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JP2014115193A - 黒色廃プラスチックの材質選別装置 - Google Patents

黒色廃プラスチックの材質選別装置 Download PDF

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Abstract

【課題】大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供する。
【解決手段】黒色廃プラスチックを材質毎に選別する黒色廃プラスチックの材質選別装置において、黒色廃プラスチック片に赤外線を照射し、黒色廃プラスチック片からの中赤外線反射スペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して黒色廃プラスチックの材質を選別する。
【選択図】図5

Description

本発明は、廃家電製品等に由来する破砕された黒色廃プラスチック片の材質を、高精度で大量に自動選別できるようにした黒色廃プラスチックの材質選別装置に関する。
廃プラスチックのリサイクル技術の開発は、近年の廃棄物の増加及び限られた資源の有効利用のための重要課題の一つとなっている。廃プラスチックのリサイクル方法としては、材料・製品への再資源化をするマテリアルリサイクルと、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するサーマルリサイクルとに大きく分けられる。特に、マテリアルリサイクルは、プラスチックの生産量を低減することができるので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減することができ、現在、最も注目されている。
マテリアルリサイクルをするには、回収した廃プラスチックに異なる材質の廃プラスチックが混入すると、再生プラスチックの特性が低下するため、回収した廃プラスチックを高精度に選別する技術が必要となる。
中でも、ポリプロピレン等の黒色樹脂が使用されている廃家電や自動車等の大型廃棄物から大量に発生する黒色廃プラスチックの材質を高精度に選別する技術が近年求められている。このような黒色廃プラスチックの材質を選別する技術として、特許文献1〜4に開示された技術が知られている。
特許文献1に開示された技術は、樹脂素材に放射線を照射したときに当該樹脂素材により回折される放射線の回折パターンを得て、この回折パターンを、予め用意した分析対象の成分、例えば難燃剤や難燃助剤の回折パターンと比較することにより、樹脂素材中に当該成分が含まれるか否かを判定する。この技術によれば、仮に樹脂素材の表面に塗装が施されている場合であっても、塗装を剥離することなく樹脂素材の選別が可能となる。
また、特許文献2に開示された技術は、被識別プラスチックにレーザ光を照射したときに被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光のラマン散乱スペクトルを測定し、このラマン散乱スペクトルの既知ピーク位置及び既知ベースライン位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度を、予めプラスチックの材質毎に用意した既知ピーク位置及び既知ベースライン位置のラマン散乱強度と比較することにより、プラスチックの材質を高速で識別することができる。
また、特許文献3に開示された技術は、赤外線をプラスチック試料に照射したときの透過光又は反射光を測定し、中赤外領域(波長範囲2.5〜25μm)におけるスペクトルを解析して得られる情報に基づいてプラスチック試料を構成するプラスチックの種類や、剛性、衝撃吸収性等に関するグレードを判別することができる。
さらに、特許文献4に開示された技術は、破砕された異なる材質からなる第一のプラスチック片、第二のプラスチック片を、一定の圧力を加える押出しローラと加熱された圧延ローラとからなる薄片化装置により薄片化し、このプラスチック薄片に赤外線を照射し、赤外線検出器により検出される赤外線透過スペクトルを識別装置により、既知のプラスチックの赤外線透過スペクトルと比較照合して材質を同定する。この特許文献4に開示された技術によれば、プラスチック薄片を材質ごとに選別することができる。
特開2005−003440号公報 特許第4203916号 特開2001−074650号公報 特開2010−110733号公報
しかしながら、特許文献1に開示された選別方法は、放射線を使用しているため装置自体が高価となり実用的でなかった。また、対象物の形状で反射角度が異なるために、対象物の角度調整が必要となり、迅速に選別することができなかった。
また、特許文献2に開示された識別方法は、炭素充填剤を含有する黒色プラスチックに強いレーザ光を照射すると、炭素充填剤の吸収による発熱でプラスチックが溶融し、ラマン散乱スペクトルが測定できないという問題があった。プラスチックの溶融を防止するために、弱いレーザ光を照射すると、信号強度が不足し、信号の積算のために長時間照射しなければならず、プラスチックの識別に時間がかかるだけでなく、SN比の大きい測定ができないという問題があった。
また、特許文献3に開示された識別方法は、プラスチック試料の形状、表面性状、色、透過率を考慮して、測定方法を選択するとともに、必要に応じてプラスチック試料を前処理する必要あった。プラスチック試料が黒色樹脂から成る場合は、赤外線がほとんど吸収されるため、正反射法を利用することができず、全反射法(ATR法)による測定が必要であった。しかし、全反射法(ATR法)は、対象物の下部にATRクリスタルを設置することが必須となるため、通常の作業現場で採用されているベルトコンベアを使った識別装置に採用することは困難であった。
さらに、特許文献4に開示された選別方法は、透過法によるものであるので、対象物を予め薄片化するという面倒な前処理が必要であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供することである。
本件発明者は、前記課題を解決するために、様々な観点から鋭意研究を重ねてきた。その結果、下記の推察を得た。
プラスチックの材質を高精度に識別するには、材質を識別するための情報をより多く得る必要がある。中赤外線領域のスペクトルは、近赤外線領域のスペクトルより多くの識別するための情報を含んでいる。しかし、プラスチックが黒色の場合、黒色プラスチックに含有されている炭素充填剤が赤外線を吸収してしまうので、中赤外線領域のスペクトルを検出するのは困難である。
そこで、炭素充填剤の赤外線吸収率を調査し、赤外線吸収率の少ない中赤外線領域のスペクトルを見つけることができれば、その領域においては正反射法による黒色廃プラスチックからの中赤外線スペクトルを検出することができ、その検出したスペクトルと、予め材質毎に調べた中赤外線領域のスペクトルとを比較照合することで、黒色廃プラスチックの材質を高精度に識別できるはずである。
したがって、本件発明者は、後述するカーボンの赤外線吸収率についての考察により、波長領域が3μm以上であれば炭素充填剤による中赤外線の吸収率が少ないという推察を得た。さらに、その推察に基づいて、正反射法で測定した中赤外線領域のスペクトルを分析して黒色廃プラスチックを識別する装置により、前記課題が解決することを見出した。
すなわち、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置は、黒色廃プラスチックを材質毎に選別する黒色廃プラスチックの材質選別装置において、黒色廃プラスチック片からの波長領域3μm以上の中赤外線反射スペクトルを分析して、黒色廃プラスチックの材質を選別することを特徴としている。
請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、炭素充填剤による赤外線吸収率が少ない波長領域であるので、十分な強度のスペクトルを得ることができる。つまり、従来の装置では困難であった黒色廃プラスチックのスペクトルを正反射法で測定することが可能となり、他の電磁波測定を採用する場合と比べて安価に装置を製造することができる。
また、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、中赤外線領域のスペクトルを分析するので、材質を識別するための情報が多くなり、より高精度に材質を識別することができる。
請求項2に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置は、破砕された黒色廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、前記供給手段により供給された前記黒色廃プラスチック片を搬送する搬送手段と、前記黒色廃プラスチック片に赤外線を照射する照射手段と、前記黒色廃プラスチック片からの中赤外線反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段と、前記反射スペクトル検出手段によって検出されたスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記黒色廃プラスチック片の材質の同定を行う材質同定手段と、前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する黒色廃プラスチック片を落下させる選別手段と、前記選別手段により落下する黒色廃プラスチックを材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴としている。
請求項2に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、請求項1の効果に加えて、スペクトルを正反射法で測定することができるので、全反射法で必須であるATRクリスタルを黒色廃プラスチック片の下部に設置する必要もなく、ベルトコンベアを使った通常の作業現場に採用することができ、大量の黒色廃プラスチックを選別することができる。
また、請求項2に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、請求項1の効果に加えて、正反射法でスペクトルを測定することができるので、予めプラスチックを薄片化するといった面倒な前処理を必要とすることなく、黒色廃プラスチックを破砕するだけで材質を識別することができ、作業効率が向上する。
請求項3に記載の廃プラスチックの材質選別装置は、廃プラスチックを材質毎に選別する廃プラスチックの材質選別装置において、黒色廃プラスチック片を含む破砕された廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、前記供給手段により供給された前記廃プラスチック片を搬送する搬送手段と、前記廃プラスチック片に赤外線を照射する照射手段と、前記廃プラスチック片からの中赤外線反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段と、前記反射スペクトル検出手段によって検出されたスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記廃プラスチック片の材質の同定を行う材質同定手段と、前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する廃プラスチック片を落下させる選別手段と、前記選別手段により落下する廃プラスチックを材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴としている。
請求項3に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、炭素充填剤による赤外線吸収率が少ない波長領域であるので、黒色廃プラスチックが混合されていても、十分な強度のスペクトルを得ることができる。つまり、従来の装置では困難であった黒色廃プラスチックのスペクトルを他の色の廃プラスチック片と同様に正反射法で測定することが可能となり、他の電磁波測定を採用する場合と比べて安価に装置を製造することができる。
また、請求項3に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、中赤外線領域のスペクトルを分析するので、材質を識別するための情報が多くなり、より高精度に材質を識別することができる。
また、請求項3に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、黒色廃プラスチック片が混合していても、スペクトルを正反射法で測定することができるので、全反射法で必須であるATRクリスタルを廃プラスチック片の下部に設置する必要もなく、ベルトコンベアを使った通常の作業現場に採用することができ、大量の廃プラスチックを選別することができる。
さらに、請求項3に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、黒色以外の様々な色の廃プラスチック片が混合していても高精度に材質を識別することができるので、供給手段の前段階で色別に廃プラスチック片を分別しておく必要もなく、廃プラスチックを破砕するだけで材質を識別することができ、作業効率が良くなる。
この発明によれば、大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる安価な黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供することができる。
カーボンの赤外線透過率についての計算結果である。 実証実験で使用する異なる材質から成る2種類の黒色廃プラスチック片である。 Type1の黒色廃プラスチック片からの反射赤外線スペクトルである。 Type2の黒色廃プラスチック片からの反射赤外線スペクトルである。 本発明の一実施形態に係る黒色廃プラスチックの材質選別装置の概略構成図である。 中赤外線領域における主なプラスチックの赤外線吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、実験結果及び図面を参照しながら詳細に説明する。
1.炭素充填剤の赤外線吸収率について
先ず、スペクトルを測定する時に阻害原因となる炭素充填剤による赤外線吸収率について考察した。
吸収係数αと消光係数κとの関係は、α=2ωκ/c=4πνκ/c=4πκ/λで与えられ、透過率Τと吸収係数αとの関係は、厚さをdとすると、Τ=exp(−αd)で与えられる。図1は、独立行政法人科学技術振興機構の佐藤勝昭氏によって、カーボンの赤外線透過率Τを膜厚d=200nmとして上記の式を用いて計算した結果である。
図1によれば、波長が長くなればなるほど透過率が大きくなり、吸収率が小さくなるということが分かる。特に波長が3μm以上になると、波長が3μm未満の場合と比較すると吸収率が極端に低下する。また、遠赤外線領域になると光量が極端に落ちることが考えられる。また、吸収率が小さければ、炭素充填剤が赤外線を吸収するこというスペクトルを測定する時の阻害要因を低減することができると推測できる。そこで、前述の推察に基づき波長範囲3μm〜5μmの中赤外線領域で以下の実証実験を行った。
2.実証実験
図2は、実証実験に使用する2種類の材質の黒色廃プラスチック片を示している。Type1は廃家電に由来する黒色プラスチック片であり、Type2は廃自動車に由来する黒色プラスチック片である。
図3及び図4は、Type1とType2とをそれぞれ下記の要件でスペクトル分析をした結果である。図3及び図4は、Type1及びType2の黒色廃プラスチック片にそれぞれ赤外線を照射し、その反射光を3μm〜5μmの分光器付中赤外線カメラを使用して露光時間1.7msで測定して得られた反射赤外線スペクトルである。
図3及び図4の結果から、Type1及びType2の材質のそれぞれの吸光ピークの位置(波長)がはっきりと現れており、黒色プラスチック片にもかかわらず、スペクトルが測定できていると言える。つまり、波長範囲3μm〜5μmの中赤外線領域ならば、炭素充填剤の赤外線吸収による影響が少ないため、反射法によってスペクトルを検出し、黒色プラスチック片を識別できるといえる。
3.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成
続いて、図5を参照して、黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成の概略について説明する。
この黒色廃プラスチックの材質選別装置1は、黒色廃プラスチック片Pを順次供給する供給手段11(例えば、図5の投入ホッパー12,移送コンベア13,投入フィーダー14)と、供給手段11により供給された黒色廃プラスチック片Pを搬送する搬送手段21(例えば、図5の搬送コンベア22)とを主要部として備えている。
また、同選別装置1は、黒色廃プラスチック片Pに赤外線を照射する照射手段31(例えば、図5の赤外線光源32)と、黒色廃プラスチック片Pからの反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段41(例えば、図5の中赤外線センサ42)と、検出手段41で検出した反射スペクトルを、予め材質ごとに登録されているスペクトルと比較照合して黒色廃プラスチック片Pの材質を同定する材質同定手段51(例えば、図5の判別装置52)とを主要部として備えている。
さらに、同選別装置1は、搬送手段21による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズル62が設けられており、材質同定手段51の結果に応じて、噴射ノズル62からエアーを噴射して材質同定手段51の結果に対応する材質の黒色廃プラスチック片Pを落下させる選別手段61(例えば、図5の判別装置52,噴射ノズル62)と、選別手段61により落下する黒色廃プラスチック片Pを材質毎に回収する回収手段71(例えば、図5の回収ホッパー72)とを主要部として備えている。
供給手段11は、例えば、投入ホッパー12と移送コンベア13と投入フィーダー14とからなる。投入ホッパー12は、破砕された黒色廃プラスチック片Pを受け入れ可能に構成されている。移送コンベア13は、投入ホッパー12から供給される黒色廃プラスチック片Pを投入フィーダー14に供給する。投入フィーダー14は、振動フィーダー又は電磁フィーダー等で構成されており、振動することによって、黒色廃プラスチック片P同士の重畳を防止しながら搬送手段21に供給する。
搬送手段21は、例えば、搬送コンベア22からなる。搬送コンベア22は、供給手段11から遠ざかる向きに黒色廃プラスチック片Pを搬送するようになっている。
照射手段31は、ハロゲンタングステンランプ等の赤外線光源32で構成されている。赤外線光源32は、黒色廃プラスチック片Pに向かって赤外線を照射する機能を有する。また、赤外線光源32は、中赤外線センサー42に黒色廃プラスチック片Pからの反射光が入光するように設置され、搬送コンベア22の流れ方向の上部両側又は上部片側に設置されている。
