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JP2015171968A - グラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法 - Google Patents

グラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法 Download PDF

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JP2015171968A JP2014048468A JP2014048468A JP2015171968A JP 2015171968 A JP2015171968 A JP 2015171968A JP 2014048468 A JP2014048468 A JP 2014048468A JP 2014048468 A JP2014048468 A JP 2014048468A JP 2015171968 A JP2015171968 A JP 2015171968A
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英文 日浦
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Abstract

【課題】
量産性があり、高品質であると同時に、製造コストが低く、膜厚の厚いグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法を提供する
【解決手段】
典型元素金属と遷移金属を含む合金を炭素源に接触させ、前記合金を加熱することで、前記合金中に前記炭素源の表面の炭素を溶解させ、前記合金を冷却することで、前記合金に接触させた対象物の表面にグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を析出させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、グラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法に関する。
炭素材料は、sp混成軌道を持つ炭素からなるダイヤモンド、sp混成軌道を持つ炭素からなるグラファイト(黒鉛)、sp混成軌道を持つ炭素からなるカルビン(ポリイン)などの同素体とその複合系から構成される極めて多様な材料である。近年では、sp炭素系のナノダイヤモンド、sp炭素系のフラーレン、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン、酸化グラフェン等のナノカーボンが新規炭素材料として名を連ねている。
これらの炭素材料の中で、産業上、比較的古くから用いられ、最も大規模で広範な用途を持つのは、ガラス状炭素、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料などの主にsp系炭素材料である。これらsp系炭素材料は、比重が通常金属より小さいため軽く、モース硬度は7と比較的高いことからかなりの硬度を持ち、化学的に安定で、生体に不活性、熱に強く約1000℃を越える高温まで実用的な強度を保ち、繰り返しの使用に耐えるという特長を持つ。
しかしながら、現状のsp系炭素材料は、既存製法上の制約のため、グラファイト化が本質的に不完全である。それらの表面は数ナノメートルから数マイクロメートルの多数の結晶粒界で覆われ、また1つ1つの結晶は原子欠損などの多数の欠陥構造を有する。これらの結晶粒界や欠陥構造は、空気摩擦やスパッタリングなどの物理的侵食や、酸化などの化学的腐食の起点となり得る。そのため、完全結晶のグラファイト表面と比較して、多数の結晶粒界や欠陥構造が存在するsp系炭素材料の表面は耐摩耗性、耐酸化性に著しく劣るという問題がある。また、sp系炭素材料の表面の構造的不完全性に起因して、sp系炭素材料のガスバリア性能が限定的になってしまう問題点もある。更に、上記の問題点に起因して、既存技術で製造されるsp系炭素材料からなる製品を過酷な条件で使用する場合、それらの寿命が必要とされるよりも短いという問題点が指摘されている。
近年の技術の発展に伴い、上記問題点を軽減する目的で、sp系炭素材料の表面を被膜する方法がいくつか実用化されている。例えば、表面処理した炭化ケイ素(SiC)層で被覆する技術が特許3228489号(特許文献1)に開示されている。また、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相蒸着)法により、sp系炭素材料の表面にグラファイト被覆を施す技術も開示されている。例えば、炭素繊維強化炭素複合材料から作製されるるつぼ表面を熱分解炭素で強化する被覆技術が特開2000−351689(特許文献2)に開示される他、特開2003−18076(特許文献3)にはsp系炭素材料のガスバリア性向上のための熱CVD由来の炭素による被覆技術が開示されている。
さらに、ガリウムを利用することでグラフェン膜を炭素材料上や絶縁体基板上に作製する方法が報告されている。例えば、ガリウムとアモルファス炭素界面にグラフェン膜を作製する技術が特許第4970619号公報(特許文献4)に開示されている。また、PCT/JP2011/075883(特許文献5)とPCT/JP2011/077879(特許文献6)には、それぞれ、炭化物、絶縁体の表面にグラフェン膜を直接形成する技術が開示されている。特許文献5、6の技術によれば、高品質グラフェンを様々な材料表面上に製膜可能であることから、デバイス作製用のグラフェン基板を実現出来るとされる。
特許第3228489号公報 (第3−4頁、図3) 特開2000−351689公報 (第2−4頁) 特開2003−183076公報 (第2−3頁) 特許第4970619号公報 (第3−4頁、図4) WO2012/060468公報(第6頁、図1) WO2012/086387公報 (第6頁、図1)
しかしながら、この特許文献1〜6に開示された被覆技術にはいくつかの問題がある。
第1に、特許文献1に開示されるSiC層によるsp系炭素材料の被覆においては、第1に、sp系炭素材料の導電性が消失するという問題がある。この原因はSiCがワイドギャップ半導体であり、電気的に半絶縁性であることに起因する。この点はsp系炭素材料を電極として利用する際には致命的な欠点となる。
第2に、特許文献2においては、sp系炭素材料表面への熱分解炭素による被覆に、メタンガスを原料として、最低でも50時間という長時間、成長温度が1800℃という高温条件下でのCVD処理が必要である。従って、この技術は装置コストや材料コストが嵩むという問題点を生じさせ、省資源・省エネルギーの観点から問題が多い。また、炭化水素が原料のCVD法では、銅やニッケルなどの金属触媒がないとグラファイト化が進行しないことが一般的に知られている。すなわち、特許文献2に開示される熱分解炭素被膜は材料的には結晶性のグラファイトではなく、アモルファス炭素である。従って、この被覆技術では耐摩耗性、耐酸化性を期待することは出来ない。
第3に、特許文献3においては、被覆のために、1200℃以上という高温、原料として炭化水素ガス、キャリアーガスとして水素ガス、更に塩化水素ガスを流入させるという過酷な条件でのCVDが必要とされる。また、被覆層の最終的なグラファイト化には2000〜3000℃の高温が必要とされる。従って、特許文献2における問題点と同様、この技術は装置コストや材料コストが嵩むという問題点を生じ、省資源・省エネルギーの観点から問題が多い。さらに、水素や塩化水素など危険ガスの使用は健康面、環境面への悪影響が懸念される。
第4に、特許文献4の問題点は、ガリウムとアモルファス炭素との間の界面に数層程度のグラフェン膜、すなわち、膜厚が高々数ナノメートルの極薄グラファイト膜しか製膜することが出来ないことである。この問題点は、特許文献4ではガリウムとアモルファス炭素間の界面反応を利用しているため、アモルファス炭素の極表層のみしかグラフェンに変換出来ないことに起因する。従って、100層以上の厚膜グラフェン膜、すなわち、膜厚が数十ナノメートル以上のグラファイト膜による被覆は不可能である。
第5に、特許文献5、6に開示されるグラフェン製膜技術では、グラファイト膜の膜厚は100nmを超えることは原理上困難であるという問題点がある。この問題点は、特許文献5、6のグラフェン製膜技術が、加熱時に原料である炭素材料を液体ガリウムに溶解させ、冷却時に液体ガリウム中に溶解した炭素を目的の材料表面に析出させる液相成長法を原理としているが、ガリウムへの炭素の溶解度が900℃という高温でも僅か30 atomic ppm(原子百万分率)であるという炭素溶解度が極端に低いことに起因する。そもそも、特許文献5、6では、ガリウムの炭素溶解度が無視できるほど小さい特性を積極的に利用することがグラフェン製膜の技術的要諦である。なぜなら、過剰な炭素は極薄グラフェン膜の形成を阻害するからである。従って、特許文献5、6のグラフェン作製技術は、デバイス用高品質グラフェン基板を提供することには適するが、丈夫で厚膜の高品質グラファイト膜を提供することには不向きである。
第6に、上記特許文献1〜6に開示される、どの技術をもってしても、被覆対象物上にナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を形成することは出来ない問題がある。この問題点は、ナノカーボンとグラフェン・グラファイトを炭素−炭素の共有結合を介して融合することが既存方法では不可能なことに起因する。
以上のように、特許文献1〜6の被覆技術には様々な問題点がある。特に、上述の技術では、sp系炭素材料表面の被覆層において、グラファイト構造による完全結晶化と厚膜化を同時に達成することは至難の業であり、また、共有結合を介して連結したナノカーボンとグラフェン・グラファイト複合化膜を形成することは不可能である。従って、以上の問題を解決する手段が望まれてきた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、量産性があり、高品質であると同時に、製造コストが低く、膜厚の厚いグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜で被覆された対象物、及びその製造方法を提供することである。
