本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。Z軸方向は、例えば鉛直方向に設定され、X軸方向及びY軸方向は、例えば水平方向に平行かつ互いに直交する方向に設定される。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転(傾斜)方向を、それぞれ、θX、θY及びθZ軸方向とする。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る形状測定装置1の外観を示す図である。図2は、実施形態1に係る形状測定装置1の概略構成を示す模式図である。図3は、実施形態1に係る形状測定装置の制御装置4を示すブロック図である。
形状測定装置1は、例えば光切断法を利用して、測定対象(以下、適宜被測定物という)Mの3次元的な形状を測定するものである。形状測定装置1は、プローブ移動装置2と、光学プローブ3と、制御装置4と、表示装置5と、入力装置6と、保持回転装置7と、を備える。形状測定装置1は、ベースBに設けられた保持回転装置7に保持されている被測定物Mを光学プローブ3が撮像するものである。また、本実施形態では、プローブ移動装置2と保持回転装置7とが、光学プローブ3と被測定物Mとを相対移動させる移動部としての移動機構となる。
プローブ移動装置2は、光学プローブ3による撮像範囲(視野)が被測定物Mの測定対象領域に位置するように、光学プローブ3の三次元空間上で、光学プローブ3の位置と、光学プローブ3から投影されるパターンの投影方向及び被測定物Mの測定対象領域に投影されたパターンの向きとを位置決めする。かつ、プローブ移動装置2は、光学プローブ3の撮像範囲が被測定物M上で走査するように、被測定物Mに対して光学プローブ3を移動させる。光学プローブ3から投影されるパターンの投影方向及び被測定物Mの測定対象領域に投影されたパターンの向きについては、後述する。
このプローブ移動装置2は、図2に示すように、駆動部10と位置検出部11とを備えている。駆動部10は、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Z、第1回転部53及び第2回転部54を備えている。X移動部50Xは、ガイド部51Xに沿って矢印62の方向、つまりX軸方向に移動自在に設けられている。ガイド部51Xは、ベースBのY軸方向の両側縁に、X軸方向に延在して設けられている。
Y移動部50Yは、ガイド部51Yに設けられている。Y移動部50Yは、ガイド部51Yに沿って矢印63の方向、すなわちY軸方向に移動自在である。ガイド部51Yは、X移動部50Xに設けられている。ガイド部51Yは、X軸方向に間隔をあけてY軸方向に延在している。Y移動部50Yには、Z軸方向に延在する保持体52が設けられている。Z移動部50Zは、ガイド部51Zに設けられている。Z移動部50Zは、ガイド部51Zに沿って矢印64の方向、すなわちZ軸方向に移動自在である。ガイド部51Zは、保持体52のY軸方向の両側縁に、Z軸方向に延在して設けられている。X移動部50X、Y移動部50Y及びZ移動部50Zは、光学プローブ3をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能にする移動機構である。
本実施形態において、移動機構は、第1回転部53及び第2回転部54を含んでいる。第1回転部53は、後述する保持部材(保持部)55に支持される光学プローブ3をX軸と平行な回転軸線(回転軸)53a周り、つまり矢印65の方向に回転して光学プローブ3の姿勢を変更するものである。第1回転部53は、特に光学プローブ3から投影されるパターンの被測定物Mへの投影方向を変更することができる。第1回転部53は、モータ等の第1回転駆動源を有している。第1回転駆動源の回転角度、すなわち光学プローブ3の回転軸線53a周りの回転角度は、不図示の第1角度読み取り部によって読み取られる。
第2回転部54は、保持部材55に支持される光学プローブ3を後述する第1保持部55Aが延在する方向と平行な軸線周り、つまり矢印66の方向に回転して光学プローブ3の姿勢を変更するものである。第2回転部54は、特に光学プローブ3から投影されるパターンの向きを変更することができる。第2回転部54は、モータ等の第2回転駆動源を有している。第2回転駆動源の回転角度、すなわち光学プローブ3の第1保持部55Aが延在する方向と平行な軸線周りの回転角度は、不図示の第2角度読み取り部によって読み取られる。本実施形態の第2回転部54は、第2回転駆動源及び手動の少なくとも一方で回転される構造であるが、駆動源を備えず手動でのみ回転する構造であってもよい。
第1回転部53が光学プローブ3を回転軸線53a周りに回転する角度は、例えば、300度に設定され、被測定物Mの表面側からの測定のみならず、被測定物Mの裏面側からの測定も可能となる。
形状測定装置1は、2個の基準球73aと73bとがベースBに配置されている。2個の基準球73a、73bは、それぞれ保持回転装置7に対して左右両側に配置されている。この2つの基準球73a、73bは、回転軸線53aのZ軸方向上の位置と同じ位置に設定されている。したがって、第1回転部53の回転駆動量がどのような状態であっても、形状測定装置1は、どちらか一方の基準球の形状は測定できるようになっている。
光学プローブ3と光学プローブ3を保持している保持部材55との間で機械的なガタつきがある場合、形状測定装置1が測定した基準球の位置は第1回転部53の回転量により異なる可能性がある。この量を補正するため、光学プローブ3が実線で示した姿勢のときと、一点鎖線で示した姿勢のときとで基準球73a又は基準球73bの位置を形状測定装置1で測定する。そのときの測定座標の差は、例えば、形状測定装置1が有する記憶装置に誤差量として記憶される。この誤差量を基に、光学プローブ3の姿勢と位置情報とについて補正することで、あらゆる姿勢でも正しい測定結果を得ることができる。
これらの、X移動部50X、Y移動部50Y、Z移動部50Z、第1回転部53、第2回転部54は、エンコーダ装置等によって構成される位置検出部11の検出結果に基づいて、制御装置4により制御される。
光学プローブ3は、光源装置8及び撮像装置9を備えている。光学プローブ3は、保持部材55に支持されている。保持部材55は、第1保持部(第1部分、第1部材)55Aと、第2保持部(第2部分、第2部材)55Bとを有する。第1保持部55Aは、回転軸線53aと直交する方向に延び、かつ第1回転部53に支持される。第2保持部55Bは、第1保持部55Aの被測定物Mに対して遠い側の端部に設けられ、かつ回転軸線53aと平行に延びている。第1保持部55Aと第2保持部55Bとは、互いに直交している。このため、保持部材55の形状は、略L字状になっている。
保持部材55の第2保持部55Bは、自身の+X側の端部に光学プローブ3を支持している。第1回転部53の回転軸線53aの位置は、光学プローブ3よりも、被測定物Mに近い側に配置されている。また、第1保持部55Aの被測定物Mに対して近い側の端部には、カウンターバランス55cが設けられている。したがって、第1回転部53aに駆動力が発生しない場合、図1で図示されているように第1保持部55Aの延出方向がZ軸方向に沿うような姿勢となる。
保持回転装置7は、図2に示すように、被測定物Mを保持するテーブル71と、テーブル71をθZ軸方向、つまり矢印68の方向に回転させる回転駆動部72と、テーブル71の回転方向の位置を検出する位置検出部73と、を有する。位置検出部73は、テーブル71又は回転駆動部の回転軸の回転を検出するエンコーダ装置である。保持回転装置7は、位置検出部73で検出した結果に基づいて、回転駆動部72によってテーブル71を回転させる。保持回転装置7は、テーブル71を回転させることで、回転中心軸AXを中心として被測定物Mを矢印68の方向に回転させる。
光学プローブ3の光源装置8は、被測定物Mに測定光としての光を照射する照射部として機能する。光源装置8は、光源12及び照明光学系13を備える。光源装置8は、制御装置4によって制御されて、保持回転装置7に保持された被測定物Mの一部に光を照射する。本実施形態の光源12は、例えば、レーザーダイオードを含む。なお、光源12は、レーザーダイオード以外の発光ダイオード(LED)等の固体光源を含んでいてもよい。
照明光学系13は、光源12から射出した光の空間的な光強度分布を調整する。本実施形態において、照明光学系13は、例えば、シリンドリカルレンズを含む。照明光学系13は、1つの光学素子であってもよいし、複数の光学素子を含んでいてもよい。光源12から射出した光は、シリンドリカルレンズが正のパワーを有する方向にスポットが広げられて、光源装置8から被測定物Mに向く第1方向に沿って射出する。図2に示すように、光源装置8から射出した光は、光源装置8からの光の射出方向に対して直交する面を有する被測定物Mに照射された場合、回転軸線53aと平行な方向を長手方向とし、回転軸線53aに平行なライン状のパターンになる。また、このライン状のパターンは、被測定物Mの表面では長手方向に所定の長さを持つ。このライン状のパターンの長手方向は、先に説明した第2回転部54により方向が変更される。被測定物Mの面の広がり方向に応じて、ライン状のパターンの長手方向を変えることで、被測定物Mの形状を効率よく測定することができる。
照明光学系13は、CGH(Computer Generated Hologram)等の回折光学素子を含み、光源12から発せられた照明光束Lの空間的な光強度分布を前述した回折光学素子によって調整してもよい。また、本実施形態において、空間的な光強度分布が調整された測定光をパターン光ということがある。照明光束Lは、パターン光の一例である。本明細書において、パターンの向きと称しているときは、このライン状のパターンの長手方向と平行な方向を示している。
撮像装置9は、撮像部としての撮像素子20及び結像光学系21を備える。光源装置8から被測定物Mに照射された照明光束Lは、被測定物Mの表面で反射散乱して、その少なくとも一部が結像光学系21へ入射する。結像光学系21は、光源装置8によって被測定物Mの表面に照射されたライン状のパターンの像を結像光学系21により撮像素子20に結ぶ。撮像素子20は、この結像光学系21が形成する像に応じた画像信号を出力する。本実施形態において、撮像素子20は、測定光、具体的には、自身が撮像した撮像画像を生成するための素子である。撮像素子20は、複数の画素により撮像領域が形成される。本実施形態において、撮像素子20は、光電変換センサと、CCD(Charge Couple Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)とを組み合わせたイメージセンサであるが、これに限定されない。
結像光学系21は、光源装置8からのライン光としての照明光束Lの射出方向及び照明光束Lのスポットの形状の長手方向を含む面内に存在する物体面21aと、撮像素子20の受光面20a(像面)とが共役な関係になっている。なお、光源装置8からの照明光束Lの射出方向と照明光束Lのスポットの形状の長手方向とを含む面は、照明光束Lの伝播方向にほぼ平行である。形状測定装置1は、照明光束Lの伝播方向に沿って、撮像素子20の受光面20aと共役な面を形成することで、被測定物Mの表面がどの位置にあっても、合焦した像が得られる。
前述した第1回転部53の回転軸線53aは、図2に示すように、光学プローブ3に対して、被測定物M側に配置されている。より詳細には、回転軸線53aは、結像光学系21の物体面21a上であって、物体面21aにおける照明光束Lの照射方向(光軸方向、所定方向)の中央部を通る位置に配置されている。このようにすることで、第1回転部53により第1保持部55Aがどのような姿勢になっていても、被測定物Mのライン状のパターンが投影された位置が回転軸線53aの延長上にあれば、任意の方向から被測定物Mに照明光束Lを照射することができる。
