JP2016040354A - 積層多孔フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー、環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められている。これらの中でも大容量、高出力、高電圧及び長期保存性に優れているという理由から、非水電解液二次電池の1種であるリチウムイオン二次電池が様々な用途に利用されている。
この問題に対し、本発明者らは低温で時間をかけて乾燥させることで樹脂バインダーの偏析を抑え、多孔フィルムと被覆層との間の剥離強度を向上させる方法を特許文献6にて提案している。
しかしながら、乾燥時間の短縮や生産性の向上の観点から、さらなる改良が望まれていた。
すなわち本発明は以下の通りである。
<乾燥条件>
40 ≦ T ≦ 100
0.1 ≦ VB−VC ≦ 2.5
(T:乾燥雰囲気温度[℃])
(VB:塗工面とは反対側の面の風速[m/s])
(VC:塗工面側の風速[m/s])
[2]前記塗工液の溶媒が、水、又は水と炭素数1〜4のアルコールとの混合溶媒である、前記[1]に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
[3]前記樹脂バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種以上である、前記[1]又は[2]に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
[4]前記被覆層において、前記フィラーと前記樹脂バインダーとの総量に対する前記フィラーの含有量が、80質量%以上、99.9質量%以下である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法。
[5]前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを構成する樹脂が、少なくともポリプロピレン系樹脂を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法。
[6]前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと前記被覆層との引き剥がし強度が4N/18mm以上である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により得られた積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
[8]前記[7]に記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いた非水電解液二次電池。
また、本発明により得られる積層多孔フィルムは、耐熱性や透気性にも優れ、特に非水電解液二次電池用セパレータとして用いた際に優れた特性を発揮することができる。
なお、本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)を占める意を包含するものである。
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
以下に、本発明の積層多孔フィルムの製造方法において使用する各成分について説明する。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、及びプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンを重合した単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、これらの単独重合体又は共重合体を2種以上混合することもできる。これらの中でもポリプロピレン系樹脂、又はポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、特に、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性等を維持する観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、又はプロピレンとエチレン、及び1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセン等のα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、本発明の積層多孔フィルムの機械的強度、耐熱性等を維持する観点から、ホモポリプロピレンがより好適に使用される。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造の割合を意味する。
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は13C−NMRの測定結果に基づき算出され、メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al(Macromolecules8,687,(1975))に準拠する。
ポリプロピレン系樹脂のMw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定される。
ポリプロピレン系樹脂の密度は、密度勾配管法を用いてJIS K7112(1999年)に準じて測定される。
ポリプロピレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明に用いることができるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体等が挙げられる。
エチレンを主成分とする共重合体としては、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;共役ジエン、非共役ジエン等の不飽和化合物の中から選ばれる1種以上のコモノマーとの共重合体又は多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
