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JP2014007794A - 回転電機の導体接合方法及び回転電機のコイル - Google Patents

回転電機の導体接合方法及び回転電機のコイル Download PDF

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英晴 牛田
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Abstract

【課題】セグメント導体を複数個用い、異なるセグメント導体の端部同士を接合して回転電機のコイルを形成する際に、接合される部分の肥大化を抑制する。
【解決手段】接合対象導体となる2つのセグメント導体7を、導体端部7tの対向面Po同士が隣り合って対向すると共に、導体端部7tの先端面である接合用端面7p同士が基準平面Prに沿って並ぶ状態に保持し、セグメント導体7の2つの接合用端面7pの双方に接触するように、板状の導電性プレート10を設置し、導電性プレート10が接合用端面7pと接触する接触面10tとは反対側の面である照射面10bの側から、照射面10bにレーザーを照射して導電性プレート10と2つの接合用端面7pのそれぞれとを溶接する。
【選択図】図5

Description

本発明は、セグメント導体を複数個用い、回転電機のコイルを形成するために、異なるセグメント導体の端部同士を接合する方法に関する。また、セグメント導体の端部同士を接合することによって形成されたコイルに関する。
回転電機にコイル用の導体線を配接する方式として、セグメント導体(セグメントコイル)と称される導体を利用したものがある。この方式では、例えば松葉形状やU字状に折り曲げた平角線などによって構成されたセグメント導体が、複数本、磁性体のコアに形成されたスロットに対して軸方向に挿入される。そして、セグメント導体の開放側において、重なり合う他のセグメント導体の開放端同士が接合されることによって連続したコイルが形成される。特開2008−154433号公報(特許文献1)や特開2004−25303号公報(特許文献2)に記載されているように、セグメント導体の接合には、しばしばアーク溶接の一種であるTIG溶接(Tungsten Inert Gas溶接)が用いられる(特許文献1:第2−3、36−37段落、図1−2等、特許文献2:第3段落、図1等)。
ところで、一般的に、セグメント導体の表面には絶縁被膜が施されているが、溶接の際には、接合されるセグメント導体の端部の絶縁被膜が除去される(特許文献1:第6段落、特許文献2:図1等)。また、溶接の際に発生する熱は、セグメント導体を伝搬するため、直接溶接される箇所から一定範囲の絶縁被膜も除去される。溶接の際に発生する熱が高いと、熱が伝導する範囲も広くなり、絶縁被膜の溶融を防ぐために絶縁被膜を除去して裸線とする部分の長さが長くなる。裸線の部分はコアの軸方向に突出したコイルエンドを構成することになる。従って、裸線の部分が長くなると、コイルエンドも軸方向に長くなり、回転電機の小型化の妨げとなる。また、コイルを構成する導体線の総延長も長くなるため、材料コストや銅損が増加する可能性がある。
特開2008−154433号公報 特開2004−25303号公報
上記背景に鑑みて、セグメント導体を複数個用い、異なるセグメント導体の端部同士を接合して回転電機のコイルを形成する際に、接合される部分の肥大化を抑制し、コイルを小型化することのできる技術が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る回転電機の導体接合方法の特徴構成は、導体の延在方向の周囲に絶縁被膜が施されたセグメント導体を複数個用い、回転電機のコイルを形成するために、異なる前記セグメント導体の端部である導体端部同士を接合する回転電機の導体接合方法であって、接合対象導体となる2つの前記セグメント導体を、前記導体端部の対向面同士が隣り合って対向すると共に、前記導体端部の先端面である接合用端面同士が基準平面に沿って並ぶ状態に保持する導体保持工程と、前記接合対象導体となる前記セグメント導体の2つの前記接合用端面の双方に接触するように、板状の導電性プレートを設置するプレート設置工程と、前記導電性プレートが前記接合用端面と接触する接触面とは反対側の面である照射面の側から、当該照射面にレーザーを照射して前記導電性プレートと2つの前記接合用端面のそれぞれとを溶接するレーザー照射工程と、を備える点にある。
