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JP2014210484A - 4輪転舵機構を備えた車両 - Google Patents

4輪転舵機構を備えた車両 Download PDF

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JP2014210484A
JP2014210484A JP2013087329A JP2013087329A JP2014210484A JP 2014210484 A JP2014210484 A JP 2014210484A JP 2013087329 A JP2013087329 A JP 2013087329A JP 2013087329 A JP2013087329 A JP 2013087329A JP 2014210484 A JP2014210484 A JP 2014210484A
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Yuya Yamaguchi
裕也 山口
大場 浩量
Hirokazu Oba
浩量 大場
石河 智海
Tomomi Ishikawa
智海 石河
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Abstract

【課題】4輪に舵角を与える車両(4WS)において、複雑な機構を用いることなく、横方向移動、小回り等に対応できるようにする。【解決手段】前輪及び後輪の左右車輪Wに接続されたラックケース10,20を有し、前記ラックケース10,20を貫通するラックバー11、21は車両1の直進方向に対する左右方向への動きにより前記左右車輪Wを転舵することが可能であり、前記ラックケース10,20を前後方向へ動かす前後移動手段と、前記ラックバー11,21が接続された各車輪WにインホイールモータMを有する4輪転舵機構を備えた車両とした。【選択図】図2

Description

この発明は、4輪転舵機構を備えた車両に関するものである。
左右の車輪(以下、タイヤ、ホイール、ハブ、インホイールモータ等を含めて総合的に「車輪」と称する。)を結ぶステアリングリンク機構を用いて車輪を転舵するものに、アッカーマン・ジャントウ式と呼ばれる転舵機構がある。この転舵機構は、車両の旋回時に、左右の車輪が同一旋回中心をもつように、タイロッドとナックルアームを用いるものである。
また、タイロッドの長さ、左右のタイロッド間の距離、又は、各車輪とナックルアームの成す角度のいずれかを変化させるアクチュエータを設けた転舵機構がある。この転舵機構によれば、通常走行、平行移動、小回りのすべての走行がスムーズに行え、かつ、応答性に優れている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、前後輪の左右車輪間にそれぞれ配置され、軸心周りに回転可能で左右に2分割されたラックバーと、その2分割されたラックバー間に正逆切り替え手段とを備えた転舵機構がある。正逆切り替え手段は、分割されたラックバーの一方の回転を、他方に正逆方向へ切り替えて伝達することができる。この転舵機構によれば、舵角90度や、横方向移動等の動きが可能となる(例えば、特許文献2参照)。
なお、前輪の転舵に応じてアクチュエータが作動して、後輪を転舵するようにした4輪転舵車両の技術がある(例えば、特許文献3参照)。また、左右車輪間を結ぶラックハウジングを前後方向に移動させることで、左右車輪のトー調整を行い、走行安定性を高めた転舵機構の技術もある(例えば、特許文献4参照)。
特開平04−262971号公報 特開2007−22159号公報 実用新案登録第2600374号公報 特開2003−127876号公報
一般的なアッカーマン・ジャントウ式のステアリングリンク機構によれば、通常走行時には、各車輪の回転ライン(車輪の幅方向中心線)から平面視垂直に延びた線が、車両の旋回中心に集まるので、スムーズな走行ができる。しかし、車両の横方向移動(車両が前後方向を向いた状態での横方向への平行移動)を求める場合、車輪を前後方向に対して90度の方向に操舵することは、ステアリングリンクの長さや他部材との干渉から困難である。また、仮に、左右の車輪のうち一方の車輪を90度に操舵した場合でも、他方の車輪は一方の車輪と完全に平行にはならず、スムーズな走行が困難である。
