以下に、本発明の実施形態に係る異物除去工具及び異物除去方法につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図13を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、異物除去工具及び異物除去方法に関する。図1は、本発明の実施形態に係る研削装置の斜視図、図2は、実施形態に係る異物除去工具の要部を示す側面図、図3は、実施形態に係る被加工物を示す斜視図、図4は、研削加工を示す斜視図、図5は、研削加工を説明する平面図、図6は、実施形態の異物除去工具の動作を示す平面図、図7は、実施形態の異物除去工具の動作を示す側面図である。
また、図8は、第一の比較用砥石により異物を除去した場合のウェーハ厚に与える影響を示す図、図9は、第二の比較用砥石により異物を除去した場合のウェーハ厚に与える影響を示す図、図10は、実施形態に係る砥石本体により異物を除去した場合のウェーハ厚に与える影響を示す図、図11は、第一の比較用砥石によって洗浄された後の保持面を示す図、図12は、第二の比較用砥石によって洗浄された後の保持面を示す図、図13は、実施形態に係る砥石本体によって洗浄された後の保持面を示す図である。
図1に示す研削装置1は、板状物を収容するカセット23,24と、カセット23からの板状物の搬出またはカセット24への板状物の搬入を行う搬出入手段7と、被加工物Wの位置合わせを行うセンター合わせテーブル8と、板状物を搬送する第一の搬送手段9および第二の搬送手段20と、上部に板状物を吸引保持する保持テーブル4と、保持テーブル4を支持して回転可能なターンテーブル3と、保持テーブル4に保持された板状物を研削する第一研削手段5および第二研削手段6からなる研削手段40と、板状物の洗浄を行う洗浄手段21とを有している。また、本実施形態にかかる異物除去工具10は、図1に示す移動部11と、図2に示す円形砥石部12と、円形砥石部保持部13とを含んで構成されている。
図1に戻り、研削装置1の本体2は、直方体の形状を有する筐体である。ターンテーブル3は、本体2の上面に配置されている。ターンテーブル3は、鉛直軸(Z軸)回りに回転自在である。ターンテーブル3は、モーター等の駆動源によって回転駆動されて鉛直軸回りに回転する。カセット23には研削前の被加工物W(図3参照)、例えば半導体ウェーハが複数段に重ねて収納されており、搬出入手段7によって1枚ずつピックアップされてセンター合わせテーブル8に載置される。そして、ここで被加工物Wの位置合わせが行われた後、第一の搬送手段9に吸着されると共に第一の搬送手段9が矢印Y1で示すように旋回動することによって、保持テーブル4に被加工物Wが載置され、吸引保持される。
次に、ターンテーブル3が所要角度回転して被加工物Wが第一研削手段5の直下に位置付けられる。そして、第一研削手段5の直下に位置付けられた被加工物Wは、第一研削手段5の作用を受けて上面が研削される。
ここで、第一研削手段5においては、回転可能に支持されたスピンドル51の先端に設けたマウンタ52の下部に第一の研削ホイール53が固定され、図4に示すように、第一の研削ホイール53の下部には、第一の研削砥石5aが環状に配設されており、ここでは粗研削が行われる。第一の研削砥石5aは、粗研削用の砥石、例えば粒度#600の粒径より大きい粒径の砥粒から構成される。
そして、粗研削が行われた後は、ターンテーブル3が所要角度回転し、保持テーブル4が第二研削手段6の直下に位置付けられ、第二研削手段6の作用を受けて被加工物Wの上面が研削される。
ここで、第二研削手段6においては、回転可能に支持されたスピンドル61の先端に設けたマウンタ62の下部に第二の研削ホイール63が固定され、図4に示すように、第二の研削ホイール63の下部には、第二の研削砥石6aが環状に配設されており、ここでは仕上げ研削が行われる。第二の研削砥石6aは、仕上げ研削用の砥石、例えば粒度#1000の粒径より小さい粒径の砥粒から構成される。
なお、研削手段40を構成する第一研削手段5および第二研削手段6は、図1に示すように、起立して設けられた壁体27に対して上下動可能となっている。ここで、第一研削手段5と第二研削手段6とはほぼ同様に構成されるため、共通する部位には同一の符号を付して説明する。壁体27の内側の面には、一対のレール28が垂直方向に併設され、駆動源29に駆動されてレール28に沿ってスライド板35が上下動するのに伴い、ボルト36,37によってスライド板35に固定された第一研削手段5、第二研削手段6がそれぞれ上下動するようになっている。研削装置1は、第一研削手段5による一の被加工物Wに対する研削加工と、第二研削手段6による他の被加工物Wに対する研削加工とを同時に行うことができる。
本実施形態にかかる研削装置1では、ターンテーブル3上に4つの保持テーブル4が配置されている。保持テーブル4は、ターンテーブル3の周方向に所定の間隔で配置されており、例えば等間隔で配置されている。保持テーブル4は、平面視における形状が円形である円盤状の部材である。