被測定物Mの表面が鏡面状態であり、被測定物Mの表面で幾重にも反射してきた光が結像光学系21に入射するような場合、撮像素子20の受光面20aには、照明光束Lが照射されたときに形成できる像以外にも、被測定物Mの測定結果に影響を及ぼす像が形成される可能性がある。光学プローブ3の撮像装置9がこの像も検出してしまうと、測定結果に誤差を生ずる可能性がある。これに対して、形状測定装置1は、第1回転部53により被測定物Mに対する照明光束Lの入射方向を変更することで、このような測定結果に影響を及ぼす像を排除又はその像を形成する光量を十分小さくすることができる。その結果、形状測定装置1は、測定結果に及ぼす影響を低減することができる。
制御装置4は、形状測定装置1の各部を制御する。また、制御装置4は、光学プローブ3による撮像結果とプローブ移動装置2及び保持回転装置7の位置情報とに基づく演算処理を行って被測定物Mの形状情報を取得する。本実施形態において、形状情報は、測定対象としての被測定物Mの少なくとも一部に関する形状、寸法、凹凸分布、表面粗さ及び測定対象面表面の点の位置(座標)のうち少なくとも1つを示す情報を含む。制御装置4には、表示装置5及び入力装置6が接続される。制御装置4は、図3に示すように、制御部32と、算出部38と、移動量算出部39と、記憶部40と、を有する。制御装置4は、例えば、マイクロコンピュータであるが、これに限定されない。
制御部32は、被測定物Mを測定するためのコンピュータプログラムとしての形状測定用コンピュータプログラム(以下、適宜、形状測定用プログラムという)を記憶部40から取得し、取得した形状測定用プログラムに基づいて、形状測定装置1の各部による被測定物Mの形状測定動作を制御する。制御部32は、初期測定範囲設定部33と、実測定領域設定部34と、回転回数算出部35と、測定パス設定部36と、動作制御部37と、を有する。
初期測定範囲設定部33は、被測定物Mの形状測定用プログラムを決定する基準となる初期測定範囲を設定する。初期測定範囲は、光学プローブ3と被測定物Mとを相対的に回転させる回転軸の近傍における初期内側端部の位置と、前記移動機構で発生する回転に対する径方向に向かって前記被測定物の外周の位置に位置する初期外側端部の位置とを少なくとも有する。初期測定範囲設定部33は、入力された被測定物Mの形状データを解析して、初期測定範囲を設定する。また、被測定物Mが、歯車又はタービンブレード等の円周方向に繰り返し形状を有しかつ前記円周方向とは異なる方向に延在した凹凸形状を有する形状である場合、初期測定範囲設定部33は、繰り返し形状の1つを測定する際に、設定した初期形状測定用プログラムから得られる初期測定開始位置及び初期測定終了位置とのその間をつなぐパスから、初期測定範囲に関する情報が得られる。
実測定領域設定部34は、初期測定範囲設定部33で設定した条件に基づいて、実際に測定する領域である実測定領域を設定する。実測定領域は、被測定物Mが測定される領域の全域を少なくとも含む範囲である。
回転回数算出部35は、回転対称又は円筒の被測定物を測定する場合に、被測定物Mが実際に測定される領域と、被測定物Mの表面に照射されたライン状のパターンの向き及びライン状のパターンの長さ等とに基づいて、測定時に光学プローブ3と被測定物Mとが相対的に回転する回数を算出する。
測定パス設定部36は、被測定物M上で投影されたライン状のパターンの向き、ライン状のパターンの長さ及び回転回数に基づいて測定パスを設定し、測定パスを基に形状測定要プログラムを決定する。形状測定要プログラムは、被測定物Mの測定対象範囲を測定するのに必要なプローブ移動装置2による光学プローブ3の移動方向と移動速度及び保持回転装置7の回転角速度とのタイムスケジュールを示す。このタイムスケジュールは、光学プローブ3の撮像素子20の撮影間隔とユーザが求める測定点の最大取得間隔とに対応するように設定される。
測定パスは、形状測定装置1が被測定物Mの測定対象範囲を測定する際に、被測定物Mの表面で移動するライン状のパターンが実際に移動したときの軌跡である。測定パス設定部36は、測定パスと測定パス上の各位置における照明光束Lの投影方向とに基づいて、被測定物Mの測定範囲を測定するのに必要な移動機構による実測定開始位置から実測定終了位置に至るまでの移動機構の動作制御を決定する。
動作制御部37は、形状測定装置1の各部の動作を制御する。動作制御部37が制御する対象は、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7を含む。動作制御部37は、制御部32で作成された動作制御情報を基に、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7の動作制御を実施する。制御部32は、被測定物Mの実測定領域を測定するために必要な移動機構による回転回数を算出し、算出した回転回数に基づいて設定されたプローブ移動装置2の動作制御により、プローブ移動装置2の動作を制御する。例えば、制御部32は、測定パス設定部36で設定された測定パス情報に基づき動作制御情報を作成し、制御部32内の動作制御部37に伝達することで、プローブ移動装置2、光学プローブ3及び保持回転装置7の形状測定中の動作制御を行う。また、制御部32は、光学プローブ3による画像取得動作制御を行う。
算出部38は、撮像装置9が撮像したタイミングで取得した位置検出部11からのプローブ移動装置2及び保持回転装置7の位置情報と、撮像装置9が取得したパターンの像の画像に関連した撮影信号とに基づいて、被測定物Mのパターンが照射された位置を算出し、被測定物Mの形状データを出力する。本実施形態において、形状測定装置1が備える制御部32の動作制御部37は、撮像装置9の撮影タイミングを一定間隔とし、入力装置6から入力する測定点間隔情報を基に、プローブ移動装置2及び保持回転装置7の移動速度を制御している。
前述したように、移動機構、本実施形態ではプローブ移動装置2及び保持回転装置7が、被測定物Mと、照射部としての光源装置8及び撮像部としての撮像素子20を有する光学プローブ3とを相対移動させる。移動量算出部39は、被測定物Mと、光学プローブ3とが相対移動したときの移動量を算出する。
記憶部40は、形状測定用プログラムを含む各種のコンピュータプログラム及びデータを記憶する記憶装置である。記憶部40は、ハードディスクメモリ等の少なくとも1つを備えている。記憶部40は、初期測定範囲記憶部40Aと、形状測定用プログラム40Bと、を有する。記憶部40は、これらのコンピュータプログラム及びデータ以外にも、形状測定装置1の動作の制御に用いる各種のコンピュータプログラム及びデータを記憶している。初期測定範囲記憶部40Aは、初期測定範囲設定部33で設定された初期測定範囲を記憶する。形状測定用プログラム40Bは、制御装置4の各部の処理を実行させるコンピュータプログラムを含んでいる。
制御装置4は、形状測定用プログラム40Bに含まれているコンピュータプログラムを実行することで、前述した各部の動作を実現する。形状測定用プログラム40Bは、前述した制御部32で生成する被測定物Mを測定するためのコンピュータプログラムを少なくとも含む。本実施形態において、形状測定用プログラム40Bは、予め記憶部40に記憶されているが、これに限定されない。制御装置4は、形状測定用プログラム40Bが記憶された記憶媒体からこれを読み取って記憶部40に記憶してもよいし、通信により形状測定用プログラム40Bを外部から取得してもよい。
本実施形態において、記憶部40は、初期測定範囲設定部33を備えているが、これに限定されない。記憶部40は、少なくとも初期測定範囲記憶部40Aを備えていればよく、初期測定範囲設定部33を備えていなくてもよい。
制御装置4は、プローブ移動装置2の駆動部10及び保持回転装置7の回転駆動部72を制御して、光学プローブ3と被測定物Mの相対位置が所定の位置関係となるようにしている。また、制御装置4は、光学プローブ3の調光等を制御して、被測定物Mの表面に投影されたライン状のパターンを最適な光量で撮像装置9に撮像させる。制御装置4は、光学プローブ3の位置情報をプローブ移動装置2の位置検出部11から取得し、測定領域を撮像した画像を示すデータ(撮像画像データ)を光学プローブ3から取得する。そして、制御装置4は、光学プローブ3の位置に応じた撮像画像データから得られる被測定物Mの表面の位置と、光学プローブ3の位置及びライン光の投影方向と撮像装置の撮影方向と、を対応付けることによって、被測定物Mの3次元的な形状に関する形状情報を演算する。
表示装置5は、例えば、液晶表示装置又は有機エレクトロルミネッセンス表示装置等を含む。表示装置5は、形状測定装置1の測定に関する測定情報を表示する。測定情報は、例えば、測定に関する設定を示す設定情報、測定の経過を示す経過情報及び測定の結果を示す形状情報等のうち少なくとも1つを含む。本実施形態において、表示装置5は、測定情報を示す画像データを制御装置4から供給され、この画像データに従って測定情報を示す画像を表示する。
入力装置6は、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール及びタッチバッド等の各種入力デバイスを含む。入力装置6は、制御装置4への各種情報の入力を受け付ける。各種情報は、例えば、形状測定装置1に測定を開始させる指令(コマンド)を示す指令情報、形状測定装置1による測定に関する設定情報及び形状測定装置1の少なくとも一部をマニュアルで操作するための操作情報等を含む。
本実施形態において、形状測定装置1は、制御装置4が制御部32と、算出部38と、記憶部40とを備え、制御装置4に表示装置5及び入力装置6が接続されている。形状測定装置1は、制御装置4、表示装置5及び入力装置6が、例えば、形状測定装置1に接続されるコンピュータでもよいし、形状測定装置1が設置される建物が備えるホストコンピュータ等でもよい。また、制御装置4、表示装置5及び入力装置6がコンピュータである場合、このコンピュータが設置される場所は形状測定装置1が設置される建物に限られない。例えば、コンピュータと形状測定装置1とは離れた位置にあり、両者はインターネット等の通信回線を介して接続されても構わない。また、形状測定装置1は、制御装置4と、表示装置5及び入力装置6とが、別々の場所に設けられていてもよい。例えば、入力装置6と表示装置5とを備えるコンピュータとは別に、例えば光学プローブ3の内部に制御装置4が設けられていてもよい。この場合には、制御装置4が取得した情報は、通信手段を用いて、コンピュータに送信される。
<反射率が異なる部分を有する被測定物Mの測定>
例えば、被測定物Mの反射率が大きいため撮像素子20に入射する被測定物Mからの光の光量が多いと、露光過多になる結果、得られた画像は明るくなってしまい、被測定物Mのエッジ部分が明瞭に得られないことがある。反対に、被測定物Mの反射率が小さいため撮像素子に入射する被測定物Mからの光の光量が少ないと、露光不足になる結果、得られた被測定物Mの画像は暗くなってしまい、被測定物Mのエッジ部分が明瞭に得られないことがある。前者の場合、例えば、撮像素子に対する露光時間を短くすればよいし、後者の場合、露光時間を長くすればよい。
図4は、異なる反射率の表面を有する被測定物Mの一例を示す斜視図である。被測定物Mは、表面全体にわたって反射率がほぼ同一であったり、図4に示すように反射率が異なる部分を有する複合物であったりする。図8に示すように、例えば、被測定物Mが三角柱の部材であったとする。そして、被測定物Mは、稜線EGを基準として一方の側面の反射率が、他方の側面の反射率よりも低いとする。被測定物Mの稜線EGに対して一方の側面を低反射部Maといい、他方の側面を高反射部Mbという。
