JP2015089569A - 2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接において、電極間の湯溜りが良好で、スパッタ発生量ならびに鋼板へのスパッタ付着量が少なく、アンダーカットやオーバーラップがない健全な溶接ビードを得ることができる2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法を提供する。
【解決手段】2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用い、先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、後行電極のシールドガスはCO2が100体積%のCO2ガス、先行電極と後行電極との電極間距離を10〜40mm、先行電極及び後行電極のワイヤ径を1.2〜2.0mmとし、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下で溶接することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用い、先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、後行電極のシールドガスはCO2が100体積%のCO2ガス、先行電極と後行電極との電極間距離を10〜40mm、先行電極及び後行電極のワイヤ径を1.2〜2.0mmとし、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下で溶接することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、軟鋼及び490N/mm2級高張力鋼板をはじめとする各種鋼板を水平すみ肉溶接する2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法に関するものであり、特に、ショットブラスト加工を行うことなく熱延スケールが生成したままの無塗装鋼板(以下、黒皮鋼板という。)の長尺水平すみ肉溶接で問題となる鋼板表面に付着するスパッタ付着量を低減でき、良好なビード形状を得る上で好適な2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法に関する。
近年、船舶や橋梁の分野ではガスシールドアーク溶接が広く使用されているが、溶接の更なる高能率化の目的から、例えば特許文献1、2に示すような2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接が提案され、長尺ロンジ溶接などに使用されている。この溶接法を用いることにより、溶接速度を下げることなく溶着量を確保できるため、高能率な溶接が可能となる。
図1に2電極1プール方式の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接の状況を示す模式図を示す。図1に示すように、2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で良好なビード形状を得るためには、先行電極ワイヤ2について鉛直方向に対し後方斜め方向に角度θ1(以下、後退角という。)を持たせ、後行電極ワイヤ3について鉛直方向に対し前方斜め方向に角度θ2(以下、前進角という。)を持たせて図中矢印方向に示す溶接方向に向けて溶接する。このとき、その2電極間(図中dで示されるアーク発生点の間隔内)に安定した湯溜り4を形成することが重要である。なお、図中1は鋼板表面の熱延スケール、5は溶融プール、6は溶融スラグ、7は凝固スラグ、8は溶接ビードである。
また、プライマ塗装鋼板を溶接する際に問題となる耐気孔性を向上させる方法としては、例えば特許文献3に開示されているような2電極高速すみ肉溶接用フラックス入りワイヤを用いる方法が提案されている。しかし、これらの溶接方法は、プライマ塗装鋼板の耐気孔性向上を目的としているため、黒皮鋼板の2電極高速すみ肉溶接に使用すると鋼板表面へのスパッタ付着量の増加やビード形状不良が問題となる。すなわち、プライマ塗装鋼板の溶接では、プライマ膜に妨げられ、鋼板表面にほとんどスパッタが付着しないのに対して、黒皮鋼板の溶接では、ワイヤ先端および溶融プールから発生したスパッタが融着しやすく付着量も多くなる。これらのスパッタを除去する作業には多大な労力と時間を要する。