本発明は、(a)典型元素金属と遷移金属を含む合金を炭素源に接触させ、前記合金を加熱することで、前記合金中に前記炭素源の表面の炭素を溶解させ、
(b)前記合金を冷却することで、前記合金に接触させた対象物の表面にグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を析出させる、
ことを特徴とするグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法である。
本発明によれば、量産性があり、高品質であると同時に、製造コストが低く、膜厚の厚いグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜で材料表面を被覆する製造方法を提供することが可能である。
本発明で用いられる液相成長法によるグラフェン・グラファイト膜形成の原理を示す斜視図である。 典型元素金属(ガリウム)と遷移金属(ニッケル)中の炭素溶解度曲線を表す図である。 ガリウム・鉄合金フラックスが有効に働く比率領域と温度領域の関係を示すガリウム−鉄2元系状態図である。 ガリウム・コバルト合金フラックスが有効に働く比率領域と温度領域の関係を示すガリウム−コバルト2元系状態図である。 典型元素金属(ガリウム)・遷移金属(ニッケル)合金フラックスが有効に働く比率領域と温度領域の関係を示す典型元素金属(ガリウム)−遷移金属(ニッケル)2元系状態図である。 本実施例の製造方法の工程を示す斜視図である。 ガリウム単体、鋼鉄(SUS304)単体をフラックスとして用いる液相成長法を適用した炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像を示す図である。 典型元素金属(ガリウム)・遷移金属(ニッケル)合金フラックスが有効に働く比率の下限を説明するグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像を示す図である。 ガリウム・鉄合金フラックスが有効に働く比率の上限を説明するグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料および炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像を示す図である。 ガリウム・コバルト合金フラックスが有効に働く比率の上限を説明するグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料および炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像を示す図である。 典型元素金属(ガリウム)・遷移金属(ニッケル)合金フラックスが有効に働く比率の上限を説明するグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料および炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像を示す図である。 各種ナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜で被覆された炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像を示す図である。 単層ナノチューブカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜で被覆された各種耐熱材料の光学顕微鏡像を示す図である。
(構成の説明)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
最初に、本実施形態で用いる原理について説明する。
本実施形態ではグラフェン化またはグラファイト化の液相成長において、典型元素金属と遷移金属を含む合金フラックスを利用する。
合金化により、添加した遷移金属が炭素溶解度を高めると伴に、添加した典型元素金属が合金フラックスと被覆対象物との固着を防止しつつ、遷移金属炭化物の形成を抑制することで、膜厚が例えば100nm以上という、グラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の厚膜化が可能となる。
図1は、本発明の実施の形態として、目的の材料表面をグラフェン・グラファイト膜で被覆する製造方法の原理を示す斜視図である。
本発明ではグラフェン・グラファイトを成長させる手段として、液相成長法を利用する。液相成長法の原理は、加熱により、炭素材料を一旦、フラックス(高温用溶媒)として使用する金属中に炭素として溶解させ、次いで、冷却により、金属中に溶解した炭素を材料表面にグラフェン膜またはグラファイト膜として析出させるというものである。
液相成長法によるグラフェン・グラファイト膜形成の原理は図1に示す3つの段階に分けて説明できる。
第1段階は、図1(a)に示すように、炭素源1、フラックス2、被覆対象物3を用意し、フラックス2を挟んで、炭素源1と被覆対象物3を配置する段階である。この際、既存の方法ではフラックス2として、主にガリウム(Ga)を使用する。
ガリウムを使用する理由は主に2つある。第1の理由は、ガリウムの融点が29.6℃と室温付近なので、製造前後でガリウムの配置や除去が簡便であるためであるため、第2の理由は、ガリウムの沸点は2403℃と高温であり、液体状態の温度幅が広いことから、液相成長用フラックスとして使用可能な温度範囲が広範なためである。
第2段階は、適当な温度で加熱することで、図1(b)に示すように、炭素源1表層に存在する炭素4がフラックス2に溶解する段階である。フラックス2に溶解する炭素4の量、すなわち、フラックス2中の炭素溶解度は使用するフラックス2の金属の種類と加熱温度に依存する。
第3段階は、図1(c)に示すように、冷却することにより、フラックス2に溶解した炭素4は過飽和状態となり、フラックス2の表層で析出を開始し、結果として炭素源1と被覆対象物3の表面にグラフェン・グラファイト膜5が形成される段階である。
上記の液相成長法の原理を鑑みると、グラフェン・グラファイト膜の厚膜化を達成ためには、通常は次の2つの方法が考えられる。すなわち、第1の方法は、上記第2段階において、出来るだけ加熱温度を上昇させること、第2の方法としては、フラックス2として炭素溶解度が大きい金属を選択することである。しかしながら、以下に説明する通り、この2つの方法だけでは、不十分であることが詳細な実験により判明した。
まず、第1の方法、すなわち、加熱温度上昇の問題点は、フラックス2としてガリウムを使用する場合、加熱温度の上限が1500℃前後であることである。ガリウムの蒸気圧は1500℃で10Paを越えるため、この温度ではガリウムの消耗が激しく、加熱時間の経過と伴に、段々とフラックスとしての用を成さなくなる。実施例1で詳述するが、図7(c)で示すように、上限温度1500℃加熱のガリウムフラックスによる液相成長で得られる被覆対象物3上のグラフェン・グラファイト膜の膜厚は高々25nmである。しかも、蒸散するガリウムを予め推定して余分に添加しなければならないため、製造コストを鑑みても実用的でない。
従って、単純な加熱温度上昇だけではグラフェン・グラファイト膜の100nm以上の厚膜化は図れない。
次に、第2の方法、すなわち、フラックスとして炭素溶解度が大きい金属を選択することの問題点は、被覆対象物3の表面への固着と炭化物形成の2点である。例えば、遷移金属であるニッケル(Ni)と典型元素金属であるガリウムを比較すると、図2に示すように、どの温度においてもニッケルの炭素溶解度はガリウムのそれより2〜3桁高い。この傾向は他の遷移金属でも同様である。従って、液相成長におけるフラックス2をガリウムから遷移金属へ置き換えれば、桁違いの厚膜化が図れると類推される。
しかしながら、実験の結果、実際にはこの方法はうまくいかないことが分かった。例えば、図7(d)に示すように、鋼鉄(SUS304)をフラックスとして使用した場合、冷却後、フラックス2は被覆対象物3の表面に強固に固着し、自然剥離しない。実施例1で詳細を述べるが、固着したフラックスを酸で溶解しても、被覆対象物3の表面にグラフェン・グラファイト膜の形成は観察されず、荒れた表面が残るばかりである。
固着の原因は、冷却過程において、剥離性の悪いSUS304自体や、溶解した炭素4と金属2であるSUS304の構成元素の鉄等が化合した炭化物(FeC等)が被覆対象物3の表面に析出するためと考えられる。また、グラフェン・グラファイト膜が形成されない原因は、冷却過程において、金属2中に溶解した炭素4が純粋炭素のグラファイトとしてではなく、フラックス2と化合した炭化物(FeC等)として、被覆対象材料3の表面もしくはフラックス2の内部に析出するためと考えられる。
従って、グラフェン・グラファイト膜の厚膜化を達成するためには、単純に、炭素溶解度の高い金属をフラックスとして選択するだけでは不十分であり、冷却過程における炭化物形成を抑制すること、冷却後のフラックス2の剥離性を確保することが必要となる。
上記問題を解決する手段として、鋭意研究開発の結果、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属と、ガリウム等の典型元素金属との合金をグラフェン・グラファイト膜の液相成長用のフラックスとして使用することが効果的であることを解明した。この効果は遷移金属と典型元素金属を合金化することよる相補的・相乗的効果であり、両者の存在が上記問題点を解決する。すなわち、合金フラックスには3つの効果がある。第1の効果は、遷移金属の存在が高温時の典型元素金属の蒸気圧の上昇を抑制することである。これにより、加熱温度の上昇を望める。
第2の効果は、冷却過程において、典型元素金属の存在が遷移金属の炭化物形成を抑制することである。第3の効果は、フラックス除去時、典型元素金属単体もしくは典型元素金属と遷移金属の金属化合物(GaNi等)の存在が剥離性を高め、フラックスと材料表面との固着を防ぐ。これら3つの効果が奏功して、グラフェン・グラファイト膜の膜厚が100nm以上の厚膜化を達成することが可能となる。なおグラフェン・グラファイト膜の形成と厚膜化には、合金フラックス中の典型元素金属と遷移金属の比率を精密に調整すること、加熱温度を適切に設定することが望ましい。以上の議論は、ナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜についても当てはまる。
