JP2015044751A - ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩を配合した点眼液 - Google Patents
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Abstract
【課題】患者にとって利便性の高いラタノプロストとチモロールマレイン酸塩を配合した点眼液を提供すること。【解決手段】ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩を配合した点眼液において、複数の非イオン性界面活性剤を配合し、pHを調整することにより、最小限度の保存剤の添加であっても、有効成分の眼内移行性が低下することなく、室温保存が可能であり、眼刺激性を軽減されたラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液。【選択図】なし
Description
本発明は、ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩を配合した点眼液において、複数の非イオン性界面活性剤を添加することにより、室温保存が可能で、副作用の懸念のあるベンザルコニウム塩化物の添加量が微量であっても、ラタノプロストおよびチモロールの眼内移行性が共に良好な点眼液に関する。
プロスタグランジン系緑内障治療剤であるラタノプロストは選択的プロスタグランジンF(FP)受容体作動薬であり、房水の流出量を増加させることにより眼圧を下降させる(特許文献1参照)。一方、チモロールマレイン酸塩はβ遮断作用を示し、ラタノプロストとは作用機序の異なる緑内障治療薬として広く用いられている。緑内障治療においては、単剤で効果が得られない場合は作用機序の異なる複数の点眼液による多剤併用療法が一般的に行われている。しかし、投与の煩雑さや各点眼液に含まれる保存剤に起因する副作用による服薬コンプライアンスの低下等の問題点が指摘されており、これらを解決するべく、ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩の配合点眼液であるザラカム(登録商標)配合点眼液(以下、単に「市販品」と略記することもある)が上市されている。
しかしながら、前記市販品は、ラタノプロストの著しく低い安定性(室温保存下で含量低下が生じやすい)のため、その貯法条件は、遮光かつ2〜8℃の冷蔵保存とされており、このことから患者にとって利便性の高い製剤であるとは言い難い。また、前記市販品は、保存剤としてベンザルコニウム塩化物が高濃度で添加されていることから、眼刺激性(角膜障害を含む)を有するという問題点を抱えている。また一方で、ベンザルコニウム塩化物の濃度を低減させるとチモロールの眼内移行性が低下するとの報告もある(非特許文献1参照)。
以上の背景から、有効成分(ラタノプロストとチモロール)の眼内移行性が前記市販品と同等であり、室温保存が可能で、かつ、ベンザルコニウム塩化物の濃度を低減し眼刺激性が少ないラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液を供することが望まれている。
ラタノプロストとチモロールマレイン酸を含有する点眼液としては、これまでに、例えば特許文献2から特許文献5のような報告がある。特許文献2には、一般的な製剤処方が開示されている。特許文献3には、ラタノプロストの含量低下を回避するために、界面活性剤と炭素数3〜10の脂肪酸モノ−もしくはジ−カルボン酸を含有させる製剤処方が開示されている。特許文献4には、保存剤による副作用を回避するために、ホウ酸を含む製剤処方が開示されている。特許文献5には、ラタノプロストの含量低下と保存剤による副作用を回避するために、界面活性剤を含まない製剤処方が開示されている。
これまでに、複数の非イオン性界面活性剤を組み合わせて配合した点眼液としては、例えば特許文献6のような報告がある。特許文献6には、ラタノプロストの単剤における処方において、ラタノプロストの含量低下を回避するために、ステアリン酸ポリオキシル40とモノステアリン酸ポリエチレングリコール25を配合した製剤処方が開示されている。
あたらしい眼科、26(7)、977−981(2009)
本発明の課題は、前記市販品と比較して有効成分の眼内移行性が同等であり、前記市販品と異なり室温保存が可能で、さらに前記市販品と比較してベンザルコニウム塩化物を大幅に減量することで眼刺激性が低減したラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、保存効力が担保されるベンザルコニウム塩化物の最小濃度を特定し、さらに非イオン性界面活性剤であるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとポリソルベートを組み合わせて配合し、pHを調整することで、前記市販品と比較して有効成分の眼内移行性が同等で、室温保存が可能であり、さらに前記市販品と比較して眼刺激性が低減したラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩配合点眼液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)等に関する。
