以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明のその要旨を超えない限りこれらの内容に特定はされない。
<1.光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、一対の電極と、該電極間にある活性層と、該活性層と前記電極の一方との間にある電子取り出し層とを備える。本発明の一実施形態に係る光電変換素子を図1に示す。図1は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが、本発明に係る光電変換素子が図1の構成に限られるわけではない。
光電変換素子107は、基材106、電極(カソード)101、バッファ層(電子取り出し層)102、活性層103、バッファ層(正孔取り出し層)104、及び電極(アノード)105が順次、形成された層構造を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は、正孔取り出し層104及び基材106を有さなくてもよい。また、電極(カソード)と電極(アノード)とが逆に配置されていてもよく、この場合電子取り出し層と正孔取り出し層とも逆に配置される。以下、これらの各部について説明する。
[1.1 電子取り出し層(102)]
電子取り出し層102は、活性層103から電極(カソード)101へと電子を輸送する機能を有する。電子輸送効率を向上させるために、電子取り出し層102は、通常は活性層103に接している。また、電子取り出し層102は、通常は電極(カソード)101にも接している。しかしながら電子取り出し層102は、別の層を介して活性層103及び電極(カソード)101に接していてもよい。さらに、電子取り出し層102は複数の層により構成されていてもよい。
電子取り出し層102は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つであるアルカリ金属元素と、アルカリ金属元素とは異なる金属元素の酸化物とを含有する混合層を備える。1層の混合層のみが電子取り出し層102として用いられてもよい。一方で、電子取り出し層102が複数の層により構成される場合には、複数の層のうちの少なくとも1層が、この混合層である。
混合層中のリチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子の合計数は、金属酸化物を構成する金属元素の原子数に対して通常0.3原子%以上、好ましくは0.5原子%、より好ましくは1原子%以上であり、一方、通常30原子%以下、好ましくは20原子%以下、より好ましくは15%原子以下であり、さらに好ましくは10原子%以下である。元素の組成比が上記範囲にあることは、光電変換効率が向上し、均一な成膜が容易になりうる点で好ましい。組成比が上記範囲にある場合、金属酸化物のポーラス(多孔質)構造内にリチウム、ナトリウム及びカリウムが内包されやすく、このために光電変換効率が向上しているものと考えられる。特に、該組成比が0.3原子%以上であることにより、アルカリ金属元素によるドーパント効果がよりよく得られ、一方で、30原子%以下であることにより、均一な膜を形成しやすくなる。
混合層中のリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、及び金属酸化物の金属原子の組成比は、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定することができる。具体的には、活性層と混合層とが接しているような層構成において、XPS測定を行う場合には、活性層と混合層との界面から、混合層の膜厚の1/4だけ離れた部分の組成比を調べる。なお、電子取り出し層が混合層を含む複数層で構成されている場合、活性層と混合層との間に、電子取り出し層を構成する別の層が形成され、活性層と混合層との界面が存在しない場合がある。この場合は、混合層と活性層との間に形成された電子取り出し層を構成する別の層の中で、混合層に直接接する層と、混合層との界面から、混合層の膜厚の1/4だけ離れた部分の組成比を調べればよい。この方法は、測定が隣接する層の影響を受けにくく、かつ電子取り出し性能への影響が大きい活性層との界面近傍における組成を測定できる点で好ましい。
混合層の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、通常1μm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。混合層の膜厚が0.2nm以上であることで電子取り出し層としての機能が良好に発揮され、混合層の膜厚が1μm以下であることで、電子が取り出し易くなり、光電変換効率が向上する。
電子取り出し層102の全体の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上、さらに好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、通常1μm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。電子取り出し層102の膜厚が0.2nm以上であることで電子取り出し層としての機能が良好に発揮され、電子取り出し層102の膜厚が1μm以下であることで、電子が取り出し易くなり、光電変換効率が向上する。
混合物層の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm2/Vs以上であり、1.0×10−5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。混合物層の電子移動度が1.0×10−6cm2/Vs以上であることは、電子取り出し性能が向上し、変換効率が向上しうる点で好ましい。
[1.1.1 金属元素の酸化物]
混合層に含まれる金属元素の酸化物(以下、金属酸化物と称する)としては、特段の制限はないが、アルカリ金属元素とは異なる金属元素の酸化物が挙げられる。具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化セリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム又は酸化ガリウム等の、n型半導体特性を有する金属酸化物が挙げられる。
n型半導体特性を有する金属酸化物としては、電子移動度が所定範囲内にある金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm2/Vs以上であり、1.0×10−5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、5.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。金属酸化物の電子移動度が1.0×10−6cm2/Vs以上であることは、電子取り出し性能が向上し、変換効率が向上しうる点で好ましい。
なかでも、電子取り出し性能が高い点で、酸化チタンのような周期表第4族元素の酸化物、及び酸化亜鉛のような周期表第12族元素の酸化物が好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましい。また、酸化亜鉛は、イオン結合性が強い、ウルツ鉱型の結晶構造をとることから、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物と共存しやすい点で、特に好ましい。本明細書において、周期表とは、IUPAC2005年度推奨版(Recommendations of IUPAC 2005)のことを指す。
金属酸化物としては1種の酸化物を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
[1.1.2 アルカリ金属元素]
混合層に含まれるリチウム、ナトリウム、及びカリウムは、任意の形態で混合層中に存在しうる。一例としての混合層は、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物からなる群から選択された1以上の化合物を含有している。化合物の種類に特段の制限はなく、化合物には、酸化物、水酸化物、過酸化物、炭酸塩、酢酸塩等のカルボン酸塩、リン酸塩、硝酸塩及び硫酸塩等が含まれる。なかでも、金属酸化物と同時に得ることが可能であり、安定である点で、酸化物が好ましい。
混合層に含まれるリチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物は、1種の化合物であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。例えばナトリウム化合物は、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウム等の混合物でありうる。このようなナトリウム化合物の混合物は、例えば、酢酸ナトリウムを原料として加熱処理を行うことで得られうる。
[1.1.3 電子取り出し層102の形成方法]
電子取り出し層102の形成方法は、特段の制限はない。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法等の乾式成膜法、ゾルゲル法又は塗布法等の湿式成膜法が挙げられる。特に、混合層を形成する場合、プロセスを簡略化しうる点でゾルゲル法又は塗布法を用いることが好ましく、短時間で成膜しうる点で塗布法を用いることがより好ましい。
(ゾルゲル法)
ゾルゲル法とは、金属酸化物前駆体に対して外的刺激を加えることにより、金属酸化物を製造する方法をいう。通常金属酸化物前駆体は、加水分解物であるゾル状態の金属水酸化物を経ながら、ゲル状態の金属酸化物へと変換される。
ゾルゲル法を用いる場合、金属酸化物前駆体と、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つであるアルカリ金属元素と、溶媒とを含有するインクを調製し、このインクを塗布して外的刺激を与え、金属酸化物前駆体を金属酸化物へと変換する(以下、変換工程と称する)ことにより、金属酸化物とアルカリ金属元素とを含有する混合層を形成する。
ゾルゲル法に用いるインクが含有する金属酸化物前駆体としては、特段の制限はないが、金属水酸化物、金属エトキシドや金属イソプロポキシド等の金属アルコキシド、金属酢酸塩等の金属カルボン酸塩、金属アセチルアセトン塩、金属カルボニル塩等の有機金属錯体、金属炭酸塩、金属リン酸塩、金属硝酸塩又は金属硫酸塩等が挙げられる。金属酸化物前駆体は、容易に金属酸化物に変換できることが好ましい。より変換が容易な点で、金属酸化物前駆体として好ましくは金属水酸化物、金属アルコキシド、金属カルボン酸塩又は金属炭酸塩であり、さらに好ましくは金属カルボン酸塩であり、特に好ましくは金属カルボン酸塩水和物である。
ゾルゲル法に用いるインクが含有するアルカリ金属元素は、任意の形態でありうる。一例としてのインクは、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであるアルカリ金属化合物を含有している。化合物の種類に特段の制限はなく、混合層について例示したものと同様のものでありうる。副生成物の発生を抑えるためには、金属酸化物前駆体と同じ形態の金属塩又は金属錯体を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物前駆体及びアルカリ金属化合物が塩である場合、金属酸化物前駆体及びアルカリ金属化合物は、共通するカウンターアニオンを有することが好ましい。一例としては、金属酸化物前駆体として金属カルボン酸塩を用いて金属酸化物を形成する場合、上述のアルカリ金属元素のカルボン酸塩をインクが含有することが好ましい。
上述のように混合層が含有するリチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物としては酸化物(アルカリ金属酸化物)が好ましい。この場合、ゾルゲル法に用いるインクはアルカリ金属酸化物を含有していてもよいし、アルカリ金属酸化物の前駆体を含有していてもよい。アルカリ金属酸化物の前駆体とは、変換工程によってアルカリ金属酸化物へと変換される化合物のことを指す。酸化物の前駆体としては特に制限されないが、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属硝酸塩又はアルカリ金属カルボン塩等が挙げられる。金属酸化物とアルカリ金属元素とが均一に混合された混合層がより容易に得られうる点で、アルカリ金属カルボン酸塩を用いる事はより好ましい。
ゾルゲル法に用いるインクが含有する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール又は2−ブトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類;エタノールアミン、ジエチルアミン又トリエチルアミン等のアミン類が挙げられる。なかでも好ましくは、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール又は2−ブトキシエタノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類である。さらに好ましくは、水、エタノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。
ゾルゲル法に用いるインクは1種の溶媒を含有していてもよいし、2種以上の溶媒を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。また、溶媒は電子取り出し層中に残留していてもよく、溶媒の沸点に規定はない。
ゾルゲル法に用いるインク中の、金属酸化物前駆体の濃度は、特段の制限はないが、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。インク中の金属酸化物前駆体の濃度が上記範囲内にあることは、金属酸化物前駆体を均一に塗布しうる点で好ましい。
