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JP2014012131A - X線装置およびx線測定方法 - Google Patents

X線装置およびx線測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被検知物の散乱コントラスト像が取得可能なX線装置およびX線測定方法を提供する
【解決手段】 X線装置は、被検知物を透過したX線束の強度を検出する検出手段105を有する。検出手段は、第1の画素と該第1の画素とは異なる第2の画素とを有し、被検知物がX線束の光路中に配置されていない場合において、X線束の強度分布の中心が、第1の画素と第2の画素の境界上に照射されないように構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明はX線を用いたX線装置、およびX線測定方法に関する。
放射線を用いた非破壊検査法は工業利用から医療利用まで幅広い分野で用いられている。例えば、放射線の一つであるX線は、波長が約10−12〜10−8m程度の電磁波であり、このうちエネルギーの高いX線(約2keV〜100keV)を硬X線という。また、エネルギーの低いX線(約0.1keV〜2keV)を軟X線という。
X線の吸収能の違いを用いた吸収コントラスト法は、鉄鋼材料などの内部亀裂検査や手荷物検査などのセキュリティ分野の用途として実用化されている。
一方、X線の吸収によるコントラストが形成されにくい被検知物(例えば、低密度の被検知物)に対しては、被検知物によるX線の位相変化を検出するX線位相コントラスト法が有効である。このようなX線位相コントラスト法は、高分子材料の相分離構造体のイメージングや医療等への応用が検討されている。
特許文献1に示されたX線位相コントラスト法は、分割したX線を被検知物に入射させ、透過したX線の屈折角を計測する手法である。
図9は、特許文献1に記載されている装置概略図を示したものである。X線源901から発生したX線は、分割素子902により空間的に分割される。空間的に分割されたそれぞれのX線束は、被検知物903を透過した後に、X線検出手段904に照射される。
図10は、X線検出手段904の概略図を示したものである。X線検出手段904は、複数の画素1001によって構成されている。例えば分割素子902によって分割された基準X線1002(被検知物903が光路中に配置されていない場合のX線)は、X方向およびY方向に対して、離散的に4画素周期で照射される。
X線検出手段904はこの照射されたそれぞれのX線の各画素における強度を検出する。X線1003は被検知物903を透過することによって屈折したX線を示している。屈折効果により、X線1003は基準X線1002に対して、X線検出手段904への入射位置が変化する。また、吸収効果により、X線1003の積分強度は、基準X線1002の積分強度よりも小さくなる。
なお、基準X線1002が照射されている画素におけるX線検出強度を足した値と、X線1003が照射されている画素におけるX線検出強度を足した値から、被検知物903のX線透過率を求めることができる。このようなX線の強度変化(X線透過率)を像にすることにより、被検知物903の吸収コントラスト像を得ることができる。
また、X、Y方向に対する位置変化量ΔX、ΔYは、X線1003の強度の中心(X線の重心)と基準X線1002の重心とを比較することによって求めることができる。このようなX線の重心位置変化は被検知物903によるX線の位相変化によるものであり、X線の重心位置変化から被検知物903の位相の情報が得られる。これを像にすることによって、被検知物903の位相コントラスト像を得ることができる。
さらに、被検知物903が微小粒子などの集合体で形成されている場合、X線1003は基準X線1002に対して散乱の影響を受けて広がる。この広がりは被検知物903によるX線の散乱によるものであり、この広がりの程度から被検知物903によるX線の散乱の度合いが得られる。これを像にすることによって、被検知物903による散乱コントラスト像を得ることができる。
