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JP2015133247A - 有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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JP2015133247A
JP2015133247A JP2014004328A JP2014004328A JP2015133247A JP 2015133247 A JP2015133247 A JP 2015133247A JP 2014004328 A JP2014004328 A JP 2014004328A JP 2014004328 A JP2014004328 A JP 2014004328A JP 2015133247 A JP2015133247 A JP 2015133247A
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】 防湿層と吸湿層の剥離などを防止して、発光寿命の長い有機EL装置を提供する。
【解決手段】 本発明の有機EL装置1は、支持基板2と、前記支持基板2上に設けられた有機EL素子3と、前記有機EL素子3上に設けられ且つ吸湿性を有する成分を含む吸湿層4と、前記吸湿層4上に設けられ且つ防湿性を有する成分を含む防湿層5と、を有し、前記吸湿層4と防湿層5の間に、吸湿性を有する成分と防湿性を有する成分を含む複数の混合層61,62,63が介在されており、前記複数の混合層のうち、前記吸湿層4側の混合層61は、前記防湿層5側の混合層63に比して前記吸湿性を有する成分の含有率が大きい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
以下、有機エレクトロルミネッセンスを「有機EL」と記す。
従来、支持基板と、前記支持基板上に設けられた有機EL素子と、を有する有機EL装置が知られている。前記有機EL素子は、第1電極と、第2電極と、前記両電極の間に設けられた有機層と、を有する。
前記有機EL素子は、水分によって劣化し易い。有機EL素子の水分劣化を防止するため、例えば、特許文献1には、支持基板に設けられた有機EL素子と、有機EL素子上に設けられた吸湿層と、吸湿層上に設けられたガスバリア層と、を有する有機EL装置が開示されている。特許文献1の前記吸湿層は、酸化カルシウム又は酸化ストロンチウムなどの金属酸化物から形成され、前記ガスバリア層は、窒化ケイ素、酸化ケイ素又は酸化窒化ケイ素から形成されている。ガスバリア層は、防湿層に相当する。
特許文献1の有機EL装置によれば、ガスバリア層によって有機EL装置に水分が侵入することを防止できる上、ガスバリア層と有機EL素子の間に設けられた吸湿層が水分を吸収するので、有機EL素子の水分劣化を抑制できる。
しかしながら、前記吸湿層が水分を吸収すると、それが体積膨張するので、ガスバリア層が吸湿層から部分的に剥がれる、又は、ガスバリア層や吸湿層にクラックが生じるおそれがある。前記剥離やクラックが生じると、その部分から有機EL素子に水分が侵入して有機EL素子が劣化する。このため、従来の有機EL装置は、発光寿命が短く、その改善が求められる。
特開2011−020335号公報
本発明の目的は、防湿層と吸湿層の剥離などを防止して、発光寿命の長い有機EL装置を提供することである。
本発明の有機EL装置は、支持基板と、前記支持基板上に設けられた有機EL素子と、前記有機EL素子上に設けられ且つ吸湿性を有する成分を含む吸湿層と、前記吸湿層上に設けられ且つ防湿性を有する成分を含む防湿層と、を有し、前記吸湿層と防湿層の間に、吸湿性を有する成分と防湿性を有する成分を含む複数の混合層が介在されており、前記複数の混合層のうち、前記吸湿層側の混合層は、前記防湿層側の混合層に比して前記吸湿性を有する成分の含有率が大きい。
好ましくは、前記吸湿層側の混合層は、前記防湿層側の混合層に比して前記防湿性を有する成分の含有率が小さい。
好ましくは、前記吸湿層側から防湿層側へと順に、第1、第2及び第3混合層が積層されており、それらの混合層に含まれる前記吸湿性を有する成分の含有率が、第1混合層中の吸湿性を有する成分の含有率>第2混合層中の吸湿性を有する成分の含有率>第3混合層中の吸湿性を有する成分の含有率、の関係を満たしている。
好ましくは、前記第1、第2及び第3混合層に含まれる前記防湿性を有する成分の含有率が、第1混合層中の防湿性を有する成分の含有率<第2混合層中の防湿性を有する成分の含有率<第3混合層中の防湿性を有する成分の含有率、の関係を満たしている。
本発明の有機EL装置は、防湿層が吸湿層から剥離し難く、長期間安定的に発光し得る。
本発明の有機EL装置の断面図(有機EL装置を厚み方向で切断した断面図)。 1つの実施形態に係る有機EL装置の要部拡大断面図。ただし、図2は、図1と異なり、有機EL素子を1つの層として図示している(図3及び図4も同様)。 他の実施形態に係る有機EL装置の要部拡大断面図。 更に他の実施形態に係る有機EL装置の要部拡大断面図。 吸湿層、混合層及び防湿層を形成するための蒸着装置の概略図。
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。ただし、各図に表された厚み及び長さなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」を付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものである。本明細書において、「PPP〜QQQ」という表記は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
[有機EL装置の構成]
本発明の有機EL装置1は、図1に示すように、支持基板2と、前記支持基板2の上に設けられた有機EL素子3と、前記有機EL素子3の上に設けられた吸湿層4と、前記吸湿層4の上に設けられた混合層6と、前記混合層6の上に設けられた防湿層5と、を有する。混合層6は、図2に示すように、複数の混合層61,62,63から構成されている。前記複数の混合層61,62,63のうち、前記吸湿層4側の混合層61は、前記防湿層5側の混合層に比して前記吸湿性を有する成分の含有率が大きい。前記吸湿層4側の混合層61は、前記防湿層5側の混合層に比して前記防湿性を有する成分の含有率が小さい。前記吸湿性は、水分を吸収する性質を意味する。前記防湿性は、水分が侵入することを防止する性質を意味する。また、本明細書において、含有率は、全体の体積を100とした場合の体積%である。
以下、吸湿性を有する成分を「吸湿成分」といい、防湿性を有する成分を「防湿成分」という。また、複数の混合層を区別するために、吸湿層側から防湿層側へと順に、混合層の頭に、第1、第2などを付す。また、複数の混合層を総称して「混合層」という場合がある。
前記有機EL素子3は、図1に示すように、端子31aを有する第1電極31と、端子32aを有する第2電極32と、前記両電極31,32の間に設けられた有機層33と、を有する。
例えば、前記第1電極31の端子31aは、前記有機層33を基準にしてその第1側に配設され、且つ、第2電極32の端子32aは、第2側に配設されている。前記第1側と第2側は、相反する側である。前記吸湿層4、混合層6及び防湿層5は、これらの端子31a,32aを除いて、有機EL素子3の表面を被覆するように積層接着されている。
