以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。
〈第1の実施の形態〉
[洗浄および分級システム]
図1および図2に、第1の実施の形態による洗浄および分級システムを示す。ここで、図1は断面図、図2は斜視図である。図1および図2に示すように、この洗浄および分級システムは、互いに並列配置された分級装置10および沈降装置20を有する。
分級装置10は、上部が開口した容器11と、容器11の底部に設けられた攪拌層12と、攪拌層12の上段に設けられた整流層13と、整流層13の上段に設けられた層流層14と、層流層14の上段に設けられた分級層15とを有する。容器11の形状は特に限定されないが、典型的にはほぼ直方体の形状を有する。これらの容器11、攪拌層12、整流層13、層流層14および分級層15の大きさは特に限定されず、必要に応じて選択される。これらの大きさの一例を挙げると、容器11、攪拌層12、整流層13、層流層14および分級層15の幅および奥行はいずれも20〜40cm、容器11の高さは60〜100cm、攪拌層12の高さは10〜20cm、整流層13の高さは20〜40cm、層流層14の高さは5〜10cm、分級層15の高さは10〜20cmである。
攪拌層12は、洗浄および分級の対象である、粒径分布を有する混合粒子、例えば土壌と、洗浄液、例えば水とを攪拌混合し、混合粒子および洗浄液が混合した固液混相流を生成するためものである。攪拌層12には、容器11の外部から混合粒子および洗浄液を供給することができるようになっている。具体的には、例えば、この攪拌層12の周囲の部分の容器11の側壁に設けられた開口(図示せず)を通じて洗浄物導入管(図示せず)が接続され、この洗浄物導入管の一端に設けられた洗浄物投入口(図示せず)に投入される混合粒子を洗浄物導入管から攪拌層12内に供給することができるようになっている。また、例えば、攪拌層12の周囲の部分の容器11の側壁に洗浄液導入管(図示せず)が接続され、この洗浄液導入管から攪拌層12の内部に洗浄液を供給することができるようになっている。あるいは、例えば、容器11の手前で洗浄液導入管に上方から洗浄物導入管を接続し、洗浄液導入管から洗浄液の高圧ジェットを供給し、それによって洗浄物導入管から混合粒子を吸い込み、これらの混合粒子および洗浄液を攪拌層12の内部に供給するようにしてもよい。こうして攪拌層12内に供給された混合粒子および洗浄液は、例えば、この攪拌層12の内部に設けられた攪拌用ポンプ(図示せず)により攪拌混合され、混合粒子および洗浄液からなる固液混相流が生成される。容器11の手前で洗浄液導入管に上方から洗浄物導入管を接続し、洗浄液導入管から洗浄液の高圧ジェットを供給する場合は、攪拌層12の内部に攪拌用ポンプを設けても設けなくてもよく、いずれにしても混合粒子および洗浄液を攪拌層12内で攪拌混合することができる。攪拌層12の底部には分級層14による分級により残された粒子が沈降して堆積するが、こうして堆積した粒子は、この攪拌層12の底部に設けられた堆積物取り出し用の取り出し口(図示せず)から外部に取り出すことができるようになっている。
整流層13は、攪拌層12で攪拌混合されて鉛直方向に吐出される固液混相流を水平面内で一様にするためのものであり、波状スタティックミキサーからなる。この固液混相流は、波状スタティックミキサーを下から上に通過する間に繰り返し攪拌され、その過程で整流され、通過後には一様流に変換されるようになっている。整流層13を構成する波状スタティックミキサーの一例について説明する。図3Aは波板16の一例を示す。図3Aに示すように、この波板16から一点鎖線で示す四角形の部分を切り出す。この四角形の波板16の各辺は波の山および谷が延びる方向に対して45度傾斜している。図3Bに示すように、こうして切り出した四角形の波板16を複数、波の山および谷が延びる方向が互いに直交するように重ね合わせる。重ね合わせる波板16の大きさおよび枚数は、容器10の大きさなどに応じて適宜決められる。そして、図3Cに示すように、こうして波板16を重ね合わせた直方体状の波板積層体13a、13b、13cを並列配置して整流層13とする。ただし、整流層13を構成する波板積層体の数は1個または2個あるいは4個以上であってもよい。波板16の大きさ、全体の厚さおよび波のピッチは必要に応じて選ばれるが、一例を挙げると、大きさは20cm×20cm、全体の厚さは9mm、波のピッチは32mmである。波板16を構成する板材の厚さの一例を挙げると0.7mmである。
層流層14は、整流層13から鉛直上方に吐出される一様な固液混相流を鉛直方向の層流にするためのものである。層流層14は、固液混相流が低レイノルズ数流れとなるように設計され、乱流拡散がなく粒子が拡散しないように複数の鉛直方向の筒状の孔からなる管路を有する構造体により構成される。図4Aに層流層14の断面構造の一例を示す。図4Aに示すように、層流層14は、隔壁14aで隔てられた鉛直方向の筒状の孔14bからなる管路が二次元面内に複数配置された構造体からなる。図4B、CおよびDに層流層14の平面図の例を示す。図4Bに示す例では、隔壁14aで隔てられた断面形状が正三角形の筒状の孔14bからなる管路が二次元面内に設けられている。図4Cに示す例では、隔壁14aで隔てられた断面形状が正方形の筒状の孔14bからなる管路が二次元面内に設けられている。図4Dに示す例では、隔壁14aで隔てられた断面形状が六角形の筒状の孔14bからなる管路が二次元面内に設けられている。
層流層14では、具体的には、例えば、筒状の孔14b内の流れのレイノルズ数Reは円管流が層流になる条件であるRe<2300を満たすように設計される。流量をQ、容器11および孔14bの内径(等価直径)をそれぞれhA 、ha とすると、容器11内のレイノルズ数ReA および孔14b内のレイノルズ数Rea はそれぞれ
となる。ここで、孔14bの仕切りの隔壁14aの断面積は孔14bの断面積に比べて無視できるとし、hA 2 =Nha 2 (Nは孔14bの数)とした。したがって、孔14bを通過する流れのレイノルズ数Rea は、容器11を通過する流れのレイノルズ数ReA のN-1/2倍となり、層流化が可能となる。例えば、hA =1m、ha =4mmとすれば、Rea はReA の4mm/1m=0.004倍となる。また、孔14bを通過する流れのレイノルズ数Rea の下限値を2000とおくと、容器11を通過する流れのレイノルズ数ReA は2000×(1m/4mm)=500000となるから、これより処理流量の上限値が決定される。
