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JP2015020189A - Auを主成分とするPbフリーAu−Ge−Sn系はんだ合金 - Google Patents

Auを主成分とするPbフリーAu−Ge−Sn系はんだ合金 Download PDF

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JP2015020189A
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井関 隆士
Takashi Izeki
隆士 井関
昌彦 小室
Masahiko Komuro
昌彦 小室
嵩凱 黄
Shunkai Bong
嵩凱 黄
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

【課題】 加工性等の各種特性に優れ、高い信頼性を要求される接合でも十分に使用でき、Auを主成分としながら安価な無鉛の高温用はんだ合金を提供する。
【解決手段】 Geを0.01質量%以上10.0質量%以下含有し、Snを32.0質量%以上40.0質量%以下含有し、Al、Cu、Mg、Ni、Sb、及びZnの内の1種以上を含有し、残部がAu及び不可避不純物からなるはんだ合金であって、Alを含む場合はその量を0.01質量%以上1.5質量%以下、Cuを含む場合はその量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Mgを含む場合はその量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Niを含む場合はその量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Sbを含む場合はその量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Znを含む場合はその量を0.01質量%以上3.0質量%以下とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Pbを含まず、Auを主成分とするAu−Ge−Sn系はんだ合金に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に対しても例外ではない。はんだ材料には古くから鉛(Pb)が主成分として使われ続けてきたが、すでにRoHS指令などで鉛は規制対象物質になっている。このため、鉛を含まないはんだ(以降、鉛フリーはんだ又は無鉛はんだと称する)の開発が盛んに行われている。
電子部品を基板に接合する際に使用するはんだは、その使用限界温度によって高温用(約260℃〜400℃)と中低温用(約140℃〜230℃)とに大別され、それらのうち、中低温用のはんだに関してはSnを主成分とするもので鉛フリーはんだが実用化されている。例えば、特許文献1にはSnを主成分とし、Agを1.0〜4.0質量%、Cuを2.0質量%以下、Niを0.5質量%以下、Pを0.2質量%以下含有する無鉛はんだ合金組成が記載されており、特許文献2にはAgを0.5〜3.5質量%、Cuを0.5〜2.0質量%含有し、残部がSnからなる合金組成の無鉛はんだが記載されている。
一方、高温用の無鉛はんだに関しても、さまざまな機関で研究開発が行われている。例えば特許文献3には、Biを30〜80質量%含有し、溶融温度が350〜500℃のBi/Agろう材が開示されている。また、特許文献4には、Biを含む共晶合金に2元共晶合金を加え、更に添加元素を加えたはんだ合金が開示されており、このはんだ合金は4元系以上の多元系はんだではあるものの、液相線温度の調整とばらつきの減少が可能となることが示されている。
高価な高温用の鉛フリーはんだ材料としては、既にAu−Sn合金やAu−Ge合金などが水晶デバイス、SAW(表面弾性波)フィルター、MEMS(微小電子機械システム)等で使用されている。例えば、特許文献5にはAu−Ge、Au−Sb又はAu−Siの板状低融点Au合金ろうを予加熱し、次に加熱保温部を設けたプレス金型にその材料を順次送って100℃〜350℃の温度範囲でプレス加工を行うことを特徴とする板状低融点Au合金ろうのプレス加工方法について記載されている。
また、特許文献6には、半導体パッケージなどの電子部品の外部リードのろう付けに用いられるろう材であって、Agを10〜35wt%含み、In、Ge及びGaのうち少なくとも1種類を合計で3〜15wt%含み、残部がAuからなるAu合金が記載されている。そして、このAu合金はエレクトロマイグレーションテストにおいて短絡するまでの時間が1.5時間以上であり、優れたエレクトロマイグレーション防止性を有するろう材であることが示されている。