支持基板2が導電性を有する場合には、電気的な短絡を防止するため、支持基板2と第1電極31の間に絶縁層(図示せず)が設けられる。
具体的には、前記有機EL素子3は、例えば、平面略長方形状に形成されている。もっとも、有機EL素子3の平面形状は、略長方形状に限られず、例えば、略正方形状又は円形状などに形成されていてもよい。
前記有機EL素子3の有機層33は、発光層を含み、必要に応じて、正孔輸送層及び電子輸送層などの各種機能層を有する。有機層33の層構成は、後述する。
第1電極31の端子31aを形成するため、有機層33は、第1電極31の第1側の端部(端子31a)を除いて、第1電極31の表面上に積層されている。
また、有機層33の表面上には、有機層33の表面を被覆するように第2電極32が積層されているが、第2電極32の端子32aを形成するため、第2電極32の端部(端子32a)は、有機層33の端部から第2側に延出されている。
前記第1電極31及び第2電極32の各端子31a,32aは、外部に接続する部分である。第1電極31の端子31aは、第1電極31の露出した表面からなり、第2電極32の端子32aは、第2電極32の露出した表面からなる。
前記吸湿層4は、水分を吸収する層である。かかる吸湿層4を設けることにより、防湿層5を通過した僅かな水分が吸湿層4に吸収されるので、有機EL素子3の水分劣化を効果的に抑制できる。吸湿層4は、第2電極32上に積層されている。換言すると、吸湿層4は、第2電極32と防湿層5の間に設けられている。
前記防湿層5は、有機EL素子3に、水分(水蒸気)などが浸入することを防止するための層である。防湿層5は、吸湿層4を被覆するように、混合層6上に積層されている。
前記混合層6は、吸湿層4と防湿層5を一体化させるためのバインダー層として機能する。混合層6は、吸湿層4と防湿層5の層間の一部分に介在するように設けられていてもよいが、好ましくは、混合層6は、吸湿層4と防湿層5の層間の全体に介在するように設けられている。
図2に示すように、第1混合層61は、吸湿層4上に積層されている。第2混合層62は、第1混合層61上に積層されている。第3混合層63は、第2混合層62上に積層されている。防湿層5は、第3混合層63上に積層されている。第1、第2及び第3混合層61,62,63は、それらに含まれる吸湿成分の含有率及び防湿成分の含有率が、次の関係を満たしている。
第1混合層61中の吸湿成分の含有率>第2混合層62中の吸湿成分の含有率>第3混合層63中の吸湿成分の含有率。
第1混合層61中の防湿成分の含有率<第2混合層62中の防湿成分の含有率<第3混合層63中の防湿成分の含有率。
前記第1、第2及び第3混合層61,62,63に含まれる吸湿成分と防湿成分の比率は特に限定されない。例えば、第1混合層61の吸湿成分:防湿成分は、90:10〜60:40(体積比)であり、第2混合層62の吸湿成分:防湿成分は、60:40〜40:60(体積比)であり、第3混合層63の吸湿成分:防湿成分は、40:60〜10:90(体積比)である。
前記吸湿層4、混合層6及び防湿層5は、前記各端子31a,32aを除いて、有機EL素子3の全体を気密的に覆っている。詳しくは、吸湿層4は、各端子31a,32aを除いて、第2電極32の表面に接着し、さらに、図1に示すように、有機EL素子3の周端面に接着している。また、吸湿層4の周縁部は、第1電極31の表面及び第2電極32の表面にそれぞれ接着されている。なお、有機EL素子3の前記周端面は、素子3の厚みを構成する周囲の面である。防湿層5は吸湿層4の外側に積層されているので、有機EL素子3の周端面は、防湿層5にも覆われている。
なお、図2に示す例では、混合層6は、3層構造からなるが、これに限定されず、例えば、図3に示すように、混合層6が、吸湿層4上に積層された第1混合層61aと、第1混合層61a上に積層された第2混合層62aと、から構成されていてもよい。
この図3の例でも同様に、第1及び第2混合層61a,62aは、吸湿性及び防湿性を有する成分の含有率が、次の関係を満たしている。
第1混合層61a中の吸湿成分の含有率>第2混合層62a中の吸湿成分の含有率。
第1混合層61a中の防湿成分の含有率<第2混合層62a中の防湿成分の含有率。
前記第1及び第2混合層61a,62aに含まれる吸湿成分と防湿成分の比率は特に限定されない。例えば、第1混合層61aの吸湿成分:防湿成分は、90:10〜50:50(体積比)であり、第2混合層62aの吸湿成分:防湿成分は、50:50〜10:90(体積比)である。
また、混合層6は、2層又は3層構造に限られず、4層以上から構成されていてもよい。図4は、4層構造の混合層6を示している。図4において、混合層6は、吸湿層4上に積層された第1混合層61bと、その上に順次積層された第2、第3及び第4混合層62b,63b,64bと、から構成されていてもよい。
この図4の例でも同様に、第1乃至第4混合層61b,62b,63b,64bは、吸湿性及び防湿性を有する成分の含有率が、次の関係を満たしている。
第1混合層61b中の吸湿成分の含有率>第2混合層62b中の吸湿成分の含有率>第3混合層63b中の吸湿成分の含有率>第4混合層64b中の吸湿成分の含有率。
第1混合層61b中の防湿成分の含有率<第2混合層62b中の防湿成分の含有率<第3混合層63b中の防湿成分の含有率<第4混合層64b中の防湿成分の含有率。
前記第1乃至第4混合層61b,62b,63b,64bに含まれる吸湿成分と防湿成分の比率は特に限定されない。例えば、第1混合層61bの吸湿成分:防湿成分は、95:5〜70:30(体積比)であり、第2混合層62bの吸湿成分:防湿成分は、70:30〜50:50(体積比)であり、第3混合層63bの吸湿成分:防湿成分は、50:50〜30:70(体積比)であり、第4混合層64bの吸湿成分:防湿成分は、30:70〜5:95(体積比)である。
なお、図1に示す例では、吸湿層4、混合層6及び防湿層5は、有機EL素子3の周端面までも覆うように設けられているが、吸湿層4及び/又は混合層6及び/又は防湿層5が有機EL素子3の周端面を覆わずに第2電極32の表面のみを覆うように設けられていてもよい(図示せず)。
また、支持基板2と有機EL素子3の間、有機EL素子3と吸湿層4の間、又は、防湿層5の表面に、任意の適切な機能層が設けられていてもよい(機能層は、不図示)。
[支持基板]
前記支持基板は、シート状物であり、好ましくは、フレキシブルなシート状物である。 前記支持基板は、透明又は不透明の何れでもよい。ただし、ボトムエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、透明な支持基板が用いられる。トップエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、透明な支持基板又は不透明の支持基板の何れを用いてもよい。なお、前記透明は、無色透明又は有色透明を意味する。前記透明の指標としては、例えば、全光線透過率70%以上、好ましくは80%以上が例示できる。ただし、前記全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される。
