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JP2015078588A - 熱可塑性樹脂シート、床版防水構造、および床版防水構造の施工方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シート、床版防水構造、および床版防水構造の施工方法 Download PDF

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JP2015078588A
JP2015078588A JP2014129400A JP2014129400A JP2015078588A JP 2015078588 A JP2015078588 A JP 2015078588A JP 2014129400 A JP2014129400 A JP 2014129400A JP 2014129400 A JP2014129400 A JP 2014129400A JP 2015078588 A JP2015078588 A JP 2015078588A
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間 昭徳
Akinori Hazama
間  昭徳
努 大出
Tsutomu Oide
努 大出
茂 山口
Shigeru Yamaguchi
茂 山口
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Abstract

【課題】本発明は、床版防水構造に備えられる防水層とアスファルト舗装体との接着が低温環境においても容易であり、施工時における気泡の残留を抑制することができ、保管時および運搬時における貼り付きを防止することができる熱可塑性樹脂シートを提供することを課題とする。また、該熱可塑性樹脂シートを用いた床版防水構造、および該床版防水構造の施工方法を提供する。【解決手段】床版と、アスファルト舗装体と、床版およびアスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造において、アスファルト舗装体および防水層の間に配設される熱可塑性樹脂シートであって、融点をx[℃]、メルトフローレートをy[g/10min]としたとき、xを横軸、yを縦軸としたグラフにおいて、40≰x<60、2.5x−90≰y≰400で囲まれる領域に融点およびメルトフローレートが含まれる熱可塑性樹脂組成物によって構成され、厚さ方向に通気性を有し、少なくとも一方の面にシボを有する、熱可塑性樹脂シートとする。【選択図】図1

Description

本発明は、床版、防水層、およびアスファルト舗装体を備えた床版防水構造において、防水層およびアスファルト舗装体の間に形成される熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂シートと、該熱可塑性樹脂シートを備えた床版防水構造と、該床版防水構造の施工方法とに関する。
近年、橋梁等のコンクリート床版では、雨水等の水分が侵入することによって劣化亀裂を生じる虞があることが問題になっている。そのため、床版とアスファルト舗装体との間に防水層を備えた床版防水構造を設けることが一般的である。当該防水層として、従来は舗装体と同じアスファルト系のものを用いることが一般的であった。この場合、舗装体と防水層とが同種のアスファルト系の素材であり、両者の接着性が良好であるという利点を有する。しかしながら、アスファルト系防水層は耐久性に問題があると言われている。
そこで、アスファルト系防水層に代わる防水層として、高温(50℃以上)で強度を維持しつつ、低温(−30℃以下)では弾性を維持する熱硬化性樹脂を塗布して形成した樹脂塗膜防水層が注目されている。しかしながら、当該樹脂塗膜防水層はアスファルト舗装体との接着強度が不十分であるという問題や、アスファルト舗装体と接着させるための層を設ける際の施工性が悪い等の問題があった。
下記特許文献1に記載された技術では、樹脂塗膜防水層とアスファルト舗装体との間に特定の熱可塑性樹脂シートを利用した層を設けることによって、上述したような問題の解決を図っている。即ち、下記特許文献1に記載された技術は、橋梁等の床版上に、樹脂塗膜防水材層、アスファルト舗装体を積層してなる床版防水構造であって、樹脂塗膜防水材層とアスファルト舗装体とが特定の熱可塑性樹脂シートを介して接着されているものである。
特許第3956757号公報
特許文献1に記載された床版防水構造によれば、アスファルト舗装体の舗設時に熱可塑性樹脂シートが溶融することによって、樹脂塗膜防水材層とアスファルト舗装体とが熱可塑性樹脂シートを介して接着される。しかしながら、従来の床版防水構造に用いられる熱可塑性樹脂シートによっては、該熱可塑性樹脂シートの施工時に、防水層と熱可塑性樹脂シートとの間に空気が噛み込まれ、気泡が残留してしまうことがあった。そのため、熱可塑性樹脂シートと防水層との接着が不十分になる虞があった。
また、従来の床版防水構造に用いられる熱可塑性樹脂シートは、該床版防水構造の施工環境によっては、アスファルト舗装体に十分に接着できないことがあった。例えば、冬場等の低温環境において床版防水構造を施工する場合には、舗設されるアスファルト舗装体の温度が100℃程度に低下する場合がある。このように温度が低下したアスファルト舗装体を転圧すると、アスファルト舗装体の熱可塑性樹脂シートとの界面の凹凸が大きくなる。よって、アスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとが密着せずに部分的に点接触になったり、アスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとの間に微小な空洞が形成されたりすることになる。そのため、熱可塑性樹脂シートが充分に溶融しきらず、アスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとの接着が不十分になる虞があった。