分級層15は、層流層14から鉛直上方に吐出される一様な層流の固液混相流の混合粒子を分級するためのものであり、良く知られた以下の原理に基づいて設計される。すなわち、洗浄液の比重より比重が大きい粒子(例えば、洗浄液が水の場合は比重が1より大きい粒子)の沈降時間は沈降距離が小さいほど短くなるため、洗浄液中での粒子の沈殿は傾斜管路を設置することで促進される。したがって、洗浄液中に空間的に密に傾斜管路を設置すると効果的に沈降粒子を捕獲することができる。図5Aに分級層15の断面構造の一例を示す。図5Aに示すように、分級層15は、隔壁15aで隔てられた水平方向に対して傾斜した筒状の孔15bからなる傾斜管路が二次元面内に複数配置された構造体からなる。図5B、CおよびDに分級層15の平面図の例を示す。図5Bに示す例では、隔壁15aで隔てられた断面形状が正三角形の筒状の孔15bからなる管路が二次元面内に設けられている。図5Cに示す例では、隔壁15aで隔てられた断面形状が正方形の筒状の孔15bからなる管路が二次元面内に設けられている。図5Dに示す例では、隔壁15aで隔てられた断面形状が六角形の筒状の孔15bからなる管路が二次元面内に設けられている。また、図6Aに分級層15の断面構造の他の例を示す。図6Aに示すように、分級層16は、隔壁15aで隔てられた水平方向に対して傾斜した断面形状が長方形の筒状の孔15bからなる傾斜管路が二次元面内に複数配置された構造体からなる。図6Bにこの分級層15の平面図を示す。水平方向に対するこれらの傾斜管路の傾斜角度はΨ(0度<Ψ<90度)である。これらの傾斜管路の傾斜方向は必要に応じて選択されるが、例えば、沈降装置20側が高くなるように水平方向に対して角度Ψ傾斜させ、あるいは、沈降装置20と反対側が高くなるように水平方向に対して角度Ψ傾斜させる。
分級層15による分級の原理を図7を用いて詳細に説明する。図7は、水平方向に対して傾斜した孔からなる傾斜管路内の上昇流により、洗浄液の比重より比重が大きい粒子が流れにより上方に移流する様子を示す。図7に示すように、傾斜管路の入口の下端を原点とし、時間をtで表して傾斜管路に沿う方向の座標軸X(t)、傾斜管路に垂直な方向の座標軸Z(t)を取って傾斜管路内の粒子の位置を(X(t),Z(t))と表す。傾斜管路の管路長はlである。粒子には重力mg(mは粒子の質量、gは重力加速度)が鉛直方向に働く。粒子は傾斜管路に沿って距離Lだけ遡上すると傾斜管路の底面に沈降する。沈降した粒子は傾斜管路の底面に沿って滑動し、下端の入口から排出される。粒子のレイノルズ数が1に比べて十分小さい場合には、ストークスの抵抗則にしたがって粒子軌跡を次式のように予測することができる。
ここで、γは粒子の比重、φは粒径(粒子の外径)、νは流体の動粘性係数、Um は平均流速、cは粒子の体積比である。また、f(c)は粒子濃度の増加に伴う沈降速度の低減割合であり、1個の粒子が周りの粒子の影響を受けずに沈降するときにはf(c)=1、周りの粒子の影響を受けて沈降するときはf(c)<1となる。粒子が傾斜管路の底面に沈降するまでの距離(遡上長さ)Lは式(2)を用いて求めることができる。すなわち、式(2)を解いて、Z(t)=0 のときのX(t)=Lを求めると
となる。ここで、Ψは傾斜管路の水平方向からの傾斜角(0度<Ψ<90度)、hは管路の高さ、nは二次元ポアズイユ流れでは6、円管ポアズイユ流では8となる。式(3)から、傾斜管路を通過させない粒子の最大粒径が、管路高さhおよび遡上長さLの関数として決定される。この原理にしたがえば、傾斜管路の傾斜角Ψを可変にすることで、分級する粒子の閾値、言い換えると分級可能な粒径下限値を容易にしかも連続的に調整することができる。
図8、図9および図10は予測式(3)から計算した遡上長さLである。ただし、Um =0.52cm/s、γ=2.7、ν=0.01cm2 /s、c=0、f(c)=1、容器11の等価直径hA =40cmとした。図8より、例えば、管路の高さ(h)が2.54mm、長さ(L)が10cmの傾斜管路において、流量Qが50L/minの場合、粒径φが30μmの粒子を通過させないためには傾斜角Ψをおよそ80度以下、粒径φが20μmの粒子では63度以下にする必要がある。また、図9より、例えば、管路の高さ(h)が2.54mm、長さ(L)が10cmの傾斜管路において、流量Qが180L/minの場合、粒径φが50μmの粒子を通過させないためには傾斜角Ψをおよそ77度以下、粒径φが30μmの粒子では52度以下にする必要がある。また、図10より、例えば、管路の高さ(h)が3mm、長さ(L)が10cmの傾斜管路において、流量Qが180L/minの場合、粒径φが50μmの粒子を通過させないためには傾斜角Ψをおよそ72度以下にする必要がある。一方で、傾斜管路の傾斜角Ψについては、傾斜管路の底面に沈降した粒子が底面を滑動して管路入口から排出されるためには、底面と粒子との摩擦係数μがμ<tanΨを満たす必要がある。ただし、摩擦係数μに関しては、ポンプなどの機械振動により値の低下が期待できる。
ところで、傾斜管路を通過する流れのレイノルズ数をReとすると、Re=Uh/ν=(h/hA )ReA である。図11は、臨界レイノルズ数Rec を1000としたとき、傾斜管路を通過する流れのレイノルズ数ReがRec になるときのhを流量Qに対して求めたものである。図11より、傾斜管路を通過する流れのレイノルズ数ReがRec になるときのhは流量Qが大きくなるほど小さくなることが分かる。
また、図12は、粒径がφ=5μmまたは10μmであるときの予測式(3)から計算したL/hである。ただし、Um =0.52cm/s、γ=2.7、ν=0.01cm2 /s、c=0、f(c)=1、容器11の等価直径hA =40cm、流量Qが50L/minとした。図12より、例えば、φ=5μmの粒子を通過させないためには、Ψ=40度のとき、L/hを約400程度以上とする必要があることが分かる。例えば、分級で土壌から粘度成分のみを分離する場合を考えると、分級の閾値をシルトの最小径である5μm程度とする必要があるため、このような場合に有効である。
