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JP2015118010A - 放射性物質で汚染された土壌の除染方法及び除染装置 - Google Patents

放射性物質で汚染された土壌の除染方法及び除染装置 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法、及び除染方法の実施に適した除染装置を提供する。【解決手段】攪拌洗浄槽1に、水とリン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分からなる処理液を調整し、そこに放射性セシウムで汚染された土壌を加えて攪拌し、続いて酸を加えてpHを4以下に調整する。次いで所定の温度に加熱して所定時間両者を接触させて土壌から放射性セシウムを抽出する。【選択図】図1

Description

本発明は、放射性物質、特に放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法及び除染装置に関する。
2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所における未曾有の事故は、今もなお、農業、水産業、畜産業はもとより、周辺住民の生活に深刻な影響を及ぼしている。原発事故そのものの収束はもちろんのこと、事故により環境中に放出されたヨウ素(131I)、セシウム(134Cs、137Cs)、ストロンチウム(90Sr)等の放射性物質の除去は、現在、我が国の喫緊の課題となっている。特に主要な放射性物質であって、約30年という長い半減期を有するセシウム137(137Cs)の環境中、特に、土壌からの除染については、現在、各種機関により様々なアプローチが検討されている。
現況、土壌の除染方法は、放射性物質の濃度が高い表層の土壌を剥ぎ取って、仮置き場や中間貯蔵設備に移動させ保管することである。この方法の最大の問題点は、膨大な量の汚染土壌の保管場所の確保が困難なことであり、このことが、土壌除染が加速されない最大の要因である。そこで、汚染土壌から放射性物質だけを分離回収する技術がいくつか提案されている。例えば、有機酸や無機酸等を用いて汚染土壌から放射性物質を抽出する方法や、高温高圧水や亜臨界水を用いて抽出する方法が提案されている。
しかし、チェルノブイリ原発事故により放出された放射性物質の土壌での分布状態や存在形態についての継続調査結果では、セシウム137の大部分(70−99%)は表層5cmに残っているものの、その大部分(79−99%)は、土壌に固定化された形態(例えば、土壌中鉱物と結合しているもの、ホットパーティクル内に存在しているもの)で存在していることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。このような固定化が、土壌からセシウムを効率よく抽出することを困難にしており、例えば、通常の水、酸、アルカリ洗浄では、土壌からのセシウム除去率は10〜30%程度に留まるとの報告もなされている。そこで、放射性セシウム汚染土壌を、フッ素イオンを含む処理液と接触させ、固定化されたセシウムの抽出効率を向上させた除染方法等も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−137289号公報
原子力資料情報室通信、No.254、1995年7月
このように、現在一般的に行われている土壌の除染方法(表層土壌剥ぎ取り法)では、大量の汚染土壌を移動、集積、保管する必要があり、その場所の確保が困難であり;また、放射性物質を土壌から除去する既存の除染方法でも、人体や生態系への影響が懸念される化学物質が使用され、その結果として除染した土壌でも環境中に戻せないといった課題がある。さらに、放射性物質の土壌からの抽出に高濃度の酸を使用する場合は、除染装置に特殊な材料を必要とするため、除染装置が高価となること;高濃度の酸の取り扱いが困難であること;専門的な知識や技術を要し、専門家でなければ従事できない場合があるといった課題もある。
したがって、現行の除染事業だけではなく、汚染土壌を集積せず、且つ低コストで専門家の立ち会い不要な小規模分散型土壌除染システムの構築が求められている。
本発明者らは、これまでに、「プルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材」に係る発明を完成させた(国際公開第2013/027652号パンフレット)。かかるセシウム吸着材は、プルシアンブルー類縁体を、親水性繊維基材に固定化したものであり、安全かつ取扱いが容易である。また安価で入手が容易な材料から、簡便な製造方法により得ることが出来るため、経済的な側面からも、広範囲に亘る環境浄化への適用に優れたものである。さらには、除染の対象に応じて、セシウム吸着材を最適な態様へと容易に加工することができる点、また環境中の放射性セシウムを吸着させた後、(セシウムが吸着した)プルシアンブルー類縁体の遷移金属塩を環境中に取り残すことなく、吸着材のみを容易に回収することができるため、表土を取り除くような物理的な除染方法と比較して、放射性廃棄物の量を抑制することもできる点で有利である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、人体や生態系への影響が少なく、農地に還元しても差し支えない成分として、農地等で使われている肥料の成分に着目し、該成分を含む処理液による、放射性セシウムの汚染土壌からの効率的な抽出方法を確立した。さらにかかる抽出方法と、本発明者らが開発した前記セシウム吸着材とを組合せ、低コストで専門家の立ち会い不要な小規模分散型土壌除染システムを構築し、本発明を完成させた。
