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JP2014118389A - グリセリンモノアクリレートの製造方法 - Google Patents

グリセリンモノアクリレートの製造方法 Download PDF

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大介 鹿野
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Abstract

【課題】アクリル酸とグリシドールとの付加反応において、グリシドールの重付加反応を抑制し、選択的にアクリル酸と反応させることで、グリセリンモノアクリレートを高純度で製造できる方法の提供。
【解決手段】アクリル酸とグリシドールとを反応させてグリセリンモノアクリレートを製造するに際して、対アニオンが水酸化物イオンであるアニオン交換樹脂をアクリル酸処理して得られた触媒の存在下で反応を行ない、且つ、反応開始時の反応液の水分を3%以下とすることを特徴とするグリセリンモノアクリレートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル酸とグリシドールとを反応させてグリセリンモノアクリレートを製造するグリセリンモノアクリレートの製造方法に関するものである。
ヒドロキシエチル(メタ) アクリレートに代表され、工業生産されている汎用の水酸基含有モノマーは、その水酸基の極性を活用することにより、樹脂に水溶性、密着性、分散性といった種々の物性を付与することができる。また、重合後の後修飾により、樹脂の物性を変化させる目的等でも利用されている。
そのような水酸基含有モノマーの中で、分子内に2つの水酸基を有するグリセリンモノ(メタ)アクリレートは、繊維改質剤、樹脂防曇剤、保湿剤、UV/EB硬化剤、塗料、顔料分散剤、電子写真用バインダー、コンタクトレンズ、歯科材料などとして有用であることが知られている。
特にグリセリンモノアクリレートは、アクリロイル基を有することから、同構造のメタクリル酸エステルと比較し、反応速度が速く、また、UV硬化させ易い。したがって、重合工程の省エネルギー化が図れるだけでなく、熱硬化系重合が主体のメタクリル酸エステルでは使用が困難であった電子機器などの熱に弱い精密部材への展開が期待できる。
グリセリンモノアクリレートの合成方法としては、工業生産されているグリセリンモノメタクリレートと同様に、(1)グリセリンとアクリル酸とのエステル化反応、(2)グリセリンと低級アクリル酸エステルとのエステル交換反応、(3)グリシジルアクリレートの水和反応、(4)グリシドールへのアクリル酸の付加反応が挙げられる。
しかしながら、グリセリンモノアクリレートを実際工業的に製造するにあたっては、(1)グリセリンとアクリル酸とのエステル化反応、あるいは(2)グリセリンと低級アクリル酸エステルとのエステル交換反応では、グリセリン分子中の1つの水酸基のみを選択的にエステル化することは極めて困難であり、通常、目的とするモノエステル体だけでなく、ジエステル体、トリエステル体の副生成物も有意な量で生成する。それら副生成物は、架橋成分として働くことから、重合時のゲル化を引き起こすため、ポリマーの物性制御が困難となる。
また(3)グリシジルアクリレートの水和反応では、エポキシ基の水和時に、エステル結合の加水分解を抑制する必要があることに加え、適切な触媒等の反応条件を選択しないと、設備の腐食や触媒残渣による製品の色相悪化が起こる。
一方、(4)グリシドールへのアクリル酸の付加反応では、例えば、特許文献1に記載のように、グリシドールの重付加反応が容易に起こるため、目的のグリセリンモノアクリレートを高純度で簡便に得ることが難しい。また、触媒としてピリジン、トリエチルアミン、第4級アンモニウム塩類といった有機塩基、あるいは炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムといった無機塩基などを使用するため、生成したグリセリンモノアクリレートを含む反応混合物からこれら触媒を除去する必要があるが、グリセリンモノアクリレートが水溶性の高い有機化合物であるため、油水の分液操作による抽出や洗浄による平易な精製が困難である。
