以下に本発明の実施の形態を説明するが、説明を分かりやすくするために、液晶表示装置を例示する。但し、後述するように、本発明は液晶表示装置以外の表示装置にも適用可能である。なお、以下では液晶表示装置を「LCD」と呼ぶ場合もある。
<実施の形態1>
<LCD>
図1に、実施の形態1に係るLCD1の模式的な分解斜視図を示す。図1の例では、LCD1は液晶パネル10とバックライトユニット20とを含んでいる。なお、LCD1が直視型である場合を想定するが、LCD1は投写型であってもよい。
液晶パネル10は、液晶の配向状態を制御することによって表示動作を行う表示パネルである。液晶パネル10は、画素が例えばマトリックス状に配列されている表示領域11と、表示領域11の外側に位置し表示領域11を取り囲む額縁領域(「周辺領域」とも呼ばれる)12とに大別される。なお、画素の配列はマトリックス状に限定されるものではない。
一般に液晶の配向状態を制御する方式として、TN(Twisted-Nematic)方式、FFS(Fringe-Field-Switching)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式、VA(Vertical-Alignment)方式、等が知られている。実施の形態1〜4ではTN方式を例示し、実施の形態5ではFFS方式を例示するが、液晶パネル10の液晶配向制御方式はこれらの例に限定されるものではない。
図1の例ではバックライトユニット20が設けられていることから分かるように、液晶パネル10が透過型または半透過型の場合を例示する。但し、液晶パネル10は反射型であってもよく、その場合、バックライトユニット20は省略される。
図1には液晶パネル10が平坦である場合を例示しているが、液晶パネル10は湾曲していてもよい。
バックライトユニット20は、液晶パネル10の背面に配置され、液晶パネル10に照明光を供給する面状光源装置である。なお、液晶パネル10において、ユーザが表示内容を視認する側の主面が前面であり、前面とは反対側の主面が背面である。
図1では、液晶パネル10の前面から見て、バックライトユニット20が液晶パネル10と同じ寸法である場合を例示している。但し、液晶パネル10の表示領域11に照明光を供給可能であれば、バックライトユニット20の寸法および形状は図1の例に限定されるものではない。
液晶パネル10およびバックライトユニット20は、不図示の筐体内に収容されている。また、必要に応じて、液晶パネル10用の外付け装置が筐体の内部および/または外部に設けられる。バックライトユニット20用の外付け装置についても同様である。外付け装置は電源回路、信号処理回路等である。
<液晶パネル>
液晶パネル10において、2枚の表示パネル用基板30,40が一定の間隙(「セルギャップ」とも呼ばれる)を介して貼り合わされ、これら2枚の基板30,40の間に液晶が閉じ込められている。基板30,40の外面上には、偏光板、位相差板等が配置されている。なお、図1では基板30の側にバックライトユニット20が配置されているが、基板40の側にバックライトユニット20を配置することも可能である。以下では基板30がTFT(Thin Film Transistor)基板であり、基板40が対向基板であるものとして説明する。
TFT基板30は各画素における液晶の配向状態を制御するための構造を有している。概略として、TFT基板30には画素ごとに、画素電極、当該画素電極に接続されたスイッチング素子の一例であるTFT(「画素TFT」とも呼ばれる)、配向膜等が設けられている。TFT基板30については後に詳述する。
対向基板40は例えば、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、配向膜等を有したカラーフィルタ基板である。TN方式では、TFT基板30の画素電極とともに液晶配向を制御する電界を発生させるための電極が、対向基板40に設けられる。対向基板40の当該電極は、各画素に、共通の電圧を供給するので、「共通電極」と呼ばれる。また、対向基板40に設けられた共通電極は「対向電極」とも呼ばれる。対向電極は、一般的には、表示領域11の全面に広がる(あるいは、さらに対向基板の全面に広がる)1つの電極として形成される。なお、対向基板40の構成は上記例に限定されるものではなく、公知の各種構造を採用可能である。
<TFT基板>
図2にTFT基板30の模式的な平面図を示す。液晶パネル10の表示領域11および額縁領域12に合わせて、TFT基板30についても表示領域および額縁領域が規定される。TFT基板30の表示領域および額縁領域にも符号11,12をそれぞれ用いることにする。
TFT基板30は透明基板50を含み、当該透明基板50の一方の主面(すなわち液晶層に向く主面)上に各種の要素が配置されている。透明基板50はガラス等の透明かつ絶縁性の材料で構成されている。なお、透明基板50の形状は、図2に例示した長方形に、限定されるものではない。
TFT基板30はさらに、複数のゲート配線51と、複数のソース配線52と、複数の補助容量配線53とを含んでいる。なお、ゲート配線およびソース配線は「走査信号線」および「表示信号線」とそれぞれ呼ばれる場合もある。
ゲート配線51は、互いに平行を成して延在している。図2の例では、ゲート配線51のそれぞれは透明基板50の長辺と平行に延在し、それら複数のゲート配線51は透明基板50の短辺と平行な方向に並んでいる。ゲート配線51は表示領域11内の全体に渡って延在しているとともに、ゲート配線51の少なくとも一端が額縁領域12に引き出されている。
ソース配線52は、互いに平行を成して延在している。図2の例では、ソース配線52のそれぞれは透明基板50の短辺と平行に、換言すればゲート配線51と直交する方向に延在している。また、それら複数のソース配線52は透明基板50の長辺と平行な方向に、換言すればゲート配線51の延在方向に並んでいる。ソース配線52は表示領域11内の全体に渡って延在しているとともに、ソース配線52の少なくとも一端が額縁領域12に引き出されている。
補助容量配線53は、図2の例では、ゲート配線51と交互に配置されている。すなわち、補助容量配線53は、隣接する2本ゲート配線51の間に延在している。このため、補助容量配線53のそれぞれはゲート配線51と平行に延在し、それら複数の補助容量配線53はゲート配線51の配列方向と同じ方向に並んでいる。補助容量配線53は表示領域11内の全体に渡って延在しているとともに、補助容量配線53の少なくとも一端が額縁領域12に引き出されている。複数の補助容量配線53は、額縁領域12において、電気的に共通に接続されている。
図2の例では、隣接する2本のゲート配線51と隣接する2本のソース配線52とで囲まれた領域に、1つの画素PXが規定される。このため、複数の画素PXがマトリックス状に配置されている。
ここで、図3に、画素PXを説明する回路図を示す。各画素PXには少なくとも1つの画素TFT60が設けられ、図3には1つの画素TFT60が例示されている。画素TFT60は、ゲート配線51とソース配線52との交差点近傍に配置されている。画素TFT60のゲート電極61はゲート配線51に接続され、画素TFT60のソース電極62はソース配線52に接続されている。
画素TFT60のドレイン電極63は画素電極73に接続されている。画素電極73は共通電極74との組み合わせによって、いわゆる液晶容量70を構成している。なお、共通電極74は、TN方式等では対向基板40に設けられ、FFS方式、IPS方式等ではTFT基板30に設けられる。また、画素電極73は補助容量電極83との組み合わせによって補助容量80を構成している。補助容量電極83は補助容量配線53に接続されている。
図2に戻り、TFT基板30は額縁領域12に、走査信号駆動回路55と、表示信号駆動回路56と、接続基板57,58とを含んでいる。
走査信号駆動回路55は、ゲート配線51が額縁領域12に引き出されている側に配置され、ゲート配線51と接続されている。表示信号駆動回路56は、ソース配線52が額縁領域12に引き出されている側に配置され、ソース配線52と接続されている。なお、図面の煩雑化を避けるため、図2では、走査信号駆動回路55とゲート配線51との接続の様子、および、表示信号駆動回路56とソース配線52との接続の様子については、図示を省略している。
なお、走査信号駆動回路55を例えばTCP(Tape Carrier Package)によって提供してもよい。この場合、走査信号駆動回路55は、上記の例とは異なり、TFT基板30とは別の場所に配置される。かかる例は表示信号駆動回路56についても同様である。
接続基板57,58は、TFT基板30を外部と接続するための部材であり、FPC(Flexible Printed Circuit)等の配線基板によって構成されている。接続基板57は、走査信号駆動回路55の近傍に配置され、走査信号駆動回路55に接続されている。接続基板58は、表示信号駆動回路56の近傍に配置され、表示信号駆動回路56に接続されている。
<表示動作>