また、この種の車両では、通常、主転舵車輪である前輪を車両の所定の進行方向に転舵可能であり、従転舵車輪である後輪は、車両の前後方向と並行に設定されている。このため、この車両の前輪を転舵し旋回させると、前輪と後輪とが旋回円に一致しない。したがって、低車速時には内輪差により後輪が旋回円の内側に入る姿勢で車両が旋回し、高車速時には遠心力により前輪が旋回円の内側に入る姿勢で車両が旋回することになる。すなわち、前輪を車両の進行方向である旋回方向に転舵しても、車両の姿勢を旋回方向に一致させ操向することができないという問題がある。そこで、前輪のみならず後輪をも転舵することにより、走行性を向上させる4輪転舵機構(4輪転舵装置)を有する車両がある。
4輪転舵機構を有する車両(いわゆる4WS車)として、例えば、特許文献1に記載の技術では、車両の横方向移動、小回り等が可能である。しかし、タイロッドの長さ、左右タイロッド間の距離、あるいは、車輪とナックルアームのなす角を変化させるアクチュエータを備えるため、アクチュエータが多く制御が複雑である。また、特許文献2は、その機構上、構造が複雑であるだけでなく、ラックバーの回転で車輪を転舵するために、多数の歯車を使用している。このため、ガタが発生しやすく、円滑に車輪の転舵をすることが困難である。
また、特許文献3は、従来の4輪転舵機構の一例である。後輪転舵が可能となるが、この機構だけでは上述する同じ理由により横方向移動をすることは困難である。さらに、特許文献3はトー調整が可能であるが、車両の横方向移動、小回り等には対応できない。
そこで、この発明は、4輪に舵角を与える車両(4WS)において、複雑な機構を用いることなく、横方向移動、小回り等に対応できるようにすることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明のステアリング装置は、前輪及び後輪の左右車輪にラックケース内を貫通するラックバーがタイロッドを介して接続され、前記ラックバーは車両の直進方向に対する左右方向への動きにより前記左右車輪を転舵することが可能であり、前記ラックケースを前後方向へ動かす前後移動手段と、前記ラックバーがタイロッドを介して接続された各車輪にインホイールモータを有する4輪転舵機構を備えた車両を採用した。
また、前記前後移動手段に代えて、前記ラックケースを上下方向へ動かす上下移動手段を備えてもよい。すなわち、前輪及び後輪の左右車輪に接続されたラックバーを有し、前記ラックバーは車両の直進方向に対する左右方向への動きにより前記左右車輪を転舵することが可能であり、前記ラックケースを上下方向へ動かす上下移動手段と、前記ラックバーが接続された各車輪にインホイールモータを有する4輪転舵機構を備えた車両の構成である。さらに、前記前後移動手段と前記上下移動手段の両方を備えてもよい。
ラックケースを前後方向や上下方向へ動かす手段としては、例えば、車体側に移動方向に沿ってラックを設け、ラックケース側にはラックに噛み合うピニオンを設け、モータ(移動用モータ)の駆動力によってピニオンを回転させることで、ラックケースをラックに沿って移動させ任意の位置で停止できる構成にすることができる。あるいは、別に設けたアクチュエータ(移動用アクチュエータ)によって、ラックケースを押圧又は引張によりラックに沿って移動させ、任意の位置で停止できる構成を採用することができる。
なお、ラックケース内を貫通するラックバーによる左右車輪の転舵には、従来例と同様に、ラックピニオン機構等を用いた転舵機構を採用することができる。例えば、運転席のステアリングの操舵角を検出するセンサからの情報に基づき、コンピュータ(エンジンコントロールユニット(ECU)等)が算出したラックバーの左右方向への動作量を出力し、その動作を指令して左右車輪を転舵する構成とできる。この場合、左右の車輪を結ぶステアリング機構に備えられたラックバーに対し、モータ(転舵用モータ)の駆動力による回転が、ラックピニオン機構を介して伝達される構成とできる。あるいは、別に設けたアクチュエータ(転舵用アクチュエータ)の駆動力がラックバーに伝達される構成とできる。これにより、ラックケース内のラックバーを左右方向へ移動させ、任意の位置で停止できる構成を採用することができる。
これらの各構成からなる前記前後移動手段及び前記上下移動手段、又はそのいずれかを、少なくとも後輪の前記ラックケースに適用した車両とすることができる。
