工程で得られる処理糖化液と同様にして、糖アルコールの原料として有用である。
本発明の糖液は、上記の組成をしていればどのように作製されていてもよいが、バイオマスを糖化して得られたものであることが好ましい。たとえば、前述の糖化工程と除去工程を実施することにより、製造し得る。
実施例で得られた反応混合物の高速液体クロマトグラフィー(以下、LC)測定条件およびイオンクロマトグラフィー測定条件は以下の通りである。
また、硫黄含有有機化合物に含まれるS原子の量を算出するための燃焼吸収イオンクロマトグラフィー測定条件および水溶解イオンクロマトグラフィー測定条件を以下に示す。
ポンプ :島津製作所社製 LC−20AD
カラムオーブン:島津製作所社製 CTO−10A
UV検出器 :島津製作所社製 SPD−10A
RI検出器 :島津製作所社製 RID−10A
カラム :信和化工社製 ULTRON PS−80H 8.0ID×300mm装置 :溶離液:0.11質量%過塩素酸溶液 1.0mL/分
検出方法 :UV(210nm),RI
注入量 :10μL
塩素(Cl)原子の量を測定するための方法は以下の通りである。
試料を磁製ボードに採取して、石英製管状炉で加熱し、燃焼ガス中のCl分を0.1%過酸化水素水で吸収した。吸収液中のClイオンをイオンクロマトグラフ装置で測定した。
石英製管状炉:三菱化学社製 AQF−2100H型
インクロマトグラフ装置:Dionex社製 ICS−1000型
S原子の量を測定するための方法は以下の通りである。
試料を助剤共存下で燃焼し、そのガスを水溶液に吸収させフィルターでろ過後、イオンクロマトグラフ装置にて測定を行う。
イオンクロマトグラフ装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製
ICS−2000、DX500
燃焼装置:三菱化学アナリテック社製 AQF−2100M
6価のS原子の量を測定するための方法は以下の通りである。
試料を水で100倍に希釈して、フィルターでろ過後、イオンクロマトグラフ装置にて測定を行う。
イオンクロマトグラフ装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製
ICS−2000、DX500
N原子の量を測定するための方法は以下の通りである。
試料を酸素雰囲気下で燃焼させ、発生したガスを燃焼、減圧化学発光法を用いた微量窒素分析装置で測定した。その際、標準試料としては和光純薬工業製アンモニア系窒素標準液を使用した。
微量窒素分析計:三菱化学アナリテック社製 TN−05
(糖化工程)
非可食バイオマスとして、バガスを使用した。前記バガス乾燥質量の2%質量分の硫酸および含水率が60%となる量の水を添加し、ドラムミキサー(杉山重工社製)で20分間混合した。得られた希硫酸処理物を加水分解装置(ヤスジマ社製)に投入して、蒸気を投入し、180℃にて15分間蒸煮処理した。得られた蒸煮処理物の含水率は64.6%であった。
前記蒸煮処理物を、乾燥重量200g/Lとなるように糖化装置に仕込み、10N NaOHを添加することでpHを6.0に調整した。そこに糖化酵素として15FPU分のCTec2(novozyme社製)を添加し、温度50℃、攪拌速度200rpmにて72時間攪拌しながら、加水分解を行った。その後、10000gで10分間遠心分離を行い、未分解セルロースあるいはリグニンを分離除去して、糖化液を作製した。イオンクロマトグラフで分析した結果、糖化液には160ppmのCl原子が含まれていたほか、硫黄含有有機化合物に含まれるS原子も含まれていた。
前記合成例と同様の方法で糖化液Aを作製した。この糖化液AをLC分析したところ、グルコース7.33質量%、キシロースとフルクトースの合計が3.95質量%であった。また、その他の0.5質量%以上の糖類は検出されなかった。
(除去工程)
12gの糖化液Aに対して0.7gの粉状の活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製 FP−1)を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物は1μmのメンブレンフィルターを装着したアルゴン加圧濾過器でろ過し、処理糖化液1を得た。
上記処理糖化液1を4g、および1.5質量%Ru/C触媒(エヌ・イーケムキャット社製)0.33gを、内容積70mLのオートクレーブ中でアルゴン雰囲気下、攪拌子を用いて混合した後、オートクレーブを密閉した。次いで、オートクレーブ内にバルブを介してH2圧力2MPaとなるようにH2を仕込んだ。前記オートクレーブを120℃に保持した電気炉内に設置し、そのまま15分間保持してオートクレーブ内を120℃まで昇温できた時点を反応開始とした。反応開始から1時間経過後、オートクレーブを電気炉から取り出し、室温まで放冷し、残圧をパージした後、オートクレーブ中の反応混合物を全量回収した。
回収した反応混合物は、上記条件によるLC分析を行なって、下記計算式によりソルビトール収率、キシリトール収率を求めた。結果を表1に示した。
なお、糖化液中のフルクトースの含量は極めて少ないため、キシロースとフルクトースの合計量はキシロース量を示すものとして用いた。
ソルビトール収率(%) = (反応後のソルビトール量(mol)/ 仕込グルコース量(mol))×100
キシリトール収率(%) = (反応後のキシリトール量(mol)/ 仕込キシロース量(mol))×100
実施例1において糖化液Aの除去処理を、粒径420μm以下の粉状となるように粉砕した活性炭(ツルミコール社製 4GV)を用いて行ったこと以外は、実施例1と同様に除去工程および水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において糖化液Aの除去処理を粉末状の5質量%Pd/C(エヌ・イーケムキャット社製)としたこと以外は、実施例1と同様に除去工程および水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において糖化液Aの除去処理をAl2O3(日揮触媒化成社製 N612)としたこと以外は、実施例1と同様に除去工程および水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において糖化液Aの除去処理を塩基性のAl2O3(WAKO社製 活性アルミナ)としたこと以外は、実施例1と同様に除去工程および水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において糖化液Aの除去処理をアミノプロピル基修飾を行った塩基性のSiO2(関東化学社製)としたこと以外は、実施例1と同様に除去工程および水素化反応工程
