JP2016049510A - 汚染領域の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に、原位置で、アルカリ剤と酸化剤とを併有する処理液を接触させて汚染領域をpH11以上にすることにより、汚染された土壌及び/又は地下水から不溶性シアン化合物を分離させ、分離したシアン化合物に処理液中の酸化剤が作用し、酸化力によってシアン化合物を酸化分解する。
【選択図】なし
Description
この汚染物質であるシアン化合物には、遊離シアン、金属シアノ錯体、難分解性のシアン化合物(不溶性シアン化合物)等が含まれている。シアン化合物の中でも、特に不溶性シアン化合物は、強酸や強アルカリの特異な条件であれば分解して可溶性を示すが、通常の自然条件では分解しない。
特許文献2に記載の洗浄方法では、分級及び脱水処理、並びに、可溶化したシアン抽出水及び濃縮汚染土の処理など、煩雑な操作が必要である。また、これらの処理のための大規模なプラント設備等を、浄化の場所に建設する必要もあり、加えて、これに伴う費用を要する。
前記の特許文献1、2の方法は、いずれも、on situによる浄化に適用されるものであり、原位置浄化に適用する方法としては不適切であった。
前記工程(X)は、混練工法により、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に前記処理液を接触させることが好ましい。
また、前記工程(X)は、注入工法により、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に前記処理液を接触させることが好ましい。
前記アルカリ剤は、アルカリ金属の水酸化物であることが好ましい。
前記酸化剤は、アルカリ金属の過硫酸塩であることが好ましい。
前記工程(X)は、前記汚染領域の土壌及び/又は地下水の100質量部に対して前記酸化剤が0.1質量部以上となるように、前記汚染領域に前記処理液を供給することが好ましい。
前記工程(X)の後、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に、原位置で、新たに酸化剤を接触させる工程(Y)を有してもよい。
本発明の汚染領域の浄化方法は、シアン化合物で汚染された土壌及び/又は地下水を含む汚染領域を浄化する汚染領域の浄化方法であって、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に、原位置で、アルカリ剤と酸化剤とを併有する処理液を接触させる工程(X)を有する。
遊離シアンは、金属等と結合していないシアン化物イオン(CN−)である。金属シアノ錯体としては、銅シアノ錯体、ニッケルシアノ錯体、鉄シアノ錯体などが挙げられる。不溶性シアン化合物としては、鉄−鉄シアノ錯体などが挙げられる。
ここでの「全シアン化合物」には、遊離シアン、金属シアノ錯体、又は不溶性シアン化合物に該当する全てのものが含まれる。
尚、NSOF法とは、塩化第二銅・塩化スズ還元蒸留法である(BUNSEKI KAGAKU Vol.61,No.1,p.31−36(2012)を参照)。
本発明における処理液は、アルカリ剤と酸化剤とを併有する。
これらの中でも、アルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。アルカリ金属の水酸化物を用いることで、汚染された土壌等からシアン化合物がより分離しやすくなる。
アルカリ剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酸化剤としては、過硫酸塩が好ましい。過硫酸塩としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等のペルオキソ二硫酸塩などが挙げられ、過硫酸ナトリウムが特に好ましい。過硫酸塩を用いることで、汚染された土壌等から分離したシアン化合物がより酸化分解しやすくなる。加えて、過硫酸塩は、他の酸化剤に比べて遅効性を示す。このような過硫酸塩を用いることで、汚染領域の汚染された土壌等の全体が浄化されやすくなる。
酸化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルカリ剤の比率が、前記の好ましい下限値以上であれば、汚染された土壌等からシアン化合物がより分離しやすくなる。加えて、汚染された土壌等から分離したシアン化合物がより酸化分解しやすくなる。また、アルカリ剤の比率が、前記の好ましい範囲内であれば、浄化の後、汚染領域のpHが原地盤レベル(処理液を接触させる前の土壌等のpH付近)に経時で戻りやすくなる。
処理液は、アルカリ剤、酸化剤及び水以外の成分を含有してもよい。
本発明の第1の実施形態に係る汚染領域の浄化方法を、図1を参照して説明する。
図1において、汚染領域20が存在する地中は、地面25方向に向かって、砂質土層21と粘性土層22と砂質土層23とが順に堆積している。