本発明において、支持基板は、水分や酸素などの侵入を防止できるガスバリア性に優れている基板が用いられる。例えば、支持基板は、例えば、金属シート、樹脂シート、ガラスシート、セラミックシートなどから適宜選択して用いることができる。なお、本明細書において、シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものを含む。前記金属シートは、特に限定されないが、例えば、ステンレス、銅、チタン、アルミニウム、合金などからなるフレキシブルな薄板が挙げられる。前記金属シートの厚みは、例えば、10μm〜100μmである。前記樹脂シートは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などからなるフレキシブルな合成樹脂シートが挙げられる。前記樹脂シートの厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜200μmである。良好なガスバリア性を付与できることから、前記樹脂シートの少なくとも一方面に公知のガスバリア層が積層されていてもよい。
また、駆動時に有機EL装置の温度上昇を防止するため、前記支持基板は、放熱性に優れていることが好ましい。なお、支持基板として、導電性基板(金属シートなど)を用いる場合には、対面する電極に対して絶縁するため、前記支持基板の表面に絶縁層が設けられる。
[吸湿層]
吸湿層は、水分を吸収する性質(吸湿性)を有する層である。吸湿層の形成材料は、吸湿成分が含まれていれば特に限定されない。前記吸湿成分としては、例えば、ホウ素化合物;硫化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、硫酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩又は過塩素酸塩;などが挙げられる。
真空蒸着法を用いて容易に吸湿層を形成することができることから、吸湿成分は、ホウ素化合物及び硫化物の少なくとも一方が好ましく、ホウ素化合物又は硫化物がより好ましい。
前記ホウ素化合物は、その分子中にホウ素原子が含まれている化合物であり、例えば、ホウ素の酸化物、ホウ素の酸素酸、ホウ素の臭化物などが挙げられる。前記ホウ素の酸化物としては、酸化ホウ素(B)が挙げられる。前記ホウ素の酸素酸は、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸又はその塩である。ホウ素の酸素酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。前記ホウ素の臭化物としては、三臭化ホウ素(BBr)が挙げられる。これらの中では、吸湿性に優れていることから、酸化ホウ素が好ましい。また、酸化ホウ素は、透明性にも優れているので、トップエミッション型の有機EL装置の吸湿層の形成材料として好適である。
前記硫化物としては、硫化亜鉛などが挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などのフッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ金属などの硫酸塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などのハロゲン化物としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などのリン酸塩としては、リン酸カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などの過塩素酸塩としては、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウムなどが挙げられる。
前記吸湿層は、吸湿成分のみからなることが好ましいが、吸湿成分を含んでいることを条件として、吸湿性を有さない成分が含まれていてもよい。
ここで、本明細書において、「〜成分のみからなる」とは、不可避的に含まれる程度の微量のその他の成分の混入は許容され、有意な量の混入は除外されるという意味である。
吸湿層が吸湿性を有さない成分を含む場合、その成分の量は、吸湿層の10体積%以下であり、好ましくは5体積%以下である。
吸湿層の厚みは特に限定されず、例えば、5nm〜500nmであり、好ましくは、20nm〜200nmであり、より好ましくは、30nm〜200nmである。
[防湿層]
防湿層は、有機EL素子に水分などが侵入することを防止する性質を有する層である。防湿層の形成材料は、防湿成分が含まれていれば特に限定されない。前記防湿成分としては、例えば、金属又は半金属を含む化合物などが挙げられる。前記金属としては、例えば、上記のアルカリ金属、アルカリ土類金属の他、これら以外の金属が挙げられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属としては、チタン、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、インジウム、マグネシウムなどが挙げられる。半金属としては、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモンなどが挙げられる。防湿層内におけるネットワーク構造(網目状の構造)を緻密に形成でき、水蒸気及び酸素などのガスバリア性の向上できることから、前記防湿成分は、炭素及び窒素の少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。さらに、透明性に優れた防湿層を形成できることから、前記防湿成分は、酸素を含むことが好ましい。
従って、前記防湿成分は、金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属の炭化物、金属又は半金属の酸化窒化物、金属又は反金属の酸化炭化物、金属又は半金属の炭化窒化物及び金属又は半金属の酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、金属又は半金属の酸化窒化物、金属又は反金属の酸化炭化物、金属又は半金属の炭化窒化物及び金属又は半金属の酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。例えば、防湿成分としては、ケイ素の窒化物、ケイ素の酸化窒化物、ケイ素の酸化炭化物、ケイ素の炭化窒化物及びケイ素の酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物は、それぞれ窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素が挙げられる。
前記防湿層は、防湿成分のみからなることが好ましいが、防湿成分を含んでいることを条件として、他の成分が含まれていてもよい。
防湿層が他の成分を含む場合、その成分の量は、防湿層の10体積%以下であり、好ましくは5体積%以下である。
防湿層の厚みは特に限定されず、例えば、50nm〜2000nmであり、好ましくは、100nm〜1000nmである。
[混合層]
混合層は、上述のように、吸湿成分と防湿成分を含み、複数の層から構成されている。
その複数の混合層(第1混合層など)は、上述のように、吸湿成分と防湿成分の各含有率が同じではなく、段階的に異なっている。
前記複数の混合層に含まれる吸湿成分は、吸湿層を形成している吸湿成分と同種のものであり、好ましくは吸湿層を形成している吸湿成分と同じである。前記同種とは、分類上、同じ範疇に属する化合物という意味であり(例えば、吸湿層を形成する吸湿成分がホウ素化合物である場合、混合層の吸湿成分もホウ素化合物の範疇に含まれるという意味であり)、前記同一とは、同じ化学式で表すことができるという意味である。また、混合層に含まれる防湿成分は、防湿層を形成している防湿成分と同種のものであり、好ましくは防湿層を形成している防湿成分と同じである。前記同種とは、吸湿成分と同様に、分類上、同じ範疇に属する化合物という意味であり、前記同一とは、同じ化学式で表すことができるという意味である。
