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JP2014026191A - 偏光レンズの製造方法 - Google Patents

偏光レンズの製造方法 Download PDF

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JP2014026191A
JP2014026191A JP2012168036A JP2012168036A JP2014026191A JP 2014026191 A JP2014026191 A JP 2014026191A JP 2012168036 A JP2012168036 A JP 2012168036A JP 2012168036 A JP2012168036 A JP 2012168036A JP 2014026191 A JP2014026191 A JP 2014026191A
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semi
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Osamu Asai
修 浅井
Akira Yamamoto
山本  明
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Hoya Corp
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Hoya Corp
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Abstract

【課題】光学面側に偏光層を有する高品質なセミフィニッシュレンズを提供すること。
【解決手段】リオトロピック液晶性を有する二色性色素を含有する偏光層形成用塗布液を、該二色性色素の配列を規制するための溝を持つ表面を最表面に有するレンズ基材の該表面上に塗布することにより偏光層を形成することを含む偏光レンズの製造方法。前記レンズ基材は、前記表面を光学面側に有するセミフィニッシュレンズであり、前記塗布を、前記レンズ基材を温水中に浸漬し、次いで加熱用ランプ下に前記表面を配置しランプ加熱した後に行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光レンズの製造方法に関するものであり、詳しくは光学面側に偏光層を有するセミフィニッシュレンズの製造方法に関するものである。
偏光レンズは、溶接作業、医療治療等の特殊作業やスキーなどの各種スポーツ中に防眩メガネとして利用されるものであり、一般に二色性色素の偏光性を利用することにより防眩性が発揮される。例えば特許文献1〜4には、二色性色素を含む偏光層を基材上または基材上に設けた配列層上に形成することにより偏光レンズを製造する方法が開示されている。
特表2008−527401号公報 特開2009−237361号公報 国際公開第2008/106034号 国際公開第2009/029198号
上記特許文献1〜4には、一定方向に溝を持つ表面に二色性色素を含有する塗布液を塗布することにより偏光層を形成することが開示されている。このように溝を持つ表面に、ある濃度・温度範囲で液晶状態を発現するリオトロピック液晶性を有する二色性色素を塗布すれば、該二色性色素の液晶状態を利用して特定の一方向に色素分子を配列させることで優れた偏光効率を有する偏光層を形成することができる。
ところで眼鏡レンズは、フィニッシュレンズと呼ばれる、屈折力を持たない(度数のない)、または両面に光学面を有する眼鏡レンズと、セミフィニッシュレンズと呼ばれる一方の面だけが光学的に仕上げられたレンズブランクに大別される。セミフィニッシュレンズは、表面は光学的に仕上げられた面(光学面)であり、裏面は受注を受けた後にレンズ処方値に応じて所望のレンズ度数となるように研磨加工されるが、光学面側に偏光層を形成したセミフィニッシュレンズストックを多数作製、保管しておけば、受注を受けた後に裏面を研磨加工するだけで所望の度数を有する偏光レンズを供給することが可能となる。
そこで本発明者がセミフィニッシュレンズに対して偏光層を形成したところ、フィニッシュレンズに対して偏光層を形成する際には見られなかった色素欠損やクラックが発生し高品質な眼鏡レンズ(偏光レンズ)を供給することは困難であることが判明した。