第1の実施形態に係る汚染領域の浄化方法について、浄化システム10を用い、砂質土層21と粘性土層22と砂質土層23とに及ぶ汚染領域20にある土壌を浄化する場合を例に挙げて説明する。
薬注タンク12には、上述したアルカリ剤と酸化剤とを併有する処理液が収容されている。
地盤混練機14は、汚染領域20上の地面25に設置され、配管18で薬注タンク12に接続されている。配管18は、薬注タンク12と地盤混練機14との間にブロワ16を備える。
図1に示す実施形態の地盤混練機14は、混練機本体141と、混練機本体141から地面25に対して垂直方向に立設された支柱142と、支柱142に対して昇降可能に設けられた回転軸143と、を備える。
支柱142の上端寄りには、回転軸143を回転させるための駆動部144が設けられている。支柱142の下端は、回転軸143の振れを防止する振れ止め部145に接続している。支柱142には、配管18が接続されている。
回転軸143の下端には、回転翼146が設けられている。回転翼146には、処理液の噴射口(不図示)が形成されている。この噴射口は、回転軸143及び支柱142を介して配管18と繋がっている。
地盤混練機14における駆動部144を起動させ、回転軸143及び回転翼146を回転させながら地中へと降下させていく。回転翼146が汚染領域20に達した時点で、ブロワ16を起動する。ブロワ16を起動すると、薬注タンク12に収容された処理液が、薬注タンク12から配管18を通じて地盤混練機14へ送られる。地盤混練機14へ送られた処理液は、支柱142の内部に流入して回転翼146へ送られ、回転翼146の噴射口(不図示)から汚染領域20の土壌に向かって噴射される。
このようにして、汚染領域20に処理液を供給しつつ、汚染領域20を混練することで、汚染された土壌と処理液とを混合する(工程(X))。この際、処理液にアルカリ剤が含まれているため、アルカリ条件下で、汚染された土壌と、酸化剤とが接触することとなる。
汚染領域20をアルカリ性とすることで、汚染された土壌から、不溶性シアン化合物等のシアン化合物が容易に分離するようになる。そして、土壌から分離したシアン化合物に酸化剤が作用し、酸化力によってシアン化合物が酸化分解する。
以上により、汚染領域20の汚染された土壌が浄化される。
汚染領域20は、処理液の供給によりアルカリ性となるが、酸化剤による土壌の浄化に伴い、分解生成物として硫酸イオンが生じるため、汚染領域20のpHが経時で低下する。そして、汚染領域20は、処理液が供給される前のpH付近に経時で戻っていく。
土壌に含まれる全シアン化合物の含有量を分析する検液を調製する方法(具体的には、平成3年8月環境省告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」の付表に掲げる方法)に準じて、汚染領域20の汚染された土壌を風乾する。次いで、風乾した土壌を、純水に入れて6時間振とうすることにより検液とする。次いで、pHメータを用い、検液を常温(25℃)で測定した値が汚染領域20のpHである。
尚、汚染された地下水のpHは、pHメータを用い、その地下水が直接に常温(25℃)で測定される。
汚染領域20のpHが、前記の好ましい下限値以上であれば、汚染された土壌から、特に不溶性シアン化合物がより分離しやすくなる。加えて、原地盤に遊離シアン化合物が存在している場合、その遊離シアン化合物から生成するシアン化水素ガスの発生が抑制される。
汚染領域20のpHは、処理液を接触させる前の汚染領域20のpHを勘案して、処理液のアルカリ剤の含有割合を適宜変更することにより調整される。
酸化剤の割合が、前記の好ましい下限値以上であれば、汚染された土壌から分離したシアン化合物の酸化分解性がより高まる。一方、前記の好ましい上限値を超えても、酸化剤の配合効果が頭打ちとなる。
このように、第1の実施形態に係る汚染領域の浄化方法は、浄化対象が土壌である場合に好適な方法である。
また、第1実施形態に係る汚染領域の浄化方法では、工程(X)の操作、即ち、汚染領域20の汚染された土壌に処理液を接触させるという1プロセスだけで、汚染された土壌からのシアン化合物の分離と、分離されたシアン化合物の酸化分解と、が進行して、汚染された土壌の浄化を行うことができる。
さらに、第1の実施形態に係る汚染領域の浄化方法は、薬注タンク12及び地盤混練機14等の小規模な設備で行うことが可能であり、これに伴って費用を抑えられる。
本発明の第2の実施形態に係る汚染領域の浄化方法を、図2を参照して説明する。
図2において、汚染領域40が存在する地中は、地面45方向に向かって、不透水層41と飽和層42(帯水層)と不飽和層43とが順に堆積している。飽和層42は、地下水によって飽和している。
第2の実施形態に係る汚染領域の浄化方法について、浄化システム30を用い、不透水層41と飽和層42とに及ぶ汚染領域40にある地下水及び土壌を浄化する場合を例に挙げて説明する。
薬注タンク32には、上述したアルカリ剤と酸化剤とを併有する処理液が収容されている。