図11は、上記した吸収コントラスト像、位相コントラスト像、散乱コントラスト像を再度別の観点から説明する図である。図11(A)の検出手段1101の上には、被検知物を透過していない基準X線1102と、被検知物を透過したX線1103が示されている。X線は被検知物により吸収され、また屈折するため、X線1103は基準X線1102よりも強度が小さくなり、また、X線1103の位置は基準X線1102の位置とは異なる位置となる。この強度と位置の変化から、吸収コントラスト像と位相コントラスト像を取得する。
図11(B)は、図11(A)のX線1103に対して、更に被検知物による散乱効果が生じている例を示したものであり、X線1104はX線1103に比べて幅が広くなっている。このX線強度の分布の変化から、散乱コントラスト像を取得する。
米国特許5802137号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、多数の画素を用いて、被検知物によるX線の散乱の情報を取得し、散乱コントラスト像を取得している。そのため、散乱による広がりを正確に検出するためには、基準X線1102の広がりに対して十分小さな画素サイズの検出手段が必要となる。一般的に、小さな画素の検出手段の場合、視野の大型化は難しく、大きな被検知物に対応することが困難である。また、画素サイズが小さくなると、一般的に、1画素におけるX線感度が低下するため、良質の画像を取得するには被検知物に対するX線の照射量が多くなる傾向がある。
そこで、本発明は、特許文献1に記載の手法とは異なる手法を用いた場合において、被検知物の散乱コントラスト像が取得可能なX線装置およびX線測定方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面としてのX線装置は、被検知物を透過したX線束の強度を検出する検出手段を有し前記検出手段は、第1の画素と該第1の画素とは異なる第2の画素とを有し、前記被検知物が前記X線束の光路中に配置されていない場合において、前記X線束の強度分布の中心が、前記第1の画素と前記第2の画素の境界上に照射されないように構成されることを特徴とする。
本発明のその他の側面については、以下で説明する実施の形態で明らかにする。
本発明によれば、特許文献1に記載の手法とは異なる手法を用いた場合において、被検知物の散乱コントラスト像が取得可能なX線装置およびX線測定方法を提供することができる。
実施形態1における装置構成を説明する図。 X線束の強度プロファイルの変化を説明する図。 実施形態1におけるX線束と画素の関係を説明する図。 Δxに対するvの関係を説明する図。 Δxに対するvの関係を説明する図。 実施形態2における装置構成を説明する図。 実施形態2におけるX線束と画素の関係を説明する図。 実施例で説明する実験結果を示す図。 特許文献1の手法に関する装置の概略を説明する図。 特許文献1の検出手段の概略を説明する図。 吸収、位相、散乱によるX線の変化を説明する図。 図5(A),(B)で説明した事項を別の観点から説明する図。 図5(A),(B)で説明した事項を別の観点から説明する図。
本発明の実施形態では、X線束と検出器を用いて、被検知物によるX線の、位相変化情報、散乱情報、および吸収情報の取得が可能な検出結果を取得する。本実施形態のX線装置は更に演算装置を備え、検出手段による検出結果から被検知物によるX線の位相変化情報(以下、単に位相情報と呼ぶことがある)と散乱情報と吸収情報を取得することができる。但し、本実施形態では位相情報と散乱情報は分離せず、位相情報と散乱情報の両方を含んだ情報と、吸収情報とを取得する。
X線束は検出手段の少なくとも2画素にわたって照射されるように構成されている。また、被検知物がX線束の光路中に配置されていない場合において、X線束の強度分布の中心は、第1の画素と第2の画素の境界上からずれるように配置されている。演算装置は、第1の画素と第2の画素の強度情報から、位相情報と散乱情報の両者を含んだ被検知物の情報を取得する。この情報を画像化すると、位相コントラストと散乱コントラストが含まれる画像を取得することができる。また、演算装置は、吸収コントラスト像を取得可能に構成されている。以下、具体的な実施形態について説明する。尚、X線束の強度分布の中心とは、質量中心における質量を強度に置き換えたものであり、X線束の重心のことを指す。
(実施形態1)
実施形態1においては、一本のX線束を用いたX線装置とX線測定方法について説明する。
(装置の基本的構成)
図1は、本実施形態におけるX線装置の構成図を示したものである。