(1)以下の成分(a)〜(e);
(a)ラタノプロスト
(b)チモロールマレイン酸塩
(c)モノステアリン酸ポリエチレングリコール
(d)ポリソルベートおよび
(e)ベンザルコニウム塩化物
を含有する点眼液であって、成分(e)の濃度が0.0015%〜0.015%(w/v)であり、かつ、pHが6.1〜6.3である点眼液。
(2)成分(c)がステアリン酸ポリオキシル40であり、成分(d)がポリソルベート80であり、これらの濃度の合計が0.1%〜0.2%(w/v)である前記(1)に記載の点眼液。
(3)成分(c)の濃度が0.01%〜0.08%(w/v)であり、成分(d)の濃度が0.05%〜0.15%(w/v)である前記(2)に記載の点眼液。
(4)成分(c)の濃度が0.08%(w/v)であり、成分(d)の濃度が0.1%(w/v)である前記(3)に記載の点眼液。
(5)pHが6.2である前記(1)から(4)のいずれかに記載の点眼液。
(6)成分(e)の濃度が0.0018%〜0.0022%(w/v)である前記(1)から(5)のいずれかに記載の点眼液。
(7)成分(a)の濃度が0.005%(w/v)であり、成分(b)の濃度が0.683%(w/v)である前記(1)から(6)のいずれかに記載の点眼液。
(1)以下の成分(a)〜(e);
(a)ラタノプロスト
(b)チモロールマレイン酸塩
(c)モノステアリン酸ポリエチレングリコール
(d)ポリソルベートおよび
(e)ベンザルコニウム塩化物
を含有する点眼液であって、成分(e)の濃度が0.0015%〜0.015%(w/v)であり、かつ、pHが6.1〜6.3である点眼液。
(2)成分(c)がステアリン酸ポリオキシル40であり、成分(d)がポリソルベート80であり、これらの濃度の合計が0.1%〜0.2%(w/v)である前記(1)に記載の点眼液。
(3)成分(c)の濃度が0.01%〜0.08%(w/v)であり、成分(d)の濃度が0.05%〜0.15%(w/v)である前記(2)に記載の点眼液。
(4)成分(c)の濃度が0.08%(w/v)であり、成分(d)の濃度が0.1%(w/v)である前記(3)に記載の点眼液。
(5)pHが6.2である前記(1)から(4)のいずれかに記載の点眼液。
(6)成分(e)の濃度が0.0018%〜0.0022%(w/v)である前記(1)から(5)のいずれかに記載の点眼液。
(7)成分(a)の濃度が0.005%(w/v)であり、成分(b)の濃度が0.683%(w/v)である前記(1)から(6)のいずれかに記載の点眼液。
本発明の点眼液は、有効成分の眼内移行性が前記市販品と同等であり、前記市販品に比べて、室温保存が可能で、眼刺激性が少ない緑内障治療用の点眼液として有用である。
本発明の点眼液は、ラタノプロスト(成分(a))とチモロールマレイン酸塩(成分(b))を含有し、非イオン性界面活性剤であるモノステアリン酸ポリエチレングリコール(成分(c))とポリソルベート(成分(d))を含有し、さらに、保存剤であるベンザルコニウム塩化物(成分(e))を含有する。
本発明の点眼液におけるラタノプロスト及びチモロールマレイン酸塩の含量は特に限定されないが、例えば、0.005%(w/v)のラタノプロストと0.683%(w/v)のチモロールマレイン酸塩を含有する点眼液が好ましい。
本明細書で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとは、特に断りが無い限り、主成分としてポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステルを高純度に含むものを意味し、医薬品添加物規格2003に記載されるモノステアリン酸ポリエチレングリコールのみに限定されるものではない。
本発明の点眼液におけるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとしては、例えば、第十六改正日本薬局方に記載されるステアリン酸ポリオキシル40、医薬品添加物規格2003に記載されるステアリン酸ポリオキシル45およびステアリン酸ポリオキシル55などの酸化エチレン重合体のモノステアリン酸エステルが挙げられる。ステアリン酸ポリオキシル40を使用する場合には、眼科用剤としての最大使用量は0.8mg/gであるため、それ以下の濃度で使用する必要がある(医薬品添加物事典2005、薬事日報社)。