そのため、特許文献2、あるいは特許文献3では、グリシドール重付加物ならびに触媒を含む反応粗生成物にカラムクロマトグラフィーあるいは超臨界液体での抽出といった精製処理を実施し、グリセリンモノアクリレートの純度向上を図っている。
一方、反応系から簡易に触媒を除去するために、不均一系の触媒としてイオン交換樹脂を使う反応がある。イオン交換樹脂の一種であるアニオン交換樹脂を用いた反応として、特許文献4には、環状構造を有するアンモニウム塩型のアニオン交換樹脂を触媒として使用して、メタクリル酸とグリシドールとの反応によるグリセリンモノメタクリレートを製造することが記載されている。
しかしながら、特許文献4においては、本発明で目的とするグリセリンモノアクリレートの合成例は記載されておらず、また、得られるグリセリンモノメタクリレートの純度は50〜60%であり、純度の点で改善の余地がある。
目的物の純度を上げるために、触媒となるアニオン交換樹脂を前処理する例としては、特許文献5に、反応基質であるフェノールで前処理したアニオン交換樹脂を用いたビスフェノールAの製造方法が開示されているが、本発明で目的とするグリセリンモノアクリレートの製造方法については開示されていない。
特開昭62−70341号公報 特開2001−294555号公報 特開2001−302587号公報 特開2008−88067号公報 特開2000−143565号公報
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、詳しくは、アクリル酸とグリシドールとの付加反応において、グリシドールの重付加反応を抑制し、選択的にアクリル酸と反応させることで、グリセリンモノアクリレートを高純度で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、アクリル酸処理を施したアニオン交換樹脂を触媒とし、且つ、反応開始時の反応液の水分を所定値以下に抑えることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、アクリル酸とグリシドールとを反応させてグリセリンモノアクリレートを製造するに際して、対アニオンが水酸化物イオンであるアニオン交換樹脂をアクリル酸処理して得られた触媒の存在下で反応を行ない、且つ、反応開始時の反応液の水分を3%以下とすることを特徴とするグリセリンモノアクリレートの製造方法である。
本発明では、アニオン交換樹脂における水酸化物イオンやハロゲン化物イオン等の対アニオンならびにアニオン交換樹脂が含有する水分といった、グリシドールと反応しうる求核種を除去して、触媒として利用することにより、グリシドールの重付加反応を抑制しつつ、選択的にアクリル酸とグリシドールを反応させることができる。また、反応後はアニオン交換樹脂を容易にろ別除去することにより、グリセリンモノアクリレートを高純度で製造できる。
本発明によれば、アクリル酸とグリシドールとの付加反応において、グリシドールの重付加反応を抑え、純度の高いグリセリンモノアクリレートを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明のグリセリンモノアクリレートの製造方法では、アクリル酸とグリシドールとの付加反応において、アクリル酸処理されたアニオン交換樹脂を触媒として用い、且つ、反応開始時の反応液の水分を3%以下に調整する。以下に各化合物、触媒、水分の調整、付加反応について説明する。
〔アクリル酸〕
アクリル酸としては、工業原料として入手可能なものを使用することができ、好ましくは純度が98質量%(以下、%は質量基準を表わす。)以上のものが使用される。
〔グリシドール〕
グリシドールとしては、工業原料として入手可能なものを使用することができ、好ましくは純度が95%以上のものが使用される。
〔アニオン交換樹脂〕
アクリル酸処理されるアニオン交換樹脂は、対アニオンが水酸化物イオンであるアニオン交換樹脂であり、例えば、強塩基性アニオン交換樹脂や中・弱塩基性アニオン交換樹脂が挙げられる。グリシドールの重付加反応を抑制する点では、求核性のあるアミノ基を有する中・弱塩基性アニオン交換樹脂よりも、アンモニウム塩型の強塩基性アニオン交換樹脂の方が好ましい。