以下に、グラフェン・グラファイト膜の形成ならびに膜厚が100nm以上の厚膜化に用いる合金フラックス中の典型元素金属と遷移金属の比率の範囲と加熱温度の範囲について、典型元素金属としてガリウム、遷移金属として鉄、ニッケル、コバルトを例にとり、それぞれ、両者の2元系状態図に基づいて説明する。
図3はガリウム−鉄の2元系状態図である。縦軸が温度(℃)、横軸(上)が鉄の重量比率(重量%)、横軸(下)が鉄の原子比率(原子%)である。
材料上のグラフェン・グラファイト膜の厚膜化(膜厚:100nm以上)の条件:Zは、以下に記す3つの条件(A、B、C)の論理積(A∩B∩C)となる。すなわち、Z=A∩B∩Cである。
条件A: 合金液体化のための温度条件
条件B: グラフェン・グラファイト膜形成のための温度条件
条件C: 厚膜化のために合金フラックスが有効に働く合金比率の条件
条件Aは、典型元素金属と遷移金属の合金フラックスが液体となる温度の下限を規定し、図3のガリウム−鉄の2元型状態図において、ガリウムの融点:29.8℃から鉄の融点:1538℃に渡る液相線より高温側の温度範囲となる(図3の凡例参照)。この条件は本発明では液相成長法を使用しており、合金フラックスは液体状態で役割を果たすことに由来する。
条件Bは、液相成長において、アモルファス炭素ではなく、グラファイト構造が形成される加熱温度の下限を規定し、800℃以上の温度範囲となる(図3の凡例参照)。この条件は液相成長法において、グラフェン・グラファイトの成長温度は最低で800℃付近であることに由来する。
条件Cは、下記の3条件(C、C、C)の論理積(C∩C∩C)である。すなわち、C=C∩C∩Cである。
条件Cは、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率の上限を規定する。実施例3で説明する通り、ガリウム・鉄合金フラックスの場合、この上限値は50重量%(約62原子%)である。
条件Cは、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率の上限を規定する。実施例3で説明する通り、ガリウム・鉄合金フラックスの場合、この上限値は20重量%(約25原子%)である。
条件Cは、グラフェン・グラファイト膜の膜厚が100nm以上と遷移金属添加の効果が顕著となる合金フラックス中の遷移金属比率の下限を規定する。実施例3で説明する通り、下限値は1重量%である。
以上、条件C、C、Cの論理積をとると、条件Cが求まる。ガリウム・鉄合金フラックスの場合、条件Cの範囲、すなわち、鉄比率は、1〜20重量%(約1.2〜25原子%)となる(図3の凡例参照)。後述の実施例2〜5で説明する通り、条件Cは実験で求められるものである。
以上、3つの条件A、B、Cをすべて満たす領域が求める条件Z、すなわち、グラフェン・グラファイト膜の厚膜化(膜厚:100nm以上)の条件である。
ガリウム・鉄合金フラックスの場合、材料上のグラフェン・グラファイト膜の厚膜化(膜厚:100nm以上)の条件:Zは、図示すると、図3の点線で囲まれる領域となる。すなわち、凡その温度範囲は800℃以上、合金フラックス中の鉄の比率が1重量%〜20重量%(約1.2〜25原子%)である。
図4はガリウム−コバルトの2元系状態図である。凡例等は図3と同様である。ガリウム・コバルト合金フラックスの場合も、上述のガリウム・鉄合金フラックスの場合と同様の議論が成り立つ。
ガリウム・コバルト合金フラックスの場合、材料上のグラフェン・グラファイト膜の厚膜化(膜厚:100nm以上)の条件:Zは、図示すると、図4の点線で囲まれる領域となる。すなわち、凡その温度範囲は800℃以上、合金フラックス中のコバルトの比率が1〜30重量%(約1.2〜35原子%)である。
図5はガリウム−ニッケルの2元系状態図である。凡例等は図4と同様である。ガリウム・コバルト合金フラックスの場合も、上述のガリウム・鉄合金フラックスの場合と同様の議論が成り立つ。
ガリウム・ニッケル合金フラックスの場合、材料上のグラフェン・グラファイト膜の厚膜化(膜厚:100nm以上)の条件:Zは、図示すると、図5の点線で囲まれる領域となる。すなわち、凡その温度範囲は800℃以上、合金フラックス中のニッケルの比率が1〜40重量%(約1.2〜48原子%)である。
なお、他の典型元素金属・遷移金属合金フラックスにおいて、遷移金属比率の下限が1重量%未満、上限が40重量%を超えるものは見つからなかった。従って、これらの数値は一般性を持つ。
以上まとめると、温度範囲は800℃以上であり、典型元素金属・遷移金属合金フラックス中の遷移金属比率の下限は1重量%、上限は40重量%である。
次に、本実施形態の製造方法について述べる。
図6は、本発明の実施の形態として、目的の構造物の表面をグラフェン膜・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイト膜の複合化膜で被覆する製造方法を示す概略図である。
第1の工程として、図6(a)に示すように炭素源担持体11を用意する。
炭素源担持体11はグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイト膜の複合化膜製造の原料である炭素源を担持する働きがある。但し、炭素源が固形で支えがなくとも自立可能な場合、炭素源担持体11は必ずしも必要ではない。
炭素源担持体11は耐熱性のある材料から選択可能であり、主に以下の5つの群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
炭素源担持体11の第1群の材料は、石英(SiO2)、アルミナやサファイア(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア(ZrO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などの酸化物である。
第2群の材料は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化炭素(C3N4)、窒化炭素ホウ素(BCN)などの窒化物である。
第3群の材料は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(B4C)、炭化アルミニウム(Al4C3)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)などの炭化物である。
第4群の材料は、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)などのフッ化物である。
第5群の材料は、雲母(マイカ)、ダイヤモンドなどのその他の耐熱材料である。
第2の工程として、図6(b)に示すように炭素源担持体11の表面に炭素源12を配置する。
炭素源12はグラファイト構造形成のための原料として働く。
炭素源12としては、基本的に炭素を含有する物質であれば何れも使用可能であり、主に以下の6つの群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
炭素源12の第1群の材料は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、ダイヤモンド、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料などの炭素材料である。
第2群の材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、C60やC70に代表されるフラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンなどのナノカーボン材料である。
第3群の材料は、メタロセン、ナフタレン、アントラセン、ペンタセンなどの低分子有機化合物である。
第4群の材料は、テフロン(登録商標)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、ポリエチレンなどの人工高分子有機化合物である。
第5群の材料は、タンパク質、核酸、脂質、多糖類などの天然高分子有機化合物である。
第6群の材料は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)などの炭素を含む無機化合物である。
炭素源12の配置の方法としては、次の3つの方法が適宜利用できる。
炭素源12の第1の配置方法は、真空蒸着法、分子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法などの乾式製膜法である。第2の配置方法は、滴下法、スピンコート法、ディップコート法などの湿式製膜法である。第3の配置方法は、吹付塗布法、エアースプレー塗布法、電着塗布法、静電塗布法などである。
第3の工程として、図6(c)に示すように炭素源12上に合金フラックス13を配置する。
合金フラックス13は、前述の通り、加熱時に炭素源12を構成する炭素を溶解させ、冷却時に溶解炭素をグラファイト構造として析出させるフラックス(高温用溶媒)としての役割がある。
合金フラックス13としては、以下に示す典型元素金属と遷移金属の合金が用いられる。
合金フラックス13に添加する典型元素金属としては、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)等の典型元素金属の群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
合金フラックス13に添加する遷移金属としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)等の遷移金属の群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
上記において、特に、典型元素金属としてはガリウム、遷移金属としては鉄、ニッケル、コバルトが合金フラックスの構成成分として好ましい。ガリウムが好ましい理由は、ガリウムが材料表面から合金フラックスを取り除く場合に剥離性を高めるから、遷移金属炭化物の形成を抑制するためである。鉄、ニッケル、コバルトが好ましい理由は、グラフェン・グラファイトの原料となる炭素の溶解度が顕著に高いためである。