また、複数の混合層内の吸湿成分と防湿成分は、それぞれ化学的に結合していてもよいし、それぞれ化学的に結合していなくてもよい。なお、化学的に結合とは、吸湿成分を構成する原子と防湿成分を構成する原子が共有結合していることをいう。
混合層の厚みは、特に限定されないが、例えば、10nm〜1000nmであり、好ましくは、20nm〜100nmである。複数の混合層の厚みは、それぞれ特に限定されないが、例えば、5nm〜100nmであり、好ましくは、10nm〜50nmである。
[第1電極、有機層及び第2電極を有する有機EL素子]
前記第1電極は、陽極又は陰極のいずれでもよい。例えば、第1電極は陽極である。
前記第1電極(陽極)の形成材料は、特に限定されないが、例えば、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウム;金;白金;ニッケル;タングステン;銅;合金;などが挙げられる。ボトムエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、透明な第1電極が用いられる。
第1電極の厚みは、特に限定されないが、通常、10nm〜1.0μmであり、好ましくは50nm〜200nmである。
有機層は、少なくとも2つの層からなる積層構造である。有機層の構造としては、例えば、(A)正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の、3つの層からなる構造、(B)正孔輸送層及び発光層の、2つの層からなる構造、(C)発光層及び電子輸送層、の2つの層からなる構造、などが挙げられる。
前記(B)の有機層は、発光層が電子輸送層を兼用している。前記(C)の有機層は、発光層が正孔輸送層を兼用している。
本発明に用いられる有機層は、前記(A)〜(C)の何れの構造であってもよい。
以下、第1電極が陽極である場合の、前記(A)の構造を有する有機層について説明する。
正孔輸送層は、第1電極の表面に設けられる。もっとも、有機EL素子の発光効率を低下させないことを条件として、第1電極と正孔輸送層の間にこれら以外の任意の機能層が介在されていてもよい。
例えば、正孔注入層が、第1電極の表面に設けられ、その正孔注入層の表面に正孔輸送層が設けられていてもよい。正孔注入層は、陽極層から正孔輸送層へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。
正孔輸送層の形成材料は、正孔輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。正孔輸送層の形成材料としては、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(略称:TcTa)などの芳香族アミン化合物;1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体;N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(略称:α-NPD)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9’−スピロビスフルオレン(略称:Spiro−NPB)などのスピロ化合物;高分子化合物;などが挙げられる。正孔輸送層の形成材料は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、正孔輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
正孔輸送層の厚みは、特に限定されないが、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜100nmが好ましい。
発光層は、正孔輸送層の表面に設けられる。
発光層の形成材料は、発光性を有する材料であれば特に限定されない。発光層の形成材料としては、例えば、低分子蛍光発光材料、低分子燐光発光材料などの低分子発光材料を用いることができる。
低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(略称:DPVBi)などの芳香族ジメチリデン化合物;5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾールなどのオキサジアゾール化合物;3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼンなどのスチリルベンゼン化合物;ベンゾキノン誘導体;ナフトキノン誘導体;アントラキノン誘導体;フルオレノン誘導体;アゾメチン亜鉛錯体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)などの有機金属錯体;などが挙げられる。
また、発光層の形成材料として、ホスト材料中に発光性のドーパント材料をドープしたものを用いてもよい。
前記ホスト材料としては、例えば、上述の低分子発光材料を用いることができ、これ以外に、1,3,5−トリス(カルバゾ−9−イル)ベンゼン(略称:TCP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、2,6−ビス(N−カルバゾリル)ピリジン、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(略称:CPF)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(略称:DMFL−CBP)などのカルバゾール誘導体などを用いることができる。
前記ドーパント材料としては、例えば、スチリル誘導体;ペリレン誘導体;トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)(Ir(ppy))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)(acac))などの有機イリジウム錯体などの燐光発光性金属錯体;などを用いることができる。
さらに、発光層の形成材料には、上述の正孔輸送層の形成材料、後述の電子輸送層の形成材料、各種添加剤などが含まれていてもよい。
発光層の厚みは、特に限定されないが、例えば、2nm〜100nmが好ましい。
電子輸送層は、発光層の表面に設けられる。もっとも、有機EL素子の発光効率を低下させないことを条件として、第2電極と電子輸送層の間にこれら以外の任意の機能層が介在されていてもよい。
例えば、電子注入層が、電子輸送層の表面に設けられ、電子注入層の表面に、第2電極が設けられていてもよい。電子注入層は、前記第2電極から電子輸送層へ電子の注入を補助する機能を有する層である。