上記のような低温環境においてアスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとを十分に接着させるためには、熱可塑性樹脂シートが溶融し易いように融点が低い熱可塑性樹脂によって熱可塑性樹脂シートを構成することも考えられる。しかしながら、単に融点を下げた熱可塑性樹脂シートを用いる場合、夏場等の施工温度が高い場合には該熱可塑性樹脂シートがべたつくことによって転圧ローラーや車等のタイヤに巻き込まれる等、床版防水構造の施工性を悪化させる等の問題を生じる虞があった。また、熱可塑性樹脂シートは、通常、ロール状に巻かれた状態で保管および運搬が行われるため、夏場等の高温環境においては、ロール状に巻かれることにより接触する同一シートの表面と裏面、または、隣接する複数のシート同士が貼り付いてしまい、剥離しながら施行する手間を要することがあった。
そこで本発明は、床版防水構造に備えられる防水層とアスファルト舗装体との接着が低温環境においても容易であり、施工時における気泡の残留を抑制することができ、保管時および運搬時における貼り付きを防止することができる熱可塑性樹脂シートを提供することを課題とする。また、該熱可塑性樹脂シートを用いた床版防水構造、および該床版防水構造の施工方法を提供する。
本発明者等は、上記課題に鑑み検討を行った結果、融点およびメルトフローレートが所定の範囲である熱可塑性樹脂組成物によって構成される熱可塑性樹脂シートを用いることによって、床版防水構造に備えられる防水層とアスファルト舗装体とを低温環境においても容易に接着できることを見出した。また、本発明者等は、当該熱可塑性樹脂シートの厚さ方向に通気性を付与することにより、施工時における気泡の残留を抑制することができることを見出した。さらに、本発明者らは、少なくとも一方の面にシボを形成することにより、保管時および運搬時における貼り付きを防止することができることを見出した。
本発明の第1の態様は、床版と、アスファルト舗装体と、床版およびアスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造において、アスファルト舗装体および防水層の間に配設される熱可塑性樹脂シートであって、融点をx[℃]、メルトフローレートをy[g/10min]としたとき、xを横軸、yを縦軸としたグラフにおいて、40≦x<60、2.5x−90≦y≦400で囲まれる領域に融点およびメルトフローレートが含まれる熱可塑性樹脂組成物によって構成され、厚さ方向に通気性を有し、少なくとも一方の面にシボを有する、熱可塑性樹脂シートである。
本発明の第2の態様は、床版と、アスファルト舗装体と、床版およびアスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造であって、アスファルト舗装体および防水層の間に、上記本発明の第1の態様にかかる熱可塑性樹脂シートからなる熱可塑性樹脂層が形成されている、床版防水構造である。
上記本発明の第2の態様において、接着剤を含む接着剤層が防水層と熱可塑性樹脂層との間に備えられることが好ましい。
本発明の第3の態様は、床版と、アスファルト舗装体と、床版およびアスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造の施工方法であって、床版の表面にプライマー樹脂層を形成する工程、プライマー樹脂層上に防水層を形成する工程、防水層上に接着剤層を形成する工程、接着剤層上に上記本発明の第1の態様にかかる熱可塑性樹脂シートを敷設する工程、および、熱可塑性樹脂シート上にアスファルト舗装体を舗設する工程、を有する、床版防水構造の施工方法である。
本発明によれば、床版防水構造に備えられる防水層とアスファルト舗装体との接着を、低温環境においても容易に行うことができる。また、熱可塑性樹脂シートの施工時における気泡の残留を抑制することができ、保管時および運搬時における貼り付きを防止することができる。
床版防水構造10の構成を概念的に示した断面図である。 本発明の好ましい形態に係る熱可塑性樹脂シートのシボを有する面の拡大上面図である。 図3(a)は一つのシボ5aの上面図である。図3(b)はシボ5aを図3(a)にBで示した方向からみた断面図である。図3(c)はシボ5aを図3(a)にCで示した方向からみた断面図である。 アスファルト舗装体と防水層との引張接着強度の評価方法を説明する図である。 アスファルト舗装体と防水層との引張接着強度の評価結果を示すグラフである。
本発明の上記作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す図は構成を概念的に示したものであり、各構成要素の大きさや形状を正確に示すものではない。
図1は床版防水構造10の構成を概念的に示した断面図である。図1に示したように、床版防水構造10は、床版1、プライマー樹脂層2、防水層3、接着剤層4、熱可塑性樹脂層5、およびアスファルト舗装体6を備えている。
以下、床版防水構造10を構成するこれらの構成要素について説明する。
(床版1)