ゾルゲル法に用いるインク中の、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物の合計濃度は、特段の制限はないが、通常0.003質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、一方、通常25質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。インク中の金属酸化物及びその前駆体の濃度が上記範囲内にあることは、アルカリ金属化合物又はその前駆体を均一に塗布しうる点で好ましい。
ゾルゲル法に用いるインク中の、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子の合計数は、金属酸化物を構成する金属元素の原子数に対して、通常0.3原子%以上、好ましくは0.5原子%以上、より好ましくは1原子%以上であり、一方、通常30原子%以下、好ましくは20原子%以下、より好ましくは15%原子以下であり、さらに好ましくは10原子%以下である。元素の組成比が上記範囲にあることは、得られる光電変換素子の変換効率が向上しうる点で好ましい。インク中のリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、及び金属酸化物の金属原子の組成比を決定する方法としては、ICP(誘導結合プラズマ)測定が挙げられる。ゾルゲル法は後述のような外部刺激等を必要とする成膜方法であるため、金属酸化物を構成する金属元素の原子数に対しての、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子の合計数は、インク中と素子中では必ずしも一致するわけではない。
インクの塗布は任意の方法で行うことができる。例えば、スピンコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。また、これらの方法のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
変換工程において、どのような外的刺激を金属酸化物前駆体に与えるかは任意であるが、通常は、熱処理、光処理等を行う。乾燥プロセスを同時に行える点で、熱処理を行うことが好ましい。
その他のゾルゲル法における具体的な処理は、周知技術を参考にして行うことができる。例えば、インクが安定化しうる点で、エタノールアミンのようなアミンをインクに添加することも好ましい。
(塗布法)
塗布法とは、化合物を含有するインクを塗布することにより、この化合物を含有する層を形成する方法のことを指す。例えば、金属酸化物と、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つであるアルカリ金属元素と、を含有する塗布液を塗布することにより、金属酸化物とアルカリ金属元素とを含有する層を形成することができる。
塗布法に用いるインクは、金属酸化物、アルカリ金属元素及び溶媒を含有するのであれば特段の制限はない。
塗布法に用いるインクが含有する金属酸化物としては、粒子状であることが、均一な膜厚の電子取り出し層が形成されうる点で好ましい。
金属酸化物粒子の平均一次粒径は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上であり、一方、通常100nm以下、好ましくは60nm以下、より好ましくは40nm以下である。平均一次粒径が5nm以上であることは、金属酸化物が凝集しにくく、平均二次粒径が好適な大きさの金属酸化物が得られるため、好ましい。また、平均一次粒径が100nm以下であることは、金属酸化物の二次粒子ひとつひとつが適度な大きさとなり、均一な膜厚の電子取り出し層が形成されるために好ましい。
金属酸化物の平均一次粒径は、動的光散乱粒子径測定装置や透過型電子顕微鏡(TEM)等で測定することができる。平均一次粒径が5nm以上100nm以下の金属酸化物(金属酸化物のナノ粒子と記すこともある)としては、具体的には、ナノジンク60(本荘ケミカル社製)、FINEX−30(堺化学工業社製)、ZINCOX SUPER F−2(ハクスイテック社製)等が挙げられる。
また、金属酸化物粒子は、溶媒に分散しやすくするために表面処理剤で表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、特段の制限はないが、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン又はジメチコンPEG−7コハク酸塩等のポリシロキサン化合物及びその塩;シラン化合物等(メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン又は3−カルボキシプロピルトリメチルトリメトキシシラン等)の有機ケイ素化合物;ラウリン酸、ステアリン酸、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸又は6−ヒドロキシヘキサン酸等のカルボン酸化合物;ラウリルエーテルリン酸又はトリオクチルホスフィン等の有機リン化合物;ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン又はエチレンジアミン等のアミン化合物;ポリイミン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン又はポリ尿素等のバインダー樹脂が挙げられる。なお、表面処理剤としては1種の化合物を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
塗布法に用いるインクが含有するアルカリ金属元素は、任意の形態でありうる。一例としてのインクは、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであるアルカリ金属化合物を含有している。化合物の種類に特段の制限はなく、混合層について例示したものと同様のものでありうる。また、上述のように混合層が含有するリチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物としては酸化物(アルカリ金属酸化物)が好ましい。この場合、塗布法に用いるインクはアルカリ金属酸化物を含有していてもよいし、アルカリ金属酸化物の前駆体を含有していてもよい。アルカリ金属酸化物の前駆体としては、ゾルゲル法について挙げたものと同様のものを用いることができる。
塗布法に用いるインクが含有する溶媒としては、特に限定されず、ゾルゲル法について挙げたものと同様のものを用いることができる。
塗布法に用いるインク中の、金属酸化物の濃度は、特段の制限はないが、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。インク中の金属酸化物の濃度が上記範囲内にあることは、金属酸化物を均一に塗布しうる点で好ましい。
塗布法に用いるインク中の、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びカリウム化合物の合計濃度は、特段の制限はなく、ゾルゲル法に用いるインクと同様でありうる。また、塗布法に用いるインク中の、リチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子の合計数の、金属酸化物を構成する金属元素の原子数に対する比も、ゾルゲル法に用いるインクと同様でありうる。
インクの塗布は任意の方法で行うことができる。具体的な例としては、ゾルゲル法について挙げたものと同様のものが挙げられる。
[1.1.4 電子取り出し層の作用]
電子取り出し層102は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1つであるアルカリ金属元素と、アルカリ金属元素とは異なる金属元素の酸化物とを含有する混合層を備える。
一般的に、電子デバイスでは、耐久性の低下やリーク電流の増加の原因となるナトリウム、カリウム等のアルカリ金属元素を含まない無アルカリガラスが用いられる。しかしながら、本発明者らの検討によると、金属酸化物が、リチウム、ナトリウム、又はカリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つのアルカリ金属元素を含むことで、光電変換素子における変換効率が向上することが判明した。この理由として、リチウム、ナトリウム及びカリウムは、亜鉛よりも小さい電気陰性度を有するため、混合層において金属酸化物にリチウム原子、ナトリウム原子又はカリウム原子がよく分散され、より電子取り出し性能が高い混合層が得られたものと考えられる。
一方で、上述のように、周期表第13族元素から選ばれる原子(特にアルミニウム又はガリウム)を含有する酸化亜鉛層を、電子取り出し層として用いる技術が知られている。しかしながら、周期表第13族元素から選ばれる原子(特にアルミニウム又はガリウム)を、酸化亜鉛のような金属酸化物中によく分散させることは容易ではないと考えられる。すなわち、周期表第13族元素は、金属酸化物を構成する金属元素と電気陰性度が近いため、酸化亜鉛のような金属酸化物中に周期表第13族元素から選ばれる原子を分散させるためには、周期表第13族元素から選ばれる原子で金属原子を置換する必要があると考えられるためである。
また、セシウムも亜鉛よりも小さい電気陰性度を有するが、一方でリチウム、ナトリウム及びカリウムと比べて原子半径が大きい。このために、セシウムは金属酸化物中に入りにくいものと考えられる。このために、リチウム、ナトリウム又はカリウムを含有する金属酸化物と比べて、セシウムを含有する金属酸化物が、より低い電子取り出し性能を示しているものと考えられる。
また、アルミニウム、セシウム等の金属は、添加する際における金属塩又は金属錯体の取扱いが難しく、金属酸化物前駆体と同じ形態の塩又は錯体を用いることが困難であるという問題もあった。例えば、金属酸化物前駆体として酢酸亜鉛を用いる場合、同じ形態の塩としては酢酸セシウムや酢酸水酸化アルミニウムが挙げられるが、これらは、酢酸カリウムや酢酸ナトリウムと比べて、安定性や難溶性に課題がある。セシウム化合物としては炭酸セシウム、アルミニウム化合物としては硝酸アルミニウムがよく用いられるが、これらと同じ形態の塩である炭酸亜鉛及び硝酸亜鉛は、不安定で取扱いにくくなる。この場合、炭酸塩と酢酸塩、硝酸塩と酢酸塩のように、異なる形態の塩を用いることもできるが、分解温度や生成する副生物等の点で複雑さが増すため、例えば酢酸塩のみを用いた場合よりも、取扱いやすさ、生成される膜質の制御、及びこれらに相関するコスト面での課題が大きくなる可能性がある。一方、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの塩又は錯体は、多種多様かつ安定な化合物が多くあるため、金属酸化物前駆体と同じ形態の塩又は錯体を用いることが容易であり、コスト面で有利である。
また、特に金属酸化物として酸化亜鉛を用いる場合、酸化亜鉛においてZn(1s22s22s63s23s63d104s2)の3d電子とO(1s22s22p4)の2p電子とが強く混成しているところ、3d電子を持たないLi(1s22s1)、Na(1s22s22p63s1)、K(1s22s22p63s23p64s1)はZn−O結合を修飾し、局所的な双極子を誘起する。このことにより、リチウム、ナトリウム又はカリウムを含有した酸化亜鉛膜はより高い電子取り出し性能を示しているものと考えられる。
[1.2 正孔取り出し層(104)]
正孔取り出し層104の材料は、特に限定は無く、活性層103から電極(アノード)105への正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンポリピロール又はポリアニリン等にスルホン酸及び/又はヨウ素等をドーピングした導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、後述のp型半導体化合物等が挙げられる。その中でも、好ましくはスルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀、パラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で用いることもできるし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
また、正孔取り出し層104は1層で構成されていてもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。
正孔取り出し層104の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層104の膜厚が0.2nm以上であることでバッファ材料としての機能がよく発揮され、正孔取り出し層104の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
正孔取り出し層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の方法を用いた湿式成膜法により形成することができる。正孔取り出し層104に半導体化合物を用いる場合は、後述する活性層に用いる低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を含有する層を形成した後に、前駆体を半導体化合物に変換することにより、半導体化合物を含有する正孔取り出し層104を形成することができる。
特に、PEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布することにより正孔取り出し層104を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOSTMシリーズや、アグファ社製のORGACONTMシリーズ等が挙げられる。