これらの各構成では、ラックバーによる左右方向への動きにより通常の車輪の転舵が可能であり、また、ラックケースを前後方向や上下方向に可動とすることで、複雑な機構を用いることなく、車両の横方向移動、小回り、その場回転を可能とし、さらには、走行安定性の向上等、種々の効果を発揮できる。
このような機能を発揮できるのは、前後又は上下に移動可能なラックケースが接続された車輪に、インホイールモータを備えたからである。インホイールモータ以外の駆動方式、すなわち、従来のようなボンネット内に配置したエンジンやモータからの駆動力伝達方式(等速ジョイント)では、作動角に制限(通常50度(50deg)以下)があり50度以上の転舵は不可能である。インホイールモータを備えたことで、特許文献4等のような従来の機構ではできない走行パターンを実現することができる。
これらの各構成において、車室内に、前記前後移動手段及び前記上下移動手段、又はそのいずれかによる車両の走行モードを切り替えるモード切替手段を備える構成を採用することができる。このモード切替手段は、例えば、運転者が操作できるスイッチ、レバー、ジョイスティック等であってもよい。また、そのスイッチ、レバー、ジョイスティック等をステアリング等に取付けてもよいし、車室内にステアリングとは別に単独に設けてもよい。
これらの各構成において、転舵時に、前記インホイールモータから車輪へ適切なトルクを与えることで転舵力をアシストする構成を採用することができる。例えば、転舵の際に車輪の平面方向への移動を伴う場合(車輪がその場所に停止した状態で転舵するのではなく、路面に沿って横方向移動するような状態)は、このような構成とすることが望ましい。
これらの各構成において、前記ラックケースの前後方向又は上下方向への移動を、ロック機構によって拘束する構成を採用することができる。
また、これらの各構成において、すべての車輪が車両の直進方向に対して直角方向を向く横方向移動モードでの走行中において、前記ラックバーによる左右方向への動きによって車輪の舵角を微変化させる構成を採用することができる。
これらの各構成からなるステアリング装置を、車両に装着した場合のいくつかの走行モードについて説明する。
この発明では、通常の走行モードにおいては、従来のステアリング操作と違和感なく作動し、且つ、その場回転、横方向移動、小回り等、さまざまな走行モードをも可能とする。これにより、複雑な機構を用いず、低コストで、横方向移動、小回り等が可能となる。すなわち、通常走行モードでは、ラックバーによる左右の動きのみで転舵し、その場回転(旋回)モード、横方向移動モード等の通常走行とは異なるモードでは、ラックケースの前後又は上下移動によって転舵する。
(通常走行モード)
ラックバーによる左右方向への動きにより、左右車輪を所定の角度で同時に右方向又は左方向へ転舵する。具体的には、ラックケース内に配置したラックバーが、直進方向に対して左右方向いずれかに動くことで、左右車輪を左右同方向に転舵することができる。ラックバーは、通常の転舵用アクチュエータ、若しくは、前輪であればステアリング(ハンドル)に連結されたステアリング操作軸によって左右動が可能である。
この時、ラックケースに前後方向への移動手段や上下方向への移動手段が設けられている場合は、その上下方向への動き、前後方向への動きが生じないように、前述のロック機構を用いて固定しておく。前後方向への移動手段、上下方向への移動手段として、例えば、移動用アクチュエータを使用する場合は、その移動用アクチュエータの動きをロックしておくことでロック機構とでき、若しくは、別に設けたロック機構(拘束機構)によって固定することで、通常の車両と同等の走行(前進走行等)が可能となる。
(その場回転モード)
その場回転モードは、前後輪に取り付けられたラックケースが、前後方向もしくは上下方向に動くことで、その場回転可能な所定の角度まで車輪を転舵する。ラックケースの前後方向又は上下方向への移動は、例えば、前述の移動用アクチュエータ、若しくは、インホイールモータによる車輪の回転に追従することによって可能である。
その場回転モードでは、すべての車輪の中心線(車軸中心線)の延長線が、平面視における車両中心側に向いている。このため、旋回によって車両中心が移動することなく、その場で車両を360度回転させることも可能である。このとき、ロック機構によってラックケースを固定することで、より安定した旋回の動きが可能となる。また、通常の転舵に用いる転舵用アクチュエータ、若しくは、前輪であればステアリングに連結されたステアリング操作軸で、ラックケースの前後方向、上下方向の動きを固定する手法も考えられる。
