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JP2015086248A - 水性接着剤およびそれより得られる被膜 - Google Patents

水性接着剤およびそれより得られる被膜 Download PDF

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JP2015086248A JP2013223716A JP2013223716A JP2015086248A JP 2015086248 A JP2015086248 A JP 2015086248A JP 2013223716 A JP2013223716 A JP 2013223716A JP 2013223716 A JP2013223716 A JP 2013223716A JP 2015086248 A JP2015086248 A JP 2015086248A
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Abstract

【課題】特にアクリル系コート層との接着性に優れ、透明性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた易接着被膜の形成が可能な水性接着剤を提供する。
【解決手段】主としてジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるポリエステル樹脂(A)、塩基性化合物ならびに水を含有し、実質的に乳化剤を含有しない水性接着剤であって、前記ポリエステル樹脂(A)が、グリコール成分として下記一般式(I)で示される化合物を50〜100モル%含有し、酸価4mgKOH/g以上、ガラス転移温度40℃以上、数平均分子量5000〜50000であることを特徴とする水性接着剤。

(X、Xは炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていても良い)
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた易接着被膜の形成が可能な易接着層形成用水性接着剤に関する。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフテレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性、透明性を有するため、磁気テープ、写真フィルム、包装フィルム、電子部品用フィルム、光学用フィルム、表面保護フィルム等の素材として幅広く用いられている。これらのフィルムは、磁性層、感光層、保護層、中間層、着色層等を積層して、別の被着体へ接着または粘着により貼付し多用されている。
最近、光学用途、特にディスプレイ(LCD やCRT)用途においては、ポリエステルフィルムにハードコート層、さらに反射防止層や汚れ防止層を積層したフィルムがディスプレイ表面に貼付され、画面保護の目的で使用されている。
一般にハードコート層を構成する成分はポリエステルフィルムに対して密着性が低く、ハードコート層を積層する際には、ポリエステルフィルムの表面処理が行われてきた。
表面処理としては、コロナ処理等の物理的処理が知られているが、これらの処理は、ハー
ドコート剤の密着性向上には不十分である。すなわち、ハードコート層を積層したポリエステルフィルムを過酷な環境条件、例えば急激な温度変化(熱衝撃)の環境で使用すると、ハードコート層とフィルム層の密着力が低下し剥がれる場合があった。また積層するハードコート層の樹脂成分によっても密着性低下が起こり、十分満足できるものではなかった。
一方で、ハードコート層を積層する前に、予めポリエステルフィルム表面に、易接着層を設けた後、易接着層上にハードコート層を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
易接着層としては、例えば、水性分散化されたポリエステル樹脂等が用いられている。
特開2001−281423号公報
本発明者らは、下記のことを見出した。
すなわち、通常のポリエステル樹脂水性分散体において、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のような親水性成分を用いて水性分散化するようなポリエステル樹脂水性分散体では、親水性成分を有意に残存させることになり、特にアクリル系コート層との接着性の低下が問題となった。
ところが、本発明のような特定のポリエステル樹脂水性分散体では、アクリル系コート層との接着性が高まるばかりでなく、特に5−スルホイソフタル酸等のスルホン酸基を有するジカルボン酸成分を特定量導入することで、アクリル系コート層との接着性が効果的に高まることを見出した。
本発明は、特にアクリル系コート層との接着性に優れ、透明性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた易接着被膜の形成が可能な水性接着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)主としてジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるポリエステル樹脂(A)、塩基性化合物ならびに水を含有し、実質的に乳化剤を含有しない水性接着剤であって、前記ポリエステル樹脂(A)が、グリコール成分として下記一般式(I)で示される化合物を50〜100モル%含有し、酸価4mgKOH/g以上、ガラス転移温度40℃以上、数平均分子量5000〜50000であることを特徴とする水性接着剤。
(X、Xは炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていても良い)
(2)ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対し、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を1〜10モル%含有することを特徴とする(1)の水性接着剤。
(3)水性接着剤の不揮発成分100質量部に対し、さらに硬化剤(B)を1〜10質量部含有することを特徴とする(1)または(2)の水性接着剤。
(4)さらに無機粒子(C)を含有することを特徴とする(1)〜(3)の水性接着剤。
(5)(1)〜(4)の水性接着剤から水性媒体を除去してなる被膜。
(6)基材上に、(5)の被膜を形成してなる積層体。
(7)被膜上に、さらにアクリル塗膜を設けてなる(6)の積層体。
本発明によれば、特にアクリル系コート層との接着性に優れ、透明性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた易接着被膜の形成が可能な易接着層形成用水性接着剤が得られる。
また、このような水性接着剤を用いた被膜を含む積層体は、特に液晶表示用の最外層フィルム、タッチパネルの最外層フィルム等の用途で好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の易接着層形成用水性接着剤は、少なくともポリエステル樹脂(A)を含有しており、後述する硬化剤(B)、無機粒子(C)を含有してもよい。
本発明のポリエステル樹脂(A)は、主として、ジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるものである。
ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分としては、任意のものを用いることができるが、グリコール成分としては一般式(I)で示される化合物を50〜100モル%含有し、酸価4mgKOH/g以上、ガラス転移温度40℃以上、数平均分子量5000〜50000であることが必要である。
(X、Xは炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていても良い)
一般式(1)で示される化合物としては、例えばトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,10−ジメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、4,4,10,10−テトラメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10−デカメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが挙げられる。中でも、汎用性が高く、得られる水性接着剤から形成される被膜が、アクリル塗膜との密着性を向上させる効果の高い点で、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)を構成するグリコール成分100モル%中、一般式(1)で示される化合物は50〜100モル%であり、55〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましい。一般式(1)で示される化合物の含有量が50モル%未満であると、得られる水性接着剤から形成される被膜が、アクリル塗膜との密着性が低下する。
一般式(I)で示される化合物と併用が可能なグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのアルキレンオキシド付加体、ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのアルキレンオキシド付加体が挙げられる。中でも、汎用性、重合性および樹脂特性への影響の点でエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸が挙げられ、中でも、芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジカルボン酸を併用することが好ましい。ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を用いる場合、易接着層形成用水性接着剤から得られる樹脂被膜の耐アルコール性を向上させる効果がある。また、ジカルボン酸成分として飽和脂肪族ジカルボン酸成分を用いる場合、易接着層形成用水性接着剤から得られる樹脂被膜の加工性を向上させる効果がある。
芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジカルボン酸を併用する場合、芳香族ジカルボン酸成分と飽和脂肪族ジカルボン酸成分の比率は、(芳香族ジカルボン酸成分)/(飽和脂肪族ジカルボン酸成分)=70/30〜95/5(モル比)であることが好ましく、73/27〜93/7(モル比)であることがより好ましく、75/25〜90/10(モル比)であることがさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジカルボン酸を併用する場合の、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸を好ましく用いることができ、特にテレフタル酸を単独で用いることもできるが、得られるポリエステル樹脂の溶剤溶解性を高めるために、テレフタル酸、イソフタル酸を混合して用いることもできる。テレフタル酸、イソフタル酸の混合比率は、95/5〜55/45(モル比)であることが好ましく、75/25〜60/40(モル比)であることがより好ましい。
また、飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸を好ましく用いることができ、特に得られるポリエステル樹脂の耐アルコール性の向上効果が高い点で、セバシン酸がより好ましい。なお、耐アルコール性が向上することは、水性接着剤を用いて得られる被膜自信の耐久性が増すと同時に、例えば、被膜上にアクリル塗膜等の層を形成した場合に、密着性や接着性等の耐久性が増し、特に好ましい。
また、必要に応じて、ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分として、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を含有してもよい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を含有する場合、その含有量は、ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分100モル%中、1〜10モル%であることが好ましく、2〜8モル%であることがより好ましく、3〜6モルであることがさらに好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を含有することで、得られる水性接着剤から形成される被膜の、アクリル塗膜との密着性が向上する傾向がある。なお、ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分100モル%中、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を10モル%以上で用いる場合、得られる水性接着剤から形成される被膜の耐水性が大きく損なわれることがある。一般的に、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を含有させたポリエステル樹脂は、乳化剤を用いることなく、容易に水性媒体に分散することができるが、一方で、被膜の耐水性が著しく低下する。
なお、上記のように芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジカルボン酸を併用し、さらにスルホン酸塩基を有するジカルボン酸を用いた場合、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸の含有によって被膜の耐水性が低下した場合であっても、芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族ジカルボン酸の併用効果によって、前記耐水性の低下を抑制する傾向があるため、そのような組成とすることは、特に好ましい。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸としては、例えば、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホテレフタル酸、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ(カルボ−β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウム、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホテレフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルが挙げられる。
本発明においては、本発明の易接着層形成用水性接着剤の特性を損なわない範囲で、ヒドロキシカルボン酸成分を含有させてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、2−ヒドロキシセバシン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、2−メチル−2−ヒドロキシコハク酸、酒石酸、テトラヒドロキシアジピン酸、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。ヒドロキシモノカルボン酸を用いる場合、その含有量は、構成成分の合計100モル%のうち、50モル%以下とすることが好ましく、40モル%以下とすることがより好ましく、30モル%以下とすることがさらに好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)には、本発明の特性を損なわない範囲で、モノカルボン酸、モノアルコールを含有させてもよい。モノカルボン酸、モノアルコールを用いる場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分、グリコール成分100モル%に対して、1モル%未満とすることが好ましく、0.1モル%未満とすることがより好ましく、0モル%とすることがさらに好ましい。一般的に、モノカルボン酸、モノアルコールをエステル化反応前に仕込み、重縮合反応を進めた場合、分子鎖の延長を阻害し、結果として必要な分子量が得られなくなる。そのため、それから得られる樹脂被膜は造膜性が不足する場合がある。一方、解重合時にモノカルボン酸、モノアルコールを用いた場合、分子鎖の末端に結合するため、本発明に必要な酸価を得られない場合がある。
モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、例えば、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)には、本発明の特性を損なわない範囲で、3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールを含有させてもよい。3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールをエステル化反応前に仕込む場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分またはグリコール成分100モル%に対して、5モル%以下とすることが好ましく、4モル%以下とすることがより好ましく、3モル%以下とすることがさらに好ましい。一般的に、3官能以上のカルボン酸または3官能以上のアルコールをエステル化反応前に仕込み、重縮合反応を進めた場合、得られるポリエステル樹脂(A)の分散度が広くなったり、ゲル化して重合ができなくなったりする場合があるため、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分、グリコール成分100モル%に対して、0〜1モル%とすることが好ましく、0〜0.8モル%とすることがより好ましく、0〜0.6モル%とすることがさらに好ましい。また、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを解重合時に用いる場合、その含有量は、それぞれ、ジカルボン酸成分またはグリコール成分100モル%に対して、0.2〜5モル%とすることが好ましく、0.4〜4.8モル%とすることがより好ましく、0.6〜4.6モル%とすることがさらに好ましい。
3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸が挙げられ、3官能以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の酸価は、易接着層形成用水性接着剤の安定性を向上させるため、4mgKOH/g以上であることが必要であり、4〜40mgKOH/gであることが好ましく、4〜20mgKOH/gであることがより好ましい。ポリエステル樹脂(A)の酸価が4mgKOH/g未満である場合、水性媒体への均一な分散が困難となるか、分散できたとしても易接着層形成用水性接着剤の安定性が劣るものとなるので好ましくない。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度としては、40℃以上とする必要があり、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。ガラス転移温度を80℃とすることで、易接着層形成用水性接着剤から得られる樹脂被膜の耐ブロッキング性と易接着性に優れたものとなる。ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が40℃未満である場合、易接着層形成用水性接着剤から得られる樹脂被膜は耐ブロッキング性に劣るものとなる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、得られる樹脂被膜の造膜性や接着性を向上させるため、5000〜50000であることが必要であり、5000〜30000であることが好ましく、7000〜30000であることがより好ましく、9000〜25000であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が5000未満である場合、樹脂被膜の造膜性や接着性が劣るものとなるので好ましくない。数平均分子量が50000を超えると、水性分散体の保存安定性が劣るものとなるので好ましくない。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の、分子量分布における分散度(以下、「分散度」と略称する場合がある。)は、2〜10であることが好ましく、2〜9であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。分散度とは、重量平均分子量を数平均分子量で除した値のことである。分散度を2〜10とすることにより、樹脂被膜の造膜性や接着性が低下することを抑制することができる。なお、分散度が2未満となるポリエステル樹脂(A)は設計すること自体が困難である。
