JP2015079569A - 放射線管及び放射線撮影システム - Google Patents
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Abstract
【課題】効率よく放射線を出力させる放射線管を提供する。【解決手段】電子源11に対向する第一ターゲット層15aと、第一ターゲット層15aを電子源11側とは反対側から支持する第一基材15bと、を有する第一ターゲット15と、電子源11に対向する第二ターゲット層16aと、第二ターゲット層16aを電子源11側とは反対側から支持する第二基材16bと、を有し、電子源11と第一ターゲット15との間に配置される第二ターゲット16と、を有し、第二ターゲット16が、第一ターゲット15と離隔して配置され、第一ターゲット15及び第二ターゲット16と、陽極部材と、が、熱的に接触していることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、放射線管及びそれを用いた放射線撮影システムに関する。
医療用、産業用等で利用される放射線発生装置において、放射線管は放射線源として用いられている。放射線管は、ビーム状の電子を発生させる電子銃と、電子銃から発生した電子を加速させるアノード電極と、ターゲット層とこのターゲット層を支持する支持基板とを有し電子が衝突することで放射線を発生させるターゲットとを有している。またアノード電極とターゲットとは電気的に接続されている。ただし放射線管が放射線を出力する際に、ターゲットに衝突した電子が有するエネルギーのうち、放射線として利用されるのは1%程度であり、殆どは熱としてアノード電極やターゲット等に吸収される。そのため、アノード電極、ターゲット等の性能が、熱による変質、溶解等の影響によって劣化する場合がある。従って、従来では、熱による部材の劣化が生じない範囲で、放射線管を使用しなければならないという制約があった。
従来の放射線管におけるターゲット周辺の熱挙動について以下に説明する。図8の(a)は、従来の放射線管の概要を示す断面図であり、(b)は、(a)のα部分の部分を示す断面図である。図8の放射線管100は、透過型放射線管であり、電子銃101に所定の電圧を印加すると、電子銃101内に設置された電子源102からビーム状(電子ビーム103)の電子が放出される。放出された電子が到達するアノード電極104にはターゲット105が設置され、電子銃101よりも高い電圧が印加されている。電子は、アノード電極104上と電気的に接続され、かつ、基材105bによって支持されているターゲット層105a上、具体的には、ビーム照射領域107に衝突する。そしてこの衝突の際に、ターゲット層105aから放射線110が放出される。
ただし上述したように、電子(電子ビーム103)がターゲット層105aに衝突した際に、電子が有するエネルギーの少なくとも一部が放射線110以外のもの(熱エネルギー等)に変換される。電子ビーム103がターゲット層105a(のビーム照射領域121)に照射された際に、ターゲット層105aから発生した熱は、図8(b)に示されるように、主に熱伝導により基材105bからアノード電極104に向かって放熱される。このとき、ビーム照射領域107とその周辺領域との温度差が大きければ大きい程、ターゲット層105aから発生した熱は外部へ放熱しやすくなる。
ところで、ビーム照射領域107は、電子ビーム103の中心部が照射される領域107aと、電子ビーム103の周辺部が照射される領域107bと、に大別される。ここで領域107bでは、その外周部に電子ビーム103が到達しないため、この領域107bにて生じた熱は、例えば、チャネル111bのような経路で速やかにアノード電極104へ放熱させることは可能である。一方、領域107aにて生じた熱は、例えば、チャネル111aのような経路で放熱させることになるが、この領域107aの周辺領域(107b)においても熱が発生するため、領域107bに比べて放熱しにくくなる。従って、従来の透過型放射線管100においては、一般的に、電子ビーム103の中心部が照射される領域107aが最も高温となりやすく、この領域が熱的限界とならない範囲で使用しなければならないという制約があった。
上記制約がある中で、従来の透過型放射線管100では、放射線を効率よく出力させる方法が研究・開発されてきた。研究・開発の結果、ターゲット105に投入可能なエネルギーを増やすために電子ビーム103の強度分布を調整する方法や、ターゲット105の放射線発生効率を向上させる方法等が発案された。
ここでターゲット105に投入可能なエネルギーを増やす方法の一つとして、電子ビーム103のサイズを拡大し、焦点サイズを大きくする手段があるが、焦点サイズを大きくすると撮像性能等に影響する。一方、ターゲット105の放射線発生効率を向上させる方法の一つとして、例えば、ターゲット層105aで反射した電子を有効利用して放射線の利用効率を向上させる方法が特許文献1にて提案されている。特許文献1にて提案されている方法によれば、ターゲット105に投入する電子ビーム103のエネルギーを変えることなく、放射線を高効率で出力させることは可能である。