一方、黒皮鋼板でのスパッタ付着量を低減するためにアーク状態やスラグ被包性を改良した2電極高速すみ肉溶接用フラックス入りワイヤを用いる方法が特許文献4に提案されている。しかし、特許文献4に開示の技術においても溶接速度1.5m/min以上での溶接においては健全な溶接ビードが得られず、スパッタ発生量ならびに鋼板へのスパッタ付着量の低減ができないという問題があった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、特に、黒皮鋼板の2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接において、電極間の湯溜りが良好で、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が少なく、アンダーカットやオーバーラップがない健全な溶接ビードを得ることができる2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法は、2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用い、先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、後行電極のシールドガスはCO2が100体積%のCO2ガス、先行電極と後行電極との電極間距離を10〜40mm、先行電極及び後行電極のワイヤ径を1.2〜2.0mmとし、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下で溶接することを特徴とする。
また、本発明に係る2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、更に前記溶接用フラックス入りワイヤは、当該ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、スラグ形成剤の合計を3.5〜8.5%含有し、残部は鉄粉、合金粉及び不可避不純物であることを特徴とする。
本発明の2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法によれば、特に、黒皮鋼板の2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接において、アークが安定して、電極間の湯溜りが良好で、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が少なく、アンダーカットやオーバーラップがない健全な溶接ビードを得ることができるので、溶接の高能率化及び溶接部の品質向上を図ることができる。
本発明者らは、軟鋼及び490N/mm2級高張力鋼板をはじめとする各種鋼板を溶接する上で、前記課題を解決するため、黒皮鋼板を用いて2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接の溶接施工条件について種々検討した。その結果、先行電極ワイヤに溶接用ソリッドワイヤ、後行電極ワイヤに溶接用フラックス入りワイヤを用いることで、後行電極ワイヤの溶接用フラックス入りワイヤから発生する溶融スラグを溶接ビードの表面に均一被包させ、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状を良好にすることができることを見出した。
また、先行電極ワイヤの溶接用ソリッドワイヤは、高電流域ではワイヤ直径よりも大きい溶滴を形成したのちに、ワイヤ先端から離脱する。そのため、大粒なスパッタが発生しやすく鋼板へのスパッタ付着量も多い。そこで、ワイヤ先端からの溶滴離脱を促す効果ならびに移行形態をグロビュール移行からスプレー移行にするため、Arが70〜95体積%のAr−CO2混合ガスを先行電極のシールドガスに用いることによって、鋼板表面へのスパッタ付着量を低減することができることを見出した。
さらに、溶接用ソリッドワイヤは、溶接用フラックス入りワイヤに比べてワイヤ中の酸素量が少ないので、先行電極ワイヤに溶接用ソリッドワイヤを用いた場合、2電極ともに溶接用フラックス入りワイヤを用いた場合に比べて湯溜り内の酸素量が下がり、後行電極ワイヤの後方に形成される溶融プールの表面張力が上がる。このため、溶接ビードの垂れが少なくなり、立板側の溶接ビード端部及び下板側の溶接ビード端部が均等な溶接ビードを得ることができることを見出した。
また、先行電極ワイヤと後行電極ワイヤとの電極間距離(アーク発生点の間隔)、先行電極ワイヤのワイヤ径を後行電極ワイヤのワイヤ径以下とすることによって、溶接時のアーク及び湯溜りを安定させてスパッタを低減し、アンダーカットやオーバーラップがない健全な溶接ビードが得られ、スラグ剥離性も良好にできることを見出した。
以下に、本発明における2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法の各溶接施工条件の限定理由について説明する。
[先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用いる]
溶接用ソリッドワイヤは、溶接用フラックス入りワイヤに比べてワイヤ中の酸素量が少ない。2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で先行電極に溶接用ソリッドワイヤを用いると、先行電極及び後行電極ともに溶接用フラックス入りワイヤを用いた場合に比べて湯溜り内の酸素量が下がり、後行電極ワイヤの後方に形成される溶融プールの表面張力が高くなるので、溶接ビードの垂れが少なくなり、脚長が均等な溶接ビードを得ることができる。