次に、ポリエステル樹脂(A)の製造方法について説明する。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、前記のモノマーを組み合わせて、公知の方法で製造することができる。例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、減圧下で、所望の分子量に達するまで重縮合反応を進め、不活性雰囲気下、3官能以上のカルボン酸を添加して解重合反応をおこなう方法を挙げることができる。
エステル化反応において、反応温度は180〜260℃とすることが好ましく、反応時間は2.5〜10時間とすることが好ましく、4〜6時間とすることがより好ましい。
重縮合反応において、反応温度は、220〜280℃とすることが好ましい。減圧度は、130Pa以下とすることが好ましい。減圧度が低いと、重縮合時間が長くなる場合がある。大気圧から130Pa以下に達するまで、60〜180分かけて徐々に減圧することが好ましい。
重縮合触媒としては、特に限定されないが、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、テトラ−n−ブチルチタネート、n−ブチルヒドロキシオキソスズ等の公知の化合物を挙げることができる。触媒の使用量は、ジカルボン酸成分1モルに対し、0.1〜20×10−4モルとすることが好ましい。
解重合において、反応温度は160〜280℃とすることが好ましく、反応時間は、0.5〜5時間とすることが好ましい。
次に、本発明のポリエステル樹脂水性分散体について説明する。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、ポリエステル樹脂(A)が水性媒体中に分散されてなる乳液状物である。ここで、水性媒体とは、水を含む液体からなる媒体であり、有機溶剤や塩基性化合物を含んでいてもよい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、実質的に乳化剤を含有してはならない。本発明でいう乳化剤には、界面活性剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性物、水溶性高分子等が含まれる。本発明において、「実質的に含有しない」とは、本発明のポリエステル樹脂水性分散体の製造時に、乳化剤を積極的には添加しないことにより、結果的にこれらを含有していないことを意味する。こうした乳化剤は、含有量がゼロであることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂(A)成分100質量部に対して0.1質量部未満含まれていても差し支えない。水性分散体に乳化剤を0.1質量部以上含む場合は、樹脂被膜の耐水性が低下する。乳化剤を用いることにより、該ポリエステル樹脂(A)を容易に水性媒体に分散することができるが、一方で、このような配合は耐水性を著しく損ねる。
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフエート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェ−ト塩、ビニルスルホサクシネートが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイドープロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン誘導体が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルべタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドが挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物としては、例えば、ポリビニルアルコ−ル、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビエルピロリドンが挙げられる。
変性ワックス類としては、例えば、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックス等の数平均分子量が5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩 が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体中において、ポリエステル樹脂(A)の含有率は、5〜50質量%とすることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましく、15〜40質量%とすることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂(A)の含有率を5〜50質量%とすることにより、ハンドリング性が向上する。また、分散しているポリエステル樹脂(A)が凝集しにくくなるため、保存安定性が向上する。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、pHが6以上とすることが好ましく、7以上とすることがより好ましく、8以上とすることがさらに好ましい。pHが6以上とすることにより、分散しているポリエステル樹脂(A)が凝集しにくくなるため、水性分散体の保存安定性が向上する。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体において、ポリエステル樹脂(A)微粒子の体積平均粒径は、200nm未満とすることが好ましく、150nm未満とすることがより好ましく、100nm未満とすることがさらに好ましく、50nm未満とすることが最も好ましい。体積平均粒子径を200nm未満とすることにより、分散しているポリエステル樹脂(A)が凝集しにくくなるため、水性分散体の保存安定性が向上する。体積平均粒径は、後述するように、転相乳化時の有機アミンの量や反応温度によって制御することができる。
次に、ポリエステル樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体は、上記のポリエステル樹脂(A)のカルボキシル基を、塩基性化合物を用いて、少なくとも一部、または、全部中和することで、水性媒体に分散させる方法により製造される。カルボキシル基を中和することで、カルボキシルアニオンが生成され、このアニオン間の電気反発力によって、分散しているポリエステル樹脂(A)は凝集しにくくなり、安定に存在することができる。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体の製造方法としては、転相乳化法および自己乳化法が挙げられる。転相乳化法とは、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解させ(溶解工程)、このポリエステル樹脂溶液に塩基性化合物および水を添加して(転相乳化工程)有機溶剤を含有したポリエステル樹脂水性分散体を得る方法であり、より広範囲のポリエステル樹脂(A)に対して好適に用いることができる。また、自己乳化法とは、ポリエステル樹脂(A)、塩基性化合物、有機溶剤、水を一括で仕込み、系内を攪拌しながら加熱することで、有機溶剤を含有したポリエステル樹脂水性分散体を得る方法であり、より容易に水性分散体を得ることができる。
ここでいう「転相乳化」とは、ポリエステル樹脂(A)の有機溶剤液に、この溶液に含まれる有機溶剤量を超える量の水を添加して、有機溶剤液の系を、有機溶剤相からO/Wエマルション分散系に変化させることである。
溶解工程では、ポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解させ、ポリエステル樹脂(A)の有機溶剤溶液を得る。ポリエステル樹脂(A)が溶解しにくい場合には、加熱して溶解してもよい。
溶解工程の際に用いる装置としては、例えば、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであればよい。そのような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機(例えばホモミキサー)として知られている装置が挙げられる。
転相乳化工程では、ポリエステル樹脂(A)の有機溶剤溶液を、塩基性化合物とともに水性媒体に分散させポリエステル樹脂水性分散体を得る。転相乳化は、常圧、減圧、加圧下のいずれの条件でおこなってもよい。