しかし特許文献1の方法では、ターゲット層105に照射される電子ビーム103よりも外側に配置された副X線発生面から生じた放射線を利用するため、焦点サイズは電子ビーム103のサイズに対して大きくなる。従って、特許文献1の方法では、上述した撮像性能に関する課題を解決するものとはいえなかった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、撮像性能を維持しつつ放射線の出力を高めることが可能な放射線管を提供することにある。
本発明の放射線管は、電子ビームを放出する電子源と、
前記電子ビームの照射により放射線を発生するターゲットと、
前記ターゲットと電気的に接続される陽極部材と、を備える放射線管であって、
前記ターゲットが、前記電子源に対向する第一ターゲット層と、前記第一ターゲット層を前記電子源側とは反対側から支持する第一基材と、を有する第一ターゲットと、
前記電子源に対向する第二ターゲット層と、前記第二ターゲット層を前記電子源側とは反対側から支持する第二基材と、を有し、前記電子源と前記第一ターゲットとの間に配置される第二ターゲットと、を有し、
前記第二ターゲットが、前記第一ターゲットと離隔して配置され、
前記第一ターゲット部及び前記第二ターゲットと、前記陽極部材と、が、熱的に接触していることを特徴とする。
前記電子ビームの照射により放射線を発生するターゲットと、
前記ターゲットと電気的に接続される陽極部材と、を備える放射線管であって、
前記ターゲットが、前記電子源に対向する第一ターゲット層と、前記第一ターゲット層を前記電子源側とは反対側から支持する第一基材と、を有する第一ターゲットと、
前記電子源に対向する第二ターゲット層と、前記第二ターゲット層を前記電子源側とは反対側から支持する第二基材と、を有し、前記電子源と前記第一ターゲットとの間に配置される第二ターゲットと、を有し、
前記第二ターゲットが、前記第一ターゲットと離隔して配置され、
前記第一ターゲット部及び前記第二ターゲットと、前記陽極部材と、が、熱的に接触していることを特徴とする。
本発明によれば、撮像性能を維持しつつ放射線の出力を高めることが可能な放射線管を提供することができる。即ち、本発明の放射線管を用いると、焦点サイズを大きくすることなく、ターゲットへ投入できる電子ビームのエネルギーを増やすことが可能となる。
本発明は、電子ビームを放出する電子源と、この電子ビームの照射により放射線を発生するターゲットと、このターゲットと電気的に接続される陽極部材と、を備える放射線管にかかる発明である。
本発明において、ターゲットは、2種類のターゲット、即ち、第一ターゲットと第二ターゲットとを有する部材である。本発明において第一ターゲットは、電子源に対向する第一ターゲット層と、第一ターゲット層を電子源側とは反対側から支持する第一基材と、を有する部材である。本発明において、第二ターゲットは、電子源に対向する第二ターゲット層と、第二ターゲット層を電子源側とは反対側から支持する第二基材と、を有し、電子源と第一ターゲットとの間に配置される部材である。
本発明において、第二ターゲットは、第一ターゲットと離隔して配置されている。また本発明において、第一ターゲット及び第二ターゲットと、陽極部材と、は、熱的に接触している。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。ただし本発明は、以下に示される実施形態に限定されるものではない。
[実施形態1]
図1は、本発明の放射線管における第一の実施形態を示す断面模式図である。尚、図1の放射線管1は、透過型の放射線管である。尚、図1は、本発明を説明する際に必要となる部材を、放射線管全体に対する配置位置と共に模式的に示した図である。このため、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、図1に図示されていない部材を適宜追加することは可能である。例えば、図1の放射線管1を構成する電子銃11には、図1では図示されていないが、電子の発生に必要なヒータ機構や、電流量やビームサイズを調整するための電極等の部品を有している。また図1の放射線管1には、電子銃11が設けられている陰極側とアノード電極14やターゲット(15、16)が設けられている陽極側との間には、陽極と陰極とを絶縁する絶縁管(不図示)が設けられている。
図1は、本発明の放射線管における第一の実施形態を示す断面模式図である。尚、図1の放射線管1は、透過型の放射線管である。尚、図1は、本発明を説明する際に必要となる部材を、放射線管全体に対する配置位置と共に模式的に示した図である。このため、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、図1に図示されていない部材を適宜追加することは可能である。例えば、図1の放射線管1を構成する電子銃11には、図1では図示されていないが、電子の発生に必要なヒータ機構や、電流量やビームサイズを調整するための電極等の部品を有している。また図1の放射線管1には、電子銃11が設けられている陰極側とアノード電極14やターゲット(15、16)が設けられている陽極側との間には、陽極と陰極とを絶縁する絶縁管(不図示)が設けられている。