床版1は道路や橋等の床版である。床版1を構成する材料は特に限定されない。床版1を構成する材料の例としては、コンクリートや鋼などがあり、コンクリートと鋼とを合成させたものもある。
(プライマー樹脂層2)
プライマー樹脂層2は、床版1の表面を均して床版1および防水層3を接着させるための層である。プライマー樹脂層2を構成する組成物としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂(ウレア樹脂、ウレタン樹脂、ウレアウレタン樹脂等)の少なくとも1種を含む接着剤組成物を挙げることができる。
(防水層3)
防水層3は、アスファルト舗装体6側から床版1へと水が侵入することを抑制するために設けられた層である。防水層3を構成する組成物としては、ウレタン系樹脂(ウレア樹脂、ウレタン樹脂、ウレアウレタン樹脂等)を含む組成物が好ましい。防水層3は、例えば、NCO基を有する化合物を主とする主剤と、該主剤と反応して該主剤を硬化させる架橋剤、充填材、添加剤等を含む硬化剤との2液を混合し、架橋硬化させて形成することができる。
上記主剤の例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性MDI等の混合物、またそれらのプレポリマーが挙げられる。当該主剤において、NCO%は10%以上30%以下であることが好ましく、10%以上20%以下であることがより好ましく、10%以上17%以下であることがさらに好ましい。NCO%が10%未満であると、主剤の粘度が高くなり作業性が低下する虞がある。一方、NCO%が30%を超えると、防水層3に求められる性能である硬さ、引張強度、伸び等が要求される程度にならない虞がある。なお、プレポリマーに使われる水酸基化合物としてはポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカプロラクタムポリール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール等があり、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコールを用いることが好ましい。
また、上記硬化剤の例としては、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、エチレングリコール等ジオール化合物、ポリエーテルポリオール、アミノ化ポリエーテル、アクリロニトリル、スチレン等変性ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオールおよび、それらの混合物などが挙げられる。これらのうち、芳香族ジアミンとエチレングリコール、そして分子量1000以上、好ましくは2000以上のポリエーテルポリオール、変性ポリエーテルポリオールの混合物等が好ましい。芳香族ジアミンを用いた場合、防水層3に要求される性能である硬さ、引張強度、伸びを適正な範囲にしやすくなる。また、エチレングリコールを用いた場合は、防水層3に要求される上記性能を維持しつつ、コストが割高になることを抑制できる。さらに、ポリエーテルポリオール、変性ポリエーテルポリオールを用いた場合、硬化剤の粘度を防水層3の形成作業に適した程度にしやすくなり、防水層3に要求される上記性能を得やすくなる。なお、硬化促進剤として金属系またはアミン系触媒を用いることもでき、着色剤、その他添加剤を用いることもできる。
(接着剤層4)
接着剤層4は、必須の層ではないが、接着剤層4を備えることによって防水層3と熱可塑性樹脂層5とを接着させやすくなる。接着剤層4は、防水層3と熱可塑性樹脂層5とを接着する接着剤(樹脂)を含む組成物からなる層である。接着剤層4を構成する組成物としては、ウレタン系樹脂(ウレア樹脂、ウレタン樹脂、ウレアウレタン樹脂等)を含む接着剤組成物を挙げることができる。接着剤層4は、例えば、NCO基を有する化合物を主とする主剤と、該主剤と反応して該主剤を硬化させる架橋剤、充填材、添加剤等を含む硬化剤との2液を混合して架橋硬化させることによって形成することができる。
上記主剤の例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗MDI、カルボジイミド変性MDI等の混合物、またそれらのプレポリマー、が挙げられる。当該主剤において、NCO%は10%以上33%以下が好ましく、20%以上33%以下がより好ましい。NCO%が10%以上とすることによって、防水層3と熱可塑性樹脂層5との接着強度を強めやすくなる。
また、上記硬化剤の例としては、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、エチレングリコール等の分子量250以下の水酸基化合物、ポリエーテルポリオール、アミノ化ポリエーテル、ポリブタジエンポリオール、ポリカプロラクタムポリール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール等、およびそれらの混合物などが挙げられる。また、硬化促進剤として金属系またはアミン系触媒を用いることもでき、充填材、添加剤等を用いることもできる。
(熱可塑性樹脂層5)
熱可塑性樹脂層5は、接着剤層4(接着剤層4が備えられない場合は防水層3)と接着し、さらにアスファルト舗装体6とも接着できる樹脂を含む組成物からなる層である。熱可塑性樹脂層5は自己接着性または加熱によって一旦溶融した後に硬化することによって、アスファルト舗装体6に強固に接着する熱可塑性樹脂組成物によって構成することができる。このような熱可塑性樹脂層5は、上記熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂シートを用いて形成することができる。
