以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式によって画像を形成する複写機の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係る複写機の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。この複写機は、プリンタ部1と、白紙供給装置100と、原稿搬送読取ユニット150とを備えている。原稿搬送読取ユニット150は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ160と、これに支持される原稿搬送装置たるADF170とを有している。
白紙供給装置100は、ペーパーバンク101内に多段に配設された4つの給紙ユニット107、給紙路108、複数の搬送ローラ対109等を備えている。また、4つの給紙ユニット107はそれぞれ、給紙カセット104、給紙ローラ105、分離ローラ対106等から構成されている。
給紙ユニット107は、記録シートPを複数枚重ねた紙束の状態で給紙カセット104内に収容している。そして、プリンタ部1からの制御信号に基づいて、給紙ローラ105を回転駆動させて、紙束における一番上の記録シートPを給紙路108に向けて送り出す。送り出された記録シートPは、分離ローラ対106によって1枚に分離されてから、給紙路108内に至る。そして、給紙路108内に設けられた複数の搬送ローラ対109の搬送ニップを経由して、プリンタ部1の第1受入分岐路30に送られる。
プリンタ部1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,K、第1受入分岐路30、受入搬送ローラ対31、手差しトレイ32、第2受入分岐路34等を備えている。また、手差し分離ローラ対35、転写前搬送路36、レジストローラ対37、搬送ベルトユニット39、定着ユニット43、スイッチバック装置46、排紙ローラ対47、排紙トレイ48、光書込ユニット50、転写ユニット60等も備えている。なお、像担持体ユニットとしてのプロセスユニット2Y,M,C,Kは、所定のピッチで並ぶ像担持体たるドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。
後述する2次転写ニップの直前で記録シートPを搬送するための転写前搬送路36は、紙搬送方向の上流側で第1受入分岐路30と第2受入分岐路34とに分岐している。白紙供給装置100の給紙路108から送り出された記録シートPは、プリンタ部1の第1受入分岐路30に受け入れられた後、第1受入分岐路30内に配設された受入搬送ローラ対31の搬送ニップを経由して転写前搬送路36に送られる。
プリンタ部1の筺体における側面には、手差しトレイ32が筺体に対して開閉可能に配設されており、筺体に対して開いた状態でトレイ上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録シートPは、手差しトレイ32の送出ローラ32aによって第2受入分岐路34に向けて送り出される。そして、手差し分離ローラ対35によって1枚に分離されてから転写前搬送路36に送られる。
光書込ユニット50は、図示しないレーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有している。そして、後述するスキャナ160によって読み取られた画像情報や、外部のパーソナルコンピュータから送られている画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。これにより、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、図示しない駆動手段によってそれぞれ図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。光書込ユニット50は、駆動中の感光体3Y,M,C,Kに対して、画像情報に基づいて変調したレーザー光Lをそれぞれ感光体の回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,M,C,Kには、Y,M,C,K画像情報に基づいた静電潜像が形成され、現像装置4Y,M,C,KによってY,M,C,Kトナー像に現像される。
図2は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。各色のプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、像担持体たる感光体と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部本体に対して感光体や各種装置が一体的に着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yの他、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、後述するY用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Y表面に付着している転写残トナーを除去するドラムクリーニング装置18Yなども有している。本複写機では、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
図3は、Y用のプロセスユニット2Yを示す拡大構成図である。同図に示されるように、プロセスユニット2Yは、感光体3Yの周りに、現像装置4Y、ドラムクリーニング装置18Y、帯電ローラ16Y等を有している。また、図示しない除電ランプ等も有している。
図中反時計回り方向に回転駆動される感光体3Yの表面は、その回転に伴って光書込ユニット(50)による光走査位置に進入する前に、帯電ローラ16Yによる一様帯電処理位置を通過する。帯電ローラ16Yには、図示しない電源により、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスが印加されている。かかる帯電ローラ16Yは、感光体3Yの表面に当接又は近接するように配設されており、感光体3Yとの間に放電を発生させる。この放電により、感光体3Yの表面がYトナーの正規帯電極性と同極性に一様帯電せしめられる。帯電部材として、帯電ローラ16Yの代わりに、金属製の回転軸部材と、これの周面に立設せしめられた複数の導電性起毛からなるブラシローラ部とを具備する帯電ブラシローラを用いてもよい。
感光体3Yを一様帯電せしめる帯電装置として、帯電ローラ方式や帯電ブラシ方式のものに代えて、コロトロンやスコロトロンなどのコロナ放電方式のものを用いてもよい。但し、帯電ローラ方式や帯電ブラシ方式の帯電装置では、コロナ放電方式のものに比べて、オゾンの発生量を大幅に低減することができる。
帯電ローラ16Yによって一様に帯電せしめられた感光体3Yの表面は、レーザー光Lによる光走査で露光部の電位を減衰させる。これにより、感光体3Yの表面には静電潜像が形成される。この静電潜像の電位も、一様帯電部(地肌部)と同様にYトナーの正規帯電極性と同極性であるが、その絶対値が地肌部電位の絶対値よりも大幅に小さくなっている。
感光体3Yは、有機光導電層を有するいわゆる有機感光体(OPC)である。かかる感光体3Yとしては、アルミニウム等からなる導電性支持体の表面に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。
現像装置4Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて潜像を現像するものである。内部に収容している現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部5Yと、感光体3Y上の静電潜像を現像する現像部9Yとを有している。なお、現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用していもよい。
攪拌部5Yは、現像部9Yよりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された第1搬送スクリュウ6Y及び第2搬送スクリュウ7Y、これらスクリュウの間に設けられた仕切り板、ケーシングの底面に設けられたトナー濃度センサー8Yなどを有している。
現像部9Yは、ケーシングの開口を通して感光体3Yに対向する現像ロール10Y、これに対して自らの先端を近接させるドクターブレード13Yなどを有している。また、現像ロール10Yは、非磁性材料からなる筒状の現像スリーブ11Yと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ12Yとを有している。このマグネットローラ12Yは、周方向に並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれスリーブ上の現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部5Yから送られてくる現像剤を現像スリーブ11Y表面に引き寄せて担持させるとともに、磁力線に沿った磁気ブラシをスリーブ表面上に形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブ11Yの回転に伴ってドクターブレード13Yとの対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体3Yに対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ11Yに印加される現像バイアスと、感光体3Yの静電潜像との電位差によってYトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、現像スリーブ11Yの回転に伴って再び現像部9Y内に戻り、マグネットローラ12Yの磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部5Y内に戻される。攪拌部5Y内には、トナー濃度センサー8Yによる検知結果に基づいて、現像剤に適量のトナーが補給される。
現像スリーブ11Yに印加される現像バイアスは、Yトナーの正規帯電極性と同極性で、その絶対値が感光体3Yの地肌部電位の絶対値よりも小さく且つ静電潜像の電位の絶対値よりも大きい直流電圧からなる。これにより、いわゆるネガ−ポジ現像が行われる。
感光体3Yの表面に形成されたYトナー像は、感光体3Yの表面移動に伴ってY用の1次転写ニップに進入する。具体的には、無端状の中間転写ベルト61の裏面(ループ内周面)には、Y用の1次転写ローラ62Yが当接しており、中間転写ベルト61を感光体3Yに向けて押し付けている。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、感光体3Yとが当接するY用の1次転写ニップが形成されている。1次転写ローラ62Yには、図示しない電源により、Yトナーの正規帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加されている。この印加により、Y用の1次転写ニップには、感光体3Yの静電潜像と中間転写ベルト61のおもて面との間に転写電界が形成されている。感光体3Yの回転駆動に伴ってY用の1次転写ニップに進入したYトナー像は、ニップ圧や転写電界の作用によって感光体3Yから中間転写ベルト61のおもて面に1次転写される。
Y用の1次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面には、中間転写ベルト61に1次転写されなかった若干量の転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ドラムクリーニング装置18Yによって感光体3Yの表面から除去される。
ドラムクリーニング装置18Yとしては、クリーニングブレード20Yを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いている。そして、このドラムクリーニング装置18Yはクリーニングブレード20Y、潤滑剤塗布装置、均しブレード23Y等を有している。
回転駆動に伴ってY用の1次転写ニップを通過した感光体3Yの表面は、ドラムクリーニング装置18Yとの対向位置に進入する。そして、クリーニングブレード20Yによるクリーニング位置、潤滑剤塗布装置による潤滑剤塗布位置、均しブレード23Yによる潤滑剤均し位置を順次通過する。
ゴムや樹脂等からなるクリーニングブレード20Yは、ブレードホルダー24Yによって片持ち支持されている。また、このブレードホルダー24Yは、ブレード固定端側とは反対側の端部を揺動軸として揺動可能に支持されており、コイルバネによって感光体3Yの表面に向けて付勢されている。これにより、ブレードホルダー24Yに片持ち支持されているクリーニングブレード20Yの自由端側のエッジと、感光体3Yの表面とが当接している。クリーニングブレード20Yは、その自由端側のエッジで、感光体3Yの表面に付着している転写残トナーを掻き取る。なお、クリーニングブレード20Yは、この固定端側よりも自由端側を感光体3Yの表面移動方向の上流側に向けるいわゆるカウンター方向で感光体3Yに当接するようになっている。
ドラムクリーニング装置18Yの潤滑剤塗布装置は、塗布ブラシローラ19Y、これに向けて付勢される固形潤滑剤21Y、固形潤滑剤21Yを塗布ブラシローラ19Yに向けて付勢する付勢手段たるコイルバネ22Y等を有している。塗布ブラシローラ19Yを図中時計回り方向に回転駆動せしめる図示しない駆動手段等も有している。塗布ブラシローラ19Yは、図示しない軸受けによって長手方向の両端部が回転自在に支持される回転軸部材と、これの表面に立設せしめられた複数の起毛からなるブラシローラ部とを具備している。そして、ブラシローラ部を固形潤滑剤21Yと感光体3Yの表面との両方に当接させながら、感光体3Yと線速差をもって回転するのに伴って、固形潤滑剤21Yから掻き取った潤滑剤粉末を感光体3Yの表面に塗布する。この塗布により、感光体3Yの表面に潤滑剤粉末からなる潤滑剤膜が形成されて、後述する転写残トナーと感光体3Yとの付着力を弱めてトナーのクリーニング性を向上させたり、感光体3Yを一様帯電処理時の放電エネルギーから保護したりする。
ドラムクリーニング装置18Yの均しブレード23Yも、クリーニングブレード20Yと同様に、ゴムや樹脂等からなり、ブレードホルダー26Yによって片持ち支持されている。このブレードホルダー26Yは、ブレード固定端側とは反対側の端部を揺動軸として揺動可能に支持されており、コイルバネによって感光体3Yの表面に向けて付勢されている。これにより、ブレードホルダー26Yに片持ち支持されている均しブレード23Yの自由端側のエッジと、感光体3Yの表面とが当接している。均しブレード23Yは、その自由端側のエッジで、感光体3Yの表面に塗布された潤滑剤粉末を均等にならす。これにより、感光体3Yの表面上に潤滑剤膜が形成される。なお、均しブレード23Yは、この固定端側よりも自由端側を感光体3Yの表面移動方向の下流側に向けるいわゆるトレーリング方向で感光体3Yに当接するようになっている。
回転駆動に伴ってドラムクリーニング装置18Yによる潤滑剤均し位置を通過した感光体3Yの表面は、図示しない除電ランプによって除電される。そして、帯電ローラ16Yによって再び一様に帯電せしめられた後、上述した光書込ユニットによる光走査が施される。
図2において、プロセスユニット2M,C,Kの感光体3M,C,Kの表面には、これまで説明してきたY用のプロセスユニット2Yと同様の工程により、M,C,Kトナー像が形成される。
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写手段としての転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数のローラによって張架している中間転写ベルト61を、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと、像担持体たる中間転写ベルト61とが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
Y,M,C,K用の1次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された1次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト61を感光体3YY,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の1次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる1次転写電界が形成されている。
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61のおもて面には、各1次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト61のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト61の図中下方には、2次転写対向ローラ72が配設されており、これは中間転写ベルト61における2次転写ローラ68に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61のおもて面と、2次転写対向ローラ72とが当接する2次転写ニップが形成されている。
中間転写ベルト61のループ内において、2次転写ローラ68には、図示しない2次転写電源回路により、トナーの正規帯電極性と同極性(本例では負極性)の2次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトのおもて面に当接しながら2次転写ニップを形成している2次転写対向ローラ72は、接地されている。これにより、2次転写ニップ内には、負極性のトナーをベルト側から2次転写対向ローラ72側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成されている。
2次転写ニップの図中右側方には、図示しない上述のレジストローラ対が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録シートを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで2次転写ニップに送り出す。2次転写ニップ内では、中間転写ベルト61上の4色トナー像が2次転写電界やニップ圧の影響によって記録シートに一括2次転写され、記録シートの白色と相まってフルカラー画像となる。
2次転写ニップを通過した中間転写ベルト61のおもて面には、2次転写ニップで記録シートに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニングブレードを中間転写ベルト61に当接させているベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。なお、クリーニングブレードは、自らと、ベルト内側に配設されたバックアップローラとの間に中間転写ベルト61を挟み込んでいる。
図1において、2次転写ニップを通過した後の記録シートPは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット39に受け渡される。この搬送ベルトユニット39は、無端状の搬送ベルトを駆動ローラと従動ローラとによって張架しながら、駆動ローラの回転駆動によって図中反時計回り方向に無端移動せしめる。そして、2次転写ニップから受け渡された記録シートPをベルト上部張架面に保持しながら、ベルトの無端移動に伴って搬送して定着ユニット43に受け渡す。
定着ユニット43は、駆動ローラと、発熱源を内包する加熱ローラとによって張架した定着ベルトを駆動ローラの回転駆動に伴って図中時計回り方向に無端移動せしめている。そして、定着ベルトの下方に配設された加圧ローラを定着ベルトの下部張架面に当接させて定着ニップを形成している。定着ユニット43に受け入れられた記録シートPは、この定着ニップ内で加圧されたり加熱されたりすることで、表面上のフルカラー画像が定着せしめられる。そして、定着ユニット43内から排紙ローラ対47に向けて送り出される。
記録シートPの第1面だけに画像を形成する片面プリントモードの場合には、排紙ローラ対47のローラ間の排紙ニップに挟み込まれた記録シートPがそのまま機外に排出されて排紙トレイ48上にスタックされる。
定着ユニット43や搬送ベルトユニット39の下方には、スイッチバック装置46が配設されている。記録シートPの両面に画像を形成する両面プリントモードの場合には、排紙ニップに挟み込まれた記録シートPが逆方向に戻されて、スイッチバック装置46に進入する。そして、スイッチバック装置46内で上下反転せしめられた後、再び2次転写転写ニップに送られて、もう片面にも画像の2次転写処理と定着処理とが施される。
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ160は、図示しない原稿の画像を読み取るための読取手段として、固定読取部と、移動読取部とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサーなどを有する固定読取部は、原稿に接触するようにスキャナ160のケーシング上壁に固定された図示しない第1コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF170によって搬送される原稿が第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサーで受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿を走査する。
一方、スキャナ160の移動読取部は、原稿に接触するようにスキャナ160のケーシング上壁に固定された図示しない第2コンタクトガラスの直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第2コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサーで受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿を走査する。
図3において、塗布ブラシローラ19Yによる感光体3Yに対する潤滑剤粉末の塗布量(単位時間あたりの塗布量)は、コイルバネ22Yによる固形潤滑剤21Yの付勢力によって決まる。コイルバネ22Yとして、所望の塗布量が得られるバネ定数のものを選択することで、塗布量を所望の値に調整することが可能である。なお、コイルバネ22Yに代えて、図4に示されるように、固形潤滑剤21Yに荷重をかける重り27Yを設け、重り27Yによって固形潤滑剤21Yを塗布ブラシローラ19Yに向けて付勢してもよい。この場合、重り27Yとして、所望の塗布量が得られる重さのものを選択することで、塗布量を所望の値に調整することが可能である。
なお、感光体3Yの表面に塗布された潤滑剤粉末の一部は、感光体3Yから中間転写ベルト61に転移する。
図5は、2次転写ニップの周囲を示す拡大構成図である。図示のように、2次転写対向ローラ72の側方には、塗布ブラシローラ76が配設されている。そして、この塗布ブラシローラ76に対しては、コイルバネ78によって固形潤滑剤77が押し付けられている。回転駆動する塗布ブラシローラ76は、固形潤滑剤77から掻き取って得た潤滑剤粉末を2次転写対向ローラ72の表面に塗布する。塗布された潤滑剤粉末の一部は、2次転写ニップで2次転写対向ローラ72から中間転写ベルト61の表面に転移する。塗布ブラシローラ76、固形潤滑剤77、及びコイルバネ78は、2次転写対向ローラ72に対して潤滑剤粉末を塗布する潤滑剤塗布手段として機能している。
図3に示される潤滑剤塗布装置や、図5に示される潤滑剤塗布手段は、中間転写ベルト61に対して潤滑剤を間接的に塗布する手段としても機能している。図3に示される潤滑剤塗布装置が中間転写ベルト61に対して潤滑剤粉末を間接的に塗布する量は、感光体3Yに対する塗布量よりも少なくなる。実施形態に係る複写機では、図5に示される潤滑剤塗布手段のコイルバネ78のバネ定数を調整することで、中間転写ベルト61に対する潤滑剤塗布量を調整することができる。これにより、感光体3Yの表面摩擦係数や、中間転写ベルト61の表面摩擦係数を調整することができる。
なお、図2において、ベルトクリーニング装置75の内部に、図3に示される潤滑剤塗布装置と同様の構成のものを設け、それによって潤滑剤粉末を中間転写ベルト61に直接的に塗布してもよい。この潤滑剤塗布装置については、図5に示される潤滑剤塗布手段に加えて設けてもよいし、図5に示される潤滑剤塗布手段の代わりに設けてもよい。
次に、実施形態に係る複写機に用いられるトナーについて説明する。
