JP2015505965A - 腎癌のバイオマーカーおよびそれを用いる方法 - Google Patents
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Abstract
腎癌のバイオマーカーとして有用な生化学的実体を識別および評価するための方法、標的識別/検証、および薬物有効性の監視が提供される。また腎癌のバイオマーカーとして一連の低分子実体も提供される。
Description
本出願は、2011年12月9日に出願された米国仮特許出願第61/568,690号、および2012年7月31日に出願された米国仮特許出願第61/677,771号の利益を主張し、それら両方の全体内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本発明は、概して、腎癌のバイオマーカーおよびそのバイオマーカーに基づく方法に関する。
米国では、毎年275,000人の患者が腎癌の検査を受け、55,000人が腎細胞癌(RCC)と診断される(American Cancer Society Facts and Figures 2010)。RCCは、腎癌の最も一般的な形態であり、全体の約80%を占める。RCCの発生率は着実に増加しており、米国では、過去20年で年間約2%ずつ増加している(Ries LAG,et al.,eds.SEER Cancer Statistics Review,1975−2003.Bethesda,MD:National Cancer Institute;2006)。RCCは、最も致死的な癌の1つであり、従来の化学療法薬に応答しないため、特にRCCを治療するために多くの新たな標的薬剤が開発されている。
新たに診断された患者の70%は、早期(T1およびT2)に診断されている。早期RCCは、腎部分摘出または腎全摘出により治療され、これは根治目的の外科手術である。RCC腫瘍は、早期に外科的に除去されるとき、5年生存率はステージ1の場合90%、ステージ2の場合51%であるが、RCC患者の70%は、疾患の経過中に転移を起こす。
多くの場合、疑わしい悪性腫瘍とは無関係の検査中に、腎病巣または小腎腫瘤(SRM)が偶発的に発見される。SRMの約20%は良性であるが、残りは癌性である。小腎腫瘤に対する従来の治療は、根治的腎摘出術である。典型的に、癌陽性SRMは比較的小さく、比較的遅い成長速度を有する。したがって、癌陽性SRMは、概してさほど侵襲性でない可能性を有すると考えられるため、慎重な経過観察手法が外科手術よりも適切であり得る(Bosniak MA,et al.J.Small renal parenchymal neoplasms:further observations on growth.Radiology 1995;197:589−597.)。しかしながら、急速に成長し、侵襲性の可能性を有し得る小腎腫瘤も偶発的に検出される(Remzi M,et al.“Are small renal tumors harmless?Analysis of histopathological features according to tumors 4cm or less in diameter”.J.Urol.2006;176(3):896−9.)。どの癌陽性SRMがより進行性になるか、外科手術を要するか、どれがよりゆっくり成長し、慎重な経過観察手法を許すかを見分けるためのバイオマーカーは、有益であろう。
製薬会社は、RCCに対する標的療法、例えば、Sutent(スニチニブ)、Nexavar(ソラフェニブ)、Avastin(ベバシズマブ)、およびTorisel(テムシロリムス)を開発している。2011年3月の時点で、フェーズ1の標的薬剤が6種、フェーズ2が13種、フェーズ3が5種存在し、8種がRCC治療のためのFDA認可を受けていた。現在、RCC患者集団の約18%が薬物療法を受けている。今後、治療選択肢の数の増加、薬効の改善、および疾患経過のより早い段階(アジュバントまたはネオアジュバント設定)で薬物療法を用いる傾向に起因して、より多くの患者が治療を受けることが予想される(Espicom Business Intelligence,Market Report:Renal Cell Carcinoma Drug Futures,ISBN:978−1−85822−396−4,March 2011)。
一態様において、本発明は、SRMを有する対象を含む、対象が腎癌を有するか否かを診断する方法を提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、2、4、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象が腎癌を有するか否かを診断するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
さらなる態様において、本発明は、腎癌を他の泌尿器科癌(例えば、膀胱癌、前立腺癌)から区別する方法を提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、表11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、腎癌を他の泌尿器科癌から区別するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、対象における腎癌の進行/退縮を監視する方法を提供し、この方法は、対象からの第1の生体試料であって、対象から第1の時点で得られる、第1の試料を分析して、試料中の、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象からの第2の生体試料であって、対象から第2の時点で得られる、第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象における腎癌の進行/退縮を監視するために、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、(b)1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性基準レベル、および/または(c)1つ以上のバイオマーカーの腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、腎癌の病期を決定する方法を提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、腎癌の病期についての、表8から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象の腎癌の病期を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの高病期腎癌および/または低病期腎癌の基準レベルと比較することと、を含む。
さらなる態様において、本発明は、腎癌の侵襲性を決定する方法を提供し、この方法は、対象からの生体試料を分析して、試料中の、腎癌の侵襲性についての、表10から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、対象の腎癌の侵襲性を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの侵襲性の高い腎癌基準レベルおよび/または侵襲性の低い腎癌の基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、腎癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法を提供し、この方法は、腎癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)対象から以前に採取された生体試料であって、組成物で治療される前に対象から得られた生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル、(b)1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性基準レベル、および/または(c)1つ以上のバイオマーカーの腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、腎癌を治療することにおける組成物の有効性を評価するための方法を提供し、この方法は、対象からの第1の生体試料であって、対象から第1の時点で得られる第1の試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、組成物を対象に投与することと、対象からの第2の生体試料であって、組成物の投与後の第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、腎癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。
さらに別の態様において、本発明は、腎癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価するための方法を提供し、この方法は、腎癌を有する、および第1の組成物で現在または以前に治療されている第1の対象からの第1の生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、腎癌を有する、および第2の組成物で現在または以前に治療されている第2の対象からの第2の生体試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、腎癌を治療するための第1および第2の組成物の相対的有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。
別の態様において、本発明は、腎癌の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、1つ以上の細胞または該細胞と関連付けられた生体試料の少なくとも一部分を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、バイオマーカーの既定の標準レベルと比較して、組成物が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したか否かを決定することと、を含む。
さらに別の態様において、本発明は、腎癌を有する対象を治療するための方法を提供し、この方法は、腎癌において減少する、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される有効な量の1つ以上のバイオマーカーを対象に投与することを含む。
本発明は、腎癌のバイオマーカー、腎癌の診断または診断を補助するための方法、小腎腫瘤(SRM)腎癌の癌状態を決定するか、または決定を補助する方法、腎癌を病期分類する方法、腎癌の侵襲性を決定する方法、腎癌の進行/退縮を監視する方法、腎癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法、腎癌のバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングする方法、腎癌を治療する方法、ならびに腎癌のバイオマーカーに基づく他の方法に関する。本発明をさらに詳細に説明する前に、以下の用語を最初に定義する。
定義:
「バイオマーカー」は、第2の表現型を有する(例えば、疾患を有しない)対象または対象群からの生体試料と比較して、第1の表現型を有する(例えば、疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中に差異的に存在する(すなわち、増加または減少する)化合物、好ましくは代謝産物を意味する。バイオマーカーは、任意のレベルで差異的に存在し得るが、概して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、もしくはそれ以上で増加するレベルで存在するか、または概して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%(すなわち非存在)で減少するレベルで存在する。バイオマーカーは、好ましくは、統計的に有意なレベル(すなわち、ウェルチのT検定またはウィルコクソンの順位和検定のいずれかを用いて決定して、0.05未満のp値および/または0.10未満のq値)で差異的に存在する
「バイオマーカー」は、第2の表現型を有する(例えば、疾患を有しない)対象または対象群からの生体試料と比較して、第1の表現型を有する(例えば、疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中に差異的に存在する(すなわち、増加または減少する)化合物、好ましくは代謝産物を意味する。バイオマーカーは、任意のレベルで差異的に存在し得るが、概して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、もしくはそれ以上で増加するレベルで存在するか、または概して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%(すなわち非存在)で減少するレベルで存在する。バイオマーカーは、好ましくは、統計的に有意なレベル(すなわち、ウェルチのT検定またはウィルコクソンの順位和検定のいずれかを用いて決定して、0.05未満のp値および/または0.10未満のq値)で差異的に存在する
1つ以上のバイオマーカーの「レベル」は、試料中のバイオマーカーの絶対量もしくは相対量または濃度を意味する。
「試料」または「生体試料」は、対象から単離された生体物質を意味する。生体試料は、所望のバイオマーカーを検出するために適した任意の生体材料を含んでよく、また対象からの細胞および/または非細胞材料を含んでもよい。試料は、例えば、膀胱組織、血液、血漿、尿、または脳脊髄液(CSF)などの任意の適した生体組織または流体から単離することができる。
「対象」は、任意の動物を意味するが、好ましくは哺乳類、例えば、ヒト、サル、マウス、ウサギ、またはラットなどである。
バイオマーカーの「基準レベル」は、特定の疾患状態、表現型、またはそれらの欠失、ならびに疾患状態、表現型、またはそれらの欠失の組み合わせを示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「陽性」基準レベルは、特定の疾患状態または表現型を示すレベルを意味する。バイオマーカーの「陰性」基準レベルは、特定の疾患状態または表現型の欠失を示すレベルを意味する。例えば、バイオマーカーの「腎癌陽性基準レベル」は、対象における腎癌の陽性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味し、バイオマーカーの「腎癌陰性基準レベル」は、対象における腎癌の陰性診断を示すバイオマーカーのレベルを意味する。バイオマーカーの「基準レベル」は、バイオマーカーの絶対量もしくは相対量または濃度、バイオマーカーの存在または非存在、バイオマーカーの量または濃度の範囲、バイオマーカーの最小および/もしくは最大量または濃度、バイオマーカーの平均量もしくは濃度、および/またはバイオマーカーの中央量もしくは濃度であってもよく、さらにバイオマーカーの組み合わせの「基準レベル」は、2つ以上のバイオマーカーの互いに対する絶対量もしくは相対量または濃度の比であってもよい。特定の疾患状態、表現型、またはそれらの欠失についてのバイオマーカーの適切な陽性および陰性基準レベルは、1人以上の適切な対象において所望のバイオマーカーのレベルを測定することにより決定され得、そのような基準レベルは、特定の対象集団に対して調整されてもよい(例えば、基準レベルは、ある年齢の対象からの試料中のバイオマーカーレベルと、特定の疾患状態、表現型、またはそれらの欠失の基準レベルとの間で比較が行われ得るように、年齢適合されてもよい)。このような基準レベルは、生体試料中のバイオマーカーのレベルを測定するために用いられる特定の手法(例えば、LC−MS、GC−MSなど)に対して調整されてよく、バイオマーカーのレベルは、用いられる特定の手法に基づいて異なってもよい。
「非バイオマーカー化合物」は、第2の表現型を有する(例えば、第1の疾患を有しない)対象または対象群からの生体試料と比較して、第1の表現型を有する(例えば、第1の疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中に差異的に存在しない化合物を意味する。しかしながら、このような非バイオマーカー化合物は、第1の表現型(例えば、第1の疾患を有する)または第2の表現型(例えば、第1の疾患を有しない)と比較して、第3の表現型を有する(例えば、第2の疾患を有する)対象または対象群からの生体試料中のバイオマーカーであり得る。
「代謝産物」または「低分子」は、細胞内に存在する有機および無機分子を意味する。この用語は、大きな高分子、例えば、大きなタンパク質(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000超の分子量を持つタンパク質)、大きな核酸(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000超の分子量を持つ核酸)、または大きな多糖(例えば、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、もしくは10,000超の分子量を持つ多糖)を含まない。細胞の低分子は、一般的に、細胞質もしくはミトコンドリアなどの他の細胞小器官内の溶液中に遊離することが見出され、それらはさらに代謝されるか、または高分子と呼ばれる大きな分子を生成するために用いることができる中間体のプールを形成する。「低分子」という用語は、食物に由来するエネルギーを使用可能な形態に変換する化学反応におけるシグナル伝達分子および中間体を含む。低分子の例としては、糖、脂肪酸、アミノ酸、ヌクレオチド、細胞過程中に形成された中間体、および細胞内で見出される他の低分子が挙げられる。
「代謝プロファイル」または「低分子プロファイル」は、標的細胞、組織、器官、生物、もしくはそれらの分画(例えば、細胞内コンパートメント)内の低分子の完全または部分インベントリを意味する。このインベントリは、存在する低分子の量および/または種類を含んでよい。「低分子プロファイル」は、単一技術または複数の異なる技術を用いて決定され得る。
「メタボローム」は、所与の生物中に存在する低分子のすべてを意味する。
「腎癌」は、癌が腎臓内で発生する疾患を指す。
「泌尿器科癌」は、癌が膀胱、腎臓、および/または前立腺内で発生する疾患を指す。
腎癌の「病期分類」は、腫瘍サイズを含む腎癌の重篤度、ならびに腎腫瘍が広がっているか否か、および/またはどの程度広がっているかの指標を指す。腫瘍病期は、治療の選択肢をを選び、患者の予後を推定するために用いられる。腎腫瘍の病期は、T1(腫瘍サイズが7cm以下で腎臓に限定される、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍がゲロタ筋膜を越えて浸潤している、最も進行した状態)に及ぶ。「低病期」または「より低い病期」の腎癌は、腎癌腫瘍を指し、再発、進行、浸潤、および/または転移の可能性が低い(あまり進行していない)悪性腫瘍を含む。病期T1またはT2の腎腫瘍は、「低病期」であると見なされる。「高病期」または「より高い病期」の腎癌は、再発および/もしくは進行する、ならびに/または対象において浸潤性になる可能性が高い腎癌腫瘍を指し、転移の可能性がより高い(より進行した)悪性腫瘍を含む。病期T3またはT4の腎腫瘍は、「高病期」であると見なされる。
