JP2014024098A - サブマージアーク溶接に用いる溶融型フラックス、およびそれを用いた溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サブマージアーク溶接で用いる溶融型フラックスであって、SiO2:15〜27質量%、MnO:3〜15質量%、TiO2:2〜7質量%、CaO:10〜25質量%、CaF2:15〜35質量%、Al2O3:10〜25質量%、MgO:2〜10質量%、B2O3:0.6質量%以下を含有し、残部が不可避的不純物からなるとともに、そのSiO2、MnO、TiO2、CaO、CaF2、Al2O3、MgOの含有量(質量%)をそれぞれ[%SiO2]、[%MnO]、[%TiO2]、[%CaO]、[%CaF2]、[%Al2O3]、[%MgO]として、BI=〔0.5[%MnO]+[%CaO]+[%MgO]+[%CaF2]〕÷〔[%SiO2]+0.5([%TiO2]+[%Al2O3])〕が1.3≦BI≦2.5を満足する溶融型フラックス。
【選択図】なし
Description
サブマージアーク溶接で用いるフラックスは、溶融型フラックスと焼成型フラックスがある。溶融型フラックスは、種々の鉱物質を原材料として1200℃以上の高温度で溶融し、冷却して固化した後、さらに粉末状に粉砕したものであり、吸湿し難く、かつ取扱いや保管が容易であるという利点を持つ。一方で、焼成型フラックスは、原材料に結合剤(たとえば水ガラス等)を少量加えて造粒した後、約600℃で焼成したものであり、溶接金属の組成を容易に調節できるという利点を有するが、反面、吸湿し易いという欠点を持つ。
とりわけ溶融型フラックスは、多電極の高速溶接に適しており、かつ溶接金属中の酸素量を低減でき、良好なビード外観が得られるので、ラインパイプ用のUOE鋼管のように高速溶接性とともに厳しい機械的性質が要求される場合に、使用されることが多い。
また、ラインパイプの高強度化のニーズが高まっていることから、厚肉高強度のUOE鋼管の需要が増加しているが、高張力鋼の溶接によって形成される溶接金属は、溶接後に水素起因の割れ感受性が高まるので、溶接金属の低水素化を図る必要がある。そのため、高張力鋼のサブマージアーク溶接では、溶接金属の低水素化のみならず、上記したように低酸素化を達成できる溶融型フラックスを使用する必要がある。
一方で、高強度ラインパイプは、溶接金属の低温割れ(すなわち水素起因の割れ)感受性を抑えるために、溶接金属中の水素量を低減する必要がある。
そこで本発明は、ラインパイプ等の高い靭性が要求される溶接金属を形成するためのサブマージアーク溶接にて、溶接金属の低酸素化と低水素化とを達成でき、しかもビードの形状およびスラグの剥離性も良好な溶融型フラックスを提供することを目的とする。
つまり溶接金属の低水素化を図るためには、Cuspidineが初晶でスラグ中に大量に晶出するのを防ぐとともに、初晶スピネルの晶出も低減する必要がある。その理由は、スピネルが初晶でスラグ中に多量に晶出すると、初晶スピネルの周囲にCuspidineが引き続き晶出するからである。したがって、スピネルの晶出量に影響を及ぼすAl2O3とMgOの量を制限した溶融型フラックスを使用する必要がある。
なお本発明では、溶接金属の酸素量、溶接施工の作業性、ビードの形状のバランスをとる上で、塩基度として下記の(1)式で算出されるBI値を用いる。
すなわち本発明は、サブマージアーク溶接で用いる溶融型フラックスであって、SiO2:15〜27質量%、MnO:3〜15質量%、TiO2:2〜7質量%、CaO:10〜25質量%、CaF2:15〜35質量%、Al2O3:10〜25質量%、MgO:2〜10質量%、B2O3:0.6質量%以下を含有し、残部が不可避的不純物からなるとともに、そのSiO2、MnO、TiO2、CaO、CaF2、Al2O3、MgOの含有量(質量%)をそれぞれ[%SiO2]、[%MnO]、[%TiO2]、[%CaO]、[%CaF2]、[%Al2O3]、[%MgO]として、下記の(1)式で算出されるBI値が1.3≦BI≦2.5を満足する溶融型フラックスである。
BI=〔0.5[%MnO]+[%CaO]+[%MgO]+[%CaF2]〕÷
〔[%SiO2]+0.5([%TiO2]+[%Al2O3])〕 ・・・(1)
本発明の溶融型フラックスは、[%Al2O3]と[%MgO]が、([%Al2O3]+[%MgO])≦30を満足することが好ましい。
(a)SiO2
SiO2は、スラグをガラス化させるとともに、ビードの外観および溶接金属の靭性に多大な影響を及ぼす重要な成分である。溶融型フラックスのSiO2の含有量が15質量%未満では、十分な幅のビードが形成されず、ビードの形状が劣る。一方、27質量%を超えると、良好な形状のビードが形成されるが、溶接金属の酸素量が増加して靭性の劣化を招く。したがって、溶融型フラックスのSiO2の含有量は15〜27質量%の範囲内とした。
MnOは、スラグの流動性を向上させ、ビードの形状を滑らかにする成分である。溶融型フラックスのMnOの含有量が3質量%未満では、その効果が得られない。一方、15質量%を超えると、溶接金属の酸素量が増加して靭性の劣化を招く。したがって、溶融型フラックスのMnOの含有量は3〜15質量%の範囲内とした。
TiO2は、スラグの剥離性に影響を及ぼす成分である。溶融型フラックスのTiO2の含有量が2質量%未満では、スラグの剥離性が改善されず、ビードに焼付きやすくなる。一方、7質量%を超えると、良好な形状のビードが得られない。したがって、溶融型フラックスのTiO2の含有量は2〜7質量%の範囲内とした。