X線発生手段としてのX線源101から発生されたX線は、分割素子103によりX線束に形成される。
分割素子103としては、例えば、線状のX線束を形成することができるスリット形状や、点状のX線束を形成できるピンホール形状のアパーチャーを用いればよい。スリットやピンホールは、基板を貫通していてもよいし、基板を貫通していなくとも良い。貫通しない場合、分割素子の基板としてX線用のフィルタ材料を用いてもかまわない。分割素子103を構成する材料としては、X線の吸収率が高いPt、Au、Pb、Ta、Wなどから選択される。あるいは、これらの材料を含む化合物であってもよい。
図2は、被検知物104を透過したX線束の強度プロファイルの模式図を示したものである。X線束201は、X線束の光路に被検知物104を配置していない状態の強度プロファイルである。また、X線束202は、X線束の光路中に被検知物104を配置した状態の強度プロファイルである。被検知物104によってX線が吸収されるため、X線束の強度は減少する。また、被検知物104によってX線の位相が変化して屈折するため、X線束の位置がずれる。さらに、被検知物104によるX線の散乱の影響により、X線束の強度プロファイルがブロードになる。
被検知物104を透過したX線束は検出手段105に照射され、X線の強度が取得される。検出手段105により得たX線の強度情報は、演算装置106により演算処理がなされ、モニタ等の表示手段107に出力される。
被検知物104としては、人体、人体以外としては無機材料、無機有機複合材料等が挙げられる。
なお、分割素子103と、被検知物104と、検出手段105を相対的に移動させるステッピングモータなどの移動手段108、109、110を設けてもよい。例えば、移動手段109により、被検知物104を移動しながら計測すれば、被検知物104の全体像を得ることができる。
検出手段105としては、間接変換型、直接変換型を問わず種々の2次元X線検出器を用いることができる。例えば、X線CCDカメラ、間接変換型フラットパネル検出器、直接変換型フラットパネル検出器などから選択される。また、分離型のフォトダイオードなどを用いてもかまわない。
なお、単色X線を用いる場合には、X線源101と分割素子103の間に単色化手段102を配置してもよい。単色化手段102としては、スリットと組み合わせたモノクロメータやX線多層膜ミラーなどを用いることができる。
(位置変化量とコントラストの関係)
次に、図3を用いて、本実施形態におけるX線束と検出手段105の関係を説明する。図3(A)および(B)において、X線束の強度プロファイル(強度分布)301は、被検知物104がX線束の光路中に配置されていない場合の強度プロファイルであり、ピークが高い(図面において上方向)ほどX線の強度が大きいことを示す。検出手段105には、第1の画素302と、第1の画素302とは異なる第2の画素303が設けられている。なお、図3(A)と図3(B)は、第1の画素302と第2の画素303の境界に対する強度プロファイルの中心位置が異なる。
また、図3では、第1の画素302と第2の画素303とが隣接して配置されているが、第1の画素302と第2の画素303は演算の際に用いる領域によって決定される。例えば、8個の画素のうち、4個の画素を第1の画素302とし、残りの4個の画素を第2の画素303とすることも可能である。
ところで、図2で説明したように、X線束は被検知物104を透過することにより屈折するため、検出手段105上で位置がずれる。このX線の位置変化量は、第1の画素302の検出強度の変化量と、第2の画素303の検出強度の変化量との差異を判別できる指標に基づいて、推定できる。
例えば、第1の画素302の強度をI、第2の画素303の強度をIとした場合、式(1)に示すvの値を用いることにより、位置変化量を推定することが可能である。
なお、ここでは吸収の影響を低減するために、IとIの和でIとIの差を除している。
図4(A)は、強度プロファイルの中心が、第1の画素302と第2の画素303との境界上にあるように設定した場合(図3(A)参照)において、X線束の重心位置変化量(Δx)とvとの関係を示したものである。尚、以下、X線束の重心位置変化のことを、単にX線束の位置変化と呼ぶことがある。