溶接用ソリッドワイヤは、溶接用フラックス入りワイヤに比べてワイヤ中の酸素量が少ない。2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で先行電極に溶接用ソリッドワイヤを用いると、先行電極及び後行電極ともに溶接用フラックス入りワイヤを用いた場合に比べて湯溜り内の酸素量が下がり、後行電極ワイヤの後方に形成される溶融プールの表面張力が高くなるので、溶接ビードの垂れが少なくなり、脚長が均等な溶接ビードを得ることができる。
先行電極及び後行電極ともに溶接用フラックス入りワイヤを用いた場合は、湯溜り中の酸素量が多くなるので、溶接ビードが垂れやすくなり、溶接ビードの脚長が不均等となる。
先行電極及び後行電極ともに溶接用ソリッドワイヤを用いた場合は、先行電極のアークと後行電極のアークとの相互干渉によってアークが不安定となり、スパッタの発生量が多くなる。また、後行電極のアークが強いので、溶接ビードが凸状になり、ビード形状が不良になる。さらに、両電極から供給されるスラグ形成剤が極めて少ないので、溶融スラグが溶融プールを全面被包できず、溶接ビードの垂れを支えきれなくなり、溶接ビードの脚長が不均等となるとともに、スラグ被包性及びスラグ剥離性も不良となる。
先行電極に溶接用フラックス入りワイヤ、後行電極に溶接用ソリッドワイヤを用いた場合は、ビード形状を整える働きをする後行電極に溶接用ソリッドワイヤを用いているので、後行電極からのアークが強く、溶接ビードが凸状となり、ビード形状が不良となる。また、溶融スラグが溶融プール全面に均一に被包できないので、溶接ビードの脚長も不均等となり、スラグ被包性及びスラグ剥離性が不良となる。
したがって、先行電極には溶接用ソリッドワイヤを、後行電極には溶接用フラックス入りワイヤを用いるものとする。
[先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、後行電極のシールドガスはCO2が100体積%のCO2ガス]
ガスシールドアーク溶接を行うには、シールドガスは必要不可欠であり、シールドガスの種類およびガス成分によりアーク状態並びに溶滴移行形態が異なる。黒皮鋼板の溶接の場合、先行電極のシールドガスにArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガスを用いることで、先行電極ワイヤの溶滴移行形態を大粒のスパッタがワイヤ先端もしくは溶融プールから発生しやすいグロビュール移行から、溶滴が小さく大粒のスパッタが発生しないスプレー移行にすることでスパッタの発生量および付着量を低減することができる。
ガスシールドアーク溶接を行うには、シールドガスは必要不可欠であり、シールドガスの種類およびガス成分によりアーク状態並びに溶滴移行形態が異なる。黒皮鋼板の溶接の場合、先行電極のシールドガスにArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガスを用いることで、先行電極ワイヤの溶滴移行形態を大粒のスパッタがワイヤ先端もしくは溶融プールから発生しやすいグロビュール移行から、溶滴が小さく大粒のスパッタが発生しないスプレー移行にすることでスパッタの発生量および付着量を低減することができる。
先行電極のシールドガスにArが70体積%未満のAr−CO2またはCO2ガスを用いた場合は、前記効果を得ることができず、鋼板へのスパッタ付着量低減について改善することができない。
先行電極及び後行電極のシールドガスともにArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガスを用いる場合はアークが広がりやすくなるため、アンダーカットが発生し、ビード形状が不良となる。
先行電極のシールドガスのArが95体積%を超えると、アークが広がりやすくなるのでアンダーカットが発生し、ビード形状が不良となる。また、スプレーアークのアークが強くなるので湯溜りが不安定になる。
後行電極のシールドガスにArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガスを用いると、アークが広がり立板及び下板にアンダーカットが生じる。
したがって、先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、後行電極のシールドガスはCO2が100体積%のCO2ガスとする。
[先行電極と後行電極との電極間距離:10〜40mm]
2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で安定した湯溜りを形成するためには、先行電極と後行電極の電極間距離(アーク発生点の間隔)を適正にする必要がある。先行電極と後行電極の電極間距離が10mm未満であると、2電極間に安定した湯溜りが形成されず、ビード形状が不良になる。さらに、先行電極のアークと後行電極のアークとの相互干渉によってアークが不安定になるので、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量も多くなる。一方、先行電極と後行電極の電極間距離が40mmを超えると、1プールの湯溜りが形成されず、先行電極で溶融したあとに凝固した金属の上に後行電極のアークが発生することになるので、アークが不安定となり、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が多くなるとともに、ビード形状も不良となる。したがって、先行電極と後行電極の電極間距離は10〜40mmとする。
