以下、図面を参照して本発明の実施形態による光合分波器およびこの光合分波器を用いた光通信システムを詳細に説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。各実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
(第1実施形態)
図1は本発明における光合分波器の基本概念を示す概略図である。本発明の光合分波器は、基板上に形成され、M個(M≧2の整数)の入力をm(2≦m≦Mの整数)種類のモードに変換し出力するモード変換導波路がN(N≧2の整数)個並べられたモード変換導波路アレイ101と、m種類のモードを伝搬するN個のマルチモードの光ファイバのコアを含むN個以上の複数の光ファイバのコアの出力端を近接させ、一つに束ねるマルチコア空間位置変換手段103と、モード変換導波路アレイ101のN個の出力と、マルチコア空間位置変換手段103の複数の光ファイバのコアのうちのN個のマルチモードのコアの入力端を光学的に結合する光結合手段102とから構成されている。
本実施形態における光合分波器の構成例をより詳細に説明する。はじめに、モード変換導波路の構成例を示す。図2(a)に示すように、本実施形態のモード変換導波路は基板上に形成された第1〜第3のM(M=3)個の導波路241、242、243からなり、一方の端は導波路のコア間隔を離すよう、他方の端は導波路のコア間隔を近づけるよう形成している。図2(b)に、第1〜第3の導波路のコア間隔を離した方のチップ端面の断面図、図2(c)に、第1〜第3の導波路のコア間隔を近接させた方のチップ端面の断面図を示す。ここで、仮に図2(b)をシングルモード側、図2(c)をマルチモード側と呼ぶことにする。
モード変換導波路のシングルモード側の第1〜第3の導波路にそれぞれ光を入力すると、モード変換導波路を伝搬するに従い、徐々にM(M=3)個の導波路のコアが近づき、隣接導波路との光結合が生じる。そしてマルチモード側からは、互いに結合した擬似的にマルチモードとなった光が出力される。シングルモード側から入力する光の強度や位相の組み合わせにより、生成するモードを変えることができる。本実施形態では、シングルモード側のM(M=3)個のポートより入力したシングルモード光を、擬似的にLP01モード、LP11aモード、LP11bモード(図3を参照)のm(m=3)種類のモードに変換し、これらm種類のモードを、マルチモード側の一つのポートより出力した。なお、入力光として偏波多重光を用い、TE偏光(s偏光)のLP01モード、LP11aモード、LP11bモードと、TM偏光(p偏光)のLP01モード、LP11aモード、LP11bモードが出力された。
本実施形態では、縮退したモード(LP11aモードとLP11bモード)はそれぞれ1種類のモードとして数えるが、偏波多重はモード多重とは切り離して考えるので、上記例におけるモード多重数は、LP01モード、LP11aモード、LP11bモードのm=3種類となる)。この動作はモード合波器として使用する場合である。反対にモード分波器として使用する場合は、マルチモード側の一つのポートよりm(m=3)種類のモードが混ざった光を入力することで、本モード変換導波路によりモード変換され、シングルモード側のM(M=3)個のポートより光がモード分波されて出力される。このような構成のモード変換導波路をN(N=7)個並べ、モード変換導波路アレイ101を形成した。
次に、マルチコア空間位置変換手段の構成例を説明する。本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段としてm(m=3)種類のモードを伝搬するN本のマルチモード光ファイバを用い、それらの一方の端を近接させ、一つに束ねた。ここで、仮に近接させて一つに束ねた方のファイバ束の端を出力端、もう一方の端を入力端と呼ぶことにする。図4(a)に本実施形態のマルチコア空間位置変換手段の出力端の断面図(N=7の場合)を示す。この出力端を、図4(b)に示されている断面構造のNコア・mモードのマルチコア・マルチモード光ファイバと接続した時、マルチコア・マルチモード光ファイバのそれぞれのマルチモードのコア671〜677の位置に合うよう、マルチコア空間位置変換手段のN本のマルチモード光ファイバのコア401〜407が配置され、束ねられている。
最後に、図5を参照して光結合手段の構成例を説明する。図5は、光学結合の一例を示す図である。本実施形態では、光結合手段として2枚のレンズ501を用いた。そしてそれぞれのモード変換導波路211の出力と、マルチコア空間位置変換手段を構成し、マルチモードのコア401を有するマルチモード光ファイバ301の入力端を光学的に結合した。
図6は、作製した光合分波器の具体的な構成を示す図である。モード変換導波路アレイ101は、シリコン基板上に形成されたシリコン導波路で形成し、M=3の入力をm=3種類のモードに変換し出力するモード変換導波路211〜217をN=7個並べて作製した。モード変換導波路アレイ101の入力に、複数の光ファイバがV溝基板上に並べられた光ファイバブロックを接続し易くするため、モード変換導波路アレイ101の入力側の21(=モード変換導波路の入力ポートの数M×モード変換導波路の個数N)個のコアは等ピッチ、かつ、モード変換導波路アレイ101が形成された基板の層上で同じ高さとなるよう形成した(図7(a)参照)。さらに、モード変換導波路アレイ101の7(=モード変換導波路の個数N)個の出力も等ピッチ、かつ、モード変換導波路アレイ101が形成された基板の層上で同じ高さとなるよう形成した(図7(b)参照)。
入力側のコアの位置は、1つのコアの中心の位置としたのに対し、出力側のコアの位置は、3つのコアの中心の位置とした(図7参照)。また、モード変換導波路アレイ101の入力側のコアのピッチはp、出力側のコアのピッチはq=M×pに設定した。このように、N個のモード変換導波路211〜217の入力/出力の位置を一直線上に並べることで光ファイバブロックの接続が容易となり、さらに入力/出力の位置を結ぶ線上で等ピッチとなるよう配置することで、汎用の光ファイバブロックが使用でき、部材の低コスト化につながる。
マルチコア空間位置変換手段103は、N=7本の光ファイバ301〜307を用いて作製した。N=7本の光ファイバはステップインデックス型の屈折率分布で、コア径12μm、少なくともm=3種類のモードを伝搬するよう設計した(ステップインデックス型の数モード光ファイバ)。また、これらN=7本の光ファイバのクラッド径は125μmとし、コア径は一定のまま、入力端から出力端に向けてクラッド径が次第に小さくなるようにし、出力端におけるクラッド径を80μmに細径化した。そしてN=7個の光ファイバのコアの出力端を近接させ、断面が図4(a)に示したコア配置となるよう束ね、被覆で覆った。
光結合手段102として、2枚のマイクロレンズをN=7組用い、モード変換導波路アレイ211〜217のN=7個の出力位置に合うよう7組のマイクロレンズ501〜507をアレイ状に並べ、続いてマルチコア空間位置変換手段103の入力端側のN=7本の光ファイバ301〜307を並べた。そして、モード変換導波路アレイ211〜217の出力から光結合手段102を通してマルチコア空間位置変換手段103の入力に至る光路の光軸が合うよう、それぞれの組のマイクロレンズ501〜507とマルチコア空間位置変換手段103の入力端の光ファイバ301〜307のコアの位置を微調整した。
作製した光合分波器のモード変換導波路211のM=3つの入力よりシングルモード光を入力すると、モード変換導波路211の1つの出力に光が集光し、m=3種類のモードが合分波された擬似的なマルチモード光となった。そのマルチモード光は光結合手段501を通して、マルチコア空間位置変換手段103の第1の光ファイバ301の入力端に光学的に結合し、マルチコア空間位置変換手段103の出力端の第1のコア401より出力された。3つのシングルモード入力光の振幅と位相の組み合わせにより、生成するモードを設定した。
