JP2015071549A - アトロジン−1抑制剤 - Google Patents
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Abstract
Description
また一般に、高齢者に発生する筋肉の筋質量や筋力が減少する筋萎縮には、廃用性筋萎縮やサルコペニア等が挙げられる。筋萎縮が起こると、それに伴ってさらに筋機能の低下がみられるようになる。
高齢者は、筋力の低下から筋萎縮となり、筋萎縮からさらに上記のような悪循環に陥りやすく、最悪の場合には寝たきりになる。このため、生活機能を改善し、クオリティオブライフ(QOL)を維持するためには、ある程度の強制的な運動により廃用性筋萎縮や筋機能の低下を抑制することができると言われている(非特許文献1:寝たきりゼロへの10カ条の普及について、厚生省、平成3年)。
すでに運動や理学療法のみならず、筋萎縮及びそれに伴う筋機能の低下、ひいては寝たきりを予防しうる成分の探索が行われている。
果実ポリフェノールによる筋萎縮抑制(特許文献1:特開2001−89387号公報)、リコピンによる筋蛋白分解抑制(特許文献2:特開2004−59518号公報)、スーパーオキシドジスムターゼによる筋の酸化ストレス軽減(特許文献3:特開2006−62976号公報)、カテキン類を有効成分とする筋力機能低下抑制剤(特許文献4:特開2008−13473号公報)、ミオスタチンペプチドによるミオスタチン拮抗物質(特許文献5:特表2008−530004号公報)、トゲドコロ抽出物を有効成分とする筋肉増強剤(特許文献6:WO2008/123417号国際公開公報)、L−ロイシンを総必須アミノ酸中にモル比で35〜66%を含有させた骨格筋量減少予防剤(特許文献7:特開2012−131819号公報)などが挙げられる。
(1)ε−ヴィニフェリンを有効成分とするアトロジン−1遺伝子発現抑制剤。
(2)(1)記載のアトロジン−1遺伝子発現抑制剤を含む筋萎縮抑制剤。
(3)(2)記載の筋萎縮抑制剤を含む飲食品。
(4)(2)記載の筋萎縮抑制剤を含むサルコペニア予防・改善剤。
本発明は、ε−ビニフェリンを有効成分とするアトロジン−1の抑制剤である。アトロジン−1遺伝子が活性化すると骨格筋肉蛋白質の分解が促進され筋萎縮がすすむ。一方IGF−1によって筋肉が肥大する際には、アトロジン−1遺伝子の発現が抑制され、筋肉が増強される。したがってε−ヴィニフェリンは、筋萎縮やサルコペニアの予防・改善剤として利用できる。
ブドウ抽出物とは、ブドウ果実、ブドウ葉またはブドウに由来する物からの抽出物を指す。ブドウに由来する物としては、ブドウジュース、ワイン、ワイン製造時の残渣、ワイン濃縮物等をいう。
抽出は、例えば、レスベラトロール類はブドウの果皮や新芽、葉、蔓に多く含まれていることが知られているので、それらを必要により乾燥した後、抽出溶媒に一定期間浸漬するか、あるいは加熱還流している抽出溶媒と接触させ、次いで濾過し、濃縮し、さらに上述の分取クロマトによって分取することができる。抽出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、アセトン、酢酸エチル等の有機溶媒を、それぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。
上記溶媒で抽出して得た抽出液をそのまま、あるいは濃縮したエキスを用いるか、あるいはこれらエキスを吸着法、例えばイオン交換樹脂を用いて不純物を除去したものや、ポーラスポリマー(例えばアンバーライトXAD−2)のカラムにて吸着させた後、メタノールまたはエタノールで溶出し、濃縮したものも使用することができる。また分配法、例えば水/酢酸エチルで抽出した抽出物等も用いられる。また、ワイン、ワインの濃縮物または濃縮乾固した固形物中にも含まれているので、それらを用いることもできる。また、ワイン製造時に発生するブドウの残渣をそのまま用いるか、それから上記抽出方法と同様にして抽出することもできる。有機溶剤としてはエタノール等のアルコールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
剤型も任意で、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口用固形製剤や、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤、または、注射剤などの非経口用液体製剤など、いずれの形態にも公知の方法により適宜調製することができる。
これらの医薬製剤には、通常用いられる結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤などの賦形剤を適宜使用してもよい。
<横紋筋筋芽細胞におけるアトロジン−1遺伝子の抑制試験>
マウス横紋筋筋芽細胞株であるC2C12細胞株は筋タンパク質合成系や分解系の研究や筋分化の研究に用いられており、筋肉の遺伝子発現を観察する目的に適している。
C2C12細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社)は、vial(>106個)で購入し、これをコンフルエントに達するまで培養し、さらに1:20の割合で継代培養(subculture)を行い、24hr後に、約30%confluentに達した細胞を試験に用いた。なお培養は37℃、5%、CO2の条件とした。