トナーの結着樹脂として用いられる樹脂として、結晶性樹脂が知られている。また、結晶性樹脂としては、ウレタン結合とウレア結合とのうち、少なくとも何れか一方を具備する結晶性樹脂が知られている。結晶性樹脂は、結晶構造の部位を有する樹脂であり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有する。かかる結晶性樹脂は、高化式フローテスターによって測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6の範囲にある。これにより、熱によって急峻に軟化するという特性を発揮する。
トナーの結着樹脂として用いられる非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂であり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。非結晶性樹脂は、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きく、熱により緩やかに軟化するという特性を発揮する。
樹脂の軟化温度については、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。具体的には、試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間の条件で加熱しながら、プランジャーによって2.94MPaの荷重を与える。そして、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出しながら、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とする。
また、樹脂の融解熱の最大ピーク温度については、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。具体的には、融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料を、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。そして、DSCにより、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描く。このときに観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間だけ保管する。次いで、前記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とする。
トナーの結着樹脂中における結晶性樹脂の含有量としては、50質量%以上であることが好ましい。かかるトナーでは、結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現できるからである。また、前記含有量は、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量が50質量%未満であると、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立が難しくなる。
トナーは、トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度Cと、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度Aとの関係について、次のような条件を具備するものであることが好ましい。即ち、「C/(C+A)」の解が0.15以上であるという条件である。かかる条件を具備するトナーは、定着性と耐熱保存性との両立を図ることができる。更に、後述するように、凹凸紙を用いた場合における濃度ムラや色調ムラの発生を抑えることができる。なお、前記解は、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが特に好ましい。
トナーがワックスを含有するものである場合、2Θ=23.5〜24°の位置にワックス固有の回折ピークが現れることが多い。しかし、トナー全重量に対するワックス含有量が15wt%以下である場合は、ワックス固有の回折ピークの寄与がわずかであることから考慮しなくてもよい。15wt%以上の場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を上述の「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度C」とする。
「C/(C+A)」の解は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。X線回折測定としては、例えば2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を例示することができる。なお、従来から公知である結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、前記解がおおよそ0.15未満になる。X繊回折測定では、キャピラリーとして、マークチューブ(リンデンマンガラス)の直径0.70mmであるものを使用する。トナーの試料をこのキャピラリー管の上部まで詰めてX線回折測定を行う。なお、サンプルを詰める際はタッピングを行い、タッピング回数は100回とする。
X線回折測定における詳細条件は次の通りである。
・管電流:40mA
・管電圧:40kV
・ゴニオメーター2θ軸:20.0000°
・ゴニオメーターΩ軸:0.0000°
・ゴニオメーターφ軸:0.0000°
・検出器距離:15cm(広角測定)
・測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2
・測定時間:600sec
入射光学系には、φ1mmのピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。そして、得られたX線回折測定結果を基に、「C/(C+A)」を算出する。
X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を、図6、図7に示す。これらの図のグラフにおいて、横軸は2θを示し、縦軸はX線回折強度を示している。それらの軸は何れも線形軸である。図6のX線回折スペクトルにおいては、2θ=21.3°、24.2°に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。その主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。この2の主要なピークとハローは、次のガウス関数で表される。
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp12)}
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp22)}
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch2)}
これらのガウス関数において、fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)はそれぞれ、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数を示している。3つのガウス関数の和である
「f(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)」を、X線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図7)とする。そして、最小二乗法によるフィッティングを行う。フィッティング変数としては、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つを用いる。それらフィッティング変数のフィッティングの初期値とする。そして、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図示の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数に適宜入力して、2つの主要ピークとハローとをX線回折スペクトルにできる限り一致させて得られる値を設定する。フィッティングは、例えばMicrosoft社製Excel2003のソルバーを利用して行うことができる。フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)を求める。そして、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率「C/(C+A))を算出することができる。
トナーは、昇温時の最大吸熱ピーク温度T1が、50℃〜70℃であることが好ましく、53℃〜65℃であることがより好ましく、58℃〜62℃であることが更に好ましい。最大吸熱ピーク温度T1が、50℃〜70℃であると、トナーに要求される最低限の耐熱保存性を確保することができ、且つ、従来にはない優れた低温定着性を発揮することができる。最大吸熱ピーク温度T1が、50℃より低いと、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化する。また、最大吸熱ピーク温度T1が70℃より高いと、逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
トナーは、降温時の最大吸熱ピーク温度T2が、30℃〜55℃であることが好ましく、35℃〜55℃であることがより好ましく、40〜55℃であることが更に好ましい。最大吸熱ピーク温度T2が30℃未満であると、定着画像が冷却〜固化される速度が遅く、トナー画像(印刷物)のブロッキングや搬送傷が生じることがある。最大吸熱ピーク温度T2は可能な限り高い値であることが望ましいが、結晶化温度であることから、融点である最大吸熱ピーク温度T1より高い値にはならない。優れた耐熱保存性と、低温定着性とを維持しつつ、トナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制するためには、最大吸熱ピーク温度T1と最大吸熱ピーク温度T2との差(T1−T2)はある程度狭い範囲であることが望ましい。差(T1−T2)は、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることが更に好ましい。差(T1−T2)が40℃より大きい場合には、定着温度とトナー画像の固化される温度の差が大きくトナー画像のブロッキングや搬送傷を抑制する効果が得られない。
トナーの最大吸熱ピーク(T1、T2)については、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。具体的には、まず、約5.0mgのトナーをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次に、窒素雰囲気下、0℃から10℃/minで150℃まで昇温させた後、150℃から10℃/minで0℃まで降温させる。更に、0℃から10℃/minで100℃まで昇温させる。DSCシステムの解析プログラムを用いて、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、トナーの最大吸熱ピーク温度T1(DSCピーク温度)を測定する。また、同様にして降温時におけるトナーの最大発熱ピーク温度T2を測定する。
トナーは、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下の範囲にあり、且つ、昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上75J/g以下であることが好ましい。かかるトナーは、低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立し、耐ホットオフセット性により優れるからである。トナーの融解熱の最大ピーク温度が50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生し易くなり、同最大ピーク温度が70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。また、前記最大ピーク温度は55℃以上、68℃以下であることがより好ましく、58℃以上、65℃以下であることが更に好ましい。
トナーの融解熱量が30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得難くなる。また、前記融解熱量が75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。前記融解熱量は、45J/g以上、70J/g以下であることがより好ましく、50J/g以上、60J/g以下であることが更に好ましい。
トナーの融解熱の最大ピーク温度については、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。具体的には、融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料を、20℃から150℃まで、昇温速度10℃/分間という条件で昇温させる。次いで、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度とする。この時の最大ピーク温度を有する吸熱ピークの吸熱量を、昇温2回目の融解熱量とする。
トナーの結着樹脂として使用される結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜68℃がより好ましく、60℃〜65℃が特に好ましい。前記最大ピーク温度が、50℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
結晶性樹脂の軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)は、0.8〜1.6であるが、0.8〜1.5が好ましく、0.8〜1.4がより好ましく、0.8〜1.3が特に好ましい。前記比が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
トナーは、トナーの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下の範囲にあり、且つ、昇温2回目の融解熱量が、30J/g以上、75J/g以下であることが望ましい。かかるトナーは、低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立し、且つ耐ホットオフセット性に優れるからである。昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生し易くなる。また、昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。前記最大ピーク温度は、55℃以上、68℃以下であることがより好ましく、58℃以上、65℃以下であることが更に好ましい。
トナーの昇温2回目の融解熱量が、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得られ難くなる。また、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。また、前記融解熱量は、45J/g以上、70J/g以下であることがより好ましく、50J/g以上、60J/g以下であることが更に好ましい。
トナーの融解熱の最大ピーク温度については、樹脂と同様に、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料を、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分間で昇温させた。次いで降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度とした。また、この時の前記最大ピーク温度を有する吸熱ピークの吸熱量を、昇温2回目の融解熱量とする。
トナーは、80℃における貯蔵弾性率G’(80)(Pa)が1.0×104以上、5.0×105以下であり、且つ、140℃における貯蔵弾性率G’(140)(Pa)が1.0×103以上、5.0×104以下であることが好ましい。貯蔵弾性率G’(80)(Pa)が1.0×104Pa未満であると、定着画像の連続出力後に、定着画像同士が貼り付くブロッキング現象が発生し易くなる。また、5.0×105Paを超えると、低温領域でのトナーの溶融性が低下し、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。また、貯蔵弾性率G’(80)は、1.0×104Pa以上、1.0×105Pa以下であることがより好ましく、5.0×104Pa以上、1.0×105Pa以下であることが更に好ましい。
トナーの貯蔵弾性率G’(140)(Pa)が1.0×103Pa未満であると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向がある。また、5.0×104Paを超えると、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。貯蔵弾性率G’(140)は、1.0×103Pa以上、1.0×104Pa以下であることがより好ましく、5.0×103Pa以上、1.0×104Pa以下であることが更に好ましい。
トナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)については、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定することが可能である。周波数1Hz条件下で測定される。具体的には、トナー試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させる。そして、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させて測定する。
トナー中におけるTHF可溶分のN元素の量は、0.3〜2.0wt%の範囲にあることが好ましく、0.5〜1.8wt%の範囲にあることがさらに好ましく、0.7〜1.6wt%であることがより好ましい。前記量が2.0wt%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなりすぎることによる定着性の悪化や光沢の低下、帯電性の悪化などが発生する可能性がある。また、前記量が0.3wt%未満であると、トナーの強靭性の低下による画像形成装置内での凝集や部材汚染、トナー溶融状態での粘弾性の低下による高温オフセットの発生の不具合が生じる可能性がある。
前述したN元素の量については、vario MICRO cube(Elementar社製)を使用して測定することが可能である。具体的には、950℃の燃焼炉と、550℃の還元炉、ヘリウム流量=200ml/min、酸素流量=25〜30ml/minの条件でC元素、H元素、N元素を同時測定し、2回測定した値の平均値を算出する。なお、この測定方法でN元素の量が0.5wt%未満であった場合には、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)によって測定を行う。電気炉温度(横型反応炉)については、熱分解部分=800℃、触媒部分=900℃とする。測定条件は、メインO2流量=300ml/min、O2流量=300ml/min、Ar流量=400ml/min、感度=Lowとし、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行う。なお、トナー中におけるTHF可溶分は、予めトナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mLのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものからTHFを加熱減圧除去することにより得られる。
トナー中におけるTHF可溶分にウレア結合が存在することは、ウレア結合は少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できることから重要である。トナー中におけるTHF可溶分のウレア結合の存在は、13C−NMRによって確かめることが可能である。具体的には、分析するサンプル2gを、濃度が0.1mol/Lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mlに浸し、50℃で24hrおいた後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥させる。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mlの濃度で加え、70℃で12〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行う。なお、測定周波数は125.77MHz、1H_60°パルスは5.5μs、基準物質はテトラメチルシラン(TMS)を0.0ppmとする。サンプルにおけるウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるか否かで確認する。カルボニル炭素の化学シフトでは、一般に150〜160ppmの条件で確認される。ポリウレアの一例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルを図8に示す。153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
トナーに添加する離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトンなどが挙げられる。
また、ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなどが挙げられる。前記ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミドなどが挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミドなどが挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトンなどが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。また、長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックスなどが挙げられる。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜100℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。融点が50℃未満であると、耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、100℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することができる。具体的には、まず、離型剤5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温し、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温した後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時における融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
離型剤の溶融粘度としては、100℃における測定値として、5mPa・sec〜100mPa・secが好ましく、5mPa・sec〜50mPa・secがより好ましく、5mPa・sec〜20mPa・secが特に好ましい。溶融粘度が、5mPa・sec未満である場合には、離型性が低下することがある。また、100mPa・secより大きい場合には、耐ホットオフセット性、及び低温での離型性が悪化することがあるため、好ましくない。
トナーにおける離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。1重量%〜20重量%であることが好ましく、3重量%〜10重量%であることがより好ましい。1重量%未満である場合、耐ホットオフセット性が悪化する傾向にある。また、20質量%を超えると、耐熱保存性、帯電性、転写性、耐ストレス性が悪化する傾向にあるため、好ましくない。
トナーに用いられる着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤から目的に応じて適宜選択することができる。着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができるが、カラートナーであるのが好ましい。