同様に、光合分波器のモード変換導波路212のM=3つの入力よりシングルモード光を入力するとモード変換導波路212により生成されたマルチモード光は光結合手段502を通してマルチコア空間位置変換手段103の出力端の第2のコア402より出力され、光合分波器のモード変換導波路217の3つの入力よりシングルモード光を入力するとモード変換導波路217により生成されたマルチモード光は光結合手段507を通してマルチコア空間位置変換手段103の出力端の第7(=N)のコア407より出力された。これにより、作製した光合分波器は、空間多重、かつモード多重伝送における合波器として動作することが確認された。反対に、マルチコア空間位置変換手段103の出力端より空間多重、かつモード多重された光を入力すると、分波された光がモード変換導波路アレイのそれぞれの入力ポートより出力され、分波器としても動作することが確認された。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が21(=コア数×モード数=N×m)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する数モード光ファイバのコアの数N(=7)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
また、本実施形態では、N本の数モード光ファイバを束ねることでマルチコア空間位置変換手段103を形成したが、その他の手段を用いることができる。例えば、非特許文献8のFig.2(b)に記載されているようなコアがレーザにより基板に描画された導波路を用い、それぞれがm種類のモードを伝搬するN個のマルチモードの光ファイバのコアの出力端を次第に近接させて一つに束ねた導波路をレーザにより基板に形成し、図6に示すマルチコア空間位置変換手段103として用いてもよい。
以上、本実施形態により、空間多重、かつモード多重された光を合波・分波できる光合分波器を実現し、従来よりも空間多重数の拡大を実現した。
(第2実施形態)
第1実施形態において、m種類のモードを伝搬するN本のマルチモード光ファイバの一方の端を近接させ、一つに束ねることでマルチコア空間位置変換手段103を形成したが、シングルモード光ファイバなど、異なる種類の光ファイバを混在させてマルチコア空間位置変換手段103を形成することができる。これにより、例えば図10(b)に示すような、コア径(伝搬定数)が異なる複数のコアを用いて同一コア径のコア間隔を離すことにより、クロストークを向上させたコア配置のマルチコア・マルチモード光ファイバなどに適用可能な光合分波器を実現できる。
図8は、第2実施形態による光合分波器の全体構成を示す図である。本実施形態の光合分波器は、基板上に形成され、M個(Mは、M≧2の整数)の入力をm(mは、2≦m≦Mの整数)種類のモードに変換し出力するモード変換導波路211〜213がN(N≧2の整数、図8に示す例ではN=3)個並べられたモード変換導波路アレイ101と、m種類のモードを伝搬するN個のマルチモードの光ファイバ301〜303のコアを含むN個以上の複数の光ファイバのコアの出力端を近接させ、一つに束ねるマルチコア空間位置変換手段103と、モード変換導波路アレイ101のN個の出力と、マルチコア空間位置変換手段103の複数の光ファイバのコアのうちのN個のマルチモードのコアの入力端を光学的に結合する光結合手段102とから構成されている。
モード変換導波路211〜213は基板上に形成された、第1〜第6のM(M=6)個の導波路からなり、一方の端は導波路のコア間隔を離すよう、他方の端は導波路のコア間隔を近づけるよう形成している。図9(a)に、第1〜第6の導波路のコア間隔を離した方のチップ端面の断面図、図9(b)に、第1〜第6の導波路のコア間隔を近接させた方のチップ端面の断面図を示す。ここで、仮に図9(a)をシングルモード側、図9(b)をマルチモード側と呼ぶことにする。
モード変換導波路211〜213のシングルモード側の第1〜第6の導波路にそれぞれ光を入力すると、モード変換導波路を伝搬するに従い、徐々にM(M=6)個の導波路のコアが近づき、隣接導波路と光結合が生じる。そしてマルチモード側からは、互いに結合した擬似的にマルチモードとなった光が出力される。シングルモード側から入力する光の強度や位相の組み合わせにより、生成するモードを変えることができる。例えば、本実施形態では、シングルモード側のM(M=6)個のポートより入力したシングルモード光をm(m=6)種類のモードに変換し、これらm種類のモードを、マルチモード側の一つのポートより出力した。この動作はモード合波器として使用する場合である。
反対にモード分波器として使用する場合は、マルチモード側の一つのポートよりm(m=6)種類のモードが混ざった光を入力することで、本モード変換導波路によりモード変換され、シングルモード側のM(M=6)個のポートより光がモード分波されて出力される。このような構成のモード変換導波路をN(N=3)個並べ、モード変換導波路アレイ101を形成した。
マルチコア空間位置変換手段103として、m(m=6)種類のモードを伝搬するN(N=3)本のマルチモード光ファイバ301〜303と、基本モードを伝搬する4本のシングルモード光ファイバ321〜324を用い、それらの一方の端を近接させ、一つに束ねた。ここで、仮に近接させて一つに束ねた方のファイバ束の端を出力端、もう一方の端を入力端と呼ぶことにする。入力端は、図8に示すように、マルチコア空間位置変換手段103の複数の光ファイバのうちのN本301〜303の入力が一つのファイバブロック331に並べられ、モード変換導波路アレイのN個の出力と、マルチコア空間位置変換手段の複数の光ファイバのうちのN本301〜303の入力がそれぞれ光学的に結合するよう、ファイバブロック331が、モード変換導波路アレイ101が形成された基板端面に接続されている。
図10(a)に本実施形態のマルチコア空間位置変換手段103の出力端の断面図を示す。この出力端を、図10(b)に示されている断面構造のマルチコア・マルチモード光ファイバと接続した時、マルチコア・マルチモード光ファイバのそれぞれのコアの種類と、コアの位置が合うよう、マルチコア空間位置変換手段103のN=3本のマルチモード光ファイバのコア401〜403と4本のシングルモード光ファイバのコア421〜424が配置され、束ねられている。
光結合手段として1枚のレンズをN=3組用いた。そしてモード変換導波路211〜213の出力と、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのうちの、N=3本のマルチモード光ファイバ301〜303の入力端を、レンズ501〜503を介して光学的に結合した。
本実施形態の光合分波器の具体的な作製例を説明する。モード変換導波路アレイ101は、基板上にパルスレーザで形成し、M=6つの入力をm=6種類のモードに変換し出力するモード変換導波路をN=3個並べた。モード変換導波路アレイ101の入力側の18(=モード変換導波路の入力ポートの数M×モード変換導波路の個数N)個のコアの中心位置は平面基板上で等ピッチp、基板の層上で同じ高さ、出力側の3(=モード変換導波路の個数N)組の出力のコアの中心位置(6つのコアの中心の位置)は平面基板上で等ピッチq=M×p、基板の層上で同じ高さとなるよう作製した。
しかし、モード変換導波路アレイ101を作製したところ、実際には作製誤差により平面基板上で位置ずれが生じ、最大で1μmの誤差が生じた。マルチモードにおける光接続では、接続部の位置ずれにより結合損失と共にモード変換が発生する。例えば、本実施形態のモード変換導波路では、図11に示すように、1μmの位置ずれによりLP01モードに対するLP11モードのモードクロストークは−17dBにもなり、信号品質が劣化する。もちろん、信号処理により補償してもよいが、モード変換は伝送路の接続部ごとに発生するので、信号処理の負担を軽減するため、接続部の位置ずれは最小限に抑えることが望ましい。
そこで、本実施形態では、作製したモード変換導波路アレイの入力側の18個のコアの平面基板上における形成位置を計測し、コアが形成された位置に合わせてV溝基板上にV溝を形成し、光ファイバをこのV溝に並べて光ファイバブロックを作製した。また、モード変換導波路アレイの出力側の3組の出力の平面基板上における位置を測定し、出力の位置に合わせてV溝基板上にV溝を形成し、光ファイバをこのV溝に並べて光ファイバブロック331を作製した。V溝の高精度な形成技術により、本実施形態では接続部の位置ずれを0.4μm以下に抑え、モードクロストークを−25dB以下に低減した。このように、モード変換導波路アレイ101の入出力が形成された位置に合わせて光ファイバブロックを作製することで、モード変換導波路アレイ101の入出力と光ファイバを高精度に接続することができ、接続損失を抑えると共に、マルチモードでは特に問題となるモード変換を最小限に抑え、高性能な光合分波器を実現した。