本発明は、以下のとおりである:
[1]放射性セシウムで汚染された土壌を、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下である処理液と接触させ、土壌から放射性セシウムを抽出する工程を含む、放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法。
[2]抽出工程後の処理液を、プルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材と接触させ、放射性セシウムをセシウム吸着材へ吸着させる工程を含む、前記[1]に記載の除染方法。
[3]リン酸塩及び硫酸塩が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニアのリン酸塩及び硫酸塩である、前記[1]又は[2]に記載の除染方法。
[4]処理液が、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分と、硝酸とを含む水溶液である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の除染方法。
[5]抽出工程前の処理として、放射性セシウムで汚染された土壌から粘土分を除去する工程を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の除染方法。
[6]処理液が、吸着工程後に回収した処理液である、前記[2]〜[5]のいずれかに記載の除染方法。
[7]放射性セシウムで汚染された土壌からセシウムを除去する除染装置であって、
前記土壌及び処理液を受け入れる中空の容器;
前記容器の外壁若しくは前記容器内に配設され、前記容器内に受け入れた前記土壌及び処理液を加熱するための加熱手段;及び
前記容器内に受け入れた前記土壌及び処理液を撹拌するための撹拌手段
を備える撹拌洗浄槽を含み、
前記処理液が、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下である、除染装置。
[8]前記撹拌洗浄槽から排出される放射性セシウムを含む処理液及びプルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材を受け入れる中空の容器
を備える吸着槽を含む、前記[7]に記載の除染装置。
[9]前記セシウム吸着材が、プルシアンブルーを担持したセルロース系長繊維不織布である、前記[8]に記載の除染装置。
本発明の放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法により、汚染土壌から固定化された放射性セシウムを効率よく抽出することができる。また本発明の除染方法で使用する試薬は、いずれも既に農地等で使われている肥料の成分であり、人体や生態系への影響の懸念がなく、除染された土壌を環境中に戻すことができる。したがって、従前の表層土壌剥ぎ取り法のように、汚染土壌の移動、集積、保管は不要である。さらに本発明の除染装置は、特別な材料を必要としないので低コストであり、また専門家による操作を必要としないので、地域住民やボランティア等による自らの手による土壌除染が可能となる。本発明の除染方法及び除染装置により、汚染土壌の除染の加速が期待できる。
本発明の放射性セシウムで汚染された土壌からセシウムを除去する除染装置の一つの構成例を示した図である。 リン酸塩及び/又は硫酸塩による除染率の比較を示したグラフである。 酸による除染率の比較を示したグラフである。
[放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法]
<抽出工程>
本発明は、放射性セシウムで汚染された土壌を、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下である処理液と接触させ、土壌から放射性セシウムを抽出する工程を含む、放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法に関する。
本発明において、「放射性セシウムで汚染された土壌」は、放射性セシウム(134Cs、137Cs)を含む土壌を指す。特には、放射性セシウム濃度が8000Bq/kg超のものを指す。8000Bq/kgは、廃棄物を安全に処分するために法律で定められた目安であり、例えば、放射性セシウム濃度が8000Bq/kg以下であれば、一般廃棄物と同様の埋め立て処分等ができる。また「土壌」は、居住地、農地等から採取したもののみならず、汚泥、焼却灰、又は河川や湖沼等の堆積物等であってもよい。