被測定物Mが、反射率が異なる部分を有している場合、低反射部Maと高反射部Mbとに照明光束Lが照射されると、照明光束Lが被測定物Mに照射された部分は、線状になる。低反射部Maからの線状の反射光LCa及び高反射部Mbからの線状の反射光LCbを撮像素子20が撮像すると、撮像素子20の撮像結果から得られた同一の画像中には、反射率の高い部分と低い部分とが混在することになる。この場合、被測定物Mの低反射部Maに対しては適切な露光量であるが、高反射部Mbに対しては露光過多になったり、高反射部Mbに対しては適切な露光量であるが、低反射部Maに対しては露光不足になったりすることがある。このような状態で得られた画像は、露光不足又は露光過多の部分の情報が欠落することがある。
このような欠落を防止して、低反射部Ma及び高反射部Mbの両方の情報を得るためには、撮像素子の感度を各々の反射率に適した感度に設定し、各感度毎に2回の撮像が必要になる。その結果、測定時間が長くなる可能性がある。
本実施形態において、形状測定装置1は、反射率が異なる部分を有する被測定物Mの形状を測定するにあたり、測定時間の増加を抑制しつつ、被測定物Mの形状を測定するために必要な情報量を確保するため、次のような処理を実行する。次に、この処理について説明する。
図5及び図6は、本実施形態に係る形状測定の処理における撮像素子20の撮像領域の一例を説明するための図である。図7は、撮像素子20によって撮像された被測定物Mの第1画像PIAの一例を示す図である。図8は、撮像素子20によって撮像された被測定物Mの第2画像PIBの一例を示す図である。図9Aは、第1画像PIAと第2画像PIBとを合成した画像の一例を示す図である。
形状測定装置1の撮像装置9が備える撮像素子20は、複数の画素20PXを有している。複数の画素20PXの一部は第1方向としてのx方向と平行に配列される。x方向と平行に配列された画素20PXの群(以下、適宜画素行という)20L1、20L2、・・・20L8は、第1方向と交差する第2方向としてのy方向と平行な方向に沿って配列される。複数の画素20PXが配列された領域が、撮像素子20の撮像領域AARである。x方向はxy平面座標系のx軸と平行な方向であり、y方向はxy平面座標系のy軸と平行な方向である。このように、本実施形において、撮像素子20は、複数の画素20PXが行列状に配置されている。本実施形態においてx方向とy方向とは直交しているが、両者の角度はこれに限定されない。図では画素行の数を8個としているが、8個に限定されるものではない。撮像素子20の撮像領域AARは、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとを含む。第1撮像領域AAは、複数の画素行のうち、奇数の画素行20L1、20L3、20L5、20L7を有している。第2撮像領域ABは、複数の画素行のうち、偶数の画素行20L2、20L4、20L6、20L8を有している。複数の画素行20L1、20L2、・・・20L8は、この順にy方向に向かって配列されている。このため、奇数の画素行20L1、20L3、20L5、20L7と、偶数の画素行20L2、20L4、20L6、20L8とは、奇数番目のものと偶数番目のものとが交互に配列される。
制御装置4の制御部32は、撮像素子20の撮像領域AARにおける第1撮像領域AAの画素の感度と、第2撮像領域ABの画素の感度とを異なる感度に設定可能である。形状測定装置1が、図4に示す異なる反射率の部分を有する被測定物Mの形状を測定する場合、図3に示す制御装置4の制御部32は、まず、撮像素子20の撮像領域AARの第1撮像領域AAに含まれる画素20PXを第1感度とし、第2撮像領域ABに含まれる画素20PXを第2感度として、図7に示す第1画像PIAを生成する。次に、制御部32は、第1撮像領域AAに含まれる画素20PXを第2感度とし、第2撮像領域ABに含まれる画素20PXを第1感度として図8に示す第2画像PIBを生成する。すなわち、撮像素子20は、第1画像PIAを撮像するときと第2画像PIBを撮像するときとで、第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域の感度とが入れ替えられる。第1感度及び第2感度は、前述したように、例えば、撮像素子20の各画素20PXの露光時間である。本例においては、第1感度は第2感度よりも高い。具体的には、第1感度に対応する露光時間は、第2感度に対応する露光時間よりも長い。
本実施形態において、第1感度及び第2感度は、例えば、撮像素子20の撮像条件を規定するための尺度である。本実施形態において、撮像条件は、例えば、撮像素子20の受光量、絞りの大きさ等の受光量に関する条件及び撮像素子20が受光した光を増幅して出力する際の増幅率等を含む。本実施形態においては、感度は、撮像素子20の受光量を規定するための尺度であり、具体的には露光時間である。
図7に示す第1画像PIA及び図8に示す第2画像PIBの符号PI1、PI2・・・PI8で示す部分は、撮像素子20の複数の画素行20L1、20L2、・・・20L8で撮像された部分に対応する。第1画像PIAは、図7に示すように、撮像素子20の第1撮像領域AAに対応する第1部分PAに、図4に示す被測定物Mの低反射部Maの反射光LCaに対応する画像IEa1が現れている。また、第1画像PIAは、撮像素子20の第2撮像領域ABに対応する第2部分PBに、図4に示す被測定物Mの高反射部Mbの反射光LCbに対応する画像IEb1が現れている。
第2画像PIBは、撮像素子20が第1画像PIAを撮像したときに対して、撮像素子20の第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とが入れ替えられている。このため、第2画像PIBは、図8に示すように、撮像素子20の第1撮像領域AAに対応する第1部分PAに、図4に示す被測定物Mの高反射部Mbの反射光LCbに対応する画像IEb2が現れている。また、第2画像PIBは、撮像素子20の第2撮像領域ABに対応する第2部分PBに、図4に示す被測定物Mの低反射部Maの反射光LCaに対応する画像IEa2が現れている。
第1画像PIAの画像IEa1及び第2画像PIBの画像IEa2は、被測定物Mの反射率が低い部分なので、撮像素子20の第1撮像領域AAのみで撮像される。第1画像PIAの画像IEb1及び第2画像PIBの画像IEb2は、被測定物Mの反射率が高い部分なので、撮像素子20の第2撮像領域ABのみで撮像される。前述したように、第1感度の第1撮像領域AAと第2感度の第2撮像領域ABとは、画素行毎に交互に配列されている。このため、第1画像PIAにおいて、画像IEa1と画像IEb1とは、画素行に対応する間隔毎に、断続的に現れる。同様に、第2画像PIBにおいて、画像IEa2と画像IEb2とは、画素行に対応する間隔毎に、断続的に現れる。本実施形態において、図4に示す被測定物Mの稜線EGは、第1画像PIAに現れている画像IEa1の端部IETa及び第2画像PIBに現れている画像IEb2の端部IETbに対応する。
第1画像PIAと第2画像PIBとが得られたら、図3に示す制御装置4の算出部38は、第1画像PIAと第2画像PIBとを用いて被測定物Mの形状を算出する。この場合、算出部38は、例えば、第1画像PIAの一部と、第2画像PIBの一部とを合成して、図9Aに示す、得られた画像(以下、適宜合成画像という)PICを用いて被測定物Mの形状を算出する。一例として、算出部38は、第1画像PIAの第1部分PAと第2画像PIBの第2部分PBとを合成し、前記第1画像PIAの第2部分PBと第2画像PIBの第1部分PAとを合成して、被測定物Mの形状を算出する。
被測定物Mの形状測定時において、第1画像PIAの第1部分PAと第2画像PIBの第2部分PBとは、制御部32によっていずれも第1感度に設定されている。このため、第1画像PIAの第1部分PAと第2画像PIBの第2部分PBとを合成すると、図9Aに示すように、第1画像PIAの第1部分PAの画像IEa1と、第2画像PIBの第2部分PBの画像IEa2とがつながった第1合成画像PICaが得られる。図4に示す被測定物Mの稜線EGは、第1合成画像PICaに現れている画像IEa1の端部IETaに対応する。
被測定物Mの形状測定時において、第1画像PIAの第2部分PBと第2画像PIBの第1部分PAとは、制御部32によっていずれも第2感度に設定されている。このため、第1画像PIAの第2部分PBと第2画像PIBの第1部分PAとを合成すると、図9Aに示すように、第1画像PIAの第2部分PBの画像IEb1と、第2画像PIBの第1部分PAの画像IEb2とがつながった第2合成画像PICbが得られる。図4に示す被測定物Mの稜線EGは、第2合成画像PICbに現れている画像IEb2の端部IETbに対応する。
算出部38は、第1合成画像PICaと第2合成画像PICbとを組み合わせて、図9Aに示す合成画像PICを得る。合成画像PICには、被測定物Mの低反射部Maからの反射光LCaに対応した画像IEacと、被測定物Mの高反射部Mbからの反射光LCbに対応した画像IEbcとが現れている。図9Aに示す合成画像PICにおいて、画像IEacと画像IEbcとが交差する部分IETは、図4に示す被測定物Mの稜線EGに対応する。算出部38は、合成画像PICの情報、例えば、画像IEac、IEbcの撮像素子20における座標情報と、制御部32によって検出された光学プローブ3の座標情報と、保持回転装置7の回転位置情報とに基づいて、測定ポイント毎に算出された座標値(三次元座標値)の点群データから、被測定物Mの表面形状データである3次元座標値の点群データを算出する。
形状測定装置1は、第1画像PIAを生成するときには撮像素子20の第1撮像領域AAの画素20PXを第1感度とし、第2撮像領域ABの画素20PXを第2感度とし、第2画像PIBを生成するときには、第1画像PIAを生成したときに対して、第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを入れ替える。このように、形状計測装置1は、第1画像PIA及び第2画像PIBを生成するときには、撮像素子20の撮像領域AARに感度の異なる第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとが存在するので、反射率が異なる部分を有する被測定物Mを撮像する場合であっても、いずれかの感度によって被測定物Mを撮像することができる。このため、形状計測装置1は、反射率が異なる部分を有する被測定物Mの形状を測定する場合に、形状に関する情報量、より具体的には、被測定物Mの表面形状データである3次元座標値の点群データの量が減少することを抑制することができる。その結果、形状測定装置1は、異なる反射率の部分を有する被測定物Mの形状を測定するために必要な情報量を確保することができる。
例えば、撮像素子20の撮像領域AARをすべて第1感度又は第2感度として被測定物Mが撮像された場合、被測定物Mの稜線EGの点群データが欠落する可能性がある。本実施形態において、被測定物Mの稜線EGは、第1感度及び第2感度の両方の感度で撮像される。このため、形状測定装置1は、被測定物Mの稜線EGの点群データが減少することを抑制することができる。
本実施形態において、形状測定装置1は、被測定物Mから異なる反射率の部分の情報を得るために、異なる反射率に対してそれぞれ被測定物Mを撮像する必要はない。その結果、異なる反射率の部分を有する被測定物Mの形状を測定するにあたって、測定時間の増加を抑制することができる。