沈降装置20は、上部が開口した容器21と、容器21の内部に上下二段設けられた積層傾斜板22、23からなる沈降層とを有する。ただし、容器21の内部に設ける積層傾斜板の段数は特に限定されず、一段あるいは三段以上設けてもよい。積層傾斜板22、23を構成する傾斜板は水平方向に対して角度Θ(0度<Θ<90度)傾斜している。容器21の形状は特に限定されないが、典型的にはほぼ直方体の形状を有する。これらの容器21および積層傾斜板22、23の大きさは特に限定されず、必要に応じて選択される。これらの大きさの一例を挙げると、容器21の高さは60〜100cm、幅および奥行は20〜40cm、積層傾斜板22、23の高さは20〜40cm、幅および奥行は15〜35cmである。この場合、容器21の一側壁は分級装置10の容器11の一側壁と接しているが、これに限定されるものではない。容器11、21の互いに接する側壁には例えば長方形の開口部31が設けられている。開口部31の下辺は少なくとも分級層15以上の高さにある。積層傾斜板22、23は互いに間隔を空けて積層された複数の傾斜板からなる。積層傾斜板22、23を構成する傾斜板の傾斜方向は、分級層15から供給される分級後の固液混相流の供給方向と直交する方向であり、例えば、図1の手前側が低くなるように傾斜している。そして、分級層15から供給される分級後の固液混相流は上段の積層傾斜板23の側面からその内部に入るようになっている。図13AおよびBは容器21と積層傾斜板22、23との位置関係の一例を示す。図13Bに示すように、積層傾斜板22を構成する傾斜板22aおよび積層傾斜板23を構成する傾斜板23aは、水平方向に対して角度Θ(0度<Θ<90度)傾斜している。図13AおよびBに示すように、この例では、容器21と積層傾斜板22、23との間に隙間が設けられている。分級層15で分級後の固液混相流は、最初に、積層傾斜板23の傾斜板23aと傾斜板23aとの間の隙間23bを傾斜板23aに沿って流れ、続いて積層傾斜板22の傾斜板22aと傾斜板22aとの間の隙間22bを傾斜板22aに沿って流れ、その過程で傾斜板23a、22a上に粒子が沈降して堆積し、傾斜板23a、22aを滑り落ちて最終的に積層傾斜板22から出て行く。積層傾斜板22、23を通過した固液混相流は、容器21と積層傾斜板22、23との間に設けられた隙間を通って上昇し、積層傾斜板23を越えた時点で、図1に示すように、容器21の壁面に設けられた堰状の排出口32を越えて外部に流出する。例えば、こうして流出した固液混相流は回収システムにより回収され、洗浄液は必要に応じて再度使用され、粒子成分は回収される。必要に応じて、積層傾斜板22、23を構成する傾斜板22a、23aの少なくとも一つの少なくとも一部、例えば傾斜板22a、23aの表面を磁石で構成してもよい。このように傾斜板22a、23aの少なくとも一部を磁石で構成することにより、粒子が常磁性を示す場合、この粒子は磁石による磁界により磁化するため、粒子は磁力により傾斜板22a、23aに引き付けられる。このため、粒子は傾斜板22a、23aに沈降しやすくなる。こうして傾斜板22a、23aに沈降した粒子は凝集し、傾斜板22a、23aを滑り落ちる。この手法は、例えば、放射能汚染土壌に含まれるセシウムイオンを含む粘土は常磁性を示すことが知られており、このような粘土を除去するときに有効である。特に、最初に固液混相流が流入する上段の積層傾斜板23の傾斜板23a、取り分け上部の傾斜板23aを磁石で構成することが望ましい。
[洗浄および分級システムの動作方法]
次に、上述のように構成されたこの洗浄および分級システムの動作方法について説明する。
まず、分級装置10の容器11の外部から攪拌層12に粒径分布を有する混合粒子および洗浄液を供給し、これらの混合粒子および洗浄液を攪拌混合し、これらの混合粒子および洗浄液からなる固液混相流を生成する。この固液混相流は乱流状態となっている。混合粒子の洗浄は主としてこの攪拌層12における攪拌混合の過程で行われる。この固液混相流は洗浄液により上流に運ばれて波状スタティックミキサーからなる整流層13に供給され、この整流層13を通過する過程で一様流に変換される。混合粒子の洗浄はこの整流層13における整流の過程でも行われる。こうして一様流とされた固液混相流は層流層14に供給され、この層流層14を通過する過程で層流となり、沈降速度の大きな粒子が分級され、一般的には粒径が大きい粒子成分が取り除かれる。層流層14で層流とされた固液混相流は分級層15に供給され、この分級層15を通過する過程で所定の粒子成分を分級する。この分級層15による分級の閾値は、この分級層15の管路の高さh、言い換えると孔15bの径(等価直径)および長さlにより調整することができる。
分級層15で分級された固液混相流は容器11、21の側壁に設けられた開口31を通って沈降装置20の容器21内に入り、図13AおよびBに示すように、積層傾斜板23の一方の側面の傾斜板23aと傾斜板23aとの間の隙間22bに、傾斜板23aの傾斜方向と直交する方向、すなわち水平方向から供給される。このように傾斜板23aの傾斜方向と直交する方向から積層傾斜板23の側面に固液混相流が供給されることにより、積層傾斜板23が流れを阻害せず、平均流速も小さくなる。こうして積層傾斜板23の傾斜板23aと傾斜板23aとの間の隙間23aに供給された固液混相流は傾斜板23aに沿って下方に流れ、その過程で固液混相流中の粒子が傾斜板23a上に沈降堆積し、最終的に積層傾斜板23の下部から落下する。積層傾斜板23の下部から出て行く固液混相流は、下段の積層傾斜板22の傾斜板22aと傾斜板22aとの間の隙間22bに入り、傾斜板22aに沿って下方に流れ、その過程で固液混相流中の粒子が傾斜板22a上に沈降堆積し、最終的に積層傾斜板22の下部から落下する。その結果、沈降装置20の底部に粒子が沈降し、堆積する。こうして形成された堆積物は、必要に応じて、容器21の底部から外部に取り出される。一方、積層傾斜板23、22を通過した固液混相流は、これらの積層傾斜板22、23と容器21との間の隙間を通って上昇し、容器21の側壁に設けられた排出口32から外部に越流する。こうして容器21の外に越流した固液混相流の取り扱いは必要に応じて決められるが、例えば、配管を介して攪拌層12に戻され、洗浄液として使用される。
[洗浄および分級システムの具体的な構成例]
次に、この洗浄および分級システムの具体的な構成例について説明する。
図14は第1の構成例を示す。図14に示すように、この第1の構成例では、容器11の底部が下に先すぼまりの四角錐状の形状を有しており、その内部に攪拌層12が設けられている。攪拌層12の側壁には洗浄物を攪拌層12に導入するための導入管41が接続されている。導入管41の上端には洗浄物を投入するための投入口42が設けられている。攪拌層12の側壁にはまた、洗浄液を攪拌層12に導入するための導入管43が接続されている。また、攪拌層12の内部には攪拌ポンプ44が設置されており、この攪拌ポンプ44により攪拌層12の内部に供給された混合粒子および洗浄液を攪拌混合することができるようになっている。導入管43は高圧ポンプ45を介して直方体状の受液槽46の底部に接続されている。受液槽46は容器21の側壁上部の排出口32の前方下部に取り付けられており、排出口32を越えて外に越流した固液混相流を受け入れることができるようになっている。
