近年、気候変動問題ならびに化石燃料高騰の影響を受け、風力発電・太陽光発電などに代表される再生可能エネルギー電源の導入が加速している。日本政府は、2020年には2,800万kW、2030年には5,300万kWの太陽光発電を導入する目標を立てている。これは、現在の日本の最大電力1億8千万kWの25%にも相当する。
この大きさの電源が、天候により出力変動すれば、周波数維持が困難となる。従って政府は2009年7月の「低炭素電力供給システムに関する研究会報告書」において,現状の電力系統のままでは,太陽光発電は一定規模の出力抑制を採用しても,2020年度時点で1,300万kW程度(約7%)しか導入できないと報告している。
米国では、各州で異なるものの今後10−20年で、量として10−30%の導入を計画しており、周波数維持のために送電線容量を増強する計画がスマートグリッド推進の中で検討されている。
欧州でも、各国で導入計画は異なるものの、EU指令として2020年までに20%の再生可能エネルギー量の導入を目指しているが、周波数維持のための電力潮流変動増加が見込まれており、欧州全体の電力網を強化する計画が検討されている。
しかし、最近の大停電の例をみると、2003年8月14日の米国北東部の連鎖大停電はオハイオ州の操作ミスと警報装置不具合から始まり、2003年9月28日のイタリア全土大停電は樹木倒壊による高圧線事故から始まり、2006年のドイツ、フランス、スペイン等8カ国にもまたがる連鎖大停電は、ドイツの送電線の計画停止に端を発するものであった。
この連鎖停電のメカニズムは、電力系統が巨大な同期系統となっているため、どこか1か所で電力潮流を流せない事故が起こると、その潮流が予期せぬ系統の負担になり、負担に耐え切れなくなるとその系統が停止し、さらにそれにより他の系統に電力潮流の負担が及ぶという図式で、雪だるま式に停電個所が広がっていくというものになっている。
すなわち、電力系統の送電容量を増大し、連系を強化すればするほど、小さな事故や小さな送電線容量低下が、より広範囲なエリアの連鎖大停電を引き起こす可能性が高まることになる。
これを防止するために、デンマークでは電力系統を電圧階級ごとに区分して「セル」という単位に分け、その中で変動を吸収するようにする案が提案された。しかし、制御系の工夫だけでは、実際に事故が起こると連鎖の普及スピードに追い付けない上、協調制御がうまくいかないと健全な系統を停電させてしまう危険性もはらんでいる。
米国では、東部、西部、南部の系統を分離して、その間を多数の超高圧送電線で連系し、送電線の途中にAC/DC/AC電力変換器を置いて、電力を非同期に融通する案が浮上しているが、東部一つとっても欧州と同程度の大きさがあり、その中で起こる連鎖大停電を防ぐことはできない。
仮に米国や欧州をそれぞれ数百の電力系統に分離し、自分の電力系統と周辺の複数の電力系統との間で非同期に電力を融通しあえる複数系統間電力変換器を置くことができれば、事故が起こっても停電は事故を起こした電力系統にとどめることができ、連鎖停電を未然に防止することができる。
複数系統間電力変換器を多用すれば、多数の電力ルートが作られるので、停電事故を起こした系統を切り離しても、それ以外の多くの系統から少しずつ電力を融通してもらえるので、自系統も周辺系統も健全性を維持することができる。
自系統が持ちこたえれば、雪だるま式に停電が連鎖して行くことが防止できる。電力変換器はゲートブロック制御を使用するので通常の遮断器より高速に電力を遮断できるので、事故の影響による電力動揺を小さく抑えることもできる。
複数系統間電力変換器があれば、周辺の電力系統との接続に既存の送電線を使うことができる。これにより通常50%以下にとどまっている送電線の設備利用率が飛躍的に高まる。また無効電力も自由に融通でき電圧調整が可能になる。
しかし、このような多端子型の電力変換装置は存在していなかった。
その理由は、従来の電力系統が同期系統を拡大していくことで負荷変動を平均化し、系統安定化を図る方向にあり、再生可能エネルギーのような巨大な発電変動を考慮する必要がなかったことにある。
従来技術の中で、大量の不安定電源を同期系統に接続される際の問題の対策としては、以下のようないくつかの提案がなされている。それらは大別すると次の3つの方法に分類される。
第一の従来方法は、電力基幹系統を強化する方法である。これは高圧連系線の強化や、交流/直流/交流変換を行うBTB型ループコントローラの設置、周波数変換所の容量増大、北海道本州直流連系線の容量増大などを図り、バックアップ電源としてのガスタービン発電や可変速水力発電設備などの増大により再生可能エネルギー電源の変動に備えるものである。この方法にかかわるものとしては以下の特許文献1、2がある。
第二の従来方法は、分散電源の出力抑制ならびに需要抑制である。出力抑制については太陽光発電や風力発電は電力会社からの信号で出力を抑制する回路の義務化が検討されている。この方法にかかわるものとしては以下の特許文献3、4がある。
第三の従来方法は、複数の電力系統間や基幹系統との間で電力の融通を行う方法である。再生可能エネルギーのような不安定電源を大量に導入された複数の電力系統を何らかの形の電力融通装置で接続し、相互に電力を融通する方法である。この方法には以下の特許文献5、6、7、8がある。
また、電力と通信の融合に関して以下の特許文献9がある。
特開平11−146560号公報
特開平11−98694号公報
特開2008−182859号公報
特開2007−189840号公報
特開2003−324850号公報
特開2007−89250号公報
国際公開2004−073136号公報
特許3934518号公報
特開2003−152756号公報
第一の従来手法は、基幹系統の強化を目的とするものであるが、例えば、特許文献1では複数の制御対象とする地域系統を制御実行時刻における系統状況に応じて各地域系統間を接続している開閉器の入り切り操作を用いて、自由に対象系統範囲を変更することにより電力系統の安定度を高めるとしている。しかし、各地域系統の元は同じ同期系統であり、単に系統の定数の変化に合わせて潮流の流れ方を変える提案に過ぎない。この方法では同期化力を持たない再生可能エネルギー電源が増大した時の解決にはならない。
また、特許文献2では、複数の電力系統においてBTB型の電力変換器で連系した電力連系系統における電力融通指令装置について提案している。明細書によれば、複数電力系統の電力連系で、電力系統毎に需要と供給をすべて測定し、その需要不均衡情報をすべてセンターに集めてあらかじめ定められた分担に従って電力を配分するという提案になっている。
特許文献2の実施例では、北海道・本州直流連系のような2系統間における電力融通方法としては、実現可能であるが、対象となる電力系統の数やその中の需要家数や太陽光発電設備などが急速に増加し、電力系統構成が急速に変化、増加していく電力システムにおいては、複数電力系統のすべての需要と供給を電力系統毎に常時把握する中央制御システムを維持することは極めて困難な課題となる。
第二の従来手法は、出力や需要の抑制であるが、例えば、特許文献3では蓄電装置の最大出力能力および充電容量を超える風力発電装置の出力電力変動分を抑制する風力発電システムが提案されている。また特許文献4では、系統の状態を常に監視し、必要な時には発電機遮断と発電機出力の抑制を組み合わせることで、よりきめ細かい抑制を図ることが提案されている。需要側の抑制については、近年スマートグリッドやスマートメーターというような表現で米国を中心に開発が進んでいる。これらの方法は、発電もしくは需要の抑制技術であり、いずれも再生可能エネルギー電源を大量に導入するという目的を達成するための技術ではない。
