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JP2014012302A - 複合材料用ドリル並びにそれを用いた機械加工方法及び機械加工装置 - Google Patents

複合材料用ドリル並びにそれを用いた機械加工方法及び機械加工装置 Download PDF

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Hirofumi Shimada
浩文 嶋田
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Fukui Prefecture
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Fukui Prefecture
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Abstract

【課題】穿孔加工熱の抑制効果が図られ、被削材にバリや層間剥離を発生させず高品位の貫通穴あけ加工を1工程で行うことが可能なドリルを提供することを目的としている。
【解決手段】複合材料用ドリル1は、先端切れ刃5が形成された先端部と、先端部の後端側に連接して形成されるとともに先端側外径及び当該先端側外径よりも大径の後端側外径の径差でテーパ形状に形成されたテーパ部4と、テーパ部4の後端側に連接して形成されるとともにテーパ部4の後端側外径よりも同径以上の仕上げ加工径が形成可能となるように全体が同径に形成されたストレート部3とを有し、テーパ部4の外周には、螺旋状にねじれた主刃7が形成されて連続的に穿孔径が大きくなるように設定されており、外周ランド面12には副刃10が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics;炭素繊維強化プラスチック)若しくはCFRTP(Carbon Fiber Reinforced ThermoPlastics;熱可塑性炭素繊維強化プラスチック)に代表される繊維強化複合材料等の複合材料の貫通穴あけ加工工具として特に好適なドリル、より詳しくは、1回の穿孔作業で穴出口に所謂バリを作らず、貫通穴側面に層間剥離もしくは貫通面に表層剥離を発生させない高品位の貫通穴を空けることが出来る複合材料用ドリルに関する。
CFRPに代表される繊維強化複合材料等の貫通穴あけ加工として、ダイヤモンドコートを施したストレートの超硬ドリルを用いて行う方法が公知である。しかし、この方法で貫通穴加工を行う場合、切れ刃先磨耗に伴う切れ味低下が起こり、繊維の切残しやバリ、層間剥離などの加工不良が起こる。
特許文献1には、穴加工用ドリルとして、主刃(2枚刃)ツイストドリルをベースに、ドリル先端側からドリル最大径に至る先端切れ刃2枚刃を形成する範囲の間から部分的に、主刃と同ねじれ角にて副刃(2枚刃)を設け、部分的に4枚の切れ刃を有することで、2枚刃ドリルのような高い切削性能を実現しつつ、それより穿孔品質の向上と長寿命を図ることができるドリルが開示されている。
特許文献2には、穿孔加工と穴内周面加工(仕上げ加工)を同時に行うことができる穴加工用ドリルとして、主刃先端部分からシャンク部に向かって一定のねじれ角でねじれた切屑排出溝を構成するランド部周方向に同一ねじれ角で設けた2枚の副刃の3枚を一組とする刃部を有し、主刃で穴あけ(荒加工)を行い、第1副刃で中仕上げ加工、第2副刃で仕上げ加工を行うことができるドリルが開示されている。
特許文献3は、高品質かつ長寿命穿孔加工可能なドリルとして、先端刃とシャンク側へ連接された先端刃外径よりも大径の後端径からなるテーパー外周面に螺旋状にねじれた外周切れ刃を有し、その後端に後端部外形よりも大径の仕上げ加工径が形成可能となるように全体が同径に形成されたストレート状リーマを有したドリルが開示されている。
特開2010−214478号公報 特開2011−73129号公報 特開2011−104766号公報
炭素繊維強化複合材、中でもCFRTPは、軽量でありながら高い強度と剛性を備えており、成形加工が容易なことから自動車用部品をはじめノートPC筐体など多用されている。