ポリエチレン系樹脂の密度は、密度勾配管法を用いてJIS K7112(1999年)に準じて測定される。
ポリエチレン系樹脂のMFRはJIS K7210(1999年)に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明においては、前述した樹脂の他、本発明の効果を阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性及びポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの諸物性を改良、調整する目的で添加される、耳等のトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂;シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子;カーボンブラック等の顔料;難燃剤;耐候性安定剤;耐熱安定剤;帯電防止剤;溶融粘度改良剤;架橋剤;滑剤;核剤;可塑剤;老化防止剤;酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;中和剤;防曇剤;アンチブロッキング剤;スリップ剤;着色剤等の添加剤が挙げられる。
また開孔を促進するためや、成形加工性を付与するために、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種樹脂や、ワックス等の低分子量化合物を添加してもよい。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、単層でも積層でもよく、特に制限されるものではない。例えば、前記ポリオレフィン系樹脂を含む層(以下「P層」とも称する)の単層、当該P層の機能を妨げない範囲で、当該P層と他の層(以下「Q層」とも称する)との積層とすることができる。例えば非水電解液二次電池用セパレータとして用いる際には、特開平04−181651号に記載されているような高温雰囲気下で孔閉塞し、電池の安全性を確保する低融点樹脂層を積層させることができる。
具体的にはP層、Q層を積層した2層構造、P層、Q層、P層、もしくは、Q層、P層、Q層として積層した3層構造等が例示できる。また、他の機能を有する層と組み合わせて3種3層の様な形態も可能である。この場合、他の機能を有する層との積層順序は特に問わない。更に層数としては4層、5層、6層、7層と必要に応じて増やしてもよい。
なお、本発明に用いるポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの物性は、層構成や積層比、各層の組成、製造方法によって自由に調整できる。
次に本発明に用いるポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの製造方法について説明するが、本発明はかかる製造方法により製造されるポリオレフィン系樹脂多孔フィルムのみに限定されるものではない。
また必要に応じて、延伸の前後にポリオレフィン系樹脂組成物に含まれている可塑剤を溶剤によって抽出、乾燥させる方法も適用される。
ポリプロピレン系樹脂の無孔膜状物中にβ晶を生成させる方法としては、前記ポリプロピレン系樹脂のα晶の生成を促進させる物質を添加しない方法や、特許第3739481号公報に記載されているように過酸化ラジカルを発生させる処理を施したポリプロピレンを添加する方法、及び組成物にβ晶核剤を添加する方法等が挙げられる。
β晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成及び成長を増加させるものであれば特に限定される訳ではなく、また2種類以上を混合して用いてもよい。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム等に代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウム等に代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルー等に代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第2族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物等が挙げられる。そのほか核剤の具体的な種類については、特開2003−306585号公報、特開平08−144122号公報、特開平09−194650号公報に記載されている。
β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001質量部以上であれば、製造時において十分にポリプロピレン系樹脂のβ晶を生成、成長させることができ、非水電解液二次電池用セパレータとして用いる際にも十分なβ晶活性が確保でき、所望の透気性能が得られる。また、β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して5質量部以下であれば、製造コストと得られる効果とのバランスに優れるほか、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルム表面へのβ晶核剤のブリード等がなく好ましい。
(i)各層を多孔化したのち、多孔化された各層をラミネートしたり接着剤等で接着したりして積層する方法。
(ii)各層を積層して積層無孔膜状物を作製し、ついで当該無孔膜状物を多孔化する方法。
(iii)各層のうちいずれか1層を多孔化したのち、もう1層の無孔膜状物と積層し、多孔化する方法。
本発明においては、その工程の簡略さ、生産性の観点から(ii)の方法を用いることが好ましく、なかでも2層の層間接着性を確保するために、共押出で積層無孔膜状物を作製した後、多孔化する方法が特に好ましい。