レーザーを利用した溶接では、アーク溶接に比べて、セグメント導体を溶融させるためのエネルギーを狭い領域に高い密度で与えることができる。その結果、必要以上に導体が溶融し、その後凝固することによって生じる導体形状の変化を小さくすることができる。さらに、本特徴構成によれば、接合対象導体となるセグメント導体の接合用端面に接触するように設置された導電性プレートと、接合用端面とが溶接される。従って、導体の延在方向の周囲に施された絶縁被膜をほとんど除去することなく、或いは全く除去することなく、溶接を行うことができる。また、一般的な接合では、絶縁被膜を除去した導体の側面同士を溶接するので、セグメント導体の延在方向に溶接のための長さが必要となる。この溶接のための長さは、回転電機のコイルの端部(コイルエンド)の長さに影響する。つまり、セグメント導体の延在方向に沿い、互いに対向する側面同士を接合すると、その分だけコイルエンドが増大する。しかし、本特徴構成によれば、セグメント導体の延在方向に沿った先端部(接合用端面)よりも先には、導電性プレートが設置されるのみであるから、コイルエンドの小型化が可能となる。その結果、セグメント導体の材料費の軽減や、銅損の軽減が可能となる。このように、本特徴構成によれば、セグメント導体を複数個用い、異なるセグメント導体の端部同士を接合して回転電機のコイルを形成する際に、接合される部分の肥大化を抑制し、コイルを小型化することが可能となる。
上述したような小型化が可能な回転電機のコイルは以下のような特徴を備えて構成される。即ち、本発明に係る回転電機のコイルの特徴構成は、導体の延在方向の周囲に絶縁被膜が施されたセグメント導体を複数個用い、異なる前記セグメント導体の端部である導体端部同士を接合することによって形成された回転電機のコイルであって、接合対象導体となる2つの前記セグメント導体を、前記導体端部の対向面同士が隣り合って対向すると共に、前記導体端部の先端面である接合用端面同士が基準平面に沿って並んだ状態において、前記接合対象導体となる前記セグメント導体の2つの前記接合用端面の双方に接触するように設置された板状の導電性プレートを有し、前記導電性プレートが前記接合用端面に接触する面とは反対側の面である照射面の側から、当該照射面に照射されたレーザーによって、前記導電性プレートと2つの前記接合用端面のそれぞれとが溶接されている点にある。
ここで、本発明に係る回転電機の導体接合方法は、前記導電性プレートが、前記基準平面に直交する方向から見て、2つの前記接合用端面の配置領域の内側に収まる大きさであると好適である。また、本発明に係る回転電機のコイルは、前記導電性プレートが、前記基準平面に直交する方向から見て、2つの前記接合用端面の配置領域の内側に収まる大きさであると好適である。アーク溶接などを用いると、セグメント導体の導体端部が大きく溶融する。溶融した導体は、液状化するために表面張力が働き、丸みを帯びやすくなる。その結果、セグメント導体の延在方向に対して直交する側方へのはみ出しが生じ易くなる。この側方へのはみ出しは、セグメント導体の導体端部間の距離を縮めることになる。導体端部間の絶縁距離を確保するために、はみ出しを考慮して導体端部の隙間を広げると、小型化に好ましくなく、磁気的性能にも影響を与える。レーザーを利用した溶接では、限られた領域に集中してエネルギーを与えることができる。従って、導電性プレートと2つのセグメント導体の接合用端面のそれぞれとを精度良く溶接することが可能である。従って、導電性プレートの大きさが、基準平面に直交する方向から見て、2つの前記接合用端面の配置領域の内側に収まる大きさであれば、セグメント導体の延在方向に対して直交する側方へのはみ出しは生じない。その結果、コイルを小型化することが可能となる。
上述したように、レーザーを利用した溶接では、限られた領域に集中してエネルギーを与えることができる。従って、導電性プレートと2つのセグメント導体の接合用端面のそれぞれとを精度良く溶接することが可能である。導電性プレートと各セグメント導体とは、複数箇所で溶接される方が、機械的強度も高くなり、電気的にもインピーダンスが低下するので好適である。従って、1つの態様として、本発明に係る回転電機の導体接合方法の前記レーザー照射工程では、前記照射面における1つの前記接合用端面に対応する領域の中の複数箇所にレーザーを照射すると好適である。
また、本発明に係る回転電機の導体接合方法の前記レーザー照射工程では、予め規定された規定照射時間に亘ってレーザーを照射する照射フェーズと、予め規定された休止時間に亘ってレーザー照射を休止する休止フェーズとを繰り返すパルス照射によってレーザーを照射すると好適である。レーザー溶接を用いた場合でも、レーザーの照射時間が長くなると与えられるエネルギー量が増えて温度上昇も大きくなる。レーザー照射工程においてパルス照射が行われると、休止期間では、既に溶融した領域(溶融領域)の熱を、溶融領域に隣接する非溶融領域に伝搬させて、溶融領域の熱を下げ、全体の温度上昇を抑制することができる。そして、次の照射フェーズでは、溶融領域、及び溶融領域に隣接して予備加熱されている非溶融領域にエネルギーが追加されることで、容易に溶融領域を拡大させることができる。つまり、全体の温度上昇を抑制しながら必要な領域を溶融させることができる。