湿式成膜法を用いる場合、塗布液はさらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡、異物等の付着による凹み、及び乾燥工程での塗布むらのうち少なくとも一方等の発生を抑制することができる。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、1種の界面活性剤を単独で用いてもよいし、2種以上の界面活性剤を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[1.3 活性層(103)]
活性層103は光電変換が行われる層を指し、通常、p型半導体化合物とn型半導体化合物を含む。p型半導体化合物とはp型半導体材料として働く化合物のことを指し、n型半導体化合物とはn型半導体材料として働く化合物のことを指す。光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極(カソード)101及び電極(アノード)105から取り出される。
活性層103の材料としては無機化合物と有機化合物とのいずれを用いてもよい。活性層103は簡易な塗布プロセスにより形成しうることが好ましい。この観点からは、活性層103の材料として有機化合物を用いることが好ましく、この場合、活性層103は有機化合物を含有する有機活性層である。以下では、活性層103が有機活性層であるものとして説明する。
活性層103の層構成は、p型半導体化合物層とn型半導体化合物層とが積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層(i層)を薄膜積層型の中間層として有する構造等が挙げられる。なかでも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型の活性層が好ましい。
活性層103の膜厚は特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。活性層103の膜厚が10nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるために好ましい。また、活性層103の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなり、かつ電極間の距離が離れず電荷の拡散が良好となるために好ましい。
活性層103の作成方法としては、特段に制限はなく、例えば湿式成膜法又は乾式成膜法を用いることができる。なかでも、半導体化合物を含有する塗布液を塗布することにより層を形成する湿式成膜法を用いることが好ましい。より具体的には、p型半導体化合物層はp型半導体化合物を含有する塗布液を塗布することにより形成することができ、n型半導体化合物層はn型半導体化合物を含有する塗布液を塗布することにより形成することができ、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層はp型半導体化合物とn型半導体化合物とを含有する塗布液を塗布することにより形成することができる。
また、p型半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後にp型半導体化合物前駆体をp型半導体化合物へと変換してもよいし、n型半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後にn型半導体化合物前駆体をn型半導体化合物へと変換してもよい。ここで、半導体化合物前駆体とは、熱又は光等の外部刺激を加えることにより、半導体化合物へと変換される化合物のことを指す。
具体的な湿式成膜法の方法は任意であり、例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
p型半導体化合物とn型半導体化合物としては、それぞれ、1種の化合物を用いてもよいし、2種以上の化合物を任意の比率で併用してもよい。
[1.3.1 p型半導体化合物]
活性層103が含有するp型半導体化合物に、特に限定はないが、低分子有機半導体化合物と高分子有機半導体化合物とが挙げられる。
[1.3.1.1 低分子有機半導体化合物]
低分子有機半導体化合物の分子量は、上限、下限ともに特に制限されないが、通常5000以下、好ましくは2000以下であり、一方、通常100以上、好ましくは200以上である。
また、低分子有機半導体化合物は結晶性を有することが好ましい。結晶性を有するp型半導体化合物は強い分子間相互作用を有し、活性層103においてp型半導体化合物とn型半導体化合物の混合物層界面で生成した正孔(ホール)を効率よく電極(アノード)105へ輸送できることが期待されるためである。
本明細書において結晶性とは、分子間相互作用等によって配向の揃った3次元周期配列をとる化合物の性質のことを指す。結晶性の測定方法としては、X線回折法(XRD)又は電界効果移動度測定等が挙げられる。特に電界効果移動度測定において、正孔移動度が1.0×10−5cm2/Vs以上である結晶性化合物が好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上である結晶性化合物がより好ましい。一方、正孔移動度が通常1.0×104cm2/Vs以下である結晶性化合物が好ましく、1.0×103cm2/Vs以下である結晶性化合物がより好ましく、1.0×102cm2/Vs以下である結晶性化合物がさらに好ましい。
低分子有機半導体化合物は、上記の性能を満たせば特段の制限はないが、具体的には、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物等が挙げられる。好ましくは、フタロシアニン化合物及びその金属錯体又はポルフィリン化合物及びその金属錯体である。
p型半導体化合物として用いられるポルフィリン化合物及びその金属錯体(下記式中のZ1がCH)、フタロシアニン化合物及びその金属錯体(下記式中のZ1がN)としては、例えば、以下のような構造の化合物が挙げられる。
ここで、Mは金属あるいは2個の水素原子を表し、金属としては、Cu、Zn、Pb、Mg、Co又はNi等の2価の金属のほか、軸配位子を有する3価以上の金属、例えば、TiO、VO、SnCl2、AlCl、InCl又はSi(OH)2等も挙げられる。
R11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上24以下のアルキル基である。炭素数1以上24以下のアルキル基とは、炭素数が1以上24以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数が3以上24以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。その中でも好ましくは炭素数1以上12以下の飽和若しくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数が3以上12以下の飽和若しくは不飽和の環式炭化水素である。
フタロシアニン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、29H,31H−フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体又は銅4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン錯体であり、より好ましくは、29H,31H−フタロシアニン又は銅フタロシアニン錯体である。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンニッケル(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンコバルト(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン銅(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン亜鉛(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンニッケル(II)又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンバナジウム(IV)オキシドであり、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンである。
上述のように、低分子半導体化合物を含む層は、湿式成膜法により形成することが好ましい。なかでも、低分子半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布し、後に低分子半導体化合物前駆体を低分子半導体化合物に変換することのより、低分子半導体化合物を含む層を形成することが、成膜が容易である点で好ましい。具体的な方法としては、特に制限はないが、特開2007−324587号公報及び特開2011−119648号公報に記載の方法が挙げられる。
[1.3.1.2 高分子有機半導体化合物]
高分子有機半導体化合物として、特に限定はなく、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役ポリマー半導体;アルキル基やその他の置換基で置換されたオリゴチオフェン等のポリマー半導体;等が挙げられる。また、二種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマーも挙げられる。共役ポリマーとしては、例えば、Handbook of Conducting Polymers,3rd Ed.(全2巻,2007)、Materials Science and Engineering,2001,32,1−40、Pure Appl.Chem.2002,74,2031−3044、Handbook of THIOPHENE−BASED MATERIALS(全2巻,2009)等の文献に記載されたポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るポリマーを用いることができる。
ポリマーのモノマー骨格やモノマーの置換基は、溶解性、結晶性、成膜性、HOMO(最高被占分子軌道)エネルギー準位及びLUMO(最低空分子軌道)エネルギー準位等を制御するために選択することができる。また、高分子有機半導体化合物が有機溶媒に可溶なものであることは、湿式成膜法により高分子有機半導体化合物を含む層を形成しうる点で好ましい。高分子有機半導体化合物の具体例としては以下のものが挙げられるが、以下のものに限定されるわけではない。
p型半導体化合物としてその中でも好ましくは、低分子有機半導体化合物としては、ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体であり、高分子有機半導体化合物としては、ポリチオフェン等の共役ポリマー半導体である。
低分子有機半導体化合物及び高分子有機半導体化合物のうちの少なくとも一方は、成膜された状態において、何らかの自己組織化した構造を有していてよいし、アモルファス状態であってもよい。
p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができるが、特にフラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上であり、一方、通常−4.6eV以下、より好ましくは−4.8eV以下である。p型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体のHOMOエネルギー準位が−4.6eV以下であることによりp型半導体化合物の安定性が向上するとともに、開放電圧(Voc)が向上しうる。
また、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、後述のn型半導体化合物の種類によって選択することができる。特にフラーレン化合物をn型半導体化合物として用いる場合、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上であり、一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整されて長波長の光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度(Jsc)が向上しうる。p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が−3.7eV以上であることにより、n型半導体化合物への電子移動が起こりやすくなり、短絡電流密度(Jsc)が向上しうる。
HOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位の算出方法としては、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法とが挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法があげられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法、サイクリックボルタモグラム測定法があげられる。その中でも好ましくは、サイクリックボルタモグラム測定法である。本明細書においてHOMOエネルギー準位及びLUMOエネルギー準位は、サイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値を指す。
[1.3.2 n型半導体化合物]
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ等が挙げられる。
その中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドがより好ましい。