ブラック用の着色剤としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられる。また、マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、150、163、177、179、184、202、206、207、209、211、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。また、シアン用の着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36等が挙げられる。また、イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、139、151、154、155、180、185;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36等が挙げられる。
トナー中における着色剤の含有量は、1重量%〜15重量%であることが好ましく、3重量%〜10重量%であることがより好ましい。前記含有量が、1重量%未満であると、トナーの着色力が低下することがある。また、15重量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。着色剤については、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はないが、結着樹脂との相溶性の点から、結着樹脂、又は結着樹脂と類似した構造の樹脂を用いることが好ましい。
マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
トナーに適切な帯電能を付与するために、必要に応じて帯電制御剤をトナーに含有させることも可能である。帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤がいずれも使用可能である。有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましい。例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではないが、前記結着樹脂に対し0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.02重量%〜2重量%がより好ましい。前記添加量が、5重量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。また、0.01重量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼし易いことがある。
実施形態に係る画像形成装置に用いるトナーには、有機変性層状無機鉱物が含まれていても良い。この有機変性層状無機鉱物は、層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部が有機物イオンで変性された有機変性層状無機鉱物である。前記層状無機鉱物は、厚み数nmの層が重ね合わさって形成される層状の無機鉱物である。前述の「変性された」とは、前記層状無機鉱物の層間に存在するイオンに有機物イオンを導入することと同義であり、広義にはインターカレーションである。層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部が有機物イオンで変性された有機変性層状無機鉱物を含有させることで、次のようなことが可能になる。即ち、結晶性樹脂に対する結晶核剤として機能させて、トナーの結晶化度を上げたり、トナー油相に分散することでフィラーとして機能させてトナーの形状を不定形にしたりすることが可能になる。また、層状無機鉱物は、トナーの表層近傍に配置されることで最も大きな効果を発生するが、本発明における有機変性層状無機鉱物は、トナー表層近傍に均一に隙間なく配列することが分かっている。このため、トナー表層近傍の結着樹脂の構造粘性を効率的に高め、定着直後のような樹脂硬度の低い画像の状態であっても充分に画像が保護される。また、少ない添加量でも効率的に効果を発揮できるため、定着性への阻害も殆どないものと考えられる。
トナー中における有機変性層状無機鉱物の存在状態については、次のようにすることで確認することが可能である。即ち、トナー粒子をエポキシ樹脂などに包埋した試料を、マイクロミクロトームやウルトラミクロトームで切削し、トナー断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などで観察するのである。SEMによる観察の場合には、反射電子像で確認することが好ましく、有機変性層状無機鉱物の存在が強いコントラストで観察できるので好ましい。また、FIB−STEM(HD−2000、日立製作所製)を用いて、トナー粒子をエポキシ樹脂等に包埋した試料をイオンビームで切削し、トナーの断面を観察してもよい。この場合にも、反射電子像で確認することが視認のし易さから好ましい。
断面の観察により、トナー表面近傍の状態を確認することも可能である。トナー表面近傍は、次のように定義される。即ち、トナー粒子をエポキシ樹脂などに包埋した試料を、マイクロミクロトーム、ウルトラミクロトーム、FIB−STEM等で切削して得られるトナーの断面を観察する。そのときの観察像において、トナー最表面からトナー内部に0nm〜300nmの領域がトナー表面近傍である。
前記層状無機鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等)、カオリン群粘土鉱物(カオリナイト等)、ベントナイト、アタパルジャイト、マガディアイト、カネマイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機変性層状無機鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部が有機物イオンで変性された有機変性層状無機鉱物などが挙げられる。これらの中でも、スメクタイト系の基本結晶構造を持つスメクタイト群粘土鉱物の層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性されたものが、トナー表面近傍における分散安定性の観点で好ましい。モンモリロナイトの層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性されたもの、ベントナイトの層間のイオンの少なくとも一部が有機カチオンで変性されたものが特に好ましい。
前記有機変性層状無機鉱物が、前記層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部が有機物イオンで変性されていることは、ガスクロマトグラフ質量分析法(GCMS)により確認することができる。例えば、試料であるトナー中の結着樹脂を溶媒により溶解させた溶液を濾過し、得られた固形物を熱分解装置にて熱分解し、GCMSにて有機物の構造を同定する方法が好適に挙げられる。具体的には、熱分解装置として、Py−2020D(フロンティア・ラボ社製)を用い、550℃にて熱分解を行った後、GCMS装置QP5000(島津製作所社製)にて同定する方法が挙げられる。
また、前記有機変性層状無機鉱物としては、前記層状無機鉱物の2価金属の一部を3価の金属に置換することにより、金属アニオンを導入し、更に該金属アニオンの少なくとも一部を有機アニオンで変性した層状無機化合物が挙げられる。
前記有機変性層状無機鉱物としては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Bentone 3、Bentone 38、Bentone 38V(以上、レオックス社製)、チクソゲルVP(United catalyst社製)、クレイトン34、クレイトン40、クレイトンXL(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18ベントナイト;Bentone 27(レオックス社製)、チクソゲルLG(United catalyst社製)、クレイトンAF、クレイトンAPA(以上、サザンクレイ社製)等のステアラルコニウムベントナイト;クレイトンHT、クレイトンPS(以上、サザンクレイ社製)等のクオタニウム18/ベンザルコニウムベントナイト;クレイトンHY(サザンクレイ社製)等の有機変性モンモリロナイト;ルーセンタイトSPN(コープケミカル社製)等の有機変性スクメタイトなどが挙げられる。これらの中でも、クレイトンAF、クレイトンAPAが特に好ましい。
また、前記有機変性層状無機鉱物としては、DHT−4A(協和化学工業社製)を次のようにして変性させたものが特に好ましい。即ち、R1(OR2)nOSO3M(ただし、R1は炭素数13個のアルキル基、R2は炭素数2〜6個のアルキレン基、nは2〜10の整数、Mは1価の金属元素を表す)で表される前記有機物イオンを有する化合物で変性させたものである。R1(OR2)nOSO3Mで表される前記有機イオンを有する化合物としては、例えば、ハイテノール330T(第一工業製薬社製)などが挙げられる。
前記有機変性層状無機鉱物については、必要に応じて樹脂と混合し、複合化されたものをマスターバッチとして使用してもよい。その際、樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
前記有機変性層状無機鉱物のトナーに対する含有量としては、0.1質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2.0質量%がより好ましく、1.0質量%〜1.5質量%が特に好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、層状無機鉱物の効果が発揮され難くなり、3.0質量%を超えると、低温定着性を阻害する傾向にある。
前記有機物イオンを有し、前記層状無機鉱物の層間に存在するイオンの少なくとも一部を有機物イオンに変性可能な化合物である有機物イオン変性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第4級アルキルアンモニウム塩、フォスフォニウム塩、イミダゾリウム塩;炭素数1〜44の分岐、非分岐又は環状アルキル、炭素数1〜22の分岐、非分岐又は環状アルケニル、炭素数8〜32の分岐、非分岐又は環状アルコキシ、炭素数2〜22の分岐、非分岐又は環状ヒドロキシアルキル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の骨格を有する硫酸塩、前記骨格を有するスルホン酸塩、前記骨格を有するカルボン酸塩、前記骨格を有するリン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、第4級アルキルアンモニウム塩、エチレンオキサイド骨格を有するカルボン酸が好ましく、第4級アルキルアンモニウム塩が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記第4級アルキルアンモニウムとしては、トリメチルステアリルアンモニウム、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムなどが挙げられる。
流動性改質や帯電量調整、電気特性の調整などの目的で、トナーに各種の外添剤を添加することが可能である。外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子、が好適に挙げられる。
疎水化されたシリカ微粒子としては、例えばHDK H2000、HDK H2000/4、HDK H2050EP、HVK21、HDK H1303(何れもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(何れも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。チタニア微粒子としては、例えばP−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(何れもテイカ株式会社製)などが挙げられる。疎水化された酸化チタン微粒子としては、例えばT−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(何れもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(何れも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(何れもテイカ株式会社製);IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。疎水化処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、1〜100nmであることが好ましく、3〜70nmであることがより好ましい。平均粒径が1nm未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがある。また、100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができる。疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、無機微粒子のBET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。外添剤の添加量は、トナーに対し0.1〜5重量%であることが好ましく、0.3〜3重量%であることがより好ましい。外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子を併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。樹脂微粒子の添加量は、トナーに対し0.01〜5重量%であることが好ましく、0.1〜2重量%であることがより好ましい。
トナーの製法や材料は、条件を満たしていれば公知のものを全て使用可能であり、特に限定されるものではない。例えば、混練粉砕法や、水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法を例示することができる。ケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等;樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる溶解懸濁法;溶解懸濁法において、活性水素基と反応可能な官能基を有する樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に乳化乃至分散させ、該水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I));樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法;これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法、前記製造方法(I)、凝集法で得られるトナーが、結晶性樹脂による造粒性(粒度分布制御や、粒子形状制御等)の観点から好ましく、前記製造方法(I)で得られるトナーがより好ましい。
混練粉砕法は、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
粉砕では、トナー材料の混練によって得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。分級においては、粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
溶解懸濁法は、例えば、少なくとも結着樹脂乃至樹脂前駆体、着色剤、及び離型剤を含有してなるトナー組成物を有機溶媒中に溶解乃至分散させた油相組成物を、水系媒体中で分散乃至乳化させることにより、トナーの母体粒子を製造する方法である。トナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエステル系又はエステルエーテル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、これらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
溶解懸濁法では、油相組成物を水系媒体中で分散あるいは乳化させる際に、必要に応じて、乳化剤や分散剤を用いても良い。乳化剤又は分散剤としては、公知の界面活性剤、水溶性ポリマー等を用いることができる。界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸、リン酸エステル等)、カチオン界面活性剤(四級アンモニウム塩型、アミン塩型等)、両性界面活性剤(カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等)、非イオン界面活性剤(AO付加型、多価アルコール型等)等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独又は2種以上の界面活性剤を併用してもよい。
水溶性ポリマーとしては、セルロース系化合物(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びそれらのケン化物など)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが挙げられる。また、乳化又は分散の助剤として、上記の有機溶剤及び可塑剤等を併用することもでき
る。
溶解懸濁法では、次のようにしてトナーを得ることが望ましい。即ち、少なくとも結着樹脂、活性水素基と反応可能な官能基を有する結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)、着色剤、及び離型剤を含む油相組成物を用意する。この油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散又は乳化させる。そして、その油相組成物中や水系媒体中に含まれる活性水素基含有化合物と、反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法(製造方法(I))によりトナーの母体粒子を造粒してトナーを得る。
樹脂微粒子は、公知の重合方法を用いて形成することができるが、樹脂微粒子の水性分散液として得ることが好ましい。樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法としては、例えば、以下の(a)〜(h)に示す方法が挙げられる。
(a)ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法の何れかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下で、水性媒体中に分散させる。その後、加熱又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させる。その後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(d)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級することによって樹脂微粒子を得る。その後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(e)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を形成する。その後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(f)予め重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)により合成した樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液に貧溶剤を添加する。あるいは、又は予め溶剤に加熱溶解させた樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、溶剤を除去して樹脂微粒子を形成する。その後、樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(g)重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)によって合成した樹脂を用意する。この樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を、適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、減圧等によって溶剤を除去して、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
(h)重合反応(例えば、付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等)によって合成した樹脂を用意する。この樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化させて、樹脂微粒子の水性分散液を調製する方法。
樹脂微粒子の体積平均粒径は10nm以上、300nm以下であることが好ましく、30nm以上、120nm以下であることがより好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒径が10nm未満である場合や、300nmを超える場合には、トナーの粒度分布が悪化することがあるため好ましくない。
油相の固形分濃度は、40〜80%程度であることが好ましい。濃度が高すぎると、溶解乃至分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、濃度が低すぎると、トナーの製造性が低下する。
着色剤や離型剤等の結着樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチ等は、それぞれ個別に有機溶剤に溶解乃至分散させた後、結着樹脂溶解液又は分散液に混合しても良い。水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)等が挙げられる。
水系媒体中に分散させたり、水系媒体中で乳化させたりする方法としては、特に限定されるものではない。低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備を適用することが可能である。中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
有機溶媒を、得られた乳化分散体から除去するための方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。例えば、常圧または減圧下で系全体を撹拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法としては、公知の技術が用いられる。例えば、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整する。その後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良い。また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
凝集法では、例えば、少なくとも結着樹脂からなる樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じて離型剤粒子分散液を混合し、凝集させることによりトナー母体粒子を製造する方法である。樹脂微粒子分散液は、公知の方法、例えば乳化重合や、シード重合、転相乳化法等により得られる。また、着色剤粒子分散液や、離型剤粒子分散液は、公知の湿式分散法等により着色剤や、離型剤を水系媒体に分散させることで得られる。
凝集状態の制御には、熱を加える、金属塩を添加する、pHを調整するなどの方法が好ましく用いられる。金属塩としては特に制限はなく、ナトリウム、カリウム等の塩を構成する一価の金属;カルシウム、マグネシウム等の塩を構成する二価の金属;アルミニウム等の塩を構成する三価の金属などが挙げられる。塩を構成する陰イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウムや塩化アルミニウム及びその複合体や多量体が好ましい。また、凝集の途中や凝集完了後に加熱することで樹脂微粒子同士の融着を促進することができ、トナーの均一性の観点から好ましい。さらに、加熱によりトナーの形状を制御することができ、通常、より加熱すればトナーは球状に近くなっていく。
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する方法は、前述の方法等を用いることができる。また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させて、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
