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JP2015040170A - 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 Download PDF

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JP2015040170A JP2013173989A JP2013173989A JP2015040170A JP 2015040170 A JP2015040170 A JP 2015040170A JP 2013173989 A JP2013173989 A JP 2013173989A JP 2013173989 A JP2013173989 A JP 2013173989A JP 2015040170 A JP2015040170 A JP 2015040170A
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Makoto Saito
真 斉藤
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全喜 包
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Toru Ishiguro
徹 石黒
重英 秩父
Shigehide Chichibu
重英 秩父
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Abstract

【課題】アモノサーマル法において、純度の高く、欠陥の少ない高品質の周期表第13族金属窒化物結晶を効率良く製造する方法を提供する。
【解決手段】反応容器1中で、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にある溶媒6存在下にて、下地基板6上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程を含み、反応容器中には、窒素含有溶媒、周期表第13族金属窒化物結晶原料、フッ素を含有する鉱化剤及びアルミニウムを存在させることを特徴とする周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。反応容器中に存在するフッ素のモル量(F)とアルミニウム(Al)の比(F/Al)が4.0以上であり、前記窒化物結晶を成長する工程において、反応容器1の圧力が50〜700MPaであり、温度が400〜700℃で結晶を成長させる、周期表第13族金属酸化物結晶の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法に関する。具体的には、本発明は、超臨界及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒の存在下で結晶成長を行う周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)などの周期表第13族金属窒化物結晶は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの各種半導体デバイスの材料に用いられている。周期表第13族金属窒化物結晶を用いて高品質の半導体デバイスを得るためには、周期表第13族金属窒化物結晶が歪のない良好な結晶性を有することが必要である。そのためには周期表第13族金属窒化物結晶が不要な不純物および/または欠陥を含まず、高い純度を有することが重要になる。
周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法としては、ハイドライド気相成長法(HVPE法)やアモノサーマル法等が知られている。HVPE法は、水素気流中でGaの塩化物とV族元素の水素化物(NH3)を炉内に導入し、熱分解させ、熱分解で発生する結晶を基板上に堆積させる方法である。HVPE法は、結晶成長を行っている間、原料ガスを系内に導入し、排出させ続けるため、原料表面や炉内壁に吸着した水分を、系外に排出させることができる。このため、HVPE法は、水分に由来した酸素不純物が成長結晶に取り込まれ難く、比較的純度の高い周期表第13族金属窒化物結晶が得られるという利点を有する。
アモノサーマル法は、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒と、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の結晶材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの窒素含有溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器内に結晶原料や種結晶を入れて密閉し、ヒーター等で加熱することにより耐圧性容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を育成することにより、結晶を製造することができる。アモノサーマル法は、HVPE法に比べて原料利用効率が良く、製造コストを抑制することができるという点において利点がある。このため、アモノサーマル法は、様々な分野での利用が期待されており、例えば発光素子の製造方法や大口径の窒化物半導体の製造方法にアモノサーマル法を利用した技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、窒化ガリウム結晶をアモノサーマル法により成長させる方法が記載されている。ここでは、結晶を高純度化するために、アモノサーマル法により結晶成長工程において、ホウ素を含有させた溶媒を使用することが開示されている。また、特許文献1には、ホウ素化合物をゲッタリング剤として用いることができる旨の記載もあるが、その具体的態様は明らかとされていない。
特許文献2には、アルミニウムを成長結晶に含有させることが開示されている。ここでは、成長結晶をAlGaNといった混晶とすることや、成長結晶中のGaをAlに置き換えることが提案されている。
特許文献1及び2のように、アモノサーマル法を用いて成長させた結晶については、種々の改良案が提案されている。
米国特許出願公開第2011/0300051号公報 国際公開2004/003261号パンフレット
上述したように、アモノサーマル法を用いた結晶の成長方法については、改良案が提案されているが、いずれの方法を用いた場合であっても、成長結晶を十分に高純度化することはできておらず、さらなる改良が求められている。
また、従来のアモノサーマル法を用いた結晶の成長速度は十分に高められておらず、この点についても改良が求められていた。
すなわち、アモノサーマル法を用いて、高純度な成長結晶を効率良く製造することは未だ達成されておらず、さらなる技術検討が必要とされていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、アモノサーマル法において、純度の高く、欠陥の少ない高品質の周期表第13族金属窒化物結晶を効率良く製造することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、アモノサーマル法を用いて周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる際に、反応容器内に窒素含有溶媒、周期表第13族金属窒化物結晶原料及びフッ素を含有する鉱化剤を存在させ、さらに酸素のゲッタリング剤としてアルミニウムを存在させることにより、得られる成長結晶の純度を高め、空孔や転位等の欠陥を低減し得ることを見出した。さらに、本発明者らは、上記のような条件で結晶を成長させることにより、成長速度を高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]反応容器中で、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にある溶媒存在下にて、下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程を含み、前記反応容器中には、窒素含有溶媒、周期表第13族金属窒化物結晶原料、フッ素を含有する鉱化剤及びアルミニウムを存在させることを特徴とする周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[2]前記反応容器中に存在するフッ素のモル量(F)とアルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)が4.0以上である、[1]に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[3]前記期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、反応容器内の圧力は50〜700MPaである、[1]又は[2]に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[4]前記期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、400〜700℃で結晶を成長させる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[5]前記周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、非極性面又は半極性面を主面とする下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[6]前記周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、非極性面を主面とする下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[7]前記周期表第13族金属窒化物結晶は窒化ガリウム結晶である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載の製造方法により製造される周期表第13族金属窒化物結晶。