図9Bは、被測定物Mが単一の反射率である場合の点群データの一例を示す図である。図9Cは、異なる反射率の表面を有する被測定物Mが1つの感度で撮像されたときに得られた点群データの一例を示す図である。図9Dは、実施形態1に係る形状測定装置1によって得られた点群データの一例を示す図である。いずれの図も、被測定物Mの形状は、図4に示すように三角柱である。
図9Bは、撮像素子20の撮像領域AARをすべて1つの感度とした上で、単一の反射率の被測定物Mが撮像された場合を示している。この場合、図9Bに示すように、被測定物Mの表面の全領域にわたって点群データDGが得られ、かつ稜線EG近傍の点群の情報も得られている。
被測定物Mが異なる反射率の表面を有する場合、このような被測定物Mが、撮像領域AARをすべて1つの感度とした撮像素子20によって撮像されると、図9Cに示すように、一方の反射率の表面からのみ点群データDGが得られて、他方の反射率の表面からの点群データが欠落する。例えば、撮像領域AARのすべてを第2感度よりも露光時間が長い第1感度とした撮像素子20が、図4に示す被測定物Mを撮像すると、図4に示す低反射部Maは撮像できるが、高反射部Mbは撮像できない。このため、形状測定装置1は、三角柱の一方の側面、具体的には低反射部Maの側面からのみしか点群データDGを得ることができない。結果として、形状測定装置1が被測定物Mの形状を算出する際の精度低下を招く可能性がある。
本実施形態において、形状測定装置1は、撮像素子20の第1撮像領域AAを第1感度とし、第2撮像領域ABを第2感度として撮像する。次に、形状測定装置1は、撮像素子20の第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを入れ替えて撮像する。以後、形状測定装置1は、一回撮像する毎に第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを入れ替えて、三角柱の被測定物Mの全表面を撮像する。結果として、図9Dに示すように、稜線EG近傍の点群の情報も得られていることが分かる。このように、形状測定装置1は、被測定物Mの形状を算出する際に重要な、被測定物Mの稜線EG近傍の点群データが減少することを抑制して、形状測定装置1は、被測定物Mの形状を算出する際の精度低下を抑制することができる。
図10は、実施形態1に係る形状測定装置1の制御装置4が被測定物Mの形状を測定する際に実行する処理を示すフローチャートである。ステップS11において、制御装置4の制御部32は、撮像装置9の撮像素子20に対して、第1の設定をする。第1の設定とは、撮像素子20の撮像領域AARの第1撮像領域AAに含まれる画素20PXを第1感度に設定し、第2撮像領域ABに含まれる画素20PXを第2感度に設定することである。次に、ステップS12において、制御部32は、第1の設定の状態で撮像装置9に被測定物Mを撮像させる。撮像装置9によって撮像された情報、具体的には、撮像素子20の各画素20PXの検出値は、図3に示す制御装置4の記憶部40に一時的に記憶される。この他にも、撮像時における光学プローブ3の座標情報及び保持回転装置7の回転位置情報が、図3に示す制御装置4の記憶部40に一時的に記憶される。
次に、ステップS13において、制御部32は、撮像装置9の撮像素子20に対して、第2の設定をする。第2の設定とは、撮像素子20の撮像領域AARの第1撮像領域AAに含まれる画素20PXを第2感度に設定し、第2撮像領域ABに含まれる画素20PXを第1感度に設定することである。次に、ステップS14において、制御部32は、第2の設定の状態で撮像装置9に被測定物Mを撮像させる。撮像装置9によって撮像された情報等が、図3に示す制御装置4の記憶部40に一時的に記憶される点は前述した通りである。
ステップS15において、制御部32は、撮像装置9が被測定物Mの全体の撮像を終了したか否かを判定する。被測定物Mの全体の撮像が終了していない場合(ステップS15、No)、制御部32は、ステップS11からステップS15を繰り返す。被測定物Mの全体の撮像が終了した場合(ステップS15、Yes)、制御装置4の算出部38は、ステップS16において情報を結合、すなわち、第1画像PIAの一部と、第2画像PIBの一部とを合成して、合成画像PICを生成する。ステップS16において合成されるのは、連続して撮像された第1画像PIA及び第2画像PIBである。次に、ステップS17において、算出部38は、合成画像PICの座標情報と、光学プローブ3の座標情報と、保持回転装置7の回転位置情報とに基づいて、被測定物Mの形状を算出する。算出された被測定物Mの形状は、被測定物Mの表面形状データである3次元座標値の点群データで表される。
図11から図13は、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとの配置に関する変形例を示す図である。図11に示す撮像素子20は、第2方向としてのy方向の中央で、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとを分けている。より具体的には、撮像素子20が有する複数の画素行20L1、20L2、・・・20L8のうち、y方向に連続する複数の画素行20L1、20L2、20L3、20L4が第1撮像領域AAであり、y方向に連続する複数の画素行20L5、20L6、20L7、20L8が第2撮像領域ABである。
図12に示す撮像素子20は、第1方向としてのx方向の中央で、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとを分けている。より具体的には、撮像素子20が有する複数の画素列20T1、20T2、・・・20T8のうち、x方向に連続する画素列20T1、20L2、20T3、20T4が第1撮像領域AAであり、x方向に連続する画素列20T5、20T6、20T7、20T8が第2撮像領域ABである。画素列20T1、20T2、・・・20T8は、図8に示す画素20PXが、y方向と平行な方向に沿って複数配列された画素群である。
図13に示す撮像素子20は、千鳥状に配列された複数の画素20PXが第1撮像領域AAであり、第1撮像領域AAの複数の画素20PXとは異なり、かつ千鳥状に配列された複数の画素20PXが第2撮像領域ABである。符号Aで示される画素20PXが第1撮像領域AAであり、符号Bで示される画素20PXが第2撮像領域ABである。奇数番目の画素行20L1、20L3は、x方向に向かって第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとがこの順で交互に繰り返し、偶数番目の画素行20L2、20L4は、x方向に向かって第2撮像領域ABと第1撮像領域AAとがこの順で交互に繰り返す。図11から図12に示すような第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとの配置であっても、反射率が異なる部分を有する被測定物Mの形状を測定する場合に、形状に関する情報量の減少を抑制することができる。
図14は、CMOSを用いた撮像素子20を示す図である。図14に示す撮像素子20は、画素20PXが4行×4列に配置されたものであるが、画素20PXの配置はこれに限定されるものではない。他の類似の例も同様である。画素20PXは、フォトダイオード20PDと、増幅器20APと、スイッチング素子20SWと、リセット用素子20RTとを有する。スイッチング素子20SWは、CMOSである。撮像素子20が有する複数の画素20PXは、いずれも同様の構造である。それぞれの画素20PXが有するフォトダイオード20PDは、増幅器20APを介してスイッチング素子20SWのソースに接続されている。x方向に配列された画素20PXが有するスイッチング素子20SWのゲートは、ゲート線82に接続されている。y方向に配列された画素20PXが有するスイッチング素子20SWのドレインは、信号線83に接続されている。
それぞれのゲート線82は、行選択部80の各素子80A、80B、80C、80Dに接続されている。それぞれの信号線83は、列選択用のスイッチング素子84のソースに接続されている。それぞれのスイッチング素子84のゲートは、列選択部81の各素子81A、81B、81C、81Dに接続されている。それぞれのスイッチング素子84のドレインは、AD(Analog/Digital)コンバータ85の入力部に接続されている。
それぞれの画素20PXが有するリセット用素子20RTは、x方向、すなわち行方向に延在する配線88と、y方向、すなわち列方向に延在する配線89とに接続されている。配線88は、行リセット部86の各素子86A、86B、86C、86Dに接続されている。配線89は、列選択用のスイッチング素子89SWのソースに接続されている。それぞれのスイッチング素子89SWのゲートは、列リセット部87の各素子87A、87B、87C、87Dに接続されている。それぞれのスイッチング素子89SWのドレインは、グランドGに接続されている。行選択部80、列選択部81、行リセット部86及び列リセット部87は、制御装置4によって制御される。ADコンバータ85の出力は、制御装置4に入力される。
制御装置4は、行選択部80と列選択部81とを制御することにより、撮像素子20が備える複数の画素20PXのうち、任意の1以上の画素20PXからフォトダイオード20PDの出力を取得することができる。例えば、制御装置4が行選択部80の素子80Aを動作させて、素子80Aに接続されているゲート線82に各画素20PXのスイッチング素子20SWをONさせる信号(行選択信号)を与える。この状態で、制御装置4が列選択部81の素子81Aを動作させて、これに接続されている列選択用のスイッチング素子84のゲートにこれをONさせる信号(列選択信号)を与える。すると、1行1列の位置に配置されている画素20PXのフォトダイオード20PDからの出力が増幅器20APで増幅されて、ADコンバータ85に入力される。ADコンバータ85は、この出力をディジタル変換して制御装置4に入力する。
制御装置4は、行リセット部86と列リセット部87とを制御することにより、撮像素子20が備える複数の画素20PXのうち、任意の1以上の画素20PXが備えるリセット用素子20RTにリセット信号を与える。このようにすることで、フォトダイオード20PDの電荷を放出させることができる。例えば、制御装置4が行リセット部86の素子86Aを動作させて、素子86Aに接続されている配線88に、各画素20PXのリセット用素子20RTを動作させる信号(行リセット信号)を与える。この状態で、制御装置4が列リセット部87の素子87Aを動作させて、これに接続されているスイッチング素子89SWのゲートにこれをONさせる信号(列リセット信号)を与える。すると、1行1列の位置に配置されている画素20PXのフォトダイオード20PDの電荷は、ONになったスイッチング素子89SWのソースからドレインを通ってグランドGに放出される。
制御装置4は、行選択部80からの行選択信号、列選択部81からの列選択信号及びリセット信号のタイミングで、各画素20PXの露光時間、具体的には各画素20PXが備えるフォトダイオード20PDの露光時間を各画素20PX画素毎に変更することができる。制御装置4の制御部32は、例えば、行選択部80の素子80A、80Cに接続されている複数の画素20PXの露光時間を第1の露光時間に設定し、素子80B、80Dに接続されている複数の画素20PXの露光時間を第1の露光時間とは異なる第2の露光時間に設定する。このようにすることで、行選択部80の素子80A、80Cに接続されている複数の画素20PX、すなわち奇数番の画素行20L1、20L3の感度(第1感度)と、行選択部80の素子80B、80Dに接続されている複数の画素20PX、すなわち偶数番の画素行20L2、20L4の感度(第2感度)とを異ならせることができる。