まず、ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて使用される熱可塑性樹脂、添加剤との混合樹脂組成物を作製する。例えば、ポリプロピレン系樹脂、β晶核剤、及び所望によりその他添加物等の原材料を、好ましくはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等を用いて、又は袋の中に全成分を入れてハンドブレンドにて混合した後、一軸あるいは二軸押出機、ニーダー等、好ましくは二軸押出機で溶融混練後、カッティングしてペレットを得る。
使用するTダイのギャップは、最終的に必要なフィルムの厚み、延伸条件、ドラフト率、各種条件等から決定されるが、一般的には0.1〜3.0mm程度であり、0.5〜1.0mmが好ましい。Tダイのギャップを0.1mm以上とすることで生産速度を向上させることができる。また、3.0mm以下とすることでドラフト率が大きくなり過ぎないため生産安定性を向上させることができる。
キャストロールによる冷却固化温度によっても、無孔膜状物中のポリオレフィン系樹脂のβ晶の比率を調整することができる。冷却固化温度は、80〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましく、100〜130℃が更に好ましい。冷却固化温度を80℃以上とすることで無孔膜状物中のβ晶の比率を十分に増加させることができる。また、150℃以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し巻き付いてしまう等のトラブルが起こり難く、効率よく膜状物化することが可能となる。
なお、本明細書中、膜状物及びフィルムの長手方向を「縦方向」、長手方向に対して垂直方向を「横方向」と称する。また、長手方向への延伸を「縦延伸」、長手方向に対して垂直方向への延伸を「横延伸」と称する。
前記範囲内で縦延伸を行うことで、延伸時の破断を抑制しつつ、適度な空孔起点を発現させることができる。
一方、横延伸での延伸温度は100〜170℃が好ましく、110〜160℃がより好ましく、120〜155℃が更に好ましい。また、横延伸倍率は、1.2〜10倍が好ましく、1.5〜8倍がより好ましく、2〜7倍が更に好ましい。
前記範囲内で横延伸することで、縦延伸により形成された空孔起点を適度に拡大させ、微細な多孔構造を発現させることができる。
前記延伸工程の延伸速度としては、500〜12,000%/分が好ましく、1,500〜10,000%/分がより好ましく、2,500〜8,000%/分が更に好ましい。
なお、本明細書において、寸法安定性の改良を目的とする熱処理を「熱固定」と称する場合がある。
また、熱処理工程中には、必要に応じて1〜20%の弛緩処理を施してもよい。なお、熱処理後、均一に冷却して巻き取ることにより、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムが得られる。
本発明により製造する積層多孔フィルムは、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの少なくとも片面に、フィラー及び樹脂バインダーを含有する被覆層を有する。
本発明に用いることができるフィラーとしては無機フィラー、有機フィラー等が挙げられるが、特に制約されるものではない。
なお、本実施の形態において「フィラーの平均粒径」とは、例えば画像解析装置を用いて、任意の方向(方向Zとする)から当該フィラーを投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径を平均した値と、前記方向Zと直交する任意の方向(方向Xとする)から当該フィラーを投影した場合の二次元的な投影像の短径と長径を平均した値とを、平均した値として算出される。算出に用いるフィラーの個数は50個以上であればよい。
なお、本実施の形態において「フィラーの比表面積」は定容量式ガス吸着法により測定される値である。
本発明に用いる樹脂バインダーとしては、前記フィラーと、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムとを良好に接着でき、電気化学的に安定で、かつ積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合に有機電解液に対して安定であれば、特に制限されるものではない。具体的には、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアラミド、ポリオキシエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル由来の構造単位が0〜20モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン−アクリル酸共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン−トリクロロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルセルロース、ポリビニルアルコール、シアノエチルポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、マレイン酸変性ポリオレフィン等が挙げられる。これらの樹脂バインダーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。
これらの樹脂バインダーの中でもポリオキシエチレン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸及びその誘導体、マレイン酸変性ポリオレフィンが水中でも比較的安定であることからより好ましく、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体がより好ましい。
本発明における被覆層の形成に用いられる塗工液には、酸成分を含有していることが望ましい。当該酸成分は、本発明により製造される積層多孔フィルムにおいては、酸そのものとして被覆層に残存していても良いし、被覆層中のアルカリ性不純物と反応して形成された塩として残存していても良い。酸成分の添加は被覆層の均一性を向上する効果がある。
含有量が10質量ppm以上であれば、均一性に優れた塗膜が得られるという効果があるため好ましい。また、含有量が10,000質量ppm以下であれば、非水電解液二次電池の性能に悪影響を与えないため好ましい。