ここで、前記パルス照射における前記規定照射時間は、レーザーの照射に伴って上昇する前記セグメント導体の温度が、前記絶縁被膜の耐軟化温度に達する時間未満に設定されていると好適である。上述したように、パルス照射を行うことによって、全体の温度上昇を抑制しながら必要な領域を溶融させることができる。この際、絶縁被膜の耐軟化温度を基準として規定照射時間が設定されると、絶縁被膜の剥離長を適切に設定することができ、コイルエンドを小型化することが可能となる。
本発明に係るコイルが備えられたステータの斜視図 コイルを構成する相コイルの斜視図 コイルを構成する基本セグメント導体の斜視図 セグメント導体の接合方法の一例を示すフローチャート セグメント導体の接合方法の一例を模式的に示す説明図 アーク溶接とレーザー溶接との比較図 パルス照射と導体の温度との関係を示す波形図 導電性プレートの他の例を示す上面図 導電性プレートの他の例を示す上面図
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る回転電機のコイル3を、図1に示すようなインナーロータ型の回転電機のステータ1に適用した場合を例として説明する。この回転電機は多相交流回転電機(ここでは3相交流回転電機)である。コイル3は、1相が図2に示すような形態の相コイル31を、複数相分(ここではU相、V相、W相の3相分)備えて構成されている。コイル3が備える各相の相コイル31は同様の構成を有しているため、以下、各相の相コイル31を特に区別することなく説明する。以下の説明では、図1に示すステータ1の円筒状のコア基準面21の軸心を基準として矢印“L”に沿った方向を「軸方向」、矢印“C”に沿った方向を「周方向」、矢印“R”に沿った方向を「径方向」と称して説明する。
コイルを構成するための導体線の巻き方には、波巻きや重ね巻きがあるが、本実施形態では重ね巻きを例示する。例えば、図2に示すように、各相コイル31は、重ね巻き部32と周方向接続部5とを有する重ね巻きセット6を複数備えて構成されている。重ね巻き部32は、同軸上に導体が複数回巻き回されて構成されている部分を指し、周方向接続部5は、少なくとも一端が重ね巻き部32に接続されている導体により構成されている部分を指す。そして、本実施形態では、1つの重ね巻きセット6は、周方向に沿って一定ピッチ(重ね巻き部配設ピッチ)で配置された複数(ここでは4つ)の重ね巻き部32と、当該重ね巻き部32の間を接続する周方向接続部5とにより構成されている。
具体的には、相コイル31は、周方向に互いにずらして配置された、第1重ね巻きセット61と、第2重ね巻きセット62と、第3重ね巻きセット63と、第4重ね巻きセット64とを備えている。本実施形態では、第1重ね巻きセット61、第2重ね巻きセット62、第3重ね巻きセット63、及び第4重ね巻きセット64は、全て同一の形状である。重ね巻きセット6の端部には、電源に接続される動力線や中性点等に当該端部を接続するための周方向接続部5や、同相の異なる重ね巻きセット6に当該端部を接続するための周方向接続部5が接続される。
具体的には、図1及び図2に示すように、第1重ね巻きセット61の一方の端部には、当該端部を動力線に接続するための第1周方向接続部51が接続され、第1重ね巻きセット61の他方の端部には、当該他方の端部と第2重ね巻きセット62の一方の端部とを接続するための第2周方向接続部52が接続されている。また、第4重ね巻きセット64の一方の端部には、当該一方の端部と第3重ね巻きセット63の一方の端部とを接続するための第3周方向接続部53が接続され、第4重ね巻きセット64の他方の端部には、当該他方の端部を中性点に接続するための第4周方向接続部54が接続されている。また、第2重ね巻きセット62において、第2周方向接続部52が接続される一方の端部とは反対側の他方の端部は、第3重ね巻きセット63において、第3周方向接続部53が接続される一方の端部とは反対側の他方の端部と、接続部材90により接続されている。即ち、本実施形態に示す例では、第1重ね巻きセット61、第2重ね巻きセット62、第3重ね巻きセット63、及び第4重ね巻きセット64が、動力線から中性点に向かって記載の順に直列に接続されている。上記のように構成された相コイル31を3つ備えるコイル3は、図1に示すように、ステータ1が備えるステータコア2に、全体として重ね巻きで巻装される。
