窒素・ケイ素系焼結体は、強度、硬度、靭性が大きく、耐酸化性に優れ、耐食性に富み、熱伝導性に優れ、高温においても強度の低下が小さい等の優れた特性を有するセラミック材料である。工業的な利用も多方面にわたっている。すなわち、ターボチャージャーローター、ディーゼルエンジンおよびグロープラグやホットプラグなどの自動車部品、研削用チップなどの機械器具用部材、ガスタービン用タービンブレードや燃焼室壁などの熱機関部材、高周波トランジスタやパワーデバイス用の電気絶縁基板などとして使われている。
これまで、強度の大きい窒素・ケイ素系焼結体を作ることができる窒化ケイ素系化合物、難焼結性の窒化ケイ素を焼結できる窒化ケイ素系化合物は知られていなかった。そのため、難焼結性の窒化ケイ素を焼結するために、アルミナ、マグネシヤ、希土類酸化物をなどの酸化物系助剤を添加して、緻密な焼結体を製造してきた(例えば、非特許文献1参照)。窒化ケイ素は、200W/m・K以上の熱伝導性があるといわれている。この高熱伝導性は、窒化アルミニウムに次ぐ大きさである。窒素・ケイ素系焼結体の強度と靭性とは、セラミックスの中でジルコニア焼結体に次ぐ大きさであり、さらにジルコニア焼結体に比べ、高温での強度がはるかに大きいという特徴を有している。この窒素・ケイ素系焼結体の大きい強度は、直径が数ミクロン以下で、長さが20ミクロンから数ミクロンの柱状結晶(底辺は六角形)が絡み合った組織によって説明されている。
通常のセラミックスにおいては、焼結体の組織が球状の粒で主に構成されているので、破壊のクラックは粒界の弱い部分をその経路にし、ほぼ直線的に進行することができ、クラックの進展はあまり妨害されず行われる。しかし、窒素・ケイ素系焼結体では、先に述べたように、その組織が大きさの異なる柱状の結晶が絡み合った状態であり、クラックの進展は粒界の弱い部分を選択して進行するために、大きくその方向を変えるか、強度の大きい結晶を壊して直進するか、小さい柱状晶を引き抜いて直進するかいずれかの方法、あるいはこの三つの進展の仕方の混合方式となる。これは、球状粒の組織と比較して大きなエネルギーを必要とすることを意味し、結果的にはクラックの進展が妨げられ、強度と靭性とが大きくなっている。
窒化ケイ素中の窒素とケイ素との拡散係数は、高温においても急激に大きくはならないが、酸素の拡散係数は、1500℃のような高温においては急激に大きくなる。このために、酸化物助剤を含む窒素・ケイ素系焼結体は、高温において塑性変形するようになり、本来の窒化ケイ素とは異なり、強度と硬度とは大きく低下するようになる。酸化物助剤は、窒化ケイ素より強度が小さく、焼結体中の窒化ケイ素結晶の粒界に存在している。この焼結体は、窒化ケイ素結晶が酸化物助剤により結合され、弱い物質が強い窒化ケイ素粒を結合しているという状態である。強度の大きい窒化ケイ素系の助剤で焼結できれば、室温および高温での強度を大きくできる。さらに、酸化物助剤が窒化ケイ素結晶の中に固溶し、あるいは窒素・ケイ素系焼結体の粒界に存在し、それがフォノン散乱要因となっているため、本来持っている優れた窒化ケイ素の熱伝導性が小さくなっている。このために、酸化物ではなく窒化物を焼結助剤とすれば、焼結体中の窒化ケイ素結晶中への酸素の混入を阻止すること、あるいは窒化ケイ素粒界での酸化物の存在をなくすことができる。