本発明の積層多孔フィルムの製造方法においては、前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に前記塗工液を塗布した後、乾燥することによって被覆層を形成する。
このような溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、ジオキサン、アセトニトリル、炭素数1〜4のアルコール、グリコール類、グリセリン、乳酸エステル等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコールとしては、炭素数1〜4の1価のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールから選ばれる1種以上がより好ましい。なお、本発明において溶媒として水を用いる場合、溶媒中の水の含有量は、塗工液の粘度安定性を向上させる観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上がより更に好ましい。
これらの溶媒の中でもコスト面、環境負荷の点で水、又は水と炭素数1〜4のアルコールとの混合溶媒が好ましく、水と炭素数1〜4の1価のアルコールとの混合溶媒がより好ましく、水とイソプロピルアルコールとの混合溶媒が更に好ましい。
また、前記塗工液は、その用途に照らし、塗布後に乾燥する工程を繰り返すことで被覆層を積層することもできるが、本発明の製造方法における乾燥条件をより実効あらしめる観点や、生産性の向上、コスト等の観点から、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に1回塗布することが好ましい。
なお、例えば本発明の製造方法を用いてポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に被覆層を積層した後、再度本発明の製造方法を用いて、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの当該被覆層を積層した面と反対の面にも被覆層を積層し、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの両面に被覆層を有する積層多孔フィルムを得ることもできる。
本発明の製造方法においては、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に塗工液を塗布した後、溶媒を除去するために乾燥する際の乾燥条件が重要である。
まず、積層多孔フィルムを固定しながら乾燥する工程において、乾燥雰囲気温度が40℃以上、100℃以下であることが重要である。乾燥雰囲気温度は、45℃以上、95℃以下がより好ましく、50℃以上、90℃以下が更に好ましい。
乾燥雰囲気温度が40℃以上であることで、乾燥時間を短縮するという効果がある。一方、乾燥雰囲気温度が100℃以下であることで、得られる積層多孔フィルムの熱収縮によるシワ入りを抑えるという効果がある。
また、積層多孔フィルムを固定しながら乾燥する工程において、塗工面側の風速(VC)よりも、塗工面とは反対側の面の風速(VB)が大きく、その差(VB−VC)が0.1m/s以上、2.5m/s以下であることが重要である。より好ましくは、0.3m/s以上、2.0m/s以下であり、更に好ましくは、0.5m/s以上、1.5m/s以下である。
VB−VCが0.1m/s以上であることで、被覆層の厚みのゆらぎや乾燥ムラを抑えることができ、その結果、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと被覆層の密着性が向上するという効果がある。一方、VB−VCが2.5m/s以下であることで、乾燥工程において積層多孔フィルムの搬送ロールへの貼り付きを抑え、シワ入りを抑えるという効果がある。
また、VCは0m/s以上、10m/s以下が好ましく、0.02m/s以上、8m/s以下がより好ましく、0.05m/s以上、6m/s以下が更に好ましい。
本発明の製造方法により得られる積層多孔フィルムの厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは8〜50μm、更に好ましくは10〜30μmである。厚みが5μm以上であれば、本発明の積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば電極の突起部分に大きな力がかかった場合でも、非水電解液二次電池用セパレータを突き破って短絡しにくく安全性に優れる。また、厚みが100μm以下であれば、積層多孔フィルムの電気抵抗を小さくすることができるので、電池の性能を十分に確保することができる。
一方、上限については70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましい。空孔率が70%以下であれば、積層多孔フィルムの強度を十分に保持することができ、ハンドリングの観点からも好ましい。
透気度はフィルム厚み方向の空気の通り抜け易さを表し、具体的には100mLの空気が当該フィルムを通過するのに必要な時間で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方がフィルム厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルム厚み方向の孔のつながり度合いである。本発明の積層多孔フィルムの透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば非水電解液二次電池用セパレータとして使用する場合、透気度が低いということはリチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。
積層多孔フィルムの透気度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
積層多孔フィルムの収縮率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