沈降装置20の容器21内には、二段の積層傾斜板22、23が設けられている。積層傾斜板22は、互いに間隔を空けて積層された複数の傾斜板22aからなる。同様に、積層傾斜板23は、互いに間隔を空けて積層された複数の傾斜板23aからなる。必要に応じて、容器21の底部には沈降した粒子からなる堆積物を取り出すための取り出し口が設けられる。また、容器21の底部に例えば金網とその下のろ布(フィルター)を設けて堆積物が侵入しない空間を設け、吸引(サクション)により膨潤土壌から水分を除去するようにしてもよい。
一例として、粒径分布を有する混合粒子が土壌(土砂、細粒砂)、洗浄液が水である場合についてこの第1の構成例による洗浄および分級システムの動作を説明する。
まず、攪拌用ポンプ44としての攪拌用水中ポンプおよび高圧ポンプ45を稼働させた状態で投入口42に洗浄および分級しようとする土壌を投入する。投入された土壌は導入管41を通って攪拌層12に導入される。こうして攪拌層12に導入された土壌は、高圧ポンプ45により導入管43から攪拌層12に導入された高速ジェット水流により攪拌混合されるとともに、攪拌用ポンプ44でさらに攪拌混合される。こうして攪拌層12内に土壌および水からなる非一様流の固液混相流(泥水)が生成される。この固液混相流は、高速ジェット水流により上流に運ばれる。そして、まず、波状スタティックミキサーからなる整流層13を通過することにより、非一様流の固液混相流は一様流に変換される。次に、この固液混相流の一様流は層流層14を通る過程で層流とされ、沈降速度の大きな粒子が取り除かれる。層流層14で層流とされた固液混相流は分級層15に入り、この分級層15を通過する過程で粒径が数十μm以上のシルトが分級される。攪拌層12の底部に形成された堆積物は、必要に応じて、土砂取り出し口から取り出される。
分級装置10を通過した固液混相流中の主としてシルトあるいはシルトおよび粘土は、沈降装置20の上段の積層傾斜板23の側面の傾斜板23aと傾斜板23aとの間の隙間に入り、傾斜板23aに沿って沈降し、さらに下段の積層傾斜板22の傾斜板22aと傾斜板22aとの間の隙間に入り、傾斜板22aに沿って沈降し、最終的に容器21の底部に沈降し、堆積する。沈降装置20の容器21の排出口32から越流した固液混相流は受液槽46の中に入り、導入管43から高圧ポンプ45により攪拌層12に戻される。分級装置10を通過した固液混相流中の粘土は積層傾斜板22、23によってほとんど沈降せず、したがって容器21の底部に沈降しない。この場合、沈降装置20からの最終的な廃水には粘土が含まれるが、粘土の重量分率は原土壌に比べて無視することができる値であるので、この廃水は土壌洗浄液として再び攪拌層12に戻すことができる。
図14に、固液混相流(泥水)の流れを細い破線の矢印で、砂・シルト・粘土の流れを太い破線の矢印で模式的に示す。
図15は第2の構成例を示す。図15に示すように、この第2の構成例では、容器11の底部が下に先すぼまりの四角錐状の形状を有しており、その内部に攪拌層12が設けられている。導入管41は上方から導入管43と接続されている。この場合、攪拌層12の内部には攪拌ポンプ44が設置されていない。この第2の構成例のその他の構成は第1の構成例と同様である。
一例として、粒径分布を有する混合粒子が土壌、洗浄液が水である場合についてこの第2の構成例による洗浄および分級システムの動作を説明する。
まず、高圧ポンプ45を稼働させた状態で投入口42に洗浄および分級しようとする土壌を投入する。図16に示すように、投入された土壌は導入管41を通って導入管41と導入管43との合流部に到達し、導入管43から供給される高速ジェット水流により導入管43内に吸い込まれる。こうして土壌および水が攪拌層12に導入され、高速ジェット水流により攪拌混合される。こうして攪拌層12内に土壌および水からなる固液混相流(泥水)が生成される。この後の動作は第1の構成例と同様である。
図15に、固液混相流(泥水)の流れを細い破線の矢印で、砂・シルト・粘土の流れを太い破線の矢印で模式的に示す。
図17は第3の構成例を示す。図17に示すように、この第3の構成例では、容器11の底部が下に先すぼまりの四角錐状の形状を有しており、その内部に攪拌層12が設けられている。第2の構成例と同様に、導入管41は上方から導入管43と接続され、攪拌層12の内部には攪拌ポンプ44が設置されていない。攪拌層12の底部には攪拌層12の底に沈降した堆積物を外部に取り出すための排出管47が接続されている。この排出管47の途中にはサンドポンプ48が接続され、排出管47から回収された土砂をこのサンドポンプ48で上方に移送し、回収口49から洗浄土砂回収装置50に回収するようになっている。回収口49の側壁には導入管51が接続されており、この導入管51から泥水が投入口42に供給されるようになっている。この第3の構成例のその他の構成は第1の構成例と同様である。
一方、沈降装置20の容器21の底部は下に先すぼまりの四角錐状の形状を有しており、その下端に沈降装置20の底部に堆積した堆積物を外部に取り出すための取り出し口52が設けられている。
一例として、粒径分布を有する混合粒子が土壌、洗浄液が水である場合についてこの第3の構成例による洗浄および分級システムの動作を説明する。
まず、高圧ポンプ45およびサンドポンプ48を稼働させた状態で投入口42に洗浄および分級しようとする土壌を投入する。投入された土壌は導入管41を通って導入管41と導入管43との合流部に到達し、導入管43から供給される高速ジェット水流により導入管43内に吸い込まれる。こうして土壌および水が攪拌層12に導入され、高速ジェット水流により攪拌混合され、土壌および水からなる固液混相流(泥水)が生成される。この後の動作は第1の構成例と同様である。一方、攪拌層12の底部から水を含んだ土砂が導入管47内に取り出され、サンドポンプ48により回収口49に戻される。回収口49に戻った水を含んだ土砂から土砂成分が洗浄土砂回収装置50に回収されるとともに、泥水が投入口42に投入される。
一方、沈降装置20においては、容器21の底部に溜まった堆積物が取り出し口52から外部に取り出された後、例えばフィルタープレスなどで脱水ケーキ状にされ、減容される。
図17に、固液混相流(泥水)の流れを細い破線の矢印で、砂・シルト・粘土の流れを太い破線の矢印で模式的に示す。
[分級装置10を構成する各層の機能の検証実験]