市販の強塩基性アニオン交換樹脂としては、オルガノ株式会社製のアンバーライトシリーズ(IRA400J 、IRA402BL、IRA404J 、IRA900、IRA900J 、IRA904、IRA458RF、IRA958、IRA410J 、IRA411、IRA910CTなど)、アンバージェットシリーズ(4400、4002、4010など)、三菱化学株式会社製のダイヤイオンシリーズ(SA10A 、SA12A 、SA11A 、NSA100、SA20A 、SA21A 、PA408 、PA412 、PA418 など)、ダウケミカル製のダウエックスシリーズ(SBR-P C (OH)、MONOSPHERE 550A (OH)、MARATHON A、MARATHON MSAなど)などが挙げられる。
市販の中・弱塩基性アニオン交換樹脂としては、オルガノ株式会社製のアンバーライトシリーズ(IRA478RF、IRA67 、IRA96SB 、IRA98 、XE583 など)、三菱化学株式会社製のダイヤイオンシリーズ(WA10、WA20、WA30など)、ダウケミカル製のダウエックスシリーズ(MONOSPHERE 77 、MARATHON WBA、66など)などが挙げられる。
なお、アニオン交換樹脂の対アニオンが水酸化物イオン以外である場合、例えばハロゲン化物イオンである場合は、水酸化ナトリウム水溶液などの塩基性水溶液でアニオン交換樹脂を洗浄し、対アニオンを水酸化物イオンに交換してからアクリル酸処理することができる。
アニオン交換樹脂の形状については特に限定されず、架橋度や多孔度に応じて、ゲル型、ポーラス型、ハイポーラス型等の形状のものを使用することができる。
〔アニオン交換樹脂のアクリル酸処理〕
アニオン交換樹脂のアクリル酸処理は、一般的にイオン交換樹脂を使用、再生する際に行う処理方法と同様の方法であり、例えば、(i)カラム充填した樹脂へアクリル酸を通液する、(ii)樹脂をアクリル酸へ浸漬した後、ろ別する、といった操作により行うことができる。また、上記(i)、(ii)の処理を行う場合は、事前に脱水したアニオン交換樹脂を用いてもよく、また含水し、膨潤した状態であるアニオン交換樹脂をそのまま使用することもできる。
アニオン交換樹脂の処理に用いるアクリル酸は、処理する樹脂と等容量以上であることが好ましい。アクリル酸処理は、処理後の樹脂に含まれる水分ならびに対アニオンのアクリル酸イオンへの交換度合い(以下、アクリル酸処理率ともいう。)に応じて、複数回を行うことができる。
アニオン交換樹脂の処理状況に関して、水分は処理した樹脂の水分を測ることで確認でき、またアクリル酸処理率は樹脂中のハロゲン化物イオン量あるいは樹脂を処理したアクリル酸の酸価低下量または樹脂の酸価から求めることができる。本発明においては、アクリル酸とグリシドールとの付加反応を行う際、反応開始時の反応液の水分を3%以下とするために、処理後の樹脂中の水分としては5%以下であることが好ましい。また、アクリル酸処理率は99%以上であることが好ましい。
アクリル酸処理をしたアニオン交換樹脂は、別途事前に調製して用いても良いし、反応前に反応容器内で調製してそのまま使用しても良い。
〔アクリル酸とグリシドールとの付加反応〕
アクリル酸とグリシドールとの付加反応は、加熱と撹拌を備えた一般的な反応装置で行うことができる。
反応に供するアクリル酸は、グリシドールに対して等モル量以上あれば良いが、反応後の除去効率や工業的なコスト面を考慮すると、グリシドールに対して3〜8倍モル量を用いることが好ましい。
アクリル酸処理をしたアニオン交換樹脂は、グリシドールに対してアクリル酸当量で通常0.1〜0.4倍モル量、好ましくは0.2〜0.3倍モル量を用いることができる。アニオン交換樹脂の使用量が上記範囲内の場合、反応が充分に進行し易く、反応時間が短くて済み、製造コストの面で有利である上に、グリシドール重付加物の発生が抑制される。
原料の仕込み方法としては、グリシドールの重付加反応を抑制するために、アクリル酸とグリシドールとの混合溶液にアクリル酸処理したアニオン交換樹脂を加える、あるいは、アクリル酸処理したアニオン交換樹脂とアクリル酸を充分に混合してからグリシドールを加えることが好ましい。