本発明によれば、高純度でかつ欠陥の少ない周期表第13族金属窒化物結晶を効率良く得ることができる。すなわち、本発明では、結晶性が極めて良好であり、高品質の周期表第13族金属窒化物結晶を短時間で製造することができる。
図1は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。 図2は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。 図3は、実施例1−1で作製された周期表第13族金属窒化物結晶の発光スペクトルである。 図4は、実施例1−2で作製された周期表第13族金属窒化物結晶の発光スペクトルである。 図5は、実施例1−3で作製された周期表第13族金属窒化物結晶の発光スペクトルである。 図6は、比較例1で作製された周期表第13族金属窒化物結晶の発光スペクトルである。 図7は、ゲッタリング剤、鉱化剤及び成長速度の関係を表すグラフである。
(定義)
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書においてwtppmとは重量ppmのことを意味する。
まず、六方晶系の結晶構造の軸と面との関係について説明する。本明細書において種結晶又は周期表第13族金属窒化物結晶の「主面」とは、当該種結晶又は周期表第13族金属窒化物結晶における最も広い面であって、通常は結晶成長を行うべき面を指す。本明細書において「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{0001}面と等価な面であり、極性面である。例えば、(0001)面とその反対面である(000−1)面を指し、窒化ガリウムではそれぞれGa面又はN面に相当する。また、本明細書において「M面」とは、{1−100}面、{01−10}面、{−1010}面、{−1100}面、{0−110}面、{10−10}面として包括的に表される非極性面であり、具体的には(1−100)面や、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、(10−10)面を意味する。さらに、本明細書において「A面」とは、{2−1−10}面、{−12−10}面、{−1−120}面、{−2110}面、{1−210}面、{11−20}面として包括的に表される非極性面である。具体的には(11−20)面や、(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、を意味する。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
また、本明細書において「非極性面」とは、表面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方が存在しており、かつその存在比が1:1である面を意味する。具体的には、M面やA面を挙げることができる。本明細書において「半極性面」とは、例えば、周期表第13族金属窒化物が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、{0001}面以外で、m=0ではない面をいう。すなわち(0001)面に対して傾いた面で、かつ非極性面ではない面をいう。表面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方あるいはC面のように片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味する。h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−2〜2のいずれかの整数であることがより好ましく、低指数面であることが好ましい。周期表第13族金属窒化物結晶の主面として好ましく採用できる半極性面として、例えば{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{20−21}面、{202−1}面、{20−2−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{11−21}面、{11−2−1}面、{11−22}面、{11−2−2}面、{11−24}面、{11−2−4}面などを挙げることができ、特に{10−11}面、{202−1}面を好ましい面として挙げることができる。
なお、C面、M面、A面などのそれぞれの結晶面の面方位は上述の結晶面から任意の角度で傾斜している場合も総称するものとし、好ましくは任意の結晶面から±10°、より好ましくは±7°の範囲で傾斜している場合である。
(周期表第13族金属窒化物結晶)
周期表第13族金属窒化物結晶(以下、第13族窒化物結晶と称する場合がある)としては、例えば、窒化ガリウム(GaN)に代表される周期表第13族窒化物結晶が挙げられる。さらに、周期表第13族金属窒化物としては、GaNの他に、AlN、InN、またはこれらの混晶などを挙げることができる。また、混晶としては、AlGaN、InGaN、AlInN、AlInGaNなどを挙げることができる。中でも、好ましいのはGaNおよびGaを含む混晶であり、より好ましいのはGaNである。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、下地基板の上に第13族窒化物結晶をエピタキシャル成長させることによって得ることができる。下地基板には、エピタキシャル成長させる第13族窒化物結晶と異種の結晶層を用いることもできるが、同種の結晶からなる結晶層を下地基板とすることが好ましい。例えば、エピタキシャル成長させる第13族窒化物結晶がGaN結晶である場合は、下地基板もGaNからなることが好ましい。
(周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法)
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、アモノサーマル法により得られる。アモノサーマル法とは、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にある溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。具体的には、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、周期表第13族金属窒化物結晶原料、窒素含有溶媒、フッ素を含有する鉱化剤及びアルミニウムを反応容器中に存在させて、反応容器中において超臨界及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒の存在下で、周期表第13族金属窒化物結晶の成長を行う成長工程によって得られる。
本発明の製造方法では、反応容器中に、フッ素を含有する鉱化剤とアルミニウムを存在させる。反応容器中に存在させるフッ素のモル量(F)と、アルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)は、4.0以上であることが好ましく、4.5以上であることがより好ましく、5.0以上であることがさらに好ましい。また、フッ素のモル量(F)と、アルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)は、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。このように、反応容器中に存在させるフッ素のモル量(F)とアルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)を上記範囲内とすることにより、高純度で、かつ欠陥の少ない周期表第13族金属窒化物結晶の成長を効率よく行うことが可能となる。
ここで、反応容器中に存在させるフッ素とは、鉱化剤中のフッ素元素に加えて、後述するゲッタリング剤などの添加物をフッ化物とする場合のフッ素元素も含む。よって、反応容器中に存在させるフッ素のモル量(F)は、鉱化剤やゲッタリング剤などに含まれるフッ素の総量を意味する。
以下、本発明に用いることができる周期表第13族金属窒化物結晶原料と、この周期表第13族金属窒化物結晶原料を用いた周期表第13族金属窒化物結晶成長方法について説明する。