図1の放射線管1は、電子銃11と、アノード電極14と、このアノード電極14によって支持されている2種類のターゲット、即ち、第一ターゲット15及び電子銃11と第一ターゲット15との間に設けられる第二ターゲット16と、を有する。尚、アノード電極14によって支持されている2種類のターゲット(15、16)は、電子ビーム13の照射(ビーム状の電子との衝突)により放射線10を発生させるものであり、陽極部材14と電気的に接続される部材である。尚、図1の放射線管を構成する各部材は、電位差や耐圧、真空性能等を確保するために絶縁スペーサ(不図示)や胴管(不図示)等を用いて適切に固定されている。
以下、図1の放射線管1の構成部材について説明する。
電子銃11は、ビーム状の電子(電子ビーム13)を発生させるための電子源12を有している。ここで電子源12は、金属熱陰極、酸化物陰極、含浸型陰極等で構成されている。また電子源12には電子放出面(不図示)を有しており、この電子放出面には、フィラメント状のものや、平面状のもの、凹面状のもの、ショットキー電子銃のような針状のもの等がある。
アノード電極14は、導電性を有し、かつ、2種類のターゲット(15、16)から生じる熱(放熱)を受容する耐熱性や放熱性のよい材料がより好ましい。例えば、モリブデン、タングステン、ステンレス、銅等の金属材料や、セラミック等との熱膨張率が近いコバール等の合金、又は、それらの組合せにより構成されたもの等が好ましく用いられる。また各ターゲット(15、16)から発生する放射線10のエネルギーは、アノード電極14に印加する電圧によって適宜設定することが可能である。例えば、電子銃11との電位差が10kV乃至200kV等の範囲となるようにアノード電極14に印加する電圧を適宜調整すればよい。
図1の放射線管1を構成する2種類のターゲット(15、16)は、それぞれターゲット層(15a、16a)と、このターゲット層(15a、16a)を支持する基材(15b、16b)と、からなる部材である。これら2種類のターゲット(15、16)は、それぞれ接触せずに離隔して配置されている。このように2種類のターゲット(15、16)を離隔して配置させる理由については、後述する。
図1の放射線管1において、第二ターゲット16は、電子ビーム13の一部を通過させるための開口16cを有している。この開口16cは、例えば、第二ターゲット16を構成する第二ターゲット層16a及び第二基材16bの一部を穿通させることにより形成させる。このように、本発明において、2種類のターゲットのうち、電子銃11に近い第二ターゲット16は、電子ビーム13の一部を通過させるための構成を有している。ただし、電子ビーム13の一部を通過させるための手段は、開口16cに限定されるものではない。例えば、第二基材16bが電子を透過する材料からなる部材である場合、第二基材16b(の一部)を穿通させることで形成される開口を設けなくてもよい。尚、第二ターゲット16に開口16cを設ける際は、開口16cの幅を電子ビーム13の照射幅よりも小さくするのが好ましい。開口16cの大きさを電子ビーム13の照射領域よりも小さくするのがより好ましい。
図1の放射線管1は、電子銃11に適切な条件を設定したときに電子源12から発生した電子ビーム13が第一ターゲット層15a又は第二ターゲット層16aに衝突する際に、これらターゲット層(15a、16a)から放射線10が発生する。図1の放射線管1において、ターゲット層(15a、16a)から発生した放射線10のうち、電子銃11とは反対側に放出された放射線を利用するので、図1の放射線管1は、透過型の放射線管である。
各ターゲット(15、16)を構成するターゲット層(15a、16a)の構成材料としては、放射線発生効率や耐熱性等がよい材料が用いられる。例えば、タングステン、レニウム、モリブデン等の金属元素や、これら金属元素を含んだ化合物等が挙げられる。各ターゲット層(15a、16a)の構成材料は、それぞれ同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また各ターゲット層(15a、16a)は、配線(不図示)によってアノード電極14と電気的に接続されており、アノード電極14に印加される電位が各ターゲット層(15a、16a)に供給されている。
各ターゲット(15、16)を構成する基材(15b、16b)の構成材料としては、放熱性や放射線透過性のよい材料が好ましい。例えば、ダイヤモンド、ベリリウム等の軽元素材料等が挙げられる。各基材(15b、16b)の構成材料は、それぞれ同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。尚、第二基材16bの構成材料は、第二ターゲット層16aから放出される放射線を透過させる材料にするのが好ましい。
