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JP2014013032A - 気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 - Google Patents

気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 Download PDF

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JP2014013032A JP2012209854A JP2012209854A JP2014013032A JP 2014013032 A JP2014013032 A JP 2014013032A JP 2012209854 A JP2012209854 A JP 2012209854A JP 2012209854 A JP2012209854 A JP 2012209854A JP 2014013032 A JP2014013032 A JP 2014013032A
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Hiroshi Miyamoto
寛史 宮本
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】ばらつき異常検出時における排気エミッションや燃費の悪化を抑制し、ばらつき異常を検出した場合にどちらのインジェクタが異常かを特定する。
【課題手段】本発明によれば、各気筒に吸気通路噴射用インジェクタと筒内噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。気筒間空燃比のばらつき度合いに相関するパラメータを検出し、前記検出されたパラメータに基づき、インバランスの有無について判定する第1の判定を実行する。また排気中のPMの量を検出し、前記検出されたPM量に基づき、吸気通路噴射用インジェクタと筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かについて切り分ける第2の判定を実行する。
【選択図】図6

Description

本発明は、気筒間空燃比のばらつき異常を検出するための装置に係り、特に、多気筒内燃機関において気筒間の空燃比が比較的大きくばらついていることを検出する装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
一方、多気筒内燃機関においては、通常全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御を行うため、空燃比制御を実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションの悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態(オンボード)で検出することが要請されている。
特開2006−258023号公報
ところで、各気筒に筒内噴射用インジェクタと吸気通路噴射用インジェクタとを有する所謂デュアルインジェクション方式を採用した多気筒内燃機関が公知である(例えば特許文献1参照)。この場合、1燃焼当たりの1回の燃料噴射量を両インジェクタで分担して噴射する噴き分けが行われる。
一方、気筒間空燃比ばらつき異常の検出に際しては、気筒間空燃比のばらつき度合いに相関するパラメータを検出し、この検出されたパラメータを所定の判定値と比較してばらつき異常の有無を判定することが行われる。
デュアルインジェクションシステムにおいて、筒内噴射用インジェクタと吸気通路噴射用インジェクタとの一方に異常が発生した場合、その異常なインジェクタのパラメータへの影響度が両インジェクタの噴射割合に応じて変化する。そのため、噴射割合の値によっては、異常なインジェクタのパラメータへの影響度が小さくなり、ばらつき異常検出を精度良く行えないという問題がある。
この問題の対策として、ばらつき異常検出時に、異常なインジェクタのパラメータへの影響度を増加し得るよう噴射割合を強制的に変更することが提案されている。しかし、このような噴射割合の強制変更は排気エミッションや燃費を悪化させる可能性があるため、最善の策とは言い難い。
一方、デュアルインジェクションシステムにおいて一方のインジェクタの異常に起因するばらつき異常が発生した場合、どちらのインジェクタが異常かを特定できるのが好ましい。後のインジェクタ交換等の修理を迅速、的確に行えるからである。
そこで本発明は、上記の事情に鑑みて創案され、その一の目的は、筒内噴射用インジェクタと吸気通路噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関においてばらつき異常検出を行う場合に、排気エミッションや燃費の悪化を抑制することができる気筒間空燃比ばらつき異常検出装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、かかる多気筒内燃機関においてばらつき異常を検出した場合、どちらのインジェクタが異常かを特定することができる気筒間空燃比ばらつき異常検出装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
各気筒に吸気通路噴射用インジェクタと筒内噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
気筒間空燃比のばらつき度合いに相関するパラメータを検出し、前記検出されたパラメータに基づき、インバランスの有無について判定する第1の判定を実行すると共に、
排気中のPMの量を検出し、前記検出されたPM量に基づき、前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かについて切り分ける第2の判定を実行する
ことを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。
これによれば、ばらつき異常検出時に両インジェクタの噴射割合を変更しないので、排気エミッションや燃費の悪化を抑制することができる。また検出されたPM量に基づき、吸気通路噴射用インジェクタと筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かについての第2の判定を実行するので、ばらつき異常を検出した場合にどちらのインジェクタが異常かを特定することができる。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第1の判定を実行し、その判定結果がばらつき異常無しとする判定でない場合に前記第2の判定を実行する。
これによれば、第1の判定の結果がばらつき異常無しとする判定でない場合に限って、PM量を検出し、どちらのインジェクタが異常かを判定する第2の判定を実行するので、第2の判定の実行頻度を減少し、ばらつき異常検出を効率的に実行することができる。
好ましくは、前記第2の判定が、前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かを仮判定するものであり、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第2の判定の結果、前記吸気通路噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記吸気通路噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第1の判定値を設定し、前記筒内噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記筒内噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第2の判定値を設定する。
これによれば、異常と仮判定されたインジェクタの種別に応じた最適な判定値を設定することができので、ばらつき異常検出の検出精度をより向上することが可能である。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第1または第2の判定値の設定後、検出された前記パラメータを前記第1または第2の判定値と比較してばらつき異常の有無を最終判定する前記第1の判定を再度実行し、ばらつき異常有りと最終判定したとき、異常と仮判定されていたインジェクタを異常と最終判定する前記第2の判定を再度実行する。
これによれば、ばらつき異常を検出したときに異常なインジェクタを確定的に特定することができる。
代替的に、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かを仮判定する前記第2の判定を実行し、その判定結果に基づいて前記第1の判定を実行してもよい。
この場合、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第2の判定の結果、前記吸気通路噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記吸気通路噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第1の判定値を設定し、前記筒内噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記筒内噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第2の判定値を設定するのが好ましい。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第1または第2の判定値の設定後、検出された前記パラメータを前記第1または第2の判定値と比較してばらつき異常の有無を最終判定する前記第1の判定を実行し、ばらつき異常有りと最終判定したとき、異常と仮判定されていたインジェクタを異常と最終判定する前記第2の判定を再度実行する。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第2の判定において、検出されたPM量が所定値より大きいときには前記筒内噴射用インジェクタを異常と仮判定し、検出されたPM量が前記所定値以下のときには前記吸気通路噴射用インジェクタを異常と仮判定する。