第4の工程として、図6(d)に示すように合金フラックス13上に構造物14を配置する。
構造物14はグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイト膜の複合化膜を被覆する目的対象物である。構造物14は、大きさがミクロからマクロまで任意の形状が使用可能で、ワイヤー状の1次元構造、シート状の2次元構造、様々な形状の3次元的構造を有しても構わない。なお、構造物14は耐熱性のある材料から選択可能であり、主に以下の7つの群から選ばれる少なくとも1つが選択される。
構造物14の第1群は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、ダイヤモンド、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料などの炭素材料である。
第2群の材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、C60やC70に代表されるフラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンなどのナノカーボン材料である。
第3群は、石英(SiO2)、アルミナやサファイア(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア(ZrO2)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などの酸化物である。
第4群は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化炭素(C3N4)、窒化炭素ホウ素(BCN)などの窒化物である。
第5群は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(B4C)、炭化アルミニウム(Al4C3)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)。炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)などの炭化物である。
第6群は、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)などのフッ化物である。
第7群は、雲母(マイカ)、ダイヤモンドなどのその他の耐熱材料である。
なお、構造物14が上記の第2群以外であり、構造物14をナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜で被覆する場合は、予め、構造物14の表面にナノカーボンを製膜しておくとよい。上記製膜したナノカーボンはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜のナノカーボン源として、また炭素源としても働く。
ナノカーボン材料としては、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、C60やC70に代表されるフラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンなどから選ばれる少なくとも1つが選択される。
第5の工程として、加熱処理を行う。
この際、炭素源担持体11、炭素源12、合金フラックス13、構造物14を適当な蓋付きの容器内に収納する。
これは加熱時に合金フラックス13の流動や蒸散を防ぐためである。適当な温度まで加熱を行うと、合金フラックス13が溶融し、合金フラックス13中に炭素源12に含まれる炭素が溶解する。また、構造物14がナノカーボンで製膜されている場合は、ナノカーボンを構成する炭素の一部も合金フラックス中13に溶解する。
加熱する手段としては、次の3つの方法を適宜用いることが可能である。
第1の加熱方法は、電気炉、赤外線ランプによる加熱方法である。第2の加熱方法は、高周波誘導加熱装置を用いる加熱方法である。第3の加熱方法は、マイクロ波誘電加熱装置を利用する加熱方法である。
加熱する温度は800℃以上である。
前述の通り、加熱温度は、合金液体化のための温度条件(条件A)とグラフェン・グラファイト形成のための温度条件(条件B)の両者から決定される。
第6の工程として、冷却処理を行う。
冷却を行うと、合金フラックス13中に溶解した炭素がグラフェン・グラファイトとして構造物14の表面に析出する。なお、構造物14がナノカーボンで構成されている場合、もしくは構造物14がナノカーボンで表面被覆されている場合は、溶解炭素によるナノカーボンの再構成とグラフェン・グラファイト生成が協奏的に進行することで、ナノカーボンとグラフェン・グラファイトとが強固な共有結合を介して融合した複合化膜が形成される。これらの膜を持って構造物14の被覆とする。
冷却処理の条件は次の通りである。
単位時間当たりの降下温度、すなわち、冷却速度は小さい程、高品質のグラフェン・グラファイトが得られる。例えば、加熱した温度から400℃までの範囲で、100℃/分以下が望ましく、10℃/分以下がより望ましく、1℃/分以下であればさらに好ましい。なお、400℃以下では自然放熱による冷却で構わない。
ここで、100℃/分以下という冷却速度の上限は、合金フラックス13中の溶解炭素をアモルファスとして析出させないために許される最高速度である。グラフェンやグラファイトの品質はラマンスペクトルに現れるDバンドとGバンドの強度比であるD/G比を指標として定量化可能で、D/G比は低い程、グラフェン・グラファイトの品質が高い。例えば、冷却速度を10℃/分以下にすると、D/G比≦0.2である、高品質なグラフェン・グラファイトを形成することが可能である。さらに、冷却速度が1℃/分以下であれば、D/G比≦0.1である、特に高品質なグラフェン・グラファイトを得ることが出来る。
第7の工程として、合金フラックスの除去を行う。
冷却後、合金フラックス13は合金比率に依存して液体もしくは個体の状態である。液体の場合は物理的な吸引により大部分を取り除く。固体の場合は自然剥離する。もし、図6(e)に示すように、合金フラックス13の残渣15がある場合は酸・アルカリ処理で化学的に溶解除去する。
合金フラックス13の残渣を溶解する酸としては、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)などを用いることが可能である。金属2がガリウムやアルミニウムのような両性金属の場合は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液を用いることも可能である。洗浄は適当な加温のもと、洗浄液に全体を浸漬すると、洗浄効果が高い。
なお、使用後の合金フラックス13はフラックスとして再利用可能である。フラックスの再生は製造コストを顕著に低下させる効果がある。
以上の工程を経て、図6(f)に示すように、最終的にグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトとの複合化膜16で被覆された構造物17が得られる。
本実施形態は以下のような効果がある。第1の効果は、典型元素金属と遷移金属を含む合金フラックスを用いる液相成長法を用いることで、不純物を含まず、構造的欠陥がなく、また、膜厚が100nm以上で制御されたグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜による被覆を実現した対象物を提供することができる。特に、sp系炭素材料表面において、グラファイト構造による完全結晶化と厚膜化を同時に達成できる。
第2の効果は、典型元素金属と遷移金属を含む合金フラックスを用いる液相成長法を用いることで、低製造コスト、省エネルギー、低環境負荷を実現した、任意形状を持つ対象物に膜厚が100nm以上のグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を被覆する製造方法を提供することができる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を詳細に説明する。
(比較例)
本比較例では、典型元素金属のみをフラックスとして液相成長を試みても、膜厚が100nm以上のグラフェン・グラファイト膜の被膜が望めないことを証明する目的で、ガリウムのみを用いた液相成長について説明する。次いで、ガリウムと比較しで、炭素溶解度が著しく高い遷移金属のみをフラックスとして液相成長を試みても、グラフェン・グラファイト膜の形成が不可能であることを証明する目的で、鋼鉄(SUS304)を用いた液相成長について説明する。
製造は図3示す製造方法の工程に従い行った。
第1の手順として、炭素繊維強化炭素複合材料基板を炭素源・被覆対象物として、2枚用意した。
なお、炭素繊維強化炭素複合材料基板は表面を研磨した。研磨する理由は、基板上に元々存在する凹凸を無くすことで、液相成長法の適用前後の変化を定量的に評価するためである。研磨の効果は、図7(a)、(b)の炭素繊維強化炭素複合材料基板表面の光学顕微鏡像で示される。(a)の研磨前の場合、凹凸の高低差が±100μmであるのに対し、(b)の研磨後の場合では、高低差が±10nmまで減少する。これにより、例えば、液相成長法で製造されるグラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の膜厚を正確に測定出来るようになる。
第2の手順として、1枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、1枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板上にフラックスを配置した。フラックスがガリウムの場合は液体なのでピペット等で定量し、SUS304の場合は固体なので切片を秤量して配置した。次いで、合金フラックス上に、2枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した。