かかる状況下、本発明は、光学面側に偏光層を有する高品質なセミフィニッシュレンズを提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の新たな知見を得るに至った。
通常、フィニッシュレンズに対して偏光層を形成する際には、ランプ式加熱炉内でレンズ基材表面が所定温度に達するまで加熱(ランプ加熱)した後に二色性色素含有塗布液を塗布する。加熱されたレンズ基材表面に塗布された二色性色素は、塗布液中の溶媒の蒸発とレンズ基材の温度変化に伴い液晶状態を発現することで、その性質に応じてレンズ基材上の溝方向に沿って、または溝方向と直交する方向に配列する。こうして二色性色素が配列することで偏光層の偏光機能が発現されるのであるが、本発明者は、ここで二色性色素の配列が溝によって十分に規制されないことが、セミフィニッシュレンズ上に形成された偏光層に部分的な色素の欠損部分やクラックが発生する原因であると推察するに至った。
そこで本発明者は、セミフィニッシュレンズ上の偏光層において二色性色素の配列が十分に規制されない理由について更に検討を重ねた結果、セミフィニッシュレンズはフィニッシュレンズと比べて厚いためランプ式加熱炉内で表面が所定温度になるまでレンズ基材を加熱したとしてもレンズ基材内部までは十分に温まらず、その結果、ランプ加熱終了直後のレンズ基材表面(被塗布面)の温度低下がフィニッシュレンズよりも顕著であるため、リオトロピック液晶性を有する二色性色素が、その液晶状態を十分に発現できないことが上記理由であるとの知見を得るに至った。
以上の知見に基づき本発明者は更に検討を重ねた結果、ランプ式加熱炉での加熱前に温水中でレンズ基材を予熱することで、セミフィニッシュレンズ上の偏光層における色素欠損やクラックの発生を抑制ないし防止できることを見出した。これは、温水中で予熱することでレンズ基材内部を十分に温めることができるため、ランプ加熱終了直後のレンズ基材表面の急激な温度低下を防止できることによるものと考えられる。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]リオトロピック液晶性を有する二色性色素を含有する偏光層形成用塗布液を、該二色性色素の配列を規制するための溝を持つ表面を最表面に有するレンズ基材の該表面上に塗布することにより偏光層を形成することを含む偏光レンズの製造方法であって、
前記レンズ基材は、前記表面を光学面側に有するセミフィニッシュレンズであり、
前記塗布を、前記レンズ基材を温水中に浸漬し、次いで加熱用ランプ下に前記表面を配置しランプ加熱した後に行うことを特徴とする偏光レンズの製造方法。
[2]前記塗布後のレンズ基材を冷却することを更に含む[1]に記載の偏光レンズの製造方法。
[3]前記表面は、一定方向に研磨処理が施された表面である[1]または[2]に記載の偏光レンズの製造方法。
[4]前記表面は、レンズ基材上に形成された配列層表面である[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光レンズの製造方法。
本発明によれば、セミフィニッシュレンズ上に高品質な偏光層を形成することができる。これにより、光学面側に偏光層を形成したセミフィニッシュレンズストックを多数作製、保管しておき、受注を受けた後に裏面を研磨加工するだけで、所望の度数を有するとともに優れた偏光効率を有する偏光レンズ(眼鏡レンズ)を供給することが可能となる。
実施例1、比較例1、および参考例1における配列層表面の温度変化(熱履歴)を示すグラフである。 比較例1で作製した偏光レンズを点光源前に配置し撮影したデジタルカメラ写真である。
本発明は、リオトロピック液晶性を有する二色性色素を含有する偏光層形成用塗布液を、該二色性色素の配列を規制するための溝を持つ表面を最表面に有するレンズ基材の該表面上に塗布することにより偏光層を形成することを含む偏光レンズの製造方法に関する。本発明の偏光レンズの製造方法において、前記レンズ基材は、前記表面を光学面側に有するセミフィニッシュレンズであって、前記塗布は、前記レンズ基材を温水中に浸漬し、次いで加熱用ランプ下に前記表面を配置しランプ加熱した後に行われる。