転相乳化工程の反応温度は、10〜40℃とすることが好ましく、10〜30℃とすることがより好ましく、15〜30℃とすることがさらに好ましく、15〜20℃とすることが最も好ましい。反応温度を10〜40℃とすることにより、転相乳化工程中に内容物の粘度の上昇を抑制することができるので、容易に保存安定性の良好な均一な水性分散体を製造することができる。なお、転相乳化工程の反応温度は低いほど体積平均粒径が小さくなる傾向がある。
転相乳化工程における水性媒体の投入速度は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂溶液と塩基性化合物との合計1000質量部に対して、25〜100質量部/分とすることが好ましく、30〜95質量部/分とすることがより好ましく、35〜90質量部/分とすることがさらに好ましい。水性媒体の投入速度を25〜100質量部/分とすることにより、ポリエステル樹脂(A)の塊の形成を抑制しつつ均一に分散することができる。
転相乳化後のポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度は、5〜60質量%とすることが好ましく、10〜55質量%とすることがより好ましく、15〜50質量%とすることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度を5〜60質量%とすることで、続く脱溶剤工程において、ポリエステル樹脂(A)の凝集を抑制することができる。
転相乳化工程、脱溶剤工程に用いる装置は、液体を投入できる槽を備え、既述の範囲内の温度に制御が可能であり、適度な攪拌ができるものであればよい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造で用いる有機溶剤としては、例えば、ケトン系有機溶剤、芳香族系炭化水素系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、含ハロゲン系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、エステル系有機溶剤、グリコール系有機溶剤など公知のものが挙げられる。ケトン系有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。芳香族炭化水素系有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなどが挙げられる。エーテル系有機溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。含ハロゲン系有機溶剤としては、例えば、四塩化炭素、トリクロロメタン、ジククロロメタンなどが挙げられる。アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。エステル系有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチルなどが挙げられる。グリコール系有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。また、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコールなどの有機溶剤も使用することができる。なお、使用する有機溶剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造で用いる有機溶剤としては、沸点が180℃以下のものが好ましく、165℃以下のものがより好ましく、150℃以下のものがさらに好ましい。有機溶剤の沸点が180℃を超えると、脱溶剤工程において有機溶剤を完全に除去することが困難になり、水性分散体中に有機溶剤が残りやすく、保存安定性が低下し、さらに残存した有機溶剤により耐水性が低下する場合がある。また、樹脂被膜から乾燥によって有機溶剤を揮散させることが困難となる場合がある。
上記有機溶剤は、水との共沸点が60〜150℃であることがより好ましい。水との共沸点が150℃を超える場合、脱溶剤工程において有機溶剤を完全に除去することが困難になり、水性分散体中に有機溶剤が残りやすく、保存安定性が低下し、さらに残存した有機溶剤により耐水性が低下する場合がある。また、樹脂被膜から乾燥によって有機溶剤を揮散させることが困難となる場合がある。水との共沸点が60℃未満である場合、共沸物の揮散と水の揮散との間に時間差が生じ、得られる樹脂被膜の造膜性が劣る場合がある。
さらに、有機溶剤は、20℃における水への溶解度が5g/L以上であることがより好ましい。有機溶剤の水への溶解性が5g/L未満であると、ポリエステル樹脂水性分散体を得ることができない場合がある。
このような有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル(溶解性:約12g/L、沸点:77.1℃、共沸点:70.4℃)、n−プロパノール(溶解性:無限大、沸点:97.2℃、共沸点:87.7℃)、イソプロパノール(溶解性:無限大、沸点:82.4℃、共沸点:80.2℃)、メチルエチルケトン(溶解性:最小約290g/L、沸点:79.6℃、共沸点:73.4℃)、テトラヒドロフラン(溶解性:無限大、沸点:66.0℃、共沸点:64.0℃)、1,4−ジオキサン(溶解性:無限大、沸点:101℃、共沸点:87.8℃)、シクロヘキサノン(溶解性:約110g/L、沸点:156℃、共沸点:95.0℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(溶解性:無限大、沸点:136℃、水との共沸点:99.4℃)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
溶解工程の際に、ポリエステル樹脂(A)を溶解させる有機溶剤としては、得られる溶液中のポリエステル樹脂(A)の濃度を10〜70質量%とすることが好ましく、20〜60質量%とすることがより好ましく、30〜50質量%とすることがさらに好ましい。溶液中のポリエステル樹脂(A)の濃度を10〜70質量%とすることにより、次の転相乳化工程において水と混合する際の粘度の上昇が抑制されるので、水性分散体の体積平均粒径が大きくなることを抑制することができる。
自己乳化法では、用いる有機溶剤の含有比率を制御することによって、より分散効率や安定性の高い水性分散体を容易に製造できる。例えば、有機溶剤として、イソプロパノールを用いる場合、水性分散体のうちイソプロパノールの含有比率は、17〜27質量%にすることが好ましく、18〜26質量%とすることがより好ましく、19〜25質量%とすることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造で用いる塩基性化合物は、カルボキシル基を中和することができるものがよい。このような塩基性化合物としては、例えば、アンモニア(沸点:−33℃)や、エチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン(沸点:90℃)、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン(沸点:217℃)、トリエタノールアミン(沸点:360℃)、N,N−ジエチルエタノールアミン(沸点:163℃)、N,N−ジメチルエタノールアミン(沸点:133℃)、アミノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の有機アミンが挙げられる。なお、塩基性化合物として、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物も挙げられるが、水性分散体から得られる被膜の耐水性が不足する場合がある。
塩基性化合物としては、製造工程において、水性分散体中のポリエステル樹脂(A)が加水分解反応を起こすことを極力抑制することができるため、3級アミンがより好ましい。
さらに、ポリエステル樹脂被膜から塩基性化合物を揮散させやすいことから、塩基性化合物は、沸点が150℃以下のものを用いることがさらに好ましい。このような塩基性化合物としては、例えば、アンモニア(沸点:−33℃)、トリエチルアミン(沸点:90℃)、N,N−ジメチルエタノールアミン(沸点:133℃)が挙げられる。
塩基性化合物は、用いるポリエステル樹脂(A)の酸価に対して、0.5〜30倍当量添加することが好ましく、0.8〜25倍当量添加することがより好ましく、1〜20倍当量添加することがさらに好ましい。塩基性化合物をポリエステル樹脂(A)の酸価に対し、0.5〜30倍当量添加することで、保存安定性が良好な水性分散体を得ることができる。なお、塩基性化合物の量は多いほど体積平均粒径が小さくなる傾向がある。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造においては、上記の各乳化工程の後に、さらに、有機溶剤および/または塩基性化合物を除去する工程(脱溶剤工程)を設けてもよく、転相乳化法を用いる場合は、脱溶剤工程を設けた方が安定性は向上するため好ましい。なお、脱溶剤工程後の有機溶剤含有量は水性分散体の1質量%未満とすることが好ましく、0.5質量%未満とすることがより好ましく、0.3質量%未満とすることがさらに好ましい。
脱溶剤工程では、有機溶剤および塩基性化合物が含まれたポリエステル樹脂水性分散体を加熱し、有機溶剤および/または塩基性化合物を除去してポリエステル樹脂水性分散体を得る。脱溶剤は、常圧、減圧下いずれでおこなってもよい。なお、脱溶剤工程において、含有する有機溶剤は、脱溶剤において極力減らすことが好ましい。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造で用いる塩基性化合物として、例えば、アンモニア(沸点:−33℃)、トリエチルアミン(沸点:90℃)のような沸点が100℃未満の塩基性化合物を用いた場合、前記脱溶剤工程において、有機溶剤とともに塩基性化合物の除去が容易にできる。一方で、得られるポリエステル樹脂水性分散体は、pH=7よりも高めにし、若干塩基性側に傾くようにすることでポリエステル樹脂水性分散体の保存安定性を高めることができる。すなわち、脱溶剤工程後に、有機溶剤は極力減らし、塩基性化合物は若干残留する状態とすることがポリエステル樹脂水性分散体の保存安定性を高める上で特に好ましい。このような状態とするためには、脱溶剤工程を行う前、または脱溶剤工程中、前記ポリエステル樹脂水性分散体の製造で用いる第一の塩基性化合物よりも沸点の高い第二の塩基性化合物を加えることで、脱溶剤工程が完了した後、有機溶剤は極力減らし、塩基性化合物の中でも、特に第二の塩基性化合物を残留した状態とし、pH=7よりも高めにし、ポリエステル樹脂水性分散体の保存安定性を高めることができる。そのような塩基性化合物の組合せとしては、例えば、第一の塩基性化合物としてアンモニア(沸点:−33℃)、トリエチルアミン(沸点:90℃)を用いた場合、第二の塩基性化合物としては、N,N−ジエチルエタノールアミン(沸点:163℃)、N,N−ジメチルエタノールアミン(沸点:133℃)を好適に用いることができる。