本明細書で用いられるポリソルベートとは、特に断りが無い限り、主成分としてソルビタン脂肪酸エステルを高純度に含むものを意味し、医薬品添加物規格2003に記載されるポリソルベートのみに限定されるものではない。
本発明の点眼液におけるポリソルベートとしては、例えば、第十六改正日本薬局方に記載されるポリソルベート80、医薬品添加物規格2003に記載されるポリソルベート20およびポリソルベート60などのソルビタン脂肪酸エステル類の酸化エチレン重合体が挙げられる。ポリソルベート80を使用する場合には、眼科用剤としての最大使用量は5mg/gであることから、それ以下の濃度で使用する必要がある(医薬品添加物事典2007、薬事日報社)。
本発明の点眼液に用いられる種々のモノステアリン酸ポリエチレングリコールとポリソルベートの組み合わせとしては、特に限定されないが、なかでも、ステアリン酸ポリオキシル40とポリソルベート80の組み合わせが好ましい。
本発明の点眼液におけるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとポリソルベートの組み合わせとして、ステアリン酸ポリオキシル40とポリソルベート80を用いる場合は、両者の濃度の合計が0.1%〜0.2%(w/v)の範囲となる場合が好ましい。より好ましくは、ステアリン酸ポリオキシル40の濃度が0.01%〜0.08%(w/v)の範囲であり、ポリソルベート80の濃度が0.05%〜0.15%(w/v)の範囲であり、その濃度の合計が0.1%〜0.2%(w/v)の範囲となる場合である。さらに好ましくは、ステアリン酸ポリオキシル40の濃度が0.08%(w/v)であり、ポリソルベート80の濃度が0.1%(w/v)となる場合である。
本発明の点眼液におけるベンザルコニウム塩化物とは、第十六改正日本薬局方で定義されるベンザルコニウム塩化物を意味し、より具体的には、[C6H5CH2N(CH3)2R]Clで表される化学構造を有し、そのアルキル基(Rで示されている)がC8H17〜C18H37であり、主としてC12H25およびC14H29からなる混合物を意味する。
本発明の点眼液におけるベンザルコニウム塩化物の濃度は、保存剤としての効力と眼刺激性の観点から、0.0015%〜0.015%(w/v)の範囲であり、好ましくは0.0018%〜0.0022%(w/v)の範囲である。
本発明の点眼液のpHは、有効成分の眼内移行性を担保する観点から、6.1〜6.3の範囲が好ましく、より好ましくは、6.2である。本明細書におけるpH値は、測定誤差の範囲を含み、小数点以下二桁で四捨五入した値をいう。
本発明の点眼液のpHは、所望の値となるようにpH調節剤または緩衝剤を用いて調整すればよく、用いるpH調節剤または緩衝剤は、特に限定されないが、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸、シュウ酸、トリスヒドロキシメチルアミノメタンなどを挙げることができる。
本発明の点眼液は、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤(等張化剤など)をさらに添加しても良い。このような添加剤の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン、プロピレングリコール、マンニトールのような等張化剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の点眼液は、当業者における常法に従って調製することができるが、例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリソルベートおよび濃ベンザルコニウム塩化物50を精製水で溶解し、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムを用いて所定のpHに調整し、さらに塩化ナトリウムで浸透圧を約1に調整することで基剤を得た後、ラタノプロストおよびチモロールマレイン酸塩を基剤に溶解することで調製することができる。
本発明の点眼液の容器は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(以下、「PE」と略記することもある)容器などの樹脂製容器を用いることができる。
本発明の点眼液は、高眼圧症・緑内障治療のために用いられる。用法用量は、特に限定されないが、例えば、1回1滴、1日1回点眼することが好ましい。
本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。但し、下記実施例は、あくまで本発明の1つの例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈するものではない。
以下の実施例においては、ラタノプロストはEverlight Chemical Industrial Corporation、チモロールマレイン酸塩はFDC Limitedより入手したものを用いた。
以下の実施例においては、ステアリン酸ポリオキシル40はMYS−40MV(日本サーファクタント工業株式会社)、ポリソルベート80は日本薬局方ポリソルベート80(純正化学株式会社)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60はHCO−60(日本サーファクタント工業株式会社)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25はMYS−25MV(日本サーファクタント工業株式会社)、濃ベンザルコニウム塩化物50は日本薬局方濃ベンザルコニウム塩化物液50(丸石製薬株式会社、50%水溶液)、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム水和物およびリン酸二水素ナトリウム二水和物は特級試薬(和光純薬工業株式会社)を用いた。
(実施例1)
調製される全量を100mlとするとき、下記の分量で各成分物質を配合することによって本発明による点眼液を調製した(表1、処方1)。
調製される全量を100mlとするとき、下記の分量で各成分物質を配合することによって本発明による点眼液を調製した(表1、処方1)。
まず、前記成分物質のうち、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリソルベート80および濃ベンザルコニウム塩化物50を精製水に溶解し、リン酸水素二ナトリウム水和物とリン酸二水素ナトリウム二水和物を用いてpH6.2に調整し、さらに塩化ナトリウムで浸透圧比を約1に調整して、基剤を得た。次に、ラタノプロストおよびチモロールマレイン酸塩を前述の基剤に溶解させることで調製した。
(実施例2)
実施例1の組成から濃ベンザルコニウム塩化物50の分量を0.02gに変更して、実施例1と同様の製法により、処方2を調製した。
実施例1の組成から濃ベンザルコニウム塩化物50の分量を0.02gに変更して、実施例1と同様の製法により、処方2を調製した。
(比較例)
非イオン性界面活性剤の種類と分量、濃ベンザルコニウム塩化物50の分量、あるいはpHを適宜変更して、実施例1と同様の製法により、対照処方1〜対照処方8をそれぞれ調製した。
非イオン性界面活性剤の種類と分量、濃ベンザルコニウム塩化物50の分量、あるいはpHを適宜変更して、実施例1と同様の製法により、対照処方1〜対照処方8をそれぞれ調製した。
以上の実施例および比較例で調製した各処方の成分、濃度およびpHを下記の表2および表3に示す。なお、対照処方1は、前記市販品の処方である。
(試験例1)
本発明の処方1,処方2、対照処方2および対照処方8について、第十六改正日本薬局方 参考情報 保存効力試験法に従い、細菌(Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus)および真菌(Candida albicans、Aspergillus brasiliensis)に対する保存効力をそれぞれ調べた。保存効力の判定基準は、細菌については、接種14日後に接種菌数の0.1%以下で、接種28日後で14日後のレベルと同等若しくはそれ以下である場合には「○」とした。また、真菌については、接種14日後に接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であり、接種28日後に接種菌数と同レベル若しくはそれ以下である場合には「○」とした。表4に結果を示す。
本発明の処方1,処方2、対照処方2および対照処方8について、第十六改正日本薬局方 参考情報 保存効力試験法に従い、細菌(Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus)および真菌(Candida albicans、Aspergillus brasiliensis)に対する保存効力をそれぞれ調べた。保存効力の判定基準は、細菌については、接種14日後に接種菌数の0.1%以下で、接種28日後で14日後のレベルと同等若しくはそれ以下である場合には「○」とした。また、真菌については、接種14日後に接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であり、接種28日後に接種菌数と同レベル若しくはそれ以下である場合には「○」とした。表4に結果を示す。