第3の手順として、上記で用意した反応容器を電気炉にセットした後、真空までポンプで排気した。次いで、系内の揮発性不純物を除去する目的で、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持した。その後、300℃から1500℃まで120分間掛けて加熱した後、1500℃から700℃まで80分掛けて冷却した。最後に、700℃から室温まで自然放熱で冷却した。
第4の手順として、基板からフラックスを除去した。フラックスがガリウムの場合、室温(約20℃)でも一旦溶融したガリウムは過冷却状態にあるため液体であった。大部分のガリウムをピペット等で吸引除去後、基板上のガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。最後に、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した。
フラックスがSUS304の場合は、フラックスが基板に固着し剥離できなかったため、120℃の塩酸中で基板を120分間浸漬し、フラックスを溶解除去した。しかし、酸処理では完全に除去出来ない部分が見られ、恐らく炭化物(FeCなど)の固着に由来すると考えられる。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。最後に、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した。
次に、本比較例の結果について説明する。
図7(c)、(d)は、それぞれ、ガリウムのみ、SUS304のみをフラックスとして用いた液相成長法を適用した結果得られる炭素繊維強化炭素複合材料表面の光学顕微鏡像である。
(c)のフラックスがガリウムのみの場合、グラフェン・グラファイト膜は一枚板ではなく疎らに成長しており、個々のグラフェン・グラファイト結晶の2次元的なサイズも1μm以下とかなり小さい。グラフェン・グラファイト膜の膜厚は平均25nmであり、膜厚100nmには遠く及ばない。
また、(d)のフラックスがSUS304のみの場合、フラックスが基板に固着した結果、基板上は非常に荒れた状態となる。この観察結果は遷移金属のみでは剥離性が確保できないことを意味する。さらに、重要な点はグラフェン・グラファイト膜の成長は全く観察されないことである。この観察結果は、遷移金属のみのフラックスの場合、溶解した炭素がグラフェン・グラファイトとして析出せずに、遷移金属と化合した炭化物(FeCなど)として析出したためと解釈できる。後者の原因は遷移金属のみでは炭素溶解度が大き過ぎることに起因すると考えられる。
最後に、本比較例の結論を述べる。
以上の結果から、ガリウムのみをフラックスとして液相成長を試みても、膜厚が100nm以上のグラフェン・グラファイト膜の被膜が望めないことが証明される。また、ガリウムと比較して炭素溶解度が著しく高い遷移金属のみをフラックスとして液相成長を試みても、グラフェン・グラファイト膜の形成は不可能であることが証明される。
(実施例1)
本実施例では、上記で説明した条件C、すなわち、グラフェン・グラファイト膜の膜厚が100nm以上と遷移金属添加の効果が顕著となる合金フラックス中の遷移金属比率の下限を決定する目的で、合金フラックスを用いた液相成長法により、炭素繊維強化炭素複合材料をグラフェン・グラファイト膜で被覆した結果について述べる。ここでは、ガリウム・ニッケル合金を合金フラックスとして用いた場合を説明する。
製造は図6に示す製造方法の工程に従った。具体的な手順は以下の通りである。
第1の手順として、表面研磨した炭素繊維強化炭素複合材料基板を炭素源・被覆対象物としてとして、2枚用意した。
第2の手順として、1枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、1枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板上に、合金フラックスとして液体のガリウムと固体のニッケルを配置した。なお、合金フラックス中のニッケル比率が、それぞれ、1重量%(Ga:Ni=99:1)、3重量%(Ga:Ni=97:3)、10重量%(Ga:Ni=90:10)になるように調整したものを用意した。なお、比較のために、ニッケルを含まないガリウム100%のフラックスも用意した。次いで、合金フラックス上に、2枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した。
第3の手順として、上記で用意した反応容器を電気炉にセットした後、真空までポンプで排気した。
次いで、系内の揮発性不純物を除去する目的で、室温からさらに、ガリウムとニッケルを溶融し均一な合金にする目的で、1300℃まで120分掛けて加熱して60分間同温度を保持した後、700℃まで60分間掛けて冷却した。その後、700℃から1300℃まで60分間掛けて加熱した後、1300℃から700℃まで60分掛けて冷却した。この1300℃加熱・700℃冷却を合計10回繰り返した。この操作は多核発生を抑制し、グラフェン・グラファイト膜が2次元面内で広域に成長することを促進するためである。最後に、自然放熱で室温まで冷却した。
なお、液相成長前後でフラックス重量を比較したところ、フラックス中へのニッケル添加により、フラックス中のガリウムの蒸散が抑制されることが確認された。
第4の手順として、基板から合金フラックスを除去した。室温において、合金フラックスはニッケル比率が1重量%以下でほぼ液体、3重量%から10重量%までの範囲では液体のガリウム中に固体の金属化合物(GaNi)が分散している状態であった。従って、図6の工程に従い、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した。
次に、本実施例の結果について説明する。
図8を参照すると、(a)がガリウムのみ、(b)、(c)、(d)がガリウム・ニッケル合金フラックスを用いた液相成長法により製造されたグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像である。
(a)のフラックスがガリウムのみの場合、加熱・冷却の繰り返し効果により、グラフェン・グラファイト結晶サイズは10μm程度と、比較例(図7(c)参照)と比較して大きくなるものの、グラフェン・グラファイト膜の成長は疎密が見られ、膜厚は平均50nmと100nmに達しない。
一方、(b)のフラックスがニッケル比率1重量%であるガリウム・ニッケル合金の場合、グラフェン・グラファイト結晶の密度が増し、膜厚は平均100nmと目標値を達成する。さらに合金フラックス中のニッケル比率を増加させると、ニッケル比率がそれぞれ3重量%、10重量%であるガリウム・ニッケル合金フラックスを用いた場合の(c)、(d)が示すように、グラフェン・グラファイト結晶の密度が更に増加して行き、最終的に、合金フラックス中のニッケル比率が10重量%ではグラフェン・グラファイト膜が基板全面を覆うようになる。グラフェン・グラファイト膜の平均膜厚は、それぞれ(c)、(d)で、300nm、1μmである。なお、グラフェン・グラファイト膜の膜厚は合金フラックス中のニッケル比率の増加関数となる。また(b)、(c)、(d)とも表面に炭化物の析出は見られない。
最後に、本実施例の結論を述べる。
以上、本実施例が示すように、フラックス中へのニッケル添加は、ガリウム蒸散の抑制に加え、グラフェン・グラファイト膜の厚膜化に顕著な効果があることが確認される。合金フラックス中のニッケル比率が1重量%での時、グラフェン・グラファイト膜の膜厚は100nmに達する。この傾向は合金フラックス中に添加する遷移金属が鉄、コバルトなどの場合も同様である。従って、条件C、すなわち、グラファイト膜の膜厚が100nm以上と遷移金属添加の効果が顕著となる合金中の遷移金属比率の下限は1重量%と決定される。
(実施例2)
本実施例では、上記に説明した条件C、すなわち、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率の上限、ならびに、条件C、すなわち、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率の上限を決定する目的で、合金フラックスを用いた液相成長法により、炭素繊維強化炭素複合材料をグラフェン・グラファイト膜で被覆した結果について述べる。ここでは、ここでは、ガリウム・鉄合金をフラックスとして用いた場合を説明する。
製造は図6示す製造方法の工程に従った。具体的な手順は以下の通りである。
第1の手順として、表面研磨した炭素繊維強化炭素複合材料基板を炭素源・被覆対象物として、2枚用意した。
第2の手順として、1枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、1枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板上に、合金フラックスとして液体のガリウムと固体の鉄を配置した。なお、合金フラックス中の鉄比率は、それぞれ、20重量%(Ga:Fe=80:20)、30重量%(Ga:Fe=70:30)、40重量%(Ga:Fe=60:40)、50重量%(Ga:Fe=50:50)になるように調整した。次いで、合金フラックス上に、2枚目の炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した。
第3の手順として、上記で用意した反応容器を電気炉にセットした後、真空までポンプで排気した。次いで、系内の揮発性不純物を除去する目的で、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持した。さらに、ガリウムと鉄を溶融し均一な合金にする目的で、1300℃まで120分掛けて加熱して60分間同温度を保持した後、700℃まで60分間掛けて冷却した。その後、700℃から1300℃まで60分間掛けて加熱した後、1300℃から700℃まで60分掛けて冷却した。この1300℃加熱・700℃冷却を合計10回繰り返した後、自然放熱で室温まで冷却した。
第4の手順として、基板から合金フラックスを除去した。室温において、合金フラックスは遷移金属比率が20重量%以上で固体であり、この実施例において、どのガリウム・鉄合金フラックスも基板に固着せず自然剥離が可能であった。なお、光学顕微鏡による観察では基板上に合金フラックスの残渣は確認されなかった。
次に、本実施例の結果について説明する。