偏光層における色素欠損やクラックは、微小なものは回折現象等により線上の散乱光を生じさせるため、透過光に関する不具合が見掛けの欠陥の大きさ以上に顕在化してしまう。また、大きくなると目視で確認できるようになり外観不良の原因となる。これに対し、先に説明したように本発明の偏光レンズの製造方法では、ランプ加熱前にレンズ基材を温水中に浸漬(予熱)することにより、セミフィニッシュレンズ上の偏光層における色素欠損やクラックの発生を防ぐことができる。こうして本発明によれば、セミフィニッシュレンズ上に高品質な偏光層を形成することが可能となる。
以下、本発明の偏光レンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
レンズ基材
本発明の偏光レンズの製造方法において、二色性色素含有塗布液が塗布される面(被塗布面)は、一方の面だけが光学的に仕上げられたレンズブランクであるセミフィニッシュレンズの光学面側に存在する。該光学面の他方の面は、受注を受けた後にレンズ処方値に応じて所望のレンズ度数となるように研磨加工される非光学面である。上記被塗布面は、レンズ基材表面であってもよく、レンズ基材上に形成された配列層表面であってもよい。被塗布面の詳細については後述するが、被塗布面の表面形状は、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
レンズ基材としては、特に限定されるものではなく、眼鏡レンズのレンズ基材に通常使用される材料、具体的にはプラスチック、無機ガラス、等からなるものを用いることができる。レンズ基材の厚さおよび直径は、特に限定されるものではないが、セミフィニッシュレンズは研磨取りしろを含むため、その厚さは通常フィニッシュレンズより厚く、一般的には4.0〜30.0mm程度であり、また直径は50mm〜100mm程度である。
被塗布面
二色性色素含有塗布液が塗布される被塗布面は、二色性色素の配列を規制するための溝を持つ表面である。上記溝を有する表面上にリオトロピック液晶性を有する二色性色素を含有する塗布液を塗布すると、二色性色素は温度変化と、主に溶媒の蒸発による濃度変化に伴い溝に沿って、または溝と直交する方向に配向する。これにより、二色性色素を一軸配向させ、その偏光性を良好に発現させることができる。上記溝の形成は、例えば、液晶分子の配向処理のために行われるラビング工程によって行うことができる。ラビング工程は、被研磨面を布などで一定方向に擦る工程であり、その詳細は、例えば米国特許2400877号明細書や米国特許4865668号明細書等を参照できる。または、特開2009−237361号公報段落[0033]〜[0034]に記載の研磨処理により、溝を形成することも可能である。形成される溝の深さやピッチは、二色性色素を一軸配向させることができるように設定すればよい。上記溝を有する表面は、レンズ基材の片面または両面の最表面に設けられる。
本発明において上記溝を有する表面(被塗布面)は、一態様ではレンズ基材表面であることができるが、二色性色素の配向状態をより良好に規制するためには、レンズ基材上に配列層を形成し、該配列層表面に上記溝を形成することが好ましい。配列層の厚さは、通常0.02〜5μm程度であり、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。配列層は、蒸着、スパッタ等の公知の成膜法によって成膜材料を堆積させることにより形成してもよく、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法によって形成してもよい。上記成膜材料として好適なものとしては、シリコン酸化物、金属酸化物、またはこれらの複合体もしくは化合物を挙げることができる。より好ましくは、Si、Al、Zr、Ti、Ge、Sn、In、Zn、Sb、Ta、Nb、V、Yから選ばれる材料の酸化物、またはこれら材料の複合体もしくは化合物を用いることができる。これらの中でも配列層としての機能付与の容易性の観点からはSiO、SiO2等のケイ素酸化物が好ましく、SiO2がより好ましい。