注入井戸34は、円柱状であり、工場50の地下に設けられ、地面45から地中へ向かって不透水層41まで延びている。また、注入井戸34は、汚染領域40に対して、地下水の流れの上流側に設けられている。
注入井戸34は、配管38で薬注タンク32に接続されている。配管38は、注入井戸34と薬注タンク32との間にポンプ36を備える。
注入井戸34には、不透水層41及び飽和層42の位置に、複数の開口部(不図示)が形成されている。複数の開口部は、互いに上下方向に間隔をあけて形成されている。開口部は、注入井戸34の周方向に延びる細長い形状とされている。
ポンプ36を起動させて、薬注タンク32に収容された処理液を、薬注タンク32から配管38を通じて注入井戸34へ送る。注入井戸34へ送られた処理液は、注入井戸34の開口部から不透水層41及び飽和層42へ排出され、地下水に処理液が拡散する。処理液は、地下水に拡散しつつ、地下水の流れの下流に位置する汚染領域40に至る(工程(X))。この際、処理液にアルカリ剤が含まれているため、アルカリ条件下で、汚染された地下水及び土壌と、酸化剤とが接触することとなる。
汚染領域40をアルカリ性とすることで、汚染された地下水及び土壌から、不溶性シアン化合物等のシアン化合物が容易に分離するようになる。そして、地下水及び土壌から分離したシアン化合物に酸化剤が作用し、酸化力によってシアン化合物が酸化分解する。
以上により、汚染領域40の汚染された地下水及び土壌が浄化される。
汚染領域40は、処理液の供給によりアルカリ性となるが、地下水及び土壌の浄化に伴って、処理液が供給される前のpH付近に経時で戻っていく。
汚染領域40のpHが、前記の好ましい下限値以上であれば、汚染された地下水及び土壌から、特に不溶性シアン化合物がより分離しやすくなる。加えて、原地盤に遊離シアン化合物が存在している場合、その遊離シアン化合物から生成するシアン化水素ガスの発生が抑制される。
汚染領域40のpHは、処理液を接触させる前の汚染領域40のpHを勘案して、処理液のアルカリ剤の含有割合を適宜変更することにより調整される。
酸化剤の割合が、前記の好ましい下限値以上であれば、汚染された地下水及び土壌から分離したシアン化合物の酸化分解性がより高まる。一方、前記の好ましい上限値を超えても、酸化剤の配合効果が頭打ちとなる。
第2の実施形態に係る汚染領域の浄化方法は、浄化対象が地下水を含む場合に好適な方法である。特に、透水性が良い地層(砂質土層など)では、処理液が拡散しやすいため、汚染領域40の全体に処理液を容易に接触できることから、簡便かつ低コストで浄化が可能な方法である。
本発明の汚染領域の浄化方法は、上述した第1実施形態又は第2実施形態に限定されず、工程(X)後の土壌及び/又は地下水に、原位置で、新たに酸化剤を接触させる工程(Y)を有してもよい。工程(Y)の処理を行うことで、工程(X)の処理後に残存している、汚染された土壌及び/又は地下水から分離したシアン化合物が酸化分解し、汚染領域を、より高清浄に浄化できる。
工程(Y)で用いられる酸化剤は、工程(X)で用いられる処理液に含まれる酸化剤と同様のものが挙げられ、同じものでもよく、異なるものでもよい。また、工程(X)で用いられる処理液をそのまま用いてもよい。
酸化剤の使用量は、工程(X)の処理後に残存しているシアン化合物の量を勘案して適宜調整すればよい。
このように、本発明の汚染領域の浄化方法においては、工程(X)後の浄化の状況に応じて、酸化剤の追加による連続処理が可能である。
また、上述した第2実施形態では、浄化システム30を用いて、地中の汚染領域40にある地下水及び土壌を浄化する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、図1に示すような土壌(好ましくは砂質土層など)からなる汚染領域も、第2の実施形態を適用することによって浄化できる。
シアン化合物で汚染された土壌として、汚染土壌A及び汚染土壌Bをそれぞれ用いた。汚染土壌Aは砂質土であり、汚染土壌Bは粘性土である。
汚染土壌A及び汚染土壌Bにそれぞれ含まれるシアン化合物の濃度を測定した。この測定結果を表1に示した。
前述の通り、遊離シアンの濃度は、環境告示19号に基づいた分析方法により測定した。遊離シアンと金属シアノ錯体との合計の濃度は、底質調査法に基づいた分析方法により測定した。土壌に含まれる全シアン化合物の合計の濃度は、NSOF法により測定した。
試験例2では、汚染土壌Bに、酸化剤を接触させることによる浄化について評価した。
手順2−1:100gの汚染土壌Bに、純水200mLを加えてスラリー状の水分散液を調製する。
手順2−2:該水分散液に、酸化剤として過硫酸ナトリウムを、以下に示す試験条件2−1〜2−2で添加し、2ヶ月間静置して養生する。
手順2−3:液相にある全シアン化合物の合計の濃度をJIS K0102に基づいた分析方法により、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度をNSOF法によりそれぞれ測定する。