また、n型半導体化合物としては、n型高分子半導体化合物も挙げられる。具体的には、特段の制限は無いが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド若しくはペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物が挙げられる。その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物がより好ましい。
n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、特に限定はされないが、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。p型半導体からn型半導体へと効率良く電子を移動させるためには、p型半導体化合物とn型半導体化合物とのLUMOエネルギー準位の相対関係が重要である。具体的には、p型半導体化合物のLUMOエネルギー準位が、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位より所定のエネルギーだけ上にあること、言い換えると、n型半導体化合物の電子親和力がp型半導体化合物の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。開放電圧(Voc)はp型半導体化合物のHOMOエネルギー準位とn型半導体化合物のLUMOエネルギー準位との差に依存するため、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位を高くすると、開放電圧(Voc)が高くなる傾向がある。
一方、n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位は、通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、さらに好ましくは−3.3eV以下である。n型半導体化合物のLUMOエネルギー準位を低くすることにより、電子の移動が起こりやすくなり、短絡電流(Jsc)が高くなる傾向がある。
n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−7.0eV以上であることは、n型半導体化合物による光吸収も発電に利用しうる点で好ましい。n型半導体化合物のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることには、正孔の逆移動を阻止しうる点で好ましい。
n型半導体化合物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm2/Vs以上であり、1.0×10−5cm2/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm2/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm2/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×104cm2/Vs以下であり、1.0×103cm2/Vs以下が好ましく、1.0×102cm2/Vs以下がより好ましい。n型半導体化合物の電子移動度が1.0×10−6cm2/Vs以上であることは、光電変換素子の電子拡散速度向上、短絡電流向上、変換効率向上等の効果が大きくなる傾向にある傾向にあるため、好ましい。
電子移動度の測定方法としては電界効果トランジスタ(FET)測定が挙げられ、具体的には公知文献(特開2010−045186)に記載の方法により実施することができる。
n型半導体化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.5質量%以上であり、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましい。一方、通常90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。n型半導体化合物の溶解度が0.5質量%以上であることは、n型半導体化合物を含有する溶液において、n型半導体材料の分散安定性が向上し、凝集、沈降、分離等を起こしにくくなるため、湿式成膜法による成膜が容易となる点で好ましい。
以下、これらの好ましいn型半導体化合物についてさらに説明する。
[1.3.2.1 フラーレン化合物]
フラーレン化合物としては、一般式(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造を有するものが好ましい。
式(n1)〜(n4)中、FLNとは、閉殻構造を有する炭素クラスターであるフラーレンを表わす。フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスター等が挙げられる。その中でも、C60又はC70が好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素−炭素結合が切れていてもよい。又、一部の炭素原子が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらに、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団が、フラーレンケージ内に内包されていてもよい。
a、b、c及びdは整数であり、a、b、c及びdの合計は通常1以上であり、一方、通常5以下であり、好ましくは3以下である。(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造は、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環に付加される。一般式(n1)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−R21と−(CH2)Lとがそれぞれ付加している。一般式(n2)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R25)(R26)−N(R27)−C(R28)(R29)−が付加して5員環を形成している。一般式(n3)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R30)(R31)−C−C−C(R32)(R33)−が付加して6員環を形成している。一般式(n4)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して−C(R34)(R35)−が付加して3員環を形成している。Lは1以上8以下の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(n1)において、R21は、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、炭素数1以上6以下のものがより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。
アルキル基、アルコキシ基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子又はシリル基が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。シリル基としては、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基又はトリアルキルシリル基が好ましく、ジアルキルアリールシリル基がより好ましく、ジメチルアリールシリル基がさらに好ましい。
一般式(n1)において、R22〜R24は各々独立して置換基を表し、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はn−ヘキシル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又は炭素数2以上10以下の芳香族基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、n−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基がさらに好ましい。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1以上3以下が好ましく、1がより好ましい。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n2)において、R25〜R29は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基又はオクチル基であり、より好ましくはメチル基である。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に限定は無いが、好ましくはフッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基である。アルキル基にはフッ素原子が置換されていてもよい。さらに好ましくは炭素数1以上14以下のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)において、Ar1は、置換基を有していてもよい炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基又はキノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基又はフリル基である。
有していてもよい置換基として特に限定は無いが、フッ素原子、塩素原子、水酸基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数1以上14以下のアルキルカルボニル基、炭素数1以上14以下のアルキルチオ基、炭素数2以上14以下のアルケニル基、炭素数2以上14以下のアルキニル基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基、炭素数2以上20以下のアリールチオ基、炭素数2以上20以下のアリールオキシ基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の複素環基が好ましく、フッ素原子、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のアルコキシ基、炭素数2以上14以下のエステル基、炭素数2以上14以下のアルキルカルボニル基又は炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基がより好ましい。炭素数1以上14以下のアルキル基は1以上のフッ素原子で置換されていてもよい。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。置換基が複数の場合、その種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
炭素数1以上14以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシル基が好ましい。炭素数1以上14以下のアルキルカルボニル基としては、アセチル基が好ましい。炭素数2以上14以下のエステル基としては、メチルエステル基又はn−ブチルエステル基が好ましい。炭素数3以上20以下のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基が好ましい。
一般式(n3)において、R30〜R33は各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基である。R30又はR31は、R32又はR33と結合して環を形成していてもよい。R30又はR31は、R32又はR33と結合して環を形成している場合の一例として、芳香族基が縮合したビシクロ構造である一般式(n5)の構造が挙げられる。
一般式(n5)においてfはcと同様の整数であり、Z2は、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、アルキレン基又はアリーレン基である。
アルキレン基としては炭素数1以上2以下のものが好ましく、メチレン基又はエチレン器が挙げられる。アリーレン基としては炭素数5以上12以下のものが好ましく、例えばフェニレン基が挙げられる。アミノ基は、メチル基又はエチル基等の炭素数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。アルキレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。アリーレン基は、メトキシ基等の炭素数1以上6以下のアルコキシ基、炭素数1以上5以下の脂肪族炭化水素基、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
式(n5)に表される構造は、下記式(n6)又は式(n7)で表される構造であることが特に好ましい。
一般式(n4)において、R34〜R35は各々独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1以上14以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でもよく、好ましくは同一である。
アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上12以下のアルコキシ基又は炭素数1以上12以下のフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上12以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はn−ヘキソキシ基が特に好ましい。