第三の従来手法では、複数の電力系統間や基幹系統との間で電力の融通を行う手法が提案されている。
例えば、特許文献5では、「送配電線網を介して電力を相互に融通するとともに、通信網を介して相互に各種情報をやり取りすることにより電力の融通を制御する電力需給調整システム」を提案している。しかし、基本的に従来型の同期系統の中で系統の切り分けをこまめに行う方法であって、再生可能エネルギー電源を大量に導入するという目的を達成するための技術とはいえない。
特許文献6では、ループコントローラを使用して系統の切り分けや接続の最適化について提案しているが、やはり同期系統につながった配電網の切り分けをこまめに行う方法である。
これらの方法では、基本的にすべての電力需要家が基幹電力系統に依存しているため、再生可能エネルギー電源の増大が同期化力を弱めてしまうという課題には答えていない。
特許文献7では、「電力機器と電力需給制御機器とを備えた電力需給家の複数が相互接続されてなる電力システムにおいて、相互に電力融通を行う電力システム」を提案しているが、抽象的な概念になっていて電気回路的に以下のような欠陥がある。
まず、複数の需要家をつなぐ連系線路が、「分枝状電力需給線路、数珠つなぎ状電力需給線路、放射状電力需給線路、網状電力需給線路またはこれらを組み合わせた電力需給線路」となっているが、こういった接続は、電気的には複雑な潮流問題を内包すると同時に、短絡容量が大きくなるため、遮断器容量の増大や保護システムの複雑化を招くことになる。また、これを直流連系線路で行うという提案もなされているが、これは直流連系線の短絡容量を著しく増大させ、直流遮断器の設置や線路の分断など連系線設計の難度が高い。
また、この提案では、1本の線路に複数の需給家が電力制御機器を通じてつながっているが、需給家と需給家の間で電力を融通するには、2つの電力制御機器を通過するため、回路が冗長となっており、損失も大きくなる。
さらに、1本の連系線路上で複数の需給家が過不足なく電力を融通しあうには、いずれかの需給家が電圧源となり、連系線路の電圧を維持し、電力を供給する立場の需給家はこの電圧に合わせて電流を供給し、電力をもらう立場の需給家はこの電圧に合わせて電流をもらうことになる。この制御に時間遅れが発生すると、このような小さな系統では電圧源が大きくふらつき、この連系線路に接続している需給家すべてに動揺を与える。この系統の需給は、通信を介して行われるので信頼度は通信に依存することになる。このような電気回路構成は、現実味がない。
特許文献8では、複数の離島などを想定した直流多端子送電に電力貯蔵装置を加えた提案を行っている。しかし、現実の直流多端子送電は限定的である。これは、複数の端子間での電力の総和をゼロに制御するの効果的手段が開発されていないことに起因している。実際に稼働している地点はわずか3端子の例であるイタリアのSACOIプロジェクト(200kV、200MW、3端子)とアメリカのQuebec−New Englandプロジェクト(450V、2,000MW、3端子)に限られその後の計画はない。後者は5端子で計画されたが、制御性の課題などにより3端子に計画縮小した上、双方向の電力融通はそのうちの1端子だけになった。
本特許文献によれば、電力貯蔵装置を取り込むことにより、複数の直流多端子で安定に運転できると主張している。しかしながら、本方式には次のような根本的な欠陥が内包されている。まず、直流送電線の距離長が長くなるため、直流ケーブルや接続部などでの事故確率が高まる。直流遮断器などを分岐点に多数配置しないと、直流部で事故が起きたときの電路切り分けができず、全系統停電になる。また、電力貯蔵装置を含めた全端子間の電力総和ゼロ制御は、通信回線で担保されなければならず、制御の信頼性が通信信頼性に依存することになる。これらの課題は電力貯蔵のあるなしにかかわらないが、電力貯蔵があるとさらに複雑になるため、4端子以上の直流送電の実現は実質上不可能であった。
以上のように、先行技術文献には再生可能エネルギーの大量導入を可能にする為の電力システムについて、直截的な例が見当たらない。先行技術文献を参考にして想定し得るのは、現在の基幹電力系統を、再生可能エネルギー電源と分散電源と需要で構成される多数の電力系統に分割し、電力貯蔵装置を導入して独自に需給バランスをとって周波数と電圧を安定させ(電力系統の自立と呼ぶ)、その上で、BTBやループコントローラのような連系装置(以下BTB型連系装置と呼ぶ)で相互にネットワーク連系線で接続する方法までである。
しかし、BTB型連系装置による電力ネットワークには以下のような課題がある。
まず、電力融通制御装置面においては、
第1に、BTB型連系装置では連系する電力系統の数の2乗に比例するオーダーの連系装置が必要となる。
第2に、その間で協調制御をおこなう必要があるが、これは変換器数の増大のみならず、設置時期やメーカーの異なる装置間での協調制御という困難な課題を生み出す。
第3に、複数の電力系統を連続して電力融通する場合、電力が通過するだけの電力系統では電力変換が2度行われ、変換損失が大きくなるという問題がある。
第4に、電力母線に故障が発生すると、その電力系統を経由する電力融通ルートはすべて停止し、健全な電力系統にまで波及するという問題がある。
また、通信システム面においては、
第1に、複数の電力系統間で電力融通を行うためには、ネットワークのルートが増えるにつれ、通信システムも複雑化し、高額な初期投資と保守費用が必要となる。
第2に、信頼度を維持しなければならない通信ルートや通信機器が膨大になり、改造や新増設と対応が困難になる。
第3に、任意の電力機器から別の電力系統内の任意の電力機器に電力を融通するという新しいコンセプトを実現することは、従来の通信方法では、設備対応の困難さや初期投資の大きさ、保守コストの増大といった課題がある。
さらに、制御システム面においては、
第1に、このような電力融通を行う際、従来の方法では、中央指令装置が必要であり、中央に情報を集める手段と、その通信回路、さらに指令を発信する手段が必要である。
第2に、電源系統の信頼性の重要さに鑑み、二重化などの措置が必要である。
第3に、分散した複数の電力系統システムが常に再編され増大していくような新しい電力システムにおいては、このような従来の方法では膨大な設備投資と間断のない保守対応が発生し、ネットワーク管理者の負担が膨大になる。
この他、複数電力系統間で電力融通を行う場合、すべての電力系統から融通可能な有効・無効電力の大きさや量、時間、電力価格の情報を得て、電力ルートの制限を加味して、融通すべきルート選定、複数ルートの組み合わせを決定し、各融通装置に通達し実行させる必要がある。
電力網と通信網の複合した概念については、特許文献9に家庭やビル内における電力線と通信回路の融合した例が示されているものの、これはコンセントを使ったインターネット回線の概念であり、電力融通制御に関する概念は含まれていない。
以上のことから、再生可能エネルギーを大量導入するためには、個々の電力系統の中で再生可能エネルギーと他の電源・負荷および電力貯蔵装置等の電力機器の需給をバランスさせて自立させ、過不足が生じる部分について、基幹電力系統も含め、他の電力系統と非同期に接続して電力を融通し合える効率的な連系装置を開発する必要があり、さらにそれら電力機器の制御、全体をコントロールする効率的で柔軟な制御システム、その通信基盤となる通信システム、最適な電力融通アルゴリズムの開発等の課題を解決し総合的な電力システムを構築する必要がある。
本実施例は、請求項1に係る発明の実施例について説明する。