引き剥がし強度は4N/18mm以上であることが耐熱収縮性やフィルムの搬送トラブルや外観不良を軽減できるという点で好ましい。一方、上限については特に制限されないが、例えば8N/18mm以下である。
続いて、本発明の製造方法により得られる積層多孔フィルムを非水電解液二次電池用セパレータとして収容している非水電解液二次電池について、図1を参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極は非水電解液二次電池用セパレータ10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体とする。
前記捲回工程について詳しく説明する。電池用セパレータの片端をピンのスリット部の間に通し、ピンを少しだけ回転させて電池用セパレータの一端をピンに巻きつけておく。この時、ピンの表面と電池用セパレータの被覆層とが接触している。その後、電池用セパレータを間に挟むようにして正極と負極を配置し、捲回機によってピンを回転させて、正負極と電池用セパレータを捲回する。捲回後、ピンは捲回物から引き抜かれる。
(ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの作製)
ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP FY6HA」、密度:0.90g/cm3、MFR:2.4g/10分、Mw/Mn:3.22)と、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンを準備した。このポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、β晶核剤を0.2質量部の割合で各原材料をブレンドし、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径(直径):40mm、L/D:32)に投入し、設定温度300℃で溶融混合後、水槽にてストランドを冷却固化し、ペレタイザーにてストランドをカットし、ポリプロピレン系樹脂のペレットを作製した。
前記膜状物を、縦延伸機を用いて105℃で縦方向に4.6倍延伸し、その後、横延伸機にて150℃で横方向に2.1倍延伸後、153℃で熱固定を行った。続いて弛緩処理を行い、更にVETAPHONE社製ジェネレータCP1を使用し、出力0.4kW・速度10m/minでコロナ表面処理を施すことでポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを得た。
アルミナ(日本軽金属株式会社製「LS−410」、平均粒径:0.5μm)52.6質量部、イソプロピルアルコール5.3質量部、イオン交換水42.1質量部を混合してビーズミル処理を行うことにより分散液を得た。使用したビーズミルの条件は下記のとおりであった。
装置 :アイメックス株式会社製「NVM−1.5」
ビーズ:直径0.5mmジルコニア製 充填率85%
周速 :10m/s
吐出量:350mL/min
得られた分散液61.8質量部、5質量%ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製「PVA−124」)水溶液9.9質量部、イオン交換水28.3質量部を混合し、全量に対し、70質量ppmとなるよう塩酸を加えることで、固形分濃度33質量%の被覆層形成用の分散液を得た。
得られた被覆層形成用の分散液を前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムに#12番手のバーコーターを用いて塗布した後、外寸32cm×40cm、内寸22cm×35cm、厚み15mmの紙製の枠2枚に挟み込んだ。
次いで、乾燥機(株式会社大栄科学精器製作所製:DK−1M)を用いて前記フィルムの乾燥を行った。該乾燥機は、装置内部の天井面側と底面側とにそれぞれ熱風を送風する送風口を有している。したがって、フィルムを装置内部の中央に設置すると、装置の天井面側の送風口から送風される熱風がフィルムの天井面側を流通し、また、装置の底面側の送風口から送風される熱風がフィルムの底面側を流通する。本実施例においては、装置内部の底面側の送風口に40cm×40cmのステンレス板を用いて熱風を部分的に遮断することにより風速を調整した。なお、実施例1においては装置内の温度を60℃に保った。
そして、前記フィルムを紙枠2枚の間に挟み、塗工液を塗布した塗布面を装置内部の底面側に向けた状態で乾燥させた。
得られた積層多孔フィルムについて下記の評価を行い、その結果を表1にまとめた。
前記フィルムの塗布面を装置内部の天井面側に向けた状態で乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムについて下記の評価を行い、その結果を表1にまとめた。
乾燥機内にステンレス板を設置せず、熱風を遮断しなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムについて下記の物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
乾燥機に入れず、25℃の室温で乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にして積層多孔フィルムを得た。
得られた積層多孔フィルムについて下記の物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムについて下記の物性評価を行い、その結果を表1にまとめた。
(1)乾燥風速
外寸32cm×40cm、内寸22cm×35cm、厚み15mmの紙製の枠2枚の間に、長さ37.5cm、幅18cmのポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを挟み込み、これを乾燥機(株式会社大栄科学精器製作所製:DK−1M)内に設置した。次いで、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの装置内部の天井面側、及び装置内部の底面側の風速を、それぞれ無指向性プローブを取り付けた風速計(日本KANOMAX株式会社製:クリモマスター風速計)にて測定した。なお、風速はポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの中央部分において測定した。