本実施形態では、重ね巻き部32を含む重ね巻きセット6の全体が、複数のセグメント導体7を接合して構成されている。そして、セグメント導体7には、重ね巻き部32を構成する基本セグメント導体7aと、周方向接続部5を構成する異形セグメント導体とが含まれる。尚、接続部材90も広義のセグメント導体7に含まれる。ここでは、セグメント導体7を代表して、最も多く用いられる基本セグメント導体7aの基本構成について図3を参照して説明する。
セグメント導体7は、相コイル31を複数に分割したものに相当する導体であり、複数のセグメント導体7の端部同士を接合することにより相コイル31が構成される。図3に示すように、セグメント導体7は、通電方向にほぼ等価な延在方向に直交する断面の形状が矩形状、より詳しくは角部を円弧状とした矩形状の線状導体(平角線)である。また、セグメント導体7は、屈曲部を除いて、基本的に、延在方向の位置にかかわらず同じ断面形状である。この線状導体は、例えば銅やアルミニウム等の金属製であり、線状導体の表面(特に延在方向の周囲)は、例えばエナメルやポリイミド等の樹脂からなる絶縁皮膜により被覆されている。
セグメント導体7は、ステータコア2への取り付け時において、ティース23の間に形成されたスロット22内に配置される一対の導体辺部71と、当該一対の導体辺部71の間をステータコア2の軸方向に沿った外側で接続する導体渡り部72と、導体渡り部72とは軸方向の反対側において一対の導体辺部71のそれぞれから延びてステータコア2から軸方向に突出する突出部73とを備えている。突出部73における開放端である2つの先端部74は、ステータコア2への取り付け時において、その延在方向が軸方向と平行となり、径方向に沿って互いに並列するように形成されている。本実施形態では、接合対象導体となる一対のセグメント導体7の、互いに径方向に隣接する先端部74同士が径方向に接合される。
重ね巻き部32は、一対のスロット22のそれぞれに複数の導体辺部71が配置されて当該一対のスロット22間に複数回巻回されて構成されている。本実施形態では、重ね巻き部32は、スロット22に対して軸方向に挿入可能な複数の基本セグメント導体7aを用いて、当該基本セグメント導体7aのステータコア2から軸方向に突出する突出部73の先端部74同士を接合して構成されている。尚、基本セグメント導体7aは、重ね巻き部32を一周毎に複数に分割したものに相当する導体ということができる。図2に示すように、重ね巻き部32は、周方向両側の導体辺部71のそれぞれが互いに同じスロット22に配置された4つの基本セグメント導体7aを用いて形成されている。そして、径方向に隣接する基本セグメント導体7aの先端部74同士が順次接合されることで、重ね巻き部32が形成される。本実施形態では、4つの基本セグメント導体7aにより一対のスロット22間を4回巻回する重ね巻き部32が構成される。
以上、代表して基本セグメント導体7aの構成及び基本セグメント導体7aを用いて構成される重ね巻き部32について説明した。セグメント導体7を構成する周方向接続部5や、接続部材90についても、基本セグメント導体7aと同様に、ステータコア2への取り付け時において、その延在方向が軸方向と平行となり、径方向に沿って基本セグメント導体7aの先端部74に並列するように形成された先端部が形成されている。基本セグメント導体7aと周方向接続部5とが接合される際には、基本セグメント導体7aの先端部74と、周方向接続部5の先端部とが接合される。また、基本セグメント導体7aと接続部材90とが接合される際には、基本セグメント導体7aの先端部74と、接続部材90の先端部とが接合される。
以下、基本セグメント導体7a同士、或いは、基本セグメント導体7aと周方向接続部5、或いは、基本セグメント導体7aと接続部材90との接合方法について説明する。尚、この方法は、絶縁被膜7hが施されたセグメント導体7を複数個用いて、回転電機のコイル3を形成するために、異なるセグメント導体7の端部である導体端部7t同士を接合する方法であり、セグメント導体7の形状は上述した形態に限定されるものではない。また、当然ながら、このような重ね巻き用のセグメント導体に限らず、波巻き用のセグメント導体同士を接合する場合にも適用可能である。
この接合方法は、図4に示すように、大きく3つの工程を有する。第1の工程は、導体保持工程#10である。導体保持工程#10では、図5に示すように、接合対象導体となる2つのセグメント導体7が、導体端部7tの対向面Po同士が隣り合って対向すると共に、導体端部7tの先端面である接合用端面7p同士が基準平面Prに沿って並ぶ状態に保持される。導体保持工程#10においては、図5に模式的に示すようなクランプ治具100によってセグメント導体7が保持される。尚、セグメント導体7は、導体の延在方向の周囲に絶縁被膜7hが施された導体であり、ここでは、接合用端面7pは導体の母材が露出しているものとする。本実施形態では、接合用端面7pに絶縁被膜7hが施されていないので、溶接に先だってセグメント導体7の絶縁被膜7hを除去する工程は設けていない。しかし、必要に応じて、接合用端面7pから所定の剥離長の領域の絶縁被膜7hが除去されることを妨げるものではない。