更に特許文献7には、Au/Ge/Snを含む3元合金のろう材であり、液相が発生し始める温度をTs、完全に液相になる温度をTlとした場合に、Tl−Ts<50℃であることを特徴とするろう材について記載されている。そして、この特許文献7によれば、鉛フリーを実現しつつ、リフロー温度で溶融せず、接合のための温度が高すぎて接着剤や部品自体に損傷を与えることがない、電気・電子部品の接合に好適なロウ材を提供できるとされている。
特開平11−077366号公報 特開平8−215880号公報 特開2002−160089号公報 特開2008−161913号公報 特開平03−204191号公報 特開平03−138096号公報 特開2007−160340号公報
高温用の鉛フリーはんだ材料に関しては、上記した特許文献以外にも様々な報告ないし提案がなされているが、未だ低コストで汎用性のあるはんだ材料は見つかっていないのが実状である。すなわち、一般的に半導体デバイスなどの電子部品や基板には熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの比較的耐熱温度の低い材料が多用されているため、接合時の作業温度を400℃未満に、望ましくは370℃以下にすることが望まれる。しかしながら、例えば特許文献3に開示されているBi/Agろう材では、液相線温度が400〜700℃と高いため、接合時の作業温度も400〜700℃以上になると推測され、接合される電子部品や基板の耐熱温度を超えてしまうことになる。
また、Au系はんだではAu−Sn系はんだやAu−Ge系はんだが実用化されているが、これらAu系はんだは極めて高価なAuを多量に使用するため、汎用のPb系はんだやSn系はんだなどに比較して非常に高価である。そのため、主に水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどの特に高い信頼性を必要とする箇所のはんだ付けに使用されているにすぎない。
加えて、Au系はんだは非常に硬くて加工し難いため、例えばシート形状に圧延加工する際に時間がかかるうえ、ロールに疵のつき難い特殊な材質のものを用いなければならないため、余分なコストがかかる。また、Au系はんだの硬くて脆い性質のため、プレス成形時にはクラックやバリが発生し易く、他のはんだと比較して収率が格段に低い。ワイヤ形状に加工する場合にも似たような深刻な問題があり、非常に圧力の高い押出機を使用しても硬いため押出速度を速くできず、Pb系はんだの数100分の1程度の生産性しかない。
以上のような問題を含め、Au系はんだのさまざまな問題に対処すべく、上記した特許文献5〜特許文献7に記載の技術が提案されている。しかしながら、上記特許文献5の技術には次のような問題がある。すなわち、Au−Ge、Au−Sb、Au−Si等の板状(シート状)低融点Au合金ろうの素材特性は、室温においてガラス板のような脆性を示し、また方向性があるため、一般に長手方向に平行な面においては僅かな曲げに対しても破断し易く、亀裂の伝播が進み易いという欠点がある。
このような場合、所謂コンパウンド金型を用いてプレス加工を行うことがあるが、このコンパウンド金型技術においても金型精度の問題や金型寿命の問題がある。そこで特許文献5では、加熱保温部を設けたプレス金型に材料を順次送って100〜350℃の温度範囲でプレス加工する技術を提案している。しかし、このような温間でのプレス加工でも課題は山積しているのである。
すなわち、温間プレスでは、はんだ合金の酸化が進行してしまう。そのため、Auを多く含有するAu系はんだであっても、それに含まれる他の金属、例えばGe、Sb、又はSnなどの元素の酸化の進行を防ぐことができず、常温より高い温度でプレスしたときに表面が酸化して濡れ性が大きく低下してしまう。更に、温度が高い状態であるから常温に比較してはんだが膨張し、工夫をしても常温でのプレスに比較して形状の精度が出せない。加えて、柔らかくなったはんだは金型に張り付き易くなり、はんだが撓んだり歪んだりした状態でプレスすることになるため、バリや欠けが発生しやすくなる。
また、上記特許文献6には、既に述べたようにAgを10〜35wt%含み、In、Ge及びGaの少なくとも1種類を合計で3〜15wt%含み、残部がAuからなるAu合金のエレクトロマイグレーション防止性ろう材が記載されている。そして、Auを主成分とすることでエレクトロマイグレーションを防止でき、添加元素としてAgを10〜35wt%加えることによりろう付け強度が得られ、またIn、Ge及びGaのうち少なくとも1種類を合計で3〜15wt%加えることにより融点を下げることができると記載されている。
しかし、上記特許文献6に記載のAu合金は、Ag−28wt%CuやAg−15wt%CuのAg系ろう材との比較において、エレクトロマイグレーションの発生を防止でき、強固で安定したろう付け強度が得られるろう材として開発されたものである。そのため、Agの含有量が比較的多く、融点が下がって使い難いはんだ材料となり易いうえ、従来のAu−Ge合金などのAu系合金と比べて強度やエレクトロマイグレーション防止効果が十分であるとはいえない。
