JP2015001578A - 低放射率部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】高断熱性で可視光線透過率が低い低放射率部材を提供する。【解決手段】複数の錐状の凸部からなるモスアイ構造12が表面に形成された透明基板10、および前記透明基板10のモスアイ構造12上に形成された金属層20を備える。低放射率部材は、金属層20側から測定した垂直放射率が0.1以下であることが好ましい。透明基板11のモスアイ構造12は、凸部の平均ピッチが400nm以下であることが好ましく、凸部の平均高さが500nm以下であることが好ましい。一実施形態において、金属層20は透明基板10に直接接している。【選択図】図1
Description
本発明は、低放射率部材に関する。特に、本発明は、断熱性を有し、かつ可視光線反射率が小さい低放射率部材に関する。
従来より、ガラスやフィルム等の基板上に赤外線反射層を備える赤外線反射基板が知られている。赤外線反射層としては、主に金属層が用いられ、太陽光からの近赤外線を反射することで、遮熱性を高め、屋外から室内へ熱の流入を防止している。また、遠赤外線の室内から屋外への流出(放射)を低減することで断熱性を高める低放射率基板(Low−Eガラス)も普及している。
基板上に金属層を形成した赤外線反射基板や低放射率基板を窓ガラス等へ適用すると、金属反射によって鏡のように見えるため、採光性に劣るとともに、屋内および屋外にいる人の快適性に悪影響を及ぼす。そのため、金属層を、ITOやZnO等の金属酸化物層で挟持した構造により、界面での光学干渉を生じさせ、反射波長の選択性を付与して、可視光線の反射率を低減させる方法が採用されている(例えば、特許文献1)。しかし、金属層を金属酸化物層で挟持した構成は、多層膜となるため生産コストの増大を招く。
また、金属層を金属酸化物層で挟持した構成では、可視光の反射率低下に伴って、近赤外線の反射率も低下するため、遮熱性を犠牲にせざるを得ない。金属層と金属酸化物層の交互積層数を増加させることにより、反射の波長選択性を高めることもできるが、さらなる生産コスト増大の要因となる。
上記に鑑み、本発明は、薄膜の積層数が少なく、かつ可視光線反射率が小さい低放射率部材の提供を目的とする。
本発明者らが検討の結果、モスアイ構造上に金属薄膜を形成することにより、低放射率を保ったまま可視光線反射率の低減が可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、複数の錐状の凸部からなるモスアイ構造が表面に形成された透明基板、および前記透明基板のモスアイ構造上に形成された金属層を備える低放射率部材に関する。本発明の低放射率部材は、金属層側から測定した垂直放射率が0.1以下であることが好ましい。透明基板のモスアイ構造は、凸部の平均ピッチが400nm以下であり、かつ凸部の平均高さが500nm以下であることが好ましい。
金属層は、Ag、Au、Cu、Alのいずれかを主成分とするものが好ましい。金属層は、さらにPdを含有することが好ましい。また、金属層の膜厚は40nm以下が好ましい。好ましくは、金属層は、透明基板に直接接するように形成される。
一実施形態において、金属層の基板側と反対側の面には、透明保護層が形成されている。透明保護層は、金属酸化物層を介することなく、金属層上に形成されていることが好ましい。
本発明の低放射率部材は、放射率が小さいために断熱効果を奏し、かつ可視光の反射率が小さいため、建物や自動車の窓ガラスの断熱用部材として好適に用いることができる。また、本発明の低放射率部材は、薄膜の積層数が少ないため、低コストで提供可能である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる低放射率部材の構成を模式的に表す断面図である。本発明の低放射率部材100は、透明基板10上に金属層20を備える。低放射率部材100は、例えば、透明基板10側を建物や自動車の窓の室内側に貼り合わせて用いることにより、断熱効果を発揮し得る。
[透明基板]
透明基板10は、表面にモスアイ構造12を備える。モスアイ構造とは、可視光の波長(400nm〜800nm)よりも小さな、微小凸部または微小凹部が多数設けられた構造であり、界面における急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次推移する屈折率変化に変えることを可能にする。
透明基板10は、表面にモスアイ構造12を備える。モスアイ構造とは、可視光の波長(400nm〜800nm)よりも小さな、微小凸部または微小凹部が多数設けられた構造であり、界面における急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次推移する屈折率変化に変えることを可能にする。
