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JP2015199354A - キャリア付銅箔、プリント配線板、積層体、積層板、電子機器及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

キャリア付銅箔、プリント配線板、積層体、積層板、電子機器及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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JP2015199354A
JP2015199354A JP2015074315A JP2015074315A JP2015199354A JP 2015199354 A JP2015199354 A JP 2015199354A JP 2015074315 A JP2015074315 A JP 2015074315A JP 2015074315 A JP2015074315 A JP 2015074315A JP 2015199354 A JP2015199354 A JP 2015199354A
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JP2015074315A
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宣明 宮本
Nobuaki Miyamoto
宣明 宮本
美里 本多
Misato Honda
美里 本多
雅史 石井
Masashi Ishii
雅史 石井
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JX Nippon Mining and Metals Corp
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JX Nippon Mining and Metals Corp
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Abstract

【課題】良好な回路形成性を有するキャリア付銅箔を提供する。
【解決手段】キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に備えたキャリア付銅箔であって、中間層はNiを含み、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2以下であり、各黒点サイズが15μm以下であるキャリア付銅箔。
【選択図】図4

Description

本発明は、キャリア付銅箔、プリント配線板、積層体、積層板、電子機器及びプリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
ファインピッチ化に対応して、最近では厚さ9μm以下、更には厚さ5μm以下の銅箔が要求されているが、このような極薄の銅箔は機械的強度が低くプリント配線板の製造時に破れたり、皺が発生したりしやすいので、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を電着させたキャリア付銅箔が登場している。極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後、キャリアは剥離層を介して剥離除去される。露出した極薄銅層上にレジストで回路パターンを形成した後に、極薄銅層を硫酸-過酸化水素系のエッチャントでエッチング除去する手法(MSAP:Modified-Semi-Additive-Process)により、微細回路が形成される。
ここで、樹脂との接着面となるキャリア付き銅箔の極薄銅層の表面に対しては、主として、極薄銅層と樹脂基材との剥離強度が十分であること、そしてその剥離強度が高温加熱、湿式処理、半田付け、薬品処理等の後でも十分に保持されていることが要求される。極薄銅層と樹脂基材の間の剥離強度を高める方法としては、一般的に、表面のプロファイル(凹凸、粗さ)を大きくした極薄銅層の上に多量の粗化粒子を付着させる方法が代表的である。
しかしながら、プリント配線板の中でも特に微細な回路パターンを形成する必要のある半導体パッケージ基板に、このようなプロファイル(凹凸、粗さ)の大きい極薄銅層を使用すると、回路エッチング時に不要な銅粒子が残ってしまい、回路パターン間の絶縁不良等の問題が発生する。
このため、WO2004/005588号(特許文献1)では、半導体パッケージ基板をはじめとする微細回路用途のキャリア付銅箔として、極薄銅層の表面に粗化処理を施さないキャリア付銅箔を用いることが試みられている。このような粗化処理を施さない極薄銅層と樹脂との密着性(剥離強度)は、その低いプロファイル(凹凸、粗度、粗さ)の影響で一般的なプリント配線板用銅箔と比較すると低下する傾向がある。そのため、キャリア付銅箔について更なる改善が求められている。
そこで、特開2007−007937号公報(特許文献2)及び特開2010−006071号公報(特許文献3)では、キャリア付き極薄銅箔のポリイミド系樹脂基板と接触(接着)する面に、Ni層又は/及びNi合金層を設けること、クロメート層を設けること、Cr層又は/及びCr合金層を設けること、Ni層とクロメート層とを設けること、Ni層とCr層とを設けることが記載されている。これらの表面処理層を設けることにより、ポリイミド系樹脂基板とキャリア付き極薄銅箔との密着強度を粗化処理なし、または粗化処理の程度を低減(微細化)しながら所望の接着強度を得ている。更に、シランカップリング剤で表面処理したり、防錆処理を施したりすることも記載されている。
WO2004/005588号 特開2007−007937号公報 特開2010−006071号公報
キャリア付銅箔の開発においては、これまで極薄銅層と樹脂基材との剥離強度を確保することに重きが置かれていた。そのため、極薄銅層の回路形成性に関しては未だ十分な検討がなされておらず、未だ改善の余地が残されている。
キャリア付銅箔の極薄銅層は、樹脂に貼り合わせた後、キャリアから剥離され、回路が形成される。本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、極薄銅層の表面状態が、この回路の形成性に大いに影響を与えることに着目し、特に極薄銅層の剥離面側のNiめっきの異常析出により発生した黒点が極薄銅層の回路形成性が悪影響を与えることを見出した。そこで、本発明者らは、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の黒点の個数を制御することで、良好なエッチング性を有するキャリア付銅箔を提供することができることを見出した。
以上の知見を基礎として完成された本発明は一側面において、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に備えたキャリア付銅箔であって、前記中間層はNiを含み、前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2以下であり、各黒点サイズが15μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明のキャリア付銅箔は一実施形態において、前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜10個/dm2である。
本発明のキャリア付銅箔は別の一実施形態において、前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜5個/dm2である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜2個/dm2である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の各黒点サイズが0〜10μmである。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記中間層が、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含む。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記中間層が、Crを含む場合は、Crを5μg/dm2以上100μg/dm2以下含有し、Moを含む場合は、Moを50μg/dm2以上1000μg/dm2以下含有し、Niを含む場合は、Niを100μg/dm2以上40000μg/dm2以下含有し、Coを含む場合は、Coを100μg/dm2以上40000μg/dm2以下含有し、Znを含む場合は、Znを1μg/dm2以上120μg/dm2以下含有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記中間層が有機物を厚みで25nm以上80nm以下含有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記有機物が、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上からなる有機物である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリア両方の面に中間層及び極薄銅層をこの順に有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面または前記キャリアの表面のいずれか一方または両方に粗化処理層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記防錆層及び前記耐熱層の少なくとも一方が、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛から選択される1つ以上の元素を含む。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記防錆層及び前記耐熱層の少なくとも一方が、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛から選択される1つ以上の元素からなる。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層の上に前記耐熱層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層または前記耐熱層の上に前記防錆層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記防錆層の上に前記クロメート処理層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記クロメート処理層の上に前記シランカップリング処理層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が誘電体を含む。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造した積層板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のプリント配線板を用いて製造した電子機器である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造した積層体である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と樹脂とを含む積層体であって、前記キャリア付銅箔の端面の一部または全部が前記樹脂により覆われている積層体である。
本発明は更に別の一側面において、一つの本発明のキャリア付銅箔を前記キャリア側又は前記極薄銅層側から、もう一つの本発明のキャリア付銅箔の前記キャリア側又は前記極薄銅層側に積層した積層体である。
本発明の積層体は一実施形態において、前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面とが、必要に応じて接着剤を介して、直接積層させて構成されている。
本発明の積層体は別の一実施形態において、前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア又は前記極薄銅層と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア又は前記極薄銅層とが接合されている。
本発明は更に別の一側面において、本発明の積層体であって、前記積層体の端面の一部または全部が樹脂により覆われている積層体である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の積層体を用いたプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明の積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付銅箔から前記極薄銅層又は前記キャリアを剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔の銅箔キャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層又は前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリア又は前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、前記キャリア又は前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層又は前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明のプリント配線板の製造方法は一実施形態において、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である。
本発明のプリント配線板の製造方法は別の一実施形態において、前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、本発明のキャリア付銅箔である。
本発明のプリント配線板の製造方法は更に別の一実施形態において、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行われる。
本発明のプリント配線板の製造方法は更に別の一実施形態において、前記表面に回路を形成するキャリア付銅箔が、当該キャリア付銅箔のキャリア側の表面または極薄銅層側の表面に基板を有する。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記極薄銅層を剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明によれば、回路形成性が良好なキャリア付銅箔を提供することができる。
A〜Cは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、回路めっき・レジスト除去までの工程における配線板断面の模式図である。 D〜Fは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、樹脂及び2層目キャリア付銅箔積層からレーザー穴あけまでの工程における配線板断面の模式図である。 G〜Iは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、ビアフィル形成から1層目のキャリア剥離までの工程における配線板断面の模式図である。 J〜Kは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、フラッシュエッチングからバンプ・銅ピラー形成までの工程における配線板断面の模式図である。 実施例における回路パターンの幅方向の横断面の模式図、及び、該模式図を用いたエッチングファクター(EF)の計算方法の概略である。
<キャリア付銅箔>
本発明のキャリア付銅箔は、キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に備える。キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム、フッ素樹脂フィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
<キャリア>
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には金属箔または樹脂フィルムであり、例えば銅箔、銅合金箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、鉄箔、鉄合金箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、絶縁樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、LCDフィルムの形態で提供される。
本発明に用いることのできるキャリアは典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020またはJIS H3510 合金番号C1011)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。
また、電解銅箔としては、以下の電解液組成及び製造条件にて作製することができる。
以下の条件で、電解銅箔を製造した場合、銅箔表面のTD(銅箔の製造設備での、銅箔の進行方向に直角の方向(幅方向))のRzが小さく、TDの60度光沢度が高い電解銅箔を得ることが出来る。
<電解液組成>
銅:90〜110g/L
硫酸:90〜110g/L
塩素:50〜100ppm
レベリング剤1(ビス(3スルホプロピル)ジスルフィド):10〜30ppm
レベリング剤2(アミン化合物):10〜30ppm
上記のアミン化合物には以下の化学式のアミン化合物を用いることができる。
なお、本発明に用いられる電解、表面処理又はめっき等に用いられる処理液の残部は特に明記しない限り水である。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
<製造条件>
電流密度:70〜100A/dm2
電解液温度:50〜60℃
電解液線速:3〜5m/sec
電解時間:0.5〜10分間
なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば5μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には35μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には8〜70μmであり、より典型的には12〜70μmであり、より典型的には18〜35μmである。また、原料コストを低減する観点からはキャリアの厚みは小さいことが好ましい。そのため、キャリアの厚みは、典型的には5μm以上35μm以下であり、好ましくは5μm以上18μm以下であり、好ましくは5μm以上12μm以下であり、好ましくは5μm以上11μm以下であり、好ましくは5μm以上10μm以下である。なお、キャリアの厚みが小さい場合には、キャリアの通箔の際に折れシワが発生しやすい。折れシワの発生を防止するため、例えばキャリア付銅箔製造装置の搬送ロールを平滑にすることや、搬送ロールと、その次の搬送ロールとの距離を短くすることが有効である。なお、プリント配線板の製造方法の一つである埋め込み工法(エンベッティド法(Enbedded Process))にキャリア付銅箔が用いられる場合には、キャリアの剛性が高いことが必要である。そのため、埋め込み工法に用いる場合には、キャリアの厚みは18μm以上300μm以下であることが好ましく、25μm以上150μm以下であることが好ましく、35μm以上100μm以下であることが好ましく、35μm以上70μm以下であることが更により好ましい。
なお、キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けてもよい。当該粗化処理層を公知の方法を用いて設けてもよく、後述の粗化処理により設けてもよい。キャリアの極薄銅層を設ける側の表面とは反対側の表面に粗化処理層を設けることは、キャリアを当該粗化処理層を有する表面側から樹脂基板などの支持体に積層する際、キャリアと樹脂基板が剥離し難くなるという利点を有する。
<中間層>
キャリアの片面又は両面上には中間層を設ける。キャリアと中間層との間に他の層を設けてもよい。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるように構成されている。本発明のキャリア付銅箔の中間層はNiを含む。また、例えば、本発明のキャリア付銅箔の中間層は、Niを含み、更にNiの他に、Cr、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、中間層は、キャリア上にニッケルまたはニッケルを含む合金のいずれか1種の層、及びクロム、クロム合金、クロムの酸化物のいずれか1種以上を含む層がこの順で積層されて構成されているのが好ましい。そして、ニッケルまたはニッケルを含む合金のいずれか1種の層、及び/または、クロム、クロム合金、クロムの酸化物のいずれか1種以上を含む層に亜鉛が含まれているのが好ましい。ここで、ニッケルを含む合金とはニッケルと、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金のことをいう。ニッケルを含む合金は3種以上の元素からなる合金でも良い。また、クロム合金とはクロムと、コバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金のことをいう。クロム合金は3種以上の元素からなる合金でも良い。また、クロム、クロム合金、クロムの酸化物のいずれか1種以上を含む層はクロメート処理層であってもよい。ここでクロメート処理層とはクロム酸塩または二クロム酸塩を含む液で処理された層のことをいう。クロメート処理層はコバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタン等の金属を含んでもよい。本発明においては、無水クロム酸または二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層を純クロメート処理層という。また、本発明においては無水クロム酸または二クロム酸カリウムおよび亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層を亜鉛クロメート処理層という。
また、中間層は、キャリア上にニッケル、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−リン合金、ニッケル−コバルト合金のいずれか1種の層、及び亜鉛クロメート処理層、純クロメート処理層、クロムめっき層のいずれか1種の層がこの順で積層されて構成されているのが好ましく、中間層は、キャリア上にニッケル層またはニッケル−亜鉛合金層、及び、亜鉛クロメート処理層がこの順で積層されて構成されている、又は、ニッケル−亜鉛合金層、及び、純クロメート処理層または亜鉛クロメート処理層がこの順で積層されて構成されているのが更に好ましい。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロメート処理層との界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。また、中間層にクロムめっきではなくクロメート処理層を形成するのが好ましい。クロムめっきは表面に緻密なクロム酸化物層を形成するため、電気めっきで極薄銅箔を形成する際に電気抵抗が上昇し、ピンホールが発生しやすくなる。クロメート処理層を形成した表面は、クロムめっきとくらべ緻密ではないクロム酸化物層が形成されるため、極薄銅箔を電気めっきで形成する際の抵抗になりにくく、ピンホールを減少させることができる。ここで、クロメート処理層として、亜鉛クロメート処理層を形成することにより、極薄銅箔を電気めっきで形成する際の抵抗が、通常のクロメート処理層より低くなり、よりピンホールの発生を抑制することができる。
キャリアとして電解銅箔を使用する場合には、ピンホールを減少させる観点からシャイニー面に中間層を設けることが好ましい。
中間層のうちクロメート処理層は極薄銅層の界面に薄く存在することが、絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離しない一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能であるという特性を得る上で好ましい。ニッケル層またはニッケルを含む合金層(例えばニッケル−亜鉛合金層)を設けずにクロメート処理層をキャリアと極薄銅層の境界に存在させた場合は、剥離性はほとんど向上しないし、クロメート処理層がなくニッケル層またはニッケルを含む合金層(例えばニッケル−亜鉛合金層)と極薄銅層を直接積層した場合は、ニッケル層またはニッケルを含む合金層(例えばニッケル−亜鉛合金層)におけるニッケル量に応じて剥離強度が強すぎたり弱すぎたりして適切な剥離強度は得られない。
また、クロメート処理層がキャリアとニッケル層またはニッケルを含む合金層(例えばニッケル−亜鉛合金層)の境界に存在すると、極薄銅層の剥離時に中間層も付随して剥離されてしまう、すなわちキャリアと中間層の間で剥離が生じてしまうので好ましくない。このような状況は、キャリアとの界面にクロメート処理層を設けた場合のみならず、極薄銅層との界面にクロメート処理層を設けたとしてもクロム量が多すぎると生じ得る。これは、銅とニッケルは固溶しやすいので、これらが接触していると相互拡散によって接着力が高くなり剥離しにくくなる一方で、クロムと銅は固溶しにくく、相互拡散が生じにくいので、クロムと銅の界面では接着力が弱く、剥離しやすいことが原因と考えられる。また、中間層のニッケル量が不足している場合、キャリアと極薄銅層の間には微量のクロムしか存在しないので両者が密着して剥がれにくくなる。