本発明に係る処理液は、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下の水溶液である。ここで、リン酸塩及び硫酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニアのリン酸塩及び硫酸塩を挙げることができる。リン酸塩の例としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム等を挙げることができる。好ましくは、リン酸一ナトリウム及びリン酸一カリウムであり、より好ましくはリン酸一カリウムである。硫酸塩の例としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム(硫安)等を挙げることができる。好ましくは、硫酸アンモニウムである。
本発明に係る「リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分」は、1種又は2種以上のリン酸塩、1種又は2種以上の硫酸塩、あるいは1種のリン酸塩及び1種の硫酸塩の組み合わせであってよく、好ましくは、1種のリン酸塩であるか、1種のリン酸塩及び1種の硫酸塩の組み合わせであり、より好ましくリン酸一カリウムであるか、リン酸一カリウム及び硫酸アンモニウムの組み合わせである。処理液におけるリン酸塩及び硫酸塩の濃度(合計)は、セシウムの除去率の点から、好ましくは0.50M〜5.0Mであり、より好ましくは0.60M〜2.5Mであり、特に好ましくは0.90M〜2.2Mである。
本発明に係る処理液は、水にリン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を所望の濃度となるよう添加した後、pHが4以下となるよう酸成分を添加することにより調整される。pHは、セシウムの除去率の点から、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1.5〜2.5であり、特に好ましくは約2である。酸成分は、有機酸又は無機酸のいずれであってもよい。有機酸の例としては、酢酸、クエン酸、シュウ酸等を挙げることができ、無機酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸等を挙げることができる。環境負荷の点から、酸成分は、好ましくは無機酸であり、セシウムの除去率の点から、より好ましくは硝酸である。なお硝酸は、ステンレスの腐食作用が比較的小さいことから、除染装置への負荷が小さくて済む点、さらには、反応後に塩基を投入することで硝酸カリウム等の肥料成分に変化させ、無害化することが可能である点からも好ましい。
本発明の除染方法は、汚染土壌を、処理液と接触させ、土壌から放射性セシウムを抽出する工程を含む。汚染土壌と処理液とを接触させる手段は特に限定されないが、典型的には、汚染土壌を処理液中で撹拌・懸濁させる。これにより、汚染土壌から、固定化された放射性セシウムが処理液に抽出される。汚染土壌と処理液の比(固液比(質量基準))は、汚染土壌の量、その放射能濃度等に応じて適宜設定されるが、2:1〜1:100、好ましくは1:2〜50、より好ましくは1:5〜20である。撹拌条件もまた、汚染土壌の量、その放射能濃度等に応じて適宜設定されるが、例えばセシウム除去率の点から、周囲温度〜100℃の温度、好ましくは50℃〜100℃の温度、より好ましくは80℃〜100℃の温度で、0.5時間から10時間、好ましくは1〜5時間、より好ましくは1〜3時間行う。
本発明の除染方法は、汚染土壌を、処理液と接触させ、土壌から放射性セシウムを抽出する工程の前に、放射性セシウムで汚染された土壌から粘土分(ここで「粘土分」とは、直径2μm未満の微粒子を指す)を除去する工程を含んでもよい。かかる除去工程は特に限定されないが、簡便には、汚染土壌を水中で撹拌・懸濁させ、静置させた後、粘土分を含む上澄みを除去することにより実施される。汚染土壌と水の比(固液比(質量基準))は、汚染土壌の量、その放射能濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば1:1〜100、好ましくは1:2〜50、より好ましくは1:5〜20である。撹拌条件もまた、汚染土壌の量、その放射能濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば周囲温度〜100℃の温度、好ましくは周囲温度〜50℃の温度、より好ましくは周囲温度で、30秒から1時間、好ましくは1〜20分、より好ましくは1〜5分行う。なお、既往の研究では、土壌中の粘土分を回収することで放射能濃度を大幅に低減した報告も存在するが、本発明者らの検討では、最大で45%程度の放射能濃度の低減が見られたが、粘土分を除去する工程単独では、十分な除染効果は得られなかった。
<吸着工程>
本発明の除染方法は、前述の抽出工程に加え、抽出工程後の処理液を、プルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材と接触させ、放射性セシウムをセシウム吸着材へ吸着させる工程を含んでもよい。本発明に係る「プルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材」は、繊維の内部にプルシアンブルー類縁体が固定化していることを特徴とするものである。