ところが、そのCFRTPは、硬く切れ難い炭素繊維で構成され、炭素繊維を含浸する熱可塑性樹脂が200℃程度で軟化する特性であるため、穿孔時の発熱を極力低減しないと、繊維が抜けドリルへの巻きつきや毛羽立ち、切残しの発生や層間剥離を起こすなど加工不良を起こす原因となる。また、CFRTPは、熱可塑性樹脂を含浸させた炭素繊維をシート状に成形し、それを層状に積層した構造であるため、穴出口にバリが発生し易く、また、加工時のスラスト力により層間剥離を起こし易く、前掲の特許文献1、2が開示している対策では実用面で十分とされる効果が得られない。ここで「スラスト力」とは、ドリル加工における穿孔送り方向と反対方向にかかる力のことである。
特許文献3は、穿孔加工時に生ずる発熱が被削材に及ぼす影響に関しては特に言及していないが、テーパ部における螺旋外周刃ランド部が被削材と接して発生する回転摩擦熱の影響が大きくなる。特に、熱影響を受け易いCFRTPの穿孔加工においては、この特許文献3に記載のドリルでは、回転摩擦熱の影響は避けられない。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、穿孔加工熱の抑制効果が図られ、被削材にバリや層間剥離を発生させず高品位の貫通穴あけ加工を1工程で行うことが可能なドリルを提供することを目的としている。
本発明に係る複合材料用ドリルは、繊維強化複合材料を少なくとも一部に含む被加工材に穿孔する複合材料用ドリルであって、先端切れ刃が形成された先端部と、前記先端部の後端側に連接して形成されるとともに先端側外径及び当該先端側外径よりも大径の後端側外径の径差でテーパ形状に形成されたテーパ部と、前記テーパ部の後端側に連接して形成されるとともに前記テーパ部の前記後端側外径と同径以上の仕上げ加工径が形成可能となるように全体が同径に形成されたストレート部とを備える複合材料用ドリルであって、前記テーパ部の外周には、螺旋状にねじれた主刃が形成されて連続的に穿孔径が大きくなるように設定されているとともに当該主刃に沿って螺旋状にねじれた主刃切屑排出溝及びランド部外周面が形成されており、前記ランド部外周面には、所定のねじれ角で副刃が形成されるとともに当該副刃に沿って副刃切屑排出溝が形成されている。さらに、前記副刃は、ねじれ角が0°〜90°に設定されているとともに前記主刃のねじれ角と異なっている。さらに、前記ストレート部の外周には、前記主刃及び前記主刃切屑排出溝が連続して螺旋状にねじれるように形成されている。
本発明に係る機械加工方法は、上記のドリルを用いて繊維強化複合材料を少なくとも一部に含む被加工材に穿孔する機械加工法であって、前記先端部の前記先端切れ刃及び前記テーパ部の前記外周切れ刃により前記被加工材に下穴加工を行い、形成された下穴に前記ストレート部により仕上げ加工を行って穿孔する。
本発明に係る機械加工装置は、上記のドリルを保持するとともに前記ドリルの中心軸を中心に回転駆動する駆動手段と、繊維強化複合材料を少なくとも一部に含む被加工材を支持する支持手段と、前記ドリルを前記被加工材に対して穿孔加工を行うように前記駆動手段及び/又は前記支持手段を相対的に移動させる移動手段とを備えている。
本発明に係る複合材料用ドリルは、下穴加工をテーパ部により行うことで切削抵抗を低く抑えて拡径しながら加工するため、貫通穴出口周辺にバリが生じにくく、さらに被加工材の板厚方向にかかるスラスト力も低減する。そのため、積層構造のCFRTPを穿孔加工する場合に、積層境界面に対する剥離力が減少して層間剥離が生じにくくなる。
また、テーパ部の外周ランド面に副刃及び副刃切屑排出溝を形成することで、主刃による穿孔加工時の外周ランド面と被加工材の被加工面との間の接触面積を減少させることができるので、接触による摩擦熱の発生を抑えてドリル及び被加工材の温度上昇を抑制することが可能となり、繊維強化複合材料の熱可塑性樹脂等のマトリックスへの熱の影響を抑えて安定した穿孔加工を行うことができる。また、主刃による切り残し等の加工不良を副刃で切削することができるので、加工精度を向上させることが可能となる。
本発明に係る実施形態に関する側面図である。 図1に示すドリルの先端部に関する正面図である。 図1のB−B線矢視の断面図である。 図1のA−A線矢視の断面図である。 主刃に関する拡大断面図である。 副刃の変形例に関する拡大図である。 副刃の別の変形例に関する拡大図である。 本発明に係るドリルを用いた場合の機械加工方法に関する説明図である。 本発明に係るドリルを用いた機械加工装置の一例を示す外観斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