ある気筒の筒内噴射用インジェクタが異常になると、異常発生後には異常発生前よりPM排出量が多くなり、ある気筒の吸気通路噴射用インジェクタが異常になると、異常発生後には異常発生前よりPM排出量が少なくなる傾向にある。よってこの特性を利用し、検出されたPM量を所定値と比較することにより、どちらのインジェクタが異常かを特定することができる。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第2の判定において、両インジェクタの噴射割合が所定割合を中心とした所定範囲内にある場合に、前記PM量の検出を行い、前記噴射割合が前記所定範囲外にある場合にはPMの検出を禁止する。
これにより、一方のインジェクタの異常影響がPM排出量の差として現れ難い噴射割合の範囲をPM量検出条件から除外することができ、異常インジェクタの判定精度を向上することができる。
好ましくは、前記所定割合が50:50である。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、検出されたPM量を前記噴射割合に応じて補正する。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、検出されたPM量を、50:50の噴射割合相当の値になるよう補正する。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、補正されたPM量を順次積算し、その積算値に応じて前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かを仮判定する。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記噴射割合の所定範囲を、検出された前記パラメータの値に応じて変更する。
本発明によれば、筒内噴射用インジェクタと吸気通路噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関においてばらつき異常検出を行う場合に、排気エミッションや燃費の悪化を抑制することができるという、優れた効果が発揮される。また本発明によれば、かかる多気筒内燃機関においてばらつき異常を検出した場合、どちらのインジェクタが異常かを特定することができるという、優れた効果が発揮される。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 空燃比センサの出力変動を示すタイムチャートである。 図3のU部に相当する拡大図である。 インバランス割合と出力変動パラメータの関係を示すグラフである。 空燃比とPM排出量の関係を示すグラフである。 ポートインジェクタの異常時と直噴インジェクタの異常時とを比較するための図である。 ばらつき異常検出のメインルーチンを示すフローチャートである。 異常インジェクタ仮判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 出力変動パラメータ算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 噴き分け率とPM排出量の関係を示すグラフである。 PM量検出許容範囲とPM量検出値の補正とを示すグラフである。 補正係数算出用マップを示す。 第2実施形態に係る異常インジェクタ仮判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 第3実施形態に係る噴き分け率とPM排出量の関係を示すグラフである。 乖離幅算出用マップを示す。 比較的広い検出許容範囲を示すグラフである。 比較的狭い検出許容範囲を示すグラフである。 最小の検出許容範囲を示すグラフである。 第3実施形態に係る異常インジェクタ仮判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 第4実施形態に係るばらつき異常検出のメインルーチンを示すフローチャートである。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、第1実施形態に係る内燃機関の概略図である。図示されるように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストンを往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態の内燃機関1は自動車に搭載された多気筒内燃機関であり、より具体的には直列4気筒火花点火式内燃機関である。内燃機関1は#1〜#4気筒を備える。但しエンジンの気筒数、形式等は特に限定されない。
図示しないが、内燃機関1のシリンダヘッドには吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁とが気筒ごとに配設されており、各吸気弁および各排気弁はカムシャフトによって開閉させられる。シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管4を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5(吸入空気量検出手段)と、電子制御式のスロットルバルブ10とが組み込まれている。吸気ポート、枝管4、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
各気筒にそれぞれ二つのインジェクタ、すなわち吸気通路噴射用インジェクタ2と筒内噴射用インジェクタ3とが設けられている。吸気通路噴射用インジェクタ2は、いわゆる均質燃焼を実現するよう、対応気筒の吸気通路、特に吸気ポート内に向けて燃料を噴射する。以下、吸気通路噴射用インジェクタをポートインジェクタともいう。他方、筒内噴射用インジェクタ3は、いわゆる成層燃焼を実現するよう、対応気筒の筒内(燃焼室内)に向けて燃料を直接噴射する。以下、筒内噴射用インジェクタを直噴インジェクタともいう。このように本実施形態のエンジンはデュアルインジェクション方式を採用している。
各気筒の排気ポートは排気マニフォールド14に接続される。排気マニフォールド14は、その上流部をなす気筒毎の枝管14aと、その下流部をなす排気集合部14bとからなる。排気集合部14bの下流側には排気管6が接続されている。排気ポート、排気マニフォールド14及び排気管6により排気通路が形成される。
排気管6の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒11と下流触媒19が直列に取り付けられている。これら触媒11,19は酸素吸蔵能(Oストレージ能)を有する。すなわち、触媒11,19は、排気ガスの空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.6)より大きい(リーンな)ときに排気ガス中の過剰酸素を吸蔵し、NOxを還元する。また触媒11,19は、排気ガスの空燃比がストイキより小さい(リッチな)ときに吸蔵酸素を放出し、排気ガス中のHC,COを酸化する。
上流触媒11の上流側及び下流側にそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための第1及び第2の空燃比センサ、即ち触媒前センサ17及び触媒後センサ18が設置されている。これら触媒前センサ17及び触媒後センサ18は、上流触媒11の直前及び直後の位置に設置され、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。特に、全気筒の排気ガスが合流する合流部に単一の触媒前センサ17が設置されている。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ31,32等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ16、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、排気中のPM(パティキュレートマター、粒子状物質(煤等を含む))の量を検出するPMセンサ21、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ31,32等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
スロットルバルブ10にはスロットル開度センサ(図示せず)が設けられ、スロットル開度センサからの信号がECU20に送られる。ECU20は、通常、アクセル開度に応じて定まる目標スロットル開度に、スロットルバルブ10の開度(スロットル開度)をフィードバック制御する。
ECU20は、エアフローメータ5からの信号に基づき、単位時間当たりの吸入空気の量である吸入空気量すなわち吸気流量を検出する。そしてECU20は、検出したアクセル開度、スロットル開度および吸入空気量の少なくとも一つに基づき、エンジン1の負荷を検出する。