ここで、■で示したプロットは、ある被検知物(既知サンプル)を光路中に配置せずにX線束を検出手段105に対して移動させて得たデータであり、●で示したプロットは、その被検知物を光路中に配置して得たデータである。すなわち、■で示したプロットは、単にX線束の位置とvの対応関係を示すものであり、●で示したプロットは、被検知物による屈折および散乱によるX線束の強度プロファイルとvの対応関係を示すものである。
図4(A)からも理解されるように、両者ともほぼ線形の関係があり、被検知物を配置して得たデータの傾きは、被検知物を配置せずに得たデータの傾きよりも小さくなっている。両者のデータは、Δxが同じでもvの値が若干異なるため、位相コントラスト情報および散乱コントラスト情報が含まれた画像を取得できる。
より具体的に、図4(B)を用いて説明する。散乱効果を生じさせる被検知物(既知サンプル)によるΔxがΔxである場合、v=vとなるはずである。
しかしながら、実際のデータは未知のサンプルである。よって、未知のサンプルの実験結果としてv=vという値が得られたとしても、その数値を代入できるのは、被検知物を配置せずに得たデータから導かれた関係式(■で示したプロット)のみである。被検知物を光路中に配置せずに得たデータのプロット(■)において、v=v1のとき、ΔxはΔxとなる。
すなわち、ある領域を透過したX線束の真の位置変化量(Δx)はΔx1であるのに、被検知物を配置せずに得たデータを用いてそのX線束の位置変化量を取得すると位置変化量はΔx2となる。位置変化量を画像化すると、このような、真の位置変化量(ここではΔx1)と取得される位置変化量(ここではΔx2)の差に起因して、X線束の屈折量が等しい場合は、散乱がある領域では散乱がない領域と比較して常にコントラストが小さくなる。
ところで、X線の位相変化によるX線束の位置変化は微量であるため、図4((A),(B))における被検知物が配置されている場合と、被検知物が配置されていない場合との差が生じにくく、コントラストが形成されにくい。また、被検知物によるX線束の屈折がほとんどない場合、被検知物が配置されているときと、被検知物が配置されていないときでは、ほとんど同じ値のvを取る(図4のΔx=0付近参照)。よって、vからΔxを取得しても、取得されるΔxに対して被検知物による散乱が与る影響が小さい。よって、vからΔxを取得しても、被検知物による散乱の情報を取得することが困難である。特に、位相は一般的に物体の輪郭で大きく変化するため、輪郭部以外ではほとんど被検知物による散乱の情報を取得できない可能性がある。
一方、図5(A)は、強度プロファイルの中心を、第1の画素302と第2の画素303の境界からずらして配置した場合(図3(B)参照)における、X線束の位置変化量(Δx)とvの関係を示したものである。ここで、■で示したプロットは、光路中に被検知物を配置しない場合のデータであり、●で示したプロットは、光路中に被検知物を配置した場合のデータである。
図5(A)において、両者はそれぞれ非線形の関係があり、かつΔxが0であっても両者は交わらない。このようにX線束を配置すれば、X線束の屈折がない場合であっても、■のプロットと●のプロットとでvの値が異なる。そのため、例えΔx=0の場合で当ても、被検知物による散乱の情報を効果的に取得することができるようになる。
より具体的に、図5(B)を使って説明する。被検知物によるX線束の屈折がない場合(Δx=0)、v=vとなるはずである。
しかしながら、v=vという値が算出されたとしても、被検知物を光路中に配置せずに得たデータ(■)を用いてΔxを求めると、取得される位置変化量Δx=Δxとなる。
すなわち、本来、ある領域(屈折がないため、位相コントラストが形成されない領域)を透過したX線束の真の位置変化量(Δx)=0であるのに、被検知物を配置せずに得たデータを用いてそのX線束の位置変化量を取得すると位置変化量Δx=Δxとなる。よって、この情報を画像化すると、被検知物によるX線束の位置変化量が0の領域内であっても何らかのコントラストが形成される。そして、屈折によるX線束の位置変化がないのであるから、このコントラストは、散乱がある領域と散乱がない領域のコントラストということになる。(つまり、その画像は、被検知物による散乱の情報を画像化したものということになる。)
図12は、以上のことを別の観点から説明するための図である。ここでは、X線を屈折させないが、X線の散乱を生じさせる被検知物を想定する。