接続基板57,58を介して、走査信号駆動回路55および表示信号駆動回路56に外部からの各種信号が供給される。走査信号駆動回路55は、外部から入力される制御信号に基づいて、ゲート信号(「走査信号」とも呼ばれる)をゲート配線51に供給する。このゲート信号によって、ゲート配線51が順次選択される。表示信号駆動回路56は、外部から入力される、制御信号、表示データ、等に基づいて、表示信号をソース配線56に供給する。これにより、表示データに応じた表示電圧が、各画素PXに供給される。
画素TFT60は、画素電極73に表示電圧を供給するためのスイッチング素子として機能する。画素TFT60のONとOFFとは、ゲート配線51から入力されるゲート信号によって、制御される。
ゲート配線51に所定の電圧が印加されて画素TFT60がONすると、ソース配線52に電流が流される、そうすると、ソース配線52から、画素TFT30のドレイン電極63に接続された画素電極73に表示電圧が印加される。それにより、画素電極73と共通電極74との間に、印加された表示電圧に応じた電界が生じる。画素電極73に表示電圧が印加されると液晶容量70および補助容量80が充電され、それにより、その画素PXにおいて表示電圧が一定期間保持される。
画素電極73と対向電極74との間の電界によって、液晶が駆動される。すなわち、液晶の配向方向が変化する。これにより、液晶層を通過する光の偏光状態が変化する。具体的には、バックライトユニット20の出力光は、TFT基板30側の偏光板によって直線偏光になる。そして、この直線偏光が液晶層を通過することによって、偏光状態が変化する。液晶層を通過した光の偏光状態によって、対向基板40側の偏光板を通過する光量が変化する。すなわち、液晶パネル10を通過した光のうちで視認側の偏光板を通過できた光によって、視認される光量が決まる。
液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。したがって、表示電圧を制御することによって、視認される光量を変化させることができる。すなわち、画素ごとに表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。
<TFT基板の具体的構成>
図4にTFT基板30の拡大平面図を例示する。なお、図面を見やすくするために、図4では、画素電極73およびドレイン電極63を構成する透明導電膜の輪郭を太線で示し、画素TFT60においてチャネル層を提供する半導体層91にハッチングを施している。
また、図4中の画素TFT60を図5に拡大して示す。なお、画素TFT60の平面視構造を見やすくするために、図5から画素電極73およびソース電極62を取り除いた状態を図6に示す。また、図6から、後述の保護膜92を取り除いた状態を図7に示す。
また、図4中のVIII−VIII線における断面を図8に示す。
ここでは、画素TFT60がエッチングストッパ型の場合を例示する。
図4〜図8の例によれば、透明基板50の一方の主面(以下「素子配置面」と呼ぶ場合もある)上に、ゲート配線51と、ゲート電極61と、補助容量配線53と、補助容量電極83とが配置されている。
具体的には、ゲート配線51は一方向(図4の例では横方向)に直線状に延在している。ゲート配線51は自身の延在方向に直交する方向に突出した部分を有しており、その突出部分がゲート電極61を構成している。
補助容量配線53は、ゲート配線51から離れた位置において、ゲート配線51と平行に直線状に延在している。補助容量配線53はゲート配線51の側へ向けて突出した部分を有しており、その突出部分が補助容量電極83を構成している。図4の例では、その突出部分は補助容量配線53の延在方向に直交する方向に突出している。なお、図4の例では、1つの画素PXについて2つの突出部分が設けられている。
ゲート配線51とゲート電極61と補助容量配線53と補助容量電極83とは、例えばCr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Ag、または、これらを主成分とする合金で構成されている。また、これらの材料のうちの2つ以上で構成された積層膜によって、ゲート配線51とゲート電極61と補助容量配線53と補助容量電極83とを構成してもよい。
ゲート配線51とゲート電極61と補助容量配線53と補助容量電極83との上に、ゲート絶縁膜90が配置されている。具体的には、ゲート絶縁膜90は、ゲート配線51とゲート電極61と補助容量配線53と補助容量電極83とを覆って、透明基板50の素子配置面上に配置されている。ゲート絶縁膜90は、ここでは透明基板50の素子配置面の全体に広がっている。
ゲート絶縁膜90は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、ゲート絶縁膜90を構成してもよい。
ゲート絶縁膜90上に、半導体層91が配置されている。具体的には、半導体層91は、ゲート絶縁膜90を介してゲート電極61に対向するように配置されている。また、半導体層91は、平面視(図4参照)においてゲート電極61の配置領域内に半導体装置91の全体が収まるように配置されており、このため島状に配置されている。
半導体層91とゲート絶縁膜90とゲート電極61との積層構造によって、画素TFT30のMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造が構成されている。すなわち、半導体層91は、画素TFT30のチャネル層(「チャネル領域」とも呼ばれる)を提供する層である。
半導体層91は、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、酸化物半導体、窒化物半導体等によって構成されている。ここでは、半導体層90が酸化物半導体で構成されている場合を例示する。酸化物半導体として、例えば、酸化亜鉛(ZnO)に酸化インジウム(In2O3)および酸化すず(SnO2)を添加したIn―Zn−Sn−O系の酸化半導体、または、酸化亜鉛(ZnO)に酸化ガリウム(Ga2O3)および酸化インジウム(In2O3)を添加したIn−Ga−Zn−O系の酸化半導体、が挙げられる。
半導体層91上に、保護膜92とソース電極62とが配置されている。具体的には、保護膜92は、半導体層91の上面(すなわち、透明基板50に向いた面とは反対側の面)の一部を覆うように、島状に配置され、半導体層91に接している。ソース電極62は、半導体層91の上面のうちで保護膜92に覆われない部分に配置されており、それによりソース電極62と半導体層91とが接続されている。保護膜92は後述のコンタクトホール94を構成する開口を有しているが、ソース電極62は当該開口には及んでいない。
保護膜92は、半導体層91上から半導体層91近傍のゲート絶縁膜90上にも広がっており、半導体層91の側面も覆っている。また、ソース電極62は、半導体層91上から半導体層91近傍のゲート絶縁膜90上にも広がっており、半導体層91の側面も覆っている。また、ソース電極62は保護膜62上に乗り上げている。このため、半導体層91の上面および側面は、保護膜92の上記開口部分を除いて、保護膜92とソース電極62によって覆われている。
ここで、平面視(図4〜図7参照)において、保護膜92のうちでソース電極62の側の輪郭は、保護膜92の上記開口(コンタクトホール94を構成する)の輪郭、換言すれば半導体層91とドレイン電極64とが接続する領域の輪郭に追従している。図4〜図7の例では、保護膜92の開口はコンタクトホール94と同じ八角形をしている。そして、当該八角形の辺から一定距離を保った位置をなぞるように、保護膜92はソース電極62の側の輪郭を有している。なお、保護膜92の開口は他の形状であってもよい。例えば円形の場合、保護膜92のソース電極62の側の輪郭は円弧状になる。
後述のように保護膜92の開口を介して半導体層91とドレイン電極63とが接続されており、それにより半導体層91はドレイン電極63とソース電極62との間にチャネル層(換言すれば、チャネル領域)を提供する。このため、保護膜92の上記輪郭形状によれば、チャネル長を一定に揃えることができる。
なお、機能上問題が生じなければ、保護膜92を半導体層91の全体を覆うように配置し、ドレイン電極63が半導体層91に接続される部分だけでなく、ソース電極62が半導体層91に接続される部分も、保護膜92の開口によって提供してもよい。
保護膜92は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、保護膜92を構成してもよい。
ソース電極62は、図4に例示するように、ソース配線52の一部を使って構成されている。具体的には、ソース配線52は、ゲート絶縁膜90(図8参照)上を、ゲート配線51および補助容量配線53に直交する方向に、直線状に延在している。ソース配線52は、半導体層91上に乗り上げる部分を有しており、その部分がソース電極62を構成している。図4の例では、ソース配線52のうちでソース電極62を構成する部分は、ソース配線52の延在方向に直交する方向、かつ、保護膜92から遠ざかる方向に突出している。