分級装置10を構成する各層の機能を検証するために実験を行った。そのために、図18に示すような分級装置を製作した。整流層13としては、一辺が20cmの正方形のポリカーボネート製の波板(全体の厚さは9mm、波のピッチは32mm、板の厚さは0.7mm)を44段重ねた高さ20cm、幅40cm、奥行40cmの大きさの直方体状のものを2段重ねて合計40cmの厚さとしたものを用いた。層流層14としては、図4Dに示すように、断面形状が六角形の直径1cmの筒状の孔14bが蜂の巣状に配列した高さ5cm、幅40cm、奥行40cmの大きさの直方体状の構造体を用いた。分級層15としては、図5Dに示すように、断面形状が六角形の直径3mmの筒状の孔15bが蜂の巣状に配列した高さ10cm、幅40cm、奥行40cmの大きさの直方体状の構造体を水平方向から27度程度傾斜させたものを用いた。この場合、孔15bの水平方向に対する傾斜角Ψは63度程度である。図18には示されていないが、整流層の下には攪拌用水中ポンプを含む攪拌層12が設けられており、この攪拌層12に外部から土壌および水が供給されるようになっている。流量Qは50L/minとした。本実験の目的は、篩を使用せずに細粒砂を分級することなので、土壌洗浄の際に発生した沈降細粒砂を原砂として使用した。D50(原砂の粒径分布において割合が50%になるときの粒径)=132μmで、原砂は粒径51μm以下の細粒分が16%程度含まれている。
図18に示すように、整流層の下の攪拌層では強い乱流状態となっている。整流層は、攪拌層で生じた大規模渦を分断し平均流が鉛直上向きに一様になるように設計されている。さらに層流層では、乱流拡散で分散しているシルトや砂が重力と流体抗力の作用で沈降もしくは上昇する。この層流層を通過する土粒子の最大径は筒状の孔の径(管路)の孔経にほぼ依らず、流量のみに依存すると考えられる。最後に、分級層の筒状の孔(管路)を通過できなかった土粒子は、分級層の下部からプルームとなって沈降する。また、本実験における分級層の筒状の孔(管路)の傾斜角Ψは上述のように63度程度であり、筒状の孔(管路)を通過する粒子の最大粒径は式(3)によれば20μmとなる。
図19は分級時の各層通過後の流体を容器の側壁に取り付けたバルブから採取した試料をカメラで撮影した写真である。層流層通過後の試料と分級層通過後の試料とを比較すると、固液混相流(泥水)の濁度に明瞭に差が表れており、層流層通過後の試料に比べて分級層通過後の試料の濁度は大幅に低下している。分級層通過後、さらに孔径1〜2μmのろ布(フィルター膜)を通過させた後の試料の濁度はさらに低下している。
図20は分級層下部の写真である。図20に示すように、分級層の傾斜した筒状の孔(管路)を通過できない土粒子が筒状の孔の底面に沿って排出され、分級層の底部に沿って細粒砂プルームとして落下する様子が観察された。
[洗浄および分級システムによる土壌洗浄実験]
次に、この洗浄および分級システムを用いて土壌洗浄実験を行った結果について説明する。
洗浄および分級システムの分級装置10および沈降装置20における各層の効果を検証するために、図21に示す土壌洗浄および分級システム(実施例1による洗浄および分級システム)を製作し、土壌の洗浄および分級の実験を行った。実験流量Q=91L/min、分級装置10および沈降装置20の槽内の全水量は315Lであり、濁水は大凡3〜4分で1回循環する。図21中の各測点で試料を採取し、懸濁物質(浮遊物質)(SS(suspended solid)) を計測した。測点1は攪拌層にありSS量が最大となる。測点2は層流層通過直後、測点3は分級層通過直後、測点4は排出口であり、ここを通過した水が再び攪拌槽(測点1)に戻る。測点5は沈降装置20の沈降層を構成する上段の積層傾斜板通過直後、測点6は沈降装置20の底部である。
図22Aは、沈降装置が設置された図21に示す構成の土壌洗浄および分級システムにおけるSS量の測定結果を示す。図22Aより、分級層通過後(測点3)にSS量が大幅に低下し、沈降層(測点4)ではさらに低下していることが分かる。測点6では、沈殿した粒子によりSS量が大きくなっている。一方、図22Bは、図21に示す構成の土壌洗浄および分級システムにおいて沈降装置を設置しなかった場合のSS量の測定結果を示す。図22Bを図22Aと比較すると、沈降装置がない場合は、時間経過後もSS量の低下が少ないことから、濁水が沈降することなく土壌洗浄および分級システム内を循環していると考えられる。
図23は層流層通過前後(測点1、2)の粒径分布を示し、図の曲線の下の面積がSS量を表す。層流層通過後の固液混相流中の粒子は粒径100μm以下の粒子がほとんどを占めている。理論上は、流量が91L/minのときは、層流層(孔径3/16インチ)では粒径約140μm以上の粒子は通過することができないということと合致する。また、沈降装置を設置することで、層流層下流のSS量が低下していることが分かる。
図24は、攪拌層に設けられた攪拌用水中ポンプを30分間稼動し、土壌の撹拌、分級および沈殿を行った後の分級装置および沈降装置に堆積した土砂の粒径分布(確率分布関数(probability distribution function))を示す。篩による計測のため51μm以下の粒径分布は測定することができなかった。分級層(孔径1/8インチ)では理論上は粒径25μm以上の粒子が通過することができないが、粒径50μm程度の粒子も通過している。原因として考えられるのは、分級層の傾斜した筒状の孔(管路)底部に沈降した粒子により管路断面積が小さくなり流速が増大したこと、固液混相流の固体成分の濃度増加による沈降速度の減少、乱流拡散などが考えられる。
この土壌洗浄および分級システムは分級の閾値を制御することができ、分級層の筒状の孔(管路)の孔径の凡そ百分の一以上の粒子を分級することができる。また、本実験で用いた傾斜した筒状の孔(管路)はL/h=50程度であり、分級の閾値が数十μmと大きいため、シルトもこの傾斜した筒状の孔(管路)を通過した。ただ、本沈降装置においては、準備の都合上、両端に傾斜板のない大きな空間が存在したが、沈降装置のSS量を半減させる程の効果があった。排出口に向かう流れの流速をできる限り一様とし、流速を小さくすることが重要なため、傾斜板を排出口に向かって平行に配置した。
例えば、分級で土壌から粘土成分のみを分離することにより除染効果が上がるとすれば、分級の閾値をシルトの再小径である5μm程度とする必要がある。この場合には、分級層の筒状の孔(管路)の傾斜角Ψが40度のとき、筒状の孔(管路)の孔経の400倍の長さが必要となる(図12参照)。
[洗浄および分級システムによる放射能汚染土壌の洗浄実験]
