本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層、金属層、及びシーラント層をこの順に有する積層体からなる電池用包装材料であって、電池用包装材料をヒートシールして電池素子を密閉した状態で昇温すると、密閉状態を保持したまま金属層とシーラント層の外側表面との間の少なくとも一部において剥離が生じた後、開封状態に移行するように作動することを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料は、少なくとも、基材層1、金属層3、及びシーラント層4をこの順に有する積層体からなる。本発明の電池用包装材料が電池に使用される際には、基材層1が最外層になり、シーラント層4が最内層(電池素子側)になる。電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置するシーラント層4同士を接面させて熱溶着することにより電池素子が密封され、電池素子が封止される。図1に示すように、本発明の電池用包装材料は、基材層1と金属層3との間に接着層2を有していてもよい。また、図2に示すように、本発明の電池用包装材料は、金属層3とシーラント層4との間に接着層5を有していてもよい。
2.電池用包装材料の開封機序
本発明の電池用包装材料は、電池内の圧力や温度の上昇がある一定の水準(例えば、電池内の温度が100〜160℃程度)になるまでは電池素子を密封した状態を維持できる密閉性と、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した状態になった時点で、金属層3とシーラント層4の外側表面(最内層側表面)との間で剥離した部分のシーラント層4にピンホール等の微細な開裂を迅速に生じさせる穏やかな開封性とを備えている。図3〜図8を用いて、本発明の電池用包装材料の開封機序の例を説明する。なお、図3及び図4については、本発明の電池用包装材料が接着層2を有する場合について説明しており、図5〜図8については、さらに接着層5を有する場合について説明している。図3〜図8のAには、本発明の電池用包装材料2枚に電池素子を封入した際の一方の側面の略図的断面図を示している。図3〜図8のAでは、2枚の電池用包装材料のシーラント層4同士の縁部がヒートシールされ密封空間を形成している。当該密封空間に電池素子が収容されるが、図3〜図8では電池素子については省略する。図3のAにおいて、(A−1)は、2枚の電池用包装材料が共に成形された場合の断面図を示しており、(A−2)は、1枚の電池用包装材料のみが成形された場合の断面図を示している。図示しないが、本発明においては、2枚の電池用包装材料が共に成形されていなくてもよい。また、本発明においては、2枚の電池用包装材料は互いに異なる積層構造を有していてもよく、例えば、一方の電池用包装材料が図3及び図4に示される接着層2を有さず、他方の電池用包装材料が図5〜図8に示される接着層2及び接着層5を有していてもよい。さらに、本発明においては、1枚の電池用包装材料のシーラント層4同士をヒートシールして密閉空間を形成してもよいし、複数枚の電池用包装材料のシーラント層4同士をヒートシールして密閉空間を形成してもよい。本発明の電池用包装材料は、少なくとも図3〜図8に示すいずれかの開封機序により、ある一定の水準(例えば、電池内の温度が100〜160℃程度)になるまでの密封性と、その後の速やかで穏やかな開封性を備えている。以下、図3〜図8においては、2枚の電池用包装材料が成形された断面図を用いて本発明の電池用包装材料の開封機序を説明するが、1枚の電池用包装材料が成形された場合、及び2枚とも成形されていない場合についても、同様の機序で開封する。
まず、図3に示す開封機序においては、図3のAの状態から、ある一定の温度まで昇温すると、図3のBに示すように、金属層3とシーラント層4の界面の少なくとも一部が剥離する(界面剥離)。このとき、好ましくは、シーラント層4の剥離した部分が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。続いて、図3のCに示す状態に迅速に移行し、金属層3から剥離したシーラント層4の領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図3中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図4に示す開封機序においては、図4のAの状態から、ある一定の温度まで昇温すると、図4のBに示すように、シーラント層4の内部で凝集剥離が生じる。このとき、好ましくは、シーラント層4の凝集剥離した部分が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。続いて、図4のCに示す状態に迅速に移行し、シーラント層4の凝集剥離した領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図4中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図5に示す開封機序においては、図5のAの状態から、ある一定の温度まで昇温すると、図5のBに示すように、金属層3と接着層5との界面の少なくとも一部で剥離する(界面剥離)。このとき、好ましくは、接着層5及びシーラント層4が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。続いて、図5のCに示す状態に迅速に移行し、金属層3から剥離した接着層5及びシーラント層4の領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図5中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図6に示す開封機序においては、図6のAの状態から、ある一定の温度まで昇温すると、図6のBに示すように、接着層5の内部で凝集剥離が生じる。このとき、好ましくは、接着層5の凝集剥離した部分及びこれに接するシーラント層4が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。続いて、図6のCに示す状態に迅速に移行し、接着層5の凝集剥離した領域及びこれに接するシーラント層4(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図6中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図7に示す開封機序においては、図7のAの状態から、ある一定の温度まで昇温すると、図7のBに示すように、接着層5とシーラント層4との界面の少なくとも一部で剥離する(界面剥離)。このとき、好ましくは、シーラント層4が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。続いて、図7のCに示す状態に迅速に移行し、接着層5から剥離したシーラント層4の領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図7中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
また、図8に示す開封機序においては、図8のAの状態から、ある一定の温度まで昇温すると、図8のBに示すように、シーラント層4の内部で凝集剥離が生じる。このとき、好ましくは、シーラント層4の凝集剥離した領域が袋状(内袋)になって電池素子が密封された状態を維持する。続いて、図8のCに示す状態に迅速に移行し、シーラント層4の凝集剥離した領域(好ましくは内袋)にピンホール等の微細な開裂(図8中の符号10で示す)が生じて穏やかな条件で開封状態になる。