(結晶原料)
本発明では、アモノサーマル法により成長させようとしている周期表第13族金属窒化物結晶を構成する原子を含む周期表第13族金属窒化物結晶原料を用いる。例えば、周期表13族金属の周期表第13族金属窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表13族金属を含む原料を用いる。好ましくは周期表第13族金属窒化物結晶の多結晶原料又は単結晶原料を用い、これを13族原子の金属(メタル)と組み合わせて原料として用いても良い。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては13族原子がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有しても良い。例えば、成長させる周期表第13族金属窒化物結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。本発明で得られる周期表第13族金属窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AllnGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AllnGaNであり、より好ましいのはGaNである。よって、周期表第13族金属窒化物結晶原料としては、前述の結晶の多結晶原料及び/又はこれらのメタルを組合せて用いることができる。
結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
原料として用いる結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常250wtppm以下、好ましくは40wtppm以下、特に好ましくは20wtppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性又は吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。このように、結晶原料に含まれる酸素含有量をコントロールすることで、結晶中に導入される水素および酸素の濃度比率を所望の範囲とすることができ、結晶体に歪みが生じることを抑制することができる。
(鉱化剤)
本発明では、アモノサーマル法による周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる際には、フッ素を含有する鉱化剤を用いる。フッ素を含有する鉱化剤は、アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する結晶原料の溶解度を向上させることに加え、高純度の結晶を成長させることに寄与する。なお、フッ素を含有する鉱化剤としては、フッ化アンモニウムを選択することが好ましい。
従来は、高速の結晶成長を行うため、原料溶解領域と結晶成長領域との溶解度差を大きくしやすいヨウ素元素を含む鉱化剤が多く用いられてきた。これに対して、フッ素元素を含有する化合物は、鉱化剤としての機能とともに、フッ素元素が強力な脱酸素性を有し、反応容器内の酸素を吸着して該酸素が成長結晶中に取り込まれることを抑制する機能も発揮することができる。このため、より純度の高い周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。
鉱化剤として、フッ素元素を含む化合物以外にその他の鉱化剤を少量の範囲で併用してもよい。併用する鉱化剤としては、塩基性鉱化剤であっても、酸性鉱化剤であっても良いが、酸性鉱化剤であることが好ましい。塩基性鉱化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属と窒素原子を含む化合物で、アルカリ土類金属アミド、希土類アミド、窒化アルカリ金属、窒化アルカリ土類金属、アジド化合物、その他ヒドラジン類の塩が挙げられる。好ましい例は、アルカリ金属アミドで、具体例としてはナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)、リチウムアミド(LiNH2)が挙げられる。また、酸性鉱化剤としては、ハロゲン元素を含む化合物が好ましく用いられる。ハロゲン元素を含む鉱化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリド、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、ハロゲン化金属等が例示される。このうち、好ましくはハロゲン元素を含む添加物(鉱化剤)であるハロゲン化アルカリ、アルカリ土類金属のハロゲン化物、金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素であり、さらに好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン化アンモニウム、周期表13族金属のハロゲン化物が挙げられ、特に好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化水素である。ハロゲン化アンモニウムとしては、例えば塩化アンモニウム(NH4Cl)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)、臭化アンモニウム(NH4Br)が挙げられる。鉱化剤は1種を単独で用いても良いし、複数種を適宜混合して用いても良い。
フッ素を含有する化合物は、単独で鉱化剤として用いることが好ましい。これにより、より純度の高い周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。また、反応容器の内壁面には、腐食性の鉱化剤等に対して耐食性を得るため白金コーティングがなされるのが一般的であるが、フッ素を含有する化合物を単独で鉱化剤として用いることにより、白金よりも耐食性は劣るが比較的安価な、銀等の耐食性金属をコーティング材に用いることが可能になる。その結果、装置にかかるコストを大幅に削減することができる。
鉱化剤に含まれるフッ素元素の溶媒に対するモル濃度は、0.5mol%以上とすることが好ましく、1.0mol%以上とすることがより好ましく、2.0mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるフッ素元素の溶媒に対するモル濃度は75mol%以下とすることが好ましく、50mol%以下とすることがより好ましく、20mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。また、濃度が低すぎると、周期表第13族金属窒化物結晶の酸素の取り込みを防ぐ効果も十分に得られず、他の結晶成長条件によっては、得られる周期表第13族金属窒化物結晶の純度が低くなる場合がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎたりするため制御が困難になるなどの傾向がある。
本発明の製造方法では、成長させる周期表第13族金属窒化物結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することが好ましい。鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
窒化物原料以外からの酸素の供給を低減するために、鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000wtppm以下であることが好ましく、10wtppm以下であることがより好ましく、1wtppm以下であることがさらに好ましい。
反応容器内の雰囲気から水や酸素を除去する為には、反応容器内を封止した後に200℃以上に加熱して部材表面に付着した水分を水蒸気としてポンプ等にて1×10-7Paまで脱気する方法が考えられる。さらに、鉱化剤を高純度ガスで導入する方法も考えられる。また、予め露点が0℃以下の乾燥雰囲気中で部材や原料を保管して、その中で反応容器及び反応容器内に配置する部材や原料などを組み立てる方法もある。
(ゲッタリング剤)
アモノサーマル法による周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる際には、反応容器中に酸素のゲッタリング剤としてアルミニウムを存在させる。アルミニウムはアルミニウム単体として存在させてもよく、アルミニウム合金として存在させてもよい。このような、ゲッタリング剤は、反応容器内の酸素等の不純物を吸着して該不純物が成長結晶中に取り込まれることを抑える機能を有する。これにより、より純度の高い周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。また、ゲッタリング剤として用いられるアルミニウムは、周期表第13族金属窒化物結晶の成長過程で、溶解しにくく、成長結晶中に取り込まれ難いという特性を有する。さらに、ゲッタリング剤として用いられるアルミニウムは、周期表第13族金属窒化物結晶の成長過程で、成長結晶中に取り込まれても結晶品質を悪化させることがないため、好ましく用いられる。