図2(a)は、金属層が形成されていないモスアイ基板の一例を模式的に示す断面図であり、透明基板の表面に、複数の微小な凸部からなるモスアイ構造12が形成されている。図2(a)に示すように、空気層(屈折率n1≒1)と、透明基板10の底部11(屈折率n2)との間のモスアイ構造領域は、透明基板の凸部と空気層とが混在する領域である。そのため、凸部の大きさ(ピッチおよび凸部の高さ)よりも大きな波長を有する光が、モスアイ構造12側から底部11に到達する際、モスアイ構造12が形成された領域は、透明基板10を構成する材料と空気層との中間的な屈折率を有するとみなされる。すなわち、この領域では、光の波長λよりも短い範囲内で、突起と空気層の体積比に対応して、図2(b)に示すように、基板の表面に接する空気の屈折率n1から、基板を構成する材料の屈折率n2まで、屈折率が連続的に徐々に大きくなる。その結果、モスアイ基板に入射する光は、空気−基板間の界面を明確な界面として認識しないため、界面での光の反射が抑制される。
このように、モスアイ構造領域に屈折率の連続性を持たせる観点から、モスアイ構造における凸部または凹部は、錐形状であることが好ましい。また、可視光の反射防止性を得る観点から、モスアイ構造は、凸部または凹部の平均ピッチが400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。凸部の平均高さ、あるいは凹部の平均深さは、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましい。また、各凸部または凹部のアスペクト比(高さ/底辺の長さ)は、1.0以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましい。
モスアイ構造の凹凸のピッチおよび高さ(深さ)の下限は特に限定されないが、凹凸構造が過度に小さいと、界面での屈折率変化が急激で不連続となって反射防止特性が低下したり、その上に形成される金属層によって表面の凹凸が埋められてしまう場合がある。そのため、モスアイ構造の平均ピッチは、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましい。また、モスアイ構造の平均高さ(または平均深さ)は、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましく、200nm以上が特に好ましい。
微小凸部または凹部の配置は特に限定されず、ランダム配置、六方格子配置、正方配置等の規則的配置、ランダム配置のいずれでもよい。界面での反射率を効果的に低下させる観点からは、ランダム配置が特に好ましい。
透明基板10の材料は、上記モスアイ構造を形成可能であれば、特に限定されず、可視光線透過率が80%以上のものが好適に用いられる。透明基板10の厚みは、特に限定されないが、例えば25μm〜10mm程度である。透明基板としては、ガラス板や可撓性の透明樹脂フィルム等が用いられる。特に、窓ガラス等への低放射率部材の付設が容易であることから、透明樹脂フィルムが好適に用いられる。透明基板として透明樹脂フィルムが用いられる場合、その厚みは25μm〜300μm程度の範囲が好適である。また、透明基板10上に金属層20が形成される際に、高温での加工が行われる場合があるため、透明基板を構成する樹脂材料は、耐熱性に優れるものが好ましい。透明基板を構成する樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
透明基板10表面へのモスアイ構造の構成方法は特に限定されないが、形状の再現性の観点、プロセスの容易性から、ナノインプリント法が好ましい。ナノインプリント法は、モールドに形成されたナノメートルオーダーの凹凸を、樹脂材料に押し当てて形状を転写する方法である。透明基板上に熱硬化性あるいはUV硬化性の樹脂を塗布し、モールドを押し当てた状態で、加熱あるいはUV硬化により樹脂を硬化させてもよい。ナノインプリント用のモールドは、EB法、干渉露光法、X線リソグラフィー法、熱リソグラフィー法等により作製可能である。
図1では、透明基板10の金属層20側の表面にのみ、モスアイ構造12が形成された例が図示されているが、透明基板10は、金属層20側と反対側の面にもモスアイ構造を有していてもよい。
[金属層]