なお、図示していないが、後述の通り、接着層5またはシーラント層4が複数の層から形成されている場合、接着層5またはシーラント層4の内部において剥離が生じる際には、複数の層の界面の少なくとも一部において、剥離が生じ、剥離した領域にピンホール等の微細な開裂が生じて、穏やかな条件で開封状態になることもある。
以上のように、本発明の電池用包装材料においては、ある一定の温度(例えば100〜160℃の範囲の温度)まで昇温すると、金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)との間の少なくとも一部(各層の界面の少なくとも一部又は各層の内部の少なくとも一部分)が剥離するが、シーラント層によって電池素子が密封されている状態を保持でき、その後、剥離した部分のシーラント層に、陣属にピンホール等の微細な開裂を生じさせて穏やかに開封できる。なお、開封の状態は、図3〜図8のうち2つ以上の組み合わせであってもよい。
一方、従来の電池用包装材料では、迅速に開封されず発火や爆発する場合や、ある温度に達すると密封状態から開封状態に急激に移行し、可燃性ガスや電解液の急激な噴出を引き起こす場合がある。ここで、従来の電池用包装材料において、シーラント層同士のヒートシール界面で開裂が急激に進行する界面剥離の状態の一例を図9のAに示す。また、従来の電池用包装材料において、シーラント層のヒートシール界面付近の内部で開裂が急激に進行する凝集剥離の状態の一例を図9のBに示す。また、従来の電池用包装材料において、シーラント層が根切れした後に層と層の間(シーラント層内の層間)で開裂が進行する層間剥離の状態の一例を図9のCに示す。なお、「根切れ」とは、ヒートシール部分の内縁にてシーラント層が破断されることをいう。本発明の電池用包装材料では、従来の界面剥離、凝集剥離、又は層間剥離を生じて急激な開封状態に移行させることがないため、従来の電池用包装材料に比して、電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した際の安全性に優れている。
3.電池用包装材料を形成する各層の組成
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は最外層を形成する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸−テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材を金属層3上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドラミ法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、UVやEBなどの電子線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の成分としてポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂が挙げられる。
基材層1には、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層1を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層1を低摩擦化するには、例えば、マット処理、スリップ剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
マット処理としては、予め基材層1にマット化剤を添加し表面に凹凸を形成したり、エンボスロールによる加熱や加圧による転写法や、表面を乾式又は湿式ブラスト法やヤスリで機械的に荒らす方法が挙げられる。マット化剤としては、例えば、粒径が0.5nm〜5μm程度の微粒子が挙げられる。マット化剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、マット化剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。マット化剤として、具体的には、はタルク,シリカ,グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化ネオジウム,酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム、炭酸カルシウム,ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム,シュウ酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらのマット化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのマット化剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはりシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、マット化剤には、表麺に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
スリップ剤の薄膜層は、基材層1上にスリップ剤をブリードアウトにより表面に析出させて薄層を形成させる方法や、基材層1にスリップ剤を積層することで形成できる。スリップ剤としては、特に制限されないが、例えば、エルカ酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイドやエチレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪酸アマイド、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーンをグラフトしたアクリル、シリコーンをグラフトしたエポキシ、シリコーンをグラフトしたポリエーテル、シリコーンをグラフトしたポリエステル、ブロック型シリコーンアクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン、パラフィン等が挙げられる。これらのスリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1の厚さは、例えば、7〜75μm、好ましくは12〜50μmが挙げられる。
[接着層2]
本発明の電池用包装材料において、接着層2は、基材層1と金属層3との接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。基材層1と金属層3とは直接積層されていてもよい。
接着層2は、基材層1と金属層3とを接着可能である接着樹脂によって形成される。接着層2の形成に使用される接着樹脂は、2液硬化型接着樹脂であってもよく、また1液硬化型接着樹脂であってもよい。更に、接着層2の形成に使用される接着樹脂の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層2の形成に使用できる接着樹脂の樹脂成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール樹脂系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂;フッ化エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの接着樹脂成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の接着樹脂成分の組み合わせ態様については、特に制限されないが、例えば、その接着樹脂成分として、ポリアミドと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリアミドとポリエステル、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、ポリエステルと金属変性ポリオレフィンとの混合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、展延性、高湿度条件下における耐久性や応変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層1と金属層3との間のラミネーション強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着樹脂;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