腎癌の「悪性度」は、腎癌細胞核の外観および/または構造を指す。「低悪性度」の腎癌は、正常な細胞核により酷似する細胞核特徴を持つ癌を指す。「高悪性度」の腎癌は、正常な細胞核にあまり酷似しない細胞核特徴を持つ癌を指す。
腎癌または癌陽性小腎腫瘤の「侵襲性」は、腎腫瘍の病期、悪性度、および転移の可能性の組み合わせを指す。「侵襲性の高い」腎癌は、病期、悪性度、および/または転移の可能性の高い腫瘍を指す。腎臓に限定されない癌腫瘍は、侵襲性の高い腎癌であると見なされる。「侵襲性の低い」腎癌は、病期、悪性度、および/または転移の可能性の低い腫瘍を指す。腎臓に限定される癌腫瘍は、侵襲性の低い腎癌であると見なされる。
「小腎腫瘤(SRM)」は、検査中に偶発的に検出され得るが、通常は腎癌の症状と関連付けられていない腎病巣を指す。SRMは、良性(癌陰性)であり得るか、または癌腫瘍(癌陽性)であり得る。癌陽性SRMは、緩慢性腫瘍(低病期/低侵襲性)であり得るか、または高病期の侵襲性腫瘍であり得る。
「RCCスコア」は、腎癌の重篤度の尺度または指標であり、本明細書に記載される腎癌バイオマーカーおよびアルゴリズムに基づいている。RCCスコアは、医師が、正常(すなわち、腎癌がない)〜高い(例えば、高病期、またはより侵襲性の高い腎癌)腎癌重篤度のスペクトル上に患者を置くことができるようにする。当業者であれば、RCCスコアが、腎癌の診断および治療において複数の用途を有し得ることを理解するであろう。例えば、RCCスコアを用いて、低侵襲性腎癌を高侵襲性腎癌から区別し得、低悪性度腎癌を高悪性度腎癌から区別し得、腎癌の進行および/または退縮を監視し得る。
I. バイオマーカー
本明細書に記載される腎癌バイオマーカーは、メタボロームプロファイリング技術を用いて発見された。このようなメタボロームプロファイリング技術は、以下に記載される実施例、および米国特許第7,005,255号、同第7,329,489号、同第7,550,258号、同第7,550,260号、同第7,553,616号、同第7,635,556号、同第7,682,783号、同第7,682,784号、同第7,910,301号、同第6,947,453号、同第7,433,787号、同第7,561,975号、同第7,884,318号においてさらに詳細に説明され、これらの全体内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される腎癌バイオマーカーは、メタボロームプロファイリング技術を用いて発見された。このようなメタボロームプロファイリング技術は、以下に記載される実施例、および米国特許第7,005,255号、同第7,329,489号、同第7,550,258号、同第7,550,260号、同第7,553,616号、同第7,635,556号、同第7,682,783号、同第7,682,784号、同第7,910,301号、同第6,947,453号、同第7,433,787号、同第7,561,975号、同第7,884,318号においてさらに詳細に説明され、これらの全体内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
一般に、代謝プロファイルは、腎癌(RCC)について陽性であったヒト対象からの生体試料、または腎癌陰性(非癌)であったヒト対象からの試料について決定した。腎癌陽性の生体試料についての代謝プロファイルを、腎癌陰性の生体試料についての代謝プロファイルと比較した。別の群(例えば、非癌試料)と比較して、腎癌陽性試料の代謝プロファイルにおいて、統計的に有意なレベルで差異的に存在する低分子を含む、差異的に存在する低分子を、それらの群を区別するバイオマーカーとして特定した。
バイオマーカーは、本明細書においてさらに詳述される。発見されたバイオマーカーは、腎癌(RCC)陽性試料を、癌陰性試料に対して区別するためのバイオマーカーに対応していた(表1、2、4、および/または11を参照)。
代謝プロファイルは、高病期腎癌と診断されたヒト対象、または低病期腎癌と診断されたヒト対象からの生体試料についても決定した。高病期腎癌を有する対象からの生体試料についての代謝プロファイルを、低病期腎癌を持つ対象からの生体試料についての代謝プロファイルと比較した。別の群(例えば、高病期腎癌と診断されていない対象)と比較して、高病期腎癌を持つ対象からの試料の代謝プロファイルにおいて、統計的に有意なレベルで差異的に存在する低分子を含む、差異的に存在する分子を、それらの群を区別するバイオマーカーとして特定した。
バイオマーカーは、本明細書においてさらに詳述される。発見されたバイオマーカーは、高病期腎癌を有する対象を、低病期腎癌を有する対象に対して区別するためのバイオマーカーに対応する(表8を参照)。
代謝プロファイルは、侵襲性の高い腎癌と診断されたヒト対象、または侵襲性の低い腎癌と診断されたヒト対象からの生体試料についても決定した。侵襲性の高い腎癌を有する対象からの生体試料についての代謝プロファイルを、侵襲性の低い腎癌を有する対象からの生体試料についての代謝プロファイルと比較した。別の群(例えば、侵襲性の高い腎癌と診断されていない対象)と比較して、侵襲性の高い腎癌を持つ対象からの試料の代謝プロファイルにおいて、統計的に有意なレベルで差異的に存在する低分子を含む、差異的に存在する分子を、それらの群を区別するバイオマーカーとして特定した。
バイオマーカーは、本明細書においてさらに詳述される。発見されたバイオマーカーは、侵襲性の高い腎癌を有する対象を、侵襲性の低い腎癌を有する対象に対して区別するためのバイオマーカーに対応する(表10を参照)。
II. 方法
A. 腎癌の診断
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌の存在と一致する1つ以上の症状を呈する対象における腎癌の診断(または診断の補助)を可能にし、腎癌を有するとして以前に特定されていない対象における腎癌の初期診断、および以前に腎癌の治療を受けた対象における腎癌の再発の診断を含む。例えば、SRMは、健康診断中に対象において検出され得、SRMが癌陽性か、または癌陰性であるかを決定しなくてはならない。対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)ために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表1、2、4、および/または11、ならびにこれらの組み合わせから選択される。このような方法を用いて腎癌の診断を補助するとき、この方法の結果を、対象が腎癌を有するか否かの臨床決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
A. 腎癌の診断
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌の存在と一致する1つ以上の症状を呈する対象における腎癌の診断(または診断の補助)を可能にし、腎癌を有するとして以前に特定されていない対象における腎癌の初期診断、および以前に腎癌の治療を受けた対象における腎癌の再発の診断を含む。例えば、SRMは、健康診断中に対象において検出され得、SRMが癌陽性か、または癌陰性であるかを決定しなくてはならない。対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)ために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表1、2、4、および/または11、ならびにこれらの組み合わせから選択される。このような方法を用いて腎癌の診断を補助するとき、この方法の結果を、対象が腎癌を有するか否かの臨床決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。好適な方法としては、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えば、MS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学技術、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)は、例えば、測定することが望まれるバイオマーカー(複数可)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定する検定を用いることにより、間接的に測定されてもよい。
表1、2、4、および/または11のバイオマーカーのうちの1つ以上のレベルは、対象が腎癌を有するか否かを診断する方法および診断を補助する方法において決定され得る。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、腎癌を診断するか、または診断を補助してよい:酸化型グルタチオン(GSSG)、プロリン、2−オレイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アミノ酪酸塩、スフィンゴシン、3−デヒドロカルニチン、2−ドコサヘキサエノイルグリセロホスホコリン、2−リノレオイルグリセロホスホコリン、ホスホエタノールアミン、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩(PPi)、ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(NAD+)、3−アミノイソ酪酸塩、2−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アラキドノイルグリセロホスホコリン、2−オレオイルグリセロホスホコリン、グリセリン酸塩、コリン−リン酸塩、ピルビン酸塩、1−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、アデニン、1−2−プロパンジオール、2−ドコサヘキサエノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、クレアチン、グリコール酸塩(ヒドロキシ酢酸塩)、リンゴ酸塩、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ステアロイルカルニチン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール、アラキドン酸塩、マンノース−6−リン酸塩、α−トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フルクトース−6−リン酸塩、マルトース、マルトトリオース、フルクトース1−リン酸塩、マルトテトラオース、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、メチル−α−グルコピラノシド、グルコース−6−リン酸塩(G6P)、エイコセン酸塩(eicosenoate)、1−ステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、1−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、1−オレオイルグリセロホスホイノシトール、γ−グルタミルグルタミン酸塩、エルゴチオネイン、アラビトール、1−パルミトイルプラスメニルエタノールアミン、N−アセチルノイラミン酸塩、マロニルカルニチン、2−ヒドロキシグルタル酸塩、β−アラニン、パントテン酸塩、クエン酸塩、キヌレニン、N1−メチルアデノシン、馬尿酸塩、グルコース、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、N1−メチルグアノシン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、N2−メチルグアノシン、2−メチルブチリルカルニチン(C5)、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、N6−アセチルリシン、ジメチルアルギニン(SDMA+ADMA)、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、カテコール−硫酸塩、グリセロール、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、N(2)−フロイル−グリシン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グロノ1,4−ラクトン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、2−3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩、1−2−プロパンジオール、グルコン酸塩、シンナモイルグリシン、フェニルアセチルグリシン、ソルボース、スクロース、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、ヘキサノイルグリシン、メチル−インドール−3−酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、N6−メチルアデノシン、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸、α−CEHC−グルクロニド、フェニルプロピニルグリシン、バニル酸塩、エタノールアミン、ガラクトース、アジピン酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、および3−4−ジヒドロキシフェニル酢酸塩。加えて、例えば、表1、2、4、および/または11におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、ならびにそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、このような方法において用いてもよい。バイオマーカーの組み合わせのレベルを決定することは、腎癌を診断すること、および腎癌の診断を補助することにおいて、より優れた感度および特異性を可能にし得る。例えば、生体試料中のあるバイオマーカー(および非バイオマーカー化合物)のレベルの比は、腎癌を診断すること、および腎癌の診断を補助することにおいて、より優れた感度および特異性を可能にし得る。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定した後、このレベル(複数可)を、腎癌陽性および/もしくは腎癌陰性レベルと比較して、対象が腎癌を有するか否かの診断を補助するか、または診断する。腎癌陽性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、対象における腎癌の診断を示す。腎癌陰性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、対象における腎癌がないという診断を示す。さらに、腎癌陰性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象における腎癌の診断を示す。腎癌陽性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象における腎癌がないという診断を示す。
1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルに対する生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の簡単な比較(例えば、マニュアル比較)を含む、様々な技術を用いて、腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較してよい。生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上の統計的分析(例えば、t検定、ウェルチのT検定、ウィルコクソンの順位和検定、ランダムフォレスト、Tスコア、Zスコア)を用いるか、または数理モデル(例えば、アルゴリズム、統計モデル)を用いて、腎癌陽性および/もしくは腎癌陰性基準レベルと比較してもよい。
例えば、単一アルゴリズムまたは複数のアルゴリズムを含む数理モデルを用いて、対象が腎癌を有するか否かを決定してもよい。数理モデルを用いて、腎癌の病期を区別してもよい。例となる数理モデルは、対象からの任意の数のバイオマーカー(例えば、2、3、5、7、9など)の測定されたレベルを用いて、測定されたバイオマーカーのレベル間の数理関係に基づくアルゴリズムもしくは一連のアルゴリズムを使用して、対象が腎癌を有するか否か、腎癌が対象において進行しているか、または退縮しているか、対象が侵襲性の高い腎癌を有するか、または侵襲性の低い腎癌を有するかなどを決定してもよい。
この方法の結果を、対象における腎癌の診断に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
一態様では、本明細書に提供されるバイオマーカーを用いて、対象における腎癌の存在および/または重篤度を示すRCCスコアを医師に提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせについて臨床的に著しく変化した基準レベル(複数可)に基づいている。基準レベルは、アルゴリズムから導出することができる。RCCスコアを用いて、正常(すなわち、腎癌がない)〜高い腎癌の重篤度範囲内に対象を置くことができる。RCCスコアは、複数の方法で使用することができ、例えば、疾患の進行、退縮、または寛解は、RCCスコアの定期的な決定および監視により監視することができ、治療介入に対する応答は、RCCスコアを監視することにより決定することができ、薬物の有効性をRCCスコアを用いて評価することができる。
対象のRCCスコアを決定するための方法は、生体試料中の、表1、2、4、および/または11において特定される腎癌バイオマーカーのうちの1つ以上を用いて行われ得る。この方法は、対象のRCCスコアを決定するために、試料中の1つ以上の腎癌バイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌基準レベルと比較することを含んでよい。この方法は、表1、2、4、および/または11に列挙されるものから選択される任意の数のマーカーを用いてよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のマーカーを含む。複数のバイオマーカーは、回帰分析などの統計的方法を含む、任意の方法により腎癌と関連付けられ得る。
1つ以上のバイオマーカー(複数可)のレベル(複数可)を決定した後、このレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカー(複数可)の腎癌基準レベル(複数可)または基準曲線と比較して、試料中の1つ以上のバイオマーカーのそれぞれについて格付けを決定する。この格付け(複数可)を任意のアルゴリズムを用いて集計し、対象についてのスコア、例えば、RCCスコアを作成してもよい。このアルゴリズムは、バイオマーカーの数、バイオマーカーと腎癌との相関などを含む、腎癌に関する任意の要因を考慮し得る。
一実施形態では、変数として1つ以上のバイオマーカーを含む数理モデルまたは式は、回帰分析、例えば、多重線形回帰を用いて確立される。非限定例として、開発された式は、以下を含み得る。
A+B(バイオマーカー1)+C(バイオマーカー2)+D(バイオマーカー3)+E(バイオマーカー4)=Rスコア
A+B*In(バイオマーカー1)+C*In(バイオマーカー2)+D*In(バイオマーカー3)+E*In(バイオマーカー4)=InRスコア
式中、A、B、C、D、Eは、定数であり、バイオマーカー1、バイオマーカー2、バイオマーカー3、バイオマーカー4は、検体(バイオマーカー)の測定値であり、Rスコアは、癌の存在もしくは非存在、または癌の侵襲性の尺度である。