上述したように、保持テーブル4は、被加工物Wを保持する。保持テーブル4は、円形の保持面4aを有する。保持面4aは、保持テーブル4の上面に配置されている。保持面4aは、例えば、ポーラスセラミック等の多孔質の部材で構成されている保持部である。本実施形態の保持面4aは、円形のセラミック、例えばアルミナセラミックで形成されている。保持面4aは、図示しない吸引源と連通しており、吸引源から供給される負圧により被加工物Wを吸引保持する。
保持テーブル4は、鉛直軸(Z軸)回りに回転自在である。本実施形態の保持テーブル4は、保持面4aの中心を回転軸線Co(図7参照)として回転自在である。保持テーブル4は、図7に示す駆動源19によって回転駆動されて鉛直軸回りに回転する。駆動源19は、例えば、モーター等である。
本実施形態の研削装置1は、図3から図5を参照して説明するように、複数のデバイスDが形成されたデバイス領域W1と、デバイス領域W1を囲繞する外周余剰領域W2とを表面Waに備えた被加工物Wを加工する。図3に示すように、被加工物Wは、円板形状であり、例えば、シリコン等の材質で構成された基板である。被加工物Wの表面Waには、半導体デバイスや光デバイス等のデバイスDが複数形成されている。表面Waは、デバイスDが形成されたデバイス領域W1と、デバイス領域W1を囲繞する外周余剰領域W2とを有する。本実施形態では、デバイス領域W1は円形であり、外周余剰領域W2は円環形状である。
研削加工がなされる際には、被加工物Wの表面WaにデバイスDを保護するテープ等の保護部材25が予め貼着される。被加工物Wは、保護部材25と保持面4aとが対向する状態で保持テーブル4上に載置される。つまり、保持面4aは、保護部材25を介して被加工物Wの表面Waを吸引保持する。
第一研削手段5および第二研削手段6は、被加工物Wを加工するにあたり、図4に示すように、被加工物Wの裏面Wbのうちデバイス領域W1に相当する領域に凹部W3を形成し、凹部W3の外周側にリング状補強部W4を残存させる。リング状補強部W4は、外周余剰領域W2を含む部分である。
図5には、研削加工時の被加工物Wおよび第一研削手段5(または第二研削手段6)が示されている。研削砥石5a,6aの最外周5b,6bの直径d1は、デバイス領域W1の半径Rよりも大きく、デバイス領域W1の直径Dよりも小さい。また、研削砥石5a,6aの最内周5c,6cの直径d2は、デバイス領域W1の半径Rよりも小さい。
研削装置1は、保持テーブル4によって被加工物Wを回転させながら、回転する研削砥石5a,6aを被加工物Wの裏面Wbに接触させて被加工物Wを研削する。このとき、研削装置1は、研削砥石5a,6aが被加工物Wの回転中心Woに接触し、かつ研削砥石5a,6aが外周余剰領域W2よりも内側(回転中心Wo側)に位置するように、研削砥石5a,6aを位置付ける。
このような研削加工(TAIKO加工)により、図4に示すように、被加工物Wの裏面Wbには、凹部W3が形成され、凹部W3の外周側にはリング状補強部W4が残存する。リング状補強部W4によってデバイス領域W1の外周側が補強されているため、研削加工後の被加工物Wの取扱いが容易となる。
本実施形態の研削装置1が有する保持テーブル4は、上記の研削加工に有利な形状、具体的には、図7に示すように、保持面4aの形状が双凹形状となっている。保持テーブル4の保持面4aは、回転軸線Coの近傍の中心部4cの形状と外周縁4eの形状が上方に向かう凸形状である。また、保持面4aは、中心部4cと外周縁4eとの間が下方に向けて湾曲した凹形状である。つまり、保持面4aは、回転軸線Coから外周に向かって凹状に湾曲している。言い換えると、回転軸線Coを含む断面における保持面4aの断面形状は、2つの凹部4bを有する双凹形状である。凹部4bの断面形状は、本実施形態では円弧形状である。凹部4bの深さ等の保持テーブル4の形状は、例えば、特許文献3に開示された形状とされてもよい。
双凹形状の保持面4aを有する保持テーブル4において上記の研削加工(TAIKO加工)を実行すると、あやめ形状の条痕が生ずることを抑制しつつ被加工物Wの面内厚みを均一化できるといった効果を奏する。
ここで、双凹形状の効果を発揮させるためには、ある程度凹部4bの深さを大きくすることが有利と考えられる。一方で、凹部4bの深さを大きくすると、保持テーブル4から異物を除去する場合に、保持面4aにダメージを与えてしまう可能性がある。例えば、従来のようにして研削用の洗浄パッドを回転させながら保持面4aに押し当てて洗浄を行うと、保持面4aの中心部4cや外周縁4eに洗浄パッドを当接させることになる。これにより、洗浄中に中心部4cや外周縁4eの頂点が欠けてしまったり、頂点が過度に磨耗して保持テーブル4の寿命が短命化してしまったりする可能性がある。
本実施形態の異物除去工具10は、保持テーブル4の保持面4aから異物を除去するものであって、図2に示す円形砥石部12と、円形砥石部保持部13と、図1に示す移動部11とを含んで構成されている。異物除去工具10は、図6および図7を参照して説明するように、保持面4aの回転軸線Coと外周縁4eとの間の半径領域4fに円形砥石部12を位置付ける。半径領域4fに位置付けられた円形砥石部12は、保持テーブル4の回転に連れ回って回転し保持テーブル4の上面の異物を除去する。