トナーの形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、平均円形度、体積平均粒径、体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)等を有していることが好ましい。
トナーの平均円形度は、トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。この値は、0.950〜0.980であることが好ましく、0.960〜0.975であることがより好ましい。なお、平均円形度が0.950未満である粒子は、全体の15%以下であることが好ましい。平均円形度が0.950未満であると、満足できる転写性やチリのない高画質画像が得られないことがある。また、平均円形度が0.980を超えると、ブレードクリーニング等を採用している画像形成システムでは、感光体上及び転写ベルト等のクリーニング不良が発生する。そして、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写残トナーとなって蓄積した画像の地汚れが発生してしまうことがある。あるいは、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまうことがある。
トナーの平均円形度は、次のようにして解析することが可能である。即ち、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」、シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100Data Processing Program for FPIAversion00−10)を用いて解析する。具体的には、ガラス製の100mlビーカーに10重量%の界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.1〜0.5ml添加する。そして、各トナー0.1〜0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加する。得られた分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間だけ分散処理する。得られた分散液を5,000〜15,000個/μLの濃度に調整した後、FPIA−2100にセットしてトナーの形状及び分布を測定する。この測定法は、平均円形度の測定再現性の点から、分散液の濃度を5,000〜15,000個/μLにすることが重要である。かかる濃度を実現するために、分散液に添加する界面活性剤量、トナー量を調整する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様に、トナーの疎水性によって必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分に濡らすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径により異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要がある。例えば、トナー粒径が3μm〜10μmである場合には、トナー量を0.1g〜0.5g添加することにより、分散液濃度を5,000個/μl〜15,000個/μlに調整することが可能になる。
トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。3μm〜10μmであることが好ましく、4μm〜7μmであることがより好ましい。体積平均粒径が3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがある。また、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなることがある。
トナーにおける体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、1.00〜1.25であることが好ましく、1.00〜1.15であることがより好ましい。体積平均粒径、及び体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)については、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用いて測定することが可能である。具体的には、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(BeckmanCoulterMutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行う。より詳しくは、ガラス製100mlビーカーに10重量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5ml添加する。そして、0.5gのトナーを添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、イオン交換水80mlを添加する。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II、本多電子株式会社製)で10分間だけ分散処理する。この分散液をマルチサイザーIIIにセットし、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて粒径を測定する。測定にあたっては、装置が示す濃度が8±2%になるようにトナーサンプル分散液を滴下する。この測定法は、粒径の測定再現性の点から、濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比Tsh2nd/Tsh1stの値は、0.90以上。1.10以下であることが好ましい。トナーの融解熱ピークのショルダー温度(Tsh1st、Tsh2nd)については、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。具体的には、まず、5.0mgのトナーをアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで150℃まで昇温させ、その後、150℃から降温速度10℃/minで0℃まで降温させ後、更に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線において、1回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm1st、2回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm2ndとする。このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、該吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれTsh1st、Tsh2ndとする。
トナーの結晶化度の値は、15%以上、30%以下であることが好ましく、20%以上、25%以下であることがより好ましい。該結晶化度の値が15%未満である場合、トナー中に含まれる非晶性部分の影響が大きくなり、結晶性樹脂特有の熱に対する急峻な粘弾性の応答が損なわれ、低温定着性の悪化や、耐熱保存性の悪化が生じることがあり、好ましくない。一方で、該結晶化度の値が30%より大きい場合、結晶性樹脂に起因した硬度の低下が抑制しきれず、現像器内での撹拌ストレスにより経時でキャリアフィルミングを生じたり、トナー及びキャリアの凝集体を生じて画像不良を生じたりすることがあり好ましくない。トナーの結晶化度については、例えば、次のようにして制御することが可能である。即ち、結晶性樹脂と非結晶性樹脂の混合比率を変えることや、結晶性樹脂の結晶化度を変える(モノマー組成を変更したり、結晶性部と非晶性部を持つブロック樹脂の結晶性部と非晶性部の比率を変更したりする等)。
現像剤は、トナーと、キャリア等の適宜選択されたその他の成分と含有するものである。現像剤としては、キャリア粒子を含まない一成分現像剤であってもよいし、キャリア粒子を含む二成分現像剤であってもよい。近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で二成分現像剤が好ましい。一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像剤担持体としての現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がない。このため、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
二成分現像剤に用いられるキャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層(被覆層)とを有するものが好ましい。芯材としては、磁性を有する粒子であれば特に限定されるものではなく、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等が好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への適応性を配慮した場合には、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、次のようなものを用いることが好適である。即ち、マンガンフェライト、マンガン−マグネシウムフェライト、マンガン−ストロンチウムフェライト、マンガン−マグネシウム−ストロンチウムフェライト、リチウム系フェライトなどである。
キャリアの芯材を被覆する被覆層は、少なくとも結着樹脂を含有しており、必要に応じて無機微粒子等の他の成分を含有していても良い。また、キャリアの被覆層を形成するための結着樹脂としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択できる。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)やその変性品、スチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等を含む架橋性共重合物;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等による変性品);ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂;アイオノマー樹脂;ポリイミド樹脂、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に合わせて適宜選択することができる。例えば、オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂、およびアルキド、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
ストレートシリコーン樹脂としては、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2405、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)などが挙げられる。また、変性シリコーン樹脂の具体例としては、エポキシ変性物:ES−1001N、アクリル変性シリコーン:KR−5208、ポリエステル変性物:KR−5203、アルキッド変性物:KR−206、ウレタン変性物:KR−305(以上、信越化学工業社製)、エポキシ変性物:SR2115、アルキッド変性物:SR2110(東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。なお、シリコーン樹脂は、単体で用いることも可能であるが、架橋反応性成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。架橋反応性成分としては、シランカップリング剤等が挙げられる。更に、シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、アミノシランカップリング剤等が挙げられる。
キャリア芯材を覆う被覆層には、必要に応じて微粒子を含有させてもよい。微粒子としては、特に制限はなく、従来公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属粉、酸化錫、酸化亜鉛、シリカ、酸化チタン、アルミナ、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム等の無機微粒子や、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、パリレン等の導電性高分子、カーボンブラック等の有機微粒子等が挙げられ、二種以上併用してもよい。それらの微粒子は、表面が導電性処理をされているものであってもよい。このような導電性処理の方法としては、微粒子の表面に、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、銀、又はこれらの合金、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム等を固溶体や融着の形態として被覆させる方法等が挙げられる。これらの中でも、酸化スズ、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウムを用いて導電性処理をする方法が好ましい。
被覆層のキャリア中での含有率としては、5重量%以上であることが好ましく、5重量%以上、10重量%以下であることがより好ましい。また、被覆層の厚さとしては、0.1μm〜5μmであることが好ましく、0.3μm〜2μmであることが更に好ましい。被覆層の厚さについては、例えば、次のようにして求めることができる。即ち、FIB(集束イオンビーム)でキャリア断面を作成後、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて50点以上のキャリア断面を観察し、求めた膜厚の平均値として算出する。
キャリアへの被覆層の形成法としては、特に制限はなく、従来公知の被覆層形成方法を使用することが可能である。結着樹脂又は結着樹脂前駆体を始めとする上述の被覆層用の原料を溶解した被覆層溶液を、芯材の表面に噴霧法又は浸漬法等を用いて塗布する方法などが挙げられる。芯材表面に被覆層溶液を塗布し、塗布層が形成されたキャリアを加熱することにより、結着樹脂又は結着樹脂前駆体の重合反応を促進させることが好ましい。加熱処理は、被覆層形成後、引き続きコート装置内で行っても良い。あるいは、被覆層形成後、通常の電気炉や焼成キルン等、別の加熱手段によって行っても良い。加熱処理温度としては、使用する被覆層の構成材料によって異なるため、一概に決められるものではないが、120℃〜350℃程度であることが好ましい。被覆層構成材料の分解温度以下であることが特に好ましい。なお、被覆層構成材料の分解温度としては、220℃程度までの上限温度であることが好ましく、加熱処理時間としては、5分〜120分間程度であることが好ましい。
キャリアの体積平均粒径は、10〜100μmの範囲であることが好ましく、20〜65μmの範囲であることがより好ましい。キャリアの体積平均粒径が10μm未満であると、芯材粒子の均一性が低下することに起因するキャリア付着が発生するので好ましくない。また、100μmを超える場合には、画像細部の再現性が悪く精細な画像が得られなくなるので好ましくない。体積平均粒径の測定方法としては、粒度分布を測定できる機器であれば特に制限はなく、例えば、マイクロトラック粒度分布計:モデルHRA9320―X100(日機装(株)製)を用いて測定することができる。
キャリアの体積抵抗率は、9[log(Ω・cm)]以上、16[log(Ω・cm)]以下であることが好ましく、10[log(Ω・cm)]以上、14[log(Ω・cm)]以下であることがより好ましい。体積抵抗率が9[log(Ω・cm)]未満である場合には、非画像部でのキャリア付着が生じて好ましくない。また、16[log(Ω・cm)]より大きい場合には、現像時、エッジ部における画像濃度が強調される、いわゆるエッジ効果が顕著になり好ましくない。体積抵抗率は必要に応じて、キャリアの被覆層の膜厚、導電性の微粒子の含有量を調整することで、前述した範囲内で任意に調整可能である。
キャリアの体積抵抗率については、次のようにして測定することができる。即ち、電極間距離0.2cm、表面積2.5cm×4cmの電極1a、電極1bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセルに、キャリアを充填する。そして、落下高さ:1cm、タッピングスピード:30回/min、タッピング回数:10回の条件でタッピングを行う。次に、両電極間に1000Vの直流電圧を印加し、30秒後の抵抗値r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード(株)製:HighResistance Meter)により測定する。そして、「R=Log[r×(2.5cm×4cm)/0.2cm]」という計算式を用いて、体積抵抗率R[log(Ω・cm)]を算出する。
現像剤が二成分現像剤である場合には、二成分現像剤におけるキャリアに対するトナーの質量比が2.0〜12.0重量%であることが好ましく、2.5〜10.0重量%であることがより好ましい。
トナーの結着樹脂として用いる結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、定着性の観点から、2,000〜100,000が好ましく、5,000〜60,000がより好ましく、8,000〜30,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
樹脂の重量平均分子量(Mw)については、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定することが可能である。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用する。測定する樹脂を、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。前述のTHF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定する。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。前述の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いることが可能である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
トナーの結着樹脂として用いられる結晶性樹脂は、結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂を有するものであることが好ましい。トナーとして好適な融点設計を行い易く、紙への結着性に優れるからである。結晶性ポリエステルユニットを有する結晶性樹脂の結着樹脂全体における割合は、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であることが望ましい。結晶性ポリエステルユニットを有する結晶性樹脂の割合が多くなるほど、トナーの低温定着性が向上するからである。
結晶性ポリエステルユニットを有する結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)が挙げられる。また、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂や、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)などでもよい。結晶性ポリエステルユニットのみからなる結晶性樹脂は、結晶構造をとる部分が多いものの、外力により容易に変形し易いことがある。その理由としては、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることが困難であり、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形し易いからである。また、結晶構造をとっている部分に関しても、一般に、その高次構造は分子鎖が折りたたまれながら面を形成したものが重なる、いわゆるラメラ構造となり、そのラメラ層間には大きな結合力が働かないため容易にラメラ層がずれ易いからである。トナー用の結着樹脂が外力により容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着あるいは固着、最終的に出力される画像の傷付きなどの問題が発生する可能性がある。このため、結着樹脂としても外力に対してある程度の変形に耐え得るもの、強靭性を有するものでなければならない。樹脂の強靭性付与の観点からは、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位を有するような結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂が好ましい。また、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)でもよい。この中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位を分子鎖中に具備する樹脂がよい。非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるからである。
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、結着樹脂として結晶性樹脂を主成分とするトナーでは、次のような現象が起こることを見出した。即ち、従来、低温定着性に有効と考えられていた融点以上で急激に粘弾性を低下させる性質(シャープメルト性)が、紙種によって定着可能温度領域を大きく異ならせる原因になっているのである。そこで、従来の低温定着性に優れるトナーに使用される結着樹脂の分子量としては高めの成分、具体的にはゲル拡散クロマトグラフィ(GPC)におけるポリスチレン換算の分子量が100,000以上である成分を一定量以上含有させる。更に、重量平均分子量を一定の範囲内に収めることによって、紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着を可能にすることができることを見出した。
分子量が100,000以上である成分については、5%以上の割合で含有させることが好ましく、7%以上の割合で含有させることがより好ましく、9%以上の割合で含有させることが更に好ましい。分子量が100,000以上である成分を5%以上含有させることで、トナーの溶融後の流動性や粘弾性の温度依存性が小さくなる。このため、定着時において熱が伝わりやすい薄紙であっても熱がトナーに伝わり難い厚紙であってもトナーの流動性や弾性率に大きく違いが生じ難く、定着装置としては一定温度かつ一定速度で定着することが可能となる。分子量が100,000以上である成分の割合を5%未満にすると、トナー溶融後の流動性や粘弾性が温度によって大きく変わるため、例えば薄紙における定着ではトナーの変形性が大きくなりすぎてしまう。そして、定着部材への接着面積が増大し、その結果、定着部材からの離型がうまくできずに紙の巻きつきが発生することがある。
結晶性樹脂は前述の通りシャープメルト性を有しているが、溶融状態におけるトナーの内部凝集力や粘弾性は樹脂の分子量や構造によって大きく異なる。例えば、凝集エネルギーの大きな連結基であるウレタン結合やウレア結合を有する場合、溶融時においても比較的低温であればゴムのような弾性体に近い挙動を示す。この一方、高温になるのに従って高分子鎖の熱運動エネルギーが増大していく。このため、徐々に結合間の凝集が解れて粘性体に近づいていく。このような樹脂をトナー用結着樹脂として用いると、定着温度が低いときには問題なく定着ができたとしても、定着温度が高温であるときにはトナー溶融時の内部凝集力が小さいことから、定着時にトナー画像の上側が定着部材に付着してしまう。これにより、いわゆるホットオフセット現象を発生させることがあり、画像品位が著しく損なわれる。ホットオフセットを回避するためにウレタン結合やウレア結合部位を多くすると、高温での定着においては問題なく行うことができる。この反面、低温で定着を行う場合には画像光沢が低く、紙への溶融含浸が不十分となり画像が紙から離脱しやすい状態になる。特に厚みがあり表面の凹凸が多い紙への定着を行う場合には、定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いために定着状態がさらに悪化したり、凹部にて定着部材でトナーに圧力が十分にかからないため特に弾性的な状態にあるトナーの定着状態は著しく悪くなる。