反射スペクトル検出手段41は、中赤外線センサー42からなる。中赤外線センサー42は、例えば、中赤外線の波長領域3μm以上の分光器付カメラで構成されている。また、中赤外線センサー42は、黒色廃プラスチック片Pからの近赤外線の反射光を受光し、受光結果をコンピュータ等の判別装置52に出力する。
中赤外線センサー42の分光器付カメラは、搬送コンベア22の幅方向に320点一括で一度に赤外線スペクトルを測定できるように、320ドットの解像度を有するものを用いるとよい。この時、黒色廃プラスチック片Pのサイズが5mm角程度である場合、4mm間隔で測定すれば、搬送コンベア22の幅方向にある黒色廃プラスチック片Pを一度に全て測定することができる。搬送コンベア22の幅は、測定の有効幅が4mm×320=1280mm幅となるので、例えば1400mmとする。
また、搬送コンベア22の流れ速度については、分光器付カメラの露光時間が1.7msで測定できるので、1秒間に最大590回の測定が可能であり、分光器付カメラが400フレーム/秒の性能であれば、4mm×400回/秒×60秒/分=96m/分の速度となるので、搬送コンベア22上を流れる黒色廃プラスチック片Pを全て測定できることになる。
また、黒色廃プラスチック片Pのサイズが6〜10mm角程度の場合、6mm間隔で測定すれば搬送コンベア22の幅方向にある黒色廃プラスチック片Pを全て測定することができる。測定の有効幅が6mm×320=1920mm幅となるので、搬送コンベア22の幅は、例えば2000mmとする。
また、搬送コンベア22の流れ速度については6mm×400回/秒×60秒/分=144m/分の速度となるので、搬送コンベア22上を流れる黒色廃プラスチック片Pを全て測定することができる。
上述の搬送コンベア22の幅と速度との関係によれば、黒色廃プラスチック片Pを1時間当り1トン程度以上の処理が可能となる。
材質同定手段51は、例えば、コンピュータ等の判別装置52で構成されている。判別装置52は、入力された受光結果を予め材質毎に登録されているスペクトルと波長領域3μm以上で比較照合する。そして、判別装置52は、比較照合の結果、スペクトルが一致した場合には、そのスペクトルを有する材質と判別(同定)し、その判別結果に基づいて、選別手段61のエアー噴射を制御する信号を送信する。
具体的には、判別装置52は、反射光から吸光ピークを求め、その吸光ピークの位置(波長)が、例えば、図6に示す中赤外線領域における主なプラスチックの赤外線吸収スペクトルの吸光ピークの位置と一致した場合に、その特性を有する材料と判別(同定)する。なお、吸光ピークからだけではなく、反射光のスペクトルと材質毎の既知のスペクトルとのパターンマッチングにより材質を特定してもよい。
選別手段61は、判別装置52とエアー噴射ノズル62とで構成されている。噴射ノズル62は、例えば、搬送コンベア22の上流から下流に向けて、材質毎に順に複数配置されている。判別装置52からの制御信号を受信したエアー噴射ノズル62は、ノズル口(図示省略。)を開いてエアーを噴射する。
搬送コンベア22上の黒色廃プラスチック片Pは、判別装置52が、複数配置されているエアー噴射ノズル62のうち、材質に応じたエアー噴射ノズル62を選択して、タイミングを計って制御信号を送信することにより、制御信号を受信したエアー噴射ノズル62からエアーを受けて、材質毎に設けられた回収ホッパー72に吹き飛ばされる。黒色廃プラスチック片Pの材質毎に吹き飛ばすことができるので、吹き飛ばされずにそのまま回収された黒色廃プラスチック片Pの材質も同定することができる。
回収手段71は、回収ホッパー72で構成されている。回収ホッパー72は、搬送コンベア22の下部に選別される材質の種類毎に設けられており、落下する黒色廃プラスチック片Pを回収できるように構成されている。
4.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の動作
最後に、同選別装置1の動作について説明する。なお、「3.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成」の項目の説明と重複する部分については説明を省略する。
搬送コンベア22は、供給手段11から供給された黒色廃プラスチック片Pに振動を与えながら重ならないようにして下流に搬送する。
中赤外線センサー42は、赤外線光源32から発せられた赤外線の黒色廃プラスチック片Pによる反射光を受光し、受光結果をコンピュータ等の判別装置52に出力する。
判別装置52は、中赤外線センサー42から入力された受光結果の吸光ピークの位置(波長)から、黒色廃プラスチック片Pの材質を同定する。
判別装置52は、複数配置されているエアー噴射ノズル62のうち、材質に応じたエアー噴射ノズル62を選択して、タイミングを計って制御信号を送信する。
制御信号を受信したエアー噴射ノズル62は、ノズル口を開口して、エアーを噴射する。
搬送コンベア22上の黒色廃プラスチック片Pは、制御信号を受信したエアー噴射ノズル62からエアーを受けて、材質毎に設けられた回収ホッパー72に吹き飛ばされ落下して回収される。黒色廃プラスチック片Pの材質毎に吹き飛ばすことができるので、吹き飛ばされずにそのまま回収ホッパー72に落下して回収された黒色廃プラスチック片Pの材質も同定することができる。
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
1 黒色廃プラスチックの材質識別装置
11 供給手段
12 投入ホッパー
13 移送コンベア
14 投入フィーダー
21 搬送手段
22 搬送コンベア
31 照射手段
32 赤外線光源
41 反射スペクトル検出手段
42 中赤外線センサー
51 材質同定手段
52 判別装置
61 選別手段
62 エアー噴射ノズル
P 黒色廃プラスチック片
本発明は、廃家電製品等に由来する破砕された黒色廃プラスチック片の材質を、高精度で大量に自動選別できるようにした黒色廃プラスチックの材質選別装置に関する。
廃プラスチックのリサイクル技術の開発は、近年の廃棄物の増加及び限られた資源の有効利用のための重要課題の一つとなっている。廃プラスチックのリサイクル方法としては、材料・製品への再資源化をするマテリアルリサイクルと、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するサーマルリサイクルとに大きく分けられる。特に、マテリアルリサイクルは、プラスチックの生産量を低減することができるので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減することができ、現在、最も注目されている。
マテリアルリサイクルをするには、回収した廃プラスチックに異なる材質の廃プラスチックが混入すると、再生プラスチックの特性が低下するため、回収した廃プラスチックを高精度に選別する技術が必要となる。
中でも、ポリプロピレン等の黒色樹脂が使用されている廃家電や自動車等の大型廃棄物から大量に発生する黒色廃プラスチックの材質を高精度に選別する技術が近年求められている。このような黒色廃プラスチックの材質を選別する技術として、特許文献1〜4に開示された技術が知られている。
特許文献1に開示された技術は、樹脂素材に放射線を照射したときに当該樹脂素材により回折される放射線の回折パターンを得て、この回折パターンを、予め用意した分析対象の成分、例えば難燃剤や難燃助剤の回折パターンと比較することにより、樹脂素材中に当該成分が含まれるか否かを判定する。この技術によれば、仮に樹脂素材の表面に塗装が施されている場合であっても、塗装を剥離することなく樹脂素材の選別が可能となる。
また、特許文献2に開示された技術は、被識別プラスチックにレーザ光を照射したときに被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光のラマン散乱スペクトルを測定し、このラマン散乱スペクトルの既知ピーク位置及び既知ベースライン位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度を、予めプラスチックの材質毎に用意した既知ピーク位置及び既知ベースライン位置のラマン散乱強度と比較することにより、プラスチックの材質を高速で識別することができる。
また、特許文献3に開示された技術は、赤外線をプラスチック試料に照射したときの透過光又は反射光を測定し、中赤外領域(波長範囲2.5〜25μm)におけるスペクトルを解析して得られる情報に基づいてプラスチック試料を構成するプラスチックの種類や、剛性、衝撃吸収性等に関するグレードを判別することができる。
さらに、特許文献4に開示された技術は、破砕された異なる材質からなる第一のプラスチック片、第二のプラスチック片を、一定の圧力を加える押出しローラと加熱された圧延ローラとからなる薄片化装置により薄片化し、このプラスチック薄片に赤外線を照射し、赤外線検出器により検出される赤外線透過スペクトルを識別装置により、既知のプラスチックの赤外線透過スペクトルと比較照合して材質を同定する。この特許文献4に開示された技術によれば、プラスチック薄片を材質ごとに選別することができる。
特開2005−003440号公報 特許第4203916号 特開2001−074650号公報 特開2010−110733号公報