本発明に係る実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本発明に係る実施形態に関する側面図である。図2は、図1に示すドリルの先端部に関する正面図である。図3は、図1のB−B線矢視の断面図である。図4は、図1のA−A線矢視の断面図である。図5は、図1に示すドリルの主刃に関する拡大断面図である。
本実施形態に係るドリル1は、図1に示すように、先端部である先端切れ刃5、主刃7及び副刃10を有するテーパ部4、丸ランドドリル状に形成されたストレート部3及びシャンク2から構成され、それぞれが同軸上に連接一体化されて構成する。
ドリル1は、2枚刃ドリルであって、シャンク2の先端にストレート部3を連接し、ストレート部3の先端にテーパ部4を一体に連接してなる。テーパ部4、ストレート部3及びシャンク2は、同軸度0.01の公差で連接される。
テーパ部4の先端側には、先端角α1を有する先端切れ刃5が連接されている。先端部である先端切れ刃5は、刃先の稜線8及び9で先端角α1が形成されており、先端角α1は、60°〜140°の範囲に設定されている。先端切れ刃5は、被加工材に対して最初に食付きを行い、切削加工を行う切れ刃で、テーパ部4に形成された外周切れ刃7による拡径加工を誘導するものである。また、先端角α1を60°〜140°の範囲で形成することでドリルの食付き性および求心性が向上し、ドリルの回転ぶれが低減する。
図1に示すように、ローソク研ぎ形状の刃立て面中央部の突起部と切り刃面との軸方向段差長さL1は、0.5mm以上に設定される。刃立て面中央部を切り刃面よりも突出させることで、下穴加工時の求心性が良くなる。先端切れ刃5の先端角α1は、90°の角度に設定することで、ドリル先端の剛性と求心性を向上させ、先端切れ刃5の切れ味が良くなる。
テーパ部4は、先端側外径D1と後端側外径D2の径差で形成されるテーパ状の形態をなし、その後端側にはストレート部3が一体に連接されている。ストレート部3は、テーパ部4の後端側外径D2と同径以上の仕上げ加工径が形成可能となるように全体が同径に形成されている。ここで、「テーパ」とは、先端側外径及び後端側外径に接する直線とドリル中心軸との間に所定の角度が設定されている形状を意味する。テーパ部4の先端側外径D1及び後端側外径D2の径差から生じるテーパ角α2は、10°以下に設定される。そして、テーパ部4の先端側外径D1から後端側外径D2までの長さL2は、テーパ角α2により決定される。
テーパ部4の先端側外径D1から後端側外径D2までに形成されるテーパ状外周には、図2に示すように、螺旋状にねじれた主刃7が形成されて連続的に穿孔径が大きくなるように設定され、主刃7に沿って螺旋状にねじれた2条の主刃切屑排出溝6が形成されている。また、主刃切屑排出溝6の間には、螺旋状に外周ランド面12が形成されており、主刃7のドリル回転方向後方側の外周ランド面12に副刃10及び副刃切屑排出溝11が形成されている。ストレート部3は、下穴加工部であるテーパ部4によって切り残された部分を整形加工するために丸ランドドリル状に形成されており、主刃7及び主刃切屑排出溝6がテーパ部4から連続して螺旋状に形成されている。図3に示すように、ストレート部3に形成される主刃7は、マージン13及び主刃切屑排出溝6の交差稜で形成されており、テーパ部4により加工した部分に切り残しがあった場合に、ストレート部3において切り残しを切除する加工を行うことができる。また、ストレート部3において、加工面の表面粗さを向上させるとともに加工面の真円度を向上させる仕上げ加工が可能となる。なお、ストレート部3は、整形加工することが可能であれば丸ランドドリル状以外の形状に形成してもよく、例えば丸ランドリーマ状に形成することもできる。
図1に示すように、テーパ部4及びストレート部3の外周には、主刃切屑排出溝6がねじれ角α3で螺旋状に連続して形成されている。主刃切屑排出溝6のねじれ角α3は、先端角の大きさや被加工材の材質にもよるが、切れ刃が鋭くなりすぎて欠け易くなることを防止するために、45°以下に設定することが好ましく、45°以下に設定することで複合材料の繊維材料を含んだ切屑を速やかに排出できる。テーパ部4のねじれ角とストレート部3のねじれ角を一致させることで、テーパ部4で発生した切屑を効果的に排出し、穿孔した加工面を整形する仕上げ加工を行うことができる。