従来の床版防水構造において、防水層とアスファルト舗装体と接着に用いられる熱可塑性樹脂シートは、該床版防水構造の施工環境によってはアスファルト舗装体に十分に接着できないことがあった。これには以下の理由が考えられる。アスファルト舗装体の転圧は、通常140℃以上180℃以下程度で行うように管理されている。しかしながら、冬場等の低温環境においては実際に施工するときにアスファルト舗装体の温度が100℃以下にまで冷めていることがある。このような低温となったアスファルト舗装体を転圧すると、アスファルト舗装体の熱可塑性樹脂シートとの界面に凹凸が形成される。よって、アスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとが密着せずに部分的に点接触になったり、アスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとの間に微小な空洞が形成されたりする。そのため、熱可塑性樹脂シートが充分に溶融しきらず、アスファルト舗装体と熱可塑性樹脂シートとの接着が不十分になる。このような接着不良が生じると、アスファルト舗装体が剥がれ易くなる等の問題を生じる虞がある。
このような問題に対して、本発明者等は、熱可塑性樹脂層5を構成する熱可塑性樹脂組成物の融点を従来よりも低くするとともに、メルトフローレートを従来よりも高くすることによって、熱可塑性樹脂層5を形成しやすく、且つ、熱可塑性樹脂層5が接着剤層4(接着剤層4が備えられない場合は防水層3)およびアスファルト舗装体6に強固に接着することを見出した。
熱可塑性樹脂層5の形成に用いる熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物は、融点をx[℃]、メルトフローレートをy[g/10min]としたとき、xを横軸、yを縦軸としたグラフにおいて、40≦x<60、2.5x−90≦y≦400で囲まれる領域に融点およびメルトフローレートが含まれる。当該熱可塑性樹脂組成物の融点xおよびメルトフローレートyが上記範囲である理由について、以下に説明する。
なお、熱可塑性樹脂組成物の融点とは、日本工業規格JIS K−7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて測定したものである。また、熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートとは、JIS K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準じて、温度190℃、荷重2.16kgの試験条件で測定したものである。
熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物の融点が60℃を超える場合、アスファルト舗装体6の舗設時に熱可塑性樹脂シートが溶融し難くなり、熱可塑性樹脂層5をアスファルト舗装体6に溶融接着させ難くなる。一方、熱可塑性樹脂組成物の融点が40℃未満であると、施工現場が高温となりやすい夏季などでは上記熱可塑性樹脂シートが意図せず溶融してしまう虞がある。また、上記のように熱可塑性樹脂シートが溶けてベタつくと、アスファルト舗装体6を舗設するための機械等を該熱可塑性樹脂シート上に乗せられなくなり、アスファルト舗装体6を舗設し難くなる。
流動性(メルトフローレート)が高い熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂シートを用いて熱可塑性樹脂層5を形成することによって、アスファルト舗装体6を転圧したときに該熱可塑性樹脂シートが溶融してアスファルト舗装体6に絡み易くなり、アスファルト舗装体6と強固に接着した熱可塑性樹脂層5を形成することができる。従って、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートyを2.5x−90以上とする。ただし、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートyが400より高いと、熱可塑性樹脂層5の引張強度が低くなり、アスファルト舗装体6が剥がれ易くなる虞がある。熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートyの下限が該熱可塑性樹脂組成物の融点xに依存する理由について、以下に説明する。
熱可塑性樹脂層5を構成する熱可塑性樹脂の融点とメルトフローレートは、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接触面積に影響を与えると考えられる。
融点が高い熱可塑性樹脂シートで熱可塑性樹脂層5を構成すると、アスファルト舗装体6を舗設したときに、熱可塑性樹脂シートが溶融し難いことによって、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂シートとの接着面積が小さくなる。そのため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され難い。一方、融点が低い熱可塑性樹脂シートで熱可塑性樹脂層5を構成すると、アスファルト舗装体6を舗設したときに、熱可塑性樹脂シートが溶融し易いことによって、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂シートとの接着面積が大きくなる。そのため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され易い。