また、上述したように反応容器内の雰囲気から水や酸素を除去するためには、加熱真空脱気を行うのが一般的であるが、比較的低圧と云っても、約100MPa圧力に耐える配管・バルブは内径が非常に細く、脱気効率が非常に悪く、工業生産性を阻害していた。また、大口径高圧容器は熱容量が非常に大きい為、加熱・脱気とも非常に時間のかかる工程となってしまい問題となっていた。
これに対して、ゲッタリング剤を使用することにより、炉内で酸素を固定化することで製品結晶の純度が上がるため、加熱・脱気をそれほど行わなくともよくなり、非常に簡便に工程が安定するという利点がある。
アルミニウムを投入する際は、金属の状態で反応容器中に存在させてもよく、フッ化アルミニウム(AlF3)として反応容器中に存在させてもよい。また、アルミニウムは窒化アルミニウム(AlN)、あるいは錯体(Al(NH436)、(AlF4NH4)の形態で投入することもできる。いずれの場合も、昇温加圧後は、錯体(AlF4NH4)となってアンモニア中に溶解する。
ゲッタリング剤に含まれるアルミニウム元素の溶媒に対するモル濃度は、0.05mol%以上とすることが好ましく、0.1mol%以上とすることがより好ましい。また、アルミニウム元素の溶媒に対するモル濃度は20mol%以下とすることが好ましく、10mol%以下とすることがより好ましい。アルミニウム元素の溶媒に対するモル濃度を上記範囲内とすることにより、成長結晶中に不純物が取り込まれることを効果的に抑制することができる。また、結晶成長速度も適切な範囲とすることができる。
反応容器中に存在させるフッ素のモル量(F)と、アルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)は、4.0以上であることが好ましく、4.5以上であることがより好ましく、5.0以上であることがさらに好ましい。また、フッ素のモル量(F)と、アルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)は、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、20以下であることがさらに好ましい。このように、反応容器中に存在させるフッ素のモル量(F)とアルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)を上記範囲内とすることにより、高純度で、かつ欠陥の少ない周期表第13族金属窒化物結晶の成長を、効率よく行うことが可能となる。
(溶媒)
アモノサーマル法に用いられる溶媒には、窒素を含有する溶媒を用いることができる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いても良いし、混合して用いても良い。
成長結晶への不要な酸素の供給を低減するために、溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000wtppm以下であることが好ましく、10wtppm以下であることがより好ましく、0.1wtppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
(下地基板)
下地基板は、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶成長に用いられる公知のものであればその種類は特に限定されず、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等の目的とする周期表第13族金属窒化物結晶と同種のものを用いることができる。また、他にも、サファイア(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)等の珪素含有物、又はヒ素ガリウム(GaAs)等を用いることができる。但し、目的の周期表第13族金属窒化物結晶と一致し、若しくは適合した格子定数、結晶格子のサイズパラメータを有する下地基板であるか、またはヘテロエピタキシー(すなわち若干の原子の結晶学的位置の一致)を保証するように配置した単結晶材料片若しくは多結晶材料片から構成されている下地基板を用いることが好ましい。
周期表第13族金属窒化物結晶の結晶成長に用いられる下地基板としては、アモノサーマル法により作製された単結晶及びそれらを切断した結晶を好ましく用いることができる。アモノサーマル法により作製された結晶は歪みが少なく、良好な窒化物結晶を成長させることができるため、下地基板として好ましく用いられる。また、アモノサーマル法により作製された結晶を下地基板として用いることにより、成長結晶に所望の濃度比率となるように水素および酸素を含有させることができ、結晶性に優れた成長結晶を成長させることができる。
周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、非極性面又は半極性面を主面とする下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させることが好ましい。中でも、周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、非極性面を主面とする下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させることがより好ましい。すなわち、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶はM面を主面とした下地基板上に結晶成長させたものであることが好ましい。この場合の主面はオフ角を有するM面であってもよい。オフ角の範囲としては、好ましくは±15°以内であり、より好ましくは±10°以内であり、さらに好ましくは±5°以内である。
通常、極性面を主面とする下地基板上に結晶成長させた第13族窒化物結晶においては、不純物が取り込まれにくいと考えられており、比較的高純度の結晶を得やすいとされていた。一方で、非極性面又は半極性面を主面とする下地基板上に結晶成長させた第13族窒化物結晶には、酸素をはじめとする不純物が取り込まれやすく、高純度の結晶を得ることは極めて困難であった。しかしながら、本発明の製造方法を用いることによって、初めて、非極性面又は半極性面を主面とする下地基板上に極めて高純度で結晶安定性の高い第13族窒化物結晶を得ることが可能となった。
また、第13族窒化物結晶中の残留歪みを抑制する観点からは、第13族窒化物結晶の主面に相当する結晶面を広げて下地基板の主面とするようにアモノサーマル法で成長させた結晶を下地基板として用いることが好ましい。
下地基板の表面状態は滑らかとなるようにコントロールされていることが好ましい。すなわち、下地基板には前処理が施されることが好ましい。例えば、前処理として、下地基板にメルトバック処理を施したり、下地基板の成長結晶成長面を研磨したり、下地基板を洗浄するなどが挙げられる。これにより、下地基板の表面状態を滑らかにすることができ、結晶中に導入される水素および酸素の濃度比率を所望の範囲とすることができる。これにより、下地基板上に成長する周期表第13族窒化物結晶の結晶性を良好にすることができる。
前処理において、結晶成長し得る下地基板の表面を研磨するには、例えば、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)等で行うことができる。下地基板の表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡によって計測した二乗平均平方根粗さ(Rms)が、1.0nm以下であることが好ましく、0.5nmが更に好ましく、0.3nmが特に好ましい。
(反応容器及び設置部材)
周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法に用いることのできる結晶製造装置の具体例を図1および図2に示す。本発明で用いる結晶製造装置は反応容器を含む。
図1の結晶製造装置はオートクレーブ(耐圧性容器)1を有しており、オートクレーブ1内には、バッフル板5が設置されている。原料4は、バッフル板5の上部に設置され、下地基板(種結晶)6は、バッフル板5の下部に設置される。すなわち、図1の結晶製造装置においては、バッフル板5の下部が結晶成長領域2となり、バッフル板5の上部が原料溶解領域3となる。
図2の結晶製造装置は、オートクレーブ1内にカプセル7を設けた結晶製造装置である。このように、オートクレーブ1内に設けたカプセル7の中にバッフル板5を設置し、原料4及び下地基板(種結晶)6を設けることとしてもよい。この場合、カプセル7内におけるバッフル板5の下部が結晶成長領域2となり、バッフル板5の上部が原料溶解領域3となる。
反応容器内の酸素濃度は低いことが好ましい。反応容器内の酸素濃度は、10wtppm以下であることが好ましく、5wtppm以下であることがより好ましく、1wtppm以下であることがさらに好ましい。反応容器内の酸素濃度を上記上限値以下となるように、十分に低減させることにより、結晶に取り込まれる不純物が低減し、より結晶性に優れた窒化物結晶を得ることができる。
本発明における反応容器とは、超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒がその内壁面に直接接触しうる状態で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。
