以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る光学系制御装置が組み込まれた撮影機器の回路構成を示すブロック図である。本実施の形態における撮影機器50は、本体部50a及び交換レンズ50bによって構成されている。本体部50aは、撮影機器50の主要な回路部分が収納された筐体であり、前面に交換レンズ50bが着脱自在に取り付けられている。交換レンズ50bのレンズ鏡筒1内には、本体部50aの撮像部52に被写体像を導く光路部61が設けられている。光路部61は、フォーカシングのためのレンズ及び絞り等を備えており、これらのレンズ及び絞りを駆動するピント機構部61a及び絞り機構部26を有する。ピント機構部61a及び絞り機構部26は駆動部64及び絞り制御部65によって夫々駆動制御されるようになっている。
次に、図2乃至図9を参照してレンズ鏡筒1について具体的に説明する。
なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
レンズ鏡筒1は、後述する複数のレンズを含むレンズ系を保持するように構成されている。図2に示すように、レンズ鏡筒1は、レンズ系の光軸を略中心軸とした筒状の外観を有している。
レンズ鏡筒1は一例として、図示しないカメラ本体に対して着脱可能に構成された、レンズ交換可能なカメラシステムにおけるいわゆる交換レンズの形態を有している。具体的には図2に示すように、レンズ鏡筒1は、基端部にバヨネット機構やねじ機構等によって、カメラ本体に係合可能に構成されたマウント部2を有している。なお、レンズ鏡筒1は、本体部50aと分離できない形態であってもよいし、またレンズ鏡筒1は、レンズ系の像側に配設された撮像部52を含む形態であってもよい。
レンズ鏡筒1は、オートフォーカスに対応した形態を有するものであって、詳しくは後述するが、レンズ系の一部のレンズを光軸に沿って進退移動させる駆動機構であるピント制御部61aを有し、該一部のレンズの移動に伴い合焦距離を変化させることが可能に構成されている。
レンズ鏡筒1の外周部には、周方向に回転可能に配設された環状のフォーカスリング3が設けられている。レンズ鏡筒1は、フォーカスリング3の回転方向及び回転速度を検出するエンコーダにより構成される操作検出部67(図1参照)を有しており、フォーカスリング3の回転方向及び回転速度の検出結果に応じて合焦距離を変化させるマニュアルフォーカス動作も可能である。なお、レンズ鏡筒1は、フォーカスリング3を備えない形態であってもよい。例えば、レンズ鏡筒1又は本体部50aに設けられた図示しないレバースイッチ、ダイヤルスイッチ又はタッチセンサ等の他の形態のインターフェースを介した使用者からの入力に応じてマニュアルフォーカス動作を行う形態であってもよい。
次に、レンズ鏡筒1が保持するレンズ系について説明する。図3は、合焦距離を無限遠とした状態(無限遠合焦時、最小倍率時)のレンズ鏡筒1の断面図である。図4は、合焦距離も最短にした状態(最短合焦時、最大倍率時)のレンズ鏡筒1の断面図である。図3及び図4において、図面に正対して左側が物体側であり、右方向が像側である。図中の矢印Oは、物体側を示し、矢印Iは像側を示している。
レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、第1レンズ群21、第2レンズ群22、第3レンズ群23、第4レンズ群24及び第5レンズ群の5つのレンズ群を有して構成されている。また、第2レンズ群22と第3レンズ群23との間には、絞り機構部26が配設されている。
第1レンズ群21は、物体側固定レンズ群であり、正の屈折力を有する。第1レンズ群21は、両凸正レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、両凹負レンズ、及び物体側に凸面を向けた平凸正レンズが物体側から像側に順に配設されて構成されている。
第2レンズ群22は、第1のフォーカシングレンズ群であり、負の屈折力を有する。第2レンズ群22は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、及び両凹負レンズと物体側に凸面を向けた平凸正レンズとの接合レンズが物体側から像側に順に配設されて構成されている。
第3レンズ群23は、第2のフォーカシングレンズ群であり、正の屈折力を有する。第3レンズ群23は、両凸正レンズ、及び両凸正レンズと両凹負レンズとの接合レンズが物体側から像側に順に配設されて構成されている。
第4レンズ群24は、ウォブリングレンズ群であり、負の屈折力を有する。第4レンズ群24は、1枚の両凹負レンズによって構成されている。第5レンズ群25は、像側レンズ群であり、負の屈折力を有する。第5レンズ群25は、像側固定レンズ群であり、両凹負レンズと両凸正レンズとの接合レンズによって構成されている。
レンズ系は、インナーフォーカス式の形態を有し、最も物体側に配設された第1レンズ群21の位置が固定されており、フォーカシング動作として第2レンズ群22及び第3レンズ群23を光軸方向に移動することによって合焦距離を変化させるように構成されている。第2レンズ群22及び第3レンズ群23は、独立して光軸方向に移動可能である。
レンズ系のフォーカシング動作において、光学系が無限遠から最短合焦距離へと合焦距離を変化させる場合には、第2レンズ群22は、第1レンズ群21との間隔を広げ、絞り機構部26との間隔を狭めながら、像側へ移動する。また、光学系が無限遠から最短合焦距離へと合焦距離を変化させる場合には、第3レンズ群23は、絞り機構部26との間隔を狭め、第4レンズ群24との間隔を広げながら、物体側へ移動する。なお、レンズ鏡筒1における、第2レンズ群22及び第3レンズ群23を光軸方向に移動させる構成については後述するものとする。
また、レンズ系は、第4レンズ群24がウォブリング動作として光軸方向に微少の振幅で振動するように構成されている。レンズ系のウォブリング動作において、第4レンズ群24は、所定の振幅で光軸方向に振動する。第4レンズ群24の移動の情報と、第4レンズ群24の移動による結像面上の結像状態の変化の情報とに基づき、レンズ鏡筒1を有するカメラ本体は、いわゆる山登り式のコントラスト検出式オートフォーカス動作における、第2レンズ群22及び第3レンズ群23の移動方向及び移動量を算出することが可能となる。なお、レンズ鏡筒1における、第4レンズ群24を光軸方向に移動させる構成については後述するものとする。
そして、レンズ系は、最も像側に配設された第5レンズ群25の位置が固定されている。また、絞り機構部26は、位置が固定されている。