ECU20は、クランク角センサ16からのクランクパルス信号に基づき、クランク角自体を検出すると共にエンジン1の回転数を検出する。ここで「回転数」とは単位時間当たりの回転数のことをいい、回転速度と同義である。本実施形態では1分間当たりの回転数rpmのことをいう。
PMセンサ21は、上流触媒11の上流側に配置され、触媒前センサ17と同様に排気ガスの合流部に配置されている。ECU20は、PMセンサ21からの信号に基づき排気中のPM量を検出する。
触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ17の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ17は、排気空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキであるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ18は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ18の出力特性を示す。図示するように、排気空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ18の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1V)内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒11及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx,HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
そこで通常運転時、上流触媒11に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比フィードバック制御がECU20により実行される。この空燃比フィードバック制御は、触媒前センサ17によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるような主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ18によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。このような目標空燃比をストイキとする空燃比フィードバック制御をストイキ制御ともいう。
空燃比フィードバック制御においては同一の制御量が全気筒に対し一律に使用される。すなわち全気筒の燃料噴射量が同一のフィードバック補正量によりエンジンサイクル毎に補正される。
また本実施形態では、1燃焼当たりの1回の燃料噴射量を両インジェクタで分担して噴射する噴き分けが行われる。両インジェクタの噴射割合は噴き分け率αで規定される。ECU20は、噴き分け率αに応じて、ポートインジェクタ31から噴射される燃料量(ポート噴射量という)と、直噴インジェクタ32から噴射される燃料量(直噴噴射量という)とを設定し、これら燃料量に応じて各インジェクタ31,32を通電制御する。
噴き分け率αは、ここでは全燃料噴射量に対するポート噴射量の比をいい、0〜1の値を持つ。全燃料噴射量をQtとした場合、ポート噴射量Qpはα×Qtで表され、直噴噴射量Qdは(1−α)×Qtで表される。ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32、もしくはポート噴射量Qpと直噴噴射量Qdの噴射割合はQp:Qd=α:(1−α)(%)である。全燃料噴射量Qtと噴き分け率αは、ECU20により、所定のマップ等に従って、エンジン運転状態(例えばエンジン回転数と負荷)に基づいて設定される。噴き分け率αも各気筒に対し同一の値が用いられる。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒(特に1気筒)のインジェクタが故障し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生したとする。例えば#1気筒が他の#2〜#4気筒よりも燃料噴射量が多くなり、#1気筒の空燃比が他の#2〜#4気筒の空燃比よりも大きくリッチ側にずれる場合等である。このとき前述のストイキ制御により比較的大きな補正量を与えれば、トータルガスの空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#2〜#4気筒がストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する装置が装備されている。
図3は触媒前センサ17の出力変動を示す。図示するように、触媒前センサ17によって検出される排気空燃比A/Fは、1エンジンサイクル(=720°CA)を1周期として周期的に変動する傾向にある。そして気筒間空燃比ばらつきが発生すると、1エンジンサイクル内での出力変動が大きくなる。(B)の空燃比線図a,b,cはそれぞればらつき無し、1気筒のみ20%のインバランス割合でリッチずれ、及び1気筒のみ50%のインバランス割合でリッチずれの場合を示す。見られるように、ばらつき度合いが大きくなるほど空燃比変動の振幅が大きくなる。
ここでインバランス割合とは、気筒間空燃比のばらつき度合いを表す一つのパラメータである。即ち、インバランス割合とは、検出対象となる複数の気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス割合をIB、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB(%)=(Qib−Qs)/Qs×100で表される。インバランス割合IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
図3から理解されるように、インバランス割合が大きいほど、すなわち気筒間空燃比のばらつき度合いが大きいほど、触媒前センサ17の出力変動が大きくなる。
よってこの特性を利用し、本実施形態では、触媒前センサ17の出力変動度合いに相関する出力変動パラメータXを、気筒間空燃比ばらつき度合いに相関するパラメータとして用い、ばらつき異常検出時に出力変動パラメータXを算出あるいは検出する。そしてこの検出された出力変動パラメータXに基づきばらつき異常あるいはインバランスの有無についての第1の判定を実行する。なお、前述のインバランス割合は単に説明目的のためだけに用いる。
以下に出力変動パラメータXの算出方法を説明する。図4は図3のU部に相当する拡大図であり、特に1エンジンサイクル内の触媒前センサ出力の変動を簡略的に示す。触媒前センサ出力としては、触媒前センサ17の出力電圧Vfを空燃比A/Fに換算した値を用いる。但し触媒前センサ17の出力電圧Vfを直接用いることも可能である。
図4(B)に示すように、ECU100は、1エンジンサイクル内において、所定のサンプル周期τ毎に、触媒前センサ出力A/Fの値を取得する。そして今回(n)のタイミングで取得した値A/Fと、前回(n−1)のタイミングで取得した値A/Fn−1との差(出力差という)ΔA/Fを次式(1)により求める。この出力差ΔA/Fは今回のタイミングにおける微分値あるいは傾きと言い換えることができる。
Figure 2014013032
出力差ΔA/Fの値はプラスの場合とマイナスの場合があり、プラスの場合はΔA/Fn+で表し、マイナスの場合はΔA/Fn−で表す。
最も単純には、この出力差ΔA/Fが触媒前センサ出力の変動を表す。変動度合いが大きくなるほど空燃比線図の傾きが大きくなり、出力差ΔA/Fの絶対値が大きくなるからである。そこで所定の1タイミングにおける出力差ΔA/Fの値を出力変動パラメータとすることができる。
但し、本実施形態では精度向上のため、複数の出力差ΔA/Fの平均値を出力変動パラメータとする。本実施形態では、1エンジンサイクルの間、各タイミング毎に出力差ΔA/Fを積算し、最終積算値をサンプル数Nで除し、1エンジンサイクル内の出力差ΔA/Fの平均値を求める。そしてさらに、Mエンジンサイクル分(例えばM=100)だけ出力差ΔA/Fの平均値を積算し、最終積算値をサイクル数Mで除し、Mエンジンサイクル内の出力差ΔA/Fの平均値を求める。こうして求められた最終的な平均値を出力変動パラメータXとする。触媒前センサ出力の変動度合いが大きくなるほど出力変動パラメータXは大きくなる。
図5に、インバランス割合IB(%)と出力変動パラメータXの関係を示す。図示されるように、インバランス割合IBと出力変動パラメータXの間には強い相関関係があり、インバランス割合IBの絶対値が増加するほど空燃比変動パラメータXも増加する。
次に、算出された出力変動パラメータXが所定の判定値Xthと比較されてばらつき異常の有無が判定される。すなわち、算出された出力変動パラメータXが判定値Xth以上であればばらつき異常有り(異常)、算出された出力変動パラメータXが判定値Xthより小さければばらつき異常無し(正常)と判定される。
なお、触媒前センサ出力の変動度合いに相関する如何なる値をも出力変動パラメータとすることができる。例えば、1エンジンサイクル内における触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差(所謂ピークトゥピーク; peak to peak)、または2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値に基づいて、出力変動パラメータを算出することもできる。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど、触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差は大きくなり、また2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値も大きくなるからである。