異物除去工具10の円形砥石部12は、回転自在に支持されており、保持テーブル4の回転に連れ回って回転する。これにより、円形砥石部12と接触することによる保持面4aに対する負荷が軽減され、中心部4cや外周縁4eの磨耗や欠けが抑制される。また、円形砥石部12が半径領域4fに位置付けられることで、中心部4cや外周縁4eの磨耗や欠けが抑制される。
図1および図2を参照して、異物除去工具10について詳細に説明する。図1に示すように、異物除去工具10の移動部11は、支持部11aと、ガイドレール11bと、X軸移動手段11cと、Z軸移動手段11dと、移動部本体11eとを含んで構成されている。移動部本体11eは、図2に示す円形砥石部保持部13および円形砥石部12を支持する本体部である。図1に戻り、支持部11aは、研削装置1の本体2に固定されており、2本のガイドレール11bを保持している。2本のガイドレール11bは、それぞれX軸方向(研削装置1の幅方向)に延在している。また、2本のガイドレール11bは、所定の間隔をあけてZ軸方向において並列に配置されており、かつ互いに平行である。
X軸移動手段11cは、移動部本体11eを本体2に対してX軸方向に相対移動させる。X軸移動手段11cは、2本のガイドレール11bにガイドされてX軸方向に移動する。X軸移動手段11cの駆動源は、例えば、モーターや圧縮エアとすることができる。
Z軸移動手段11dは、移動部本体11eを本体2に対してZ軸方向に相対移動させる。Z軸移動手段11dは、X軸移動手段11cによって支持されている。つまり、X軸移動手段11cは、Z軸移動手段11dを介して移動部本体11eを支持している。Z軸移動手段11dの駆動源は、例えば、モーターや圧縮エアとすることができる。研削装置1は、X軸移動手段11cおよびZ軸移動手段11dによって、移動部本体11eを移動させる。
図2に示すように、移動部本体11eの下部には、支持軸14が配置されている。支持軸14は、移動部本体11eの下面から下方に向けて突出している。円形砥石部保持部13は、中心部に貫通孔13aを有する円環形状の部材である。円形砥石部保持部13は、支持軸14および支持部材15によって回転自在に支持されている。支持軸14は、円形砥石部保持部13の貫通孔13aに挿入されて円形砥石部保持部13の下方に突出している。支持部材15は、支持軸14の下端の外周に固定されている。支持部材15の外径は、支持軸14の外径よりも大きく、かつ貫通孔13aの径(円形砥石部保持部13の内径)よりも大きい。これにより、円形砥石部保持部13は、支持部材15によって下方から支持されている。
円形砥石部保持部13の貫通孔13aを囲む内周面と支持軸14の外周面との間には、わずかに隙間が存在する。この隙間の大きさは、支持軸14に対して円形砥石部保持部13が相対回転することを許容し、かつ支持軸14に対する円形砥石部保持部13の偏心を抑制できるものであることが望ましい。また、この隙間の大きさは、円形砥石部保持部13の上下方向の移動を許容するものであることが望ましい。本実施形態の円形砥石部保持部13は、支持部材15によって支持され、支持軸14の中心軸線を回転中心として自在に回転できる。つまり、円形砥石部保持部13は、移動部11の移動部本体11eの下端に回転可能に接続されていることになる。また、円形砥石部保持部13は、支持軸14に対して上下方向に相対移動可能である。
また、円形砥石部保持部13は、下方に円形砥石部12を保持している。本実施形態の円形砥石部保持部13は、弾性部材16を介して円形砥石部12と連結されている。本実施形態の弾性部材16は、コイルバネである。円形砥石部12は、円形砥石部保持部13の下方に、かつ円形砥石部保持部13と同軸上に配置されている。円形砥石部12は、弾性部材16を介して円形砥石部保持部13と接続されていることから、円形砥石部保持部13に対して上下方向に相対移動可能である。また、本実施形態では、円形砥石部保持部13は、更に、砥石支持軸17を介して円形砥石部12を支持している。
砥石支持軸17は、円形砥石部12に固定されており、円形砥石部12の上面から上方に向けて突出している。砥石支持軸17は、弾性部材16に挿入され、かつ円形砥石部保持部13の貫通孔13bに挿入されて円形砥石部保持部13よりも上方に突出している。砥石支持軸17の上端の外周には、支持部材18が固定されている。支持部材18の外周は、砥石支持軸17の外径よりも大きく、かつ貫通孔13bの径よりも大きい。円形砥石部保持部13の貫通孔13bを囲む内周面と砥石支持軸17の外周面との間には、わずかに隙間が存在する。この隙間の大きさは、円形砥石部保持部13に対する砥石支持軸17の上下方向の相対移動を許容するものである。また、この隙間の大きさは、円形砥石部保持部13と砥石支持軸17とを摺動可能とするものであることが好ましい。
本実施形態では、2つの弾性部材16によって円形砥石部保持部13と円形砥石部12とが接続され、かつ2つの砥石支持軸17および支持部材18によって円形砥石部保持部13と円形砥石部12とが接続されている。2つの弾性部材16は、円形砥石部12の回転軸線を間に挟んで対称な位置に配置されることが好ましい。また、2つの砥石支持軸17は、円形砥石部12の回転軸線を間に挟んで対称な位置に配置されることが好ましい。
弾性部材16は、押し縮められた状態で円形砥石部保持部13と円形砥石部12との間に配置されている。従って、弾性部材16は、円形砥石部12に対して下方に向かう付勢力を作用させている。