図1は、多端子型電力変換装置1の構造を図示したものである。多端子型電力変換装置には遮断器8、断路器9、自励式電力変換器10で構成されるA入出力端子201と遮断器8、断路器9で構成されるB入出力端子202がある。まず、図1では電力線搬送通信端局13を使用した例を示しているが、外部データネットワークを使用する場合は不要となる。電圧・電流・電力測定器16は、電圧・電流により電力を計算するタイプのものと専用の電力測定器を設置するタイプのものとある。また、同測定器16は直流母線に設置するものと、交流側に設置するものとがあり、それぞれタイプが異なる。この測定値は電力の取引にも使用することが可能である。さらに、取引用に別途専用の電力計を用意することも可能である。この電力の記録は専用の記録装置161に保存され、電力取引に使用される。
図1では、共通母線が直流のものを例示しているが、共通母線を交流にする場合もある。マトリックスコンバーターやトライアック等の電力変換回路を用いる形態もある。直流電圧安定化用キャパシター17は並列型共通母線18が直流の場合に使用される。
図1のA入出力端子201の構成は、回路を切断できる機械式断路器9と、必要な遮断容量を持つ遮断器8と、自励式双方向電力変換器10からなり、B入出力端子202の構成は、回路を切断できる機械式断路器9と、必要な遮断容量を持つ遮断器8とだけでなる。多端子型電力変換装置1にはA・B入出力端子の両方があるものと、A入出力端子だけのものと、B入出力端子だけのものの3種類がある。
A入出力端子のうち、少なくとも一つが、その多端子型電力変換装置の設置されている電力系統に接続され、その電力系統の電力を直流に順変換したのち、残りのA入出力端子が接続先の電力系統の電圧・位相・周波数に同期させて電力を逆変換して送出したり、あるいは逆に複数のA入出力端子が電力を順変換して、その電力系統に逆変換して電力を送り込んだりできる。A入出力端子間での流入する電力と送出する電力の総和がゼロとなるよう制御することを特徴としている。
共通直流母線18に、電力貯蔵装置や二次電池を接続することは可能である。このときは、直流母線の入出力電力総和ゼロ制御に、電力貯蔵装置や二次電池の充放電制御を組み込めばよい。電力貯蔵装置や二次電池をA入出力端子の接続先側に置き、A入出力端子の変換器制御で充放電を行くこともできる。
B入出力端子は、連系電線路を介して接続される先の電力系統に設置される、別の多端子型電力変換装置のA入出力端子と対をなす入出力端子である。
一つの多端子型電力変換装置のA入出力端子を複数、自系統に接続すれば自系統が授受する電力容量を増大することができる。
複数の多端子型電力変換装置のA入出力端子をひとつずつ、自系統に接続すれば、自系統が授受する電力容量を増大するとともに接続先電力系統もの増やすことができる。
A入出力端子の自励式電力変換器の順変換側は直流母線で並列接続され、電圧維持のためのコンデンサーを有しており、同電力変換器の逆変換側は接続先が交流電力系統の場合は交流リアクトルもしくは交流変圧器と必要な交流フィルターを有し、接続先が直流電力系統の場合は平滑用コンデンサーを有する。
図1に示すように電力制御システムとして、各A入出力端子の直流電圧・交流電圧・有効電力・無効電力・電流・位相同期・PWMゲート制御からなる端子制御システムと、起動・停止・各入出力端子受送電電力設定ならびに全電力協調制御からなる共通制御システムと、からなる電力制御システムを具備することができる。
多端子型電力変換装置1の各端子は容量の異同を問わない。同一容量であればより制御定数など統一でき、電力分配の制約もないため効率的である。電力の送受については全端子に等しく電力を分配したり、異なる電力を配分したり、連系電線路の使用状況を見ながらタイムシェアリングして間欠的に送ることもできる。
電力取引システムとして、各A入出力端子の電力計16の値と電力融通プロファイルデータとを電力量の取引に使用できるように記録する電力取引用記録装置161を具備することができる。電力量計は、後述するソフトウェアで電力変換器を動作させて、随時自動校正を行うことができる構造となっている。電力量の計測には、制御用に使用する電圧・電流測定デバイスを流用したり、そのデータを用いて計算することもできる。
このように電力変換器を組み合わせ、直流電圧を維持するユニットと電力を制御するユニットを組み合わせ、すべての電力の出入りを、システム内に設置する中央演算処理装置によって統括制御することにより、複数の電力系統に対し、電力を融通分配する多端子型電力変換システムが構築できる。
図2(A)は、事故時保護システムを例示している。以下のようなものを持ち、必要最小限の回路の遮断を行うことによって、最大限の電力融通ルートを確保する電力融通ルート保護回路を具備することが可能である。
図2(A−1)入出力端子過電流保護回路:各入出力端子において個々の設定電流以上に電流が流れた時に、A入出力端子においてはゲートブロックと遮断器開操作、B入出力端子においては遮断器開操作を行う入出力端子保護回路。
図2(A−2)直流母線保護回路:各A入出力端子の直流部に直流電流計を設置し全端子電流総和がゼロでなくなった時に、時限を以て全電力変換器のゲートブロックを行う電力変換器直流母線保護回路。
図2(A−3)多端子型電力変換装置保護回路:電力系統の接続する各入出力端子受電部に電力計を設置し全端子電力総和がゼロでなくなった時に、時限を以て入出力端子全遮断器を開操作する多端子型電力変換装置保護回路。
図2(B−1)、図2(B−2)は、事故時の入出力端子切り替えを例示している。図2(B−1)のように1番上の端子から2番目の端子に電力融通を行っているとき、図2(B−2)のように、一番上の端子が、過電流などを含む事故を起こした時、速やかにこの回路の電力変換器のゲートブロックをかけて電力を停止し、4番目の端子から2番目の端子に電力を供給するように切り替えることができる。さらに、事故のあった入出力端子だけを遮断器8や断路器9で切り離し、他の入出力端子で電力融通を継続することが可能である。事故のあった入出力端子も、復旧次第、運転再開が可能なシステムとなっている。ゲートブロックだけで異常が復旧する場合には、不要な遮断を行わずに初期状態に戻すことが可能である。
図2(A−4)に示すように、制御方法は、入出力端子から流入する電力と流出する電力の総和がゼロになるようにする。これには、直流電圧維持ユニットを除くほかのユニットが、要求を受けた電力を入出力し、電力の過不足部分を直流電圧維持ユニットが補う方式がもっとも一般的である。
また、後述するように電力貯蔵装置を直流母線に接続する場合は、すべてのユニットが要求を受けた電力を入出力し、電力の過不足部分を電力貯蔵装置が補いつつ、直流電圧も維持する制御方式とすることができる。
図3に示すように、機器操作システムとして、入出力端子同期投入時に断路器9を閉じ操作し、接続先の電圧・周波数・位相を測定し、接続先が電圧を有するとき(自立)は、電力変換器10の電圧・周波数・位相を同期させてから遮断器8を閉じる並列同期投入操作(系統連系運転モード)を行い(図3(A))、接続先が無電圧の時には、接続先定格に準拠した電圧・周波数を前記電力変換器10で作成してから、遮断器8を閉じ、接続先に電源を供給する自立運転投入操作回路(自立運転モード)を行う(図3(B))機器操作システムを具備することができる。
本実施例では、請求項2に係る発明の実施例について説明する。
まず図4に基づいて、本発明の通信システムの構成を説明する。多端子型電力変換装置のA入出力端子、B入出力端子に設置され通信端局(データターミナルエンド:DTE)は、電力に関わる情報を取得し、CPUに伝えるとともに、外部データ通信路もしくは電力線搬送通信路をデータ通信路として外部との信号の授受をおこなう。外部データ通信路としてはて、光ケーブル・LANケーブル・メタルケーブル・無線・同軸ケーブルを使用することが可能である。