テーパ部4の主刃7は、図2及び図4に示すように、マージンが形成されておらず、主刃7の先端とドリル中心を結ぶ直線に対して、主刃切屑排出溝6側に形成される先端切れ刃すくい面との間で形成されるすくい角α5は5°〜25°の範囲で設定し、主刃7の先端とドリル中心を結ぶ直線に対して直交するとともに主刃7の先端を通る直線と先端切れ刃逃げ面との間に形成される逃げ角α6は0°〜30°の範囲で設定している。すくい角α5及び逃げ角α6をこうした範囲に設定することで、刃先部の剛性と切れ味の鋭さが向上するため、繊維強化複合材料の切削性の改善を図ることができ、テーパ部4のテーパ形状との相互作用により穿孔加工時に生じるスラスト抵抗を低減して繊維強化複合材料の層間剥離の発生を抑えるとともに工具寿命を延ばすことが可能となる。また、主刃7をこうした形状に設定することで、切屑を細粒状にすることが可能となるため、主刃切屑排出溝6の切屑による詰まりを防止してスムーズに切屑を排出することができるようになる。また、図3に示すように、ストレート部3に形成された主刃7は、テーパ部4に形成された主刃7のすくい角及び逃げ角が一致するように設定されている。
テーパ部4の副刃10は、主刃7のドリル回転方向後方側の外周ランド面12に形成された1本又は複数本の副刃切屑排出溝11に沿って形成されている。副刃10の刃先は、副刃切屑排出溝11のドリル回転方向前方側を向く内壁面と先端逃げ面とで形成される交差稜線に沿って形成されており、その刃先先端とドリル中心を結ぶ直線に対して、副刃切屑排出溝11の内壁面との間で形成されるすくい角α7は5°〜45°の範囲に設定し、刃先先端とドリル中心を結ぶ直線と直交するとともに刃先先端を通る直線と先端刃先逃げ面との間で形成される逃げ角α8は0°〜30°の範囲で設定している。すくい角α7及び逃げ角α8をこうした範囲に設定することで、主刃7と同様の作用効果を奏するようになり、また主刃7による切り残しを副刃10で切除して切り残しを発生させないようにすることができる。
複数の副刃10を形成する場合には、各副刃10のすくい角α7及び逃げ角α8は、互いに一致させる必要はなく、仕上げ面性状に応じて変化させてもよい。
図1に示すように、副刃10を形成させる外周ランド面12は、ドリル軸中心線に対し主刃7と同一のねじれ角を有しているが、副刃10のねじれ角α4は、主刃7のねじれ角α3に依存せず、ドリル軸中心線に対し0°〜90°の範囲において独立して設定されている。特に、副刃10のねじれ角α4を45°〜90°に設定して、主刃7のねじれ角α3よりも大きくすることで、副刃10の切れ味が鋭くなって主刃7の切り残し部分をきれいに切削することができる。
また、主刃7のねじれ角α3と副刃10のねじれ角α4が一致しない場合には、副刃10が主刃7と交差するため、主刃7の交差部分に副刃切屑排出溝11による切り欠きが形成されるようになる。こうした主刃7及び副刃10の交差による切り欠き部の形成により被加工材中の繊維の切屑が細かく分断されて穿孔加工の効率を向上させることができる。そして、テーパ部4では、主刃7が螺旋状にねじれて穿孔径が大きくなるように設定されているため、被加工材を穿孔加工する際に生じる切屑が細断された状態となり、外周ランド面12に形成した副刃切屑排出溝11が細く浅い場合でも切屑による詰りが発生せずにスムーズに排出されるようになる。そのため、ドリルの1回転の間に副刃10が主刃7とともに安定して機能するようになり、穿孔加工速度を向上させることができる。
図4に示すように、外周ランド面12に副刃10及び副刃切屑排出溝11を形成することで、外周ランド面12の表面積が小さくなる。そのため、外周ランド面12と被加工材の穿孔される壁面との間の接触面積が減少するようになり、穿孔加工時に外周ランド面12において生じる摩擦熱による工具や被加工材の温度上昇が抑止される。
ドリル1の素材は、超硬合金材料、高速度工具鋼、超硬質工具材料等が挙げられるが、下穴加工を行うテーパ部4の素材としては、超硬合金材料が好ましい。また、テーパ部4及びストレート部3は、それぞれ異なる素材を使用することもできる。