条件2−1:汚染土壌Bの100質量部に対して、過硫酸ナトリウム1質量部を添加する(アルカリ剤の添加なし)。
条件2−2:汚染土壌Bの100質量部に対して、過硫酸ナトリウム5質量部を添加する(アルカリ剤の添加なし)。
表2に示す結果から、過硫酸ナトリウムによって液相にある全シアン化合物は酸化分解されているが、固相にある全シアン化合物は酸化分解されずに残存したままであることが分かる。これより、過硫酸ナトリウムによるシアン化合物の分解率は、40〜50質量%程度であり、不溶性シアン化合物は過硫酸ナトリウム単独(アルカリ剤の添加なし)では酸化分解されにくい、と推察される。
試験例3では、汚染土壌Bの水分散液を塩基性とした際における、シアン化合物の可溶化率について評価した。
また、不溶性シアン化合物であるプルシアンブルー(試薬)の水分散液を塩基性とした際における、シアン化合物の可溶化率について評価した。土壌中で、シアン化合物は、鉄−鉄シアノ錯体(Fex[Fey(CN)z]w)として存在していることが多い。このため、鉄−鉄シアノ錯体の一つであるプルシアンブルー(Fe(III)4[Fe(II)(CN)6]3)を対象として試験を行った。
手順3−1:10gの汚染土壌B、又は、0.01gのプルシアンブルー(試薬)に、濃度2質量%の水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いて各pHに調整したアルカリ性水溶液を、以下に示す試験条件3−1〜3−10で加えて混合し、水分散液を調製する。
手順3−2:手順3−1で調製された水分散液を、200rpmで1時間振とうする(汚染土壌Bに含まれるシアン化合物、又は、プルシアンブルーを、アルカリ性水溶液(液相)へ可溶化させることを目的とした操作)。
手順3−3:固液分離し、液相にある全シアン化合物の合計の濃度をJIS K0102に基づいた分析方法により測定する。
条件3−1:汚染土壌Bに、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH10.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−2:汚染土壌Bに、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH11.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−3:汚染土壌Bに、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH12.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−4:汚染土壌Bに、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH13.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−5:汚染土壌Bに、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH14.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−6:プルシアンブルー(試薬)に、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH9.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−7:プルシアンブルー(試薬)に、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH10.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−8:プルシアンブルー(試薬)に、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH11.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−9:プルシアンブルー(試薬)に、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH12.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
条件3−10:プルシアンブルー(試薬)に、前記水酸化ナトリウム水溶液と純水とを用いてpH13.0に調整したアルカリ性水溶液100mLを加えて、水分散液を調整する。
シアン化合物の可溶化率は、表1より、汚染土壌Bにおける全シアン化合物の合計の濃度を50mg/kgとして算出した。また、0.01gのプルシアンブルー(試薬)に含まれるシアン(CN)の全部がアルカリ性水溶液(液相)に可溶化した場合の、液相のシアン濃度を54.5 mg/Lとして算出した。