図4は、多端子型電力変換装置本体とその入出力端子に通信用アドレスを与えてWANを構成し、電力系統内の電気機器の出力を制御するために付加される電力機器制御端末装置にも通信用アドレスを与えてLANを構成し、その両者を接続し、通信を統合するシステムを例示している。これによって、異電力系統電力機器間や、複数電力系統間での通信が可能になり、多端子型電力変換装置の入出力端子に電力融通に関する制御指示を与えることが可能になる電力システムが構築できる。
WANの中に、入出力端子固有のMACアドレス、割り当てられたIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを記述したアドレステーブルを保有するアドレスサーバーを置き、LANの中に、電力機器制御端末装置固有のMACアドレス、割り当てられたIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイを記述したアドレステーブルを保有するアドレスサーバーを置けば、TCP/IP通信プロトコルを使用して、多端子型非同期連系装置入出力端子および電力機器制御端末装置の間で通信することを特徴とする電力ネットワークシステムが構築できる。
通信路として電力線搬送通信を用いる場合、連系電線路や電力ケーブルを通信信号の伝送路としてWAN/LANが構築されるので、これにより、通信が可能なルートが電力を送れるルートと物理的に一致する。電線路が断線したり、関連設備を停止したりすると、通信回路も解放されたり停止したりするので、その回路に通信信号は流れない。これにより、複雑な状態確認などなしに、電力システムの最新状態が把握できる。66kV系の送電線では、すでに192kbpsのデジタル式電力線搬送が実用化されている。後述する電力融通信号の情報量は、すべての交信に数キロビット程度しか必要ないため、上記帯域は十分な速度といえる。
多端子型電力変換装置は、インターネットのルーターのように、多端子型電力変換システム相互に情報を交換し、隣接する多端子型電力変換システムやその入出力端子のアドレスを常に把握することができ、必要な電力をバケツリレーのように電力変換しながら遠方の電力系統に送っていくことができ、そのために必要なルーティング情報を常に把握しておくことができる。
これは、従来の電力融通のメカニズムが、中央給電指令所のような共通のセンターにすべての情報を集め、そこからすべての指令が出てくる方式に比べると、分散制御方式とでもいうべきもので大きく異なる概念であり、本発明はそれを実現する具体的手段を提案している。
また、本発明の多端子型電力変換システムは、変電所構内の一区画に隣接して配置されるものとなり、その制御に必要な情報は中央演算処理装置により電力用半導体素子のゲート制御を行い、記憶装置により電力変換関連情報と取引関連情報を関連付けてデジタル記録することを特徴としている。
本実施例では、請求項3に係る発明の実施例について説明する。
図5は、図1で表現した電力変換回路の単純図示化を説明したものである。黒字の三角形でAC/DC変換回路を表す。三角形の頂部がDC側を表し、三角形の底辺がAC側を表す。
図6(A)は、4端子の多端子型電力変換装置を示しているが、端子数はこれに限るものではない。
図6(A)では、4端子のうちの任意の2端子を接続するすべての箇所に遮断器と断路器のバイパス回路を設置した例を示しているが、バイパス回路の形態はこれに限るものではない。
本実施例では請求項4に係る発明の実施例について説明する。
図6(B)に、多端子型電力変換装置において、共通母線が直流である場合、電力貯蔵装置を共通母線に直結した例図6(B−1)と、電力貯蔵装置をDC/DCコンバータを経由して接続した例図6(B−2)について示している。
これらにより共通母線に必要な電力を供給したり、過剰な電力を吸収したりすることができる。
多端子型電力変換器装置は、次のような制御方式を用いることができる。電力貯蔵装置を持たない場合は、入出力端子のいずれかが、共通直流母線の直流電圧維持を行い、他の端子が有効電力制御を行い、総和に過不足名生ずる部分を、直流電圧維持を行っている入出力端子が補う方法が一般的である。
電力貯蔵装置を共通母線に接続する場合、直流電圧維持が電力貯蔵装置によって行われるので、すべての入出力端子が有効電力制御を行うことができる。過不足が生じた部分は電力貯蔵装置が補うことになる。
この場合、電力貯蔵装置の充電量を正確に把握しておかないと過充電・過放電が起こる可能性があるため、充電量測定システムが重要になる。
電力貯蔵装置が二次電池である場合、電池の充電量(SOC)の変化により直流電圧が変化するものが多い。この場合、直流共通母線に接続するには(B−2)のケースとして直流母線の電圧を維持する必要がある。
電力貯蔵装置が二次電池である場合、電池の充電量(SOC)の変化により直流電圧があまり変化しないものもある。この場合、直流共通母線に接続するには(B−1)のケースとして直流母線に直結させることができる。
本実施例では請求項5に係る発明の実施例について説明する。
図7は、多端子型電力変換装置において、各ユニットが引き出し可能なキャビネットに内蔵され、複数のキャビネットが一つのキュービクルに内蔵された構造を持ち、キャビネットを引き出すことによってユニットの入出力端子と共通母線端子が、キュービクル内の入出力端子側接続部と共通母線接続部から切り離すことができる例を示している。このような構造を規格化して、プラグアンドプレイのような脱着認識を行うことができるようにすることにより、電力機器のアドホックな拡張が可能になり、保守活動の容易さを生みだすことを可能にする電力システムを提供できる。
図7では、上から4番目の入出力端子が多端子型電力変換装置1から引き出されている状態を示す。
各入出力端子や電力貯蔵装置ユニットは、差し込み端子で共通母線に接続されている。この構造は、電力系統のメタルクラッドスイッチギアなどで通常使われているものと同じである。
引き出すにあたって、電力変換素子をゲートブロックし、遮断器を開操作して、断路器を開き、電気的衝撃が発生しない状態となってから引き出し可能となるようなインターロック構造が組み込まれている。
断路器は、引き出すことで断路することを兼ねる構造としてもよい。遮断器はゲートブロックで代用することも可能であり、その場合図中の断路器9と遮断器8は不要とすることもできる。
電力貯蔵装置の回路も同様に引き出し可能とすることができる。この場合、コンデンサーなどの付属部品が充電されていることがあるため、無電圧を確認して引き出し可能となるインターロック機構が組み込まれている。
本実施例では請求項6に係る発明の実施例について説明する。
図8は、本発明の多端子型電力変換装置が、当該装置の入出力端子を複数の電力系統に接続して電力融通を行う様子を図示したものである。図8では、5つの電力系統にすべての組み合わせルートを介して接続する図となっているが、すべてが必要であるわけでもなく、ルート一つに対して電力変換素子が一組である必要もない。
図8では、電力変換器のあるA入出力端子201と電力変換器のないB入出力端子202が、対になっているが、これも必ずしもその必要性はない。
電力変換器は系統連係運転も自立運転も可能であるので、このような電力システムにおいて、いずれかの電力系統が全停電に陥った時に、復旧用の電圧源として提供することができる。電力系統内の電源をこの電圧源に系統連系させる形で復旧を進めていくことで事故復旧が容易になる。この際の電源ルートは、本電力システムにおいては複数あるので、事故時の復旧操作に有利である。