(横方向移動モード)
横方向移動モードは、車両が前後方向を向いた状態での横方向への平行移動、すなわち、横方向移動する。ここでは、前後輪に取り付けられたラックケースが、前後方向もしくは上下方向に動くことで、車輪を、直進方向に対して最大90度まで転舵する。ラックケースの前後方向又は上下方向への移動は、例えば、前述の移動用アクチュエータ、若しくは、インホイールモータによる車輪の回転に追従することによって可能である。
横方向移動モードでは、すべての車輪が車両の直進方向に対して直角方向を向いて平行である。すなわち、すべての車輪の中心線(車軸中心線)が車両の前後方向に対して一定の角度を成し、且つ、すべての車輪の中心線が平行である。
このとき、同じくロック機構によってラックケースを固定することで、より安定した車両の動きが可能となる。通常の転舵に用いる転舵用アクチュエータ、若しくは、前輪であればステアリングに連結されたステアリング操作軸で、ラックケースの前後方向、上下方向の動きを固定することも可能である点は同様である。
また、微調整機能として、ラックケースによる車両の直進方向に対する左右方向へのわずかな動きにより、タイヤ角度を微調整、すなわち、車輪の舵角を微変化させることが可能である。このわずかな動きは、ラックケースや、そのラックケース内に配置されたラックバーを、通常用いられる転舵アクチュエータの動作によって所定方向へ移動させることで可能である。
(小回りモード)
小回りモードは、後輪と前輪とを逆位相に転舵し、2輪のみの転舵の際よりも小径での回転を可能とするモードである。小回りモードでは、前後輪にそれぞれ取り付けられたラックバーの動きによって、通常走行モードと同様に前輪を所定の角度に転舵し、また、後輪を前輪と逆位相に転舵する。具体的には、ラックケース内に配置したラックバーが、直進方向に対して左右方向いずれかに動くことで、前輪の左右車輪及び後輪の左右車輪をそれぞれ対応する方向に転舵することができる。ラックバーは、通常走行モードで使用する転舵用アクチュエータ、若しくは、前輪であればステアリングに連結されたステアリング操作軸によって左右動が可能である。小回りモードは車速によって、モード切替が行われ、例えば、時速20km/h以上では小回りモードにならないように制御することで、安全な走行が確保される。
(高速走行モード)
高速走行中に、後輪に取り付けられたラックケースが、前後移動用アクチュエータによって、直進方向に対して前後方向又は上下方向に移動させることで、トー調整を行うことができる。一般的に高速走行時には、トーインとすることで車体は安定して走行可能となる。高速モードは車速によって、モード切替を行われ、例えば、時速80km/h以上でのみ有効となるように制御することで安全な走行が確保される。
(危険回避モード)
危険回避モードは、後輪と前輪とを同位相又は逆位相に転舵し、早期に危険回避の姿勢を確保し、走行安定性を高めるモードである。危険回避モードでは、前後輪にそれぞれ取り付けられたラックバーの動きによって、通常走行モードと同様に前輪を所定の角度に転舵し、また、後輪を前輪と同位相又は逆位相に転舵する。具体的には、ラックケース内に配置したラックバーが、直進方向に対して左右方向いずれかに動くことで、前輪の左右車輪及び後輪の左右車輪をそれぞれ対応する方向に転舵することができる。ラックバーは、通常走行モードで使用する転舵用アクチュエータによって左右動が可能である。
前後又は上下に移動可能なラックケースが接続された車輪にインホイールモータを備えることで、通常の走行モードにおいては従来のステアリング操作と違和感なく作動する上、その場回転、横方向移動、小回り等、さまざまな走行モードをも可能とし得る。また、複雑な機構や制御を用いず、低コスト化が可能となる。すなわち、4輪に舵角を与える車両(4WS)において、複雑な機構を用いることなく、前後輪を同位相又は逆位相の舵角に転舵し、横方向移動や小回りに対応することができる。
この実施形態のステアリング装置を用いた車両のイメージ図 この発明の第一の実施形態を示す平面図 図2において横方向移動(平行移動)モードを示す平面図 図2において小回りモードを示す平面図 この発明の第二の実施形態を示す平面図 図5において小回りモードを示す平面図 図5において横方向移動(平行移動)モードを示す平面図 図5においてその場回転モードを示す平面図 図5において横方向移動(平行移動)モードを示す平面図 この発明の第三の実施形態を示す平面図 図10において小回りモードを示す平面図 図10において小回りモードを示す平面図