ポリエステル樹脂水性分散体の製造において、適宜、未分散物や凝集物をろ過して取り除くためのろ過工程を設けてもよい。例えば、600メッシュのステンレス製フィルター(濾過精度25μm、綾織)を設置し、常圧ろ過、または、加圧(空気圧0.2MPa)ろ過をおこなえばよい。
本発明の易接着層形成用水性接着剤は、さらに、易接着性向上のために、硬化剤(B)を含有することができる。
本発明で用いることのできる硬化剤(B)としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有ポリマー、フェノール樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種類を使用しても2種類以上を併用してもよい。硬化剤を添加することで、得られる樹脂被膜はさらに易接着性、耐溶剤性、を付与することができる。
硬化剤(B)を本発明の易接着層形成用水性接着剤に用いる場合は、硬化剤(B)の水性分散体として用いることが、作業環境の面から好ましい。また、ポリエステル樹脂(A)の水性分散体と、硬化剤(B)の水性分散体は容易に混合することができ、均一な易接着層形成用水性接着剤を得るために、硬化剤(B)の水性分散体を好適に用いることができる。
硬化剤(B)の水性分散体の製造方法は、特に制限はなく、一般的な方法を用いれば良い。例えば、水分散可能な100wt%硬化剤の場合は、ホモミキサーを用いて同量以上の水に撹拌すれば分散体を製造することができる。市販の水性分散体の硬化剤の場合はそのまま使用すればよい。
本発明の易接着層形成用水性接着剤は、さらに、易滑性向上のために、無機粒子(C)を含有することができる。
本発明の易接着層形成用水性接着剤に配合できる無機粒子(C)としては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、膨潤性フッ素雲母、モンモリロナイト、ヘクトライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。中でも、耐熱性、得られる被膜の透明性の効果を発現させる効果の高い点で、シリカ、タルク、マイカ、カオリンが好ましく、さらに易滑性にも優れる点で、シリカが最も好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるシリカは、SiOで表される二酸化ケイ素を主成分とするものであり、その製造方法により大別して、湿式法シリカと乾式法シリカの2つに分けられるがいずれも用いることができる。乾式法シリカは一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素および酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化硅素と混合した状態で使用することができる。一方、湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカが凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件化で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。
無機粒子(C)の平均粒子径は特に限定されるものではないが、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、15μm以下であることがより好ましく、1μm以上、10μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が0.1μmであると分散体中に均一に分散させることが難しくなり、易滑性の効果を十分に発現させることができない。平均粒子径が20μmを超えると、易滑性が不十分となるばかりでなく透明性が損なわれる傾向がある。
無機粒子(C)は、必要に応じてシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシロキサン等の反応性化合物によって表面処理をしてもよい。特にシランカップリング剤を好適に用いることができ、例えばビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明の易接着層形成用水性接着剤を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)ポリエステル樹脂(A)の水性分散体、硬化剤(B)の水性分散体、無機粒子(C)の水分散液を混合攪拌する方法、(2)ポリエステル樹脂(A)と硬化剤(B)を予め混合した後、一括して水性媒体に添加し分散した後に無機粒子の水分散液を添加する方法などが挙げられる。中でも、(1)の方法は、水性接着剤の安定性が十分に向上するため最も好ましい。
本発明の易接着層形成用水性接着剤における、ポリエステル樹脂(A)と硬化剤(B)の配合は、本発明の水性接着剤の不揮発性成分が100質量部に対して硬化剤(B)の不揮発性分が1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。上記の範囲内である場合は、得られる樹脂被膜の易接着性、耐水性、耐溶剤性、がさらに優れたものとなる。
また、無機粒子(C)の配合は、ポリエステル樹脂(A)と硬化剤(B)の質量の合計(A)+(B)に対して、{(A)+(B)}/(C)=99/1〜90/10(質量比)であることが好ましく、99/1〜92/8(質量比)であることがより好ましく、99/1〜95/5(質量比)であることがさらに好ましい。無機粒子(C)を上記の質量比で含有する場合、得られる樹脂被膜にさらに易滑性が付与出来る。
本発明の易接着層形成用水性接着剤は、さらに他の任意成分を配合することができる。配合可能な任意成分としては、例えば、レベリング剤、消泡剤や、その他増粘剤、着色顔料、水、アルコール等を挙げることができる。
本発明で用いることのできるレベリング剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられ、特にシリコーン系レベリング剤が、塗工液との相溶性、塗工適性、接着性、耐ブロッキング性から好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、例えば、反応性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。レベリング剤を用いることで塗工時のぬれ性の改善、塗膜の平滑化の向上を図ることができる。レべリング剤の配合は、本発明の水性接着剤100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、1〜13質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることがさらに好ましい。
本発明で用いることのできる消泡剤としては、例えば、アセチレングリコール系化合物やそのエチレンオキシド付加体が好ましい。具体的には、3,6−ジメチル−4−デシン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよびこれらにエチレンオキサイドを付加した化合物が有効である。消泡剤を用いることで塗工時に分散体中に混入する気泡発生を抑制、得られる塗膜の平滑性、透明性を向上することができる。消泡剤の配合は、本発明の水性接着剤100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、1〜8質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
本発明の易接着層形成用水性接着剤は、公知の塗工方法を用いて、各種基材に対し塗工被膜を形成することができる。
本発明の易接着層形成用水性接着剤で得られる易接着層の厚さは、0.05〜3μmであることが好ましく、0.1〜2.5μmであることがより好ましく、0.5〜2μmであることがさらに好ましい。易接着層の厚みが0.05μm未満であると、易接着性能を十分に向上させることが難しくなり、3μmを超えると透明性が損なわれる。
本発明の水性接着剤を用いた樹脂被膜の形成方法は、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法、カーテンフローコート法、ディッピング法、はけ塗り法等が挙げられ、これらの方法により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥および焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な塗膜を支持体表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや、赤外線ヒータなどを使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である、支持体の種類などにより適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、通常60〜250℃であり、70〜230℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。加熱時間としては、通常1秒〜120分間であり、5秒〜100分が好ましく、10秒〜60分がより好ましい。
