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JP2014143970A - シート状細胞培養物の製造方法 - Google Patents

シート状細胞培養物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、シート状細胞培養物を安定的に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明はシート状細胞培養物を製造する方法であって、細胞培養基材をビトロネクチンで被覆する工程、ビトロネクチンで被覆した細胞培養基材上で細胞を培養し、該細胞のシート状細胞培養物を形成させる工程、該シート状細胞培養物を細胞培養基材から剥離する工程からなる方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、シート状細胞培養物の製造方法、および該製造方法によって製造されたシート状細胞培養物に関する。
近年、事故や病気によって失われた身体の細胞、組織、器官の再生や機能の回復を目的して、種々の細胞(iPS細胞、多能性幹細胞、成体幹細胞、体細胞など)を用いた再生医療が注目を集めている。
障害を受けた組織及び器官に所望の細胞を適応する方法として、細胞を細胞懸濁液の状態にして直接注入する方法が挙げられる。しかし、当該方法では、移植細胞の組織からの流出、レシピエント組織への穿刺による障害、広範囲な組織修復が困難であるといった問題のため、期待する治療効果を実現することができていない。
これらの欠点を解決する方法として、所望の細胞をシート状に培養したシート状細胞培養物(細胞シートとも称される)の開発が進められている。シート状細胞培養物は、所望の細胞を大量に損傷部位に定着させることができることに加え、レシピエント組織の特性に合わせて、適度に組織化させた細胞集団を移植することのできる、大変有用な治療手段である。
シート状細胞培養物は、所望の細胞を培養基材の表面上で培養を行い、細胞による層構造を形成させて得られるシート状の培養物を、その構造を壊さないように培養基材から剥離することによって製造される。一般に、細胞培養物によるシート状構造を形成させるために、細胞を基材に接着させる機能を有する成分を被覆した培養基材の表面上で、細胞培養が行われる。このような成分としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、カドヘリン、ゼラチン、フィブリノゲン、フィブリン、インテグリン、ポリLリジン、ヒアルロン酸、多血小板血漿、ポリビニルアルコール、特定の抗原を認識する抗体等が報告されている(特許文献1〜特許文献6)。また、細胞接着性を有する成分を複数含むものとして、血清(異種血清、同種血清若しくは自己血清など)も使用されている。
さらに、移植に利用できるシート状細胞培養物を取得するためには、シート状に増殖した培養物をその構造を損なうことなく、一体として培養基材から剥離する必要がある。シート状培養物を培養基材から剥離しやすくするための培養容器として、培養基材表面に温度感受性ポリマーであるポリ−N−イソプロピルアクリルアミドのポリマー層を有する培養ディッシュなどが開発されている(特許文献7)。
しかしながら、細胞を基材に接着させる上記成分や、培養基材表面に温度感受性ポリマー層を有する培養ディッシュ等を用いた場合においても、シート状細胞培養物を形成させるステップと培養基材から該シート状細胞培養物の構造を損なうことなく剥離させるステップを確実に達成することは困難である。このように、これまで様々な報告はあるものの、シート状細胞培養物の形成の可否を決定する重要な成分は未だ解明されておらず、生体組織の損傷を治療するために用いるシート状細胞培養物を安定的に製造する方法に関し、改善すべき問題が残されている。
特開2012−105587 特開2011−224398 特開2009−178050 特開2009−5639 特開2006−238841 特開平3−87174 特開2000−212144
本発明は、シート状細胞培養物を安定的に製造する方法を提供する。特に、培養基材上で形成されたシート状細胞培養物の構造を損なうことなく容易に剥離させる工程を含む、シート状細胞培養物の製造方法を提供する。
発明者らは、シート状細胞培養物の製造方法につき鋭意研究を行った結果、ビトロネクチンで表面を被覆した培養基材上で細胞を培養し、シート状細胞培養物を形成させると、培養基材からシート状細胞培養物を容易に剥離することができ、シート状構造を損なうことなく回収できることを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明は以下の(1)〜(5)である。
(1)以下の(a)〜(c)の工程を含むシート状細胞培養物を製造する方法。
(a)培養基材をビトロネクチンで被覆する工程、
(b)ビトロネクチンで被覆した培養基材上で細胞を培養し、該細胞のシート状細胞培養物を形成させる工程、
(c)該シート状細胞培養物を培養基材から剥離する工程