また、触媒前センサ出力の軌跡長または面積を出力変動パラメータとすることもできる。軌跡長とは、所定期間内(例えば1エンジンサイクル内)における前記出力差ΔA/Fの積算値、つまり平均化しない値である。面積とは、触媒前センサ出力と所定の基準値(例えばストイキ)との差の絶対値を所定期間内(例えば1エンジンサイクル内)で積算した値である。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど、これら軌跡長および面積は大きくなる。
さらに、出力変動パラメータ以外のパラメータを、気筒間空燃比ばらつき度合いに相関するパラメータとして使用することもできる。例えば、エンジンの回転変動に相関するパラメータを使用することができる。気筒間空燃比ばらつき度合いが大きくなるほどエンジン回転変動が大きくなるからである。
ところで、本実施形態のようなデュアルインジェクション式エンジンにおいて、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32との一方に異常が発生した場合、その異常なインジェクタの出力変動パラメータXへの影響度が、両インジェクタの噴射割合に応じて変化する。そのため、噴射割合の値によっては、異常なインジェクタの出力変動パラメータXへの影響度が小さくなり、ばらつき異常検出を精度良く行えないという問題がある。
例えば、ある1気筒で直噴インジェクタ32のみにインバランス割合で+50%相当のリッチずれ(燃料過多)異常が発生したとする。また正常である両インジェクタについて、各々の噴射割合が100%であるときの各々の燃料噴射量を1とする。このとき、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32の噴射割合が50:50(噴き分け率α=0.5)だとすると、両インジェクタによる合計噴射量は1×0.5+1.5×0.5=1.25となる。両インジェクタが正常なときの合計噴射量は1であるから、合計噴射量で規定されるトータルインバランス割合は(1.25−1)×100=+25%となり、見掛け上+25%のリッチずれとなる。直噴インジェクタ32の噴射割合ないし分担率が(1−α)=50%である結果、直噴インジェクタ32の異常影響が薄められて元々のインバランス割合=+50%の半分しかトータルインバランス割合に反映されない。出力変動パラメータXはトータルインバランス割合の値を反映するので、+25%相当の出力変動パラメータXの値しか得られず、本来よりも正常側の値が得られてしまう。
また、極端な例として、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32の噴射割合が100:0(噴き分け率α=1.0)だと、両インジェクタによる合計噴射量は1×1.0+1.5×0=1、トータルインバランス割合は(1−1)×100=0%で、異常な直噴インジェクタ32の影響は出力変動パラメータXに全く反映されない。
この問題の対策として、ばらつき異常検出時に、異常なインジェクタのパラメータへの影響度を増加し得るよう噴射割合を強制的に変更することが提案されている。例えば前者の例では、噴き分け率αを基準値としての0.5から例えば0.2などに強制変更し、直噴インジェクタ32の影響度をより高める。
しかし、噴き分け率αの基準値は、排気エミッションや燃費を最良にするよう各エンジン運転状態毎に予め定められた値であるから、これからの変更は排気エミッションや燃費を悪化させる可能性がある。そこで噴き分け率αの強制変更を伴わないばらつき異常検出の手法が望まれる。
一方、出力変動パラメータXを検出するのみでは、どちらのインジェクタが異常かまでは特定ないし判別することができず、この点でも従来法には検出精度の点で改良の余地がある。この異常なインジェクタを特定できれば、後のインジェクタ交換等の修理を迅速、的確に行え、有利である。
例えば、ある1気筒でポートインジェクタ31のみにインバランス割合で+50%相当のリッチずれ異常が発生し、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32の噴射割合が50:50であるとする。このとき合計噴射量は1.5×0.5+1×0.5=1.25、トータルインバランス割合は(1.25−1)×100=+25%となる。
他方、ある1気筒で直噴インジェクタ32のみにインバランス割合で+25%相当のリッチずれ異常が発生し、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32の噴射割合が0:100であるとする。このとき合計噴射量は1×0+1.25×1=1.25、トータルインバランス割合は(1.25−1)×100=+25%となる。
このように、前者はポートインジェクタ31が、後者は直噴インジェクタ32が異常であるにも拘わらず、トータルインバランス割合は同じであり、得られる出力変動パラメータXの値も同じになってしまう。よって出力変動パラメータXの値だけではどちらのインジェクタが異常かまでは判別することができない。
そこで本実施形態では、PMセンサ21により排気中のPMの量を検出し、この検出されたPM量に基づき、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32とのどちらが異常かについて切り分ける第2の判定を実行する。これにより、異常なインジェクタを特定し、検出精度を向上することができ、また後の修理を迅速、的確に行うことができる。
以下、PM量に基づきどちらのインジェクタが異常かを判定できる理由を説明する。一般に筒内燃焼室で発生するPMは、ポートインジェクタよりもむしろ直噴インジェクタからの噴射燃料に起因する。
図6には、筒内ガスの空燃比と、筒内燃焼室からのPM排出量の関係を示す。線aはポートインジェクタのみを備えたエンジン(ポート噴射式エンジン)の場合、線bは直噴インジェクタのみを備えたエンジン(直噴式エンジン)の場合である。
図示するように、直噴式エンジンのPM排出量はポート噴射式エンジンのPM排出量より著しく多く、ストイキ空燃比において前者は後者の約10倍である。またポート噴射式エンジンの場合、空燃比が変化してもPM排出量はほぼ一定であるが、直噴式エンジンの場合だと、空燃比がリッチになるほどPM排出量は増加する。
よって、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32のどちらが異常かによって、PM排出量に大きな差が生じる。
図7は、ポートインジェクタ31が異常なときと直噴インジェクタ32が異常なときとを比較するための図である。まず図中左側のポートインジェクタ31が異常なときを説明する。
ストイキ制御中、例えば#1気筒のポートインジェクタ31のみに異常が発生し、その燃料噴射量すなわちポート噴射量が正常時の量Q1pより著しく増大したとする。すなわち#1気筒のポートインジェクタ31のみに空燃比のリッチずれ異常が発生したとする。この異常発生時点での各気筒、各インジェクタの燃料噴射量とPM排出量とを「異常発生時」で示す。異常発生時点において、正常な他の#2〜#4気筒のポート噴射量と、全気筒の直噴噴射量とは、正常時の量Q1p、Q1dである。なお、1気筒当たりの正常時のポート噴射量Q1pと直噴噴射量Q1dとの合計値がストイキ相当噴射量である。
この異常発生時点からある程度の時間が経過すると、空燃比フィードバック制御の影響により、全気筒トータルの排気ガスの空燃比が概ねストイキとなるよう、各気筒の各インジェクタの燃料噴射量が一律に減量される。このときの状態を「F/B後」で示す。#2〜#4気筒のポート噴射量と全気筒の直噴噴射量とは正常時の量Q1p、Q1dより僅かに少なくなる。
ここで、ポートインジェクタ31によるポート噴射燃料に起因するPM排出量(ポートPM排出量)と、直噴インジェクタ32による直噴噴射燃料に起因するPM排出量(直噴PM排出量)とについて、異常発生時とF/B後の比較を行う。
まず異常発生時、ポートPM排出量は、全気筒について、正常時のポート噴射量Q1pに対応した量W1pとなる。異常な#1気筒でも他の正常気筒と同じである理由は、図6に示したように、ポート噴射燃料起因のPM排出量が空燃比の影響をあまり受けないからである。従ってF/B後でも全気筒のポートPM排出量は変化せず、正常時のポート噴射量Q1pに対応した量W1pとなる。
他方、異常発生時の直噴PM排出量は、全気筒について、正常時の直噴噴射量Q1dに対応した量W1dとなる。しかしF/B後には全気筒の直噴PM排出量がW1dよりも少なくなる。図6に示したように、直噴噴射量の減量により筒内がリーン化すると直噴噴射燃料起因のPM排出量が減少するからである。
それ故、全気筒のポートPM排出量と直噴PM排出量とのトータルのPM排出量を考えた場合、ある1気筒のポートインジェクタ31が異常になると、異常発生後には異常発生前よりPM排出量が少なくなると結論づけることができる。
次に、図中右側の直噴インジェクタ32が異常なときを説明する。
ストイキ制御中、例えば#1気筒の直噴インジェクタ32のみに異常が発生し、その燃料噴射量すなわち直噴噴射量が正常時の量Q1dより著しく増大したとする。すなわち#1気筒の直噴インジェクタ32のみに空燃比のリッチずれ異常が発生したとする。この異常発生時点において、正常な全気筒のポート噴射量と#2〜#4気筒の直噴噴射量とは正常時の量Q1p、Q1dである。