また図1に示されるように、各基材(15b、16b)はアノード電極14と物理的に接触しているが、さらにアノード電極14と熱的に接触している。ここで熱的に接触しているとは、各基材(15b、16b)とアノード電極14との間において熱伝導性が良好であることを意味する。即ち、ターゲット層(15a、16a)から各基材(15b、16b)へ移動した熱が各基材内で滞留することなくアノード電極14へ移動することができることを意味する。
次に、図面を参照しながら、2種類のターゲット(15、16)を離隔して配置させる理由について説明する。
図2は、電子ビーム13が2種類のターゲット層(15a、16a)のいずれかに衝突した際に生じた熱の挙動を示す断面模式図である。尚、図2は、図1中のα部分の部分拡大図でもある。
電子銃11から発生した電子ビーム13は、第一ターゲット層15a又は第二ターゲット層16aに衝突する。ここで、第二ターゲット16が有する開口16cを通過した電子ビーム13(電子ビーム13の中心部)は、第一ターゲット層15aと衝突するが、具体的には、符号17aで示される第一ターゲット層15a上の領域にて衝突する。即ち、領域17aは、開口16cを通過した電子ビーム13が到達し得る第一ターゲット層15a上の領域を示している。一方、開口16cを通過できなかった電子ビーム13(電子ビーム13の周辺部)は、第二ターゲット層16aと衝突するが、具体的には、符号17bで示される第二ターゲット層16a上の領域にて衝突する。即ち、領域17bは、開口16cを通過できなかった電子ビーム13が到達し得る第二ターゲット層16a上の領域を示している。尚、領域17a及び領域17bの大きさは、それぞれ開口16cにより適切に調整することができる。
第二ターゲット層16aでは、領域17bの範囲内で電子ビーム13が照射されるが、領域17bの外周部には電子ビーム13が照射されない。このため、第二ターゲット層16aにて発生する熱は、例えば、チャネル20bのような経路で速やかにアノード電極14へ放熱させることが可能である。また第一ターゲット層15aでは、領域17aの範囲内で電子ビーム13が照射されるが、領域17aの外周部には電子ビーム13が照射されない。このため、第一ターゲット層15aにて発生する熱は、例えば、チャネル20aのような経路で速やかにアノード電極14へ放熱させることが可能である。またチャネル(20a、20b)で示されるように、2つのターゲット(15、16)を離隔して配置することで、各ターゲット層(15a、15b)から生じた熱は、合流することなく個別にアノード電極14へ移動させることができる。このため本発明の放射線管は、従来のものと比較して、電子ビーム13を一定量照射した際に、第一基材15bが受ける熱ストレスが緩和される。これは、第一基材15bが受ける熱ストレスが一定であるときに電子ビーム13の照射量を、従来のものと比較して多くすることができることでもある。従って、本実施形態においては、放射線管に投入可能な電子ビーム13のエネルギーを、従来のものと比較して増やすことが可能となる。
ただし、領域17bにて発生した放射線は、従来の放射線管には設置されていない部材、具体的には、第一基材15bを透過するため、その一部が減衰する。従って、電子ビーム13の発生量を一定とした場合、本実施形態の放射線管から発生する放射線量は、従来の放射線管と比較して少なくなる。しかし、電子ビーム13との衝突によって発生する熱を各ターゲット(15、16)で分散させることができるので、放射線管に投入可能な電子ビーム13のエネルギー量を増やすことが可能となる。また第二基材16bについて放射線透過率や厚さ等のパラメータを適切に設定することにより、従来の放射線管よりも、放射線管から発生させる放射線量を多く出力させることが可能である。
さらに、本実施形態の放射線管は、電子ビーム13のビームサイズよりも外側のエリアからは放射線が発生しない構造であるため、焦点サイズは電子ビーム13のサイズと同等である。
次に、2つのターゲット(15、16)を離隔して設ける際に、これらターゲットの間隔の好適範囲について説明する。図3は、電子ビームのビームサイズと、2つのターゲットの間隔と、放射線の利用線錐の角度との関係を示す模式図である。本発明においては、図3において示されるパラメータ(D、L、θ)について、下記一般式(1)の関係を満たすことが好ましい。
tanθ≦D/2L (1)
tanθ≦D/2L (1)
式(1)において、θは、放射線10の利用線錐10bの角度、即ち、放射線10の中心軸10aと利用線錐10bとがなす角度を示す。
式(1)において、Dは、電子ビーム13のビームサイズ(ビームの幅)を表す。
式(1)において、Lは、第一ターゲット15と第二ターゲット16との間隔を表す。
ここで、放射線10の利用線錐10bの角度θの正接がD/2Lより大きくなる(tanθ>D/2L)ようにθを設定すると、第二ターゲット層16aと、第一ターゲット層15aからそれぞれ放射される放射線の焦点が分離し、複数に見える場合がある。従って、本発明においては、式(1)の関係を満たすことが好ましい。