透明基板10上には、金属層20が形成される。金属層は、近赤外線を反射して遮熱性を高めるとともに、遠赤外線を反射することにより断熱性を高める作用を有する。金属層20の材料としては、遠赤外線の反射率が高いものが好ましく、Ag、Au、Cu、Ni、Cr、Fe、Al等を主成分とするものが好ましく用いられる。中でも、Ag、Au、Cu、およびAlは、金属層内に侵入した可視光の吸収が小さく、低放射率基板の透明性をより向上し得る。特に、Agは高い自由電子密度を有し、近赤外線・遠赤外線の高い反射率を実現することができるため、Agを主成分とする金属層20を形成することは、透明性、遮熱性および断熱性を兼ね備える低放射率部材を得る上で好適である。なお、特定の元素(金属)を「主成分とする」とは、金属層中の含有量が50重量%以上であることを意味し、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
透明基板10上には、金属層20が形成される。金属層は、近赤外線を反射して遮熱性を高めるとともに、遠赤外線を反射することにより断熱性を高める作用を有する。金属層20の材料としては、遠赤外線の反射率が高いものが好ましく、Ag、Au、Cu、Ni、Cr、Fe、Al等を主成分とするものが好ましく用いられる。中でも、Ag、Au、Cu、およびAlは、金属層内に侵入した可視光の吸収が小さく、低放射率基板の透明性をより向上し得る。特に、Agは高い自由電子密度を有し、近赤外線・遠赤外線の高い反射率を実現することができるため、Agを主成分とする金属層20を形成することは、透明性、遮熱性および断熱性を兼ね備える低放射率部材を得る上で好適である。なお、特定の元素(金属)を「主成分とする」とは、金属層中の含有量が50重量%以上であることを意味し、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
金属層20が、Agを主成分とする場合、Agの含有量は、90〜99.9重量%が好ましく、93〜99.5重量%がより好ましく、95〜99重量%がさらに好ましい。Agの含有量を90重量%以上とすることで、低放射率部材の放射率を減少できるとともに、可視光の透過率を高めることができる。
一方で、銀は、水分、酸素、塩素等が存在する環境下に暴露された場合や、紫外光や可視光が照射された場合に、酸化や腐食等の劣化を生じる場合がある。そのため、金属層20は、耐久性を向上させる目的で、Ag以外の金属を含有する銀合金層としてもよい。金属層の耐久性を高める目的で添加される金属としては、Pd,Au,Cu,Bi,Ge,Ga等が好ましい。中でも、Agに高い耐久性を付与する観点から、Pd,Au,およびCuのいずれか1種が添加されることが好ましく、特にPdが添加されることが好ましい。
本発明では、透明基板10のモスアイ構造12上に金属層20が形成されることによって、低放射率部材の可視光線反射率が低減し、透過率が高められる。これは、図2を用いて説明したのと同様に、空気層と金属層20との界面での屈折率変化が連続的で漸次推移することに起因すると推定される。また、本発明では、可視光線反射率が低減されて透明性が高められるのに対して、近赤外線反射率は大きく低下しない。そのため、遮熱性を大幅に低下させることなく、透明性が高められた低放射率部材が得られる。
金属層20の厚みは特に限定されないが、3nm〜40nmが好ましく、5nm〜35nmがより好ましく、7nm〜30nmがさらに好ましく、10nm〜25nmが特に好ましい。金属層の厚みが小さすぎると、金属層による遠赤外線の反射が不十分となり、放射率が大きくなるために、断熱性が低下する場合がある。一方、金属層の厚みが過度に大きいと、可視光の反射率が上昇し、透明性が低下する傾向がある。金属層20の製膜方法は特に限定されないが、製膜性や膜厚制御の観点から、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜が好ましく、中でもスパッタ法による製膜が特に好ましい。
[透明保護層]
本発明の低放射率部材が断熱効果を発揮するためには、室内の遠赤外線を金属層20で室内側に反射させ、室外へ放射させないことが重要である。一方、透明基板10として用いられる透明フィルムは、一般に、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等を含んでいるため、波長5μm〜25μmの遠赤外線領域の赤外振動吸吸が大きい。透明基板で吸収された遠赤外線は、金属層で反射されることなく、熱伝導により熱として拡散される。そのため、本発明の低放射率部材を断熱部材として用いる場合は、基板10が室外側、金属層20が室内側となるように配置して用いられることが好ましい。