中間層のニッケル層またはニッケルを含む合金層(例えばニッケル−亜鉛合金層)は、例えば電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっき、或いはスパッタリング、CVD及びPDVのような乾式めっきにより形成することができる。コストの観点から電気めっきが好ましい。なお、キャリアが樹脂フィルムの場合には、CVD及びPDVのような乾式めっきまたは無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっきにより中間層を形成することができる。
また、クロメート処理層は、例えば電解クロメートや浸漬クロメート等で形成することができるが、クロム濃度を高くすることができ、キャリアからの極薄銅層の剥離強度が良好となるため、電解クロメートで形成するのが好ましい。
また、中間層におけるニッケルの付着量が100〜40000μg/dm2、クロムの付着量が5〜100μg/dm2、亜鉛の付着量が1〜70μg/dm2であるのが好ましい。このようにニッケル、クロム、亜鉛の付着量を制御することにより、本発明のキャリア付銅箔は、キャリア付銅箔から極薄銅層を剥離した後の極薄銅層の表面のNi量を制御することが可能である。このように剥離後の極薄銅層表面のNi量を制御するためには、中間層のNi付着量を少なくするとともに、Niが極薄銅層側へ拡散するのを抑制する金属種(Cr、Zn)を中間層が含んでいることが好ましい。このような観点から、中間層のNi含有量は、100〜40000μg/dm2であるのが好ましく、200μg/dm2以上20000μg/dm2以下であるのが更に好ましく、500μg/dm2以上10000μg/dm2以下であるのが更に好ましく、700μg/dm2以上5000μg/dm2以下であるのが更に好ましい。また、Crは5〜100μg/dm2含有するのが好ましく、8μg/dm2以上50μg/dm2以下であるのが更に好ましく、10μg/dm2以上40μg/dm2以下であるのが更に好ましく、12μg/dm2以上30μg/dm2以下であるのが更に好ましい。Znは1〜70μg/dm2含有するのが好ましく、3μg/dm2以上30μg/dm2以下であるのが更に好ましく、5μg/dm2以上20μg/dm2以下であるのが更に好ましい。キャリア付銅箔から極薄銅層を剥離した後の極薄銅層の表面のNi量が制御される(例えばNi量が5〜300μg/dm2)と、極薄銅層のエッチング性(溶けやすさや回路形状等)が向上する等の効果がある。なお、上記ニッケルの代わりにコバルトを用いることも可能である。その際のコバルトの付着量はニッケルの付着量と同じとすることができる。
本発明のキャリア付銅箔の中間層は、キャリア上にニッケル層、及び、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のいずれかを含む有機物層の順で積層されて構成されており、中間層におけるニッケルの付着量が100〜40000μg/dm2であってもよい。また、本発明のキャリア付銅箔の中間層は、キャリア上に窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のいずれかを含む有機物層、及び、ニッケル層の順で積層されて構成されており、中間層におけるニッケルの付着量が100〜40000μg/dm2であってもよい。上述のように、本発明のキャリア付銅箔は、キャリア付銅箔から極薄銅層を剥離した後の極薄銅層の表面のNi量が制御されているが、このように剥離後の極薄銅層表面のNi量を制御するためには、中間層のNi付着量を少なくするとともに、Niが極薄銅層側へ拡散するのを抑制する窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のいずれかを含む有機物層を中間層が含んでいることが好ましい。このような観点から、中間層のNi含有量は、100〜40000μg/dm2であるのが好ましく、200μg/dm2以上20000μg/dm2以下であるのが更に好ましく、300μg/dm2以上10000μg/dm2以下であるのが更に好ましく、500μg/dm2以上5000μg/dm2以下であるのが更に好ましい。なお、上記ニッケルの代わりにコバルトを用いることも可能である。その際のコバルトの付着量はニッケルの付着量と同じとすることができる。また、当該窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のいずれかを含む有機物としては、BTA(ベンゾトリアゾール)、MBT(メルカプトベンゾチアゾール)等が挙げられる。
また、中間層が含有する有機物としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上からなるものを用いることが好ましい。窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のうち、窒素含有有機化合物は、置換基を有する窒素含有有機化合物を含んでいる。具体的な窒素含有有機化合物としては、置換基を有するトリアゾール化合物である1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等を用いることが好ましい。
硫黄含有有機化合物には、メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、チオシアヌル酸及び2−ベンズイミダゾールチオール等を用いることが好ましい。
カルボン酸としては、特にモノカルボン酸を用いることが好ましく、中でもオレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸等を用いることが好ましい。
前述の有機物は厚みで25nm以上80nm以下含有するのが好ましく、30nm以上70nm以下含有するのがより好ましい。中間層は前述の有機物を複数種類(一種以上)含んでもよい。
なお、有機物の厚みは以下のようにして測定することができる。
<中間層の有機物厚み>
キャリア付銅箔の極薄銅層をキャリアから剥離した後に、露出した極薄銅層の中間層側の表面と、露出したキャリアの中間層側の表面をXPS測定し、デプスプロファイルを作成する。そして、極薄銅層の中間層側の表面から最初に炭素濃度が3at%以下となった深さをA(nm)とし、キャリアの中間層側の表面から最初に炭素濃度が3at%以下となった深さをB(nm)とし、AとBとの合計を中間層の有機物の厚み(nm)とすることができる。
XPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・X線:単色AlKαまたは非単色MgKα、エックス線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.8nm/min(SiO2換算)
中間層が含有する有機物の使用方法について、以下に、キャリア箔上への中間層の形成方法についても述べつつ説明する。キャリア上への中間層の形成は、上述した有機物を溶媒に溶解させ、その溶媒中にキャリアを浸漬させるか、中間層を形成しようとする面に対するシャワーリング、噴霧法、滴下法及び電着法等を用いて行うことができ、特に限定した手法を採用する必要性はない。このときの溶媒中の有機系剤の濃度は、上述した有機物の全てにおいて、濃度0.01g/L〜30g/L、液温20〜60℃の範囲が好ましい。有機物の濃度は、特に限定されるものではなく、本来濃度が高くとも低くとも問題のないものである。なお、有機物の濃度が高いほど、また、上述した有機物を溶解させた溶媒へのキャリアの接触時間が長いほど、中間層の有機物厚みは大きくなる傾向にある。そして、中間層の有機物厚みが厚い場合、Niの極薄銅層側への拡散を抑制するという、有機物の効果が大きくなる傾向にある。
また、中間層は、キャリア上に、ニッケルと、モリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金とがこの順で積層されて構成されていることが好ましい。ニッケルと銅との接着力は、モリブデンまたはコバルトと銅との接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とモリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金との界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。
なお、前述のニッケルはニッケルを含む合金であっても良い。ここで、ニッケルを含む合金とはニッケルと、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金のことをいう。また、前述のモリブデンはモリブデンを含む合金であっても良い。ここで、モリブデンを含む合金とはモリブデンと、コバルト、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金のことをいう。また、前述のコバルトはコバルトを含む合金であっても良い。ここで、コバルトを含む合金とはコバルトと、モリブデン、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素からなる合金のことをいう。
モリブデン−コバルト合金はモリブデン、コバルト以外の元素(例えばコバルト、鉄、クロム、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタンからなる群から選択された一種以上の元素)を含んでも良い。
キャリアとして電解銅箔を使用する場合には、ピンホールを減少させる観点からシャイニー面に中間層を設けることが好ましい。
中間層のうちモリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層は極薄銅層の界面に薄く存在することが、絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離しない一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能であるという特性を得る上で好ましい。ニッケル層を設けずにモリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層をキャリアと極薄銅層の境界に存在させた場合は、剥離性はほとんど向上しない場合があり、モリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層がなくニッケル層と極薄銅層を直接積層した場合はニッケル層におけるニッケル量に応じて剥離強度が強すぎたり弱すぎたりして適切な剥離強度は得られない場合がある。
また、モリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層がキャリアとニッケル層の境界に存在すると、極薄銅層の剥離時に中間層も付随して剥離されてしまう場合がある、すなわちキャリアと中間層の間で剥離が生じてしまうので好ましくない場合がある。このような状況は、キャリアとの界面にモリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層を設けた場合のみならず、極薄銅層との界面にモリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層を設けたとしてもモリブデン量またはコバルト量が多すぎると生じ得る。これは、銅とニッケルとは固溶しやすいので、これらが接触していると相互拡散によって接着力が高くなり剥離しにくくなる一方で、モリブデンまたはコバルトと銅とは固溶しにくく、相互拡散が生じにくいので、モリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層と銅との界面では接着力が弱く、剥離しやすいことが原因と考えられる。また、中間層のニッケル量が不足している場合、キャリアと極薄銅層の間には微量のモリブデンまたはコバルトしか存在しないので両者が密着して剥がれにくくなる場合がある。
中間層のニッケル及びコバルトまたはモリブデン−コバルト合金は、例えば電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式めっき、或いはスパッタリング、CVD及びPDVのような乾式めっきにより形成することができる。また、モリブデンはCVD及びPDVのような乾式めっきのみにより形成することができる。コストの観点から電気めっきが好ましい。
中間層において、ニッケルの付着量は100〜40000μg/dm2であり、モリブデンの付着量は10〜1000μg/dm2であり、コバルトの付着量は10〜1000μg/dm2であるのが好ましい。上述のように、本発明のキャリア付銅箔は、キャリア付銅箔から極薄銅層を剥離した後の極薄銅層の表面のNi量が制御されているが、このように剥離後の極薄銅層表面のNi量を制御するためには、中間層のNi付着量を少なくするとともに、Niが極薄銅層側へ拡散するのを抑制する金属種(Co、Mo)を中間層が含んでいることが好ましい。このような観点から、ニッケル付着量は100〜40000μg/dm2とすることが好ましく、200〜20000μg/dm2とすることが好ましく、300〜15000μg/dm2とすることがより好ましく、300〜10000μg/dm2とすることがより好ましい。中間層にモリブデンが含まれる場合には、モリブデン付着量は10〜1000μg/dm2とすることが好ましく、モリブデン付着量は20〜600μg/dm2とすることが好ましく、30〜400μg/dm2とすることがより好ましい。中間層にコバルトが含まれる場合には、コバルト付着量は10〜1000μg/dm2とすることが好ましく、コバルト付着量は20〜600μg/dm2とすることが好ましく、30〜400μg/dm2とすることがより好ましい。
なお、上述のように中間層は、キャリア上に、ニッケルと、モリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金とがこの順で積層した場合には、モリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層を設けるためのめっき処理での電流密度を低くし、キャリアの搬送速度を遅くするとモリブデンまたはコバルトまたはモリブデン−コバルト合金層の密度が高くなる傾向にある。モリブデン及び/またはコバルトを含む層の密度が高くなると、ニッケル層のニッケルが拡散し難くなり、剥離後の極薄銅層表面のNi量を制御することができる。
中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。なお、中間層をクロメート処理や亜鉛クロメート処理やめっき処理で設けた場合には、クロムや亜鉛など、付着した金属の一部は水和物や酸化物となっている場合があると考えられる。
本発明のキャリア付銅箔は、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2以下であり、各黒点サイズが15μm以下となるように制御されている。ここで、「黒点」とは、中間層を形成する際のめっき処理において異常析出したNiを主要成分として含むめっき部分が中間層上に形成された極薄銅層表面へ転写されて生じた部分をいう。より詳細には、異常析出(局部的なめっきヤケ)したNi主成分の物質は、黒色でNi層表面に残留し、主に水酸化ニッケル、酸化ニッケルが主成分であると認識できる。Ni層表面にクロメート処理、極薄銅層めっきを施した後、極薄銅層からキャリアを剥離すると、極薄銅層に水酸化ニッケル、酸化ニッケルが付着する。付着した形状は円形または楕円形であり、これらを「黒点」と呼んでいる。
極薄銅層の中間層側表面の黒点は、極薄銅層に微細な回路を形成する際に、回路と回路との間にマイグレーションを発生させ、また、Cuよりエッチングされ難いNiを含有する成分が極薄銅層表面に存在することで、回路形成性を劣化させる。これに対し、上述のように黒点の数が抑制されたキャリア付銅箔とすることで、極薄銅層の回路形成性が良好となる。キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2、又は、各黒点サイズが15μmを超えると、極薄銅層をエッチングして、L/S=30μm/30μmよりも微細な配線、例えばL/S=25μm/25μmの微細な配線、例えばL/S=20μm/20μmの微細な配線、例えばL/S=15μm/15μmの微細な配線を形成することが困難となる。
本発明のキャリア付銅箔は、エッチング異常をより低減するという点から、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜10個/dm2となるように制御されているのが好ましく、0〜8個/dm2となるように制御されているのがより好ましく、0〜5個/dm2となるように制御されているのが更により好ましく、0〜2個/dm2となるように制御されているのが更により好ましい。
本発明のキャリア付銅箔は、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の各黒点サイズが0〜10μmとなるように制御されているのが好ましく、0〜8μmとなるように制御されているのがより好ましく、0〜6μmとなるように制御されているのが更により好ましく、0〜5μmとなるように制御されているのが更により好ましい。
上述のような黒点の個数が制御されたキャリア付銅箔を作製するためには、以下に示す製造時の制御が重要となる。
〔中間層形成のためのめっき条件〕
以下のめっき条件に基づいて中間層の形成を行うことで、上述のような黒点の数が制御されたキャリア付銅箔を作製することができる。
(1)前処理
前処理として、脱脂及び酸洗を行うことで、後続のめっき処理を効果的に行うことができる。
(脱脂)
脱脂をすることで、被めっき面が清浄され、表面濡れ性が向上するため、後続の酸洗を効果的に行うことができる。
・基本処理:水酸化ナトリウム水溶液(1〜100g/L)にキャリアを浸漬する。
・界面活性剤:水酸化ナトリウム水溶液には、界面活性剤を適量入れると表面張力が下がり、より効果的で好ましい。
・電解脱脂:以下のいずれかの電解を併用するとより効果的に脱脂を行うことができる。
(a)陰極脱脂のみ(10A/dm2程度)
(b)陽極脱脂のみ(5A/dm2程度)
(c)陰極脱脂→陽極脱脂
(d)陰極脱脂→陽極脱脂→陰極脱脂
(酸洗)
上述の脱脂の後、酸洗をすることで、キャリアが銅箔である場合には表面の酸化銅等を除去することができ、活性な銅表面を露出させることができる。このため、後続のニッケルめっきを効果的に行うことができる。
・基本処理:硫酸(50mL/L)にキャリアを浸漬する。
・酸化剤:硫酸に過硫酸塩、過酸化水素等の酸化剤を含有させることが好ましい。酸化剤を含有させることで、キャリア表面を若干削って活性な表面を露出させることができる。
(2)ニッケルめっき
前処理の後、続いてニッケルめっきを行う。この際、緻密で均一、且つ、欠陥の無いめっきに仕上げることが重要である。ニッケルめっきとしては、以下の条件にて行う。
・めっき液
ニッケル:20〜200g/L
ホウ酸:5〜60g/L
液温:40〜65℃
pH:1.5〜3.0、好ましくは、2.0〜3.0。pHは低めにして段階的にめっき処理することで、水素ガスが発生して陰極表面が還元雰囲気になる。このため、酸化物、水酸化物、水和物等の水分発生の原因要素の発生を抑制することができる。
電流密度:0.2〜15A/dm2、好ましくは、2〜8A/dm2。低電流密度で処理する方が、ヤケめっきとなり難く、欠陥が少なく緻密なめっきとなるため好ましい。また、「黒点」は局部的なヤケめっきが極薄銅層側に転写したものであり、低電流密度で処理する方が、「黒点」の発生を抑えることができる。
・攪拌(液循環量)
100〜1000L/分。液循環量が多い方が、発生する水素ガスのガス離れが良くなり、ピンホール等の欠陥が少なくなる。また、液循環量が多いと拡散層厚みを小さくする効果が有り、水酸化物等の水分発生の原因要素の発生を抑制することができる。「黒点」は酸化ニッケルと水酸化ニッケルの混合物であるため、液給液量が多い方が「黒点」の発生を抑えることができる。
・搬送速度
2〜30m/分、好ましくは、5〜10m/分。搬送速度が遅い方が、平滑で緻密なNi層が形成される。
・添加剤
添加剤に以下の一次光沢剤及び二次光沢剤を使用するのが好ましい。これにより、結晶が平滑で緻密となる。このため、めっきに発生する欠陥が減少し、水分の取り込みが減少する。
(一次光沢剤)
1−5ナフタレン・ジスルフォン酸ナトリウム:2〜10g/L、1−3−6ナフタレン・トリスルフォン酸ナトリウム:10〜30g/L、パラトルエンスルフォン・アミド:0.5〜4g/L、サッカリンナトリウム:0.5〜5g/Lのいずれか1種。
(二次光沢剤)
ホルマリン:0.5〜5g/L、ゼラチン:0.005〜0.5g/L、チオ尿素:0.05〜1.0g/L、プロパルギルアルコール:0.01〜0.3g/L、1−4ブチンジオール:0.05〜0.5g/L、エチレンシアンヒドリン:0.05〜0.5g/Lのいずれか1種。
ニッケルめっきの後、続いて以下の条件にて(3)クロメート処理または(4)有機物による処理を行う。
(3)クロメート
・処理液
クロム:0.5〜6.0g/L
亜鉛:0.1〜2.0g/L
pH:2.5〜5.0
液温:25〜60℃
電流密度:0.1〜4A/dm2
また、クロメート処理の処理液にはその他の元素が含まれても良い。
(4)有機物による処理
・処理液
有機物:0.1〜20g/L
pH:2〜5
液温:20〜40℃
浸漬時間:5〜30秒
有機物は上述の有機物、例えば窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のいずれかを含む有機物が好ましい。
〔中間層形成後、極薄銅層形成までに行う処理〕
中間層形成後、極薄銅層形成までに、さらに以下の加熱処理及び/又は還元処理を行うことが好ましい。このような処理を行うことで、上述のような黒点の個数が制御されたキャリア付銅箔を作製することができる。
(5)加熱処理
クロメート処理後、銅めっき前に以下の条件で加熱処理を行うことで水分を除去する。
・例えば、インライン処理にて100〜200℃、このましくは180℃程度で1分間の加熱。さらに、IRヒータを使用した加熱も併用すればより効果的である。また、水素ガスを通しながら加熱すれば、還元効果も有り、さらに効果的である。
(6)還元処理
以下の条件で還元剤を用いて後処理することでO(酸素)を減らすことができる。
・例えば、還元剤である蟻酸(0.1〜100g/L)を使用して浸漬処理を行う。
<極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層を設ける。中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、高電流密度での銅層形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には1〜5μmであり、更により典型的には1.5〜5μmであり、更により典型的には2〜5μmである。なお、極薄銅層はキャリアの両面に設けてもよい。
<粗化処理及びその他の表面処理>
極薄銅層の表面またはキャリアの表面のいずれか一方または両方には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理は微細なものであっても良い。粗化処理層は、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層などであってもよい。また、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層および/または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層および/又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
ここでクロメート処理層とは無水クロム酸、クロム酸、二クロム酸、クロム酸塩または二クロム酸塩を含む液で処理された層のことをいう。クロメート処理層はコバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタン等の元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物等どのような形態でもよい)を含んでもよい。クロメート処理層の具体例としては、無水クロム酸または二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層や、無水クロム酸または二クロム酸カリウムおよび亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層等が挙げられる。
耐熱層、防錆層としては公知の耐熱層、防錆層を用いることが出来る。例えば、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む層であってもよく、ニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素からなる金属層または合金層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む酸化物、窒化物、珪化物を含んでもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金を含む層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金層であってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層は、不可避不純物を除き、ニッケルを50wt%〜99wt%、亜鉛を50wt%〜1wt%含有するものであってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層の亜鉛及びニッケルの合計付着量が5〜1000mg/m2、好ましくは10〜500mg/m2、好ましくは20〜100mg/m2であってもよい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量と亜鉛の付着量との比(=ニッケルの付着量/亜鉛の付着量)が1.5〜10であることが好ましい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量は0.5mg/m2〜500mg/m2であることが好ましく、1mg/m2〜50mg/m2であることがより好ましい。耐熱層および/または防錆層がニッケル−亜鉛合金を含む層である場合、銅箔と樹脂基板との密着性が向上する。