表4に示すように、処方1および処方2はいずれも十分な保存効力を示した。一方、対照処方8は十分な保存効力を示さなかった。すなわち、ベンザルコニウム塩化物は、0.002%〜0.01%(w/v)の濃度において十分な保存効力を示すが、0.001%(w/v)では十分な保存効力を示さないことが確認された。
(試験例2)
本発明の処方1、処方2および対照処方1〜対照処方7について、それぞれ単回点眼後のウサギ房水中のラタノプロスト遊離酸およびチモロールの濃度を調べた。処方1、処方2および対照処方1〜対照処方7によって調製した点眼液をウサギ(n=4)に投与し、各時点において房水を採取した。LC-MS/MS法により房水中のラタノプロスト遊離酸およびチモロールの濃度をそれぞれ測定し、投与から4時間後までの濃度−時間曲線下面積値(以下、「AUC(0−4hr)」と略記することもある)をそれぞれ算出した。ラタノプロスト遊離酸に関して、濃度推移を図1〜図4に、算出したAUC(0−4hr)の値を表5〜表8に示す。チモロールに関して、濃度推移を図5〜図8に、算出したAUC(0−4hr)の値を表9〜表12に示す。
本発明の処方1、処方2および対照処方1〜対照処方7について、それぞれ単回点眼後のウサギ房水中のラタノプロスト遊離酸およびチモロールの濃度を調べた。処方1、処方2および対照処方1〜対照処方7によって調製した点眼液をウサギ(n=4)に投与し、各時点において房水を採取した。LC-MS/MS法により房水中のラタノプロスト遊離酸およびチモロールの濃度をそれぞれ測定し、投与から4時間後までの濃度−時間曲線下面積値(以下、「AUC(0−4hr)」と略記することもある)をそれぞれ算出した。ラタノプロスト遊離酸に関して、濃度推移を図1〜図4に、算出したAUC(0−4hr)の値を表5〜表8に示す。チモロールに関して、濃度推移を図5〜図8に、算出したAUC(0−4hr)の値を表9〜表12に示す。
表5〜表8および図1〜図4に示すように、処方1および処方2におけるラタノプロストのウサギ眼内移行性は、いずれも対照処方1(市販品処方)と同等であった。対照処方3のラタノプロストの眼内移行性は、対照処方1と同等であったが、対照処方4および対照処方7は、対照処方1と比較して低下した。すなわち、ラタノプロストの眼内移行性は、選択する非イオン性界面活性剤の種類によって大きく変動し、モノステアリン酸ポリエチレングリコールとポリソルベートの組み合わせが適切であることが明らかとなった。さらに、処方1、対照処方2、対照処方3、対照処方5および対照処方6の結果から、0.002%(w/v)の濃度となるベンザルコニウム塩化物と0.08%(w/v)の濃度となるステアリン酸ポリオキシル40と0.1%(w/v)の濃度となるポリソルベート80を組み合わせた処方においては、pHが6.4以上である場合に、ラタノプロストの眼内移行性が前記市販品と比べて顕著に低下することが明らかとなった。すなわち、ラタノプロストの眼内移行性は、pHによっても変動することが確認された。以上の結果から、対照処方4〜対照処方7は、ラタノプロストの眼内移行性に問題があることが示された。
表9〜表12および図5〜図8に示すように、処方1および処方2におけるチモロールのウサギ眼内移行性は、いずれも対照処方1とほぼ同等であったが、ベンザルコニウム塩化物を高濃度で含む処方2の方が、高い眼内移行性を示した。また、対照処方3、対照処方4および対照処方7を比較すると対照処方7のみが対照処方1と同程度の眼内移行性を示したことから、チモロールの眼内移行性は、ベンザルコニウムの濃度に強く影響を受けることが確認された。さらに、処方1、対照処方2、対照処方3、対照処方5および対照処方6の結果から、0.002%(w/v)の濃度となるベンザルコニウム塩化物と0.08%(w/v)の濃度となるステアリン酸ポリオキシル40と0.1%(w/v)の濃度となるポリソルベート80を組み合わせた処方は、pHが6.0以下である場合に、チモロールの眼内移行性が前記市販品と比べて顕著に低下することが明らかとなった。すなわち、チモロールの眼内移行性は、pHによっても変動することが確認された。以上の結果から、対照処方2〜対照処方4は、チモロールの眼内移行性に問題があることが示された。
以上の結果から、処方1および処方2に関しては、ラタノプロストとチモロールの眼内移行性がそれぞれ対照処方1と同等であることが明らかとなった。すなわち、ベンザルコニウム塩化物の濃度を保存効力が担保される最小濃度である0.002%(w/v)程度に低減とした処方においても、非イオン性界面活性剤として、ステアリン酸ポリオキシル40とポリソルベート80を配合し、pHを調整することで、ラタノプロストとチモロールの眼内移行性がいずれも前記市販品と同等となることが明らかとなった。
(試験例3)
本発明の処方1、処方2あるいは対照処方1をそれぞれ2.5mLずつPE容器に充てん、密栓し、60℃で保存した。保存開始後4週間時まで経時的にサンプリングを行い、高速液体クロマトグラフィーによりラタノプロストおよびチモロールの含量をそれぞれ測定し、その含量残存率を算出した。図9にラタノプロストの含量残存率の推移を、図10にチモロール含量残存率の推移をそれぞれ示す。