しかしながら、特許文献1に開示された選別方法は、放射線を使用しているため装置自体が高価となり実用的でなかった。また、対象物の形状で反射角度が異なるために、対象物の角度調整が必要となり、迅速に選別することができなかった。
また、特許文献2に開示された識別方法は、炭素充填剤を含有する黒色プラスチックに強いレーザ光を照射すると、炭素充填剤の吸収による発熱でプラスチックが溶融し、ラマン散乱スペクトルが測定できないという問題があった。プラスチックの溶融を防止するために、弱いレーザ光を照射すると、信号強度が不足し、信号の積算のために長時間照射しなければならず、プラスチックの識別に時間がかかるだけでなく、SN比の大きい測定ができないという問題があった。
また、特許文献3に開示された識別方法は、プラスチック試料の形状、表面性状、色、透過率を考慮して、測定方法を選択するとともに、必要に応じてプラスチック試料を前処理する必要あった。プラスチック試料が黒色樹脂から成る場合は、赤外線がほとんど吸収されるため、正反射法を利用することができず、全反射法(ATR法)による測定が必要であった。しかし、全反射法(ATR法)は、対象物の下部にATRクリスタルを設置することが必須となるため、通常の作業現場で採用されているベルトコンベアを使った識別装置に採用することは困難であった。
さらに、特許文献4に開示された選別方法は、透過法によるものであるので、対象物を予め薄片化するという面倒な前処理が必要であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供することである。
本件発明者は、前記課題を解決するために、様々な観点から鋭意研究を重ねてきた。その結果、下記の推察を得た。
プラスチックの材質を高精度に識別するには、材質を識別するための情報をより多く得る必要がある。中赤外線領域のスペクトルは、近赤外線領域のスペクトルより多くの識別するための情報を含んでいる。しかし、プラスチックが黒色の場合、黒色プラスチックに含有されている炭素充填剤が赤外線を吸収してしまうので、中赤外線領域のスペクトルを検出するのは困難である。
そこで、炭素充填剤の赤外線吸収率を調査し、赤外線吸収率の少ない中赤外線領域のスペクトルを見つけることができれば、その領域においては正反射法による黒色廃プラスチックからの中赤外線スペクトルを検出することができ、その検出したスペクトルと、予め材質毎に調べた中赤外線領域のスペクトルとを比較照合することで、黒色廃プラスチックの材質を高精度に識別できるはずである。
したがって、本件発明者は、後述するカーボンの赤外線吸収率についての考察により、波長領域が3μm以上であれば炭素充填剤による中赤外線の吸収率が少ないという推察を得た。さらに、その推察に基づいて、正反射法で測定した中赤外線領域のスペクトルを分析して黒色廃プラスチックを識別する装置により、前記課題が解決することを見出した。
すなわち、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置は、破砕された黒色廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、前記供給手段により供給された前記黒色廃プラスチック片を順次搬送する搬送手段と、赤外線を複数の前記黒色廃プラスチック片に対して同時に照射する照射手段と、複数の前記黒色廃プラスチック片からの赤外線直接反射光を同時に検出し、同時に複数のスペクトル検出を行うスペクトル検出手段と、前記スペクトル検出手段によって検出された複数のスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記黒色廃プラスチック片の材質の同定を複数同時に行う材質同定手段と、前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが複数設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、複数の前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する黒色廃プラスチック片を複数同時に落下させる選別手段と、前記選別手段により落下する複数の黒色廃プラスチック片を材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴としている。
請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、炭素充填剤による赤外線吸収率が少ない波長領域であるので、十分な強度のスペクトルを得ることができる。つまり、従来の装置では困難であった黒色廃プラスチックのスペクトルを正反射法で測定することが可能となり、他の電磁波測定を採用する場合と比べて安価に装置を製造することができる。
また、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、中赤外線領域のスペクトルを分析するので、材質を識別するための情報が多くなり、より高精度に材質を識別することができる。
また、請求項に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によればスペクトルを正反射法で測定することができるので、全反射法で必須であるATRクリスタルを黒色廃プラスチック片の下部に設置する必要もなく、ベルトコンベアを使った通常の作業現場に採用することができ、大量の黒色廃プラスチックを選別することができる。
また、請求項に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば正反射法でスペクトルを測定することができるので、予めプラスチックを薄片化するといった面倒な前処理を必要とすることなく、黒色廃プラスチックを破砕するだけで材質を識別することができ、作業効率が向上する。
請求項に記載の廃プラスチックの材質選別装置は、廃プラスチックを材質毎に選別する廃プラスチックの材質選別装置において、黒色廃プラスチック片を含む破砕された廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、前記供給手段により供給された前記廃プラスチック片を順次搬送する搬送手段と、赤外線を複数の前記廃プラスチック片に対して同時に照射する照射手段と、前記搬送手段の搬送コンベアの幅方向の全ての黒色廃廃プラスチック片からの赤外線直接反射光を同時に検出し、同時に複数のスペクトル検出を行うスペクトル検出手段と、前記スペクトル検出手段によって検出された複数のスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記廃プラスチック片の材質の同定を複数同時に行う材質同定手段と、前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが複数設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、複数の前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する廃プラスチック片を複数同時に落下させる選別手段と、前記選別手段により落下する複数の廃プラスチックを材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴としている。
請求項に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、炭素充填剤による赤外線吸収率が少ない波長領域であるので、黒色廃プラスチックが混合されていても、十分な強度のスペクトルを得ることができる。つまり、従来の装置では困難であった黒色廃プラスチックのスペクトルを他の色の廃プラスチック片と同様に正反射法で測定することが可能となり、他の電磁波測定を採用する場合と比べて安価に装置を製造することができる。
また、請求項に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、中赤外線領域のスペクトルを分析するので、材質を識別するための情報が多くなり、より高精度に材質を識別することができる。
また、請求項に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、黒色廃プラスチック片が混合していても、スペクトルを正反射法で測定することができるので、全反射法で必須であるATRクリスタルを廃プラスチック片の下部に設置する必要もなく、ベルトコンベアを使った通常の作業現場に採用することができ、大量の廃プラスチックを選別することができる。
さらに、請求項に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、黒色以外の様々な色の廃プラスチック片が混合していても高精度に材質を識別することができるので、供給手段の前段階で色別に廃プラスチック片を分別しておく必要もなく、廃プラスチックを破砕するだけで材質を識別することができ、作業効率が良くなる。
この発明によれば、大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる安価な黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供することができる。