本発明に係る、プルシアンブルー類縁体とは、ヘキサシアノ金属酸イオンを構築素子としたシアノ架橋型金属錯体の一種であり、一般式:M [M(CN)・hHOで示される化合物であり、この金属イオン(M、M)がシアノ基で交互に架橋した面心立方構造をしていると解される。ここで、Mは、第一遷移金属である。したがって、本発明に係るプルシアンブルー類縁体は、ヘキサシアノ金属酸の遷移金属塩であると言い換えてもよい。第一遷移金属としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)が挙げられる。好ましくは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)、より好ましくは、鉄(Fe)、特に第二鉄(Fe(III))が挙げられる。
前記一般式において、Mは、八面体6配位構造をとりうる金属種であればよく、好ましくは、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)であり、より好ましくは、鉄(Fe)、特に第一鉄(Fe(II))である。なお前記一般式において、m、n及びhの値は、MおよびMの酸化数に応じて定まる。
本発明に係るプルシアンブルー類縁体(すなわち、ヘキサシアノ金属酸の遷移金属塩)は、ヘキサシアノ金属酸の無機塩と、遷移金属元素を含む無機化合物との反応により得られる生成物であって、前記一般式で表されるものを含むものであればよい。なお、本発明に係るプルシアンブルー類縁体は、そのヘキサシアノ金属酸の遷移金属塩の一部の金属イオンが、原料由来のアルカリ金属イオン等で置換されているものを含んでいてもよい。
例えば、本発明に係るプルシアンブルー類縁体の一態様である、ヘキサシアノ鉄(II)酸の遷移金属塩としては、そのスカンジウム(Sc)塩、チタン(Ti)塩、バナジウム(V)塩、クロム(Cr)塩、マンガン(Mn)塩、鉄(Fe)塩、コバルト(Co)塩、ニッケル(Ni)塩、銅(Cu)塩及び亜鉛(Zn)塩が挙げられる。好ましくは、ヘキサシアノ鉄(II)酸の鉄(Fe)塩、コバルト(Co)塩、ニッケル(Ni)塩、銅(Cu)塩及び亜鉛(Zn)塩が挙げられ、より好ましくは、鉄(Fe)塩、特に第二鉄(Fe(III))塩が挙げられる。なお、本発明に係るヘキサシアノ鉄(II)酸の遷移金属塩は、ヘキサシアノ鉄(II)酸の無機塩と、遷移金属元素を含む無機化合物との反応により得られる生成物であって、前記一般式(但し、Mが、特に第一鉄(Fe(II))である)で表されるものを含むものであればよいが、その一部の金属イオンが、原料由来のアルカリ金属イオン等で置換されているものを含んでいてもよい。
本発明に係るプルシアンブルー類縁体の最も好適な例である、ヘキサシアノ鉄(II)酸の第二鉄(Fe(III))塩は、プルシアンブルー又は紺青等とも称され、古くから顔料として用いられている。その理想的な化学組成はFe(III)[Fe(II)(CN)・xHO(x=14〜16)(すなわち「ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物」)であるが、その製法等に応じて一部の鉄イオンが置換されていることもある。本発明に係るプルシアンブルーは、ヘキサシアノ鉄(II)酸の無機塩と、第二鉄(III)を含む無機化合物との反応により得られるものであって、前記化学組成を有するものを含むものであればよいが、一部の鉄イオンが、原料由来のアルカリ金属イオン等で置換されているものを含んでいてもよい。
ヘキサシアノ金属酸の無機塩は、水溶性であって、かつ遷移金属元素を含む無機化合物との反応により、本発明に係るプルシアンブルー類縁体(すなわち、ヘキサシアノ金属酸の遷移金属塩)を形成しうるものであれば特に限定はない。例としては、ヘキサシアノ金属酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)またはその水和物が挙げられる。具体的には、ヘキサシアノクロム(III)酸、ヘキサシアノマンガン(II)酸、ヘキサシアノ鉄(II)酸若しくはヘキサシアノコバルト(III)酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、又はそれらの水和物が挙げられる。
例えば、ヘキサシアノ金属酸が、ヘキサシアノ鉄(II)酸である場合、ヘキサシアノ鉄(II)酸の無機塩は、水溶性であって、かつ遷移金属元素を含む無機化合物との反応によりヘキサシアノ鉄(II)酸の遷移金属塩を形成しうるものであれば特に限定はない。具体例としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム又はそれらの水和物が挙げられる。ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム又はその水和物の使用が好ましい。
遷移金属元素を含む無機化合物は、水溶性であって、かつヘキサシアノ金属酸の無機塩との反応により、本発明のプルシアンブルー類縁体(すなわち、ヘキサシアノ金属酸の遷移金属塩)を形成しうるものであれば特に限定はない。そのような遷移金属元素を含む無機化合物としては、前記第一遷移金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩又はそれらの水和物等が挙げられる。例えば、塩化第二鉄(III)、塩化コバルト(II)、塩化ニッケル(II)等のハロゲン化物;硝酸第二鉄(III)、硝酸コバルト(II)、硝酸ニッケル(II)等の硝酸塩;硫酸第二鉄(III)、硫酸コバルト(II)等の硫酸塩;過塩素酸第二鉄(III)等の過塩素酸塩;又はそれらの水和物が挙げられる。