例えば耐熱層および/または防錆層は、付着量が1mg/m2〜100mg/m2、好ましくは5mg/m2〜50mg/m2のニッケルまたはニッケル合金層と、付着量が1mg/m2〜80mg/m2、好ましくは5mg/m2〜40mg/m2のスズ層とを順次積層したものであってもよく、前記ニッケル合金層はニッケル−モリブデン、ニッケル−亜鉛、ニッケル−モリブデン−コバルトのいずれか一種により構成されてもよい。また、耐熱層および/または防錆層は、ニッケルまたはニッケル合金とスズとの合計付着量が2mg/m2〜150mg/m2であることが好ましく、10mg/m2〜70mg/m2であることがより好ましい。また、耐熱層および/または防錆層は、[ニッケルまたはニッケル合金中のニッケル付着量]/[スズ付着量]=0.25〜10であることが好ましく、0.33〜3であることがより好ましい。当該耐熱層および/または防錆層を用いるとキャリア付銅箔をプリント配線板に加工して以降の回路の引き剥がし強さ、当該引き剥がし強さの耐薬品性劣化率等が良好になる。
なお、シランカップリング処理層を設けるために用いられるシランカップリング剤には公知のシランカップリング剤を用いてよく、例えばアミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤を用いてよい。また、シランカップリング剤にはビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いてもよい。
前記シランカップリング処理層は、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シランなどのシランカップリング剤などを使用して形成してもよい。なお、このようなシランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。中でも、アミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を用いて形成したものであることが好ましい。
ここで言うアミノ系シランカップリング剤とは、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(2−N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるものであってもよい。
シランカップリング処理層は、ケイ素原子換算で、0.05mg/m2〜200mg/m2、好ましくは0.15mg/m2〜20mg/m2、好ましくは0.3mg/m2〜2.0mg/m2の範囲で設けられていることが望ましい。前述の範囲の場合、基材と表面処理銅箔との密着性をより向上させることが出来る。
また、極薄銅層、粗化処理層、耐熱層、防錆層、シランカップリング処理層またはクロメート処理層の表面に、国際公開番号WO2008/053878、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、特開2013−19056号に記載の表面処理を行うことができる。
また、本発明のキャリア付銅箔は前記極薄銅層上、あるいは前記粗化処理層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいはクロメート処理層、あるいはシランカップリング処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
前記樹脂層は接着剤であってもよく、接着用樹脂であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ状態)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399号、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
また、前記樹脂層は、その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、マレイミド系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、多価カルボン酸の無水物などを含む樹脂を好適なものとしてあげることができる。また、前記樹脂層がブロック共重合ポリイミド樹脂層を含有する樹脂層またはブロック共重合ポリイミド樹脂とポリマレイミド化合物を含有する樹脂層であってもよい。また前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであって、電気・電子材料用途に用いることのできるものであれば、特に問題なく使用できる。また、前記エポキシ樹脂は分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N-ジグリシジルアニリン等のグリシジルアミン化合物、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル化合物、リン含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができ、又は前記エポキシ樹脂の水素添加体やハロゲン化体を用いることができる。
前記多価カルボン酸の無水物はエポキシ樹脂の硬化剤として寄与する成分であることが好ましい。また、前記多価カルボン酸の無水物は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロキシ無水フタル酸、ヘキサヒドロキシ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロキシ無水フタル酸、ナジン酸、メチルナジン酸であることが好ましい。
また、前記樹脂層を形成するための樹脂組成物は多価カルボン酸の無水物、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂を含有してもよい。前記酸無水物は、フェノキシ樹脂に含有される水酸基1molに対して0.01mol〜0.5mol含有するものであることが好ましい。前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールと2価のエポキシ樹脂との反応により合成されるものを用いることができる。前記フェノキシ樹脂の含有量は、前記樹脂組成物の全量を100重量部としたときに3重量部〜30重量部含有するものであってもよい。前記エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物を用いてエポキシ化したエポキシ樹脂であってもよい。なお、前記樹脂組成物は、多価カルボン酸の無水物とフェノキシ樹脂とを反応させ、フェノキシ樹脂の水酸基に対して多価カルボン酸を開環付加した後に、エポキシ樹脂を添加して得ることができる。
前記ビスフェノールとしてビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、HCA(9,10−Dihydro−9−Oxa−10−Phosphaphenanthrene−10−Oxide)とハイドロキノン、ナフトキノン等のキノン類との付加物として得られるビスフェノール等を使用することができる。
また、前記熱可塑性樹脂はエポキシ樹脂と重合可能なアルコール性水酸基以外の官能基を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
前記樹脂層の組成は樹脂成分総量に対してエポキシ樹脂50〜90重量%、ポリビニルアセタール樹脂5〜20重量%、ウレタン樹脂0.1〜20重量%を含有し、該エポキシ樹脂の0.5〜40重量%がゴム変成エポキシ樹脂であってもよい。
また、前記ポリビニルアセタール樹脂は酸基および水酸基以外のエポキシ樹脂またはマレイミド化合物と重合可能な官能基を有してもよい。前記樹脂層に用いられる樹脂組成物の総量100重量部に対し、エポキシ樹脂配合物40〜80重量部、マレイミド化合物10〜50重量部、水酸基および水酸基以外のエポキシ樹脂またはマレイミド化合物と重合可能な官能基を有するポリビニルアセタール樹脂5〜30重量部からであってもよい。また、前記ポリビニルアセタール樹脂が分子内にカルボキシル基、アミノ基または不飽和二重結合を導入したものであってもよい。
また、前記樹脂層は、20〜80重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、20〜80重量部の溶剤に可溶な芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂組成物を用いて形成したものであってもよい。また、前記樹脂層は、5〜80重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、20〜95重量部の溶剤に可溶な芳香族ポリアミド樹脂ポリマー、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂組成物を用いて形成したものであってもよい。前記樹脂層の形成に用いる樹脂組成物の構成に用いる芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、芳香族ポリアミドとゴム性樹脂とを反応させることで得られるものであってもよい。前記樹脂層は、誘電体フィラーを含有したものであってもよい。前記樹脂層は、骨格材を含有したものであってもよい。
ここで、前記芳香族ポリアミド樹脂ポリマーとしては、芳香族ポリアミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものが挙げられる。ここで、芳香族ポリアミド樹脂とは、芳香族ジアミンとジカルボン酸との縮重合により合成されるものである。このときの芳香族ジアミンには、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシレンジアミン、3,3’−オキシジアニリン等を用いる。そして、ジカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等を用いる。
そして、前記芳香族ポリアミド樹脂と反応させる前記ゴム性樹脂とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、形成する誘電体層の耐熱性を確保する際には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、芳香族ポリアミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、CTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。
芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを構成することとなる芳香族ポリアミド樹脂とゴム性樹脂とは、芳香族ポリアミド樹脂が25wt%〜75wt%、残部ゴム性樹脂という配合で用いることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂が25wt%未満の場合には、ゴム成分の存在比率が大きくなりすぎ耐熱性に劣るものとなり、一方、75wt%を越えると芳香族ポリアミド樹脂の存在比率が大きくなりすぎて、硬化後の硬度が高くなりすぎ、脆くなるのである。この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、銅張積層板に加工した後の銅箔をエッチング加工する際に、エッチング液によりアンダーエッチングによる損傷を受けないことを目的に用いたものである。
この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーには、まず溶剤に可溶であるという性質が求められる。この芳香族ポリアミド樹脂ポリマーは、20重量部〜80重量部の配合割合で用いる。芳香族ポリアミド樹脂ポリマーが20重量部未満の場合には、銅張積層板の製造を行う一般的プレス条件で硬化しすぎて脆くなり、基板表面にマイクロクラックを生じやすくなるのである。一方、80重量部を越えて芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを添加しても特に支障はないが、80重量部を越えて芳香族ポリアミド樹脂ポリマーを添加してもそれ以上に硬化後の強度は向上しないのである。従って、経済性を考慮すれば、80重量部が上限値であると言えるのである。
「必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤」とは、3級アミン、イミダゾール、尿素系硬化促進剤等である。本件発明では、この硬化促進剤の配合割合は、特に限定を設けていない。なぜなら、硬化促進剤は、銅張積層板製造の工程での生産条件性等を考慮して、製造者が任意に選択的に添加量を定めて良いものであるからである。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の3種のエポキシ樹脂を溶剤に溶解させ、そこに硬化剤、微粉砕シリカ、三酸化アンチモン等の反応触媒を添加した樹脂組成物であってもよい。このときの硬化剤に関しては前記と同様である。この樹脂組成も、良好な銅箔と基材樹脂との密着性を示すのである。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はポリフェニレンエーテル樹脂、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、リン含有フェノール化合物、ナフテン酸マンガン、2,2−ビス(4−グリシジルフェニル)プロパンを溶剤に溶解させたポリフェニレンエーテル−シアネート系の樹脂組成物であってもよい。この樹脂組成も、良好な銅箔と基材樹脂との密着性を示すのである。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はシロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を溶剤で溶解させたシロキサン変性ポリアミドイミド系の樹脂組成物であってもよい。この樹脂組成も、良好な銅箔と基材樹脂との密着性を示すのである。
(誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層の場合)
上記いずれかの樹脂層または樹脂組成物に誘電体(誘電体フィラー)を含ませる場合には、キャパシタ層を形成する用途に用い、キャパシタ回路の電気容量を増大させることができるのである。この誘電体(誘電体フィラー)には、BaTiO3、SrTiO3、Pb(Zr−Ti)O3(通称PZT)、PbLaTiO3・PbLaZrO(通称PLZT)、SrBi2Ta2O9(通称SBT)等のペブロスカイト構造を持つ複合酸化物の誘電体粉を用いる。
誘電体(誘電体フィラー)は粉状であってもよい。誘電体(誘電体フィラー)が粉状である場合、この誘電体(誘電体フィラー)の粉体特性は、まず粒径が0.01μm〜3.0μm、好ましくは0.02μm〜2.0μmの範囲のものである必要がある。ここで言う粒径は、粉粒同士がある一定の2次凝集状態を形成しているため、レーザー回折散乱式粒度分布測定法やBET法等の測定値から平均粒径を推測するような間接測定では精度が劣るものとなるため用いることができず、誘電体(誘電体フィラー)を走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察し、そのSEM像を画像解析し得られる平均粒径を言うものである。本件明細書ではこの時の粒径をDIAと表示している。なお、本件明細書における走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される誘電体(誘電体フィラー)の粉体の画像解析は、旭エンジニアリング株式会社製のIP−1000PCを用いて、円度しきい値10、重なり度20として円形粒子解析を行い、平均粒径DIAを求めたものである。
更に、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50が0.2μm〜2.0μmであり、且つ、体積累積粒径D50と画像解析により得られる平均粒径DIAとを用いてD50/DIAで表される凝集度の値が4.5以下である略球形の形状をしたペロブスカイト構造を持つ誘電体粉末であることが求められる。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる重量累積50%における粒径のことであり、この体積累積粒径D50の値が小さいほど、誘電体(誘電体フィラー)粉の粒径分布の中で微細な粉粒の占める割合が多いことになる。本件発明では、この値が0.2μm〜2.0μmであることが求められる。即ち、体積累積粒径D50の値が0.2μm未満の場合には、どのような製造方法を採用した誘電体(誘電体フィラー)粉であれ、凝集の進行が著しく以下に述べる凝集度を満足するものとはならないのである。一方、体積累積粒径D50の値が2.0μmを越える場合には、本件発明の目的とするところであるプリント配線板の内蔵キャパシタ層形成用の誘電体(誘電体フィラー)としての使用が不可能となるのである。即ち、内蔵キャパシタ層を形成するのに用いる両面銅張積層板の誘電体層は、通常10μm〜25μmの厚さのものであり、ここに誘電体フィラーを均一に分散させるためには2.0μmが上限となるのである。
本件発明における体積累積粒径D50の測定は、誘電体(誘電体フィラー)粉をメチルエチルケトンに混合分散させ、この溶液をレーザー回折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac HRA 9320−X100型(日機装株式会社製)の循環器に投入して測定を行った。
ここで凝集度という概念を用いているが、以下のような理由から採用したものである。即ち、レーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる体積累積粒径D50の値は、真に粉粒の一つ一つの径を直接観察したものではないと考えられる。殆どの誘電体粉を構成する粉粒は、個々の粒子が完全に分離した、いわゆる単分散粉ではなく、複数個の粉粒が凝集して集合した状態になっているからである。レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、凝集した粉粒を一個の粒子(凝集粒子)として捉えて、体積累積粒径を算出していると言えるからである。
これに対して、走査型電子顕微鏡を用いて観察される誘電体粉の観察像を画像処理することにより得られる平均粒径DIAは、SEM観察像から直接得るものであるため、一次粒子が確実に捉えられることになり、反面には粉粒の凝集状態の存在を全く反映させていないことになる。
以上のように考えると、本件発明者等は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法の体積累積粒径D50と画像解析により得られる平均粒径DIAとを用いて、D50/DIAで算出される値を凝集度として捉えることとしたのである。即ち、同一ロットの銅粉においてD50とDIAとの値が同一精度で測定できるものと仮定して、上述した理論で考えると、凝集状態のあることを測定値に反映させるD50の値は、DIAの値よりも大きな値になると考えられる。
このとき、D50の値は、誘電体(誘電体フィラー)粉の粉粒の凝集状態が全くなくなるとすれば、限りなくDIAの値に近づいてゆき、凝集度であるD50/DIAの値は、1に近づくことになる。凝集度が1となった段階で、粉粒の凝集状態が全く無くなった単分散粉と言えるのである。但し、現実には、凝集度が1未満の値を示す場合もある。理論的に考え真球の場合には、1未満の値にはならないのであるが、現実には、粉粒が真球ではないために1未満の凝集度の値が得られることになるようである。
本件発明では、この誘電体(誘電体フィラー)粉の凝集度が4.5以下であることが好ましい。この凝集度が4.5を越えると、誘電体フィラーの粉粒同士の凝集レベルが高くなりすぎて、上述した樹脂組成物との均一混合が困難となるのである。
誘電体(誘電体フィラー)粉の製造方法として、アルコキシド法、水熱合成法、オキサレート法等のいずれの製造方法を採用しても、一定の凝集状態が不可避的に形成されるため、上述の凝集度を満足しない誘電体フィラー粉が発生し得るものである。特に、湿式法である水熱合成法の場合には、凝集状態の形成が起こりやすい傾向にある。そこで、この凝集した状態の粉体を、一粒一粒の粉粒に分離する解粒処理を行うことで、誘電体フィラー粉の凝集状態を、上述の凝集度の範囲とすることが可能なのである。
単に解粒作業を行うことを目的とするのであれば、解粒の行える手段として、高エネルギーボールミル、高速導体衝突式気流型粉砕機、衝撃式粉砕機、ゲージミル、媒体攪拌型ミル、高水圧式粉砕装置等種々の物を用いることが可能である。ところが、誘電体(誘電体フィラー)粉と樹脂組成物との混合性及び分散性を確保するためには、以下に述べる誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂溶液としての粘度低減を考えるべきである。誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂溶液の粘度の低減を図る上では、誘電体(誘電体フィラー)の粉粒の比表面積が小さく、滑らかなものとすることが求められる。従って、解粒は可能であっても、解粒時に粉粒の表面に損傷を与え、その比表面積を増加させるような解粒手法であってはならないのである。
このような認識に基づいて、本件発明者等が鋭意研究した結果、二つの手法が有効であることが見いだされた。この二つの方法に共通することは、誘電体(誘電体フィラー)の粉体の粉粒が装置の内壁部、攪拌羽根、粉砕媒体等の部分と接触することを最小限に抑制し、凝集した粉粒同士の相互衝突を行わせることで、解粒が十分可能な方法という点である。即ち、装置の内壁部、攪拌羽根、粉砕媒体等の部分と接触することは粉粒の表面を傷つけ、表面粗さを増大させ、真球度を劣化させることにつながり、これを防止するのである。そして、十分な粉粒同士の衝突を起こさせることで、凝集状態にある粉粒を解粒し、同時に、粉粒同士の衝突による粉粒表面の平滑化の可能な手法を採用できるのである。
その一つは、凝集状態にある誘電体(誘電体フィラー)粉を、ジェットミルを利用して解粒処理するのである。ここで言う「ジェットミル」とは、エアの高速気流を用いて、この気流中に誘電体(誘電体フィラー)粉を入れ、この高速気流中で粉粒同士を相互に衝突させ、解粒作業を行うのである。
また、凝集状態にある誘電体(誘電体フィラー)粉を、そのストイキメトリを崩すことのない溶媒中に分散させたスラリーを、遠心力を利用した流体ミルを用いて解粒処理するのである。ここで言う「遠心力を利用した流体ミル」を用いることで、当該スラリーを円周軌道を描くように高速でフローさせ、このときに発生する遠心力により凝集した粉粒同士を溶媒中で相互に衝突させ、解粒作業を行うのである。このようにすることで、解粒作業の終了したスラリーを洗浄、濾過、乾燥することで解粒作業の終了した誘電体(誘電体フィラー)粉が得られることになるのである。以上に述べた方法で、凝集度の調整及び誘電体フィラー粉の粉体表面の平滑化を図ることができるのである。
以上述べてきた樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを混合して、プリント配線板の内蔵キャパシタ層形成用の誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂とするのである。なお、誘電体(誘電体フィラー)と混合するための樹脂組成物に用いる樹脂として、前記樹脂層に用いることができる樹脂を挙げることができる。このときの、樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)との配合割合は、誘電体(誘電体フィラー)の含有率が75wt%〜85wt%、残部樹脂組成物とすることが望ましい。
誘電体(誘電体フィラー)の含有率が75wt%未満の場合には、市場で現在要求されている比誘電率20を満足できず、誘電体(誘電体フィラー)の含有率が85wt%を越えると、樹脂組成物の含有率が15wt%未満となり、誘電体(誘電体フィラー)含有樹脂とそこに張り合わせる銅箔との密着性が損なわれ、プリント配線板製造用としての要求特性を満足する銅張積層板の製造が困難となるのである。
なお、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、誘電体(誘電体フィラー)、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤を含む樹脂組成物を用いて形成されてもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、エポキシ樹脂を25重量部〜60重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、活性エステル樹脂を28重量部〜60重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、エポキシ樹脂と活性エステル樹脂との合計含有量が78重量部〜95重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、ポリビニルアセタール樹脂を1重量部〜20重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤を含む樹脂組成物重量を100重量部としたとき、硬化促進剤を0.01重量部〜2重量部含有する樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、当該樹脂層を構成する樹脂組成物重量を100重量部としたとき、当該樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、硬化促進剤の各成分の合計量が70重量部以上である樹脂組成物と誘電体(誘電体フィラー)とを用いて形成したものであってもよい。
また、前記誘電体を含む樹脂層は、当該誘電体(誘電体フィラー)を含有する樹脂重量を100wt%としたとき、誘電体(誘電体フィラー)を65wt%〜85wt%の範囲で含有するものであることが好ましい。
なお、エポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤には公知のエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤または本願明細書に記載のエポキシ樹脂、活性エステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および硬化促進剤を用いることができる。