次に、図21に示す土壌洗浄および分級システムを用いて、放射能汚染土壌の洗浄(除染)および分級を行った結果について説明する。本実験の目的は、篩を使用せずに細粒砂を分級することなので、土壌洗浄の際に発生した沈降細粒砂を原砂として使用した。原砂の粒度分布を図25に示す。図25に示すように、原砂は粒径51μm以下の細粒分が38%程度含まれている。原砂に含まれる放射性物質の放射能は表1に示す通りである。
放射能汚染土壌中に含まれる粘土の層状構造を酸により破壊すれば、粘土内部に取り込まれているセシウムイオンを粘土から脱離させることができることが知られている。酸としては、原子力発電所の配管洗浄で用いられているシュウ酸が利用されている。シュウ酸はステンレス鋼表面に酸化皮膜を生成し、ステンレス鋼の腐食を防止する機能があり、ポンプを腐食しないこと、および、後処理が容易なことが利点として挙げられている。そこで、除染にはシュウ酸を用いた。
実験手順は以下の通りである。
(1)原砂1.5kgを分級装置の攪拌層に投入し、分級装置の固液混相流を、沈降装置を通して15分間循環し、粘土やシルトを分級する。
(2)シュウ酸水和物1.5kg(0.08mol/Lの酸)を分級装置の攪拌層に投入し、分級装置のみで固液混相流を20分間循環し、洗浄を行う。
(3)分級装置の固液混相流を、沈降装置を通して10分間循環し、粘土やシルトを分級する。この際、各層通過後の固液混相流を採取する。
(4)分級装置の攪拌層の攪拌用水中ポンプを停止し、撹拌層の底部に沈降している細粒土を採取し、粒径分布および放射線量の計測を行う。
実験結果は以下の通りである。図26は各層通過後の流体を容器の側壁に取り付けたバルブから採取した試料をカメラで撮影した写真である。層流層通過後の試料と分級層通過後の試料とを比較すると、濁度に明瞭に差が表れている。ここで、ろ布通過後の試料は、孔径1〜2μmのろ布を通過した試料である。
実験手順(4)のシュウ酸洗浄および分級終了後の細粒土について、粒径分布および放射線量を計測した。粒径分布を図25に示す。図25に示すように、原砂に比べて、粒径51μm以下のものが減少し、粒径51〜106μmのものの割合が増加している。表1に原砂およびシュウ酸洗浄砂の放射線量の計測値を示す。洗浄後の放射線密度(Bq/kg)の低減は、51μm以下の表面積が大きい土粒子成分の減少とシュウ酸によるセシウムの土粒子からの脱離とにより、本実験では両者を判別することはできない。これらを明確にするには、粒度分布のより精密な計測およびシュウ酸の効果を別途検証する必要がある。
以上のように、放射能汚染土壌のシュウ酸による洗浄効果および傾斜管路による分級効果を実験的に調べた。シュウ酸による洗浄では、除染率を少なくとも50%以上にするためには、高濃度の酸(1mol/L以上)を使用せざるを得ないことが判明した。また、分級装置は分級の閾値を制御することができ、傾斜管路の孔径の凡そ百分の一以上の粒径の粒子を分級することができる。ただ、本実験で用いた分級層の傾斜管路はL/h=50程度であり、分級の閾値が数十μmと大きいため、粘土粒子以外のシルトも分級層を通過した。
例えば、分級で放射能汚染土壌から粘土成分のみを分離することにより除染効率が上がるとすれば、分級の閾値をシルトの最小径である5μm程度とする必要がある。既に述べたように、この場合には、傾斜管路の傾斜角Ψが40度のとき、傾斜管路の長さとしてその孔径の400倍の長さが必要となる(図12参照)。
さて、上記の湿式分級によって粘土のみの泥水を取り出した後に水分を除去して減容化する必要がある。通常は泥水に凝集剤を添加し、粘土粒子を含有するフロックを生成することで沈降速度を増加させて沈殿物を回収し、さらにデカンターなどの遠心分離脱水機またはフィルタープレスにより沈殿物(膨潤した粘土)から脱水する。しかし、フロックは水分を多量に含み、見かけの比重が1に近くなるため沈降速度は比較的小さく、フロック強度も小さいため、僅かな乱流により破壊され分散する。除染の場合の泥水処理の目的は、水を綺麗にすることではなく、粘土を取り出すことである。したがって、高濃度の泥水中の粘土粒子を数十μm程度の大きさに凝集し、それを効率的に回収する装置の開発が望まれる。
以上のように、第1の実施の形態によれば、粒径分布を有する混合粒子、例えば土壌の攪拌(分散)および分級を分級装置10の容器11内で行うことができることにより、分級装置10および沈降装置20により洗浄および分級システムを構築することができるため、洗浄および分級システムの小型化を図ることができる。また、この洗浄および分級システムは、分級装置10の分級層15の傾斜管路の管路の高さおよび長さを調整することにより、分級の閾値を連続的に調整することができる。さらに、この洗浄および分級システムを土壌の洗浄および分級に用いる場合、最終的な廃水を環境中に排出するときは別途凝集剤などを用いてSS量を低下させる必要があるが、最終的な廃水に含まれるシルトや粘土の量を大幅に減少させることができるため、凝集剤の使用量や処理時間の大幅な低減を図ることができる。
〈第2の実施の形態〉
[洗浄および分級システム]
図27に、第2の実施の形態による洗浄および分級システムを示す。図27に示すように、この洗浄および分級システムにおいては、分級装置10と沈降装置20との間に波状スタティックミキサーからなる整流層61が設けられている。より詳細には、分級装置10の容器11および沈降装置20の容器21の側壁に設けられた開口部31に整流層61が設けられている。この場合、分級装置10による分級後の固液混相流は整流層61に水平方向から入り、整流されて一様流となった後に沈降装置20の積層傾斜板23の側面に供給される。
この洗浄および分級システムの上記以外のことは第1の実施の形態と同様である。また、この洗浄および分級システムの動作は、分級装置10による分級後の固液混相流が整流層61により整流されて一様流となった後に沈降装置20の積層傾斜板23の側面に供給されることを除いて、第1の実施の形態と同様である。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、整流層61により整流されて一様流となった固液混相流を沈降装置20の積層傾斜板23の側面に供給することができるので、積層傾斜板23による粒子の沈降をより効率的に行うことができるという利点を得ることができる。
〈第3の実施の形態〉
[洗浄および分級システム]