一方、上記塗布法によって形成される配列層としては、無機酸化物ゾルを含むゾル−ゲル膜を挙げることができる。上記ゾル−ゲル膜の形成に好適な塗布液としては、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンの少なくとも一方を無機酸化物ゾルとともに含む塗布液を挙げることができる。配列層としての機能付与の容易性の観点から、上記アルコキシシランは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(1)で表されるアルコキシシランであり、上記ヘキサアルコキシジシロキサンは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(2)で表されるヘキサアルコキシジシロキサンである。上記塗布液は、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンのいずれか一方を含んでもよく、両方を含んでもよく、更に必要に応じて特開2009−237361号公報に記載の一般式(3)で表される官能基含有アルコキシシランを含むこともできる。上記塗布液および成膜方法(塗布方法)の詳細については、特開2009−237361号公報段落[0011]〜[0023]、[0029]〜[0031]および同公報記載の実施例を参照できる。
偏光層の形成
偏光層形成のために使用される塗布液に含まれる色素はリオトロピック液晶性および二色性を有する色素(二色性色素)である。「二色性」とは、媒質が光に対して選択吸収の異方性を有するために、透過光の色が伝播方向によって異なる性質を意味し、二色性色素は、偏光光に対して色素分子のある特定の方向で光吸収が強くなり、これと直交する方向では光吸収が小さくなる性質を有する。また、二色性色素の中には、ある濃度・温度範囲で液晶状態を発現するものが知られている。このような液晶状態のことをリオトロピック液晶といい、本発明において偏光層形成のために使用される二色性色素は、リオトロピック液晶性を有するものである。リオトロピック液晶性を有する二色性色素の液晶状態を利用して、被塗布面の溝に沿って、または溝と直交する方向に色素分子を良好に一軸配向させることができれば高品質な偏光層を形成することができるが、先に説明したようにセミフィニッシュレンズに偏光層を形成する場合には、色素欠損やクラックが発生してしまい形成される偏光層は品質に劣るものとなる点が課題であった。これは、上記の通りセミフィニッシュレンズではランプ加熱終了直後にレンズ基材表面の温度が急激に低下することが原因と考えられるところ、本発明ではランプ加熱前にレンズ基材を温水中に浸漬し予熱することで、形成される偏光層における色素欠損やクラック発生を抑制ないし防止することができる。
本発明において使用される二色性色素としては、リオトロピック液晶性を示すものであれば特に限定されるものではなく、偏光部材に通常使用される各種二色性色素を挙げることができる。具体例としては、アゾ系、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系色素等が挙げられる。また、米国特許2400877号明細書、特表2002−527786号公報に記載されているもの等でもよい。
二色性色素含有塗布液を塗布する前にレンズ基材を浸漬する温水の温度は、レンズ基材が熱により変質しない程度の温度とすればよく、眼鏡レンズ製造に通常されるレンズ材料を考慮すると、50〜80℃程度が好適である。浸漬時間は、例えば10分〜1時間程度とすることができるが、ランプ加熱終了後の被塗布面の急激な温度低下を抑制できる程度にレンズ基材内部が加熱されるように設定すればよく特に限定されるものではない。
その後、温水から取り出したレンズ基材は、任意に表面の水分を拭き取った後に、被塗布面を上に向けた状態で加熱用ランプ下でランプ加熱される。ランプ加熱は、例えば上部に赤外線ランプを備えたバッチ式の加熱炉内にレンズ基材を配置して行うことができる。ランプ加熱によって被塗布面を所望温度に確実に加熱するためには、好ましくは加熱炉内でレンズ基材の被塗布面の温度を赤外線センサ等の非接触式温度計によりモニタリングし、使用する二色性色素に応じて決定した目標温度に到達した時点でランプ加熱を終了する。