本発明の低放射率部材が断熱効果を発揮するためには、室内の遠赤外線を金属層20で室内側に反射させ、室外へ放射させないことが重要である。一方、透明基板10として用いられる透明フィルムは、一般に、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等を含んでいるため、波長5μm〜25μmの遠赤外線領域の赤外振動吸吸が大きい。透明基板で吸収された遠赤外線は、金属層で反射されることなく、熱伝導により熱として拡散される。そのため、本発明の低放射率部材を断熱部材として用いる場合は、基板10が室外側、金属層20が室内側となるように配置して用いられることが好ましい。
このような用途では、図3に示すように、低放射率部材101は、金属層20上に透明保護層30を備えることが好ましい。透明保護層30を備えることにより、金属層20の擦傷や、水分、酸素、塩分等による劣化を防止できる。
透明保護層30の材料としては、可視光線透過率が高く、機械的強度および化学的強度に優れるものが好ましい。また、透明保護層30は、遠赤外線の吸収が小さいことが好ましい。透明保護層30による遠赤外線吸収量を小さくする方法としては、透明保護層の厚みを小さくする方法や、遠赤外線の吸収率が小さい材料を用いる方法が挙げられる。
透明保護層の厚みを調整して遠赤外線吸収を小さくする場合、透明保護層30の厚みは、600nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、400nm以下がさらに好ましい。透明保護層の厚みの下限値は特に限定されず、機械的強度および化学的強度を付与し得る範囲で適宜に設定される。透明保護層30の厚みは、例えば5nm以上である。なお、図3では、透明保護層30の表面が平滑に図示されているが、透明保護層の表面形状は、金属層20と同様に、透明基板10のモスアイ構造12の形状を反映したものでもよい。
この場合、透明保護層30の材料としては、可視光線透過率が高く、機械的強度および化学的強度に優れるものが好ましい。例えば、フッ素系、アクリル系、ウレタン系、エステル系、エポキシ系、シリコーン系等の活性光線硬化型あるいは熱硬化型の有機樹脂や、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、サイアロン(SiAlON)等の無機材料、あるいは有機成分と無機成分が化学結合した有機・無機ハイブリッド材料が好ましく用いられる。
透明保護層30の材料として有機材料あるいは有機・無機ハイブリッド材料が用いられる場合、架橋構造が導入されることが好ましい。架橋構造が形成されることによって、透明保護層の機械的強度および化学的強度が高められ、金属層に対する保護機能が増大する。中でも、酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物に由来する架橋構造が導入されることが好ましい。
酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物としては、リン酸、硫酸、シュウ酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸等の多価の酸と;エチレン性不飽和基、シラノール基、エポキシ基等の重合性官能基と水酸基とを分子中に有する化合物とのエステルが挙げられる。なお、当該エステル化合物は、ジエステルやトリエステル等の多価エステルでもよいが、多価の酸の少なくとも1つの酸性基がエステル化されていないことが好ましい。
一方、透明保護層30の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いれば、その厚みを大きくしても、遠赤外線吸収量を小さく保つことができる。この場合、透明保護層の材料としては、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等の含有量が小さい化合物が好適に用いられる。透明保護層を構成する材料としては、遠赤外線の吸収率が小さいことに加えて、可視光線透過率が高く、金属層との密着性に優れ、かつ耐擦傷性に優れるものが好適に用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、シクロオレフィン系ポリマー等の脂環式ポリマー、ゴム系ポリマー等が好適に用いられる。特に、ゴム系の材料が特に好ましく、中でもニトリルゴム系の材料が好適に用いられる。ニトリルゴムは、例えばアクリロニトリルおよび/またはその誘導体と、1,3−ブタジエンとを共重合することにより得られる。特に、透明保護層30の材料としては、ニトリルゴム中に含まれる二重結合の一部または全部が水素化(水素添加)された水素化ニトリルゴム(HNBR)が好適に用いられる。二重結合が水素化されることで、遠赤外線の吸収率が低下するため、透明保護層の遠赤外線吸収量が低下し、赤外線放射フィルムの断熱性を高めることができる。