アルキル基としては、炭素数1以上8以下の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基には特に限定は無いが、好ましくはアルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基を構成するアルコキシ基としては、炭素数1以上14以下のアルコキシ基又はフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はn−ブトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基又は炭素数2以上20以下の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基が好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数1以上14以下のフッ化アルキル基又は炭素数1以上14以下のアルコキシ基が好ましく、炭素数1以上14以下のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。
一般式(n4)で表される構造の好ましい例としては、R34及びR35が共にアルコキシカルボニル基であるもの、R34及びR35が共に芳香族基であるもの並びにR34が芳香族基でありかつR35が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基であるものが挙げられる。
湿式成膜法を用いてフラーレン化合物を含む層を形成するためには、フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、又はフラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。用いられるフラーレン化合物の、25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。フラーレン化合物の溶解度が0.1質量%以上であることは、フラーレン化合物を含有する溶液におけるフラーレン化合物の分散安定性が増加し、凝集、沈降、分離等が起こりにくくなるために、湿式成膜法による成膜が容易となる点で好ましい。
湿式成膜法を用いてフラーレン化合物を含む層を形成する場合における、フラーレン化合物を含有する溶液の溶媒は、非極性有機溶媒であれば特段に制限はないが、非ハロゲン系溶媒が好ましい。ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒を用いることも可能であるが、環境負荷の面等から代替が求められている。非ハロゲン系溶媒としては、例えば、非ハロゲン系芳香族炭化水素類が挙げられる。その中でも好ましくはトルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等である。
(フラーレン化合物の製造方法)
フラーレン化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、部分構造(n1)を有するフラーレンの合成は、国際公開第2008/059771号又はJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(46),15429−15436のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
部分構造(n2)を有するフラーレンの合成は、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798−9799、Chem.Mater.2007,19,5363−5372又はChem.Mater.2007,19,5194−5199のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
部分構造(n3)を有するフラーレンの合成は、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1993,32,78−80、Tetrahedron Lett.1997,38,285−288、国際公開第2008/018931号又は国際公開第2009/086210号のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
部分構造(n4)を有するフラーレンの合成は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1997,1595、Thin Solid Films 489(2005)251−256、Adv.Funct.Mater.2005,15,1979−1987又はJ.Org.Chem.1995,60,532−538のような公知文献の記載に従って、実施可能である。
[1.3.2.2 N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体]
N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体としては、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2009/115553号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2009/000756号及び国際公開第2009/091670号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、電子移動度が高く、可視領域の光を吸収するため、電荷輸送と発電との両方に寄与しうる点から好ましい。
[1.3.2.3 ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド]
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドとしては、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2007/146250号及び国際公開第2009/000756号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、電子移動度が高く、溶解性が高く塗布性に優れている点から好ましい。
[1.3.2.4 n型高分子半導体化合物]
n型高分子半導体化合物としては、特段の制限はないが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド若しくはペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物等が挙げられる。
その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物がより好ましい。
n型高分子半導体化合物の具体例としては、国際公開第2009/098253号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2010/012710号及び国際公開第2009/098250号に記載されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、可視領域の光を吸収するために発電に寄与しうる点、及び粘度が高く塗布性に優れている点から好ましい。
[1.4 基材(106)]
光電変換素子107は、通常は支持体となる基材106を有する。すなわち、基材106上に、電極(カソード)101と、電子取り出し層102と、活性層103と、電極(アノード)105とが形成される。
基材106の材料(基材材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基材材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料又はフレキシブル基材が挙げられる。本発明において、フレキシブル基材とは曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料、等が挙げられる。ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスとしては、ガラスからの溶出イオンが少ない点で、無アルカリガラスがより好ましい。
基材106の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状でありうる。基材106の膜厚に制限はない。基材106の膜厚は、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上であり、一方、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。基材106の膜厚が5μm以上であることは、半導体デバイスの強度が向上する点で好ましい。基材106の膜厚が20mm以下であることは、製造コストが抑えられ、かつ光電変換素子107が軽くなるために好ましい。また、基材106の材料がガラスである場合の基材106の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために好ましい。また、ガラス基材の膜厚が0.5cm以下であることは、光電変換素子107が軽くなるために好ましい。
[1.5 電極(101,105)]
一対の電極(101,105)は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の電極には、正孔の捕集に適した電極105(以下、アノードと記載する場合もある)と、電子の捕集に適した電極101(以下、カソードと記載する場合もある)とを用いることが好ましい。
一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。ここで、透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを意味する。より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するためには、透明電極の太陽光線透過率が70%以上であることが好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
さらに、アノード105及びカソード101は、2層以上の層が積層された構造を有していてもよい。また、表面処理によりアノード105及びカソード101の特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
[1.5.1 アノード(105)]
アノード105は、正孔の捕集に適した材料で構成される電極であることが好ましい。アノード105の材料は、一般にはカソード101の材料よりも仕事関数が大きい導電性材料であり、活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する。
アノード105の材料としては、例えば、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズインジウム(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、酸化チタン又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属若しくはその合金等が挙げられる。これらの物質は大きい仕事関数を有するために好ましく、また、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるために好ましい。このような導電性高分子材料を積層する場合には、導電性高分子材料の仕事関数が大きいことから、上記のような大きい仕事関数を有する材料の代わりに、アルミニウム又はマグネシウム等の、カソードの材料に適した金属を用いることも可能である。
また、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSS、又はポリピロール若しくはポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料等を、アノード105の材料として使用することもできる。
アノード105が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOを用いることが好ましい。
アノード105の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード105の膜厚が10nm以上であることは、シート抵抗が抑えられる点で好ましく、アノード105の膜厚が10μm以下であることは、光透過率が向上するために光電変換素子107が効率よく光を電気に変換しうる点で好ましい。アノード105が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶことが望ましい。
アノード105のシート抵抗に、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上であり、一方、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。シート抵抗がより低いことは、光電変換効率が向上しうる点で好ましい。
アノード105の形成方法としては、真空蒸着法若しくはスパッタ法等の乾式成膜法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法が挙げられる。
[1.5.2 カソード(101)]
カソード101は、電子の捕集に適した材料で構成される電極であることが好ましい。カソード101の材料は、一般にはアノード105の材料よりも小さい仕事関数を有する導電性材料であり、活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する。電子をよりスムーズに取り出すために、カソード101は電子取り出し層102と隣接することが好ましい。