更に、上記特許文献7には、Au/Ge/Snを含む3元合金のろう材であり、液相が発生し始める温度をTs、完全に液相になる温度をTlとした場合に、Tl−Ts<50度であることを特徴とするろう材について記載されており、これによって、鉛フリーを実現しつつ、リフロー温度で溶融せず、接合のための温度が高すぎて、例えば接着剤や部品自体に損傷を与えることがない電気・電子部品の接合に好適なロウ材を提供できることが示されている。
しかし、上記特許文献7に記載のAu/Ge/Snを含む3元合金のろう材では、液相線温度と固相線温度との差が50℃未満という極めて広い組成範囲が規定されており、このような広い組成範囲において同じ効果や特性を有するろう材のみが得られることはない。最も分かり易い例として、上記組成範囲に属するAu−12.5質量%Ge合金(共晶点の組成)とAu−20質量%Sn合金(共晶点の組成)を比較した場合、その特性は明らかに異なる。
すなわち、Geが半金属であるために、Au−12.5質量%Ge合金はAu−20質量%Sn合金に比較して明らかに加工性に劣る。例えば、圧延加工する際に、クラック等の発生により収率はAu−12.5質量%Geの方が低くなる。当然、これらに少量の第三元素を添加した場合、第三元素が固溶して特性が大きく変わらない組成範囲が存在するため、例えばAu−12.5質量%Ge−Sn合金とAu−20質量%Sn−Ge合金の特性は大きく異なる。
更に、Ge−Sn合金について考えた場合、固相線温度が231℃であり、高温用はんだとしては融点が低すぎる。当然、Ge−Sn合金に少量のAuが固溶した場合でも、上記特許文献7の請求範囲に規定された液相線温度と固相線温度の差が50℃未満の領域は存在するが、高温用はんだとしては融点が低すぎることに変わりはない。
本発明は、上記した従来の事情に鑑みてなされたものであり、濡れ性、加工性、応力緩和性、及び接合性等の各種特性に優れ、水晶デバイス、SAWフィルター、MEMS等の非常に高い信頼性を要求される接合においても十分に使用することができ、しかもAuを主成分としながら安価な鉛フリーの高温用Au−Ge−Sn系はんだ合金はんだを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明が提供するAu−Ge−Sn系はんだ合金は、Geを0.01質量%以上10.0質量%以下含有し、Snを32.0質量%以上40.0質量%以下含有し、Al、Cu、Mg、Ni、Sb、及びZnの内の少なくとも1種を含有し、残部がAu及び不可避不純物からなるAu−Ge−Sn系はんだ合金であって、Alを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.5質量%以下、Cuを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Mgを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Niを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Sbを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Znを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上3.0質量%以下とすることを特徴としている。
上記本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金は、さらにPを0.500質量%以下含有してもよい。また、本発明は、上記した本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金を用いて封止した水晶デバイス又はSAWフィルターを提供する。
本発明によれば、鉛を含有しておらず、従来のAu系はんだと同等の濡れ生を有し、加工性、応力緩和性、及び接合性等の各種特性に優れ、Auを主成分としながら安価であって、水晶デバイス、SAWフィルター、MEMSなどの非常に高い信頼性を要求される箇所に使用することが可能な、高温用のAu−Ge−Sn系はんだ合金を提供することができる。本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金は、加工性に特に優れるため、生産性の向上を図ることができ、より一層の低コスト化を実現することができる。
Au−Sn−Ge系状態図である。 Ni層を有するCu基板上にはんだ合金をはんだ付けした濡れ性試験の実施形態を模式的に示す断面図である。 図2の濡れ性試験でのアスペクト比測定状態を模式的に示す側面図である。 図2の濡れ性試験でのアスペクト比測定状態を模式的に示す平面図である。