電子輸送層の形成材料は、電子輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。電子輸送層の形成材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)などの金属錯体;2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン(略称:Bpy−FOXD)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’'−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBi)などの複素芳香族化合物;ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)などの高分子化合物;などが挙げられる。電子輸送層の形成材料は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、電子輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
電子輸送層の厚みは、特に限定されないが、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜100nmが好ましい。
第2電極は、陰極又は陽極の何れでもよい。例えば、第2電極は陰極である。
前記第2電極の形成材料は、特に限定されないが、トップエミッション型の有機EL素子を構成する場合には、透明な第2電極が用いられる。透明及び導電性を有する第2電極の形成材料としては、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウムなどの導電性金属を添加した酸化亜鉛(ZnO:Al);マグネシウム−銀合金などが挙げられる。第2電極の厚みは、特に限定されないが、通常、10nm〜1.0μmであり、好ましくは50nm〜200nmである。
[有機EL装置の用途及び効果]
本発明の有機EL装置は、その1つ又は複数を組み合わせて、照明装置や画像表示装置などの発光パネルとして利用できる。
本発明の有機EL装置は、防湿層が設けられているので、内部に水分が侵入することを防止できる。また、有機EL素子と防湿層の間に吸湿層が設けられているので、僅かな水分が防湿層を通過しても、吸湿層がその水分を吸収する。これにより、有機EL素子に水分が侵入することを防止できる。
一般に、吸湿層が水分を吸収していくと、吸湿層が膨張して防湿層にひずみが生じる。その結果、防湿層が吸湿層から部分的に剥がれる、又は、防湿層や吸湿層にクラックが生じる。かかる剥離部分又はクラック部分から有機EL素子へと水分が侵入する。
本発明の有機EL装置は、吸湿層と防湿層の間に、吸湿成分と防湿成分の双方を含む複数の混合層が設けられている。そして、吸湿層側の混合層は、吸湿成分が多く含まれ、防湿層側の混合層は、防湿成分が多く含まれている。この混合層の吸湿成分も水分を吸収し得る。このため、吸湿層及び混合層中の吸湿成分が水分を吸収した際の膨張の度合いが防湿層に向かうに段階的に小さくなる。その結果、防湿層中にひずみが生じ難くなり、吸湿層と混合層及び防湿層と混合層が、それぞれ離れ難くなる。本発明においては、吸湿層と防湿層とが複数の混合層を介して一体化しているので、クラックが生じることを効果的に防止できる。このため、本発明の有機EL装置は、長期間安定的に発光し続ける。
[有機EL装置の製造方法]
本発明の有機EL装置の製造方法は、有機EL素子が形成された支持基板の前記有機EL素子上に吸湿層を形成する吸湿層形成工程と、前記吸湿層上に混合層を形成する混合層形成工程と、前記混合層上に防湿層を形成する防湿層形成工程と、を有する。
本発明の有機EL装置は、ロールツーロール方式にて複数連続的に製造することもできるし、枚葉状の支持基板を用いて製造することもできる。
以下、ロールツーロール方式にて有機EL装置を複数連続的に製造する方法について説明する。
ロールツーロール方式による有機EL装置の製造方法は、フレキシブルな長尺帯状の支持基板に複数の有機EL素子を形成する素子形成工程と、前記有機EL素子上に吸湿層を形成する吸湿層形成工程と、前記吸湿層上に複数の混合層を形成する混合層形成工程と、前記混合層上に防湿層を形成する防湿層形成工程と、を有する。
図5は、有機EL装置を製造するための蒸着装置7を示す。
蒸着装置7は、第1チャンバー71と、第2チャンバー72と、第1チャンバー71内の所定位置に配置された第1ロール73、ドラム74及び第2ロール75と、第2チャンバー72内に設けられた蒸着源81,82及びシャッター81a,82aと、前記第2チャンバー72内に反応ガスを供給する反応ガス供給装置76と、前記第2チャンバー72内に放電ガスを供給する放電ガス供給装置77と、前記第2チャンバー72内を真空状態にする真空ポンプ78と、を有する。第1ロール73、ドラム74及び第2ロール75は、長尺帯状の支持基板2を搬送する搬送装置である。帯状の支持基板2は、第1ロール73から繰り出され、ドラム74を通過して第2ロール75に巻き取られる。また、第1ロール73及び第2ロール75を反転させることにより、第2ロール75に巻き取られた支持基板2を、第2ロール75から繰り出し、ドラム74を通過して第1ロール73に巻き取ることもできる。
前記第1チャンバー71と第2チャンバー72は、区画壁を介して区切られているが、第1チャンバー71と第2チャンバー72は、開口79を通じて部分的に連通されている。前記第1ロール73、ドラム74及び第2ロール75は、前記第1チャンバー71内に配置されているが、ドラム74の一部分は、前記開口79から第2チャンバー72側に露出している。蒸着源81,82は、前記開口79に対向するように、前記第2チャンバー72内に配置されている。前記蒸発源81,82の材料を蒸発させるために、加熱手段(図示せず)が具備されている。加熱手段としては、例えば、抵抗加熱、電子ビームなどが挙げられる。
第1蒸着源81には、吸湿成分を構成する材料が入れられており、第2蒸着源82には、防湿成分を構成する材料が入れられている。例えば、吸湿成分が酸化ホウ素である場合には、第1蒸着源81に酸化ホウ素が入れられる。また、防湿成分がケイ素化合物である場合には、第2蒸着源82にケイ素が入れられる。
真空ポンプ78を作動させることにより、第2チャンバー72の内部は真空状態に保たれる。第2チャンバー72内の圧力は、例えば、0.01Pa〜100Paの範囲内であり、好ましくは0.02Pa〜10Paである。
前記長尺帯状の支持基板2は、細長い長方形状のフレキシブルなシート状物である。前記長尺帯状の支持基板の長さ(長手方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、10m〜1000mであり、その幅(短手方向の長さ)も特に限定されないが、例えば、数mm〜1000mmであり、好ましくは10mm〜300mmである。
(素子形成工程)
有機EL素子の形成工程は、従来と同様にして行われる。
簡単に説明すると、前記繰り出した支持基板2を、必要に応じて洗浄槽にて洗浄した後、乾燥する。洗浄乾燥後、その支持基板2の表面上に第1電極を形成する。
第1電極の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。例えば、金属によって陽極を形成する場合には、真空蒸着法が用いられる。なお、予め第1電極がパターニングされた支持基板を用いてもよい。予め第1電極が形成された支持基板を用いる場合には、それをロールから繰り出し、洗浄乾燥する。
前記第1電極の表面上に、その端子を除いて、有機層を形成する。前記第1電極の表面に、例えば、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などを順に形成することによって、有機層を形成できる。正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などの形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法、コート法などが挙げられる。通常、これらは、真空蒸着法によって形成される。