円形砥石部12は、保持面4aの半径領域4fに当接するものである。円形砥石部12は、円盤(円板)形状のセラミック砥石からなる。本実施形態の円形砥石部12は、砥石本体12aと、砥石保持部12bとを含んで構成されている。砥石本体12aは、円板形状のセラミック砥石である。砥石保持部12bは、砥石本体12aを保持する円板形状の部材である。砥石保持部12bは、砥石本体12aの上面に取り付けられている。従って、本実施形態では、弾性部材16および砥石支持軸17は、砥石保持部12bに接続されている。砥石保持部12bの外径は、砥石本体12aの外径と同じであるか、砥石本体12aの外径よりもわずかに大きい。
次に、異物除去工具10による保持テーブル4の異物除去について説明する。異物除去工具10は、保持テーブル4の異物を除去する場合、被加工物Wが載置されていない保持テーブル4の半径領域4fに円形砥石部12を位置付ける。より具体的には、移動部11は、まず、異物を除去する対象の保持テーブル4(以下、単に「対象の保持テーブル4」と記載する。)の上方に円形砥石部12を移動させる。移動部11は、X軸移動手段11cによって、対象の保持テーブル4の上方に円形砥石部12を移動させる。このときのX軸方向における円形砥石部12の目標位置は、例えば、予め定められている。
ターンテーブル3の停止位置、すなわち保持テーブル4の停止位置は、予め定められている。従って、対象の保持テーブル4の半径領域4fに対応する円形砥石部12の停止位置も予め定めておくことが可能である。移動部11は、X軸移動手段11cによって予め定められた目標位置に円形砥石部12を移動させることにより、対象の保持テーブル4の半径領域4fの真上に円形砥石部12を位置付ける。
次に、移動部11は、Z軸移動手段11dによって、円形砥石部12を下降させ、砥石本体12aを保持面4aに接触させる。このときの円形砥石部12のZ軸方向における目標位置は、例えば、予め定められている。本実施形態では、図6に示すように、砥石本体12aのうち、外周12cの一部が保持面4aと接触し、当接する。このように外周12cの一部を保持面4aと接触させる構成として、本実施形態では、保持テーブル4の回転軸が、鉛直軸に対して傾いている。より具体的には、外周12cの約半周に当たる部分12d(以下、「接触部分12d」と記載する。)が保持面4aと接触するように、保持テーブル4の回転軸が傾いている。保持テーブル4の回転軸の傾きの方向は、砥石本体12aのうち、保持テーブル4の回転方向の前方側に位置する部分が保持面4aに接触する方向である。
保持テーブル4の回転方向は、図6では反時計回りの方向である。この回転方向に回転する保持テーブル4では、砥石本体12aの外周12cのうち左半分の部分が接触部分12dとなって保持面4aに接触するように、保持テーブル4の回転軸が傾けられている。
移動部11は、接触部分12dを保持面4aの半径領域4fに接触させることで、円形砥石部12を半径領域4fに位置付ける。図7には、図6のA視図が示されている。半径領域4fは、図7に示すように、半径方向における保持テーブル4の回転軸線Coから外周縁4eまでの領域である。移動部11は、回転軸線Coに対していずれか一方の側の半径領域4f、すなわち双凹形状の一方の凹部4bに円形砥石部12を位置付ける。
半径領域4fに位置付けられた円形砥石部12の接触部分12dは、保持面4aの異物を除去可能なように保持面4aの半径領域4fと接触している。図7に示すように、本実施形態の砥石本体12aの外径Dwは、保持テーブル4の半径Rtと同じか、わずかに大きい。本実施形態では、半径領域4fの一端から他端まで砥石本体12aが当接している。言い換えると、凹部4bの円弧の一端から他端まで砥石本体12aが接触している。従って、砥石本体12aは、保持面4aの全面から異物を除去することができる。
半径領域4fに位置付けられた円形砥石部12は、保持テーブル4の回転に連れ回って回転し、保持テーブル4の上面の異物を除去する。保持テーブル4が反時計回りに回転すると、円形砥石部12は、保持テーブル4の回転方向と同方向、すなわち反時計回りの回転方向に回転する。これにより、砥石本体12aは、保持面4aと接触し、保持面4aと摺動ながら回転し、保持テーブル4の上面の異物を除去する。保持テーブル4の回転数は、例えば、60rpm程度とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本実施形態の異物除去工具10では、円形砥石部12が保持テーブル4の回転に連れ回って回転する。円形砥石部12は、回転自在に支持されており、保持テーブル4の回転に連れ回ることから、保持面4aに対する相対回転速度や相対移動速度が大きくなりすぎることが抑制されている。よって、モーター等によって円形砥石部12を強制的に回転させる場合と比較して、保持面4aに対するダメージが抑制される。
また、本実施形態の異物除去工具10では、円形砥石部12が弾性部材16を介して円形砥石部保持部13と連結されている。円形砥石部12は、弾性部材16を伸縮させて上下方向に移動可能である。これにより、円形砥石部12が上下方向に移動不能である場合と比較して、円形砥石部12が大きな力で保持面4aに向けて押圧されることが抑制される。本実施形態では、砥石本体12aが、円形砥石部12の自重による押圧力と、弾性部材16の付勢力による押圧力とを合わせた力によって保持面4aに向けて押圧される。