本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金の組成は、Geを0.01質量%以上10.0質量%以下含有し、Snを32.0質量%以上40.0質量%以下含有し、Al、Cu、Mg、Ni、Sb、及びZnの内の少なくとも1種を含有し、残部が不可避不純物を除いてAu及び必要に応じて添加されるPからなるAu−Ge−Sn系はんだ合金であって、Alを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.5質量%以下、Cuを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Mgを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Niを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Sbを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Znを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上3.0質量%以下とし、Pを含有する場合はその含有量を0.500質量%以下とする。
本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金は、非常に高コストであるAu−Ge系はんだやAu−Sn系はんだのコストを下げると共に、優れた加工性を持たせるために、主成分であるAuにSnとGeとを添加している。すなわち、Au、Sn、Geの3元系合金において、共晶点付近の組成を基本とすることによって、優れた加工性と応力緩和性、引いては高い接合信頼性を実現し、且つ、SnとGeの含有量が多いためAu含有量を下げることが可能になって低コストとなる。
さらに、本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金は、Al、Cu、Mg、Ni、Sb、及びZnの内の少なくとも1種を含有することを必須要件とすることで、はんだ合金に求められる様々な特性を調整することが可能となって広範な用途に使用できるようになる。しかも、Au含有量をさらに下げることができるので、より低コストのはんだ材料を実現している。以下、かかる本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金に含まれる必須の元素、及び必要に応じて含まれる元素について更に詳しく説明する。
<Au>
Auは本発明のはんだ合金の主成分であり、必須の元素である。Auは非常に酸化し難いため、高い信頼性が要求される電子部品類の接合や封止用のはんだとして最も適した特性を有している。そのため、水晶デバイスやSAWフィルターの封止用としてAu系はんだが多用されている。本発明のはんだ合金においても、Auを基本の成分とし、上記のような技術分野での使用に好適なはんだを提供する。
ただし、Auは非常に高価な金属であるため、コストの点からはできる限り使用しないことが望ましく、従って汎用品にはほとんど使用されていない。これに対して本発明のはんだ合金においては、後述するようにAuにSnとGeとを両方とも含有させることで、接合性や信頼性などの特性面ではAu−20質量%SnやAu−12.5質量%Geはんだ合金と同程度を確保しながら、Auの含有量を減らして低コストを可能にしている。
さらに、Al、Cu、Mg、Ni、Sb、及びZnの内の1種以上を含有することを必須要件としている。このような合金組成とすることによって、はんだ合金に求められる様々な特性を調整することが可能となって広範な用途に使用できるようになるうえ、Au含有量をさらに下げることができるので、極めて低コストのはんだ材料を実現している。
<Ge>
Geは本発明のはんだ合金において必須の元素である。GeはAuと共晶合金を作り、固相線温度を361℃と低くできるため、従来からAu−12.5質量%Geはんだとして実用的に使われている。しかし、Au−12.5質量%Geはんだは、Auを90質量%近く含有するため非常に高価である。このAu含有量を下げるべく、Au−Ge−Sn系合金の3元系において共晶点付近の組成としたものが本発明のはんだ合金である。
Au−Ge−Snの3元系において、共晶点の組成は、Au=47原子%、Ge=6原子%、Sn=47原子%付近である。すなわち、単位を質量%で示すとAu=60.6質量%、Ge=2.8質量%、Sn=36.5質量%付近となる。図1にAu−Ge−Sn系状態図を示す。この共晶点付近の組成とすることにより、加工性や応力緩和性などの諸特性に優れたはんだ合金となり得る。加えて各元素の融点からはんだ合金の融点を410℃程度まで下げることが可能となり、はんだとして非常に使い易くすることが可能になるのである。