図12(A)は測定前の強度プロファイル1203を示すものであり、X線束の強度プロファイルの中心を第1の画素1201と第2の画素1202の境界に設定している。また、図12(B)は、図12(A)のように、強度プロファイルの中心を第1の画素1201と第2の画素1202の境界に設定し、X線源と検出手段の間の光路中に被検知物を配置した時(被検知物の測定中)の強度プロファイル1203を示すものである。両強度プロファイルは積分強度で規格化している。図12(A)と図12(B)を比較すると、被検知物を光路中に配置しても強度プロファイルの重心は移動せず、強度プロファイルはブロードになる。このケースでは、第1の画素1201の検出強度と第2の画素1202の検出強度の差(あるいは比)は、図12(A)と図12(B)で同じ値となる。
これに対して、図13(A)は強度プロファイルの中心を第1の画素1201と第2の画素1202の境界以外に設定した場合の、測定前の強度プロファイル1205を示すものである。一方、図13(B)は、図13(A)に示す位置に強度プロファイルの中心を設定し、光路中に被検知物を配置した時(被検知物の測定中)の強度プロファイル1205を示すものである。両強度プロファイルは積分強度で規格化している。図13(A)と図13(B)を比較すると、第1の画素1201の検出強度と第2の画素1202の検出強度の差(あるいは比)は、図13(A)と図13(B)で異なる。すなわち、強度プロファイルの中心をずらすことによって、屈折が無い場合であっても、散乱情報を得ることができる。そして、第1の画素1201の検出強度と第2の画素1202の検出強度の差が、図5(B)のvに相当する。そして、このvを一旦Δxに置き換えて、Δxの値を画素値として表示すれば、散乱の度合いを可視化して散乱コントラスト像を取得することができる。
また、図12((A),(B))と図13((A),(B))では、X線の屈折効果が生じない被検知物を想定したが、屈折が生じる場合は、図13(B)から更に強度プロファイル1205の位置がずれる。これに伴って、第1の画素1201の検出強度と第2の画素1202の検出強度の差(あるいは比)が変化する。この大きさを示す指標の一つとしてvがあり、このvはΔxに置き換えることが可能である。
以上のように、第1の画素が検出するX線強度の変化量と第2の画素が検出するX線強度の変化量の違いを利用すれば、被検知物によるX線の屈折と散乱の両方の情報を含んだ被検知物の情報を取得することができる。また、この被検知物の情報を画像化すれば、被検知物によるX線の屈折に基づく位相コントラストと、被検知物によるX線の散乱に基づく散乱コントラストの両方を含んだ画像を生成できる。つまり、被検知物によるX線の屈折がほとんど生じない場合は、vとX線束の位置変化量(Δx)の関係を用いて取得したΔxには被検知物によるX線の散乱の情報が含まれる。一方、被検知物によるX線の屈折が生じる場合は、同様に取得したΔxには被検知物によるX線の、屈折と散乱の情報が含まれる。
なお、vの値をそのまま、画像のコントラストとして出力してもかまわないが、その場合vとΔxの関係が非線形なため位相変化によるコントラストが歪んでしまう。そこで、演算装置106では事前にvとΔxの関係を適当な関数でフィッティングしておく。そして、検出手段105で検出された各画素による検出強度からvを計算し、更にフィッティングされた関数にvを代入してΔxを求める。このΔxを画像化することにより、コントラストの歪を軽減することができる。
(その他の変形例)
上記実施形態では式(1)により求められる指標であるvから出力画像の画素値を与えた。しかし、重要なことは、屈折または散乱による、第1の画素の検出強度の変化量と、第2の画素の検出強度の変化量の差異を判別できる指標であればv以外の指標を用いることができるという点である。
すなわち、第1の画素の検出強度と第2の画素の検出強度の差、または、比などに基づく指標であればどのような指標でも用いることができる。
例えば、式(1)は、IとIの差をIとIの和で除しているが、これは第1の画素の検出強度と第2の画素の検出強度の差に基づくものである。したがって、例えば、上記式(1)における(I―I)の代わりに、「(I―I」とした指標を用いてもよい。
また、同様に、第1の画素の検出強度と第2の画素の検出強度の比に基づく指標であってもよい。例えば、以下の式(2)で示すv’を用いて、出力画像の画素値を決定しても良い。