上記ランプ加熱終了後にレンズ基材上の被塗布面に二色性色素含有塗布液を塗布する方法としては、特に限定はなく、ディップ法、スピンコート法等の公知の方法が挙げられる。偏光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常0.05〜5μm程度である。なお、後述するシランカップリング剤は通常、偏光層に浸透し実質的に偏光層に含まれることになる。被塗布面上に塗布された塗布液中の二色性色素は、加熱されたレンズ基材表面上での温度変化および溶媒蒸発によって塗布液内がリオトロピック液晶性を発現し得る条件となるとリオトロピック液晶性を発現し、被塗布面上の溝に沿って、または溝に直交する方向に配列する。ただし、ランプ加熱により表面を加熱したのみのセミフィニッシュレンズは、内部が十分に加熱されていないためにランプ加熱終了直後にレンズ基材表面の温度が急激に低下してしまう。これがセミフィニッシュレンズにおける偏光層の色素欠損やクラック発生の原因と推察される。これに対し本発明によれば、ランプ加熱前にレンズ基材を温水に浸漬し予熱するため、ランプ加熱終了直後のレンズ基材表面の急激な温度低下を防ぐことができる。これにより本発明によれば、セミフィニッシュレンズ上に形成した偏光層において色素欠損やクラックが発生することを防ぐことができる。
温水中での予熱およびランプ加熱を経たレンズ基材の被塗布面上に塗布する二色性色素塗布液は、通常、溶液または懸濁液である。二色性色素の多くは水溶性であるため、上記塗布液は通常、水を溶媒とする水溶液である。塗布液中の二色性色素の含有量は、例えば1〜50質量%程度であるが、所望の偏光性が得られればよく上記範囲に限定されるものではない。
塗布液は、二色性色素に加えて、他の成分を含むこともできる。他の成分としては、二色性色素以外の色素を挙げることができ、このような色素を配合することで所望の色相を有する偏光レンズを製造することができる。さらに塗布性等を向上させる観点から、必要に応じてレオロジー改質剤、接着性促進剤、可塑剤、レベリング剤等の添加剤を配合してもよい。
上記の通りセミフィニッシュレンズはフィニッシュレンズよりも厚いためランプ加熱のみでは温まりにくい。そこで本発明では温まりにくい点を温水中で予熱することで補完するのであるが、一方でセミフィニッッシュレンズは冷めにくいために、温水中で予熱したセミフィニッシュレンズでは、二色性色素含有溶液塗布後のレンズ基材表面の温度低下はフィニッシュレンズよりも緩やかである。この点に関し本発明者は、セミフィニッシュレンズ上に形成する偏光層の偏光性をより一層向上するためには、レンズ基材表面に塗布された塗布液中に含まれる二色性色素が辿る熱履歴を、フィニッシュレンズ上における熱履歴に近づけることが望ましいのではないかと考え、塗布後のレンズ基材を冷却したところ、後述の実施例で実証されているように、冷却を行わない場合と比べて偏光効率の高い偏光レンズを得ることができた。これは、一旦規制された二色性色素の配列状態を良好に維持するためには、リオトロピック液晶性を示さない環境に二色性色素を置くことが望ましいためであると、本発明者は推察している。塗布後のレンズ基材の冷却は、例えば、セミフィニッシュレンズの非光学面に熱伝導率の高い金属部材を接触させる方法、非光学面側から風冷する方法等によって行うことができる。
二色性色素として水溶性色素を用いる場合には、好ましくは上記冷却を行った後に偏光層の膜安定性を高めるために非水溶化処理を施すことが好ましい。非水溶化処理は、例えば色素分子の末端水酸基をイオン交換することや色素と金属イオンとの間でキレート状態を作り出すことにより行うことができる。そのためには、形成した偏光膜を金属塩水溶液に浸漬する方法を用いることが好ましい。使用できる金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えばAlCl3、BaCl2、CdCl2、ZnCl2、FeCl2およびSnCl3等を挙げることができる。非水溶化処理後、偏光層の表面をさらに乾燥させてもよい。
また、偏光層に対しては、膜強度および安定性を高めるために、例えば特開2009−237361号公報に記載されているように色素保護層を形成する(二色性色素の固定化処理を施す)こともできる。この固定化処理は、上記の非水溶化処理の後に行うことが望ましい。固定化処理により、偏光膜中で二色性色素の配向状態を固定化することができる。固定化処理の詳細については、例えば特開2009−237361号公報段落[0036]および同公報記載の実施例を参照できる。偏光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常0.05〜5μm程度である。上記色素保護膜は、偏光層に浸透し実質的に偏光層に含まれることになる。