透明保護層の材料として、水素化ニトリルゴム等の遠赤外線の吸収率が小さいものが用いられる場合、透明保護層の厚みは、1μm〜20μmが好ましく、2μm〜15μmがより好ましく、3μm〜10μmがさらに好ましい。透明保護層の厚みが上記範囲であれば、保護層自体が十分な物理的強度を有し、かつ金属層に対する保護機能が高められると共に、遠赤外線の吸収量を小さくできる。
[低放射率部材の積層構成]
上記のように、本発明の低放射率部材100は、透明基板10の一主面上に、金属層20を備え、好ましくは、金属層20上に透明保護層30を備える。透明基板10と金属層20との間には、ITOやZnO等の金属酸化物層が配置されていないことが好ましい。当該構成により、薄膜の積層数が低減するため、生産性向上および製造コスト低減を図ることができる。また、金属層20と透明保護層30との間にも金属酸化物層を有していないことが好ましい。なお、前述のように、透明保護層30自体は、酸化アルミニウム等の金属酸化物からなるものであってもよい。
上記のように、本発明の低放射率部材100は、透明基板10の一主面上に、金属層20を備え、好ましくは、金属層20上に透明保護層30を備える。透明基板10と金属層20との間には、ITOやZnO等の金属酸化物層が配置されていないことが好ましい。当該構成により、薄膜の積層数が低減するため、生産性向上および製造コスト低減を図ることができる。また、金属層20と透明保護層30との間にも金属酸化物層を有していないことが好ましい。なお、前述のように、透明保護層30自体は、酸化アルミニウム等の金属酸化物からなるものであってもよい。
本発明においては、透明基板のモスアイ構造上に金属層が形成されることによって、金属層による可視光の反射が低減される。そのため、付加的な金属酸化物層を設けなくとも、低放射率部材の可視光線透過率が高められる。
金属層20と透明保護層30との間には、各層の密着性を高める目的や、低放射率部材の強度を高める等の目的で、ハードコート層や易接着層等の付加的な機能層が設けられていてもよい。また、密着性向上等の目的で、透明保護層形成前に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理等の表面改質処理が行われてもよい。
透明基板10と金属層20との間にもハードコート層や易接着層等の機能層が設けられていてもよいが、金属層20は、透明基板10に直接接するように形成されることが好ましい。透明基板10のモスアイ構造上に、他の層を介することなく金属層20が設けられることで、金属層20の空気界面の形状、あるいは金属層20と透明保護層30との界面の形状は、透明基板10のモスアイ構造12の形状をより反映したものとなる。そのため、金属層20が、透明基板10に直接接するように形成されていれば、低放射率基板の透明性が高められる傾向がある。なお、金属層20が、透明基板10に直接接するように形成される場合においても、金属層の形成前に、透明基板10の表面に上記の表面改質処理が行われてもよい。
透明基板10の金属層20と反対側の面には、低放射率部材と窓ガラス等との貼り合せに用いるための接着剤層(不図示)等が付設されていてもよい。接着剤層としては、可視光線透過率が高く、透明基板10との屈折率差が小さいものが好適に用いられる、例えば、アクリル系の粘着剤(感圧接着剤)は、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性を示し、耐候性や耐熱性等に優れることから、透明基板に付設される接着剤層の材料として好適である。
接着剤層は、可視光線の透過率が高く、かつ紫外線透過率が小さいものが好ましい。接着剤層の紫外線透過率を小さくすることによって、太陽光等の紫外線に起因する金属層の劣化を抑制することができる。接着剤層の紫外線透過率を小さくする観点から、接着剤層は紫外線吸収剤を含有することが好ましい。なお、透明基板10が紫外線吸収剤を含有することによっても、屋外からの紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制することができる。接着剤層の露出面は、低放射率部材が実用に供されるまでの間、露出面の汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で、接着剤層の露出面の外部との接触による汚染を防止できる。
[低放射率部材の特性]