図15は、CCDを用いた撮像素子20Aを示す図である。撮像素子20Aは、複数(本例では4個)の垂直転送CCD群90と、1個の水平転送CCD群91とを有している。それぞれの垂直転送CCD群90は、複数(本例では4個)のCCD90a、90b、90c、90dを有している。垂直転送CCD群90のCCD90a、90b、90c、90dは、それぞれ各画素20PXAのフォトダイオード20PDAに接続されている。水平転送CCD群91は、複数(本例では4個)のCCD91a、91b、91c、91dを有している。各CCD91a、91b、91c、91dには、垂直転送CCD群90の出力部が接続されている。
水平転送CCD群91の出力部は、切替スイッチ92の入力部に接続されている切替スイッチ92の出力部は、それぞれ、第1増幅器93Aと第2増幅器93Bとに接続されている。第1増幅器93Aの出力部と第2増幅器93Bの出力部とは、いずれもADコンバータ95Bに接続されている。ADコンバータ95Bの出力は、制御装置4に入力される。垂直転送CCD群90、水平転送CCD群91及び切替スイッチ92は、いずれも制御装置4によって制御される。
第1増幅部93Aの増幅率と、第2増幅器93Bの増幅率とは異なる。制御装置4の制御部32は、水平転送CCD群91が転送する画素行に対応して切替スイッチ92を動作させる。そして、制御部32は、水平転送CCD群91が転送する画素行からの電荷の転送先を第1増幅部93A又は第2増幅部93Bに切り替える。例えば、各垂直転送CCD群91のCCD90d、90bから水平転送CCD群91の各CCD91a、91b、91c、91dに電荷が転送される場合、制御部32は、第2増幅部93Bにその電荷を転送する。また、各垂直転送CCD群91のCCD90c、90aから水平転送CCD群91の各CCD91a、91b、91c、91dに電荷が転送される場合、制御部32は、第1増幅部93Aにその電荷を転送する。
すなわち、奇数番目の画素行20AL3、20AL1に対応する画素20PXAからの電荷は第1増幅部93Aに転送され、偶数番目の画素行20AL4、20AL2に対応する画素20PXAからの電荷は第2増幅部93Bに転送される。第1増幅部93Aの増幅率と、第2増幅器93Bの増幅率とは異なるため、奇数番目の画素行20AL3、20AL1に対応する画素20PXAと偶数番目の画素行20AL4、20AL2に対応する画素20PXAとで、感度を異ならせることができる。奇数番目の画素行20AL3、20AL1と偶数番目の画素行20AL4、20AL2とで感度を変更する場合、制御部32は、前者からの電荷を第2増幅部93Bに転送し、後者からの電荷を第1増幅部93Aに転送すればよい。
図16Aは、フィルタを備えた撮像素子20Bを示す図である。図16Bは、撮像素子20Bが備えるフィルタが透過させる光の波長を示す図である。図16Bの縦軸は光の強度であり、横軸は光の波長である。図17は、フィルタを備えた撮像素子20Bを用いて感度を変更する一例を示す図である。撮像素子20Bは、奇数番目の画素行20BL1、20BL3が第1撮像領域AAであり、偶数番目の画素行20BL2、20BL4が第2撮像領域ABである。撮像素子20Bは、第1撮像領域AAの画素行20BL1、20BL3にそれぞれ第1フィルタ20FAが取り付けられ、第2撮像領域ABの画素行20BL2、20BL4にはそれぞれ第2フィルタ20FBが取り付けられている。第1フィルタ20FA及び第2フィルタ20FBは、所定の波長の光を透過させるフィルタである。
第1フィルタ20FAは、図16Bの実線に示すように、波長λ1から波長λ3までの光の透過率が高く、波長λ1を下回る光及び波長λ3を超える光の透過率は低くなる。第2フィルタ20FBは、図16Bの破線に示すように、波長λ3から波長λ5までの光の透過率が高く、波長λ3を下回る光及び波長λ5を超える光の透過率は低くなる。図17に示すように、撮像素子20Bを用いる場合、光源装置12aを用いる。光源装置12aは、第1光源12Aと、第2光源12Bと、切替装置8Sとを含む。光源装置12aは、制御装置4によって制御される。第1光源12Aは、波長λ1から波長λ4の範囲の第1光を射出し、第2光源12Bは、波長λ2から波長λ5の範囲の第2光を射出する。
制御装置4の制御部32は、第1光源12Aから第1光を被測定物Mに向けて射出させる。被測定物Mで反射した第1光は、撮像素子20Bが受光する。第1光は、第1フィルタ20FAを透過する波長の光を多く含んでおり、第2フィルタ20FBを透過する波長の光は少ない。このため、第1フィルタ20FAが取り付けられた第1撮像領域AAには、第2フィルタ20FBが取り付けられた第2撮像領域ABよりも多くの光が入射する。すなわち、第1撮像領域AAの感度は第2撮像領域ABの感度よりも高くなる。
次に、制御装置4の制御部32は、第2光源12Bから第2光を被測定物Mに向けて射出させる。被測定物Mで反射した第2光は撮像素子20Bが受光する。第2光は、第2フィルタ20FBを透過する波長の光を多く含んでおり、第1フィルタ20FAを透過する波長の光は少ない。このため、第2フィルタ20FBが取り付けられた第2撮像領域ABには、第1フィルタ20FAが取り付けられた第1撮像領域AAよりも多くの光が入射する。すなわち、第2撮像領域ABの感度は第1撮像領域AAの感度よりも高くなる。このように、光のフィルタと複数の光とを用いることにより、撮像素子20Bの第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを異ならせることができる。
図18及び図19は、第1画像PIAと第2画像PIBとを合成する例を説明する図である。第1画像PIAと第2画像PIBとを合成するにあたり、図3に示す算出部38は、第1画像PIAの部分PI1、PI3に現れた画像IEa1の端部(例えば、図19に示すPt1a(xa、ya)、Pt1b(xb、yb))と、第2画像PIBの部分PI2、PI4に現れた画像IEa2の端部(例えば、図19に示すPt2a(xc、yc)、Pt2b(xd、yd))とが一致するように合成する。例えば、画像IEa1の端部Pt1a(xa、ya)と、画像IEa2の端部Pt2a(xc、yc)とが一致しない場合、算出部38は、両者が一致するように、第1画像PIAと第2画像PIBとを、例えば、x方向に移動させてこれらを一致させる。
この処理において、算出部38は、撮像素子20が撮像して得られた第1画像PIAと第2画像PIBとを画像処理によって画像情報に変換してから合成している。形状測定装置1は、被測定物Mと光学プローブ3とを相対的に移動させながら撮像するので、得られる第1画像PIAと第2画像PIBとでは、それぞれの座標値が異なる。被測定物Mと光学プローブ3とが相対移動する場合に、被測定物Mの形状の変化が十分に小さい場合、算出部38は、第1画像PIAと第2画像PIBとを合成する場合には、前述した相対移動を考慮しなくてもよい。しかし、被測定物Mと光学プローブ3とが相対移動する場合に、被測定物Mの形状の変化が無視できない場合、第1画像PIAと第2画像PIBとを合成する場合、被測定物Mと光学プローブ3との相対移動を考慮して、両者を合成する。
図18に示した例は、撮像素子20が撮像して得られた第1画像PIAと第2画像PIBとを、算出部38が画像処理によって画像情報に変換してから合成した。そして、算出部38は、第1画像PIAの部分PI1、PI3に現れた画像IEa1の端部と、第2画像PIBの部分PI2、PI4に現れた画像IEa2の端部との間に存在する情報が欠落していた場合、例えば、補間等によって欠落部分の情報を得る。第1画像PIAの部分PI1に現れた画像IEa1の端部と、第2画像PIBの部分PI2に現れた画像IEa2の端部との間に存在する情報が欠落していた場合も同様である。本実施形態においては、第1画像PIAと第2画像PIBとの合成はこのようなものに限定されない。例えば、撮像素子20が撮像して得られた座標情報が画像情報に変換される前に、第1画像PIAに相当する座標情報と第2画像PIBに相当する座標情報とを合成してもよい。
第1画像PIAの部分PI1と部分PI3との間に存在する第2画像PIBの部分PI2に、エラーその他の原因で、画像IEa2が存在しない場合もある。また、第1画像PIAの部分PI1に現れた画像IEa1の端部と、第2画像PIBの部分PI2に現れた画像IEa2の端部との間に情報が存在しない場合もある。このような場合、算出部38は、図19に示す、第1画像PIAの部分PI1に存在する画像IEa1の部分PI2側における端部Pt1a(xa、ya)と、第1画像PIAの部分PI3に存在する画像IEa1の部分PI2側における端部Pt1b(xb、yb)とを用いて、両者の間を補間(例えば、線形補間)してもよい。そして、算出部38は、この補間によって得られた情報を、第2画像PIBの画像IEa2としてもよい。また、画像IEa2は存在するが、画像IEa1との間の情報が欠落している場合、算出部38は、図19に示す、画像IEa1の端部Pt1a(xa、ya)と、画像IEa2の端部Pt2a(xc、yc)とを用いて、両者の間を補間してもよい。このようにすれば、仮に情報が欠落しても、欠落した情報を補うことができる。
図20Aは、欠落した情報が補間されていない合成画像PICnを示す図である。図20Bは、欠落した情報が補間された合成画像PICcを示す図である。合成画像PICnにおいて、情報が欠落している部分は、実線の直線で示す部分になる。すなわち、隣接する画像IEa1と画像IEa2との間の情報が存在しない結果、両者の間が不連続になる。欠落した情報が補間されると、図20Bに示す合成画像PICnのように、情報が欠落している部分(図20Aにおいて実線の直線で示される部分)が消えて、隣接する画像IEa1と画像IEa2とが連続する。
被測定物Mの表面に異常が存在する場合も、その部分が合成した画像に現れる。このため、欠落した情報を補間しないと、情報が欠落している部分が合成画像PICnに現れる結果、情報が欠落している部分と被測定物Mの表面に異常が存在する部分との区別が困難になる可能性がある。欠落した情報を補間することにより、情報が欠落している部分は合成画像PICcにほとんど現れないため、情報が欠落している部分と被測定物Mの表面に異常が存在する部分との区別が容易になる。撮像された照明光束Lから得られた合成画像PICを作業者が目視して、被測定物Mの表面の異常を発見する場合、前述した補間をすることによって、異常の発見が容易になるという利点がある。この場合、算出部38が第1画像PIAと第2画像PIBとを合成して合成画像PICを得るにあたり、算出部38は、前述した相対移動を考慮しなくてもよい。
図21は、撮像素子20の撮像タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図21に示す2つのタイミングチャートのうち、上側が第1撮像領域AAの撮像タイミングであり、下側が第2撮像領域ABの撮像タイミングである。図3に示す制御部32は、所定のタイミングで撮像素子20に被測定物Mを撮像させる。1回の撮像に要する時間(以下、適宜撮像時間という)をT秒とする。例えば、制御部32は、1秒間にn回、被測定物Mを撮像素子20に撮像させる場合、T=1/nになる。1回の撮像に要する期間は、図21に示す時間t1から時間t2の間、時間t2から時間t3の間及び時間t3から時間t4の間は、いずれも撮像時間Tに相当する。