図4は、第二ターゲットの具体的な形状を示す模式図である。第二ターゲット16の形状としては、図4(a)に示される円板状や、図4(b)に示される矩形板状が挙げられるがこれに限定されるものではない。また第二ターゲット16は、図4(b)に示されるように、物理的に分割された複数(二個以上)の部材から構成されるものであってもよい。第二ターゲット層16aの平面形状は特に限定されないが、通常は、第二ターゲット16(を構成する第二基材16b)の平面形状と同様の形状である。即ち、図4(a)に示される円板状の第二ターゲット16では、第二ターゲット層16aの平面形状は円形状である。また図4(b)に示される矩形板状の第二ターゲット16では、第二ターゲット層16aの平面形状は矩形状である。
また、第二ターゲット16に設置されている開口20は、図4(a)に示されるように、その周囲が第二ターゲット16に囲まれていてもよいし、囲まれていなくてもよい。例えば、図4(a)のように、第二ターゲット16の中央部に円形状の開口20aを設けてもよいし、図4(b)のように、スリット状の開口20bを第二ターゲット16に配置してもよい。
[実施形態2]
図5は、本発明の放射線管における第二の実施形態を示す断面模式図である。図5の放射線管2は、2面ある第二基材16bの面のうち第二ターゲット層16aが設けられていない面(第一ターゲット15側)にさらに反射電子ターゲット層18が設けられている点を除けば、図1の放射線管1と構成が共通している。
図5は、本発明の放射線管における第二の実施形態を示す断面模式図である。図5の放射線管2は、2面ある第二基材16bの面のうち第二ターゲット層16aが設けられていない面(第一ターゲット15側)にさらに反射電子ターゲット層18が設けられている点を除けば、図1の放射線管1と構成が共通している。
第一ターゲット層15aに照射された電子ビーム13の一部は、エネルギーをほぼ失うことなく反射される。ここで第一ターゲット層15aにて反射された電子ビームは反射電子ビーム13aとして第二ターゲット16へ進行する。このとき第二基材16bの裏面側に反射電子ターゲット層18を設けると、反射電子ビーム13aは反射電子ターゲット層18に照射されることになる。そしてこの反射電子ビーム13aの照射により、反射電子ターゲット層18からは放射線10cが、第一ターゲット15方向へ放出される。ところで、第二ターゲット層16aで発生した放射線10は、反射電子ターゲット層18を透過するため、実施形態1の放射線管1と比較してより減衰されることになる。しかし、反射電子ターゲット層18の厚さ等を適切に設定することによって、第二ターゲット16を構成するターゲット層(16a、18)から発生する放射線10cの量を実施形態1よりも多くすることが可能である。
[実施形態3]
次に、本発明に係る放射線撮影システムの実施形態を説明する。図6は、本発明の放射線撮影システムにおける実施形態の例を模式的に示すブロック図である。図6の放射線発生装置3は、放射線発生装置21と、放射線検出装置61と、システム制御装置62と、表示装置63と、から構成される。
次に、本発明に係る放射線撮影システムの実施形態を説明する。図6は、本発明の放射線撮影システムにおける実施形態の例を模式的に示すブロック図である。図6の放射線発生装置3は、放射線発生装置21と、放射線検出装置61と、システム制御装置62と、表示装置63と、から構成される。
図6の放射線撮影システム3において、放射線発生装置21には、放射線放出窓53の周辺に可動絞りユニット54が設けられている。この可動絞りユニット54は、放射線発生装置21から照射される放射線10の照射野の広さを調整する機能を有する。また可動絞りユニット54には、放射線10の照射野を可視光により模擬表示できる機能を付加させてもよい。
図6に示されるように、放射線検出装置61は、少なくとも信号処理部65と検出器66とを備えている。
システム制御装置62は、放射線発生装置21と放射線検出装置61とを連携制御するために設けられている。放射線発生装置21を構成する駆動回路40は、システム制御装置62による制御の下に、放射線管1に各種の制御信号を出力する。即ち、システム制御装置62は、放射線管1の駆動制御を行う制御部としての役割を果たす。またシステム制御装置62から出力される制御信号により、放射線発生装置21から放出される放射線10の放出態様が制御される。また放射線発生装置21から放出された放射線10は、被検体64を透過して放射線検出装置61が備える検出器66で検出される。検出器66は、検出した放射線10を画像信号に変換して信号処理部65に出力する。信号処理部65は、システム制御装置62による制御の下に、検出器66から出力された画像信号に所定の信号処理を施す。そしてこの信号処理が施された画像信号をシステム制御装置62に出力する。システム制御装置62は、処理された画像信号に基づいて、表示装置63に画像を表示させるための表示信号を表示装置63に出力する。
表示装置63は、表示信号に基づく画像を、被検体64の撮影画像としてスクリーンに表示する。