(2)前記細胞培養基材がビトロネクチン以外の細胞接着性成分および/または細胞接着阻害性成分でコートされていることを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3)前記細胞基材の培養表面が温度応答性材料から、または非温度応答性材料からなることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記細胞が骨格筋芽細胞であることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の方法。
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法により製造されたシート状細胞培養物。
本発明の方法によれば、培養基材上で細胞層を形成させ、かつ、形成された構造を損なうことなくシート状細胞培養物を回収することができる。
従って、高い回収率でシート状細胞培養物を取得することができる。
本発明は、以下の(a)〜(c)の工程を含むシート状細胞培養物を製造する方法である。
(a)培養基材をビトロネクチンで被覆する工程、
(b)ビトロネクチンで被覆した培養基材上で細胞を培養し、該細胞のシート状細胞培養物を形成させる工程、
(c)該シート状細胞培養物を培養基材から剥離する工程
本発明において、「シート状細胞培養物」とは、細胞同士がシート状に結合した細胞の培養物のことであり、1つの細胞層からなるものでも、2以上の細胞層からなるものであってもよい。
本発明は、培養基材の細胞を培養する表面をビトロネクチンで被覆し、該培養表面上で細胞を培養し、形成されたシート状細胞培養物を剥離する、各工程を含む点に特徴を有する。
ここで、「培養基材」とは細胞がその表面上でシート状細胞培養物を形成し得るものであればいかなるものであってもよく、少なくとも、細胞が接着し得るような平坦な部分を具備し、典型的には、細胞培養皿、細胞培養ボトル(又はフラスコ)であり、市販される培養用ディッシュなどが使用可能であり、材質も特に限定されない。培養基材の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
また、「培養基材」の培養表面は、温度変化等によってその物性が変化する材料(温度応答性材料)で作製されているか、あるいは、該温度応答性材料によって培養基材の培養表面が層状に被覆されていてもよい。ここで、「温度応答性材料」は、温度変化に依存して、細胞の基材表面への接着性を変化させる材料のことで、例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体などを挙げることができる(特開2000−212144などを参照のこと)。
本発明は、培養基材の細胞培養表面をビトロネクチンで被覆する(培養基材の表面を満遍なくビトロネクチンで覆うこと)工程を含む。
ビトロネクチンは、血清中に存在しており、細胞を培養基材に接着させる機能を有する細胞接着因子である。ヒト由来のビトロネクチンはそのアミノ酸配列が明らかにされており、成熟したビトロネクチンは、463アミノ酸からなる(ヒト由来のビトロネクチンのアミノ酸配列は、Suzuki et al., EMBO 4:2519-2524 1985に記載されている。本文献は参照として本明細書中に取り込む)。ビトロネクチンは、主として肝臓で生産され血漿中に存在し、細胞接着の他、血液凝固の制御などにも関与している。また、ビトロネクチンの受容体としてインテグリンが知られており、ビトロネクチンと協同して細胞接着などの機能を果たしている。本発明で使用されるビトロネクチンは、好ましくは、Suzuki et al., EMBO 4:2519-2524 1985に記載されているアミノ酸配列からなるポリペプチドであるが、必ずしも、該アミノ酸配列に完全一致した配列である必要はなく、細胞を培養基材に接着させる機能を保持している限り、アミノ酸の置換、欠失、付加等を含んでいてもよい。例えば、Suzuki et al., EMBO 4:2519-2524 1985に記載されているアミノ酸配列中、1又は数個(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、細胞を培養基材に接着させる機能を有するタンパク質も本発明のビトロネクチンとして使用することができる。
また、天然由来ビトロネクチンであっても、遺伝子工学的手法によって作製されたリコンビナントであってもよく、リン酸化等、翻訳後修飾を受けているものであっても、細胞を培養基材に接着させる機能を有する限り使用可能である。さらに、市販の標品(例えば、Becton, Dickinson and Companyなど)を使用してもよい。