これらの式は、変数として1つ以上のバイオマーカー、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20個またはそれ以上のバイオマーカーを含み得る。
さらに、一実施形態では、腎癌を診断する、またはその診断を補助するために本明細書において提供されるバイオマーカーを用いて、他の泌尿器科癌から腎癌を区別してもよい。対象における他の泌尿器科癌から腎癌を区別する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)他の泌尿器科癌から腎癌を区別するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表11から選択される。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで用いて、他の泌尿器科癌から腎癌を区別してもよい:グルコン酸塩、1,2−プロパンジニオール、ガラクトース、グロノ1,4−ラクトン、オロチジン、キナ酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、グアニン、フェニルアセチルグルタミン、マンニトール、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−アミノプロピル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル尿酸塩、グルクロン酸塩−ガラクツロン酸塩−5−ケト−グルコン酸塩、グリココール酸塩、アゼライン酸塩(ノナンジオン酸塩)、N−アセチルトレオニン、7−ケトデオキシコール酸塩、3−シアリルラクトース、イソバレリルカルニチン、コール酸塩、アデノシン5′モノリン酸塩(AMP)、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、ピペコール酸塩、N−アセチルフェニルアラニン、12−デヒドロコール酸塩、α−ケトグルタル酸塩、スルフォラファン、3−インドキシル−硫酸塩、メチル−インドール−3−酢酸塩、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、乳酸塩、N(2)−フロイル−グリシン、N6−メチルアデノシン、γ−CEHC、グリセロール、2−3−ブタンジオール、パルミトイル−スフィンゴミエリン、コハク酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、カフェイン酸塩、イミダゾール−プリピオン酸塩、β−アラニン、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−2,5−メチルチオアデノシン(MTA)、N2−アセチルリシン、スクロース、フェニルアセチルグリシン、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−1、cyclo−gly−pro、N−メチル−プロリン、カテコール−硫酸塩、セリン、バニリン酸塩、トレオニン、および21−ヒドロキシプレグネノロン二硫酸塩。このような方法を用いて他の泌尿器科癌から腎癌を区別するとき、この方法の結果を、他の泌尿器科癌から腎癌を区別する臨床的決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
さらに、一実施形態では、腎癌を診断する、またはその診断を補助するために本明細書において提供されるバイオマーカーを用いて、他の泌尿器科癌から腎癌を区別してもよい。対象における他の泌尿器科癌から腎癌を区別する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)他の泌尿器科癌から腎癌を区別するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。用いられる1つ以上のバイオマーカーは、表11から選択される。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで用いて、他の泌尿器科癌から腎癌を区別してもよい:グルコン酸塩、1,2−プロパンジニオール、ガラクトース、グロノ1,4−ラクトン、オロチジン、キナ酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、グアニン、フェニルアセチルグルタミン、マンニトール、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−アミノプロピル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル尿酸塩、グルクロン酸塩−ガラクツロン酸塩−5−ケト−グルコン酸塩、グリココール酸塩、アゼライン酸塩(ノナンジオン酸塩)、N−アセチルトレオニン、7−ケトデオキシコール酸塩、3−シアリルラクトース、イソバレリルカルニチン、コール酸塩、アデノシン5′モノリン酸塩(AMP)、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、4−ヒドロキシ馬尿酸塩、ピペコール酸塩、N−アセチルフェニルアラニン、12−デヒドロコール酸塩、α−ケトグルタル酸塩、スルフォラファン、3−インドキシル−硫酸塩、メチル−インドール−3−酢酸塩、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、乳酸塩、N(2)−フロイル−グリシン、N6−メチルアデノシン、γ−CEHC、グリセロール、2−3−ブタンジオール、パルミトイル−スフィンゴミエリン、コハク酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、カフェイン酸塩、イミダゾール−プリピオン酸塩、β−アラニン、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−2,5−メチルチオアデノシン(MTA)、N2−アセチルリシン、スクロース、フェニルアセチルグリシン、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−1、cyclo−gly−pro、N−メチル−プロリン、カテコール−硫酸塩、セリン、バニリン酸塩、トレオニン、および21−ヒドロキシプレグネノロン二硫酸塩。このような方法を用いて他の泌尿器科癌から腎癌を区別するとき、この方法の結果を、他の泌尿器科癌から腎癌を区別する臨床的決定において有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
B. 腎癌の進行/退縮を監視する方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、対象における腎癌の進行/退縮の監視も可能にする。対象における腎癌の進行/退縮を監視する方法は、(1)対象からの第1の生体試料であって、第1の時点で対象から得られる第1の試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象からの第2の生体試料であって、第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)対象における腎癌の進行/退縮を監視するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。この方法の結果は、対象における腎癌の経過(すなわち、何らかの変化がある場合、進行または退縮)を示す。
腎癌のバイオマーカーの特定は、対象における腎癌の進行/退縮の監視も可能にする。対象における腎癌の進行/退縮を監視する方法は、(1)対象からの第1の生体試料であって、第1の時点で対象から得られる第1の試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象からの第2の生体試料であって、第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)対象における腎癌の進行/退縮を監視するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。この方法の結果は、対象における腎癌の経過(すなわち、何らかの変化がある場合、進行または退縮)を示す。
表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーのうちの1つ以上のレベルは、腎癌の進行/退縮を監視する方法において決定され得る。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで用いて、腎癌の進行/退縮を監視してもよい:酸化型グルタチオン(GSSG)、プロリン、2−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アミノ酪酸塩、スフィンゴシン、3−デヒドロカルニチン、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホコリン、2−リノレオイルグリセロホスホコリン、ホスホエタノールアミン、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩(PPi)、ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(NAD+)、3−アミノイソ酪酸塩、2−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アラキドノイルグリセロホスホコリン、2−オレイルグリセロホスホコリン、グリセリン酸塩、コリン−リン酸塩、ピルビン酸塩、1−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、アデニン、1−2−プロパンジオール、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、クレアチン、グリコール酸塩(ヒドロキシ酢酸塩)、リンゴ酸塩、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ステアロイルカルニチン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール、アラキドン酸塩、マンノース−6−リン酸塩、α−トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フルクトース−6−リン酸塩、マルトース、マルトトリオース、フルクトース1−リン酸塩、マルトテトラオース、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、メチル−α−グルコピラノシド、グルコース−6−リン酸塩(G6P)、イコセン酸塩、1−ステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、1−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、1−オレオイルグリセロホスホイノシトール、γ−グルタミルグルタミン酸塩、エルゴチオネイン、アラビトール、1−パルミトイルプラスメニルエタノールアミン、N−アセチルノイラミン酸塩、マロニルカルニチン、2−ヒドロキシグルタル酸塩、β−アラニン、パントテン酸塩、クエン酸塩、キヌレニン、N1−メチルアデノシン、馬尿酸塩、グルコース、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、N1−メチルグアノシン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、N2−メチルグアノシン、2−メチルブチリルカルニチン(C5)、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、N6−アセチルリシン、ジメチルアルギニン(SDMA+ADMA)、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、カテコール−硫酸塩、グリセロール、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、N(2)−フロイル−グリシン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グロノ1,4−ラクトン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、2−3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩、1−2−プロパンジオール、グルコン酸塩、シンナモイルグリシン、フェニルアセチルグリシン、ソルボース、スクロース、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、ヘキサノイルグリシン、メチル−インドール−3−酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、N6−メチルアデノシン、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸、α−CEHC−グルクロニド、フェニルプロピニルグリシン、吉草酸塩、エタノールアミン、ガラクトース、アジピン酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、3−4−ジヒドロキシフェニル酢酸塩、コリン、ペラルゴン酸塩(9:0)、アルギニン、γ−グルタミルロイシン、キサンチン、チロシン、5−オキソプロリン、イノシトール−1−リン酸塩(I1P)、イソロイシン、2−エチルヘキサン酸塩、ロイシン、ラウリン酸塩(12:0)、フェニルアラニン、マンノース、ウラシル、キサントシン、エリスリトール、グアノシン−5−モノリン酸塩−5(GMP)、ホモシステイン、乳酸塩、4−ヒドロキシ酪酸塩(GHB)、リボース、フコース、S−アデノシルホモシステイン(SAH)、マンニトール、ヒポキサンチン、およびトレオニン。加えて、例えば、表1、2、4、8、10、および/または11におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、対象の腎癌の進行/退縮を監視する方法において用いてもよい。
1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の経時的な変化(存在する場合)は、対象における腎癌の進行または退縮を示し得る。対象における腎癌の経過を特徴付けるために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、ならびに/または第1および第2の試料中のバイオマーカーのレベルの比較結果を、腎癌陽性および腎癌陰性基準レベルと比較してもよい。この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、(例えば、第1の試料と比較して第2の試料中で)経時的に増加または減少する場合、腎癌陽性基準レベルにさらに類似する(または腎癌陰性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、腎癌の進行を示す。この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、経時的に増加または減少する場合、腎癌陰性基準レベルにさらに類似する(または腎癌陽性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、腎癌の退縮を示す。
一実施形態では、評価は、対象における腎癌を示し、経時的に監視することができるRCCスコアに基づき得る。第1の時点の試料からのRCCスコアを少なくとも第2の時点の試料からのRCCスコアと比較することにより、腎癌の進行または退縮を決定することができる。このような方法は、(1)対象からの第1の生体試料を分析して、第1の時点で対象から得られる第1の試料のBCAスコアを決定することと、(2)対象からの第2の生体試料であって、第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、第2のRCCスコアを決定することと、(3)対象における腎癌の進行/退縮を監視するために、第1の試料におけるRCCスコアを、第2の試料におけるRCCスコアと比較することと、を含む。
本明細書に記載されるバイオマーカーおよびアルゴリズムは、医師が治療方針、例えば、外科的処置(例えば、腎全摘出術または腎部分摘出術)などの処置を行うか否か、薬物療法で治療するか否か、または慎重な経過観察手法を用いるか否かを決定する際の指針または補助となり得る。
本明細書に記載される他の方法と同様に、対象における腎癌の進行/退縮を監視する方法において行われる比較は、簡単な比較、1つ以上の統計分析、数理モデル(アルゴリズム)、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて行われ得る。
この方法の結果を、対象における腎癌の進行/退縮の臨床的監視に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述のように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。さらに、表1、2、4、8、10、および/もしくは11のバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定し、対象における腎癌の進行/退縮を監視する方法において用いてもよい。
このような方法を行って、腎癌を有する対象における腎癌の経過を監視することができるか、または腎癌に対する素因のレベルを監視するために、腎癌を有しない対象(例えば、腎癌を発症する素因があると疑われる対象)において用いることができる。
C. 腎癌を病期分類する方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、癌陽性SRMを有する対象の癌病期を含む、対象の腎癌病期の決定も可能にする。腎癌の病期を決定する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表8に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象の腎癌の病期を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの高病期腎癌および/または低病期腎癌の基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象の腎癌の病期の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌のバイオマーカーの特定は、癌陽性SRMを有する対象の癌病期を含む、対象の腎癌病期の決定も可能にする。腎癌の病期を決定する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表8に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象の腎癌の病期を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの高病期腎癌および/または低病期腎癌の基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象の腎癌の病期の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述のように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。