また、前記誘電体(誘電体フィラー)を含む樹脂層は、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが1%未満であることが好ましい。
なお、硬化促進剤、エポキシ樹脂としては公知のものまたは本願明細書に記載の硬化促進剤、エポキシ樹脂を用いることができる。また、硬化促進剤としては公知のイミダゾール化合物または、本願明細書に記載のイミダゾール化合物を用いることができる。
そして、この誘電体(誘電体フィラー)としては、現段階に置いて、粉体としての製造精度を考慮すると、ペブロスカイト構造を持つ複合酸化物の内、チタン酸バリウムを用いることが好ましい。このときの誘電体(誘電体フィラー)には、仮焼したチタン酸バリウム又は未仮焼のチタン酸バリウムのいずれをも用いることが出来る。高い誘電率を得ようとする場合には仮焼したチタン酸バリウムを用いることが好ましいのであるが、プリント配線板製品の設計品質に応じて選択使用すればよいものである。
また更に、チタン酸バリウムの誘電体フィラーが、立方晶の結晶構造を持つものであることが最も好ましい。チタン酸バリウムのもつ結晶構造には、立方晶と正方晶とが存在するが、立方晶の構造を持つチタン酸バリウムの誘電体(誘電体フィラー)の方が、正方晶の構造のみを持つチタン酸バリウムの誘電体(誘電体フィラー)を用いた場合に比べて、最終的に得られる誘電体層の誘電率の値が安定化するのである。従って、少なくとも、立方晶と正方晶との双方の結晶構造を併有したチタン酸バリウム粉を用いる必要があると言えるのである。
上述の実施の形態により、当該内層コア材の内層回路表面と誘電体を含む樹脂層との密着性を向上させ、低い誘電正接を備えるキャパシタ回路層を形成するための誘電体を含む樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供することができる。
また、前記樹脂層は粗化処理層側から順に硬化樹脂層(「硬化樹脂層」とは硬化済みの樹脂層のことを意味するとする。)と半硬化樹脂層とを順次形成した樹脂層であってもよい。前記硬化樹脂層は、熱膨張係数が0ppm/℃〜25ppm/℃のポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、これらの複合樹脂のいずれかの樹脂成分で構成されてもよい。
また、前記硬化樹脂層上に、硬化した後の熱膨張係数が0ppm/℃〜50ppm/℃の半硬化樹脂層を設けてもよい。また、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層とが硬化した後の樹脂層全体の熱膨張係数が40ppm/℃以下であってもよい。前記硬化樹脂層は、ガラス転移温度が300℃以上であってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、マレイミド系樹脂を用いて形成したものであってもよく、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂であってもよく、前記マレイミド系樹脂は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物であってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、当該半硬化樹脂層を100重量部としたとき、マレイミド系樹脂を20重量部〜70重量部含有するものであってもよい。前記半硬化樹脂層を形成するための樹脂組成物は、マレイミド系樹脂、エポキシ樹脂、架橋可能な官能基を有する線状ポリマーを必須成分をとすることが好ましい。そして、マレイミド系樹脂には、芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物を用いることもできる。また、半硬化樹脂層には必要に応じて、マレイミド系樹脂と反応性を有するシアノエステル樹脂やエポキシ樹脂を添加してもよい。エポキシ樹脂は公知のエポキシ樹脂または本願明細書に記載のエポキシ樹脂を用いることができる。
また、前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、水酸基、カルボキシル基等のエポキシ樹脂の硬化反応に寄与する官能基を備えることが好ましい。そして、この架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤に可溶であることが好ましい。ここで言う官能基を有する線状ポリマーを具体的に例示すると、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。この架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の配合割合で用いられることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、樹脂流れが大きくなる場合がある。この結果、製造した銅張積層板の端部から樹脂粉の発生が多く見られる場合があり、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性も改善出来ない場合がある。一方、30重量部を超えても、樹脂流れが小さい場合があり、製造した銅張積層板の絶縁層内にボイド等の欠陥を生じやすくなる場合がある。
ここで言うマレイミド系樹脂としては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチルー5,5’−ジエチルー4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチルー1,3−フェニレンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン等の使用が可能である。マレイミド系樹脂の含有量が20重量部未満の場合には、硬化後の半硬化樹脂層の熱膨張係数を低下させる効果が得られない場合がある。一方、マレイミド系樹脂の含有量が70重量部を超えると、半硬化樹脂層が硬化すると脆い樹脂層になる場合があり、当該樹脂層にクラックが生じやすくなる場合があり、プリント配線板の絶縁層としての信頼性が低下する場合がある。
分子内に2個以上のマレイミド基を有する芳香族マレイミド樹脂と芳香族ポリアミンとを重合させた重合付加物を形成させる場合には、芳香族ポリアミンとして、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノー3−メチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、1,3−ビス[4−アミノフェノキシ]ベンゼン、3−メチルー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチルー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,5,5’−テトラクロロー4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチルー4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチルー4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジクロロー4−アミノフェニル)プロパン、ビス(2,3−ジメチルー4−アミノフェニル)フェニルエタン、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン等を、樹脂組成物に添加して用いて樹脂層を形成することが好ましい。
そして、エポキシ樹脂硬化剤を必要とする場合には、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物等を用いる。このときのエポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂硬化剤の添加量は、それぞれの当量から自ずと導き出されるものであるから、特段の添加量限定は行っていない。
また、立体成型プリント配線板製造用途に適した、樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供する場合、前記硬化樹脂層は硬化した可撓性を有する高分子ポリマー層であることが好ましい。前記高分子ポリマー層は、はんだ実装工程に耐えられるように、150℃以上のガラス転移温度をもつ樹脂からなるものが好適である。前記高分子ポリマー層は、ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、アラミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂のいずれか1種又は2種以上の混合樹脂からなることが好ましい。また、前記高分子ポリマー層の厚さは3μm〜10μmであることが好ましい。
また、前記高分子ポリマー層は、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂のいずれか1種又は2種以上を含むことが好ましい。また、前記半硬化樹脂層は厚さが10μm〜50μmのエポキシ樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
また、前記エポキシ樹脂組成物は以下のA成分〜E成分の各成分を含むものであることが好ましい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂。
B成分: 高耐熱性エポキシ樹脂。
C成分: リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか1種又はこれらを混合した樹脂であるリン含有難燃性樹脂。
D成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂。
E成分: 樹脂硬化剤。
A成分は、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂である。ここで、ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用しているのは、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)との相性が良く、半硬化状態での樹脂膜に適度なフレキシビリティの付与が容易だからである。そして、エポキシ当量が200を超えると、樹脂が室温で半固形となり、半硬化状態でのフレキシビリティが減少するので好ましくない。更に、上述のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。しかも、2種以上を混合して用いる場合には、その混合比に関しても特段の限定はない。
このエポキシ樹脂は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の配合割合で用いることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、熱硬化性を十分に発揮せず内層フレキシブルプリント配線板とのバインダーとしての機能も、樹脂付銅箔としての銅箔との密着性も十分に果たせなくなる。一方、30重量部を越えると、他の樹脂成分とのバランスから樹脂ワニスとしたときの粘度が高くなり、樹脂付銅箔を製造するとき、銅箔表面へ均一な厚さでの樹脂膜の形成が困難となる。しかも、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)の添加量を考慮すると、硬化後の樹脂層として十分な靭性が得られなくなる。
B成分は、所謂ガラス転移点Tgの高い「高耐熱性エポキシ樹脂」である。ここで言う「高耐熱性エポキシ樹脂」は、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。そして、このB成分は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。B成分が3重量部未満の場合には、樹脂組成物の高Tg化が不十分となる傾向があるので好ましくない。一方、B成分が30重量部を超える場合には、硬化後の樹脂が脆くなり、フレキシビリティが損なわれるためフレキシブルプリント配線板用途として好ましくない。より好ましくは、B成分は、10重量部〜20重量部の範囲で用いることで、樹脂組成物の高Tg化と硬化後の樹脂の良好なフレキシビリティとを安定して両立できる。
C成分は、所謂ハロゲンフリー系の難燃性樹脂であり、リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか1種又はこれらを混合した樹脂であるリン含有難燃性樹脂を用いる。まず、リン含有エポキシ系樹脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだエポキシ樹脂の総称である。そして、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物のリン原子含有量を、当該エポキシ樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲とできるリン含有エポキシ系樹脂であれば、いずれの使用も可能である。しかしながら、上述のリン含有エポキシ系樹脂の中でも、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ系樹脂を用いると、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。参考のために、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式を下記に示す。
更に、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ系樹脂の具体例として、化2に示す構造式を備える化合物を示す。この化2に示す構造式を備える化合物を使用すると、半硬化状態での樹脂品質の安定性により一層優れ、同時に難燃性効果が高くなるので、好ましい。
また、C成分のリン含有エポキシ系樹脂として、以下に示す化3に示す構造式を備える化合物も好ましい。化2に示すリン含有エポキシ系樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
更に、C成分のリン含有エポキシ系樹脂として、以下に示す化4に示す構造式を備える化合物も好ましい。化2及び化3に示すリン含有エポキシ系樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化5(HCA−NQ)又は化6(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有難燃性樹脂としたものが挙げられる。
ここで、リン含有難燃性樹脂として、リン含有エポキシ系樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、リン含有エポキシ系樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のリン含有エポキシ系樹脂を混合して用いても構わない。但し、C成分としてのリン含有難燃性樹脂の総量を考慮して、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるように添加量を定めることが好ましい。リン含有エポキシ系樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内に含有するリン原子量が異なる。そこで、上述のようにリン原子の含有量を、C成分の添加量に優先させて設計することが可能である。
次に、リン含有難燃性樹脂として、フォスファゼン系樹脂を用いる場合を説明する。フォスファゼン系樹脂は、リン及び窒素を構成元素とする二重結合を持つフォスファゼンを含む樹脂である。フォスファゼン系樹脂は、分子中の窒素とリンの相乗効果により、難燃性能を飛躍的に向上させることができる。また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体と異なり、樹脂中で安定して存在し、マイグレーションの発生を防ぐ効果が得られる。
また、リン含有難燃性樹脂として、フォスファゼン系樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、フォスファゼン系樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のフォスファゼン系樹脂を混合して用いても構わない。但し、C成分としてのリン含有難燃性樹脂の総量を考慮して、半硬化樹脂層を構成するフォスファゼン系樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるように添加量を定めることが好ましい。このことは、C成分として、リン含有エポキシ系樹脂とフォスファゼン系樹脂を混合して用いる場合も同様である。
そして、C成分としてのリン含有難燃性樹脂は、リン含有エポキシ系樹脂、フォスファゼン系樹脂のいずれか一種またはこれらを混合したものを用いれば良い。リン含有難燃性樹脂としてリン含有エポキシ系樹脂を単独で用いる場合は、リン含有エポキシ系樹脂は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜50重量部の範囲で用いられることが好ましい。リン含有エポキシ系樹脂からなるC成分が5重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、C成分由来のリン原子が不足し、難燃性を得ることが困難になる。一方、リン含有エポキシ系樹脂からなるC成分が50重量部を超えるようにしても、難燃性向上効果も飽和すると同時に、硬化後の樹脂層が脆くなるため好ましくない。
また、リン含有難燃性樹脂として、フォスファゼン系樹脂を単独で用いる場合は、フォスファゼン系樹脂は、半硬化樹脂層を構成するエポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、2重量部〜18重量部の範囲で用いられることが好ましい。フォスファゼン系樹脂からなるC成分が2重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、C成分由来のリン原子が不足し、難燃性を得ることが困難になる。一方、フォスファゼン系樹脂からなるC成分が18重量部を超えると、樹脂組成物のガラス転移点Tg、半田耐熱性、ピール強度が不十分となる傾向があるので好ましくない。
上述の硬化樹脂の「高Tg化」と「フレキシビリティ」とは、一般的に反比例する特性である。このときリン含有難燃性樹脂は、硬化後の樹脂のフレキシビリティの向上に寄与するもの、高Tg化に寄与するものが存在する。従って、1種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いるよりは、「高Tg化に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」と「フレキシビリティの向上に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」とをバランス良く配合して用いることで、フレキシブルプリント配線板用途で好適な樹脂組成とすることが可能である。
D成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶で、液状ゴム成分で変成されたゴム変成ポリアミドイミド樹脂である。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものである。ここで言う、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて用いるのは、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。すなわち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ゴム成分としては、天然ゴム及び合成ゴムを含み、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、耐熱性を確保する観点からは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、ポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、カルボキシル基を有するCTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。なお、上記ゴム成分は、1種のみを共重合させても、2種以上を共重合させても構わない。更に、ゴム成分を用いる場合には、そのゴム成分の数平均分子量が1000以上のものを用いることが、当該フレキシビリティの安定化の観点から好ましい。
ゴム変成ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。そして、重合反応を起こさせるには、80℃〜200℃の範囲の重合温度を採用することが好ましい。これらの重合に沸点が200℃を超える溶剤を用いた場合には、その後、用途に応じて沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に溶媒置換することが好ましい。
ここで、前記沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤とは、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しくなり、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる。一方、沸点が200℃を超える場合には、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、バブリングが起こりやすくなるため、良好な半硬化樹脂膜を得にくくなる。
エポキシ樹脂組成物で用いるゴム変成ポリアミドイミド樹脂の中で、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂の重量を100重量%としたとき、ゴム成分の共重合量は0.8重量%以上であることが好ましい。当該共重合量が0.8重量%未満の場合には、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂としても、本件発明に言うエポキシ樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を硬化させたときのフレキシビリティが欠如し、銅箔との密着性も低下するため好ましくない。なお、より好ましくは、当該ゴム成分の共重合量は3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上がより好ましい。経験的に40重量%を超えてゴム成分の添加量を向上させても、特段の問題はない。しかし、当該硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上効果は飽和するために資源の無駄となり好ましくない。
以上に述べてきたゴム変成ポリアミドイミド樹脂には、溶剤に可溶であるという性質が求められる。溶剤に可溶でなければ、樹脂ワニスとしての調製が困難だからである。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、10重量部〜40重量部の配合割合で用いることが好ましい。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂が10重量部未満の場合には、硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上させ得ず脆くなり、樹脂層へのマイクロクラックを生じやすくなる。一方、40重量部を越えてゴム変成ポリアミドイミド樹脂を添加しても特に支障はないが、それ以上に硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上せず、硬化後の樹脂の高Tg化が図れない。従って、経済性を考慮すれば、40重量部が上限値であると言える。
E成分の樹脂硬化剤に関して述べる。ここで言う樹脂硬化剤は、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上を用いることが好ましい。この樹脂硬化剤の添加量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から自ずと導き出されるものであり、特段の量的な限定を要するものではない。しかしながら、本件発明に用いるエポキシ樹脂組成物の場合には、当該エポキシ樹脂組成物を100重量部としたとき、E成分を20重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。このE成分が20重量部未満の場合には、上記樹脂組成を考慮すると、十分な硬化状態を得ることが出来なくなり、硬化後の樹脂としてフレキシビリティを得ることが出来なくなる。一方、E成分が35重量部を超える場合には、硬化した後の樹脂層の耐吸湿特性が劣化する傾向にあり、好ましくない。
以上に示した樹脂組成物に溶剤を加えて樹脂ワニスとして用い、プリント配線板の接着層として熱硬化性樹脂層を形成する。当該樹脂ワニスは、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30wt%〜70wt%の範囲に調製し、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%〜35%の範囲にある半硬化樹脂膜の形成が可能なことを特徴とする。ここで言う溶剤には、沸点が50℃〜200℃の範囲であり、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤を用いることが好ましい。上述のように良好な半硬化樹脂膜を得るためである。そして、ここに示した樹脂固形分量の範囲が、銅箔の表面に塗布したときに、最も膜厚を精度の良いものに制御できる範囲である。樹脂固形分が30wt%未満の場合には、粘度が低すぎて、銅箔表面への塗布直後に流れて膜厚均一性を確保しにくい。これに対して、樹脂固形分が70wt%を越えると、粘度が高くなり、銅箔表面への薄膜形成が困難となる。なお、レジンフローが、5%未満の場合には、内層コア材の表面にある内層回路の凹凸部等にエアーの噛み込み等を起こすため好ましくない。一方、当該レジンフローが、35%を超える場合には、レジンフローが大きくなりすぎて、樹脂層を有するキャリア付銅箔の樹脂層を用いて形成する絶縁層の厚さが不均一になる。