メルトフローレートが低い熱可塑性樹脂シートで熱可塑性樹脂層5を構成すると、アスファルト舗装体6を舗設したときに、溶融した熱可塑性樹脂シートが流動し難いことによって、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂シートとの接着面積が小さくなる。そのため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され難い。一方、メルトフローレートが高い熱可塑性樹脂シートで熱可塑性樹脂層5を構成すると、アスファルト舗装体6を舗設したときに、溶融した熱可塑性樹脂シートが流動し易いことによって、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂シートとの接着面積が大きくなる。そのため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され易い。
すなわち、熱可塑性樹脂シートの融点が高い程、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に反映され難いので、熱可塑性樹脂シートのメルトフローレートを高くして熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に反映され易いようにすることが好ましい。従って、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物のメルトフローレートyの下限が該熱可塑性樹脂組成物の融点xに依存すると考えられる。
また、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度は、アスファルト舗装体6を舗設するときの温度に依存する。アスファルト舗装体6を低温で舗設した場合、アスファルト舗装体6の熱可塑性樹脂シート側の面の凹凸が大きくなるとともに熱可塑性樹脂シートが溶融し難いため、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂シートとの接着面積が小さくなる。そのため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され難い。一方、アスファルト舗装体6を高温で舗設した場合、アスファルト舗装体6の熱可塑性樹脂シート側の面の凹凸が小さくなるとともに熱可塑性樹脂シートが溶融し易いため、アスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂シートとの接着面積が大きくなる。そのため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され易い。
上述したような熱可塑性樹脂層5を構成する熱可塑性樹脂組成物としては、融点およびメルトフローレートが上述した範囲となるように合成されたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)や、融点およびメルトフローレートが上述した範囲となるように融点およびメルトフローレートが異なるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等を所定の割合で混合した組成物を挙げることができる。
なお、熱可塑性樹脂層5に用いる熱可塑性樹脂シートの形態はシート状であればよい。すなわち、熱可塑性樹脂シートは、孔が開いた網状のシートであってもよく、織物、編み物、不織布からなるシートであっても良い。ただし、当該熱可塑性樹脂シートは厚さ方向に通気性を有する。すなわち、熱可塑性樹脂シートは厚さ方向に貫通した通気孔を有する。当該通気孔は、孔径が0.01mm以上2mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1mm以下であることがより好ましい。また、当該通気孔は、0.5cm以上5cm以下おきで略等間隔に設けられていることが好ましい。なお、「厚さ方向に貫通した通気孔」とは、熱可塑性樹脂シートの厚さ方向に貫通していて空気が流通可能な孔であればよい。また、「厚さ方向に貫通した通気孔」とは、シートの一方の面から他方の面に直線状に貫通した孔に限定されず、折れ曲がった経路でシートの一方の面から他方の面に貫通した孔も含む。例えば、熱可塑性樹脂シートが不織布等からなる場合、当該シートを構成する繊維同士の隙間によって形成される孔が当該シートの厚さ方向に貫通していれば、当該孔も「厚さ方向に貫通した通気孔」に含まれる。このような通気孔を熱可塑性樹脂シートに設けることによって、後述するようにして熱可塑性樹脂シートを敷設して熱可塑性樹脂層5を形成する際、熱可塑性樹脂層5と防水層3との間に気泡が残留することを抑制しやすくなり、熱可塑性樹脂層5を接着力が均一で強固な接着層としやすくなる。