以上のように、本実施形態のレンズ鏡筒1が保持するレンズ系は、ウォブリング動作用のレンズとして小径で軽量な単一のレンズからなる第4レンズ群24を設け、独立して移動するフローティング状の第2レンズ群23及び第3レンズ群24を、第1及び第2のフォーカシングレンズ群とした構成を有している。このような構成により、レンズ鏡筒1による合焦動作時には、まず軽量な第4レンズ群24によって、ウォブリング動作を行うため、ウォブリング動作を素早くかつ静かに行うことが可能である。この結果ウォブリング動作に基づいて、比較的重い複数のレンズからなる第2レンズ群25及び第3レンズ群23を、フォーカスの合う的確な方向に駆動することによって、素早くフォーカシング動作を完了することができる。
次に、前述したレンズ系を保持するレンズ鏡筒1の構成について説明する。
図3及び図4に示すように、レンズ鏡筒1は、第1レンズ群21、第2レンズ群22、第3レンズ群23、第4レンズ群24及び第5レンズ群25をそれぞれ保持する、第1固定レンズ保持枠11、第1移動レンズ保持枠12、第2移動レンズ保持枠13、第3移動レンズ保持枠14及び第2固定レンズ保持枠15を有して構成されている。また、レンズ鏡筒1は、マウント部2、固定枠10及び外装部材4を有して構成されている。
固定枠10は、第1固定レンズ保持枠11、第1移動レンズ保持枠12、第2移動レンズ保持枠13、第3移動レンズ保持枠14、第2固定レンズ保持枠15及び絞り機構部26を支持するように構成された略筒形状の枠部材である。詳しくは後述するが、第1固定レンズ保持枠11、第2固定レンズ保持枠15及び絞り機構部26は、固定枠10に対して所定の位置に固定されている。また、第1移動レンズ保持枠12、第2移動レンズ保持枠13及び第3移動レンズ保持枠14は、固定枠10内において、光軸方向に移動可能に支持されている。
また、図5に示すように、固定枠10は、第1移動レンズ保持枠12を駆動するための第1駆動機構部32、第2移動レンズ保持枠13を駆動するための第2駆動機構部33及び第3移動レンズ保持枠14を駆動するための第3駆動機構部34も支持するように構成されている。なお、これらの第1乃至第3駆動機構部32〜34は、図1の駆動部64に相当する。
このように、レンズ鏡筒1は、全てのレンズ系を保持する第1固定レンズ保持枠11、第1移動レンズ保持枠12、第2移動レンズ保持枠13、第3移動レンズ保持枠14及び第2固定レンズ保持枠15と、絞り機構部26と、レンズを駆動する第1乃至第3駆動機構部32〜34が、単一の部材である固定枠10によって支持されるように構成されている。この、固定枠10と、固定枠10によって支持された全てのレンズ系と該レンズ系を駆動するための機構とからなるユニットを光学系ユニット5と称するものとする。
固定枠10は、一つ又は複数の部材からなる固定枠10の周囲を囲う略円筒形状の外装部材4内に収容され、マウント部2に対して所定の位置に固定されている。
図3及び図4に示すように、固定枠10の物体側の端部近傍の外周と外装部材4との間には、両者に密接するシール部材4aが配設されている。また、図示しないが、外装部材4の像側の端部の内周とマウント部2との間にも両者に密接するシール部材が配設されている。したがって、固定枠10(光学系ユニット5)の外周部は、第1レンズ群21及び第5レンズ群25が露出する光軸方向の両端の開口部を除き、外装部材4、マウント部2及びシール部材によって水密に覆われている。
すなわち、レンズ鏡筒1は、光学系ユニット5内への液体や塵埃の侵入を防止する、いわゆる防滴・防塵構造を有している。また、このように、レンズ系を駆動するための機構を有する光学系ユニット5を、外装部材4、マウント部2及びシール部材によって覆うことによって、光学系ユニット5の作動音がレンズ鏡筒1の外部に漏れることを防止することができる。
そして、図5に示すように、固定枠10は、全てのレンズ系と該レンズ系を駆動するための機構を支持した光学系ユニット5の状態のままで、外装部材4及びマウント部2から取り外すことが可能である。
レンズ鏡筒1は、このように単一の部材である固定枠10によって、全てのレンズ系と該レンズ系を駆動するための機構を支持された光学系ユニット5を有することによって、組み立て及び調整の作業を容易に行うことができる。例えば、単一の部材である固定枠10に、全てのレンズ系と該レンズ系を駆動するための機構の相対的な位置を調整しながら組み付ける作業は、複数の部材からなる枠部材に全てのレンズ系と該レンズ系を駆動するための機構の相対的な位置を調整しながら組み付ける作業よりも、容易である。また、光学系ユニット5は、レンズ鏡筒1の光学的な性能に関する全ての部材を含むものであることから、レンズ鏡筒1全体の組み立て作業とは異なる行程で光学系ユニット5を所定の性能を有するように組み立てておけば、レンズ鏡筒1全体の組み立て作業を簡素化することが可能である。
また、光学系ユニット5は、単一の部材である略筒形状の固定枠10の光軸方向の両端に、固定枠10に対して位置が固定された第1レンズ群21及び第5レンズ群25を保持している。すなわち、略筒形状の固定枠10の両端の開口部は、位置が固定された第1レンズ群21及び第5レンズ群25によって塞がれている。
このように、固定枠10の光軸方向の両端に位置が固定された第1レンズ群21及び第5レンズ群25を配設することにより、光学系ユニット5の光軸方向の両端部から光学系ユニット5内に液体や塵埃が入り込むことを防止することができる。
また、固定枠10が単一の部材であることから、光学系ユニット5の全長は変化することがない。このような、光軸方向の両端部が固定されたレンズによって塞がれており、全長に変化のない光学系ユニット5の内部への液体や塵埃の侵入の防止は、前述のように、外周を外装部材4、マウント部2及びシール部材によって囲う単純な構成で容易に実現することが可能である。
次に、光学系ユニット5の詳細な構成について説明する。
図6は、固定枠10から、第1固定レンズ保持枠11、第1駆動機構部32、第2駆動機構部33及び第3駆動機構部34を取り外した状態を示している。図7は、第1固定レンズ保持枠11が取り外された状態の固定枠10を、光軸に沿って物体側から見た図である。
第1固定レンズ保持枠11は、第1レンズ群21を保持する略筒状の枠部材であり、固定枠10の物体側端部10aに、複数のネジ11aによって固定される。ネジ11aは、固定枠10に設けられた複数のネジ穴10bに螺合する。
図6に一例として示すように、本実施形態の光学系ユニット5は、第1駆動機構部32、第2駆動機構部33及び第3駆動機構部34を、固定枠10に対して固定枠10の外から取り付け可能である。詳しくは後述するが、第1駆動機構部32、第2駆動機構部33及び第3駆動機構部34は、それぞれ回転する出力軸を有する電動モータ32a、33a及び34aを具備して構成されている。また、絞り機構部26は、絞りを駆動するための電動モータである絞り駆動モータ26aを具備して構成されている。