ソース配線52およびソース電極62は、例えばCr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Ag、または、これらを主成分とする合金で構成されている。また、これらの材料のうちの2つ以上で構成された積層膜によって、ソース配線52およびソース電極62を構成してもよい。
ソース配線52とソース電極62と保護膜92との上に、層間絶縁膜93が配置されている。具体的には、層間絶縁膜93は、ソース配線52とソース電極62と保護膜92とを覆って、ゲート絶縁膜90上に配置されている。層間絶縁膜93は、ゲート絶縁膜90の全体に広がっている。
層間絶縁膜93は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、層間絶縁膜93を構成してもよい。
層間絶縁膜93は保護膜92の上記開口に通じる開口を有しており、これらの一連の開口によって、コンタクトホール94が構成されている。すなわち、コンタクトホール94は、層間絶縁膜93および保護膜92を厚さ方向に貫き、層間絶縁膜93の上面(すなわち、透明基板50に向いた面とは反対側の面)から半導体層の上面に至る。
層間絶縁膜93上のコンタクトホール94近傍に、ドレイン電極63が配置されている。具体的には、ドレイン電極63は、層間絶縁膜93上だけでなく、コンタクトホール94内にも延在しており、コンタクトホール94内において半導体層91の上面に接続されている。
ドレイン電極63は、さらに層間絶縁膜93上においてゲート配線51と補助容量配線53とソース配線53とに囲まれた領域に面状に広がっており、その面状部分が画素電極73を構成している。
このため、ドレイン電極63および画素電極73は同じ材料、特に透明導電材料で構成されている。透明導電材料として、ITO、IZO等の金属酸化物が例示される。
画素電極73は平面視(図4参照)において、補助容量電極83と重なる部分を有している。すなわち、画素電極73は層間絶縁膜93およびゲート絶縁膜90を介して補助容量電極83と対向しており、それにより補助容量80(図3参照)が構成されている。
ここで、ドレイン電極63および画素電極73は層間絶縁膜93の上に配置され、ソース電極62およびソース配線52は層間絶縁膜93の下に配置されている。したがって、ドレイン電極63および画素電極73は、ソース電極62およびソース配線52とは異なる層に配置されている。
図1〜図8に加えて図9〜図14を参照して、TFT基板30の製造方法を説明する。図9〜図14は図8に対応する断面図である。
まず、透明基板50の素子配置面上の全面に導電膜を形成し、当該導電膜をパターニングすることによって、ゲート配線51とゲート電極61と補助容量配線53と補助容量電極83とを上記所定場所に上記所定形状で形成する(図9参照)。
上記導電膜は例えば、Cr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Ag、または、これらを主成分とする合金で構成されている。また、これらの材料のうちの2つ以上で構成された積層膜によって、上記導電膜を構成してもよい。上記導電膜の成膜には、スパッタ法、蒸着法等が用いられる。例えばスパッタ法でMo合金膜を200nmの厚さで形成することによって、上記導電膜を形成する。
上記導電膜のパターニングは、写真製版技術および微細加工技術によって、行われる。すなわち、パターニング対象である上記導電膜上にフォトレジストを塗布し、塗布したフォトレジストをフォトマスク越しに露光してレジストを感光し、感光したフォトレジストを現像してフォトレジストをパターニングする。これら一連の工程が写真製版技術である。その後、フォトレジストパターンをマスクにして上記導電膜をエッチングし、その後、フォトレジストパターンを除去する。これらの一連の工程が微細加工技術である。
次に、ゲート配線51とゲート電極61と補助容量配線53と補助容量電極83とを覆うように、透明基板50の素子配置面上の全面に、ゲート絶縁膜90を形成する(図10参照)。ゲート絶縁膜90は、上記のように、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、ゲート絶縁膜90を構成してもよい。ゲート絶縁膜90の成膜には、プラズマCVD、常圧CVD、減圧CVD等が用いられる。
なお、ピンホール等の膜欠陥(短絡の原因になる)を防止するため、複数回の成膜によってゲート絶縁膜90を形成することが好ましい。例えば、プラズマCVD法で窒化シリコン膜を200nmの厚さで形成し、その上にプラズマCVD法で酸化シリコン膜を100nmの厚さで形成し、それらの積層膜をゲート絶縁膜90とする。
次に、ゲート絶縁膜90上の全面に、ここでは酸化物半導体層を形成し、当該酸化物半導体層をパターニングすることによって、半導体層91を形成する(図11参照)。酸化物半導体層の成膜には、スパッタ法、蒸着法、ミストCVD法、塗布法等が用いられる。例えば、スパッタ法でIn−Ga−Zn−O酸化物半導体(原子組成比に関してIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4)を40nmの厚さで形成する。
その後、写真製版技術および微細加工技術を用いて酸化物半導体層をパターニングすることによって、半導体層91を上記所定場所に上記所定形状で形成する。
In−Ga−Zn−O酸化物半導体は、カルボン酸(シュウ酸等)を含むエッチング薬液に対して可溶である。このため、そのようなエッチング薬液によって、パターニングが可能である。また、In−Ga−Zn−O酸化物半導体は、リン酸を含む薬液、例えばリン酸と硝酸と酢酸の混酸(Phosphoric acid,Acetic acid,Nitric acid:以下「PAN」と呼ぶ)薬液に対しても溶解する。ここで、PAN系薬液は、Al、Mo、AgおよびCu系の電極材料として一般的に用いられる金属膜のエッチング薬液としても公知である。このため、そのような電極材料で構成されるソース電極62を形成する前に、半導体層91を保護膜92で保護する(図12参照)。
すなわち、半導体層91を覆ってゲート絶縁膜90上の全面に絶縁膜を形成し、当該絶縁膜をパターニングすることによって、保護膜92を上記所定場所に上記所定形状で形成する(図12参照)。
保護膜92用の上記絶縁膜は、上記のように、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、当該絶縁膜を構成してもよい。当該絶縁膜の成膜には、プラズマCVD、常圧CVD、減圧CVD等が用いられる。例えばプラズマCVD法で酸化シリコン膜を100nmの厚さで形成することによって、保護膜92用の上記絶縁膜を形成する。
その後、写真製版技術および微細加工技術を用いて当該絶縁膜をパターニングすることによって、保護膜92を上記所定場所に上記所定形状で形成する。
次に、保護膜92および半導体層91を覆ってゲート絶縁膜90上の全面に導電膜を形成し、当該導電膜をパターニングすることによって、ソース配線52およびソース電極62を形成する(図13参照)。
ソース配線52およびソース電極62用の上記導電膜は、上記のように、Cr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Ag、または、これらを主成分とする合金で構成されている。また、これらの材料のうちの2つ以上で構成された積層膜によって、上記導電膜を構成してもよい。上記導電膜の成膜には、スパッタ法、蒸着法等が用いられる。例えば、スパッタ法でMo合金膜を100nmの厚さで形成し、それらの積層膜をソース配線52およびソース電極62用の導電膜とする。
その後、写真製版技術および微細加工技術を用いて当該導電膜をパターニングすることによって、ソース配線52およびソース電極62を上記所定場所に上記所定形状で形成する。
次に、ソース配線52とソース電極62と保護膜92とを覆うように、ゲート絶縁膜90上の全面に、層間絶縁膜93を形成する(図14参照)。層間絶縁膜93は、上記のように、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、層間絶縁膜93を構成してもよい。例えばプラズマCVD法で窒化シリコン膜を300nmの厚さで形成することによって、層間絶縁膜93を形成する。
その後、写真製版および微細加工技術を用いて、層間絶縁膜93および保護膜92を貫くコンタクトホール94を、半導体層91上に形成する。コンタクトホール94の直径は例えば7μmである。
なお、額縁領域12では、走査信号駆動回路55と接続するためのゲート端子が、ゲート配線51と同じ層に形成されており、当該ゲート端子用のコンタクトホール101が、コンタクトホール94と同時に形成される(図4参照)。同様に、額縁領域12では、表示信号駆動回路56と接続するためのソース端子が、ソース配線52と同じ層に形成されており、当該ソース端子用のコンタクトホール102が、コンタクトホール94と同時に形成される(図4参照)。
次に、層間絶縁膜93上の全面およびコンタクトホール94内に透明導電膜を形成し、当該透明導電膜をパターニングすることによって、ドレイン電極63および画素電極73を形成する(図8参照)。