2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で安定した湯溜りを形成するためには、先行電極と後行電極の電極間距離(アーク発生点の間隔)を適正にする必要がある。先行電極と後行電極の電極間距離が10mm未満であると、2電極間に安定した湯溜りが形成されず、ビード形状が不良になる。さらに、先行電極のアークと後行電極のアークとの相互干渉によってアークが不安定になるので、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量も多くなる。一方、先行電極と後行電極の電極間距離が40mmを超えると、1プールの湯溜りが形成されず、先行電極で溶融したあとに凝固した金属の上に後行電極のアークが発生することになるので、アークが不安定となり、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が多くなるとともに、ビード形状も不良となる。したがって、先行電極と後行電極の電極間距離は10〜40mmとする。
[先行電極及び後行電極のワイヤ径:1.2〜2.0mm、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下]
一般の船舶及び橋梁などの溶接構造物では、水平すみ肉溶接ビードの脚長は4mm超が必要とされ、先行電極及び後行電極のワイヤ径についても、脚長及び溶接速度に適応したワイヤ径を選定する必要がある。先行電極及び後行電極のワイヤ径が1.2mm未満であると、目標とする脚長(4mm以上)を確保するためにはワイヤ送給速度を上限近くまで上げなければならず、アークが不安定になり、スパッタの発生量が多くなり、ビード形状も不良となる。一方、先行電極及び後行電極のワイヤ径が2.0mmを超えると、通常のワイヤ送給装置ではワイヤが送給できず、専用のワイヤ送給装置を設置しなければならないので、設備コストが高くなる。さらに、先行電極のワイヤ径が後行電極のワイヤ径を超えると、アークの広がりが小さくなり、湯溜りが安定しないので、ビード形状が不良となる。したがって、先行電極及び後行電極のワイヤ径は1.2〜2.0mmとし、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下とする。
一般の船舶及び橋梁などの溶接構造物では、水平すみ肉溶接ビードの脚長は4mm超が必要とされ、先行電極及び後行電極のワイヤ径についても、脚長及び溶接速度に適応したワイヤ径を選定する必要がある。先行電極及び後行電極のワイヤ径が1.2mm未満であると、目標とする脚長(4mm以上)を確保するためにはワイヤ送給速度を上限近くまで上げなければならず、アークが不安定になり、スパッタの発生量が多くなり、ビード形状も不良となる。一方、先行電極及び後行電極のワイヤ径が2.0mmを超えると、通常のワイヤ送給装置ではワイヤが送給できず、専用のワイヤ送給装置を設置しなければならないので、設備コストが高くなる。さらに、先行電極のワイヤ径が後行電極のワイヤ径を超えると、アークの広がりが小さくなり、湯溜りが安定しないので、ビード形状が不良となる。したがって、先行電極及び後行電極のワイヤ径は1.2〜2.0mmとし、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下とする。
また、健全なビード外観を得るために先行電極及び後行電極の下板に対するトーチ角度を鉛直方向に対して40〜60°、溶接進行方向に対する先行電極の後退角を鉛直方向に対して1〜25°、溶接進行方向に対する後行電極の前進角を鉛直方向に対して1〜25°にすることが好ましい。さらに、先行電極のアーク電圧は、スパッタ発生量を低減するためにフラックス入りワイヤ同士の組合せよりもアーク電圧を低くして、アークをいわゆる埋もれアークにすることが望ましい。
また、本発明を適用した2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、後行電極に用いる溶接用フラックス入りワイヤは、更に以下の成分組成とされていてもよい。なお、溶接用フラックス入りワイヤの各成分の含有量は、当該ワイヤ全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときには単に%と記載して表すこととする。
[フラックス中のスラグ形成剤の合計:3.5〜8.5%]