熱可塑性樹脂層5に用いる熱可塑性樹脂シートは、少なくとも一方の面にシボを有する。熱可塑性樹脂シートは、通常、ロール状に巻かれた状態で保管および運搬が行われるが、夏場等の高温環境においては、ロール状に巻かれることにより接触する同一シートの表面と裏面、または、隣接する複数のシート同士が貼り付いてしまい、施工の際に剥離する手間を要することがあった。本発明によれば、熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の面にシボを有することにより、ロール状に巻かれた場合にシート同士の貼り付きを抑制することができる。また、シート同士が貼り付いた場合であっても、貼り付く面積はシボの凹凸のうち凸部の面積に限られるため、容易に剥離することができる。さらに、アスファルト舗装体を舗設する工程においては、シボを有する面側にアスファルト舗装体6を舗装することによって、溶融した熱可塑性樹脂シートとアスファルト舗装体6との接触面積を増加させ易くなるため、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され易くなる。
シボの形状は、熱可塑性樹脂シートの表面に凹凸を形成することができるものであれば、特に限定されないが、表面積を稼ぎやすく、加工が容易である観点から、上面視で細線形状、断面視で円弧形状であることが好ましい。図2に本発明の好ましい形態に係る熱可塑性樹脂シートのシボを有する面の拡大上面図を示す。図2には、上面視におけるシボ5a及び通気孔5bの形状が表れている。
図3(a)に、一つのシボ5aの上面視における形状をさらに拡大した図を示す。図3(a)にLで示したシボの長手方向の長さは、5mm以上15mm以下であることが好ましい。シボの長手方向の長さが5mm以上であれば、隣接するシート同士の接触面積を減らすことができ容易に剥離することが可能である。シボの長手方向の長さが15mm以下であれば、隣接するシート同士でシボが重なりづらくなる。また、図3(a)にWで示したシボの幅方向の長さは、0.3mm以上1.5mm以下であることが好ましい。シボの幅方向の長さが0.3mm以上であれば、隣接するシート同士の接触面積を減らすことができ容易に剥離することが可能である。シボの幅方向の長さが1.5mm以下であれば、シートを巻いた際に巻きづらくなることがない。
図3(b)に、シボ5aを図3(a)にBで示した方向からみた断面図を示す。また、図3(c)に、シボ5aを図3(a)にCで示した方向からみた断面図を示す。図3(b)(c)にHで示したシボ加工の深さ(シボの凹部の底部から凸部の頂部までの高さ)は0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。シボ加工の深さが0.1mm以上であれば、アスファルト舗装体6または防水層3もしくは接着剤層4との接地面積が稼ぎ易く、接着強度を得やすい。一方、シボ加工の深さが0.5mm以下であれば、シートを巻いた際の巻径が大きくなり過ぎることがない。
熱可塑性樹脂シート上において、シボは、シボの長手方向が、シートの巻き方向に対して垂直方向とならない方向を向くように形成されていることが好ましい。シボの長手方向が、シボの巻き方向に対して垂直方向とならない方向を向くように形成されていることにより、ロール状に巻かれたシートを巻き戻す際に、シートの表面と裏面が貼り付いてしまっている場合であっても、一度に引き剥がす面積を減じることが可能となる。また、ロールの軸方向を揃えて保管および運搬を行う際に、ロール同士が接触する面積を減じることが可能となる。また、シボは、ランダムに配置することが好ましい。シボを上記のとおり配置することにより、シートをロール状に巻いて保管および運搬を行う際に、隣接するシートのシボ同士が重なりにくくなり、巻径を不要に大きくすることなく、シート全面で均一な接着が可能となる。
熱可塑性樹脂シートは、上記のように厚さ方向に貫通した通気孔を有するため、シボは該通気孔以外の部分に形成される。シート同士の貼り付きを抑制し、シート同士が貼り付いた場合であっても剥離し易くする観点から、シボの凹凸のうち凸部の面積が、熱可塑性樹脂シートの通気孔以外の部分全体の面積に対して、10%以上30%以下となるように形成されていることが好ましい。
熱可塑性樹脂層5に用いる熱可塑性樹脂シートが、一方の面のみにシボを有する場合、シボを有する面にアスファルト舗装体6を施工することが好ましい。シボを有することにより熱可塑性樹脂シートの表面積が増加するため、通常凹凸を有するアスファルト舗装体6との接触面積を増加させ易いためである。熱可塑性樹脂シートとアスファルト舗装体6との接触面積が増加することにより、熱可塑性樹脂シート自体の引張強度がアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5との接着強度に十分に反映され易くなる。なお、熱可塑性樹脂シートは、両面にシボを有していてもよい。
(アスファルト舗装体6)
アスファルト舗装体6は熱可塑性樹脂層5上に舗設される。アスファルト舗装体6としては、従来のアスファルト舗装体を特に限定することなく用いることができる。アスファルト舗装体6は、例えば15mm以上200mm以下程度の厚さに舗設することができる。また、アスファルト舗装体6は、施工時の環境や構成材料などによって異なるが、例えば110℃以上や130℃以上、または180℃以上の温度で加熱転圧して舗設できる。このとき、アスファルト舗装体6の下部の熱可塑性樹脂層5は少なくとも一部が一時的に溶融してアスファルト舗装体6と硬化することで、熱可塑性樹脂層5をアスファルト舗装体6に簡易かつ強固に接着させることができる。なお、本発明によれば、後に実施例で示すように、より低温(例えば、90℃)でアスファルト舗装体6を舗設したとしてもアスファルト舗装体6と熱可塑性樹脂層5とを強固に接着させることができる。
次に、上述した床版防水構造10の施工方法を例にして本発明の床版防水構造の施工方法について説明する。