従来、高熱伝導性の窒素・ケイ素系焼結体を製造する試みが行われている。すなわち、窒化ケイ素粉にMgSiN2を添加し、緻密な焼結体を製造する試みである。しかし、この化合物は、窒化ケイ素を焼結する焼結助剤としての機能が小さいので、原料のSi3N4粉にSc2O3、Y2O3、Nd2O3、Yb2O3等の希土類酸化物や、HfO2、ZrO2などの酸化物助剤を付加添加し、緻密な焼結体を製造している。この方法で得られる窒素・ケイ素系焼結体は、酸化物助剤のみを用いたものより高い熱伝導率を示している(例えば、特許文献1参照)。別の製造方法では、ケイ素粉あるいはケイ素と窒化ケイ素との混合粉とを用い、MgSiN2と希土類酸化物とを同時に加え、窒素ガス中で加熱することで、ケイ素を窒化しながら焼結することで緻密化を達成し、熱伝導性の大きな窒素・ケイ素系焼結体が製造されている(例えば、特許文献2参照)。これらの例で見られるように、これまでの窒素・ケイ素系焼結体の製造では、希土類酸化物などの酸化物助剤の添加が補助的にも不可欠であり、完全に窒化ケイ素系の化合物を助剤とする窒素・ケイ素系焼結体は製造されてこなかった。
窒素・ケイ素系焼結体を製造するためには、焼結助剤に、アルミナ、マグネシヤ、希土類酸化物などの酸化物を使用する製造方法が従来から行われてきた。酸化物助剤の代わりに、MgSiN2を助剤とする製造方法も提案されたが、ここでも補助的な焼結助剤として酸化物の添加が行われている。酸化物助剤の添加量を少なくすることで、酸化物によるフォノン散乱は少なくなり、確実に窒化物ケイ素焼結体の熱伝導性は改善されている。酸化物の助剤の影響を完全に除去できないために、窒化ケイ素の本来の性質を持った焼結体の製造に成功したとは言いがたい状態であるが、酸化物助剤の低減により熱伝導性の改善が大幅になされている。
アルミナ、マグネシヤ、希土類酸化物は、室温および高温での強度は窒化ケイ素のそれに比べて小さく、窒化ケイ素とは異なる化学組成のためフォノン散乱の原因となり、窒素・ケイ素系焼結体に対し負の影響が大きいので、酸化物助剤の添加無しに窒素・ケイ素系焼結体を製造できる技術を開発すれば、室温と高温での強度は大きくなり、フォノン散乱の原因がなくなるめに熱伝導性が改善できる。
そこで、本発明は、酸化物助剤を含まず、室温や高温での強度が大きく、熱伝導性に優れた窒素・ケイ素系焼結体およびその製造方法を提供することを目的としている。窒化物系化合物としては多くの化合物が存在しているが、本発明者等は、それらの中から、それ自身も焼結して緻密で強度の大きな焼結体を与え、かつ窒化ケイ素粉を焼結できる機能を持った化合物の探索を行った。
本発明者等は、上記の課題を解決するために、窒化物系の化合物の検索とそれを使った焼結実験を行った結果、Ln2Si4N6CとLnSi3N5の各化合物は、それ自身が焼結し、さらに窒化ケイ素粉を焼結できる能力を持っていることを見つけることができた。これらを使えば、酸化物助剤を補助的にも使う必要がなくなり、完全に酸素を含まない窒素・ケイ素系焼結体が得られる。
本発明によれば、窒化ケイ素(Si3N4)を97重量%から0重量%含み、窒化ケイ素系化合物のLn2Si4N6C(LnはSc、Yまたはランタノイド元素)を3重量%から100重量%含むことを特徴とする窒素・ケイ素系焼結体が得られる。
また、本発明によれば、窒化ケイ素(Si3N4)を97重量%から0重量%含み、窒化ケイ素系化合物のLnSi3N5(LnはSc、Yまたはランタノイド元素)を3重量%から100重量%含むことを特徴とする窒素・ケイ系素焼結体が得られる。