また、プルシアンブルー(試薬)の水分散液を、pH11以上のアルカリ条件とすることで、アルカリ性水溶液(液相)へのシアン化合物(鉄−鉄シアノ錯体)の可溶化が促進することが分かる。
尚、汚染土壌Bの水分散液の場合に、pH11以下のアルカリ条件下で、アルカリ性水溶液(液相)にシアン化合物が溶解しにくいのは、土壌の緩衝作用等の影響を受けるためである、と考えられる。
試験例4では、汚染土壌Bに、アルカリ条件下で酸化剤を接触させることによる浄化について評価した。
手順4−1:100gの汚染土壌Bに、純水200mLを加えてスラリー状の水分散液を調製する。
手順4−2:該水分散液に、アルカリ剤として水酸化ナトリウムと、酸化剤として過硫酸ナトリウムと、を以下に示す試験条件4−1〜4−7で添加し、3ヶ月間静置して養生する。
手順4−3:液相にある全シアン化合物の合計の濃度をJIS K0102に基づいた分析方法により、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度をNSOF法によりそれぞれ測定する。
条件4−1:水酸化ナトリウムの添加なし、過硫酸ナトリウムの添加なし。
条件4−2:純水の100質量部に対し、水酸化ナトリウム0.15質量部を添加する。過硫酸ナトリウムの添加はなし。
条件4−3:純水の100質量部に対し、水酸化ナトリウム1.5質量部を添加する。過硫酸ナトリウムの添加はなし。
条件4−4:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム0.15質量部と、汚染土壌Bの100質量部に対して過硫酸ナトリウム1質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤30質量部)。
条件4−5:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム0.3質量部と、汚染土壌Bの100質量部に対して過硫酸ナトリウム1質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤60質量部)。
条件4−6:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム0.75質量部と、汚染土壌Bの100質量部に対して過硫酸ナトリウム5質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤30質量部)。
条件4−7:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム1.5質量部と、汚染土壌Bの100質量部に対して過硫酸ナトリウム5質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤60質量部)。
図3は、汚染土壌Bの浄化をそれぞれの試験条件で行った際の、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度(養生3ヶ月間)についての測定結果を表す。
図4は、汚染土壌Bの浄化をそれぞれの試験条件で行った際の、液相にある全シアン化合物の合計の濃度(養生3ヶ月間)についての測定結果を表す。
図5は、汚染土壌BのpHの経時変化を表す。
図3において、条件4−1(アルカリ剤の添加なし、酸化剤の添加なし)は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が32mg/kgである。条件4−2及び条件4−3(アルカリ剤の添加有り、酸化剤の添加なし)は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が6.2〜6.9mg/kgであり、全シアン化合物の合計の濃度が条件4−1に比べて低くなっている。
図4において、条件4−1は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が1.64mg/Lである。条件4−2及び条件4−3は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が10〜17mg/Lであり、全シアン化合物の合計の濃度が条件4−1に比べて高くなっている。
即ち、アルカリ剤の添加により、汚染土壌Bに含まれていたシアン化合物が土壌から分離しやすくなること;土壌から分離したシアン化合物は水酸化ナトリウム水溶液に溶解していること、が分かる。
図3において、条件4−4及び条件4−5は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が11〜24mg/kgであり、全シアン化合物の合計の濃度が条件4−1に比べて低くなっている。これより、汚染土壌Bに含まれていたシアン化合物の一部が土壌から分離していること、が示唆される。しかし、かかる条件4−4及び条件4−5では、アルカリ剤が添加されているものの、土壌にシアンが残存している、と考えられる。