カソード101の材料の例としては、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウム又はフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウム等の金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は小さい仕事関数を有するために好ましい。もっとも、電子取り出し層102が活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有することから、カソード101の材料として、アノード105の材料に適した大きい仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、カソード101の材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金である。
カソード101の膜厚には特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソード101の膜厚が10nm以上であることは、シート抵抗が抑えられるために好ましい。またカソード101の膜厚が10μm以下であることは、光透過率が向上するために効率よく光を電気に変換しうる点で好ましい。カソード101が透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶことが望ましい。
カソード101のシート抵抗に特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。シート抵抗がより低いことは、光電変換効率が向上しうる点で好ましい。
カソード101の形成方法としては、真空蒸着法若しくはスパッタ法等の乾式成膜法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法が挙げられる。
[1.6 光電変換素子の製造方法]
光電変換素子107は、上述した方法に従い、基材106、カソード101、電子取り出し層102、活性層103、正孔取り出し層104、及びアノード105を順次積層することにより作製することができる。異なる構成を有する光電変換素子、例えば基材106と正孔取り出し層104との少なくとも一方を有さない光電変換素子も、同様の方法により作製することができる。
アノード105及びカソード101を積層した後に、光電変換素子107を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい。この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある。
アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、電子取り出し層102と電極101、及び電子取り出し層102と活性層103のうち少なくとも一方の密着性が向上しうる点で好ましい。アニーリング処理工程を300℃以下の温度で行うことは、活性層103中の有機化合物が熱分解することを抑えられるために好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の範囲内の異なる温度で段階的に加熱を行ってもよい。
加熱時間としては、通常1分間以上、好ましくは3分間以上であり、一方、通常180分間以下、好ましくは60分間以下である。加熱は、光電変換素子の性能を示すパラメーターである、開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値となった際に終了することが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下かつ不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱方法としては特に限定されないが、ホットプレート等の熱源に光電変換素子107を載せる方法、及びオーブン等の加熱雰囲気下に光電変換素子107を入れる方法等が挙げられる。加熱は、バッチ方式で行っても、連続方式で行ってもよい。
[1.7 光電変換特性]
光電変換素子の光電変換特性は次のようにして求めることができる。すなわち、光電変換素子にソーラシミュレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm2で照射して、電流−電圧特性を測定する。測定により得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、FF(フィルファクター)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
本発明に係る光電変換素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はないが、高ければ高いほどよい。
光電変換素子の耐久性を測定する方法としては、光電変換素子を大気に暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。具体的には、維持率は以下のようにして求められる。
(維持率)=(N時間の大気暴露後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
光電変換素子を実用化するためには、製造が容易かつ安価であること以外に、光電変換素子が高い光電変換効率及び高い耐久性を有することも重要である。本発明に係る光電変換素子の光電変換効率の維持率は、1週間の大気暴露前後で60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、高ければ高いほど好ましい。
[2.本発明に係る太陽電池]
本発明に係る光電変換素子107は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及びガスバリアフィルム9のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
[2.1 耐候性保護フィルム(1)]
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び機械強度のうち少なくとも一方等の、薄膜太陽電池14の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム1も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム1の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
耐候性保護フィルム1を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子6を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート若しくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコン系樹脂又はポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム1は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、耐候性保護フィルム1は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上200μm以下である。
また耐候性保護フィルム1には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及びプラズマ処理のうち少なくとも一方等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池14の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
[2.2 紫外線カットフィルム(2)]
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池14の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3、9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム2に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、下限に制限はない。また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率が80%以上であることが好ましく、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム2も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム2の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
また、紫外線カットフィルム2は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうることが好ましい。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系又はエステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系又はシアノアクリレート系のものを用いることができる。なお、1種の紫外線吸収剤を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。上記のように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラスティック株式会社)等が挙げられる。なお、紫外線カットフィルム2は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、紫外線カットフィルム2は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の受光面6aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子6の受光面6aの全てを覆う位置に設ける。ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
[2.3 ガスバリアフィルム(3)]
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。ガスバリアフィルム3で太陽電池素子6を被覆することにより、太陽電池素子6を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、例えば、単位面積(1m2)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10−1g/m2/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリアフィルム3に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、例えば、単位面積(1m2)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10−1cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム3の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ガスバリアフィルム3の具体的な構成は、太陽電池素子6を水から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム3を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なガスバリアフィルム3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムにSiOxを真空蒸着したフィルム等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム3の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6を被覆して湿気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム3が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子6の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及びガスバリアフィルム9のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
[2.4 ゲッター材フィルム(4)]
ゲッター材フィルム4は水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収するフィルムである。ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び酸素のうち少なくとも一方から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。ここで、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3とは異なり、水分の透過を妨げるものではなく、水分を吸収するものである。水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム3及び9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム4が捕捉して水分による太陽電池素子6への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム4の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm2以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm2以下である。また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することは、ガスバリアフィルム3及び9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できるために、好ましい。