何らかの理由により電力系統が、他の電力系統と分離された時、その電力系統の発電と消費がほぼ等しいと、その電力系統が単独で運転継続する単独運転という現象が起きる可能性がある。仮に単独運転になった時でも、後述する時刻同期用電気波形を常時検出していれば、それが検出できなくなったときを持って単独運転になったと判断することが可能である。
これは上流から下流へ電力を流す同期系統の際に上流が停電しているのにもかかわらず、下流に電圧があって、作業員が気付かずに感電する事故があることから問題になる現象である。
本発明が提案する電力システムでは、電力供給ルートが複数あるので、単独運転になりにくく、各電力系統が同期していなくても電力を融通できる非同期連系となっているので、上流にも下流にも電圧がある。作業安全は無電圧確認という原則で実施すればよい。
本実施例では請求項7に係る発明の実施例について説明する。
図9は、偶数回線数を持ち並列に運用されている送電線の各回線に対し多端子型電力変換装置の入出力端子が独立に接続し、回線ごとに独立の電力融通運用を行う例を示したものである。
通常の同期系統における送電線で、6,000ボルトを超える特別高圧系では、2回線で送電されているのが一般的である。送電鉄塔の両側に1回線ずつ設置されて同じ目的地まで敷設されている。送電線の容量を100%とすると、両回線とも50%ずつ負担する並列運用がなされている。しかし、定格容量は、事故時などに片回線のみになった時を想定して、それぞれ100%容量となっている。従って通常送電線利用率は50%以下になる。
図9(A)は、A、B、Cの三つの電力系統に電力を送電している例を示している。この例では、簡単のためにAからCに100%の電力が送電され、2回線ある送電線はともに50%で並列運用されている例になっている。
図9(B)は、本発明の電力システムにおける送電線各回線の独立運用の事例である。送電線2回線のうち上部に描かれているルートは、電力系統Aから電力系統Cへ100%容量で電力を送電することが可能になっている。送電線2回線のうち下部に描かれているルートは、まず電力系統Aから電力系統Bへ100%容量で電力を送電することが可能になっている。電力系統Bから電力系統Cに対してもやはり100%容量で電力を送電することが可能になっている。各電力変換器はその送電容量に見合った定格となっている。
仮に、電力系統Aからそれぞれの送電ルートに100%ずつ送電しているとした場合に、上部ルートが停止した場合、電力系統Cが電力不足となるが、電力系統Bが出力を増加させて電力系統Cへのルートで100%をバックアップすることができる。
同様に、仮に、下部ルートが停止した場合、電力系統Bが電力不足となるが、電力系統Cが出力を増加させて電力系統Bへのルートで100%をバックアップすることができる。
いずれの場合も、バックアップする電力系統の負担は大きいが、二次電池などの普及により短時間のバックアップは現行技術でも十分可能である。この方法は送電線の増強に比べて、可能性が高い。
図10は、4回線の送電線の場合を図示したものである。送電線の両側に6本ずつ電線が通っているものが、この例である。通常は、2回線ずつ行き先が異なることが多いが、そのうち共通のルートを通っている部分について図示したものである。
図10では、電力系統Aから4回戦の送電ルートが電力系統B、C、D、E、Fを経由して行く例を示した。この例では、回線が各送電鉄塔から、各電力系統に引き込まれるところで直接接続しているところを切り離しもしくは遮断器9を設置して開放運用しており、送電線の両端を多端子型電力変換装置に引き込んでいる。多端子型電力変換装置の中では、入出力端子毎に非同期に独立運用がなされている。
回線1では、図10から明らかなように電力系統A−B間、電力系統B−C間、電力系統C−D間、電力系統D−E間、電力系統E−F間、電力系統F−回線1の接続先の電力系統間、の電力融通ルートができたことになる。
回線2では、図10から明らかなように電力系統A−C間、電力系統C−E間、電力系統E−回線2の接続先の電力系統間、の電力融通ルートができたことになる。
回線3では、図10から明らかなように電力系統A−D間、電力系統D−回線3の接続先の電力系統間、の電力融通ルートができたことになる。
回線4では、図10から明らかなように電力系統A−F間、電力系統F−回線4の接続先の電力系統間、の電力融通ルートができたことになる。
電力融通ルートの作り方は、上記の例に限ったものではなく、ケースバイケースによって検討されるべきものである。
これにより作られた電力融通ルートは、非同期連系であるため、任意の大きさの有効電力・無効電力を送ることも受けることもできるルートとなり、電力系統にその余力があれば、送電線の定格容量一杯まで使うことができる。
事故時の変動は、電力変換器の高速なゲートブロックにより、電力系統に与える影響を少なくすることができる。電力の過不足については、電力貯蔵装置などのバックアップが必要となる場合もあるが、送電線の増強より容易な設備投資となる。
このような工夫で得られた電力融通ルートは、図8の電力融通ルートに類似の電力ネットワークを構成する。
本実施例では請求項8に係る発明の実施例について説明する。
この中で、重畳型電力送電、タイムシェアリング送電、複数ルート送電、電力圧縮融通、仮想取引融通の5つの電力融通方法を可能にする電力システムについて考案している。
図11は、多端子型電力変換装置を送電線の変電所引き込み部のそれぞれに設置し、装置間相互に情報通信を行い、同じ送電回線を使用して、複数変電所に異なる電力を同時に送電する重畳型電力送電について説明している。電力系統1、2、3があり、その間にそれぞれ変換器12と変換器23がある。変換器12が単位時間当たりW1とW2の電力を電力系統2に対して送り出し、同じタイミングで変換器23が単位時間当たりW2の電力を電力系統2から電力系統3に向かって送りこむと、電力系統2には差し引きW1の電力が送りこまれたことになる。変換器12と変換器23に、それぞれW1+W2とW2の電力を送りこむよう指示した行き先情報ヘッダーが信号として送られることにより、このような電力融通が可能となる。
図12は、異なる変電所に異なる電力を時間的に分割して送るタイムシェアリング送電について説明している。図8と同様の電力系統と電力変換器を有しているが、変換器12にはまず、単位時間当たりW1の電力を送り出すよう指示した行き先情報ヘッダーが来て、W1を電力系統2に送りだす。このとき変換器23は稼働していないので電力系統3には電力は融通されていない。次いで、電力系統3に単位時間当たりW2の電力を送る行き先情報ヘッダーが変換器12と変換器23の両方に指示を与え、両方の変換器を同時にW2の大きさで稼働させる。これにより電力系統1から電力系統3にW2が送られる。このとき電力系統2は電力が通過するだけである。このようにして、時間を区切って電力を異なる目的に融通することができる。
この方式の利点は、変換器の最大出力で電力を異なる目的地に時間を区切って送れるところにある。これは、通信で言うところのパケットの概念に類似しており、パケット電力ということができる。変換器の最大出力で一定時間の電力量を一単位として取り扱うことができる。これをデジタル電力と呼ぶこともできる。
図13は、複数の異なる送電回路を使用して一つの変電所に異なる電力を同時に送る複数ルート送電について説明している。図11、12と同様に電力系統1、2、3の間に電力変換器12と電力変換器23があるが、それに加えて電力系統1と3との間にも送電ルートがありその間に変換器13がある。この例では、電力変換器12と23の両方にW1の電力を送るよう情報を与え、同時に変換器13には、W2の電力を送るように情報を与える。これらにより、電力系統3には、W1+W2の電力が電力系統1から異なるルートを経由して送られる。