本発明において、放射線管1が出力する放射線としては、例えば、X線が挙げられる。放射線管1からX線を出力させる場合、図6の放射線撮影システム3は、X線撮影システムとして利用することができる。X線撮影システムは、工業製品の非破壊検査や人体や動物の病理診断に用いることができる。
[実施例1]
図1の透過型の放射線管1を、以下に説明する方法により作製した。
図1の透過型の放射線管1を、以下に説明する方法により作製した。
(1)構成部材の作製等
まず図1の放射線管1の構成部材を作製又は用意した。
まず図1の放射線管1の構成部材を作製又は用意した。
(1−1)電子銃
含浸型陰極(電子源12)を備える電子銃11を用意した。
含浸型陰極(電子源12)を備える電子銃11を用意した。
(1−2)第一ターゲット
直径12mm、厚さ1.5mmの円形状のベリリウム板(第一基材15b)の上に、厚さ3μmのタングステンを成膜することで第一ターゲット15を作製した。尚、第一基材15bの上に成膜したタングステン膜は、第一ターゲット層15aとして機能する。
直径12mm、厚さ1.5mmの円形状のベリリウム板(第一基材15b)の上に、厚さ3μmのタングステンを成膜することで第一ターゲット15を作製した。尚、第一基材15bの上に成膜したタングステン膜は、第一ターゲット層15aとして機能する。
(1−3)第二ターゲット
全体の寸法が直径12mm、厚さ0.5mmの円形状であって、中心部にφ1mmの開口16cが設けられているベリリウム板(第二基材16b)の上に、厚さ3μmのタングステンを成膜することで第二ターゲット16を作製した。尚、第二基材16bの上に成膜したタングステン膜は、第二ターゲット層16aとして機能する。
全体の寸法が直径12mm、厚さ0.5mmの円形状であって、中心部にφ1mmの開口16cが設けられているベリリウム板(第二基材16b)の上に、厚さ3μmのタングステンを成膜することで第二ターゲット16を作製した。尚、第二基材16bの上に成膜したタングステン膜は、第二ターゲット層16aとして機能する。
(1−4)アノード電極
本実施例のアノード電極14は、第一ターゲット15及び第二ターゲット16を設置することが可能な開口を有するリング状の銅製電極を用意した。
本実施例のアノード電極14は、第一ターゲット15及び第二ターゲット16を設置することが可能な開口を有するリング状の銅製電極を用意した。
(2)アノードの組み立て
まず、第一ターゲット15をアノード電極14が有する開口に嵌め込んだ後、第一ターゲット15とアノード電極14との間を銀ロウ付けすることで両者を接着させた。尚、第一ターゲット15をアノード電極14が有する開口に嵌め込む際に、第一ターゲット層15aを設けていない面が外側になるようにした。即ち、第一ターゲット15を嵌め込む際には、第一ターゲット層15aが陰極側の電子源12に対向するようにした。
まず、第一ターゲット15をアノード電極14が有する開口に嵌め込んだ後、第一ターゲット15とアノード電極14との間を銀ロウ付けすることで両者を接着させた。尚、第一ターゲット15をアノード電極14が有する開口に嵌め込む際に、第一ターゲット層15aを設けていない面が外側になるようにした。即ち、第一ターゲット15を嵌め込む際には、第一ターゲット層15aが陰極側の電子源12に対向するようにした。
次に、第二ターゲット16をアノード電極14が有する開口に嵌め込んだ後、第二ターゲット16とアノード電極14との間を銀ロウ付けすることで両者を接着させた。尚、第二ターゲット16をアノード電極14が有する開口に嵌め込む際に、第二ターゲット16を嵌め込む際には、第二ターゲット層16aが陰極側の電子源12に対向するようにした。また第二ターゲット16をアノード電極14に接着する際に、第一ターゲット層15aと第二ターゲット層16aとの間隔が1mmとなるよう第二ターゲット16の位置を調整した。
ところで、アノードの組み立て(アノード電極14とターゲット(15、16)との接着)の際に、銀ロウを使用したのは、放射線管1の真空気密を保つと共に、ターゲット(15、16)とアノード電極14とが伝熱的に接続されるようにするためである。
(3)放射線管の作製
次に、絶縁管(不図示)が有する2つの開口のうちのいずれかに、電子銃11が接続されている陰極(不図示)を接続し、次いで残った開口にアノード電極14を接続することにより、図1の放射線管1を得た。尚、接続の際には、電子銃11から発せられる電子ビーム13が引出される方向にアノード電極14が配置されるようにした。
次に、絶縁管(不図示)が有する2つの開口のうちのいずれかに、電子銃11が接続されている陰極(不図示)を接続し、次いで残った開口にアノード電極14を接続することにより、図1の放射線管1を得た。尚、接続の際には、電子銃11から発せられる電子ビーム13が引出される方向にアノード電極14が配置されるようにした。
以上より、アノード側の断面構造が図7(a)に示される構造である放射線管を得た。
[比較例1]