この発明の実施形態を図1〜図12を用いて説明する。それぞれの実施形態において、車両1の駆動輪のステアリング装置には、前後左右のいずれか、若しくは、すべての車輪Wのホイール内にインホイールモータMを装着している。インホイールモータMを備えたことにより、様々な走行パターンが可能となる。
図1は、この実施形態のステアリング装置を用いた車両1のイメージ図を示す。超小型モビリティで2人乗車(横並び二人乗り)の車体を示している。ただし、この発明は、超小型モビリティに限定されるものではなく、通常車両にも適応可能である。
(第一の実施形態)
図2は、第一の実施形態の車両1の駆動系及び制御経路を示す平面略図である。この実施形態では、前輪は、ラックケースが前後及び上下に動かない通常のステアリング装置を備えており、また、後輪には、ラックケースが前後及び上下に可動である、この発明のステアリング装置を採用している。
従動輪である前輪のステアリング装置は、左右の車輪W(FL,FR)間を結ぶラックバー11がラックケース(ステアリングボックス)10内に収容されている。ラックバー11の両端は、それぞれ、タイロッド12を介して車輪Wに接続されている。タイロッド12と車輪Wとの間には、適宜ナックルアーム等の各種部材が介在する。
駆動輪である後輪のステアリング装置は、左右の車輪W(RL,RR)間を結ぶラックバー21が中程で二分割されており、分割されたラックバー21がラックケース(ステアリングボックス)20内に収容されている。ラックバー21の両端は、それぞれ、タイロッド22を介して車輪Wに接続されている。タイロッド22と車輪Wとの間には、適宜ナックルアーム等の各種部材が介在する場合がある点は同様である。
前輪のラックケース10には転舵用アクチュエータ31、若しくは、前輪であればステアリング(ハンドル)2に連結されたステアリング操作軸が、後輪のラックケース20には、転舵用アクチュエータ31と移動用アクチュエータ32が備えられている。
前輪のラックバー11では、運転席のステアリング2の操舵角、若しくは、操舵トルクを検出するセンサ41からの情報に基づき、エンジンコントロールユニット40(以下、ECU40と称する)がラックバー11の左右方向への必要な動作量、若しくは、操作力を算出し出力する。その出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、前輪の転舵用アクチュエータ31に指令して左右車輪Wを必要方向へ必要角度だけ転舵する。センサ41は、ステアリング2の回転とともに軸周り回転する操作軸3に設けられている。
なお、前輪のステアリング装置としては、運転者が行うステアリング操作を電気信号に置き換えて転舵するステアバイワイヤ方式には限定されず、例えば、機械的なリンク(ラックピニオン機構等)を用いた一般的なステアリング装置を採用することもできる。この場合、転舵用アクチュエータ31の機能は、運転者が操作するステアリング、又は、ステアリングの操作軸に連結されたモータ等がラックバー11の左右方向の移動に必要なトルクを算出しアシストする。
また、後輪のラックバー21では、センサ41からの情報や、モード切替手段42からの入力、あるいは、ECU40自身による走行状態の判断に基づき、ECU40がラックバー21の左右方向への必要な動作量を算出し出力する。その出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、後輪の転舵用アクチュエータ31に指令して左右車輪Wを必要方向へ必要角度だけ転舵する。また、同じくECU40が、ラックケース20の前後方向、上下方向への必要な移動量を出力し、その出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、後輪の移動用アクチュエータ32に指令して、後輪のラックケース20を必要量移動させる。
通常の走行では、運転者のステアリング2の操作により、前輪のステアリング装置を通じて、直進、右折、左折、その他、各場面に応じた必要な転舵が可能である。
また、例えば、ECU40が車両1が高速走行中であることを認識した時は、ECU40の出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、後輪の移動用アクチュエータ32に指令してラックケース20を後方へ移動させる。これにより、後輪の左右輪RL,RRは、平行状態よりも前方側がわずかに閉じた状態(トーイン状態)となり、安定した高速走行が可能となる。