ビトロネクチンで培養基材の培養表面を被覆するには、該培養表面上に満遍なくビトロネクチンが存在するように処理をすればよく、例えば、ビトロネクチンを含む溶液を該培養表面上に添加し(あるいは、接触させ)、適当な時間静置することによっても達成することができる。ビトロネクチンの溶液を添加して静置する時間は、ビトロネクチンが細胞培養基材の培養表面に接着するのに必要な時間であれば特に限定されることはなく、例えば、1〜80時間以上、4〜72時間程度、あるいは、12〜72時間程度静置すればよい。また、ビトロネクチンの溶液を添加して静置するときの温度も特に限定されるものではなく、例えば、0〜60℃、30℃〜40℃、35℃〜38℃、好ましくは、37℃程度でよい。細胞培養基材の培養表面を被覆するためには、ビトロネクチン溶液を、培養表面に適量添加して実施することができる。
また、ビトロネクチンで培養基材上を被覆する工程は、ビトロネクチン単独で予め培養基材の培養表面を被覆することなく、細胞とビトロネクチン溶液(他の接着成分が含まれていてもよい)を混合し、懸濁したのち、懸濁した細胞を該細胞培養基材上の培養表面に播くことで、被覆を行ってもよい。この場合、ビトロネクチン溶液と細胞を懸濁した後、静置し(例えば、0℃〜50℃、好ましくは、30〜40℃程度で、0〜24時間程)、その後懸濁した細胞を播種してもよい。
ビトロネクチン(あるいは、ビトロネクチン及び、細胞接着成分および/または細胞接着阻害性成分)で、予め培養基材を被覆した後に細胞を播種する場合、播種前にビトロネクチン及び他の細胞接着成分を含まない溶液(例えば、培養液、PBSや生理食塩水など)で細胞を洗浄してもよい。
ビトロネクチンで被覆した培養基材の培養表面で細胞を培養することにより、培養表面から剥離可能なシート状細胞培養物を得ることができる。
本発明においては、培養表面がビトロネクチンで被覆された細胞培養基材を使用するが、この細胞培養基材の培養表面上には、ビトロネクチン以外の細胞接着性成分および/または細胞接着阻害性成分が存在していてもよい。ビトロネクチン以外の細胞接着性成分としては、細胞培養技術において、培養表面に細胞を接着させるために通常使用される成分であればいかなるものでもよく、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、カドヘリン、ゼラチン、フィブリノゲン、フィブリン、ポリLリジン、ヒアルロン酸、多血小板血漿、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。ビトロネクチン以外の細胞接着阻害性成分としては、細胞培養技術において、培養表面に細胞を接着させるために通常使用される成分であればいかなるものでもよく、例えば、アルブミンやグロブリンなどが挙げられる。これらのビトロネクチン以外の細胞接着性成分または細胞接着阻害性成分で細胞培養基材の培養表面上を被覆する場合、基本的には、ビトロネクチンで被覆する方法と同様の方法で行うことができる。ただし、各成分によって、培養表面を被覆するために使用する溶液の濃度が異なるため、予備的な実験等、当業者であれば容易に検討できる方法によって、各成分の被覆のための溶液濃度を決定することができる。
本発明のシート状細胞培養物を製造する方法は、いかなる動物種、組織由来の細胞であっても使用することができる。かかる細胞の例としては、限定されずに、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞)、心筋細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、上皮細胞(例えば、角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞)、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、歯根膜細胞、皮膚細胞などが挙げられる。また、これらの細胞は、対象から採取した組織または生体液から所望の細胞を単離する工程、単離した細胞を増殖させる工程、増殖させた細胞を特定の細胞に分化させる工程を経て製造したものでも、既に株化された市販の細胞株でも良い。
シート状細胞培養物の形成に用いる細胞は1種類のみであってもよいが、2種類以上の細胞を用いることもできる。本発明の好ましい態様において、細胞培養物を形成する細胞が2種類以上ある場合、最も多い細胞の比率(純度)は、細胞培養物製造終了時において、65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
シート状細胞培養物を製造するために細胞を培養する過程は、各細胞に適した通常の培養方法によって行うことができる。また、細胞を増殖することなくシート状培養物が形成される細胞密度で播種することができる。播種密度は、細胞が分化状態へ移行しない程度の密度が好ましく、3.0×10細胞/cm〜3.5×10細胞/cm程度の範囲である。また、シート状細胞培養物形成後の細胞数は、播種時の細胞数の、例えば、300%以下、好ましくは200%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは、100%程度である。細胞が骨格筋芽細胞の場合、例えば、特開2011-110368に記載の方法を用いることができる。