キャリア付銅箔に前記硬化樹脂層および、半硬化樹脂層を設けた場合、立体成型プリント配線板製造用途に適した、樹脂層を有するキャリア付銅箔を提供することができる。
また、前記樹脂層は前記半硬化絶縁層の片面に引き剥がし可能な保護フィルムを備えることが好ましい。前記保護フィルムには公知の絶縁フィルムや樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、金属箔等を前記保護フィルムに用いることができる。
なお、前記樹脂層は硬化剤および/または硬化促進剤を含んでもよい。
前記樹脂層はMIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが5%以内である樹脂組成物で形成された樹脂層であってもよい。
前記樹脂層は5重量部〜50重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、50重量部〜95重量部の溶剤に可溶なポリエーテルサルホン、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂組成物を用いて構成したものであってもよい。
また、前記樹脂層は以下に示す成分A〜成分Dを、下記含有量(但し、エポキシ樹脂
硬化剤を除き、樹脂組成物を100重量部としたときの重量部として記載)の範囲で含む
樹脂組成物で形成したものであってもよい。
成分A: 25℃における引張強度200MPa以上のポリアミドイミド樹脂 10重量
部〜20重量部
成分B: 25℃における引張強度100MPa以下のポリアミドイミド樹脂 20重量
部〜40重量部
成分C: エポキシ樹脂
成分D: エポキシ樹脂硬化剤
前記樹脂層は半硬化樹脂層であってもよい。
前記成分Aは、25℃における引張強度200MPa以上のポリアミドイミド樹脂である。ここで言う「引張強度200MPa以上のポリアミドイミド樹脂」とは、例えば、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物及びビトリレンジイソシアネートをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られる樹脂等である。ここで、上限値を記載していないがポリイミドアミド樹脂の引張強度を考慮すると、このポリアミドイミド樹脂の引張強度の上限は、500MPa程度である。なお、本件発明における成分A及び成分Bに係るポリアミドイミド樹脂の引張強度は、ポリアミドイミド樹脂溶液から、JIS K7113に定めるフィルム状の2号試験片(全長115mm、チャック間距離80±5mm、平行部長さ33±2mm、平行部幅6±0.4mm、フィルム厚1〜3mm)を用いて、引張試験機で測定した値である。
前記成分Bは、25℃における引張強度100MPa以下のポリアミドイミド樹脂である。ここで言う「引張強度100MPa以下のポリアミドイミド樹脂」とは、例えば、トリメリット酸無水物、ジフェニルメタンジイソシアネート及びカルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタジエンゴムをN−メチル−2−ピロリドン又は/及びN,N−ジメチルアセトアミド等の溶剤中で加熱することで得られるものである。
前記成分C(エポキシ樹脂)の含有量は、樹脂組成物を100重量部としたとき、40重量部〜70重量部であってもよい。なお、エポキシ樹脂としては前述のエポキシ樹脂を用いることができる。前記成分D(エポキシ樹脂硬化剤)の含有量は、樹脂組成物に対して、エポキシ樹脂の硬化可能な程度のイミダゾール化合物を含有させるものであることが好ましい。前記半硬化樹脂層は、前記樹脂組成物で形成した揮発分が1wt%未満の半硬化状態の樹脂層であることが好ましい。上記含有量を満たした場合、樹脂層を有するキャリア付銅箔をロール状で保管又は輸送しても、樹脂層を有するキャリア付銅箔の樹脂層からキャリア付銅箔への有機溶剤の転写が無く、しかも、耐熱性、キャリア付銅箔との接着性の各特性に優れる樹脂層を備えるキャリア付銅箔を得ることができる。
ここで、イミダゾール化合物は、公知のものを用いることができ、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられ、これらを単独若しくは混合して用いることができる。
なお、添加すべき硬化剤の量は、エポキシ樹脂の量、工程で要求する硬化速度等に応じて必然的に定まるものである。敢えて硬化剤としてのイミダゾール化合物の添加量を記載すると、樹脂組成物100重量部としたとき(但し、この場合は、成分A〜成分D全ての樹脂組成物を100重量部としたときの重量部として記載)、当該樹脂組成物中に0.01重量部〜2重量部の範囲で配合して用いる。そして、イミダゾール化合物の配合量は、0.02重量部〜1.5重量部がより好ましく、更に好ましくは、0.03重量部〜1.0重量部である。このイミダゾール化合物の配合量が0.01重量部未満の場合には、上記エポキシ樹脂の含有量を考慮すると硬化が不十分となる場合があり、樹脂層を有するキャリア付銅箔の樹脂層同士を張り合わせる際の接着強度が低下する。一方、イミダゾール化合物の配合量が2重量部を超える場合には、エポキシ樹脂の硬化反応が速くなり、硬化後の樹脂層が脆くなり、硬化樹脂フィルムの強度、樹脂付銅箔の樹脂層同士を張り合わせる際の接着性が低下する場合がある。
なお、成分Cのエポキシ樹脂、成分Dのエポキシ樹脂硬化剤には公知の成分Cのエポキシ樹脂、成分Dのエポキシ樹脂硬化剤または本願明細書に記載の成分Cのエポキシ樹脂、成分Dのエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。
前記樹脂層は半硬化状態における耐吸湿特性を備える樹脂組成物であって、当該樹脂組成物は、以下のA成分〜E成分を含み、樹脂組成物重量を100重量%としたときリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲で含有した樹脂組成物を用いて形成されてもよい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上。
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリマー。
C成分: 架橋剤。
D成分: イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤。
E成分: リン含有エポキシ樹脂。
前記B成分である官能基を有する線状ポリマーは、沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤に可溶なポリマー成分であることが好ましい。具体的にはポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等である。前記架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の配合割合で用いられることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、樹脂流れが大きくなる場合がある。この結果、製造した銅張積層板の端部から樹脂粉の発生が多く見られる場合があり、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性も改善出来ない場合がある。一方、30重量部を超えても、樹脂流れが小さい場合があり、製造した銅張積層板の絶縁層内にボイド等の欠陥を生じやすくなる場合がある。
また、ここで言う沸点が50℃〜200℃の温度の有機溶剤を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤である。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しく、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる場合がある。一方、沸点が200℃を超える場合には、半硬化状態で溶剤が残りやすい場合がある。そして、通常要求される揮発速度を満足せず、工業生産性を満足しない可能性がある。
C成分は、B成分とエポキシ樹脂との架橋反応を起こさせるための架橋剤である。この架橋剤には、ウレタン系樹脂を使用することが好ましい。この架橋剤は、B成分の混合量に応じて添加されるものであり、本来厳密にその配合割合を明記する必要性はないものと考える。しかしながら、樹脂組成物を100重量部としたとき、10重量部以下の配合割合で用いる事が好ましい。10重量部を超えて、ウレタン系樹脂であるC成分が存在すると、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性が劣化し、硬化後の樹脂層が脆くなるからである。
D成分は、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤である。本件発明に係る樹脂組成物で、半硬化状態の樹脂層の耐吸湿性を向上させるという観点からイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤を選択的に用いる事が好ましい。中でも、以下の化7に示す構造式を備えるイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤を用いる事が好ましい。この化7に示す構造式のイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤を用いることで、半硬化状態の樹脂層の耐吸湿性を顕著に向上でき、長期保存安定性に優れる。なお、エポキシ樹脂に対するエポキシ樹脂硬化剤の添加量は、反応当量から計算するのではなく、実験上得られる最適量を採用することが好ましい。イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化に際して触媒的な働きを行うものであり、硬化反応の初期段階において、エポキシ樹脂の自己重合反応を引き起こす反応開始剤として寄与するからである。
前記E成分であるリン含有エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂であることが好ましい。
10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式は下記の通りである。
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化9(HCA−NQ)又は化10(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有エポキシ樹脂としたものである。
上述の化合物を原料として得られた前記E成分であるリン含有エポキシ樹脂は、以下に示す化11〜化13のいずれかに示す構造式を備える化合物の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いためである。
前記樹脂組成物は樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、樹脂組成物重量を100重量%としたときリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるようにE成分の重量部を定める樹脂組成物であることが好ましい。
前記樹脂層は、以下のA成分〜F成分の各成分を含む樹脂組成物を用いて形成してもよい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上。
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリマー。
C成分: 架橋剤(但し、A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には省略可。)。D成分: 4,4’−ジアミノジフェニルスルホン又は2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン。
E成分: 難燃性エポキシ樹脂。
F成分: 多官能エポキシ樹脂。
G成分: 硬化促進剤。
前記B成分である架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、ポリビニルアセタール樹脂又はポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
前記C成分である架橋剤は、ウレタン系樹脂であることが好ましい。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備えるテトラブロモビスフェノールAからの誘導体として得られる化14に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂、以下に示す化15に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、以下に示す化16〜化18のいずれかに示す構造式を備えるリン含有エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いることが好ましい。
前記F成分の多官能エポキシ樹脂としてオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が3重量部〜10重量部(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には0重量部〜10重量部)、D成分が5重量部〜20重量部、F成分が3重量部〜20重量部であり、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%〜18重量%の範囲含有するようにE成分の重量部を定めることが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が3重量部〜10重量部(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には0重量部〜10重量部)、D成分が5重量部〜20重量部、F成分が3重量部〜20重量部であり、 樹脂組成物重量を100重量%としたとき、E成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲含有するようにE成分の重量部を定めるものであることが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物はG成分として硬化促進剤を含むことが好ましい。
前記樹脂層は以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスをキャリア付銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで5μm〜100μmの平均厚さの半硬化樹脂膜を形成してされることが好ましい。
工程a: 前記A成分、B成分、C成分(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には省略可)、D成分、E成分、F成分、G成分の内、A成分〜F成分を必須成分とした樹脂組成物の重量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%〜18重量%の範囲又はリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲で含有するように各成分を混合して樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が25重量%〜50重量%の樹脂ワニスとする。
前記樹脂層は以下のA成分〜E成分の各成分を含む樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
A成分: エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂。
B成分: 高耐熱性エポキシ樹脂。
C成分: リンを含有した難燃性エポキシ樹脂。
D成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂。
E成分: ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上からなる樹脂硬化剤。
前記樹脂層は前記A成分〜E成分の各成分に加えて、更にF成分としてエポキシ樹脂との反応性を有さないリン含有難燃剤を含む樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
A成分は、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂である。ここで、ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用しているのは、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)との相性が良く、半硬化状態での樹脂膜に適度なフレキシビリティの付与が容易だからである。そして、エポキシ当量が200を超えると、樹脂が室温で半固形となり、半硬化状態でのフレキシビリティーが減少するので好ましくない。更に、上述のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。しかも、2種以上を混合して用いる場合には、その混合比に関しても特段の限定はない。
このエポキシ樹脂は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜20重量部の配合割合で用いることが好ましい。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合には、熱硬化性を十分に発揮せず内層フレキシブルプリント配線板とのバインダーとしての機能も、樹脂付銅箔としての銅箔との密着性も十分に果たし難くなる。一方、20重量部を超えると、他の樹脂成分とのバランスから樹脂ワニスとしたときの粘度が高くなり、樹脂付銅箔を製造するとき、銅箔表面へ均一な厚さでの樹脂膜の形成が困難となる。しかも、後述するD成分(ゴム変成ポリアミドイミド樹脂)との添加量を考慮すると、硬化後の樹脂層として十分な靭性が得られなくなる。
B成分は、所謂ガラス転移点の高い「高耐熱性エポキシ樹脂」である。ここで言う「高耐熱性エポキシ樹脂」は、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。そして、このB成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。B成分が3重量部未満の場合には、樹脂組成物の高Tg化が全く図れない。一方、B成分が30重量部を超える場合には、硬化後の樹脂が脆くなり、フレキシビリティが完全に損なわれるためフレキシブルプリント配線板用途として好ましくない。より好ましくは、B成分は、10重量部〜20重量部の範囲で用いることで、樹脂組成物の高Tg化と硬化後の樹脂の良好なフレキシビリティとを安定して両立できる。
C成分としては、所謂ハロゲンフリー系の難燃性エポキシ樹脂であり、リン含有難燃性エポキシ樹脂を用いる。リン含有難燃性エポキシ樹脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだエポキシ樹脂の総称である。そして、本件出願に係る樹脂組成物のリン原子含有量を、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲とできるリン含有難燃性エポキシ樹脂であれば、いずれの使用も可能である。しかしながら、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いることが、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。参考のために、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式を化19に示す。
そして、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体であるリン含有難燃性エポキシ樹脂を具体的に例示すると、化20に示す構造式を備える化合物の使用が好ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。
また、C成分のリン含有難燃性エポキシ樹脂として、以下に示す化21に示す構造式を備える化合物も好ましい。化20に示すリン含有難燃性エポキシ樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
更に、C成分のリン含有難燃性エポキシ樹脂として、以下に示す化22に示す構造式を備える化合物も好ましい。化20及び化21に示すリン含有難燃性エポキシ樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能であるため好ましい。
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドからの誘導体として得られるエポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化23(HCA−NQ)又は化24(HCA−HQ)に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有難燃性エポキシ樹脂としたものが挙げられる。
ここでリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、C成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のリン含有難燃性エポキシ樹脂を混合して用いても構わない。但し、C成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の総量を考慮して、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲となるように添加することが好ましい。リン含有難燃性エポキシ樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内に含有するリン原子量が異なる。そこで、上述のようにリン原子の含有量を規定して、C成分の添加量に代える事が可能である。但し、C成分は、通常、樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜50重量部の範囲で用いられる。C成分が5重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、C成分由来のリン原子を0.5重量%以上とすることが困難になり、難燃性を得ることが出来ない。一方、C成分が50重量部を超えるようにしても、難燃性向上効果も飽和すると同時に、硬化後の樹脂層が脆くなるため好ましくない。
上述の硬化樹脂の「高Tg化」と「フレキシビリティ」とは、一般的に反比例する特性である。このときリン含有難燃性エポキシ樹脂は、硬化後の樹脂のフレキシビリティの向上に寄与するもの、高Tg化に寄与するものが存在する。従って、1種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いるよりは、「高Tg化に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」と「フレキシビリティの向上に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」とをバランス良く配合して用いることで、フレキシブルプリント配線板用途で好適な樹脂組成とすることが可能である。
D成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶で、液状ゴム成分で変成されたゴム変成ポリアミドイミド樹脂である。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものである。ここで言う、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて用いるのは、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。即ち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ゴム成分としては、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム等がある。更に、耐熱性を確保する観点からは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、ポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するようになるため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、カルボキシル基を有するCTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリル)を用いることが有用である。なお、上記ゴム成分は、1種のみを共重合させても、2種以上を共重合させても構わない。更に、ゴム成分を用いる場合には、そのゴム成分の数平均分子量が1000以上のものを用いることが、当該フレキシビリティの安定化の観点から好ましい。
ゴム変成ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。そして、重合反応を起こさせるには、80℃〜200℃の範囲の重合温度を採用することが好ましい。これらの重合に沸点が200℃を超える溶剤を用いた場合には、その後、用途に応じて沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に溶媒置換することが好ましい。