また、本発明によれば、窒化ケイ素粉が97重量%から0重量%の範囲になり、Ln2Si4N6C化合物粉(LnはSc、Yまたはランタノイド元素)が3重量%から100重量%の範囲になるよう、前記窒化ケイ素粉と前記Ln2Si4N6C化合物粉とを混合し、この混合粉を窒素ガス中で、1500℃から1900℃の範囲で、5分から10時間の間焼結することを特徴とする窒素・ケイ素系焼結体の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記Ln2Si4N6C化合物粉を使用する代わりに、焼結中に反応してLn2Si4N6Cを生成するよう、2モルのLnN粉と、1モルのSi3N4粉と、1モルのSiC粉とを混合して焼結することを特徴とする窒素・ケイ素系焼結体の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、窒化ケイ素粉が97重量%から0重量%の範囲になり、LnSi3N5化合物粉(LnはSc、Yまたはランタノイド元素)が3重量%から100重量%の範囲になるよう、前記窒化ケイ素粉と前記LnSi3N5化合物粉とを混合し、この混合粉を窒素ガス中で、1500℃から1900℃の範囲で、5分から10時間の間焼結することを特徴とする窒素・ケイ素系焼結体の製造方法が得られる。
更に、本発明によれば、前記LnSi3N5化合物粉を使用する代わりに、焼結中に反応してLnSi3N5を生成するよう、1モルのLnN粉と、1モルのSi3N4粉とを混合して焼結することを特徴とする窒素・ケイ素系焼結体の製造方法が得られる。
本発明によれば、酸化物助剤を含まず、室温や高温での強度が大きく、熱伝導性に優れた窒素・ケイ素系焼結体およびその製造方法を提供することができる。また、高温度での強度や熱伝導率の低下の少ない機械材料および絶縁性基板を提供することができる。
本発明で助剤として使用される二つの化合物は、複数の方法で製造される。LnSi3N5に関しては、Si3N4とLn2O3とを窒素ガス中で2000℃で反応させる、あるいはLaNとSi3N4とを窒素ガス中で1700℃で反応させて得られる。Ln2Si4N6Cについては、炭素熱還元法を利用した方法がある。例えば、Y2Si4N6Cの場合には、8Si3N4、6Y2O3、15C、2N2を1500℃の温度で反応させ、6Y2Si4N6Cと9CO2(ガス)とを生成させる反応によって合成されている。さらに別の報告では、4Si3N4、6YN、CおよびN2とを1750℃で反応させ、3Y2Si4N6Cと3H2の生成物を得る反応で製造している。
Ln2Si4N6C化合物あるいはLnSi3N5化合物は、窒化ケイ素とは異なりそれ自身で焼結して緻密な焼結体となる。この焼結体の組織は、大きさの異なる柱状の結晶が絡み合った構造で、窒素・ケイ素系焼結体の組織的特徴を有し、かつこの柱状結晶の強度が大きいので、焼結体が高強度・高靭性になる条件を満たしている。化合物の焼結に際し、化合物の粉を使用することができる。また、Ln2Si4N6C化合物に関しては、2モルのLnN、1モルのSi3N4、1モルのSiCの各粉体を用い、焼結中に反応してLn2Si4N6C化合物の緻密な焼結体になる。LnSi3N5化合物に関しては、LnNとSi3N4とが反応して緻密なLnSi3N5化合物の焼結体とすることができる。
次いで、Ln2Si4N6C化合物あるいはLnSi3N5化合物と、Si3N4粉とを混合して得られる窒素・ケイ素系焼結体の組織について説明する。それぞれの二つの化合物を助剤にして得られる緻密な焼結体は、底辺が六角で大きさの異なる円柱状結晶から構成されている。この組織は、従来から報告されている酸化物を助剤とする窒素・ケイ素系焼結体の組織と同じである。化合物の量が窒化ケイ素に比較して少ない場合には、化合物が大きな結晶の形をとることなく窒化ケイ素粒の粒界に存在している。窒化ケイ素に対し化合物の量が多くなると、焼結助剤として窒化ケイ素粒界に存在して焼結を促進するために必要とされる量以上の化合物は、本来の結晶の形を取って窒化ケイ素結晶と混在するようになる。