上記透明導電膜は、ITO、IZO等であり、スパッタ法等によって形成される。例えば、スパッタ法でIZO膜を80nmの厚さで形成することによって、上記透明導電膜を形成する。特に、当該透明導電膜は、コンタクトホール94内に露出している半導体層91に到達するように、形成する。
その後、写真製版技術および微細加工技術を用いて上記透明導電膜をパターニングすることによって、ドレイン電極63および画素電極73を上記所定場所に上記所定形状で形成する。
ドレイン電極63と半導体層91との接続抵抗が高い場合には、コンタクトホール94の形成後、または、ドレイン電極63用の透明導電膜を成膜する前に、還元処理を行ってもよい。還元処理として、水素プラズマ処理、水素雰囲気アニール処理、等が例示される。酸化物半導体は、酸素が還元されることによって、キャリア濃度が上昇し、それにより良好な接続抵抗を得ることができる。
なお、上記透明導電膜は、額縁領域12において、ゲート端子用のコンタクトホール101内およびソース端子用のコンタクトホール102内にも形成される(図4参照)。そして、パターニングされることによって、ゲート端子用のパッド103およびソース端子用のパッド104が形成される(図4参照)。
以上の工程を経て、TFT基板30が完成する。
なお、その後の工程において、TFT基板30上に配向膜を形成する。また、別途製造された対向基板40上にも配向膜を形成する。これらの配向膜に対して配向処理(「ラビング処理」とも呼ばれる)を施すことによって、配向膜の表面(すなわち、液晶との接触面)に一方向にミクロな傷をつける。次に、シール材を塗布して、TFT基板30と対向基板40とを貼り合せる。そして、真空注入法等を用いて液晶注入口から液晶を注入し、注入終了後に液晶注入口を封止する。その後、TFT基板30および対向基板40に偏光板を貼り付ける。駆動回路およびバックライトユニット20を取り付けることによって、液晶表示装置1が完成する。
<比較用TFT>
ここで、比較例1に係るTFT60Pを、図15〜図20の断面図を参照して説明する。なお、TFT60Pは、従来のエッチングストッパ型である。
まず図15を参照すると、TFT60Pでは、透明基板50P上に、ゲート電極61Pと、ゲート絶縁膜90Pと、半導体層91Pとがこの順序で積層されている。透明基板50Pの材料、形状等は上記透明基板50(図8参照)と同じであるものとする。同様に、ゲート電極61P、ゲート絶縁膜90Pおよび半導体層91Pの材料、形状等は、上記のゲート電極61、ゲート絶縁膜90および半導体層91(図8参照)と同じであるものとする。
また、半導体層91P上には、保護膜92Pと、ソース電極62Pとが配置されている。特にTFT60Pでは、ドレイン電極63Pも半導体層91P上に配置されている。具体的には、保護膜92Pは平面視において半導体層91Pを二分する位置に配置されており、保護膜92Pの一方側においてソース電極62Pが半導体層91Pに接続しており、保護膜92Pの他方側においてドレイン電極63Pが半導体層91Pに接続している。
保護膜92Pおよびソース電極62Pの材料は、上記の保護膜92およびソース電極62(図8参照)と同じであるものとする。特に、上記のドレイン電極63(図8参照)は透明導電材料で構成されているのに対し、TFT60Pのドレイン電極63Pはソース電極62Pと同じ材料で構成されている。
保護膜92Pとソース電極62Pとドレイン電極63Pとは、層間絶縁膜93Pに覆われている。層間絶縁膜93Pの材料、形状等は、上記層間絶縁膜93(図8参照)と同じであるものとする。
TFT60Pの当該構造によれば、ソース電極62Pとドレイン電極63Pとは同じ層に配置されることになる。
なお、TFT60Pを画素TFTとして利用する場合、層間絶縁膜93P上に透明導電材料から成る画素電極が配置される。また、画素電極は、層間絶縁膜93Pに設けられたコンタクトホールを介してドレイン電極63Pに接続されるように、配置される。
次に、図16〜図20を参照して、比較例1に係るTFT60Pの製造方法を説明する。
まず、透明基板50P上に、ゲート電極61Pと、ゲート絶縁膜90Pと、半導体層91Pとをこの順序で形成する(図16〜図18参照)。ゲート電極61P、ゲート絶縁膜90Pおよび半導体層91Pは、上記のゲート電極61、ゲート絶縁膜90および半導体層91と同様にして形成される(図9〜図11参照)。
次に、半導体層91P上に、保護膜92Pを形成する(図19参照)。保護膜92Pは上記の保護膜92と同様にして形成されるが(図12参照)、保護膜92Pの上記形状に応じてフォトレジストパターンが形成される。
次に、半導体層91Pの上記箇所に接するように、ソース電極62Pおよびドレイン電極63Pを形成する(図20参照)。具体的には、保護膜92Pおよび半導体層91Pを覆ってゲート絶縁膜90P上の全面に導電膜を形成し、当該導電膜をパターニングすることによって、ソース電極62Pおよびドレイン電極63Pを形成する。当該導電膜の材料は、上記ソース電極62用の導電膜と同じであるものとする。
ここで、上記画素TFT60の製造ではソース電極62の形成時にドレイン電極63は形成されないのに対し(図13参照)、比較例1に係るTFT60Pではソース電極62Pとドレイン電極63Pが同時に形成される。
その後、保護膜92Pとソース電極62Pとドレイン電極63Pとを覆うように、ゲート絶縁膜93P上に、層間絶縁膜93Pを形成する。層間絶縁膜93Pは、上記層間絶縁膜93と同様にして形成される。
<効果等>
画素TFT60では、ソース電極62とドレイン電極63とは異なる層に配置されている(図8参照)。換言すれば、ソース電極62とドレイン電極63とは異なる形成ステップによって形成されている。このため、画素TFT60のチャネル幅は、ソース電極62の形成ステップと、ドレイン電極63が配置されるコンタクトホール94の形成ステップと、の組み合わせによって、制御可能である。
これに対し、比較例1に係るTFT60P(図15参照)では、ソース電極62Pとドレイン電極63Pとは同じ層に配置され、同じ金属膜にパターニングして同時に形成される。このため、チャネル幅は、パターン解像度、重ね合わせ精度、電極62,63のサイドエッチング量によって、制限される。
したがって、実施の形態1に係る画素TFT60によれば、比較例1に係るTFT60Pに比べてチャネル幅を小さくすることができ、それによりエッチングストッパ型TFTを小型化することができる。また、画素TFT60は表示領域11内に設けられていることに鑑みると、小型の画素TFT60によって、画素開口率が向上する。
また、画素開口率の向上によって、明るい画面が得られる。換言すれば、バックライトユニット20の光量を低減しても同じ明るさが得られるので、バックライトユニット20の消費電力を削減できる。
なお、実施の形態1に係る画素TFT60は、比較例1に係るTFT60Pと同等の電気特性を有している。ここでいう同等とは、チャネル幅およびチャネル長を同じ寸法に換算した場合に同等であることを言う。
また、画素TFT60のドレイン電極63は、TFT60Pのドレイン電極63Pとは異なり、透明導電膜で構成されている。このため、ドレイン電極63が遮光原因になることがない。したがって、透明なドレイン電極63は、画素開口率の向上に貢献する。
また、ドレイン電極63を半導体層91に導くコンタクトホール94が、半導体層91上に設けられている。換言すれば、平面視(図4参照)において、コンタクトホール94は半導体層91の配置範囲内に収まっている。このため、コンタクトホール94およびドレイン電極63が、それらの配置位置に起因する遮光原因になることがない。この点も画素開口率の向上に貢献する。
ここで、画素TFT60のソース電極62の形成ステップは、比較例1として挙げた従来のTFT60Pのソース電極62Pおよびドレイン電極63Pの形成ステップに対応する。また、画素TFT60のドレイン電極63と画素電極73とは1つの形成ステップによって同時に形成可能である。また、保護膜91,91Pは、平面視パターンが異なるが、1つの形成ステップによって同時に形成可能である。したがって、画素TFT60は、従来のエッチングストッパ型のTFT60Pの製造方法に形成ステップを追加することなく、形成可能である。このため、画素TFT60を有した液晶パネル10を容易に、かつコスト増加無しに、製造できる。
形成ステップの追加が無いので、実施の形態1に係るTFT60と、従来のTFT60Pとを、1つのTFT基板30上に併設することが可能である。例えば、実施の形態1に係るTFT60を上記のように表示領域11内の画素TFTに適用し、従来のTFT60Pを額縁領域12内のTFT、例えば駆動回路55,56を構成するTFTに適用することが可能である。
ここで、従来のTFT60Pではソース電極62Pとドレイン電極63Pとは同じ金属膜から形成される。したがって、平面視においてソース電極62Pとドレイン電極63Pとの間の領域の寸法(チャネル長およびチャネル幅に対応する)を正確に実現することが可能である。このため、従来のTFT60Pによれば、実施の形態1に係るTFT60に比べて、高いTFT駆動能力が得られる。かかる点に鑑みると、従来のTFT60Pは、より高いTFT駆動能力が求められる駆動回路55,56において利用するのが好ましい。