また、接着層2は異なる接着樹脂成分で多層化してもよい。接着層2を異なる接着樹脂成分で多層化する場合、基材層1と金属層3とのラミネーション強度を向上させるという観点から、基材層1側に配される接着樹脂成分を基材層1との接着性に優れる樹脂を選択し、金属層3側に配される接着樹脂成分を金属層3との接着性に優れる接着樹脂成分を選択することが好ましい。接着層2は異なる接着樹脂成分で多層化する場合、具体的には、金属層3側に配置される接着樹脂成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
接着層2の厚さについては、例えば、1〜50μm、好ましくは2〜25μmが挙げられる。
[金属層3]
本発明の電池用包装材料において、金属層3は、包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止するためのバリア層として機能する層である。金属層3を形成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好適に使用される。包装材料の製造時にしわやピンホールを防止するために、本発明において金属層3として、軟質アルミニウム、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS A8021P−O)又は(JIS A8079P−O)等を用いることが好ましい。
金属層3の厚さについては、例えば、10〜200μm、好ましくは15〜100μmが挙げられる。
また、金属層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止等のために、少なくとも一方の面、好ましくは少なくともシーラント層4側の面、更に好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、金属層3の表面に耐酸性皮膜を形成する処理である。化成処理は、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等のクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸等のリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理等が挙げられる。
一般式(1)〜(4)中、Xは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。また、R1及びR2は、同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。ことができる。一般式(1)〜(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、及び、ドロキシアルキル基のいずれかであることが好ましい。一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、約500〜約100万、好ましくは約1000〜約2万が挙げられる。
また、金属層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ等の金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、金属層3の表面に耐食処理層を形成する方法が挙げられる。また、耐食処理層の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層を形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノール等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの化成処理は、1種の化成処理を単独で行ってもよく、2種以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。更に、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。これらの中でも、好ましくはクロム酸クロメート処理、更に好ましくはクロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理が挙げられる。
化成処理において金属層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えばクロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせてクロメート処理を行う場合であれば、金属層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mg、好ましくは約1.0〜約40mg、及びアミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、好ましくは約5.0〜150mgの割合で含有されていることが望ましい。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等によって、金属層3の表面に塗布した後に、金属層3の温度が70〜200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、金属層3に化成処理を施す前に、予め金属層3を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法等による脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、金属層3の表面の化成処理を一層効率的に行うことが可能になる。
[シーラント層4]
本発明の電池用包装材料において、シーラント層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時にシーラント層4同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。シーラント層4は、複数の層により形成されていてもよい。
シーラント層4は、後述する接着層5を有しない場合、金属層3と接着可能であり、さらにシーラント層4同士が熱融着可能な樹脂により形成されている。また、シーラント層4は、後述する接着層5を有する場合には、接着層5と接着可能であり、さらにシーラント層4同士が熱融着可能な樹脂により形成されている。シーラント層4を形成する樹脂としては、このような特性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。また、後述する接着層5を有する場合、これらに加え、ポリオレフィン樹脂、シーラント層4を形成する樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