カーボンの赤外線透過率についての計算結果である。 実証実験で使用する異なる材質から成る2種類の黒色廃プラスチック片である。 Type1の黒色廃プラスチック片からの反射赤外線スペクトルである。 Type2の黒色廃プラスチック片からの反射赤外線スペクトルである。 本発明の一実施形態に係る黒色廃プラスチックの材質選別装置の概略構成図である。 中赤外線領域における主なプラスチックの赤外線吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、実験結果及び図面を参照しながら詳細に説明する。
1.炭素充填剤の赤外線吸収率について
先ず、スペクトルを測定する時に阻害原因となる炭素充填剤による赤外線吸収率について考察した。
吸収係数αと消光係数κとの関係は、α=2ωκ/c=4πνκ/c=4πκ/λで与えられ、透過率Τと吸収係数αとの関係は、厚さをdとすると、Τ=exp(−αd)で与えられる。図1は、独立行政法人科学技術振興機構の佐藤勝昭氏によって、カーボンの赤外線透過率Τを膜厚d=200nmとして上記の式を用いて計算した結果である。
図1によれば、波長が長くなればなるほど透過率が大きくなり、吸収率が小さくなるということが分かる。特に波長が3μm以上になると、波長が3μm未満の場合と比較すると吸収率が極端に低下する。また、遠赤外線領域になると光量が極端に落ちることが考えられる。また、吸収率が小さければ、炭素充填剤が赤外線を吸収するこというスペクトルを測定する時の阻害要因を低減することができると推測できる。そこで、前述の推察に基づき波長範囲3μm〜5μmの中赤外線領域で以下の実証実験を行った。
2.実証実験
図2は、実証実験に使用する2種類の材質の黒色廃プラスチック片を示している。Type1は廃家電に由来する黒色プラスチック片であり、Type2は廃自動車に由来する黒色プラスチック片である。
図3及び図4は、Type1とType2とをそれぞれ下記の要件でスペクトル分析をした結果である。図3及び図4は、Type1及びType2の黒色廃プラスチック片にそれぞれ赤外線を照射し、その反射光を3μm〜5μmの分光器付中赤外線カメラを使用して露光時間1.7msで測定して得られた反射赤外線スペクトルである。
図3及び図4の結果から、Type1及びType2の材質のそれぞれの吸光ピークの位置(波長)がはっきりと現れており、黒色プラスチック片にもかかわらず、スペクトルが測定できていると言える。つまり、波長範囲3μm〜5μmの中赤外線領域ならば、炭素充填剤の赤外線吸収による影響が少ないため、反射法によってスペクトルを検出し、黒色プラスチック片を識別できるといえる。
3.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成
続いて、図5を参照して、黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成の概略について説明する。
この黒色廃プラスチックの材質選別装置1は、黒色廃プラスチック片Pを順次供給する供給手段11(例えば、図5の投入ホッパー12,移送コンベア13,投入フィーダー14)と、供給手段11により供給された黒色廃プラスチック片Pを搬送する搬送手段21(例えば、図5の搬送コンベア22)とを主要部として備えている。
また、同選別装置1は、黒色廃プラスチック片Pに赤外線を照射する照射手段31(例えば、図5の赤外線光源32)と、黒色廃プラスチック片Pからの反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段41(例えば、図5の中赤外線センサ42)と、検出手段41で検出した反射スペクトルを、予め材質ごとに登録されているスペクトルと比較照合して黒色廃プラスチック片Pの材質を同定する材質同定手段51(例えば、図5の判別装置52)とを主要部として備えている。
さらに、同選別装置1は、搬送手段21による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズル62が設けられており、材質同定手段51の結果に応じて、噴射ノズル62からエアーを噴射して材質同定手段51の結果に対応する材質の黒色廃プラスチック片Pを落下させる選別手段61(例えば、図5の判別装置52,噴射ノズル62)と、選別手段61により落下する黒色廃プラスチック片Pを材質毎に回収する回収手段71(例えば、図5の回収ホッパー72)とを主要部として備えている。
供給手段11は、例えば、投入ホッパー12と移送コンベア13と投入フィーダー14とからなる。投入ホッパー12は、破砕された黒色廃プラスチック片Pを受け入れ可能に構成されている。移送コンベア13は、投入ホッパー12から供給される黒色廃プラスチック片Pを投入フィーダー14に供給する。投入フィーダー14は、振動フィーダー又は電磁フィーダー等で構成されており、振動することによって、黒色廃プラスチック片P同士の重畳を防止しながら搬送手段21に供給する。
搬送手段21は、例えば、搬送コンベア22からなる。搬送コンベア22は、供給手段11から遠ざかる向きに黒色廃プラスチック片Pを搬送するようになっている。
照射手段31は、ハロゲンタングステンランプ等の赤外線光源32で構成されている。赤外線光源32は、黒色廃プラスチック片Pに向かって赤外線を照射する機能を有する。また、赤外線光源32は、中赤外線センサー42に黒色廃プラスチック片Pからの反射光が入光するように設置され、搬送コンベア22の流れ方向の上部両側又は上部片側に設置されている。
反射スペクトル検出手段41は、中赤外線センサー42からなる。中赤外線センサー42は、例えば、中赤外線の波長領域3μm以上の分光器付カメラで構成されている。また、中赤外線センサー42は、黒色廃プラスチック片Pからの近赤外線の反射光を受光し、受光結果をコンピュータ等の判別装置52に出力する。
中赤外線センサー42の分光器付カメラは、搬送コンベア22の幅方向に320点一括で一度に赤外線スペクトルを測定できるように、320ドットの解像度を有するものを用いるとよい。この時、黒色廃プラスチック片Pのサイズが5mm角程度である場合、4mm間隔で測定すれば、搬送コンベア22の幅方向にある黒色廃プラスチック片Pを一度に全て測定することができる。搬送コンベア22の幅は、測定の有効幅が4mm×320=1280mm幅となるので、例えば1400mmとする。
また、搬送コンベア22の流れ速度については、分光器付カメラの露光時間が1.7msで測定できるので、1秒間に最大590回の測定が可能であり、分光器付カメラが400フレーム/秒の性能であれば、4mm×400回/秒×60秒/分=96m/分の速度となるので、搬送コンベア22上を流れる黒色廃プラスチック片Pを全て測定できることになる。
また、黒色廃プラスチック片Pのサイズが6〜10mm角程度の場合、6mm間隔で測定すれば搬送コンベア22の幅方向にある黒色廃プラスチック片Pを全て測定することができる。測定の有効幅が6mm×320=1920mm幅となるので、搬送コンベア22の幅は、例えば2000mmとする。
また、搬送コンベア22の流れ速度については6mm×400回/秒×60秒/分=144m/分の速度となるので、搬送コンベア22上を流れる黒色廃プラスチック片Pを全て測定することができる。
上述の搬送コンベア22の幅と速度との関係によれば、黒色廃プラスチック片Pを1時間当り1トン程度以上の処理が可能となる。
材質同定手段51は、例えば、コンピュータ等の判別装置52で構成されている。判別装置52は、入力された受光結果を予め材質毎に登録されているスペクトルと波長領域3μm以上で比較照合する。そして、判別装置52は、比較照合の結果、スペクトルが一致した場合には、そのスペクトルを有する材質と判別(同定)し、その判別結果に基づいて、選別手段61のエアー噴射を制御する信号を送信する。
具体的には、判別装置52は、反射光から吸光ピークを求め、その吸光ピークの位置(波長)が、例えば、図6に示す中赤外線領域における主なプラスチックの赤外線吸収スペクトルの吸光ピークの位置と一致した場合に、その特性を有する材料と判別(同定)する。なお、吸光ピークからだけではなく、反射光のスペクトルと材質毎の既知のスペクトルとのパターンマッチングにより材質を特定してもよい。
選別手段61は、判別装置52とエアー噴射ノズル62とで構成されている。噴射ノズル62は、例えば、搬送コンベア22の上流から下流に向けて、材質毎に順に複数配置されている。判別装置52からの制御信号を受信したエアー噴射ノズル62は、ノズル口(図示省略。)を開いてエアーを噴射する。
搬送コンベア22上の黒色廃プラスチック片Pは、判別装置52が、複数配置されているエアー噴射ノズル62のうち、材質に応じたエアー噴射ノズル62を選択して、タイミングを計って制御信号を送信することにより、制御信号を受信したエアー噴射ノズル62からエアーを受けて、材質毎に設けられた回収ホッパー72に吹き飛ばされる。黒色廃プラスチック片Pの材質毎に吹き飛ばすことができるので、吹き飛ばされずにそのまま回収された黒色廃プラスチック片Pの材質も同定することができる。
回収手段71は、回収ホッパー72で構成されている。回収ホッパー72は、搬送コンベア22の下部に選別される材質の種類毎に設けられており、落下する黒色廃プラスチック片Pを回収できるように構成されている。
4.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の動作
最後に、同選別装置1の動作について説明する。なお、「3.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成」の項目の説明と重複する部分については説明を省略する。