すなわち光学系ユニット5には、4つの電動モータが配設されている。そして、図7に示すように、これらの4つの電動モータである、電動モータ32a、33a及び34aと絞り駆動モータ26aを、光学系ユニット5の外周部において、光軸に沿う方向から見た場合に互いに重ならないように周方向に分散して配置している。光軸に直交する平面への投影面積が比較的大きな電動モータ32a、33a及び34aと絞り駆動モータ26aを、光軸に沿う方向から見た場合に互いに重ならないように周方向に分散して配置することによって、複数の電動モータを具備して構成されるレンズ鏡筒1の大径化を防止することができる。
図6に示すように、第1駆動機構部32は、回転する出力軸を有する電動モータ32a、電動モータ32aの出力軸とともに回動可能に設けられたスクリュー32b、スクリュー32bに螺合するナット32c、及び電動モータ32a及びスクリュー32bを支持する支持部32dを有して構成されている。
固定枠10の外周部には、第1駆動機構部32を収容するための貫通孔である開口部10cが形成されている。また、固定枠10の近傍には、複数のネジ32eが螺合する複数のネジ穴10dが形成されている。第1駆動機構部32の支持部32dは、複数のネジ32eによって外側から固定枠10に固定される。支持部32dが固定枠10に固定された状態において、電動モータ32a、スクリュー32b及びナット32cは、開口部10cを介して固定枠10の内側に位置する。また、支持部32dが固定枠10に固定された状態において、スクリュー32bの回転軸は、光軸と略平行となる。
ナット32cは、支持部32dが固定枠10に固定された状態において、スクリュー32bの回転軸周りの回転が規制されている。ナット32cは、支持部32d、固定枠10又は第1移動レンズ保持枠12と接することによって、その回転が規制される。ナット32cの回転を規制する構成は特に限定されるものではない。ナット32cは、回転が規制されていることにより、スクリュー32bの回転に伴って光軸に沿う方向に直線的に移動する。すなわち、第1駆動機構部32は、電動モータ32aの回転運動を、ナット32cの直線運動に変換する機構を有している。
ナット32cは、固定枠10内において光軸方向に移動可能に支持された後述する第1移動レンズ保持枠12のナット係合部12aと係合することにより、第1移動レンズ保持枠12を光軸に沿って少なくとも物体側に向かって押すことが可能に配設されている。
第2駆動機構部33は、第1駆動機構部32と同様に、回転する出力軸を有する電動モータ33a、電動モータ33aの出力軸とともに回動可能に設けられたスクリュー33b、スクリュー33bに螺合するナット33c、及び電動モータ33a及びスクリュー33bを支持する支持部33dを有して構成されている。
第2駆動機構部33は、固定枠10の複数のネジ穴10fに螺合する複数のネジ33eによって外側から固定枠10に固定され、固定枠10の外周部に設けられた開口部10eを介して固定枠10の内側に収容される。ここで、支持部33dが固定枠10に固定された状態において、スクリュー33bの回転軸は、光軸と略平行である。
第2駆動機構部33のナット33cは、固定枠10内において光軸方向に移動可能に支持された後述する第2移動レンズ保持枠13のナット係合部13aと係合することにより、第2移動レンズ保持枠13を光軸に沿って少なくとも物体側に向かって押すことが可能に配設されている。
また、第3駆動機構部34も、第1駆動機構部32と同様に回転する出力軸を有する電動モータ34a、電動モータの出力軸とともに回動可能に設けられたスクリュー34b、スクリューに螺合するナット34c、及び電動モータ34a及びスクリューを支持する支持部34dを有して構成されている。そして、第3駆動機構部34は、支持部34dがネジ34eによって、外側から固定枠10に固定され、固定枠10の外周部に設けられた図示しない開口部を介して固定枠10の内側に収容される。ここで、支持部が固定枠10に固定された状態において、スクリュー34bの回転軸は、光軸と略平行となる。
第3駆動機構部34のナット34cは、固定枠10内において光軸方向に移動可能に支持された後述する第3移動レンズ保持枠14のナット係合部14aと係合することにより、第3移動レンズ保持枠14を光軸に沿って少なくとも像側に向かって押すことが可能に配設されている。
以上のように、第1駆動機構部32、第2駆動機構部33及び第3駆動機構部44を、それぞれが組み立てられた状態で固定枠10の外側から、固定枠10に組み付けることが可能である。このように、複数の部品からなる第1駆動機構部32、第2駆動機構部33及び第3駆動機構部44を、予め組み立てたユニット状態としておき、これらを固定枠10の外側から固定可能とすることにより、光学系ユニット5の組み立て作業を容易に行うことが可能となる。
次に、固定枠10内において、光軸方向に移動可能に支持された第1移動レンズ保持枠12、第2移動レンズ保持枠13及び第3移動レンズ保持枠14の構成について説明する。図8は、図7のVII-VII断面図であり、第1移動レンズ保持枠12及び第3移動レンズ保持枠14の支持機構について説明する図である。図9は、図7のVIII-VIII断面図であり、第2移動レンズ保持枠13の支持機構について説明する図である。また、図10は、図8のXIV-XIV断面図である。
固定枠10内には、図7に示すように、4本の直線状の丸軸状(円柱形状)の部材である第1案内軸41、第2案内軸42、第3案内軸43及び第4案内軸44が、固定枠10の内周面近傍に配設されている。これらの第1案内軸41、第2案内軸42、第3案内軸43及び第4案内軸44は、それぞれ光軸に対して略平行となるように固定されている。
これらの4本の案内軸のうち、一対の第1案内軸41及び第2案内軸42は、光軸に関して略軸対称となる位置に配設されており、また他の一対の第3案内軸43及び第4案内軸44も、光軸に関して略軸対称となる位置に配設されている。
具体的には、図8に示すように、一対の第1案内軸41及び第2案内軸42は、物体側の端部が固定枠10の内面に形成された穴10g及び10h内に嵌合しており、像側の端部が固定枠10に固定された第2固定レンズ保持枠15に形成された穴15g及び15h内に嵌合することによって、固定枠10内に固定されている。
また、図9に示すように、一対の第3案内軸43及び第4案内軸44は、物体側の端部が固定枠10に形成された穴10i及び10k内に嵌合しており、像側の端部が固定枠10に固定された第2固定レンズ保持枠15に形成された穴15i及び15k内に嵌合することによって、固定枠10内に固定されている。
第1移動レンズ保持枠12及び第3移動レンズ保持枠14は、一対の第1案内軸41及び第2案内軸42に沿って摺動し、光軸に略平行に案内されるように構成されている。また、第2移動レンズ保持枠13は、一対の第3案内軸43及び第4案内軸44に沿って摺動し、光軸に略平行に案内されるように構成されている。