前述の施工条件で2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接を行うことで、アーク及び湯溜りが安定し、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が少なく、スラグ被包性、スラグ剥離性が良好で、アンダーカットやオーバーラップのない均等な脚長の溶接ビードが得ることができ、溶接の高能率化を達成することができる。しかし、黒皮鋼板での溶接の場合、更にスパッタ発生量と鋼板へのスパッタ付着量低減、スラグ被包性及びスラグ剥離性並びにビード形状を良好にするためには、後行電極に用いる溶接用フラックス入りワイヤのスラグ形成剤量を限定する必要がある。
前述の施工条件で2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接を行うことで、アーク及び湯溜りが安定し、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が少なく、スラグ被包性、スラグ剥離性が良好で、アンダーカットやオーバーラップのない均等な脚長の溶接ビードが得ることができ、溶接の高能率化を達成することができる。しかし、黒皮鋼板での溶接の場合、更にスパッタ発生量と鋼板へのスパッタ付着量低減、スラグ被包性及びスラグ剥離性並びにビード形状を良好にするためには、後行電極に用いる溶接用フラックス入りワイヤのスラグ形成剤量を限定する必要がある。
溶接用フラックス入りワイヤのスラグ形成剤は、2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で溶接ビードが形成される際、溶融スラグとなって溶接ビード全面を被包し、溶接ビードのビード形状を整えるとともに、溶融された金属が下板側に流れるのを防止し、溶接ビードの脚長を均等にする作用がある。
溶接用フラックス入りワイヤ全質量に対して、フラックス中のスラグ形成剤の合計が3.5%未満であると、スラグ生成量が不足して溶接ビード全面を均一に被包できないので、ビード形状が不良になるとともに、溶融スラグが溶接ビードに焼き付き、スラグ剥離性も不良となる。また、高電流高速度の溶接条件時にはスパッタ発生量が多くなり、鋼板への付着量も多くなる。
一方、フラックス中のスラグ形成剤の合計が溶接用フラックス入りワイヤ全質量に対して8.5%を超えると、スラグ過多となってスラグ被包にムラが発生し、ビード形状が不良になる。したがって、溶接用フラックス入りワイヤにおけるフラックスに含まれるスラグ形成剤の合計はワイヤ全質量に対して3.5〜8.5%とする。なお、スラグ形成剤は、TiO2、SiO2、ZrO2、Na2O、K2O、Al2O3、FeO、Fe2O3、MgOなどの酸化物及びCaF2、K2SiF6、Na3AlF6などの弗化物などの合計をいう。
溶接用フラックス入りワイヤの構成成分の残部は、鋼製外皮成分のC、Si、Mn、Fe、フラックス中の鉄粉、合金粉及び不可避不純物である。鉄粉は、溶着速度を高める目的から適量添加することができる。また、合金粉は、Si、Mn、Ti、Al、Mgなどの金属粉や、Fe−Si、Fe−Mn、Fe−Si−Mn、Fe−Al、Fe−Tiなどの鉄合金粉などをいい、溶接金属の機械的性性質を向上などの目的から適量添加することができる。
なお、前記の鋼製外皮は、フラックス充填した後の伸線加工性に優れる熱間圧延鋼帯で、鋼製外皮全質量に対して、質量%で、C:0.10%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.20〜0.80%、P:0.050%以下、S:0.050%以下のものが適しており、特に、Cが0.005〜0.03%のものは、スパッタ低減及び低ヒューム化にも有効である。
また、溶接用フラックス入りワイヤのワイヤ断面形状は、かしめタイプまたはシームレスタイプのどちらでもよいが、ワイヤ表面に銅めっきを施すことができるシームレスタイプは、チップの摩耗が少なく、安定したアークが長時間維持することができ、溶接の高能率化を図ることができる。また、ワイヤに継ぎ目が無いので、吸湿性に優れており、長期間保管することができる。
さらに、溶接用フラックス入りワイヤ中の水素量及び窒素量は、耐気孔性及び溶接金属の衝撃靭性の低下を防止するため、ワイヤ全質量に対して40ppm以下にするのが望ましい。
また、スラグ剥離剤として、SをFeSなどの形態で故意に添加するのは有効であるが、Sがワイヤ全質量に対して質量%で0.030%を超えると、スラグ被包性が悪くなり、ビード形状が不良となる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
熱間圧延鋼帯の軟鋼外皮(C:0.02質量%、Si:0.01質量%、Mn:0.35質量%、Al:0.02質量%、N:0.0015質量%)に、表1に示すスラグ形成剤の含有率からなる各種フラックスをフラックス充填率17質量%で充填し、鋼製外皮の端面同士を溶接してシームレス状にした後、各種ワイヤ径に縮径した溶接用フラックス入りワイヤを各種試作した。
