JP2014083673A - 砥粒付ワイヤ工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】砥粒付ワイヤ工具100は、ワイヤ1と、ワイヤ1の外周表面の複数個所に設けられた通電孔3に通電孔めっき4によって固定された砥粒5とを有し、円柱状の通電孔3が、螺旋曲線30上に互いに均一な隙間Gを空けて配置され、隙間Gは通電孔3の半径Rの1/3よりも大きい。
【選択図】図1
Description
(イ)砥粒を樹脂によって固定する方式は、樹脂と砥粒とを混合したものをワイヤに塗布して作成する。砥粒を保持する保持強度が低いことから、ウェハ等を切断する際の効率が低く、寿命も短い。ある切断量(生産量)を確保しようとすると、専用の切断機を増設する必要がある。また、ワイヤの消費量も多くなる。
(ロ)ロー付けによって固定する方式は、予めワイヤの外周表面にロー材を塗布しておき、これに熱を加えてロー材を溶融させ、溶融したロー材に砥粒を固着させるものである。ワイヤが加熱されるため、ワイヤの品質劣化が生じる(品質の影響する温度にまで加熱される)。また、被削材(ウェハ等)の切断面の加工ダメージが大きいと言われている。
(ハ)めっきによって固定される方式は、砥粒を懸濁しためっき液を作成し、該めっき液中にワイヤを浸漬して、ワイヤの外周表面にめっきを析出させると共に、砥粒を共析させるものである。このため、砥粒付ワイヤ工具を製作する際の生産効率が低いことから、製造コストが高くなっている。また、被削材(ウェハ等)の切断面の加工ダメージが大きいと言われている。
(あ)接着剤層によって、金属メッキの範囲が狭められ、堅固な固着が得られないおそれがある。
(い)固定砥粒同士が当接していることから、所定の固定砥粒によって発生したチップ(切り屑)が、固定砥粒同士の間に挟まったり、隣接する固定砥粒によって被削材(ウェハ等)に押し付けられたりするおそれがあり、切断効率の低下や切断品質(切断面の肌荒れや形状変化等)の悪化を招く。
(う)切断の際、固定粒子が連続的に螺旋曲線状に固定されていることから、ワイヤが捻られるため、捻回によるワイヤ破断のおそれがある。
(え)特に、ワイヤを往復走行させて切断する場合は、チップやクーラント(切断液)の排出方向が反転するため、これらの排出が阻害されたり、ワイヤは捻られる方向が反転しながら繰返し捻られたりするため、ワイヤ破断のおそれが高まる。
(2)前記(1)において、前記絶縁層が撤去されていることを特徴とする。
(3)前記(2)において、前記砥粒の表面と、前記通電孔めっきの表面と、前記砥粒の表面および前記通電孔めっきの表面を除く前記ワイヤの外周表面とが、表面全体めっきによって覆われていることを特徴とする。
(5)前記(4)において、前記絶縁層が撤去されていることを特徴とする。
(6)前記(5)において、前記砥粒の表面と、前記通電孔めっきの表面と、前記砥粒の表面および前記通電孔めっきの表面を除く前記ワイヤの下地めっきの表面とが、表面全体めっきによって覆われていることを特徴とする。
(8)前記(1)乃至(7)の何れかにおいて、前記隙間が、互いに隣接する何れかの一対の前記通電孔同士においても同一であることを特徴とする。
(9)前記(1)乃至(8)の何れかにおいて、前記通電孔が円形であって、前記通電孔同士の隙間が、前記円形の半径の1/3よりも大きいことを特徴とする。
(11)前記(1)乃至(10)の何れかにおいて、前記通電孔が、前記ワイヤの長手方向に平行な直線上であって、前記ワイヤの円周方向で等角配置されていることを特徴とする。
(12)前記(1)乃至(11)の何れかにおいて、前記通電孔のそれぞれに、1個の砥粒または集合した複数個の砥粒の塊が固定され、前記1個の砥粒の直径または前記塊の直径が、前記通電孔の直径よりも同等以下であることを特徴とする。
(13)前記(1)乃至(12)の何れかにおいて、前記砥粒の外周表面は、前記通電孔に固定される前に、予め砥粒の表面を通電できる材質になるよう処理されていることを特徴とする。