樹脂被膜を形成するための基材としては、例えば、ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、塩化ビニルフィルム等が挙げられる。中でも、耐熱性、透明性に優れ、本発明の易接着層形成用水性接着剤との接着性を十分に向上させることができる点で、ポリエステルフィルムを好適に用いることができる。
本発明で用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから重縮合して得られる線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフテレート、ポリエチレン−2, 6−ナフタレンジカルボキシレート等が挙げられ、これらの共重合体またはこれと小割合の他樹脂とのブレンド物等も含まれる。
ポリエステルフィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルを乾燥後、Tm〜(Tm+70)℃の温度(Tm:ポリエステルの融点)で押出機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ、I−ダイ等)から回転冷却ドラム上に押出し、40〜90℃で急冷して未延伸フィルムを製造し、ついで該未延伸フィルムを(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(Tg:ポリエステルのガラス転移温度) で縦方向に2.5〜8.0倍の倍率で延伸し、横方向に2.5〜8.0倍の倍率で延伸し、必要に応じて180〜250℃の温度で1〜60秒間熱固定することにより製造できる。
ポリエステルフィルムの厚みは5〜250μmの範囲が好ましい。フィルムの厚みが5μm未満であると高温域での耐変形性(寸法安定性)に劣り、また250μmを超えると剛性が高すぎるという問題がある。
また必要により、ポリエステルフィルムに適当なフィラーを含有させることができる。このフィラーとしては、従来ポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられ、その具体例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。さらにポリエステル中には、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒なども適宜添加することができる。
本発明で用いるポリエステルフィルムは、上記ポリエステルフィルム上に少なくとも片面または両面に対し少なくとも一層の易接着層を有する。
本発明の易接着ポリエステルフィルムの製造方法としては、延伸したフィルムに上記塗工液を塗布した後、乾燥する方法(ポストコート)や、2軸配向結晶化終了前のフィルムに塗工液を塗布し乾燥したのち、少なくとも一方向に延伸後、熱処理する方法(プリコート)などが挙げられる。
塗工液をフィルムに塗工する方法は、一般的な塗工方法が可能であり、例えばメイヤーバーコート、エアーナイフコート、リバースロールコート、リバースグラビアロールコート、グラビアロールコート、リップコート、ダイコートなどの方法が挙げられる。塗工液塗布量は、1〜10g/mが好ましい。塗工後の乾燥条件は、50〜120℃、10〜500秒であることが好ましい。塗布、乾燥後に、フィルムを延伸する場合、延伸温度は、110〜130℃、延伸倍率は、3〜4倍であることが好ましい。さらに延伸後に、熱処理する場合、熱処理温度は、220〜240℃、時間は5〜15秒間が好ましい。
なお、塗工液や基材のポリエステルフィルムには、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて酸化防止剤、滑剤等の添加剤を配合しておいてもよい。
本発明の易接着ポリエステルフィルムはそのまま使用することもできるが、易接着面もしくは非易接着面に表面処理としてコロナ放電やイオンブローなどの表面処理を行ってもよい。
上記のような構成を有する本発明の易接着ポリエステルフィルムの易接着面は、インキ、接着剤、特にハードコート剤に代表される光硬化型樹脂に対する密着性に優れており、これらを積層して用いることができる。
易接着層面に設けられる光硬化性樹脂としては特に規定されないが、汎用性、取り扱い性の点で紫外線硬化型樹脂、特に紫外線硬化型ラジカル重合型樹脂が望ましい。なかでも紫外線硬化性樹脂からなるハードコート層のベースフィルムとして、本発明の易接着性ポリエステルフィルムは好適である。
紫外線硬化性樹脂としては、例えばウレタン−アクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステル−アクリレート系などの樹脂を挙げることができる。特に、ハードコート層樹脂自身が基材の伸縮に追従するためには、ウレタン成分をソフトセグメントとして含んだアクリレート系の樹脂が好ましい。
さらに、塗膜の耐摩耗性の向上と硬化時の体積収縮率の減少のために、光硬化性樹脂中に無機微粒子を含有させることが望ましい。無機微粒子の具体例としては、シリカまたはチタン等の金属酸化物よりなる微粒子が挙げられる。なお、無機微粒子の含有量は水性接着剤全体の20〜60質量%であることが好ましい。無機微粒子の含有量が20質量%未満であると耐摩耗性不良および紫外線硬化時の体積収縮率が高くなりフィルムにカールが発生する。また60質量%を超えると、ハードコート樹脂の伸縮性不良となり、屈曲によるクラックが入りやすくなる。無機微粒子の平均粒径は100nm以下であることが好ましい。平均粒径が100nmを超えると光沢度が上がりさらに透明性が低下することがある。また、ハードコート性向上のため、無機微粒子の表面には、光重合反応性を有する感光性基を導入することが好ましい。導入する感光性基としては単官能性または多官能性アクリレートが挙げられる。
本発明の易接着層形成用水性接着剤を用いた樹脂被膜は、易接着性、透明性、耐ブロッキング性、耐水性に優れているため、他の塗膜を重ねて積層することが容易である。このような塗膜が積層された積層体は、例えば、液晶表示用の最外層フィルム、タッチパネルの最外層フィルム等の用途で好適に使用が可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
なお、評価、測定方法は下記の通りである。
(1)ポリエステル樹脂の構成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製NMR;ECA‐500型)を用いて、H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:500MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸、温度:25℃)。また、H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂を0.5g精秤し、水/1,4−ジオキサン=1/9(体積比)50mlに室温で溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、中和に消費されたポリエステル樹脂1gあたりの水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)を酸価とした。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂を10mg秤量し、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製DSC;Diamond DSC型、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
(4)ポリエステル樹脂の数平均分子量、重量平均分子量および分散度
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量を測定した。
[送液ユニット]:島津製作所社製LC−10ADvp
[紫外−可視分光光度計]:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
[カラム]:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
[溶媒]:テトラヒドロフラン
[測定温度]:40℃
上記の数平均分子量(Mnとする)、および重量平均分子量(Mwとする)より、分散度を以下の式により求めた。
分散度=Mw/Mn
(5)水性分散体、または水性接着剤の固形分濃度
水性分散体、または水性接着剤を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物の質量を秤量(Ygとする)し、下記式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y/X)×100
(6)水性分散体、または水性接着剤の体積平均粒径、数平均粒径
水性分散体、または水性接着剤中の固形分濃度が0.1質量%になるように水で希釈し、レーザー回折式粒径測定装置(日機装社製MICROTRAC UPA;モデル9340−UPA型)を用いて、体積平均粒径、および数平均粒径を測定した。ポリエステル樹脂の屈折率は1.57、ポリエステル樹脂の密度は1.21g/cmと設定した。
(7)水性分散体、または水性接着剤のpH
pHメーター(堀場製作所社製F−21型)を用いて、pH7およびpH9の標準緩衝液(ナカライテスク社製)により校正した後、測定温度25℃で水性分散体、または水性接着剤のpHを測定した。
(8)水性分散体、または水性接着剤の安定性
水性分散体、または水性接着剤を30g採取した後、50mLのガラス製サンプル瓶に密封し、25℃で90日保存した。保存後、サンプル瓶から上澄み液を採取し、固形分濃度を測定し、下記式より、沈殿物の割合を計算し、分散安定性の評価を行った。