他方、金属膜で構成された従来のドレイン電極63Pは、遮光原因になってしまう。また、ドレイン電極63Pはソース電極62Pと同じ層に配置されること、および、ドレイン電極63Pと画素電極とを接続するための領域を確保しなければならないこと、に鑑みると、従来のTFT60Pは、実施の形態1に係るTFT60に比べて、小型化および画素開口率向上には不向きかもしれない。このため、従来のTFT60Pは画素開口率に関与しない部位、すなわち額縁領域12において利用するのが好ましい。
したがって、実施の形態1に係るTFT60を表示領域11内の画素TFTに適用し、従来のTFT60Pを額縁領域12内の駆動回路55,56を構成するTFTに適用することによって、高い画素開口率が得られるとともに駆動回路55,56が安定的に動作する液晶パネル10およびLCD1を提供できる。
上記のように、実施の形態1に係る画素TFT60は、従来のエッチングストッパ型のTFT60Pの製造方法に形成ステップを追加することなく、形成可能である。このため、画素TFT60の製造に公知のハーフトーン技術等を適用すれば、製造工程数を削減可能である。例えば、ハーフトーン技術によれば、ソース電極62および半導体層91のパターニングを1回の写真製版工程によって実施できる。それにより、工程数を削減でき、製造コストを抑制できる。その場合、ソース電極62およびソース配線52の下層に半導体層91が残った構造になるが、上記の各種効果を得ることはできる。
上記では半導体層91に酸化物半導体を用いた例を説明したが、例えばアモルファスシリコン、多結晶シリコン、窒化物半導体等の半導体材料も用いることが可能である。例えばアモルファスシリコンおよび多結晶シリコンの場合、半導体層91とソース電極62との間、および、半導体層91とドレイン電極63との間に、オーミックコンタクト層を形成すれば良い。その場合、半導体層91とドレイン電極63との間のオーミックコンタクト層は、コンタクトホール94の形成後に、形成する必要があり、製造工程が増加する。
換言すれば、半導体層91に酸化物半導体を用いれば、そのようなオーミックコンタクト層は不要であり、簡略にTFT基板30を製造することができる。
また、上記ではソース電極62およびソース配線52を金属膜で構成する例を説明したが、透明導電膜を用いてもよい。その場合、表示信号(換言すればソース信号)の遅延を抑えるために、透明導電膜と金属膜との積層構造を採用するのが好ましい。
また、上記ではドレイン電極63を画素電極73とともに透明導電膜で構成する例を説明した。これに対し、当該透明導電膜のうちで画素電極73を構成する部分を除いて、すなわち当該透明導電膜のうちでドレイン電極63を構成する部分に、金属膜を適用してもよい。例えば、透明導電膜から成るドレイン電極63上に金属膜を積層することによって、ドレイン電極63を2層構造にしてもよい。その場合、コンタクトホール94によるドレイン電極63の断線を防止することができる。
<実施の形態2>
上記の実施の形態1では、エッチングストッパ型の画素TFT60(図4および図8参照)を例示した。実施の形態2では、バックチャネルエッチ型の画素TFTを例示する。図21に、バックチャネルエッチ型の画素TFT60Bを有したTFT基板30Bの拡大平面図を例示し、図21中のXXII−XXII線における断面を図22に示す。なお、図21では、図面を見やすくするために、画素電極73およびドレイン電極63を構成する透明導電膜の輪郭を太線で示し、半導体層91にハッチングを施している。
TFT基板30Bは、画素TFT60Bを除いて、上記のTFT基板30(図4および図8参照)と基本的に同じ構成を有している。このため、以下では画素TFT60Bを中心に説明する。なお、TFT基板30Bは、TFT基板30に代えて、液晶パネル10および液晶表示装置1(図1参照)を構成可能である。
図21および図22を図4および図8と比較すると分かるように、画素TFT60Bは、実施の形態1に係る画素TFT60から保護膜92を取り除いた構成を有している。このため、層間絶縁膜93は、ソース電極62とソース配線52と半導体層91とを覆うように配置されている。また、コンタクトホール94は層間絶縁膜93のみで構成されている。
また、平面視(図21参照)において、ソース電極62のうちでコンタクトホール94の側の輪郭が、コンタクトホール94の輪郭、換言すれば半導体層91とドレイン電極64とが接続する領域の輪郭に追従している。これによれば、画素TFT60と同様に、チャネル長を一定に揃えることができる。
次に、図23〜図25も参照して、TFT基板30Bの製造方法を説明する。図23〜図25は図22に対応する断面図である。なお、概略としては、TFT基板30の製造方法から保護膜92の形成工程を省略することによって、TFT基板30Bを製造可能である。
まず、例えば実施の形態1で例示した製造方法を利用して、透明基板50上に、ゲート電極61と、ゲート配線51と、補助容量電極83と、補助容量配線53と、ゲート絶縁膜90とを形成する(図23参照)。
次に、ゲート絶縁膜90上の全面に、ここでは酸化物半導体層を形成し、当該酸化物半導体層をパターニングすることによって、半導体層91を形成する(図23参照)。酸化物半導体層の成膜には、スパッタ法、蒸着法、ミストCVD法、塗布法等が用いられる。実施の形態2では、例えば、スパッタ法でIn―Zn−Sn−O酸化物半導体(原子組成比に関してIn:Zn:Sn:O=2:6:2:13)を40nmの厚さで形成する。
その後、写真製版技術および微細加工技術を用いて酸化物半導体層をパターニングすることによって、半導体層91を所定場所に所定形状で形成する。
ここで、実施の形態2では、半導体層91は、ソース電極62を形成するためのエッチングプロセスで使用される酸性薬品に対して耐性を有する酸化物材料によって形成する。例えば、酸化亜鉛(ZnO)に酸化インジウム(In2O3)および酸化すず(SnO2)を添加したIn―Zn−Sn−O系の酸化物を用いる。
In−Zn−Sn−O酸化物半導体は、カルボン酸(シュウ酸等)を含むエッチング薬液に対して可溶である。このため、そのようなエッチング薬液によって、パターニングが可能である。その一方で、In−Zn−Sn−O酸化物半導体は、Al、Mo、AgおよびCu系の電極材料として一般的に用いられる金属膜のエッチング薬液としても公知であるPAN系薬液に対しては、不溶または難溶性である。これらに鑑みると、In−Zn−Sn−O酸化物半導体は、バックチャネルエッチ型TFTの半導体層91として好適である。
次に、半導体層91を覆ってゲート絶縁膜90上の全面に導電膜を形成し、当該導電膜をパターニングすることによって、ソース電極62およびソース配線52を形成する(図24参照)。ソース配線52およびソース電極62用の当該導電膜の材料選定およびパターニングは、実施の形態1と同様に行うことができる。
ここで、透明基板50に対して、酸素(O2)または水蒸気(H2O)を含む雰囲気下で熱処理を行ってもよい。熱処理は200℃以上400℃以下の温度で行われるのが好ましい。あるいは、紫外線(UV)の照射処理を行ってもよいし、O2ガスまたはN2Oガスを用いたプラズマ処理を行ってもよい。これらの処理によれば、半導体層91のチャネル領域の表面における、酸素欠乏状態、原子配列の乱れ等を緩和することができる。その結果、TFT特性を向上させることができる。
次に、ソース電極62とソース配線52と半導体層91とを覆うように、ゲート絶縁膜90上の全面に、層間絶縁膜93を形成する(図25参照)。層間絶縁膜93は、上記のように、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。また、複数の絶縁膜の積層膜によって、層間絶縁膜93を構成してもよい。例えばプラズマCVD法で窒化シリコン膜を300nmの厚さで形成することによって、層間絶縁膜93を形成する。その後、写真製版および微細加工技術を用いて、層間絶縁膜93を貫くコンタクトホール94を、半導体層91上に形成する(図25参照)。層間絶縁膜93およびコンタクトホール94の形成は、実施の形態1と同様に行うことができる。
次に、層間絶縁膜93上の全面およびコンタクトホール94内に透明導電膜を形成し、当該透明導電膜をパターニングすることによって、ドレイン電極63および画素電極73を形成する(図22参照)。ドレイン電極63および画素電極73の形成は、実施の形態1と同様に行うことができる。
以上の工程を経て、TFT基板30Bが完成する。
ここで、比較例2に係るTFT60Qを、図26〜図28の断面図を参照して説明する。なお、TFT60Qは、従来のバックチャネルエッチ型である。まず図26を図15と比較すると分かるように、TFT60Qは、比較例1に係るTFT60Pから保護膜92Pを取り除いた構成を有している。このため、概略としては、比較例1に係るTFT60Pの製造方法から保護膜92Pの形成ステップを省略することによって、TFT60Qを製造可能である(図27〜図28参照)。但し、半導体層91Pの材料は、画素TFT60Bの半導体層91と同じものを用いるものとする。
実施の形態2に係る画素TFT60Bによっても、実施の形態1に係る画素TFT60と同様の効果を得ることができる。