溶融後の粘弾性を制御する手段として分子量を考えた場合、当然ながら分子量が大きくなるほど分子鎖の移動に障害が多くなるため粘弾性が大きくなる。さらに、分子量が比較的大きくなると絡まりが発生するために弾性的な挙動を示すようになる。紙への定着性に着目して考えると、分子量が小さいほうが溶融時の粘度が低いため好ましい反面、ある程度の弾性がなければホットオフセットが発生してしまう。しかしながら、分子量を全体的に上げてしまうと、定着性が損なわれ、特に厚紙においては定着時のトナーへの熱の伝達効率が低いために定着状態がさらに悪化する。そこで、結着樹脂の分子量全体としてはあまり大きくしすぎないようにしつつ、高分子量の結晶性成分を含むようにする。これにより、溶融後の粘弾性を好適に制御でき、薄紙や厚紙といった紙種によらず一定温度かつ一定速度で定着可能なトナーを得ることができる。
なお、重量平均分子量の範囲は20,000以上、70,000以下であることが好ましく、より好ましくは、30,000以上、60,000以下である。また、特に好ましくは35,000以上、50,000以下である。重量平均分子量が70,000を超えるような場合、結着樹脂全体が高分子量すぎるため定着性が悪化し、光沢が低すぎたり、定着後の画像が外的ストレスで容易に欠落するため好ましくない。また、20,000未満である場合には、たとえ高分子量成分が多く存在していたとしてもトナー溶融時の内部凝集力が低くなりすぎることから、ホットオフセットや定着部材への紙の巻きつきを引き起こすので好ましくない。
所定の分子量分布を有するような結着樹脂を有するトナーを得る方法としては、分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する、重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する方法がある。分子量分布の異なる2種類以上の樹脂を併用する場合、少なくとも相対的に高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の2種類を使用する。高分子量の樹脂としては、あらかじめ分子量の大きな樹脂を使用してもよいし、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂をトナーの製造過程で伸長させて高分子量体を形成させても良い。後者の方が、高分子量体をトナー中に均一に存在させることができ、結着樹脂を有機溶媒中に溶解させる工程があるような製造方法においてははじめから高分子量である樹脂よりも溶解させることが容易であるため好ましい。
高分子量の樹脂(イソシアネート基を有する変性樹脂も含む)と低分子量の樹脂の2種類で結着樹脂が構成される場合の比率としては、次のような比率が好ましい。即ち、高分子量の樹脂/低分子量の樹脂の比が、5/95〜60/40、好ましくは8/92〜50/50、より好ましくは12/88〜35/65、さらに好ましくは15/85〜25/75である。5/95よりも高分子量体が少ない場合、あるいは60/40よりも高分子量体が多い場合には、上記の分子量分布を有する結着樹脂を有するトナーを得るのが困難となる。
重合時に分子量分布が制御された樹脂を使用する場合に、前述のような樹脂を得る方法としては、縮重合や重付加、付加縮合のような重合形態であれば2官能のモノマーの他に官能基数の異なるモノマーを少量添加することにより分子量分布を広げることができる。官能基数の異なるモノマーとしては、3官能以上のモノマー、単官能のモノマーがある。3官能以上のモノマーを使用すると分岐構造が生成するため、結晶性を有する樹脂を使用する場合には結晶構造を形成しにくくなる場合がある。単官能のモノマーを使用すれば、単官能のモノマーにより重合反応が停止することで2種類以上の樹脂を用いる場合における低分子量の樹脂を精製させつつ、一部は重合反応が進行し高分子量成分となる。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
ポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数が4〜36であるアルキレンエーテルグリコール;炭素数が4〜36である脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも鎖炭素数が2〜36である脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
鎖炭素数が2〜36である分岐型脂肪族ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
炭素数が4〜36であるアルキレンエーテルグリコールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
炭素数が4〜36である脂環式ジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などが挙げられる。
ビスフェノール類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
ポリラクトンジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
スルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
中和塩基を有するジオールの中和塩基としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、炭素数が3〜30である3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数が2〜12であるアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
必要に応じて用いられる、3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数が3〜36である3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
ポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数が8〜36である芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。また、必要に応じて用いられる3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸、又は3価〜6価もしくはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述したものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。ジカルボン酸の中でも、脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも、同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20mol%以下であることが好ましい。
ラクトン開環重合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数が3〜12であるモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、炭素数が3〜12であるモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
炭素数が3〜12であるモノラクトンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。また、ラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸の調製方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数が4〜12である環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法などが挙げられるが、分子量の調整の観点から開環重合する方法が好ましい。環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。前記ジイソシアネートとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。また、必要に応じて、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
芳香族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4′−及び/又は4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′,4"−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
脂環式ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネート類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
ジイソシアネートの変性物としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得る方法としては、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを予め別々に作製し、それらを結合させる方法が挙げられる。また、結晶性ポリエステルユニットと、他のポリマーユニットの何れかとを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法でもよい。また、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットとを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることにより得る方法でもよい。設計意図通りに反応を制御させ易いという観点からすると、一つ目あるいは二つ目の方法が好ましい。
一つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。ポリイソシアネートについてものものが使用できる他、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法でも得ることができる。この手段を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
二つ目の方法としては、結晶性ポリエステルユニットを先に作成する場合には、次のような方法を例示することができる。即ち、後に作成するポリマーユニットが非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等であれば、次のようにする。結晶性ポリエステルユニットの末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを得るためのモノマーを反応させる。これにより、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得ることができる。
非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については前述の結晶性ポリエステルユニットで例示したものが使用できる。結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよい。屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
ポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットなどが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。ジオール及び3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、前述のジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
ポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。ジアミンとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数が2〜18である脂肪族ジアミン類、炭素数が6〜20である芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要に応じて、3価以上のアミン類を使用してもよい。炭素数が2〜18である脂肪族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数が2〜6であるアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数が4〜18であるポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数が2〜4であるヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数が4〜15である複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数が8〜15である芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4"−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジブロモジフェニルメタン、3,3′−ジクロロベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4′−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4′−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。
ジアミンとして、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
ビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、次に列記するものが挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
(6)含窒素ビニル系モノマー
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー
(8)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類
(9)その他のビニル系モノマー
(10)イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなど
(11)フッ素原子元素含有ビニル系モノマー
上記(1)のビニル系炭化水素としては、脂肪族ビニル系炭化水素、脂環式ビニル系炭化水素、芳香族ビニル系炭化水素などが挙げられる。更に、脂肪族ビニル系炭化水素としては、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、それら以外のα−オレフィンなどのアルケン類が挙げられる。加えて、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のアルカジエン類も挙げられる。また、脂環式ビニル系炭化水素としては、例えば、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテンなどのモノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類が挙げられる。加えて、例えば、ピネン、リモネン、インデン等のテルペン類も挙げられる。また、芳香族ビニル系炭化水素としては、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体や、ビニルナフタレンなどが挙げられる。なお、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体としては、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられる。加えて、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼンなども挙げられる。
上記(2)のカルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステルなどが挙げられる。より詳しくは、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸などである。また、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーなどである。
上記(3)のスルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩としては、炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルなどが挙げられる。
上記(4)の燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩などが挙げられる。なお、上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。
上記(5)のヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテルなどが挙げられる。
上記(6)の含窒素ビニル系モノマーとしては、アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩などが挙げられる。また、アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなども挙げられる。また、ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一トなども挙げられる。また、4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)なども挙げられる。また、ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレンなども挙げられる。
上記(7)のエポキシ基含有ビニル系モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイドなどが挙げられる。
上記(8)のビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]などが挙げられる。
また、上記(8)のビニル(チオ)エーテルとしては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2′−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレンなどが挙げられる。
また、上記(8)のビニルケトンとしては、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトンなどが挙げられる。
また、上記(8)のビニルスルホン類としては、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイドなどが挙げられる。
また、上記(9)におけるその他のビニル系モノマーとしては、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどが挙げられる。
また、上記(10)のフッ素原子元素含有ビニル系モノマーとしては、4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエートなどが挙げられる。
結着樹脂としては、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含むことが好ましい。Solubility Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50,230[J/mol]である。この数値は、ウレタン結合の凝集エネルギー(26,370[J/mol]])の2倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果が期待できる。主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るには、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物を反応させる方法を例示することができる。あるいはポリイソシアネート化合物と水を反応させ、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基を反応させる方法でもよい。また、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るのにあたり、前述の化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで樹脂設計の自由度を広げることができる。
ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。プレポリマーの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと後述のポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法を例示することができる。また、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法でもよい。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマー、あるいは前記2とおりの方法で得られる2種類以上のプレポリマーを併用してもよい。さらには、プレポリマーと低分子量ポリイソシアネートを1種類あるいは複数種併用してもよい。
ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH2}の等量比[NCO]/[NH2]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]で表すことができる。これらの比率は、通常5/1〜1.01/1であることが好ましく、4/1〜1.2/1であることがより好ましく、2.5/1〜1.5/1であることが更に好ましい。[NCO]のモル比が5を超えるとウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎて、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性がある。また、[NCO]のモル比が1.01未満であると、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる。もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるので好ましくない。
ポリアミンとしては、ジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。また、ポリオールとしては、前述のようなジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)のほか、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとの記載する)を使用してもよい。また、高分子量ポリオールの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法が挙げられる。また、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法でもよい。
水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するためには、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]を次のようにする。即ち、2/1〜1/1にすることが好ましく、1.5/1〜1/1にすることがより好ましく、1.3/1〜1.02/1にすることが更に好ましい。水酸基のモル比が2を超えると重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られなくなる。また、1.02を下回ると重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるため好ましくない。ポリカルボン酸としては、前述のジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。