(i)通電孔が同一線上に互いに隙間を空けて配置されていたものである。このため、通電孔に固定された砥粒も互いに隙間を空けて離れているため、所定の砥粒によって発生したチップ(切り屑)やクーラント(切断液)が、隣接する砥粒との間に挟まることがなく、当該所定の砥粒とこれに隣接する砥粒との間をすり抜けて、流出するから、目詰まりが抑制されクーラントの効果(冷却効果等)を高めると共に切断刃先高さを保ち切れ味の低下を抑制する。そして、所定の砥粒によって発生したチップが隣接する砥粒によって被削材(ウェハ等)に押し付けられたりするおそれがなくなる。
また、切断の際、前記のように、チップやクーラントは砥粒のそばを通過することができ、例えば、複数個の砥粒が寄り集まった、チップやクーラントの排出方向を一定の方向に案内するような壁が形成されないから、チップやクーラントの排出方向が一定の方向に規定されない(ランダムである)ため、ワイヤの捻回によるワイヤ破断のおそれを低減することができる。特に、ワイヤを往復走行させて切断する場合は、チップやクーラントがランダムな方向に排出されるから、これらの排出が促進されると共に、ワイヤが繰返し交番捻回されることがないから、ワイヤ破断のおそれを低減することができる。よって、切断効率が向上し、切断品質が向上する(切断面の肌荒れや形状変化が抑えられる)。
そして通電孔は、通電孔よりも大きな砥粒を固着しないため、粗粒による切断面への異常スクラッチを抑制する。このことも、切断面品質の向上に寄与する。
さらに、決められた面積(体積)の通電孔に砥粒を固定するから、不必要に多量の砥粒が固定されることがないため、原材料(砥粒)の使用量を抑えることができ、製造コストを安価にすることができる。
(iii)砥粒の表面、通電孔めっきの表面およびワイヤの外周表面が表面全体めっきによって覆われているから、砥粒の固定が堅固になると共に、ワイヤの外周表面の摩耗が抑えられる。よって、工具寿命の延長によって、切断の作業コストが安価になる。
(v)砥粒がめっき共析によって通電孔に固定された後、絶縁層が撤去されているから、絶縁層に形成されていた通電孔は消滅し、通電孔があった範囲には、通電孔めっきおよび砥粒の一部が存在している。このため、砥粒の突き出し量が大きくなったような切断刃先が形成されるから、切断に耐えうる切れ味を保有することができる。
(vi)砥粒の表面、通電孔めっきの表面およびワイヤの外周表面を覆う下地めっきが表面全体めっきによって覆われているから、砥粒の固定がさらに堅固になると共に、ワイヤの外周表面の摩耗がさらに抑えられる。よって、工具寿命のさらなる延長によって、切断の作業コストが安価になる。
(viii)また、所定の線(螺旋曲線または直線)上において、隣接する通電孔同士の隙間が同じになるように配置されているから、略同間隔で整列固着した砥粒は、長距離間に渡り同様の砥粒密度で外周にバランス良く固着している。このため、マルチワイヤソー切断機において、数百μmの薄いウェハを数百枚あるいは数千枚同時に直進性良く切断することを可能とし、切断されたウェハの品質(切断面の肌荒れ(面精度の安定性)、形状変化の低減)を向上させる。また、砥粒間に隙間を持たせることでチップ(切り屑)やクーラントの排出が容易になり、目詰まりが抑制されクーラントの効果(冷却効果等)を高め、一層の高効率切断が可能になると共に、切断されたウェハの高品質化が得られる。
なお、通電孔は円周方向に均等配置され、かつ、長手方向に均一隙間で配置された場合、通電孔同士の円周方向の隙間と長手方向の隙間とは同一であっても、あるいは相違してもよい(平面に展開した際、方眼状に配置されてもよいし、方眼状に配置されなくてもよい)。また、通電孔が多数条の螺旋曲線上に配置された場合、一方の螺旋曲線上に均一間隔で配置された通電孔と、該螺旋曲線に対向する他方の螺旋曲線上に均一間隔で配置された通電孔との隙間は、一方の螺旋曲線上に配置された通電孔同士の隙間や、他方の螺旋曲線上に配置された通電孔同士の隙間と、必ずしも同一でなくてよい。
したがって、切り込み量が安定し、切断負荷が安定するため、切断効率や切断品質の向上(切断面の肌荒れや形状変化の低減)がさらに促進される。
(x)また、前記通電孔が、1条または複数条の螺旋曲線状に配置されたり、ワイヤの長手方向に平行な直線上に配置されたり、あるいはワイヤの長手方向に垂直な円周上に配置されたりするから、通電孔の形成が容易になる。