繊維強化複合材料の穿孔加工では、ドリル刃先のチッピングや磨耗が激しいため、ドリル表面をダイヤモンド薄膜やDLC膜でコーティングすることが望ましい。この例では、ドリル1本体の表面は、図5に示すように、ダイヤモンドからなる被膜14に覆われている。被膜14は、例えば、周知のCVD法又はPVD法で形成することができ、DLC膜であってもよい。繊維強化樹脂材料等の複合材料の加工に特化したドリルでは、刃先を鋭くし切れ味を向上させることが必要で、ドリル母材に超微粒子超硬合金材料を使用することで、刃先先端半径を小さく整形することができる。また、刃先を鋭くした場合刃先先端の欠けや磨耗が発生しやすいため、ナノダイヤモンドコーティングで被膜14を形成することで、刃先先端半径の径を大きくすることなく、外周切れ刃の良好な切れ味を長時間維持することができる。また、刃先の磨耗等により切れ味が悪くなった場合でも、下穴加工時に発生したバリをストレート部12によって効果的に除去することができるので、高精度の穿孔加工を安定して行うことができる。
ドリル1により穿孔加工する被加工材としては、繊維強化複合材料が好適であり、具体的には、熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)、熱硬化性炭素繊維強化プラスチック
(CFRP) 、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP) 、ガラス長繊維強化プラスチック(GMT) 、ボロン繊維強化プラスチック (BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック
(AFRP, KFRP)、ポリエチレン繊維強化プラスチック (DFRP)が挙げられる。こうした繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂中に補強繊維を含み、様々な形態のものが開発されている。例えば、長繊維からなる補強繊維を所定の方向に引き揃えて多軸に積層した層構造を備えているものが挙げられる。
以上説明した例では、外周ランド面12に複数の副刃10及び副刃切屑排出溝11を形成しているが、図6に示すように、外周ランド面12に波形状のいわゆるニック加工を施して副刃10’及び副刃切屑排出溝11’を交互に配置するようにしてもよい。このように副刃及び副刃切屑排出溝を形成することで、切削抵抗を低減することができる。また、副刃10‘と主刃7との交差部が断続刃形状となるため、テーパ部4のテーパ形状との相互作用により補強繊維の切断に優れた効果を発揮するようになり、穿孔加工効率を向上させることができる。また、図7に示すように、複数の副刃10”を交差させて網目状に形成することもでき、多数の副刃10”を形成することで、テーパ部4のテーパ形状との相互作用により切屑が粉末状に細断されて穿孔加工を効率化でき、工具寿命を延ばすことが可能となる。また、CFRTPのように熱可塑性樹脂を含む複合材料の穿孔加工においては、穿孔加工熱による熱可塑性樹脂の変形が問題となるが、網目状に多数の副刃及び副刃切屑排出溝を形成することで、テーパ部の外周面と被加工材との接触面積が小さくなって発熱を抑えることができる。
図8は、本発明に係るドリルを用いた場合の機械加工方法に関する説明図である。図8(a)では、穿孔開始直前の状態を示しており、ドリル1の先端部が板状の被加工材Mに対して垂直に当接するように設定されている。次に、図8(b)では、ドリル1が回転しながら先端部の先端切れ刃が被加工材M(例;繊維強化複合材料)に対して最初に食付きを行い、テーパ部の主刃による拡径加工を誘導する。次に、図8(c)は、ドリル1が回転しながらテーパ部が被加工材Mに進入して主刃による拡径加工が行われるとともに副刃による切削加工が行われて主刃の切り残しを切除する。この段階では、加工部分に層間剥離及びバリを発生させないで下穴加工が行われ、切屑が細断されて副刃切屑排出溝が詰ることなく主刃及び副刃による安定した穿孔加工が行われる。次に、図8(d)では、ドリル1が回転しながらストレート部が被加工材に進入して仕上げ加工が行われる。そして、ストレート部が仕上げ加工を行いながら被加工材Mから抜け出た後、ドリル1を引き上げて穿孔加工が終了する。
図9は、本発明に係るドリルを用いた機械加工装置に関する外観斜視図である。機械加工装置100は、ボールねじ機構又はリニアモータ機構等によるXYZの3軸方向の可動機構並びにX軸及びY軸周りの回転機構を付加した5軸機構を備える移動手段を備えている。Z軸移動機構101は、スピンドル軸103に取り付けられたドリル104を支持して上下方向に移動させる。移動手段としては、ボールねじ機構又はリニアモータ機構が用いられる。また、Z軸移動機構101は、スピンドル軸103を回転駆動する駆動源を備えている。