第2の工程は、接合対象導体となるセグメント導体7の2つの接合用端面7pの双方に接触するように、板状の導電性プレート10を設置するプレート設置工程#15である。この導電性プレート10は、セグメント導体7と同一の材料により構成されていると好適である。導電性プレート10が接触する接合用端面7pは、凹凸が少なく均一な平面であることが好ましいが、凹凸があり不均一な面であることを妨げるものではない。後述するように、導電性プレート10と2つの接合用端面7pのそれぞれとは、レーザーを用いて溶接される。溶接の際に、導電性プレート10とセグメント導体7とは溶接領域において混ざり合うため、接合用端面7pと導電性プレート10の接触面10tとの間の隙間(凹凸により生じる隙間)は解消される。
また、導電性プレート10は、基準平面Prに直交する方向から見て、2つの接合用端面7pの配置領域の内側に収まる大きさである。尚、配置領域とは、対向面Poを除いた2つの接合用端面7pの外縁をつないで構成される閉領域であり、2つの接合用端面7pが占める領域と、それらに挟まれた領域(セグメント導体7同士の間に隙間が生じている場合の当該隙間に対応する領域)とを合わせた領域である。例えば配置領域は、図6、図8及び図9に示す符号“S”に対応する領域である。図5及び図6に示す導電性プレート10は、配置領域Sとほぼ同じ大きさを有して、配置領域Sに一致するように配置されている。
第3の工程は、導電性プレート10が接合用端面7pと接触する接触面10tとは反対側の面である照射面10bの側から、当該照射面10bにレーザーを照射して導電性プレート10と2つの接合用端面7pのそれぞれとを溶接するレーザー照射工程#20である。図5に例示するように、レーザー照射工程#20は、一方のセグメント導体7の接合用端面7pと導電性プレート10とを溶接するためのレーザー照射を行う工程と、他方のセグメント導体7の接合用端面7pと導電性プレートとを溶接するためのレーザー照射を行う工程との少なくとも2回実施される。尚、図5では、照射面10b或いは基準平面Prに対してレーザーの光軸がほぼ直角となるような照射角度でレーザーが照射される例を示しているが、直角に対して傾いた角度(例えば2〜3[°])でレーザーが照射されてもよい。
また、レーザー照射工程#20において照射されるレーザーの焦点は、導電性プレート10の照射面10b上に設定されていると好適である。溶融した導体にエネルギー密度の高いレーザーが照射されることになり、良好な溶接が実現できる。但し、レーザーの焦点も、照射角度と同様に、柔軟に設定されることを妨げるものではない。焦点は、少なくとも、導電性プレート10の照射面10bよりもセグメント導体7の側(図5における下方)であればよい。後述するように、本実施形態のレーザー溶接では、対象物の内部から溶融が進行する。従って、焦点が照射面10bよりも図示下方に設定されると、先に溶融した部分にエネルギー密度の高いレーザーが照射されることになるので、良好な溶接が実現できる。
尚、レーザーを利用した溶接では、後述するように、限られた領域に集中してエネルギーを与えることが可能である。従って、導電性プレート10と2つのセグメント導体7の接合用端面7pのそれぞれとを精度良く溶接することが可能である。そして、導電性プレート10と各セグメント導体7とは、複数箇所で溶接されると、機械的強度も高くなり、電気的にもインピーダンスが低下するので好適である。従って、レーザー照射工程#20では、照射面10bにおいて1つの接合用端面7pに対応する領域の中の複数箇所にレーザーを照射すると好適である。図6には、1つの接合用端面7pに対応する領域Hの6箇所にレーザーを照射する例を示している。当然ながら、機械的、電気的に充分な溶接が可能であれば、1つの接合用端面7pに対応する領域Hにそれぞれ1箇所ずつレーザーが照射される構成であってもよい。
ところで、レーザーの照射角度が照射面10bや基準平面Prに対して直角であることには限定されないと上述した。照射面10bにおいて1つの接合用端面7pに対応する領域の中の複数箇所にレーザーが照射される場合、当該複数箇所のそれぞれに対する照射角度が異なっていてもよい。例えば、接合用端面7pの外縁近くに設定された接合箇所では、レーザーの光軸が外縁側から内側へ向くような照射角度でレーザーが照射されると好適である。セグメント導体7の延在方向に沿った側面に溶融領域が達することを抑制し、機械的にも電気的にも強固な溶接が実現できる。一方、接合用端面7pの中央部に設定された接合箇所では、セグメント導体7の延在方向に沿って真っ直ぐに溶融領域が成長することが望ましい。従って、当該接合箇所では、セグメント導体7の延在方向に沿う方向、例えば、照射面10bや基準平面Prに対して直角に近い照射角度でレーザーが照射されると好適である。