本発明の低放射率部材は、金属層20側から測定した垂直放射率が0.1以下であることが好ましい。可視光線の反射率(波長400nm〜800nmの範囲の平均)は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。近赤外線の反射率(波長800nm〜2500nmの範囲の平均)は、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。近赤外線の透過率は、15%以下が好ましく10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。
本発明の低放射率部材は、金属層20側から測定した垂直放射率が0.1以下であることが好ましい。可視光線の反射率(波長400nm〜800nmの範囲の平均)は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。近赤外線の反射率(波長800nm〜2500nmの範囲の平均)は、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。近赤外線の透過率は、15%以下が好ましく10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。
[用途]
本発明の低放射率部材は、例えば建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に貼着して用いることができる。このような用途では、冷暖房効果の向上や急激な温度変化を防止でき、省エネルギー化に寄与し得る。
本発明の低放射率部材は、例えば建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に貼着して用いることができる。このような用途では、冷暖房効果の向上や急激な温度変化を防止でき、省エネルギー化に寄与し得る。
以下に、実施例と比較例の対比によって、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例、比較例で用いた測定方法]
<反射率および透過率>
反射率および透過率は、いずれも分光光度計(日立ハイテク製 製品名「U−4100」)を用いて測定した。反射率は、透明基板側から入射角5°で光を入射し、波長400nm〜800nmの範囲の5°絶対反射率(可視光線反射率)、および波長800nm〜2500nmの範囲の5°絶対反射率(近赤外線反射率)を計測し、各波長範囲における平均を算出した。
近赤外線透過率は、金属層側から光を入射し、波長800nm〜2500nmの範囲で計測して、その平均を算出した。
<反射率および透過率>
反射率および透過率は、いずれも分光光度計(日立ハイテク製 製品名「U−4100」)を用いて測定した。反射率は、透明基板側から入射角5°で光を入射し、波長400nm〜800nmの範囲の5°絶対反射率(可視光線反射率)、および波長800nm〜2500nmの範囲の5°絶対反射率(近赤外線反射率)を計測し、各波長範囲における平均を算出した。
近赤外線透過率は、金属層側から光を入射し、波長800nm〜2500nmの範囲で計測して、その平均を算出した。
<垂直放射率>
暗室中で、放射率計(DEVICES&SERVICES社製)を金属面に接触させ、垂直放射率を計測した。
暗室中で、放射率計(DEVICES&SERVICES社製)を金属面に接触させ、垂直放射率を計測した。
[実施例1]
平均深さ300nm、平均ピッチ250nmの凹部が形成されたシリコン基板をインプリント用モールドとして用いた。このモールドをポリカーボネートフィルム上に載置し、真空ラミネータ(ニチゴウモートン製、型番:V150)を用いて、温度180℃、圧力0.9MPaで10分間インプリント転写を行った後、室温まで徐冷し、ポリカーボネートフィルムからモールドを剥離した。ポリカーボネートフィルムの表面には、モールドの形状が転写されたモスアイ構造が形成されていた。
平均深さ300nm、平均ピッチ250nmの凹部が形成されたシリコン基板をインプリント用モールドとして用いた。このモールドをポリカーボネートフィルム上に載置し、真空ラミネータ(ニチゴウモートン製、型番:V150)を用いて、温度180℃、圧力0.9MPaで10分間インプリント転写を行った後、室温まで徐冷し、ポリカーボネートフィルムからモールドを剥離した。ポリカーボネートフィルムの表面には、モールドの形状が転写されたモスアイ構造が形成されていた。
上記フィルムのモスアイ構造形成面上に、RFマグネトロンスパッタ装置(芝浦メカトロニクス社製)を用いて、金属層を形成した。直径3インチ、Ag:Pd:Cuの重量比98:1:1の合金ターゲット(フルヤ金属製、APC)を装置内に装着し、真空到達度8.0×10−4Paまで減圧し、5分間のプレスパッタを行った後、RFパワー50W、Arガス流量10sccm、製膜圧力0.5Pa、基板加熱なし、設定製膜速度10.3nm/分の条件で、2分20秒間製膜を行った(狙い厚み25nm)。得られたフィルムは、透明性を有しており、フィルムの反対面からの光を視認可能であった。