続いて、有機層の表面に、第2電極を形成する。第2電極は、第1電極の端子に重ならないように形成される。第2電極の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。
前記複数の有機EL素子の間隔は、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、前記間隔は、0.5mm〜5mmである。
(吸湿層形成工程)
吸湿層形成工程は、前記有機EL素子上に、吸湿層を形成する工程である。
第1蒸着源81のシャッター81aを開け且つ第2蒸着源82のシャッター82aを閉じ、前記有機EL素子形成済みの支持基板2を、第1ロール73からドラム74を通じて第2ロール75へと巻き取っていく。支持基板2が開口79から第2チャンバー72を通過している間に、有機EL素子上に吸湿成分(酸化ホウ素)が堆積していくことにより、吸湿層が形成される。吸湿層の吸湿成分の蒸着速度は、例えば、0.1nm/s〜30nm/sである。
(混合層形成工程)
混合層形成工程は、前記吸湿層上に、複数の混合層を形成する工程である。
前記吸湿層を形成済みの支持基板2は、第2ロール75に巻き取られている。第1蒸着源81及び第2蒸着源のシャッター81a,82aを開け、前記吸湿層形成済みの支持基板2を、第2ロール75からドラム74を通じて第1ロール73へと巻き取っていく。
吸湿成分の含有率が防湿成分よりも大きい第1混合層を形成する際には、第1蒸着源81の材料の蒸着速度が、第2蒸着源82の材料の蒸着速度よりも速くなるように制御する。吸湿成分を構成する材料及び防湿成分を構成する材料のそれぞれの蒸着速度を適宜制御することにより、所望の含有率の吸湿成分及び防湿成分を含む混合層を共蒸着にて簡易に形成できる。蒸着速度の制御は、例えば、シャッター81a,82aの開閉度合い、蒸着源への加熱量などを調整することにより行うことができる。
第1混合層形成済みの支持基板2は、第1ロール73に巻き取られる。続いて、前記第1混合層形成済みの支持基板2を、第1ロール73からドラム74を通じて第2ロール75へと巻き取っていく間に、吸湿成分及び防湿成分の材料のそれぞれの蒸着速度を制御して、第2混合層を形成する。必要に応じて、第3混合層、第4混合層を同様にして順次形成する。このようにして、図2乃至図4に示すような、複数の層からなる混合層を吸湿層に積層できる。
(防湿層形成工程)
防湿層形成工程は、前記混合層上に、防湿層を形成する工程である。
第1蒸着源81のシャッター81aを閉じ且つ第2蒸着源82のシャッター82aを開け、前記混合層形成済みの支持基板2をドラム74上を通過させる。前記支持基板2が第2チャンバー72を通過している間に、混合層上に防湿成分が堆積していくことにより、防湿層が形成される。防湿層の防湿成分の蒸着速度は、例えば、0.1nm/s〜30nm/sである。
防湿成分の堆積方法は、最適な方法を採用できるが、例えば、物理気相成長法又は化学気相成長法が挙げられる。これらの中でも、プラズマを用いた物理蒸着法又はプラズマを用いた化学蒸着法を利用して混合層及び防湿層の防湿成分を堆積させることが好ましく、特に、プラズマ真空蒸着法がより好ましい。
前記プラズマは、特に限定されず、例えば、アーク放電プラズマ、グロー放電プラズマなどを用いることができる。グロー放電プラズマなどとは異なり、非常に高い電子密度となることから、アーク放電プラズマを用いることが好ましい。アーク放電プラズマの発生源としては、例えば、圧力勾配型プラズマガン、直流放電プラズマ発生装置、高周波放電プラズマ発生装置などを利用できる。これらの中では、高密度なプラズマを安定的に発生させることが可能であることから、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用いることが好ましい。
防湿成分が金属又は半金属の窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種である場合、前記第2蒸発源82には、金属若しくは半金属、又はこれらの窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物若しくは酸化炭化窒化物が入れられる。また、第2蒸発源82に金属又は半金属を入れた場合には、反応ガスとして、窒素含有ガス、窒素酸素含有ガス、窒素炭化水素含有ガス又は窒素酸素炭化水素含有ガスが用いられる。前記窒素含有ガスとしては、窒素(N)、アンモニア(NH)又は一酸化窒素(NO)などが挙げられる。窒素酸素含有ガスとしては、一酸化窒素(NO)若しくは一酸化二窒素(NO)、又は、窒素(N)と酸素(O)の混合ガスなどが挙げられる。窒素炭化水素含有ガスとしては、前記窒素含有ガスと炭化水素含有ガスの混合ガスなどが挙げられる。前記炭化水素含有ガスとしては、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、エチレン(C)、アセチレン(C)などが挙げられる。窒素酸素炭化水素含有ガスとしては、前記窒素含有ガス、酸素含有ガス及び炭化水素含有ガスの混合ガス、又は、窒素酸素含有ガス及び炭化水素含有ガスの混合ガスなどが挙げられる。
具体的には、例えば、防湿成分が窒化酸化ケイ素である場合には、前記第2蒸着源82にケイ素が入れられ、反応ガスとして窒素酸素含有ガスが用いられる。
真空状態の第2チャンバー72内において、プラズマ発生源(図示せず)に放電ガス供給装置77から放電ガスを導入してプラズマを発生させる。さらに、第2チャンバー72内に、反応ガス供給装置76から反応ガスを導入すると共に、蒸着源から材料を蒸発させることにより、防湿成分を堆積させることができる。
このようにして本発明の有機EL装置を製造できる。
なお、上記製造方法においては、吸湿成分と防湿成分の共蒸着によって複数の混合層を形成する場合を例示したが、混合層の形成方法は、共蒸着に限られない。例えば、所定比率の吸湿成分及び防湿成分を構成する材料を1つの蒸着源に入れ、これを堆積させる混合蒸着法にて複数の混合層をそれぞれ形成してもよい。
また、枚葉状の支持基板を用いたバッチ処理方式によって有機EL装置を製造する場合、図5の開口79に枚葉状の支持基板を配置し、これに吸湿層、複数の混合層及び防湿層を順次形成すればよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例のみに限定されない。
[実施例1]
(有機EL素子の形成)
市販の枚葉状のガラス基板の表面に、アルミニウムを厚み150nmで真空蒸着することにより、陽極を形成した。次に、前記陽極の表面に、α−NPD(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)を厚み60nmで真空蒸着することにより、正孔輸送層を形成した。この正孔輸送層の表面に、Alq(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を厚み40nmで真空蒸着することにより、発光層を形成した。この発光層の表面に、フッ化リチウムを厚み1nmで真空蒸着することにより、電子注入層を形成した。この電子注入層の表面に、ITO(インジウム錫酸化物)を厚み100nmで真空蒸着することにより、陰極を形成した。
(吸湿層、混合層及び防湿層の形成)