具体的なGeの含有量は0.01質量%以上10.0質量%以下である。Geの含有量が0.01質量%未満では少なすぎてGeを含有させた効果が実質的に現れない。一方、10.0質量%を超えると、液相線温度が高くなりすぎてしまい、溶融させることが困難になってしまう。また、Geの含有量が10.0質量%を超えると、はんだ合金が酸化し易くなってしまい、Au系はんだの特徴である高い信頼性を有する良好な接合ができなくなる。特に好ましいGe含有量は2.0質量%以上3.5質量%以下であり、この範囲であると共晶点の組成に近くなるため、加工性に優れ且つ柔軟性も有することになり、より一層良好な接合が可能となる。
<Sn>
Snは本発明のはんだ合金において必須の元素であり、3元系の共晶点付近の組成するため、欠かせない元素である。Au−Ge合金やAu−Sn合金の代表的なはんだである前述したAu−12.5質量%GeはんだやAu−20質量%Snはんだは共晶点の組成であり、このため結晶が微細化し、比較的柔軟である。しかし、共晶合金と言っても、Au−12.5質量%Geの場合はGeが半金属であり、Au−20質量%Snの場合は金属間化合物から構成されるため、一般的なPb系はんだやSn系はんだに比べるとかなり硬くて且つ脆い。
そのため、加工が難しく、例えば圧延によってシート状に加工する場合には、少しずつしか薄くしていくことができないため生産性が悪く、多数のクラックが入って収率が低下しやすい。また、ボール状に加工する場合には、例えばアトマイズ法でボール状にする際にノイズ先端が詰まりやすく、ボールの粒度分布が広くなってしまい収率が低い。特に油中アトマイズの場合は油の発火や劣化を防ぐため、アトマイズ時の温度をAu−Ge合金の固相線温度(361℃)より十分高い温度に上げることができず、このためノズル先端に合金が偏析しやすくなり、ノズルの詰まりが起きやすくなって収率の低下を招きやすい。
そこでGeと共にSnをAuに含有させることにより、このような加工性や生産性、さらに信頼性等の問題を解決することが可能となる。すなわち、SnとGeとを共に含有させることにより、Au−Sn金属間化合物とGe固溶体の共晶組成とすることが可能となり、結晶が微細化し、加工性、生産性、応力緩和性、引いては信頼性に優れたはんだ材料となる。当然、SnとGeとを合計で約30〜50質量%含有させることにより高価なAuの含有量を減らすことができるので、Au−12.5質量%やAu−20質量%Snよりも大幅にコストを低減できる。
Snの含有量は32.0質量%以上40.0質量%以下である。Snの含有量が32.0質量%未満では、柔軟性向上等の効果が十分に発揮されず、また液相線温度と固相線温度の差が大きくなり溶け別れ現象を起こしてしまう。一方、Snの含有量が40.0質量%を超えると、同様に溶け別れ現象が発生し易くなると共に、Auに比較して酸化されやすいSn含有量が多くなりすぎて濡れ性の低下を招いてしまう可能性が高い。特に好ましいSnの含有量は34.0質量%以上39.0質量%以下であり、この範囲であれば共晶点の組成に近く、上記したSnの効果が十分に発揮される。
<Al、Mg>
Al及びMgは、本発明のはんだ合金の各種特性を改善又は調整するために後述するCuやZnなどと共に構成される群の中から少なくとも1種が含有されるとの条件の下で添加される元素であり、これらAl及びMgのいずれの元素を添加しても得られる主な効果はほぼ同じである。すなわち、Al及びMgはAuやGeやSnに比較して酸化され易く、これらの元素をAu−Ge−Sn系はんだ合金に含有させることにより優先的に酸化され、はんだ表面に析出して薄い酸化物層を生成する。Al又はMgが酸化されることにより母相を構成する元素の酸化が抑制され、さらには上記薄い酸化物層が形成されることにより、はんだ内部へ酸素原子が侵入していきづらくなり、結果として濡れ性が向上するのである。
より具体的に説明すると、AlはAuに数質量%固溶する。このように固溶したAlは、はんだ合金を加熱して接合する際にAuやGeやSnよりも酸素と圧倒的に結合し易いため、はんだ表面に析出してきて酸化物層を形成する。このようにAlが自ら酸化されることによりAuやGeやSnの酸化が抑制されると共に酸化物層が薄く形成されるのである。そしてこの薄い酸化物層の形成によって、接合時には基板や半導体素子と溶融はんだ合金とが金属同士として直接接触し易くなる。その結果、濡れ性や接合性が向上するのである。
ただし、Alを多く含有させすぎると、Alによる酸化物層の厚さが分厚くなってしまい、濡れ性をかえって低下させてしまうおそれがある。このため、Alの最適な含有量の上限値は1.5質量%である。1.5質量%以下であれば、良好な濡れ性や接合性が得られ、0.7質量%以下であればより一層、Alを含有させる効果が現れて好ましい。一方、Al含有量の下限値は0.01質量%である。0.01質量%未満では含有量が少なすぎてその効果は実質的に現れてこない。