ところで、レーザー溶接に用いられるレーザーの照射方法には、シングルモードと称される照射モードと、マルチモードと称される照射モードとがある。シングルモードと称される照射モードは、1つの励起光で増幅されたレーザー光を用いるモードである。シングルモードでは、エネルギー分布がガウス分布となり、レーザー光の径を小さくすることができ、エネルギー密度も大きくすることができる。これに対して、マルチモードと称される照射モードでは、複数の励起光で増幅されたレーザー光が用いられる。マルチモードのエネルギー分布は、等脚台径を上底及び下底の中点を通る直線を回転軸として回転させたようなトップハット型の分布となる。このため、出力を大きくすることができるが、レーザー光の径は大きく(太く)なる。本実施形態では、導電性プレート10を貫通して、セグメント導体7の接合用端面7pと導電性プレート10とを接合するので、エネルギーを狭い領域に高い密度で与えることが好ましい。従って、照射モードとしてはシングルモードが採用される。
シングルモードによって、レーザーが導電性プレート10に照射されると、導電性プレート10或いはセグメント導体7の母材が気化し、母材の内部から溶融が始まる。さらにレーザー照射を続けると、母材の内部から溶融領域が次第に拡大していく。シングルモードでは、母材の内部から溶融し、細く深い領域に溶融が拡大するので、導電性プレート10とセグメント導体7とを串刺しするように接合する用途に好適である。
一方、マルチモードでは、母材の表面から溶融し、広く浅い領域で溶融することになる。その結果、導電性プレート10とセグメント導体7とは串刺しするように接合されず、溶融した導電性プレート10がセグメント導体7の接合用端面7pを含む導体端部7tを覆うようにして接合される可能性がある。このため、溶接されたセグメント導体7の導体端部7tが肥大化する可能性があるので、本実施形態では照射モードとしてシングルモードが採用される。
また、発明者らの実験によれば、シングルモードでは、レーザーの焦点距離が長くなっても、高いエネルギー密度を維持できることが確認されている。このため、レーザーヘッド200を接合対象導体から離すことが可能となり、溶接の際のワークディスタンスを確保し易くなるので、生産性が向上する。尚、当然ながらレーザーの出力が大きいほど、導電性プレート10及びセグメント導体7は早く溶融する。そして、導電性プレート10及びセグメント導体7の母材が液体状態となることによって、反射が少なくなりレーザーのエネルギーの吸収率も高くなる。従って、レーザーの出力は、例えば2000[W]以上に設定されると好適である。また、好適な態様として、レーザーの波長は0.3〜1.1[μm]、焦点の径は10〜200[μm]であるとよい。
図6は、従来のアーク放電による溶接(TIG溶接)と、本実施形態のレーザー溶接とを比較する図である。アーク放電よる溶接では、導体端部7tの先端から予め規定された剥離長Lp(Lp2)の領域の絶縁被膜7hが除去された裸導体端部7n同士が接合される。即ち、接合対象導体となる2つのセグメント導体7は、裸導体端部7nの対向面同士が隣り合って対向すると共に、裸導体端部7nの先端同士が基準平面Prに沿って並ぶ状態で溶接される。TIG溶接を行う場合には、このように、絶縁被膜7hを剥離する必要があるが、導電性プレート10を用いてレーザー溶接を行う場合には、絶縁被膜7hを剥離する必要はない。或いは、導体端部7tの先端からごく僅かな剥離長Lpの範囲の絶縁被膜7hを剥離すれば充分である。
図6の中段及び下段には、溶接後のセグメント導体7を模式的に示している。TIG溶接を行った場合には、アークAKがセグメント導体7の先端部の比較的に広い範囲に印加され、当該先端部が全体的に溶融し、表面張力により先端部が丸みを帯びて凝固する。このため、基準平面Prに直交する方向(上面)から見た接合後の導体端部7tの先端の外縁が、接合前の2つの導体端部7tの先端の配置領域Sからはみ出してしまう。つまり、溶接前の導体端部7tの先端の輪郭線に対して、溶接後の輪郭線は部分的にはみ出した形状となる。このため、TIG溶接の場合には、隣接する接合対象導体の間の距離“Cp”をこのはみ出し量“Ms”の分だけ多くして、絶縁距離を確保できるようにする必要がある。