本発明の処方1、処方2あるいは対照処方1をそれぞれ2.5mLずつPE容器に充てん、密栓し、60℃で保存した。保存開始後4週間時まで経時的にサンプリングを行い、高速液体クロマトグラフィーによりラタノプロストおよびチモロールの含量をそれぞれ測定し、その含量残存率を算出した。図9にラタノプロストの含量残存率の推移を、図10にチモロール含量残存率の推移をそれぞれ示す。
図9に示すように、処方1および処方2は、60℃の保存下で、いずれもラタノプロストの含量残存率の低下は確認されなかった。すなわち、ステアリン酸ポリオキシル40およびポリソルベート80を組み合わせて配合することで、ベンザルコニウム塩化物の含量を対照処方1と比較して10分の1に減じた場合においても、対照処方1で観察されたようなラタノプロストの含量残存率の低下が生じないことが確認された。
また、図10に示すように、処方1および処方2は、いずれもチモロールの含量残存率の低下は認められず、高い安定性を得られることが確認された。
60℃で4週間保存しても、有効成分の含量低下が見られなかった結果から、処方1および処方2は、室温保存下においても、高い安定性を有すると考えられる。
(試験例4)
本発明の処方1および対照処方1について、2週間反復点眼におけるウサギ眼粘膜への刺激性を調べた。処方1あるいは対照処方1をウサギ(n=8)に単回点眼し、点眼直後から2分間におけるウサギの瞬目回数を測定した。図11に結果を示す。
本発明の処方1および対照処方1について、2週間反復点眼におけるウサギ眼粘膜への刺激性を調べた。処方1あるいは対照処方1をウサギ(n=8)に単回点眼し、点眼直後から2分間におけるウサギの瞬目回数を測定した。図11に結果を示す。
図11に示すように、処方1におけるウサギの瞬目回数は、対照処方1と比較して有意に低いものであった。したがって、ベンザルコニウム塩化物の濃度を0.002%(w/v)程度に低減した処方は、眼刺激性が軽減されることが確認された。
以上の結果から、本発明の点眼液は、有効成分の眼内移行性が前記市販品と同等であり、室温保存が可能であり、かつ、ベンザルコニウム塩化物の減量により眼刺激性が低減したものであることが明らかとなった。
前述のように、本発明の点眼液は、有効成分(ラタノプロストおよびチモロール)の眼内移行性が低下することなく、室温保存が可能であり、ベンザルコニウム塩化物の減量により眼刺激性が低減した。すなわち、緑内障に対して優れた治療効果を有し、患者にとって使いやすい点眼液を供することを可能とした。
Claims (7)
- 以下の成分(a)〜(e);
(a)ラタノプロスト
(b)チモロールマレイン酸塩
(c)モノステアリン酸ポリエチレングリコール
(d)ポリソルベートおよび
(e)ベンザルコニウム塩化物
を含有する点眼液であって、成分(e)の濃度が0.0015%〜0.015%(w/v)であり、かつ、pHが6.1〜6.3である点眼液。 - 成分(c)がステアリン酸ポリオキシル40であり、成分(d)がポリソルベート80であり、これらの濃度の合計が0.1%〜0.2%(w/v)である請求項1に記載の点眼液。
- 成分(c)の濃度が0.01%〜0.08%(w/v)であり、成分(d)の濃度が0.05%〜0.15%(w/v)である請求項2に記載の点眼液。
- 成分(c)の濃度が0.08%(w/v)であり、成分(d)の濃度が0.1%(w/v)である請求項3に記載の点眼液。
- pHが6.2である請求項1から請求項4のいずれかに記載の点眼液。
- 成分(e)の濃度が0.0018%〜0.0022%(w/v)である請求項1から請求項5のいずれかに記載の点眼液。
- 成分(a)の濃度が0.005%(w/v)であり、成分(b)の濃度が0.683%(w/v)である請求項1から請求項6のいずれかに記載の点眼液。
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| JP2013175316A JP2015044751A (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩を配合した点眼液 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2013175316A JP2015044751A (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | ラタノプロストとチモロールマレイン酸塩を配合した点眼液 |
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