図21中の上段は、撮像素子20の第1撮像領域AAにおける露光のタイミングを示している。図21中の下段は、撮像素子20の第2撮像領域ABにおける露光のタイミングを示している。それぞれの撮像時間Tにおいて、撮像素子20は、図21に示す時間ts1で第1感度による露光を開始し、時間ts2で第2感度による露光を開始する。そして、撮像素子20は、時間teで露光を終了する。時間teは、時間t1、t2、t3、t4に一致する。時間t1から時間ts1及び時間ts2までは、撮像素子20の画素20PXをリセットするための時間を含む。時間ts1から時間teまでに要する時間Δtaが第1感度の露光時間であり、時間ts2から時間teまでに要する時間Δtbが第2感度の露光時間である。
図3に示す制御装置4の移動量算出部39は、被測定物Mと光学プローブ3、との相対移動の移動量(以下、適宜相対移動量という)を算出する。前述したように、光学プローブ3は、光源装置8及び撮像装置9を備える。撮像装置9は、撮像部としての撮像素子20及び結像光学系21を備えるので、移動量算出部39は、被測定物Mと撮像部としての撮像素子20との相対移動量を算出することになる。
本実施形態において、移動量算出部39は、第1画像PIAが生成されるときにおいて移動量算出部39によって算出される相対移動量を用いて、第2画像PIBが生成されるときの相対移動量を算出する。本実施形態において、第1画像PIAが生成されるときとは、例えば、撮像素子20が第1撮像領域AAを第1感度とし、第2撮像領域ABを第2感度として被測定物Mを撮像するときである。また、本実施形態において、第2画像PIBが生成されるときとは、例えば、撮像素子20が第1撮像領域AAを第2感度とし、第2撮像領域ABを第1感度として被測定物Mを撮像するときである。
第1画像PIAが生成されるときにおける、被測定物Mと撮像素子20との相対移動量をMVとする。図21に示す例において、FL1、FL3は第1画像PIAが生成される期間を示し、FL2は第2画像PIBが生成される期間を示している。期間FL1が終了するタイミングは、時間t2である。移動量算出部39は、時間t2における相対移動量を取得して図3に示す記憶部40に一時的に記憶させる。被測定物Mと撮像素子20とが相対移動する速度が一定である場合、時間t2からT−Δtbが経過した時点で、撮像素子20の第1撮像領域AAにおける第2感度での露光が開始する。
被測定物Mと撮像素子20とが相対移動する速度をvとする。第1画像PIAが生成されたとき(時間t2)における移動量MVに、v×(T−Δtb)を加算した値が、第2画像PIBが生成されるときにおいて第2感度での露光が開始するときの相対移動量となる。第1画像PIAが生成されたときの移動量MVに、v×(T−Δta)を加算した値は、第2画像PIBが生成されるときにおいて第1感度での露光が開始するときの相対移動量となる。第2画像PIBが生成されたとき(時間t3)の相対移動量は、第1画像PIAが生成されたとき(時間t2)における移動量MVに、v×Tを加算した値となる。
このように、本実施形態において、移動量算出部39は、第1画像PIAが生成されるときにおいて移動量算出部39が算出した相対移動量を用いて、第2画像PIBが生成されるときの相対移動量を算出する。このようにすることで、第1画像PIAと第2画像PIBとを撮像(生成)する毎に位置検出部11が位置を検出しなくてもよい。
前述した説明では、第1感度及び第2感度で露光するタイミングの位置を算出したが、移動量算出部39は、露光開始後の位置も算出することができる。例えば、移動量算出部39は、第1画像PIAが生成されたとき(時間t2)における移動量MVに、v×(T−Δtb/2)を加算すれば、第2画像PIBが生成されるときにおいて、第2感度での露光時間の1/2が経過した時点における相対移動量を求めることができる。同様に、移動量算出部39は、第1画像PIAが生成されたときの移動量MVに、v×(T−Δta/2)を加算すれば、第2画像PIBが生成されるときにおいて、第1感度での露光時間の1/2経過した時点における相対移動量を求めることができる。
すなわち、本実施形態においては、撮像時間Tと、第1感度の露光時間Δtaと、第2感度の露光時間Δtbとが既知である。また、本実施形態においては、撮像開始時、第1感度での露光開始時及び第2感度での露光開始時は、制御部32が決定する。このため、移動量算出部39は、制御部32から、撮像が開始されたタイミング及び第1感度での露光が開始されたタイミング等と、第1画像PIAが生成されたときの移動量MVと相対移動する速度vと、撮像時間T内における任意の時間とから、この任意の時間における相対移動量を算出することができる。
移動量算出部39は、形状測定装置1が被測定物Mの形状の測定を開始した時点から、相対移動量を求めることもできる。例えば、最初の撮像時間Tにおいて、撮像素子20が第1感度での露光を開始する時間は、撮像開始時からT−Δtaである。したがって、v×(T−Δta)が、最初の撮像時間Tにおいて第1感度での露光を開始した時点における相対移動量になる。同様に、v×(T−Δtb)は、最初の撮像時間Tにおいて第2感度での露光を開始した時点における相対移動量になる。
前述したように、移動量算出部39は、第1感度での露光中における相対移動量及び第2感度での露光中における相対移動量を求めることができる。本実施形態において、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとは、それぞれ第1感度と第2感度とが交互に入れ替えられる。すなわち、撮像素子20による被測定物Mの撮像時において、第1撮像領域AAは、第1感度、第2感度、第1感度、第2感度の順に露光され、第2撮像領域ABは、第2感度、第1感度、第2感度、第1感度の順に露光される。したがって、移動量算出部39は、撮像素子20が被測定物Mを撮像しているときの相対移動量とを、それぞれ別個に求めることもできる。このようにすることで、算出部38は、撮像素子20の第1撮像領域AAが露光されているときと、第2撮像領域ABが露光されているときとで、それぞれ別個に光学プローブ3の座標情報及び保持回転装置7の回転位置情報を求めることができる。
図21に示すように、本実施形態では、第1撮像領域AAでの露光を終了するタイミングと第2撮像領域ABでの露光を終了するタイミングとを一致させている。このようにすることで、撮像素子20の動作を制御する制御装置4の制御が容易になるという利点がある。
(第1変形例)
前述した実施形態において、形状測定装置1は、撮像素子20の第1撮像領域AAを第1感度とし、第2撮像領域ABを第2感度として撮像し、次に第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを入れ替えて撮像し、以後、一回撮像する毎に第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを入れ替える。本変形例は、撮像素子20の第1撮像領域AAを第1感度とし、第2撮像領域ABを第2感度として、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとで感度を入れ替えずに撮像する。このようにすると、例えば、図7に示す第1画像PIA又は図8に示す第2画像PIBのいずれか一方が得られる。
この場合、第1画像PIAの画像IEa1は第2感度に設定された第2撮像領域ABに対応した情報が欠落し、画像IEb1は、第1感度に設定された第1撮像領域AAに対応した情報が欠落している。また、第2画像PIBの画像IEa2は第2感度に設定された第2撮像領域ABに対応した情報が欠落し、画像IEb2は、第1感度に設定された第1撮像領域AAに対応した情報が欠落している。しかし、第1画像PIA及び第2画像PIBは、画像IEa1等の欠落した部分の両側又は片側に情報が存在する。このため、算出部38は、画像IEa1等の欠落した部分の両側又は片側に存在する情報を用いて、欠落した情報を、例えば、補間等によって求めることができる。
図22は、第1変形例によって得られた点群データの一例を示す図である。図4に示す、三角柱の形状の被測定物Mを、例えば、撮像素子20の第1撮像領域AAを第1感度とし、第2撮像領域ABを第2感度として、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとで感度を入れ替えずに撮像すると、図22に示すような点群データDGが得られ、元の点間隔の1.5倍となる。実施形態1は、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとで感度を入れ替えながら撮像するが、この場合、前述した図9Dに示すような点群データDGが得られ、元の点間隔の0.5倍となる。つまり、本変形例は、点群データDGの数が少ない。しかし、本変形例も、前述した実施形態1と同様に、被測定物Mの全体の形状が三角柱の形状であることが把握できる。
図9Cに示した、異なる反射率の表面を有する被測定物Mが1つの感度で撮像されたときに得られた点群データDGは、撮像された被測定物Mのうち、一部の反射率の部分のみしか得られていない。このため、図9Cに示す点群データDGからは、反射率が異なる表面を有する被測定物Mの形状を求めることができない。本変形例は、異なる反射率の表面を有する被測定物Mが1つの感度で撮像されたときと比較すると、被測定物Mの全体形状を把握できる。このため、本変形例は、得られた点群データDGを補間する等によって、不足する被測定物Mの形状情報を得ることができる。結果として、本変形例は、反射率が異なる表面を有する被測定物Mの形状を求めることができる。
このように、撮像素子20は、第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABが第1方向としてのx方向と平行に複数の画素20PXが配列され、かつ第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABは、x方向と交差(本実施形態では直交するがこれには限定されない)する第2方向としてのy方向に設定されていればよい。すなわち、撮像素子20は、第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABとの感度とが入れ替えられなくてもよい。
(第2変形例)
実施形態1及びその第1変形例では、第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABの感度をそれぞれ2段階で変更した。本変形例は、第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABの感度をそれぞれ2段階で変更する。次の説明では、露光時間を異ならせることによって感度が変更される。基本となる露光時間をTBとし、第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABの露光時間をTB、TB/10、TB/100、TB/1000の4段階で変更する。
撮像素子20の露光時において、第1撮像領域AAの露光時間と第2撮像領域ABの露光時間との組合せは、例えば、(TB、TB/10)、(TB/10、TB)、(TB/100、TB/1000)、(TB/1000、TB/100)の順に変化し、これを繰り返す。第1撮像領域AAの露光時間がTB、第2撮像領域ABの露光時間がTB/10のときに得られる画像が第1画像、第1撮像領域AAの露光時間がTB/10、第2撮像領域ABの露光時間がTBのときに得られる画像が第2画像である。また、第1撮像領域AAの露光時間がTB/100、第2撮像領域ABの露光時間がTB/1000のときに得られる画像が第3画像、第1撮像領域AAの露光時間がTB/1000、第2撮像領域ABの露光時間がTB/100のときに得られる画像が第4画像である。