なお、以上の説明では、X線束の光路中に被検知物が配置されている場合の測定値から算出したvやv’などを用いて、出力画像の画素値を決定している。しかし、被検知物が配置されている場合のvから、被検知物が配置されていない場合のvを減算して求められた指標等を用いて、画素値を決定しても良い。すなわち、以下の数式(3)のHに基づいて画素値を決定しても良い。
H=(I−I)/(I+I)―(I1(0)−I2(0))/(I1(0)+I2(0)) ・・・式(3)
ここで、I1(0)は被検知物が配置されていない場合における第1の画素の検出強度である。また、I2(0)は被検知物が配置されていない場合における第2の画素の検出強度である。上記式(3)の指標も、第1の画素の検出強度と第2の画素の検出強度の差に基づく指標である。
また、関数を作成する代わりに、vとΔxの関係をデータベース化しておき、測定で得られたvをもとにデータベースのデータを用いて内挿することによってΔxを求めても良い。
また、被検知物の吸収コントラスト像を取得する場合は、IとIの和を画素値とすればよい。なお、IとIの和を2で割った平均値を画素値としてもよい。和に関する他の演算方法も含めて、これらを「和に基づいて」と表現することがある。
また、分割素子103がピンホール形状の場合、4画素の境界に対してX線束強度プロファイルの中心をずらすように照射する構成も可能である。これにより、Δxの位置ずれ方向(x方向)とは異なる方向に対しても散乱情報の抽出が可能となり、少なくともX方向に直交する方向からの散乱状態を画像化することが可能になる。すなわち、本実施形態は、3画素以上にも適用可能である。
また、X線束の強度プロファイル中心は第1の画素と第2の画素の境界からずらされるが、ずらし量としては、例えば、強度プロファイルの半値幅の1/4から3/4の範囲で行う。被検知物によって好適なずらし量は異なるが、例えば、ずらし量は半値幅の1/2程度である。
(実施形態2)
本実施形態においては、分割素子を用いてX線束を複数形成する場合のX線装置とX線測定方法について説明する。
図6に本実施形態におけるX線装置の構成図を示す。X線発生手段としてのX線源601から発生されたX線は、分割素子603により線状に分割される。分割素子603は、例えば、ラインアンドスペースを有したスリットアレイである。なお、分割素子603は、スリットが設けられている周期方向に対して垂直な方向に分割されている2次元スリットや、ピンホールアレイ(円開口が二次元的に配列されたもの)であっても構わない。ピンホールアレイの場合、少なくとも2方向の散乱情報を得ることができる。
スリットやピンホールは、分割素子の基板を貫通していてもよいし、貫通していなくともよい。貫通しない場合、分割素子の基板としてX線用のフィルタ材料を用いてもかまわない。分割素子603を構成する材料としては、X線の吸収率が高いPt、Au、Pb、Ta、Wなどから選択される。あるいは、これらの材料を含む化合物であってもよい。
被検知物604を透過したX線束は検出手段605に照射され、検出手段605によりX線の強度が検出される。検出手段605により得たX線に関する情報は演算装置606により数的処理がなされ、モニタ等の表示手段607に出力される。
なお、分割素子603と、被検知物604と、検出手段605、X線源601を相対的に移動させるステッピングモータなどの移動手段608、609、610、611を別途設けてもよい。例えば、移動手段609を設ければ、被検知物604を適宜移動することができるため、被検知物604の特定個所についての像を得ることができる。また分割素子603はX線束を被検知物604に離散的に照射するため、被検知物604の照射されていない個所の情報を得ることができない。そこで、被検知物604をX線に対して走査しながら測定することにより、被検知物604のすべての情報を得ることができ、高分解能化を実現することができる。
また、移動手段608、610、611を用いて被検知物604を中心にX線源601、分割素子603、検出手段605を同期させて回転させながらX線強度を検出することによりCT像を取得することも可能である。
検出手段605は、間接変換型、直接変換型を問わず種々の2次元X線検出器を用いることができる。例えば、X線CCDカメラ、間接変換型フラットパネル検出器、直接変換型フラットパネル検出器などから選択される。
なお、単色X線を用いる場合には、X線源601と分割素子603の間に単色化手段602を配置してもよい。単色化手段602としては、スリットと組み合わせたモノクロメータやX線多層膜ミラーなどを用いることができる。