弾性部材16の付勢力による押圧力は、適宜定められる。弾性部材16の付勢力は、例えば、異物除去時に砥石本体12aが保持面4aから浮き上がることを抑制できる程度の力とされてもよい。弾性部材16の付勢力は、異物除去の効果と、保持面4aに対するダメージの抑制とを両立できるように、適合実験等に基づいて定められることが好ましい。弾性部材16の付勢力は、例えば、自重による押圧力よりも付勢力による押圧力が小さくなるように設定されてもよい。
ここで、保持テーブル4の保持面4aの異物を除去する際の洗浄効果を向上できることや、中心部4cや外周縁4eの摩耗を抑制できることが望まれている。例えば、保持テーブル4の異物を除去する際に、円形砥石部12との接触により保持面4aの中心部4cや外周縁4eが摩耗してしまう可能性がある。摩耗により保持面4aの形状が変化してしまうと、研削加工された被加工物Wの仕上げ厚みが変動してしまう可能性があり好ましくない。また、異物除去工具10による洗浄効果を向上させることができれば、1回の洗浄時間の短縮を図ること等が可能となる。
洗浄効果や保持面4aの摩耗には、円形砥石部12の砥石本体12aの外径および材質が関係すると考えられる。例えば、砥石本体12aの外径Dwが、保持テーブル4の保持面4aの半径Rtに対して大きすぎると、半径領域4fに対して砥石本体12aが均等に接触しにくくなる可能性がある。また、砥石本体12aの外径が大きいと、異物を除去する際に砥石本体12aが中心部4cや外周縁4eに当接してこれらを摩耗させてしまう可能性がある。
本実施形態の異物除去工具10では、円形砥石部12は、保持テーブル4の保持面4aの半径Rtと同等の外径Dwで形成された円板形状の砥石本体12aからなる。砥石本体12aの外径Dwは、保持面4aの半径Rtと同等である。本実施形態では、保持面4aの半径Rtは、150[mm]である。これに対して、砥石本体12aの外径Dwは、152.5[mm]である。すなわち、保持面4aの半径Rtに対して、砥石本体12aの外径Dwがわずかに大きい。これは、以下の理由による。
(1)砥石本体12aの外径Dwと研削加工用の研削砥石5a,6aの外径との差異を小さくするため。
研削砥石5a,6aの最外周5b,6bの直径d1(図5参照)は、保持面4aの半径Rt(図7参照)よりも小さい。研削砥石5a,6aの直径d1と砥石本体12aの外径Dwとの差異が大きすぎると、被加工物Wに対する研削加工に影響を及ぼす可能性があるため、両者の差異が小さいことが好ましい。
(2)セルフ砥石の外径と同一径とする。
研削装置1では、一定期間(一定稼働時間)ごとに、セルフ砥石によって保持面4aの凹部4bが再形成(形状修正)される。セルフ砥石は、研削砥石5a,6aとは別の砥石であって、凹部4bを形成あるいは再形成する際に用いられるものである。凹部4bの形成や再形成は、例えば、上記特許文献3の保持面研削工程と同様に行われる。セルフ砥石は、保持面4aと、保持面4aを囲むステンレス鋼の枠部とを研削して、保持面4aに凹部4bを形成する。枠部における保持面4aに隣接する数mm幅の部分を研削できるように、セルフ砥石の外径は、保持面4aの半径Rtよりもわずかに大きい径、例えば152.5[mm]とされている。本実施形態の砥石本体12aの外径Dwは、セルフ砥石の外径と同一径とされている。
砥石本体12aの外径Dwが保持面4aの半径Rtと同等であることにより、図7に示すように、砥石本体12aが保持面4aの凹部4bに全体的に、例えば均質に当接する。よって、砥石本体12aは、凹部4bの全体から異物を除去することができる。また、砥石本体12aの外径Dwが保持面4aの半径Rtと同等であることから、砥石本体12aが保持面4aの中心部4cや外周縁4eに対してダメージを与えることが抑制される。
また、保持面4aの摩耗を抑制する観点からは、円形砥石部12における保持面4aと当接する面の材質として適切なものを使用することが望ましい。例えば、砥石本体12aの材質として、曲げ強度が高すぎるものを使用すると、中心部4cや外周縁4eを摩耗させてしまう可能性がある。
本実施形態に係る異物除去工具10では、円形砥石部12の砥石本体12aの材質は、保持面4aのセラミックの曲げ強度よりも小さい曲げ強度を有する材質で形成されている。保持面4aのセラミック、例えばアルミナセラミックの曲げ強度は、350MPa〜450Mpaである。なお、本明細書における曲げ強度は、JIS R1601曲げ強度を示すものとする。砥石本体12aの下面、すなわち円形砥石部12の保持テーブル4と当接する面は、JIS R1601曲げ強度で350MPa以下のセラミック又は樹脂で形成されていることが好ましい。このような砥石本体12aと保持面4aとの組合せによれば、アルミナセラミックで形成された保持面4aに対して、アルミナセラミックの曲げ強度よりも小さい曲げ強度を有する材質の砥石本体12aによる洗浄がなされる。よって、保持面4aの摩耗が抑制される。