表8に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル、ならびにそれらの組み合わせは、対象の腎癌の病期を決定する方法において決定されてよい。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、腎癌の病期を決定してもよい:コリン、ペラルゴン酸塩(9:0)、アルギニン、γ−グルタミルロイシン、キサンチン、チロシン、5−オキソプロリン、イノシチオール−1−リン酸塩(I1P)、N2−メチルグアノシン、イソロイシン、2−エチルヘキサン酸塩、ロイシン、アデニン、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ラウリル酸塩(12:0)、フェニルアラニン、マンノース、ウラシル、キサントシン、エリスリトール、グアノシン−5−モノリン酸塩−5(GMP)、ホモシステイン、乳酸塩、4−ヒドロキシ酪酸塩(GHB)、リボース、フコース、S−アデノシルホモシステイン(SAH)、マンニトール、ヒポキサンチン、およびトレオニン。加えて、例えば、表8におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、対象の腎癌の病期を決定する方法において用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定した後、対象の腎癌の病期を決定するために、このレベル(複数可)を、低病期腎癌および/または高病期腎癌の基準レベルと比較する。高病期腎癌基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、高病期腎癌を有する対象を示す。低病期腎癌基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、低病期腎癌を有する対象を示す。さらに、低病期腎癌基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、低病期腎癌を有しない対象を示す。高病期腎癌基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、高病期腎癌を有しない対象を示す。
研究を行って、対象の腎癌病期を決定するために用いることができる一式のバイオマーカーを特定した。別の実施形態では、本明細書に提供されるバイオマーカーを用いて、対象における腎癌の病期を示すRCCスコアを医師に提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせについて臨床的に著しく変化した基準レベル(複数可)に基づいている。基準レベルは、アルゴリズムから導出することができる。RCCスコアを用いて、正常(すなわち、腎癌がない)〜高病期腎癌の対象における腎癌の病期を決定することができる。
本明細書に記載されるバイオマーカーおよびアルゴリズムは、医師が治療方針、例えば、外科的処置(例えば、腎全摘出術または腎部分摘出術)などの処置を行うか否か、薬物療法で治療するか否か、または慎重な経過観察手法を用いるか否かを決定する際の指針または補助となり得る。
上記の方法と同様に、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、簡単な比較、1つ以上の統計分析、数理モデル(アルゴリズム)、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて、高病期腎癌および/または低病期腎癌の基準レベルと比較してよい。
対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法と同様に、対象の腎癌の病期を決定する方法が、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含んでもよい。
D. 侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別する方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別するためのバイオマーカーの特定も可能にし、侵襲性の低い癌陽性SRMを侵襲性の高い癌陽性SRMから区別することを含む。腎癌を有する対象における侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表10に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象の腎癌の侵襲性を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの侵襲性の低い腎癌および/または侵襲性の高い腎癌の基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象の腎癌の侵襲性の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌のバイオマーカーの特定は、侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別するためのバイオマーカーの特定も可能にし、侵襲性の低い癌陽性SRMを侵襲性の高い癌陽性SRMから区別することを含む。腎癌を有する対象における侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表10に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象の腎癌の侵襲性を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの侵襲性の低い腎癌および/または侵襲性の高い腎癌の基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象の腎癌の侵襲性の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述のように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。
表4および/または10に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベルは、対象の腎癌の侵襲性を決定する方法において決定され得る。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、対象の腎癌の侵襲性を決定してもよい:ペラルゴン酸塩(9:0)、ラウリン酸塩(12:0)、ホモシステイン、2′−デオキシイノシン、S−アデノシルメチオニン(SAM)、グリシルトレオニン、アスパルチルフェニルアラニン、フェニルアラニルグリシン、シチジン5′−ジホスホコリン、アラニルグリシン、リシルメチオニン、グリシルイソロイシン、リボース、アスパルチルロイシン、2−エチルヘキサン酸塩、アスパラギン、ホモセリン、2′−デオキシグアノシン、バレリルカルニチン、4−ヒドロキシブチル酸塩(GHB)、カプリン酸塩(10:0)、ガラクトース、ヘム、ブチリルカルニチン、コリン、イソロイシン、マンニトール、フコース、チロシン、キサンチン、5−オキソプロリン、5−メチルチオアデノシン(MTA)、フェニルアラニン、ロイシン、トレオン酸塩、γ−グルタミルロイシン、安息香酸塩、プロリン、メチオニン、グリシルプロリン、N2−メチルグアノシン、アデニン、2−メチルブチロイルカルニチン、S−アデノシルホモシステイン(SAH)、クエン酸塩、キサントシン、5,6−ジヒドロウラシル、トレオニン、バリン、およびパントテン酸塩。さらに、例えば、上記の腎癌を診断する(またはその診断を補助する)方法と同様に、表4および10のバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、対象の腎癌の侵襲性を決定する方法において用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定した後、対象の腎癌の侵襲性を決定するために、このレベル(複数可)を、侵襲性の低い腎癌および/または侵襲性の高い腎癌の基準レベルと比較する。侵襲性の高い腎癌の基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、侵襲性の高い腎癌を有する対象を示す。侵襲性の低い腎癌の基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、侵襲性の低い腎癌を有する対象を示す。さらに、侵襲性の低い腎癌基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、侵襲性の低い腎癌を有しない対象を示す。侵襲性の高い腎癌基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、侵襲性の高い腎癌を有しない対象を示す。
研究を行って、侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別するために用いることができる一式のバイオマーカーを特定した。別の実施形態では、本明細書に提供されるバイオマーカーを用いて、対象における腎癌の侵襲性を示すRCCスコアを医師に提供することができる。このスコアは、バイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの組み合わせについて臨床的に著しく変化した基準レベル(複数可)に基づいている。基準レベルは、アルゴリズムから導出することができる。RCCスコアを用いて、正常(すなわち、腎癌がない)〜侵襲性の高い腎癌の対象における腎癌の侵襲性を決定することができる。
本明細書に記載されるバイオマーカーおよびアルゴリズムは、医師が治療方針、例えば、外科的処置(例えば、腎全摘出術または腎部分摘出術)などの処置を行うか否か、薬物療法で治療するか否か、または慎重な経過観察手法を用いるか否かを決定する際の指針または補助となり得る。
上記の方法と同様に、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、簡単な比較、1つ以上の統計分析、数理モデル(アルゴリズム)、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて、侵襲性の高い腎癌および/または侵襲性の低い腎癌の基準レベルと比較してよい。
対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法と同様に、対象の腎癌の侵襲性を決定する方法が、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含んでもよい。
E. 小腎腫瘤(SRM)が癌性であるか否かを決定する方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、SRMを有するとして発見された対象が、良性SRMを有するか、または癌性であるSRMを有するかの決定も可能にする。SRMの癌状態を決定する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、2、4、8、10、および/または11に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象のSRMの癌状態を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象のSRMの癌状態の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌のバイオマーカーの特定は、SRMを有するとして発見された対象が、良性SRMを有するか、または癌性であるSRMを有するかの決定も可能にする。SRMの癌状態を決定する方法は、(1)対象からの生体試料を分析して、試料中の、表1、2、4、8、10、および/または11に列挙される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)対象のSRMの癌状態を決定するために、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。この方法の結果を、対象のSRMの癌状態の臨床的決定に有用な他の方法(またはそれらの結果)と共に用いてもよい。
腎癌を診断する(またはその診断を補助する)方法に関連して上述のように、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、任意の好適な方法を用いて生体試料を分析してもよい。
上記の腎癌を診断する(またはその診断を補助する)方法と同様に、表1、2、4、8、10、および/または11におけるバイオマーカーのうちの1つ以上のレベル(複数可)は、SRMの癌状態を決定する方法において決定され得る。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または組み合わせで用いて、対象のSRMの癌状態を決定してもよい:酸化型グルタチオン(GSSG)、プロリン、2−オレイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アミノ酪酸塩、スフィンゴシン、3−デヒドロカルニチン、2−ドコサヘキサエノイルグリセロホスホコリン、2−リノレオイルグリセロホスホコリン、ホスホエタノールアミン、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩(PPi)、ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(NAD+)、3−アミノイソ酪酸塩、2−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アラキドノイルグリセロホスホコリン、2−オレイルグリセロホスホコリン、グリセリン酸塩、コリン−リン酸塩、ピルビン酸塩、1−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、アデニン、1−2−プロパンジオール、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、クレアチン、グリコール酸塩(ヒドロキシ酢酸塩)、リンゴ酸塩、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ステアロイルカルニチン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール、アラキドン酸塩、マンノース−6−リン酸塩、α−トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フルクトース−6−リン酸塩、マルトース、マルトトリオース、フルクトース、1−リン酸塩、マルトテトラオース、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、メチル−α−グルコピラノシド、グルコース−6−リン酸塩(G6P)、エイコセン酸塩、1−ステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、1−オレイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、1−オレイルグリセロホスホイノシトール、γ−グルタミルグルタミン酸塩、エルゴチオネイン、アラビトール、1−パルミトイルプラスメニルエタノールアミン、N−アセチルノイラミン酸塩、アセチルノイラミン酸塩、マロニルカルニチン、2−ヒドロキシグルタル酸塩、β−アラニン、パントテン酸塩、クエン酸塩、キヌレニン、N1−メチルアデノシン、馬尿酸塩、グルコース、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、N1−メチルグアノシン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、N2−メチルグアノシン、2−メチルブチリルカルニチン(C5)、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、N6−アセチルリシン、ジメチルアルギニン(SDMA+ADMA)、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、カテコール−硫酸塩、グリセロール、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、N(2)−フロイル−グリシン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グロノ1,4−ラクトン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、2−3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩、1−2−プロパンジオール、グルコン酸塩、シンナモイルグリシン、フェニルアセチルグリシン、ソルボース、スクロース、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、ヘキサノイルグリシン、メチル−インドール−3−酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、N6−メチルアデノシン、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸、α−CEHC−グルクロニド、フェニルプロピニルグリシン、バニル酸塩、エタノールアミン、ガラクトース、アジピン酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、および3−4−ジヒドロキシフェニル酢酸塩。加えて、例えば、表1、2、4、8、10、および/または11におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、対象のSRMの癌状態を決定する方法において用いてもよい。
試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が決定された後、対象のSRMの癌状態を決定するために、このレベル(複数可)を、腎癌陽性および/または腎癌陰性レベルと比較する。腎癌陽性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、癌陽性SRMを有する対象を示す。腎癌陰性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、癌陰性SRMを有する対象を示す。さらに、腎癌陰性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、癌陽性SRMの診断を示す。腎癌陽性基準レベルと比較して、試料中に(特に、統計的に有意なレベルで)差異的に存在する1つ以上のバイオマーカーのレベルは、癌陽性SRMを有しない対象を示す。
上記の方法と同様に、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、簡単な比較、1つ以上の統計分析、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較してよい。RCCスコアは、SRMにおける癌の存在および/または重篤度を示すことにおいて用いられてもよい。
対象が腎癌を有するか否かを診断する(または診断を補助する)方法と同様に、対象のSRMの癌状態を評価する方法が、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含み得る。