図5に示すような蒸着装置(ただし、枚葉状の支持基板を用いたバッチ処理方式)を用いて、前記陰極の表面に、B(酸化ホウ素)を厚み20nmで真空蒸着(蒸着速度1nm/s)することにより、吸湿層を形成した。
この吸湿層の表面に、B:SiON(窒化酸化ケイ素)=7:3(体積比)の第1混合層を形成した。第1混合層は、Bの蒸着速度を0.7nm/s、SiONの蒸着速度を0.3nm/sに制御した、共蒸着によって形成した。第1混合層の厚みは、20nmであった。
次に、前記第1混合層の表面に、B:SiON=5:5(体積比)の第2混合層を形成した。第2混合層は、Bの蒸着速度を0.5nm/s、SiONの蒸着速度を0.5nm/sに制御した、共蒸着によって形成した。第2混合層の厚みは、20nmであった。
さらに、前記第2混合層の表面に、B:SiON=3:7(体積比)の第3混合層を形成した。第3混合層は、Bの蒸着速度を0.3nm/s、SiONの蒸着速度を0.7nm/sに制御した、共蒸着によって形成した。第3混合層の厚みは、20nmであった。
この第3混合層の表面に、SiONを厚み300nmで真空蒸着(蒸着速度1nm/s)することにより、防湿層を形成した。
なお、SiONの蒸着には、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用い、蒸発源としてケイ素粒子を用い、反応ガスとして窒素(N)と酸素(O)を用いた。
このようにしてトップエミッション型の有機EL装置を作製した。その層構成は、図2を参照されたい。
(実施例1の有機EL装置の構成)
防湿層:厚み300nmのSiON
第3混合層:厚み20nm、B:SiON=3:7
第2混合層:厚み20nm、B:SiON=5:5
第1混合層:厚み20nm、B:SiON=7:3
吸湿層:厚み20nmのB
陰極:厚み100nmのITO
電子注入層:厚み1nmのLiF
発光層:厚み40nmのAlq
正孔輸送層:厚み60nmのα−NPD
陽極:厚み150nmのAl
基板:ガラス基板
[比較例1]
混合層を形成しなかったこと以外(つまり、吸湿層の表面に防湿層を直接形成したこと以外)は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。
[比較例2]
第1混合層と第3混合層を入れ替えたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。
(比較例2の有機EL装置の構成)
防湿層:厚み300nmのSiON
第3混合層:厚み20nm、B:SiON=7:3
第2混合層:厚み20nm、B:SiON=5:5
第1混合層:厚み20nm、B:SiON=3:7
吸湿層:厚み20nmのB
陰極:厚み100nmのITO
電子注入層:厚み1nmのLiF
発光層:厚み40nmのAlq
正孔輸送層:厚み60nmのα−NPD
陽極:厚み150nmのAl
基板:ガラス基板
[比較例3]
第1混合層と第3混合層を形成せず、1つの混合層(B:SiON=5:5)のみを厚み60μmで吸湿層と防湿層の間に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。
(比較例3の有機EL装置の構成)
防湿層:厚み300nmのSiON
混合層:厚み60nm、B:SiON=5:5
吸湿層:厚み20nmのB
陰極:厚み100nmのITO
電子注入層:厚み1nmのLiF
発光層:厚み40nmのAlq
正孔輸送層:厚み60nmのα−NPD
陽極:厚み150nmのAl
基板:ガラス基板
[有機EL装置の発光寿命の計測]
実施例及び比較例について、それぞれ任意に1つの有機EL装置を抽出し、それを実験用回路に組み込み、60℃、90%RH下に保管し、電圧を印加して長時間連続的に発光させた。そして、その発光初期の輝度を100%としたとき、輝度が70%になるまでの時間を計測した。
その結果を、表1に示す。
Figure 2015133247
表1から明らかなように、実施例1の有機EL装置は、比較的長時間発光した。実施例1と比較例2は、いずれも吸湿層と防湿層の間に、吸湿成分と防湿成分を含む複数の混合層が設けられている。しかしながら、吸湿層側の混合層(第1混合層)において防湿成分が吸湿成分よりも多く含まれている比較例2は、実施例1に比して、寿命が非常に短かった。このことから、吸湿層側の混合層において吸湿成分が防湿成分よりも多く含まれている場合は、有機EL装置の発光時間の長期化に有意であることが判る。
本発明の有機EL装置は、例えば、照明装置、画像表示装置などとして利用できる。
1 有機EL装置
2 支持基板
3 有機EL素子
4 吸湿層
5 防湿層
61,62,63 複数の混合層
本発明において、支持基板は、水分や酸素などの侵入を防止できるガスバリア性に優れている基板が用いられる。例えば、支持基板は、金属シート、樹脂シート、ガラスシート、セラミックシートなどから適宜選択して用いることができる。なお、本明細書において、シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものを含む。前記金属シートは、特に限定されないが、例えば、ステンレス、銅、チタン、アルミニウム、合金などからなるフレキシブルな薄板が挙げられる。前記金属シートの厚みは、例えば、10μm〜100μmである。前記樹脂シートは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などからなるフレキシブルな合成樹脂シートが挙げられる。前記樹脂シートの厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜200μmである。良好なガスバリア性を付与できることから、前記樹脂シートの少なくとも一方面に公知のガスバリア層が積層されていてもよい。
また、駆動時に有機EL装置の温度上昇を防止するため、前記支持基板は、放熱性に優れていることが好ましい。なお、支持基板として、導電性基板(金属シートなど)を用いる場合には、対面する電極に対して絶縁するため、前記支持基板の表面に絶縁層が設けられる。
一般に、吸湿層が水分を吸収していくと、吸湿層が膨張して防湿層にひずみが生じる。その結果、防湿層が吸湿層から部分的に剥がれる、又は、防湿層や吸湿層にクラックが生じる。かかる剥離部分又はクラック部分から有機EL素子へと水分が侵入する。
本発明の有機EL装置は、吸湿層と防湿層の間に、吸湿成分と防湿成分の双方を含む複数の混合層が設けられている。そして、吸湿層側の混合層は、吸湿成分が多く含まれ、防湿層側の混合層は、防湿成分が多く含まれている。この混合層の吸湿成分も水分を吸収し得る。このため、吸湿層及び混合層中の吸湿成分が水分を吸収した際の膨張の度合いが防湿層に向かうに従って段階的に小さくなる。その結果、防湿層中にひずみが生じ難くなり、吸湿層と混合層及び防湿層と混合層が、それぞれ離れ難くなる。本発明においては、吸湿層と防湿層とが複数の混合層を介して一体化しているので、クラックが生じることを効果的に防止できる。このため、本発明の有機EL装置は、長期間安定的に発光し続ける。
前記第1チャンバー71と第2チャンバー72は、区画壁を介して区切られているが、第1チャンバー71と第2チャンバー72は、開口79を通じて部分的に連通されている。前記第1ロール73、ドラム74及び第2ロール75は、前記第1チャンバー71内に配置されているが、ドラム74の一部分は、前記開口79から第2チャンバー72側に露出している。蒸着源81,82は、前記開口79に対向するように、前記第2チャンバー72内に配置されている。前記蒸源81,82の材料を蒸発させるために、加熱手段(図示せず)が具備されている。加熱手段としては、例えば、抵抗加熱、電子ビームなどが挙げられる。