本実施形態の砥石本体12aの材質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、「PPS樹脂」と称する。)である。PPS樹脂の曲げ強度は、例えば、約100MPaである。保持面4aのセラミックの曲げ強度よりも小さい曲げ強度を有する砥石本体12aが用いられることにより、異物を除去する際の中心部4cや外周縁4eの摩耗が抑制される。
以下に、図8乃至図13を参照して、本実施形態に係る異物除去工具10の利点について説明する。図8乃至図10は、洗浄時の保持面4aの摩耗に係る実験結果を示す図である。図8乃至図10には、保持面4aに保持されて研削加工された後の被加工物Wの厚みの分布が示されている。各図において、横軸は、被加工物Wの半径方向の位置、すなわち被加工物Wの中心からの距離を示す。また、縦軸は、被加工物Wの厚さを示す。
図8乃至図10には、異なる外径や異なる材質の砥石本体12aで保持面4aを洗浄した場合の被加工物Wの厚み分布に与える影響が示されている。本願発明者は、本実施形態に係る砥石本体12aに加えて、比較対象として2つの比較用砥石を用いてそれぞれの砥石で保持面4aの洗浄試験を行い、本実施形態の砥石本体12aによる摩耗抑制効果や洗浄性能について確認した。
図10に示す実験結果は、本実施形態に係る砥石本体12aを用いて洗浄した場合の実験結果を示している。本明細書では、図8の実験に用いられた比較用の砥石本体12aを「第一の比較用砥石」、図9の実験に用いられた比較用の砥石本体12aを「第二の比較用砥石」と称する。各砥石の材質および外径は、以下のようである。
第一の比較用砥石(図8) 材質:アルミナセラミック 外径:180.0mm
第二の比較用砥石(図9) 材質:アルミナセラミック 外径:152.5mm
実施形態の砥石本体12a 材質:PPS樹脂 外径:152.5mm
つまり、第一の比較用砥石は、材質および外径の両方が本実施形態の砥石本体12aと異なる。また、第二の比較用砥石は、外径は本実施形態の砥石本体12aと同一であるが、材質は砥石本体12aと異なる。図8乃至図10には、それぞれの砥石によって連続的に所定時間保持面4aを洗浄した場合の、研削加工後の被加工物Wの厚さ分布に与える影響が示されている。
図8において、厚み分布A1は、異物除去工具10による洗浄前の保持面4aによって保持されて研削加工された被加工物Wの厚み分布を示す。言い換えると、厚み分布A1は、セルフ砥石によって凹部4bが形成された直後の保持面4aによって保持されて研削加工された被加工物Wの厚み分布を示している。一方、厚み分布B1は、第一の比較用砥石を装着した異物除去工具10によって保持面4aを連続的に洗浄し、洗浄後の保持面4aに保持された被加工物Wを研削加工した場合の被加工物Wの厚み分布を示す。
ここで、連続的に洗浄された後の保持面4aの形状は、量産時(実稼働時)に研削装置1が所定枚数の被加工物Wを研削加工した後の保持面4aの形状を実験的に再現したものといえる。研削装置1による量産時には、被加工物Wを1枚研削加工する毎に、研削加工後に異物除去工具10によって保持面4aが短時間洗浄される。例えば、被加工物Wを1枚研削加工する毎に、異物除去工具10による2[sec]の洗浄がなされる。所定枚数の研削加工がなされる間の洗浄時間の累計時間をTtとする。検証実験において異物除去工具10によって累計時間Ttの間連続的に保持面4aを洗浄することで、実稼働時に所定枚数の研削加工がなされた後の保持面4aの形状を再現することができる。
厚み分布B1は、このようにして実験的に再現された保持面4aによって保持されて研削加工された被加工物Wの厚み分布を示している。図8の実験では、異物除去工具10によって、連続的に16時間保持面4aの洗浄が実行された。この洗浄時間は、保持面4aに凹部4bの形成がなされてから、次回凹部4bが再形成されるまでの間に実行される洗浄の累計時間Ttに匹敵する。例えば、1回の凹部4bの形成から、凹部4bの再形成までのインターバルが6ヶ月であるとして、この間に被加工物Wを研削加工する枚数から、実験において連続洗浄する累計時間Ttが決定された。
図8に示すように、洗浄前の厚み分布A1と洗浄後の厚み分布B1とでは、被加工物Wの中心部の厚みが0.8[μm]程度変化している。洗浄後の保持面4aで被加工物Wを保持して研削加工した場合、洗浄前の保持面4aで被加工物Wを保持した場合と比較して、被加工物Wの中心部の厚みが0.8[μm]程度増加している。これは、異物除去工具10による洗浄によって、保持面4aの中心部4cが摩耗してしまった結果を示している。中心部4cが摩耗してしまうと、被加工物Wの中心部において研削除去される厚みが減少する。その結果、研削加工後の被加工物Wの中心部が周辺に対して突出するような厚み分布B1となってしまう。
図8の実験に係る第一の比較用砥石は、保持面4aの材質と同じ曲げ強度の材質で形成された砥石本体12aを用いていること、および砥石本体12aの外径Dw(=180mm)が、保持面4aの半径Rt(=150mm)に対して大きすぎるために、中心部4cを摩耗させてしまったものと考えられる。