具体的には、画素TFT60Bでは、ソース電極62とドレイン電極63とは異なる層に配置されている(図22参照)。換言すれば、ソース電極62とドレイン電極63とは異なる形成ステップによって形成されている。このため、画素TFT60Bのチャネル幅は、ソース電極62の形成ステップと、ドレイン電極63が配置されるコンタクトホール94の形成ステップと、の組み合わせによって、制御可能である。
これに対し、比較例2に係るTFT60Q(図26参照)では、ソース電極62Pとドレイン電極63Pとは同じ層に配置され、同じ金属膜にパターニングして同時に形成される。このため、チャネル幅は、パターン解像度、重ね合わせ精度、電極62,63のサイドエッチング量によって、制限される。
したがって、実施の形態2に係る画素TFT60Bによれば、比較例2に係るTFT60Qに比べてチャネル幅を小さくすることができ、それによりバックチャネルエッチ型TFTを小型化することができる。また、画素TFT60Bは表示領域11内に設けられていることに鑑みると、小型の画素TFT60Bによって、画素開口率が向上する。
また、画素開口率の向上によって、明るい画面が得られる。換言すれば、バックライトユニット20の光量を低減しても同じ明るさが得られるので、バックライトユニット20の消費電力を削減できる。
なお、実施の形態2に係る画素TFT60Bは、比較例2に係るTFT60Qと同等の電気特性を有している。ここでいう同等とは、チャネル幅およびチャネル長を同じ寸法に換算した場合に同等であることを言う。
また、画素TFT60Bのドレイン電極63は、TFT60Qのドレイン電極63Pとは異なり、透明導電膜で構成されている。このため、ドレイン電極63が遮光原因になることがない。したがって、透明なドレイン電極63は、画素開口率の向上に貢献する。
また、ドレイン電極63を半導体層91に導くコンタクトホール94が、半導体層91上に設けられている。換言すれば、平面視(図21参照)において、コンタクトホール94は半導体層91の配置範囲内に収まっている。このため、コンタクトホール94およびドレイン電極63が、それらの配置位置に起因する遮光原因になることがない。この点も画素開口率の向上に貢献する。
ここで、画素TFT60Bのソース電極62の形成ステップは、比較例2として挙げた従来のTFT60Qのソース電極62Pおよびドレイン電極63Pの形成ステップに対応する。また、画素TFT60Bのドレイン電極63と画素電極73とは1つの形成ステップによって同時に形成可能である。また、保護膜91,91Pは、平面視パターンが異なるが、1つの形成ステップによって同時に形成可能である。したがって、画素TFT60Bは、従来のバックチャネルエッチ型のTFT60Qの製造方法に形成ステップを追加することなく、形成可能である。このため、画素TFT60Bを有した液晶パネル10を容易に、かつコスト増加無しに、製造できる。
形成ステップの追加が無いので、実施の形態2に係るTFT60Bと、従来のTFT60Qとを、1つのTFT基板30上に併設することが可能である。例えば、実施の形態2に係るTFT60Bを上記のように表示領域11内の画素TFTに適用し、従来のTFT60Qを額縁領域12内のTFT、例えば駆動回路55,56を構成するTFTに適用することが可能である。
ここで、従来のTFT60Qではソース電極62Pとドレイン電極63Pとは同じ金属膜から形成される。したがって、平面視においてソース電極62Pとドレイン電極63Pとの間の領域の寸法(チャネル長およびチャネル幅に対応する)を正確に実現することが可能である。このため、従来のTFT60Qによれば、実施の形態2に係るTFT60Bに比べて、高いTFT駆動能力が得られる。かかる点に鑑みると、従来のTFT60Qは、より高いTFT駆動能力が求められる駆動回路55,56において利用するのが好ましい。
他方、金属膜で構成された従来のドレイン電極63Pは、遮光原因になってしまう。また、ドレイン電極63Pはソース電極62Pと同じ層に配置されること、および、ドレイン電極63Pと画素電極とを接続するための領域を確保しなければならないこと、に鑑みると、従来のTFT60Qは、実施の形態2に係るTFT60Bに比べて、小型化および画素開口率向上には不向きかもしれない。このため、従来のTFT60Qは画素開口率に関与しない部位、すなわち額縁領域12において利用するのが好ましい。
したがって、実施の形態2に係るTFT60Bを表示領域11内の画素TFTに適用し、従来のTFT60Qを額縁領域12内の駆動回路55,56を構成するTFTに適用することによって、高い画素開口率が得られるとともに駆動回路55,56が安定的に動作する液晶パネル10およびLCD1を提供できる。
上記のように、実施の形態2に係る画素TFT60Bは、従来のバックチャネルエッチ型のTFT60Qの製造方法に形成ステップを追加することなく、形成可能である。このため、画素TFT60Bの製造に公知のハーフトーン技術等を適用すれば、製造工程数を削減可能である。例えば、ハーフトーン技術によれば、ソース電極62および半導体層91のパターニングを1回の写真製版工程によって実施できる。それにより、工程数を削減でき、製造コストを抑制できる。その場合、ソース電極62およびソース配線52の下層に半導体層91が残った構造になるが、上記の各種効果を得ることはできる。
なお、実施の形態1でも述べたように、半導体層91に、例えばアモルファスシリコン、多結晶シリコン、窒化物半導体等の半導体材料も用いることが可能である。但し、半導体層91に酸化物半導体を用いれば、実施の形態1で述べたオーミックコンタクト層は不要であり、簡略にTFT基板30Bを製造することができる。
また、実施の形態1でも述べたように、ソース電極62およびソース配線52に、透明導電膜を用いてもよい。
また、実施の形態1でも述べたように、ドレイン電極63に金属膜を適用してもよい。
<実施の形態3>
実施の形態3では、実施の形態2と同様に、バックチャネルエッチ型の画素TFTを例示する。図29に、バックチャネルエッチ型の画素TFT60Cを有したTFT基板30Cの拡大平面図を例示し、図29中のXXX−XXX線における断面を図30に示す。なお、図29では、図面を見やすくするために、画素電極73およびドレイン電極63を構成する透明導電膜の輪郭を太線で示し、半導体層91にハッチングを施している。
TFT基板30Cは、画素TFT60Cを除いて、上記のTFT基板30B(図21および図22参照)と基本的に同じ構成を有している。このため、以下では画素TFT60Cを中心に説明する。なお、TFT基板30Cは、TFT基板30に代えて、液晶パネル10および液晶表示装置1(図1参照)を構成可能である。
図29および図30を図21および図22と比較すると分かるように、画素TFT60Cは、実施の形態2に係る画素TFT60Bにおいて半導体層91とソース電極62との積層順序(換言すれば配置レイヤー)を入れ替えた構成を有している。このため、ソース電極62の全体がゲート絶縁膜90上に配置されている。これに対し、半導体層91の一部がソース電極62上に乗り上げている。なお、平面視(図29参照)において、ソース電極62のうちでコンタクトホール94の側の輪郭は、実施の形態2と同様の形状をしている。
次に、図31〜図33も参照して、TFT基板30Cの製造方法を説明する。図31〜図33は図30に対応する断面図である。なお、概略としては、実施の形態2に係るTFT基板30Bの製造方法において、半導体層91の形成ステップと、ソース電極62およびソース配線52の形成ステップと、を入れ替えることによって、TFT基板30Cを製造可能である。
すなわち、まず、実施の形態1,2で例示した製造方法を利用して、透明基板50上に、ゲート電極61と、ゲート配線51と、補助容量電極83と、補助容量配線53と、ゲート絶縁膜90とを形成する(図31参照)。
そして、ゲート絶縁膜90上にソース電極62およびソース配線52を形成し(図31参照)、その後、半導体層91を形成する(図32参照)。ソース配線52、ソース電極62および半導体層91の形成は、実施の形態1,2と同様に行うことができる。
ここで、半導体層91の材料として、実施の形態1と同じものを用いることが可能である。例えば、スパッタ法でIn−Ga−Zn−O酸化物半導体(原子組成比に関してIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4)を40nmの厚さで形成する。この例は、半導体層91の形成後に、Al、Mo、AgおよびCu系の電極材料として一般的に用いられる金属膜をエッチングするステップが無いことに鑑みたものである。すなわち、金属膜のエッチングに用いられるPAN薬液に対して耐性の無い材料によって、半導体層91を形成することができる。このように、PAN薬品に対する耐性が無い酸化物半導体材料を利用しても、バックチャネルエッチ型のTFTを形成することができる。
その後、実施の形態2と同様にして、層間絶縁膜93と、コンタクトホール94と、ドレイン電極63と、画素電極73とを形成する(図33および図30参照)。以上の工程を経て、TFT基板30Cが完成する。