実施例1(3)において、断面構造が図7(a)に示される構造であるアノードを用いる代わりに、図7(b)に示される構造であるアノードを用いること以外は実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。尚、図7(b)に示される構造であるアノードは、第二ターゲット16を設けず、第一基材15bの少なくとも電子ビーム13の照射領域に第一ターゲット層15aが設けられている点で実施例1にて用いたアノードと相違する。
実施例1(3)において、断面構造が図7(a)に示される構造であるアノードを用いる代わりに、図7(b)に示される構造であるアノードを用いること以外は実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。尚、図7(b)に示される構造であるアノードは、第二ターゲット16を設けず、第一基材15bの少なくとも電子ビーム13の照射領域に第一ターゲット層15aが設けられている点で実施例1にて用いたアノードと相違する。
[比較例2]
実施例1(3)において、断面構造が図7(a)に示される構造であるアノードを用いる代わりに、図7(c)に示される構造であるアノードを用いること以外は実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。尚、図7(c)に示される構造であるアノードは、第一基材15bの厚さが図7(b)のアノードよりも厚くなっている点(厚さ:2mm)を除けば比較例1のアノードと共通する。
実施例1(3)において、断面構造が図7(a)に示される構造であるアノードを用いる代わりに、図7(c)に示される構造であるアノードを用いること以外は実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。尚、図7(c)に示される構造であるアノードは、第一基材15bの厚さが図7(b)のアノードよりも厚くなっている点(厚さ:2mm)を除けば比較例1のアノードと共通する。
[比較例3]
実施例1(3)において、断面構造が図7(a)に示される構造であるアノードを用いる代わりに、図7(d)に示される構造であるアノードを用いること以外は実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。尚、図7(d)に示される構造であるアノードは、第一基材15bの中央部15cに凹部19を設けている点を除けば比較例2のアノードと共通する。
実施例1(3)において、断面構造が図7(a)に示される構造であるアノードを用いる代わりに、図7(d)に示される構造であるアノードを用いること以外は実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。尚、図7(d)に示される構造であるアノードは、第一基材15bの中央部15cに凹部19を設けている点を除けば比較例2のアノードと共通する。
[実施例2]
実施例1(1)において、第二ターゲット16を作製する際に、第二基材16bの第二ターゲット層16aが設置されている面と対向する面に、反射電子ターゲット層17をさらに設けたこと以外は、実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。
実施例1(1)において、第二ターゲット16を作製する際に、第二基材16bの第二ターゲット層16aが設置されている面と対向する面に、反射電子ターゲット層17をさらに設けたこと以外は、実施例1と同様の方法により放射線管を作製した。
[放射線管の評価]
実施例乃至比較例で作製した放射線管(透過型放射線管)について、所定の電圧を印加した際に発生する放射線量の比較を行った。
実施例乃至比較例で作製した放射線管(透過型放射線管)について、所定の電圧を印加した際に発生する放射線量の比較を行った。
具体的には、各放射線管のアノード電極14に50kVの電圧を印加し、電子銃11から直径2mmのガウシアン型の電子ビーム13をターゲット(15、16)に照射した。このとき、ターゲット(15、16)の最高温度が900℃となる時のエネルギー投入量と、ターゲット(15、16)に照射された電子ビームのエネルギーが放射線に変換される放射線発生効率との積から、放射線量を算出して比較した。尚、放射線発生効率については、従来の透過型放射線管(図8の放射線管100)の放射線発生効率を1として規格化した。
測定の結果、比較例1の放射線管では、第一ターゲット15の最高温度が900℃となる時のエネルギー投入量は390Wであり、放射線発生効率は1であった。このため、放射線量は390であることがわかった。
また比較例2の放射線管では、第一ターゲット15の最高温度が900℃となる時のエネルギー投入量は420Wであり、放射線発生効率は0.8であった。このため、放射線量は352であることがわかった。従って、比較例2の放射線管は、比較例1の放射線管と比較して放射線量が約13%低いことがわかった。
また比較例3の放射線管では、第一ターゲット15の最高温度が900℃となる時のエネルギー投入量は490Wであり、放射線発生効率は0.85であった。このため、放射線量は417であることがわかった。従って、比較例3の放射線管は、比較例1の放射線管と比較して放射線量が約7%高いことがわかった。