化合物結晶も窒化ケイ素系であり、酸化物結晶とは異なり強度が大きいので、窒化ケイ素結晶と化合物との混在した組織が形成されても、窒素・ケイ素系焼結体の強度と靭性とが低下することはない。ただし、化合物の窒化ケイ素粉に対する添加量が少なくなると、その焼結機能が低下するために、その添加量は3重量%以上にする必要がある。化合物を使用する代わりに、Ln2Si4N6Cに関しては、2モルのLnNと1モルのSi3N4と1モルのSiCとを、この割合で一定量をSi3N4粉と混合し、焼結中にこれらが反応して化合物を生成することで焼結機能を発揮させ、焼結体を得ることもできる。LnSi3N5については、1モルのLnNと1モルのSi3N4とを、この割合で一定量をSi3N4粉と混合し、焼結中にLnSi3N5化合物を生成させて焼結を促進して、焼結体を得ることができる。
焼結体の製造について具体的に説明すると次のようになる。窒素・ケイ素系焼結体を得るために定量した原料粉体を混合するのに、乾式混合と湿式混合の2種類の方法を適用できる。一般的には、水あるいはアルコールの溶媒を使った湿式の方が、混合効率が良いので使われている。原料粉体を溶媒に投入しスラリーを作る。このスラリーをボールミル、遊星ボールミル、自転公転ミキサー、またはアペックスミルを使い、3分から3時間の範囲で混合する。3分以下では混合が不十分であり、3時間以上行っても混合への効果は少ない。LnNの中で、例えばLaNのように空気中において不安定で酸化されやすいものについては、混合を窒素ガスなどの不活性ガス中で行うと、混合中の酸化を防ぐことができる。
混合して得られた原料を使って焼結する方法には、2つの方法がある。一つは、スラリーの溶媒の量を調整してから、射出成型機や押出し成型機を使って生成型体を作り、この生成型体を十分乾燥してから、雰囲気焼結炉を用いて焼結する方法である。この焼結の雰囲気は窒素ガスであり、その圧力は大気圧の0.05MPaから300MPaの範囲である。0.05MPa以下では、窒化物からの窒素の蒸発の可能性があり、300MPa以上になるとこの圧力を支える金属容器の材質で制限されるようになる。焼結温度は1500℃から1900℃の範囲である。1500℃以下では焼結を十分に進行させることができない。1900℃以上になると窒化物の分解が始まる。焼結時間は5分から10時間である。5分以下では焼結が十分に行われない。10時間以下で焼結が十分に進行しており、これ以上の時間を必要としない。
もう一つの焼結法は、スラリーを乾燥し、あるいはスラリーから造粒してペレットを作って乾燥し、これら乾燥原料を黒鉛型につめ、ホットプレスあるいは放電プラズマ焼結機を用いて加圧焼結する方法である。加圧焼結の雰囲気は窒素ガスであり、ガス圧は0.05MPaから0.2MPaの範囲である。0.2MPa以下とするのは、加圧焼結機が耐圧容器となっていないためである。焼結温度は、無加圧焼結と同じ1500℃から1900℃の範囲である。焼結のための加圧力は5MPaから300MPaである。5MPa以下では、圧力の効果が小さく無加圧焼結と変わらない製品となる。300MPaを上限にするのはこれ以上に加圧できる黒鉛型が存在しないためである。
100から300MPaの窒素ガス中の高圧ガス処理条件下で、一旦焼結した窒素・ケイ素系焼結体を1500℃から1900℃の温度範囲で再処理することにより、焼結体に含まれる欠陥を除去することができ、材料としての寿命や強度、靭性を大きくでき、材料としての信頼性を向上できる。この場合、100MPa以下のガス圧下では欠陥を除くことが十分に果たされない。
本発明の窒素・ケイ素系焼結体は、その組織が大きさの異なる柱状結晶が絡み合った構造になっている。そのために、球状結晶で構成されているほかのセラミックス材料に比較して、強度と靭性とが2倍近く、あるいはそれ以上に大きくなっている。すなわち、本発明の窒素・ケイ素系焼結体の強度は、800MPa以上であり、靭性は8MPa・m1/2以上となっている。