本発明に用いる反応容器としての耐圧性容器は、アモノサーマル法により窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択する。本発明の製造方法においては、耐圧性及び耐腐食性を有していれば特に限定されないが、反応容器として、白金族金属やNiを含む金属であることが好ましく、Ni基合金を含むものであることがより好ましい。特に、このような材料からなる反応容器を用いた場合には、フッ素を含有する鉱化剤を用いて低圧で結晶成長することが容易となり好ましい。
Niを含む金属としては、炭素含有量が0.2質量%以下の純Ni(Ni200,Ni201など);Ni含有量が40質量%以上で不純元素としてのFe,Co含有量が2.5質量%以下のNi基合金(例えば、Inconel 625など(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ);Ni含有量が40質量%以上のNi−Cu合金(モネル400など)が挙げられる。Ni基合金は、超臨界NH3環境下で窒物を形成するCr,Al,Ti,Nb、Vを含有しても良く、更に、固溶強化元素としてW,Moを含有してもよい。
純Niには、炭素含有量が0.2質量%以下の規格のもの「Ni200」と、極低炭素の規格「Ni201」などが挙げられる。本発明で用いられるNiとしては、極低炭素のグレードが好ましい。炭素含有量が低いNiの場合、時効脆化という現象が起こりにくく、500〜600℃程度の温度であっても炭素がグラファイトとして粒界に析出することなく、材料として脆くなりにくい傾向があるため好ましい。
Ni基合金としては、例えば、Fe含有量を好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下に制限したNi−Cr、Ni−Cr−Mo、Ni−Cr−W合金等が挙げられる。また、前記Ni基合金は、フッ素環境下におけるFeやCoの選択溶出を抑制する観点から、Fe含有量5.0質量%以下、Co含有量2.0質量%以下のNi基合金であることが好ましい。
以上の観点からすると、前記Niを含む金属としては、Ni含有量40質量%を超えるNi基合金であることが好ましく、Ni含有量45質量%を超えるNi基合金であることが更に好ましく、Ni含有量50質量%を超えるNi基合金であることが特に好ましい。
これらの合金によって反応容器を構成する様態は特に限定されない。耐圧性容器の内面を直接ライニングまたはコーティングして反応容器を形成してもよいし、耐腐食性に優れる材料からなるカプセルを耐圧性容器内に配置してもよい。純Niは柔らかく加工性に富むので容器内面に0.5mm厚さ程度のライニングを行って反応容器を形成することも簡単に行う事が出来る。また、数年に一回程度内張りを交換する事も可能である。
反応容器の形状は、円筒形などをはじめとして任意の形状とすることができる。また、反応容器は立設しても横置きにしても斜めに設置して使用してもよい。
また、反応容器及び設置部材の耐食性をより向上させるために、白金族又は白金族合金の優れた耐食性を利用することができる。反応容器及び設置部材は、それ自体の材質を白金族又は白金族合金とすることもできるし、反応容器の内壁を白金族又は白金族合金とすることもできる。
さらに、反応容器は耐圧容器であることが好ましい。特に、反応容器の内壁を白金族又は白金族合金とする場合や、反応容器及び設置部材の表面を白金族又は白金族合金でコーティングまたはライニングする場合は、反応容器を形成する他の素材で耐圧性を確保することが好ましい。
白金族金属やNiを含む金属以外で耐圧性と耐食性を有する材料としてはTi、W、Mo、Ru、Nbやその合金を使用することができる。好ましくは、Mo、W、Tiを使用することができる。
反応容器及び設置部材を形成する構成材及びコーティング材は、白金族又は白金族合金を含むことができる。
白金族としては、Pt、Au、Ir、Ru、Rh、Pd、Agが挙げられる。白金族合金は、これらの貴金属を主成分とする合金のことを言う。白金族合金の中でも優れた耐食性を有するPtまたはPt及びIrを含む合金を用いることができる。
ライニングする材料としては、Pt、Ir、Ag、Pd、Rh、Cu、Au及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物を用いることが好ましい。中でも、ライニングがしやすいという理由でPt、Ag、Cu及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物を用いることが好ましい。例えば、Pt単体、Pt−Ir合金、Ag単体、Cu単体やグラファイトなどが挙げられる。
なお、本発明では、上述したように、鉱化剤として、フッ素を含有する化合物を単独で鉱化剤として用いることにより、Ag又はAgを含む合金をコーティン材やライニング材として好適に用いることができる。これにより反応容器にかかるコストを大幅に削減することができる。
(製造工程)
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、下地基板(種結晶)、窒素含有溶媒、周期表第13族金属窒化物結晶原料、フッ素を含有する鉱化剤及びアルミニウムを入れて封止する。ここで、下地基板としては、M面を主面とする下地基板を用いることが好ましい。
本発明の製造工程においては、材料を反応容器内に導入するのに先だって、反応容器中に存在する酸素、酸化物又は水蒸気を除去する工程を設けることが好ましい。反応容器中に存在する酸素、酸化物又は水蒸気を除去するには、反応容器中に窒化物結晶原料を充填した後に、反応容器中を真空状態とすることや、反応容器中に不活性化ガスを満たす方法を採用することができる。また、反応容器や反応容器に包含される各種の部材を乾燥させることによっても酸素、酸化物又は水蒸気を除去することができる。乾燥方法としては外部ヒーターなどを用いて反応容器を加熱する方法や加熱と真空引きを組み合わせる方法などがある。これにより、結晶中に導入される酸素を低減して、より結晶性に優れた窒化物結晶を得ることができる。
また、製造工程においては、表面吸着物質隔離工程をさらに設けても良い。表面吸着物質隔離工程とは、反応容器中に存在する酸素、酸化物又は水蒸気を固定化する工程をいう。また、表面吸着物質隔離工程には、反応容器や反応容器内に設置される各種の部材のうち酸素、酸化物又は水蒸気を含有する部材の表面をコーティングまたはライニングする工程が含まれる。部材の表面をコーティングまたはライニングすることによって、表面吸着物質が露出し、周期表第13族金属窒化物結晶に取り込まれることを防ぐことができる。
材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させても良い。通常は、反応容器内への種結晶の設置は、原料及び鉱化剤を充填する際に同時又は充填後に行う。種結晶の設置後には、必要に応じて加熱脱気をしても良い。脱気時の真空度は1×10-2Pa以下が好ましく、5×10-3Pa以下がさらに好ましく、1×10-3Pa以下が特に好ましい。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態又は亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、物質の粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持される。アンモニア溶媒を用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、周期表第13族金属窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメータ、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。周期表第13族金属窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は結晶性及び生産性の観点から、25MPa以上にすることが好ましく、30MPa以上にすることがより好ましく、50MPa以上にすることがさらに好ましく、80MPaにすることが特に好ましい。また、反応容器内の圧力は、成長結晶の不要な不純物の取り込みを抑えるとともに安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、250MPa以下にすることがより好ましく、200MPa以下にすることがさらに好ましく、135MPa以下にすることが特に好ましい。
特に、反応容器内の圧力を135MPa以下にすることにより、成長結晶の成長速度を犠牲にすることなく、成長結晶の不要な不純物の取り込みを効果的に抑えることができる。すなわち、反応容器内の圧力を135MPa以下にすることにより、下地基板(種結晶)周囲の流通が促進され、成長結晶の不要な不純物の取り込みが抑制されるという効果が得られる。一方、一般に、反応容器内の圧力が低いと、結晶成長速度が低くなる傾向があるとされている。しかし、実際には、反応容器内の圧力を135MPa以下にすると溶媒の粘性が下がるため、溶媒の対流速度や結晶成長界面での溶媒の循環速度が増加し、原料の供給速度や反応副生成物の排出速度が速くなる。その結果、反応容器内の圧力を高圧にした場合に比べて遜色のない結晶成長速度を得ることができる。