ここで、前記沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤としては、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しくなり、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる。一方、沸点が200℃を超える場合には、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、バブリングが起こりやすくなるため、良好な半硬化樹脂膜が得られ難くなる。
本件発明に係る樹脂組成物で用いるゴム変成ポリアミドイミド樹脂の中で、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂の重量を100重量%としたとき、ゴム成分の共重合量は0.8重量%以上であることが好ましい。当該共重合量が0.8重量%未満の場合には、ゴム変成ポリアミドイミド樹脂としても、本件発明に言う樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を硬化させたときのフレキシビリティが欠如し、銅箔との密着性も低下するため好ましくない。なお、より好ましくは、当該ゴム成分の共重合量は3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上がより好ましい。経験的に40重量%を超えてゴム成分の添加量を向上させても、特段の問題はない。しかし、当該硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上効果は飽和するために資源の無駄となり好ましくない。
以上に述べてきたゴム変成ポリアミドイミド樹脂には、溶剤に可溶であるという性質が求められる。溶剤に可溶でなければ、樹脂ワニスとしての調製が困難だからである。このゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、10重量部〜40重量部の配合割合で用いる。ゴム変成ポリアミドイミド樹脂が10重量部未満の場合には、硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上させ難く、また脆くなり、樹脂層へのマイクロクラックを生じやすくなる。一方、40重量部を超えてゴム変成ポリアミドイミド樹脂を添加しても特に支障はないが、それ以上に硬化後の樹脂層のフレキシビリティは向上せず、硬化後の樹脂の高Tg化が図れない。従って、経済性を考慮すれば、40重量部が上限値であると言える。
E成分の樹脂硬化剤に関して述べる。ここで言う樹脂硬化剤は、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上を用いる。一般的に、この樹脂硬化剤の添加量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から自ずと導き出されるものであり、特段の量的な限定を要するものではない。しかしながら、本件発明に係る樹脂組成物の場合のE成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、20重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。このE成分が20重量部未満の場合には、上記樹脂組成を考慮すると、十分な硬化状態を得ることが出来なくなり、硬化後の樹脂としてフレキシビリティを得ることが出来なくなる。一方、E成分が35重量部を超える場合には、硬化した後の樹脂層の耐吸湿特性が劣化する傾向にあり、好ましくない。
F成分のリン含有難燃剤に関して述べる。このリン含有難燃剤は、任意の添加成分であり、樹脂の硬化反応に寄与する必要はなく、単に難燃性を大幅に向上させるために用いる。このようなリン含有難燃剤としては、ホスファゼン化合物のハロゲンフリー難燃剤を用いることが好ましい。従って、このF成分は、0重量部〜7重量部の範囲で用いられる。ここで、「0重量部」と記載しているのは、F成分を用いる必要のない場合があり、任意の添加成分であることを明確にするためである。一方、F成分が7重量部を超えるようにしても、難燃性の顕著な向上は望めなくなる。
前記樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が5重量部〜50重量部、D成分が10重量部〜40重量部、E成分が20重量部〜35重量部、F成分が0重量部〜7重量部であり、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、樹脂組成物にはC成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲で含有されることが好ましい。
前記D成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にあるメチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドの群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤に可溶な性質を備える液状ゴム成分で変成したゴム変成ポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。
前記D成分であるゴム変成ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミドとゴム性樹脂とを反応させることで得られるものであることが好ましい。
前記樹脂層は前述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の範囲に調製し、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して測定したときのレジンフローが1%〜30%の範囲にある半硬化樹脂層の形成が可能な樹脂組成物(樹脂ワニス)を用いて形成されることが好ましい。
前記樹脂層は以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスを銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで10μm〜50μmの厚さの半硬化樹脂層として形成されることが好ましい。
工程a: A成分が3重量部〜20重量部、B成分が3重量部〜30重量部、C成分が5重量部〜50重量部、D成分が10重量部〜40重量部、E成分が20重量部〜35重量部、F成分が0重量部〜7重量部の範囲において、各成分を混合して、C成分由来のリン原子を0.5重量%〜3.0重量%の範囲含有する樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の樹脂ワニスとする。
前記樹脂層は内層フレキシブルプリント配線板を多層化するための接着層を形成するために用いる樹脂組成物であって、以下のA成分〜E成分の各成分を含む樹脂組成物で形成されることが好ましい。
A成分: 軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂(但し、ビフェニ
ル型エポキシ樹脂を除く。)。
B成分: ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1
種又は2種以上からなるエポキシ樹脂硬化剤。
C成分: 沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶なゴム変性ポリアミドイミ
ド樹脂。
D成分: 有機リン含有難燃剤。
E成分: ビフェニル型エポキシ樹脂。
前記樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物は前記A成分〜E成分の各成分に加えて、更に、F成分として、リン含有難燃性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
前記樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物はG成分として、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂を更に含むことが好ましい。
前記樹脂層を形成するために用いられる樹脂組成物はH成分として、熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴムからなる低弾性物質を更に含むことが好ましい。
前記A成分の軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上であることが好ましい。
前記A成分として、室温で液状のノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上からなる高耐熱性エポキシ樹脂を更に含む樹脂組成物を用いて前記樹脂層を形成することが好ましい。
前記樹脂層を形成するための樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜30重量部、B成分が13重量部〜35重量部、C成分が10重量部〜50重量部、D成分が3重量部〜16重量部、E成分が5重量部〜35重量部であることが好ましい。
前記樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の範囲に調製した樹脂ワニスであって、半硬化樹脂層とした際に、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して、樹脂厚さ55μmで測定したときのレジンフローが0%〜10%の範囲であることを特徴とする樹脂ワニスを用いて前記樹脂層を形成することが好ましい。
前記樹脂層は以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスをキャリア付銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで10μm〜80μmの厚さの半硬化樹脂層として形成されることが好ましい。
工程a: 樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部〜30重量部、B成分が13重量部〜35重量部、C成分が10重量部〜50重量部、D成分が3重量部〜16重量部、E成分が5重量部〜35重量部の範囲で各成分を含有する樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の樹脂ワニスとする。
A成分は、軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂である。A成分は
、所謂ガラス転移温度Tgが高いエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂のうち、軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂を採用した理由は、ガラス転移温度Tgが高く、少量添加することで、高耐熱効果が得られるからである。
ここで言う「軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂」は、クレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上であることが好ましい。
なお、A成分には、上述の軟化点が50℃以上である固形状の高耐熱性エポキシ樹脂の他に、更に、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上からなる高耐熱性エポキシ樹脂を含むものとしても良い。このように、A成分として、更に、室温で液状のノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂のいずれか1種又は2種以上からなる高耐熱性エポキシ樹脂を含むものとすれば、ガラス転移温度Tgの更なる向上及びBステージ割れを改善する効果を高めることができる。
そして、A成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜30重量部の範囲で用いることが好ましい。A成分が3重量部未満の場合には、樹脂組成物の高Tg化が図りにくい。一方、A成分が30重量部を超える場合には、硬化後の樹脂層が脆くなり、フレキシビリティが完全に損なわれるためフレキシブルプリント配線板用途として好ましくない。より好ましくは、A成分は、10重量部〜25重量部の範囲で用いることで、樹脂組成物の高Tg化と硬化後の樹脂層の良好なフレキシビリティとを安定して両立できる。
B成分は、ビフェニル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂硬化剤である。エポキシ樹脂硬化剤の添加量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から自ずと導き出されるものであり、特段の量的な限定を要するものではない。しかしながら、本件発明に係る樹脂組成物の場合、B成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、13重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。このB成分が13重量部未満の場合には、本件発明の樹脂組成を考慮すると、十分な硬化状態を得ることが出来なくなり、硬化後の樹脂層のフレキシビリティを得ることが出来なくなる。一方、B成分が35重量部を超える場合には、硬化後の樹脂層の耐吸湿特性が劣化する傾向にあり、好ましくない。
ビフェニル型フェノール樹脂の具体例を化25に示す。
また、フェノールアラルキル型フェノール樹脂の具体例を化26に示す。
C成分は、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に可溶なゴム変性ポリアミドイミド樹脂である。当該C成分を配合することにより、フレキシブル性能を向上させるとともに、樹脂流れを抑制する効果が得られる。このゴム変性ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させて得られるものであり、ポリアミドイミド樹脂そのものの柔軟性を向上させる目的で行う。即ち、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂とを反応させ、ポリアミドイミド樹脂の酸成分(シクロヘキサンジカルボン酸等)の一部をゴム成分に置換するのである。ゴム成分としては、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等がある。更に、耐熱性を確保する観点からは、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性を備えた合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、ポリアミドイミド樹脂と反応して共重合体を製造するため、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。特に、カルボキシル基を有するCTBN(カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム)を用いることが有用である。なお、上記ゴム成分は、1種のみを共重合させても、2種以上を共重合させても構わない。更に、ゴム成分を用いる場合には、そのゴム成分の数平均分子量が1000以上のものを用いることが、フレキシビリティの安定化の観点から好ましい。
ゴム変性ポリアミドイミド樹脂を重合させる際に、ポリアミドイミド樹脂とゴム性樹脂との溶解に使用する溶剤には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等を、1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。そして、重合反応を起こさせるには、80℃〜200℃の範囲の重合温度を採用することが好ましい。これらの重合に沸点が200℃を超える溶剤を用いた場合には、その後、用途に応じて沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤に溶媒置換することが好ましい。
ここで、沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤としては、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。沸点が50℃未満の場合には、加熱による溶剤の気散が著しくなり、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、良好な半硬化状態が得られにくくなる。一方、沸点が200℃を超える場合には、樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合に、溶剤が乾きにくいため、良好な半硬化樹脂層が得られ難くなる。
本件発明に係る樹脂組成物で用いるゴム変性ポリアミドイミド樹脂の中で、ゴム変性ポリアミドイミド樹脂の重量を100重量%としたとき、ゴム成分の共重合量は0.8重量%以上であることが好ましい。当該共重合量が0.8重量%未満の場合には、ゴム変性ポリアミドイミド樹脂としても、本件発明に言う樹脂組成物を用いて形成した樹脂層を硬化させたときのフレキシビリティが欠如し、銅箔との密着性も低下するため好ましくない。なお、より好ましくは、当該ゴム成分の共重合量は3重量%以上、更に好ましくは5重量%以上がより好ましい。経験的に共重合量が40重量%を超えても特段の問題はない。しかし、当該硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上効果は飽和するために資源の無駄となり好ましくない。
以上に述べてきたゴム変性ポリアミドイミド樹脂には、溶剤に可溶であるという性質が求められる。溶剤に可溶でなければ、樹脂ワニスとしての調製が困難だからである。そして、このゴム変性ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物の重量を100重量部としたとき、10重量部〜50重量部の配合割合で用いる。ゴム変性ポリアミドイミド樹脂が10重量部未満の場合には、樹脂流れの抑制効果が発揮されにくい。また、硬化後の樹脂層が脆くなり、フレキシビリティが向上させ難くなる。その結果、樹脂層のマイクロクラックが生じやすくなるといった影響が生じる。一方、50重量部を超えてゴム変性ポリアミドイミド樹脂を添加した場合、内層回路への埋め込み性が低下し、結果としてボイドが生じやすくなるため、好ましくない。
D成分は、有機リン含有難燃剤であり、難燃性を向上させるために用いる。有機リン含有難燃剤としては、リン酸エステル及び/又はホスファゼン化合物からなるリン含有難燃剤が挙げられる。このD成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、3重量部〜16重量部の範囲で用いることが好ましい。D成分の含有量を3重量部未満とすると、難燃性の効果が得られない。一方、D成分の含有量が16重量部を超えるようにしても、難燃性の向上が望めない。なお、D成分のより好ましい含有量は、5重量部〜14重量部である。
なお、本件発明に係る樹脂組成物は、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、リンの総含有量が0.5重量%〜5重量%の範囲となるように添加すると、難燃性が確保されるため好ましい。
E成分は、ビフェニル型エポキシ樹脂である。ビフェニル型エポキシ樹脂は、所謂ガラス転移温度Tgの向上と屈曲性の向上に寄与する。ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。このE成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜35重量部の範囲で用いることが好ましい。E成分の含有量を5重量部未満とすると、ガラス転移温度Tg及び屈曲性を高くする効果が得られない。一方、E成分の含有量が35重量部を超えるようにしても、高Tg化が望めない上に、屈曲性の向上が望めない。なお、E成分のより好ましい含有量は、7重量部〜25重量部である。
上記A成分〜E成分の他に、更に、F成分として、リン含有難燃性エポキシ樹脂を含む樹脂組成物とすると、難燃性を更に向上させることができる。リン含有難燃性エポキシ樹脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだエポキシ樹脂の総称であり、所謂ハロゲンフリー系の難燃性エポキシ樹脂である。そして、本件出願に係る樹脂組成物のリン原子含有量を、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、F成分由来のリン原子を0.1重量%〜5重量%の範囲とできるリン含有難燃性エポキシ樹脂であれば、いずれの使用も可能である。しかしながら、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体である、分子内に2以上のエポキシ基を備えるリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いることが、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい。参考のために、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの構造式を化27に示す。
この9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体である、分子内に2以上のエポキシ基を備えるリン含有難燃性エポキシ樹脂は、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドにナフトキノンやハイドロキノンを反応させて、以下の化28又は化29に示す化合物とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂を反応させてリン含有難燃性エポキシ樹脂としたものが好ましい。
そして、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド誘導体である、分子内に2以上のエポキシ基を備えるリン含有難燃性エポキシ樹脂を具体的に例示すると、化30,化31または化32に示す構造式を備える化合物の使用が好ましい。
ここでリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いる場合の樹脂組成物は、F成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の1種類を単独で用いても、2種類以上のリン含有難燃性エポキシ樹脂を混合して用いても構わない。但し、F成分としてのリン含有難燃性エポキシ樹脂の総量を考慮して、樹脂組成物重量を100重量%としたとき、F成分由来のリン原子を0.1重量%〜5重量%の範囲となるように添加することが好ましい。リン含有難燃性エポキシ樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内に含有するリン原子量が異なる。そこで、上述のようにリン原子の含有量を規定して、F成分の添加量に代えることが可能である。但し、F成分は、通常、樹脂組成物を100重量部としたとき、5重量部〜50重量部の範囲で用いられる。F成分が5重量部未満の場合には、他の樹脂成分の配合割合を考慮すると、F成分由来のリン原子を0.1重量%以上とすることが困難になり、難燃性の向上効果を得ることが出来ない。一方、F成分が50重量部を超えるようにしても、難燃性向上効果も飽和すると同時に、硬化後の樹脂層が脆くなるため好ましくない。
上述の硬化樹脂層の「高Tg化」と「フレキシビリティ」とは、一般的に反比例する特性である。このときリン含有難燃性エポキシ樹脂は、硬化後の樹脂層のフレキシビリティの向上に寄与するもの、高Tg化に寄与するものが存在する。従って、1種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂を用いるよりは、「高Tg化に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」と「フレキシビリティの向上に寄与するリン含有難燃性エポキシ樹脂」とをバランス良く配合して用いることで、フレキシブルプリント配線板用途で好適な樹脂組成物とすることが可能である。
本件発明に係る樹脂組成物は、更に、G成分として、エポキシ当量が200以下で、室温で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上からなるエポキシ樹脂を含むものとしても良い。ここで、ビスフェノール系エポキシ樹脂を選択使用しているのは、C成分(ゴム変性ポリアミドイミド樹脂)との相性が良く、半硬化樹脂層に適度なフレキシビリティの付与が容易だからである。そして、エポキシ当量が200を超えると、樹脂が室温で半固形となり、半硬化状態でのフレキシビリティが減少するので好ましくない。更に、上述のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。しかも、2種以上を混合して用いる場合には、その混合比に関しても特段の限定はない。
このG成分のエポキシ樹脂は、樹脂組成物を100重量部としたとき、2重量部〜15重量部の配合割合で用いることが、熱硬化性を十分に発揮し、半硬化状態において、カールと呼ばれる反り現象の発生を低減させることが可能となり、また、半硬化状態での樹脂層のフレキシビリティの更なる向上を図ることができるため好ましい。当該エポキシ樹脂が15重量部を超えると、他の樹脂成分とのバランスから難燃性が低下したり、硬化後の樹脂層が硬くなる傾向がある。しかも、C成分(ゴム変性ポリアミドイミド樹脂)の添加量を考慮すると、硬化後の樹脂層として十分な靭性が得られなくなる。