図14は、逆方向の電力送電要求を組み合わせて送電量を圧縮もしくは相殺することで電力変換及び送電ロスを減少させる電力圧縮融通について説明している。図の例では、#1から#4の電力系統に#5を経由してW1(kW)が送られ、#7から#1の電力系統に#5を経由してW1(kW)が送られている。この場合、図から明らかなように#1と#5の間では、W1と−W1の電力が流れることになり、これは相殺されるので#1と#5の電力変換器は稼働しなくてもよいことになる。これにより、電力変換ロスと送電ロスが軽減される。
このような電力融通計画を積極的に組み合わせることによりロスを最小化することができる。各電力系統に電力貯蔵装置があれば、時間をずらしたり出力の大きさを合わせたりして調整することができる。電力エネルギーに、発電ソースのような情報が付加されることにより、このような逆方向の電力取引が発生する場合がある。ある電力系統で、風力発電の電力を必要とし、風力発電を有する電力系統が逆に安価な化石燃料由来の電力を必要とする例など、これに限らず逆方向の取引が発生する場合がある。
図15は、電力貯蔵装置を使った場合の、送電線がつながっていない電力系統間での電力の仮想取引融通について説明している。
図15では電力系統Aと電力系統Bがあり、連系線が接続されていない。電力系統Aは太陽光発電PVのみを持ち、電力系統Bはディーゼル発電DGのみを持つ。それぞれに設置された、電力貯蔵装置(A)と電力貯蔵装置(B)の中の電力貯蔵量が、t0からt2の順番で行われる仮想的電力取引により、電力系統Aの顧客にDG電力を、電力系統Bの顧客にPV電力を販売できる例について説明する。
時刻t0において、電力貯蔵装置AとBはそれぞれPV由来の電力と、DG由来の電力で充電されている。
時刻t1で、電力貯蔵装置間でDGとPVを同量仮想交換する。この取引は債券のような形や、手形や証書や現金決済などの手段を伴うことが望ましい。
時刻t2で、電力系統A内ではDG電力を、電力系統B内ではPV電力を販売することができる。これにより実際に電力が送電されなくても、仮想取引融通を行うことができる。
時刻t1で、DGとPVを同量取引する場合、電力量として同量とする考え方もあれば、金額として同額とする考え方もある。また、同量とせずに差分を別な形で取引することもできる。債権を先物取引したり、デリバティブ商品を作ったりすることもできる。
図16は、両電力系統ともPVとDGと電力貯蔵を持っている場合の仮想取引融通について説明する。
時刻t2までは、上述と同じである。時刻t3では、それぞれDGとPVを持っているのでそれを発電して其々の電力貯蔵装置を充電する。時刻t4で電力系統AのDGと電力系統BのPVを再度仮想交換すれば、時刻t0の状態と同じに戻り、かつそれぞれの顧客に異なる系統の電気を販売することができる。
本実施例では請求項9に係る発明の実施例について説明する。
はじめに、従来型の交流同期系統での電力融通と、本発明の基本原理である電力変換による電力融通との差異について説明する。
図17(A)が従来型の交流同期系統で4つの電力系統(ノード20と呼ぶ)を6つの連系電線路(リンク21と呼ぶ)で結んだものである。連系電線路には線路インダクタンスLのリアクトル成分19がある。図17(B)は、本発明の交流非同期系統で、同様に4つのノードを、多端子型非同期連系装置のA入出力端子とB入出力端子を介して6つのリンクで結んだものである。簡単のために図中には交流フィルターや接続用リアクトルもしくは変圧器を省略してある。
図17(A)の回路網の初期状態は、電圧V、位相0、周波数ω/2πで同期している。この状態からノードcに電力を送るためには、ノードcの電圧を下げるか、位相をθだけ遅らすか、いずれかの方法をとる。通常電圧を下げると、その電力系統内の電力機器に悪影響が出るので位相を遅らす方法をとる。ノードcの位相をθだけ遅らせると、隣接するa、b、dすべてのノードとの間に位相差θが生じる。これにより流れる電流はIdc、Iac、Ibcとなり、これらは同じ大きさの電流となる。電圧が同じなので流入する電力も同じになる。すなわち電力を3つのノードから受け取ることになる。これは、位相を変えずに電圧Vを変えても同じことである。すなわち、交流同期系統では、一つのノードが電力授受を行う際に、必ず隣接するノードに影響を与えてしまうことがわかる。
図17(B)の回路網の初期状態は、電圧Vの大きさは4つのノード間で等しいが、周波数はそれぞれ、ωa/2π、ωb/2π、ωc/2π、ωd/2πと異なっており、同期していない。最初はすべての双方向電力変換器10が停止している状態(黒色の三角形の状態)とする。この状態から、ノードcに電力を送るために、ここではノードaに接続している電力変換器とノードcに接続している電力変換器を動作(白抜きの三角形の状態)させる。これで、図示されているように、ノードaとノードcを結ぶ電力変換器だけが運転しており、他の電力変換器はすべて停止している状態となる。従って、リンクacの間でだけ電力が融通され、他のノードbとノードdは全く影響を受けない。
このときの電圧・電流ベクトルの状態を、図18(A)と(B)にそれぞれ図示した。
図18(A)は、図17(A)に対応した交流同期系統の場合である。ノードa、b、c、dが同じ電圧Vであり、ノードcについてのみ位相をθだけ遅らした時のベクトル図を示している。このとき、リンクac、bc、dc間の線路リアクトル(L)の両端に電圧差ΔVが発生し、ΔV/ωLの大きさの電流I(=Iac=Ibc=Idc)が、ΔVの位相に90度遅れて流れる。図18(A)では、各ベクトルの電圧Vが等しいので、電圧ベクトルの作る三角形は二等辺三角形になり、電流位相はθ/2になる。
I=ΔV/jωL=(V−V・ejθ)/jωL
となり、ノードcに流入する複素電力は、ノードa、b、dの3方向から同じ大きさのIが流れ込むので以下の通りとなる。
P+jQ=V・3・I* (ただし、I*はIの共役複素数)
=V・3・V(1−e-jθ)/(−jωL)
=3・(V2/ωL)・j(e-jθ−1)
=3・(V2/ωL)・sinθ+j・3・(V2/ωL)・(cosθ−1)
一方、図18(B)は、図17(B)に対応した交流非同期系統の場合である。ノードaの電力は電力変換器で直流に順変換される。ついでノードcの周波数ωc/2πに同期した交流Vinvに逆変換される。ノードcの複素電圧Vcの大きさをVとし、位相を0としたとき、電力変換器に与えるPWM信号により、複素電圧Vinvは任意の値をとることができる。Vinvの大きさをVxとし、Vcとの位相差をφとしてVcと同期させれば、VinvとVcの間にある変圧器またはリアクトルのリアクタンスの大きさをLとすると、その両端にΔVの電圧差が発生する。すなわち、Vinv=Vx・e(jωct+φ)、Vc=V・ejωct、ΔV=Vc−Vinvとすれば、
リアクトルLを流れる電流Iは、
I=ΔV/jωL=(V−Vx・ejφ)/jωL
また、授受できる電力は、
P+jQ=V・I*
=V・(V−Vx・ejφ)/(−jωL)
=V・Vx・sinφ/ωL+j・(V2−V・Vx・cosφ)/ωL
となる。
以上により、複素電圧Vinvの電圧の大きさVxと、VinvとVcとの位相差φが、任意に作れるので、有効電力と無効電力の授受の大きさ・方向が任意に設計できる。
一般的な同期系統では、発電機が作り出す有効電力と無効電力とには一定の関係があり、お互いに独立して作り出すことはできない。従って、発電機で有効電力を作り周波数を調整するのとは別に、系統にコンデンサー設備を入れて無効電力を作り出すことにより電圧調整を行っている。それに対し、本発明の多端子型電力変換装置は一つの入出力端子で、有効電力と無効電力の両方を任意の大きさで同時に供給できる。