また、反応容器内の圧力を低くすると、鉱化剤のフッ素濃度が高い場合に生じる雑結晶の発生が抑えられるため、鉱化剤のフッ素濃度を比較的高く設定することが可能になる。これにより、結晶原料の溶媒に対する溶解度を十分に高めることができ、また、フッ素元素の脱酸素性によって成長結晶の酸素の取り込みを効果的に抑制できるという効果も得られる。さらに、反応容器に要求される耐圧性も緩くなるため、比較的安価な反応容器を用いることが可能になり、製造コストを大幅に削減することができる。
圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及び自由容積の存在によって多少異なる。
周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる際の成長温度範囲(結晶成長領域の温度)は、結晶性及び生産性の観点から、下限値が400℃以上であることが好ましく、450℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、625℃以下であることがさらに好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料溶解領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。温度差(|ΔT|)は、結晶性及び生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
特に、成長温度(結晶成長領域の温度)を650℃以下にすることにより、ゲッタリング剤として用いるアルミニウムの溶解を抑制することができる。これにより、アルミニウムは、周期表第13族金属窒化物結晶中に取り込まれることを抑制することができる。さらに、成長温度(結晶成長領域の温度)を625℃以下にすることにより、成長結晶の成長速度を犠牲にすることなく、成長結晶の不要な不純物の取り込みを効果的に抑えることができる。
反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器の自由容積、すなわち、反応容器に結晶原料、及び種結晶(下地基板)を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%とする。
反応容器内での周期表第13族金属窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態又は超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、上述したの「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、及び/又は外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料溶解領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法においては、下地基板(種結晶)に前処理を加えておくことができる。前処理としては、例えば、下地基板(種結晶)にメルトバック処理を施したり、種結晶の成長結晶成長面を研磨したり、種結晶を洗浄するなどが挙げられる。
前処理において、結晶成長し得る種結晶の表面を研磨するには、例えば、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)等で行うことができる。種結晶の表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡によって計測した二乗平均平方根粗さ(Rms)が、メルトバックとそれに続く結晶成長を均等に行うとの観点から、1.0nm以下であることが好ましく、0.5nmが更に好ましく、0.3nmが特に好ましい。
所定の温度に達した後の反応時間については、周期表第13族金属窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。反応中、反応温度は一定にしても良いし、徐々に昇温又は降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、反応温度を降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常、−80℃〜200℃、好ましくは−33℃〜100℃である。ここで、反応容器に付属したバルブの配管接続口に配管接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けても良い。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した周期表第13族金属窒化物結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法においては、種結晶上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させた後に、後処理を加えても良い。後処理の種類や目的は特に制限されない。例えば、ピットや転位などの結晶欠陥を容易に観察できるようにするために、育成後の冷却過程で結晶表面をメルトバックしても良い。
(低温フォトルミネッセンス法による周期表第13族金属窒化物結晶の評価)
本発明の製造方法により製造された周期表第13族金属窒化物結晶は、低温フォトルミネッセンス法(低温PL法)によって観測される発光スペクトルの3.430eV〜3.480eVの範囲に、少なくとも2つの発光ピークを有する。低温PL法によって観測される発光スペクトルの3.430eV〜3.480eVの範囲に、少なくとも2つの発光ピークを有することは、得られた周期表第13族金属窒化物結晶の純度が高く、空孔や転位等の欠陥が少ないことを示している。具体的には、発光スペクトルが少なくとも2つの発光ピークを有する周期表第13族金属窒化物結晶は一様に高い純度を有し、欠陥が少ないのに対して、発光スペクトルの発光ピークがブロードな単一ピークである窒化ガリウム結晶は、純度が低く欠陥多い。
ここで、「少なくとも2つの発光ピークを有する」とは、発光スペクトルにおいて分離して観察される2つ以上のピークトップが存在することを意味する。
また、本発明において「低温フォトルミネッセンス法によって観測される発光スペクトル」とは、絶対温度30K以下で、波長325nmのHe−Cdレーザー光をビーム強度38W/cm2で周期表第13族金属窒化物結晶試料に照射したときに観測されるフォトルミネッセンスのスペクトルのことを言う。この発光スペクトルは、浜松ホトニクス社製分光器(商品名C5094)及び浜松ホトニクス社製検出器(商品名BT−CCD PMA−50)を用いて観測することができる。なお、以下の説明では、「低温フォトルミネッセンス法によって観測される発光スペクトル」を、単に「発光スペクトル」と言うことがある。
発光スペクトルは、分離した発光ピークを複数有している。このうち3.472eV付近にピークトップを有するピークI2,A(第2発光ピーク)は、窒化ガリウム結晶のドナー束縛励起子DBE(Donor Bound Exciton)が価電子帯に戻ることによる発光ピークである。また、3.435〜3.460eVの範囲に存在する2つのピーク(第1発光ピーク)は、ドナー束縛励起子が不純物の電子軌道に遷移することによる発光ピークである。この第1発光ピークの発光は、TES(Two Electron Satellites)発光と称される発光である。
参考文献PHYSICAL REVIEW B 66, 233311 (2002)では、Two Electron Satellitesに関して、各ピークと不純物種類の対応を調べており、TABLE 1.に示されている。
発光スペクトルの第2発光ピークの半値幅は、12meV以下であることが好ましく、meV以下であることがより好ましく、10meV以下であることがさらに好ましい。
ここで、「第2発光ピークの半値幅」とは、バックグラウンドレベルを第2発光ピークのベースラインとしたときに、このベースラインと第2発光ピークの頂点との間の1/2の高さ位置におけるピーク幅のことを言う。
第2発光ピークの半値幅が12meV以下であることは、第2発光ピークの形状がシャープであることを意味しており、第2発光ピークの半値幅がそのような範囲にある周期表第13族金属窒化物結晶は、極めて高い純度を有する。
(ウエハ)
本発明は、上述したような工程を経て製造された周期表第13族金属窒化物結晶に関する。結晶成長した周期表第13族金属窒化物結晶を、スライス、研削、研磨など加工処理を行うことによって、第13族窒化物基板とすることができる。所望の方向に切り出すことにより、任意の結晶方位を有するウエハ(半導体基板)を得ることができる。本発明の製造方法によって厚くて大口径のM面を有する周期表第13族金属窒化物結晶を製造した場合は、m軸に垂直な方向に切り出すことにより、大口径のM面ウエハを得ることができる。また、本発明の製造方法によって大口径の半極性面を有する周期表第13族金属窒化物結晶を製造した場合は、半極性面に平行に切り出すことにより、大口径の半極性面ウエハを得ることができる。これらのウエハも、均一で高品質であるという特徴を有する。
(デバイス)