搬送コンベア22は、供給手段11から供給された黒色廃プラスチック片Pに振動を与えながら重ならないようにして下流に搬送する。
中赤外線センサー42は、赤外線光源32から発せられた赤外線の黒色廃プラスチック片Pによる反射光を受光し、受光結果をコンピュータ等の判別装置52に出力する。
判別装置52は、中赤外線センサー42から入力された受光結果の吸光ピークの位置(波長)から、黒色廃プラスチック片Pの材質を同定する。
判別装置52は、複数配置されているエアー噴射ノズル62のうち、材質に応じたエアー噴射ノズル62を選択して、タイミングを計って制御信号を送信する。
制御信号を受信したエアー噴射ノズル62は、ノズル口を開口して、エアーを噴射する。
搬送コンベア22上の黒色廃プラスチック片Pは、制御信号を受信したエアー噴射ノズル62からエアーを受けて、材質毎に設けられた回収ホッパー72に吹き飛ばされ落下して回収される。黒色廃プラスチック片Pの材質毎に吹き飛ばすことができるので、吹き飛ばされずにそのまま回収ホッパー72に落下して回収された黒色廃プラスチック片Pの材質も同定することができる。
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
1 黒色廃プラスチックの材質識別装置
11 供給手段
12 投入ホッパー
13 移送コンベア
14 投入フィーダー
21 搬送手段
22 搬送コンベア
31 照射手段
32 赤外線光源
41 反射スペクトル検出手段
42 中赤外線センサー
51 材質同定手段
52 判別装置
61 選別手段
62 エアー噴射ノズル
P 黒色廃プラスチック片
本発明は、廃家電製品等に由来する破砕された黒色廃プラスチック片の材質を、高精度で大量に自動選別できるようにした黒色廃プラスチックの材質選別装置に関する。
廃プラスチックのリサイクル技術の開発は、近年の廃棄物の増加及び限られた資源の有効利用のための重要課題の一つとなっている。廃プラスチックのリサイクル方法としては、材料・製品への再資源化をするマテリアルリサイクルと、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するサーマルリサイクルとに大きく分けられる。特に、マテリアルリサイクルは、プラスチックの生産量を低減することができるので、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を削減することができ、現在、最も注目されている。
マテリアルリサイクルをするには、回収した廃プラスチックに異なる材質の廃プラスチックが混入すると、再生プラスチックの特性が低下するため、回収した廃プラスチックを高精度に選別する技術が必要となる。
中でも、ポリプロピレン等の黒色樹脂が使用されている廃家電や自動車等の大型廃棄物から大量に発生する黒色廃プラスチックの材質を高精度に選別する技術が近年求められている。このような黒色廃プラスチックの材質を選別する技術として、特許文献1〜4に開示された技術が知られている。
特許文献1に開示された技術は、樹脂素材に放射線を照射したときに当該樹脂素材により回折される放射線の回折パターンを得て、この回折パターンを、予め用意した分析対象の成分、例えば難燃剤や難燃助剤の回折パターンと比較することにより、樹脂素材中に当該成分が含まれるか否かを判定する。この技術によれば、仮に樹脂素材の表面に塗装が施されている場合であっても、塗装を剥離することなく樹脂素材の選別が可能となる。
また、特許文献2に開示された技術は、被識別プラスチックにレーザ光を照射したときに被識別プラスチックから散乱されたラマン散乱光のラマン散乱スペクトルを測定し、このラマン散乱スペクトルの既知ピーク位置及び既知ベースライン位置に対応するラマンシフト波数におけるラマン散乱強度を、予めプラスチックの材質毎に用意した既知ピーク位置及び既知ベースライン位置のラマン散乱強度と比較することにより、プラスチックの材質を高速で識別することができる。
また、特許文献3に開示された技術は、赤外線をプラスチック試料に照射したときの透過光又は反射光を測定し、中赤外領域(波長範囲2.5〜25μm)におけるスペクトルを解析して得られる情報に基づいてプラスチック試料を構成するプラスチックの種類や、剛性、衝撃吸収性等に関するグレードを判別することができる。
さらに、特許文献4に開示された技術は、破砕された異なる材質からなる第一のプラスチック片、第二のプラスチック片を、一定の圧力を加える押出しローラと加熱された圧延ローラとからなる薄片化装置により薄片化し、このプラスチック薄片に赤外線を照射し、赤外線検出器により検出される赤外線透過スペクトルを識別装置により、既知のプラスチックの赤外線透過スペクトルと比較照合して材質を同定する。この特許文献4に開示された技術によれば、プラスチック薄片を材質ごとに選別することができる。
特開2005−003440号公報 特許第4203916号 特開2001−074650号公報 特開2010−110733号公報
しかしながら、特許文献1に開示された選別方法は、放射線を使用しているため装置自体が高価となり実用的でなかった。また、対象物の形状で反射角度が異なるために、対象物の角度調整が必要となり、迅速に選別することができなかった。
また、特許文献2に開示された識別方法は、炭素充填剤を含有する黒色プラスチックに強いレーザ光を照射すると、炭素充填剤の吸収による発熱でプラスチックが溶融し、ラマン散乱スペクトルが測定できないという問題があった。プラスチックの溶融を防止するために、弱いレーザ光を照射すると、信号強度が不足し、信号の積算のために長時間照射しなければならず、プラスチックの識別に時間がかかるだけでなく、SN比の大きい測定ができないという問題があった。
また、特許文献3に開示された識別方法は、プラスチック試料の形状、表面性状、色、透過率を考慮して、測定方法を選択するとともに、必要に応じてプラスチック試料を前処理する必要あった。プラスチック試料が黒色樹脂から成る場合は、赤外線がほとんど吸収されるため、正反射法を利用することができず、全反射法(ATR法)による測定が必要であった。しかし、全反射法(ATR法)は、対象物の下部にATRクリスタルを設置することが必須となるため、通常の作業現場で採用されているベルトコンベアを使った識別装置に採用することは困難であった。
さらに、特許文献4に開示された選別方法は、透過法によるものであるので、対象物を予め薄片化するという面倒な前処理が必要であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供することである。
本件発明者は、前記課題を解決するために、様々な観点から鋭意研究を重ねてきた。その結果、下記の推察を得た。
プラスチックの材質を高精度に識別するには、材質を識別するための情報をより多く得る必要がある。中赤外線領域のスペクトルは、近赤外線領域のスペクトルより多くの識別するための情報を含んでいる。しかし、プラスチックが黒色の場合、黒色プラスチックに含有されている炭素充填剤が赤外線を吸収してしまうので、中赤外線領域のスペクトルを検出するのは困難である。
そこで、炭素充填剤の赤外線吸収率を調査し、赤外線吸収率の少ない中赤外線領域のスペクトルを見つけることができれば、その領域においては正反射法による黒色廃プラスチックからの中赤外線スペクトルを検出することができ、その検出したスペクトルと、予め材質毎に調べた中赤外線領域のスペクトルとを比較照合することで、黒色廃プラスチックの材質を高精度に識別できるはずである。
したがって、本件発明者は、後述するカーボンの赤外線吸収率についての考察により、波長領域が3μm以上であれば炭素充填剤による中赤外線の吸収率が少ないという推察を得た。さらに、その推察に基づいて、正反射法で測定した中赤外線領域のスペクトルを分析して黒色廃プラスチックを識別する装置により、前記課題が解決することを見出した。
すなわち、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置は、5〜10mm程度に破砕された黒色廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、前記供給手段により供給された前記黒色廃プラスチック片を順次搬送する搬送手段と、赤外線を複数の前記黒色廃プラスチック片に対してコンベア幅方向に同時に照射する照射手段と、前記搬送手段の搬送コンベア幅方向の全ての黒色廃プラスチック片からの赤外線直接反射光の3μm以上の中赤外線領域をライン分光方式により、搬送コンベア幅方向全ての黒色廃プラスチック片のスペクトル検出を同時に行うスペクトル検出手段と、前記スペクトル検出手段によって検出された前記搬送コンベア幅方向全ての黒色廃プラスチック片のスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記黒色廃プラスチック片の材質の同定を複数同時に行う材質同定手段と、前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが複数設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、複数の前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する黒色廃プラスチック片を複数同時に落下させる選別手段と、前記選別手段により落下する複数の黒色廃プラスチック片を材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴としている。
請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、炭素充填剤による赤外線吸収率が少ない波長領域であるので、十分な強度のスペクトルを得ることができる。つまり、従来の装置では困難であった黒色廃プラスチックのスペクトルを正反射法で測定することが可能となり、他の電磁波測定を採用する場合と比べて安価に装置を製造することができる。
また、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、中赤外線領域のスペクトルを分析するので、材質を識別するための情報が多くなり、より高精度に材質を識別することができる。
また、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、スペクトルを正反射法で測定することができるので、全反射法で必須であるATRクリスタルを黒色廃プラスチック片の下部に設置する必要もなく、ベルトコンベアを使った通常の作業現場に採用することができ、大量の黒色廃プラスチックを選別することができる。
また、請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置によれば、正反射法でスペクトルを測定することができるので、予めプラスチックを薄片化するといった面倒な前処理を必要とすることなく、黒色廃プラスチックを破砕するだけで材質を識別することができ、作業効率が向上する。
請求項2に記載の廃プラスチックの材質選別装置は、廃プラスチックを材質毎に選別する廃プラスチックの材質選別装置において、黒色廃プラスチック片を含む5〜10mm程度に破砕された廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、前記供給手段により供給された前記廃プラスチック片を順次搬送する搬送手段と、赤外線を複数の前記廃プラスチック片に対してコンベア幅方向に同時に照射する照射手段と、前記搬送手段の搬送コンベア幅方向の全ての黒色廃プラスチック片からの赤外線直接反射光の3μm以上の中赤外線領域をライン分光方式により、搬送コンベア幅方向全ての黒色廃プラスチック片のスペクトル検出を同時に行うスペクトル検出手段と、前記スペクトル検出手段によって検出された前記搬送コンベア幅方向全ての黒色廃プラスチック片のスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記廃プラスチック片の材質の同定を複数同時に行う材質同定手段と、前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが複数設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、複数の前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する廃プラスチック片を複数同時に落下させる選別手段と、前記選別手段により落下する複数の廃プラスチック片を材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴としている。
請求項2に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、炭素充填剤による赤外線吸収率が少ない波長領域であるので、黒色廃プラスチックが混合されていても、十分な強度のスペクトルを得ることができる。つまり、従来の装置では困難であった黒色廃プラスチックのスペクトルを他の色の廃プラスチック片と同様に正反射法で測定することが可能となり、他の電磁波測定を採用する場合と比べて安価に装置を製造することができる。
また、請求項2に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、中赤外線領域のスペクトルを分析するので、材質を識別するための情報が多くなり、より高精度に材質を識別することができる。
また、請求項2に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、黒色廃プラスチック片が混合していても、スペクトルを正反射法で測定することができるので、全反射法で必須であるATRクリスタルを廃プラスチック片の下部に設置する必要もなく、ベルトコンベアを使った通常の作業現場に採用することができ、大量の廃プラスチックを選別することができる。
さらに、請求項2に記載の廃プラスチックの材質選別装置によれば、黒色以外の様々な
色の廃プラスチック片が混合していても高精度に材質を識別することができるので、供給
手段の前段階で色別に廃プラスチック片を分別しておく必要もなく、廃プラスチックを破
砕するだけで材質を識別することができ、作業効率が良くなる。
この発明によれば、大量の黒色廃プラスチック片を高精度で迅速に選別することができる安価な黒色廃プラスチックの材質選別装置を提供することができる。
カーボンの赤外線透過率についての計算結果である。 実証実験で使用する異なる材質から成る2種類の黒色廃プラスチック片である。 Type1の黒色廃プラスチック片からの反射赤外線スペクトルである。 Type2の黒色廃プラスチック片からの反射赤外線スペクトルである。 本発明の一実施形態に係る黒色廃プラスチックの材質選別装置の概略構成図である。 中赤外線領域における主なプラスチックの赤外線吸収スペクトルを示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、実験結果及び図面を参照しながら詳細に説明する。
1.炭素充填剤の赤外線吸収率について
先ず、スペクトルを測定する時に阻害原因となる炭素充填剤による赤外線吸収率について考察した。
吸収係数αと消光係数κとの関係は、α=2ωκ/c=4πνκ/c=4πκ/λで与えられ、透過率Τと吸収係数αとの関係は、厚さをdとすると、Τ=exp(−αd)で与えられる。図1は、独立行政法人科学技術振興機構の佐藤勝昭氏によって、カーボンの赤外線透過率Τを膜厚d=200nmとして上記の式を用いて計算した結果である。
図1によれば、波長が長くなればなるほど透過率が大きくなり、吸収率が小さくなるということが分かる。特に波長が3μm以上になると、波長が3μm未満の場合と比較すると吸収率が極端に低下する。また、遠赤外線領域になると光量が極端に落ちることが考えられる。また、吸収率が小さければ、炭素充填剤が赤外線を吸収するこというスペクトルを測定する時の阻害要因を低減することができると推測できる。そこで、前述の推察に基づき波長範囲3μm〜5μmの中赤外線領域で以下の実証実験を行った。
2.実証実験
図2は、実証実験に使用する2種類の材質の黒色廃プラスチック片を示している。Type1は廃家電に由来する黒色プラスチック片であり、Type2は廃自動車に由来する黒色プラスチック片である。
図3及び図4は、Type1とType2とをそれぞれ下記の要件でスペクトル分析をした結果である。図3及び図4は、Type1及びType2の黒色廃プラスチック片にそれぞれ赤外線を照射し、その反射光を3μm〜5μmの分光器付中赤外線カメラを使用して露光時間1.7msで測定して得られた反射赤外線スペクトルである。
図3及び図4の結果から、Type1及びType2の材質のそれぞれの吸光ピークの位置(波長)がはっきりと現れており、黒色プラスチック片にもかかわらず、スペクトルが測定できていると言える。つまり、波長範囲3μm〜5μmの中赤外線領域ならば、炭素充填剤の赤外線吸収による影響が少ないため、反射法によってスペクトルを検出し、黒色プラスチック片を識別できるといえる。
3.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成
続いて、図5を参照して、黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成の概略について説明する。
この黒色廃プラスチックの材質選別装置1は、黒色廃プラスチック片Pを順次供給する供給手段11(例えば、図5の投入ホッパー12,移送コンベア13,投入フィーダー14)と、供給手段11により供給された黒色廃プラスチック片Pを搬送する搬送手段21(例えば、図5の搬送コンベア22)とを主要部として備えている。
また、同選別装置1は、黒色廃プラスチック片Pに赤外線を照射する照射手段31(例えば、図5の赤外線光源32)と、黒色廃プラスチック片Pからの反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段41(例えば、図5の中赤外線センサ42)と、検出手段41で検出した反射スペクトルを、予め材質ごとに登録されているスペクトルと比較照合して黒色廃プラスチック片Pの材質を同定する材質同定手段51(例えば、図5の判別装置52)とを主要部として備えている。
さらに、同選別装置1は、搬送手段21による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズル62が設けられており、材質同定手段51の結果に応じて、噴射ノズル62からエアーを噴射して材質同定手段51の結果に対応する材質の黒色廃プラスチック片Pを落下させる選別手段61(例えば、図5の判別装置52,噴射ノズル62)と、選別手段61により落下する黒色廃プラスチック片Pを材質毎に回収する回収手段71(例えば、図5の回収ホッパー72)とを主要部として備えている。