なお、通電孔は円周方向に均等配置され、かつ、長手方向に均一隙間で配置された場合、通電孔同士の円周方向の隙間と長手方向の隙間とは同一であっても、あるいは相違してもよい。
また、各切断刃先が一定の隙間を保有しているため、微細な砥粒を使用しても切れ味ある切断刃先が構成される。そのことから、ワイヤを小径化することができ、切断取り代が減少し、切断時の被削材(例えば、ウェハ等素材)の素材歩留まりが向上するため、切断における製品(例えば、ウェハ等)の製造コストを低減することができる。
また、多数個の微細な砥粒の集積体(クラスター)を使用することによって、切断時の加工ダメージ(切断された表面の粗度や改質)を減少することができるから、切断後の製品(例えば、ウェハ等)の表面品質を向上させることができる。
さらに、1個の砥粒の直径または塊の直径が、通電孔の直径の同等以下であるから、1個の砥粒同士または塊同士の間に隙間が形成されるため、前記効果(i)等が得られる。
図1および図2は、本発明の実施の形態1に係る砥粒付ワイヤ工具を説明するものであって、図1の(a)は側面図、図1の(b)は平面に展開した展開図、図2の(a)は正面視の断面図、および図2の(b)は正面視の断面を拡大して示す断面図である。なお、各図は模式的に描かれたものであって、実施の形態1は図示された形態に限定するものではなく、特に、相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
ワイヤ1は、導電性を有する線材であって、めっき共析を可能にすると共に、ウェハ等を切断する際、ワイヤ1に作用する引張力に耐えられるだけの強度を有している。なお、ワイヤ1の外径(D)は、使用される切断機、ワイヤに作用する引張力、ウェハ厚みやその枚数等切断作業の環境、条件により決定される。また、後記するように通電孔3の大きさや配置形態、あるいは砥粒5の大きさも切断作業の環境、条件等に応じて、適宜選定されるものである。また、ワイヤ1の材質は、限定されるものではなく、高炭素ピアノ線や、高強度ないし高耐蝕性を有するステンレス鋼線やマレージング鋼線等である。
絶縁層2は、通電孔3を形成するためのものであって、通電孔3以外の位置に、めっき液(めっき共析のための砥粒5が混合されている)が触れないようにしている。したがって、絶縁層2を形成する材質(合成樹脂等)は限定するものではなく、通電孔3の形成のためには部分的な撤去が容易で、めっき共析のため(通電孔めっき4を形成するため)には剥離しないものであるものが望ましい。
また、絶縁層2の厚さは、砥粒5の大きさによって選定されるものである。なお、絶縁層2は、砥粒5が固定された後、撤去してもよい。撤去することによって、砥粒5の突き出し量が大きくなったような切断刃先が形成されるから、切断に耐えうる切れ味を保有することができる。
通電孔3は、絶縁層2の一部が撤去され、ワイヤ1の外周表面が剥き出しになった部分である。通電孔3は所定の直径を具備する円柱状であって、ワイヤ1の外周表面における1条の螺旋曲線(展開図においては直線として描かれる)30の上に均一間隔で配置されている。このとき、至近の通電孔3同士の隙間(正確には長手方向の隙間)Gは通電孔3の半径Rの1/3よりも大きくなっている(G>R/3)。
なお、通電孔3の形成要領も限定するものではなく、例えば、レーザ光線等を使用して熱的に一部を溶融除去したり、機械的に一部を穿孔除去したりしてもよい。
また、通電孔3を円柱状にしたのは、通電孔3の形成が容易であるからであって、本発明は通電孔3の形状を円柱状に限定するものではない。通電孔3の形状が円柱状でない場合には、略同一体積(または断面積)の等価円柱を求め、至近の通電孔3同士の隙間が、等価円柱の半径Rの1/3よりも大きくなるようにする。
また、螺旋曲線30のピッチP(一周で移動する軸方向の距離、展開図に示す「傾きθ」とは、「tan(θ)=πD/P」の関係がある)は、限定するものではないが、ピッチPが小さい(傾きθが大きい)場合、1周目の螺旋曲線30上の通電孔3と2周目の螺旋曲線30上の通電孔3とが近接することになるが、両者のうち最も近接したもの同士の隙間(H)は、通電孔3の半径Rの1/3よりも大きくなっている(H>R/3)。