本発明においては、原料に用いるアクリル酸ならびに生成物であるグリセリンモノアクリレートが重合性を有することから、反応液に重合禁止剤を加えることができる。重合禁止剤としては、通常、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等が用いられる。これらの重合禁止剤は、通常、アクリル酸使用量に対して、50〜3,000ppm、好ましくは100〜1,000ppmが用いられる。これらの重合禁止剤の添加方法は、例えば、反応前のアクリル酸あるいはアクリル酸とグリシドールの混合溶液に添加するのが好ましい。また、同様に重合を抑制する目的で、反応液に酸素または空気を導入することも効果的である。
付加反応は、20〜100℃の範囲で行うことができるが、反応時間や副反応の生起を考慮し、35〜50℃で行うことがより好ましい。
〔水分の調整〕
本発明では、アクリル酸とグリシドールとの付加反応において、反応開始時の反応液の水分を3%以下、好ましくは1%以下に調整する。反応液の水分の調整は、例えば、アクリル酸処理されたアニオン交換樹脂に含まれる水分を調整することにより行なうことができる。
反応開始時の反応液の水分は、カールフィッシャー水分計による水分分析で求めることができる。例えば、アクリル酸、グリシドールおよびアクリル酸処理したアニオン交換樹脂を含む反応開始時の反応液をカールフィッシャー水分計の測定容器内に直接投入して、水分を測定することができる。また、アクリル酸、グリシドール、およびアニオン交換樹脂の各水分と混合比から水分を算出してもよい。
なお、本発明において反応開始時とは、厳密には、アクリル酸、グリシドール、およびアニオン交換樹脂を混合した直後のことであるが、反応液を充分に混合する時間も考慮し、通常は、混合直後から30分以内までの間である。
〔付加反応終了後の処理〕
アクリル酸とグリシドールとの付加反応が終了した後は、通常、アニオン交換樹脂をろ別し、さらにアクリル酸の除去操作を行うことができる。アクリル酸の除去操作は、アクリル酸の重合を防ぐため、酸素や空気を導入しながら減圧下で加温してアクリル酸を留出させることが好ましく、具体的には1〜100mmHgの減圧下で20〜100℃に加温して行うことが好ましい。また、アクリル酸の除去操作は、重合禁止剤を添加して行うことが好ましく、重合禁止剤の添加量は、グリセリンモノアクリレート量に対して、50〜3, 000ppm、好ましくは100〜1, 000ppmである。
〔グリセリンモノアクリレート〕
本発明の製造方法によれば、グリシドールの重付加反応が抑制されるので、グリセリンモノアクリレートを高純度で得ることができる。したがって、このグリセリンモノアクリレートを用いて得られるポリマーは架橋によるゲル化が少なく安定性等の点で有用である。
次に、実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。なお、各種物性等の測定方法は下記のとおりである。
〔生成物中のグリセリンモノアクリレートの含有量測定〕
各実施例および比較例にて示した生成物中のグリセリンモノアクリレートの含有量は、H−NMR(日本電子社製、FT−NMR、400MHz、重溶媒:DO)およびGC(島津製作所社製、GC−2014)にて求めた。
具体的には、H−NMRでは、ケミカルシフト5.0−4.0ppmに検出されるグリセリンモノアクリレートのエステル部位の面積を基準とし、グリシドール重付加物由来の面積を求め、それぞれのプロトン比から百分率に換算した。
GCは総面積に対するグリセリンモノアクリレートのピーク面積の百分率を求めた。GCによる分析は以下の条件で行った。
装置:島津製作所社製、GC−2014、カラム:DB−5(長さ:30m、内径:0.25mmID、膜厚:0. 25μm)
温度:初期60℃、昇温速度10℃/分、240℃で12分間保持
検出:FID、インジェクションと検出器温度:250℃
サンプル濃度(0.1g/2mLアセトン溶液)、サンプル挿入量:1.0μL、スプリット:100/1
〔水分測定〕
各実施例および比較例における反応開始時の反応液の水分は、カールフィッシャー水分計による水分分析で求めた。