一方、MgはAlと同様に本発明において各種特性を改善又は調整するために適宜添加される元素であり、期待される主な効果も濡れ性向上にある。MgはAlよりも酸化され易く、濡れ性向上効果を発揮する際、Alよりも効果が大きい。よって少量で効果を発揮する。しかし、Mgはあまり多く含有させることはできない。その理由は、MgはAlよりも酸素と結合しやすいため、強固な酸化物層を形成しやすく、比較的薄い酸化膜であっても濡れ性をかえって低下させる要因になり得るからである。よって、Mgの含有量の上限値は0.8質量%である。0.8質量%以下であれば良好な濡れ性が得られ、0.3質量%以下であれば、その効果はより一層顕著に現れて好ましい。一方、Mg含有量の下限値は0.01質量%である。0.01質量%未満では少なすぎて実質的にその効果が現れない。
以上述べたように、Al及びMgは互いに共通する効果を有するが、各元素の特徴を加味してはんだ合金に含有させればよい。例えば、Al及びMgの融点はそれぞれAlが660℃、Mgが650℃である。従って、はんだ合金の液相線温度等の融点調整を行う際にはAl、Mgの融点を参考として含有させればよい。濡れ性については、Mg、Alの順に還元性が強く、従ってこの順に濡れ性向上効果が大きい。さらに、これらの元素を含有させた際に生成される固溶体や金属間化合物の性質を考慮して、適宜目的とする特性に調整するように元素、含有量を決めていけばよい。
<Cu、Ni、Sb>
Cu、Ni、及びSbは、本発明のはんだ合金の各種特性を改善又は調整するために前述したAl、Mgや後述するZnと共に構成される群の中から少なくとも1種が含有されるとの条件の下で添加される元素であり、これらCu、Ni、及びSbのいずれの元素を添加しても得られる主な効果はほぼ同じであり、加工性及び応力緩和性の向上にある。
すなわち、Cu、Ni、Sbははんだ合金が溶融後、固化する際に最初に析出し、それを核として微細な結晶が成長していくため組織が微細結晶構造となり、その結果、クラックの進行が粒界で止められ易くなる。これによってはんだ合金に熱応力などの様々な応力が加わってもクラックが進展しづらくなり、シート材などに加工してもクラック等の不良の発生が抑えられ、接合信頼性なども飛躍的に向上する。
上記したメカニズムにより加工性向上の効果が発揮されるため、Cu、Ni、Sbの含有量をあまり多くすることは好ましくない。これらの元素の含有量が多すぎると核の密度が多くなり、結晶粒が微細化せずに逆に粗大化してしまい、添加効果が半減してしまうからである。従って、Cuを含有させる場合の上限値は1.0質量%とする。また、下限値は0.01質量%であり、この値に満たないと核の析出が少なすぎて実質的に加工性向上の効果が得られない。同様の理由でNiの含有量は0.01質量%以上1.0質量%以下であり、Sbの含有量は0.01質量%以上0.80質量%以下である。このような組成範囲とすることにより良好な特性を有するはんだ合金となり得る。
<Zn>
Znは本発明のはんだ合金の各種特性を改善又は調整するために前述したAlやCuなどと共に構成される群の中から少なくとも1種が含有されるとの条件の下で添加される元素であり、この元素を含有させることによって得られる主な効果は加工性及び応力緩和性の向上にある。しかし、Cu、Ni、Sbとは加工性等を向上させるメカニズムが異なる。
すなわち、ZnはAuに固溶し、且つGeと共晶合金を生成する。この共晶合金化によって加工性を向上させるのである。しかし、Znは酸化され易い元素であり、従って、はんだ合金製造時の条件によっては酸化が進行し過ぎてしまう。このためZnの含有量は製造方法を含めて考慮する必要があり、実質的にその上限値は3.0質量%である。この値を超えて添加すると酸化を極力抑えた製造条件であっても酸化物層の厚さが分厚くなり、良好な接合が得られない。一方、Zn含有量の下限値は0.01質量%である。0.01質量%未満であると含有量が少なすぎてその効果は実質的に現れてこない。
<P>
Pは本発明のはんだ合金において必要に応じて添加される任意の元素であり、その効果は濡れ性の向上にある。Pが濡れ性を向上させるメカニズムについて説明すると、Pは還元性が強く、P自らが酸化されることによって、はんだ合金表面の酸化を抑制すると共に基板面を還元し、その結果、濡れ性を向上させる。
一般にAu系はんだは酸化され難いため濡れ性に優れているが、接合面の酸化物を除去することはできない。これに対して、Pははんだ表面の酸化膜の除去だけではなく、基板などの接合面の酸化膜も除去することが可能である。このはんだ表面の酸化膜と接合面の酸化膜の両方を除去する効果により、酸化膜によって形成される隙間(ボイド)も低減することができる。このPの効果によって、接合性や信頼性等が更に向上する。
なお、Pは、はんだ合金や基板を還元して酸化物になると同時に気化し、雰囲気ガスに流されるため、はんだや基板等に残らない。このため、Pの残渣が信頼性等に悪影響を及ぼす可能性はなく、この点からもPは優れた元素と言える。