沈殿物の割合(質量%)={保存前の固形分濃度(質量%)−保存後の固形分濃度(質量%)}/{保存前の固形分濃度(質量%)}
○:0.5質量%未満
△:1.0質量%未満
×:1.0質量%以上、あるいは、液全体が固化していて上澄みが採取できない
(9)樹脂被膜の造膜性
水性接着剤を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、100℃に設定された熱風乾燥機中で2分間乾燥させることにより、膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。この樹脂被膜を目視にて観察し、外観を評価した。
また、上記記載の通り形成した樹脂被膜を、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅:18mm)を、一方の端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって、粘着テープと樹脂被膜とを十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製FT−IR;SYSTEM2000型、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否か、すなわち樹脂被膜が粘着テープにより剥離されているかにより分類し、密着性を評価した。
上記の2種類の評価より、総合的な樹脂被膜の造膜性を以下の基準で評価した。
なお、樹脂被膜の厚みは、厚み計(ユニオンツール社製MICROFINE)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いてフィルム上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差により求めた。
○:クラック、微細な凹凸、白化等の外観不良、および粘着テープによる樹脂被膜の剥離のいずれもが認められない。
×:クラック、微細な凹凸、白化等の外観不良、および粘着テープによる樹脂被膜の剥離のいずれかが認められる。
(10)樹脂被膜の透明性
前記(9)と同様の操作をおこなって、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後に、50mm×50mmの試験片に切り出し、濁度計(日本電色工業株式会社製NDH2000型)を用いて、JIS K7105に準拠した方法で拡散透過率(Td)、および、全光線透過率(Tt)を測定、下記式によりHzを算出した。算出されたHzについて、基材PETフィルム単独のHzと比較し評価した。なお、基材のPETフィルムのみで、Hzは4.2(%)であった。
Hz(%)=Td/Tt×100
○:Hzが4.2%未満となり、基材の透明性を損ねていなかった。
×:Hzが4.2%以上となり、基材の透明性を損ねた。
(11)樹脂被膜の耐水性
前記(9)と同様の操作をおこなって、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。
得られた樹脂被膜を形成したPETフィルムを、
(i)25℃の蒸留水に浸漬させ、24時間後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察した。
(ii)約100℃の沸騰水に浸漬させ、1時間後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察した。
評価方法は、それぞれ以下の基準で評価した。〇〜△△であるものが実用に耐え得るとする。
○:外観変化がなかった。
△:樹脂被膜の一部が白化した。
△△:樹脂被膜の一部が膨潤した。
×:樹脂被膜の全体が溶解もしくは膨潤した。
(12)樹脂被膜の耐アルコール性
前記(9)と同様の操作をおこなって、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。
得られた樹脂被膜を形成したPETフィルムを、
(i)25℃のイソプロパノールに浸漬させ、24時間後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察した。
(ii)約50℃のイソプロパノールに浸漬させ、1時間後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察した。
評価方法は、それぞれ以下の基準で評価した。
○:外観変化がなかった。
△:樹脂被膜の一部が白化または膨潤した。
×:樹脂被膜の全体が溶解もしくは膨潤した。
(13)樹脂被膜の耐ブロッキング性
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後、被膜形成面に別のPETフィルムを重ねた状態で500Paの荷重をかけ、38℃の雰囲気下で24時間放置後、25℃まで冷却した後、2枚のPETフィルムを手で剥がし、容易に剥がすことができるか否かにより下記のように分類し、耐ブロッキング性を評価した。
○:容易に剥がすことができ、全く融着跡が認められない。
×:剥がす際にかなりの抵抗があり、融着跡が認められる。
(14) 樹脂被膜の易接着性
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。該樹脂被膜上に、アクリル系ハードコート樹脂(大日精化社製 セイカビームPHC)を同様に卓上型コーティング装置を用いて塗布し、低圧水銀灯UVキュア装置(東芝ライテック社製、40mW/cm、一灯式)でキュアリングを行い、厚さ3μmのハードコート層を形成した。この塗膜をJIS K−5600−5−6に準拠して、クロスカット法によって密着性を確認した。なお、「100/100」が、全く剥がれがなく、最も良い状態であり、「0/100」が、全てが剥がれ、最も良くない状態を示す。100/100〜80/100を合格とし、100/100〜90/100がより優れており、100/100が最も優れていることを示す。
(15) 樹脂被膜の易滑性
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。ASTM D−1894に準じて、島津製作所社製オートグラフで樹脂被膜面の動摩擦係数(μk )を測定した。μkは、0.5未満であることが好ましい。
[ポリエステル樹脂の調製]
下記手順により、実施例および比較例で用いるポリエステル樹脂(a1)〜(a10)を得た。
調製例1
テレフタル酸2990g、エチレングリコール1262g、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール2619gからなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。この時のモノマー成分の配合は、テレフタル酸:エチレングリコール:トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール=100:112:74(モル比)とした。次いで、触媒として三酸化アンチモン0.525g、トリエチルホスフェート0.328g、酢酸亜鉛二水和物1.580g添加した後、系の温度を250℃に昇温し、系の圧力を0.4MPaで制圧し、3時間反応後、徐々に放圧し、常圧にて1時間反応を行った。その後、270℃に昇温し、徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間30分後に系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸を114.1g(全酸成分の合計1モルあたり0.033モル)添加し、255℃で2時間攪拌して解重合反応を行った。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂(a1)を得た。その結果を表1に示す。
なお、表1中の、略語は以下のものを示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
ADA:アジピン酸
SEA:セバシン酸
SIPA:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
1,2−PD:1,2−プロパンジオール
TCD:トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール
TMA:トリメリット酸
調製例2〜18
仕込組成を、表1のように変更した以外は、ポリエステル樹脂(a1)と同様にして、ポリエステル樹脂(a2)〜(a18)をそれぞれ得た。なお、ポリエステル樹脂(a2)〜(a12)、(a16)、(a18)は、室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(a13)〜(a15)は、系外にストランド状に払い出し、ペレタイズした後ペレット状のポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(a17)はシート状に樹脂を払い出した。その結果を表1に示す。
得られたポリエステル樹脂(a1)〜(a18)の最終樹脂組成および特性値を表2、3に示す。
[ポリエステル樹脂水性分散体の調製]
下記手順により、ポリエステル樹脂水性分散体(A−1)〜(A−18)を得た。得られたポリエステル樹脂水性分散体(A−1)〜(A−18)につき各種評価を行った。
調製例19
[自己乳化工程]
ジャケット付きの、密閉が可能な円筒状ガラス容器(内容量3L)と、攪拌機(東京理科器械社製、「MAZELA NZ−1200」)を用い、ポリエステル樹脂(a1)を300g、イソプロパノールを220g、トリエチルアミンを24.1g(ポリエステル樹脂(a1)の酸価に対して3倍当量のトリエチルアミンに相当)、蒸留水を455.9gそれぞれガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を70rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して昇温した。内温が80℃になった時点で昇温を止め、そこから攪拌を180分間続けた。攪拌中は内温を72±2℃に保つよう行った。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却しポリエステル樹脂水性分散体を得た。