このようにすれば、撮像素子20の露光量を1倍から1000倍に変化させることができる。その結果、形状測定装置1は、被測定物Mの反射率が大きく異なる場合であっても、被測定物Mの表面を撮像して被測定物Mの形状に関する情報を得ることができる。また、被測定物Mが異なる反射率の部分を3以上有する場合でも、形状測定装置1は、被測定物Mの表面を撮像して被測定物Mの形状に関する情報を得ることができる。
(実施形態2)
図23から図25は、実施形態2に係る処理を説明するための図である。図23に示すように、撮像素子20は、画素行20L1、20L3が第1撮像領域AA、画素行20L2、20L4が第2撮像領域ABである。図24に示す、第1画像PIAでの第1感度で生成される画像、例えば、第1撮像領域AAに対応する部分PI1、PI3の画像と、図25に示す、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像、例えば、第1撮像領域AAに対応する部分PI1、PI3の画像とが同一である場合がある。また、図24に示す、第1画像PIAでの第2感度で生成される画像、例えば、第2撮像領域ABに対応する部分PI2、PI4の画像と、図25に示す、第2画像PIBでの第1感度で生成される画像、例えば、第2撮像領域ABに対応する部分PI2、PI4の画像とが同一である場合がある。このような場合、撮像素子20の撮像領域AARが第1感度であっても第2感度であっても、異なる反射率の部分を有する被測定物Mの全体を撮像することができる。
図3に示す制御装置4の算出部38は、第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一である場合、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとを、第1感度又は第2感度の一方として第3画像を生成する。そして、算出部38は、生成した第3画像を用いて、被測定物Mの形状を算出する。第1画像PIAでの第2感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第1感度で生成される画像とが同一である場合も同様である。このようにすれば、被測定物Mの表面形状データである3次元座標値の点群データの数が多くなるので、算出部38が算出した被測定物Mの形状の精度が向上する。
図26は、実施形態2に係る形状測定装置1の制御装置4が被測定物Mの形状を測定する際に実行する処理を示すフローチャートである。ステップS21からステップS25は、実施形態1に係る処理のステップS11からステップS15と同様なので、説明を省略する。ステップS25において、被測定物Mの全体の撮像が終了した場合(ステップS25、Yes)、ステップS26において、算出部38は、第1画像PIAと第2画像PIBとを作成し、両者を比較する。
第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一である場合(ステップS26、Yes)、ステップS27において、算出部38は、第1感度又は第2感度のいずれか一方を用いた第3画像から、被測定物Mの形状を算出する。制御部32は、以後において、撮像素子20の撮像領域AARのすべて、本実施形態では第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABを第1感度又は第2感度のいずれか一方に設定して、被測定物Mを撮像する。すなわち、制御部32は、第1感度と第2感度とを等しい値にして、被測定物Mを撮像する。
第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが異なる場合(ステップS26、No)、算出部38は、第1画像PIAと第2画像PIBとの両方を合成した画像を用いて、被測定物Mの形状を算出する。すなわち、ステップS28及びステップS29を実行する。ステップS28及びステップS29は、実施形態1のステップS16及びステップS17と同様である。制御部32は、以後において、撮像素子20の第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを、それぞれが異なる値に設定し、かつ撮像毎に両者の感度を入れ替えて、被測定物Mを撮像する。
算出部38は、第1感度と第2感度とが異なる場合と、第1感度と第2感度とが等しい場合とで、異なる処理によって被測定物Mの形状を算出する。後者の場合、算出部38は、撮像によって得られた情報、例えば、第3画像の情報に対して、2次元の平滑フィルタを通過させる処理を行い、その結果得られた情報から被測定物Mの形状を算出する。これに対して、前者の場合、算出部38は、撮像によって得られた情報、例えば、第1画像PIAと第2画像PIBとを合成した画像の情報に対して、第3画像の情報を通過させたフィルタとは異なるフィルタを通過させる処理を行い、その結果得られた情報から被測定物Mの形状を算出する。算出部38は、第3画像又は第1画像PIA及び第2画像PIBが作成される前の情報に対して、フィルタを通過させる処理を行ってもよい。
図27Aから図27Cは、平滑フィルタを用いた処理を説明するための図である。第1感度と第2感度とが等しい場合、算出部38は、例えば、図27Aに示される3×3の平滑フィルタSFを用いて第3画像に含まれるすべての画素に対してフィルタリングを実行する。平滑フィルタSFは、3×3に限定されるものではなく、3×3、5×5等であってもよい。式(1)においては、3画素×3画素の平滑フィルタSF内の処理対象となる画素PXを注目画素P(n、m)と表記する。処理後における注目画素P(n、m)の値をI(n、m)とすると、I(n、m)は、式(1)となる。nはY方向(列方向)に配列される複数の画素PXの列を識別するための符号、mはX方向(行方向)に配列される複数の画素PXの列を識別するための符号であり、いずれも整数である(以下同様)。
I(n、m)=a(−1、−1)×P(n−1、m−1)+a(0、−1)×P(n、m−1)+a(1、−1)×P(n+1、m−1)
+a(−1、0)×P(n−1、m)+a(0、0)×P(n、m)+a(1、0)×P(n+1、m)
+a(−1、1)×P(n−1、m+1)+a(0、1)×P(n、m+1)+a(1、1)×P(n+1、m+1)・・・(1)
a(i、j)は、注目画素P(n、m)の周囲に存在する画素PXの値に乗ずる定数である。i及びjは整数である。iは、注目画素P(n、m)からY方向にi画素離れた位置に存在する画素PXの値に乗ずる定数であることを示し、jは、注目画素P(n、m)からX方向にj画素離れた位置に存在する画素PXの値に乗ずる定数であることを示す。i及びjが正の値をとるとき、注目画素P(n、m)に対して一方の方向を示す。i及びjが負の値をとるとき、注目画素P(n、m)に対して他方の方向を示す。
a(i、j)は、0以上1以下の整数である。例えば、式(1)において、a(0、0)=1とし、a(0、0)以外を0とすると、平滑フィルタSFを通過した後における第1画像PIAと第2画像PIBとを合成した画像の情報は、通過前と同一である。a(i、j)の値を目的に応じて適宜変更することにより、平滑フィルタSFは、元の画像を平滑化したり、元の画像がぼけすぎないような平滑化を実現したりすることができる。
第1感度と第2感度とが異なる場合、算出部38は、例えば、図27Bに示される3×5の平滑フィルタSFaを用いて第3画像に含まれるすべての画素に対してフィルタリングを実行する。平滑フィルタSFaは、第1感度と第2感度とが等しい場合に用いられた平滑フィルタSFとは異なっている。3画素×5画素の平滑フィルタFAa内の処理対象となる画素20PXを注目画素P(n、m)と表記する。処理後における注目画素P(n、m)の値をI(n、m)とすると、I(n、m)は、式(2)となる。このフィルタリング処理においては、3画素×5画素の平滑フィルタFAa内に含まれる15個の画素のうち一部(この例では9個)の値が用いられる。図27Bでは、注目画素P(n、m)とハッチングの方向が異なる8個の画素PXが用いられる。
I(n、m)=a(−1、−2)×P(n−1、m−2)+a(0、−2)×P(n、m−2)+a(1、−2)×P(n+1、m−2)
+a(−1、0)×P(n−1、m)+a(0、0)×P(n、m)+a(1、0)×P(n+1、m)
+a(−1、2)×P(n−1、m+2)+a(0、2)×P(n、m+2)+a(1、2)×P(n+1、m+2)・・・(2)
また、第1感度と第2感度とが異なる場合、算出部38は、例えば、図27Cに示される3×1の平滑フィルタSFbを用いて第3画像に含まれるすべての画素に対してフィルタリングを実行する。平滑フィルタSFbは、第1感度と第2感度とが等しい場合に用いられた2次元の平滑フィルタSFとは異なり、1次元である。3画素×1画素の平滑フィルタFAa内の処理対象となる画素PXを注目画素P(n、m)と表記する。処理後における注目画素P(n、m)の値をI(n、m)とすると、I(n、m)は、式(3)で求められる。
I(n、m)=a(−1、0)×P(n−1、m)+a(0、0)×P(n、m)+a(1、0)×P(n+1、m)・・・(3)
図28は、実施形態2の変形例に係る処理のフローチャートである。第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一である場合(ステップS31、Yes)、算出部38は、第1感度又は第2感度のいずれか一方を用いた第3画像又は第1画像PIAと第2画像PIBとの両方を合成した画像のいずれを用いても、被測定物Mの形状を算出できる。このような場合、算出部38は、撮像素子20の撮像領域AARを、第1感度又は第2感度のいずれか一方に設定して測定できること、すなわち、前述した第3画像を生成可能であることの信号を生成する(ステップS32)。そして、算出部38は、生成した信号を、図2に示す表示部としての表示装置5に表示させる(ステップS34)。例えば、表示装置5は、第1感度又は第2感度のいずれか一方を用いて測定可能である旨の情報を表示する。
第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一でない場合(ステップS31、No)、算出部38は、複数の撮像領域と複数の感度とを組合せ、かつ撮像毎に撮像領域の感度を入れ替え又は変更する測定が必要であると判定する(ステップS33)。本変形例では、制御部32は、第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABと第1感度及び第2感度とを組み合わせて被測定物Mを撮像し、算出部38がその形状を算出する。
本変形例は、第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一である場合等には、表示装置5が第1感度又は第2感度のいずれか一方を用いて測定可能である旨の情報を表示する。作業者は、この情報を確認して、第1感度又は第2感度のいずれか一方を用いて被測定物Mの形状を測定するか、複数の撮像領域と複数の感度とを組合せ、かつ撮像毎に撮像領域の感度を入れ替え又は変更して被測定物Mの形状を測定するかを選択することができる。このため、被測定物Mの形状を計測する際の自由度が向上する。
なお、前述の実施形態に加えて、光プローブ3は、例えば特開2010−169633号に記載のロボットアームが保持していても構わない。また、光プローブ3を測定者が保持し、計測しても構わない。