そして、図6に示すように、フランジ部12cには、上述した第1駆動機構部32のナット32cと係合するナット係合部12aが形成されている。フランジ部12cに形成されたナット係合部12aは、ナット32cが当該ナット係合部12aを光軸に沿って物体側に向かって押圧可能に構成された部位である。言い換えれば、ナット係合部12aは、ナット32cに対して、少なくとも光軸に沿って物体側から当接するように構成されている。
また、第1移動レンズ保持枠12のナット係合部12aには、ナット係合部12aをナット32cに向かって付勢する図示しない引っ張りコイルバネが設けられている。この引っ張りコイルバネの付勢力によって、ナット32cとスクリュー32bとの間のバックラッシが除去され、かつ第1移動レンズ保持枠12がナット32cの移動に追従する。こうして、第1移動レンズ保持枠12は、第1駆動機構部32によって、光軸方向に駆動される。
第2移動レンズ保持枠13は、図9に示すように、一対の第3案内軸43及び第4案内軸44に沿って摺動し、光軸に略平行に案内されるように構成されている。そして、図6に示すように、フランジ部13cには、上述した第2駆動機構部33のナット33cと係合するナット係合部13aが形成されている。フランジ部13cに形成されたナット係合部13aは、ナット33cが当該ナット係合部13aを光軸に沿って物体側に向かって押圧可能に構成された部位である。言い換えれば、ナット係合部13aは、ナット33cに対して、少なくとも光軸に沿って物体側から当接するように構成されている。
第2移動レンズ保持枠13のナット係合部13aには、ナット係合部13aをナット33cに向かって付勢する図示しない引っ張りコイルバネが設けられている。この引っ張りコイルバネの付勢力によって、ナット33cとスクリュー33bとの間のバックラッシが除去され、かつ第2移動レンズ保持枠13がナット33cの移動に追従する。こうして、第2移動レンズ保持枠13は、第2駆動機構部33によって、光軸方向に駆動される。
また、図10に示すように、第1移動レンズ保持枠12の保持部12bの外周部には、径方向外側に向かって突出するドグ12iが形成されている。ドグ12iは、図14に示すように、固定枠10に固定されたフォトインタラプタ10nの検出範囲に進退可能に配設されている。レンズ鏡筒1は、フォトインタラプタ10nによるドグ12iの検出結果に基づいて、第1駆動機構部32の電動モータ32aの初期位置を検出することが可能に構成されている。
また、第2移動レンズ保持枠13の円筒形状部13kの物体側の端部近傍には、突出するドグ(図示省略)が形成されている。このドグは、固定枠10に固定された図示しないフォトインタラプタの検出範囲に進退可能に配設されている。レンズ鏡筒1は、フォトインタラプタによるドグの検出結果に基づいて、第2駆動機構部33の電動モータ33aの初期位置を検出することが可能に構成されている。
図11は上述した各レンズ群の位置検出の手法を説明するための説明図である。図11(a)は無限遠合焦時における各レンズ群の位置を示し、図11(b)は最短(至近)合焦時における各レンズ群の位置を示している。
上述したように、固定枠10には、第1駆動機構部32を構成する電動モータ32aが取り付けられており、電動モータ32aの出力軸はスクリュー32bに連結され、スクリュー32bの回転によって、第1移動レンズ保持枠12が光軸方向に進退駆動されるようになっている。こうして、第1移動レンズ保持枠12に取り付けられた第2レンズ群22は、電動モータ32aの回転に応じて光軸方向に移動するようになっている。
また、固定枠10には、第2駆動機構部33を構成する電動モータ33aが取り付けられており、電動モータ33aの出力軸はスクリュー33bに連結され、スクリュー33bの回転によって、第2移動レンズ保持枠13が光軸方向に進退駆動されるようになっている。こうして、第2移動レンズ保持枠13に取り付けられた第3レンズ群23は、電動モータ33aの回転に応じて光軸方向に移動するようになっている。
また、固定枠10には、第3駆動機構部34を構成する電動モータ34aが取り付けられており、電動モータ34aの出力軸はスクリュー34bに連結され、スクリュー34bの回転によって、第3移動レンズ保持枠14が光軸方向に進退駆動されるようになっている。こうして、第3移動レンズ保持枠14に取り付けられた第4レンズ群24は、電動モータ34aの回転に応じてウォブリング動作するようになっている。
なお、電動モータ32a,33aとしては、例えばステッピングモータを採用することができ、これらの電動モータ32a,33aに1つの駆動パルスを印加した場合、1つの駆動パルスでレンズ群22,23が光軸方向に移動する移動量は、スクリュー32b,33bのピッチにより決まる。
フォーカス制御を行うためには、各レンズ群22,23の光軸方向の位置(以下、群位置という)を把握する必要がある。交換レンズ50bの制御部63が群位置を把握するために、初期位置検出部66が設けられている。初期位置検出部66は各レンズ群22,23の初期位置への移動を検出する。各レンズ群が初期位置に到達したことが検出されると、以後、電動モータ32a,33aに印加する駆動パルスのパルス数によってレンズ群22,23の位置を特定することができる。
図11の例では、初期位置検出部66は、フォトインタラプタ10n,10kによって構成される。なお、図12はフォトインタラプタ10n,10kを説明するための説明図である。
図12に示すように、フォトインタラプタ10n,10kは、同一構成で有り、いずれも発光部Ha及び受光部Hbを有する。フォトインタラプタ10n,10kは、発光部Haと受光部Hbとの間の物体による遮光の有無によって、位置を検出する。例えば、フォトインタラプタ10nの発光部Ha及び受光部Hb相互間に第1移動レンズ保持枠12が介在した場合には、フォトインタラプタ10nの出力はローレベル(以下、Lレベルという)となり、介在しない場合には、ハイレベル(以下、Hレベルという)となる。同様に、フォトインタラプタ10kの発光部Ha及び受光部Hb相互間に第2移動レンズ保持枠13が介在した場合には、フォトインタラプタ10kの出力はLレベルとなり、介在しない場合には、Hレベルとなる。
従って、フォトインタラプタ10n,10kの光軸上の位置を規定することで、フォトインタラプタ10n,10kの出力の変化点によって、第1及び第2移動レンズ保持枠12,13の光軸上の位置、即ち、第2レンズ群22及び第3レンズ群23の光軸上の位置を判定することができる。
図1において、操作検出部67は、フォーカスリング3に対するユーザ操作を検出して検出結果を制御部63に出力する。制御部63は、マイコン等によって構成されており、操作検出部67の検出結果及び後述する本体部50aの信号処理及び制御部51からの信号に基づいて、各部を制御する。制御部63の駆動制御部63aは、操作検出部67の検出結果及び信号処理及び制御部51の制御に従って各種制御信号を発生する。例えば、駆動制御部63aは、フォーカス信号を発生して、駆動部64を制御すると共に、絞り制御信号を発生して、絞り制御部65を制御する。なお、駆動制御部63aは、合焦動作だけでなく収差補正も加味してレンズ群22,23を駆動する。