さらに、通電孔3は、1条の螺旋曲線状に配置されるものに限定するものではなく、多数条の螺旋曲線状に均等に配置されてもよいし、ワイヤ1の円周方向に等分配置された複数位置で、軸方向と平行な線上に均等に配置されてもよい(これについては別途詳細に説明する)。
通電孔めっき4は、砥粒5が混合されためっき液をめっき共析した際(電着めっきの際、めっき液に混合された砥粒5を析出させる際)、通電孔3内に形成されたものであって、砥粒5をワイヤ1の表面に堅固に固定している。
なお、電着めっきの要領は、限定されるものではないが、ニッケル(Ni)めっき、あるいはニッケル−リン(Ni−P)合金めっきを使用すれば、めっき硬さが高いことから、耐摩耗性を高めると共に、砥粒5の保持力を高めることができる。
砥粒5は、例えば、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ホウ素、ダイヤモンド、窒化ケイ素等の硬質の粒子である。すなわち、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、バナジウム等の周期律表の第3族、第4族または第5族とその炭化物、窒化物あるいは酸化物である。
なお、前記は、通電孔3毎に、1個の砥粒5が固定されている(このとき、砥粒5の外径が通電孔3の内径よりも小さい)が、後記するように1個の通電孔3に、複数個の砥粒5が固定されてもよい。
ワイヤ工具100は、前記構成であるから以下の効果を奏する。
通電孔3が同一線上に互いに隙間を空けて配置されていたものであるから、通電孔3に固定された砥粒5も互いに隙間を空けて離れているため、所定の砥粒5によって発生したチップ(切り屑、図示しない)が、隣接する砥粒5との間に挟まることがなく、また、所定の砥粒5によって発生したチップが隣接する砥粒5によって被切断材(ウェハ等、図示しない)に押し付けられたりするおそれがなくなる。
また、切断の際、チップやクーラントの排出方向がランダム(一定の方向に規定されない)であるため、ワイヤ1の捻回によるワイヤ破断のおそれが低減できる。特に、ワイヤ1を往復走行させて切断する場合は、チップやクーラントがランダムな方向に排出されることによって、これらの排出が促進される。よって、切断効率が向上し、切断品質(切断面の肌荒れや形状変化の低減等)が向上する。
また、通電孔3が円形であるから、通電孔3の形成が容易であって、通電孔3同士の隙間(G)が通電孔の半径のRの1/3よりも大きい(G>R/3)から、前記チップやクーラントの排出が促進される。さらに、仮に、砥粒5がワイヤ1の外周表面から脱落した場合でも、近隣の砥粒5に凝集することがない。したがって、切り込み量が安定し、切断負荷が安定する。
なお、通電孔3同士の隙間(G)を大きくすれば、前記チップやクーラントの排出が促進されるものの、隙間(G)やピッチ(P)を大きくすると、ワイヤ1の外周表面の単位面積当たりの砥粒(または砥粒の塊)の数が少なくなる(砥粒率が低下する)。このため、隙間(G)やピッチ(P)は、ワイヤ工具100の使用条件から決定されることになるが、例えば、隙間(G)については、通電孔の半径Rの概ね30倍以下であることが望ましい。
図3および図4は、通電孔の配置のバリエーションを説明するために平面に展開した展開図であって、図3は多数条の螺旋曲線上に均等配置されたもの、図4はワイヤの円周方向に等分配置された複数位置で、軸方向に平行な直線上に均等配置されたものである。なお、図1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、各図は模式的に描かれたものであって、図示された形態に限定するものではなく、特に、相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
すなわち、第1螺旋曲線30aには半径Raの通電孔3aが、互いの隙間(正確には長手方向の隙間)Gaが半径Raの1/3よりも大きな一定の値で配置され、第2螺旋曲線30bには半径Rbの通電孔3bが、互いの隙間(正確には長手方向の隙間)Gbが半径Rbの1/3よりも大きな一定の値で配置されている(通電孔3とは通電孔3aおよび通電孔3bを総称したものである)。なお、以下の説明において、共通する内容については、符号の添え字「a、b」の記載を省略する場合がある。