を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において処理糖液1を5.2g、水素化反応の触媒としてRu/C触媒に替え
て日興リカ社製 スポンジNi R−2311を(金属量として)0.104g使用したことと、反応温度を120℃から90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に除去工程および水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において糖化液Aの除去処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
実施例1において糖化液Aに対する除去工程を行わなかったこと、水素化反応の触媒としてRu/C触媒に替えて日興リカ社製 スポンジNi R−2311を(金属量として)0.08g使用したことと、反応温度を120℃から90℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表1に示した。
本実施例では、草本系の非可食バイオマスであるバガスを出発原料として、糖化液を吸着剤で処理するという簡便な方法で、糖アルコールを高収率で得られることを示している。
(モデル糖液の作製)
超純水72.8mLにグルコース27g、メチオニン0.06g(糖液に対してメチオニン600ppm;硫黄含有有機化合物に含まれるSとして129ppm)を溶解させモ
デル糖液Bを作製した。上記条件によるモデル糖液BのLC分析を行ったところ、グルコース26.8質量%であった。
超純水72.8mLにグルコース27g、メチオニン0.006g(糖液に対してメチオニン60ppm:硫黄含有有機化合物に含まれるSとして13ppm)を溶解させモデル糖液Cを作製した。上記条件によるモデル糖液CのLC分析を行ったところ、グルコース26.8質量%であった。
(除去工程)
12gのモデル糖液Bに対して0.7gの活性炭(ツルミコール社製 4GV)を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物は1μmのメンブレンフィルターを装着したアルゴン加圧濾過器でろ過し、処理糖液2を得た。
(水素化反応工程)
実施例1において処理糖液2を使用し、反応温度を90℃とした以外は、実施例1と同様に水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表2に示した。
実施例1において糖液の処理を行わずモデル糖液Bを使用し、反応温度を90℃としたこと以外は、実施例1と同様に水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表2に示した。
12gのモデル糖液Cに対して0.02gの酸化亜鉛(関東化学社製)を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物は1μmのメンブレンフィルターを装着したアルゴン加圧濾過器でろ過し、処理糖液3を得た。
実施例1において処理糖液3を使用し、反応温度を90℃とした以外は、実施例1と同様に水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表2に示した。
実施例1において糖液の処理を行わずモデル糖液Cを使用し、反応温度を90℃としたこと以外は、実施例1と同様に水素化反応工程を行った。LC分析の結果を表2に示した。
実施例1の除去工程および実施例3の除去工程で得られたそれぞれの処理糖化液、ならびに比較例1で用いた糖化液Aについて、前述の方法により窒素(N)原子の含有量を測定した。また、ギ酸の含有量を前述の液相クロマトグラフ(LC)分析にて測定した。結果を表3に示す。
また、本発明の糖液は、水素化反応の原料に用いることで、触媒の活性を低下させることなく、高い収率で糖アルコールを製造することができる。
これらのことより、糖アルコールの製造において、生産効率に優れたプロセス設計が可能になる。
Claims (11)
- 非可食バイオマスを糖化して糖化液を得る糖化工程と、
該糖化液中の反応阻害物を除去する処理を行って処理糖化液を得る除去工程と、
該処理糖化液を水素雰囲気下で金属触媒と接触させる水素化反応工程とを有し、
該水素化反応工程で糖から糖アルコールを製造する糖アルコールの製造方法。 - 前記糖化液がグルコースおよび/またはキシロースを含む、請求項1に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記除去工程において、炭素系多孔質材料および/または金属酸化物を用いて糖化液の処理を行う、請求項1または2に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子を0ppm超、10ppm以下の範囲で含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、ギ酸を0ppm超、1500ppm以下の範囲で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、窒素(N)原子を0ppm超、350ppm以下の範囲で含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記除去工程後に得られる処理糖化液が、塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下の範囲で含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記金属触媒が、周期表第8族、第9族、第10族および第11族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記金属触媒が、ルテニウムまたはニッケルを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 前記糖アルコールが、ソルビトールおよび/またはキシリトールである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の糖アルコールの製造方法。
- 塩素(Cl)原子と、硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子、ギ酸、および窒素(N)原子の少なくとも1つと、を含む糖液であって、
前記塩素(Cl)原子を5ppm以上、1000ppm以下、前記硫黄含有有機化合物に含まれる硫黄(S)原子を0ppm超、10ppm以下、および前記ギ酸を0ppm超、1500ppm以下、窒素(N)原子を0ppm超、350ppm以下のいずれかの範囲で含むことを特徴とする糖液。
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