マルチコア空間位置変換手段103は、N=3本の光ファイバ301〜303と4本のシングルモード光ファイバ321〜324を用いて作製した。N=3本の光ファイバはステップインデックス型の屈折率分布で、コア径15μm、少なくともm=6種類のモードを伝搬するよう設計した(ステップインデックス型の数モード光ファイバ)。また、これら合わせて7本の光ファイバのクラッド径は125μmとし、コア径は一定のまま、入力端から出力端に向けてクラッド径が次第に小さくなるようにし、出力端におけるクラッド径を75μmに細径化した。そしてこれら7本の光ファイバのコアの出力端を近接させ、断面が図10(a)に示したコア配置となるよう束ね、被覆で覆った。
光結合手段102として、1枚のマイクロレンズをN=3組用い、モード変換導波路アレイ101のN=3個の出力位置に合うよう3組のマイクロレンズをアレイ状に並べた。続いてマルチコア空間位置変換手段103の入力端側のN=3本のマルチモード光ファイバを、モード変換導波路アレイ101の出力が形成された位置に合わせて作製したV溝基板上に並べ、マルチモード光ファイバブロック331を形成した。そして、モード変換導波路アレイ101の出力から光結合手段102を通してマルチコア空間位置変換手段103の入力に至る光路の光軸が合うよう、それぞれの組のマイクロレンズ501〜503とマルチモード光ファイバブロック331の位置を微調整した。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が22(=N×m+4)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段103を構成する光ファイバのコアの数N+4(=7)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=6)よりも大きくなるようにした。
また、本実施形態では、N本の数モード光ファイバを束ねることでマルチコア空間位置変換手段103を形成したが、その他の手段を用いることができる。例えば、非特許文献8のFig.2(b)に記載されているようなコアがレーザにより基板に描画された導波路を用い、それぞれがm種類のモードを伝搬するN個のマルチモードの光ファイバのコアと、4個のシングルモードの光ファイバのコアの出力端を次第に近接させて一つに束ねた導波路をレーザにより基板に形成し、マルチコア空間位置変換手段103として用いてもよい。
以上、本実施形態により、空間多重、かつモード多重された光を合波・分波できる光合分波器を実現し、従来よりも空間多重数の拡大を実現した。また、異なる種類のコアを用いることでマルチコア・マルチモード光ファイバ中の隣接クロストークを大きく改善した。さらに、モード変換導波路アレイの入出力位置を測定し、位置ずれに応じて接続する光ファイバブロックを作製することで、モードクロストークと接続損失を抑制した。
(第3実施形態)
第1実施形態において、m種類のモードを伝搬するN本のマルチモード光ファイバの一方の端を近接させ、一つに束ねることでマルチコア空間位置変換手段103を形成したが、光信号を伝搬させない予備の光ファイバを混在させてマルチコア空間位置変換手段103を形成することができる。これにより、例えば図16(b)に示すような、伝搬するマルチモードのコア間の隣接距離を離し、クロストークを向上させたコア配置のマルチコア・マルチモード光ファイバなどに適用可能な光合分波器を実現できる。また、本実施形態では、導波路が複数層からなる基板上に形成することで、モード変換導波路アレイの作製を容易にした。
図12は、第3実施形態による光合分波器の全体構成を示す図である。基本構成は第1実施形態と同様である。図13、図14に、本実施形態におけるモード変換導波路101の構成例を示す。本実施形態のモード変換導波路アレイは、基板上に、2層からなる導波路で形成した。具体的には、基板上に第1層目の導波路を形成した後、クラッドを堆積し、その上に第2層目の導波路を形成することで作製した。図13に上面図を示す。図13(a)に示す実線で描かれた第1と第3の導波路241、243は第1層目に、図13(b)に示す実線で描かれた第2の導波路242は第2層目に形成されている。図14(a)に示すように、一方の端は導波路のコア間隔を離すよう、他方の端は導波路のコア間隔を近づけるよう形成している。図14(b)に、第1〜第3の導波路のコア間隔を離した方のチップ端面の断面図、図14(c)に、第1〜第3の導波路のコア間隔を近接させた方のチップ端面の断面図を示す。
第1実施形態の図2に示す構成との大きな違いは、図14(b)に示されている第2の導波路のコア248が第2層目に形成されている点にある。導波路はコアの高さを変えて(例えば図2(a))作製するよりも、同じ平面上に形成する方が容易で、かつ、精度良く作製できるため、本実施形態のように、複数の導波路層を有する基板上において、それぞれの導波路を同一の層内に形成することで、高性能なモード変換導波路アレイ101が得られる。
モード変換導波路アレイ101は、基板上に形成されたポリマー導波路で形成し、M=3つの入力をm=3種類のモードに変換し出力するモード変換導波路211〜223をN=13個並べて作製した。モード変換導波路アレイ101の入力に、複数の光ファイバがV溝基板上に並べられた光ファイバブロックを接続し易くするため、モード変換導波路アレイ101の入力側の39(=モード変換導波路の入力ポートの数M×モード変換導波路の個数N)個のコアは等ピッチp、かつ、モード変換導波路アレイ101が形成された基板の2つの導波路層上で同じ高さとなるよう形成した(図15(a))。さらに、モード変換導波路アレイ101の13(=モード変換導波路の個数N)個の出力も等ピッチq=M×p、かつ、モード変換導波路アレイが形成された基板の層上で同じ高さとなるよう形成した(図15(b))。なお、入力側のコアの位置は、1つのコアの中心の位置にしたのに対し、出力側のコアの位置は、3つのコアの中心の位置とした(図15(b)参照)。
このように、N個のモード変換導波路101の入力/出力の高さ方向の位置を、導波路の層数(本実施形態では図15(a)に示すように2層)と同数の線上に揃えるか、もしくは、導波路の層数より少ない数の線上に揃えることで、本発明の光合分波器のモード変換導波路アレイに接続される光ファイバブロックの作製が容易となる。さらに入力/出力の位置をむすぶ線上で一定ピッチとなるよう配置することで、光ファイバブロックの共用化ができ、部材の低コスト化につながる。
マルチコア空間位置変換手段103として、m(m=3)種類のモードを伝搬するN(N=13)本のマルチモード光ファイバ301〜313と、これらマルチモード光ファイバと同じ外径を有するが、光信号を伝搬させない6本の予備のマルチモード光ファイバ414〜419と、スペーサ471〜482を用い(図16(a))、それらの一方の端を近接させ、一つに束ねた。ここで、仮に近接させて一つに束ねた方のファイバ束の端を出力端、もう一方の端を入力端と呼ぶことにする。入力端の光ファイバは、一定ピッチq=M×pで並べ、マルチモードの光ファイバブロック331を形成した。図16(a)に本実施形態のマルチコア空間位置変換手段103の出力端の断面図を示す。この出力端を、図16(b)に示されている断面構造のマルチコア・マルチモード光ファイバと接続した時、マルチコア・マルチモード光ファイバのそれぞれのコア671〜683と位置が合うよう、マルチコア空間位置変換手段103のN=13個のマルチモードのコア401〜413が配置され、6本の予備のマルチモードのコア414〜419と、12個のスペーサ471〜482と共に、円筒状の筒492の中で束ねられている。
マルチコア空間位置変換手段103に予備のマルチモード光ファイバやスペーサを入れることで、伝送に使用するマルチモード光ファイバのコア401〜413の位置がより強固に固定され、マルチコア・マルチモード光ファイバのそれぞれのコアとの接続精度が向上した。なお、6本の予備のマルチモードのコア414〜419も伝送に使用してもよいが、本実施形態では、光を通さないことで、コア間の間隔を離し、コア間のクロストークを向上させて、良好な信号品質を得た。