例えば、第二鉄(III)を含む無機化合物は、水溶性であって、かつヘキサシアノ鉄(II)酸の無機塩との反応によりプルシアンブルーを形成しうるものであれば特に限定はない。例えば、塩化第二鉄(III)、硝酸第二鉄(III)、硫酸第二鉄(III)、過塩素酸第二鉄(III)又はそれらの水和物が挙げられる。
本発明に係るセシウム吸着材の基材としては、親水性繊維基材が使用される。本発明に係る親水性繊維は、吸水性繊維と言い換えてもよい。親水性繊維は、一般に水分子を取り込みやすい繊維の総称であり、例としては、羊毛、綿、絹、麻、パルプなどの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ(ベンベルグ(登録商標))、リヨセル(テンセル(登録商標))等のセルロース系再生繊維が挙げられる。またアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、あるいはポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系またはポリウレタン系繊維等の合成繊維を公知の方法で改質し、親水性を付与したものであってもよい。価格や入手の容易さから、親水性繊維としては天然繊維又はセルロース系再生繊維、特に綿、レーヨン又はキュプラが好ましい。
また親水性繊維基材は、上述のような親水性繊維よりなる織物、編物若しくは不織布製品または紙製品であってよい。その形状は、目的とする用途、すなわち除染の対象に応じて適宜選択し、加工すればよい。例えば、水の除染を目的とする場合には、ペレット状、フィルタ状、シート状等であってよく、土壌の除染を目的とする場合は、広範囲をカバーすることができるシート状等であってよい。そのような基材の加工は、基材へのプルシアンブルー類縁体の担持前に行うことができるが、以下に述べるように、本発明のセシウム吸着材は、プルシアンブルー類縁体が繊維の内部および表面に安定的に固定化しているので、担持後に行うこともできる。
本発明に係るセシウム吸着材は、プルシアンブルー類縁体、特に好ましくはプルシアンブルーを担持した親水性繊維基材からなるものであって、繊維の表面のみならず内部にプルシアンブルー類縁体が固定していることを特徴とするものである。特に、プルシアンブルーのような「顔料」は、水や有機溶媒などの媒質に不溶で、基質に対して染着性がない。したがって、顔料により繊維基材を染色(捺染)する場合、通常、バインダー樹脂などで後処理し、顔料を繊維の表面に付着した形で固定化することを要する。一方、本発明のセシウム吸着材では、プルシアンブルー類縁体は、ヘキサシアノ金属酸の無機塩と遷移金属元素を含む無機化合物との反応によりin situで形成され、繊維の表面および内部に微粒子として存在するため、バインダー樹脂などによらず安定的に繊維に固定している。
本発明に係るセシウム吸着材は、国際公開第2013/027652号パンフレットに記載の方法に従い製造することができる。典型的には、(a)親水性繊維よりなる基材をヘキサシアノ金属酸の無機塩の水溶液で処理する工程;及び(b)工程(a)で処理した基材を、遷移金属元素を含む無機化合物の水溶液で処理する工程を含む製造方法により作製される。また、本発明に係るセシウム吸着材は、例えば小津産業(株)から放射性セシウム除染布(商品名:五大力PB;プルシアンブルーを担持したセルロース系長繊維不織布)として入手することができる。
抽出工程後の処理液とセシウム吸着材とを接触させる手段は特に限定されないが、例えば、抽出工程後の処理液中に、ペレット状又はシート状のセシウム吸着材を浸漬させる。これにより、処理液中の放射性セシウムが、セシウム吸着材に吸着される。浸漬条件は、処理液の量、その放射能濃度等に応じて適宜設定されるが、例えば周囲温度〜100℃の温度、好ましくは周囲温度〜50℃の温度、より好ましくは周囲温度で、0.5時間から10時間、好ましくは1〜5時間、より好ましくは1〜3時間行う。
セシウム吸着剤による吸着工程に付した後の処理液は、回収して、土壌から放射性セシウムを抽出する工程に再利用することができる。すなわち、回収した処理液を、汚染土壌の2回目以降の抽出工程で用いてもよく、また新たな汚染土壌の1回目の抽出工程で用いてもよい。再利用の際、リン酸塩及び硫酸塩の添加や、pHの調整を、必要に応じて適宜行うことができる。抽出のための処理液を回収、再利用することにより、最終的に生じる放射性廃棄物の総量を減容することができる。
<脱着工程>
また、本発明の除染方法は、吸着工程で使用し、放射性セシウムが吸着したセシウム吸着剤から放射性セシウムを脱着及び濃縮する工程を含んでもよい。脱着及び濃縮工程は、酸処理により吸着剤から放射性セシウムを脱着することにより、あるいはアルカリ処理によりセシウム吸着剤から担持されたプルシアンブルー類縁体自体と共に放射性セシウムを脱離することにより実施することができる。これらは、放射性セシウムが吸着したセシウム吸着剤を、それぞれ酸又はアルカリ水溶液に浸漬することにより、実施することができる。脱着液(酸又はアルカリ水溶液)を繰り返し使用することにより、最終的に生じる放射性廃棄物の総量を減容することができる。一方、放射性セシウムが脱着した親水性繊維基材は、非放射性廃棄物として焼却処理することが可能である。この点からも、最終的に生じる放射性廃棄物の総量を大幅に減容することができる。