次に、図7を用いて、本実施形態におけるX線束と検出手段605の関係を説明する。701は検出手段605に照射される被検知物604がない状態の強度プロファイル、702は検出手段605の画素を示す。
分割素子603により複数のX線束を有しているため、スリットアレイのピッチ、X線源601、分割素子603、検出手段605の距離の関係を考慮し、2画素周期で、離散的に照射されるように配置する。被検知物604がない状態での検出手段605上のX線束強度プロファイルの中心は照射される2つの画素の境界からずらした位置に照射される。ずらし量としては、例えば、強度プロファイルの半値幅の1/4から3/4の範囲で行う。被検知物によって好適なずらし量は異なるが、例えば、ずらし量は半値幅の1/2程度である。
複数のX線束に対して演算装置606を用いて実施形態1と同様にΔxを求めることで、被検知物によるX線の、屈折と散乱の両方を含んだ情報を取得することができる。また、Δxをもとに画像化することにより、位相コントラストに散乱コントラストが加わった画像を得ることができる。
本実施例では、図6に示した装置構成を用いた。
X線発生手段601は、タングステンターゲットの回転対陰極型のX線発生装置を用いた。
分割素子603は、厚さ500μmのタングステンに、スリット幅50μm、ピッチが125μmのスリットアレイを放電加工で作製したものを用いた。
検出手段605は、画素サイズ100μm×100μmのCdTe直接変換型フラットパネル検出器を用いた。
また、移動手段608、610を用いて、分割素子603によって分割されたそれぞれのX線束が検出手段605に2画素(200μm)の周期で投影されるように配置した。また、各X線束の強度プロファイルの中心を、2画素の境界から約25μmずれるように配置した。
以上の構成で、分割素子603を移動させながら、検出手段605の各X線束に対する第1の画素および第2の画素の検出強度を測定することにより、X線束の位置変化量(Δx)に対するvを得た。また、両者を4次関数でフィッティングすることにより、vからΔxを得るための関数を取得した。
被検知物604は、小麦粉と水をそれぞれプラスチック容器に格納したものを用いた。
各X線束に対する第1の画素と第2の画素の強度データから演算装置606によってvを計算し、事前に求めておいた4次関数を用いてΔxを計算した。
そして、各X線束に対する、第1の画素と第2の画素の強度データの和とΔxを画素の値として配列させることで、吸収コントラストおよび位相コントラストと散乱コントラストの両方が反映された画像を作成し、表示手段607であるPCモニタに表示した。
図8(A)は水を格納したプラスチックの容器の吸収コントラスト像であり、図8(B)は小麦粉を格納したプラスチック容器の吸収コントラスト像である。このように、吸収コントラスト像では、水と小麦粉でコントラストの差がほとんど見られなかった。
一方、図8(C)は水を格納したプラスチック容器の、位相コントラストに散乱コントラストが加わった画像であり、図8(D)は小麦粉を格納したプラスチック容器の、位相コントラストに散乱コントラストが加わった画像である。このように、位相コントラストに散乱コントラストが加わった画像では、散乱の大きな小麦粉で大きなコントラストが得られ、水と小麦粉の差を確認することができた。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
101 X線源
103 分割素子
104 被検知物
105 検出手段
106 演算装置

Claims (18)

  1. 被検知物を透過したX線束の強度を検出する検出手段を有し
    前記検出手段は、第1の画素と該第1の画素とは異なる第2の画素とを有し、前記被検知物が前記X線束の光路中に配置されていない場合において、前記X線束の強度分布の中心が、前記第1の画素と前記第2の画素の境界上に照射されないように構成されることを特徴とするX線装置。
  2. 演算装置を備え、
    前記演算装置は、前記第1の画素で検出された前記X線束の検出強度と、前記第2の画素で検出された前記検出手段の検出強度を用いて前記被検知物によるX線の散乱の情報を有する前記被検知物の情報を演算する演算装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線装置。