なお、前述の実施形態では、被測定物の形状を光切断法で計測していたが、被測定物の形状の測定方法はこれに限られない。例えば、特開2008−170281号に記載のような投影パターンを使い、被測定物の形状を測定しても構わない。また、例えば、特開2008−170281号に記載のように、位相情報を使用して、被測定物の形状を測定しても構わない。
なお、第1画像P1Aと第2画像P1Bとを取得する際に、撮像毎に撮像領域の感度を入れ替えて被測定物Mの形状を測定する。この場合に、撮像素子20の第1撮像領域AAを第1感度として、第2撮像領域ABを第2感度として撮像する。次に、形状測定装置1は、撮像素子20の第1撮像領域AAの感度と第2撮像領域ABの感度とを入れ替えて撮像する。感度を入れ替える場合に、第1画像P1Aで用いた感度の組み合わせである第1感度と第2感度とを、第2画像P1Bで用いなくても構わない。例えば、第1画像を取得する際に、第1撮像領域AAの第1感度に対して、第2撮像領域ABの第2感度が高い。この場合に、第2画像を取得する際に、第1撮像領域AAを第3感度とし、第2撮像領域ABを第4感度と設定する。この場合に、第4感度に対して第3感度が高い。すなわち、第1画像を取得する際に用いた感度の組み合わせと、第2画像を取得する際に用いた感度の組み合わせとが異なっていても構わない。もちろん、第1画像を取得する際に用いた感度の組み合わせと、第2画像を取得する際に用いた感度の組み合わせとの一方の感度を、第1画像と第2画像とを取得する際に用いても構わない。
なお、撮像素子20の第1撮像領域AA及び第2撮像領域ABに設定される感度は、適宜変更することが可能である。例えば、第1画像を取得する場合に、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとに、それぞれ第1感度と第2感度とを設定する以外にも、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとに、それぞれ第3感度と第4感度とを設定することも可能である。また、第2画像を取得する場合に、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとに、それぞれ第1感度と第2感度とを設定することが可能である。もちろん、第2画像を取得する場合に、第1撮像領域AAと第2撮像領域ABとに第5感度と第6感度とを設定することもできる。
本実施形態及びその変形例は、まず、複数の撮像領域と複数の感度とを組合せ、かつ撮像毎に撮像領域の感度を入れ替え又は変更して被測定物Mの形状を測定する。その結果、第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一であれば、複数の撮像領域の感度を複数の感度のうちいずれか1つに統一して被測定物Mが撮像される。また、第1画像PIAでの第1感度で生成される画像と、第2画像PIBでの第2感度で生成される画像とが同一でなければ、複数の撮像領域と複数の感度とを組み合わせた測定が継続される。その結果、本実施形態及びその変形例は、異なる反射率の部分を有する被測定物Mの形状を測定する場合、反射率に応じた適切な測定を実現することができる。
(形状測定システム300)
図29は、形状測定装置を有する形状測定システム300を示す図である。前述した形状測定装置1は、1台の装置で処理を行ったが複数組み合わせてもよい。形状測定システム300は、形状測定装置1と、複数台(図では2台)の形状測定装置1aと、プログラム作成装置302とを、有する。形状測定装置1、プログラム作成装置302は、有線又は無線の通信回線で接続されている。形状測定装置1aは、初期測定範囲設定部33を備えていない以外は、形状測定装置1と同様の構成である。プログラム作成装置302は、上述した形状測定装置1の制御装置4で作成する種々の設定を行ったりプログラムを作成したりする。具体的には、プログラム作成装置302は、初期測定範囲を設定したり、形状測定プログラム及び測定対象範囲の全範囲の測定プログラム等を作成したりする。
プログラム作成装置302は、作成したプログラム及びデータを形状測定装置1に出力する。形状測定装置1aは、初期測定範囲、形状測定プログラム及び測定対象範囲の全範囲の測定プログラム等を、形状測定装置1又はプログラム作成装置302から取得する。そして、形状測定装置1aは、取得したデータ及びプログラムを用いて処理を行う。形状測定システム300は、測定プログラムを形状測定装置1又はプログラム作成装置302で作成したデータ及びプログラムを用いて、形状測定装置1aで計測を実行することで、作成したデータ及びプログラムを有効活用することができる。また、形状測定装置1aは、初期測定範囲設定部33、さらにその他の設定を行う各部を設けなくても計測を行うことができる。
(構造物製造システム200)
図30は、構造物製造システム200のブロック構成図である。本実施形態の構造物製造システム200は、前述した実施形態において説明したような形状測定装置1と、設計装置202と、成形装置203と、制御装置(検査装置)204と、リペア装置205とを備える。制御装置204は、座標記憶部210及び検査部211を備える。
設計装置202は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置203に送信する。また、設計装置202は、作成した設計情報を制御装置204の座標記憶部210に記憶させる。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報を含む。
成形装置203は、設計装置202から入力された設計情報に基づいて、上記の構造物を作製する。成形装置203による成形は、例えば鋳造、鍛造及び切削等が含まれる。形状測定装置1は、作製された構造物(測定対象物)の座標を測定し、測定した座標を示す情報(形状情報)を制御装置204へ送信する。
制御装置204の座標記憶部210は、設計情報を記憶する。制御装置204の検査部211は、座標記憶部210から設計情報を読み出す。検査部211は、形状測定装置1から受信した座標を示す情報(形状情報)と、座標記憶部210から読み出した設計情報とを比較する。検査部211は、比較結果に基づき、構造物が設計情報通りに作製されたか否かを判定する。換言すれば、検査部211は、作製された構造物が良品であるか否かを判定する。検査部211は、構造物が設計情報通りに作製されていない場合に、構造物が修復可能であるか否か判定する。検査部211は、構造物が修復できる場合、比較結果に基づいて不良部位と修復量を算出し、リペア装置205に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。リペア装置205は、制御装置204から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づき、構造物の不良部位を加工する。
図31は、構造物製造システム200による処理の流れを示したフローチャートである。構造物製造システム200は、まず、設計装置202が構造物の形状に関する設計情報を作成する(ステップS101)。次に、成形装置203は、設計情報に基づいて前述した構造物を作製する(ステップS102)。次に、形状測定装置1は、作製された構造物の形状を測定する(ステップS103)。次に、制御装置204の検査部211は、形状測定装置1で得られた形状情報と前述した設計情報とを比較することにより、構造物が設計情報通りに作製されたか否か検査する(ステップS104)。
次に、制御装置204の検査部211は、作製された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS105)。構造物製造システム200は、作製された構造物が良品であると検査部211が判定した場合(ステップS105でYes)、その処理を終了する。また、検査部211は、作製された構造物が良品でないと判定した場合(ステップS105でNo)、作製された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS106)。
構造物製造システム200は、作製された構造物がリペア、すなわち修復できると検査部211が判定した場合(ステップS106でYes)、リペア装置205が構造物の再加工を実施し(ステップS107)、ステップS103の処理に戻る。構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できないと検査部211が判定した場合(ステップS106でNo)、その処理を終了する。以上で、構造物製造システム200は、図31に示すフローチャートの処理を終了する。
本実施形態の構造物製造システム200は、前述の実施形態における形状測定装置1が構造物の座標を高精度に測定することができるので、作製された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
なお、本実施形態におけるリペア装置205が実行するリペア工程は、成形装置203が成形工程を再実行する工程に置き換えられてもよい。その際には、制御装置204の検査部211が修復できると判定した場合、成形装置203は、成形工程(鍛造、切削等)を再実行する。具体的には、例えば、成形装置203は、構造物において本来切削されるべき箇所であって切削されていない箇所を切削する。これにより、構造物製造システム200は、構造物を正確に作製することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る実施形態に限定されないことは言うまでもない。前述した例において示した各構成部材の諸形状及び組合せ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、前述の実施形態の各構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、前述の各実施形態及び変形例で引用した形状測定装置等に関するすべての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。前述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態及び運用技術等は、すべて本実施形態の範囲に含まれる。
前述した実施形態における形状測定装置1は、保持部材55が片持ちで光学プローブ3を保持する構成を例示したが、これに限定されるものではなく、両持ちで保持する構成としてもよい。両持ちで保持することにより、回転時に保持部材55に生じ変形を低減することができ、測定精度の向上を図ることが可能になる。
また、上述実施形態では光学プローブ3から照明光束Lとしてライン光を照射し、被測定物から反射するライン状のパターンを撮像しているが、光学プローブ3の形式はこれに限られない。光学プローブ3から発せられる照明光は、所定の面内に一括で照射する形式でも構わない。例えば、米国特許6075605号に記載さる方式でも構わない。光学プローブから発せられる照明光は、点状のスポット光を照射する形式でも構わない。
また、形状測定装置は、上記実施形態のように、円周方向に繰り返し形状を有しかつ円周方向とは異なる方向に延在した凹凸形状を有する形状の被測定物の計測に好適に用いることができる。また、この場合、初期測定範囲は、被測定物の繰り返し形状の1つの形状の長手方向に沿って設定することが好ましい。これにより、径方向の移動経路を適切な経路とすることができる。なお、被測定物は、円周方向に繰り返し形状を有しかつ円周方向とは異なる方向に延在した凹凸形状を有する形状に限定されず、種々の形状、例えば、繰り返し形状を備えない形状であってもよい。