図9は、ガリウム・鉄合金フラックスを用いた液相成長法により製造されたグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像である。図9(a)、(b)、(c)、(d)は合金フラックス中の鉄比率が、それぞれ、20重量%(Ga:Fe=80:20)、30重量%(Ga:Fe=70:30)、40重量%(Ga:Fe=60:40)、50重量%(Ga:Fe=50:50)の場合である。
(a)の合金フラックス中の鉄比率が20重量%の場合、厚膜で一枚板のグラフェン・グラファイト膜により、基板表面全体が完全に被覆されている。グラフェン・グラファイト膜の2次元的な広がりは数十μm四方に及び、その平均膜厚は2μmである。基板表面に元々存在する空隙もグラフェン・グラファイト膜で穴埋めされ、グラフェン・グラファイト膜は基板と緻密に密着し、一体化している。
一方、(b)の合金フラックス中の鉄比率が30重量%の場合、表面は平滑でラフニングは観察されないものの、グラフェン・グラファイト膜は全く形成されていない。また、炭化物(FeC)の痕跡も表面に存在しない。この観察結果は、鉄比率が30重量%のフラックスの場合、その炭素溶解度がグラフェン・グラファイト形成に対して多大過ぎることを意味する。その原因は、合金フラックス中でグラファイト化と炭化物化が競合しており、溶解炭素濃度が高い場合、グラフェン・グラファイト形成ではなく、炭化物形成が優先するためと考えらえる。炭化物が表面に見られないのは、合金フラックス内部に炭化物が滞留しているためと考えられる。
(c)の鉄比率が40重量%の場合、(d)の50重量%の場合でも、グラフェン・グラファイト膜の成長は全く見られない。しかも、基板表面に存在する炭素繊維の内部がえぐられたように浸食されてしまう。この観察結果は、上記解釈と符合し、基板表面の炭素が合金フラックス中に炭化物として取り込まれたまま排出されないためと考えられる。以上の結果から、上限値Cは20重量%と決定できる。
なお、合金フラックス中の鉄比率が50重量%より大きくなるにつれ、合金フラックスと基板の分離が徐々に困難になり、剥離性が喪失して行くことが別途実験から分かっている。この結果から、上限値Cは50重量%と決定できる。
最後に、本実施例の結論を述べる。
ガリウム・鉄合金フラックスの場合、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率は20重量%以下であること、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率は50重量%以下であることが結論付けられる。
(実施例3)
本実施例では、上記に説明した条件C、すなわち、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率の上限、ならびに、条件C、すなわち、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率の上限を決定する目的で、合金フラックスを用いた液相成長法により、炭素繊維強化炭素複合材料をグラフェン・グラファイト膜で被覆した結果について述べる。ここでは、ここでは、ガリウム・コバルト合金をフラックスとして用いた場合を説明する。
製造は図6示す製造方法の工程に従った。具体的手順は実施例2と同様である。
次に、本実施例の結果について説明する。
図10は、ガリウム・コバルト合金フラックスを用いた液相成長法により製造されたグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像である。図10(a)、(b)、(c)、(d)は合金フラックス中のコバルト比率が、それぞれ、20重量%(Ga:Co=80:20)、30重量%(Ga:Co=70:30)、40重量%(Ga:Co=60:40)、50重量%(Ga:Co=50:50)の場合である。
(a)、(b)の合金フラックス中のコバルト比率が、それぞれ20重量%、30重量%の場合、両者とも厚膜で一枚板のグラフェン・グラファイト膜により、基板表面全体が完全に被覆されている。両者のグラフェン・グラファイト膜の2次元的な広がりは数十μm四方に及び、その平均膜厚は、それぞれ、2μm、3μmである。基板表面に元々存在する空隙もグラフェン・グラファイト膜で穴埋めされ、両者ともグラフェン・グラファイト膜は基板と緻密に密着し、一体化している。
一方、(c)の合金フラックス中のコバルト比率が40重量%の場合、表面は平滑でラフニングは観察されないものの、グラフェン・グラファイト膜は全く形成されていない。また、炭化コバルトの痕跡も表面に存在しない。
この観察結果は、コバルト比率が40重量%の合金フラックス場合、その炭素溶解度がグラフェン・グラファイト形成に対して多大過ぎることを意味する。その原因は、合金フラックス中でグラファイト化と炭化物化が競合しており、溶解炭素濃度が高い場合、グラフェン・グラファイト形成ではなく、炭化物形成が優先するためと考えらえる。炭化物が表面に見られないのは、合金フラックス内部に炭化物が析出するからと考えられる。
(d)の合金フラックス中のコバルト比率が50重量%の場合でもグラフェン・グラファイト膜の成長は全く見られない。しかも、基板表面に存在する炭素繊維の内部がえぐられたように浸食されてしまう。この観察結果は、上記解釈と符合し、基板表面の炭素が合金フラックス中に炭化物として取り込まれたまま排出されないためと考えられる。以上の結果から、上限値Cは30重量%と決定できる。
なお、鉄添加合金フラックスの場合と同様に、合金フラックス中のコバルト比率が50重量%より大きくなるにつれ、合金フラックスと基板の分離が徐々に困難になり、剥離性が喪失して行く。この結果から、上限値Cは50重量%と決定できる。
最後に、本実施例の結論を述べる。
ガリウム・コバルト合金フラックスの場合、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率は30重量%以下であること、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率は50重量%以下であることが結論付けられる。
(実施例4)
本実施例では、上記に説明した条件C、すなわち、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率の上限、ならびに、条件C、すなわち、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率の上限を決定する目的で、合金フラックスを用いた液相成長法により、炭素繊維強化炭素複合材料をグラフェン・グラファイト膜で被覆した結果について述べる。ここでは、ここでは、ガリウム・ニッケル合金をフラックスとして用いた場合を説明する。
製造は図6示す製造方法の工程に従った。具体的手順は実施例1,2,3と同様である。
次に、本実施例の結果について説明する。
図11は、ガリウム・ニッケル合金フラックスを用いた液相成長法により製造されたグラフェン・グラファイト膜被覆炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像である。
図11(a)、(b)、(c)、(d)は合金フラックス中のニッケル比率が、それぞれ、20重量%(Ga:Ni=80:20)、30重量%(Ga:Ni=70:30)、40重量%(Ga:Ni=60:40)、50重量%(Ga:Ni=50:50)の場合である。
(a)、(b)、(c)の合金フラックス中のニッケル比率が、それぞれ20重量%、30重量%、40重量%の場合、3者とも厚膜で一枚板のグラフェン・グラファイト膜により、基板表面全体が完全に被覆されている。3者のグラフェン・グラファイト膜の2次元的な広がりは数十μm四方に及び、その平均膜厚は、それぞれ、2μm、3μm、4μmである。基板表面に元々存在する空隙もグラフェン・グラファイト膜で穴埋めされ、3者ともグラフェン・グラファイト膜は基板と緻密に密着し、一体化している。
一方、(d)の合金フラックス中のコバルト比率が50重量%の場合、表面は平滑でラフニングは観察されないものの、グラフェン・グラファイト膜は全く形成されていない。また、炭化物の痕跡も表面に存在しない。
この観察結果は、ニッケル比率が50重量%の合金フラックスの場合、その炭素溶解度がグラフェン・グラファイト形成に対して多大過ぎることを意味する。その原因は、合金フラックス中でグラファイト化と炭化物化が競合しており、溶解炭素濃度が高い場合、グラフェン・グラファイト形成ではなく、炭化物形成が優先するためと考えらえる。炭化物が表面に見られないのは、合金フラックス内部に準安定な炭化物が析出するからと考えられる。以上の結果から、上限値Cは40重量%と決定できる。
なお、鉄添加、コバルト添加合金フラックスの場合と同様に、合金フラックス中のニッケル比率が50重量%より大きくなるにつれ、合金フラックスと基板の分離が徐々に困難になり、剥離性が喪失して行く。この結果から、上限値Cは50重量%と決定できる。
最後に、本実施例の結論を述べる。
ガリウム・ニッケル合金フラックスの場合、加熱時に典型元素金属と遷移金属の合金フラックス中に溶解した炭素が冷却時に遷移金属と化合した炭化物として析出しない遷移金属比率は40重量%以下であること、典型元素金属添加による剥離性が担保される合金フラックス中の遷移金属比率は50重量%以下であることが結論付けられる。
なお、他の遷移金属において、条件Cが40重量%を超えるものは見つからず、また、条件Cは50重量%以下であった。
従って、一般的に、条件Cにおける典型元素金属・遷移金属合金フラックス中の遷移金属比率の上限は40重量%と結論付けられる。
(実施例5)
本実施例では、100nm以上の膜厚を持つ、各種ナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜によって炭素材料を被覆することが可能であることを証明する。
製造は図6に示す製造方法の工程に従った。具体的な手順は以下の通りである。
第1の手順として、ナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜のナノカーボン源として、カーボンナノホーン、単層カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、ナノダイヤモンドの水懸濁液を用意した。