駆動部64は、フォーカス信号に基づいてピント機構部61aを駆動制御する。なお、ピント機構部61aは、第2レンズ群22及び第3レンズ群23を光軸方向に進退駆動する第1駆動機構部32及び第2駆動機構部33によって構成される。また、絞り制御部65は、絞り制御信号に基づいて絞り機構部26を駆動制御する。制御部63は、初期位置検出部66の検出結果が与えられ、フォーカスリング3の操作に対応したピント位置、絞り状態となるように駆動部64及び絞り制御部65を制御する。
本実施の形態においては、レンズ群22,23を初期位置に位置させるために、制御部63にはリセット部63bが設けられている。リセット部63bは、駆動部64を制御して、レンズ群22,23を初期位置に位置させてレンズ群22,23の初期位置を設定するものであり、電源オフ時において、レンズ群22,23を初期位置に対応した初期停止位置に停止させると共に、電源オン時等において、レンズ群22,23を初期位置に位置させる。なお、リセット動作について後述する。
交換レンズ50bには、通信部68が設けられている。また、本体部50aには通信部53が設けられている。通信部68は、所定の伝送路を介して本体部50aの通信部53との間で情報の送受を行う。制御部63は、本体部50aの通信部53との間の通信が確立すると、図示しないメモリに格納したレンズ情報及びズーム操作に関するズーム情報等を通信部68,53によって本体部50aに送信させることができる。
レンズ情報により、本体部50aは、交換レンズ50bの焦点距離範囲(倍率)、焦点距離、明るさナンバー等を認識することができる。また、制御部63は、操作検出部67の検出結果の情報も本体部50aに送信することができる。また、制御部63は、ピント位置、絞り状態等の情報を本体部50aに送信することもできる。制御部63は、通信部53,68を介して本体部50aの信号処理及び制御部51から制御信号が供給されて、信号処理及び制御部51によって制御可能に構成されている。
撮影機器50を構成する本体部50aは、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子によって構成された撮像部52を有している。撮像部52は、本体部50aの前面に設けられた交換レンズ50bからの被写体像を光電変換して撮影画像を得る。撮像部52は、信号処理及び制御部51によって駆動制御されて、撮影画像を出力する。
信号処理及び制御部51は、CPU等によって構成されて撮影機器50の各部を制御する。信号処理及び制御部51は、撮像部52に撮像素子の駆動信号を出力すると共に、撮像部52からの撮影画像を読み出す。信号処理及び制御部51は、読み出した撮影画像に対して、所定の信号処理、例えば、色調整処理、マトリックス変換処理、ノイズ除去処理、その他各種の信号処理を行う。
本体部50aには、時計部54及び操作判定部55も配設されている。時計部54は信号処理及び制御部51が用いる時間情報を発生する。操作判定部55は、本体部50aに設けられた図示しないレリーズボタン、ファンクションボタン、撮影モード設定等の各種スイッチ等を含む操作部に対するユーザ操作に基づく操作信号を発生して、信号処理及び制御部51に出力するようになっている。信号処理及び制御部51は、操作信号に基づいて、各部を制御する。
信号処理及び制御部51は、信号処理後の撮影画像を圧縮処理し、圧縮後の画像を記録部56に与えて記録させることができる。記録部56としては、例えばカードインターフェースを採用することができ、記録部56はメモリカード等の記録媒体に画像情報及び音声情報等を記録可能である。
信号処理及び制御部51の表示制御部51aは表示に関する各種処理を実行する。表示制御部51aは、信号処理後の撮影画像を表示部75に与えることができる。表示部75は、LCD等の表示画面を有しており、表示制御部51aから与えられた画像を表示する。また、表示制御部51aは、各種メニュー表示等をこれらの表示画面に表示させることもできるようになっている。
信号処理及び制御部51のレンズ状態取得部51bは、制御部63からのレンズ情報に基づいて、レンズ状態を取得する。操作情報取得部51cは、操作検出部67の検出結果に基づく操作情報が制御部63から供給される。
信号処理及び制御部51は、撮像部52からの撮像画像のコントラストを判定して判定結果を得る。光学系制御部51dは、コントラストの判定結果に基づくオートフォーカス制御、自動露出制御等が可能であり、また、本体部10に対するユーザ操作に基づいてフォーカス制御及び絞り制御等の光学系の制御情報を生成して、交換レンズ50bの制御部63に送信することができる。制御部63は、本体部50aの操作によっても、フォーカス制御、絞り制御等が可能である。
表示部75の表示画面上には、タッチパネル76が設けられている。タッチパネル76は、ユーザが指で指し示した表示画面上の位置に応じた操作信号を発生することができる。この操作信号は、信号処理及び制御部51に供給される。これにより、信号処理及び制御部51は、ユーザが表示画面上をタッチしたりスライドさせたりした場合には、ユーザのタッチ位置、指を離間させる操作、スライド操作やスライド操作によって到達した位置、スライド方向、タッチしている期間等の各種操作を検出することができ、ユーザ操作に対応した処理を実行することができるようになっている。
次に、交換レンズ50bの制御部63内のリセット部63b及び駆動制御部63aによるリセット動作について説明する。
図13は初期位置及び初期停止位置の位置関係を示す説明図である。図11に示すように、合焦範囲内では、レンズ群22は、無限遠合焦時において最も物体側に位置し、最短(至近)合焦時において最も像側に位置する。逆に、レンズ群23は、合焦範囲内では、無限遠合焦時において最も像側に位置し、最短(至近)合焦時において最も物体側に位置する。即ち、レンズ群22,23の合焦時における位置関係は相互に対称的である。
図13は水平方向に合焦位置を示しており、紙面に向かって左側が無限遠方向であり、右側が至近方向である。レンズ群22については無限遠方向が物体側、至近方向が像側であり、レンズ群23については無限遠方向が像側、至近方向が物体側である。