本実施例では請求項10に係る発明の実施例について説明する。
図8を使って説明する。既存の電気系統が図のように#1から#5の電力系統に細分化されている例と考えた場合、その連系部分の多端子型電力変換装置は図8に示すような接続になる。仮に#2電力系統に事故が起こり、停電した場合、#1電力系統は、#1と#2電力系統を接続している電力変換器が、高速に停電を検出して#2電力系統側の電力変換器を停止する。これにより#1電力系統側の電力変換器と#1から#3、#4、#5電力系統に接続している電力変換器も運転継続できる。
#2電力系統が、事故を起こした場合に、#3、#4、#5電力系統は、#2電力系統側に設置された多端子型電力変換装置が高速に停止するため、事故の影響をほとんど受けなくて済む。#2電力系統を経由して他の系統に融通されていた電力は、速やかに他のルートを使った融通に変更される。
本実施例では請求項11、12、13にかかわる実施例について説明する。
これらの発明は、複数の電力系統間に配置された複数の電力変換器において、電力変換器が作り出した電力線路上を伝搬する時刻同期用電気波形と、その電気波形の持つ意味を伝送する時刻同期用電子情報との両者を組み合わせることにより複数電力変換器間の時刻同期をとることを特徴とする時刻同期情報伝達ネットワークシステムである。
この発明により、電力線上に現れる電気波形の持つ比較的少ない情報と、その意味を説明する多量の電子情報とを組み合わせて、複数の電力変換器を同時に同じ大きさで動作させたり、停止させたり、途中で大きさを変更させたりすることが可能になる。
図19は電力系統1、2、3の間で、変換器12と変換器23を同じタイミングで同じ大きさで駆動させることにより、電力系統2には電力を送りこまずに、あるいは電力を受け取らずに、電力系統1から電力系統3に電力を送ることができることを示している。これを時刻同期させるという。
このように、電圧波形に乗せられる情報量は限られているので、少ない情報の持つ意味を、別の外部データ通信路を経由して、あらかじめ送信しておくことにより電力変換器の動作準備を行っておく方法が考えられる。これが本発明の言うところの時刻同期用電気波形と時刻同期用電子情報の組み合わせで時刻同期をとる方法である。
図19では、電圧波形に信号を乗せているが、電圧波形のピークはノイズが多いので、信号を乗せるタイミングを電圧がゼロになるゼロクロスにすることもできる。また、電圧波形に電力線搬送通信信号を乗せることもできる。電圧波形に信号を乗せる代わりに、電流波形に信号をのせることもできる。信号を電力変換器そのものに信号を作らせることもできる。
時刻同期用電気波形は一つとは限らず、いくつかの電気波形の組み合わせとしてそれに意味を持たせることもできる。組み合わせを使えば、時刻同期用電気波形だけで時刻同期をとることもできる。たとえば2つ以上の電気波形を用いて駆動開始の一定サイクル前に予告信号を発生させて準備を行うことや、間隔をあけるサイクル数を変化させてカウントダウン信号とすることによって駆動開始のタイミングを合わせることなどができる。
また、時刻同期用電子情報として、GPS時刻情報を使用したり、電波時計信号を使ったりして、多端子型電力連系装置の時計を同期させて、時刻同期を図る方法もある。この場合時刻同期用電気波形は不要となる。
請求項11に係る発明では、電力変換器が作り出した電力線路上を伝搬する時刻同期用電気波形と、その電気波形の持つ意味を伝送する時刻同期用電子情報との両者を組み合わせることにより複数電力変換器間の時刻同期をとることを特徴としており、以下のような手順で時刻同期をとることができる。
たとえば、送電元の電力変換器において独特の電圧波形、電流波形、有効電力波形、無効電力波形、これらの大きさの変化、位相の変化、位相ベクトルの変化、空間ベクトル軌跡の変化、およびそれらを組み合わせた開始・終了予告信号やスタート・ストップ信号(これらを総称して電気波形プロファイルと呼ぶ)を作って電力回路に送りこむことを、あらかじめ別の情報ルートにより同期させる電力変換器に情報として伝えておく。
情報を受け取った電力変換器は、これらの電気波形プロファイルを、時刻同期用電気波形として速やかに検出できるように検出回路構成やソフトウェア設定を行い、それによって電力変換を同期させる準備を行う。
予定された時刻付近で電力線路にあらかじめ伝えられた予告信号の電気波形プロファイルが検出されると、電力変換器は電力変換に必要な準備を開始し、予告信号からあらかじめ定めた回数の電圧のゼロクロッシングサイクル後に電力変換を開始するなどの方法で複数の電力変換器の時刻同期をとることができる。
また、確認のためにあらかじめ時刻同期用電子情報で定めた直前信号を検出したら、その検出確認直後に電力変換を開始するなどのアルゴリズムを持つこともできる。
電力変換中に、あらかじめ時刻同期用電子情報で定めた電気波形プロファイルを送出して、電力変換の大きさをあらかじめ定めた出力変化率に基づいて増減することもできる。
電力変換の停止に当たっても、電力変換中にあらかじめあらかじめ時刻同期用電子情報で定めた電気波形プロファイルを検出したら、一定ゼロクロッシングサイクル後に一定変化率で電力変換の大きさを小さくしていき、停止信号の検出を持って停止することができる。
あらかじめ、どのような手続きと電気波形プロファイルを使用するかを、時刻同期用電子情報として伝送しておくことにより、電気波形プロファイルを単純なものとしてノイズの影響を小さくすることができる。
このように、光のスピードで伝達できるが情報量の少ない電気波形プロファイルと、別ルートで送る情報量の豊富な時刻同期用電子情報とを組み合わせることにより、離れた場所にある複数の電力変換器の時刻同期をとることが可能となる。電力線搬送通信(PLC)を用いる場合は、電気波形と情報が同一のルートを通過するので、ルートの物理的健全性の確認も併せて行うことができるメリットがある。
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の電力システムにおける時刻同期用電気波形が、電流波形を基本とするものであることを特徴とするものである。
BTB型電力変換器は、片方の電力変換器で交流を整流し、直流を作り、ついでもう片方の電力変換器で直流部電圧を、1秒間に数千から数万回オンオフしてその時間間隔を変化させることにより平均して正弦波電圧を作りだす。
この電圧と直列リアクトルを挟んで接続される電力系統との間で周波数を同期させ、若干の位相差を付けることにより、目的の電流を送り込んだり、引き込んだりすることができる。
電力変換器の出力回路にはリアクトルや平滑用のコンデンサーが使われていることが一般的であるので、前述した電圧波形、電流波形、有効電力波形、無効電力波形、これらの大きさの変化、位相ベクトルの変化、空間ベクトル軌跡の変化、およびそれらを組み合わせた開始・終了予告信号やスタート・ストップ信号等の電気波形プロファイルを電気回路に送りこむ場合、電気回路そのものの工夫が必要である場合が多い。しかし、電流波形は、リアクトルの平滑作用のために変化速度は遅くなるが、電力変換器のデジタルシグナルプロセッサーへの信号の工夫だけで実現することができ、特別な電気回路の工夫が不要であるため経済的な手法であるといえる。
電流波形を基本として電流の位相を測定してその位相シフトを検出する方法や3相電流の空間ベクトルの相対位相変化などを組み合わせることにより、より高速で情報量の比較的多い電気波形プロファイルとすることができる。