表1に示す溶接用フラックス入りワイヤを後行電極に用い、先行電極には表2に示す成分の含有量からなる溶接用ソリッドワイヤに用いて、表3に示す各種溶接施工条件で、2電極1プール方式での水平すみ肉ガスシールドアーク溶接(1パス両側同時溶接)を行い、溶接作業性を調査した。なお、先行電極及び後行電極の下板に対するトーチ角度を45°、溶接進行方向に対する先行電極の後退角を10°、溶接進行方向に対する後行電極の前進角を5°、ワイヤ突出し長さ(チップ−母材間距離)30mm、ガス流量25リットル/minで、溶接長750mmを溶接した。
試験体は、490N/mm2級高張力鋼の黒皮鋼板(鋼板寸法:板幅100mm×長さ1000mm×板厚12mm)を用い、下板と立板との隙間がない状態でT字に組んだものを使用した。
T字型の試験体を、2電極1プール方式の水平すみ肉ガスシールドアーク溶接で、各試作ワイヤのアーク安定性、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量、2電極間の湯溜りの安定性、スラグ被包性、スラグ剥離性、ビード形状については目視観察により良好か否かを確認した。また、脚長(実測値)についても脚長が不均等かを目視観察により判定した。それら結果を表4にまとめて示す。
表3及び表4中No.1〜9が本発明例、No.10〜22は比較例である。本発明例であるNo.1〜7は、先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用い、先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、後行電極のシールドガスは100体積%CO2ガス、先行電極と後行電極の電極間距離を10〜40mm、先行電極及び後行電極のワイヤ径を1.2〜2.0mmとし、且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下と適正範囲なので、アークが安定し、電極間の湯溜り、スラグ被包性およびスラグ剥離性が良好で、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が少なく、アンダーカットやオーバーラップがない健全な溶接ビードを得ることができ、極めて良好な結果であった。
なお、No.8は、後行電極に用いた溶接用フラックス入りワイヤ(記号d)のスラグ形成剤が少ないので、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量はやや多く、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状がやや悪かったが、溶接部の品質上の問題は無かった。また、No.9は、後行電極に用いた溶接用フラックス入りワイヤ(記号e)のスラグ形成剤が多いのでスラグ被包性、ビード形状がやや悪かったが、溶接部の品質上の問題は無かった。
比較例中No.10は、先行電極及び後行電極の両方に溶接用フラックス入りワイヤ(記号b)を用いたので、溶接ビードが垂れて脚長が不均等となった。また、後行電極のワイヤ径が2.4mmであるので、専用の溶接電源及びワイヤ送給装置が必要となった。
No.11は、先行電極及び後行電極の両方に溶接用ソリッドワイヤ(記号f)を用いたので、アークが不安定となりスパッタ発生量が多かった。また、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状が不良で、脚長も不均等であった。
No.12は、先行電極に溶接用フラックス入りワイヤ(記号b)、後行電極に溶接用ソリッドワイヤ(記号f)を用いたので、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状が不良で、脚長も不均等であった。
No.13は、先行電極及び後行電極ともにシールドガスに100体積%CO2のガスを用いたので、先行電極のワイヤ及び溶融プールから大粒のスパッタ発生量が多く、鋼板への付着量も多かった。また、先行電極のワイヤ径が後行電極のワイヤ径を超えているので、湯溜りが不安定となり、ビード形状も不良であった。
No.14は、先行電極のシールドガスに100体積%CO2のガス、後行電極のシールドガスにArが80体積%のAr−CO2混合ガスを用いたので、先行電極から発生したスパッタが鋼板へ多く付着量し、かつ、後行電極ではアークが広がり立板及び下板にアンダーカットが発生し、ビード形状が不良であった。
No.15は、先行電極及び後行電極ともにシールドガスをArが75体積%のAr−CO2混合ガスを用いので、アークが広がり立板及び下板にアンダーカットが発生し、ビード形状が不良であった。
No.16は、先行電極のシールドガスにArが65%体積のAr−CO2混合ガスを用いたので、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が多かった。
No.17は、先行電極のシールドガスにArが97%体積のAr−CO2混合ガスを用いので、アークが広がり、立板側にアンダーカットが発生し、ビード形状が不良であった。また、先行電極ワイヤのスプレーアークが強くなり、湯溜りが不安定であった。