樹脂に結晶性を発揮させるためには、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入すればよい。トナー用の結着樹脂として好適な融点を有するような結晶性ポリマーユニットとしては、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸の長鎖アルキルエステルユニット等が挙げられる。結晶性ポリエステルユニットは末端アルコールのものを簡便に作製することができ、ポリオール化合物としてウレア結合を有する樹脂への導入が行い易いため好ましい。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。ジオールとしては、前述のポリオールの中であげられたジオールを使用することができる。その中でも鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。含有量が80mol%以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
ジカルボン酸としては、前述のポリカルボン酸の中で挙げられたジカルボン酸を使用することができる。中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。また、ジカルボン酸の中でも、脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量は、20mol%以下であることが好ましい。
結着樹脂としてウレア結合を具備する樹脂を使用し、着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、粒子化することでトナーを得ることができる。ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物および/または水とを、必要に応じて着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用することで、トナー中に均一に高分子量のウレア結合を有する結晶性樹脂をトナー中に導入できるため、トナーの熱特性や帯電性が均一であり定着性とトナーの対ストレス性の両立をし易いので好ましい。さらに、プレポリマーとしては、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるプレポリマーのほうが粘弾性が抑えられるため好ましい。ポリオール化合物としては、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルがトナーに適した熱特性を得やすいため好ましい。さらには、ポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。また、トナーが水系媒体中で造粒することによって得られるものである場合、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。
トナーを構成する結着樹脂については、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる重量平均分子量の結着樹脂を併用しても良く、少なくとも第1の結晶性樹脂と、第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂を含むことが、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することが出来る点で好ましい。また、第2の結晶性樹脂は、イソシアネート基を有する変性結晶性樹脂である結着樹脂前駆体を使用し、活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましく、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。また、第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア基結合を有する結晶性樹脂であり、且つ、第2の結晶性樹脂は、第1の結晶性樹脂を変性した結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。また、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを併用してもよく、結着樹脂の主成分が結晶性樹脂であることが好ましい。
樹脂におけるテトラヒドロフラン可溶分、分子量分布、重量平均分子量(Mw)については、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、HLC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定することが可能である。カラムとしては、TSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用する。測定対象となる樹脂を、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15質量%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。THF試料溶液を測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/分間で測定する。
樹脂の分子量については、単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて計算を行う。前述した標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDシリーズおよびトルエンを用いる。そして、次の3種類の単分散ポリスチレン標準試料のTHF溶液を作成し上記の条件で測定を行い、ピークトップの保持時間を単分散ポリスチレン標準試料の光散乱分子量として検量線を作成する。
・溶液A:S−7450:2.5mg、S−678:2.5mg、S−46.5:2.5mg、S−2.90:2.5mg、THF:50ml
・溶液B:S−3730:2.5mg、S−257:2.5mg、S−19.8:2.5mg、S−0.580:2.5mg、THF:50ml
・溶液C:S−1470:2.5mg、S−112:2.5mg、S−6.93:2.5mg、トルエン:2.5mg、THF:50ml
検出器には、RI(屈折率)検出器を用いる。100,000以上の分子量である成分の割合、及び250,000以上の分子量である成分の割合は、積分分子量分布曲線において、分子量=100,000、及び分子量=250,000と、曲線との交点から調べることができる。
高分子量の樹脂成分は、結着樹脂全体と樹脂構造が近いという条件を満足する必要があり、結着樹脂として結晶性を有するのであれば、高分子量の成分も同様に結晶性を有する必要がある。高分子量成分が他の樹脂成分と構造が大きく異なる場合、高分子体は容易に相分離し海島状態となるためトナー全体への粘弾性や凝集力の向上への寄与が期待できない。高分子量の成分と結着樹脂全体との結晶性構造の含有比率としては、次の比率で判断する。即ち、テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルとの混合溶媒(混合重量比=50:50)に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)における吸熱量(ΔH(H))と、トナーのDSCにおける吸熱量(ΔH(T))の比率(ΔH(H)/ΔH(T))である。この比率が0.2〜1.25の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0の範囲にあることがより好ましく、0.4〜0.8の範囲にあることが特に好ましい。
テトラヒドロフラン(THF)と酢酸エチルの混合溶媒(混合比率は重量比で50:50)に対する不溶分を得る具体的な試験方法としては、次のような方法を例示することができる。即ち、常温(20℃)の上記混合溶媒40gに対してトナー0.4gを添加し20分振とう混合をした後、遠心分離機により不溶成分を沈降させて上澄み液を除去したものを真空乾燥させることにより得る方法である。
実施形態に係る複写機において、中間転写ベルト61が経時的に伸びていくと、ベルト周長が経時的に大きくなっていくことから、各色のトナー像の重ね合わせズレ量が大きくなっていく。このため、中間転写ベルト61の無端状の基材層としては、経時的な伸びの少ない高強度の材料からなるものを採用することが望ましい。また、中間転写ベルト61には、1次転写バイアスや2次転写バイアスなどの高電圧が印加されることから、難燃性に優れた材料からなることが望ましい。これらの要求に対応するために、中間転写ベルト61の基材層としては、高強度で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂からなるものを用いることが一般的である。
ところが、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂からなる基材層は、高強度であるが故に表面硬度も高いものである。このため、その表面にトナー像を転写する際にトナー層に高い圧力をかけてトナーの局部的な凝集を誘発させることから、画像の一部が転写されない、いわゆる中抜け画像を発生させ易い。また、感光体や記録シートPとの接触追従性が劣ることから、接触不良による転写圧ムラによる濃度ムラを発生させることがある。特に、記録シートとしてエンボス紙、和紙、クラフト紙のような表面性の粗いものが使用されると、2次転写ニップで中間転写ベルト61の表面が記録シートの表面の微妙な凹凸に良好に密着することができない。このため、シート表面凹凸にならった濃淡むらや色調のむらを発生させ易くなる。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
まず、本発明者らは、第1トナーから第13トナーまでの13種類のトナーを製造した。その製造方法について説明する。
まず、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。そして、この反応槽に、202重量部(1.00mol)のセバシン酸と、15重量部(0.10mol)のアジピン酸と、177重量部(1.50mol)の1,6−ヘキサンジオールと、0.5重量部の縮合触媒たるテトラブトキシチタネートとを入れた。それらを、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて、生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約12,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A'−1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A'−1の重量平均分子量(Mw)は、12,000であった。
得られた結晶性ポリエステル樹脂A’−1を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移した。そして、350重量部の酢酸エチルと、30重量部(0.12mol)の4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1を得た。得られたウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1の重量平均分子量(Mw)は、22,000であり、融点は62℃であった。
次に、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2を製造した。冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。その反応槽に、202重量部(1.00mol)のセバシン酸と、189重量部(1.60mol)の1,6−ヘキサンジオールと、0.5重量部の縮合触媒たるジブチル錫オキサイドとを入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)をおよそ6,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A'−2を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A'−2の重量平均分子量(Mw)は、6,000であった。次いで、得られた結晶性ポリエステル樹脂A'−2を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移した。そして、300重量部の酢酸エチルと、38重量部(0.15mol)の4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2を得た。得られたウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の重量平均分子量(Mw)は、10,000であり、融点は64℃であった。
次に、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、185重量部(0.91mol)のセバシン酸と、13重量部(0.09mol)のアジピン酸と、106重量部(1.18mol)の1,4−ブタンジオールとを入れた。更に、0.5重量部の縮合触媒たるチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約14,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A’−3を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A’−3の重量平均分子量(Mw)は14,000であった。得られた結晶性ポリエステル樹脂A’−3を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移した。そして、250重量部の酢酸エチルと、12重量部(0.07mol)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とを加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3を得た。得られたウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の重量平均分子量(Mw)は39,000であり、融点は63℃であった。
次に、結晶性ポリエステル樹脂A−4を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、185重量部(0.91mol)のセバシン酸と、13重量部(0.09mol)のアジピン酸と、125重量部(1.39mol)の1,4−ブタンジオールとを入れた。更に、0.5重量部の縮合触媒たるチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約10,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A−4を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A−4の重量平均分子量(Mw)は9,500であり、融点は57℃であった。
次に、結晶性ポリエステル樹脂A−5を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、202重量部(1.00mol)のセバシン酸と、130重量部(1.10mol)の1,6−ヘキサンジオールと、0.5重量部の縮合触媒たるテトラブトキシチタネートとを入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約30,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A−5を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A−5の重量平均分子量(Mw)は27,000であり、融点は62℃であった。
次に、結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−6を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、25質量部(0.33mol)の1,2−プロピレングリコールと、170重量部のメチルエチルケトン(MEK)とを入れて攪拌した。その後、147重量部(0.59mol)の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する非晶性部c−1のMEK溶液を得た。冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を別に用にした。この反応槽の中に、202重量部(1.00mol)のセバシン酸と、160重量部(1.35mol)の1,6−ヘキサンジオールと、0.5重量部の縮合触媒たるテトラブトキシチタネートとを入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約9,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A’−6を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A’−6の重量平均粒径(Mw)は8,500であり、融点は63℃であった。次いで、前述した非晶性部c−1のMEK溶液340重量部に、結晶性部として、320重量部のMEKに320重量部の結晶性ポリエステル樹脂A’−6を溶解させた溶液を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。そして、減圧下にてMEKを留去してブロック樹脂A−6を得た。得られたブロック樹脂A−6の重量平均分子量(Mw)は26,000であり、融点は62℃であった。
次に、ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、113重量部(0.56mol)のセバシン酸と、109重量部(0.56mol)のテレフタル酸ジメチルと、132重量部(1.12mol)の1,6−ヘキサンジオールとを入れた。更に、0.5重量部の縮合触媒たるチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水、メタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約35,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂B’−1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂B’−1の重量平均分子量(Mw)は34,000であった。次いで、得られた結晶性ポリエステル樹脂B’−1を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移した。そして、200重量部の酢酸エチルと、10重量部(0.06mol)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とを加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1を得た。得られたウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1の重量平均分子量(Mw)は63,000であり、融点は65℃であった。
次に、結晶性ポリエステル樹脂B−2を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、230重量部(1.00mol)のドデカン二酸と、118重量部(1.00mol)の1,6−ヘキサンジオールと、0.5重量部の縮合触媒たるテトラブトキシチタネートとを入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量(Mw)を約50,000に到達させるまで反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂B−2を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂B−2の重量平均分子量(Mw)は52,000であり、融点は66℃であった。
次に、結晶性樹脂前駆体B’−3を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、202重量部(1.00mol)のセバシン酸と、122重量部(1.03mol)の1,6−ヘキサンジオールと、0.5重量部の縮合触媒たるチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネートとを入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて重量平均分子量(Mw)を約25,000に到達させるまで反応を行った。得られた結晶性樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移した。そして、300重量部の酢酸エチル300と、27重量部(0.16mol)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とを加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。これにより、末端にイソシアネート基を有する結晶性樹脂前駆体B’−3の50重量%酢酸エチル溶液を得た。得られた結晶性樹脂前駆体B’−3の酢酸エチル溶液の10重量部を、10重量部のテトラヒドロフラン(THF)と混合し、これに1重量部のジブチルアミンを添加して、2時間撹拌した。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、結晶性樹脂前駆体B’−3の重量平均分子量(Mw)は54,000であった。また、前記溶液から溶媒を除去して得られた試料についてDSC測定を行った結果、結晶性樹脂前駆体B’−3の融点は57℃であった。
以上、結晶性樹脂の製造に使用した原材料、及び結晶性樹脂の物性について、表1〜表3にまとめて示す。
次に、非結晶性樹脂C−1を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、222重量部のビスフェノールA EO2mol付加物と、129重量部のビスフェノールA PO2mol付加物と、166重量部のイソフタル酸と、0.5重量部のテトラブトキシチタネートとを入れた。そして、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5~20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却し、35重量部の無水トリメリット酸を加えて常圧で3時間反応させて、非結晶性樹脂C−1を得た。得られた非結晶性樹脂C−1の重量平均分子量(Mw)は8,000であり、ガラス転移温度(Tg)は62℃であった。
次に、非結晶性樹脂前駆体C’−2を製造した。具体的には、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、720重量部のビスフェノールA EO2mol付加物と、90重量部のビスフェノールA PO2mol付加物と、290重量部のテレフタル酸と、1重量部のテトラブトキシチタネートとを入れた。そして、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させて、非結晶性樹脂を得た。その後、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽を用意した。この反応槽の中に、400重量部の前記非結晶性樹脂と、95重量部のイソホロンジイソシアネートと、500重量部の酢酸エチルとを入れた。そして、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する非結晶性樹脂前駆体C’−2の50重量%酢酸エチル溶液を得た。