[比較例1]
モスアイ構造が形成されていないポリカーボネートフィルムをそのまま透明基板として用い、その上に、製膜時間を1分46秒(狙い厚み18nm)としたこと以外は上記実施例1と同様にして金属層を形成した。なお、金属層の膜厚は、上記実施例1と放射率が同等となるように調整したものである。得られたフィルムは、いずれの面から視認した場合も鏡のような反射特性を有しており、フィルムの反対面からの光を視認することができなかった。
モスアイ構造が形成されていないポリカーボネートフィルムをそのまま透明基板として用い、その上に、製膜時間を1分46秒(狙い厚み18nm)としたこと以外は上記実施例1と同様にして金属層を形成した。なお、金属層の膜厚は、上記実施例1と放射率が同等となるように調整したものである。得られたフィルムは、いずれの面から視認した場合も鏡のような反射特性を有しており、フィルムの反対面からの光を視認することができなかった。
実施例1および比較例1で得られたフィルムの特性を表1に示す。
上記表1から明らかなように、実施例1の低放射率基板は、比較例1に比して近紫外線に対する反射・透過特性が大きく変化することなく、可視光線反射率が大幅に低減されており、透明性が向上していることがわかる。すなわち、本発明によれば、薄膜の積層数を増加させることなく、低放射率による断熱性、および近紫外線反射による遮熱性を維持したまま、低放射率部材の透明性が高められることがわかる。
10: 透明基板
12: モスアイ構造
20: 金属層
30: 透明保護層
12: モスアイ構造
20: 金属層
30: 透明保護層
Claims (8)
- モスアイ構造が表面に形成された透明基板、および前記透明基板のモスアイ構造上に形成された金属層を備え、
前記金属層側から測定した垂直放射率が0.1以下である低放射率部材。 - 前記モスアイ構造は、凸部または凹部の平均ピッチが400nm以下であり、かつ平均高さが500nm以下である、請求項1に記載の低放射率部材。
- 前記金属層は、Ag、Au、Cu、Alのいずれかを主成分とする、請求項1または2に記載の低放射率部材。
- 前記金属層は、さらにPdを含有する、請求項3に記載の低放射率部材。
- 前記金属層の膜厚が40nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の低放射率部材。
- 前記金属層は、前記透明基板に直接接している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の
- 前記金属層の前記透明基板側と反対側の面に、さらに透明保護層を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の低放射率部材。
- 前記透明保護層は、金属酸化物層を介さずに、前記金属層上に形成されている、請求項7に記載の低放射率部材。
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| JP2013125253A JP2015001578A (ja) | 2013-06-14 | 2013-06-14 | 低放射率部材 |
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|---|---|---|---|---|
| WO2016158550A1 (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-06 | コニカミノルタ株式会社 | 表示部材及びヘッドアップディスプレイ装置 |
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| JP2018086802A (ja) * | 2016-11-29 | 2018-06-07 | 旭化成株式会社 | ポリイミドフィルム積層体 |
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| WO2024147293A1 (ja) * | 2023-01-06 | 2024-07-11 | キヤノン株式会社 | 吸光遮熱膜、吸光遮熱部材、物品、吸光遮熱膜の製造方法、及び吸光遮熱部材の製造方法 |
-
2013
- 2013-06-14 JP JP2013125253A patent/JP2015001578A/ja active Pending
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