本発明のシート状細胞培養物の製造方法において使用される培地は、培養する細胞に適した培地を適宜選択して使用することができる。例えば、一般的に使用可能な培地として、MEM、DMEM、F12、IMEM、RPMI−1640などを挙げることができる。これらの培地は市販のものを購入して使用してもよい。また、これらの培地は単独で用いても、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、培地に対し、必要に応じて適当な添加物を加えて使用してもよい。添加物としては、例えば、アミノ酸類(例えば、L−アルギニン、L−シスチン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トリオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニル−L−グルタミンなど)、ビタミン類(例えば、葉酸、リボフラビン、チアミンなど)、その他、D−グルコース、ピルビン酸ナトリウムなどを含んでもよい。また、PBS、HEPES、HANK’Sなどの緩衝剤(液)を適宜培地に加えてもよい。さらに、培養する細胞の特性に応じて、適宜、細胞成長因子などを添加してもよい。
細胞のシート状構造を形成させるための細胞培養は、当該技術分野において通常実施される条件等で行うことができる。例えば、培養温度は30〜40℃、好ましくは36〜38℃、CO濃度は0〜10%、好ましくは4〜6%の条件を挙げることができるが、この条件は限定されるものではなく、培養する細胞の特性に応じて、適宜、培養温度、CO濃度を選択することができる。培養時間は、所望のシート状細胞培養物が形成されるために必要な時間であれば、特に限定されるものではなく、例えば、10時間〜30時間、12時間〜26時間程度の培養時間を例示することができる。
細胞の培養後、所望の形状、構造等を備えたシート状細胞培養物が形成されたのち、該シート状細胞培養物を細胞培養基材の培養表面から剥離し、シート状細胞培養物の回収を行う。シート状細胞培養物の培養表面からの剥離は、シート状の構造が破損されないような方法で実施することができる。本発明は、培養表面をビトロネクチンで被覆していることから、シート状細胞培養物を容易に剥離することが可能であり、例えば、シート状細胞培養物を直接ピンセットなどによって摘み、培養表面から剥離することができる。さらに必要に応じて、ピペッティングにより細胞を培養表面との間を機械的に剥離する過程を含んでもよい。あるいは、シート状の構造が破損されない限り、トリプシン、コラゲナーゼなどの酵素処理等を行ってもよく、細胞の性質に応じて適切な方法を選択することができる。あるいは、シート状細胞培養物の上面に細胞に親和性を有する基材(例えば、PVDF膜、ニトロセルロース膜、フィブリンゲル、コラーゲンゲルなど)を被せて、細胞を膜に写し取ることによって細胞を剥離、回収することもできる。
温度応答性材料(例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体など)で表面を被覆した細胞培養基材を使用した場合には、容器の温度を、例えば、0〜30℃程度に下げたのちに、上記、細胞の剥離、回収を実施してもよい。または、非温度応答性材料からなる材料で表面が構成された細胞培養基材を使用することができる。
本発明には、本発明の方法によって製造されるシート状細胞培養物も含まれる。該シート状細胞培養物は、ビトロネクチンで被覆された培養表面で培養され、製造されたことから、シート状細胞培養物の培養側表面にビトロネクチンが付着して存在している。このようなシート状細胞培養物は、剥離の際、細胞への機械的負荷が少なく済むため、ビトロネクチンで被覆しない培養表面で製造されたシート状細胞培養物と比べて、バイアビリティやサイトカイン産生能が高く、優れた治療効果を期待することができる。
以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
ヒト骨格筋芽細胞を20%(v/v)FBS含有のMCDB131培地(ライフテクノロジージャパン社製)で増殖させた後、回収し、10%DMSO(純正化学製)を含む凍結保存液を用いて凍結保存した。凍結保存した細胞を約37℃に設定したウォーターバス内で解凍し、0.5%のヒト血清アルブミンを含む緩衝液で洗浄したものを以下の実施例に用いた。
実施例1
各種細胞接着成分を細胞培養基材の培養表面に被覆し、シート状細胞培養物の形成及び回収状況を比較した。