また、アニオン交換樹脂、アクリル酸、およびグリシドールの各水分も同様に求めた。各実施例および比較例で使用した、対アニオンが水酸化物イオン型のアニオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA900 OH AG)の水分は63. 8%であり、アクリル酸およびグリシドールの各水分はそれぞれ1. 0%であった。
〔対アニオンが水酸化物イオン型のアニオン交換樹脂の官能基当量の測定〕
50gのアニオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA900 OH AG)にアクリル酸4. 34gを加えて10分間撹拌した溶液の酸価は、137mgKOH/gであった。アクリル酸の酸価(778mgKOH/g)から求めたアクリル酸の消費率は82.3%であり、アニオン交換樹脂50gに対するアクリル酸の当量は3. 57gであった。
〔アニオン交換樹脂の塩素分測定〕
アニオン交換樹脂の塩素分は、硝酸銀溶液を使用した電位差滴定にて求めた。具体的には、下記の処理例4で使用した、対アニオンが塩化物イオン型のアニオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA904 Cl )50gを10%NaOH水溶液50gに12時間浸漬させ、溶出した塩素分を電位差滴定にて定量した。当該アニオン交換樹脂に含まれる塩素分は0. 72%であった。
〔アニオン交換樹脂の処理例1〕
300mLのビーカーに、対アニオンが水酸化物イオン型のアニオン交換樹脂50g(オルガノ社製、アンバーライトIRA900 OH AG)を入れ、50gのアクリル酸を加えて、30分間浸漬させた後、アニオン交換樹脂をろ別した。ろ別したアニオン交換樹脂に対し、同様の操作を5回行い、アクリル酸処理をしたアニオン交換樹脂を得た。この樹脂の水分は0. 7%であった。また上記の6回目の処理において使用したアクリル酸と回収したアクリル酸の酸価(それぞれ778mgKOH/gと777mgKOH/g)から求めた樹脂のアクリル酸処理率は99. 8%であった。
〔アニオン交換樹脂の処理例2〕
アクリル酸の浸漬処理回数を3回にした以外はアニオン交換樹脂の処理例1と同様の操作で処理を行った。この樹脂の水分は8%であった。また上記の3回目の処理において使用したアクリル酸と回収したアクリル酸(水分含量:9. 4%)の酸価(それぞれ778mgKOH/gと705mgKOH/g)から求めた樹脂のアクリル酸処理率は99. 8%であった。
〔アニオン交換樹脂の処理例3〕
対アニオンが水酸化物イオン型のアニオン交換樹脂50g(オルガノ社製、アンバーライトIRA900 OH AG)をアルミ製バットに入れ、60℃に設定した温風乾燥機内で3時間乾燥させた。このとき、樹脂の重量は63. 8%減少しており、水分が充分に除去できていることを確認した。
撹拌装置を備えた50mLのナス型フラスコに、上記の乾燥樹脂18. 1g(乾燥前で50g相当)とアクリル酸3. 57g(アニオン交換樹脂の官能基当量分)を加えて30分間撹拌することにより、アクリル酸処理をしたアニオン交換樹脂を得た。この樹脂の水分は4. 1%であり、アクリル酸処理率はアニオン交換樹脂の官能基当量分のアクリル酸を添加しているので、99. 9%以上である。
〔アニオン交換樹脂の処理例4〕
300mLのビーカーに、対アニオンが塩化物イオン型のアニオン交換樹脂50g(オルガノ社製、アンバーライトIRA904 Cl )を入れ、50gのアクリル酸を加えて、30分間浸漬させた後、アニオン交換樹脂をろ別した。ろ別したアニオン交換樹脂に対し、同様の操作を19回行い、アクリル酸処理をしたアニオン交換樹脂を得た。この樹脂の水分は0. 7%であった。また、塩素含有量は0. 44%であり、アクリル酸処理率は38. 9%であった。
〔実施例1〕
撹拌装置を備えた50mLの3つ口フラスコに、アニオン交換樹脂の処理例1で処理したアニオン交換樹脂4. 20g(アニオン交換樹脂1. 45g、アクリル酸2. 75g)とアクリル酸3. 24gを入れ、撹拌してから、グリシドール1. 17gを入れ混合した。このときのモル比率はアニオン交換樹脂/アクリル酸/グリシドール=0. 25/5/1であり、反応液の水分は0. 9%であった。