F. 腎癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌を治療するための組成物の有効性の評価、ならびに腎癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性の評価も可能にする。このような評価は、例えば、有効性研究において、ならびに腎癌を治療するための組成物の主な選択において用いてもよい。
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌を治療するための組成物の有効性の評価、ならびに腎癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性の評価も可能にする。このような評価は、例えば、有効性研究において、ならびに腎癌を治療するための組成物の主な選択において用いてもよい。
腎癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法は、(1)腎癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(a)対象から以前に採取された生体試料であって、組成物で治療される前に対象から採取された生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル、(b)1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性基準レベル、および(c)1つ以上のバイオマーカーの腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む。この比較の結果は、腎癌を治療するための組成物の有効性を示す。
表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーのうちの1つ以上のレベルは、腎癌の組成物の有効性を評価する方法において決定され得る。例えば、以下のバイオマーカーのうちの1つ以上を単独で、または任意の組み合わせで用いて、腎癌を治療するための組成物の有効性を評価してもよい:酸化型グルタチオン(GSSG)、プロリン、2−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アミノ酪酸塩、スフィンゴシン、3−デヒドロカルニチン、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホコリン、2−リノレオイルグリセロホスホコリン、ホスホエタノールアミン、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩(PPi)、ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(NAD+)、3−アミノイソ酪酸塩、2−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アラキドノイルグリセロホスホコリン、2−オレイルグリセロホスホコリン、グリセリン酸塩、コリン−リン酸塩、ピルビン酸塩、1−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、アデニン、1−2−プロパンジオール、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、クレアチン、グリコール酸塩(ヒドロキシ酢酸塩)、リンゴ酸塩、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ステアロイルカルニチン、1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトール、アラキドン酸塩、マンノース−6−リン酸塩、α−トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フルクトース−6−リン酸塩、マルトース、マルトトリオース、フルクトース1−リン酸塩、マルトテトラオース、1−ステアロイルグリセロホスホイノシトール、メチル−α−グルコピラノシド、グルコース−6−リン酸塩(G6P)、イコセン酸塩、1−ステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、1−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、1−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、1−オレオイルグリセロホスホイノシトール、γ−グルタミルグルタミン酸塩、エルゴチオネイン、アラビトール、1−パルミトイルプラスメニルエタノールアミン、N−アセチルノイラミン酸塩、マロニルカルニチン、2−ヒドロキシグルタル酸塩、β−アラニン、パントテン酸塩、クエン酸塩、キヌレニン、N1−メチルアデノシン、馬尿酸塩、グルコース、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、N1−メチルグアノシン、 プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、N2−メチルグアノシン、2−メチルブチリルカルニチン(C5)、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、N6−アセチルリシン、ジメチルアルギニン(SDMA+ADMA)、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、カテコール−硫酸塩、グリセロール、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、N(2)−フロイル−グリシン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グロノ1,4−ラクトン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、2−3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩、1−2−プロパンジオール、グルコン酸塩、シンナモイルグリシン、フェニルアセチルグリシン、ソルボース、スクロース、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、ヘキサノイルグリシン、メチル−インドール−3−酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、N6−メチルアデノシン、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸、α−CEHC−グルクロニド、フェニルプロピニルグリシン、吉草酸塩、エタノールアミン、ガラクトース、アジピン酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、3−4−ジヒドロキシフェニル酢酸塩、コリン、ペラルゴン酸塩(9:0)、アルギニン、γ−グルタミルロイシン、キサンチン、チロシン、5−オキソプロリン、イノシトール−1−リン酸塩(I1P)、イソロイシン、2−エチルヘキサン酸塩、ロイシン、ラウリン酸塩(12:0)、フェニルアラニン、マンノース、ウラシル、キサントシン、エリスリトール、グアノシン−5−モノリン酸塩−5(GMP)、ホモシステイン、乳酸塩、4−ヒドロキシ酪酸塩(GHB)、リボース、フコース、S−アデノシルホモシステイン(SAH)、マンニトール、ヒポキサンチン、およびトレオニン。加えて、例えば、表1、2、4、8、10、および/または11におけるバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1個のバイオマーカー、2個以上のバイオマーカー、3個以上のバイオマーカー、4個以上のバイオマーカー、5個以上のバイオマーカー、6個以上のバイオマーカー、7個以上のバイオマーカー、8個以上のバイオマーカー、9個以上のバイオマーカー、10個以上のバイオマーカーなどのレベル(複数可)を決定し、腎癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法において用いてもよい。
したがって、腎癌を治療するための組成物の有効性を特徴付けるために、生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、(1)腎癌陽性基準レベル、(2)腎癌陰性基準レベル、および(3)組成物での治療前の対象における1つ以上のバイオマーカーの以前のレベルと比較する。
(腎癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの)生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、腎癌陽性基準レベルおよび/または腎癌陰性基準レベルと比較するとき、腎癌陰性基準レベルと一致する試料中のレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、組成物が腎癌を治療するための有効性を有することを示す。腎癌陽性基準レベルと一致する試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(例えば、基準レベルと同一、基準レベルとほぼ同一、基準レベルの最小値および/もしくは最大値超および/もしくは未満、ならびに/または基準レベルの範囲内のレベル)は、組成物が腎癌を治療するための有効性を有しないことを示す。この比較は、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)に基づいて、腎癌を治療するための有効性の程度も示し得る。
(腎癌を有する、および組成物で現在または以前に治療されている対象からの)生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、組成物での治療前の対象から以前に採取された生体試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較するとき、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)における任意の変化は、腎癌を治療するための組成物の有効性を示す。すなわち、この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、組成物での治療後に腎癌陰性基準レベルにさらに類似するように増加または減少した(または腎癌陽性基準レベルに類似しなくなる)ことを示す場合、その結果は、組成物が腎癌を治療するための有効性を有することを示す。この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、組成物での治療後に腎癌陰性基準レベルにさらに類似するように増加または減少しなかった(または腎癌陽性基準レベルに類似しなくなるようにならなかった)ことを示す場合、その結果は、組成物が腎癌を治療するための有効性を有しないことを示す。この比較は、治療後の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)において観測される変化の量に基づいて、腎癌を治療するための有効性の程度も示し得る。このような比較を特徴付ける助けとなるために、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、治療前の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)、および/または組成物で現在もしくは以前に治療されている対象における1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)の変化を、腎癌陽性基準レベルおよび/または腎癌陰性基準レベルと比較してよい。
腎癌を治療することにおける組成物の有効性を評価するための別の方法は、(1)対象からの第1の生体試料であって、第1の時点で対象から得られる第1の試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)組成物を対象に投与することと、(3)対象からの第2の生体試料であって、組成物の投与後の第2の時点で対象から得られる第2の試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(4)腎癌を治療するための組成物の有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。上述のとおり、試料の比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が組成物の投与後に腎癌陰性基準レベルにさらに類似するように増加または減少したことを示す場合、その結果は、組成物が腎癌を治療するための有効性を有することを示す。この比較が、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)が、組成物での治療後に腎癌陰性基準レベルにさらに類似するように増加または減少しなかった(または腎癌陽性基準レベルに類似しなくなるようにならなかった)ことを示す場合、その結果は、組成物が腎癌を治療するための有効性を有しないことを示す。この比較は、上述されるように、組成物の投与後の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)において観測される変化の量に基づいて、腎癌を治療するための有効性の程度も示し得る。
腎癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法は、(1)腎癌を有する、および第1の組成物で現在または以前に治療されている第1の対象からの第1の生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(2)腎癌を有する、および第2の組成物で現在または以前に治療されている第2の対象からの第2の生体試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)腎癌を治療するための第1および第2の組成物の相対的有効性を評価するために、第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む。結果は、2つの組成物の相対的有効性を示し、またその結果(または第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベルおよび/または第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可))を、腎癌陽性基準レベル、腎癌陰性基準レベルと比較して、相対的有効性を特徴付ける補助としてもよい。
有効性を評価する方法のそれぞれを、1人以上の対象または1つ以上の対象群(例えば、第1の組成物で治療される第1の群、および第2の組成物で治療される第2の群)に対して行ってもよい。
本明細書に記載される他の方法と同様に、腎癌を治療するための組成物の有効性(または相対有効性)を評価する方法において行われる比較は、簡単な比較、1つ以上の統計分析、数理モデル、アルゴリズム、およびこれらの組み合わせを含む、様々な技術を用いて行われ得る。用いられ得る技術の一例は、対象についてRCCスコアを決定することである。任意の好適な方法を用いて、試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定するために、生体試料を分析してもよい。さらに、表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーのすべての組み合わせ、またはそれらの任意の分画を含む、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定し、腎癌を治療するための組成物の有効性(または相対的有効性)を評価する方法で用いられ得る。
最後に、腎癌を治療するための1つ以上の組成物の有効性(または相対的有効性)を評価する方法は、生体試料を分析して、1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含み得る。次に、非バイオマーカー化合物を、腎癌を有する(または有しない)対象について、非バイオマーカー化合物の基準レベルと比較してもよい。
G. 腎癌と関連付けられたバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングする方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌と関連付けられたバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物のスクリーニングも可能にし、これは腎癌を治療することにおいて有用であり得る。腎癌の治療に有用な組成物をスクリーニングする方法は、表1、2、4、8、10、および/または11の1つ以上のバイオマーカーのレベルを調節することにおける活性のための試験組成物を検定することを含む。このようなスクリーニング検定は、インビトロおよび/またはインビボで行われてよく、例えば、細胞培養検定、器官培養検定、およびインビボ検定(例えば、動物モデルを伴う検定)などの試験組成物の存在下で、このようなバイオマーカーの調節を検定するために有用な当該技術分野において既知の任意の形態であってもよい。
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌と関連付けられたバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物のスクリーニングも可能にし、これは腎癌を治療することにおいて有用であり得る。腎癌の治療に有用な組成物をスクリーニングする方法は、表1、2、4、8、10、および/または11の1つ以上のバイオマーカーのレベルを調節することにおける活性のための試験組成物を検定することを含む。このようなスクリーニング検定は、インビトロおよび/またはインビボで行われてよく、例えば、細胞培養検定、器官培養検定、およびインビボ検定(例えば、動物モデルを伴う検定)などの試験組成物の存在下で、このようなバイオマーカーの調節を検定するために有用な当該技術分野において既知の任意の形態であってもよい。
一実施形態では、腎癌の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性のための組成物をスクリーニングするための方法は、(1)1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、(2)1つ以上の細胞の少なくとも一部分、またはその細胞と関連付けられた生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、(3)1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、1つ以上のバイオマーカーの既定の標準レベルと比較して、組成物が1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を調節したか否かを決定することと、を含む。上述のように、細胞は、インビトロおよび/インビボで組成物と接触され得る。1つ以上のバイオマーカーの所定の標準レベルは、組成物の非存在下で、1つ以上の細胞中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)であり得る。1つ以上のバイオマーカーの所定の標準レベルは、組成物と接触しない対照細胞中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)でもあり得る。