長さ37.5cm、幅18cmのポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に塗工液を塗布することにより得られた積層フィルムを、塗布後すぐに前述の紙製の枠2枚に挟み込み乾燥機に設置した。乾燥開始後15秒おきに積層フィルムを取り出し、塗工面の乾燥状態を目視にて確認し、端面の塗りムラを除いた塗工面全面が乾燥するまでこれを繰り返した。乾燥機に設置してから塗工面の乾燥が完了するまでの時間を乾燥時間とした。
作製した積層多孔フィルムについて、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと被覆層との引き剥がし強度をJIS Z0237(2009年)に準拠して測定した。
まず、積層多孔フィルムを横50mm×縦150mmに切り出してサンプルとし、当該サンプルの縦方向にテープ42(図2)として、セロハンテープ(ニチバン株式会社製、JIS Z1522、幅:18mm)を貼付け、該セロハンテープの粘着面とは反対側の面同士が重なるように180°に折り返し、該サンプルから25mm剥がした。
次に、引張試験機(株式会社インテスコ製、インテスコIM−20ST)の下部チャックに剥がした部分のサンプルの片端を固定し、上部チャックに該セロハンテープを固定し、試験速度300mm/分にて引き剥がし強度を測定した(図2)。測定後、最初の25mmの長さの測定値は無視し、試験片から引き剥がされた50mmの長さの引き剥がし強度測定値を平均し、引き剥がし強度とした。
密着性は、以下の評価基準にしたがって評価した。
○:引き剥がし強度が4N/18mm以上の場合。
×:引き剥がし強度が4N/18mm未満の場合。
積層多孔フィルムの総厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて、積層多孔フィルムの面内を不特定に5箇所測定し、その平均値として算出した。
被覆層の厚みは、被覆層形成後の積層多孔フィルムの総厚みと、ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの厚みとの差として算出した。
透気度は、JIS P8117(2009年)に準拠して測定した。
まず、実施例及び比較例で作製した積層多孔フィルムを長さ150mm×幅10mmのサイズに切り出し、長さ方向に100mmの間隔で2点印を入れてサンプルを作製した。次いで、150℃に設定したオーブン(タバイエスペック株式会社製「タバイギヤオーブンGPH200」)に該サンプルを入れ、1時間静置した。該サンプルをオーブンから取り出して冷却した後、印を入れた2点間の長さ(mm)を測定し、以下の式にて収縮率を算出した。
収縮率(%)={(100−加熱後の長さ)/100}×100
以上の測定は、積層多孔フィルムの縦方向、横方向についてそれぞれ行った。
耐熱性は、以下の評価基準にしたがって評価した。
○:150℃、1時間における収縮率が、縦方向と横方向のいずれも10%未満の場合。
×:150℃、1時間における収縮率が、縦方向と横方向のいずれかが10%以上の場合。
一方、比較例1、2で得た積層多孔フィルムは、実施例に比べ、密着性に劣るフィルムとなった。
比較例3で得た積層多孔フィルムは、密着性には優れるものの、乾燥雰囲気温度が低いため、乾燥時間が長く、生産性の低いものであった。
比較例4のポリオレフィン系樹脂多孔フィルムは、被覆層が積層されていないため、耐熱性が不十分であった。
20 二次電池
21 正極板
22 負極板
24 正極リード体
25 負極リード体
26 ガスケット
27 正極蓋
41 サンプル
42 テープ
43 滑り止め
44 上部チャック
45 下部チャック
Claims (8)
- ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムの片面に、フィラー及び樹脂バインダーを含有する塗工液を塗布した後、以下の条件にて熱風乾燥することにより、該多孔フィルム上に被覆層を形成することを特徴とする積層多孔フィルムの製造方法。
<乾燥条件>
40 ≦ T ≦ 100
0.1 ≦ VB−VC ≦ 2.5
(T:乾燥雰囲気温度[℃])
(VB:塗工面とは反対側の面の風速[m/s])
(VC:塗工面側の風速[m/s]) - 前記塗工液の溶媒が、水、又は水と炭素数1〜4のアルコールとの混合溶媒である、請求項1に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
- 前記樹脂バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
- 前記被覆層において、前記フィラーと前記樹脂バインダーとの総量に対する前記フィラーの含有量が、80質量%以上、99.9質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
- 前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムを構成する樹脂が、少なくともポリプロピレン系樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
- 前記ポリオレフィン系樹脂多孔フィルムと前記被覆層との引き剥がし強度が4N/18mm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔フィルムの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた積層多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ。
- 請求項7に記載の非水電解液二次電池用セパレータを用いた非水電解液二次電池。
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