本件発明に係る樹脂組成物は、更に、H成分として、熱可塑性樹脂及び/又は合成ゴムからなる低弾性物質を含むものとしても良い。H成分を含む樹脂組成物とすることにより、樹脂組成物の半硬化状態における割れを防ぎ、且つ硬化後のフレキシビリティを向上させることができる。このH成分としての低弾性物質は、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム(アクリル酸エステル共重合体)、ポリブタジエンゴム、イソプレン、水素添加型ポリブタジエン、ポリビニルブチラール、ポリエーテルサルフォン、フェノキシ、高分子エポキシ、芳香族ポリアミドが挙げられる。これらの中から1種を単独で用いても、2種以上を混合で用いても構わない。特に、アクリロニトリルブタジエンゴムを用いることが好ましい。アクリロニトリルブタジエンゴムの中でも、カルボキシル変性体であると、エポキシ樹脂と架橋構造を取り、硬化後の樹脂層のフレキシビリティを向上させることができる。カルボキシル変性体としては、カルボキシ基末端ニトリルブタジエンゴム(CTBN)、カルボキシ基末端ブタジエンゴム(CTB)、カルボキシ変性ニトリルブタジエンゴム(C‐NBR)を用いることが好ましい。
H成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、25重量部以下の配合割合で用いることが好ましい。25重量部を超える量のH成分を加えると、ガラス転移温度Tgの低下、半田耐熱性能の低下、ピール強度の低下、熱膨張係数の増大といった問題が発生するため好ましくない。
本件発明に係る樹脂組成物は、上述のA成分〜E成分を組み合わせることにより、難燃性の向上及びガラス転移温度Tgが高くなり、また、耐折性の熱劣化を防ぐことができる。そして、従来の接着剤用樹脂組成物のような無機充填剤を加えることなく、十分な屈曲性を得ることができる。さらに、半硬化状態での割れや打ち抜き加工時の粉落ちを防ぐことができる。
本件発明に係る樹脂ワニス: 本件発明に係る樹脂ワニスは、上述の樹脂組成物に溶剤を加えて、樹脂固形分量が30重量%〜70重量%の範囲に調製したものである。そして、この樹脂ワニスにより形成する半硬化樹脂層は、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して樹脂厚さを55μmとして測定したときのレジンフローが0%〜10%の範囲にあることを特徴とする。ここで言う溶剤には、上述の沸点が50℃〜200℃の範囲にある溶剤であるメチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤を用いることが好ましい。上述のように良好な半硬化樹脂層を得るためである。そして、ここに示した樹脂固形分量の範囲が、銅箔の表面に塗布したときに、最も膜厚を精度の良いものに制御できる範囲である。樹脂固形分が30重量%未満の場合には、粘度が低すぎて、銅箔表面への塗布直後に流れて膜厚均一性を確保しにくい。これに対して、樹脂固形分が70重量%を超えると、粘度が高くなり、銅箔表面への薄膜形成が困難となる。
当該樹脂ワニスは、これを用いて半硬化樹脂層を形成したとき、測定したレジンフローが0%〜10%の範囲にあることが好ましい。当該レジンフローが高いと、樹脂付銅箔の樹脂層を用いて形成する絶縁層の厚さが不均一になる。しかし、本件発明に係る樹脂ワニスは、レジンフローを10%以下という低い値に抑えることができる。なお、本件発明に係る樹脂ワニスは、樹脂流れが殆ど生じないレベルが実現可能であるので、当該レジンフローの下限値を0%とした。なお、本件発明に係る樹脂ワニスのレジンフローのより好ましい範囲は0%〜5%である。
本件明細書において、レジンフローとは、MIL規格におけるMIL−P−13949Gに準拠して、樹脂厚さを55μmとした樹脂付銅箔から10cm角試料を4枚サンプリングし、この4枚の試料を重ねた状態(積層体)でプレス温度171℃、プレス圧14kgf/cm2、プレス時間10分の条件で張り合わせ、そのときの樹脂流出重量を測定した結果から数1に基づいて算出した値である。
また、前記樹脂層は溶剤に可溶で且つ官能基として分子内に水酸基、カルボキシル基、アミノ基の1種又は2種以上を有するポリマー成分を2重量部〜50重量部、沸点200℃以上のエポキシ樹脂及び沸点200℃以上のアミン系エポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂配合物を50重量部以上、を含有してもよい。前記樹脂層はフッ素樹脂基材またはフッ素樹脂フィルム接着用樹脂であってもよい。また、前記ポリマー成分は、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂の群から選ばれた1種又は2種以上を混合したものであってもよい。前記沸点200℃以上のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ゴム変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上を混合したものであってもよい。
前記アミン系エポキシ樹脂硬化剤は、芳香族ポリアミン、ポリアミド類及びこれらをエポキシ樹脂や多価カルボン酸と重合或いは縮合させて得られるアミンアダクト体の群から選ばれた1種又は2種以上を用いてもよい。
なお、前記フッ素樹脂基材またはフッ素樹脂フィルムとは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ポリアリルスルフォン、芳香族ポリスルフィドおよび芳香族ポリエーテルの中から選ばれるいずれか少なくとも1種の熱可塑性樹脂とフッ素樹脂とからなるフッ素系樹脂等を用いた基材またはフィルムであってもよい。ガラスクロス等の骨格材を含んでも含まなくとも構わない。また、このフッ素樹脂基材の厚さに関しても、特段の限定はない。
また、前記硬化剤としては、単に硬化させることのみを目的とすれば、ジシアンジアミド、イミダゾール類、芳香族アミン等のアミン類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA等のフェノール類、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のノボラック類、無水フタル酸等の酸無水物等のあらゆる硬化剤を用いることができる。これらの硬化剤はエポキシ樹脂に特に有効である。しかしながら、沸点200℃以上のアミン系エポキシ樹脂硬化剤を用いることが、フッ素樹脂基材と金属箔との密着性を顕著に向上させるという観点から最も好ましい。プレス成形温度が180℃付近であり、このプレス成形温度付近に硬化剤の沸点があると、プレス成形によりエポキシ樹脂硬化剤が沸騰するため硬化した絶縁樹脂層内に気泡が発生しやすくなる。そして、フッ素樹脂基材と金属箔との間に接着層を構成するのにアミン系エポキシ樹脂硬化剤を用いると最も安定した密着性が得られる。即ち、「沸点200℃以上のアミン系エポキシ樹脂硬化剤」とは、芳香族ポリアミン、ポリアミド類及びこれらをエポキシ樹脂や多価カルボン酸と重合或いは縮合させて得られるアミンアダクト体の群から選ばれた一種又は二種以上を用いる場合を言う。そして、これをより具体的に言えば、4,4’−ジアミノジフェニレンサルフォン、3,3’−ジアミノジフェニレンサルフォン、4,4−ジアミノジフェニレル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]サルフォンのいずれかを用いることが好ましい。また、当該アミン系エポキシ樹脂硬化剤のエポキシ樹脂に対する添加量は、それぞれの当量から自ずと導き出されるものであるため、本来厳密にその配合割合を明記する必要性はないものと考える。従って、本件発明では、硬化剤の添加量を特に限定していない。
また、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤を用いることも好ましい。ここで言う硬化促進剤とは、3級アミン、イミダゾール、尿素系硬化促進剤等である。本件発明では、この硬化促進剤の配合割合は、特に限定を設けていない。なぜなら、硬化促進剤は、プレス加工時の加熱条件等を考慮して、製造者が任意に選択的に添加量を定めて良いものであるからである。
そして、前記樹脂層はゴム性樹脂を含むことも好ましい。ここで言うゴム性樹脂とは、天然ゴム及び合成ゴムを含む概念として記載しており、後者の合成ゴムにはスチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンープロピレンゴム等がある。更に、耐熱性を要求される場合には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐熱性合成ゴムを選択使用することも有用である。これらのゴム性樹脂に関しては、上記ポリマー成分と反応して共重合体を形成するように、両末端に種々の官能基を備えるものであることが望ましい。
更に、上記高分子ポリマーの架橋剤を必要に応じて添加して用いることも好ましい。例えば、上記高分子ポリマーとして、ポリビニルアセタール樹脂を用いる場合には、ウレタン樹脂を架橋材として用いる等である。
前記樹脂層の樹脂組成物の構成成分は、樹脂組成物を100重量部としたとき、エポキシ樹脂が50重量部〜80重量部、硬化剤が1重量部〜15重量部、硬化促進剤が0.01重量部〜1.0重量部、ポリマー成分が2重量部〜50重量部、架橋剤が1重量部〜5重量部、ゴム性樹脂が1重量部〜10重量部の範囲の組成を採用してもよい。この組成範囲に含まれる限り、フッ素樹脂基材と金属箔との良好な密着性を維持し、且つ、製品の密着性のバラツキが少なくなる。
前記樹脂層は5〜50重量部のエポキシ樹脂(硬化剤を含む)、50〜95重量部のポリエーテルサルホン樹脂(末端に水酸基又はアミノ基を持ち且つ溶剤に可溶なもの)、及び、必要に応じて適宜量添加する硬化促進剤からなる樹脂混合物を用いて形成したものまたは当該樹脂混合物を半硬化させたものであってもよい。
前記樹脂層は銅箔側から順に第1熱硬化性樹脂層と、当該第1熱硬化性樹脂層の表面に位置する第2熱硬化性樹脂層とを有する樹脂層であって、第1熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解しない樹脂成分で形成されたものであり、第2熱硬化性樹脂層は、配線板製造プロセスにおけるデスミア処理時の薬品に溶解し洗浄除去可能な樹脂を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層は、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンオキサイドのいずれか一種又は2種以上を混合した樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第2熱硬化性樹脂層は、エポキシ樹脂成分を用いて形成したものであってもよい。前記第1熱硬化性樹脂層の厚さt1(μm)は、キャリア付銅箔の粗化面粗さをRz(μm)とし、第2熱硬化性樹脂層の厚さをt2(μm)としたとき、t1は、Rz<t1<t2の条件を満たす厚さであることが好ましい。
前記樹脂層は骨格材に樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。前記骨格材に含浸させた樹脂は熱硬化性樹脂であることが好ましい。前記プリプレグは公知のプリプレグまたはプリント配線板製造に用いるプリプレグであってもよい。前記プリプレグは次の工程を有する製造方法により製造されたプリプレグであってもよい。1.液体状の熱硬化性樹脂を用いて、平坦なワーク平面の上に所定厚さの被膜として液体樹脂層を形成する液体樹脂被膜形成工程。2.ワーク平面上にある液体樹脂層を、そのままの状態で乾燥させることで乾燥樹脂層とする予備乾燥工程。3.ワーク平面上にある前記乾燥樹脂層の表面に、骨格材を重ね合わせ、予備加熱して圧着することで骨格材付乾燥樹脂層とする骨格材予備接着工程。4.ワーク平面上に骨格材付乾燥樹脂層を載置したまま、樹脂が再流動可能な温度で加熱し、当該骨格材に熱硬化性樹脂成分を含浸させる樹脂含浸工程。5.樹脂含浸が終了すると、熱硬化性樹脂を完全硬化させることなく、直ちに降温操作を行い、骨格材に含浸させた熱硬化性樹脂の半硬化状態を維持してプリプレグ状態となるようにする冷却工程。
前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維を含んでもよい。前記骨格材はアラミド繊維又はガラス繊維又は全芳香族ポリエステル繊維の不織布若しくは織布であることが好ましい。また、前記全芳香族ポリエステル繊維は融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維であることが好ましい。前記融点が300℃以上の全芳香族ポリエステル繊維とは、所謂液晶ポリマーと称される樹脂を用いて製造される繊維であり、当該液晶ポリマーは2−ヒドロキシル−6−ナフトエ酸及びp−ヒドロキシ安息香酸の重合体を主成分とするものである。この全芳香族ポリエステル繊維は、低誘電率、低い誘電正接を持つため、電気的絶縁層の構成材として優れた性能を有し、ガラス繊維及びアラミド繊維と同様に使用することが可能なものである。
なお、前記不織布及び織布を構成する繊維は、その表面の樹脂との濡れ性を向上させるため、シランカップリング剤処理を施す事が好ましい。このときのシランカップリング剤は、使用目的に応じてアミノ系、エポキシ系等のシランカップリング剤を用いればよいのである。
また、前記プリプレグは公称厚さが70μm以下のアラミド繊維又はガラス繊維を用いた不織布、あるいは、公称厚さが30μm以下のガラスクロスからなる骨格材に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグであってもよい。
これらの樹脂を例えばメチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。前記樹脂層の組成物を、溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分3wt%〜60wt%、好ましくは、10wt%〜40wt%、より好ましくは25wt%〜40wt%の樹脂液としてもよい。なお、メチルエチルケトンとシクロペンタノンとの混合溶剤を用いて溶解することが、環境的な見地より現段階では最も好ましい。
前記樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリアを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、特に樹脂付きキャリア付銅箔については1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。当該樹脂層の厚みは0.1〜120μmであることが好ましい。
樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。また、前記硬化樹脂層、半硬化樹脂層との総樹脂層厚みは0.1μm〜120μmであるものが好ましく、35μm〜120μmのものが実用上好ましい。そして、その場合の各厚みは、硬化樹脂層は5〜20μmで、半硬化樹脂層は15〜115μmであることが望ましい。総樹脂層厚みが120μmを超えると、薄厚の多層プリント配線板を製造することが難しくなる場合があり、35μm未満では薄厚の多層プリント配線板を形成し易くなるものの、内層の回路間における絶縁層である樹脂層が薄くなりすぎ、内層の回路間の絶縁性を不安定にする傾向が生じる場合があるためである。また、硬化樹脂層厚みが5μm未満であると、銅箔粗化面の表面粗度を考慮する必要が生じる場合がある。逆に硬化樹脂層厚みが20μmを超えると硬化済み樹脂層による効果は特に向上することがなくなる場合があり、総絶縁層厚は厚くなる。また、前記硬化樹脂層は、厚さが3μm〜30μmであってもよい。また、前記半硬化樹脂層は、厚さが7μm〜55μmであってもよい。また、前記硬化樹脂層と前記半硬化樹脂層との合計厚さは10μm〜60μmであってもよい。
また、樹脂付きキャリア付銅箔が極薄の多層プリント配線板を製造することに用いられる場合には、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μm、より好ましくは0.5μm〜5μm、より好ましくは1μm〜5μmとすることが、多層プリント配線板の厚みを小さくするために好ましい。なお、前記樹脂層の厚みを0.1μm〜5μmとする場合には、樹脂層と銅箔との密着性を向上させるため、粗化処理層の上に耐熱層および/または防錆層および/またはクロメート処理層および/またはシランカップリング処理層を設けた後に、当該耐熱層または防錆層またはクロメート処理層またはシランカップリング処理層の上に樹脂層を形成することが好ましい。
また、樹脂層が誘電体を含む場合には、樹脂層の厚みは0.1〜50μmであることが好ましく、0.5μm〜25μmであることが好ましく、1.0μm〜15μmであることがより好ましい。なお、前述の樹脂層の厚みは、任意の10点において断面観察により測定した厚みの平均値をいう。
一方、樹脂層の厚みを120μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になる場合がある。
更に、樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
以下に、本発明に係るキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
ここで、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは極薄銅層表面に粗化処理層が形成されたキャリア付銅箔を例にして説明しているが、粗化処理層は形成されていなくてもよい。
まず、図1−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。なお、当該工程で表面に粗化処理層が形成されたキャリアを有するキャリア付銅箔(1層目)を準備してもよい。
次に、図1−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。なお、当該工程でキャリアの粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングしてもよい。
次に、図1−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図2−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。なお、当該工程で回路メッキを覆うように(回路メッキが埋没するように)キャリア上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)をキャリア側から接着させてもよい。
次に、図2−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図2−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図3−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図3−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図1−B及び図1−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図3−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図4−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図4−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明のキャリア付銅箔を用いてもよく、従来のキャリア付銅箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図3−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
また、前記1層目に用いられるキャリア付銅箔は、当該キャリア付銅箔のキャリア側表面に基板を有してもよい。当該基板を有することで1層目に用いられるキャリア付銅箔は支持され、しわが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板には、前記1層目に用いられるキャリア付銅箔を支持する効果を有するものであれば、全ての基板を用いることが出来る。例えば前記基板として本願明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。
キャリア側表面に基板を形成するタイミングについては特に制限はないが、キャリアを剥離する前に形成することが必要である。特に、前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程の前に形成することが好ましく、キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程の前に形成することがより好ましい。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記埋め込み樹脂は熱可塑性樹脂を含んでもよい。前記埋め込み樹脂の種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ブロック共重合ポリイミド樹脂、ブロック共重合ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、カルボキシル基変性アクリロニトリル-ブタジエン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンオキサイド樹脂、シアネートエステル系樹脂、多価カルボン酸の無水物などを含む樹脂や、紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム、フッ素樹脂フィルムなどを好適なものとしてあげることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグを使用することができる。
更に、本発明のプリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。
本発明のキャリア付銅箔を用いて積層体(銅張積層板等)を作製することができる。当該積層体としては、例えば、「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂又はプリプレグ」の順に積層された構成であってもよく、「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂又はプリプレグ」の順に積層された構成であってもよく、「極薄銅層/中間層/キャリア/樹脂又はプリプレグ/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成であってもよく、「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂又はプリプレグ/極薄銅層/中間層/キャリア」の順に積層された構成であってもよく、「キャリア/中間層/極薄銅層/樹脂又はプリプレグ/キャリア/中間層/極薄銅層」の順に積層された構成であってもよい。前記樹脂又はプリプレグは前述する樹脂層であってもよく、前述する樹脂層に用いる樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでもよい。なお、キャリア付銅箔は平面視したときに樹脂又はプリプレグより小さくてもよい。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層又は前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリア又は前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、前記キャリア又は前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層又は前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含んでもよい。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、前記樹脂基板と積層した極薄銅層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付銅箔の表面に、樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程を含むプリント配線板の製造方法(コアレス工法)であってもよい。当該コアレス工法について、具体的な例としては、まず、本発明のキャリア付銅箔の極薄銅層側表面またはキャリア側表面と樹脂基板とを積層する。その後、樹脂基板と積層した極薄銅層側表面または前記キャリア側表面とは反対側のキャリア付銅箔の表面に樹脂層を形成する。キャリア側表面又は極薄銅層側表面に形成した樹脂層には、さらに別のキャリア付銅箔をキャリア側又は極薄銅層側から積層してもよい。この場合、樹脂基板を中心として当該樹脂基板の両表面側に、キャリア/中間層/極薄銅層の順あるいは極薄銅層/中間層/キャリアの順でキャリア付銅箔が積層された構成となっている。両端の極薄銅層あるいはキャリアの露出した表面には、別の樹脂層を設け、さらに銅層又は金属層を設けた後、当該銅層又は金属層を加工することで回路を形成してもよい。さらに、別の樹脂層を当該回路上に、当該回路を埋め込むように設けても良い。また、このような回路及び樹脂層の形成を1回以上行ってもよい(ビルドアップ工法)。そして、このようにして形成した積層体(以下、積層体Bとも言う)について、それぞれのキャリア付銅箔の極薄銅層またはキャリアをキャリアまたは極薄銅層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。なお、前述のコアレス基板の作製には、2つのキャリア付銅箔を用いて、後述する極薄銅層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有する積層体や、キャリア/中間層/極薄銅層/極薄銅層/中間層/キャリアの構成を有する積層体や、キャリア/中間層/極薄銅層/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有する積層体を作製し、当該積層体を中心に用いることもできる。これら積層体(以下、積層体Aとも言う)の両側の極薄銅層またはキャリアの表面に樹脂層及び回路の2層を1回以上設け、樹脂層及び回路の2層を1回以上設けた後に、それぞれのキャリア付銅箔の極薄銅層またはキャリアをキャリアまたは極薄銅層から剥離させてコアレス基板を作製することができる。前述の積層体は、極薄銅層の表面、キャリアの表面、キャリアとキャリアとの間、極薄銅層と極薄銅層との間、極薄銅層とキャリアとの間には他の層を有してもよい。なお、本明細書において「極薄銅層の表面」、「極薄銅層側表面」、「キャリアの表面」、「キャリア側表面」、「積層体の表面」は、極薄銅層、キャリア、積層体が、極薄銅層表面、キャリア表面、積層体表面に他の層を有する場合には、当該他の層の表面(最表面)を含む概念とする。また、積層体は極薄銅層/中間層/キャリア/キャリア/中間層/極薄銅層の構成を有することが好ましい。当該積層体を用いてコアレス基板を作製した際、コアレス基板側に極薄銅層が配置されるため、モディファイドセミアディティブ法を用いてコアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。また、極薄銅層の厚みは薄いため、当該極薄銅層の除去がしやすく、極薄銅層の除去後にセミアディティブ法を用いて、コアレス基板上に回路を形成しやすくなるためである。