床版防水構造10は、プライマー樹脂層2、防水層3、接着剤層4、熱可塑性樹脂層5、およびアスファルト舗装体6を、床版1上に順次形成することによって施工できる。
プライマー樹脂層2は、プライマー樹脂層2を構成する上述した組成物を床版1の表面に塗布または散布することよって形成することができる。プライマー樹脂層2を構成する組成物の塗布または散布は、スプレー塗布、ローラー刷毛塗布、刷毛塗布などによって行うことができる。
プライマー樹脂層2は、例えば、塗布量が0.1kg/m以上0.5kg/m以下、好ましくは0.15kg/m以上0.3kg/m以下で床版1の表面に上記組成物を塗布または散布することによって形成することができる。塗布量が0.15kg/m以上であれば、吹付けムラや塗りムラの発生が少なく、良好な防水性能を得やすくなる。一方、塗布量が0.5kg/m以下であれば、コストが割高になることを抑制し、且つ、材料の混合や塗布にかかる手間を少なくすることができる。
プライマー樹脂層2を形成する際、上記組成物を塗布または散布する前に、床版1の表面からコンクリートのレイタンスなどの脆弱層や油などの異物、また補修床版における以前の防水層などはきれいに除去しておくことが好ましい。このような場合は、床版1の表面を、研掃、清掃、洗浄、および乾燥後、必要に応じて、ショットブラスト処理などを行うことが好ましい。
また、プライマー樹脂層2は、補修床版などにおける切削不陸や欠損部などを平滑にすることが好ましい。このような方法としては、プライマー樹脂層2を構成する組成物に硅砂などの骨材を予め混合し不陸部を補修する方法や、プライマー樹脂層2を構成する組成物を塗布した後に、その上から硅砂などの骨材を散布し、その上にさらにプライマー樹脂層2を構成する組成物を塗布する方法等がある。このようにしてプライマー樹脂層2をできるだけ平坦に形成することによって、防水層3を構成する組成物を平滑かつ均一に所定量で散布または塗布しやすくなる。
上述したようにしてプライマー樹脂層2を形成した後、該プライマー樹脂層2上に防水層3を形成する。防水層3は、防水層3を構成する上述した組成物をプライマー樹脂層2上に塗布または散布して硬化させることで形成することができる。防水層3を構成する組成物の塗布または散布は、スプレー塗布、ローラー塗布、刷毛塗布などによって行うことができる。
防水層3は、例えば、塗布量が1.0kg/m以上3.0kg/m以下、好ましくは、1.5kg/m以上2.0kg/m以下で上記組成物を塗布または散布して硬化させることによって形成することができる。塗布量が1.0kg/m以上であれば防水層3が十分な防水性能を発揮しやすく、塗布量が1.5kg/m以上であれば吹き付けムラや塗りムラの発生を抑制しやすくなる。一方、塗布量が2.0kg/m以下であればコストが割高になることを抑制することができる。
上述したようにして防水層3を形成した後、該防水層3上に接着剤層4を形成する。接着剤層4は、接着剤層4を構成する上述した組成物を防水層3上に塗布または散布して硬化させることで形成することができる。接着剤層4を構成する組成物の塗布または散布は、スプレー塗布、ローラー塗布、刷毛塗布などによって行うことができる。
熱可塑性樹脂層5は、上記のようにして接着剤層4を形成した後に、上述した熱可塑性樹脂シートを接着剤層4上に敷設することで形成することができる。熱可塑性樹脂層5は後述するようにしてアスファルト舗装体6を舗設する際に溶融させて定着させることが可能であるが、熱可塑性樹脂層5(熱可塑性樹脂を含むシート)の位置がずれることを防止する観点からは、アスファルト舗装体6を舗設する前に熱可塑性樹脂層5を加熱して溶融させ、位置がずれない程度に接着剤層4に定着させておいてもよい。
アスファルト舗装体6は、上記のようにして形成した熱可塑性樹脂層5上に舗設する。アスファルト舗装体6を舗設する方法は特に限定されず、上述した所定の温度でアスファルト舗装体6を構成する材料を加熱転圧することで敷設できる。このとき、アスファルト舗装体6の下部の熱可塑性樹脂層5の少なくとも一部が一時的に溶融した後に硬化することで、熱可塑性樹脂層5を接着剤層4およびアスファルト舗装体6に簡易かつ強固に接着させることができる。
上記のようにして、本発明によれば、シート状である熱可塑性樹脂シートを敷設し、その上にアスファルト舗装体を舗設するだけで、各層が強固に結合した耐久性があって高性能な床版防水構造10を施工することができる。すなわち、本発明によれば、アスファルト舗装体を備えた床版防水構造の施工に要する時間を大幅に短縮させることができる。このような本発明の床版防水構造の施工方法は、新規に床版防水構造を施工する場合に限定されず、改修工事などにおいて既存の床版防水構造を補修する場合にも好適である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
1.熱可塑性樹脂シートの作製
表1に示した熱可塑性樹脂を用いて熱可塑性樹脂シートを作製した。表1には、熱可塑性樹脂シートに用いた熱可塑性樹脂の商品名、融点(MP)、メルトフローレート(MFR)、および製造メーカーを示している。また、表2には、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の配合比(質量比)(表2中のA〜Iは表1の「記号」に対応している。)、融点(MP)、メルトフローレート(MFR)、および後述する評価の結果を示している。
2.床版防水構造の作製
以下のようにして上記熱可塑性樹脂シートを用いて床版防水構造を作製した。