このトー調整は、ECU40による車速や車軸にかかる荷重などの走行状態の判断に基づき自動的に行われるようにしてもよいし、運転室に設けられたモード切替手段42からの入力に基づいて行われるようにしてもよい。モード切替手段42を運転者が操作することで、走行モードの切り替えを行うことができる。モード切替手段42は、例えば、運転者が操作できるスイッチ、レバー、ジョイスティック等であってもよい。後述の各走行モードの切り替え時についても、このモード切替手段42を使用する。
図3は、第一の実施形態の車両1において、後輪を、転舵用アクチュエータ31で前輪転舵方向と同方向に転舵(図では、前後輪ともに右方向への転舵)することで、危険回避時等を目的とする斜め走行が可能となっている。斜め走行では、車両が前後方向を向いたまま、あるいは、ほとんど向きを変えないまま、車線変更等の横方向への移動(平行移動)が可能である。この操作によって前方の障害物からの危険回避などが可能となる。
ここで、移動用アクチュエータ32としては、例えば、モータとギア、ボールねじ等の直動機構で構成されているものを採用できる。この移動用アクチュエータ32により、ラックケース20を車体に対して前後方向、又は、上下方向へ移動させることができる。
この実施形態では、移動用アクチュエータ32が、ラックケース20の上下移動手段と前後移動手段とを兼ねているが、上下移動手段と前後移動手段とを別々に設けてもよい。また、必要に応じて、上下移動手段と前後移動手段のいずれか一方を備え、他方を省略してもよい。これは、後述の各実施形態において、対応する各ラックケース10,20について同様である。
また、転舵用アクチュエータ31は、ラックピニオンなどの直動機構と、モータ、ウォームギア等で構成されているものを採用できる。この転舵用アクチュエータ31により、ラックケース20内のラックバー21を、車体に対して左右方向へ移動させることができる。
図4は、同じく、第一の実施形態の車両1において、後輪のラックケース20を移動用アクチュエータ32によって前方へ大きく移動することで、後輪の左右輪RL,RRを逆位相に転舵している。後輪の左右輪RL,RRは、平面視において、後方側が大きく閉じた状態となっている。
この状態で、後輪のインホイールモータMを駆動させれば、車両1は、後輪のそれぞれの車輪中心線(車軸中心線)の交点を旋回中心として、小回りをすることができる。ここで、後輪のそれぞれの車輪中心線の交点を、前輪の左右輪FL,FRの中心に設定しているので、小回りがスムーズである。
(第二の実施形態)
図5は、第二の実施形態を示している。この実施形態では、前輪及び後輪がともに駆動輪であり、その前輪及び後輪に、それぞれ、ラックケース10,20が前後及び上下に可動である、この発明のステアリング装置を採用している。
前輪のラックバー11では、センサ41からの情報に基づき、ECU40がラックバー11の左右方向への必要な動作量を算出し出力する。その出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、前輪の転舵用アクチュエータ31に指令して左右車輪Wを必要方向へ必要角度だけ転舵する。
また、前輪のラックケース10では、センサ41からの情報や、モード切替手段42からの入力、あるいは、ECU40自身による走行状態の判断に基づき、ECU40がラックケース10の前後方向、上下方向への必要な移動量を出力し、その出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、移動用アクチュエータ32を通じて前輪のラックケース10を必要量移動させる。
なお、前輪のステアリング装置としては、ステアバイワイヤ方式には限定されず、機械的なリンク(ラックピニオン機構等)を用いた一般的なステアリング装置を採用できる点は同様である。この場合、転舵用アクチュエータ31の機能は、運転者が操作するステアリング、又は、ステアリングの操作軸に連結されたモータ等が発揮する。
また、後輪のラックケース20においても、センサ41からの情報や、モード切替手段42からの入力、あるいは、ECU40自身による走行状態の判断に基づき、ECU40がラックケース20の前後方向、上下方向への必要な移動量を出力し、その出力に基づき、アクチュエータドライバ30が、移動用アクチュエータ32を通じて後輪のラックケース20を必要量移動させる。