この異常発生時点からある程度の時間が経過すると、空燃比フィードバック制御の影響により、全気筒トータルの排気ガスの空燃比が概ねストイキとなるよう、各気筒の各インジェクタの燃料噴射量が一律に減量される。そして全気筒のポート噴射量と#2〜#4気筒の直噴噴射量とは正常時の量Q1p、Q1dより僅かに少なくなる。
ポートPM排出量は前述の理由により、全気筒について、異常発生時とF/B後とで変化せず、正常時のポート噴射量Q1pに対応した量W1pである。
他方、異常発生時の直噴PM排出量については、正常な#2〜#4気筒では正常時の直噴噴射量Q1dに対応した量W1dであるが、異常な#1気筒では正常時の量W1dより顕著に多くなる。そしてF/B後の直噴PM排出量については、全気筒一律の直噴噴射量減量の結果、全気筒一律に減少される。
しかしF/B後では、#2〜#4気筒における正常時の量W1dに対する減少分の合計が、#1気筒における正常時の量W1dに対する増加分よりも少ない。それ故、全気筒のポートPM排出量と直噴PM排出量とのトータルのPM排出量を考えた場合、ある1気筒の直噴インジェクタ32が異常になると、異常発生後には異常発生前よりPM排出量が多くなると結論づけることができる。
以上のような特性を利用することで、検出されたPM量に基づき、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32とのどちらが異常かを判定することができる。この方法は特に、空燃比のリッチずれ異常が発生した一方のインジェクタを特定するのに好適である。
ここで、PM量に基づきどちらのインジェクタが異常かを判定する第2の判定には、二つの段階あるいはフェーズがある。その第1段階は、異常の可能性がある一方のインジェクタを仮あるいは暫定的に決定する判定である。この第1段階の判定を「仮判定」という。この第1段階で一方のインジェクタの異常が仮判定されたからといって、直ちに空燃比ばらつき異常が発生したと判断されるものではない。他方、第2段階は、異常なインジェクタを確定的あるいは最終的に決定する判定である。この第2段階の判定を「最終判定」という。
同様に、出力変動パラメータXに基づきばらつき異常の有無を判定する第1の判定にも二つの段階あるいはフェーズがある。その第1段階は、ばらつき異常が発生している、あるいは発生していない可能性があるという仮あるいは暫定的な判定である。この第1段階の判定も「仮判定」という。他方、第2段階は、ばらつき異常が発生している、あるいは発生していないことを確定的あるいは最終的に決定する判定である。この第2段階の判定も「最終判定」という。
ところで、ばらつき異常の有無を判定する第1の判定は、出力変動パラメータXと判定値Xthとの比較によって行うが、この判定値Xthは、いずれのインジェクタが異常かによって変更するのが望ましい。一般に判定値Xthは、排気エミッションに関するOBD(On-Board Diagnosis)規制値相当の値に設定されるが、このOBD規制値相当のインバランス割合ひいては出力変動パラメータXの値は、いずれのインジェクタが異常かによって変化するからである。
そこで本実施形態では、第2の判定、特にその第1段階の仮判定の結果に応じて、判定値Xthを変更する。具体的には、ポートインジェクタ31の異常を仮判定したときには、判定値Xthを、ポートインジェクタ31の異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第1の判定値としてのポート異常時判定値Xthpに設定する。また、直噴インジェクタ32の異常を仮判定したときには、判定値Xthを、直噴インジェクタ32の異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第2の判定値としての直噴異常時判定値Xthdに設定する。
このようにすることで、異常と仮判定されたインジェクタの種別に応じた最適な判定値Xthを設定することができ、ばらつき異常検出の検出精度をより向上することが可能である。
次に、図8〜10を用いて、より具体的なばらつき異常検出ルーチンを説明する。これらルーチンはECU20により所定のサンプル周期τ(例えば約1〜4ms)毎に繰り返し実行される。
まず図8に示すばらつき異常検出のメインルーチンを説明する。このメインルーチンは所定の前提条件、例えば次の各条件が成立している場合に限って実行される。なお前提条件の例は他の例も可能である。
(1)エンジンの暖機が終了している。
(2)触媒前センサ17および触媒後センサ18が活性化している。
(3)上流触媒11および下流触媒19が活性化している。
(4)エンジンが定常運転中である。
(5)ストイキ制御中である。
メインルーチンが開始されると、ステップS101において、異常インジェクタの仮判定完了フラグF1がオフか否かが判断される。仮判定完了フラグF1がオフの場合、すなわち異常インジェクタの仮判定が完了していない場合、ステップS102に進み後述する異常インジェクタ仮判定処理が行われ、ステップS103に進む。仮判定完了フラグF1がオンの場合、すなわち異常インジェクタの仮判定が既に完了している場合には、ステップS102をスキップしてステップS103に進む。
ステップS103において、出力変動パラメータXの算出完了フラグF2がオフか否かが判断される。算出完了フラグF2がオフの場合、すなわち出力変動パラメータXの算出が完了していない場合、ステップS104に進み後述する出力変動パラメータ算出処理が行われ、ステップS105に進む。算出完了フラグF2がオンの場合、すなわち出力変動パラメータXの算出が既に完了している場合には、ステップS104をスキップしてステップS105に進む。
ステップS105では、仮判定完了フラグF1がオンで且つ算出完了フラグF2がオンという条件が満たされているか否かが判断される。条件が満たされてなければルーチンが終了され、条件が満たされていればステップS106に進む。
ステップS106では、異常と仮判定されたインジェクタがポートインジェクタ31か否かが判断される。ポートインジェクタ31である場合、ステップS107で、判定値Xthがポート異常時判定値Xthpに設定される。
他方、ポートインジェクタ31でない場合、すなわち直噴インジェクタ32である場合、ステップS108で、判定値Xthが直噴異常時判定値Xthdに設定される。
次いでステップS109では、既に算出された出力変動パラメータXが判定値Xthと比較される。出力変動パラメータXが判定値Xth以上のときには、ステップS110にてばらつき異常有り、すなわち異常と最終判定される。なおこの異常判定と同時に、異常の事実をユーザに知らせるべくチェックランプ等の警告装置を起動するのが好ましい。
次いでステップS111において、異常と仮判定されていたインジェクタが最終的に異常と判定(すなわち最終判定)される。この場合、異常インジェクタに対応した診断コードがECU20に記憶され、後の修理段階での利用に供される。
他方、ステップS109で、出力変動パラメータXが判定値Xthより小さいときには、ステップS112にてばらつき異常無し、すなわち正常と最終判定され、ルーチンが終了される。このときには、異常と仮判定されていたインジェクタが実際には異常でない(すなわち正常である)と実質的に最終判定されることとなる。
このように本実施形態では、どちらのインジェクタが異常かを仮判定する第2の判定を実行し(S106)、この第2の判定の結果に基づいてばらつき異常の有無を最終判定する第1の判定を実行する(S110,S112)。そしてばらつき異常有りと最終判定した場合、異常と仮判定されたインジェクタを異常と最終判定する(S111)。
次に、図9に示す異常インジェクタ仮判定処理のサブルーチンを説明する。このサブルーチンは図8のメインルーチンのステップS102で実行されるものである。
まずステップS201では、今回のサンプル時期nないしタイミングにおけるPMセンサ21の検出値PMが取得されると共に、この検出値PMが積算される。PMセンサ検出値の積算値ΣPMは次式(2)より算出される。
Figure 2014013032
次いでステップS202において、PMセンサ検出値の積算回数CNTの値が1だけ増加(インクリメント)される。
次にステップS203において、積算回数CNTが所定のしきい値CNTth以上に達したか否かが判断される。しきい値CNTth以上に達してなければステップS208に進み、仮判定完了フラグF1がオフとされ、ルーチンが終了される。
他方、積算回数CNTがしきい値CNTth以上に達したならばステップS204に進む。ステップS204においては、PMセンサ検出値の積算値ΣPMが積算回数CNTで除算され、PMセンサ検出値の平均値が算出される。そしてこのPMセンサ検出値の平均値が所定のしきい値PMthと比較される。
PMセンサ検出値の平均値がしきい値PMthより大きい場合、ステップS205において、直噴インジェクタ32が異常と仮判定される。排気中のPM量が相対的に多く、仮に異常が生じているとすれば、直噴インジェクタ32にリッチずれ異常が生じている可能性が高いからである。
他方、PMセンサ検出値の平均値がしきい値PMth以下の場合、ステップS206において、ポートインジェクタ31が異常と仮判定される。排気中のPM量が相対的に少なく、仮に異常が生じているとすれば、ポートインジェクタ31にリッチずれ異常が生じている可能性が高いからである。
次いで、ステップS207において仮判定完了フラグF1がオンされ、ルーチンが終了される。
次に、図10に示す出力変動パラメータ算出処理のサブルーチンを説明する。このサブルーチンは図8のメインルーチンのステップS104で実行されるものである。