上記のような製造方法により得られた周期表第13族窒化物基板は、デバイス、即ち発光素子や電子デバイス、パワーデバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明の周期表第13族窒化物結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明の周期表第13族窒化物結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(SCR、GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ショットキーバリアダイオード(SBD)がある。本発明のエピタキシャルウエハは、耐圧性に優れるという特徴を有することから、上記のいずれの用途にも適している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1−1>
図1に示す結晶製造装置(オートクレーブ)を用いて、以下の手順にしたがって周期表第13族金属窒化物結晶を成長させた。
白金を内張りした内寸が直径22mm、長さ293mmのオートクレーブ(容積約119ml)内の下部に、アモノサーマル法で作製した結晶をM面(10−10)が主面となるようスライス・両面研磨した種結晶(厚み約330μm)6を設置した。種結晶の主面はchemical mechanical polishing(CMP)仕上げされており、表面粗さは原子間力顕微鏡による計測によりRmsが0.5nm以下であることを確認した。
次いで、オートクレーブ内部にバッフル板5を設置し、バッフル板より上部に原料4としてHVPE法で作製した多結晶体GaNを60.5g入れた。さらに、酸素ゲッタリング剤として、金属AlをNH3充填量に対し0.64mol%投入した。次いでその上から鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Fを溶媒として用いるNH3充填量に対し5.0mol%投入した。その後、素早くバルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いで、オートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプ部に通じるように操作し、バルブを開けてオートクレーブ内を真空脱気した。その後、真空状態を維持しながら、オートクレーブをドライアイス/メタノールによって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管をバルブを介してNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け、外気に触れることなくNH3を連続してオートクレーブ内に充填した。流量を制御して、NH3をオートクレーブ内に液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させて充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内の下部2の結晶成長領域の温度が625℃に、上部1の原料溶解領域の温度が575℃になるように昇温し、その温度で96時間保持した。オートクレーブ内の圧力は110MPaであった。また、保持中の温度幅は±5℃以下に制御した。その後、オートクレーブの下部外面の温度が50℃になるまで約9時間かけて降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まずオートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後、オートクレーブを計量し、NH3の排出を確認した。その後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように導管を操作し、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。その後、オートクレーブの蓋を開け、種結晶を取り出した。育成後の種結晶を観察したところ、結晶厚みが2.14mmになっていた。このときの結晶の成長速度は450μm/dayであり、m軸<10−10>方向の成長速度にすると225.0μm/dayであった。
得られた結晶のM面成長部について低温PL評価を行った。サンプルをクライオポンプを改造した冷却台に固定し、絶対温度10Kまで冷却した。その後、波長325nmのHe−Cdレーザーを光源として用い、ビーム強度38W/cm2で試料に照射した。この際の発光スペクトルを分光光度計により測定した(図3)。すると、GaN結晶にSiもしくはOがドープされた際に生じるDonor Bound Exciton(3.472eV)を中心とする第2発光ピークと、第1発光ピーク(Two Electron Satellites)が分離して観察された。
<実施例1−2>
実施例1−1と同様であるが、表1に記載の通りFとAlの投入比率を変更し、NH3に対しAl:6.4mol%、F:5.25mol%とした。得られた結晶のM面成長部について低温PL評価を行った(図4)。実施例1−1と同様、比較例1に比べ、低温PLピークの半値幅の面内ばらつきが小さくなっている。一方で、NH4Fの投入量を減らしたことにより、鉱化剤としてGaの輸送に寄与する余剰Fが少ないことにより、実施例1−1に対し成長速度が約1桁遅くなった。
実施例1−2で得られた結晶について、X線ロッキングカーブの(100)回折の半値幅は、c軸平行で20〜23arcse、c軸垂直で19〜25arcsecであり、共に非常に良好な結果が得られた。
実施例1−2で得られた結晶について、陽電子消滅法により、結晶内の原子空孔濃度を測定したところ、従来法に比べ、原子空孔濃度が優位に減少していることが分かった。従来は成長条件を振っても、S−parameterが0.45〜0.47の範囲で振れつつもW−parameterが0.018程度から動かなかったが、実施例1−2で得られた結晶では、W−parameterが0.020を超える値を示した。
なお、陽電子消滅法については、日本結晶成長学会誌Vol.36、No.3(2009)を参照した。
<実施例1−3>
実施例1−1と同様であるが、表1に記載の通りFとAlの投入比率を変更し、Al:0.16mol%、F:2.5mol%とした。得られた結晶のM面成長部について低温PL評価を行った(図5)。実施例1−1と同様、比較例1に比べ、低温PLピークの半値幅の面内ばらつきが小さくなっている。
<比較例1>
Alを使用せず、NH4Fのみを投入した以外は、実施例1−1と同様とした。Gaの輸送に寄与する余剰Fが増えたことで、成長速度が増した。一方、脱酸素効果が小さく、低温PLピークの半値幅の面内ばらつきが大きくなっている(図6)。
比較例1について、X線ロッキングカーブの(100)回折の半値幅はc軸垂直で26arcsecと、良好な値を示したが、c軸平行で142arcsecとなった。
また、Alゲッタリング剤を投入した実験を終了して、炉を開放すると、Al含有化合物が得られるが、これを粉末X線法で解析したところ、AlNH44なる物質が合成されていることが分かった。
(低温PL評価)
実施例1−1〜3および比較例1で得られた結晶について、低温PL評価を行った。低温PL測定は、光源にHe−Cdレーザー(波長325nm)をビーム強度38W/cm2で試料に照射して、浜松ホトニクス社製分光器(型番:C5094)および浜松ホトニクス社製検出器(型番:BT−CCD PMA−50)で、温度10Kでの発光スペクトルを測定することにより行った。
一般に、GaNを10Kの低温でPL測定した場合、3.472eV付近のピークをI2,A(Donor Bound Exciton)と呼び、3.476eVのサブピークをI2,Bと呼ぶ。これとは別に、3.435〜3.460eVに存在するピークをTwo Electron Satellitesと呼ぶ。これらDBEとTESを含めた、3.430〜3.480eVの全体をNear Band Edgeの発光と称する。
本明細書では、DBEが観察されるものについてはDBE、ピークがブロードになってTESが観察されないものに関しては、NBEと表記する事にする。
3.435〜3.460eVの範囲に存在する発光ピークを第1発光ピーク(TES)、3.465〜3.480eVの範囲に存在する発光ピークを第2発光ピーク(DBEもしくはNBE)として、それぞれの発光ピークの有無を下記通り判定した。
○:発光ピークあり
×:発光ピークなし
また、それぞれの結晶において、表面と裏面にあたるM面において各々3〜5点の任意の測定点を選択して低温PL測定を行った。図3〜6の発光スペクトルは、同一結晶内の異なる測定点で測定したスペクトルを並べて示している。よって、縦軸は任意単位となる。
表1には、実施例1−1〜3と比較例1について、各測定点の発光スペクトルにおける第2発光(Donor Bound Excito)ピークの半値幅を算出した結果を示しており、これは第2発光ピークの半値幅の面内ばらつきを意味する。実施例1−1〜3のようにAl含有ゲッタリング剤を用いた方が、面内ばらつきが小さい均一な結晶となっていることが示されている。
比較例1のようにゲッタリング剤を用いない場合、成長開始初期の種結晶周りに不純物が多く、成長が進むにつれて(結晶表面に向かって)純度が向上していく傾向があった。これは、系内の不純物が初期に多く結晶に取り込まれ、溶液中の不純物濃度が時間とともに低下していく事に起因する。