以上の工程により、偏光層における色素欠損やクラックの発生が低減ないし防止された偏光レンズを得ることができる。本発明において偏光層が形成されるレンズ基材はセミフィニッシュレンズであり、受注を受けた後に非光学面をレンズ処方値に応じて所望のレンズ度数となるように研磨加工した後に製品レンズとして出荷される。また、該研磨前または研磨後に、各種機能性膜を機能性膜を任意の位置に形成することもできる。機能性膜としては、ハードコート膜、反射防止膜、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、静電防止膜等、更に各膜間の密着性を高めるためのプライマーを挙げることができる。これらの機能性膜については、いずれも公知技術を何ら制限なく適用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
偏光レンズの作製
(1)レンズ基材(セミフィニッシュレンズ)の作製
注型重合法により、光学面側が凸面、非光学面側が凹面のポリウレタンウレア製のφ75mm、中心肉厚20mmのセミフィニッシュレンズを成形した。
(2)配列層の形成
上記レンズ凸面に真空蒸着法により、厚さ0.2μmのSiO2膜を形成した。
形成されたSiO2膜に、研磨剤含有ウレタンフォーム(研磨剤:フジミインコーポレーテッド社製商品名POLIPLA203A、平均粒径0.8μmのAl23粒子、ウレタンフォーム:上記レンズの凸面の曲率とほぼ同形状)を用いて、一軸研磨加工処理を回転数350rpm、研磨圧50g/cm2の条件で30秒間施した。
(3)レンズ基材の予熱およびランプ加熱、偏光層の形成
上記研磨処理を施したレンズを、60℃に維持した温水中に10分間浸漬して予熱した。その後、温水から取り出したレンズは表面の水分を布で拭き取った後に、配列層表面を鉛直上方に向けた状態で、塗布装置内のスピンコーター上に設置した。上記塗布装置は、バッチ式のランプ加熱装置の機能も有しており、スピンコーター上方には赤外線ランプと、レンズ表面の温度を非接触状態で測定する赤外線センサが備えられている。また、赤外線ランプによる加熱終了と同期して塗布ノズルがレンズ上に移動し塗布液の吐出を行う構成となっている。
上記塗布装置において、スピンコーター上に配置されたレンズを赤外線ランプにより加熱し、レンズ表面(配列層表面)の温度が52℃になった時点で赤外線ランプが切れ加熱が終了され、これと同期して塗布ノズルからの二色性色素含有塗布液の吐出が開始されてスピンコートが行われた。スピンコートは、水溶性の二色性色素(スターリング オプティクス インク(Sterling Optics Inc)社製商品名Varilight solution 2S)の約5質量%水溶液2〜3gを用いて、該水溶液を回転数300rpmで供給し、8秒間保持、次に回転数400rpmで45秒間保持、さらに1000rpmで12秒間保持することで行った。
次いで、塩化鉄濃度が0.15M、水酸化カルシウム濃度が0.2MであるpH3.5の水溶液を調製し、この水溶液に上記で得られたレンズをおよそ30秒間浸漬し、その後引き上げ、純水にて充分に洗浄を施した。この工程により、水溶性であった色素は難溶性に変換される(非水溶化処理)。
非水溶化処理後のレンズをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン10質量%水溶液に15分間浸漬し、その後純水で3回洗浄し、加熱炉内(炉内温度85℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
上記冷却後、レンズをγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2質量%水溶液に30分浸漬した。上記固定化処理後、レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
以上の処理後、形成された偏光層の厚さは、約1μmであった。
[比較例1]
温水による予熱を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[参考例1]
レンズ基材として、中心肉厚2mmのフィニッシュレンズ(一方の面は凸面、他方の面は凹面)を用いた点以外は比較例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
熱履歴の確認