このとき、第1螺旋曲線30a上の通電孔3aと第2螺旋曲線30b上の通電孔3bとのうち最も近づいたもの同士の隙間Habは、半径Raおよび半径Rbの1/3よりも大きくなっている(Hab>Ra/3、およびHab>Rb/3)。
なお、以上は、螺旋曲線が2条の場合を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、3条以上であってもよい。また、半径Raと半径Rbを等しくして、隙間Gaと隙間Gbとを等しくしてもよい。
すなわち、直線30cには半径Rcの通電孔3cが、互いの隙間Gcが半径Rcの1/3よりも大きな一定の値で配置され、同様に、直線30d、30e、30fにはそれぞれ半径Rd、Re、Rfの通電孔3d、3e、3fcが、互いの隙間Gd、Ge、Gfが半径Rd、Re、Rfの1/3よりも大きな一定の値で配置されている。
なお、以上は、4条の直線が円周方向に等角配置されたものであるが、本発明はこれに限定するものではなく、5条以上であってもよい。また、それぞれの半径Rc、Rd・・・を等しくしてもよい(このとき、それぞれの間の隙間Gc、Gd・・・は等しくなる)。このとき、直線上に配置された通電孔3であっても、図3に示すような螺旋曲線上に配置されたものとみなすことができる(同様に、螺旋曲線上に配置された通電孔3であっても、直線上に配置されたものとみなすことができる場合がある)。
さらに、通電孔3c、3d、3e、3fが方眼状に配置されてもよい。
図5〜図8は、砥粒の固定状況のバリエーションを説明するものであって、それぞれ(a)は平面に展開した展開図、(b)は平面に展開した部分の断面を示す断面図である。なお、図1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、球状の砥粒を図示しているが、本発明は砥粒の形状を球状に限定するものではない。
図5〜図8に示す通電孔3は、図3において、通電孔3は、軸方向で同一位置に配置されているから、図3において螺旋曲線を3条にしたもの、あるいは、図3において、半径Rc、Rd・・・を等しくしたものに相当する(正確には、何れかの位置で、通電孔3等を軸方向の同一位置に配置したもの)。
なお、砥粒の固定状況のバリエーションは、図3に示された形態と共に、別途説明する実施の形態2〜5(図9〜12)に示された形態においても、適用することができるものである。
図5において、それぞれの通電孔3には、1個の砥粒5が固定されている。このとき、砥粒5の直径は、通電孔3の直径よりも小さい(例えば、通電孔3の直径の40〜60%)。すなわち、めっき液中に混合する砥粒の直径を通電孔3の直径よりも小さくしている。そして、砥粒5の中心と通電孔3の中心とは、通常一致するものではなく、両者の偏位量や偏位の方向は、ランダムになっている。
図6において、それぞれの通電孔3には、数個(2〜5個程度)の砥粒5が固定され、砥粒5同士も当接ないしめっきによって接合されている。このとき、砥粒5の直径は、通電孔3の略1/2よりも小さく略1/12程度より大きい。
すなわち、めっき液中に混合する砥粒の直径を前記の範囲にしているから、通電孔3毎に、固定される砥粒5の数量や相互の接合形態が相違している。
図7および図8において、それぞれの通電孔3には、多数(概ね10個程度以上)の微細(例えば、通電孔3の直径の1/12以下)な砥粒5が略同一面に配置された状態で固定され、砥粒5同士もめっきによって接合されている。すなわち、通電孔3に固定された砥粒5の表面(頂点)は略同一面に位置している。そして、めっき液中に微細な砥粒を混合して、めっき共析したものであるから、通電孔3毎に、固定される砥粒5の数量や相互の接合形態が相違している。
図8には、通電孔3に微細な砥粒5が3次元的に集積固定されたものを示している。すなわち、砥粒5の直径が例えば10μm以下、特に5μm以下である「微細」な場合であっても、砥粒5がめっき共析によって、通電孔3中にランダムに固定されることから、隙間を設けた各切断刃先を保有できる。なお、図7(単層)との相違を明確にする説明の便宜上、図8には、層状に集積固定されたものを模式的に示しているが、実際は、このような層は明りょうに形成されないものである。