まずステップS301において、今回のサンプル時期nないしタイミングにおける触媒前センサ出力A/Fが取得される。なお触媒前センサ出力A/Fは触媒前センサ17の出力電圧Vfを空燃比に換算した値である。そして今回のタイミングにおけるセンサ出力差ΔA/Fが前式(1)より算出される。
次いでステップS302において、今回のタイミングにおけるセンサ出力差ΔA/Fがゼロより大きいか否かが判断される。
ゼロより大きい場合、すなわち今回タイミングのセンサ出力差(傾き)ΔA/Fがプラスであり、触媒前センサ出力の増加時の値である場合には、ステップS303で今回のタイミングにおけるプラスのセンサ出力差ΔA/Fが積算され、その積算値ΣΔA/Fn+が次式(3)より算出される。
Figure 2014013032
そしてステップS304において、プラスのセンサ出力差ΔA/Fの積算回数C1の値が1だけ増加(インクリメント)される。
他方、今回のタイミングにおけるセンサ出力差ΔA/Fがゼロ以下の場合、すなわち今回タイミングのセンサ出力差(傾き)ΔA/Fがゼロまたはマイナスであり、触媒前センサ出力の無変化時または減少時の値である場合には、ステップS305で今回のタイミングにおけるマイナスのセンサ出力差ΔA/Fが積算され、その積算値ΣΔA/Fn−が次式(4)より算出される。
Figure 2014013032
そしてステップS306において、マイナスのセンサ出力差ΔA/Fの積算回数C1の値が1だけ増加(インクリメント)される。
次いで、ステップS307において、クランク角θが、1エンジンサイクル(0〜720°CA)中の基準クランク角である0°CAであるか否かが判断される。この基準クランク角は、1エンジンサイクル中のセンサ出力差ΔA/Fの平均値を算出するタイミングを規定する。なお基準クランク角は0°CA以外の値に定めることも可能である。クランク角θが0°CAでない場合、ルーチンが終了される。
他方、クランク角θが0°CAである場合、ステップS308において、今回の1エンジンサイクル終了時点におけるセンサ出力差ΔA/Fの平均値が算出されると共に、この平均値が積算される。まずプラスのセンサ出力差ΔA/Fについては、プラスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn+が積算回数C1で除算されてエンジンサイクル毎の平均値Rm+(=(ΣΔA/Fn+)/C1)が算出される。そしてこの平均値Rm+が、エンジンサイクル毎の平均値の積算値に加算され、平均値Rm+の積算値ΣRm+が求められる。積算値ΣRm+は次式(5)より算出される。
Figure 2014013032
同様に、マイナスのセンサ出力差ΔA/Fについては、マイナスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn−が積算回数C1で除算されてエンジンサイクル毎の平均値Rm−(=(ΣΔA/Fn−)/C1)が算出される。そしてこの平均値Rm−が、エンジンサイクル毎の平均値の積算値に加算され、平均値Rm−の積算値ΣRm−が求められる。積算値ΣRm−は次式(6)より算出される。
Figure 2014013032
次に、ステップS309において、エンジンサイクル毎のプラス平均値Rm+とマイナス平均値Rm−の積算回数C2、C2の値が1ずつ増加(インクリメント)される。
この後ステップS310において、プラスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn+とマイナスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn−との値がゼロにクリアされる。そしてステップS311において、プラスのセンサ出力差の積算回数C1とマイナスのセンサ出力差の積算回数C1との値がゼロにクリアされる。
次いでステップS312において、エンジンサイクル毎のプラス平均値の積算回数C2が所定のしきい値M以上に達し、且つエンジンサイクル毎のマイナス平均値の積算回数C2が所定のしきい値M以上に達したか否かが判断される。ノーの場合にはルーチンが終了される。
他方、イエスの場合には、ステップS313において、積算値ΣRm+を積算回数C2で除してなるMエンジンサイクル中の平均値(ΣRm+)/C2と、積算値ΣRm−を積算回数C2で除してなるMエンジンサイクル中の平均値(ΣRm−)/C2とが算出される。そしてこれら両平均値に基づき出力変動パラメータXが算出される。
この算出に際しては、両平均値の平均値を出力変動パラメータXとすることができる。あるいは、両平均値の絶対値のうち大きい方を出力変動パラメータXとすることもできる。あるいは、両平均値の絶対値の和を出力変動パラメータXとすることもできる。いずれにしても、空燃比ばらつき度合いが大きいほど出力変動パラメータXが大きくなるように出力変動パラメータXが定められる。
こうして出力変動パラメータXが算出されたならば、ステップS314において出力変動パラメータXの算出完了フラグF2が初期状態のオフからオンに切り換えられ、ルーチンが終了される。
以上述べたように本実施形態によれば、検出されたPM量に基づきポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32とのどちらが異常かを判定するので、ばらつき異常検出の検出精度を向上できる。また異常と判定(仮判定)されたインジェクタの種別に応じた最適な判定値Xthを設定するので、ばらつき異常検出の検出精度をより向上することが可能である。さらにばらつき異常検出時に両インジェクタの噴射割合すなわち噴き分け率αを変更しないので、排気エミッションや燃費の悪化を確実に抑制することができる。そしてばらつき異常を検出した場合にどちらのインジェクタが異常かを特定することができるので、後の修理を迅速、的確に行うことができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお上記第1実施形態と同様の部分については説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
第1実施形態においては、気筒間空燃比ばらつき異常が発生したときのPM排出量が、異常原因となっているインジェクタの種別に応じて異なるという特性を利用し、検出されたPM量に応じていずれのインジェクタが異常かを判定している。
しかし、両インジェクタの噴射割合が偏っているときには、かかる判定を精度良く行えないという問題がある。
図11には、噴き分け率αとPM排出量の関係を示す。線aは、いずれのインジェクタにも異常が発生していない正常時を示す。線bは、ある1気筒のポートインジェクタ31のみに異常が発生しているポート異常時を示す。線cは、ある1気筒の直噴インジェクタ32のみに異常が発生している直噴異常時を示す。
図示するように、正常時では、噴き分け率αの減少(直噴噴射割合の増大)に応じてPM排出量がリニアに増大する傾向にある。そしてポート異常時では同一の噴き分け率αにおいてPM排出量が正常時よりも少なくなる傾向にある。直噴異常時では逆に、同一の噴き分け率αにおいてPM排出量が正常時よりも多くなる傾向にある。
しかし、図中の円d,eで示されるような、噴き分け率αがゼロ付近または1付近にある領域だと、正常時とポート異常時のPM排出量の差、および正常時と直噴異常時のPM排出量の差が極めて小さくなり、異常インジェクタの仮判定を精度良く行えない。つまり、ポートインジェクタ31と直噴インジェクタ32のほぼいずれかのみで燃料噴射を行っているような状況下では、異常インジェクタの燃料噴射量ずれの影響がPM排出量の差として現れ難い。
例えば、ある1気筒の直噴インジェクタ32のみに異常が発生している直噴異常時であっても、図中の円eで示されるような噴き分け率αが1である場合(ポート噴射割合100%の場合)には、PM排出量が正常時に比べ増加しない。従ってこの状況下でPMセンサ21によりPM量を検出し、検出値を積算しても、直噴インジェクタ32の異常と判定することが困難である。
一方、図示するように、正常時とポート異常時のPM排出量の差、および正常時と直噴異常時のPM排出量の差は、噴き分け率αが所定値である0.5、つまり両インジェクタの噴射割合が所定割合である50:50のときに最大となり、噴き分け率αが0.5から離れるにつれ減少する傾向にある。
そこでこの特性に鑑み、本実施形態においては、PM量の検出を行う噴き分け率αの範囲を制限する。具体的には、図12に示すように、基準噴き分け率α0=0.5を中心とした±Δαの範囲内の噴き分け率αでのみ、PM量の検出を行う。
これにより、一方のインジェクタの異常影響がPM排出量の差として現れ難い噴き分け率αの値ないし範囲をPM量検出条件から除外することができ、異常インジェクタの判定精度を向上することができる。
上記Δαは乖離幅と称する正の値である。そして噴き分け率αに関するα0±Δαの範囲を検出許容範囲、それ以外の範囲を検出禁止範囲と称する。検出許容範囲には、少なくともα=0(直噴噴射割合100%)とα=1(ポート噴射割合100%)は含まれない。ここでの乖離幅Δαは例えば0.25などといった一定値である。もっとも乖離幅Δαは実機試験等を通じて最適に設定あるいは適合し得る。
ところで本実施形態ではさらに、検出許容範囲内でPM量が検出された場合に、この検出されたPM量を、検出時の噴き分け率αに応じて補正する。具体的には図12に示すように、ある噴き分け率α1のときに検出されたPM量を、基準噴き分け率α0相当の値に補正する。これにより噴き分け率αの変化の影響を無くし、異常インジェクタの仮判定精度をより向上することができる。