マルチコア空間位置変換手段103に用いたN=13本の光ファイバ301〜313と6本の予備の光ファイバ314〜319はステップインデックス型の屈折率分布で、コア径13μm、少なくともm=3種類のモードを伝搬するよう設計し、さらに隣接コアからのクロストークを低減するよう、周辺のクラッドよりも屈折率を低くした、直径50μm、幅10μmのリング状のトレンチ構造を、各コアに設けた(トレンチ構造を有するステップインデックス型の数モード光ファイバ)。また、これら光ファイバのクラッド径は125μmとし、コア径は一定のまま、入力端から出力端に向けてクラッド径が次第に小さくなるようにし、出力端におけるクラッド径を85μmに細径化した。
光結合手段102として、バットジョイント方式による接続機構、すなわち、モード変換導波路アレイ101の出力の基板端面を研磨し、マルチコア空間位置変換手段103を構成するマルチモード光ファイバの入力を鏡面研磨し、これら研磨された基板端面と光ファイバ端面同士を物理接触させることで低損失な接続を実現した。なお、バットジョイント接続部に接着剤を含有することで接続部を固定してもよいし、屈折率整合剤を含有することで、結合効率を向上させても良く、バットジョイントや研磨以外にも、接着剤や屈折率整合剤も光結合手段の構成要素と見なすことができる。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が39(=N×m)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの数N(=13)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
以上、本実施形態により、空間多重、かつモード多重された光を合波・分波できる光合分波器を実現し、従来よりも空間多重数の拡大を実現した。また、モード変換導波路アレイを複数層に形成し、導波路を同一層上に形成することで、モード変換導波路を高性能化した。さらに、マルチコア空間位置変換手段に予備の光ファイバやスペーサを組み込むことで、コアの位置精度を向上させた。
(第4実施形態)
第3実施形態において、モード変換導波路アレイ101の導波路は複数層に形成し、また、モード変換導波路のマルチモード側のチップ端面では複数のコアを近接させる構成としたが、第4実施形態では、モード変換導波路アレイ101を単一の層上のみに形成し、また、モード変換導波路101のマルチモード側のチップ端面のコア数を1つとした。モード変換導波路アレイ101を一つの層のみで実現することで、モード変換導波路アレイ101を汎用の導波路作製技術で作製することを可能とし、第3実施形態のモード変換導波路アレイ101よりもさらに作製を容易にした。また、第1と第2実施形態では、光結合手段102として、一つ、もしくは複数のレンズの組を用いたが、本実施形態では、一つ、もしくは複数のレンズの組を並べてアレイ化し、筐体に収め、気密封止した。これにより、レンズからなる光結合手段102を汎用部品化することができ、また、レンズを1枚ずつ配置することなく、N組を一括で光接続できるようにし、光接続の信頼性の向上、低コスト化、簡易化につなげた。
図17は、第4実施形態による光合分波器の全体構成を示す図である。平面基板上に形成されたN=7個のモード変換導波路211〜217からなるモード変換導波路アレイ101と、筐体に収められたN=7組のマイクロレンズ501〜507からなるレンズアレイ(光結合手段102)と、N本の光ファイバ301〜307からなるマルチコア空間位置変換手段103とから構成されている。
図18に、第4実施形態におけるモード変換導波路211〜217の構成例を示す。図18(a)に、モード変換導波路の上面図を示す。3つのシングルモードの入力ポートと、1つのマルチモードの出力ポートを有し、入力された1つもしくは複数のシングルモード光を、m=3種類のモードに変換し、出力するよう回路が構成されている。第2の導波路242は、導波路幅を次第に変化させたテーパ導波路と、導波路幅が異なる複数の直線導波路の組み合わせからなり、第1の導波路241と第3の導波路243は、入力光を第2の導波路の直線導波路に近づけ、光結合させるようにしている。
図18(b)に、シングルモード側のチップ端面の断面図、図18(c)に、マルチモード側のチップ端面の断面図を示す。第1〜第3実施形態で説明した構成との大きな違いは、図18(b)と(c)に示されているように、導波路のコアが一層のみに形成されている点にある。一般に、導波路はコアの高さ方向の位置を変化させて作製する場合や、複数層に渡って作製する場合よりも、同一平面上に形成する方が遥かに作製し易く、かつ、精度良く作製できるため、本実施形態のように、単一の導波路層を有する基板上に導波路を形成することで、高性能なモード変換導波路アレイが得られる。
図19に、一例として本実施形態のモード変換導波路のマルチモード側のポートより出力されたm=3種類のモードを示す。図20に、本実施形態における光結合手段102の構成例を示す。2枚で一組のレンズ501〜507をN=7組、筐体521内部に並べ、気密封止した。レンズに接する筐体の面はガラス窓とした。本実施形態では、レンズのアレイ数をモード変換導波路211〜217のアレイ数と同数としたが、両者の数は異なっていてもよい。
図21(a)に本実施形態のマルチコア空間位置変換手段の出力端の断面図を示す。この出力端を、図21(b)に示されている断面構造のNコア・mモードのマルチコア・マルチモード光ファイバと接続した時、マルチコア・マルチモード光ファイバのそれぞれのマルチモードのコア671〜677と位置が合うよう、マルチコア空間位置変換手段のN=7個のマルチモードのコア401〜407が配置され、束ねられている。本実施形態では、横方向に広がったモードを高品質で伝送できるよう、コアの形状を矩形にした。本実施形態では、図21に示すように、矩形のコアの長い辺が水平になるよう、N=7個とも向きを揃えて配置したが、それぞれのコアの向きは異なっていても構わない。
本実施形態の光合分波器の具体的な作製例を説明する。モード変換導波路アレイ101は、石英プレーナ光波回路技術で作製した。モード変換導波路アレイ101のシングルモードの入力に、複数の光ファイバがV溝基板上に並べられた光ファイバブロックを接続しやすくするため、モード変換導波路アレイ101の入力側の21(=モード変換導波路の入力ポートの数M×モード変換導波路の個数N)個のコアの中心位置は平面基板上で等ピッチp、基板の層上で同じ高さとなるよう形成した。このように、N個のモード変換導波路の入力の位置を一直線上に並べることで光ファイバブロックの接続が容易となり、さらに入力の位置を結ぶ線上で等ピッチとなるよう配置することで、汎用の光ファイバブロックが使用でき、部材の低コスト化につながる。
また、モード変換導波路アレイ101のマルチモードの出力に、図20に示すレンズアレイを接続しやすくするため、モード変換導波路アレイ101の出力側の7(=モード変換導波路の個数N)組の出力のコアの中心位置は平面基板上で等ピッチq=M×p、基板の層上で同じ高さとなるよう作製した。入力側と同様に、レンズアレイの接続が容易となり、部材の共通化により、低コスト化につながる。
マルチコア空間位置変換手段103は、N=7本の光ファイバを用いて作製した。N=7本の光ファイバは矩形コア型の屈折率分布で、コア径10×20μm、m=3種類のモードを伝搬するよう設計した。また、これら7本の光ファイバはクラッド径70μmの細径ファイバとした。そしてこれら7本の光ファイバのコアの出力端を近接させ、断面が図21(a)に示したコア配置となるよう束ね、被覆で覆った。
本実施形態では、モード変換導波路アレイ101の入力のピッチをpとした時、レンズアレイの筐体521内のN組のレンズと、マルチモード光ファイバブロック331のN個のコアは、ピッチq=M×pの等ピッチで並べ、高さは一定となるようにした。このようなアレイの配置により部材間の接続が容易となり、部材の共通化により、低コスト化につながる。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が21(=N×m)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの数N(=7)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