供給手段11は、例えば、投入ホッパー12と移送コンベア13と投入フィーダー14とからなる。投入ホッパー12は、破砕された黒色廃プラスチック片Pを受け入れ可能に構成されている。移送コンベア13は、投入ホッパー12から供給される黒色廃プラスチック片Pを投入フィーダー14に供給する。投入フィーダー14は、振動フィーダー又は電磁フィーダー等で構成されており、振動することによって、黒色廃プラスチック片P同士の重畳を防止しながら搬送手段21に供給する。
搬送手段21は、例えば、搬送コンベア22からなる。搬送コンベア22は、供給手段11から遠ざかる向きに黒色廃プラスチック片Pを搬送するようになっている。
照射手段31は、ハロゲンタングステンランプ等の赤外線光源32で構成されている。赤外線光源32は、黒色廃プラスチック片Pに向かって赤外線を照射する機能を有する。また、赤外線光源32は、中赤外線センサー42に黒色廃プラスチック片Pからの反射光が入光するように設置され、搬送コンベア22の流れ方向の上部両側又は上部片側に設置されている。
反射スペクトル検出手段41は、中赤外線センサー42からなる。中赤外線センサー42は、例えば、中赤外線の波長領域3μm以上の分光器付カメラで構成されている。また、中赤外線センサー42は、黒色廃プラスチック片Pからの近赤外線の反射光を受光し、受光結果をコンピュータ等の判別装置52に出力する。
中赤外線センサー42の分光器付カメラは、搬送コンベア22の幅方向に320点一括で一度に赤外線スペクトルを測定できるように、320ドットの解像度を有するものを用いるとよい。この時、黒色廃プラスチック片Pのサイズが5mm角程度である場合、4mm間隔で測定すれば、搬送コンベア22の幅方向にある黒色廃プラスチック片Pを一度に全て測定することができる。搬送コンベア22の幅は、測定の有効幅が4mm×320=1280mm幅となるので、例えば1400mmとする。
また、搬送コンベア22の流れ速度については、分光器付カメラの露光時間が1.7msで測定できるので、1秒間に最大590回の測定が可能であり、分光器付カメラが400フレーム/秒の性能であれば、4mm×400回/秒×60秒/分=96m/分の速度となるので、搬送コンベア22上を流れる黒色廃プラスチック片Pを全て測定できることになる。
また、黒色廃プラスチック片Pのサイズが6〜10mm角程度の場合、6mm間隔で測定すれば搬送コンベア22の幅方向にある黒色廃プラスチック片Pを全て測定することができる。測定の有効幅が6mm×320=1920mm幅となるので、搬送コンベア22の幅は、例えば2000mmとする。
また、搬送コンベア22の流れ速度については6mm×400回/秒×60秒/分=144m/分の速度となるので、搬送コンベア22上を流れる黒色廃プラスチック片Pを全て測定することができる。
上述の搬送コンベア22の幅と速度との関係によれば、黒色廃プラスチック片Pを1時間当り1トン程度以上の処理が可能となる。
材質同定手段51は、例えば、コンピュータ等の判別装置52で構成されている。判別装置52は、入力された受光結果を予め材質毎に登録されているスペクトルと波長領域3μm以上で比較照合する。そして、判別装置52は、比較照合の結果、スペクトルが一致した場合には、そのスペクトルを有する材質と判別(同定)し、その判別結果に基づいて、選別手段61のエアー噴射を制御する信号を送信する。
具体的には、判別装置52は、反射光から吸光ピークを求め、その吸光ピークの位置(波長)が、例えば、図6に示す中赤外線領域における主なプラスチックの赤外線吸収スペクトルの吸光ピークの位置と一致した場合に、その特性を有する材料と判別(同定)する。なお、吸光ピークからだけではなく、反射光のスペクトルと材質毎の既知のスペクトルとのパターンマッチングにより材質を特定してもよい。
選別手段61は、判別装置52とエアー噴射ノズル62とで構成されている。噴射ノズル62は、例えば、搬送コンベア22の上流から下流に向けて、材質毎に順に複数配置されている。判別装置52からの制御信号を受信したエアー噴射ノズル62は、ノズル口(図示省略。)を開いてエアーを噴射する。
搬送コンベア22上の黒色廃プラスチック片Pは、判別装置52が、複数配置されているエアー噴射ノズル62のうち、材質に応じたエアー噴射ノズル62を選択して、タイミングを計って制御信号を送信することにより、制御信号を受信したエアー噴射ノズル62からエアーを受けて、材質毎に設けられた回収ホッパー72に吹き飛ばされる。黒色廃プラスチック片Pの材質毎に吹き飛ばすことができるので、吹き飛ばされずにそのまま回収された黒色廃プラスチック片Pの材質も同定することができる。
回収手段71は、回収ホッパー72で構成されている。回収ホッパー72は、搬送コンベア22の下部に選別される材質の種類毎に設けられており、落下する黒色廃プラスチック片Pを回収できるように構成されている。
4.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の動作
最後に、同選別装置1の動作について説明する。なお、「3.黒色廃プラスチックの材質選別装置1の構成」の項目の説明と重複する部分については説明を省略する。
搬送コンベア22は、供給手段11から供給された黒色廃プラスチック片Pに振動を与えながら重ならないようにして下流に搬送する。
中赤外線センサー42は、赤外線光源32から発せられた赤外線の黒色廃プラスチック片Pによる反射光を受光し、受光結果をコンピュータ等の判別装置52に出力する。
判別装置52は、中赤外線センサー42から入力された受光結果の吸光ピークの位置(波長)から、黒色廃プラスチック片Pの材質を同定する。
判別装置52は、複数配置されているエアー噴射ノズル62のうち、材質に応じたエアー噴射ノズル62を選択して、タイミングを計って制御信号を送信する。
制御信号を受信したエアー噴射ノズル62は、ノズル口を開口して、エアーを噴射する。
搬送コンベア22上の黒色廃プラスチック片Pは、制御信号を受信したエアー噴射ノズル62からエアーを受けて、材質毎に設けられた回収ホッパー72に吹き飛ばされ落下して回収される。黒色廃プラスチック片Pの材質毎に吹き飛ばすことができるので、吹き飛ばされずにそのまま回収ホッパー72に落下して回収された黒色廃プラスチック片Pの材質も同定することができる。
なお、本発明は前述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
1 黒色廃プラスチックの材質識別装置
11 供給手段
12 投入ホッパー
13 移送コンベア
14 投入フィーダー
21 搬送手段
22 搬送コンベア
31 照射手段
32 赤外線光源
41 反射スペクトル検出手段
42 中赤外線センサー
51 材質同定手段
52 判別装置
61 選別手段
62 エアー噴射ノズル
P 黒色廃プラスチック片

Claims (3)

  1. 黒色廃プラスチックを材質毎に選別する黒色廃プラスチックの材質選別装置において、
    黒色廃プラスチック片からの波長領域3μm以上の中赤外線反射スペクトルを分析して、黒色廃プラスチックの材質を選別することを特徴とする黒色廃プラスチックの材質選別装置。
  2. 破砕された黒色廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、
    前記供給手段により供給された前記黒色廃プラスチック片を搬送する搬送手段と、
    前記黒色廃プラスチック片に赤外線を照射する照射手段と、
    前記黒色廃プラスチック片からの中赤外線反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段と、
    前記反射スペクトル検出手段によって検出されたスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記黒色廃プラスチック片の材質の同定を行う材質同定手段と、
    前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する黒色廃プラスチック片を落下させる選別手段と、
    前記選別手段により落下する黒色廃プラスチックを材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の黒色廃プラスチックの材質選別装置。
  3. 廃プラスチックを材質毎に選別する廃プラスチックの材質選別装置において、
    黒色廃プラスチック片を含む破砕された廃プラスチック片を順次供給する供給手段と、
    前記供給手段により供給された前記廃プラスチック片を搬送する搬送手段と、
    前記廃プラスチック片に赤外線を照射する照射手段と、
    前記廃プラスチック片からの中赤外線反射スペクトルを検出する反射スペクトル検出手段と、
    前記反射スペクトル検出手段によって検出されたスペクトルと、予め材質ごとに登録されているスペクトルとを波長領域3μm以上で比較照合して、前記廃プラスチック片の材質の同定を行う材質同定手段と、
    前記搬送手段による搬送方向と交差する方向に横又は斜めからエアーを噴射する噴射ノズルが設けられており、前記材質同定手段の結果に応じて、前記噴射ノズルからエアーを噴射して材質同定手段の結果に対応する廃プラスチック片を落下させる選別手段と、
    前記選別手段により落下する廃プラスチックを材質毎に回収する回収手段とを備えることを特徴とする廃プラスチックの材質選別装置。
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