細胞剥離には、アクターゼ(Innovative CellTechnologies,Inc.)を用いた。
細胞培養用培地は、低グルコース(1,000 mg/l、D−glucose)のDMEM(Dulbecco’s modified Eagle medium)を基本液体培地として選択し、10%HyCloneウシ胎仔血清(Thermo Scientific社)及び抗菌−抗真菌剤を10mg/l添加した。抗菌−抗真菌剤はペニシリンG;100mg/ml、ストレプトマイシン硫酸塩;100mg/ml、amphotericin B;0.25mg/mlの混合物である。
培養直前に、最終濃度10、30mMになるようにtransレスベラトロール(和光純薬工業株式会社)、同じく最終濃度10、30mMになるようにε−ヴィニフェリン(和光純薬工業株式会社)を添加した。また、対照群の培養上清には、上記成分の調製に用いた溶媒であるエタノールを10ml添加した。試験開始24hr後に培養上清を吸引除去し、細胞を回収しmRNA回収サンプルとした。
回収した細胞(10×106個/サンプル)は、DPBS(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline、(−)CaCl2(−)MgCl2、Life Technologies)で洗浄後、High Pure RNA Isolation Kit(Roche Diagnostics)を用いて、全RNAを細胞より抽出した。次に、Transcriptor Universal cDNA Master(Roche Diagnostics)を用いて、逆転写反応を行い、cDNAを作製した。このcDNAを使用し、LightCycler 480(Roche Diagnostics)を用いて、リアルタイムPCRを行った。なお、ターゲット遺伝子プライマーは、Life Technologies Japan社にて合成したものを用い、リファレンスプライマー(マウスACTB)及び、他の試薬は、Roche Diagonisitics社指定のものを用いた。
またターゲット遺伝子である、マウスAtrogin−1のプライマーシークエンスは、以下の通りである。
mAtrogin−1 forward:5’−AGTGAGGACCGGCTACTGTG−3’
mAtrogin−1 reverse:5’−GATCAAACGCTTGCGAATCT−3’
データ処理は、LightCycler(R) 480システム内の解析用ソフトウエアを用いた。プローブ法によりPCR反応を行ったため、ターゲット遺伝子発現量は、リファレンス遺伝子発現量との比較による相対定量法:ΔCt法により算出した。
測定、解析結果を図1に示す。10μMのレスベラトロール、30μMのレスベラトロール及び10μMのε−ヴィニフェリンは横紋筋筋芽細胞のアトロジン−1遺伝子の発現を抑制しなかったが、30μMのε−ヴィニフェリンはアトロジン−1遺伝子の発現を抑制した。また30μMのレスベラトロールはアトロジン−1遺伝子の発現を促進させた。アトロジン−1遺伝子の発現抑制はレスベラトロール類のなかのε−ヴィニフェリン特有な作用であるといえる。
以上の結果から、ε−ヴィニフェリンはアトロジン−1遺伝子の発現によって引き起こされる筋委縮を抑制できる。
天然物からのε−ヴィニフェリンの調製例
ブドウ側枝(品種デラウエア)約5kgよりε−ヴィニフェリンを70%メタノール10lにより抽出し、分取HPLCにより分離・精製して約200mgのε−ヴィニフェリンを得た。
HPLC分取時の移動相としてはアセトニトリル/水(7:13)を用い、1ml/分の流速で約8分後に検出される。検出は紫外吸収288nmで行った。
またメタノール抽出後溶媒を留去して得た残渣を、粗精製ε−ヴィニフェリンとして、以下の処方例におけるヴィニフェリンとして用いた。
(配合成分) (質量%)
乳糖 54.0
結晶セルロース 35.0
澱粉分解物 10.0
ε−ヴィニフェリン 1.0
(配合成分) (質量%)
食用大豆油 50.0
ε−ヴィニフェリン 1.0
グリセリン脂肪酸エステル 12.0
ミツロウ 5.0
ゼラチン 12.0
水 20.0
(配合成分) (質量%)
還元水飴 44.0
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.6
ε−ヴィニフェリン 1.0
フレーバー 0.6
色素 0.1
(配合成分) (質量%)
果糖ブドウ糖液糖 30.0
ブドウ果汁 20.0
乳化剤 0.5
ε−ビニフェリン 1.0
香料 適量
精製水 残余
(配合成分) (質量%)
砂糖 76.0
グルコース 19.0
ε−ヴィニフェリン 1.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
精製水 3.8
(配合成分) (質量%)
砂糖 50.0
水飴 33.0
水 14.0
有機酸 2.0
ε−ヴィニフェリン 0.5
香料 0.5
Claims (4)
- ε−ヴィニフェリンを有効成分とするアトロジン−1遺伝子発現抑制剤。
- 請求項1に記載のアトロジン−1遺伝子発現抑制剤を含む筋萎縮抑制剤。
- 請求項2に記載の筋萎縮抑制剤を含む飲食品。
- 請求項2に記載の筋萎縮抑制剤を含むサルコペニア予防・改善剤。
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