コラーゲン溶液(3%, 0.3%及び0.03%)(新田ゼラチン社)、ラミニン溶液(10μg/mL, 1μg/mL及び150ng/mL) (日本ベクトンディッキンソン社)、フィブロネクチン溶液(20μg/mL, 12μg/mL, 6μg/mL及び1μg/mL) (日本ベクトンディッキンソン社)、ビトロネクチン溶液(60μg/mL〜1.5μg/mL)(AGCテクノガラス社)を500μLずつ温度応答性培養皿(24well、ウェルの底面積;1.9cm2)(セルシード社)に添加し、12時間〜72時間インキュベート(設定値:37℃、5%CO2)した。各培養液を温度応答性培養皿から取り除いた後、2.0×106個の骨格筋芽細胞を500μLの各溶液又は基礎培地(DMEM/F12:ライフテクノロジージャパン社)に懸濁して温度応答性培養皿に全量を添加し、16時間〜26時間CO2インキュベーター内(設定値:37℃、5%CO2)で培養した。培養後、温度応答性培養皿から上清を取り除き、1mLのHanks' Balanced Salt Solutions(HBSS:ライフテクノロジージャパン社)を加えた後、温度応答性培養皿上に形成された細胞層をピペッティングにより剥離した。
その結果、1.5μg/mL〜60μg /mLのビトロネクチン溶液のみシート状細胞培養物が得られ、それ以外の条件では、培養基材表面に細胞層が形成されないか、又は、該細胞層を培養基材から剥離するステップにおいて形成された細胞層が破損してしまい、所望のシート状培養物を得ることはできなかった(表1を参照のこと)
Figure 2014143970
実施例2
次に、ビトロネクチンと共にビトロネクチン以外の細胞接着成分を使用した場合のシート状細胞培養物の形成及び回収状況を検討した。
表2記載のフィブロネクチンとアルブミンの混合液及びビトロネクチンとアルブミンの混合液を500μLずつ温度応答性培養皿(24well)に添加し、12時間〜72時間インキュベート(設定値:37℃、5%CO2)した。各培養液を温度応答性培養皿から取り除いた後、2.0×106個の骨格筋芽細胞を500μLの各溶液に懸濁して温度応答性培養皿に全量を添加し、16時間〜26時間CO2インキュベーター内(設定値:37℃、5%CO2)で培養した。培養後、温度応答性培養皿から上清を取り除き、1mLのHanks' Balanced Salt Solutions(HBSS)を加えた後、温度応答性培養皿上に形成された細胞層の剥離操作を行った。
その結果、フィブロネクチンの溶液では、アルブミンによる細胞接着阻害効果により培養基材表面に細胞層を形成させるステップが達成できなかったのに対し、ビトロネクチンでは細胞接着阻害効果は現れず、いずれの条件でもシート状細胞培養物を剥離して、得ることができた。
Figure 2014143970
実施例3
表3記載の培養液(FN:フィブロネクチン、VIN:ビトロネクチン、ALB:アルブミン)を、500μLずつ温度応答性培養皿(24well)に添加し、12時間〜72時間インキュベート(設定値:37℃、5%CO2)した。各培養液を温度応答性培養皿から取り除いた後、骨格筋芽細胞を2.0×106個懸濁させた500μLの各培養液を温度応答性培養皿に添加し、16時間〜26時間CO2インキュベーター内(設定値:37℃、5%CO2)で培養した。培養後、温度応答性培養皿から上清を取り除き、1mLのHanks' Balanced Salt Solutions(HBSS)を加えた後、温度応答性培養皿上に形成された細胞層の剥離操作を行った。
その結果、フィブロネクチンとアルブミン存在下では300ng/mL、フィブロネクチン存在下では600ng/mLのビトロネクチンが含まれていれば、細胞シートは剥離可能であった。
Figure 2014143970
以上の結果より、少なくとも300ng/mL、望ましくは600ng/mL、更に望ましくは、1.5μg/mLのビトロネクチンを含む溶液、と共に細胞を培養し、又は、前記濃度に相当するビトロネクチン溶液で被覆した培養基材上の培養表面上で細胞を培養することによって、フィブロネクチンのように細胞接着性を高める成分が他に含まれていても、確実にシート状細胞培養物を培養表面から剥離して、調製することが可能であった。
本発明は、所望のシート状細胞培養物を確実、かつ、安定的に製造する方法を提供することから、再生医療の分野における利用性が高く、当該分野の発展にも貢献するものである。

Claims (5)

  1. 以下の(a)〜(c)の工程を含むシート状細胞培養物を製造する方法。
    (a)培養基材をビトロネクチンで被覆する工程、
    (b)ビトロネクチンで被覆した培養基材上で細胞を培養し、該細胞のシート状細胞培養物を形成させる工程、
    (c)該シート状細胞培養物を培養基材から剥離する工程
  2. 前記細胞培養基材がビトロネクチン以外の細胞接着性成分および/または細胞接着阻害性成分でコートされていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞基材の表面が温度応答性材料温度応答性材料から、または非温度応答性材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記細胞が骨格筋芽細胞であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の方法により製造したシート状細胞培養物。
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