シーラント層4の形成に使用される酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを不飽和カルボン酸でグラフト重合すること等により変性したポリマーである。酸変性されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、耐熱性の点で、好ましくは、少なくともプロピレンを構成モノマーとして有するポリオレフィン、更に好ましくは、エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー、及びプロピレン−エチレンのランダムコポリマーが挙げられる。変性に使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸の中でも、好ましくはマレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらの酸変性ポリオレフィンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シーラント層4の形成に使用されるポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル−ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シーラント層4の形成に使用されるフッ素系樹脂の具体例としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ素系ポリオール等が挙げられる。これらのフッ素系樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5を有しない場合、シーラント層4は、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、またはフッ素系樹脂のみから形成されていてもよく、また必要に応じてこれら以外の樹脂成分を含んでいてもよい。シーラント層4に酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、またはフッ素系樹脂以外の樹脂成分を含有させる場合、シーラント層4中の酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、またはフッ素系樹脂の含有量については、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、例えば10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、更に50〜80質量%が挙げられる。
シーラント層4において、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、またはフッ素系樹脂以外に、必要に応じて含有できる樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィンが挙げられる。
ポリオレフィンは、非環状又は環状のいずれの構造であってもよい。非環状のポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン−ブテン−プロピレンのターポリマー等が挙げられる。また、環状のポリオレフィンとは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのポリオレフィンの中でも、エラストマーとしての特性を備えるもの(即ち、ポリオレフィン系エラストマー)、とりわけプロピレン系エラストマーは、ヒートシール後の接着強度の向上、ヒートシール後の層間剥離の防止等の観点から、好ましい。プロピレン系エラストマーとしては、プロピレンと、1種又は2種以上の炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)を構成モノマーとして含む重合体が挙げられ、プロピレン系エラストマーを構成する炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)としては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのエチレン系エラストマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シーラント層4に、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、またはフッ素系樹脂以外の樹脂成分を含有させる場合、当該樹脂成分の含有量については、本発明の目的を妨げない範囲で適宜設定される。例えば、シーラント層4にプロピレン系エラストマーを含有させる場合、シーラント層4中のプロピレン系エラストマーの含有量としては、通常5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは20〜50質量%が挙げられる。
金属層3とシーラント層4との間に、後述の接着層5を有する場合、シーラント層4を形成する樹脂としては、上記の酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂などに加えて、ポリオレフィン、変性環状ポリオレフィンなども挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5を有する場合、シーラント層4を形成するポリオレフィンとしては、上記で例示したものが挙げられる。変性環状ポリオレフィンは、環状ポリオレフィンを不飽和カルボン酸でグラフト重合したものである。酸変性される環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体である。このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。変性に使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸の中でも、好ましくはマレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらの変性環状ポリオレフィンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5を有する場合、シーラント層4は、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン、または変性環状ポリオレフィンのみから形成されていてもよく、また必要に応じてこれら以外の樹脂成分を含んでいてもよい。シーラント層4にこれら以外の樹脂成分を含有させる場合、シーラント層4中のこれらの樹脂の含有量については、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、例えば10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、更に50〜80質量%が挙げられる。必要に応じて含有できる樹脂成分としては、例えば、上記のエラストマーとしての特性を備えるものが挙げられる。また、必要に応じて含有できる樹脂成分の含有量については、本発明の目的を妨げない範囲で適宜設定される。例えば、シーラント層4にプロピレン系エラストマーを含有させる場合、シーラント層4中のプロピレン系エラストマーの含有量としては、通常5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは20〜50質量%が挙げられる。
本発明の電池用包装材料の密閉性と開封性とをより効果的に発揮する観点から、シーラント層4の融点Tm1としては、好ましくは90〜245℃、より好ましくは100〜220℃が挙げられる。また、同様の観点から、シーラント層4の軟化点Ts1としては、好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜150℃が挙げられる。さらに、同様の観点から、シーラント層4の230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1.5〜25g/10分、より好ましくは3.0〜18g/10分が挙げられる。