それぞれの懸濁液濃度は、0.1mg/ml、1mg/ml、1mg/ml、5mg/mlである。スピンコート法もしくは滴下法を用いて、表面研磨した炭素繊維強化炭素複合材料基板上に、それぞれの懸濁液を塗布した。塗布膜の平均膜厚は、それぞれ、カーボンナノホーンの場合が100nm、単層カーボンナノチューブの場合が200nm、酸化グラフェンの場合が400nm、ナノダイヤモンドの場合が1μmである。
第2に、ナノカーボン塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、ナノカーボン塗布基板上に、合金フラックスとして液体のガリウムと固体のニッケルを配置した。なお、合金フラックス中のニッケル比率は10重量%(Ga:Ni=90:10)である。次いで、合金フラックス上に、炭素源として上述の炭素繊維強化炭素複合材料を配置した。
第3の手順として、上記で用意した反応容器を電気炉にセットした後、真空までポンプで排気した。次いで、系内の揮発性不純物を除去する目的で、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持した。さらに、ガリウムとニッケルを溶融し均一な合金にする目的で、1300℃まで120分掛けて加熱して60分間同温度を保持した後、700℃まで60分間掛けて冷却した。その後、700℃から1300℃まで60分間掛けて加熱した後、1300℃から700℃まで60分掛けて冷却した。最後に、700℃から室温まで自然放熱で冷却した。
第4の手順として、基板から合金フラックスを除去した。室温において、合金フラックスは液体のガリウム中に固体の金属化合物(GaNi)が分散している状態であった。従って、図6の工程に従い、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した。
次に、本実施例の結果について説明する。
図12を参照すると、ガリウム・ニッケル合金フラックスを用いた液相成長法により製造されたナノカーボンとグラフェン・グラファイト膜の複合化膜被覆の炭素繊維強化炭素複合材料の光学顕微鏡像である。ナノカーボンの種類は、(a)カーボンナノホーン、(b)単層カーボンナノチューブ、(c)酸化グラフェン、(d)ナノダイヤモンドである。それぞれのナノカーボンは液相成長で形成されるグラフェン・グラファイトと炭素−炭素の共有結合を介して融合・一体化している。それぞれの平均膜厚は、300nm、400nm、600nm、1.2μmであり、それぞれ、液相成長前から膜厚は約200nm増加している。この膜厚の増分は、複合化膜中のグラフェン・グラファイトが主に炭素源として合金フラックス上に配置した炭素繊維強化炭素複合材料由来の炭素から成長したということで説明可能である。さらに、これら複合化膜ナノカーボンを製膜した炭素繊維強化炭素複合材料とも一体化している。なお、別途の測定から、これら複合化膜は優れた機械的特性、化学的特性、電子的特性、熱特性を兼ね備えていることが判明している。
最後に、本実施例の結論を述べる。
以上、本実施例の結果より、100nm以上の膜厚を持つ、各種ナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜によって炭素材料を被覆することが可能であることを証明される。
(実施例6)
本実施例では、100nm以上の膜厚を持つ、単層カーボンナノチューブとグラフェン・グラファイトの複合化膜によって、様々な耐熱材料を被覆することが可能であることを証明する。
製造は図6に示す製造方法の工程に従った。具体的な手順は以下の通りである。
第1の手順として、ナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜のナノカーボン源として、単層カーボンナノチューブの水懸濁液を用意した。それぞれの懸濁液濃度は1mg/mlである。スピンコーターを用いて、単結晶サファイア:Al(0001)基板、単結晶サファイア:Al(1−100)基板、単結晶石英:SiO(0001)、単結晶炭化ケイ素:6H−SiC(0001)基板上に、上記懸濁液を塗布した。塗布膜の平均膜厚は、それぞれ、100nm、100nm、200nm、200nmである。
第2の手順として、それぞれの単層カーボンナノチューブ塗布基板をガラス状炭素製の反応容器に納め、単層カーボンナノチューブ塗布基板上にそれぞれ、合金フラックスとして液体のガリウムと固体のニッケルを配置した。なお、合金フラックス中のニッケル比率は10重量%(Ga:Ni=90:10)である。次いで、合金フラックス上に、補助の炭素源として炭素繊維強化炭素複合材料基板を配置した。
第3の手順として、上記で用意した反応容器を電気炉にセットした後、真空までポンプで排気した。次いで、系内の揮発性不純物を除去する目的で、室温から300℃まで加熱して60分間同温度を保持した。さらに、ガリウムとニッケルを溶融し均一な合金にする目的で、1000℃まで120分掛けて加熱して60分間同温度を保持した後、700℃まで60分間掛けて冷却した。その後、700℃から1000℃まで60分間掛けて加熱した後、1000℃から700℃まで60分掛けて冷却した。その後、700℃から室温まで自然放熱で冷却した。
第4の手順として、基板から合金フラックスを除去した。室温において、合金フラックスは液体のガリウム中に固体の金属化合物(GaNi)が分散している状態であった。従って、図6の工程に従い、ガリウム残渣を完全に取り除くために120℃の塩酸中で基板を30分間浸漬した。次いで、水、アセトン、イソプロピルアルコールの順で基板を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。また、必要に応じて、基板を30分間、200℃で加熱して水、溶媒などを除去した。
次に、本実施例の結果について説明する。
図13を参照すると、ガリウム・ニッケル合金フラックスを用いた液相成長法により製造された単層カーボンナノチューブとグラフェン・グラファイト膜複合化膜被覆の各種耐熱材料基板の光学顕微鏡像である。耐熱材料の種類は、(a):Al(0001)、(b):Al(1−100)、(c)SiO(0001)、(d)6H−SiC(0001)である。それぞれの耐熱基板材料上、単層カーボンナノチューブは液相成長で形成されるグラフェン・グラファイトと炭素−炭素の共有結合を介して融合・一体化している。それぞれの平均膜厚は、150nm、150nm、250nm、250nmであり、それぞれ、液相成長前から膜厚は約50nm増加している。この膜厚の増分は、複合化膜中のグラフェン・グラファイトが主に炭素源として合金フラックス上に配置した炭素繊維強化炭素複合材料由来の炭素から成長したということで説明可能である。さらに、これら複合化膜は下地の耐熱材料基板に密着している。なお、別途の測定から、これら複合化膜は優れた機械的特性、化学的特性、電子的特性、熱特性を兼ね備えていることが判明している。
最後に、本実施例の結論を述べる。
以上、本実施例の結果より、100nm以上の膜厚を持つ、単層カーボンナノチューブとグラフェン・グラファイトの複合化膜によって、様々な耐熱材料を被覆することが可能であることを証明される。
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
(a)典型元素金属と遷移金属を含む合金を炭素源に接触させ、前記合金を加熱することで、前記合金中に前記炭素源の表面の炭素を溶解させ、
(b)前記合金を冷却することで、前記合金に接触させた対象物の表面にグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を析出させる、
ことを特徴とするグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法。
(付記2)
前記グラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の膜厚が100nm以上である付記1に記載の形成方法。
(付記3)
前記典型元素金属は、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する、付記1または2に記載の形成方法。
(付記4)
前記遷移元素金属は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する、付記1から3のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記5)
前記合金中の前記遷移金属の重量比率が1重量%以上40重量%以下である付記1から4のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記6)
前記炭素源は、炭素材料、ナノカーボン材料、低分子有機化合物、人工高分子有機化合物、天然高分子有機化合物、炭素を含む無機化合物を有する群から選ばれる少なくとも1つを有し、
前記炭素材料は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、ダイヤモンド、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料の内の少なくとも一種を含み、
前記ナノカーボン材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンの内の少なくとも一種を含み、
前記低分子有機化合物は、メタロセン、ナフタレン、アントラセン、ペンタセンの内の少なくとも一種を含み、
前記人工高分子有機化合物は、テフロン、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、ポリエチレンの内の少なくとも一種を含み、
前記天然高分子有機化合物は、タンパク質、核酸、脂質、多糖類の内の少なくとも一種を含み、
前記炭素を含む無機化合物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)の内の少なくとも一種を含む、付記1から5のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記7)
前記耐熱性材料は、炭素材料、ナノカーボン材料、窒化物、炭化物、フッ化物、雲母(マイカ)、及びダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1つを有し、