図13においては、無限遠合焦時におけるレンズ群22,23の位置を光学無限位置とし、この光学無限位置よりも無限遠方向に、各レンズ群22,23の物理的な移動限界位置が存在する。上述したように、各レンズ群の群位置を把握するために、電源投入時等においては各レンズ群を初期位置に移動させる。また、撮影開始時等においては、比較的高い頻度で各レンズ群22,23を光学無限位置に移動させることがある。そこで、初期位置を光学無限位置に近接させることで、電源投入時等において各レンズ群を短時間に光学無限位置に移動させることができる。なお、光学無限位置と物理的な移動限界位置との間の距離は比較的短く、初期位置を光学無限位置と物理的な移動限界位置との間に設定すると、各レンズ群は物理的な移動限界位置において物理的に衝突する可能性が増加するので、初期位置は光学無限位置から至近方向に設ける。
レンズ群22が初期位置に到達するタイミングで、フォトインタラプタ10nの出力レベルが変化し、レンズ群23が初期位置に到達するタイミングで、フォトインタラプタ10kの出力レベルが変化するようになっている。レンズ群22,23が初期位置よりも無限遠方向に位置する場合には、フォトインタラプタ10n,10kの出力はLレベルであり、初期位置よりも至近方向に位置する場合には、フォトインタラプタ10n,10kの出力はHレベルである。リセット部63bは、初期位置検出部66を構成するフォトインタラプタ10n,10kの出力の変化によって、各レンズ群22,23が初期位置に到達したことの検出(以下、初期位置の検出という)を行うことができる。
本実施の形態においては、電源投入時等において各レンズ群22,23の位置を初期位置に移動させて各レンズ群22,23の位置をリセットする動作(以下、リセット動作という)を短時間で行うために、リセット部63bは、電源オフ時においてレンズ群22,23を初期位置近傍の初期停止位置で停止させる。バックラッシを考慮すると、高精度に初期位置の検出を行うためには、レンズ群22,23を夫々一方向へ移動させながら初期位置の検出を行った方がよく、本実施の形態においては、リセット部63bは、至近方向から無限遠方向に各レンズ群22,23を移動させながら、初期位置の検出を行う。従って、初期停止位置は、初期位置近傍であって、初期位置の至近方向に設定した方がよい。
また、電源オフ時においてレンズ群22,23の位置が不定となることを考慮すると、光学無限位置、初期位置及び初期停止位置は、近接しすぎない方がよい。各レンズ群22,23の光軸方向の移動量は、夫々電動モータ32a,33aに供給される駆動パルスのパルス数に比例するので、光軸方向の距離をパルス数によって表すことができる。例えば、各レンズ群22,23の合焦範囲における移動量が数万パルスであるものとすると、物理的な移動限界位置と光学無限位置との間の距離は数十分の1のパルス位置という片側に偏っているので、衝突なども注意しながらの位置合わせが必要である。なお、光学無限位置と初期位置との間の距離も、初期位置と初期停止位置との間の距離も、合焦範囲の全移動パルス量と比べるとはるかに小さく、正確な制御が必要である。
電源投入時において、レンズ群22,23が初期停止位置近傍に位置する場合には、比較的少ないパルス数を電動モータ32a,33aに供給することで、レンズ群22,23を初期位置まで移動させることができる。これにより、本実施の形態においては、レンズ群22,23を比較的低速に移動させた場合でも、短時間でリセット動作を行うことができる。
しかし、電源オフ時において、レンズ群22,23が比較的大きく移動することも考えられる。そこで、本実施の形態においては、レンズの停止位置に応じてリセット動作におけるレンズ群の移動速度を変化させることで、初期位置の検出を短時間に行うようになっている。
図14は図13と同様の表示方法によって、このようなリセット動作を説明するための説明図である。なお、図14において狭幅の矢印はレンズ群22,23を比較的低速で移動させることを示しており、広幅の矢印はレンズ群22,23を比較的高速で移動させることを示している。なお、高速移動時には、移動開始及び停止時や向きを反転させる場合には、速度を低速にする制御が行われるが、この制御については無視して説明する。
いま、電源投入時におけるレンズ群22,23の実際の停止位置が、リセット動作例Aに示すように、初期停止位置近傍であるものとする。電源投入時点においては、レンズ群22,23の群位置は不明であるが、本実施の形態においては、リセット部63bは、駆動部64を制御して、レンズ群22,23を夫々無限遠方向に低速で移動させる。即ち、低速駆動及び高速駆動のうち低速駆動を優先的に採用する。
フォトインタラプタ10n,10kの検出周期に対して、レンズ群22,23の移動速度を十分に低速にすることによって、リセット部63bは、フォトインタラプタ10n,10kの出力が反転するタイミング、即ち、レンズ群22,23が初期位置に到達するタイミングを正確に検出することができる。リセット部63bはこのタイミングを駆動制御部63aに指示する。駆動制御部63aは、このタイミングによってレンズ群22,23の群位置をリセットし、以降に発生するパルス数によってレンズ群22,23の群位置を認識する。
なお、本実施の形態においては、低速とは、フォトインタラプタ10n,10kの出力の変化時を検出可能な速度のことであり、例えば、合焦範囲の全移動を10秒程度で行う速度をいう。
リセット部63bは、初期位置と初期停止位置との間の距離を初期ずれ距離として、電源投入後にレンズ群22,23を初期ずれ距離よりも大きい距離、例えば、初期ずれ距離の3割程度大きい距離(以下、規定低速距離という)だけ低速で移動させることにより、実際の停止位置が初期停止位置から若干ずれた場合でも、低速でのリセット動作を可能にする。即ち、実際の停止位置が初期位置から規定低速距離以内で至近方向に位置する場合には、低速駆動によって、短時間にリセット動作が可能である。
次に、電源投入時におけるレンズ群22,23の実際の停止位置が、リセット動作例Bに示すように、初期停止位置から比較的大きくずれているものとする。この場合には、リセット部63bは、レンズ群22,23を規定低速距離だけ低速で移動させても初期位置に到達していないことを、フォトインタラプタ10n,10kの出力によって認識する。リセット部63bは、レンズ群22,23を規定低速距離だけ低速で移動させた後、図14のb1の矢印に示すように、レンズ群22,23を高速で無限遠方向に移動させる。これにより、実際の停止位置から初期位置までの距離が比較的大きい場合でも、比較的短時間にレンズ群22,23を初期位置に到達させることができる。なお、本実施の形態においては、高速として、例えば、低速の数倍程度の速度を採用することができる。
リセット部63bは、フォトインタラプタ10n,10kの出力によって、レンズ群22,23が初期位置に到達したことを検出することができる。この場合には、レンズ群22,23は比較的高速に移動していることから、リセット部63bがフォトインタラプタ10n,10kの出力の反転を検出した時点では、既にレンズ群22,23は初期位置を通り越して無限遠方向に進んでいる可能性がある。