窒化ケイ素粉(95%以上α)19.253g、YbN粉0.675g、SiC粉0.072gをアルコール15mlに加えてスラリーを作り、自転公転ミキサーを使い、2000rpmの条件下で、20分間混合した。このスラリーを乾燥後、放電プラズマ焼結機を使い、40MPaの加圧下で、0.1MPaの窒素ガスの雰囲気で、1700℃まで20分で昇温し、この温度に15分間保持して焼結を完了し、窒素・ケイ素系焼結体を得た。この焼結体は、Yb2Si4N6Cを5wt%含み、そのかさ密度が3.24g/mlとなっており、曲げ強度は1050MPaと大きく、破壊靭性値は10.5MPa・m1/2である。この焼結体の曲げ強度を測定した試料の破断面を観察した走査型電子顕微鏡(SEM)写真は、図1のようになる。直径が3ミクロン以下で長さが10ミクロンの大きい柱状の結晶から、直径0.3ミクロンで長さが2から3ミクロンの小さい柱状結晶が絡み合った構造であり、小さい結晶の引き抜きにより穴が生成しているのが分かる。
窒化ケイ素粉(95%以上α)を18.090g、YNを粉1.599g、SiC粉を0.311gの量で秤量し、これらすべてをアルコール15mlに加えてスラリーを作り、自転公転ミキサーを使い、2000rpmの条件下で、20分間混合した。このスラリーを乾燥後、放電プラズマ焼結機を使い、40MPaの加圧下の条件で、大気圧の窒素ガスの雰囲気で、1700℃まで20分で昇温し、この温度に15分間保持して焼結を完了し、窒素・ケイ素系焼結体を得た。この焼結体はY2Si4N6Cを15wt%含み、そのかさ密度が3.29g/mlとなっており、曲げ強度は1100MPaと大きく、破壊靭性値は11.0MPa・m1/2である。この焼結体の曲げ強度を測定した試料の破断面を観察した走査型電子顕微鏡写真は、図2のようになる。直径が3ミクロン以下で長さが10ミクロンの大きい柱状の結晶から、直径0.3ミクロンで長さが2から3ミクロンの小さい柱状結晶が絡み合った構造であり、直径1ミクロンの結晶の引き抜けた穴も見られる。
窒化ケイ素粉を1.914gと、LaNを2.086gの量で秤量し、これらを窒素ガス中で、メノー製乳鉢を用いて混合し、無加圧雰囲気炉を用い、0.2MPaの窒素ガス下において1550℃で2時間反応させてLaSi3N5を生成させた。これを粉砕して16gの窒化ケイ素粉と、アルコール15mlに加えてスラリーを作り、自転公転ミキサーを使い、2000rpmの条件下で、5分間混合した。このスラリーを乾燥後、直径33mmの円盤状に成型し、0.1MPaの窒素ガスの雰囲気で、1800℃まで1時間かけで昇温し、この温度に5時間間保持して焼結を完了し、窒素・ケイ素系焼結体を得た。この焼結体はLaSi3N5を20wt%含み、そのかさ密度が3.35g/mlとなっており、曲げ強度は950MPaと大きく、破壊靭性値は9.2MPa・m1/2である。
窒化ケイ素粉を5.33g、YN粉を3.63g、SiC粉を1.04gの量で秤量し、これらすべての粉体を7mlのアルコールに入れて、自転公転ミキサーを使い、2000rpmの条件下で20分間混合した。アルコールを蒸発させてから成型し、無加圧焼結炉を用い、大気圧の窒素ガス雰囲気下で、1800℃まで2時間で昇温し、この温度に3時間保持してY2Si4N6Cの生成と焼結とを完了した。この焼結体のかさ密度は4.16g/mlである。曲げ強度は890MPaであり、破壊靭性値は8.7MPa.m1/2である。図3には、焼結体の破断面のSEM像を示す。直径が1ミクロン以上の長い結晶の破断面が観察できると同時に、直径1ミクロンの結晶の引き抜けで生成した穴もみられる。