No.18は、先行電極と後行電極の電極間距離が5mmと短いので、アーク及び湯溜りが不安定となり、スパッタ発生量が多く、ビード形状も不良であった。
No.19は、先行電極と後行電極の電極間距離が45mmと長いので、アーク及び湯溜りが不安定となり、スパッタ発生量が多く、ビード形状も不良であった。
No.20は、先行電極及び後行電極のワイヤ径が小さいので、アークが不安定となり、スパッタ発生量が多く、ビード形状も不良であった。
No.21は、先行電極及び後行電極の両方に溶接用フラックス入りワイヤを用いたので、湯溜り中の酸素量が多くなり溶接ビードが垂れて脚長が不均等となった。また、後行電極における溶接用フラックス入りワイヤ(記号d)のスラグ形成剤が少ないので、スパッタ発生量及び鋼板へのスパッタ付着量が多く、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状が不良であった。
No.22は、先行電極及び後行電極ともにシールドガスに100体積%CO2のガスを用いたので、先行電極のワイヤ及び溶融プールから大粒のスパッタ発生量が多く、鋼板への付着量も多かった。また、後行電極における溶接用フラックス入りワイヤ(記号e)のスラグ形成剤が多いので、スラグ被包性及びビード形状が不良であった。
1 熱延スケール
2 先行電極ワイヤ
3 後行電極ワイヤ
4 湯溜り
5 溶融プール
6 溶融スラグ
7 凝固スラグ
8 溶接ビード
2 先行電極ワイヤ
3 後行電極ワイヤ
4 湯溜り
5 溶融プール
6 溶融スラグ
7 凝固スラグ
8 溶接ビード
Claims (2)
- 2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法において、
先行電極に溶接用ソリッドワイヤ、後行電極に溶接用フラックス入りワイヤを用い、
先行電極のシールドガスはArが70〜95体積%のAr−CO2混合ガス、
後行電極のシールドガスはCO2が100体積%のCO2ガス、
先行電極と後行電極との電極間距離を10〜40mm、
先行電極及び後行電極のワイヤ径を1.2〜2.0mmとし、
且つ、先行電極のワイヤ径は後行電極のワイヤ径以下で溶接することを特徴とする2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法。 - 前記溶接用フラックス入りワイヤは、当該ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、
スラグ形成剤の合計を3.5〜8.5%含有し、
残部は鉄粉、合金粉及び不可避不純物であることを特徴とする請求項1記載の2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2013231406A JP2015089569A (ja) | 2013-11-07 | 2013-11-07 | 2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2013231406A JP2015089569A (ja) | 2013-11-07 | 2013-11-07 | 2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2015089569A true JP2015089569A (ja) | 2015-05-11 |
Family
ID=53193349
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2013231406A Pending JP2015089569A (ja) | 2013-11-07 | 2013-11-07 | 2電極水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2015089569A (ja) |
Citations (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH02280968A (ja) * | 1989-04-21 | 1990-11-16 | Nippon Steel Corp | 高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
-
2013
- 2013-11-07 JP JP2013231406A patent/JP2015089569A/ja active Pending
Patent Citations (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JPH02280968A (ja) * | 1989-04-21 | 1990-11-16 | Nippon Steel Corp | 高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
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