そこで、リセット部63bは、フォトインタラプタ10n,10kの出力の反転を検出すると、レンズ群22,23を停止させ、移動方向を至近側に切換えて高速移動させる(図14のb2)。高速移動させる場合であっても、リセット部63bは、レンズ群22,23が初期位置を通過するだいたいのタイミングについては認識可能である。リセット部63bは、高速移動によって検出した初期位置を仮の初期位置に設定して、レンズ群22,23が初期位置よりも確実に至近側に位置するように、レンズ群22,23の駆動を制御する。
こうして、レンズ群22,23が例えば初期停止位置近傍に到達すると、リセット部63bは、図14のb3の矢印に示すように、レンズ群22,23を再度、無限遠方向に移動させる。この場合には、リセット部63bは、リセット動作例Aと同様に、レンズ群22,23を低速で移動させる。これによりレンズ群22,23が初期位置に到達すると、リセット部63bは、レンズ群22,23が初期位置に到達するタイミングを正確に検出することができる。
なお、上記説明では、実際の停止位置が初期位置よりも至近側にあるものとして説明した。電源投入時においても、リセット部63bは、フォトインタラプタ10n,10kの出力から、レンズ群22,23が初期位置よりも無限遠方向に位置するか至近方向に位置するかを認識可能である。電源投入時において実際の停止位置が初期位置よりも無限側にある場合には、リセット部63bは、図14のb2,b3のように、リセット動作例Bの至近方向への移動制御以降と同様の動作によって、リセット動作を行えばよい。
電源投入時におけるレンズ位置に拘わらず、リセット動作例Bのように、高速駆動によって規定の位置まで移動させた後低速駆動によって初期位置を検出することも可能である。しかし、レンズが初期位置近傍に位置する場合には、リセット動作例Aのように、低速駆動による初期位置の検出を優先させた方が、リセット動作に要する時間をより一層短縮することができる。特に、電源遮断時において、レンズ群を初期位置近傍で停止させており、低速及び高速駆動のうち低速駆動を優先的に採用することによって、効果的にリセット動作に要する時間の短縮が可能である。
また、図14ではレンズ群22,23において、光学無限位置、初期位置、初期停止位置の位置関係及び規定低速距離を共通の設定にする例について説明したが、レンズ群毎に異なる設定にしてもよい。
次に、このように構成された実施の形態の動作について図15乃至図17のフローチャートを参照して説明する。図15は本体側のカメラ制御を説明するためのフローチャートである。
撮影機器50の電源が投入されると、信号処理及び制御部51は、図15のステップS21において、撮影モードが指示されたか否かを判定する。撮影モードが指示されていない場合には、信号処理及び制御部51は、ステップS22において、再生モードが指示されたか否かを判定する。再生モードが指示されると、信号処理及び制御部51は、ステップS23において、サムネイルの一覧表示を行う。サムネイル一覧を参照したユーザによる画像の選択が行われると、ステップS24からステップS25に処理を移行して、信号処理及び制御部51は選択画像の再生を行う。再生が終了すると(ステップS26)、ステップS23に処理を戻してファイル一覧を表示する。ファイル選択が行われない場合には、ステップS27において再生モードの終了を判定する。
一方、撮影モードが指示されると、信号処理及び制御部51は、ステップS31において、撮像部52からの画像信号に基づいて、表示部18に撮像画像(スルー画)をライブビュー表示させる。次のステップS32において、信号処理及び制御部51は、交換レンズ50bの制御部63との間でレンズ通信を開始し、レンズ情報、制御情報及び操作情報を取得する。
ここで、ユーザがフォーカスリング3を操作するものとする。この場合には、処理がステップS33からステップS34に移行して、ユーザ操作に基づいてレンズ制御が行われる。即ち、操作検出部67によってフォーカスリング3の操作が検出され、制御部63はこのユーザ操作に基づいて、フォーカシング及び絞り等を制御する。
次に、信号処理及び制御部51は、ステップS35において、本体側の操作スイッチ等により、レンズに対する操作があったか否かを判定する。信号処理及び制御部51は、ユーザ操作に基づく制御信号を発生して、通信部53,68を介して交換レンズ50bの制御部63に制御信号を送信して、レンズ通信を終了する(ステップS37)。制御部63は入力された制御信号に基づいて、レンズ制御を行う。
次に、ステップS39において、撮影操作が行われたか否かが判定される。例えばレリーズボタン操作等によって静止画撮影が指示されると、信号処理及び制御部51は、ステップS40において撮影を行う。即ち、信号処理及び制御部51は、撮像部52からの撮像画像に信号処理を施して圧縮した後、記録部56に与えて記録を行う。また、信号処理及び制御部51は、ステップS41において、動画撮影操作が行われたか否かを判定する。動画撮影操作が行われると、信号処理及び制御部51は、動画撮影を開始し、記録部56において撮像画像の記録を開始する(ステップS42)。動画撮影の終了操作が行われると、信号処理及び制御部51は、ステップS44において、動画撮影を終了すると共に、記録部56の記録画像をファイル化する。
また、動画撮影の途中においても、レンズ通信が行われる。信号処理及び制御部51は、動画撮影中においてレンズ通信を開始し(ステップS52)、レンズ情報、制御情報及び操作情報を取得する。ステップS53〜S57の処理はステップS33〜37と同様であり、レンズ側の操作に応じて制御部63においてレンズ制御が行われ、レンズに対する本体側の操作に応じた制御信号が信号処理及び制御部51から制御部63に与えられる。こうして、動画撮影中においても、制御部63は、レンズ側の操作及び本体側の操作に応じたレンズ制御を行う。
図16は交換レンズ50b中の制御部63によるレンズ制御の動作フローを示すフローチャートである。
交換レンズ50bの制御部63は、図16のステップS61において、本体部50aとのレンズ通信中であるか否かを判定する。レンズ通信中においては、制御部63はステップS62において、フォーカスリング3等のレンズ側の操作部の操作が発生したか否かを判定する。制御部63は、レンズ操作が行われていない場合には、ステップS63において、本体側から制御信号が送信されたか否かを判定する。本体側60から制御信号が送信された場合には、制御部63は、ステップS64において制御信号を取得し、制御信号に基づく制御を行う。
レンズ操作が行われると、制御部63は、ステップS62からステップS65に処理を移行して、レンズ操作が本体部50aに対する制御であるか否かを判定する。本体部50aに対するレンズ操作が行われた場合には、制御部63は本体側にレンズ操作に応じた制御を依頼する(ステップS66)。レンズ操作が本体部50aに対する制御でない場合には、制御部63は、レンズ操作に基づいてレンズ内を制御する。