さらに、図8において、絶縁層2の厚さは限定するものではなく、絶縁層を薄くしたり、後記するように(実施の形態2参照)絶縁層2を撤去したりすることによって、微細な砥粒5でありながら、突き出し量が多くなったような切断刃先が構成され、切断に耐えうる切れ味を保有することができる。
なお、かかる微細複合粒の固定は、砥粒の表面を通電できる材質にする処理(実施の形態5参照)が難しくなる、外径20μm未満、特に、10μm以下の砥粒5に対して、効果的である。
特に、微細な砥粒5であっても、通電孔3においてクラスター状に堅固に固定されるから、前記のように、チップやクーラントの排出を促進しながら、効率よく、安定した品質のウェハ等を切断することができることになる。
図9は、本発明の実施の形態2に係る砥粒付ワイヤ工具を説明するものであって、正面視の断面を拡大して示す断面図である。なお、実施の形態1(図1等)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。各図は模式的に描かれたものであって、実施の形態2は図示された形態に限定するものではなく、特に、相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
したがって、ワイヤ工具200はワイヤ工具100と同様の作用効果が得られると共に、絶縁層2が撤去されたことによって、砥粒5の突き出し量が大きくなったような切断刃先が形成されるから、切断に耐えうる切れ味を保有することができる。
なお、ワイヤ工具200は、実施の形態1で説明したワイヤ工具100における各バリエーションをとることができるものである。
図10は、本発明の実施の形態3に係る砥粒付ワイヤ工具を説明するものであって、正面視の断面を拡大して示す断面図である。なお、実施の形態1、2(図1等)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。各図は模式的に描かれたものであって、実施の形態3は図示された形態に限定するものではなく、特に、相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
このとき、ワイヤ工具200における剥き出しのワイヤ1の外周表面が、硬質の表面全体めっき6によって被覆されるから、耐摩耗性が向上に、ワイヤ切断のおそれが減少し、切断の生産性が向上する。
また、通電孔めっき4による砥粒5の固定が、表面全体めっき6によって、補強されるから、砥粒5の脱落のおそれが減少する。
さらに、表面全体めっき6を、微細砥粒、酸化セリウム微細粒子および微細ジルコンサンドの中から1種あるいは複数種が混合された複合めっき液によって形成すれば、砥粒5と協働して、耐摩耗性や切り屑の耐凝着性あるいはラッピング性を向上させる効果を併せ持ち、混合されていた微細砥粒等(めっき共析している)がウェハ等の切断に寄与するため、切断効率の向上や切断品質(切断面の肌荒れや形状変化の低減等)の向上がさらに促進される。
図11は、本発明の実施の形態4に係る砥粒付ワイヤ工具を説明するものであって、正面視の断面を拡大して示す断面図である。なお、実施の形態1(図1等)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。各図は模式的に描かれたものであって、実施の形態4は図示された形態に限定するものではなく、特に、相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
このため、ワイヤ下地めっき7に固着した通電孔めっき4によって、砥粒5は固定されるから、固定がさらに堅固になり、砥粒5の脱落するおそれがさらに減少する。
なお、予めワイヤ下地めっき7によって被覆されたワイヤ1は、実施の形態2〜3(実施の形態1に示すバリエーションを採用することができる)においても使用することができる。