XY軸移動機構102は、X軸又はY軸あるいはXY複合軸に設置テーブルを移動させる。移動手段としては、ボールねじ機構又はリニアモータ機構が用いられる。設置テーブルには、バイス又は拘束治具等の支持具106が配置されており、支持具106に繊維強化複合材料等からなる被加工材105が載置固定されている。XY軸移動機構102は、ボールねじ機構又はリニアモータ機構により駆動される。
そして、Z軸移動機構101及びXY軸移動機構102を制御して被加工材105に対してドリル104を回転駆動しながら穿孔加工が行われる。
なお、支持具106としては、被加工材105の厚み方向又は面方向から挟む機能を有するものを用いてもよい。また、スピンドル軸をX軸又はY軸に配置するようにすることもできる。
以上説明したように、本発明においては、先端部の先端切れ刃、テーパー部の主刃及び主刃切屑排出溝並びに外周ランド面に形成した副刃及び副刃切屑排出溝、及びストレート部の主刃を一体化したドリルとすることにより、切削抵抗および穿孔加工熱を低減させ、バリや層間剥離を発生させず高精度の穴加工が実現できる繊維強化複合材料用ドリルとなった。
1・・ドリル、2・・シャンク、3・・ストレート部、4・・テーパ部、5・・先端切れ刃、6・・主刃切屑排出溝、7・・主刃、8・・刃先の稜線、9・・刃先の稜線、10,10’,10”・・副刃、11,11’・・副刃切屑排出溝、12・・外周ランド面、13・・マージン、14・・被膜、100・・機械加工装置、101・・Z軸移動機構、102・・XY軸移動機構、103・・スピンドル軸、104・・ドリル、105・・被加工材、106・・支持具、α1・・先端角、α2・・テーパ角、α3・・ねじれ角、α4・・ねじれ角、α5・・すくい角、α6・・逃げ角、α7・・すくい角、α8・・逃げ角

Claims (6)

  1. 繊維強化複合材料を少なくとも一部に含む被加工材に穿孔する複合材料用ドリルであって、先端切れ刃が形成された先端部と、前記先端部の後端側に連接して形成されるとともに先端側外径及び当該先端側外径よりも大径の後端側外径の径差でテーパ形状に形成されたテーパ部と、前記テーパ部の後端側に連接して形成されるとともに前記テーパ部の前記後端側外径と同径以上の仕上げ加工径が形成可能となるように全体が同径に形成されたストレート部とを備える複合材料用ドリルであって、前記テーパ部の外周には、螺旋状にねじれた主刃が形成されて連続的に穿孔径が大きくなるように設定されているとともに当該主刃に沿って螺旋状にねじれた主刃切屑排出溝及びランド部外周面が形成されており、前記ランド部外周面には、所定のねじれ角で副刃が形成されるとともに当該副刃に沿って副刃切屑排出溝が形成されている複合材料用ドリル。
  2. 前記副刃は、ねじれ角が0°〜90°に設定されているとともに前記主刃のねじれ角と異なっている請求項1に記載のドリル。
  3. 前記ストレート部の外周には、前記主刃及び前記主刃切屑排出溝が連続して螺旋状にねじれるように形成されている請求項1又は2に記載の複合材料用ドリル。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のドリルを備えている穿孔加工具。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のドリルを用いて繊維強化複合材料を少なくとも一部に含む被加工材に穿孔する機械加工法であって、前記先端部の前記先端切れ刃及び前記テーパ部の前記主刃及び前記副刃により前記被加工材に下穴加工を行い、形成された下穴に対して前記ストレート部の前記主刃により仕上げ加工を行って穿孔する機械加工方法。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載のドリルを保持するとともに前記ドリルの中心軸を中心に回転駆動する駆動手段と、繊維強化複合材料を少なくとも一部に含む被加工材を支持する支持手段と、前記ドリルを前記被加工材に対して穿孔加工を行うように前記駆動手段及び/又は前記支持手段を相対的に移動させる移動手段とを備えている機械加工装置。
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