図5において、条件4−4及び条件4−5では、土壌のpHが、初期(pH11以上)から経時に従って徐々に低下していき、約pH8付近で一定となっている。
図3において、条件4−6及び条件4−7は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が2.7〜5.4mg/kgである。図4において、条件4−6及び条件4−7は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が1mg/L以下である。即ち、かかる条件4−6及び条件4−7では、不溶性シアン化合物を多く含んでいる汚染土壌Bが充分に浄化されていること、が分かる。
図5において、条件4−6では、土壌のpHが、初期(約pH13.0)から経時に従って徐々に低下していき、約pH8付近で一定となっている。即ち、かかる条件4−6では、浄化とともに、土壌のpHが原地盤レベル(浄化前の土壌のpH約8.0)に経時で戻っていくこと、が分かる。
また、アルカリ剤と酸化剤とを同時に添加することで、汚染土壌Bからのシアン化合物の分離と、そのシアン化合物の酸化分解と、を1プロセスで行うことが可能である。
試験例5では、汚染土壌Aに、アルカリ条件下で酸化剤を接触させることによる浄化について評価した。
手順5−1:100gの汚染土壌Aに、純水200mLを加えてスラリー状の水分散液を調製する。
手順5−2:該水分散液に、アルカリ剤として水酸化ナトリウムと、酸化剤として過硫酸ナトリウムと、を以下に示す試験条件5−1〜5−7で添加し、3ヶ月間静置して養生する。条件5−4〜5−7においては、2ヶ月間静置した後、新たに過硫酸ナトリウムを添加して1ヶ月間静置して養生する。
手順5−3:液相にある全シアン化合物の合計の濃度をJIS K0102に基づいた分析方法により、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物(ここでは遊離シアン及び金属シアノ錯体)の合計の濃度を底質調査法によりそれぞれ測定する。
条件5−1:水酸化ナトリウムの添加なし、過硫酸ナトリウムの添加なし。
条件5−2:純水の100質量部に対し、水酸化ナトリウム0.15質量部を添加する。過硫酸ナトリウムの添加はなし。
条件5−3:純水の100質量部に対し、水酸化ナトリウム1.5質量部を添加する。過硫酸ナトリウムの添加はなし。
条件5−4:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム0.15質量部と、汚染土壌Aの100質量部に対して過硫酸ナトリウム1質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤30質量部)。2ヶ月間静置の後、新たに過硫酸ナトリウム1質量部を添加する。
条件5−5:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム0.3質量部と、汚染土壌Aの100質量部に対して過硫酸ナトリウム1質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤60質量部)。2ヶ月間静置の後、新たに過硫酸ナトリウム1質量部を添加する。
条件5−6:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム0.75質量部と、汚染土壌Aの100質量部に対して過硫酸ナトリウム5質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤30質量部)。2ヶ月間静置の後、新たに過硫酸ナトリウム1質量部を添加する。
条件5−7:純水の100質量部に対して水酸化ナトリウム1.5質量部と、汚染土壌Aの100質量部に対して過硫酸ナトリウム5質量部とを添加する(酸化剤100質量部に対してアルカリ剤60質量部)。2ヶ月間静置の後、新たに過硫酸ナトリウム1質量部を添加する。
図6は、汚染土壌Aの浄化をそれぞれの試験条件で行った際の、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度(養生3ヶ月間)についての測定結果を表す。
図7は、汚染土壌Aの浄化をそれぞれの試験条件で行った際の、液相にある全シアン化合物の合計の濃度(養生3ヶ月間)についての測定結果を表す。
図8は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度の経時変化を表す。
図9は、汚染土壌AのpHの経時変化を表す。