窒化ケイ素粉を5.77g、YN粉を4.23gの量で秤量し、この2粉体を7mlのアルコールに入れて、自転公転ミキサーを使い、2000rpmの条件化で20分間混合した。アルコールを蒸発させ乾燥してから、放電プラズマ焼結機を用い、大気圧の窒素ガス雰囲気下で、10MPaで加圧しながら、1700℃まで20分で昇温し、この温度に10分間保持してYSi3N5を生成させると同時に焼結して緻密化した。この焼結体のかさ密度は4.04g/mlである。曲げ強度は990MPaであり、破壊靭性値は9.5MPa.m1/2である。図4には、焼結体の破断面のSEM像を示す。直径が数ミクロンの長い結晶から1ミクロンの細長い結晶と、その引き抜けた穴が観察できる。
窒化ケイ素粉を6.82g、YNを2.66g、SiCを0.52gの量でそれぞれ秤量し、これらすべてを7mlのアルコールに入れ、自転公転ミキサーにて、2000rpmの条件で20分間混合した。混合後、アルコールを蒸発させ乾燥した。乾燥粉体を黒鉛型につめ、放電プラズマ焼結機を使用し、大気圧の窒素ガス中で、20分間かけて1700℃まで昇温し、この温度に30分間保持して焼結体を作製した。この焼結体にはY2Si4N6Cが50wt%含まれ、かさ密度は3.59g/mlであった。この焼結体の曲げ強度は1100MPaであり、破壊靭性値は10.1MPa.m1/2であった。図5には、破断面のSEM像を示した。直径が0.5からすうミクロンの柱状結晶の破断面が観察され、3ミクロンの大きい結晶の引き抜けた穴も見られる、
窒化ケイ素粉を2.91g、YNを4.26g、SiCを0.83gの量でそれぞれ秤量し、これらをすべて7mlのアルコールに入れてスラリーを作り、これを自転公転ミキサーで10分間混合した。アルコールを蒸発させてから30mmの大きさに成型し、無加圧焼結炉を用いて、大気圧の窒素ガス中で、室温から1650℃まで1時間で昇温し、ついでこの温度に1時間保持してY2Si4N6Cを生成させた。これを粉砕し2gの窒化ケイ素粉と7mlのアルコールとからスラリーを作り、自転公転ミキサーで30分間混合した。アルコールを蒸発させてから、直径33mmの円盤状に成型し、先の無加圧焼結炉を使い、大気圧の窒素ガス中で、1850℃まで2時間で昇温し、この温度に3時間保持し、Y2Si4N6Cが80wt%と窒化ケイ素が20wt%とから成る焼結体を得た。この焼結体のかさ密度は3.91g/mlであり、曲げ強度は870MPaであり、破壊靭性値は10.0MPa.m1/2であった。図6には、曲げ強度の測定に使った試料の破断面のSEM像を示す。直径1ミクロン以上の長い結晶と、直径0.5ミクロン以下の細長い結晶の二つが観察される。小さい結晶は窒化ケイ素からできている。
窒化ケイ素粉を0.458g、EuNを0.542gの量でそれぞれ秤量し、これらを窒素ガス中で、メノー製乳鉢を用いて混合した。この混合粉を黒鉛型に入れて、無加圧焼結炉を用いて、大気圧下の窒素ガス中で、1600℃まで1時間で昇温し、この温度に1時間保持してEuSi3N5を生成させた。この生成物を粉砕し、窒化ケイ素粉9gと一緒に7mlのアルコールに入れてスラリーを作り、自転公転ミキサーで10分間混合した。混合後アルコールを蒸発させて乾燥し、放電プラズマ焼結機を用い、大気圧の窒素ガス中で、40MPaの加圧のもと室温から1700℃まで30分で昇温し、この温度に15分間保持し、EuSi3N5を10wt%含む焼結体を得た。この焼結体の密度は3.28g/mlであった。曲げ強度は1150MPaであり、破壊靭性値は11.0MPa.m1/2であった。