請求項13に係る発明は、請求項11に記載の電力システムにおいて、時刻同期用電子情報が、電力線路上を伝搬する電力線搬送通信信号であることを特徴とするものである。
時刻同期用電子情報が、時刻同期用電気波形が伝搬される電力線路と同じ線路の上を送信される電力線搬送方式を採用すると、電力線路の断線や接地など物理的障害により、電子情報が送れない場合は返信もないため、電力線路の不具合が容易に発見できる。
時刻同期用電子情報に限らず、時刻同期用電気波形として電力線搬送信号を使用し、電圧のゼロクロスのタイミングに挿入して時刻同期用電気波形プロファイルの代替とすることができる。
本実施例では請求項14、15に係る発明の実施例について説明する。
図20は電力取引を、記述した取引簿の例である。この中で実際の取引には、電力変換や送電に伴う電力損失が発生するため、それを記録する欄が設けられていることが特徴である。またこの取引簿は、仮想取引も記述できる。仮想取引の場合は、入力側と出力側双方に対記載を行うことが特徴であり、現金収入・支出の代わりに債権や手形、証書のような記録を行うことが特徴である。
このような記録方法をとることにより、あらゆるユーザーや事業者が、電力の売買に関して銀行通帳のような取引簿や複式簿記のような仕訳を通じ、電力の取引を記録し、他の電力取引と区別することができるようになる。
この記録は、取引日時、取引量、発電エネルギー源、発電事業者、貯蔵事業者、価格、電力損失、CO2価値、RPS価値、グリーン電力価値、など多彩な情報を有する電力として管理される。これにより情報と電力が融合し、電力を識別することができるようになる。
この記録は、第三者公的機関で認定され、取引され決済される。この第三者機関の役割は、金融における銀行のようなものとなる。
図21は、電力量の変化を、最小単位の電力融通パーツに分解した例である。
このパーツは、3種類あり、出力のみのパーツ、入力のみのパーツ、入出力を持ち損失を有するパーツ(融通パーツと呼ぶ)である。
図21では、電力系統1から、出力が出るところを、出力パーツで表し、変換器での損失を融通パーツで表し、送電線での損失を融通パーツで表し、電力系統2への入力を入力パーツで表している。
これらのパーツ表記により、ある電力融通ルートでの電力融通は、単純なパーツの和で表されるので、複数の電力融通が重なり合うケースにおける損失の分担もパーツに分離することで容易に表記できる。
本実施例では請求項16、17に係る発明の実施例について説明する。
まず、多端子型電力変換装置全体システムを制御するプログラムは、入出力端子、電力変換回路、制御回路、通信回路、計測回路、保護回路、記録回路及びさらに詳細な回路のドライバーソフトウェアを認識し、異なるハードウェアであっても多端子型電力変換装置の回路として機能させることができる。
また、複数の多端子型電力変換装置同士でも、連系協調して制御する必要があるため、本発明のプログラムは、連鎖停電事故防止のようなハード面から、電力取引のようなソフト面まで幅広い内容を取り扱う基本オペレーティングシステムを備えたものとなる。
さらに、共通の基本オペレーティングシステムを持つことにより、全体システムを同じ思想を持って制御できるようになる上、外部通信回線を通じて、全装置に対してソフトウェアのバージョンアップを行ったり、バグを修正したり、することが遠隔から分散型に処理できる。
これらにより、最低限のオペレーションプロトコルが一元管理できる基盤ができる。
多端子型電力変換装置用の基本オペレーティングシステムは、すべての装置に共通で搭載されるものとして開発される。
まず、これは、多数の多端子型電力変換装置が連系して協調動作する「電力システム」の共通のソフトウェアとなる。
また、適宜リモートバージョンアップすることにより経済性と利便性上の課題も解決するプログラムを提供するものとなる。
さらに、電力取引の基本となる、電力量計の校正と異常検出手続きは、基本オペレーティングシステムの根幹アルゴリズムとなる。
そのほか、電力損失最小化アルゴリズムも基本オペレーティングシステムの根幹となる。
請求項1に係る発明は、この課題を解決するためになされたものであって、双方向に電力変換する3以上の自励式電力変換器と、前記自励式電力変換器の一方の端子同士を並列に接続する共通母線と、前記各自励式電力変換器の他方の端子の電圧・電流を測定する電圧・電流測定器と、前記共通母線の電圧を測定する電圧測定器と、前記電圧・電流測定器および前記電圧測定器で測定された測定値に基づき電圧・電流・電力・周波数・位相を算出し、前記自励式電力変換器の1つが前記共通母線の電圧を維持し、かつ、他の前記自励式電力変換器が、前記自励式電力変換器の他方の端子が接続された接続先に対して任意の電力を送出又は流入する電力制御を行い、前記共通母線に流入する電力と前記共通母線から送出する電力との総和がゼロとなるよう複数の前記自励式電力変換器を協調して制御して、前記自励式電力変換器の他方の端子が接続された接続先間で非同期に電力融通するように前記自励式電力変換器を制御する電力制御システムとを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、多端子型電力変換装置であって、双方向に電力変換する3以上の自励式電力変換器と、前記自励式電力変換器の一方の端子同士を並列に接続する共通母線と、前記各自励式電力変換器の他方の端子の電圧・電流を測定する電圧・電流測定器と、前記共通母線の電圧を測定する電圧測定器と、前記共通母線に接続された電力貯蔵装置と、前記電圧・電流測定器および前記電圧測定器で測定された測定値に基づき電圧・電流・電力・周波数・位相を算出し、前記電力貯蔵装置に前記共通母線の電圧を維持させ、かつ、前記自励式電力変換器に前記自励式電力変換器の他方の端子が接続された接続先に対して任意の電力を送出又は流入する電力制御を行い、前記共通母線に流入する電力と前記共通母線から送出する電力との総和がゼロとなるよう前記電力貯蔵装置と複数の前記自励式電力変換器とを協調して制御して、前記自励式電力変換器の他方の端子が接続された接続先間で非同期に電力融通するように前記自励式電力変換器を制御する電力制御システムとを備えたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の多端子型電力変換装置において、前記電力貯蔵装置は、直流電力変換器を有し、前記直流電力変換器を介して前記共通母線に接続されることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の多端子型電力変換装置において、前記電力制御システムは、前記自励式電力変換器を前記接続先と周波数を同期するよう制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の多端子型電力変換装置において、前記電力制御システムは、前記電力制御システムに入力された前記自励式電力変換器毎の電力制御目標値に基づき、前記接続先に対して任意の電力を送出又は流入するように前記自励式電力変換器の制御を行うことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の多端子型電力変換装置において、前記電力制御システムは、前記接続先の電圧又は電流を維持するように前記自励式電力変換器の制御を行うことを特徴とする。
一実施形態に係る発明では、電力変換器が作り出した電力線路上を伝搬する時刻同期用電気波形と、その電気波形の持つ意味を伝送する時刻同期用電子情報との両者を組み合わせることにより複数電力変換器間の時刻同期をとることを特徴としており、以下のような手順で時刻同期をとることができる。