ここで、シーラント層4の融点Tm1は、シーラント層4を構成する樹脂成分の融点をJIS K6921−2(ISO1873−2.2:95)に準拠しDSC法により測定される値である。また、シーラント層4が、複数の樹脂成分を含むブレンド樹脂で形成されている場合には、その融点Tm1は、それぞれの樹脂の融点を上記のようにして求め、これらを質量比で加重平均して算出することができる。
また、シーラント層4の軟化点Ts1は、熱機械的分析法(TMA:Thermo-Mechanical Analyzer)により測定される値である。また、シーラント層4が、複数の樹脂成分を含むブレンド樹脂で形成されている場合には、その軟化点Ts1は、それぞれの樹脂の軟化点を上記のようにして求め、これらを質量比で加重平均して算出することができる。
シーラント層4のメルトフローレートは、JIS K7210に準拠し、メルトフローレート測定器により測定される値である。
シーラント層4の厚みとしては、例えば、12〜120μm、好ましくは18〜80μm、更に好ましくは20〜60μmが挙げられる。
シーラント層4は、単層であってもよいし、多層であってもよい。また、シーラント層4は、必要に応じてスリップ剤などを含んでいてもよい。シーラント層4がスリップ剤を含む場合、電池用包装材料の成形性を高め得る。さらに、本発明においては、シーラント層4がスリップ剤を含むことにより、電池用包装材料の成形性だけでなく、絶縁性をも高め得る。シーラント層4がスリップ剤を含むことによって電池用包装材料の絶縁性が高められる詳細な機序は必ずしも明らかではないが、例えば次のように考えることができる。すなわち、シーラント層4がスリップ剤を含む場合、シーラント層4に外力が加わった際に、シーラント層4内において樹脂の分子鎖が動きやすくなり、クラックが生じにくくなると考えられる。特に、シーラント層4が複数種類の樹脂により形成される場合には、これらの樹脂の間に存在する界面において、クラックが生じやすいが、スリップ剤がこのような界面に存在することにより、界面において樹脂が動きやすくなることで、外力が加わった際にクラックに至ることを効果的に抑制できるものと考えられる。このような機序により、シーラント層にクラックが生じることによる絶縁性の低下が抑制されると考えられる。
スリップ剤としては、特に制限されず、公知のスリップ剤を用いることができ、例えば、上記の基材層1で例示したものなどが挙げられる。スリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。シーラント層4におけるスリップ剤の含有量としては、特に制限されず、電子包装用材料の成形性及び絶縁性を高める観点からは、好ましくは0.01〜0.2質量%程度、より好ましくは0.05〜0.15質量%程度が挙げられる。
また、シーラント層4の厚みとしては、例えば、5〜40μm、好ましくは10〜35μm、更に好ましくは15〜30μmが挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料においては、金属層3とシーラント層4とを強固に接着させることなどを目的として、図2に示されるように、金属層3とシーラント層4との間に接着層5をさらに設けてもよい。接着層5は、1層により形成されていてもよいし、複数層により形成されていてもよい。
接着層5は、金属層3とシーラント層4とを接着可能な樹脂によって形成される。接着層5を形成する樹脂としては、金属層3とシーラント層4とを接着可能な樹脂であれば特に制限されないが、好ましくは上記の酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂等が挙げられる。接着層5を形成する樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5は、これらの樹脂の少なくとも1種のみから形成されていてもよく、また必要に応じてこれら以外の樹脂成分を含んでいてもよい。接着層5にこれら以外の樹脂成分を含有させる場合、シーラント層4中の酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、及びシリコン系樹脂の含有量については、本発明の効果を妨げない限り特に制限されないが、例えば10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、更に50〜80質量%が挙げられる。
また、接着層5は、硬化剤をさらに含むことが好ましい。接着層5が硬化剤を含むことにより、接着層5の機械的強度が高められ、電池用包装材料の絶縁性を効果的に高めることができる。硬化剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
硬化剤は、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、またはシリコン系樹脂を硬化させるものであれば、特に限定されない。硬化剤としては、例えば、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
カルボジイミド化合物は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。特に好ましいカルボジイミド化合物の具体例としては、下記一般式(5):
[一般式(5)において、nは2以上の整数である。]
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
下記一般式(6):
[一般式(6)において、nは2以上の整数である。]
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
及び下記一般式(7):
[一般式(7)において、nは2以上の整数である。]
で表されるポリカルボジイミド化合物が挙げられる。一般式(4)〜(7)において、nは、通常30以下の整数であり、好ましくは3〜20の整数である。
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されない。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、オキサゾリン骨格を有する化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン化合物としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5の機械的強度を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層5において、硬化剤の含有量は、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、またはシリコン系樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部の範囲にあることが好ましく、0.1質量部〜30質量部の範囲にあることがより好ましい。また、接着層5において、硬化剤の含有量は、酸変性ポリオレフィンなどの各樹脂中のカルボキシル基1当量に対して、硬化剤中の反応基として1当量〜30当量の範囲にあることが好ましく、1当量〜20当量の範囲にあることがより好ましい。これにより、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高め得る。