脱着工程で使用される酸又はアルカリは、特に限定されないが、好ましくは無機酸又は無機アルカリであり、無機酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられ、無機アルカリの例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、特には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。脱着及び濃縮条件は、セシウム吸着剤の容量等に応じて適宜設定されるが、例えば周囲温度〜100℃の温度、好ましくは周囲温度〜50℃の温度、より好ましくは周囲温度で、0.5時間から10時間、好ましくは1〜5時間、より好ましくは1〜3時間行う。
[放射性セシウムで汚染された土壌からセシウムを除去する除染装置]
本発明はまた、放射性セシウムで汚染された土壌からセシウムを除去する除染装置に関する。本発明の除染装置は、
− 放射性セシウムで汚染された土壌及び処理液を受け入れる中空の容器;
− 前記容器の外壁若しくは前記容器内に配設され、前記容器内に受け入れた前記土壌及び処理液を加熱するための加熱手段;及び
− 前記容器内に受け入れた前記土壌及び処理液を撹拌するための撹拌手段
を備える撹拌洗浄槽を含むものであって、且つ前記処理液が、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下であるものである。
本発明の除染装置は、前記撹拌洗浄槽に加えて、吸着槽を備えることもできる。すなわち、本発明の除染装置は、
− 前記撹拌洗浄槽から排出される放射性セシウムを含む処理液及びプルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材を受け入れる中空の容器
を備える吸着槽を含んでもよい。
本発明の除染装置において、好ましくは、前記セシウム吸着材はプルシアンブルーを担持したセルロース系長繊維不織布である。
図1は、本発明の除染装置の1つの構成例を示した概略図である。以下、図1を参照しながら、本発明の除染装置を用いた、本発明の除染方法について概説する。この実施形態では、除染装置は、撹拌洗浄槽及び吸着槽から構成されている。前述の本発明の汚染土壌の除染方法において、抽出工程は、撹拌洗浄槽で実施され、吸着工程は、吸着槽で実施される。
例えば抽出工程では、撹拌洗浄槽の容器1で、水と、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分とにより処理液を調製し、そこに放射性セシウムで汚染された土壌を加え、撹拌手段2により両者を接触させる。ここで、放射性セシウムで汚染された土壌は、予め粘土分を除去したものであってもよい。続いて、そこに酸を加え、pH4以下に調整する。加熱手段3により所定の温度に加熱し、所定の時間、撹拌手段2により両者を接触させ、土壌から放射性セシウムを抽出する。冷却手段4により周囲温度まで冷却後、撹拌手段2を停止し、土壌が十分に沈殿するまで静置し、次いで処理液循環ライン5により上澄み部(抽出液)を吸着槽の容器6に移す。
吸着工程では、吸着槽の容器6に移された放射性セシウムを含む処理液(抽出液)中に、プルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材7を導入/回収手段8を用いて導入し、所定の時間、両者を接触させ、放射性セシウムをセシウム吸着材7へ吸着させる。吸着工程に付した処理液は、処理液循環ライン5により回収され、吸着槽の容器6から撹拌洗浄槽の容器1に移され、汚染土壌の2回目以降の抽出工程に、あるいは新たな汚染土壌の1回目の抽出工程に再利用することができる。
以下、本発明の具体的態様を実施例として示すが、これらは例示であって、本発明を限定することを意図するものではない。
[放射能濃度測定]
実施例における放射能濃度の測定は、γ線測定器であるNaI(Tl)検出器(ATOMTEX,RKG−AT1320A)を用い、ソフトウェア(ATOMTEX, ATMA)で解析を行った。
[土壌試料]
実施例における土壌試料は、地権者の了承を得て福島県相馬郡飯舘村の水田にて、深さ5cmまでを許容深度として表層の土壌を採取し、環境試料採取法(文部科学省,1983)に基づき105℃に設定した乾燥器内で乾燥させたものである。
実施例1−1:抽出工程
[実験手順]
(i)土壌試料60g(乾燥時の放射能濃度:27,440Bq/kg)に水1000mLを加え、周囲温度で1分撹拌し、次いで2分静置した後、上澄み液を回収し、上澄み液と共に土壌中の粘土分(微粒子)を除去した。
(ii)撹拌洗浄槽で、リン酸1カリウムの1M水溶液600mLを調製し、(i)の粘度分を除去した土壌を加えて撹拌した(固液比1:10)。
(iii)次いで(ii)に硝酸(13N)を滴下してpH2 に調整した。
(iv)約100℃に加熱し、撹拌しながら2時間保温した。
(v)土壌が十分に沈殿するまで静置して、上澄み部(抽出液)を回収した。
(vi)沈殿部(処理土壌)を洗浄後、一部を採取・乾燥して放射能濃度を測定した。