図6において、条件5−1(アルカリ剤の添加なし、酸化剤の添加なし)は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が440mg/kgである。条件5−2及び条件5−3(アルカリ剤の添加有り、酸化剤の添加なし)は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が19〜45mg/kgであり、全シアン化合物の合計の濃度が条件5−1に比べて低くなっている。
図7において、条件5−1は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が23mg/Lである。条件5−2及び条件5−3は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が110〜140mg/Lであり、全シアン化合物の合計の濃度が条件5−1に比べて高くなっている。
即ち、アルカリ剤の添加により、汚染土壌Aに含まれていたシアン化合物が土壌から分離しやすくなること;土壌から分離したシアン化合物は水酸化ナトリウム水溶液に溶解していること、が分かる。
図6において、条件5−4〜5−7は、固相にある(土壌に残存した)全シアン化合物の合計の濃度が47mg/kg以下である。図7において、条件5−4〜5−7は、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が23mg/L以下である。かかる条件5−4〜5−7では、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が条件5−2(140mg/L)に比べて非常に低くなっていること、が分かる。
条件5−5及び条件5−7では、2ヶ月間静置して養生した時点で、液相にある全シアン化合物の合計の濃度が47〜50mg/Lであった。そして、ここに、汚染土壌Aの100質量部に対して過硫酸ナトリウム1質量部を新たに添加した。
その結果、図8において、試験開始から3ヶ月間経過の後(過硫酸ナトリウム1質量部を新たに添加して1ヶ月間経過の後)、条件5−5の液相にある全シアン化合物の合計の濃度が23mg/Lまで、条件5−7の液相にある全シアン化合物の合計の濃度が4.1mg/Lまで低くなっている。
即ち、汚染土壌にアルカリ条件下で酸化剤をいったん接触させ、一定期間が経過した後、新たに酸化剤を添加することにより、汚染土壌から分離したシアン化合物を酸化分解できること、が分かる。加えて、液相に残存する全シアン化合物の合計の濃度に応じて酸化剤を追加する連続処理が、汚染土壌の浄化に対して有効であること、が示唆される。
これらのうち、条件5−5及び条件5−7では、試験開始から2ヶ月間が経過する(酸化剤を追加する)まで、浄化とともに、土壌のpHが原地盤レベル(浄化前の土壌のpH約9.5)に経時で戻っていくこと、が分かる。
Claims (8)
- シアン化合物で汚染された土壌及び/又は地下水を含む汚染領域を浄化する汚染領域の浄化方法であって、
前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に、原位置で、アルカリ剤と酸化剤とを併有する処理液を接触させる工程(X)を有することを特徴とする汚染領域の浄化方法。 - 前記工程(X)は、前記汚染領域をpH11以上にすることを特徴とする、請求項1に記載の汚染領域の浄化方法。
- 前記工程(X)は、混練工法により、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に前記処理液を接触させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の汚染領域の浄化方法。
- 前記工程(X)は、注入工法により、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に前記処理液を接触させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の汚染領域の浄化方法。
- 前記アルカリ剤は、アルカリ金属の水酸化物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚染領域の浄化方法。
- 前記酸化剤は、アルカリ金属の過硫酸塩であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の汚染領域の浄化方法。
- 前記工程(X)は、前記汚染領域の土壌及び/又は地下水の100質量部に対して前記酸化剤が0.1質量部以上となるように、前記汚染領域に前記処理液を供給することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の汚染領域の浄化方法。
- 前記工程(X)の後、前記汚染領域の汚染された土壌及び/又は地下水に、原位置で、新たに酸化剤を接触させる工程(Y)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の汚染領域の浄化方法。
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