実施例1、比較例1、および参考例1で使用したものと同じレンズ基材を実施例1、2、参考例1と同じ条件で加熱した際の配列層表面の温度変化(熱履歴)を、レンズ基材上に配置した赤外線センサによりモニタリングした結果を図1に示す。図1に示す結果から、比較例1ではランプ加熱終了から1分後にはレンズ表面の温度が40℃となり終了時の温度(52℃)から12℃も低下したのに対し、ランプ加熱前に温水中での予熱を行った実施例1では、ランプ加熱終了直後の温度低下が抑制され熱履歴が参考例1に近づき、ランプ式加熱終了から1分後の温度変化が10℃以内に抑えられたことが確認できる。
偏光層におけるクラック有無の確認
実施例1、比較例1、および参考例1で作製した偏光レンズを、それぞれ暗所において点光源前に配置した。図2は、比較例1で作製した偏光レンズを点光源前に配置し撮影したデジタルカメラ写真である。点光源の光が横方向に広がって線上の散乱光が生じている。これは、微小なクラックまたは色素欠損による回折現象によるものである。
これに対し、実施例1および参考例1で作製した偏光レンズでは、図2に示すような散乱光は確認されなかった。また、実施例1で作製した偏光レンズを観察したが、目視で確認できるクラックは存在しなかった。
以上の結果から、実施例1ではランプ加熱前に温水中で予熱したことで、セミフィニッシュレンズ上の偏光層におけるクラックや色素欠損の発生を抑制できたことが示された。
また、ランプ加熱前に温水中で予熱したことにより、実施例1では比較例1と比べて、レンズ表面温度が、使用した二色性色素に応じて決定した目標温度(52℃)に到達するまでの時間が短縮された。ランプ加熱に要する時間が短縮されることはサイクルタイムの短縮につながるため、高い生産効率で偏光レンズを量産するうえで、きわめて有利である。
[実施例2]
スピンコート終了後のレンズを、凹面側に冷風を当てて風冷した後に非水溶化処理に付した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。得られた偏光レンズを観察したが、目視で確認できるクラックは存在しなかった。また、上記と同様に点光源前に配置したが散乱光は見られなかったことから、微小なクラックや色素欠損が発生しなかったことも確認された。
偏光性能の評価
実施例1、2、参考例1で得られた偏光レンズの偏光効率を、以下の方法で評価した。評価結果は、実施例1:○、実施例2:◎、参考例1:◎であった。実施例2において実施例1と比べて偏光性能が向上した理由は、レンズ基材をスピンコート終了後に冷却したことで、スピンコート後のレンズ基材の熱履歴をフィニッシュレンズ(参考例1)における熱履歴に近づけることができたことによるものと考えられる。
<偏光効率の測定>
偏光効率(Peff)は、ISO8980−3にしたがって、平行透過率(T//)および垂直透過率(T⊥)を求め、次式により算出することで評価した。平行透過率および垂直透過率は、可視分光光度計と偏光子を用いて測定した。
eff(%)=〔(T//−T⊥)/(T//+T⊥)〕×100
(評価基準)
◎:偏光効率98%超、○:偏光効率90%以上98%以下、×:偏光効率90%未満
本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (4)

  1. リオトロピック液晶性を有する二色性色素を含有する偏光層形成用塗布液を、該二色性色素の配列を規制するための溝を持つ表面を最表面に有するレンズ基材の該表面上に塗布することにより偏光層を形成することを含む偏光レンズの製造方法であって、
    前記レンズ基材は、前記表面を光学面側に有するセミフィニッシュレンズであり、
    前記塗布を、前記レンズ基材を温水中に浸漬し、次いで加熱用ランプ下に前記表面を配置しランプ加熱した後に行うことを特徴とする偏光レンズの製造方法。
  2. 前記塗布後のレンズ基材を冷却することを更に含む請求項1に記載の偏光レンズの製造方法。
  3. 前記表面は、一定方向に研磨処理が施された表面である請求項1または2に記載の偏光レンズの製造方法。
  4. 前記表面は、レンズ基材上に形成された配列層表面である請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法。
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