図6は、第二の実施形態の車両1で、前輪及び後輪をそれぞれの転舵用アクチュエータ31によって逆位相に転舵し、その状態で、4輪それぞれが備えるインホイールモータMの駆動力によって小回りを可能とする状態を示している。転舵用アクチュエータ31及び移動用アクチュエータ32の制御方法は、前述の実施形態と同様である。
また、図7は、同じく、第二の実施形態の車両1で、前輪及び後輪を同位相に転舵し斜め走行を可能とした状態を示している。この走行モードでは、危険回避時などの不安定な走行時に車体の安定性を確保することができる。
図8は、第二の実施形態の車両1で、前輪のラックケース10を、移動用アクチュエータ32によって大きく後方へ、後輪のラックケース20を、移動用アクチュエータ32によって前輪の移動量(前輪のラックケース10の定常位置からの後方への移動量)と同距離だけ前方へ移動した状態を示している。
この状態で、4輪それぞれが備えるインホイールモータMの駆動力によって、車両の中心を旋回中心としたその場回転が可能となる。なお、このとき、必ずしも、全てのインホイールモータMが駆動している必要はなく、必要に応じて幾つかのインホイールモータMが駆動すればよい。
図9は、同じく、第二の実施形態の車両1で、前輪のラックケース10を移動用アクチュエータ32によってさらに大きく後方へ、後輪用ラックケース20を前輪用前後移動用アクチュエータによって前輪の移動量(前輪のラックケース10の定常位置からの後方への移動量)と同距離だけ前方へ移動した状態を示している。
このように、車輪の舵角を全て90度(直進方向に対して90度)とし、この状態で、4輪それぞれが備えるそれぞれのインホイールモータMの駆動力によって横方向移動(平行移動)が可能となる。なお、この場合も、必ずしも、全てのインホイールモータMが駆動している必要はなく、必要に応じて幾つかのインホイールモータMが駆動すればよいが、少なくとも、前輪の左右いずれか、及び、後輪の左右いずれかは駆動されていることが望ましい。
(第三の実施形態)
図10は、第三の実施形態を示している。この実施形態は、第一の実施形態と同様、前輪は、ラックケース10が前後上下に動かない通常のステアリング装置を備えており、また、後輪には、ラックケース20が前後上下に可動である、この発明のステアリング装置を採用している。
さらに、この実施形態では、直進状態において、後輪のステアリング装置(ラックバー21やラックケース20等)が、車輪Wとタイロッド22との結合点(ナックルアームを用いる場合はナックルアームとタイロッド22との結合点)よりも後方に位置している。このように配置することで、車内空間を広くとれる利点がある。
なお、この実施形態の変形例として、仮に、前後上下に可動であるステアリング装置を前輪に装着する場合は、後輪の場合と反対であり、ステアリング装置は、車輪Wとタイロッド12との結合点よりも前方に位置することとなる。
図11は、第三の実施形態の車両1で、後輪のラックケース20を、移動用アクチュエータ32によって前方へ移動することで、後輪の左右輪RL,RRを逆位相に転舵している。この状態で、インホイールモータMを駆動させれば、車両1は、後輪のそれぞれの車輪中心線(車軸中心線)の交点を旋回中心として小回りをすることができる。ここで、後輪のそれぞれの車輪中心線の交点を、前輪の左右輪FL,FRの中心に設定しているので、小回りがスムーズである。
図12は、同じく、第三の実施形態の車両1で、前輪に対して後輪を逆位相に転舵することで小回りを可能としている状態を示している。
(運転モードの切り替え)
これらの各実施形態では、各運転モード時に、車室内にあるモード切替手段42を操作することで、通常走行モードの他、各実施形態において設定されている運転モードを切り替えることができる。具体的には、通常走行モード、その場回転モード、横方向移動モード、小回りモード等を選択することができる。スイッチ操作等で切り替えが可能とすれば、より安全な操作が可能である。
例えば、モード切替手段42を操作し、その場回転モードを選択(ただし、その場回転モードが設定されている実施形態に限る)すれば、車両1の中心部に回転中心を持つように、ラックケース10,20の前後方向の移動のみで4輪を転舵させることができる。このとき、ラックバー11,21の左右方向への移動、ラックケース10,20の上下方向の移動を拘束し、操作を簡略化した上で安定した回転を可能とする。