制御部63は、ステップS61においてレンズ通信中ではないと判定した場合には、ステップS71において、リセットが必要であるか否かを判定する。制御部63は、レンズ群の群位置が不明となった場合、例えば、電源投入直後、交換レンズ50bの交換直後において、リセットが必要と判断し、リセット動作を行う(ステップS72)。なお、制御部63の判断によってリセットを行ってもよく、信号処理及び制御部51の判断に従って制御部63がリセットを行ってもよい。
以後、リセットが不要な場合には、制御部63は、レンズ通信中以外には、ステップS73において、操作検出部67の操作に基づく制御や、本体部50aからの制御信号に基づく制御を行う。
次に、リセット動作について、図17を参照して説明する。
リセットが必要になると、制御部63のリセット部63bは、図17のステップS81において、レンズ群22,23の群位置が初期位置よりも無限遠側にあるか至近側にあるかを判定する。リセット部63bは、電源遮断時に、レンズ群22,23を初期停止位置で停止させており、電源オフ時におけるレンズ群22,23の移動が比較的小さい場合には、電源投入時においてレンズ群22,23は初期停止位置近傍に位置する。この場合には、リセット部63bは、ステップS82において無限遠方向に低速移動を開始する。
リセット部63bは、ステップS83において初期位置を検出し、ステップS84において規定低速距離に到達したか否かを判定する。レンズ群22,23が規定低速距離移動する前に初期位置に到達すると、リセット部63bは、初期位置検出部66の出力によって、レンズ群22,23が初期位置に到達したタイミングを検出することができる。そうすると、リセット部63bは、処理をステップS93に移行して、レンズ群22,23を停止させた後、駆動制御部63aに初期位置を設定する(ステップS94)。即ち、駆動制御部63aは、レンズ群22,23が初期位置に到達したタイミングにおいて駆動パルスをリセットし、以後発生する駆動パルス数によってレンズ群22,23の群位置を認識する。
電源遮断時において各レンズ群を初期位置に比較的近い初期停止位置で停止させており、レンズ群を低速移動させた場合でも比較短時間に初期位置に到達させることができる。また、低速移動によりレンズ群が初期位置に到達するタイミングを高精度に検出することができ、短時間で且つ高精度にリセット動作が可能である。
低速移動開始後の初期位置検出前にレンズ群22,23の移動距離が規定低速距離に到達すると、リセット部63bは、ステップS85において無限遠方向に高速移動を開始し、ステップS86において初期位置に到達したか否かを判定する。高速移動により、比較的短時間にレンズ群22,23は初期位置に到達する。リセット部63bは、初期位置検出部66の出力によって、レンズ群22,23が初期位置に到達したことを検出すると、レンズ群22,23の移動方向を反転させて至近方向への高速移動を開始する(ステップS87)。
この移動により、レンズ群22,23が初期位置に到達すると(ステップS88)、リセット部63bは、到達した初期位置のタイミングに基づいて仮の初期位置を設定し(ステップS89)、この仮の初期位置を元に規定位置、例えば初期停止位置にレンズ群22,23が到達したか否かを判定する(ステップS90)。
レンズ群22,23が規定位置に到達すると、リセット部63bは、無限遠方向へのレンズ群22,23の低速移動を開始する(ステップS91)。リセット部63bは、ステップS92において初期位置が検出されたか否かを判定する。レンズ群22,23が初期位置に到達すると、リセット部63bは、処理をステップS93に移行して、レンズ群22,23を停止させた後、駆動制御部63aに初期位置を設定する(ステップS94)。
このように、電源投入時においてレンズ群が、初期位置から比較的大きく離間している場合には、レンズ群を高速に移動させて、例えば初期停止位置等の規定位置近傍に短時間に到達させ、以後、低速移動によって、初期位置を検出させている。これにより、レンズ群が初期位置から大きく離間している場合でも、比較短時間に、且つ高精度にリセット動作が可能である。また、レンズ群を一方向から低速で移動させながら初期位置の検出を行っており、バックラッシ等の影響を受けることなく、高精度の初期位置検出が可能である。
なお、電源投入直後において、群位置が初期位置よりも無限遠側に位置する場合には、リセット部63bは、処理をステップS81からステップS87に移行して、初期位置の検出を行う。
このように本実施の形態においては、電源遮断時において、レンズの位置の基準となる初期位置近傍の初期停止位置においてレンズを停止させる。電源投入時において、レンズを低速で駆動した場合でも、レンズを短時間に初期位置に移動させることができる。これにより、正確で且つ短時間にレンズのリセット動作が可能である。また、電源投入時等において、レンズが初期位置から比較的大きく離間している場合でも、レンズを高速駆動して短時間に規定位置まで移動させ、以後低速で初期位置まで移動させることで、正確で且つ短時間にレンズのリセット動作が可能である。
電源投入時にはレンズ位置は不明であるが、低速及び高速駆動のうち低速駆動を優先的に採用している。高速駆動によって規定の位置まで移動させた後低速駆動によって初期位置を検出することも可能であるが、レンズが初期位置近傍に位置する場合を考慮して、低速駆動による初期位置の検出を優先させることで、リセット動作に要する時間をより一層短縮する。特に、電源遮断時において、レンズを初期位置近傍で停止させており、リセット時間を十分に短縮できる可能性が高い。
また、初期位置の検出のためのレンズの移動時には、レンズを一方向から低速に移動させており、バックラッシ等の影響を受けることなく高い検出精度を得ることができる。
さらに、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話やスマートフォンなど携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも勿論構わない。
もちろん、医療用や産業用の光学機器で、電源やアクチュエータを有し、衝突を防止して高速安全に初期位置合わせするものには利用可能である。正確に初期位置合わせが出来ないと、高速の位置合わせは出来なくなる。特に、オープンループ制御では重要となる。
更に、本実施の形態は撮影機器に限らず、レンズの初期位置を設定する種々の機器に適用可能である。さらに言えば、レンズ以外でも初期位置を制御する技術には適用可能である。
本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
なお、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップは、発明の本質に影響しない部分については、適宜省略も可能であることは言うまでもない。