ここで、比較例3に係るTFT60Rを、図34〜図36の断面図を参照して説明する。なお、TFT60Rは、従来のバックチャネルエッチ型である。
まず図34を図26と比較すると分かるように、TFT60Rは、比較例2に係るTFT60Qにおいて半導体層91Pの配置レイヤーをソース電極62Pおよびドレイン電極63Pの配置レイヤーと入れ替えた構成を有している。このため、ソース電極62Pの全体およびドレイン電極63Pの全体がゲート絶縁膜90P上に配置されている。これに対し、半導体層91Pは、ソース電極62P上およびドレイン電極63P上に配置されているとともに、ソース電極62Pとドレイン電極63Pとの間においてゲート絶縁膜90P上に配置されている。
このため、概略としては、比較例2に係るTFT60Qの製造方法において、半導体層91Pの形成ステップと、ソース電極62Pおよびドレイン電極63Pの形成ステップと、を入れ替えることによって、TFT60Rを製造可能である。但し、半導体層91Pの材料は、画素TFT60Cの半導体層91と同じものを用いるものとする。
上記のように実施の形態3に係る画素TFT60Cは、半導体層91とソース電極62との積層順序が逆であることを除いて、実施の形態2に係る画素TFT60Bと同様の構成を有している。このため、実施の形態3に係る画素TFT60Cによっても、実施の形態2に係る画素TFT60Bと同様の効果を得ることができる。なお、実施の形態2ではTFT60B,60Qが対比されたのと同様に、実施の形態3ではTFT60C,60Rが対比される。
また、半導体層91とソース電極62との積層順序が逆であることによれば、上記のように、PAN薬品に対する耐性が無い酸化物半導体材料を利用しても、バックチャネルエッチ型のTFTを形成することができる。
<実施の形態4>
図37に、実施の形態4に係るTFT基板30Dの断面図を例示する。図37は図8の断面図に対応する。
TFT基板30Dは、層間絶縁膜93の材料および形成方法を除いて、実施の形態1に係るTFT基板30(図8参照)と基本的に同じ構成を有している。このため、以下では層間絶縁膜93を中心に説明する。なお、実施の形態4に係る層間絶縁膜93は、実施の形態2,3に係るTFT基板30B,30Cにも適用可能である。また、TFT基板30Dは、TFT基板30に代えて、液晶パネル10および液晶表示装置1(図1参照)を構成可能である。
実施の形態4では、層間絶縁膜93は樹脂(シロキサンポリマー、ポリイミド、エポキシ、等)で構成されている。例えば、樹脂をソース電極62とソース配線52と保護膜92とを覆うようにゲート絶縁膜90上の全面に塗布し、塗布した樹脂を焼成することによって、樹脂製の層間絶縁膜93を形成することができる。樹脂の塗布にはスピンコート法、スリットコート法等を利用可能である。また、焼成温度は例えば250℃〜300℃である。また、層間絶縁膜93の厚さは例えば2〜3μmである。使用する樹脂は、透過率、耐熱性等の観点から、非感光性で、平坦性に優れることが好ましい。なお、樹脂製の層間絶縁膜93も、実施の形態1と同様にして、コンタクトホール94を形成可能である。
このような樹脂製の層間絶縁膜93によれば、実施の形態1で例示したCVD法によって形成した層間絶縁膜93と比べて、最表面、すなわちドレイン電極63および画素電極73を配置する面を平坦にすることができる。
また、樹脂製の層間絶縁膜93によれば、CVD法によって形成した層間絶縁膜93と比べて、容易に膜厚を大きくすることができる。このため、平面視でソース電極62とドレイン電極63とが重畳している領域において、ソース電極62とドレイン電極63とを厚さ方向に離すことができる。また、一般的に、樹脂膜は無機絶縁膜に比べて比誘電率が低い。これらに鑑みると、ソース電極62とドレイン電極63とによって構成される寄生容量を、実施の形態1に比べて低減することができる。その結果、輝度(換言すれば透過率)の変化が少ない良好な液晶パネル10およびLCD1を得ることができる。
さらに、平面視でソース配線52と画素電極73とが重畳している場合にも、同様に寄生容量を低減できる。それにより画素電極面積を拡大することができ、実施の形態1に比べて画素開口率を向上することができる。
上記では層間絶縁膜93の材料として非感光性の樹脂を例示した。これに対し、加工性の観点から、感光性の樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドを主体とする感光性を有する樹脂、等)を用いてもよい。
感光性樹脂によれば、コンタクトホール94を、写真製版技術を用いて形成可能である。具体的には、感光性樹脂をスピンコート法、スリットコート法等を用いて、対象面の全体に塗布する。塗布した感光性樹脂に対して、コンタクトホール94のパターンで露光を行い、そして現像を行う。その後、230℃〜250℃で焼成を行う。
さらに、このようにして形成されたコンタクトホール94を有する層間絶縁膜93を、エッチングマスクとして利用可能である。すなわち、コンタクトホール94が形成された層間絶縁膜93をマスクに用いてドライエッチングを行うことによって、コンタクトホール94内に露出した保護膜92を除去する。
感光性樹脂によれば、コンタクトホール94の断面形状を、緩やかな曲面を持ったテーパー形状にすることが容易である。この場合、コンタクトホール94において上面側の開口が下面側の開口に比べて大きくなり、このためコンタクトホール94の配置領域が大きくなる。しかしながら、開口率向上効果は確保できる。
ここで、成膜を塗布によって行いうる絶縁材料を「塗布型絶縁材料」と呼ぶことにする。塗布型絶縁材料の例として、上記の各種樹脂が挙げられる。なお、塗布型絶縁材料は、感光性であってもよいし、非感光性であってもよい。かかる点に鑑みると、実施の形態4に係る層間絶縁膜93は、塗布型絶縁材料によって構成されていることになる。
図38に、実施の形態4に係る他のTFT基板30DDの断面図を例示する。図38は図37の断面図に対応する。TFT基板30DDの層間絶縁膜93は、第1の層間絶縁膜93aと第2の層間絶縁膜93bとの積層構造をしている。
第1の層間絶縁膜93aは、実施の形態1で例示した無機絶縁材料(酸化シリコン、窒化シリコン等)で構成されている。例えば、プラズマCVD法で窒化シリコン膜を100nmの厚さで形成することによって、第1の層間絶縁膜93aが形成される。第2の層間絶縁膜93bは、上記の非感光性または感光性の樹脂材料で構成されている。例えば、シロキサンポリマーを2.0μmの厚さで形成することによって、第2の層間絶縁膜93bが形成される。
図38の例では樹脂製である第2の層間絶縁膜93bが上層(すなわち、ドレイン電極63および画素電極73に近い側の層)に配置されているが、第2の層間絶縁膜93bは下層(すなわち、ゲート絶縁膜90に近い側の層)に配置することも可能である。
このように一部が塗布型絶縁材料で構成された層間絶縁膜93によっても、上記の各種効果を得ることができる。
<実施の形態5>
実施の形態1〜4ではTN方式を例示した。実施の形態5ではFFS方式を例示する。具体的には、実施の形態1〜4に係るTFTをFFS方式のTFT基板に応用する例を説明する。
まず、FFS方式の概略を説明する。FFS方式では、TFT基板は電極間絶縁膜を介して対向する2種類の電極を有している。電極間絶縁膜の上層に配置された電極(すなわち、液晶層に近い側に配置された電極)は、スリット状の開口が設けられている。他方、電極間絶縁膜の下層に配置された電極は、上層電極の開口に対向する領域にも延在している。上層電極と下層電極との間に電圧を与えると、液晶層にも及ぶ電界(いわゆるフリンジ電界)が発生し、このフリンジ電界によって液晶層の配向制御を行う。
スリット状の開口を有する上層電極に表示電圧を印加する場合、上層電極を画素電極と呼び、下層電極を共通電極と呼ぶ。逆に、上層電極に共通電圧を印加する場合、上層電極を共通電極と呼び、下層電極を画素電極と呼ぶ。共通電極はTN方式における補助容量電極を兼ねており、画素電極と共通電極との重畳領域によって補助容量が形成される。
以下では、スリット状の開口を有する上層電極が画素電極であり、下層電極が共通電極である場合を例示する。逆の場合にも実施の形態1〜4に係るTFTを適用可能である。
図39に実施の形態5に係るTFT基板30Eの拡大平面図を例示する。なお、図面を見やすくするために、図39では画素電極73の輪郭を太線で示し、半導体層91にハッチングを施している。
また、TFT基板30Eの平面視構造を見やすくするために、図39から画素電極73を取り除いた状態を図40に示す。なお、図40では共通電極74およびドレイン電極63の輪郭を太線で示している。
また、図39中のXLI−XLI線における断面を図41に示す。TFT基板30Eは実施の形態1に係る画素TFT60を採用しているが、実施の形態2〜4に係る画素TFT60B,60Cを採用することも可能である。また、TFT基板30Eは、TFT基板30に代えて、液晶パネル10および液晶表示装置1(図1参照)を構成可能である。
図39〜図41から分かるように、TFT基板30Eは、実施の形態1に係るTFT基板30(図4および図8参照)から、補助容量配線53および補助容量電極83を取り除いた構成を有している。