以上、本実施形態により、空間多重、かつモード多重された光を合波・分波できる光合分波器を実現し、従来よりも空間多重数の拡大を実現した。
(第5実施形態)
第1〜第3実施形態のモード変換導波路において、近接させた複数のコアからなるマルチモード側の出力ポートが基板端面に形成されるようにしたが、本実施形態では、光の出射端が基板上面に形成されるようにした。このような構成にすることで、第4実施形態と同様に、モード変換導波路を単一の層の平面基板上に形成でき、作製が容易であるという利点が得られる。さらに、第1〜第3実施形態のモード変換導波路では、光の出射端が基板端面にあるため、対称性の良いモードを出射するには、精密な高さ方向の制御が必要であったが、本実施形態のように光の出射端を基板上面にすることで、標準的な平面基板の作製技術でも良好な位置精度が得られる。
図22は、第5実施形態におけるモード変換導波路アレイ101の構成例の上面図である。それぞれのモード変換導波路は、基板端面から入力される3つのシングルモードの入力ポートと、テーパ導波路と、二次元導波路グレーティング251〜259からなる。シングルモードの入力ポートより入力された光の電界はテーパ導波路により断熱的に変換され、二次元グレーティングで垂直方向に光路が変換され、基板上面より出力される。複数の二次元グレーティングの位置は任意に設定できる。例えば、3つの二次元導波路グレーティングを3回対称に配置することで、対称性の良いマルチモード光を基板上面より出力することができる。
本実施形態では、基板に対し水平方向に伝搬する光の光路を垂直方向に変換する手段としてグレーティングを用いたが、その他の手段を用いることができる。例えば、図23に示すように、基板201上の導波路に45度ミラー260を形成することで、水平方向の光路を垂直方向の光路に変換することもできる。
本実施形態の光合分波器の具体的な作製例を示す。モード変換導波路アレイ101は、基板201上に、シリコン導波路で作製した。モード変換導波路アレイ101のシングルモードの入力に、複数の光ファイバがV溝基板上に並べられた光ファイバブロックを接続しやすくするため、モード変換導波路アレイ101の入力側の21(=モード変換導波路の入力ポートの数M×モード変換導波路の個数N)個のコアの中心位置は平面基板上で等ピッチp、基板の層上で同じ高さとなるよう形成した。このように、N個のモード変換導波路の入力の位置を一直線上に並べることで光ファイバブロックの接続が容易となり、さらに入力の位置を結ぶ線上で等ピッチとなるよう配置することで、汎用の光ファイバブロックが使用でき、部材の低コスト化につながる。
また、入力光の反射を抑制するため、モード変換導波路アレイ101の基板端面を斜め8°に研磨し、21芯のシングルモード光ファイバブロックを接続した。モード変換導波路アレイ101のマルチモードの出力についても、レンズアレイを接続しやすくするため、モード変換導波路アレイ101の出力側の7(=モード変換導波路の個数N)組の導波路グレーティングからなる出力端の中心位置は、平面基板上で等ピッチq=M×pとなるよう作製した。なお、出力端の中心位置は、3つの光の出射端の中心位置とした。
マルチコア空間位置変換手段103は、N=7本の光ファイバを用いて作製した。N=7本の光ファイバはマルチステップインデックス(階段)型の屈折率分布で、第1の屈折率と第2の屈折率のコアのコア径をそれぞれ12μmと15μmの2段階に変化させ、m=3種類のモードを伝搬するよう設計した。また、これら7本の光ファイバはクラッド径90μmの細径ファイバとした。そしてこれら7本の光ファイバのコアの出力端を近接させ、断面が図4(a)に示したコア配置と同様になるよう束ね、被覆で覆った。
光結合手段102として、N=7連の1枚レンズアレイを使用し、導波路グレーティングによってモード変換導波路アレイ101の基板上面から出射されたマルチモード光を、マルチコア空間位置変換手段103の光ファイバのコアに結合させた。
図24に、本実施形態における、モード変換導波路アレイ101の出力光と、光結合手段102のレンズ501と、マルチコア空間位置変換手段103の光ファイバ301のコア401における光結合の様子を示す。なお、この構成例では、マルチモード側のみを基板上面(斜め上面も含む)より出射する構成としたが、シングルモードの入力ポートも基板上面(斜め上面も含む)より入出力するような構成にしてもよい。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が21(=N×m)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの数N(=7)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
以上、本実施形態により、空間多重、かつモード多重された光を合波・分波できる光合分波器を実現し、従来よりも空間多重数の拡大を実現した。
(第6実施形態)
第1〜第5実施形態において、モード変換導波路アレイ101を実現する手段として、複数の導波路からなる導波路回路を用いる例を示した。それら複数の導波路の長さは任意であるが、入力から出力に至るまでの光路の光学的光路長が等しくなるようにすることで、光信号を伝送する際の信号処理の負担を軽減でき、より優れた伝送性能が得られる。
具体的な構成例をより詳細に説明する。図25に示すように、本実施形態のモード変換導波路は基板上に形成された、直線導波路と曲げ導波路からなる第1〜第3のM(M=3)個の導波路により構成されている。導波路は2層に形成されており、図25(a)に示す実線で描かれた第1と第3の導波路が第1層目に、図25(b)に示す実線で描かれた第2の導波路が、第1層目の上の、第2層目に形成されている。
モード変換導波路を構成する第1の導波路は、長さs1の直線導波路261と、中心角θ1の2つの曲げ導波路271、272で構成し、基板上の第1層目に形成した。モード変換導波路を構成する第2の導波路は、長さs2aと長さs2b(s2a+s2b=s2とする)の2本の直線導波路263、264と、中心角θ2aの2つの曲げ導波路275、276と、中心角θ2bの2つの曲げ導波路277、278で構成し、基板上の第2層目に形成した。モード変換導波路を構成する第3の導波路は、長さs3の直線導波路262と、中心角θ3の2つの曲げ導波路273、274で構成し、基板上の第1層目に形成した。そして、第1〜第3の導波路の光路長が等しくなるよう、直線導波路の長さと曲げ導波路の中心角を設定した。
モード変換導波路を構成する導波路の、直線導波路の長さと曲げ導波路の中心角の設定例を示す。モード変換導波路の入力端におけるピッチをp、モード変換導波路の出力端における導波路間のギャップをg、モード変換導波路の幅をw、曲げ導波路の曲率半径をR、モード変換導波路の長手方向の長さをD、モード変換導波路のコアの厚みをt、第1層と第2層の間隔をdとした(図25、26参照)。
平面上における第2の導波路の入力位置を第1層に投影した位置を原点Oとしたとき、基板上の第1層目において、第1の導波路の入力位置を(0、p、t/2)、出力位置を(D、(w+g)/2、t/2)とし、θ1=acos(1−(p−(w+g)/2)/(2・R))、s1=D−2・R・sinθ1に設定した。また、基板上の第1層目において、第3の導波路の入力位置を(0、−p、t/2)、出力位置を(D、−(w+g)/2、t/2)とし、θ3=θ1、s3=s1に設定した。さらに、基板上の第2層目において、第2の導波路の入力位置を(0、0、t/2+(t+d))、出力位置を(D、0、t/2+(t+d))とし、θ2a=θ2bとして、s1+2・R・θ1=(D−4・R・sinθ2)+4・R・θ2を満たすようθ2を設定し、s2=D−4・R・sinθ2に設定した。
具体的な数値例を示す。p=127μm、g=3μm、w=5μm、R=1000μm、D=1500μm、t=5μm、d=3μmとし、θ1=θ3=0.3525ラジアン、s1=s3=809.4μm、θ2a=θ2b=0.2796ラジアン、s2=396.1μmに設定した。第1〜第3の導波路の光路長はいずれも等しく、1514.5μmである。