さらに、この方法は、1つ以上の細胞の少なくとも一部分またはその細胞と関連付けられた生体試料を分析して、腎癌の1つ以上の非バイオマーカー化合物のレベル(複数可)を決定することをさらに含み得る。次に、非バイオマーカーのレベルを、1つ以上の非バイオマーカー化合物の既定の標準レベルと比較してもよい。
任意の好適な方法を用いて、1つ以上の細胞の少なくとも一部分、またはその細胞と関連付けられた生体試料を分析して、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)(または非バイオマーカー化合物のレベル)を決定してもよい。好適な方法としては、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー)、質量分析(例えば、MS、MS−MS)、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、抗体結合、他の免疫化学技術、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)(または非バイオマーカー化合物のレベル)は、例えば、測定することが望まれるバイオマーカー(複数可)のレベルと相関する化合物(複数可)のレベルを測定する検定を用いることにより、間接的に測定され得る。
H. 腎癌を治療する方法
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌の治療も可能にする。例えば、腎癌を有する対象を治療するために、腎癌を有しない健常な対象と比較して、腎癌において低下する有効な量の1つ以上の腎癌バイオマーカーを、対象に投与してもよい。投与され得るバイオマーカーは、腎癌において減少する表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、投与されるバイオマーカーは、腎癌において減少し、0.10未満のp値を有する表1、2、4、8、10、および/または11に列挙される1つ以上のバイオマーカーである。他の実施形態では、投与されるバイオマーカーは、腎癌において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%(すなわち、非存在)減少する表1、2、4、8、10、および/または11に列挙される1つ以上のバイオマーカーである。
腎癌のバイオマーカーの特定は、腎癌の治療も可能にする。例えば、腎癌を有する対象を治療するために、腎癌を有しない健常な対象と比較して、腎癌において低下する有効な量の1つ以上の腎癌バイオマーカーを、対象に投与してもよい。投与され得るバイオマーカーは、腎癌において減少する表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、投与されるバイオマーカーは、腎癌において減少し、0.10未満のp値を有する表1、2、4、8、10、および/または11に列挙される1つ以上のバイオマーカーである。他の実施形態では、投与されるバイオマーカーは、腎癌において、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%(すなわち、非存在)減少する表1、2、4、8、10、および/または11に列挙される1つ以上のバイオマーカーである。
III. 他の方法
本明細書において論じられるバイオマーカーを用いる他の方法も企図される。例えば、米国特許第7,005,255号、米国特許第7,329,489号、米国特許第7,553,616号、米国特許第7,550,260号、米国特許第7,550,258号、米国特許第7,635,556号、米国特許出願第11/728,826号、米国特許出願第12/463,690号、および米国特許出願第12/182,828号に記載される方法は、本明細書で開示されるバイオマーカーのうちの1つ以上を含む低分子プロファイルを用いて行ってもよい。
本明細書において論じられるバイオマーカーを用いる他の方法も企図される。例えば、米国特許第7,005,255号、米国特許第7,329,489号、米国特許第7,553,616号、米国特許第7,550,260号、米国特許第7,550,258号、米国特許第7,635,556号、米国特許出願第11/728,826号、米国特許出願第12/463,690号、および米国特許出願第12/182,828号に記載される方法は、本明細書で開示されるバイオマーカーのうちの1つ以上を含む低分子プロファイルを用いて行ってもよい。
本明細書に列挙される方法のいずれかにおいて、用いられるバイオマーカーは、0.05未満のp値を有する表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーから選択されてもよい。本明細書に記載の方法のいずれかで用いられるバイオマーカーは、腎癌において(対照と比較して)、または高病期において(対照もしくは低病期と比較して)、または高侵襲性(対照もしくは低侵襲性と比較して)少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%(すなわち、非存在)減少する表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカー、および/または腎癌において(対照もしくは寛解と比較して)、または高病期において(対照もしくは低病期と比較して)、または高侵襲性において(対照もしくは低侵襲性と比較して)、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、またはそれ以上増加する表1、2、4、8、10、および/または11のバイオマーカーから選択され得る。
IV. 実施例
本発明は、非限定的であることが意図される以下の例証的な実施例によりさらに説明される。
本発明は、非限定的であることが意図される以下の例証的な実施例によりさらに説明される。
I. 一般的な方法
A. 腎癌の代謝プロファイルの特定
各試料を分析して、数百の代謝産物の濃度を決定した。GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析法)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析法)などの分析技術を用いて、代謝産物を分析した。複数のアリコートを同時かつ並行して分析し、適切な品質管理(QC)後、各分析から生じる情報を再び合わせた。すべての試料を、数千の特徴に従って特徴付けて、最終的に合計数百の化学種となった。用いられる技術は、新規および化学的に無名の化合物を特定することができた。
A. 腎癌の代謝プロファイルの特定
各試料を分析して、数百の代謝産物の濃度を決定した。GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析法)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析法)などの分析技術を用いて、代謝産物を分析した。複数のアリコートを同時かつ並行して分析し、適切な品質管理(QC)後、各分析から生じる情報を再び合わせた。すべての試料を、数千の特徴に従って特徴付けて、最終的に合計数百の化学種となった。用いられる技術は、新規および化学的に無名の化合物を特定することができた。
B. 統計分析
T検定を用いてデータを分析して、定義可能な集団(例えば、腎癌と対照)を区別するために有用な定義可能な集団または亜集団(例えば、対照生体試料と比較、または腎癌からの寛解にある患者と比較した腎癌生体試料のバイオマーカー)中に差異的なレベルで存在する分子を特定した。定義可能な集団または亜集団における他の分子も特定された。
T検定を用いてデータを分析して、定義可能な集団(例えば、腎癌と対照)を区別するために有用な定義可能な集団または亜集団(例えば、対照生体試料と比較、または腎癌からの寛解にある患者と比較した腎癌生体試料のバイオマーカー)中に差異的なレベルで存在する分子を特定した。定義可能な集団または亜集団における他の分子も特定された。
ランダムフォレスト分析も用いてデータを分析した。ランダムフォレストは、新たなデータセット内の個人が、どの程度良好に既存の群に分類され得るかを推定する。ランダムフォレスト分析は、実験単位および化合物の連続サンプリングに基づいて、一式の分類ツリーを作成する。次に各観測値を、すべての分類ツリーからの多数決に基づいて分類する。統計において、分類ツリーは、変数の組み合わせに基づいて観測値を群に分類する(この例では、変数は代謝産物または化合物である)。ツリーを作成するために用いられるアルゴリズムに関して多くの変動がある。ツリーアルゴリズムは、2つの群間の最大分割を提供する代謝産物(化合物)を検索する。これがノードを生成する。次に、各ノードにおいて、最適な分割を提供する代謝産物が用いられるなどする。ノードを改善することができない場合は、そのノードで停止し、該ノード内の任意の観測は多数群として分類される。
ランダムフォレストは、多数の(例えば、数千の)ツリーに基づいて分類する。化合物のサブセットおよび観測値のサブセットを用いて各ツリーを作成する。ツリーを作成するために用いられる観測値は、インバッグ(in−bag)サンプルと呼ばれ、残りのサンプルはアウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルと呼ばれる。分類ツリーは、インバッグ(in−bag)サンプルから作成され、アウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルは、このツリーから予測される。観測値の最終分類を得るために、アウトオブバッグ(out−of−bag)サンプルであった回数に基づいて、各群の「票数」をカウントする。例えば、観測値1を2,000ツリーで「対照」として分類し、3,000ツリーで「疾患」として分類したと仮定する。「過半数の獲得」を基準として用いて、このサンプルを「疾患」として分類する。
ランダムフォレストの結果を混同行列にまとめる。行は真の群化に対応し、列は、ランダムフォレストからの分類に対応する。したがって、対角要素は正しい分類を示す。2つの群の場合、50%のエラーが偶然に起こり、3つの群の場合、66.67%のエラーが偶然に起こる、などである。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、サンプルが罹患対象に由来するか、または対照対象に由来するか)の推定を示す。
最終分類においてどの変数がより「重要」であるかを判断することも関心のある問題である。「重要性プロット」は、上位化合物であって、それらの重要性に関してランク付けされた上位化合物を示す。この重要性をランク付けするための異なる基準があるが、一般的な考えは、重要な変数を除去すると、重要性の低い変数よりも正確性の大幅な減少を引き起こすことである。
また固定効果およびランダム効果の両方からなる混合モデルを用いてデータを分析し、クラスタ化されたデータが、腎癌と関連付けられるバイオマーカー化合物を特定するために有用なモデルを構築するために広く用いられる。この方法は、疑似関係の可能性を低減し、したがって偽陽性の可能性を低減するために、既知の交絡因子(例えば、年齢、性別、BMI)を制御する能力を可能にする。腫瘍侵襲性のバイオマーカーを評価するために、混合モデル分析に従ってフィッシャー法を用いて、段階、悪性度、および転移の可能性の結果を組み合わせた。腎癌を予測するために有用であり、腎癌と正または負の相関があるバイオマーカー化合物を、これらの分析において特定した。
C. バイオマーカーの特定
統計的に有意であると特定されるものを含む、分析(例えば、GC−MS、LC−MS、LC−MS−MS)で特定された様々なピークを、質量分析法に基づく化学的特定処理にかけた。
統計的に有意であると特定されるものを含む、分析(例えば、GC−MS、LC−MS、LC−MS−MS)で特定された様々なピークを、質量分析法に基づく化学的特定処理にかけた。
実施例1.腎癌の正常な生検組織バイオマーカー
バイオマーカーは、(1)ヒト対象群からの組織試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次に(2)その結果を統計的に分析して、良性組織試料と比較して腎癌組織試料に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された。
バイオマーカーは、(1)ヒト対象群からの組織試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次に(2)その結果を統計的に分析して、良性組織試料と比較して腎癌組織試料に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された。
6つの腎癌陽性および6つの患者適合非癌ヒト腎臓コア生検を、18ゲージバイオプシーガンを用いて腎摘出術後に得られ、2mLの80%メタノールを含む低温バイアル(Nalgene)中に配置した。単一の生検を各バイアルに配置し、室温(22〜24℃)で24〜72時間培養した。培養に続いて、組織学的分析のために組織を溶媒から除去し、溶媒をメタボロミクス分析のために調製した。試料の癌状態を組織病理学的分析により検証した。組織学的分析は、有資格の病理医により行われた。
メタボロミクス分析のために、Turbovap LV蒸発器(Zymark)内で窒素ガス流下40℃で、溶媒抽出物を蒸発乾固させた。回復標準(D,L−2−フルオロフェニルグリシン、D,L−4−クロロフェニルアラニン、トリデカン酸、D6コレステロール)含む、550μLメタノール:水(80:20)中で乾燥した抽出物を再構成した。再構成された溶液をメタボロミクスにより分析した。
代謝産物のレベルを決定した後、統計分析を行って、患者をマッチさせた非癌試料と比較して、腎癌対象において著しく変化した代謝産物を特定した。マッチドペアt検定分析の結果は、91個の代謝産物が、非癌試料と比較して、腎癌試料において著しく変化した(p<0.1)ことを示した。表1は、0.1未満のp値を有する、特定されたバイオマーカーを列挙する。表1は、列挙された各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学的名称、非癌試料平均と比較した癌試料平均の差の比率の指標(正の値は腎癌の増加を表し、負の値は腎癌の減少を表す)、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値およびq値を含む。また入手可能であれば、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子、および入手可能であれば、ヒトメタボロームデータベース(HMDB)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子も表1に含まれる。
患者を適合させた非癌試料と比較して、腎癌試料間で差異的に存在するとして特定されたバイオマーカーが表2に列挙される(p>0.1)。表2のバイオマーカーのすべては、腎癌試料中で少なくとも5%差異的に増加または減少する。表2は、列挙された各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学的名称、良性試料平均と比較した癌試料平均の差の比率の指標(正の値は腎癌の増加を表し、負の値は腎癌の減少を表す)、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値およびq値を含む。また入手可能であれば、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子、および入手可能であれば、ヒトメタボロームデータベース(HMDB)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子も表2に含まれる。
実施例2.組織バイオマーカーに基づく対象の分類のための統計分析
生検試料に関する実施例1で得られたデータを用いて、試料を腎癌群または非癌群に分類するための統計(数理)モデルを作成した。
生検試料に関する実施例1で得られたデータを用いて、試料を腎癌群または非癌群に分類するための統計(数理)モデルを作成した。
ランダムフォレスト分析を用いて、腎試料を腎癌陽性(腎癌)群または癌陰性群に分類した。ランダムフォレストは、新たなデータセット内の個人が、どの程度良好に既存の群に分類され得るかを推定する。これはt検定とは対照的に、2つの集団の未知の平均が異なるか否かを検定する。ランダムフォレストは、実験単位および化合物の連続サンプリングに基づいて、一式の分類ツリーを作成する。次に各観測値を、すべての分類ツリーからの多数決に基づいて分類する。
ランダムフォレストの結果は、試料が83%の予測精度で正確に分類され得ることを示す。表3に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(腎癌または非癌)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が腫瘍を含むか(癌陽性)、または癌陰性であるか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約17%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、腎癌陽性試料の特定が67%の確率で正確に予測され得ること、および非癌試料が100%の確率で予測され得ることを推定した。
17%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約83%の精度で試料が腎癌であるか否かを予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、酸化型グルタチオン(GSSG)、プロリン、2−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アミノ酪酸塩、スフィンゴシン、3−デヒドロカルニチン、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホコリン、2−リノレオイルグリセロホスホコリン、ホスホエタノールアミン、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩(PPi)、ニコチンアミド−アデニン−ジヌクレオチド(NAD+)、3−アミノイソ酪酸塩、2−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−アラキドノイルグリセロホスホコリン、2−オレイルグリセロホスホコリン、グリセリン酸塩、コリン−リン酸塩、ピルビン酸塩、1−アラキドノイルグリセロホスホエタノールアミン、アデニン、1−2−プロパンジオール、2−ドコサヘキサノイルグリセロホスホエタノールアミン、2−ヒドロキシ酪酸塩(AHB)、クレアチン、グリコール酸塩(ヒドロキシ酢酸塩)、リンゴ酸塩、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ステアロイルカルニチン、および1−アラキドノイルグリセロホスホイノシトールである。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、腎癌陽性試料が、感度67%、特異性100%、陽性予測値(PPV)100%、および陰性予測値(NPV)75%で非癌試料から区別されたことを実証した。
さらに、実施例1の生検試料からp<0.05が得られたバイオマーカーを用いて、主成分分析(PCA)を行い、試料を非癌または腎癌(RCC)として分類した。