前記炭素材料は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、ダイヤモンド、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料の内の少なくとも一種を含み、
前記ナノカーボン材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンの内の少なくとも一種を含み、
前記酸化物は、石英(SiO)、アルミナやサファイア(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア(ZrO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)の内の少なくとも一種を含み、
前記窒化物は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)の内の少なくとも一種を含み、
前記炭化物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)。炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)の内の少なくとも一種を含み、
前記フッ化物は、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)の内の少なくとも一種を含む、付記1から6のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記8)
前記対象物上に予めナノカーボン材料が形成されている付記1から7のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記9)
前記対象物に製膜されている前記ナノカーボン材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記10)
前記グラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を析出させた後に前記合金を除去する請求項1から9のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記11)
前記対象物は耐熱性を有する付記1から10のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記12)
前記合金の加熱温度は800℃以上である付記1から11のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記13)
前記合金の冷却速度は100℃/分以下である付記1から12のいずれか1項に記載の形成方法。
(付記14)
前記合金の加熱と冷却を繰り返す付記1から13に記載のいずれか1項の形成方法。
本発明の活用例として、炭素材料からなる中間材料、例えば、釣竿、テニスやバトミントンのラケットなどスポーツ・レジャー用品、各種工業機器やX線関連の医療機器の部材、土木建築や航空宇宙分野の構造材、宇宙エレベーターのケーブル、電機産業における電極などの電子部品、放熱材、ヒートパイプなどが挙げられる。
また、本発明は各種耐熱性無機材料の表面強化を目的とした化学、材料などの産業分野で活用することが可能である。
さらに、本発明によれば、ナノカーボンとグラフェンが持つ例外的な電子物性や光学特性、優れた機械的特性や化学的特性を融合することが可能なので、本発明は次世代のエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、スピントロニクスなどの産業分野での活用が期待される。
1 炭素源
2 フラックス
3 被覆対象物
4 炭素
5 グラフェン・グラファイト膜
11 炭素源担持体
12 炭素源
13 合金フラックス
14 構造物
15 残渣
16 グラフェン・グラファイト膜、またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトとの複合化膜

Claims (10)

  1. (a)典型元素金属と遷移金属を含む合金を炭素源に接触させ、前記合金を加熱することで、前記合金中に前記炭素源の表面の炭素を溶解させ、
    (b)前記合金を冷却することで、前記合金に接触させた対象物の表面にグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を析出させる、
    ことを特徴とするグラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の形成方法。
  2. 前記グラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜の膜厚が100nm以上である請求項1に記載の形成方法。
  3. 前記典型元素金属は、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する、請求項1または2に記載の形成方法。
  4. 前記遷移元素金属は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)からなる群から選ばれる少なくとも1つを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の形成方法。
  5. 前記合金中の前記遷移金属の重量比率が1重量%以上40重量%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の形成方法。
  6. 前記炭素源は、炭素材料、ナノカーボン材料、低分子有機化合物、人工高分子有機化合物、天然高分子有機化合物、炭素を含む無機化合物を有する群から選ばれる少なくとも1つを有し、
    前記炭素材料は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、ダイヤモンド、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料の内の少なくとも一種を含み、
    前記ナノカーボン材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンの内の少なくとも一種を含み、
    前記低分子有機化合物は、メタロセン、ナフタレン、アントラセン、ペンタセンの内の少なくとも一種を含み、
    前記人工高分子有機化合物は、テフロン、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、ポリエチレンの内の少なくとも一種を含み、
    前記天然高分子有機化合物は、タンパク質、核酸、脂質、多糖類の内の少なくとも一種を含み、
    前記炭素を含む無機化合物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)の内の少なくとも一種を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の形成方法。
  7. 前記耐熱性材料は、炭素材料、ナノカーボン材料、窒化物、炭化物、フッ化物、雲母(マイカ)、及びダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1つを有し、
    前記炭素材料は、アモルファス炭素、ガラス状炭素、結晶性グラファイト、ダイヤモンド、炭素繊維、炭素繊維強化炭素複合材料の内の少なくとも一種を含み、
    前記ナノカーボン材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンの内の少なくとも一種を含み、
    前記酸化物は、石英(SiO)、アルミナやサファイア(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)、ジルコニア(ZrO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)の内の少なくとも一種を含み、
    前記窒化物は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化炭素(C)、窒化炭素ホウ素(BCN)の内の少なくとも一種を含み、
    前記炭化物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、炭化アルミニウム(Al)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)。炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化クロム(CrC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化タングステン(WC)の内の少なくとも一種を含み、
    前記フッ化物は、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)の内の少なくとも一種を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の形成方法。
  8. 前記対象物上に予めナノカーボン材料が形成されている請求項1から7のいずれか1項に記載の形成方法。
  9. 前記対象物に製膜されている前記ナノカーボン材料は、カルビン、単層ナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノホーン、酸化グラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1つを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の形成方法。
  10. 前記グラフェン・グラファイト膜またはナノカーボンとグラフェン・グラファイトの複合化膜を析出させた後に前記合金を除去する請求項1から9のいずれか1項に記載の形成方法。
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