これに対して、導電性プレート10を用いたレーザー溶接の場合には、はみ出し量“Ms”を考慮する必要はないから、隣接する接合対象導体の間の距離“Cp”は相対的に短くなる。従って、導電性プレート10を用いたレーザー溶接を行う場合には、TIG溶接を行う場合に比べて、コイル3を小型化することができる。導電性プレート10は、基準平面Prに直交する方向から見て、2つの接合用端面7pの配置領域Sの内側に収まる大きさである。従って、本実施形態の接合方法を用いて形成されたコイル3は、基準平面Prに直交する方向から見て、接合前の2つの導体端部7tの先端の配置領域Sの内側に、接合後の導体端部7tの先端の外縁が収まることになる。即ち、配置領域Sに対応する2つの導体端部7tの先端の外縁が接合の前後で変化しない。
また、上述したように、TIG溶接を行った場合には、セグメント導体7の先端部が全体的に溶融し、表面張力により先端部が丸みを帯びて凝固する。従って、溶接後のセグメント導体7の導体端部7tは、図6の下段の側面図に示すように、その延在方向に沿って基準平面Prよりも延伸量“Mu”だけ延伸する場合がある。このため、セグメント導体7は、導体端部7tにおいて、延伸量“Mu”だけ長くなる可能性がある。さらに、上述したように、TIG溶接の場合には、溶接に伴って上昇するセグメント導体7の温度が、絶縁被膜7hの耐軟化温度に達することが無いような長さである耐軟化距離Dhに応じて絶縁被膜7hの剥離長Lp(Lp2)が設定されている。本実施形態では、導電性プレート10を用いたレーザー溶接の場合には、この剥離長Lpは設定されていないから耐軟化距離Dhは剥離長Lpに相当する“ΔDh”だけ短くなる。
但し、導電性プレート10の厚み(例えば約1[mm])があるため、導電性プレート10を用いたレーザー溶接の場合には、セグメント導体7は、導体端部7tにおいてプレートの厚み分突出するから、実質的に導体端部7tの長さは、TIG溶接の場合に比べて“ΔDh”よりも短い“TL1”だけ短くなる。尚、上述したように、レーザー溶接の場合には、延伸量“Mu”も生じないので、溶接後の導体端部7tの長さは、TIG溶接を行った場合に比べて“TL2=TL1+Mu”だけ短くなる。導体端部7tの長さは、コイルエンドの長さに影響するので、導電性プレート10を用いたレーザー溶接を用いた場合には、TIG溶接を用いる場合に比べてコイルエンドが短くなり、コイル3を小型化することができる。
ところで、TIG溶接に比べてセグメント導体7の温度上昇が少ないレーザー溶接を用いた場合でも、レーザーの照射時間が長くなるとエネルギー量が増えて温度上昇も大きくなる。そこで、温度上昇を抑制しながら、必要な領域を溶融させるために、レーザー照射工程#20においてパルス照射が行われると好適である。具体的には、図7に例示するように、予め規定された規定照射時間に亘ってレーザーを照射する照射フェーズPEと、予め規定された休止時間に亘ってレーザー照射を休止する休止フェーズPPとを繰り返すパルス照射によってレーザーが照射される。規定照射時間は、レーザーの照射を継続しても、裸導体端部7nと絶縁被膜7hとの境界部分におけるセグメント導体7の温度(被膜先端温度)が、絶縁被膜7hが溶融しないような温度に留まる時間に設定されると好適である。尚、絶縁被膜7hが溶融しないような温度とは、絶縁被膜7hが完全に溶融する温度ではなく、絶縁被膜7hが軟化して外観が変化する耐軟化温度であると好適である。
図7に示す例では、3回の照射フェーズPEが設けられている。複数回の照射フェーズPEを通して、セグメント導体7を溶融させる必要があるので、照射フェーズPEの後の休止フェーズPPでは、当然ながら照射フェーズPEの開始前の温度までは減少しない。従って、各照射フェーズPEの規定照射時間が同一であれば、後で実行される照射フェーズPEにおける被膜先端温度の方が高くなる。つまり、図7における第1照射フェーズPE1よりも第2照射フェーズPE2の方が被膜先端温度が高くなり、第2照射フェーズPE2よりも第3照射フェーズPE3の方が被膜先端温度が高くなる。従って、規定照射時間は、最終の照射フェーズPE(図7に例示する形態では第3照射フェーズPE3)において、被膜先端運度が、絶縁被膜7hの融点或いは耐軟化温度に達しない範囲の時間に設定されると好適である。
尚、図7では、3回の照射フェーズPEが設定されているが、各照射フェーズPEにおける規定照射時間は同一であってもよいし、別個の値であってもよい。同様に、2回の休止フェーズPPにおける各休止時間も同一であってもよいし、別個の値であってもよい。また、規定照射時間と休止時間とが同一の長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。また、当然ながら、照射フェーズPEの回数も3回に限定されるものではなく、例えば5回実施されてもよい。また、温度上昇が絶縁被膜7hの耐軟化温度の範囲内であれば、パルス照射が実施されず、1回の照射によって溶接が実施されてもよい。