[実験結果]
得られた土壌の放射能濃度は4,470Bq/kgであり、除染率は84%であった。なお、セシウムの除染率は以下の式で定義し、その結果を図2に示す。
実施例1−2:抽出工程
手順(ii)のリン酸1カリウムの1M水溶液を、硫酸アンモニウム1M水溶液に換えた以外は、実施例1−1と同様の実験手順を実施した。得られた土壌の放射能濃度は13,950Bq/kgであり、除染率は49%であった。結果を図2に示す。
実施例1−3:抽出工程
手順(ii)のリン酸1カリウムの1M水溶液を、硫酸アンモニウム1M及びリン酸1カリウム1Mの水溶液に換えた以外は、実施例1−1と同様の実験手順を実施した。得られた土壌の放射能濃度は6,760Bq/kgであり、除染率は75%であった。結果を図2、3に示す。
実施例1−4:抽出工程
手順(iii)の硝酸(13N)を、塩酸(12N)に換えた以外は、実施例1−3と同様の実験手順を実施した。得られた土壌の放射能濃度は10,150Bq/kgであり、除染率は63%であった。結果を図3に示す。
実施例1−5:抽出工程
手順(iii)の硝酸(13N)を、硫酸(36N)に換えた以外は、実施例1−3と同様の実験手順を実施した。得られた土壌の放射能濃度は11,520Bq/kgであり、除染率は58%であった。結果を図3に示す。
比較例1:抽出工程
手順(iii)を除いた以外は、実施例1−3と同様の実験手順を実施した。得られた土壌の放射能濃度は22,230Bq/kgであり、除染率は19%であった。結果を図3に示す。
実施例2:吸着工程
(1)土壌からのセシウム抽出液の作成
土壌試料540g(乾燥時の放射能濃度:57,600Bq/kg)にリン酸二水素カリウム1Mの水溶液5.4kgを加え、さらにこれに硝酸を加えてpH2 になるよう調整した。この後、100℃付近で2時間攪拌し、冷却した。その後、一晩静置し土壌が完全に沈降させることによって上澄み5.3L(セシウム137の濃度:471Bq/kg、セシウム134 の濃度:262Bq/kg)を得てこれを吸着実験に供した。
(2)吸着実験
抽出液5.3kg(セシウム137の濃度:471Bq/kg、セシウム134 の濃度:262Bq/kg)に177.6g のプルシアンブルーが担持された繊維状のセシウム吸着剤(小津産業(株)製、五大力PB)を15時間接触させることによって放射性セシウムを吸着させた後、これを50℃のオーブンで乾燥させた。吸着実験終了後の抽出液とプルシアンブルー担持繊維の放射線量を、AT1320A(ATOMTEX 社)で測定し、抽出液からの放射性セシウムの除去率の評価を行った。なお、セシウムの除去率は以下の式で定義した。
表1に吸着実験前の測定値、表2に吸着実験後の測定値を示す。抽出液中の放射性セシウム量を97%以上除去できたことがわかる。吸着後の抽出液に残留した放射性セシウムの総量は19Bq/kg であり、飲料水の基準値である10Bq/L(≒kg)以下までにはならなかったが、近い値にはなったことから、精密にセシウム吸着剤の量を制御すれば、上記基準値はクリアできるものと考えられる。

実施例3:脱着工程
実施例2で得られた、放射性セシウムを吸着させたプルシアンブルーが担持された繊維状のセシウム吸着剤のうちの46.2g(乾重量)を1.1N の水酸化ナトリウム水溶液(脱着液)に20分接触させて放射性セシウムを脱着させた。更に脱着液の繰り返し利用の可能性を検討するため、上記で一度使用した脱着液に、別の放射性セシウムを吸着させたプルシアンブルーが担持された繊維状のセシウム吸着材43.1g(乾重量)を20分接触させて放射性セシウムを脱着させた。1回目及び2回目の脱着後の脱着液とセシウム吸着材の放射線量を、AT1320A(ATOMTEX 社)で測定し、吸着材からの放射性セシウムの脱着率と、脱着後に吸着材に残留する放射性セシウム量を評価した。なお、脱着率は以下のように定義した。
表3に、1回目及び2回目脱着後の脱着液中の放射線量を示す。また表4に脱着実験前の測定値、表5に2回目脱着実験後の測定値を示す。繰り返し脱着を行うことによって脱着液中の放射性セシウムを濃縮できることがわかった。なお、2回目脱着実験後の脱着液を滴定することにより、使用された水酸化ナトリウム量を算出したところ、90g−NaOH/kg−セシウム吸着材であることがわかった。また、セシウム吸着材からのプルシアンブルーの脱着率として97%を得ることができた。


実施例4:実用化スケールでの除染試験
本発明の除染方法の実用化に向けたスケールに設計されたプロトタイプの除染装置(図1)を用い、以下の手順に従い、除染試験を実施した。
[実験手順]
(i)土壌試料56kg(dry:放射能濃度:43,000Bq/kg)に水100Lを加え、周囲温度で2分撹拌し、次いで5分静置した後、上澄み液を回収し、上澄み液と共に土壌中の粘土分(微粒子)を除去した。
(ii)撹拌洗浄槽で、リン酸1カリウムの1M水溶液560Lを調製し、(i)の粘度分を除去した土壌を加えて撹拌した(固液比1:10)。
(iii)次いで(ii)に硝酸(13N)を滴下してpH2 に調整した。
(iv)約100℃に加熱し、撹拌しながら2時間保温した。
(v)土壌が十分に沈殿するまで一晩静置して、上澄み部(抽出液)を吸着槽に移動させると共に、一部を採取して放射能濃度を測定した。
(vi)沈殿部(処理土壌)を洗浄後、一部を採取・乾燥して放射能濃度を測定した。