PCAを用いて作成された数理モデルを用いて、6つの癌陰性試料のうち6つが癌陰性として正確に分類されたが、6つの腎癌陽性試料のうちの5つは、バイオマーカー存在度に基づいて、腎癌として正確に分類された。PCA結果のグラフ図を図1に示す。
実施例1の生検試料からp<0.05が特定されたバイオマーカーを用いて、階層クラスタリング(ユークリッド距離)も用いて対象を分類した。この分析は、対象を2つの別個の群に分割した。1つの群は、4つの癌生検および1つの非癌生検で構成され、もう1つの群は、2つの癌生検および5つの非癌生検で構成された。これらのデータは、組織生検バイオマーカー代謝産物レベルを用いて区別され得る、腎疾患および/または腎癌の複数の代謝型があることを示唆する。例えば、第2の群において特定された癌含有試料は、侵襲性の低い形態の腎癌を有し得るか、または癌の初期段階であり得る。癌の種類(例えば、低侵襲性対高侵襲性)と癌の病期との間の区別は、治療の経過を決定する医師に対して有用な情報であり得る。図2は、階層クラスタリングの結果のグラフ図を提供する。
実施例3.腎癌の組織バイオマーカー
バイオマーカーは、(1)ヒト対象群からの組織試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次に(2)その結果を統計的に分析して、以下の群内に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された:腫瘍組織と比較した正常組織、正常組織と比較した早期(T1)癌組織、および正常組織と比較した後期(T3)癌組織。
バイオマーカーは、(1)ヒト対象群からの組織試料を分析して、試料中の代謝産物のレベルを決定し、次に(2)その結果を統計的に分析して、以下の群内に差異的に存在する代謝産物を決定することにより発見された:腫瘍組織と比較した正常組織、正常組織と比較した早期(T1)癌組織、および正常組織と比較した後期(T3)癌組織。
分析に用いられるた試料は、RCCを持つ140人の対照から採取されたRCC腫瘍および隣接する正常腎組織のマッチドペアであった。病期1(T1)腎癌を有する対象43人、病期2(T2)腎癌の対象13人、病期3(T3)腎癌の対象80人、および病期4(T4)腎癌を持つ対象4人の腫瘍病期に基づいて、対象をさらに分割した。
代謝産物のレベルが決定された後、ウェルチの2試料t検定を用いてデータを分析した。3つの比較を用いて、腎癌のバイオマーカーを識別した:腎癌対正常、T1腎対正常、T3腎癌対正常。以下の表4に列挙されるように、名前が挙げられた化合物の分析は、a)腎癌と正常組織、b)早期(T1)腎癌と正常組織、および/またはc)後期(T3)腎癌と正常組織の間で差異的に存在するバイオマーカーを特定した。
表4は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、非腎癌平均レベルと比較した腎癌試料中のバイオマーカーの平均レベルの比である、非腎癌試料と比較した腎癌中のバイオマーカーの倍率変化(FC)(腫瘍/正常、T1腫瘍/T1正常、およびT3腫瘍/T3正常)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。
バイオマーカーを用いて、試料を分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、バイオマーカーを数理モデルにおいて使用して、試料を正常組織または腫瘍(癌)として分類した。140人の対象からの患者をマッチさせた腎腫瘍および正常組織からの試料を、この分析に用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が99%の予測精度で分類されたことを示す。表5に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(腫瘍または正常)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が腫瘍組織に由来するか、または正常組織に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約1%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、正常な対象の識別が98%の確率で正確に予測され得ること、および腎癌対象が100%の確率で予測され得ることを推定した。
1%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約99%の精度で試料の腫瘍状態を予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、マルトース、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、1−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、フェニルアセチルグルタミン、グルコース6−リン酸塩(G6P)、1−オレイルグリセロホスホエタノールアミン、プソイドウリジン、マルトトリオース、N6−アセチルリシン、2−オレイルグリセロホスホエタノールアミン、グルコース、エイコセン酸(20:1n9または1n11)、フルクトース−6−リン酸塩、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、マルトテトラオース、N1−メチルグアノシン、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、ジメチルアルギニン(ADMA+SDMA)、N1−メチルアデノシン、パントテン酸塩、マロニルカルニチン、アラキドン酸塩(20:4n6)、1−パルミトイルプラスメニルエタノールアミン、馬尿酸塩、1−ステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、キヌレニン、α−トコフェロール、フルクトース1−リン酸塩、および1−ステアロイルグリセロホスホイノシトールである。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、腫瘍試料が、感度99%、特異性98%、PPV98%、およびNPV99%で正常対象から区別されたことを実証した。
バイオマーカーを用いて、早期(T1)試料を分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、バイオマーカーを数理モデルにおいて使用して、試料を正常組織または腫瘍として分類した。43人の病期1(T1)腎癌を持つ対象からの患者をマッチさせた腎腫瘍および正常組織からの試料を、この分析に用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が99%の予測精度で分類されたことを示す。表6に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(T1腫瘍またはT1正常)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が腫瘍組織に由来するか、または正常組織に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約1%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、正常な対象の識別が98%の確率で正確に予測され得ること、および腎癌対象が100%の確率で予測され得ることを推定した。
1%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約99%の精度で試料の腫瘍状態を予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、1−オレイル−GPE(18:1)、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、1−パルミトイル−GPE(16:0)、マルトース、2−オレオイル−GPE(18:1)、エイコセン酸塩(20:1n9または1n11)、1−パルミトイル−GPI(16:0)、2−パルミトイル−GPE(16:0)、1−ステアロイル−GPI(18:0)、N2−メチルグアノシン、フェニルアセチルグルタミン、N−アセチルノイルアミン酸塩、β−アラニン、マロニルカルニチン、フルクトース6−リン酸塩、γ−グルタミルグルタミン酸塩、FAD、プソイドウリジン、1−メチルグアニシン、1−ステアロイル−GPE(18:0)、クエン酸塩、パントテン酸塩(ビタミンB5)、1−パルミトイルプラスメニルエタノールアミン、アラキドン酸塩(20:4n6)、N6−アセチルリシン、1−オレオイル−GPI(18:1)、2−メチルブチロイルカルニチン(C5)、フルクトース1−リン酸塩、α−トコフェロールである。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、腫瘍試料が、感度100%、特異性98%、PPV98%、およびNPV100%で正常試料から区別されたことを実証した。
バイオマーカーを用いて、試料を分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、バイオマーカーを数理モデルにおいて使用して、試料を正常または腫瘍として分類した。80人の病期3(T3)腎癌を持つ対象からの患者をマッチさせた腎腫瘍および正常組織からの試料を、この分析に用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が98%の予測精度で分類されたことを示す。表7に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(T3腫瘍またはT3正常)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が腫瘍組織に由来するか、または正常組織に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約2%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、正常な対象の識別が96%の確率で正確に予測され得ること、および腎癌対象が99%の確率で予測され得ることを推定した。
2%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約98%の精度で試料の腫瘍状態を予測した。群を区別するための例示的バイオマーカーは、マルトース、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)、N−アセチル−アスパルチル−グルタミン酸塩(NAAG)、グルコース6−リン酸塩(G6P)、マルトテトラオース、フェニルアセチルグルタミン、マルトトリオース、プソイドウリジン、1−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、N1−メチルグアノシン、メチル−α−グルコピラノシド、フルクトース−6−リン酸塩、1−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、N6−アセチルリシン、ジメチルアルギニン(ADMA+SDMA)、1−パルミトイルグリセロホスホイノシトール、馬尿酸塩、N1−メチルアデノシン、マンノース−6−リン酸塩、エイコセン酸塩(20:1n9または11)、グルコース、パンッテン酸塩、2−オレオイルグリセロホスホエタノールアミン、α−トコフェロール、2−ヒドロキシグルタル酸塩、2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、アラビトール、マロニルカルニチン、アラキドン酸塩(20:4n6)、およびエルゴチオネインである。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、腫瘍試料が、感度99%、特異性96%、PPV96%、およびNPV99%で正常対象から区別されたことを実証した。
実施例4.腎癌を病期分類するための組織バイオマーカー
腎癌の病期分類は、腎腫瘍が腎臓を越えてどこまで広がっているかの指標を提供する。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。腎腫瘍の病期は、T1(腫瘍サイズが7cm以下で腎臓に限定される、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍がゲロタ筋膜を越えて浸潤している、最も進行した状態)に及ぶ。
腎癌の病期分類は、腎腫瘍が腎臓を越えてどこまで広がっているかの指標を提供する。腫瘍病期を用いて、治療オプションを選択し、患者の予後を推定する。腎腫瘍の病期は、T1(腫瘍サイズが7cm以下で腎臓に限定される、一番進行していない状態)〜T4(腫瘍がゲロタ筋膜を越えて浸潤している、最も進行した状態)に及ぶ。
腎癌の病期分類のバイオマーカーを特定するために、低病期RCC(T1、T2)の対象56人、および高病期RCC(T3、T4)の対象84人からの組織試料に対してメタボロミクス分析を行った。代謝産物のレベルが決定された後、ウェルチの2試料t検定を用いてデータを分析し、低病期腎癌と高病期腎癌との間で異なるバイオマーカーを特定した。バイオマーカーは、表8に列挙される。
表8は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、低病期腎癌と比較した高病期腎癌(T3、T4腫瘍/T1、T2腫瘍)におけるバイオマーカーの倍率変化(FC)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。表8の列4および5は、入手可能であれば、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子、および入手可能であれば、ヒトメタボロームデータベース(HMDB)におけるそのバイオマーカー化合物の識別子を含む。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。
バイオマーカーを用いて、対象を分類するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いてバイオマーカーを評価し、対象を低病期腎癌または高病期腎癌を有するとして分類した。低病期RCC(T1、T2)の対象56人および高病期RCC(T3、T4)の対象84人からの試料をこの分析に用いた。
ランダムフォレストの結果は、試料が72%の予測精度で分類されたことを示す。表9に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(低病期または高病期)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料が低病期RCCを持つ対象に由来するか、または高病期RCCを持つ対象に由来するか)の推定を示す。このランダムフォレストからのOOBエラー率は、約28%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、低病期RCC対象の識別が68%の確率で正確に予測され得ること、および高病期RCC対象が75%の確率で予測され得ることを推定した。
28%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約72%の精度で試料が低病期腎癌を持つ個人に由来するか、または高病期腎癌を持つ個人に由来するかを予測した。群を区別するための例示的なバイオマーカーは、コリン、ペラルゴン酸塩(9:0)、アルギニン、γ−グルタミルロイシン、キサンチン、チロシン、5−オキソプロリン、イノシチオール−1−リン酸塩(I1P)、N2−メチルグアノシン、イソロイシン、2−エチルヘキサン酸塩、ロイシン、アデニン、5−メチルチオアデノシン(MTA)、ラウリル酸塩(12:0)、フェニルアラニン、マンノース、ウラシル、キサントシン、エリスリトール、グアノシン−5−モノリン酸塩−5(GMP)、ホモシステイン、乳酸塩、4−ヒドロキシ酪酸塩(GHB)、リボース、フコース、S−アデノシルホモシステイン(SAH)、マンニトール、ヒポキサンチン、およびトレオニンである。
ランダムフォレスト分析は、バイオマーカーを用いることにより、低病期腎癌対象が、感度75%、特異性68%、PPV78%、およびNPV64%で高病期腎癌対象から区別されたことを実証した。
実施例5.腎癌の侵襲性についての組織バイオマーカー
腎癌を持つ対象からの腫瘍を、以下の3つの基準に基づいて侵襲性について評価した:腫瘍病期、腫瘍悪性度、および腫瘍転移の可能性。腎癌の侵襲性のバイオマーカーを特定するために、腎癌対象140人からの組織試料に対してメタボロミクス分析を行った。腫瘍病期、悪性度、および転移の可能性を各対象について報告した。代謝産物のレベルが決定された後、固定効果およびランダム効果からなる混合モデルを用いて分析した。次にフィッシャー法を、腫瘍病期、腫瘍悪性度、および腫瘍転移の可能性という侵襲性基準と併せて用いて、腎癌侵襲性と関連付けられるバイオマーカーを特定した。腎癌の侵襲性と最も高度に関連付けられた50のバイオマーカーが表10に列挙される。
腎癌を持つ対象からの腫瘍を、以下の3つの基準に基づいて侵襲性について評価した:腫瘍病期、腫瘍悪性度、および腫瘍転移の可能性。腎癌の侵襲性のバイオマーカーを特定するために、腎癌対象140人からの組織試料に対してメタボロミクス分析を行った。腫瘍病期、悪性度、および転移の可能性を各対象について報告した。代謝産物のレベルが決定された後、固定効果およびランダム効果からなる混合モデルを用いて分析した。次にフィッシャー法を、腫瘍病期、腫瘍悪性度、および腫瘍転移の可能性という侵襲性基準と併せて用いて、腎癌侵襲性と関連付けられるバイオマーカーを特定した。腎癌の侵襲性と最も高度に関連付けられた50のバイオマーカーが表10に列挙される。
表10は、バイオマーカーの生化学的名称、認証基準の組織内化学ライブラリにおけるそのバイオマーカー化合物の内部識別子(CompID)、バイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値、およびこのバイオマーカーが侵襲性と正の関連があるか、または負の関連があるかを含む。正の関連は、腎癌の侵襲性が増加するにつれて、バイオマーカーのレベルが増加する(すなわち、バイオマーカーは侵襲性の高い癌においてより高い)ことを意味し、負の関連は、腎癌の侵襲性が増加するにつれて、バイオマーカーのレベルが減少する(すなわち、バイオマーカーは侵襲性の高い癌においてより低い)ことを意味する。
VII. 実施例6.腎細胞癌の尿バイオマーカー
腎細胞癌のバイオマーカーを特定するために、1)RCC、2)前立腺癌(PCA)、3)膀胱癌(BCA)、および4)正常対象から採取した尿試料をメタボロミック的に分析した。代謝産物のレベルが決定された後、一元配置分散分析(ANOVA)対比を用いてRCCのバイオマーカーを特定した。RCCのバイオマーカーを、1)RCCと正常対象、2)RCCとPCA対象、および/または3)RCCとBCA対象との間で異なる代謝産物として識別した。バイオマーカーは、表11に列挙される。
腎細胞癌のバイオマーカーを特定するために、1)RCC、2)前立腺癌(PCA)、3)膀胱癌(BCA)、および4)正常対象から採取した尿試料をメタボロミック的に分析した。代謝産物のレベルが決定された後、一元配置分散分析(ANOVA)対比を用いてRCCのバイオマーカーを特定した。RCCのバイオマーカーを、1)RCCと正常対象、2)RCCとPCA対象、および/または3)RCCとBCA対象との間で異なる代謝産物として識別した。バイオマーカーは、表11に列挙される。