補正に際しては、図13に示すような所定のマップに従って、PM量検出時の噴き分け率αに対応した補正係数Kを求める。そしてこの補正係数Kを、PM量検出値に乗じて、補正後のPM量検出値を求める。補正係数Kは、基準噴き分け率α0のとき1であり、噴き分け率αが基準噴き分け率α0から小さくなるにつれ1より小さくなり、噴き分け率αが基準噴き分け率α0から大きくなるにつれ1より大きくなる。これは図11および12に示すように、噴き分け率αが大きくなるほどPM排出量が減少するという特性に合わせたものである。これにより任意の噴き分け率のときに検出されたPM量を常に基準噴き分け率α0相当の値に補正することができる。
なお、補正方法は他の方法も可能であり、例えば補正係数を乗算する代わりに補正値を加算してもよい。
次に本実施形態のばらつき異常検出ルーチンを説明する。本実施形態において、図8のメインルーチンと、図10の出力変動パラメータ算出処理サブルーチンとは第1実施形態と同様である。異常インジェクタ仮判定処理サブルーチンのみが第1実施形態と異なり、本実施形態では図14に示すようなサブルーチンが用いられる。
図14に示すように、ステップS401では、今回のサンプル時期nないしタイミングにおける噴き分け率αと基準噴き分け率α0=0.5との差の絶対値が乖離幅Δαより小さいか否かが判断される。すなわち、現状の噴き分け率αが検出許容範囲内に入っているか否かが判断される。
イエスの場合、ステップS402において、今回のサンプル時期nないしタイミングにおけるPMセンサ21の検出値PMが取得されると共に、この検出値PMが補正される。すなわち、現状の噴き分け率αに対応した補正係数Kが図13のマップから取得され、この補正係数Kが検出値PMに乗算されて補正後の検出値PM’が求められる。
次いでステップS403において、前記ステップS201と同様、補正後の検出値PM’が積算される。積算値ΣPMは次式(2)’より算出される。
Figure 2014013032
そしてステップS404において、前記ステップS202と同様、PMセンサ検出値の積算回数CNTの値が1だけ増加(インクリメント)される。
その後のステップS405〜S410は前記ステップS203〜S208と同様である。
ステップS401がノーの場合、ステップS402〜S404がスキップされてステップS405に進む。このように噴き分け率αが検出許容範囲内に入っていない場合には、PM量の検出も、検出値の補正も、検出値の積算も行われない。PMの検出は禁止される。
なお、噴き分け率αが検出許容範囲内に入っていない場合には、PMセンサ検出値が異常インジェクタ仮判定結果に反映されないようにすれば十分である。従って、PM量の検出を行って積算を行わない実施例や、PM量の検出と補正を行って積算を行わない実施例等も可能である。また検出値の補正は省略も可能である。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。前述の第2実施形態では、PM量検出を行う噴き分け率αの範囲を検出許容範囲α0±Δα内に限定した。
しかし、空燃比ばらつき度合いが大きい場合には、両インジェクタの噴射割合がある程度偏っていても、異常インジェクタ仮判定精度を確保できることがある。
図15には噴き分け率αとPM排出量の関係を示す。線aは、いずれのインジェクタにも異常が発生していない正常時を示す。線bは、ある1気筒の直噴インジェクタ32のみに異常が発生し、且つそのインバランス割合が比較的小さいばらつき小の直噴異常時を示す。線cは、ある1気筒の直噴インジェクタ32のみに異常が発生し、且つそのインバランス割合が比較的大きいばらつき大の直噴異常時を示す。
図示するように、ばらつき大の直噴異常時と正常時との間のPM排出量の差dは、ばらつき小の直噴異常時と正常時との間のPM排出量の差eより大きい。それ故、空燃比ばらつき度合いが大きい場合には、噴き分け率αがゼロまたは1により近づいた領域でも、異常インジェクタの燃料噴射量ずれの影響をPM排出量の差として見分け易くなる。
そこでこの特性に鑑み、本実施形態においては、検出許容範囲を、検出された出力変動パラメータXの値に応じて変更する。具体的には、ばらつき大に相当する大きな出力変動パラメータXの値が検出されたときには検出許容範囲を拡大し、ばらつき小に相当する小さな出力変動パラメータXの値が検出されたときには検出許容範囲を縮小する。
これにより、異常インジェクタの仮判定精度を確保しつつ、ばらつき大のときには検出許容範囲を拡大してPM量検出を行うことができるので、PM量の検出および積算の機会を増加し、異常インジェクタ仮判定を速やかに実行することが可能となる。
具体的には、図16に示すような所定のマップに従い、検出された出力変動パラメータXの値に応じて乖離幅Δαが変更される。概して乖離幅Δαは、出力変動パラメータXが大きいほど大きくなる。
出力変動パラメータXの検出値が比較的大きいX3のときには、マップから得られる乖離幅Δαも比較的大きいΔα3となる。よって図17に示すように、検出許容範囲は比較的広いα0±Δα3となる。
出力変動パラメータXの検出値が比較的小さいX2のときには、マップから得られる乖離幅Δαも比較的小さいΔα2となる。よって図18に示すように、検出許容範囲は比較的狭いα0±Δα2となる。
出力変動パラメータXの検出値が所定の最小しきい値X1以下のときには、マップから得られる乖離幅Δαも最小乖離幅Δαminとなる。よって図19に示すように、検出許容範囲は最も狭いα0±Δαminとなる。最小しきい値X1は、検出が必要な最も小さい空燃比ばらつきが発生したときの出力変動パラメータXの値に相当する。このようにばらつき最小のときに検出許容範囲を最も狭めることで、異常インジェクタの仮判定精度を確保できる。
なお、図16に示すように乖離幅Δαの最大値は0.5より小さい。よって少なくともα=0とα=1は検出許容範囲から除外される。
かかる検出許容範囲の変更は、出力変動パラメータXの値が検出された後に行われる。出力変動パラメータXの値が検出される前には、仮判定精度確保のため、検出許容範囲が最も狭いα0±Δαminに設定される。
次に本実施形態のばらつき異常検出ルーチンを説明する。本実施形態において、図8のメインルーチンと、図10の出力変動パラメータ算出処理サブルーチンとは第1実施形態と同様である。異常インジェクタ仮判定処理サブルーチンのみが第1実施形態および第2実施形態と異なり、本実施形態では図20に示すようなサブルーチンが用いられる。
図20に示すように、ステップS501では、出力変動パラメータXの算出完了フラグF2がオンか否か、すなわち出力変動パラメータXが検出済みか否かが判断される。
イエスの場合、ステップS502において、出力変動パラメータXの検出値に対応した乖離幅Δα(X)が図16のマップから求められ、この求められた乖離幅Δα(X)が乖離幅Δαとして設定される。
他方、ノーの場合、ステップS503において、最小乖離幅Δαminが乖離幅Δαとして設定される。
その後のステップS504〜S513は図14に示した前記ステップS401〜S410と同様である。
図20のサブルーチンを用いて図8のメインルーチンを実行すると、ステップS104の出力変動パラメータ算出処理(図10)で出力変動パラメータXの算出が完了せず、算出完了フラグF2がオンになる前は、最小乖離幅Δαminが乖離幅Δαとして設定され(ステップS503)、検出許容範囲が最も狭いα0±Δαminに設定される。そして出力変動パラメータXの算出が完了し、算出完了フラグF2がオンになった後は、算出された出力変動パラメータXの値に対応した乖離幅Δα(X)が乖離幅Δαとして設定され(ステップS502)、検出許容範囲も出力変動パラメータXの値に対応した範囲α0±Δα(X)に設定される。
本実施形態においても第2実施形態と同様、ステップS505において、噴き分け率αに応じたPMセンサ検出値PMの補正が実行される。ここで便宜上、補正は、図11および図15に示したような正常時の特性(線a)を前提として行われ、図13に示した補正マップもそのように作成されている。噴き分け率αとPM排出量の関係は、空燃比ばらつき度合いのみならず、いずれのインジェクタが異常かによっても変わるからである。
一方、噴き分け率αとPM排出量の関係が空燃比ばらつき度合いに応じて変化することに鑑みれば、噴き分け率αのみでなく、空燃比ばらつき度合いを表す出力変動パラメータXの検出値にも基づいて、PMセンサ検出値PMを補正してもよい。これにより異常インジェクタ仮判定精度をさらに高められる可能性がある。この場合、図13に示した補正マップは、噴き分け率αと出力変動パラメータXに基づいて補正係数Kを求められるよう変形される。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。なお上記実施形態と同様の部分については説明を省略し、以下相違点を中心に説明する。
第1〜第3実施形態では、まずどちらのインジェクタが異常かを仮判定する第2の判定を実行し、この第2の判定の結果に基づいてばらつき異常の有無を最終判定する第1の判定を実行した。一方、この第4実施形態では、まずばらつき異常の有無についての第1の判定を実行し、この第1の判定の結果がばらつき異常無しとする旨の判定でない場合に、どちらのインジェクタが異常かを判定する第2の判定を実行する。
本実施形態のばらつき異常検出のメインルーチンを図21に示す。本実施形態はメインルーチンのみが第1実施形態(図8)と異なり、他のサブルーチンすなわち異常インジェクタ仮判定処理サブルーチンと出力変動パラメータ算出処理サブルーチンとはそれぞれ第1実施形態(図9、図10)のものと同様である。なお、異常インジェクタ仮判定処理サブルーチンに関しては、第1実施形態のものに代えて、第2または第3実施形態のもの(図14,図20)を採用することも可能である。