(vii)次いで(v)で得られた抽出液にプルシアンブルーが担持された繊維状のセシウム吸着剤(小津産業(株)製、五大力PB)を約2kg投入し、4時間浸漬させた。抽出液の一部を採取して放射能濃度を測定した。
[実験結果]
上記の手順(i)〜(v)に従い、抽出後に一晩かけて土壌を沈降させたところ、抽出液が分離されることが確認できた。得られた土壌抽出液の放射能濃度は1,260Bq/kg、体積は約560Lであった。この濃度は、ビーカーサイズの抽出試験によって得られる抽出液と同等であった。従って、プロトタイプ装置でもビーカーサイズに近い精度でセシウム抽出及び抽出液の回収が可能であることが明らかになった。また、この抽出液を手順(vii)で吸着剤によって除染した結果、120Bq/kgまで放射能濃度を低減できた(除去率:約90%)。これは、吸着の条件を調製することによって更に低濃度まで下げることができると考えられる。
次に、処理前土壌の放射能濃度は43000Bq/kgであったが、これを手順(i)〜(vi)に従って除染した結果、土壌の放射能濃度は18000Bq/kgまで低減された(除染率:約58%)。この土壌を更に肥料溶液1500Lで再抽出を行ったところ、回収した土壌の放射能濃度は4800Bq/kgまで低減された(除染率:89%)。除染率58%はビーカーサイズ試験の除染率に比べて低い結果であったが、これはプロトタイプ装置の土壌撹拌能力や加熱能力に改善の余地があるためと思われる。以上の実験結果から、本発明の除染方法及び装置は、除染困難とされる土壌にも対応可能であり、そのプロセスが50kg−土壌の規模にスケールアップした場合でも適用できることを示した。
本発明の放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法により、汚染土壌から固定化された放射性セシウムを効率よく抽出することができる。また本発明の除染方法で使用する試薬は、いずれも既に農地等で使われている肥料の成分であり、人体や生態系への影響の懸念がなく、除染された土壌は環境中に戻すことができる。したがって、従前の表層土壌剥ぎ取り法のように、汚染土壌の移動、集積、保管は不要である。さらに本発明の除染装置は、特別な材料を必要としないので低コストであり、また専門家による操作を必要としないので、地域住民やボランティア等による自らの手による土壌除染が可能となる。本発明の除染方法及び除染装置により、汚染土壌の除染の加速が期待できる。
1 撹拌洗浄槽の容器
2 撹拌手段
3 加熱手段
4 冷却手段
5 処理液循環ライン
6 吸着槽の容器
7 セシウム吸着材
8 セシウム吸着材の導入/回収手段

Claims (9)

  1. 放射性セシウムで汚染された土壌を、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下である処理液と接触させ、土壌から放射性セシウムを抽出する工程を含む、放射性セシウムで汚染された土壌の除染方法。
  2. 抽出工程後の処理液を、プルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材と接触させ、放射性セシウムをセシウム吸着材へ吸着させる工程を含む、請求項1に記載の除染方法。
  3. リン酸塩及び硫酸塩が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニアのリン酸塩及び硫酸塩である、請求項1又は2に記載の除染方法。
  4. 処理液が、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分と、硝酸とを含む水溶液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の除染方法。
  5. 抽出工程前の処理として、放射性セシウムで汚染された土壌から粘土分を除去する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の除染方法。
  6. 処理液が、吸着工程後に回収した処理液である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の除染方法。
  7. 放射性セシウムで汚染された土壌からセシウムを除去する除染装置であって、
    前記土壌及び処理液を受け入れる中空の容器;
    前記容器の外壁若しくは前記容器内に配設され、前記容器内に受け入れた前記土壌及び処理液を加熱するための加熱手段;及び
    前記容器内に受け入れた前記土壌及び処理液を撹拌するための撹拌手段
    を備える撹拌洗浄槽を含み、
    前記処理液が、リン酸塩及び硫酸塩からなる群より選択される少なくとも一種の成分を含み、且つpHが4以下である、除染装置。
  8. 前記撹拌洗浄槽から排出される放射性セシウムを含む処理液及びプルシアンブルー類縁体を担持した親水性繊維基材からなるセシウム吸着材を受け入れる中空の容器
    を備える吸着槽を含む、請求項7に記載の除染装置。
  9. 前記セシウム吸着材が、プルシアンブルーを担持したセルロース系長繊維不織布である、請求項8に記載の除染装置。
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