図28に、第3の実施の形態による洗浄および分級システムを示す。図28に示すように、この洗浄および分級システムにおいては、第1の実施の形態による洗浄および分級システムを土壌の洗浄および分級に使用する場合に、分級装置10による分級後の、粘土およびシルトを含む固液混相流を沈降装置20(図28においては図示せず)に供給し、凝集沈澱させ、水は再使用し、沈澱した土壌は分級装置10の攪拌層12に戻すようにする。そして、分級装置10の攪拌層12の底部に溜まった土砂成分(砂および細粒分)を取り出し、分級装置10と直列に接続された、分級装置10と同様な構成を有する分級装置65の攪拌層に供給し、分級装置65において薬品洗浄および分級を行う。こうして薬品洗浄および分級を行った固液混相流(低濃度のシルトと薬品とを含む)を分級装置65から取り出し、フィルター膜でろ過を行う。ろ過されたシルトはフィルター膜に残され、フィルター膜を透過した薬品は再使用することができる。
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、洗浄に用いる水、薬品および土壌の有効利用を図ることができるという利点を得ることができる。
〈第4の実施の形態〉
[洗浄および分級システム]
図29に、第4の実施の形態による洗浄および分級システムを示す。図29に示すように、この洗浄および分級システムにおいては、分級装置10と沈降装置20との間に凝集促進層71が設けられている。より詳細には、分級装置10の容器11と沈降装置20の容器21とが開口部31に設けられた凝集促進層71を介して連結されている。凝集促進層71は、分級装置10の分級層15による分級後の固液混相流から可能な限り粒子を沈降堆積させて粒径を大きくすることにより、沈降装置20の積層傾斜板22、23による粒子の沈降の効率の向上を図るためのものである。凝集促進層71の大きさは特に限定されず、必要に応じて選ばれが、例えば、凝集促進層71の中心軸の方向の長さは10〜20cm、幅は20〜40cm、高さは20〜30cmである。
図30は凝集促進層71の具体的な構成例を示す。図30に示すように、この例では、凝集促進層71は、鉛直方向に互いに間隔を空けて積層された水平面に平行な複数の隔壁71aを有し、隔壁71aと隔壁71aとの間に断面形状が細長い長方形の孔71b(管路)が形成されている。隔壁71aの厚さは、隔壁71aと隔壁71aとの間の距離、言い換えると各管路の高さに比べて十分に小さくするのが好ましい。この凝集促進層71においては、隔壁71aと隔壁71aとの間の管路の高さを利用して粒子の沈降距離を小さくする。すなわち、図30に示すように、分級装置10から入ってくる固液混相流中の粒子は、一定の距離移動した後に管路の底部の隔壁71a上に沈降し、堆積することで凝集する。管路の底部の隔壁71a上に凝集した粒子は流れのせん断力により沈降装置20にフラッシュされ、積層傾斜板23の側面に入る。また、管路の底部の隔壁71a上に沈降堆積した粒子により管路が閉塞されると流速が大きくなるため、隔壁71a上に沈降堆積した粒子はフラッシュされやすくなる。
図31は凝集促進層71の他の構成例を示す。図31に示すように、この例では、凝集促進層71は、沈降装置20側が分級装置10側に比べて低くなるように水平方向に対して角度Ω傾斜している。Ωは例えば0度<Ω≦10度、好適には0度<Ω≦5度である。この例では、凝集促進層71が、沈降装置20側が分級装置10側に比べて低くなるように水平方向に対して角度Ω傾斜しているので、管路の底部の隔壁71a上に沈降し、凝集した粒子を凝集促進層71の外部に排出しやすくなる。
図32A〜Dは凝集促進層71のさらに他の構成例を示す。ここで、図32Aは平面図、図32Bは凝集促進層71の中心軸を含む鉛直断面図、図32Cは図32Aの縦板71cと縦板71cとの間の部分の隔壁71aに平行な方向の断面図、図32Dは図32Bの縦板71cと縦板71cとの間の領域(一点鎖線で囲んだ領域)に粒子が捕獲される様子を示す拡大断面図である。図32A〜Dに示すように、この凝集促進層71は、鉛直方向に互いに間隔を空けて積層された水平面に平行な複数の隔壁71aを有し、隔壁71aと隔壁71aとの間に断面形状が細長い長方形の孔71b(管路)が形成されている。隔壁71aの厚さは隔壁71aと隔壁71aとの間の距離、言い換えると各流路の高さに比べて十分に小さくするのが好ましい。各管路の底部の隔壁71aには、分級装置10と沈降装置20とを結ぶ方向、言い換えると凝集促進層71の中心軸と直交する方向に延在する縦板71cが凝集促進層71の中心軸の方向に等間隔で設けられている。各管路内の流れを妨げないように、縦板71cの高さは各管路の高さより小さく、縦板71cと管路の天井部の隔壁71aとの間の間隔が十分に大きくなるようにする。この場合、図32Dに示すように、各管路においては、縦板71cと縦板71cとの間の矩形の領域内の流速は非常に小さくなるため、この矩形の領域内に捕獲された粒子は容易に沈降集積する。また、図32Cに示すように、隔壁71aは切妻屋根の形状を有し、管路に直交する方向の最頂部から両側に向かって二つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状を有するため、縦板71cと縦板71cとの間の矩形の領域内に捕獲された粒子は両側に向かって排出されやすくなっている。ただし、隔壁71aは切妻屋根の形状ではなく、水平に形成してもよい。
[洗浄および分級システムの具体的な構成例]
次に、洗浄および分級システムの具体的な構成例について説明する。
図33は第4の構成例を示す。図33に示すように、この第4の構成例では、図14に示す第1の構成例において、分級装置10と沈降装置20との間に凝集促進層71が設けられている。その他のことは第1の構成例と同様である。
一例として、粒径分布を有する混合粒子が土壌、洗浄液が水である場合についてこの第4の構成例による洗浄および分級システムの動作を説明する。
まず、攪拌用ポンプ44としての攪拌用水中ポンプおよび高圧ポンプ45を稼働させた状態で投入口42に洗浄および分級しようとする土壌を投入する。投入された土壌は導入管41を通って攪拌層12に導入される。こうして攪拌層12に導入された土壌は、高圧ポンプ45により導入管43から攪拌層12に導入された高速ジェット水流により攪拌混合されるとともに、攪拌用ポンプ44でさらに攪拌混合される。こうして攪拌層12内に土壌と水とからなる固液混相流(泥水)が生成される。この固液混相流は、高速ジェット水流により上流に運ばれる。そして、まず、波状スタティックミキサーからなる整流層13を通過することにより固液混相流は一様流に変換される。次に、この固液混相流の一様流は層流層14を通る過程で層流とされ、沈降速度の大きな粒子が分級される。層流層14で層流とされた固液混相流は分級層15に入り、この分級層15を通る過程で粒径が数十μm以上のシルトが分級される。