次に、グラフト重合体を製造した。具体的には、攪拌棒及び温度計をセットした反応容器を用意した。この反応容器の中に、480重量部のキシレンと、100重量部の低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)とを入れて充分溶解して窒素置換を行った。その後、740重量部のスチレンと、100重量部のアクリロニトリルと、60重量部のアクリル酸ブチルと、36重量部のジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレートと、100重量部のキシレンとの混合溶液を用意した。この混合溶液を、170℃で3時間滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行ってグラフト重合体を合成した。得られたグラフト重合体の重量平均分子量(Mw)は24,000であり、ガラス転移温度(Tg)は67℃であった。
次に、第1離型剤分散液を調整した。具体的には、撹拌棒及び温度計をセットした容器に、50重量部のパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)と、30重量部のグラフト重合体と、420重量部の酢酸エチルとを仕込んだ。そして、撹拌下で80℃まで昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。そして、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行って第1離型剤分散液を得た。
次に、マスターバッチを製造した。具体的には、原材料として、100重量部の結晶性ポリウレタン樹脂A−1と、100重量部のカーボンブラック(Printex35、デグサ社製)(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)と、50重量部のイオン交換水とを用意した。これらを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して第1マスターバッチを製造した。次の表4に従って、第1マスターバッチと同様にして第2、第3、第4、第5、第6マスターバッチをそれぞれ製造した。
次に、第2油相、第3油相、第4油相、及び第7油相を製造した。具体的には、温度計及び撹拌機を備えた容器に、54重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3を入れ、固形分濃度が50重量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、非結晶性樹脂C−1の20重量%酢酸エチル溶液を100重量部と、60重量部の上記第1離型剤分散液と、12重量部の第2マスターバッチとを加えた。そして、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて第2油相を得た。なお、第2油相の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。第3油相、第4油相、第7油相についても、結晶性樹脂Aの種類及び添加量、結晶性樹脂Bの種類及び添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、並びにマスターバッチの種類を次の表5に従って変更しただけで、同様に作製した。なお、表5中の結晶性樹脂(B)、及び非結晶性樹脂前駆体C−2については、結晶性樹脂B−1及び結晶性樹脂B−2何れかを使用する場合は、油相作製段階で他のトナー材料と共に溶解、分散させた。また、結着樹脂前駆体B’−3、又は非結晶性樹脂前駆体C−2を使用する場合は、油相作製段階では添加せず、後述のトナー母体作製時に油相に添加して溶解、分散させた。
次に、樹脂微粒子の水分散液を製造した。具体的には、攪拌棒及び温度計をセットした反応容器を用意した。この反応容器の中に、600質量部の水と、120重量部のスチレンと、100重量部のメタクリル酸と、45重量部のアクリル酸ブチルと、10重量部のアルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)とを入れた。更に、1重量部の過硫酸アンモニウムを入れて、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に、30重量部の1%過硫酸アンモニウム水溶液を加え、75℃で6時間熟成して樹脂微粒子の水分散液を得た。この樹脂微粒子の水分散液中に含まれる粒子の体積平均粒径は80nmであり、樹脂分の重量平均分子量(Mw)は160,000であり、ガラス転移温度(Tg)は74℃であった。
次に、第1水相を製造した。具体的には、990重量部の水と、83重量部の樹脂微粒子の水分散液と、37重量部のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)と、90重量部の酢酸エチルとを混合、撹拌して第1水相を得た。
次に、第2トナー母体、第3トナー母体、第6トナー母体、及び第13トナー母体を製造した。具体的には、撹拌機及び温度計をセットした容器を用意した。この容器の中に、520重量部の第1水相を入れて40℃まで加熱した。50℃に保った235重量部の第2油相に、25重量部の結晶性樹脂前駆体B’−3の酢酸エチル溶液を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して第2’油相を調製した。40〜50℃に保持したままの第1水相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、第2’油相を添加し、1分間乳化して第2乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、第2乳化スラリーを投入し、60℃で6時間脱溶剤して、第2スラリーを得た。得られた第2スラリーを減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。即ち、濾過ケーキに100重量部のイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間した後に濾過した(第1工程)。この第1工程で得られた濾過ケーキに100重量部の10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した(第2工程)。この第2工程で得られた濾過ケーキに100重量部の10重量%塩酸を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後に濾過した(第3工程)。この第3工程で得られた濾過ケーキに300重量部のイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後に濾過する操作を2回行って第2濾過ケーキを得た(第4工程)。得られた第2濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩いにかけて、第2トナー母体を製造した。同様に、第3油相、第4油相、第7油相をそれぞれ用いて、第3トナー母体、第6トナー母体、第13トナー母体を製造した。
次に、第4トナー母体を製造した。具体的には、第3トナー母体を製造したときの脱溶剤条件(60℃、6時間)を、70℃、3時間に変更した点の他は、第3トナー母体と同様にして第4トナー母体を製造した。
また、第5トナー母体を製造した。具体的には、第3トナー母体を製造したときの脱溶剤条件を、40℃、10時間に変更した点の他は、第3トナー母体と同様にして第5トナー母体を製造した。
また、第7トナー母体を製造した。具体的には、第6トナー母体を製造したときの加熱条件(45℃、48時間)を、55℃、24時間に変更した点の他は第6トナー母体と同様にして第7トナー母体を製造した。
また、第8トナー母体を製造した。具体的には、第6トナー母体を製造したときの加熱条件を、35℃、96時間に変更した点の他は第6トナー母体と同様にして第8トナー母体を製造した。
また、第9トナー母体を製造した。具体的には、第4油相に0.06重量部の造核剤(ADEKA社製 アデカスタブNA−11、融点400℃)を加えた点の他は、第6トナー母体と同様にして第9トナー母体を製造した。
また、第10トナー母体を製造した。具体的には、第4油相に1.1重量部の造核剤(ADEKA社製 アデカスタブNA−11、融点400℃)を加えた点の他は第6トナー母体と同様にして第10トナー母体を製造した。
次に、第5油相、第6油相を製造した。具体的には、温度計及び撹拌機を備えた容器を用意した。この容器の中に、54重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4と、20重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2とを入れた。そして、固形分濃度が50重量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、40重量部の非結晶性樹脂C−1の50重量%酢酸エチル溶液と、60重量部の第1離型剤分散液と、12重量部の第3マスターバッチとを加えた。そして、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて第5油相を得た。なお、第5油相の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。第6油相についても、結晶性樹脂Aの種類及び添加量、結晶性樹脂Bの種類及び添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、並びにマスターバッチの種類を、表6に従って変更しただけで、同様に製造した。
次に、第2水相を製造した。具体的には、990重量部の水と、37重量部のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)と、90重量部の酢酸エチルとを混合撹拌して第2水相を得た。
次に、第11トナー母体と、第12トナー母体とを製造した。具体的には、撹拌機及び温度計をセットした容器を用意した。この容器の中に、520重量部の第2水相を入れて40℃まで加熱した。そして、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、第5油相を添加し、1分間乳化させて第11乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、第11乳化スラリーを投入し、60℃で6時間脱溶剤して、第11スラリーを得た。得られた第11スラリーを減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。即ち、濾過ケーキに100重量部のイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後に濾過した(第1工程)。この第1工程で得られた濾過ケーキに100重量部の10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した(第2工程)。この第2工程で得られた濾過ケーキに100重量部の10重量%塩酸を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後に濾過した(第3工程)。この第3工程で得られた濾過ケーキに300重量部のイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後に濾過する操作を2回行って、第11濾過ケーキを得た。得られた第11濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩いにかけて、第11トナー母体を製造した。同様に、第6油相を用いる点の他は同様にして、第12トナー母体を製造した。
次に、結晶性樹脂粒子分散液A−2を製造した。具体的には、60重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2に、60重量部の酢酸エチルを加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、120重量部の水と、6重量部のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)と、2.4重量部の2重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを混合して水相を得た。この水相に、120重量部の前記樹脂溶液を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、乳化スラリーA−2を得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、乳化スラリーA−2を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、結晶性樹脂粒子分散液A−2を得た。得られた結晶性樹脂粒子分散液A−2中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
次に、結晶性樹脂粒子分散液B−1を製造した。具体的には、60重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1に、60重量部の酢酸エチルを加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、120重量部の水と、6重量部のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)と、2.4重量部の2重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを混合して水相を得た。この水相に、120重量部の前記樹脂溶液を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、乳化スラリーB−1を得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、乳化スラリーB−1を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、結晶性樹脂粒子分散液B−1を得た。得られた結晶性樹脂粒子分散液B−1中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.16μmであった。
次に、非結晶性樹脂粒子分散液C−1を製造した。60重量部の非結晶性樹脂C−1に、60重量部の酢酸エチルを加えて混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、120重量部の水と、6重量部のドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)と、2.4重量部の2重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを混合して水相を得た。この水相に、120重量部の前記樹脂溶液を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、乳化スラリーC−1を得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、乳化スラリーC−1を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、非結晶性樹脂粒子分散液C−1を得た。得られた非結晶性樹脂粒子分散液C−1中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
次に、第2離型剤分散液を製造した。具体的には、25重量部のパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)と、5重量部のアニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)と、200重量部の水とを混合し、95℃で溶融させた。次いで、この溶融液をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で乳化させた後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、第2離型剤分散液を得た。
次に、着色剤分散液を調整した。具体的には、20重量部のカーボンブラック(Printex35、デグサ社製)と、2重量部のアニオン界面活性剤(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)と、80重量部の水とを混合した。そして、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で分散して着色剤分散液を得た。
次に、第1トナー母体を製造した。具体的には、190重量部の結晶性樹脂粒子分散液A−2と、63重量部の結晶性樹脂粒子分散液B−1と、63重量部の非結晶性樹脂粒子分散液C−1と、46重量部の第2離型剤分散液と、17重量部の着色剤分散液と、600重量部の水とを混合した。そして、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に50重量部の10重量%の塩化マグネシウム水溶液を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.3μmに成長するまで60℃に維持し、第1スラリーを得た。得られた第1スラリーを減圧濾過した後、第11トナーと同様の洗浄処理(第1工程〜第4工程)を行って、第1濾過ケーキを得た。得られた第1濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩いにかけて、第1トナー母体を得た。
次に、第1トナーから第13トナーまでを製造した。具体的には、100重量部の第1トナー母体と、外添剤たる2.0重量部の疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合して1分間休止した。同様の混合及び休止を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩いにかけて第1トナーを製造した。使用するトナー母体を第2〜第13に変更した点の他は同様にして、第2トナー〜第13トナーを製造した。
次に、本発明者らは、第8油相、第9油相、及び第10油相を製造した。具体的には、 温度計及び撹拌機を備えた容器に、31.5重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1を入れた。そして、固形分濃度が50重量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、非結晶性樹脂C−1の50重量%酢酸エチル溶液を100重量部と、60重量部の上記第1離型剤分散液と、12重量部の第1マスターバッチとを加えた。そして、50℃の条件下においてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて第8油相を得た。なお、第8油相の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化させないように作成から5時間以内に使用した。第9油相、第10油相についても、結晶性樹脂Aの種類及び添加量、結晶性樹脂Bの種類及び添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、並びにマスターバッチの種類を、次の表7に従って変更しただけで、同様に作製した。なお、表9中の結着樹脂前駆体B’−3については、油相作製段階では添加せず、後述のトナー母体作製時に前記油相に添加して溶解、分散させた。
次に、第11油相、第12油相、第13油相、第14油相、第15油相、及び第16油相を製造した。具体的には、まず、上述した第8油相に、1重量部の合成スメクタイト化合物(ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)を加えて第11油相(11)を得た。また、第8油相に、2重量部の合成スメクタイト化合物(ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)を加えて第12油相を得た。また、第9油相に、1重量部の合成スメクタイト化合物(ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)1質量部を加えて第13油相を得た。また、第9油相に、2重量部の合成スメクタイト化合物(ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)を加えて第14油相を得た。また、第10油相に、1重量部の合成スメクタイト化合物(ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)を加えて第15油相を得た。また、第10油相に、2重量部の合成スメクタイト化合物(ルーセンタイトSPN、コープケミカル社製)を加えて第16油相を得た。
次に、第17油相を製造した。具体的には、非結晶性樹脂C−1の50重量%酢酸エチル溶液を100重量部と、60重量部の上記第1離型剤分散液とを混合した。混合液を、50℃の条件下にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて第17油相を得た。
次に、第14トナー母体〜第23トナー母体を製造した。具体的には、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、520重量部の第1水相を入れて40℃〜50℃まで加熱した。また、50℃に保たれた235重量部の第8油相に、結晶性樹脂前駆体B’−3の酢酸エチル溶液を25重量部だけ添加した。そして、これをTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して第8’油相を得た。40〜50℃に保持したままの第1水相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて回転数13,000rpmで攪拌しながら、第8’油相を添加し、1分間乳化させて第8乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、第8乳化スラリー8を投入し、60℃で6時間だけ脱溶剤して、第8スラリーを得た。得られた第8スラリーを減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキに100重量部のイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに100重量部の10重量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに100重量部の10重量%塩酸を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキに300重量部のイオン交換水を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後に濾過する操作を2回行い、第8濾過ケーキを得た。得られた第8濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmのメッシュで篩いにかけて、第14トナー母体を得た。
使用する油相を変えた点の他は同様にして、第15トナー母体〜第23トナー母体を得た。なお、第15,16,17,18,19,20,21,22,23トナー母体には、第9,10,11,12,13,14,15,16,17油相がそれぞれ個別に用いられている。
次に、第14トナー〜第23トナーを製造した。具体的には、100重量部の第14トナー母体と、外添剤としての1.0重量部の疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)にて混合した。混合条件は、周速30m/秒、30秒間の混合の後、1分間休止する処理を5サイクルである。混合の後、35μmの目開きのメッシュで篩いにかけて、第14トナーを得た。また、第15,16,17,18,19,20,21,22,23トナー母体を用いた点の他は同様にして、第15,16,17,18,19,20,21,22,23トナーを得た。
次に、第1トナー〜第23トナーのそれぞれについて、トナー体積固有抵抗値を測定した。具体的には、ガード電極を有する直径φ18mmの円筒状の電極をもつ容器に、試料となるトナーを3.0g計量し、荷重6000MPaを印加しながら加圧整形して、ペレットを作成した。また、前記電極を使用して交流ブリッジ型の抵抗測定装置(安藤電気製TR?10C型)を用い周波数1KHzにおける体積固有抵抗を求めた。
次に、第1トナー〜第23トナーのそれぞれについて、メタノール疎水化度を測定した。具体的には、粉体濡れ性試験機(WET−100P、レスカ社製)を用意した。100mlのビーカーに所定量の純水(イオン交換水または市販の精製水)とメタノールとを入れ、蓋をして超音波分散器を用いて均一分散させた。均一分散させたメタノール水溶液中に、0.5gのトナーを精秤して添加し、スターラーを250rpmで回転させながら撹拌した。更に、メタノールを1.3ml/minで添加していった。水溶液にトナーが沈降、分散しはじめると溶液の透過度が低下する。この透過度降下開始点時の、総メタノール/(総メタノール+水)の割合(%)を、トナー疎水化度とした。