  3. 前記演算装置は、前記第1の画素における検出強度の変化量と、前記第2の画素における検出強度の変化量との差異を判別できる指標に基づき、前記被検知物の情報を演算することを特徴とする請求項2に記載のX線装置。
  4. 前記指標は、前記第1の画素における検出強度と前記第2の画素における検出強度の差、または、前記第1の画素における検出強度と前記第2の画素における検出強度の比、に基づくものであることを特徴とする請求項3に記載のX線装置。
  5. 前記指標は、前記被検知物をX線束の光路中に配置せずに得た前記第1の画素における検出強度と、前記被検知物をX線束の光路中に配置せずに得た前記第2の画素における検出強度から取得することを特徴とする請求項3または4に記載のX線装置。
  6. 前記被検知物の情報は、
    前記指標と、前記指標と前記被検知物の情報との関係がフィッティングされた関数と、に基づいて算出されることを特徴とする請求項3から4のいずれか一項に記載のX線装置。
  7. 前記演算装置は、
    前記指標と前記被検知物の情報との関係を示すデータベースを有し、
    前記被検知物の情報は、前記データベースから取得されることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のX線装置。
  8. 前記X線束を複数形成するための分割素子を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のX線装置。
  9. 前記分割素子が、スリットアレイによる分割素子で構成されていることを特徴とする請求項8に記載のX線装置。
  10. 前記分割素子が、ピンホールアレイによる分割素子で構成されていることを特徴とする請求項8に記載のX線装置。
  11. 前記演算装置は、前記第1の画素の検出強度と、前記第2の画素の検出強度の和に基づいて、前記被検知物の吸収の情報を演算することを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載のX線装置。
  12. 前記第1の画素と前記第2の画素が隣接して配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のX線装置。
  13. 前記被検知物が前記X線束の光路中に配置されていない場合において、前記X線束の強度分布の中心が、前記第1の画素と前記第2の画素の境界から、前記X線束の強度分布の半値幅の1/4から3/4の範囲でずらして配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のX線装置。
  14. 前記被検知物の情報は、前記被検知物による前記X線束の散乱の情報を有する画像の画素値であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のX線装置。
  15. 前記被検知物の情報は、前記被検知物による前記X線束の散乱の情報と前記被検知物による前記X線束の屈折の情報をと含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のX線装置。
  16. 前記被検知物にX線を照射するX線源を備えることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のX線装置。
  17. 被検知物を透過したX線束の強度を第1の画素と該第1の画素とは異なる第2の画素とで検出する工程と、
    前記第1の画素で検出された前記X線束の検出強度と、前記第2の画素で検出された前記X線束の強度から、前記被検知物の散乱コントラストの情報を含む前記被検知物の情報を取得する工程と、を有し、
    前記被検知物が前記X線束の光路中に配置されていない場合において、前記X線束の強度分布の中心が、前記第1の画素と前記第2の画素の境界上に照射されないように設定することを特徴とするX線測定方法。
  18. 前記被検知物の情報を取得する工程は、前記第1の画素における検出強度の変化量と、前記第2の画素における検出強度の変化量との差異を判別できる指標に基づいて、前記被検知物の情報を取得することを特徴とする請求項17に記載のX線測定方法。
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