このように、モード変換導波路のM個の入力から1つの出力に至るまでのM組の光路の光学的光路長が等しくなるよう、モード変換導波路の光学的光路長を設定することで、伝送における信号処理の負担を軽減することができる。本実施形態では、第1実施形態や第3実施形態で用いたモード変換導波路を等長化する場合の設計例を示したが、第2実施形態のように、モード変換導波路を構成する導波路は3本以外でもよいし、第4実施形態のような平面導波路型のモード変換導波路、第5実施形態のようなグレーティング型のモード変換導波路であっても、等長化の設計は適用可能である。
上記モード変換導波路を用いて、光合分波器を作製した。図27に、作製した光合分波器の概略図を示す。前述のモード変換導波路をN=7つ並べたモード変換導波路アレイ231を2層の石英導波路で形成し、モード変換導波路のN=7つのマルチモードの出力を、筐体に収められたN=7組の2枚レンズアレイ531を介して、マルチコア空間位置変換手段を構成するN=7芯のマルチモード光ファイバブロック331のマルチモードの光ファイバ301〜307に光学的に結合させた。なお、レンズアレイ531とファイバブロック331のピッチはq=M×pに設定した。さらに、実システムで使用しやすくするため、モード変換導波路アレイ231のシングルモード側の入力ポートに21芯のシングルモード光ファイバブロック601を接続し、この光ファイバブロックから、マルチコア空間位置変換手段103のマルチモード光ファイバブロック331に至るまでの部材を筐体611に収めた。このように、光合分波器の構成要素の一部(もしくは全部)を筐体に収めることで、光合分波器が保護され、また、使用する際に取扱い易くなる。
上記作製例では、モード変換導波路アレイのみを等長としたが、モード変換導波路アレイのM×N個の入力から、マルチコア空間位置変換手段の、近接させて一つに束ねられた光ファイバのコアの出力端に至るまでのM×N組の光路全体の光学的光路長が等しくなるようにすることで、伝送における信号処理の負担をさらに軽減することができる。モード変換導波路の光学的光路長、光結合手段を通る光路の光路長、およびマルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの光学的光路長がそれぞれ等長となるようにしてもよいし、M×N組の光路において、全長が一定となるよう、モード変換導波路、光結合手段を通る光路、あるいはマルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの光学的光路長をそれぞれ設定してもよい。さらに、光合分波器内部だけで無く、光合分波器に接続される部材(例えば、モード変換導波路アレイに接続されるシングルモード光ファイバや、マルチコア空間位置変換手段の出力端に接続されるマルチコア・マルチモード光ファイバのコアなど)も等長にすることで、伝送路全体の信号処理の負担を軽減できる。
(第7実施形態)
第6実施形態において、モード変換導波路アレイのそれぞれのモード変換導波路を構成する複数の導波路の入力から出力に至るまでの光路の光学的光路長が一定になるような設計にしたが、製造偏差により、光学的光路長に誤差が生じることがある。そこで、本実施形態では、光合分波器に光路長を調整する手段を設けることで、作製誤差を補正することとした。本実施形態では、モード変換導波路アレイの導波路の光路長を調整する手段として薄膜ヒータを用いた。薄膜ヒータは光路長調整手段として一般的に用いられている手法であり、導波路のコアの上面に薄膜ヒータを形成し、熱光学効果により屈折率を変化させることで導波路の光学的光路長を制御することができる。
さらに、モード変換導波路アレイのM×N個の入力から、マルチコア空間位置変換手段の、近接させて一つに束ねられた光ファイバのコアの出力端に至るまでのM×N組の光路の光学的光路長を等長とする場合、例えばマルチコア空間位置変換手段に光路長調整手段を設けてもよい。一例として、光合分波器を作製した後、モード変換導波路アレイの出力から、光結合手段を介して、マルチコア空間位置変換手段の光ファイバのコアの出力端に至るまでのN組の光路の長さを計測し、長い光路は、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバの長さを調整することで、光路長の誤差を補正することができる。
図28は、作製した光合分波器の概略を示す図である。基板上に、第6実施形態で説明した等長設計のモード変換導波路をN=7個並べ、これらN=7つのモード変換導波路を構成するそれぞれの導波路上に薄膜ヒータ291〜299を形成した。図示していないが、それぞれの薄膜ヒータ291〜299から、基板端面近傍の電極端子613までを電気配線で接続し、電極基板614上の電気コネクタ615を介して、外部より個々の薄膜ヒータを電気的に給電できるようにしている。
また、本実施形態のモード変換導波路アレイでは、基板上にモード変換導波路以外に、調芯用の導波路281〜283も形成した。マルチモード光の方がシングルモード光よりも調芯が難しく、入力光ファイバのコアと、モード変換導波路のコアで接続誤差が生じ易い。そこで、本実施形態では、シングルモードの導波路281〜283のコアと、これらコアの位置に対応するシングルモード光ファイバブロック601の光ファイバのコアの位置が合うよう調芯して、両者を接続した。
作製したモード変換導波路アレイの出力端面に、等ピッチq=M×pで並べられたN=7チャネルの1枚レンズアレイ531と、マルチコア空間位置変換手段のN=7本の光ファイバ301〜307のコアが等ピッチq=M×pでブロック化されたマルチモード光ファイバブロック331を接続し、シングルモード光ファイバブロック601から、マルチモード光ファイバブロック331に至るまでに部材と、電極基板を筐体611に収めた。このように、光合分波器の構成要素の一部(もしくは全部)を筐体に収めることで、光合分波器が保護され、また、使用する際に取扱い易くなる。
光合分波器を作製した後、それぞれのモード変換導波路の光学的光路長が等長になるよう、薄膜ヒータを駆動した。続いて、モード変換導波路の出力からマルチコア空間位置変換手段の光ファイバのコアの出力端に至るまでのN組の光路の長さを計測した。マルチモード光ファイバ307を通る光路に対し、その他のマルチモード光ファイバ301〜306を通る光路が長かったので、長い分の光ファイバを途中で切り取った。図28に、マルチモード光ファイバ301と302の不要分の光ファイバを切り取り、長さを調整した後の融着箇所341、342が示されている。
以上、本実施形態では、光路長調整手段として薄膜ヒータを用いる例を示したが、レーザ照射、応力付与など、その他の手段を用いてもよい。また、光ファイバの長さを調整する手段として、不要分の光ファイバを切り取る手法を用いたが、モード変換導波路と同様に、加熱、レーザ照射、応力付与など、その他の手段を用いてもよい。
(第8実施形態)
本実施形態では、第6実施形態と同様に、モード変換導波路のM個の入力から1つの出力に至るまでのM組の光路の光学的光路長が等しくなるよう、モード変換導波路の光学的光路長を設定する例を示す。このような設計により、光信号を伝送する際の信号処理の負担を軽減でき、より優れた伝送性能が得られる。
具体的な構成例をより詳細に説明する。図29に示すように、本実施形態のモード変換導波路は基板上に形成された、直線導波路と曲げ導波路からなる第1〜第3のM(M=3)個の導波路により構成されている。導波路は2層に形成されており、図29(a)に示す実線で描かれた第2と第3の導波路が第1層目に、図29(b)に示す実線で描かれた第1の導波路が、第1層目の上の、第2層目に形成されている。
モード変換導波路を構成する第1の導波路は、長さs1aと長さs1b(s1a+s1b=s1とする)の2本の直線導波路263、264と、中心角θ1の2つの曲げ導波路277、278で構成し、基板上の第2層目に形成した。モード変換導波路を構成する第2の導波路は、長さs2の直線導波路261と、中心角θ2aの2つの曲げ導波路271、272と、中心角θ2bの2つの曲げ導波路273、274で構成し、基板上の第1層目に形成した。モード変換導波路を構成する第3の導波路は、長さs3の直線導波路262と、中心角θ3の2つの曲げ導波路275、276で構成し、基板上の第1層目に形成した。そして、第1〜第3の導波路の光路長が等しくなるよう、直線導波路の長さと曲げ導波路の中心角を設定した。