図12は、本発明の実施の形態5に係る砥粒付ワイヤ工具を説明するものであって、正面視の断面を拡大して示す断面図である。なお、実施の形態1(図1等)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。各図は模式的に描かれたものであって、実施の形態5は図示された形態に限定するものではなく、特に、相対的な大きさ(厚さ)は誇張されている。
このため、砥粒5を通電孔3に固定する際、通電孔めっき4は砥粒表面の通電できる材質8に固着するから、固定がさらに堅固になり、砥粒5の脱落するおそれがさらに減少する。
なお、予め表面を通電できる材質8によって処理された砥粒5は、実施の形態2〜4(実施の形態1に示すバリエーションを採用することができる)においても使用することができる。
Claims (13)
- ワイヤと、該ワイヤの外周表面を被覆する絶縁層の複数個所に設けられた通電孔に通電孔めっきによって固定された砥粒と、を有し、前記通電孔が、同一線上に互いに隙間を空けて配置されていたことを特徴とする砥粒付ワイヤ工具。
- 前記絶縁層が撤去されていることを特徴とする請求項1記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記砥粒の表面と、前記通電孔めっきの表面と、前記砥粒の表面および前記通電孔めっきの表面を除く前記ワイヤの外周表面とが、表面全体めっきによって覆われていることを特徴とする請求項2記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 外周表面が下地めっきによって被覆されたワイヤと、該ワイヤの下地めっきの表面を被覆する絶縁層の複数個所に設けられた通電孔に通電孔めっきによって固定された砥粒と、を有し、前記通電孔が、同一線上に互いに隙間を空けて配置されていたことを特徴とする砥粒付ワイヤ工具。
- 前記絶縁層が撤去されていることを特徴とする請求項4記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記砥粒の表面と、前記通電孔めっきの表面と、前記砥粒の表面および前記通電孔めっきの表面を除く前記ワイヤの下地めっきの表面とが、表面全体めっきによって覆われていることを特徴とする請求項5記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記表面全体めっきは、微細砥粒、酸化セリウム微細粒子および微細ジルコンサンドの中から1種あるいは複数種が混合された複合めっきであることを特徴とする請求項3または6記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記隙間が、互いに隣接する何れかの一対の前記通電孔同士においても同一であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記通電孔が円形であって、前記通電孔同士の隙間が、前記円形の半径の1/3よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記通電孔が、前記ワイヤの外周表面に1条または複数条の螺旋曲線の上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記通電孔が、前記ワイヤの長手方向に平行な直線上であって、前記ワイヤの円周方向で等角配置されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の砥粒付ワイヤ工具。
- 前記通電孔のそれぞれに、1個の砥粒または集合した複数個の砥粒の塊が固定され、
前記1個の砥粒の直径または前記塊の直径が、前記通電孔の直径と同等以下であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の砥粒付ワイヤ工具。 - 前記砥粒の外周表面は、前記通電孔に固定される前に、予め表面を通電できる材質によって処理されていることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の砥粒付ワイヤ工具。
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