本発明のはんだ合金にPを含有させる場合は、Pの含有量は0.500質量%以下が好ましい。Pは非常に還元性が強いため、微量を含有させれば濡れ性向上の効果が得られるが、0.500質量%を超えて含有しても濡れ性向上の効果はあまり変わらず、過剰な含有によってPやP酸化物の気体が多量に発生し、ボイド率を上げてしまったり、Pが脆弱な相を形成して偏析し、はんだ接合部を脆化して信頼性を低下させたりする恐れがあるからである。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。まず、原料として、それぞれ純度99.9質量%以上のAu、Ge、Sn、Al、Cu、Mg、Sb、Zn、及びPを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく、均一になるように留意しながら切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。これらの原料から所定量を秤量して、高周波溶解炉用グラファイトるつぼに入れた。なお、Pを含有させる場合には、原料としてSn−P合金を用いて溶解した。このようにすると、気化し易いPが初めから合金化されているため、はんだに含有させやすくなる。
次に、原料の入ったグラファイトるつぼを高周波溶解炉に入れ、酸化を抑制するために窒素を原料1kg当たり0.7リットル/分以上の流量で流した。この状態で溶解炉の電源を入れ、原料を加熱溶融させた。金属が溶融し始めたら混合棒でよく撹拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。十分溶融したことを確認した後、高周波電源を切り、速やかにるつぼを取り出して、るつぼ内の溶湯をはんだ母合金の鋳型に流し込んだ。鋳型には液中アトマイズ用の直径24mmの円筒形状のものを使用した。
このようにして試料1のはんだ母合金を作製した。また、原料の混合比率を変えた以外は上記試料1と同様にして、試料2〜45のはんだ母合金を作製した。これらの試料1〜45の各はんだ母合金について、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)を用いて組成分析を行った。得られた分析結果を下記表1に示す。
Figure 2015020189
上記試料1〜45の各はんだ母合金を、下記の方法により液中アトマイズ装置を用いてボール状に加工した。その際の液体としては、はんだの酸化抑制効果が大きい油を用いた。得られた各試料のボールに対して、下記の方法により所定の粒径に分級して収率を調べ、加工性を評価した。
<ボールの製造方法>
準備した試料1〜45の各母合金(直径24mm)を液中アトマイズ装置のノズルに投入し、このノズルを390℃に加熱した油の入った石英管の上部(高周波溶解コイルの中)にセットした。ノズル中の母合金を高周波により650℃まで加熱して5分間保持した後、不活性ガスによりノズルに圧力を加えてアトマイズを行い、ボール状のはんだ合金を作製した。なお、ボール直径は設定値を0.30mmとし、予めノズル先端の直径を調整した。
<加工性の評価(ボール収率)>
はんだ合金の加工性を評価するため、開口径が異なる2種類のふるいで構成される2段式の分級器を用いて上記製造方法で得たボールを直径0.30±0.015mmの範囲で分級した。具体的には、厚み0.1mmのステンレス板にレーザー加工で高精度の円形の貫通孔を穿孔することによって上段用の孔の開口直径0.315mmのふるいと、下段用の孔の開口直径0.285mmのふるいとを作製し、これらをセットして1回の分級で規格値の下限未満の不良品と規格値の上限を超える不良品とを選別除去した。このようにして得たボールの収率を下記計算式1により算出した。
[計算式1]
ボール収率(%)=直径0.30±0.015mmのボール重量÷分級投入ボール重量×100
次に、上記した試料1〜45の母合金からそれぞれ作製したボール状のはんだ合金の各々を用いて基板との接合試験を行い、その接合部のはんだに対して下記の方法でのアスペクト比とボイド率を測定し、それぞれ濡れ性評価及び接合性評価とした。更に、上記接合試験で得られた基板とはんだの接合体に対して下記の方法でヒートサイクル試験を行って信頼性評価とした。
<濡れ性の評価(アスペクト比の測定)>
濡れ性試験機(装置名:雰囲気制御式濡れ性試験機)を起動し、加熱するヒーター部分に2重のカバーをしてヒーター部の周囲4箇所から窒素ガスを12リットル/分の流量で流した。その後、ヒーター設定温度を融点より50℃高い温度にして加熱した。
ヒーター温度が設定値で安定した後、Niめっき(膜厚:3.0μm)したCu基板(板厚:0.3mm)をヒーター部にセッティングして25秒加熱し、次にボール状の各はんだ合金をCu基板上に載せて25秒加熱した。加熱が完了した後、Cu基板をヒーター部から取り上げ、その横の窒素雰囲気が保たれている場所に一旦設置して冷却し、十分に冷却した後大気中に取り出した。