モード変換導波路を構成する導波路の、直線導波路の長さと曲げ導波路の中心角の設定例を示す。モード変換導波路の入力端におけるピッチをp、モード変換導波路の出力端における導波路間のギャップをg、モード変換導波路の幅をw、曲げ導波路の曲率半径をR、モード変換導波路の長手方向の長さをD、モード変換導波路のコアの厚みをt、第1層と第2層の間隔をdとした。平面上における第2の導波路の入力位置を原点 Oとしたとき、基板上の第2層目において、第1の導波路の入力位置を(0、p、t+d)、出力位置を(D、(w+g)/4、t+d)とし、θ1=acos(1−(p−(w+g)/4)/(2・R))、s1=D−2・R・sinθ1に設定した。
また、基板上の第1層目において、第3の導波路の入力位置を(0、−p、0)、出力位置を(D、−(w+g)/4、0)とし、θ3=θ1、s3=s1に設定した。さらに、基板上の第1層目において、第2の導波路の入力位置を(0、0、0)、出力位置を(D、3・(w+g)/4、0)とし、D−2・R・(sinθ2a+sin(acos(3・(w+g)/(8・R)+cosθ2a)))=s1+2・R・θ1−2・R・(θ2a+acos(3・(w+g)/(8・R)+cosθ2a))を満たすようθ2aを設定し、θ2b=acos(3・(w+g)/(8・R)+cosθ2a)、s2=D−2・R・(sinθ2a+sinθ2b)に設定した。
具体的な数値の実施例を示す。p=127μm、g=2μm、w=4μm、R=750μm、D=1000μm、t=4μm、d=2μmとし、θ1=0.412ラジアン、s1a=199.4μm、s1b=200μm、θ2a=0.3312ラジアン、θ2b=0.3219ラジアン、s2=37.6μm、θ3=0.412ラジアン、s3=399.4μmに設定した。第1〜第3の導波路の光路長はいずれも等しく、1017.3μmである。
上記モード変換導波路を用いて、光合分波器を作製した。図30は、作製した光合分波器の概略を示す図である。前述のモード変換導波路を一定間隔で6つ並べたものを1セットとして、これら6つのモード変換導波路を基板上に2セット、合計N=12個並べたモード変換導波路アレイ231を2層の石英導波路で形成した。それぞれのモード変換導波路を構成する3つの導波路の光学的光路長を一定にしたまま、モード変換導波路アレイの入力側の36(=モード変換導波路の入力ポートの数M×モード変換導波路の個数N)個のコアが、基板端面で等ピッチpとなるよう、S字導波路を用いてピッチ変換した。
マルチコア空間位置変換手段の複数の光ファイバのうちのN本301〜312の入力は複数のファイバブロック331、332にそれぞれ等ピッチq=M×pで並べられ、作製したモード変換導波路アレイ231のN個の出力と、マルチコア空間位置変換手段の複数の光ファイバのうちのN本301〜312の入力がそれぞれ光学的に結合するよう、等ピッチq=M×pで並べられた6チャネルの1枚レンズアレイ531と、532とを介して、マルチモード光ファイバブロック331、332が、モード変換導波路アレイ231が形成された基板端面に接続されている。
マルチコア空間位置変換手段に用いたN=12本の光ファイバ301〜312はトレンチ構造を有するマルチステップインデックス型の屈折率分布で、少なくともm=3種類のモードを伝搬するよう設計した。モード変換導波路アレイ231の入力端面には、36芯のシングルモード光ファイバブロック601、マルチコア空間位置変換手段の出力端には、ホルダーを介して、Nコア・mモードの光ファイバ621を接続した。そして、シングルモード光ファイバブロック601から、Nコア・mモードの光ファイバ621に至るまでに部材を筐体611に収めた。このように、光合分波器全体を筐体に収めることで、光合分波器が保護され、また、使用する際に取扱い易くなる。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が36(=N×m)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの数N(=12)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
本実施形態では、12チャネルのレンズアレイや、12芯のマルチモード光ファイバブロックを使用する代わりに、6チャネルのレンズアレイや、6芯のマルチモード光ファイバブロックを複数使用する構成とした。これは、チャネル数が多いほど歩留りが悪くなり、部材の作製が難しくなるためである。少数のセットに分けることで歩留りが向上し、また、Nが異なる光合分波器を作製する際も同じ部材が使用でき、低コスト化につながる。
(第9実施形態)
本実施形態は、第8実施形態と類似の光合分波器の構成であるが、モード変換導波路アレイをマルチチップ構成とした点に特徴がある。レンズアレイやマルチモード光ファイバブロックに限らず、モード変換導波路アレイを複数のチップに分けることで、歩留りが向上し、部材の共用化で低コスト化の効果が得られる。
図31は、作製した光合分波器の内部構成を示す図である。モード変換導波路アレイ231は、第8実施形態で用いたモード変換導波路9つと、チップの両側の調芯用導波路281、282より構成されており、2層の石英系の積層導波路で作製した。レンズアレイ531として等ピッチq=M×pで並べられた11チャネルの1枚レンズアレイを用い、両端の2つを調芯用、残りの9つを光結合手段として用いた。マルチモード光ファイバブロック331は、マルチコア空間位置変換手段のN=18本のうちの9本の光ファイバ301〜309のコアと、両側の調芯用のシングルモード光ファイバで構成した。なお、9本の光ファイバ301〜309のコアは、ファイバブロック上で等ピッチq=M×pで並べた。光ファイバブロック601は、27芯のシングルモード光ファイバと、両側の調芯用のシングルモード光ファイバで構成した。これら光部品を、調芯用ポートを用いて、図31に示すように接続した。
モード変換導波路アレイ232、レンズアレイ532、マルチモード光ファイバブロック332、光ファイバブロック602も同様の構成と、これら光部品も、調芯用ポートを用いて、図31に示すように接続した。マルチコア空間位置変換手段に用いたN=18本の光ファイバ301〜318は、グレーデッドインデックス型の屈折率分布で、コア径18μm、少なくともm=3種類のモードを伝搬するよう設計した。また、これら光ファイバのクラッド径は80μmとした。マルチコア空間位置変換手段の出力端は筐体内部で引き回し、筐体外部より取り出す構成とした。
図32は、筐体の外観を示す図である。筐体の前面に、モード変換導波路アレイ231、232の54個のシングルモードのポートにつながる54個の光コネクタと、マルチコア・マルチモードのポートにつながる1個の光コネクタが設けられている。このような構成にすることで、筐体外部から光ファイバのパッチコードを容易に挿抜することができ、本発明の光合分波器が使用し易くなる。
図33(a)は、マルチコア空間位置変換手段の出力端の断面図、図33(b)は、本実施形態で使用した、Nコア・mモードのマルチコア・マルチモード光ファイバの断面図である。本実施形態の光合分波器は空間多重数が54(=N×m)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの数N(=18)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
本実施形態では、モード変換導波路アレイ231が形成された基板上に、モード変換導波路以外の回路として、調芯用導波路を形成した。このように、本発明におけるモード変換導波路アレイでは、光回路が平面基板上に容易に形成できる利点があり、調芯用導波路の他に、モニター導波路、スプリッタ等の光回路など、モード変換導波路以外の任意の光回路を基板上に形成してもよい。
(第10実施形態)
本実施形態は、第9実施形態と類似の光合分波器の構成であるが、光合分波器をマルチモジュール構成とした点に特徴がある。レンズアレイ、マルチモード光ファイバブロック、モード変換導波路アレイに限らず、光合分波器を複数に分けることで、歩留りが向上し、部材の共用化で低コスト化の効果が得られる。