接着層5が硬化剤を含む場合、接着層5は、2液硬化型接着樹脂により形成してもよいし、1液硬化型接着樹脂により形成してもよい。さらに、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、UVやEBなどの電子線硬化型等のいずれであってもよい。
本発明の電池用包装材料の密閉性と開封性とをより効果的に奏する観点から、接着層5の融点Tm2としては、好ましくは90〜245℃、より好ましくは100〜230℃が挙げられる。また、同様の観点から、接着層5の軟化点Ts2としては、好ましくは70〜180℃、より好ましくは80〜150℃が挙げられる。
なお、接着層5の融点Tm2、軟化点Ts2の算出方法は、シーラント層4の場合と同様である。
接着層5の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05〜20μmが挙げられる。なお、接着層5の厚みが0.01μm未満であると、金属層3とシーラント層4との間を安定して接着させることが困難になる場合がある。
4.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されないが、例えば、以下の方法が例示される。
まず、基材層1、必要に応じて接着層2、金属層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。接着層2を有する場合の積層体Aの形成は、具体的には、基材層1、接着層2、及び必要に応じて表面が化成処理された金属層3をサーマルラミネート法、サンドラミネート法、ドライラミネート法、溶融押出し法、共押出し法又はこれらの組み合わせ等によって積層させることにより行われる。なお、積層体Aの形成において、エージング処理、加水処理、加熱処理、電子線処理、紫外線処理等を行うことにより、接着層2による基材層1と金属層3との接着の安定性が高め得る。また、金属層3の上に直接基材層1を積層して積層体Aを形成する方法としては、サーマルラミネート法、溶液コーティング法、溶融押出し法、共押出し法又はこれらの組み合わせ等によって積層させる方法が挙げられる。この際、エージング処理、加水処理、加熱処理、電子線処理、紫外線処理等を行うことにより、基材層1と金属層3との接着の安定性を高め得る。
ドライラミネート法による積層体Aの形成においては、例えば、接着層2を構成する樹脂を水または有機溶剤に溶解または分散させ、当該溶解液または分散液を基材層1の上にコーティングし、水または有機溶剤を乾燥させることにより、基材層1に上に接着層2を形成した後、金属層3を加熱圧着して行うことができる。
サーマルラミネート法による積層体Aの形成は、例えば、基材層1と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、接着層2に金属層3を重ね合わせて加熱ロールにより、基材層1と金属層3で接着層2を挟持しながら熱圧着することにより行うことができる。また、サーマルラミネート法による積層体Aの形成は、金属層3と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、加熱した金属層3と接着層2に基材層1を重ね合わせて基材層1と金属層3で接着層2を挟持しながら熱圧着することにより行ってもよい。
なお、サーマルラミネート法において予め用意する基材層1と接着層2とが積層された多層フィルムは、基材層1を構成する樹脂フィルムに接着層2を構成する接着剤を溶融押し出し又は溶液コーティング(液状塗工)により積層して乾燥させた後、接着層2を構成する接着剤の融点以上の温度で焼付けて形成する。焼付けを行うことにより、金属層3と接着層2との接着強度が向上する。また、サーマルラミネート法において予め用意する金属層3と接着層2とが積層された多層フィルムについても、同様に金属層3を構成する金属箔に接着層2を構成する接着剤を溶融押し出し又は溶液コーティングにより積層して乾燥させた後、接着層2を構成する接着剤の融点以上の温度で焼付けることにより形成される。
また、サンドラミネート法による積層体Aの形成は、例えば、接着層2を構成する接着剤を金属層3の上面に溶融押し出しして基材層1を構成する樹脂フィルムを金属層に貼り合わせることにより行うことができる。このとき、樹脂フィルムを貼り合わせて仮接着した後、再度加熱して本接着を行うことが望ましい。なお、サンドラミネート法においても接着層2を異なる樹脂種で多層化してもよい。この場合、基材層1と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、金属層3の上面に接着層2を構成する接着剤を溶融押出して多層の樹脂フィルムとサーマルラミネート法により積層すればよい。これにより、多層フィルムを構成する接着層2と、金属層3の上面に積層された接着層2とが接着して2層の接着層2が形成される。接着層2を異なる樹脂種で多層化する場合には、金属層3と接着層2とが積層された多層フィルムを予め用意し、基材層1上に接着層2を構成する接着剤を溶融押出して、これを金属層3上の接着層2と積層してもよい。これにより、多層の樹脂フィルと基材層1との間に2層の異なる接着剤で構成される接着層2が形成される。
次いで、積層体Aの金属層3上に、シーラント層4を積層させる。積層体Aの金属層3上へのシーラント層4の積層は、共押出し法、サーマルラミネート法、サンドラミネート法、コーティング法、又はこれらの組み合わせ等によって行うことができる。例えば、接着層5を設けない場合、シーラント層4は、金属層3の上にシーラント層4を溶融押出し法、サーマルラミネート法、コーティング法などにより形成することができる。また、接着層5を設ける場合、金属層3の上に接着層5を溶融押出し法、サーマルラミネート法、コーティング法などにより形成した後、同様の方法でシーラント層4を形成することができる。また、金属層3の上に、接着層5とシーラント層4とを同時に溶融押出しする共押出し法を行ってもよい。また、金属層3上に接着層5を溶融押出しすると共に、フィルム状のシーラント層4を貼り合わせるサンドラミネート法を行うこともできる。シーラント層4が2層により形成されている場合、例えば、金属層3上に接着層5とシーラント層4の1層を共押出しした後、シーラント層4の他の1層をサーマルラミネート法で貼り付ける方法が挙げられる。また、金属層3上に接着層5とシーラント層4の1層を共押出しすると共に、フィルム状のシーラント層4の他の1層を貼り合わせる方法なども挙げられる。なお、シーラント層4を3層以上にする場合、さらに溶融押出し法、サーマルラミネート法、コーティング法などによってシーラント層4を形成することができる。
上記のようにして、基材層1/必要に応じて形成される接着層2/必要に応じて表面が化成処理された金属層3/必要に応じて形成される接着層5/シーラント層4からなる積層体が形成される。接着層2の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触、熱風、近又は遠赤外線照射、誘電加熱、熱抵抗加熱等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150〜250℃で1〜10時間が挙げられる。
また、本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を包装する際には、2枚の電池用包装材料は、同一のものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。異なる2枚の電池用包装材料を用いて電池素子を包装する場合の各電池用包装材料の積層構造の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
一方の電池用包装材料:基材層1(ナイロン層)/接着層2(2液硬化型ポリエステル樹脂層)/金属層3(アルミニウム箔層)/接着層5(酸変性ポリプロピレン層)/シーラント層4(ポリプロピレン層)