オイルバスにて樹脂混合液を40℃に加熱し、25時間撹拌した後、アニオン交換樹脂をろ別した。ろ液にハイドロキノンモノメチルエーテル1mg、フェノチアジン1mgを加え、エアーバブリングを行いながら、40℃でアクリル酸を減圧留去することで、目的とするグリセリンモノアクリレートを主成分とする化合物を得た。化合物中のグリセリンモノアクリレートはH−NMRで83. 9%、GCで86. 5%であった。
〔実施例2〕
撹拌装置を備えた50mLの3つ口フラスコに、アニオン交換樹脂の処理例3で処理したアニオン交換樹脂1. 76gとアクリル酸5. 71gを入れ撹拌してから、グリシドール1. 17gを入れ混合した。このときのモル比率はアニオン交換樹脂/アクリル酸/グリシドール=0. 25/5/1であり、反応液の水分は2. 5%であった。
オイルバスにて樹脂混合液を40℃に加熱し、25時間撹拌した後、実施例1と同様の後処理を行うことで、目的とするグリセリンモノアクリレートを主成分とする化合物を得た。化合物中のグリセリンモノアクリレートはH−NMRで82. 8%、GCで87.
2%であった。
〔比較例1〕
アニオン交換樹脂の処理例3で処理したアニオン交換樹脂の代わりに、未処理のアニオン交換樹脂(オルガノ社製、アンバーライトIRA900 OH AG)4. 00gを用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。反応開始時の反応液の水分は24. 1%であった。得られた化合物中のグリセリンモノアクリレートはH−NMRで19.8%、GCで21.6%であった。
〔比較例2〕
アニオン交換樹脂の処理例2で処理したアニオン交換樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始時の反応液の水分は4. 4%であった。得られた化合物中のグリセリンモノアクリレートはH−NMRで55.1%、GCで60.1%であった。
〔比較例3〕
アニオン交換樹脂の処理例4で処理したアニオン交換樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始時の反応液の水分は0. 9%であった。得られた化合物中のグリセリンモノアクリレートはH−NMRで32.7%、GCで35.6%であった。
実施例1、2および比較例1〜3の結果を表1にまとめた。
Figure 2014118389
実施例1、2の結果から、対アニオンが水酸化物イオンであるアニオン交換樹脂をアクリル酸処理して得られたアニオン交換樹脂(処理例1、3)を用い、且つ、反応開始時の反応液の水分を3%以下とすることによって、高純度のグリセリンモノアクリレートが製造方法できることがわかる。
これに対して、比較例1では、未処理のアニオン交換樹脂を用い、反応開始時の反応液の水分が3%を超えているので、実施例および比較例の中でグリセリンモノアクリレートの純度が最も低い結果となった。
比較例2では、対アニオンが水酸化物イオンであるアニオン交換樹脂をアクリル酸処理して得られたアニオン交換樹脂(処理例2)を用いているものの、反応開始時の反応液の水分が3%を超えているので、グリセリンモノアクリレートの純度はあまり高くなかった。
比較例3では、対アニオンが塩化物イオンであるアニオン交換樹脂をアクリル酸処理して得られたアニオン交換樹脂(処理例4)を用いているので、反応開始時の反応液の水分が3%以下であるにもかかわらず、グリセリンモノアクリレートの純度は低かった。

Claims (1)

  1. アクリル酸とグリシドールとを反応させてグリセリンモノアクリレートを製造するに際して、対アニオンが水酸化物イオンであるアニオン交換樹脂をアクリル酸処理して得られた触媒の存在下で反応を行ない、且つ、反応開始時の反応液の水分を3%以下とすることを特徴とするグリセリンモノアクリレートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3340295A (en) * 1963-12-23 1967-09-05 Celanese Corp Process of producing a monoester of an alkylene glycol moiety and a carboxylic acid
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