図34は、作製した光合分波器の内部構成を示す図を示す。モード変換導波路アレイ231は、第8実施形態で用いたモード変換導波路6つと、チップの両側の調芯用導波路281、282より構成されており、2層のシリコン積層導波路で作製した。レンズアレイ531として等ピッチq=M×pで並べられた6チャネルの1枚レンズアレイを用いた。マルチモード光ファイバブロック331は、マルチコア空間位置変換手段のN=12本のマルチモードの光ファイバのうちの6本の光ファイバ301〜306のコアで構成した。なお、6本の光ファイバ301〜306のコアは、ファイバブロック上で等ピッチq=M×pで並べた。光ファイバブロック601は、20芯の光コネクタ付のシングルモード光ファイバ631〜650で構成した(両側の調芯用のシングルモード光ファイバを含む)。
調芯用ポートを用いて、光ファイバブロック601をモード変換導波路アレイ231に接続した後、レンズアレイ531とマルチモード光ファイバブロック331を接続し、これら部材を筐体611に収めた。同様に、モード変換導波路アレイ232も、第8実施形態で用いたモード変換導波路6つと、チップの両側の調芯用導波路283、284より構成されており、2層のシリコン積層導波路で作製した。レンズアレイ532として6チャネルの1枚レンズアレイを用いた。マルチモード光ファイバブロック332は、マルチコア空間位置変換手段のN=12本のマルチモードの光ファイバのうちの6本の光ファイバ307〜312のコアで構成した。光ファイバブロック602は、20芯の光コネクタ付のシングルモード光ファイバ651〜670で構成した(両側の調芯用のシングルモード光ファイバを含む)。調芯用ポートを用いて、光ファイバブロック602をモード変換導波路アレイ232に接続した後、レンズアレイ532とマルチモード光ファイバブロック332を接続し、これら部材を筐体612に収めた。
マルチコア空間位置変換手段として、m(m=3)種類のモードを伝搬するN(N=12)本のマルチモード光ファイバ301〜312と、第2実施形態のように、基本モードを伝搬する7本のシングルモード光ファイバ321〜327を混在させ、それらの一方の端を近接させ、一つに束ねた。N=12本の光ファイバ301〜312はトレンチ構造を有するグレーデッドインデックス型の屈折率分布となるよう設計した。マルチコア空間位置変換手段の出力端には、ホルダーを介して、7個のシングルモードのコアを有するN=12コア・m=3モードの光ファイバ621を接続した。
本実施形態の光合分波器は空間多重数が43(=N×m+7)であり、従来技術よりも大きな空間多重数を実現した。なお、コア数とモード数の組み合わせは任意であるが、モード数を増やすよりもコア数を増やした方が良好な伝送特性が得られやすかったため、本実施形態では、マルチコア空間位置変換手段を構成する光ファイバのコアの数N(=12)が、数モード光ファイバを伝搬するモードの種類m(=3)よりも大きくなるようにした。
本実施形態の2つの筐体611、612は同時に同方向で使用してもよいし、一方を予備とし、通常は片方のみを使用して故障の際に予備に入れ替えるという使用方法も可能である。また、例えば、筐体611は上り、筐体612は下りのように、筐体ごとに伝送方向を変えることもできる。さらに、マルチコア空間位置変換手段のコア配置において、図33のようなコア配置を使用し、内側の7個を本実施形態のシングルモードのコア、外側の12個を本実施形態のマルチモードのコアとしてもよい。そして、筐体611と612につながるマルチモードの光ファイバのコアを交互に配置し、隣接するマルチモードのコアの伝送方向が互いに逆方向になるようにすることで、マルチモードの隣接コアのクロストークを大幅に抑制することができる。
あるいは、筐体611につながるマルチモードの光ファイバのコア径(伝搬定数)と筐体612につながるマルチモードの光ファイバのコア径(伝搬定数)を異なるものとし、筐体611と612につながるマルチモードの光ファイバのコアを交互に配置し、コア径(伝搬定数)が異なる複数のコアを用いて同一コア径のコア間隔を離すことにより、マルチモードの隣接コアのクロストークを大幅に抑制することができる。シングルモードのコアは従来のマルチコアファイバのように伝送路として使用してもよいし、マルチモードのコアのみを伝送路として使用し、シングルモードのコアは信号品質のモニター用など、その他の用途に使用することもできる。
(第11実施形態)
本実施形態では、第1〜第10実施形態で開示した光合分波器を用いた光通信システムの一例を示す。本実施形態の光通信システムでは、モード変換導波路アレイのM×N個の入力に、それぞれシングルモードファイバが接続され、マルチコア空間位置変換手段の、近接させて一つに束ねられた光ファイバのコアの出力端に、マルチコア・マルチモード光ファイバが接続された光合分波器において、光合分波器のモード変換導波路アレイのM×N個の入力に光信号が入力され、光合分波器により光信号が合波される、もしくは、光合分波器のマルチコア空間位置変換手段の、近接させて一つに束ねられた光ファイバのコアより光信号が入力され、光合分波器により光信号が分波されるようにした。
図35は、前述した各実施形態の光合分波器を用いた光通信システムの一例を示す図である。本光通信システムは、光送信器701と、本発明の光合分波器731(モード合波器として機能)と、光伝送路721と、本発明の光合分波器732(モード分波器として機能)と、光受信器711とから構成されている。光伝送路721として、Nコア・mモードの光ファイバ621などを用いることができる。
また、図36は、前述した各実施形態の光合分波器を用いた光通信システムの一例を示す図である。本光通信システムは、光送信器701と、光受信器712と、本発明の光合分波器731(モード合波・分波器として機能)と、光伝送路721と、本発明の光合分波器732(モード合波・分波器として機能)と、光受信器711と、光送信器702とから構成されている。光伝送路721として、Nコア・mモードの光ファイバ621などを用いることができる。
以上、本発明の光合分波器を、最も簡単な例としてポイント・ツー・ポイントの光通信システムに適用した例を示したが、もちろんROADMノードなど、より複雑な光通信システムにも有用である。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
以上、各実施形態では、モード変換導波路の入力ポート数Mと、使用するモードの種類mが等しい例(M=m)を示した。もちろん、Mとmは異なっていても良く、例えば、M=6つの入力ポートを有するモード変換導波路で、m=3種類のモードを合分波してもかまわない。例えば、非特許文献10のFig.3に示されているモード合分波器を本発明のモード変換導波路の構成要素として用いる場合、入力ポート数はM=6、モード数はm=3(LP01、LP11a、LP11b)である。
また、前述した実施形態におけるモード変換導波路アレイは、主にシリコン、ポリマー、石英系の材料を用いて形成したが、その導波路材料がポリイミド、半導体、LiNbO2などであってもよいし、基板材質が石英やシリコンなどであってもよい。
さらに、図4、図11、図16、図21、図33などで示したマルチコア空間位置変換手段の出力端や、マルチコア・マルチモード光ファイバでは、マルチモード光を伝搬するN個のコアは、いずれも1つのコアでm種類のモードを伝搬する設定としたが、複数のコアでm種類のモードを伝搬する設計にしてもよい。例えば、近接させた3つのコアからなる強結合型のコアを有する光ファイバでm=3種類のモードが伝搬する設計としたとき、これを1つのコア群と呼ぶことにする。そこで、例えば、第1実施形態の図4(b)に示したm種類のモードを伝搬するN個のコアからなるマルチコア・マルチモード光ファイバを、m種類のモードを伝搬するN個のコア群からなるマルチコア・マルチモード光ファイバに置き換えても光合分波器としては同じ機能を有する。必要とする伝送特性に応じて、任意の構造、コア数、モード数のマルチコア・マルチモード光ファイバを用いることができる。
以上説明したように、空間モード分割多重通信用の光合分波器において、複数のモードを伝送するコアを複数有するマルチコア・マルチモード光ファイバに入力光を合波する、もしくは、複数のモードを伝送するコアを複数有するマルチコア・マルチモード光ファイバからの出力光を分波することができるようにした。
この構成により、複数のモードを伝送するコアを複数有するマルチコア・マルチモード光ファイバに入力光を合波する、もしくは、複数のモードを伝送するコアを複数有するマルチコア・マルチモード光ファイバからの出力光を分波することができる光合分波器を提供することができる。