他方の電池用包装材料:基材層1(アクリル−ウレタンコート層)/金属層3(ステンレス層)/接着層5(フッ素系樹脂層)/シーラント層4(ポリプロピレン)
5.電池用包装材料の特性及び用途
本発明の電池用包装材料は、電池内の圧力や温度の上昇がある一定の水準になるまでは電池素子を密封した状態を維持でき、しかも電池内の圧力や温度の上昇が持続的に進行した状態になった時点で迅速且つ穏やかに開封して、電池用包装材料の過剰な膨張、電池反応の暴走、発火などを抑制できる。特に、本発明の電池用包装材料において、電池内の圧力や温度の上昇がある一定の水準になるまでに金属層3とシーラント層4の外側表面との間の少なくとも一部において剥離が生じ、剥離が生じた部分において内袋が形成され、その後に内袋が開裂して包装材料が開封する場合には、より穏やかに開封でき、電池用包装材料の過剰な膨張、電池反応の暴走、発火などをより効果的に抑制できる。本発明の電池用包装材料のより具体的な特性としては、例えば、シーラント層4同士をヒートシールして密封空間を形成した状態で、大気圧下で室温25℃から5℃/分の昇温速度で昇温すると、100〜160℃の範囲のある一定の温度(設定温度T℃)に到達するまでは包装材料が開封せず、その後に包装材料が穏やかに開封する特性を備えることができる。例えば、本発明の電池用包装材料は、以下に示す加熱条件下で、上記のある一定の温度に到達するまでは包装材料が開封せず、開封温度到達後穏やかに開封する特性を備えることが可能になる。
<加熱条件>
(1)縦80mm及び横150mmの形状に裁断した電池用包装材料の中心部に、深さ3mm、縦35及び横50mmの凹部を形成し、凹部の周囲に縁部を有する形状に成形する。
(2)前記で成形した電池用包装材料のシーラント層4ともう1枚の未成形の電池用包装材料のシーラント層4とが対向するように縁部を重ねあわせ、該縁部をヒートシール(175℃、面圧1.4MPaで3秒間)して、密封された内部空間(圧力1atm)を有するケース状にする。
(3)前記でケース状にした電池用包装材料を、大気圧下でオーブンに入れて、5℃/分の昇温速度で、100〜160℃の間の設定温度T℃まで加熱し、設定温度T℃到達後は、設定温度T℃を維持する。
本発明の電池用包装材料の密閉性と開封性とをより効果的に奏する観点から、本発明の電池用包装材料において、25℃における金属層3とシーラント層4との間におけるラミネート強度としては、好ましくは3(N/15mm)以上、より好ましくは4〜20)(N/15mm)が挙げられる。25℃における当該ラミネート強度が低すぎる場合、設定温度に達する前に開封してしまう虞がある。また、同様の観点から、80℃における金属層3とシーラント層4との間におけるラミネート強度としては、好ましくは2.5(N/15mm)以上、より好ましくは3〜20(N/15mm)が挙げられる。80℃における当該ラミネート強度が低すぎる場合にも、80℃を下回る温度で開封してしまう虞がある。さらに、同様の観点から、125℃における金属層3とシーラント層4とのラミネート強度としては、2.5(N/15mm)以下、より好ましくは0.1〜2.2(N/15mm)が挙げられる。125℃における当該ラミネート強度が高すぎる場合、設定温度を超えても電池用包装材料が迅速に開封されず、温度及び内圧が非常に高くなった状態で急激に開封が生じ、電池内部の電解液や電池素子が飛び出してしまう場合がある。
また、同様の観点から、本発明の電池用包装材料において、シーラント層4同士を対向させた状態でヒートシール(ヒートシール条件:190℃、面圧1.0MPaで3秒間)した部分のシール強度としては、25℃において、好ましくは30(N/15mm)以上、より好ましくは40〜200(N/15mm)が挙げられる。25℃における当該シール強度が低すぎる場合、設定温度に達する前に開封してしまう虞がある。また、同様の観点から、本発明の電池用包装材料において、シーラント層4同士を対向させた状態でヒートシール(ヒートシール条件:190℃、面圧1.0MPaで3秒間)した部分のシール強度としては、125℃において、好ましくは20(N/15mm)以下、より好ましくは5〜16(N/15mm)が挙げられる。125℃における当該シール強度が高すぎる場合、設定温度を超えても電池用包装材料が迅速に開封されず、温度及び内圧が非常に高くなった状態で急激に開封が生じ、電池内部の電解液や電池素子が飛び出してしまう場合がある。
さらに、同様の観点から、本発明の電池用包装材料において、シーラント層4同士を対向させた状態でヒートシール(ヒートシール条件:190℃、面圧1.0MPaで3秒間)して得られる袋状の包装材料において、当該袋状の包装材料の内部空間に電解液を含む状態で、85℃で24時間放置した後における、金属層とシーラント層のラミネート強度が、85℃において0.1(N/15mm)以上であることが好ましく、0.2(N/15mm)以上であることがより好ましい。当該電解液と接触させた場合のラミネート強度が低すぎる場合、電池が高温下で保管される場合や、電池の充放電で発生する熱などによりに金属層3とシーラント層4との間において、デラミネーションが発生し、電池用包装材料の強度が不十分となる場合がある。
本発明の電池用包装材料は、前述する開封特性を備え、しかも開封時には微細な開裂によって穏やかに開封する。このため、本発明の電池用包装材料は、ある設定温度T℃まで昇温した際に、T℃に到達するまでは包装材料が開封せず、T℃到達後は迅速に包装材料が開封するように設定された電池の包装用材料として好適に使用することができる。なお、前記電池で定められる設定温度Tは、例えば100〜160℃の間、好ましくは120〜150℃の間で設定され、包装対象となる電池の種類、用途、安全性の基準等で当該設定温度は異なる。例えば、安全性の基準上、設定温度Tが100℃に定められた電池もあれば、設定温度Tが160℃に定められた電池もある。本発明の電池用包装材料は、適用対象となる電池が要求する設定温度に応じた密封性と開封性を備えた包装材料として提供される。また、前記電池において要求されるT℃到達後に開封状態に移行する時間は、安全性を確保できる範囲で定められるものであり、電池の種類や用途、昇温速度等に応じて異なるが、通常は60分以内であり、さらに好ましくは30分以内であり、本発明の電池用包装材料は当該時間を満足することができる。
本発明の電池用包装材料は、具体的には、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するために使用され得るものであり、当該電池素子を収容するための空間が設けられる。当該空間は、例えば、短形状に裁断された積層シートをプレス成型することにより形成される。
より具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層4同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層4同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料を用いて電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料のシーラント層4が内側(電池素子と接する面)になるようにして用いられる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1−17及び比較例1−4
[電池用包装材料の製造]