30cm×30cm×6cmのコンクリート版(JIS A 5317のI類に規格の普通平板、略号:N、呼び300)の表面をショットブラスト等で処理してレイタンス等を除去し、該表面にプライマー樹脂層を形成した。プライマー樹脂層は、熱硬化性樹脂(三菱樹脂インフラテック株式会社製、ノバレタンPR−200主剤/硬化剤)を塗布量が0.3kg/mとなるようにローラー刷毛で塗布して形成した。次に、プライマー樹脂層上に防水層(三菱樹脂インフラテック株式会社製、ノバレタンES)を塗布量が1.5kg/mとなるようにスプレー吹付け機で吹付け塗布して形成した。次に、防水層上に接着剤層を形成し、該接着剤層上に熱可塑性樹脂シートを敷設した。接着剤層は、熱硬化性樹脂(三菱樹脂株式会社製、ノバレタンTCバインダ主剤/硬化剤)を塗布量が0.2kg/mとなるようにローラー刷毛で塗布して形成した。次に、熱可塑性樹脂シート上にアスファルト舗装体を厚さ4cmで舗設した。アスファルト舗装体は砕石マスティックアスファルト混合物でアスファルトは改質II型を使用した。アスファルト舗装体を舗設するとき、コンクリート版(床版)の温度を0℃、アスファルト舗装体の転圧温度を90℃とした。
3.評価
上記のようにして作製した床版防水構造について、以下のように道路橋床版防水便覧(平成19年3月 社団法人日本道路協会)に記載の「6.引張接着試験」に基づいて引張接着強度を評価した。
まず、それぞれの床版防水構造について、アスファルト舗装体側からコンクリート版に達するまで、コアカッタを用いて図4に示したように直径100mmの円柱状に切り込みを入れた。図4は、床版防水構造をアスファルト舗装体側から見た図である。上記のように切り込みを入れた後、切り込みを入れた部分に直径100mmの鋼製の引張試験冶具を接着剤で接着した。その後、23℃±2℃の恒温槽に入れて6時間以上静置した。次に、恒温槽から取り出して直ちに引張試験冶具を引張試験機に取り付け、載荷速度約毎秒0.1N/mmで引張試験冶具を鉛直方向に引張、床版防水構造が破壊したときの最大荷重を測定した。その最大荷重[N]を接着面積(7850[mm])で除した値を引張接着強度[N/mm]とし、表2に示した。表2における「判定」では、引張接着強度[N/mm]が0.60[N/mm]以上の場合を「○」、0.60[N/mm]未満の場合を「×」とした。
また、熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂組成物の融点(MP)を横軸、メルトフローレート(MFR)を縦軸としたグラフを図5に示した。図5において、「◎」は引張接着強度が十分であった熱可塑性樹脂シートであり、「☆」は引張接着強度が不十分であった熱可塑性樹脂シートである。なお、図5のグラフ中に示した実線は、40≦x<60、y=2.5x−90≦y≦400である。
表2および図5に示した通り、融点およびメルトフローレートが所定の範囲にある熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂シートを用いた場合は引張接着強度が高くなり、融点およびメルトフローレートが所定の範囲から外れた熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性樹脂シートを用いた場合は引張接着強度が不足した。
1 床版
2 プライマー樹脂層
3 防水層
4 接着剤層
5 熱可塑性樹脂層(熱可塑性樹脂シート)
5a シボ
5b 通気孔
6 アスファルト舗装体
10 床版防水構造

Claims (4)

  1. 床版と、アスファルト舗装体と、前記床版および前記アスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造において、前記アスファルト舗装体および前記防水層の間に配設される熱可塑性樹脂シートであって、
    融点をx[℃]、メルトフローレートをy[g/10min]としたとき、前記xを横軸、前記yを縦軸としたグラフにおいて、40≦x<60、y=2.5x−90≦y≦400で囲まれる領域に前記融点および前記メルトフローレートが含まれる熱可塑性樹脂組成物によって構成され、
    厚さ方向に通気性を有し、
    少なくとも一方の面にシボを有する、熱可塑性樹脂シート。
  2. 床版と、アスファルト舗装体と、前記床版および前記アスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造であって、
    前記アスファルト舗装体および前記防水層の間に、請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートからなる熱可塑性樹脂層が形成されている、床版防水構造。
  3. 接着剤を含む接着剤層が前記防水層と前記熱可塑性樹脂層との間に備えられる、請求項2に記載の床版防水構造。
  4. 床版と、アスファルト舗装体と、前記床版および前記アスファルト舗装体の間に配置される防水層と、を備えた床版防水構造の施工方法であって、
    前記床版の表面にプライマー樹脂層を形成する工程、
    前記プライマー樹脂層上に前記防水層を形成する工程、
    前記防水層上に接着剤層を形成する工程、
    前記接着剤層上に請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートを敷設する工程、
    および、前記熱可塑性樹脂シート上に前記アスファルト舗装体を舗設する工程、
    を有する、床版防水構造の施工方法。
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