第1蒸着源81には、吸湿成分を構成する材料が入れられており、第2蒸着源82には、防湿成分を構成する材料が入れられている。例えば、吸湿成分が酸化ホウ素である場合には、第1蒸着源81に酸化ホウ素が入れられる。また、防湿成分がケイ素化合物である場合には、第2蒸着源82にケイ素が入れられる。
真空ポンプ78を作動させることにより、第2チャンバー72の内部は真空状態に保たれる。第2チャンバー72内の圧力は、例えば、0.01Pa〜100Paの範囲内であり、好ましくは0.02Pa〜10Paである。
前記長尺帯状の支持基板2は、細長い長方形状のフレキシブルなシート状物である。前記長尺帯状の支持基板の長さ(長手方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、10m〜1000mであり、その幅(短手方向の長さ)も特に限定されないが、例えば、数mm〜1000mmであり、好ましくは10mm〜300mmである。
(混合層形成工程)
混合層形成工程は、前記吸湿層上に、複数の混合層を形成する工程である。
前記吸湿層形成済みの支持基板2は、第2ロール75に巻き取られている。第1蒸着源81及び第2蒸着源82のシャッター81a,82aを開け、前記吸湿層形成済みの支持基板2を、第2ロール75からドラム74を通じて第1ロール73へと巻き取っていく。
吸湿成分の含有率が防湿成分よりも大きい第1混合層を形成する際には、第1蒸着源81の材料の蒸着速度が、第2蒸着源82の材料の蒸着速度よりも速くなるように制御する。吸湿成分を構成する材料及び防湿成分を構成する材料のそれぞれの蒸着速度を適宜制御することにより、所望の含有率の吸湿成分及び防湿成分を含む混合層を共蒸着にて簡易に形成できる。蒸着速度の制御は、例えば、シャッター81a,82aの開閉度合い、蒸着源への加熱量などを調整することにより行うことができる。
第1混合層形成済みの支持基板2は、第1ロール73に巻き取られる。続いて、前記第1混合層形成済みの支持基板2を、第1ロール73からドラム74を通じて第2ロール75へと巻き取っていく間に、吸湿成分及び防湿成分の材料のそれぞれの蒸着速度を制御して、第2混合層を形成する。必要に応じて、第3混合層、第4混合層を同様にして順次形成する。このようにして、図2乃至図4に示すような、複数の層からなる混合層を吸湿層に積層できる。
防湿成分が金属又は半金属の窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種である場合、前記第2蒸源82には、金属若しくは半金属、又はこれらの窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物若しくは酸化炭化窒化物が入れられる。また、第2蒸源82に金属又は半金属を入れた場合には、反応ガスとして、窒素含有ガス、窒素酸素含有ガス、窒素炭化水素含有ガス又は窒素酸素炭化水素含有ガスが用いられる。前記窒素含有ガスとしては、窒素(N)、アンモニア(NH)又は一酸化窒素(NO)などが挙げられる。窒素酸素含有ガスとしては、一酸化窒素(NO)若しくは一酸化二窒素(NO)、又は、窒素(N)と酸素(O)の混合ガスなどが挙げられる。窒素炭化水素含有ガスとしては、前記窒素含有ガスと炭化水素含有ガスの混合ガスなどが挙げられる。前記炭化水素含有ガスとしては、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、エチレン(C)、アセチレン(C)などが挙げられる。窒素酸素炭化水素含有ガスとしては、前記窒素含有ガス、酸素含有ガス及び炭化水素含有ガスの混合ガス、又は、窒素酸素含有ガス及び炭化水素含有ガスの混合ガスなどが挙げられる。
具体的には、例えば、防湿成分が窒化酸化ケイ素である場合には、前記第2蒸着源82にケイ素が入れられ、反応ガスとして窒素酸素含有ガスが用いられる。
(吸湿層、混合層及び防湿層の形成)
図5に示すような蒸着装置(ただし、枚葉状の支持基板を用いたバッチ処理方式)を用いて、前記陰極の表面に、B(酸化ホウ素)を厚み20nmで真空蒸着(蒸着速度1nm/s)することにより、吸湿層を形成した。
この吸湿層の表面に、B:SiON(窒化酸化ケイ素)=7:3(体積比)の第1混合層を形成した。第1混合層は、Bの蒸着速度を0.7nm/s、SiONの蒸着速度を0.3nm/sに制御した、共蒸着によって形成した。第1混合層の厚みは、20nmであった。
次に、前記第1混合層の表面に、B:SiON=5:5(体積比)の第2混合層を形成した。第2混合層は、Bの蒸着速度を0.5nm/s、SiONの蒸着速度を0.5nm/sに制御した、共蒸着によって形成した。第2混合層の厚みは、20nmであった。
さらに、前記第2混合層の表面に、B:SiON=3:7(体積比)の第3混合層を形成した。第3混合層は、Bの蒸着速度を0.3nm/s、SiONの蒸着速度を0.7nm/sに制御した、共蒸着によって形成した。第3混合層の厚みは、20nmであった。
この第3混合層の表面に、SiONを厚み300nmで真空蒸着(蒸着速度1nm/s)することにより、防湿層を形成した。
なお、SiONの蒸着には、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用い、蒸源としてケイ素粒子を用い、反応ガスとして窒素(N)と酸素(O)を用いた。
このようにしてトップエミッション型の有機EL装置を作製した。その層構成は、図2を参照されたい。

Claims (4)

  1. 支持基板と、前記支持基板上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子上に設けられ且つ吸湿性を有する成分を含む吸湿層と、前記吸湿層上に設けられ且つ防湿性を有する成分を含む防湿層と、を有し、
    前記吸湿層と防湿層の間に、吸湿性を有する成分と防湿性を有する成分を含む複数の混合層が介在されており、
    前記複数の混合層のうち、前記吸湿層側の混合層は、前記防湿層側の混合層に比して前記吸湿性を有する成分の含有率が大きい、有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記吸湿層側の混合層は、前記防湿層側の混合層に比して前記防湿性を有する成分の含有率が小さい、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記吸湿層側から防湿層側へと順に、第1、第2及び第3混合層が積層されており、それらの混合層に含まれる前記吸湿性を有する成分の含有率が、第1混合層中の吸湿性を有する成分の含有率>第2混合層中の吸湿性を有する成分の含有率>第3混合層中の吸湿性を有する成分の含有率、の関係を満たしている、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記第1、第2及び第3混合層に含まれる前記防湿性を有する成分の含有率が、第1混合層中の防湿性を有する成分の含有率<第2混合層中の防湿性を有する成分の含有率<第3混合層中の防湿性を有する成分の含有率、の関係を満たしている、請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
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