図9において、厚み分布C1は、異物除去工具10による洗浄前の保持面4aによって保持されて研削加工された被加工物Wの厚み分布を示す。厚み分布D1は、第二の比較用砥石を装着した異物除去工具10によって保持面4aを連続的に洗浄し、洗浄後の保持面4aに保持された被加工物Wを研削加工した場合の被加工物Wの厚み分布を示す。図9に示す実験では、連続洗浄の累計時間Ttは、4時間である。この時間は、6ヶ月間の累計洗浄時間よりも短い時間である。洗浄前の厚み分布C1と洗浄後の厚み分布D1とでは、被加工物Wの中心部の厚みが0.7[μm]程度変化している。洗浄後の保持面4aで被加工物Wを保持して研削加工した場合、洗浄前の保持面4aで被加工物Wを保持した場合と比較して、被加工物Wの中心部の厚みが0.7[μm]増加している。
これは、異物除去工具10による洗浄によって、保持面4aの中心部4cが摩耗してしまった結果を示している。図9の実験に係る第二の比較用砥石は、砥石本体12aの外径Dw(=152.5mm)を保持面4aの半径Rt(=150mm)と同等としたものの、保持面4aの曲げ強度と同じ曲げ強度の材質で形成されていることで、中心部4cを摩耗させたものと考えられる。
図10において、厚み分布E1は、異物除去工具10による洗浄前の保持面4aによって保持されて研削加工された被加工物Wの厚み分布を示す。厚み分布F1は、異物除去工具10による洗浄後の保持面4aによって保持されて研削加工された被加工物Wの厚み分布を示す。図10に示す実験では、連続洗浄の累計時間Ttは、17時間である。洗浄前の厚み分布E1と洗浄後の厚み分布F1とで、被加工物Wの中心部の厚みの変化は0.4[μm]程度と小さい。また、洗浄後の厚み分布F1は、洗浄前の厚み分布E1に対して被加工物Wの中心部において厚みの増加が生じていない。これは、保持面4aの中心部4cにおいて、異物除去工具10による洗浄で摩耗が発生していないことを示していると考えられる。
また、図10に示すように、被加工物Wの外周縁においても、洗浄後に厚みの増加が発生していない。従って、保持面4aの外周縁4eにおいて、異物除去工具10による洗浄で摩耗が発生していないことがわかる。
このように、本実施形態の異物除去工具10は、砥石本体12aの材質が、保持面4aのセラミックの曲げ強度よりも小さい曲げ強度を有する材質で形成されていることで、保持面4aの中心部4cや外周縁4eを摩耗させることなく、保持面4aを洗浄することができる。
また、図11乃至図13に示すように、本実施形態の異物除去工具10は、保持面4aから異物を除去する能力が高い。図11乃至図13は、それぞれ異物除去工具10による洗浄後の保持面4aにおける研削屑Cnの付着状況を示す図である。図11は、第一の比較用砥石によって洗浄された後の保持面4aが示され、図12には、第二の比較用砥石によって洗浄された後の保持面4aが示されている。また、図13には、本実施形態に係る砥石本体12aによって洗浄された後の保持面4aが示されている。図11乃至図13に係る洗浄の洗浄時間は同一である。
図11に示す保持面4aに対して、図12に示す保持面4aでは、研削屑Cnの付着が少ない。従って、同じ材質の砥石本体12aである場合、外径Dwを保持面4aの半径Rtと同等とした場合には洗浄性能が高まることがわかる。また、図12に示す保持面4aに対して、図13に示す保持面4aでは、研削屑Cnの付着が少ない。すなわち、PPS樹脂の砥石本体12aは、アルミナセラミック製の第二の比較用砥石よりも、保持面4aから効果的に研削屑Cnを除去することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る異物除去工具10は、砥石本体12aの材質が、保持面4aのセラミックの曲げ強度よりも小さい曲げ強度を有する材質で形成されていることで、双凹形状の保持テーブル4の寿命を従来より延命させることができる。また、異物除去工具10は、円形砥石部12が保持面4aの半径Rtと同等の外径Dwで形成された円板形状の砥石本体12aからなることで保持テーブル4の寿命を延命させることや、保持面4aに対する高い洗浄能力を発揮することが可能である。なお、砥石本体12aの下面、すなわち円形砥石部12の保持テーブル4と当接する面は、JIS R1601曲げ強度で350MPa以下のセラミック又は樹脂で形成されていることが好ましいが、例えば、JIS R1601曲げ強度で100MPa以下のセラミック又は樹脂で形成されてもよい。
本実施形態の研削装置1は、以下に示す異物除去方法を実行可能である。異物除去方法は、被加工物Wを保持する円形の保持面4aを有し、保持面4aは中心から外周縁4eに向かって凹状に湾曲し、保持面4aの中心を回転軸線として回転駆動する保持テーブル4の保持面4aから異物を除去する異物除去方法である。異物除去方法は、異物除去工具位置付け工程と、異物除去工程とを含んで構成される。
(異物除去工具位置付け工程)
異物除去工具位置付け工程は、異物除去工具10の円形砥石部12を、保持面4aの中心と外周縁4eとの間の半径領域4fに位置付ける工程である。異物除去工程において、移動部11は、円形砥石部12を、図6に示すように半径領域4fに位置付ける。半径領域4fに位置付けられた円形砥石部12は、接触部分12dが保持面4aと接触する。
(異物除去工程)