また、モード切替手段42を操作し、横方向移動モードを選択(ただし、横方向移動モードが設定されている実施形態に限る)すれば、4輪の舵角が90度になるように、ラックケース10,20の前後方向の移動のみで転舵させることができる。ラックケース10,20の前後方向への移動中は、ラックバー11,21の左右方向への移動、ラックケース10,20の上下方向の移動を拘束する。4輪の舵角が90度となれば、ラックケース10,20の前後方向及び上下方向移動を固定し、ラックバー11,21の左右方向の拘束を解除して、その左右方向の移動のみで車輪Wの舵角を微調整する。このように制御することで、簡易的に車輪Wを位置配置でき、また、横方向移動時においても転舵が可能となる。
さらに、モード切替手段42を操作し、通常走行モードを選択すれば、走行条件によって、ラックケース10,20の前後方向、上下方向の移動によってトー調整を行った後に、そのラックケース10,20の前後・上下方向の移動は拘束され、速度域に合わせた制御を行う。例えば、高速度域では、前輪と後輪は同位相にのみ転舵し安定走行を可能とする。逆に、低速度域では、前輪と後輪は逆位相にのみ転舵され小回りが可能となるように設定できる。
上記に記載した種々の運転モードは例であり、それ以外にも、これらの機構を用いた様々な制御が可能となる。
1 車両
2 ステアリング
3 操作軸
10,20 ラックケース
11,21 ラックバー
12,22 タイロッド
30 アクチュエータドライバ
31 転舵用アクチュエータ
32 移動用アクチュエータ
40 エンジンコントロールユニット(ECU)
41 センサ
42 モード切替手段
W 車輪

Claims (9)

  1. 前輪及び後輪の左右車輪にラックケース内を貫通するラックバーがタイロッドを介して接続され、前記ラックバーは車両の直進方向に対する左右方向への動きにより前記左右車輪を転舵することが可能であり、前記ラックケースを前後方向へ動かす前後移動手段と、前記ラックバーがタイロッドを介して接続された各車輪にインホイールモータを有する4輪転舵機構を備えた車両。
  2. 前輪及び後輪の左右車輪にラックケース内を貫通するラックバーがタイロッドを介して接続され、前記ラックケースは車両の直進方向に対する左右方向への動きにより前記左右車輪を転舵することが可能であり、前記ラックケースを上下方向へ動かす上下移動手段と、前記ラックバーがタイロッドを介して接続された各車輪にインホイールモータを有する4輪転舵機構を備えた車両。
  3. 前記ラックケースを上下方向へ動かす上下移動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の4輪転舵機構を備えた車両。
  4. 前記前後移動手段及び前記上下移動手段、又はそのいずれかを、少なくとも後輪の前記ラックケースに適用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の4輪転舵機構を備えた車両。
  5. 車室内に、前記前後移動手段及び前記上下移動手段、又はそのいずれかによる車両の走行モードを切り替えるモード切替手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の4輪転舵機構を備えた車両。
  6. 転舵時に、前記インホイールモータから車輪へ適切なトルクを与えることで転舵力をアシストすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の4輪転舵機構を備えた車両。
  7. 転舵時に、前記インホイールモータから車輪へ適切なトルクのみを与えることで車輪を転舵することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の4輪転舵機構を備えた車両。
  8. 前記ラックケースの前後方向又は上下方向への移動を、ロック機構によって拘束することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の4輪転舵機構を備えた車両。
  9. すべての車輪が車両の直進方向に対して直角方向を向く横方向移動モードでの走行中において、前記ラックバーによる左右方向への動きによって車輪の舵角を微変化可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の4輪転舵機構を備えた車両。
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