[脱溶剤工程]
得られたポリエステル樹脂(a1)の分散体800gを丸底フラスコに仕込み、水418g、トリエタノールアミン9.4g(ポリエステル樹脂(a1)の酸価に対して1倍当量のトリエチルアミンに相当)を添加し、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を334g留去した。その後、室温まで冷却し、さらに攪拌しながら、28質量%アンモニア水1.9gを添加し、最後に固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水を加えて、ポリエステル樹脂水性分散体(A−1)を得て、各種評価を行った。その評価結果を表4に示す。
調製例20〜36
用いるポリエステル樹脂の酸価に応じてトリエチルアミンの含有量が3倍当量になるようにし、撹拌翼の回転速度を70〜300rpm範囲で変更し撹拌を行う以外は、調製例19と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂分散体(A−2)〜(A−18)を得て、各種評価を行った。その評価結果を表4に示す。
実施例1
ポリエステル樹脂水性分散体(A−1)を用い得られた樹脂被膜につき、各種特性の評価を行った。その結果を表5に示す。
実施例2〜15および比較例1〜3
ポリエステル樹脂水性分散体を表5に示すように変更して、実施例1と同様にして各種特性の評価を行った。その結果を表5に示す。
実施例16
あらかじめシリカ粒子(c1)として水澤化学工業製「ミズカシルP−50」(嵩比重0.32、平均粒径10μm)を固形分濃度20質量%で分散させたシリカ粒子水分散液(C−1)を準備した。ポリエステル樹脂水性分散体(A−1)、硬化剤水性分散体(B−2)として日本触媒社製「エポクロスWS−700」(固形分濃度25質量%)およびシリカ粒子水分散液(C−1)を、固形分比が(a1)/(b1)/(c1)=93.3/4.7/2(質量%)となるように表6の配合に従い混合攪拌して水性接着剤(S−1)を得た。各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例17、18
表6の配合に従い、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−2)、(S−3)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例19
硬化剤水性分散体B−2として、第一工業製薬社製「エラストロンBN−77」(固形分濃度30−32質量%)を用いる以外は、表6の配合に従い、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−4)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例20
シリカ粒子(c2)として、水澤化学工業製「ミズカシルP−527」(嵩比重0.19、平均粒径2μm)を用いる以外は、表6の配合に従い、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−5)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例21
シリカ粒子(c3)として、水澤化学工業製「ミズカシルP−78D」(嵩比重0.24、平均粒径12μm)を用いる以外は、表6の配合に従い、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−6)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例22〜25
表6の配合に従い、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−7)〜(S−10)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例26
表6の配合に従った。硬化剤を配合せず、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−11)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例27
表6の配合に従った。シリカ粒子を配合せず、実施例16と同様の操作を行って水性接着剤(S−12)を得て、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。
実施例28
卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)のコート条件を変更する以外は、実施例16と同様の操作を行って、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)のコロナ処理面に膜厚が0.05μmの樹脂被膜を形成し、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。なお、膜厚0.05μmである樹脂被膜の評価方法は膜厚1μmの場合と同様にして行った。
実施例29
卓上型コーティング装置(安田精機社製フィルムアプリケータ;No.542−AB型、バーコータ装着)のコート条件を変更する以外は、実施例16と同様の操作を行って、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)のコロナ処理面に膜厚が0.1μmの樹脂被膜を形成し、各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。なお、膜厚0.1μmである樹脂被膜の評価方法は膜厚1μmの場合と同様にして行った。
実施例30
まず、水性接着剤(S−1)を準備した。厚さ260μmである未延伸PETフィルムを90℃で縦方向に3倍に延伸し、次いで前記水性接着剤(S−1)をバーコーターにより塗布(コーティング)した。次いで65℃で乾燥した後、120℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに続いて230℃で5秒間熱処理を行なった。こうして逐次延伸により得られた厚さ25μmPETフィルムは膜厚0.2μmである樹脂被膜を形成した。その後各種特性の評価を行った。その結果を表6に示す。なお、膜厚0.2μmである樹脂被膜の評価方法は膜厚1μmの場合と同様にして行った。
実施例1〜20は、所定の配合に従ったため、得られた水性接着剤は安定性が良く、水性接着剤から得られる樹脂被膜は易接着性、透明性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた被膜を形成できた。特に、実施例16〜25、28〜30については、ポリエステル樹脂(A)、硬化剤(B)、シリカ粒子(C)をそれぞれ特定の配合で用いたため、水性接着剤から得られる樹脂被膜は、易接着性、透明性、耐ブロッキング性、耐水性だけでなく、耐熱水性、易滑性を有し、易接着性についてもより優れた被膜を形成できることができた。
比較例1は、ポリエステル樹脂(A)のグリコール成分として、一般式(I)で示される化合物を含有率50%未満で用いたため、得られた樹脂被膜は易接着性に劣るものであった。
比較例2は、ガラス転移温度が40℃未満であったため、得られた樹脂被膜は耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例3は、ポリエステル樹脂(A)のグリコール成分として、一般式(I)で示される化合物とは異なる脂環族グリコールを用いたため、得られた樹脂被膜は易接着性に劣るものであった。













Claims (7)

  1. 主としてジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるポリエステル樹脂(A)、塩基性化合物ならびに水を含有し、実質的に乳化剤を含有しない水性接着剤であって、前記ポリエステル樹脂(A)が、グリコール成分として下記一般式(I)で示される化合物を50〜100モル%含有し、酸価4mgKOH/g以上、ガラス転移温度40℃以上、数平均分子量5000〜50000であることを特徴とする水性接着剤。
    (X、Xは炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基および/または炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜4モル付加した基であり、同一であっても異なっていても良い)
  2. ポリエステル樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分100モル%に対し、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸を1〜10モル%含有することを特徴とする請求項1記載の水性接着剤。
  3. 水性接着剤の不揮発成分100質量部に対し、さらに硬化剤(B)を1〜10質量部含有することを特徴とする請求項1または2記載の水性接着剤。
  4. さらに無機粒子(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性接着剤。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の水性接着剤から水性媒体を除去してなる被膜。
  6. 基材上に、請求項5記載の被膜を形成してなる積層体。
  7. 被膜上に、さらにアクリル塗膜を設けてなる請求項6記載の積層体。









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