異物除去工程は、異物除去工具位置付け工程を実施した後に実行される。異物除去工程において、研削装置1は、保持テーブル4を回転させる。図7に示すように、保持テーブル4が回転することで、円形砥石部12が保持テーブル4の保持面4aの凹形状にならって連れ回って回転し、保持面4a上の異物を除去する。なお、研削装置1は、異物除去工具位置付け工程が終了してから保持テーブル4の回転を開始しても、異物除去工具位置付け工程の実行前や実行中に保持テーブル4の回転を開始してもよい。
なお、本実施形態の異物除去工具において、円形砥石部保持部13が支持軸14に対して上下方向に相対移動不能とされてもよい。すなわち、円形砥石部保持部13は、支持軸14に対して相対回転可能、かつ上下方向に相対移動不能とされてもよい。この場合、例えば、円形砥石部保持部13は、軸受を介して支持軸14と接続される。円形砥石部保持部13が上下方向に移動不能であっても、円形砥石部12は、上下方向に移動可能である。従って、保持面4aに対する円形砥石部12の押圧力が大きくなりすぎることが抑制される。また、円形砥石部12は円形砥石部保持部13と共に回転自在に支持されていることから、保持テーブル4の回転に連れ回って回転することができる。
円形砥石部12と円形砥石部保持部13とを接続する弾性部材16は、コイルバネに限らず、例えば、板ばねとされてもよい。例えば、幅方向の両端部が円形砥石部12の上面に固定され、中央部が円形砥石部保持部13に向けて突出する板ばねを採用することができる。この場合、板ばねの中央部を円形砥石部保持部13に接続することで、板ばねの変形により円形砥石部12が円形砥石部保持部13に対して上下方向に相対移動可能となる。
[上記実施形態の第1変形例]
上記実施形態では、円形砥石部12を半径領域4fに位置付ける際の円形砥石部12のX軸方向における目標位置は予め定められていたが、これに代えて、例えば、保持テーブル4の位置の検出結果に基づいて目標位置が決定されてもよい。
上記実施形態では、円形砥石部12を半径領域4fに位置付ける際の円形砥石部12のZ軸方向における目標位置は予め定められていたが、これに代えて、例えば、砥石本体12aが実際に保持面4aに接触したことを検出するようにしてもよい。例えば、保持テーブル4を回転させた状態で円形砥石部12を下降させていく場合、砥石本体12aが保持テーブル4に接触すると、円形砥石部12が回転を開始する。よって、例えば、円形砥石部12の回転を検出した時に砥石本体12aが保持面4aと接触し、円形砥石部12が半径領域4fに位置付けられたと判断されてもよい。
上記実施形態では、異物除去工具10が研削装置1に設けられていたが、これに代えて、異物除去工具10が他の加工装置、例えば研磨装置に設けられてもよい。
上記実施形態では、弾性部材16が押し縮められた状態で円形砥石部12と円形砥石部保持部13との間に配置されていたが、これに代えて、弾性部材16が引き延ばされた状態で配置されてもよい。
[上記実施形態の第2変形例]
上記実施形態の第2変形例について説明する。砥石本体12aの材質は、PPS樹脂には限定されない。砥石本体12aの材質とすることができる樹脂としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂等が挙げられる。
また、砥石本体12aの材質とすることができるセラミックとしては、コージライト(コーディエライト:2MgO・2Al2O3・5SiO2)、サイアロン(Si3N4・Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)等が挙げられる。
[上記実施形態の第3変形例]
上記実施形態の第3変形例について説明する。上記実施形態の異物除去工具10が実行する異物除去方法において、異物除去工程で円形砥石部12を回転させるようにしてもよい。円形砥石部12を回転駆動する場合、円形砥石部保持部13は、支持軸14に対して相対回転不能に接続されることが望ましい。また、移動部11は、円形砥石部保持部13を回転駆動するモーター等の駆動源を有することが望ましい。
図2に示す異物除去工具10を例に説明すると、円形砥石部12を回転駆動する場合には、例えば、支持軸14と円形砥石部保持部13とは、スプライン嵌合など、相対回転不能に接続される。また、移動部本体11eは、支持軸14を回転させるモーター等の駆動源を内部に有することが望ましい。すなわち、支持軸14は、移動部本体11eによって回転自在に支持されており、モーターによって回転駆動されて移動部本体11eに対して相対回転する。これにより、支持軸14、円形砥石部保持部13および円形砥石部12は、モーターの発生する回転力によって一体となって回転する。
異物除去工程では、保持テーブル4又は円形砥石部12の少なくとも一方を回転させることで、保持面4aの異物を除去するようにすればよい。つまり、保持テーブル4を回転駆動する一方、円形砥石部12は回転自在な状態として保持面4aに連れ回らせるようにしてもよい。また、保持テーブル4および円形砥石部12の両方が回転駆動されてもよい。また、円形砥石部12を回転駆動する一方、保持テーブル4は回転自在な状態としてもよい。異物除去工程において円形砥石部12を回転させる場合、異物除去の効果を高めることや、異物除去工程に要する時間を短縮することなどが期待できる。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。