さらに、ゲッター材フィルム4は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム4も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム4の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
ゲッター材フィルム4を構成する材料は、水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr又はBa等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO又はBaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム又は酸化鉄等が挙げられる。またFe、Mn、若しくはZn、又はこれら金属の硫酸塩、塩化物塩若しくは硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4、8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3、9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及びガスバリアフィルム9のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
[2.5 封止材(5)]
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池14の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材5以外の耐候性保護フィルム1やバックシート10の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池14全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の透過率は、通常60%以上であり、上限に制限はない。
封止材5の厚みは特に規定されないが、通常2μm以上通常700μm以下である。
封止材5の基板に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池モジュールを廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さはJIS K6854−3(1999年)に準拠する方法により測定する。
封止材5の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機・無機の太陽電池の封止、有機・無機のLED素子の封止、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料を用いる事ができる。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物、又は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは例えば、紫外線、可視光又は電子線等で硬化する樹脂のことである。より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物、炭化水素系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、又はシリコン系樹脂組成物等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、又は添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等の特性が発現する。
また、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、封止材5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材5の構成材料の融点は、通常100℃以上350℃以下である。
封止材5中の封止材用構成材料の密度は、0.80g/cm3以上が好ましく、上限に制限はない。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112(1999年)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材5を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子6を挟み込むように設ける。太陽電池素子6を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子6の正面及び背面にそれぞれ封止材5及び封止材7を設けるようにしている。
[2.6 太陽電池素子(6)]
太陽電池素子6は、前述の光電変換素子107と同様である。
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池14一個につき一個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子6を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子6同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子6から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため、通常は、太陽電池素子は直列に接続される。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池14の発電量を増加させるためである。
[2.7 封止材(7)]
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材7と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.8 ゲッター材フィルム(8)]
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.9 ガスバリアフィルム(9)]
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.10 バックシート(10)]
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[2.11 寸法等]
本実施形態の薄膜太陽電池14は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池14を形成することにより、薄膜太陽電池14を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池14は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるためさらに多くの用途に使用しうる。さらに、薄膜太陽電池14は薄くて軽いため、輸送や保管等流通面でも好ましい。さらに、薄膜太陽電池14は膜状であるため、ロールトゥロール式の製造が可能であり製造における大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池14の具体的な寸法に制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上3000μm以下である。
[2.12 製造方法]
本発明に係る太陽電池の製造方法に制限は無く、例えば、図2に示す薄膜太陽電池14の製造方法としては、図2に示される積層体を作成した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減されうる点で好ましい。
図2に示される積層体作成は周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート又はサーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート法若しくはサーマルラミネート法が好ましく、ホットメルトラミネート法又はサーマルラミネート法がシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行うことができ、かつ、端部からの封止材5、7のはみ出しと過加圧による膜厚低減とを抑えることで寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子6を直列又は並列接続したものも、上記の方法と同様にして製造することができる。
[2.13 用途]
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明に係る太陽電池を利用しうる分野の例としては、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等が挙げられる。
本発明に係る太陽電池、特には、薄膜太陽電池は、そのまま用いても、基材上に1以上の太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いることができる。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製することができる。
基材12は薄膜太陽電池14を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては特に制限されず、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料又はフレキシブル基材が挙げられる。フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料(樹脂基材);紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料、等が挙げられる。
なお、基材の材料としては、1種の材料を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これらの有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。基材12の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)等が挙げられる。
基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。この太陽電池パネルは、建物の外壁等に設置することができる。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製,1760mg,8.0mmol)及び酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製,13mg,0.16mmol)を、エタノールアミン(アルドリッチ社製,0.50mL)及び2−メトキシエタノール(アルドリッチ社製,10mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌することで、ナトリウム化合物を含有する酸化亜鉛の前駆溶液を調製した。
次に、レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT,Rieke Metals社製)と、C60(Ind)2(フロンティアカーボン社製)とを、質量比1:0.95で、合計濃度が3.5質量%となるように、o−キシレン(和光純薬工業社製)に溶解した。得られた溶液を、窒素雰囲気下、80℃で1時間、スターラーを用いて攪拌混合した。攪拌後の溶液を0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、有機活性層塗布液を作製した。
インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜(155nm厚)を堆積したガラス基板を、界面活性剤を加えた超純水による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。洗浄後の基板上に、上述のように調製した酸化亜鉛の前駆溶液を、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)でスピンコートした後に、大気中、150℃で60分間加熱乾燥することで、ナトリウム化合物及び酸化亜鉛を含有する電子取り出し層(膜厚約40nm)を形成した。
次に電子取り出し層上に、上述のように調製した有機活性層塗布液を、窒素雰囲気下、スピンコーターMS−A100(ミカサ社製)でスピンコートすることにより、有機活性層(膜厚約200nm)を形成した。
その後、界面活性剤(日信化学工業製、オルフィンEXP4036)を1質量%含有させた、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液(ヘレウス社製 商品名「CLEVIOSTM PVP AI4083」)を、0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターで濾過してから、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)で有機活性層上にスピンコートした後、窒素中、150℃で10分間加熱乾燥することで、有機活性層上に正孔取り出し層(膜厚約100nm)を形成した。