図21に示すように、メインルーチンが開始されると、ステップS601において、出力変動パラメータXの算出完了フラグF2がオンか否かが判断される。算出完了フラグF2がオンでない場合、ステップS613に進んで出力変動パラメータ算出処理が行われる。算出完了フラグF2がオンの場合にはステップS602に進む。
ステップS602では、算出された出力変動パラメータXが所定の正常判定値Xth1と比較される。この正常判定値Xth1は、出力変動パラメータXが正常判定値Xth1より小さい場合に確実にばらつき異常無しと判定できるような値に設定されている。正常判定値Xth1はポート異常時判定値Xthpおよび直噴異常時判定値Xthdより小さい値である。
出力変動パラメータXが正常判定値Xth1より小さい場合、ステップS603に進んでばらつき異常無しと最終判定され、ルーチンが終了される。
他方、出力変動パラメータXが正常判定値Xth1以上の場合には、ばらつき異常が発生している可能性がある旨の仮判定が実質的になされ、ステップS604に進む。
ステップS604では、異常インジェクタの仮判定完了フラグF1がオンか否かが判断される。仮判定完了フラグF1がオフの場合、ステップS612に進んで異常インジェクタ仮判定処理が行われる。
他方、仮判定完了フラグF1がオンの場合には、ステップS605に進み、異常と仮判定されたインジェクタがポートインジェクタ31か否かが判断される。ポートインジェクタ31である場合、ステップS606で、判定値Xthがポート異常時判定値Xthpに設定される。
他方、ポートインジェクタ31でない場合、すなわち直噴インジェクタ32である場合、ステップS607で、判定値Xthが直噴異常時判定値Xthdに設定される。
次いでステップS608では、出力変動パラメータXが判定値Xth(=XthpまたはXthd)と比較される。出力変動パラメータXが判定値Xth以上のときには、ステップS609にてばらつき異常有り、すなわち異常と最終判定される。そしてステップS610において、異常と仮判定されていたインジェクタが異常と最終判定される。
他方、ステップS608で出力変動パラメータXが判定値Xthより小さいときには、ステップS611にてばらつき異常無し、すなわち正常と最終判定される。このときには異常と仮判定されていたインジェクタが実際には異常でない(すなわち正常である)と実質的に最終判定されることとなる。
本実施形態では、出力変動パラメータXと正常判定値Xth1との比較の結果、ばらつき異常発生の可能性がある場合(ばらつき異常無しとする旨の判定でない場合)に限って(ステップS602:YES)、PM量を検出し(S612)、どちらのインジェクタが異常かを仮判定する(S605)。従って、かかる検出および仮判定の実行頻度を減少し、ばらつき異常検出を効率的に実行することができる。
すなわち、一般的にインジェクタが異常に至るのは比較的長期間使用された後であり、それまではばらつき異常は発生しない。従ってインジェクタが異常状態に近づくまで(X≧Xth1となるまで)の長期間の間、ステップS603の正常判定のみが繰り返し実行され、異常インジェクタ仮判定処理は実行されない。よってPM量検出および異常インジェクタ仮判定の実行頻度を第1実施形態よりも減少し、ばらつき異常検出を効率良く実行することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが可能である。例えば上記の各数値はあくまで例示であり、適宜変更が可能である。本発明は、気筒数、シリンダ配置形式、用途等の異なる内燃機関にも当然に適用可能であり、例えば直列4気筒エンジン、V型6気筒エンジン、自動車用以外のエンジン等にも適用可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
3 燃焼室
6 排気管
11 上流触媒
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
19 下流触媒
20 電子制御ユニット(ECU)
21 PMセンサ
31 吸気通路噴射用インジェクタ(ポートインジェクタ)
32 筒内噴射用インジェクタ(直噴インジェクタ)

Claims (12)

  1. 各気筒に吸気通路噴射用インジェクタと筒内噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
    気筒間空燃比のばらつき度合いに相関するパラメータを検出し、前記検出されたパラメータに基づき、インバランスの有無について判定する第1の判定を実行すると共に、
    排気中のPMの量を検出し、前記検出されたPM量に基づき、前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かについて切り分ける第2の判定を実行する
    ことを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  2. 前記第1の判定を実行し、前記第1の判定の判定結果がばらつき異常無しとする判定でない場合に前記第2の判定を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  3. 前記第2の判定が、前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かを仮判定するものであり、
    前記第2の判定の結果、前記吸気通路噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記吸気通路噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第1の判定値を設定し、前記筒内噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記筒内噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第2の判定値を設定し、
    前記第1または第2の判定値の設定後、検出された前記パラメータを前記第1または第2の判定値と比較してばらつき異常の有無を最終判定する前記第1の判定を再度実行し、ばらつき異常有りと最終判定したとき、異常と仮判定されていたインジェクタを異常と最終判定する前記第2の判定を再度実行する
    ことを特徴とする請求項2に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  4. 前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かを仮判定する前記第2の判定を実行し、その判定結果に基づいて前記第1の判定を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  5. 前記第2の判定の結果、前記吸気通路噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記吸気通路噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第1の判定値を設定し、前記筒内噴射用インジェクタを異常と仮判定した場合は、前記筒内噴射用インジェクタの異常に起因したばらつき異常の検出に適合された第2の判定値を設定し、
    前記第1または第2の判定値の設定後、検出された前記パラメータを前記第1または第2の判定値と比較してばらつき異常の有無を最終判定する前記第1の判定を実行し、ばらつき異常有りと最終判定したとき、異常と仮判定されていたインジェクタを異常と最終判定する前記第2の判定を再度実行する
    ことを特徴とする請求項4に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  6. 前記第2の判定において、検出されたPM量が所定値より大きいときには前記筒内噴射用インジェクタを異常と仮判定し、検出されたPM量が前記所定値以下のときには前記吸気通路噴射用インジェクタを異常と仮判定する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  7. 前記第2の判定において、両インジェクタの噴射割合が所定割合を中心とした所定範囲内にある場合に、前記PM量の検出を行い、前記噴射割合が前記所定範囲外にある場合にはPMの検出を禁止する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  8. 前記所定割合が50:50である
    ことを特徴とする請求項7に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  9. 検出されたPM量を前記噴射割合に応じて補正する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  10. 検出されたPM量を、50:50の噴射割合相当の値になるよう補正する
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  11. 補正されたPM量を順次積算し、その積算値に応じて前記吸気通路噴射用インジェクタと前記筒内噴射用インジェクタとのどちらが異常かを仮判定する
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  12. 前記噴射割合の所定範囲を、検出された前記パラメータの値に応じて変更する
    ことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
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