また実施例1の放射線管では、第一ターゲット15の最高温度が900℃となる時のエネルギー投入量は520Wであり、放射線発生効率は0.85であった。このため、放射線量は442であることがわかった。従って、実施例1の放射線管は、比較例1の放射線管と比較して放射線量が約13%高いことがわかった。
以上の結果から、本発明の放射線管(透過型放射線管)は、放射線の量が、従来のものよりも多いものであり、放射線の高出力化が可能であることがわかった。
また実施例2の放射線管についても同様の測定を行った結果、実施例1に比べてさらに最大放射線量が向上された。
1(2):放射線管、3:放射線撮影システム、11:電子銃、12:電子源、13:電子ビーム、14:アノード電極、15:第一ターゲット、15a:第一ターゲット層、15b:第一基材、16:第二ターゲット、16a:第二ターゲット層、16b:第二基材、18:反射電子ターゲット層
Claims (7)
- 電子ビームを放出する電子源と、
前記電子ビームの照射により放射線を発生するターゲットと、
前記ターゲットと電気的に接続される陽極部材と、を備える放射線管であって、
前記ターゲットが、前記電子源に対向する第一ターゲット層と、前記第一ターゲット層を前記電子源側とは反対側から支持する第一基材と、を有する第一ターゲットと、
前記電子源に対向する第二ターゲット層と、前記第二ターゲット層を前記電子源側とは反対側から支持する第二基材と、を有し、前記電子源と前記第一ターゲットとの間に配置される第二ターゲットと、を有し、
前記第二ターゲットが、前記第一ターゲットと離隔して配置され、
前記第一ターゲット及び前記第二ターゲットと、前記陽極部材と、が、熱的に接触していることを特徴とする、放射線管。 - 前記第二基材が、前記第二ターゲット層から放出される放射線を透過する材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の放射線管。
- 前記第二ターゲットが、前記電子ビームの少なくとも一部を通過させるための開口を有することを特徴とする、請求項1に記載の放射線管。
- 前記開口の大きさが、前記電子ビームの照射領域よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載の放射線管。
- 下記一般式(1)を満たすことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の放射線管。
tanθ≦D/2L (1)
(式(1)において、θは、放射線の中心軸と、放射線の利用線錐と、がなす角度を表し、Lは、第二ターゲット層と第一ターゲット層との間隔を表し、Dは、電子ビームの焦点サイズを表す。) - 前記第二基材の前記第一ターゲット側の面に、反射電子ターゲット層がさらに設けられることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の放射線管。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放射線管と、前記放射線管を駆動制御する制御部と、からなる放射線発生装置と、
前記放射線発生装置から放出され被検体を透過した放射線を検出する放射線検出装置と、
前記放射線発生装置と前記放射線検出装置とを連携制御する制御装置と、を備えることを特徴とする、放射線撮影システム。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2013214450A JP2015079569A (ja) | 2013-10-15 | 2013-10-15 | 放射線管及び放射線撮影システム |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2013214450A JP2015079569A (ja) | 2013-10-15 | 2013-10-15 | 放射線管及び放射線撮影システム |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2015079569A true JP2015079569A (ja) | 2015-04-23 |
Family
ID=53010856
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2013214450A Pending JP2015079569A (ja) | 2013-10-15 | 2013-10-15 | 放射線管及び放射線撮影システム |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2015079569A (ja) |
-
2013
- 2013-10-15 JP JP2013214450A patent/JP2015079569A/ja active Pending
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