CaOは、溶融型フラックスの塩基度(BI値)を高めて、溶接金属の酸素量を低減することによって、溶接金属の靭性を向上させる成分である。溶融型フラックスのCaOの含有量が10質量%未満では、塩基度が低くなり、溶接金属の靭性が劣化すると同時に、ビードの形状が劣る。一方、25質量%を超えると、ビードの表面にあばた等の欠陥が生じやすくなる。したがって、溶融型フラックスのCaOの含有量は10〜25質量%の範囲内とした。
CaF2は、溶接金属の酸素量を低減して靭性の向上させる成分である。溶融型フラックスのCaF2の含有量が15質量%未満では、その効果が得られない。一方、35質量%を超えると、スラグが剥離しにくくなる。したがって、溶融型フラックスのCaF2の含有量は15〜35質量%の範囲内とした。
Al2O3は、スラグのガラス化を促進して、溶接金属の水素量を低減させる成分である。溶融型フラックスのAl2O3含有量が10質量%未満では、その効果が得られない。一方、25質量%を超えると、溶融型フラックスの融点が高くなりすぎて、良好な形状のビードが得られない。したがって、溶融型フラックスのAl2O3の含有量は10〜25質量%の範囲内とした。
MgOは、溶融型フラックスの塩基度(BI値)を高めるために必要な成分である。溶融型フラックスのMgOの含有量が2質量%未満では、塩基度が低くなり、溶接金属の靭性が劣化する。一方、10質量%を超えると、溶融型フラックスの融点が高くなりすぎて、良好な形状のビードが得られない。したがって、溶融型フラックスのMgOの含有量は2〜10質量%の範囲内とした。
Bは、溶接時に溶接金属内に入り、均一な微細フェライトからなる溶接金属を形成する作用を有する元素であり、溶融型フラックスにB2O3として添加する。溶融型フラックスのB2O3の含有量が0.6質量%を超えると、スラグが剥離しにくくなり、かつ溶接金属に割れが発生しやすくなる。したがって、溶融型フラックスのB2O3の含有量は0.6質量%以下とした。
(i)[%Al2O3]+[%MgO]
溶融型フラックスのAl2O3とMgOの合計の含有量が増大すると初晶スピネルが晶出しやすくなり、[%Al2O3]+[%MgO]が30を超えると、初晶スピネルの周囲にCuspidineが晶出する。その結果、溶接金属の水素量の増大を招く。したがって、[%Al2O3]+[%MgO]≦30とする。
本発明では、溶接金属の酸素量、溶接施工の作業性、ビードの形状のバランスを精度良く評価するために、塩基度として下記の(1)式で算出されるBI値を用いる。BI値が1.3未満では、溶接金属の酸素量が高くなり、溶接金属の機械的性質、とりわけ低温靭性が劣化する。一方、2.5を超えると、ビードの形状が悪くなり、かつスラグの剥離性も極端に悪くなる。したがって、1.3≦BI≦2.5とする。
BI=〔0.5[%MnO]+[%CaO]+[%MgO]+[%CaF2]〕÷
〔[%SiO2]+0.5([%TiO2]+[%Al2O3])〕 ・・・(1)
本発明の溶融型フラックスの成分は、上記の(a)〜(h)で説明した通りであるが、LiO2、Na2O、K2O、BaO、ZrO2の1種または2種以上を合計2質量%以下の範囲で含有しても良い。これらの成分のうち、LiO2、Na2O、K2Oはアーク安定化の効果を有する成分、BaO、ZrO2はスラグ粘度を増加する作用を有する成分であり、上記の(i)(j)で説明した成分の相互作用には影響しない。
次に、上記した溶融型フラックスを用いてサブマージアーク溶接を行なう溶接方法について説明する。
溶接入熱は、合計2〜10kJ/mmの範囲内とする。溶接入熱を2〜10kJ/mmとして溶接を行なうことによって、スラグにおけるCuspidineの晶出を抑え、ひいては初晶スピネルの晶出を低減することができる。
このようにしてサブマージアーク溶接を行なった後、JIS規格Z3118に準拠してガスクロ法で、溶接金属の拡散性水素量を測定した。その結果を表2に示す。
Claims (3)
- サブマージアーク溶接で用いる溶融型フラックスであって、SiO2:15〜27質量%、MnO:3〜15質量%、TiO2:2〜7質量%、CaO:10〜25質量%、CaF2:15〜35質量%、Al2O3:10〜25質量%、MgO:2〜10質量%、B2O3:0.6質量%以下を含有し、残部が不可避的不純物からなるとともに、前記SiO2、前記MnO、前記TiO2、前記CaO、前記CaF2、前記Al2O3、前記MgOの含有量(質量%)をそれぞれ[%SiO2]、[%MnO]、[%TiO2]、[%CaO]、[%CaF2]、[%Al2O3]、[%MgO]として、下記の(1)式で算出されるBI値が1.3≦BI≦2.5を満足することを特徴とする溶融型フラックス。
BI=〔0.5[%MnO]+[%CaO]+[%MgO]+[%CaF2]〕÷
〔[%SiO2]+0.5([%TiO2]+[%Al2O3])〕 ・・・(1) - 前記[%Al2O3]と前記[%MgO]が、([%Al2O3]+[%MgO])≦30を満足することを特徴とする請求項1に記載の溶融型フラックス。
- 請求項1または2に記載の溶融型フラックスを用いて、溶接入熱2〜10kJ/mmでサブマージアーク溶接を行ない、スラグ内の初晶スピネルの晶出量を面積分率で10%以下とすることを特徴とするサブマージアーク溶接方法。
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