分級装置10を通過した土壌成分(シルトおよび粘土)は、凝集促進層71に入り、シルトが可能な限り凝集され、せん断流によりフラッシュされて沈降装置20に入る。こうして沈降装置20に入った固液混相流は沈降装置20の上段の積層傾斜板23の側面の傾斜板23aと傾斜板23aとの間の隙間に入り、傾斜板23aに沿って沈降し、さらに下段の積層傾斜板22の傾斜板22aと傾斜板22aとの間の隙間に入り、傾斜板22aに沿って沈降し、最終的に容器21の底部に沈降し堆積する。分級装置10の容器21の排出口32から越流した固液混相流は受液槽46の中に入り、導入管43から高圧ポンプ45により攪拌層12に戻され、洗浄水として用いられる。
図33に、固液混相流(泥水)の流れを細い破線の矢印で、砂・シルト・粘土の流れを太い破線の矢印で模式的に示す。
図34は第5の構成例を示す。図34に示すように、この第5の構成例では、図15に示す第2の構成例において、分級装置10と沈降装置20との間に凝集促進層71が設けられている。その他のことは第2の構成例と同様である。
一例として、粒径分布を有する混合粒子が土壌、洗浄液が水である場合についてこの第5の構成例による洗浄および分級システムの動作を説明する。
まず、高圧ポンプ45を稼働させた状態で投入口42に洗浄および分級しようとする土壌を投入する。図34に示すように、投入された土壌は導入管41を通って導入管41と導入管43との合流部に到達し、導入管43から供給される高速ジェット水流により導入管43内に吸い込まれる。こうして土壌および水が攪拌層12に導入され、高速ジェット水流により攪拌混合される。こうして攪拌層12内に土壌と水とからなる固液混相流(泥水)が生成される。この後の動作は第4の構成例と同様である。
図34に、固液混相流(泥水)の流れを細い破線の矢印で、砂・シルト・粘土の流れを太い破線の矢印で模式的に示す。
図35は第6の構成例を示す。図35に示すように、この第6の構成例では、図17に示す第3の構成例において、分級装置10と沈降装置20との間に凝集促進層71が設けられている。その他のことは第3の構成例と同様である。
一例として、粒径分布を有する混合粒子が土壌、洗浄液が水である場合についてこの第6の構成例による洗浄および分級システムの動作を説明する。
まず、高圧ポンプ45およびサンドポンプ48を稼働させた状態で投入口42に洗浄および分級しようとする土壌を投入する。投入された土壌は導入管41を通って導入管41と導入管43との合流部に到達し、導入管43から供給される高速ジェット水流により導入管43内に吸い込まれる。こうして土壌および水が攪拌層12に導入され、高速ジェット水流により攪拌混合される。こうして攪拌層12内に土壌と水とからなる固液混相流(泥水)が生成される。この後の動作は第4の構成例と同様である。一方、攪拌層12の底部から水を含んだ土砂が導入管47内に取り出され、サンドポンプ48により回収口49に戻される。回収口49に戻った水を含んだ土砂から土砂成分が洗浄土砂回収装置50に回収されるとともに、泥水が投入口42に投入される。
一方、沈降装置20においては、容器21の底部に溜まった堆積物が取り出し口52から外部に取り出された後、例えばフィルタープレスなどで脱水ケーキ状にされ、減容される。
図35に、固液混相流(泥水)の流れを細い破線の矢印で、砂・シルト・粘土の流れを太い破線の矢印で模式的に示す。
この洗浄および分級システムの実施例について説明する。図36は実施例2による洗浄および分級システムを示す。図36に示すように、この洗浄および分級システムにおいては、容器11の底部が下に先すぼまりの四角錐状の形状を有しており、その内部に攪拌層12が設けられている。攪拌層12の側壁には洗浄液を攪拌層12に導入するための導入管43が接続されている。導入管43は高圧ポンプ45を介して直方体状の受液槽46の底部に接続されている。受液槽46は容器21の側壁上部の排出口32の前方下部に取り付けられており、排出口32を越えて外に越流した固液混相流を受け入れることができるようになっている。
沈降装置20の容器21内には、二段の積層傾斜板22、23が設けられている。積層傾斜板22は、互いに間隔を空けて積層された複数の傾斜板22aからなる。同様に、積層傾斜板23は、互いに間隔を空けて積層された複数の傾斜板23aからなる。
分級装置10と沈降装置20との間に凝集促進層71が設けられている。
凝集促進層71としては、図37または図38に示すものを用いた。図37に示す凝集促進層71は、隔壁71aが切妻屋根の形状ではなく、水平であることを除いて、図32A〜Dに示すものと同様である。図37に示すように、凝集促進層71の全長は150mm、隔壁71aと隔壁71aとの間の間隔(管路の高さ)は24mm、縦板71cの間隔は10mmである。また、図38に示す凝集促進層71は、図30に示すものと同様である。図38に示すように、凝集促進層71の全長は100mm、隔壁71aと隔壁71aとの間の間隔(管路の高さ)は5mmである。
分級装置10と沈降装置20との全体に水を循環させながら、カオリン100gを受液槽46に投入し、凝集促進層71の入口(測点1)と出口(測点2)とで7分間の積算濃度(SS)を測定した。図39に測定結果を示す。図39に示すように、いずれも、カオリンの沈降効果があり、凝集促進層71の入口に入ってくる流れの流速(u)(図37および図38参照)の増加に伴って沈降効果は低減すること、および、測点1と測点2とのSS量は大差がないことが分かった。
この第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、分級装置10と沈降装置20との間に凝集促進層71が設けられていることにより、分級装置10からの固液混相流に含まれる粒径の小さい粒子をこの凝集促進層71で可能な限り凝集させて粒径を大きくすることができ、それによって沈降装置20の積層傾斜板22、23による粒子の沈降を効率的に行うことができるという利点を得ることができる。
〈第5の実施の形態〉
[洗浄および分級システム]
図40に、第5の実施の形態による洗浄および分級システムを示す。図40に示すように、この洗浄および分級システムにおいては、分級装置10と沈降装置20との間に、分級装置10から沈降装置20に向かって順に波状スタティックミキサーからなる整流層61および凝集促進層71が設けられている。その他のことは第1の実施の形態と同様である。
この第5の実施の形態によれば、第2および第4の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、形状、構造、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、形状、構造、配置などを用いてもよい。