なお、本明細書において、「積層体A」または「積層体B」と特に記載していない「積層体」は、少なくとも積層体A及び積層体Bを含む積層体を示す。
なお、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付銅箔または積層体(積層体A)の端面の一部または全部を樹脂で覆うことにより、ビルドアップ工法でプリント配線板を製造する際に、中間層または積層体を構成する1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔の間のへの薬液の染み込みを防止することができ、薬液の染み込みによる極薄銅層とキャリアの分離やキャリア付銅箔の腐食を防止することができ、歩留りを向上させることができる。ここで用いる「キャリア付銅箔の端面の一部または全部を覆う樹脂」または「積層体の端面の一部または全部を覆う樹脂」としては、樹脂層に用いることができる樹脂を使用することができる。また、上述のコアレス基板の製造方法において、キャリア付銅箔または積層体において平面視したときにキャリア付銅箔または積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)の外周の少なくとも一部が樹脂又はプリプレグで覆ってもよい。また、上述のコアレス基板の製造方法で形成する積層体(積層体A)は、一対のキャリア付銅箔を互いに分離可能に接触させて構成されていてもよい。また、当該キャリア付銅箔において平面視したときにキャリア付銅箔または積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)の外周の全体にわたって樹脂又はプリプレグで覆われてなるものであってもよい。このような構成とすることにより、キャリア付銅箔または積層体を平面視したときに、キャリア付銅箔または積層体の積層部分が樹脂又はプリプレグにより覆われ、他の部材がこの部分の側方向、すなわち積層方向に対して横からの方向から当たることを防ぐことができるようになり、結果としてハンドリング中のキャリアと極薄銅層またはキャリア付銅箔同士の剥がれを少なくすることができる。また、キャリア付銅箔または積層体の積層部分の外周を露出しないように樹脂又はプリプレグで覆うことにより、前述したような薬液処理工程におけるこの積層部分の界面への薬液の浸入を防ぐことができ、キャリア付銅箔の腐食や侵食を防ぐことができる。なお、積層体の一対のキャリア付銅箔から一つのキャリア付銅箔を分離する際、またはキャリア付銅箔のキャリアと銅箔(極薄銅層)を分離する際には、樹脂又はプリプレグで覆われているキャリア付銅箔又は積層体の積層部分(キャリアと極薄銅層との積層部分、または、1つのキャリア付銅箔ともう1つのキャリア付銅箔との積層部分)を切断等により除去する必要がある。
本発明のキャリア付銅箔をキャリア側又は極薄銅層側から、もう一つの本発明のキャリア付銅箔のキャリア側または極薄銅層側に積層して積層体を構成してもよい。また、前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面とが、必要に応じて接着剤を介して、直接積層させて得られた積層体であってもよい。また、前記一つのキャリア付銅箔のキャリア又は極薄銅層と、前記もう一つのキャリア付銅箔のキャリア又は極薄銅層とが接合されていてもよい。ここで、当該「接合」は、キャリア又は極薄銅層が表面処理層を有する場合は、当該表面処理層を介して互いに接合されている態様も含む。また、当該積層体の端面の一部または全部が樹脂により覆われていてもよい。
キャリア同士の積層は、単に重ね合わせる他、例えば以下の方法で行うことができる。
(a)冶金的接合方法:融接(アーク溶接、TIG(タングステン・イナート・ガス)溶接、MIG(メタル・イナート・ガス)溶接、抵抗溶接、シーム溶接、スポット溶接)、圧接(超音波溶接、摩擦撹拌溶接)、ろう接;
(b)機械的接合方法:かしめ、リベットによる接合(セルフピアッシングリベットによる接合、リベットによる接合)、ステッチャー;
(c)物理的接合方法:接着剤、(両面)粘着テープ
一方のキャリアの一部または全部と他方のキャリアの一部または全部とを、上記接合方法を用いて接合することにより、一方のキャリアと他方のキャリアを積層し、キャリア同士を分離可能に接触させて構成される積層体を製造することができる。一方のキャリアと他方のキャリアとが弱く接合されて、一方のキャリアと他方のキャリアとが積層されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアとの接合部を除去しないでも、一方のキャリアと他方のキャリアとは分離可能である。また、一方のキャリアと他方のキャリアとが強く接合されている場合には、一方のキャリアと他方のキャリアとが接合されている箇所を切断や化学研磨(エッチング等)、機械研磨等により除去することにより、一方のキャリアと他方のキャリアを分離することができる。
また、このように構成した積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付銅箔から前記極薄銅層又はキャリアを剥離させる工程を実施することでプリント配線板を作製することができる。なお、当該積層体の一方または両方の表面に、樹脂層と回路との2層を設けてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。
1.キャリア付銅箔の製造
銅箔キャリアとして、厚さ35μmの長尺の電解銅箔(JX日鉱日石金属社製JTC)及び厚さ33μmの圧延銅箔(JX日鉱日石金属社製C1100)を用意した。この銅箔の光沢面(シャイニー面)に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインでニッケル(Ni)めっき、及び、クロメート処理又は有機物による処理としてBTA処理を行うことにより中間層を形成した。なお、表1の「脱脂」、「酸洗」は、ニッケル(Ni)めっきの前処理として、それぞれ以下の条件により、キャリアのニッケルめっきまたはコバルトめっきされる側の表面に対して行ったことを示す。なお、キャリアの表面を脱脂、酸洗の順に処理した。
〔脱脂〕
以下の脱脂処理液を用いて、以下の条件で電解脱脂を行った。
・脱脂処理液:水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム濃度70g/L)
・電解脱脂:以下の条件で、陰極電解脱脂を行い、その後、陽極電解脱脂を行い、その後再度陰極電解脱脂を行った。
陰極(電解)脱脂(電流密度10A/dm2):20秒
陽極(電解)脱脂(電流密度5A/dm2):20秒
陰極(電解)脱脂(電流密度10A/dm2):20秒
〔酸洗〕
・酸洗処理液:硫酸水溶液(硫酸濃度:50mL/L)
浸漬時間:20秒
〔ニッケルめっき〕
・めっき液
ニッケル:20〜200g/L
ホウ酸:5〜60g/L
液温:40〜65℃
pH:表1に示す
・電流密度:表1に示す
・通電時間:1〜20秒
・攪拌(液循環量):表1に示す
・搬送速度:2〜30m/分
〔クロメート処理〕
・処理液
クロム:0.5〜6.0g/L
亜鉛:0.1〜2.0g/L
液温:25〜60℃
pH:2.5〜5.0
・電流密度:0.1〜4A/dm2
・通電時間:1〜30秒
〔BTA処理〕
・BTA処理:ベンゾトリアゾールを用いた防錆処理
・処理液
ベンゾトリアゾール:0.1〜20g/L
pH:2〜5
液温:20〜40℃
浸漬時間:5〜30秒
引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、中間層の上に表1に記載の厚さの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を作製した。
・極薄銅層
銅濃度:90〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜70A/dm2
めっき液線流速:1.0m/s
これらの実施例、および比較例については、全て極薄銅層の表面に以下の粗化処理、防錆処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理
Cu: 10〜20g/L
Co: 5〜15g/L
Ni: 5〜15g/L
pH: 1〜4
温度: 40〜50℃
電流密度Dk :40〜50A/dm2
時間:0.5秒〜2秒
Cu付着量:15〜40mg/dm2
Co付着量:100〜3000μg/dm2
Ni付着量:100〜1000μg/dm2
・防錆処理
Zn:0〜20g/L
Ni:0〜5g/L
pH:3.5
温度:40℃
電流密度Dk :0〜1.7A/dm2
時間:1秒
Zn付着量:5〜250μg/dm2
Ni付着量:5〜300μg/dm2
・防錆処理
Zn:10g/L
Ni:35g/L
pH:3.5
温度:40℃
電流密度Dk :0.5A/dm2
時間:46秒
Zn付着量:150〜1500μg/dm2
Ni付着量:300〜2600μg/dm2
・クロメート処理
処理液組成:
2Cr27
(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH或いはKOH:10〜50g/L
ZnO或いはZnSO47H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度 0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
Cr付着量:10〜150μg/dm2
・シランカップリング処理
ビニルトリエトキシシラン水溶液
(ビニルトリエトキシシラン濃度:0.1〜1.4wt%)
pH:4〜5
時間:5〜30秒
2.キャリア付銅箔の評価
上述のようにして作製した実施例及び比較例の各サンプルについて、各種評価を下記の通り行った。
・中間層の金属付着量
ニッケル付着量はサンプルを濃度20質量%の硝酸で溶解してSII社製のICP発光分光分析装置(型式:SPS3100)を用いてICP発光分析によって測定し、亜鉛、クロム付着量はサンプルを濃度7質量%の塩酸にて溶解して、VARIAN社製の原子吸光分光光度計(型式:AA240FS)を用いて原子吸光法により定量分析を行うことで測定した。なお、前記ニッケル、亜鉛、クロム付着量の測定は以下のようにして行った。まず、キャリア付銅箔から極薄銅層を剥離した後、極薄銅層の中間層側の表面付近のみを溶解して(極薄銅層の厚みが1.4μm以上である場合には極薄銅層の中間層側の表面から0.5μm厚みのみ溶解する、極薄銅層の厚みが1.4μm未満の場合には極薄銅層の中間層側の表面から極薄銅層厚みの20%のみ溶解する。)、極薄銅層の中間層側の表面の付着量を測定する。また、極薄銅層を剥離した後に、キャリアの中間層側の表面付近のみを溶解して(表面から0.5μm厚みのみ溶解する)、キャリアの中間層側の表面の付着量を測定する。そして、極薄銅層の中間層側の表面の付着量とキャリアの中間層側の表面の付着量とを合計した値を、中間層の金属付着量とした。
・エッチング性
キャリア付銅箔をBT樹脂基板、またはFR−4基板に貼り付けて220℃で2時間加熱圧着し、その後、220℃で4時間の熱処理を行った。続いて、極薄銅層を銅箔キャリアから剥がした。続いて、基板上の極薄銅層表面に、感光性レジストを塗布した後、露光、現像工程により50本のL/S=10μm/10μm幅のレジストパターンを形成し、銅層の不要部分を除去するエッチング処理を以下のスプレーエッチング条件にて行った。
(スプレーエッチング条件)
エッチング液:塩化第二鉄水溶液(ボーメ度:40度)
液温:60℃
スプレー圧:2.0MPa
エッチングを続け、回路トップ幅が4μmになるまでの時間を測定し、さらにそのときの回路ボトム幅(底辺Xの長さ)及びエッチングファクターを評価した。エッチングファクターは、末広がりにエッチングされた場合(ダレが発生した場合)、回路が垂直にエッチングされたと仮定した場合の、銅箔上面からの垂線と樹脂基板との交点からのダレの長さの距離をaとした場合において、このaと銅箔の厚さbとの比:b/aを示すものであり、この数値が大きいほど、傾斜角は大きくなり、エッチング残渣が残らず、ダレが小さくなることを意味する。図5に、回路パターンの幅方向の横断面の模式図と、該模式図を用いたエッチングファクターの計算方法の概略とを示す。このaは回路上方からのSEM観察により測定し、エッチングファクター(EF=b/a)を算出した。なお、b=(X(μm)−4(μm))/2で計算した。このエッチングファクターを用いることにより、エッチング性の良否を簡単に判定できる。本発明では、エッチングファクターが2.5以上をエッチング性が良好であるとし、2.5未満或いは算出不可(底辺部分において隣接する回路間がショートする場合を含む)をエッチング異常と判定し、1dm2あたりのエッチング異常数を評価した。
・黒点個数及び黒点サイズ
キャリア付銅箔からキャリアを剥離した後、露出した極薄銅層のキャリア側表面を光学顕微鏡、またはマイクロスコープ(キーエンス社製)で観察し、1dm2当たりの黒点数を数えた。観察時の倍率は100倍とした。
また、黒点のサイズを測定する際に倍率を1000倍とし、光学顕微鏡、またはマイクロスコープを通した画像を撮影し、画像にスケールをあてて測定した。黒点を取り囲む円の最小径を黒点サイズとした。上記1dm2中の黒点のサイズを測定し、その中で最大のものを「黒点サイズ」とした。
上記の試験条件及び試験結果を表1に示す。
(評価結果)
実施例1〜11は、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2以下であり、且つ、各黒点サイズが15μm以下であったため、エッチング異常の発生率が良好に抑制された。
比較例1〜7は、キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2を超え、又は、各黒点サイズが15μmを超えたため、エッチング異常の発生率が不良であった。

Claims (43)

  1. キャリア、中間層、極薄銅層をこの順に備えたキャリア付銅箔であって、
    前記中間層はNiを含み、
    前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が15個/dm2以下であり、各黒点サイズが15μm以下であるキャリア付銅箔。
  2. 前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜10個/dm2である請求項1に記載のキャリア付銅箔。
  3. 前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜5個/dm2である請求項2に記載のキャリア付銅箔。
  4. 前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の黒点が0〜2個/dm2である請求項3に記載のキャリア付銅箔。
  5. 前記キャリア付銅箔からキャリアを剥離させたとき、前記極薄銅層のキャリア側表面の各黒点サイズが0〜10μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  6. 前記中間層が、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  7. 前記中間層が、Crを含む場合は、Crを5μg/dm2以上100μg/dm2以下含有し、Moを含む場合は、Moを50μg/dm2以上1000μg/dm2以下含有し、Niを含む場合は、Niを100μg/dm2以上40000μg/dm2以下含有し、Coを含む場合は、Coを100μg/dm2以上40000μg/dm2以下含有し、Znを含む場合は、Znを1μg/dm2以上120μg/dm2以下含有する請求項6に記載のキャリア付銅箔。
  8. 前記中間層が有機物を厚みで25nm以上80nm以下含有する請求項6又は7に記載のキャリア付銅箔。
  9. 前記有機物が、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上からなる有機物である請求項6〜8のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  10. 前記キャリア両方の面に中間層及び極薄銅層をこの順に有する請求項1〜9のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  11. 前記極薄銅層表面または前記キャリアの表面のいずれか一方または両方に粗化処理層を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  12. 前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項11に記載のキャリア付銅箔。
  13. 前記防錆層及び前記耐熱層の少なくとも一方が、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛から選択される1つ以上の元素を含む請求項12に記載のキャリア付銅箔。
  14. 前記防錆層及び前記耐熱層の少なくとも一方が、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛から選択される1つ以上の元素からなる請求項12に記載のキャリア付銅箔。
  15. 前記粗化処理層の上に前記耐熱層を有する請求項12〜14のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  16. 前記粗化処理層または前記耐熱層の上に前記防錆層を有する請求項12〜15のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  17. 前記防錆層の上に前記クロメート処理層を有する請求項12〜16のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  18. 前記クロメート処理層の上に前記シランカップリング処理層を有する請求項12〜17のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  19. 前記極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  20. 前記極薄銅層上に樹脂層を備える請求項1〜10のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  21. 前記粗化処理層上に樹脂層を備える請求項11に記載のキャリア付銅箔。
  22. 前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える請求項12〜19のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  23. 前記樹脂層が誘電体を含む請求項20〜22のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板。
  25. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造した積層板。
  26. 請求項24に記載のプリント配線板を用いて製造した電子機器。
  27. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造した積層体。
  28. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と樹脂とを含む積層体であって、前記キャリア付銅箔の端面の一部または全部が前記樹脂により覆われている積層体。
  29. 一つの請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を前記キャリア側又は前記極薄銅層側から、もう一つの請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記キャリア側又は前記極薄銅層側に積層した積層体。
  30. 前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア側表面又は前記極薄銅層側表面とが、必要に応じて接着剤を介して、直接積層させて構成されている請求項29に記載の積層体。
  31. 前記一つのキャリア付銅箔の前記キャリア又は前記極薄銅層と前記もう一つのキャリア付銅箔の前記キャリア又は前記極薄銅層とが接合されている請求項29又は30に記載の積層体。
  32. 請求項27〜31のいずれか一項に記載の積層体であって、前記積層体の端面の一部または全部が樹脂により覆われている積層体。
  33. 請求項27〜32のいずれか一項に記載の積層体を用いたプリント配線板の製造方法。
  34. 請求項27〜32のいずれか一項に記載の積層体に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
    前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記積層体のキャリア付銅箔から前記極薄銅層又は前記キャリアを剥離させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  35. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
    前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層する工程、
    前記キャリア付銅箔と絶縁基板とを積層した後に、前記キャリア付銅箔の銅箔キャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
    その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法。
  36. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
    前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層又は前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  37. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリア又は前記極薄銅層を剥離させる工程、及び、
    前記キャリア又は前記極薄銅層を剥離させた後に、前記極薄銅層又は前記キャリアを除去することで、前記極薄銅層側表面又は前記キャリア側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  38. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である請求項37に記載のプリント配線板の製造方法。
  39. 前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔である請求項38に記載のプリント配線板の製造方法。
  40. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行われる請求項37〜39のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  41. 前記表面に回路を形成するキャリア付銅箔が、当該キャリア付銅箔のキャリア側の表面または極薄銅層側の表面に基板を有する請求項37〜40のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  42. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面または前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
    前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面または前記キャリア側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
    前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記キャリアまたは前記極薄銅層を剥離させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  43. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記キャリア側表面と樹脂基板とを積層する工程、
    前記キャリア付銅箔の樹脂基板と積層した側とは反対側の極薄銅層側表面に樹脂層と回路との2層を、少なくとも1回設ける工程、及び、
    前記樹脂層及び回路の2層を少なくとも1回形成した後に、前記キャリア付銅箔から前記極薄銅層を剥離させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114190012A (zh) * 2021-12-02 2022-03-15 深圳市金晟达电子技术有限公司 芯片载板的制造方法及芯片载板

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