また、TFT基板30Eでは、実施の形態1に係るTFT基板30の層間絶縁膜93を、実施の形態4で例示した2層構造(図38参照)に変更している。
また、TFT基板30Eは、実施の形態1に係るTFT基板30に、共通電極74と電極間絶縁膜95とを追加した構成を有している。
また、TFT基板30Eでは、ドレイン電極63と画素電極73とが別々の透明導電膜で構成されている。
以下では、これらの相違点を中心に説明する。
まず、TFT基板30Eでは、上記のように層間絶縁膜93が2層構造になっている。ここでは、下層の第1の層間絶縁膜93aが無機絶縁材料で構成され、上層の第2の層間絶縁膜93bが樹脂材料で構成されている。樹脂製の第2の層間絶縁膜93bは2〜3μmと厚く形成することが可能であり、画素TFT60の段差が平坦化されている。なお、2層構造の層間絶縁膜93および保護膜92を貫いて、コンタクトホール94(「第1のコンタクトホール94」と呼ぶ場合もある)が設けられている。
層間絶縁膜93上には、ドレイン電極63と共通電極74とが配置されている。すなわち、ドレイン電極63と共通電極74とは同じ層に配置されている。
ドレイン電極63は、コンタクトホール94近傍の層間絶縁膜93上に島状に配置されているとともにコンタクトホール94内にも配置され、コンタクトホール94内において半導体層91に接続されている。
共通電極74は、平面視(図39および図40参照)において画素TFT60およびその近傍を避けたパターンで以て、表示領域11内に全面的に広がっている。共通電極74はドレイン電極63と同じ透明導電材料(例えば、ITO、IZO等の金属酸化物)によって構成されている。上記のように共通電極74は補助容量電極を兼ねている。また、上記のように共通電極74は、表示領域11の全面に広がっていることにより、補助容量配線も兼ねている。
ドレイン電極63および共通電極74を覆うように、電極間絶縁膜95が配置されている。電極間絶縁膜95は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁材料によって構成されている。電極間絶縁膜95には、コンタクトホール94に通じるコンタクトホール96(「第2のコンタクトホール96」と呼ぶ場合もある)が形成されている。具体的には、第2のコンタクトホール96は、平面視において、第1のコンタクトホール94と重畳し、かつ、第1のコンタクトホール94よりも大きい。
電極間絶縁膜95上には、画素電極73が配置されている。画素電極73は第2のコンタクトホール96内にも配置され、第2のコンタクトホール96内においてドレイン電極63と接続されている。なお、図41の例では、画素電極73は、第1のコンタクトホール94内にも配置され、第1のコンタクトホール94内においてもドレイン電極63と接続している。
画素電極73のうちで電極間絶縁膜95上の部分は、スリット状の開口を有している。図39の例では、画素電極73の開口はソース配線52に沿っている。スリット状開口の個数は図視の例に限定されるものではない。画素電極8は透明導電材料(例えば、ITO、IZO等の金属酸化物)によって構成されている。
上記のように、電極間絶縁膜95を介して画素電極73と共通電極74とが対向する構造によって、補助容量80(図3参照)が構成されている。
次に、図42〜図44も参照して、TFT基板30Eの製造方法を説明する。図42〜図44は図41に対応する断面図である。
まず、実施の形態1,4で例示した製造方法を利用して、第1のコンタクトホール94を有した層間絶縁膜93まで形成する(図42参照)。なお、第1のコンタクトホール94の直径は例えば7μmである。
なお、第1のコンタクトホール94の形成と同時に、額縁領域12においてゲート端子用コンタクトホール101およびソース端子用コンタクトホール102を形成する(図39および図40参照)。
次に、層間絶縁膜93上および第1のコンタクトホール94内に、ITO、IZO等の透明導電膜をスパッタ法等によって基板の全面に形成する。例えば、スパッタ法でIZO膜を80nmの厚さで形成する。そして、当該透明導電膜を写真製版技術および微細加工技術によってパターニングすることによって、ドレイン電極63および共通電極74を形成する(図43参照)。
なお、ドレイン電極63および共通電極74の形成と同時に、額縁領域12では、ゲート端子用コンタクトホール101内にゲート端子用パッド103を形成し、ソース端子用コンタクトホール102内にソース端子用パッド104を形成する。
次に、ドレイン電極63および共通電極74を覆うように層間絶縁膜93上に、電極間絶縁膜95を形成する(図44参照)。例えば、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機絶縁膜を、CVD法等を用いて基板全面に形成する。電極間絶縁膜95の成膜温度は、樹脂製の第2層間絶縁膜93bの焼成温度以下にすることが好ましい。これは、第2の層間絶縁膜93bから脱離するガスを抑制し、そのような脱離ガスを電極間絶縁膜95の膜中に取り込ませないようにするためである。また、脱離ガスの影響によって電極間絶縁膜95の絶縁性、被覆性等の低下を抑制するためである。例えば、230℃の成膜温度で窒化シリコン膜を300nm形成することによって、電極間絶縁膜95を形成する。
その後、写真製版技術および微細加工技術によって、電極間絶縁膜95に第2のコンタクトホール96を形成する(図44参照)。第2のコンタクトホール96の直径は、例えば12μmである。第2のコンタクトホール96の形成によって、第2コンタクトホール96内にドレイン電極63が露出する。
なお、額縁領域12では、上記のゲート端子用パッド103およびソース端子用パッド104が電極間絶縁膜95に埋もれてしまう。このため、第2のコンタクトホール96の形成と同時に、上記パッド103,104に至るコンタクトホール101,102(便宜的に符号101,102を再利用している)を形成する。
次に、第2のコンタクトホール96および電極間絶縁膜95を覆うように、ITO、IZO等の透明導電膜をスパッタ法等によって、基板全面に形成する。そして、当該透明導電膜を写真製版技術および微細加工技術によってパターニングして、スリット状の開口を有する画素電極73を形成する(図41参照)。
なお、画素電極73の形成と同時に、額縁領域12では、電極間絶縁膜95のコンタクトホール101,102内の既設のパッド103,104に接するように、更なるパッド103,104(便宜的に符号103,104を再利用している)を形成する。すなわち、パッド103,104は、画素電極73と同時に形成された上層と、ドレイン電極63と同時に形成された下層とで構成されている。
以上の工程を経て、TFT基板30Eが完成する。
実施の形態5に係るTFT基板30Eは、実施の形態1に係る画素TFT60と、実施の形態4に係る層間絶縁膜93とを採用している。このため、FFS方式においても、実施の形態1,4で述べた各種効果を得ることができる。また、実施の形態2,3に係る画素TFT60B,60Cを採用した場合には、実施の形態2,3で述べた各種効果を得ることができる。
なお、電極間絶縁膜95上の上層電極(スリット状の開口を有する電極)を共通電極として利用し、電極間絶縁膜95下の下層電極を画素電極として利用する場合、下層電極とドレイン電極63とを一続きの電極にすればよい。この例によっても、上記の各種効果を得ることができる。
また、層間絶縁膜93は、樹脂膜と無機絶縁膜のうちのいずれか1つで構成してもよい。この例によっても、上記の各種効果を得ることができる。
また、半導体層91と画素電極73との間に配置されたドレイン電極63を省略してもよい。この例によれば、画素電極73がコンタクトホール94,96を介して半導体層91に接続されることになる。この場合、実施の形態1と同様に、画素電極73を構成する透明導電膜のうちでコンタクトホール94,96内および近傍の部分が、ドレイン電極を構成することになる。
また、半導体層91と画素電極73との間に配置されたドレイン電極63を省略する場合、2つのコンタクトホール94,96を別々に形成する必要性が無くなる。このため、電極間絶縁膜96および層間絶縁膜93を貫いて半導体層91に至る単一のコンタクトホールを採用してもよい。これらの例によっても、上記の各種効果を得ることができる。
<変形例>
実施の形態1〜4ではTN方式を例示し、実施の形態5ではFFS方式を例示した。しかしながら、IPS方式、VA方式等の他の液晶配向制御方式にも、本発明に係る構造および製造方法を応用可能である。
また、実施の形態1〜5では液晶表示装置(LCD)を例示した。しかしながら、有機EL表示装置、電子ペーパー等の他の表示装置にも、本発明に係る構造および製造方法を応用可能である。特に高い開口率が求められるボトムエミッション型の有機EL表示装置への応用によれば、明るく鮮明な表示が得られる。
また、本発明に係るTFTは、表示装置以外の装置にも適用可能である。
また、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。