発明者らによる実験によれば、シングルモードで以下のようにレーザー照射を行って、導電性プレート10とセグメント導体7とが良好に接合されることが確認されている。即ち、レーザーの出力が2500[W]、焦点の直径が42[μm]、規定照射時間が10[ms]、休止時間が90[ms]、照射フェーズPEの回数が5回の場合に、良好に接合されることが確認されている。
ところで、導電性プレート10は、基準平面Prに直交する方向から見て、2つの接合用端面7pの配置領域Sの内側に収まる大きさであり、配置領域Sの内側に配置されれば、上述したように配置領域Sとほぼ合同である必要はない。例えば図8に示すように、導電性プレート10は、配置領域Sよりも小さく、配置領域Sの相似形であってもよい。また、導電性プレート10は、配置領域Sの相似形である必要もなく、例えば図9に示すように、楕円形であってもよい。尚、これらの例に示すように、配置領域Sよりも小さい導電性プレート10が利用される場合には、導電性プレート10の縁端部と接合用端面7pとが溶接されてもよい。
本発明は、セグメント導体を複数個用い、異なるセグメント導体の端部同士を接合して、回転電機のコイルを形成するために利用することができる。
3 :コイル
5 :周方向接続部(セグメント導体)
7 :セグメント導体
7a :基本セグメント導体(セグメント導体)
7h :絶縁被膜
7p :接合用端面
7t :導体端部
10 :導電性プレート
10b :照射面
10t :接触面
90 :接続部材(セグメント導体)
H :照射面における1つの接合用端面に対応する領域
PE :照射フェーズ
PP :休止フェーズ
Po :対向面
Pr :基準平面
S :2つの接合用端面の配置領域
#10 :導体保持工程
#15 :プレート設置工程
#20 :レーザー照射工程

Claims (7)

  1. 導体の延在方向の周囲に絶縁被膜が施されたセグメント導体を複数個用い、回転電機のコイルを形成するために、異なる前記セグメント導体の端部である導体端部同士を接合する回転電機の導体接合方法であって、
    接合対象導体となる2つの前記セグメント導体を、前記導体端部の対向面同士が隣り合って対向すると共に、前記導体端部の先端面である接合用端面同士が基準平面に沿って並ぶ状態に保持する導体保持工程と、
    前記接合対象導体となる前記セグメント導体の2つの前記接合用端面の双方に接触するように、板状の導電性プレートを設置するプレート設置工程と、
    前記導電性プレートが前記接合用端面と接触する接触面とは反対側の面である照射面の側から、当該照射面にレーザーを照射して前記導電性プレートと2つの前記接合用端面のそれぞれとを溶接するレーザー照射工程と、
    を備える回転電機の導体接合方法。
  2. 前記導電性プレートは、前記基準平面に直交する方向から見て、2つの前記接合用端面の配置領域の内側に収まる大きさである請求項1に記載の回転電機の導体接合方法。
  3. 前記レーザー照射工程では、前記照射面における1つの前記接合用端面に対応する領域の中の複数箇所にレーザーを照射する請求項1又は2に記載の回転電機の導体接合方法。
  4. 前記レーザー照射工程では、予め規定された規定照射時間に亘ってレーザーを照射する照射フェーズと、予め規定された休止時間に亘ってレーザー照射を休止する休止フェーズとを繰り返すパルス照射によってレーザーを照射する請求項1から3の何れか一項に記載の回転電機の導体接合方法。
  5. 前記規定照射時間は、レーザーの照射に伴って上昇する前記セグメント導体の温度が、前記絶縁被膜の耐軟化温度に達する時間未満に設定されている請求項4に記載の回転電機の導体接合方法。
  6. 導体の延在方向の周囲に絶縁被膜が施されたセグメント導体を複数個用い、異なる前記セグメント導体の端部である導体端部同士を接合することによって形成された回転電機のコイルであって、
    接合対象導体となる2つの前記セグメント導体を、前記導体端部の対向面同士が隣り合って対向すると共に、前記導体端部の先端面である接合用端面同士が基準平面に沿って並んだ状態において、前記接合対象導体となる前記セグメント導体の2つの前記接合用端面の双方に接触するように設置された板状の導電性プレートを有し、
    前記導電性プレートが前記接合用端面に接触する面とは反対側の面である照射面の側から、当該照射面に照射されたレーザーによって、前記導電性プレートと2つの前記接合用端面のそれぞれとが溶接されている回転電機のコイル。
  7. 前記導電性プレートは、前記基準平面に直交する方向から見て、2つの前記接合用端面の配置領域の内側に収まる大きさである請求項6に記載の回転電機のコイル。
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