このようにして得たCu基板とはんだ合金との接合体は、図2に示すようにCu基板1のNi層2にはんだ合金3が接合された状態となっており、そのはんだ合金3のアスペクト比を求めた。具体的には、図3に示す最大はんだ高さYと、図4に示す最大はんだ濡れ広がり長さX1及び最小はんだ濡れ広がり長さX2とを測定し、下記計算式2によりアスペクト比を算出した。アスペクト比が高いほど、接合されたはんだ厚さが薄く且つ面積が広くなっていることになり、濡れ性がよいと判断できる。
[計算式2]
アスペクト比=[(X1+X2)÷2]÷Y
<接合性の評価(ボイド率の測定)>
上記濡れ性の評価の際と同様にして得た図2に示す接合体に対して、はんだ合金が接合されたCu基板1のボイド率をX線透過装置(株式会社東芝製、TOSMICRON−6125)を用いて測定した。具体的には、はんだ合金3とCu基板1の接合面を上部から垂直にX線を透過し、下記計算式3を用いてボイド率を算出した。
[計算式3]
ボイド率(%)=ボイド面積÷(ボイド面積+はんだ合金とCu基板の接合面積)×100
<信頼性の評価(ヒートサイクル試験)>
上記濡れ性の評価の際と同様にして得た図2に示す接合体に対して、−40℃の冷却と250℃の加熱とを1サイクルとして、所定のサイクル数だけ繰り返した。その後、はんだ合金が接合されたCu基板を樹脂に埋め込み、断面研磨を行い、SEM(日立製作所製 S−4800)により接合面を観察した。接合面に剥がれがある場合又ははんだ合金にクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。このヒートサイクル試験(信頼性評価)の結果を、上記したボール収率(加工性評価)、アスペクト比(濡れ性評価)、及びボイド率(接合性評価)と共に下記表2に示す。
Figure 2015020189
上記表2から分かるように、本発明の要件を満たす試料1〜26の各はんだ合金は、各評価項目において良好な特性を示している。すなわち、加工性の評価であるボール収率は最低でも47%と高く、比較例である試料44のAu−12.5質量%Ge(46%)、試料45のAu−20質量%Sn(46%)と比較しても遜色がないことが分かる。また、アスペクト比は全て6以上であって、はんだが薄く且つ広く濡れ広がっており、良好な濡れ性を有していた。ボイド率は最も高いものでも0.3%であり、良好な接合性を示した。そして、信頼性に関する試験であるヒートサイクル試験においては、500サイクル経過後も不良が現れず、良好な結果が得られた。
一方、比較例である試料27〜45の各はんだ合金は、少なくともいずれかの特性において好ましくない結果となった。すなわち、ボール収率は高くても46%と本発明のいずれの試料よりも低く、ボイド率も0.7〜8.0%と本発明のいずれの試料よりも明らかに悪かった。また、アスペクト比は試料27、29、37、40、44、及び45を除いて4以下であり、ヒートサイクル試験においては試料40、44、及び45を除いて500回までに全ての試料で不良が発生した。
なお、上記実施例における試料1〜26のはんだ合金は、上記各特性の評価において良好な結果であるだけに留まらず、Au含有量が最高でも64.8質量%と少ない。このAu含有量はAu−Ge系はんだ合金において最も一般的な共晶組成である試料44のAu−12.5質量%Geや試料45のAu−20質量%Snよりも少なく、このことからも本発明のAu−Ge−Sn系はんだ合金が低コストであることが分かる。
1 Cu基板
2 Ni層
3 はんだ合金

Claims (4)

  1. Geを0.01質量%以上10.0質量%以下含有し、Snを32.0質量%以上40.0質量%以下含有し、Al、Cu、Mg、Ni、Sb、及びZnの内の少なくとも1種を含有し、残部がAu及び不可避不純物からなるAu−Ge−Sn系はんだ合金であって、Alを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.5質量%以下、Cuを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Mgを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Niを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上1.0質量%以下、Sbを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上0.8質量%以下、Znを含有する場合はその含有量を0.01質量%以上3.0質量%以下とすることを特徴とするAu−Ge−Sn系はんだ合金。
  2. さらにPを0.500質量以下含有することを特徴とする、請求項1に記載のAu−Ge−Sn系はんだ合金。
  3. 請求項1又は2に記載のAu−Ge−Sn系はんだ合金を用いて封止したことを特徴とする水晶デバイス。
  4. 請求項1又は2に記載のAu−Ge−Sn系はんだ合金を用いて封止したことを特徴とするSAWフィルター。
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