第1トナー〜第13トナーの性状を次の表8に示す。また、第14トナー〜第23トナーの性状を次の表9に示す。
次に、実施形態に係る複写機のプリンタ部1と同様の構成を備えるプリンタ試験機を用意した。このプリンタ試験機は、図3に示される潤滑剤塗布装置によって感光体3(Y,M,C,K)に潤滑剤粉末を塗布し、図5に示される潤滑剤塗布手段によって2次転写対向ローラ72に潤滑剤粉末を塗布する。また、ベルトクリーニング装置(75)に設けられた潤滑剤塗布装置により、中間転写ベルト61に潤滑剤粉末を塗布する。この潤滑剤塗布装置の構成は、図3に示されるものとほぼ同様である。なお、2次転写対向ローラ72に潤滑剤粉末を塗布することで、2次転写対向ローラ72の表面をクリーニングするクリーニングブレードのめくれを防止することができる。
プリンタ試験機には、中間転写ベルト61として、ポリイミドからなるものを搭載した。この中間転写ベルト61は、次のようにして製造されたものである。即ち、ポリアミック酸の溶液中にカーボンブラックを分散させ、その分散液を金属ドラムに流入して乾燥させる。その後、金属ドラムから剥離したフィルムを高温度下で伸長させてポリイミドフィルムを形成し、適当な大きさに切り出してポリイミド樹脂からなる無端状の中間転写ベルト61を製造した。フィルム成形については、次のようにして行った。即ち、一般的な方法に従って、カーボンブラックを分散したポリマー溶液を円筒金型に注入し、100〜200℃に加熱しつつ円筒金型を回転させて遠心成形によってフィルム状に成膜した。このようにして得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300〜450℃でポリイミド化反応を進行させ硬化させて中間転写ベルト61を得るようにした。このとき、カーボン量、焼成温度、硬化速度等を変更してベルトの抵抗を調整することができる。このように作られた中間転写ベルト61のヤング率は3000MPaであった。ヤング率(引張り弾性)の測定はJIS K7127に準拠して行った。また、表面摩擦係数は0.45であった。 表面摩擦係数の測定には、新東科学製HEIDON TRIBOGEAR μs 94iを用いた。 なお、この表面摩擦係数は、中間転写ベルト61をプリンタ試験機にセットして1時間以上の定常運転を行った後に測定したものであるので、表面に潤滑剤粉末が付着している状態の値である。
感光体3Y,M,C,Kについては、その表面摩擦係数をできるだけ小さくして、後述する表面摩擦係数A>表面摩擦係数Bという条件を満足させるために、表面摩擦係数の小さな材料からなる表面層を被覆してもよい。感光体の表面層に使用される材料としては、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール、フェノール、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ等の樹脂が挙げられる。
これらの樹脂に摩擦係数を低下させる目的でフッ素樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の潤滑剤を添加するとよい。フッ素樹脂粒子の具体例としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル及びパーフルオロアルキルビニルエーテルなどの重合体、及びそれらの共重合体が挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂粒子の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンの単独重合体、異種オレフィンとの共重合体、またはそれらの熱変性物の粒子を表し、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体などが挙げられる。また、シリコーン樹脂粒子の具体例としては、シロキサン結合が三次元で結合し、網目構造をとり、珪素原子にアルキル基、アリール基、アミノ置換アルキル基、ジアルキルシリコーンなど置換されたもので有機溶媒に不溶なもの、が挙げられる。
このような表面層を設けた感光体の表面摩擦係数は、一般的に0.1〜0.3程度になる。中間転写ベルト61の表面摩擦係数は、表面の粗さによってばらつくが、一般的にその材質から0.35〜0.7程度である。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
本発明者らは、和紙タイプの記録シート(株式会社リコー社製、連量175kgレザック紙、A4サイズ)をプリンタ試験機にセットした。そして、プリンタ試験機に、第1トナー〜第13トナーを順次セットして、それぞれのトナーで記録シートに全面ハーフトーン画像(1枚目)を出力した。得られた全面ハーフトーン画像について、シート表面の凹凸にならった濃度ムラの有無を目視で確認して、○=濃度ムラなし、△=濃度ムラがあるが許容範囲内、×=許容範囲を超える濃度ムラがある、の3段階で評価した。また、普通紙からなる記録シートにパッチ画像を出力した。パッチ画像としては、画像面積率1[cm2]×1[cm2]の大きさのものであって、トナー付着量が0.85[mg/cm2]であるものを、通紙幅方向に均等間隔に5ヶ並べて形成した。得られた各パッチ画像を1次転写した直後の中間転写ベルト61上におけるトナー量を測定し、測定結果に基づいて1次転写率(1次転写後トナー量/1次転写前トナー量)を算出した。
この実験については、まず、中間転写ベルト61に潤滑剤粉末を塗布する潤滑剤塗布装置におけるコイルバネとしてバネ定数の比較的大きいものを搭載した条件で行った。中間転写ベルト61の表面摩擦係数(潤滑剤塗布後)と、感光体の表面摩擦係数(潤滑剤塗布後)とを測定したところ、前者の表面摩擦係数の方が0.03だけ大きかった。次に、中間転写ベルト61に潤滑剤粉末を塗布する潤滑剤塗布装置におけるコイルバネとしてバネ定数の比較的小さいものを搭載した条件で同様の実験を行って濃度ムラを評価した。中間転写ベルト61の表面摩擦係数(潤滑剤塗布後)と、感光体の表面摩擦係数(潤滑剤塗布後)とを測定したところ、両者は同じ値であった。実験室については、高温高湿環境(温度28℃、相対湿度80%)に設定した。
また、デジタルフルカラー複写機(リコー社製imagioMP C4500)の定着部を改造したプリンタ試験機を用意して、プリントテストを行った。このプリントテストでは、記録シートとして、株式会社リコー社製のタイプ6200紙を用いた。プリント条件としては、紙送りの線速=200〜220[mm/秒]、定着ニップにおける面圧=1.0[kgf/cm2]、定着ニップの紙送り方向長さ(ニップ幅)=10.0[mm]を採用した。定着温度を変化させながら、それぞれの定着温度条件でテスト画像を出力して、定着装置におけるコールドオフセットやホットオフセットの発生状況を確認した。そして、コールドオフセットを引き起こさないコールドオフセット温度(定着下限温度)や、ホットオフセットを引き起こさないホットオフセット温度(定着上限温度)を求めた。
より詳しくは、定着下限温度については、定着温度(定着部材温度)を2℃刻みで変化させながら、テスト画像を担持させた記録紙をそれぞれの定着温度の条件で定着装置に通紙した。そして、通紙後の記録紙において、コールドオフセットの発生の有無を確認して、コールドオフセットを発生させない最低温度を定着下限温度とした。そして、定着下限温度について、3段階にランク分けした。100℃(以上)〜115℃(未満)を○、115℃(以上)〜130℃(未満)を△、130℃以上を×とするランク分けである。このような定着下限温度のランク分けを、13種類のトナーについてそれぞれ行った。
また、定着上限温度については、定着温度を2℃刻みで変化させながら、テスト画像を担持させた記録紙をそれぞれの定着温度の条件で定着装置に通紙した。そして、通紙後の記録紙において、ホットオフセットの発生の有無を確認して、ホットオフセットを発生させない最高温度を定着上限温度とした。そして、定着上限温度について、3段階にランク分けした。190℃以上を○、180℃(以上)〜190℃(未満)を△、180℃未満を×とするランク分けである。このような定着上限温度のランク分けを、13種類のトナーについてそれぞれ行った。
表10や表11に示されるように、ベルトの表面摩擦係数A=感光体の表面摩擦係数Bという条件にした実験(以下、「摩擦係数を同じにした実験」という)や、A>Bという条件にした実験(以下、「感光体摩擦を小さくした実験」という)では、次のようになった。即ち、第1トナー、第2トナー、第11トナー、第13トナー、第14トナー〜第23トナーを用いた場合にだけ、濃度ムラの評価結果(凹凸紙への出力画像評価)が×になった。試しに、実験室の温度条件を高温高湿の環境から常温常湿の環境に変更して、同様の「摩擦係数を同じにした実験」や「感光体摩擦を小さくした実験」を行った。すると、23種類の全てのトナーにおいて、1次転写率が向上した。そして、第1トナー、第2トナー、第14トナー〜第22トナーを用いた実験では、濃度ムラの評価結果が△に向上した。但し、第11トナー、第13、第23トナーを用いた実験では、濃度ムラの評価結果は×のままであった。このことから、表10や表11に示される実験結果のうち、「摩擦係数を同じにした実験」や「感光体摩擦を小さくした実験」の結果においては、次のようなことが考えられる。即ち、第1トナー、第2トナー、第14トナー〜第22トナーを用いた実験で濃度ムラの評価結果がそれぞれ×になっているのは、画像全体の1次転写率が低くなっているのが原因になっていると考えられる。また、第11トナー、第13トナー、第23トナーを用いた場合の濃度ムラの評価結果がそれぞれ×になっているのは、画像全体のうち、記録シート表面の凹部に対応する領域の1次転写率が低くなっているのが原因になっていると考えられる。
第11トナーや第23トナーは、表8や表9に示されるように、結晶性樹脂にウレタン結合もウレア結合も具備していないものである。また、第13トナーは、表8に示されるように結晶性樹脂にウレタン結合を有しているものの、「C/(C+A)」の解が0.01という非常に小さな数値になっている。即ち、結着樹脂全体における結晶性樹脂の割合が少なくなっている。他のトナーのうち、第13トナーの次に前記解が小さいのは、第7トナー、第14トナー、第17トナーの0.15である。これらの結果、次のようなトナーを用いることで、表面凹凸に富んだ記録シートを用いる場合であっても、凹凸にならった濃度ムラを抑えた画像を形成し得ることがわかった。即ち、結晶性樹脂としてウレタン結合又はウレア結合の何れかを具備するものを用い、且つ、「C/(C+A)」の解を0.15以上にする程度に結着樹脂全体における結晶性樹脂の割合が高くなっている結着樹脂を母材樹脂とするトナーである。試しに、本発明者らは、これまで説明した23種類のトナーの他にも、様々なトナーを製造して実験を行った。すると、結晶性樹脂にウレタン結合又はウレア結合を有し、且つ「C/(C+A)」の解を0.15以上にする結着樹脂を母材樹脂とするトナーであれば、シート表面の凹凸にならった濃度ムラを抑えることができた。なお、「C/(C+A)」の解を0.15以上にするトナーには、定着性を損なうことなく結晶性部位をトナー内部まで均一微分散して表面偏在させないという利点もある。更には、硬度の高いウレタン結合及びウレア結合のうち少なくとも何れか1つを含有させることで、結晶性部位と非結晶性部位とを混在させても適度な変形性と弾性とを両立させることが可能になると考えられる。
しかしながら、かかるトナーであっても、ベルトの表面摩擦係数Aを感光体の表面摩擦係数Bよりも大きくしていない場合には、次のような現象を引き起こしてしまう。即ち、高温高湿環境下にて、1次転写率が大きく低下して、画像全体の濃度不足や、画像全体の濃度不足に起因するシート表面の凹凸にならった濃度ムラを引き起こしてしまう。
結晶性樹脂にウレタン結合又はウレア結合を有し、且つ「C/(C+A)」の解を0.15以上にする結着樹脂を母材樹脂とするトナーを用いた場合の詳細メカニズムは不明である。但し、次のようなメカニズムが働いていると憶測できる。即ち、結晶性ポリエステルを主成分とするトナーでは、結晶性高分子材料固有の変形特性に由来して、感光体や用紙などの転写部での接触部材との接触追従性がよくなり、転写圧の変化によるシート表面凹部の転写率低下が現れ難くなったと推測される。
結晶性樹脂にウレタン結合又はウレア結合を有し、且つ「C/(C+A)」の解を0.15以上にする結着樹脂を母材樹脂とするトナーを用いた場合に、1次転写率が低下してしまうという現象は、従来では想定されていなかったものである。本発明者らが追実験を行ったところ、全結着樹脂に対して結晶性ポリエステル樹脂を50質量%以上含有させたトナーにおいて、高温高湿環境下における1次転写率の低下が顕著に発生することがわかった。理由としては、多量に含まれる結晶性ポリエステルが何らかの理由で十分結晶化しておらず、トナー中の結晶性ポリエステル部分に体積固有抵抗が局所的に低い箇所があることが考えられる。また、かかる箇所が親水性の表面としてトナー表面に露出し、高温高湿条件で水分吸着、電荷流出した可能性も考えられる。結晶性ポリエステルを多量に含有するトナーの1次転写率の低下については、結晶性ポリエステルの結晶化をより確実に行うだけでは十分に抑えることができない。また、結晶化をより確実に行った上で、トナー表面の結晶性ポリエステルの副作用がでないように、結晶性ポリエステル含有量を減らすなどすれば、トナーの疎水化度や体積固有抵抗をそれぞれ厳密に調整すればある程度まで抑えることが可能になるかもしれない。しかし、そのような厳密な調整は、他のトナー特性の悪化、特に低温定着性の悪化などといった副作用を伴うと考えられる。
次に、本発明者らは、第14トナー〜第23トナーについてそれぞれ、平均円形度を測定した。具体的には、測定装置として、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」、シスメックス社製)を用いた。そして、解析ソフト(FPIA−2100Data Processing Program for FPIAversion00−10)を用いて解析を行った。より詳しくは、100ml容量のガラス製ビーカーに、10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.1〜0.5ml添加した。次いで、試料トナー0.1〜0.5gを添加してミクロスパーテルでかき混ぜた後、80mlのイオン交換水を添加して分散液を得た。この分散液を超音波分散器(本多電子株式会社製)で3分間分散処理した。処理後の分散液を、5,000〜15,000個/μlのトナー濃度に調整する。平均円形度の測定再現性の観点から、分散液のトナー濃度を5,000〜15,000個/μlにすることが望ましいからである。界面活性剤量については、前述したトナー粒径の測定と同様に、トナーの疎水性に応じて必要量が異なる。過剰に添加すると泡によるノイズが発生し、添加量が不足するとトナーを十分に濡らすことができないことから分散が不十分となる。また、トナーの添加量は粒径によって異なり、小粒径の場合は少なくする一方で、大粒径の場合は多くする必要がある。トナー粒径が3μm〜10μmである場合には、0.1g〜0.5gのトナーを添加することにより、分散液のトナー濃度を5,000個/μl〜15,000個/μlに調整することが可能である。このようにしてトナー濃度を調整した分散液をフロー式粒子像分析装置にセットし、解析ソフトを用いて平均円形度を解析した。なお、トナー粒子の形状や粒径分布を測定する際にも、トナーの分散液の濃度を適切に調整する。調整にあたっては、添加する界面活性剤量やトナー量など、目標とするトナー濃度に応じた条件に変更する必要がある。
次に、本発明者らは、トナーのかさ体積比を測定した。具体的には、第14トナー〜第23トナーについて、それぞれ次のようにしてかさ体積比を測定した。まず、トナーを10gだけ、有栓メスシリンダー(ガラス製、容量50mLの規格品)に投入し、栓をした後に、10回上下に強く振って、トナー粒子間に空気を含ませる。次に、振り終わると同時に静置し、静置時間を計測する。静置後、5分後、20分後、24時間後の体積をシリンダーの目盛りで読み取って、それぞれの結果を、5分後かさ体積V1[ml]、20分後かさ体積V2[ml]、24時間後かさ体積V3[ml]とした。そして、V2/V1の解を第1かさ体積比とした。また、V3/V1の解を第2かさ体積比とした。また、10[g]/V3の解を、静置後24時間のトナーのかさ密度として求めた。この結果を、次の表12に示す。
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明のトナーにおいて好ましい粉体特性として、過剰な自重圧縮が起こらず、かつ補給後に適度な速度で圧縮が進むトナーであることが好ましいことが解った。具体的には、「V3/V1.≧0.71、V2/V1.≧0.79」という条件を満たし、且つ、トナーの静置後24時間のかさ密度が0.44〜0.51g/mlであることが好ましい。これらの粉体特性は、トナーが現像装置の中でスクリュー部材によって撹拌されているときや、長期間放置された後にスクリュー部材によって撹拌され始めたときに、トナー凝集を起こし難くする効果があるものと考えられる。こうした粉体特性を得るための手段としては、トナー母体粒子の形状、表面性、粒径、外添剤付着量などが寄与するものと考えられる。特に、低温定着性を阻害せずに粉体特性を好ましいものとするためには、ウレタン結合及び/又はウレア結合を具備するトナー材料を用いることや、高分子量体を配合することが、トナー形状を制御する上で優れていると考えられる。よって、トナー材料としてウレタン結合及び/又はウレア結合を用いたり、高分子量体を配合したりすることは、トナー硬度の向上による外添剤埋没の抑制、変形によるトナー接触面積の増加抑制、付着性抑制などをもたらしていると考えられる。
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。実施形態に係る複写機では、トナーとして、ウレタン結合及びウレア結合のうち少なくとも何れか一方を主鎖に具備する結晶性樹脂を含有するものであり、且つ、「C/(C+A)」の解を0.15以上にするものを用いるようになっている。そして、感光体の表面摩擦係数Bを中間転写ベルト61の表面摩擦係数Aよりも低い値にするように、感光体、中間転写ベルト61にそれぞれ潤滑剤を塗布する。かかる構成では、転写圧ムラに起因する濃淡ムラや色調ムラの発生を長期間に渡って安定して抑えることができる。また、トナーの疎水化度や体積固有抵抗値を厳密に調整することなく、高温高湿の環境下におけるトナー像の1次転写率の低下を抑えることができる。
なお、表8における表面摩擦係数Aや表面摩擦係数Bは、何れも潤滑剤粉末を塗布した条件における数値である。感光体や中間転写ベルトに潤滑剤を塗布しない構成の場合には、それらの無垢の表面について、中間転写ベルト61の表面摩擦係数Aを、感光体の表面摩擦係数Bよりも大きくすればよい。
中間転写ベルト61としては、基材のヤング率が3000[MPa]以上であるものを用いている。なお、実施形態に係る複写機では、中間転写ベルト61として、基材層だけからなるものを用いているが、基材層の他に、表面層などの他の層を設けた場合には、基材層について、ヤング率を3000[MPa]以上にすればよい。
中間転写ベルトの基材層としては、ポリイミド又はポリイミドアミドからなるものを採用している。
トナーとしては、次のようなものを用いるようになっている。即ち、テトラヒドロフラン可溶分のゲル拡散クロマトグラフィー測定によって100000以上の分子量であると測定される樹脂の割合が全樹脂中の7[%]以上であり、重量平均分子量が20000以上、70000以下であるトナーである。
また、トナーとしては、次のようなものを用いるようになっている。即ち、温度28[℃]、相対湿度80[%]の環境下における体積固有抵抗値LogRが9.5〜10.5[Log(Ω・cm)]であるトナーである。
また、トナーとしては、疎水化度が35〜50[%]であるものを用いるようになっている。
また、トナーとしては、次のようなものを用いるようになっている。即ち、示差走査熱量計(DSC)による昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が50[℃]以上、70[℃]以下の範囲であり、且つ、昇温2回目の融解熱量が30[J/g]以上、75[J/g]以下の範囲であるトナーである。
また、トナーとしては、テトラヒドロフラン及び酢酸エチルの混合溶媒に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)による吸熱量の吸熱量測定結果△H(H)[J/g]と、DSCによる吸熱量測定結果△H(T)[J/g]とを次のようにするものを用いている。即ち、「△H(H)/△H(T)」を0.5〜1.25の範囲にするトナーである。
また、トナーとしては、次のようなものを用いるようになっている。即ち、結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の結晶性樹脂とを含むトナーである。
また、トナーとしては、第2の結晶性樹脂が末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させたものであるトナーを用いるようになっている。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
トナー像を担持する像担持体(例えば感光体3)と、前記像担持体上のトナー像を中間転写体(例えば中間転写ベルト61)の表面に中間転写する中間転写手段(例えば1次転写ローラ62Y,M,C,K)とを備える画像形成装置であって、前記トナーが、ウレタン結合及びウレア結合のうち少なくとも何れか一方を主鎖に具備する結晶性樹脂を含有するものであり、且つ、前記トナーのX線回折スペクトルにおける前記結晶性樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をC、前記X線回折スペクトルにおける非結晶性樹脂の非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAでそれぞれ表した場合に、「C/(C+A)」の解が0.15以上であり、前記像担持体の表面摩擦係数が前記中間転写体の表面摩擦係数よりも低い値であることを特徴とするものである。
[態様B]
態様Bは、態様Aであって、前記中間転写体の基材のヤング率が3000[MPa]以上であることを特徴とするものである。
[態様C]
態様Cは、態様A又は態様Bであって、前記中間転写体の基材がポリイミド又はポリイミドアミドからなることを特徴とするものである。
[態様D]
態様Dは、態様A〜Cの何れかであって、前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分のゲル拡散クロマトグラフィー測定によって100000以上の分子量であると測定される樹脂の割合が全樹脂中の7[%]以上であり、且つ、前記トナーの重量平均分子量が20000以上、70000以下であることを特徴とするものである。
[態様E]
態様Eは、態様A〜Dの何れかにおいて、温度28[℃]、相対湿度80[%]の環境下における前記トナーの体積固有抵抗値LogRが9.5〜10.5[Log(Ω・cm)]であることを特徴とするものである。
[態様F]
態様Fは、態様A〜Eの何れかであって、前記トナーの疎水化度が35〜50[%]であることを特徴とするものである。
[態様G]
態様Gは、態様A〜Fの何れかにおいて、前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が50[℃]以上、70[℃]以下の範囲であり、且つ、昇温2回目の融解熱量が30[J/g]以上、75[J/g]以下の範囲であることを特徴とするものである。
[態様H]
態様Hは、態様A〜Gの何れかであって、前記トナーのテトラヒドロフラン及び酢酸エチルの混合溶媒に対する不溶分の示差走査熱量計(DSC)による吸熱量の吸熱量測定結果△H(H)[J/g]を、前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による吸熱量測定結果△H(T)[J/g]で除算した結果(△H(H)/△H(T))が、0.5〜1.25であることを特徴とするものである。
[態様I]
態様Iは、態様A〜Hの何れかであって、前記トナーが、前記結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、前記第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の結晶性樹脂とを含むものであることを特徴とするものである。
[態様J]
態様Jは、態様Iであって、前記第2の結晶性樹脂が末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させたものであることを特徴とするものである。