これに対して、ゲッタリング剤を用いる場合は、初期から溶媒中の不純物濃度を低くしやすいので、種結晶周りに低品質層を形成しにくく、全体に低欠陥・高純度で均一性が高くなっていることがわかる。
実施例1−1のGaN結晶の発光スペクトルを図3に示す。実施例1−1のGaN結晶では、面内5点の表裏、計10点の測定を行ったところ、いずれの場所でも第1発光ピークおよび第2発光ピークが観察され、第1発光ピークとしては3.446eV付近および3.456eV付近に計2つの発光ピークが観察された。また、第2発光ピークの半値幅(FWHM)は6.6〜7.8meVであった。
実施例1−2のGaN結晶の発光スペクトルを図4に示す。計8点の測定点において、いずれも実施例1−1と同じく、3.446eV付近および3.456eV付近に計2つの発光ピークが観察され、第2発光ピークの半値幅は5.9〜8.7meVであった。
実施例1−3のGaN結晶の発光スペクトルを図5に示す。計10点の測定点において、いずれも3.446eV付近、及び3.456eV付近に計2つの発光ピークが観察され、第2発光ピークの半値幅は8.9〜11.9meVであった。
比較例1のGaN結晶の発光スペクトルを図6に示す。計8点の測定を行ったが、3.446eV付近および3.456eV付近に計2つの発光ピークが観察される個所とされない箇所があり、第2発光ピークの半値幅は9.1〜13.7meVであった。

<実施例2−1〜2−4>
表2に示す通り、NH3に対する投入総F濃度を約5%mol程度とし、投入総Al濃度を振って、成長実験を試みた。F濃度/Al濃度が4.0を上回ると、高速成長が起こった。
<実施例3−1〜3−4>
表2に示す通り、NH3に対する投入総F濃度を約10%mol程度とし、投入総Al濃度を振って、成長実験を試みた。実施例2に同じくF濃度/Al濃度が4.0を上回ると、高速成長が起こった。
<実施例4−1〜4−4>
表2に示す通り、NH3に対する投入総F濃度とAl濃度の比率を、4:1よりも若干多めとして、成長実験を試みた。いずれの場合も、高速成長が起こった。
以上から、定常運転中は、投入されたAlは、AlNH44の形でNH3中に溶解し、余剰Fが鉱化剤としてGaNの溶解・輸送に寄与していると考えられる。
図7には、ゲッタリング剤、鉱化剤及び成長速度の関係を表す全体像を示す。X軸がAl添加量、Y軸がF添加量、Z軸が成長速度を表す。図中の黒点線は、F/Al=4.0の線である。図7からわかるように、F、Alともに少ない領域(低純度・低速成長領域)では、脱酸素効果が小さく、かつ鉱化剤濃度も小さいので、成長速度も小さい。
Fが過少の領域(高純度・低速成長領域)では、脱酸素効果は期待できるが、ほとんどのFがAlNH44の形でAlと化合し、Gaの溶解に寄与する鉱化剤Fがほとんど残らない為、成長速度がきわめて遅い。一方、鉱化剤Fが余剰になる領域(高純度・高速成長領域)では、高純度と高速成長を両立できる。
従って、Al含有ゲッタリング剤を投入する際には、鉱化剤F濃度との比率が、F/Al≧4.0となるように調整すると、ゲッタリング効果と高速成長を両立できるため好ましい。また、Alの投入に際しては、金属Alでもよいが、上記AlNH44、あるいはAlF3等、最終的にAlNH44を形成できるAl含有化合物であれば使用が可能である。本実験は、鉱化剤としてFのみを用いたが、その他ハロゲンを鉱化剤として使用する際も、同様の効果が期待できる。
また、結晶成長系内にかなり多量のAlが存在することになるが、SIMS不純物分析で計測したところ、結晶に入るAlは、測定限界値(1x1014atoms/cc)以下であった。超臨界溶媒中でのAl−Fのボンドは強力で、Ni基合金を用いたオートクレーブの最高使用温度(600℃近辺)では、ボンドが切れず、溶解したまま結晶に入らないと考えられる。ゲッタリング剤として十分な機能を有しながら、結晶に不純物として混入しない事も、Alゲッタリング剤の大きなメリットの一つである。
さらに、Al以外にも、一般に脱酸素剤として知られる元素を中心に、酸素ゲッタリング効果の有無を確認するための実験を行った。
<比較例2>
ゲッタリング剤として、Mgを用いた実験を試みた。その他の条件は、実施例1と同様とした。Mgが過度に結晶に取り込まれ、結晶が黒色となり、PLで発光が確認できなかった。Zn、Siについても同様の結果であった。Tiについては、結晶が黒色とはならなかったものの、バンド端の発光が弱く、酸素起因の1.8eV付近の発光が見られ、ゲッタリング効果が薄いことが分かった。
<比較例3>
ゲッタリング剤として、原料多結晶GaNの他に、メタルGaを投入した実験を試みた。その他の条件は、実施例1と同様とした。バンド端の発光が弱く、酸素起因の1.8eV付近の発光が見られ、ゲッタリング効果が薄いことが分かった。
<比較例4>
ゲッタリング剤として、Ptを投入し、その他の条件は、実施例1と同様とした。Ir、Mo、Wについても同様の実験を試みた。ハロゲンを加えた酸性アンモニアに対して耐食性のあるPt、Ir、Mo、Wは、種結晶を固定する為の炉内部材として用いているが、酸素を取り去る手立てを加えない限り、得られた結晶のバンド端の発光が弱く、酸素起因の1.8eV付近の発光が見られ、ゲッタリング効果が薄いことが分かった。
<比較例5>
腐食試験を兼ねて、Fe、Niを含むNi合金を炉内に設置した。その他の条件は、実施例1と同様とした。結晶成長実験を行ったところ、結晶のバンド端の発光が弱く、酸素起因の1.8eV付近の発光が見られ、ゲッタリング効果が薄いことが分かった。
このように、高純度で比較的安価に手に入る物質の中にあっては、酸性アモノサーマルの系内でゲッタリング剤として十分な機能を有する物質は、Al以外見いだせなかった。なお、Bに関しては、ゲッタリング作用がある事が予想されるが、炉内で生成されると考えられるBF3が腐食性・毒性気体の為、工業化に適さない。
以上の結果から、アモノサーマル法においてAl含有ゲッタリング剤を用いて成長させた結晶は、使用しない場合に比べ、より均一で高純度、低欠陥である事が示された。
さらに、F含有鉱化剤を用いる場合、Alゲッタリング剤は、AlNH44の形態で溶解する為、F:Al≧4.0の比率で投入すると、ゲッタリング効果と高速成長を両立できる。
酸性アモノサーマル法は、超臨界状態のアンモニアを溶媒とし、GaNの溶解と再結晶を行う。高純度を求められる窒化物半導体の製造に当たっては、炉内に残留する酸素・水分をできるだけ少なくするため、加熱真空脱気を行うのが一般的であるが、この際使用される反応容器は、超高圧に耐えるため非常に肉厚に設計され熱容量が大きく、加熱真空脱気をしようとすると、加熱・冷却に時間がかかり、特に大型化に際しては問題が大きい。同時に、脱気の為の配管・バルブも内径が小さく、真空度を上げるに非常に時間がかかり、やはり大型化に際しては問題が大きい。
この点、ゲッタリング法は、系内に残留する酸素・水分を系内で固定化し結晶に入らなくする手法であり、簡便で、熱容量が大きく配管径が小さいアモノサーマル炉に対しては特に効果が大きい。今回、結晶に混入しないゲッタリング剤を見出せたことは、安価な均質大口径GaN結晶製造に道を開くものである。
1 オートクレーブ(耐圧性容器)
2 結晶成長領域
3 原料溶解領域
4 原料
5 バッフル板
6 下地基板(種結晶)
7 カプセル

Claims (8)

  1. 反応容器中で、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にある溶媒存在下にて、下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程を含み、
    前記反応容器中には、窒素含有溶媒、周期表第13族金属窒化物結晶原料、フッ素を含有する鉱化剤及びアルミニウムを存在させることを特徴とする周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記反応容器中に存在するフッ素のモル量(F)とアルミニウムのモル量(Al)の比(F/Al)が4.0以上である、請求項1に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、反応容器内の圧力は50〜700MPaである、請求項1又は2に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、400〜700℃で結晶を成長させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、非極性面又は半極性面を主面とする下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程では、非極性面を主面とする下地基板上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記周期表第13族金属窒化物結晶は窒化ガリウム結晶である請求項1〜6のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造される周期表第13族金属窒化物結晶。
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