さらに、正孔取り出し層の上に真空蒸着法により銀電極(厚さ100nm)を設けた後に、ホットプレートで120℃5分間加熱することによって、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。
得られた光電変換素子に、ITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター2400型(ケースレーインスツルメンツ社製)にて、ITO電極とアルミニウム電極との間における電流−電圧特性を測定した。測定された電流−電圧特性により、開放電圧Voc(V)、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)、形状因子FF、及び光電変換効率PCE(%)を算出した。測定結果を表1に示す。
ここで、開放電圧Vocとは電流値=0(mA/cm2)の際の電圧値(V)であり、短絡電流密度Jscとは電圧値=0(V)の際の電流密度(mA/cm2)である。形状因子(FF)とは内部抵抗を表すファクターであり、最大出力点をPmaxとすると次式で表される。
FF = Pmax/(Voc×Jsc)
また、光電変換効率PCE(%)は、入射エネルギーをPinとすると次式で与えられる。
PCE = Pmax/Pin = Voc×Jsc×FF/Pin×100
<X線光電子分光法(XPS)測定>
実施例1で形成された電子取り出し層中の、金属酸化物の金属原子(亜鉛原子)に対するアルカリ金属原子(ナトリウム原子)の組成比(原子%)を決定するために、同様の条件で電子取り出し層を作製し、X線光電子分光法(XPS)測定を行った。
すなわち、実施例1と同様に作製した、ナトリウム化合物と酸化亜鉛を含む層(膜厚約40nm)のX線光電子分光法(XPS)測定を行った。
具体的には、酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製,1760mg,8.0mmol)及び酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製,13mg,0.16mmol)を、エタノールアミン(アルドリッチ社製,0.50mL)及び2−メトキシエタノール(アルドリッチ社製,10mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌することで、ナトリウム化合物を含有する酸化亜鉛の前駆溶液を調製した。
次に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜(155nm厚)を堆積したガラス基板を、界面活性剤を加えた超純水による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。洗浄後の基板上に、上述のように調製した酸化亜鉛の前駆溶液を、大気中、スピンコーターACT−300DII(アクティブ社製)でスピンコートした後に、大気中、150℃で60分間加熱乾燥することで、ナトリウム化合物と酸化亜鉛とを含む混合層(膜厚約40nm)を形成した。
作製したナトリウム化合物と酸化亜鉛とを含む混合層のX線光電子分光法(XPS)測定を行った。XPS測定方法及び測定結果は以下の通りである。
測定装置:PHI社製Quantum2000
X線源:単色化Al−Kα、出力16kV−34W
帯電中和:電子銃(5μA)、イオン銃(2V)併用
分光系:パスエネルギー
187.85eV(ワイドスペクトル)
58.70eV(デプスプロファイル)
測定領域:300μm
取り出し角:45°(表面より)
Na(1s):Zn(2p)
表面から10.04nm 1.13 : 100
以上のように、亜鉛原子数に対して2原子%のナトリウム原子を含有する酸化亜鉛の前駆溶液を用いて作製した混合層の内部には、亜鉛原子数に対して1.13原子%のナトリウム原子が存在していることがわかる。この結果が表1に示されている。
以下の実施例及び比較例では、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子等の組成比を、上述のXPS測定結果に基づき、アルカリ金属原子等の原子半径及び電子取り出し層用の前駆溶液の組成比を考慮して、計算により求めた。同じアルカリ金属原子であるリチウム原子、ナトリウム原子、及びカリウム原子の金属酸化物内への内包されやすさは、原子の大きさと反比例するものとして近似できる。また、原子の大きさは、球の体積の公式から導かれる原子半径の3乗に比例するものとして近似できる。したがって、例えば、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するリチウム原子の組成比は、XPS測定により求められた電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するナトリウム原子の組成比と、リチウム原子及びナトリウム原子の原子半径と、に基づいて計算することが可能である。なお、原子半径としては、ウェブエレメント(http://www.webelements.com/)に記載されている共有結合半径(経験則に基づく)を用いた。
[実施例2]
実施例1において、酢酸ナトリウムを20mg(0.24mmol)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、及び電子取り出し層用の前駆溶液の組成比から計算で求めた。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウム(和光純薬工業社製,16mg,0.16mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、電子取り出し層用の前駆溶液の組成比、ナトリウム原子の原子半径(154pm)、及びカリウム原子の原子半径(196pm)から計算で求めた。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸カリウム(和光純薬工業社製,24mg,0.24mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例3と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,4mg.0.04mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、電子取り出し層用の前駆溶液の組成比、ナトリウム原子の原子半径(154pm)、及びリチウム原子の原子半径(134pm)から計算で求めた。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,8mg,0.08mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,16mg,0.16mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,24mg,0.24mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,41mg,0.40mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,82mg,0.80mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,245mg,2.40mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例12]
チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業社製,0.2mL,0.68mmol)と、酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,3.5mg,0.034mmol)とを、イソプロパノール(和光純薬工業社製,14mL)に溶解させ、60℃で1時間攪拌することで、リチウム化合物を含有する酸化チタンの前駆溶液を調製した。こうして調製した酸化チタンの前駆溶液を、酸化亜鉛の前駆溶液の代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例12において、酢酸リチウム二水和物を10.4mg(0.10mmol)用いたこと以外は、実施例12と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、酢酸ナトリウムを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、電子取り出し層がアルカリ金属原子を含んでいないために0原子%であり、このことを表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに炭酸セシウム(高純度化学研究所社製,26mg,0.08mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するセシウム原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、電子取り出し層用の前駆溶液の組成比、ナトリウム原子の原子半径(154pm)、及びセシウム原子の原子半径(225pm)から計算で求めた。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸水酸化アルミニウム水和物(アルドリッチ社製,26mg,0.16mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルミニウム原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、電子取り出し層用の前駆溶液の組成比、ナトリウム原子の原子半径(154pm)、及びアルミニウム原子の原子半径(118pm)から計算で求めた。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに硝酸ガリウム水和物(高純度化学研究所社製,41mg,0.16mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するガリウム原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、電子取り出し層用の前駆溶液の組成比、ナトリウム原子の原子半径(154pm)、及びガリウム原子の原子半径(126pm)から計算で求めた。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸インジウム水和物(アルドリッチ社製,47mg,0.16mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するインジウム原子の組成比は、実施例1におけるXPS測定結果、電子取り出し層用の前駆溶液の組成比、ナトリウム原子の原子半径(154pm)、及びインジウム原子の原子半径(144pm)から計算で求めた。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1において、酢酸ナトリウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(和光純薬工業社製,408mg,4.00mmol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、実施例5と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[比較例7]
実施例12において、酢酸リチウム二水和物を加えなかったこと以外は、実施例12と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子の組成比は、電子取り出し層がアルカリ金属原子を含んでいないために0原子%であり、このことを表1に示す。
[比較例8]
実施例12において、酢酸リチウム二水和物の代わりに炭酸セシウム(高純度化学研究所社製,6.5mg,0.02mmol)を用いたこと以外は、実施例12と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
また、電子取り出し層中の金属酸化物の金属原子に対するセシウム原子の組成比は、比較例2と同様の計算方法で求めた。結果を表1に示す。
[比較例9]
実施例1において、電子取り出し層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、5mm角の光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。測定結果を表1に示す。
表1において、「組成比」は、金属酸化物の金属原子に対するアルカリ金属原子(ナトリウム原子、カリウム原子又はリチウム原子)等の組成比を表す。
実施例1〜11及び比較例1〜5からわかるように、電子取り出し層中の金属酸化物として酸化亜鉛を用いる光電変換素子において、電子取り出し層が特定の割合でナトリウム、カリウム、又はリチウムを含有する場合、不純物を含まない酸化亜鉛、又はセシウム、アルミニウム、ガリウム、若しくはインジウムのような第13族元素から選ばれる原子を含有する場合と比べて、より高い開放電圧及び変換効率が得られることが確認できる。また、比較例6のように、電子取り出し層が亜鉛原子に対して30原子%より大きい組成比のリチウムを含有する場合、変換効率が極端に低下することが確認できる。これは、電子取り出し層中に含まれるリチウム原子の比率が大きすぎるために均一な膜を形成することができなかったためであると考えられる。
また、実施例12〜13及び比較例7〜8からわかるように、電子取り出し層中の金属酸化物として酸化チタンを用いる光電変換素子においても、酸化亜鉛を用いた場合と、同様の傾向が見られた。そのため、本発明は、アルカリ金属元素以外のあらゆる金属の酸化物に適用することができると考えられる。