二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)からなる基材層1の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム箔(厚さ40μm)からなる金属層3をドライラミネーション法により積層させた。具体的には、アルミニウム箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリエステル系の主剤とイソシアネート系の硬化剤)を塗布し、金属層3上に接着層2(厚さ4μm)を形成した。次いで、金属層3上の接着層2と基材層1を加圧加熱貼合した後、60℃で24時間のエージング処理を実施することにより、基材層1/接着層2/金属層3の積層体を調製した。なお、金属層3として使用したアルミニウム箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。
次いで、それぞれ、表1に記載の方法で、実施例1〜3においては、金属層3の上にシーラント層4を積層させ、実施例4〜17においては、金属層3の上に、接着層5とシーラント層4とを積層させた。接着層5、シーラント層4の構成については、表1に示す通りである。また、接着層5及びシーラント層4の融点については、示差走査熱量測定法(DSC法)により樹脂の融点を測定した値である。接着層5及びシーラント層4の軟化点については、熱機械的分析法(TMA法)により樹脂の軟化点を測定した値である。なお、樹脂をブレンドした場合は、各樹脂の融点及び軟化点を測定し、これを質量比で加重平均して算出した値である。斯して、基材層1/接着層2/金属層3/接着層5(実施例1〜3では無し)/シーラント層4が順に積層された積層体からなる電池用包装材料を得た。
[電池用包装材料の密封性と開封性の評価]
各電池用包装材料を80mm×150mmに裁断した後、35mm×50mmの口径の成型金型(メス型)とこれに対応した成型金型(オス型)にて、0.4MPaで3.0mmの深さに冷間成型し、その中心部分に凹部を形成した。この凹部に厚み32mm×48mm×3mmのステンレス製の板を擬似的に電池素子として設置した後、電解液(1MのLiPF6と、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びジメチルカーボネート(容量比1:1:1)の混合液とからなる)を3g充填した。次に、もう1枚の未成形の電池用包装材料をシーラント層同士が対向するように凹部の上から重ね、周縁部をヒートシールして、擬似電池を作成した。なお、ヒートシールの条件は、175℃、面圧1.4MPaで3秒間とした。得られた擬似電池をオーブン内に入れ、大気圧下で、室温25℃から5℃/分の昇温速度で150℃まで昇温した。さらに、150℃到達後、60分間維持した。また、擬似電池の開封性の評価は、擬似電池に内袋が形成された温度、内袋が開裂した温度、150℃に到達した時点で内袋が開裂していなかった場合には、150℃に到達後に電池用包装材料が開封するまでの時間を目視で観察した。また、剥離が生じていた位置を目視で観察した。なお、温度は、擬似電池の外側に取り付けた熱電対で計測した。結果を表2に示す。
[ラミネート強度の測定]
表2に示す各温度下において、それぞれ、上記の裁断した各電池用包装材料を、引張り試験機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))で金属層とシーラント層とを50mm/分の速度で10mm剥離させ、剥離時の最大強度をラミネート強度とした。
[耐電解液性の確認]
各電池用包装材料を80mm×150mmに裁断した後、35mm×50mmの口径の成型金型(メス型)とこれに対応した成型金型(オス型)にて、0.4MPaで3.0mmの深さに冷間成型し、その中心部分に凹部を形成した。この凹部に上記の電解液3gを充填し、もう1枚の電池用包装材料をシーラント層同士が対向するように凹部の上から重ね、周縁部をヒートシールした。ヒートシールの条件は、190℃、面圧1.0MPaで3秒間とした。これを、85℃で1日間保存した後、開封して、金属層とシーラント層の間のおけるデラミネーションの有無を目視で確認した。結果を表2示す。
[シール強度の測定]
シーラント層同士が対向するようにして電池用包装材料を重ね、190℃、面圧1.0MPaで3秒間の条件でヒートシールした後、それぞれ表2に記載の温度で2分間放置した後、引張り試験機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))でヒートシール部のシーラント層を30mm/分の速度で10mm剥離させ、剥離時の最大強度をシール強度とした。結果を表2示す。
表1に示した樹脂は以下の通りである。
PP(A):ランダムポリプロピレン 融点160℃ 軟化点110℃
PP(B):ランダムポリプロピレン 融点140℃ 軟化点110℃
PP(C):ブロックポリプロピレン 融点163℃ 軟化点90℃
PP(D):ランダムポリプロピレン 融点130℃ 軟化点70℃
PP(E):ランダムポリプロピレン 融点140℃ 軟化点70℃
PP(F):ブロックポリプロピレン 融点160℃ 軟化点90℃
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン 融点120℃ 軟化点75℃
LDLE:低密度ポリエチレン 融点110℃ 軟化点90℃
酸変性PP(A):カルボン酸変性ポリプロピレン 融点140℃ 軟化点110℃
酸変性PP(B):カルボン酸変性ポリプロピレン 融点140℃ 軟化点80℃
酸変性PP(C):カルボン酸変性ポリプロピレン 融点160℃ 軟化点120℃
酸変性PP(D):カルボン酸変性ポリプロピレン 融点160℃ 軟化点80℃
酸変性PP(E):カルボン酸変性ポリプロピレン 融点140℃ 軟化点120℃
酸変性PP(F):カルボン酸変性ポリプロピレンのイソシア硬化物
酸変性PP(G):カルボン酸変性ポリプロピレンのオキサゾリンとエポキシの架橋物
酸変性PE(A):カルボン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン 融点120℃ 軟化点75℃
酸変性PE(B):カルボン酸変性低密度ポリエチレン 融点110℃ 軟化点85℃
酸変性PE(C):カルボン酸変性低密度ポリエチレン 融点110℃ 軟化点102℃
酸変性PE(D):エチレン・酢酸ビニルコポリマー 融点92℃ 軟化点50℃
フッ素系樹脂(A):ポリクロロトリフルオロエチレン 融点220℃ 軟化点85℃
フッ素系樹脂(B):2液硬化型フッ素系接着剤(フッ素系ポリオール樹脂にイソホロンジイソシアネート(IPDI)系硬化剤を添加したもの 融点95℃ 軟化点65℃
表2に示されるように、実施例1〜17の電池用包装材料では、擬似電池が加熱されると金属層とシーラント層の外側表面(最内層側表面)との間のいずれかの箇所において、剥離が生じ、内袋が形成されていた。さらに、その後、内袋が開裂し、迅速かつ穏やかに電池用包装材料が開封された。一方、比較例1及び3の電池用包装材料を用いた場合、擬似電池が加熱されても剥離が生じず、内袋が形成されなかった。そして、擬似電池の内部温度が150℃に達すると、擬似電池が膨張して、ガスの放出と共に電解液が一気に噴出し、電解液が周囲に飛び散ってしまった。また、比較例2の電池用包装材料は、80℃におけるラミネート強度が低すぎて、電解液を充填した後に、接着層とシーラント層との間において簡単に手で剥がれてしまい、電池用包装材料としては使用できないものであった。また、比較例4の電池用包装材料においても、80℃におけるラミネート強度が低すぎて、80℃という低温でシーラント層内部で急激な剥離が生じてしまった。以上の結果から、本発明の電池用包装材料が、本発明における開封機序を発揮するためには、上記のように、ラミネート強度が25℃において3(N/15mm)以上、80℃において2.5(N/15mm)以上、125℃において2.5(N/15mm)以下であり、シール強度が25℃において30(N/15mm)以上、125℃において20(N/15mm)以下となるようにシーラント層4、接着層5などの組成、融点などを調整することが好ましいことが分かる。