表11は、各バイオマーカーについて、バイオマーカーの生化学名、1)正常と比較したRCC、2)BCAと比較したRCC、3)PCAと比較したRCCにおけるバイオマーカーの倍率変化(FC)、およびバイオマーカーに関するデータの統計分析において決定されたp値を含む。表11の列8において、入手可能であれば、ヒトメタボロームデータベース(HMDB)におけるバイオマーカー化合物の識別子が列挙される。太字の値は、0.1以下のp値を持つ倍率変化を示す。
次に、バイオマーカーを用いて、腎癌を有する対象を特定するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いて、バイオマーカーを数理モデルにおいて使用して、対象を腎癌を有するか、または正常として分類した。ランダムフォレストの結果は、試料が93%の予測精度で分類されたことを示す。表12に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(RCCまたは正常)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料がRCC対象に由来するか、または正常な対象に由来するか)の推定を示す。OOBエラー率は、約7%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、RCC対象の識別が93%の確率で正確に予測され得ること、および正常対象が94%の確率で予測され得ることを推定した。
7%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約93%の精度でRCCを持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するための例示的なバイオマーカーは、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、カテコール−硫酸塩、グリセロール、2−ヒドロキシ馬尿酸塩(サリチル尿酸塩)、N(2)−フロイル−グリシン、3−ヒドロキシフェニル酢酸塩、グロノ1,4−ラクトン、2−イソプロピルリンゴ酸塩、2−3−ジヒドロキシイソ吉草酸塩、1−2−プロパンジオール、グリコン酸塩、シンナモイルグリシン、フェニルアセチルグリシン、ソルボース、スクロース、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、ヘキサノイルグリシン、メチル−インドール−3−酢酸塩、3−ヒドロキシ馬尿酸塩、N6−メチルアデノシン、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸、α−CEHC−グルクロニド、フェニルプロピニルグリシン、バニリン酸塩、エタノールアミン、ガラクトース、アジピン酸塩、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、および3−4−ジヒドロキシフェニル酢酸塩である。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、RCC対象が、感度94%、特異性93%、PPV88%、およびNPV97%で正常対象から区別されたことを実証した。
バイオマーカーを用いて、腎癌を有する対象を前立腺癌を有する対象から区別するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いてバイオマーカーを評価し、対象をRCCまたはPCAを有するとして分類した。ランダムフォレストの結果は、試料が80%の予測精度で分類されたことを示す。表15に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(RCCまたはPCA)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料がRCC対象に由来するか、またはPCA対象に由来するか)の推定を示す。OOBエラー率は、約20%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、表13に示されるように、RCC対象の識別が77%の確率で正確に予測され得ること、およびPCA対象が83%の確率で正確に予測され得ることを推定した。
20%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約80%の精度で試料がRCCを持つ個人に由来するか否かを予測した。群を区別するために最も重要なバイオマーカーであるバイオマーカーは、グルコン酸塩、1,2−プロパンジニオール、ガラクトース、グロノ1,4−ラクトン、オロチジン、キナ酸塩、1,3−7−トリメチル尿酸塩、グアニン、フェニルアセチルグルタミン、マンニトール、2−オキシンドール−3−酢酸塩、1,3−アミノプロピル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル尿酸塩、同重体−グルクロン酸塩−ガラクツロン酸塩−5−ケト−グルコン酸塩、グリココール酸塩、アゼライン酸塩(ノナンジオン酸塩)、N−アセチルトレオニン、7−ケトデオキシコール酸塩、3−シアリルラクトース、イソバレリルカルニチン、コール酸塩、アデノシン5′モノリン酸塩(AMP)、2−3−ブタンジオール、2−ヒドロキシ馬尿酸塩、ピペコール酸塩、N−アセチルフェニルアラニン、12−デヒドロコール酸塩、α−ケトグルタル酸塩、スルフォラファンである。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、RCC対象が、感度77%、特異性83%、PPV79%、およびNPV81%でPCA対象から区別されたことを実証した。
バイオマーカーを用いて、腎癌を有する対象を膀胱癌を有する対象から識別するための統計モデルを作成した。ランダムフォレスト分析を用いてバイオマーカーを評価し、対象をRCCまたはBCAを有するとして分類した。ランダムフォレストの結果は、試料が75%の予測精度で分類されたことを示す。表14に示される混同行列は、各分類に対して予測される試料数および各群における実際の数(RCCまたはBCA)を示す。「アウトオブバッグ(Out−of−Bag)」(OOB)エラー率は、新たな観測値が、ランダムフォレストモデルを用いてどの程度正確に予測され得るか(例えば、試料がRCC対象に由来するか、またはBCA対象に由来するか)の推定を示す。OOBエラー率は、約25%であり、モデルは、新たな対象群に対して用いられるとき、表14に示されるように、RCC対象の識別が76%の確率で正確に予測され得ること、およびBCA対象が73%の確率で正確に予測され得ることを推定した。
25%のOOBエラー率に基づいて、作成されたランダムフォレストモデルは、対象からの試料において測定されたバイオマーカーのレベルに基づいて、約75%の精度でRCCを持つ個人から試料が得られたか否かを予測した。群を区別するために最も重要なバイオマーカーであるバイオマーカーは、3−インドキシル−硫酸塩、メチル−インドール−3−酢酸塩、メチル−4−ヒドロキシ安息香酸塩、乳酸塩、N(2)−フロイル−グリシン、N6−メチルアデノシン、γ−CEHC、グリセロール、2−3−ブタンジオール、パルミトイル−スフィンゴミエリン、コハク酸塩、4−ヒドロキシフェニル酢酸塩、カフェイン酸塩、イミダゾール−プリピオン酸塩、β−アラニン、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−2,5−メチルチオアデノシン(MTA)、N2−アセチルリシン、スクロース、フェニルアセチルグリシン、4−アンドロステン−3β−17β−ジオール−二硫酸塩−1、cyclo−gly−pro、N−メチル−プロリン、カテコール−硫酸塩、セリン、バニリン酸塩、トレオニン、21−ヒドロキシプレグネノロン−二硫酸塩、アデノシン5′−モノリン酸塩(AMP)、フェニルアセチルグルタミンである。
ランダムフォレストの結果は、バイオマーカーを用いることにより、RCC対象が、感度73%、特異性78%、PPV69%、およびNPV79%でBCA対象から区別されたことを実証した。
実施例7:腎癌の進行/退縮を監視するためのアルゴリズム
腎癌のバイオマーカーを用いて、対象における腎癌の進行/退縮を監視するためのアルゴリズムを開発することができる。このアルゴリズムは、表1、2、4、8、10、および/または11からの代謝産物バイオマーカーのパネルに基づいて、新たな患者群に対して用いられるとき、患者の腎癌の進行/退縮を評価および監視する。このバイオマーカーアルゴリズムの結果を用いて、腫瘍内科医は、手術(例えば、腎全摘出術または腎部分摘出術)、薬物治療、または慎重な経過観察手法のリスクと利益を評価することができる。
腎癌のバイオマーカーを用いて、対象における腎癌の進行/退縮を監視するためのアルゴリズムを開発することができる。このアルゴリズムは、表1、2、4、8、10、および/または11からの代謝産物バイオマーカーのパネルに基づいて、新たな患者群に対して用いられるとき、患者の腎癌の進行/退縮を評価および監視する。このバイオマーカーアルゴリズムの結果を用いて、腫瘍内科医は、手術(例えば、腎全摘出術または腎部分摘出術)、薬物治療、または慎重な経過観察手法のリスクと利益を評価することができる。
このバイオマーカーアルゴリズムは、表1、2、4、8、10、および/または11で識別された腎癌のバイオマーカーのパネルのレベルを監視することができる。
Claims (27)
- 対象が腎癌を有するか否かを診断する、または診断を補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表1、2、4、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象が腎癌を有するか否かを診断するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 前記試料が、質量分析法、ELISA、および抗体結合からなる群から選択される1つ以上の技法を用いて分析される、請求項1に記載の方法。
- 前記方法が、表1、2、4、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項2に記載の方法。
- 対象における腎癌の進行/退縮を監視する方法であって、
対象からの第1の生体試料であって、前記対象から第1の時点で得られる、第1の試料を分析して、前記試料中の、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
対象からの第2の生体試料であって、前記対象から第2の時点で得られる、第2の試料を分析して、前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を決定することと、
前記対象における腎癌の前記進行/退縮を監視するために、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)、前記第2の試料中の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)、ならびに/または前記第1および第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)の前記比較の結果を、前記1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性および/または腎癌陰性基準レベルと比較することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
- 前記方法が、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項5に記載の方法。
- 腎癌を有する対象の腎癌の病期を決定する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表8から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記腎癌の前記病期を決定するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの高病期腎癌および/または低病期腎癌の基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 数理モデルを用いて、腎癌を有する対象の腎癌の病期を決定する、請求項7に記載の方法。
- 腎癌を有する対象における侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表10から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象の腎癌の前記侵襲性を決定するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの侵襲性の低い腎癌および/または侵襲性の高い腎癌の基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 数理モデルを用いて、腎癌を有する対象において侵襲性の低い腎癌を侵襲性の高い腎癌から区別する、請求項9に記載の方法。
- 泌尿器科癌と診断された対象において、腎癌を前立腺癌から区別することを補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表11から選択される、腎癌対前立腺癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象における腎癌と前立腺癌とを区別するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの腎癌対前立腺癌基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 数理モデルを用いて、泌尿器科癌と診断された対象において、腎癌を前立腺癌から区別することを補助する、請求項11に記載の方法。
- 泌尿器科癌と診断された対象において、腎癌を膀胱癌から区別することを補助する方法であって、
対象からの生体試料を分析して、前記試料中の、表11から選択される、腎癌対膀胱癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記対象における腎癌と膀胱癌とを区別するために、前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記1つ以上のバイオマーカーの腎癌対膀胱癌基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 数理モデルを用いて、泌尿器科癌と診断された対象において、腎癌を膀胱癌から区別することを補助する、請求項13に記載の方法。
- 腎癌を治療するための組成物の有効性を評価する方法であって、
腎癌を有する、および前記組成物で現在または以前に治療されている対象からの生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記試料中の前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、(a)前記対象から以前に採取された生体試料であって、前記組成物で治療される前に前記対象から得られた生体試料中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル、(b)前記1つ以上のバイオマーカーの腎癌陽性基準レベル、および/または(c)前記1つ以上のバイオマーカーの腎癌陰性基準レベルと比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項15に記載の方法。
- 腎癌を治療することにおける組成物の有効性を評価する方法であって、
対象からの第1の生体試料であって、前記対象から第1の時点で得られる前記第1の試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
前記組成物を前記対象に投与することと、
前記対象からの第2の生体試料であって、前記組成物の投与後の第2の時点で前記対象から得られる前記第2の試料を分析して、前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を決定することと、
腎癌を治療するための前記組成物の前記有効性を評価するために、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項17に記載の方法。
- 腎癌を治療するための2つ以上の組成物の相対的有効性を評価する方法であって、
腎癌を有する、および第1の組成物で現在または以前に治療されている第1の対象からの第1の生体試料を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
腎癌を有する、および第2の組成物で現在または以前に治療されている第2の対象からの第2の生体試料を分析して、前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を決定することと、
腎癌を治療するための前記第1および第2の組成物の前記相対的有効性を評価するために、前記第1の試料中の1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)を、前記第2の試料中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)と比較することと、を含む、方法。 - 前記方法が、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される1つ以上のバイオマーカーまたは測定値を含む数理モデルを用いて、前記対象および前記対象からの生体試料を分析することを含む、請求項19に記載の方法。
- 腎癌の1つ以上のバイオマーカーを調節することにおける活性について組成物をスクリーニングするための方法であって、
1つ以上の細胞を組成物と接触させることと、
前記1つ以上の細胞または前記細胞と関連付けられた生体試料の少なくとも一部分を分析して、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される腎癌の1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を決定することと、
前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を、前記バイオマーカーの所定の標準レベルと比較して、前記組成物が、前記1つ以上のバイオマーカーの前記レベル(複数可)を調節したか否かを決定することと、を含む、方法。 - 前記バイオマーカーの前記所定の標準レベルが、前記組成物の非存在下での、前記1つ以上の細胞中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)である、請求項21に記載の方法。
- 前記バイオマーカーの前記所定の標準レベルが、前記組成物と接触していない1つ以上の対照細胞中の前記1つ以上のバイオマーカーのレベル(複数可)である、請求項21に記載の方法。
- 前記方法が、インビボで行われる、請求項21に記載の方法。
- 前記方法が、インビトロで行われる、請求項21に記載の方法。
- 腎癌を有する対象において減少する、表1、2、4、8、10、および/または11から選択される有効な量の1つ以上のバイオマーカーを前記対象に投与することを含む、腎癌を有する対象を治療するための方法。
- RCCスコアを決定することが、その方法を補助する、請求項1、4、7、9、15、17、および19に記載の方法。
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