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JP2014070078A - 中空重合体粒子、水性分散液、塗被組成物、および塗被紙 - Google Patents

中空重合体粒子、水性分散液、塗被組成物、および塗被紙 Download PDF

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JP2014070078A
JP2014070078A JP2012214470A JP2012214470A JP2014070078A JP 2014070078 A JP2014070078 A JP 2014070078A JP 2012214470 A JP2012214470 A JP 2012214470A JP 2012214470 A JP2012214470 A JP 2012214470A JP 2014070078 A JP2014070078 A JP 2014070078A
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monomer
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Akira Kitagawa
昌 北川
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

【課題】不透明度および吸水性に優れた塗被紙を与える中空重合体粒子を提供する。
【解決手段】コア重合体層(A)と、実質的に前記コア重合体層(A)を包囲する少なくとも1層のシェル層(B)と、コア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することによって形成された少なくとも1つの空隙を有し、前記空隙を包囲する層が、前記空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有し、凹凸構造を形成していることを特徴とする中空重合体粒子を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、不透明度および吸水性に優れた塗被紙を与える中空重合体粒子、水性分散液、および塗被組成物、ならびにこれらを用いて得られる塗被紙に関する。
近年、書籍、雑誌等の出版物;チラシ、パンフレット、ポスター等の商業広告物等の印刷物の印刷方法が多様化されている。広範な用途における単色印刷及び多色印刷への適応性の観点から、塗被紙の不透明度及び吸水性の向上が要求されている。
従来、中空重合体粒子を含有する塗被組成物が、塗被紙の製造において使用されている。たとえば、特許文献1では、コア重合体粒子(A)、シェル層(B)およびシェル層(C)の3層構造を有する重合体粒子を含有する水性分散液に、塩基を添加してpHを7以上とすることで、コア重合体粒子(A)に含有される酸性基の少なくとも一部を中和し、コア重合体粒子(A)内部に空隙を形成することで、中空重合体粒子の水性分散液を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法により、得られる中空重合体粒子の水性分散液を用いて得られる塗被紙は、不透明度および吸水性が十分でなく、そのため、広範な用途における単色印刷及び多色印刷への適応性をより向上させるという観点より、不透明度および吸水性のさらなる改善が求められていた。
特開2009−144029号公報
本発明の目的は、不透明度および吸水性に優れた塗被紙を与える中空重合体粒子、水性分散液、および塗被組成物、ならびにこれらを用いて得られる塗被紙を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の単量体単位から構成されるコア重合体層と、所定の単量体単位から構成されるシェル層と、これらの内部に形成された空隙とを備える中空重合体粒子において、空隙を包囲する層を、空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有する凹凸構造を形成しているものとすることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体20〜60重量%、およびこれと共重合可能な他の単量体40〜80重量%からなる単量体混合物(a)を共重合してなるコア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することによって形成されたコア重合体層(A)および少なくとも1つの空隙と、
エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜15重量%、芳香族ビニル単量体20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜80重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって形成され、実質的に前記コア重合体層(A)を包囲する少なくとも1層のシェル層(B)とを有し、
前記空隙を包囲する層が、前記空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有し、凹凸構造を形成していることを特徴とする中空重合体粒子が提供される。
本発明によれば、上記中空重合体粒子が水性溶媒に分散している水性分散液が提供される。
また、本発明によれば、上記中空重合体粒子と、無機顔料とを含有してなる塗被組成物であって、無機顔料100重量部に対する、前記中空重合体粒子の含有割合が1〜30重量部である塗被組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記塗被組成物を原紙に塗被してなる塗被紙が提供される。
本発明によれば、不透明度および吸水性に優れた塗被紙を与える中空重合体粒子、水性分散液、および塗被組成物を提供することができる。また、本発明によれば、これらを用いて得られ、不透明度および吸水性に優れた塗被紙を提供することができる。
図1は、本発明における、空隙内部に向かって突出した突出部の高さの測定方法を説明するための図である。 図2(A)は、本発明の実施例の中空重合体粒子の切断面のSEM写真、図2(B)は、比較例の中空重合体粒子の切断面のSEM写真である。
中空重合体粒子
本発明の中空重合体粒子は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体20〜60重量%、およびこれと共重合可能な他の単量体40〜80重量%からなる単量体混合物(a)を共重合してなるコア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することによって形成されたコア重合体層(A)および少なくとも1つの空隙と、
エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜15重量%、芳香族ビニル単量体20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜80重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって形成され、実質的に前記コア重合体層(A)を包囲する少なくとも1層のシェル層(B)とを有し、
前記空隙を包囲する層が、前記空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有し、凹凸構造を形成していることを特徴とする。
コア重合体層(A)
コア重合体層(A)は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体20〜60重量%、およびこれと共重合可能な他の単量体40〜80重量%からなる単量体混合物(a)を共重合してなるコア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することによって形成される層である。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテントリカルボン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ2−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル単量体;などを挙げることができる。これらの単量体は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。これらのなかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
単量体混合物(a)中における、エチレン性不飽和カルボン酸単量体の含有割合は、20〜60重量%であり、好ましくは30〜50重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の含有割合が少なすぎると、後述する中和工程において、コア重合体粒子中に塩基が浸透し難くなり、空隙の形成が困難となる。一方、含有割合が多すぎると、コア重合体層(A)が十分にシェル層(B)で包囲されない場合があり、製造工程の安定性が低下し、製造工程において凝集物が発生し易くなってしまう。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル単量体;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン単量体;ビニルピリジン;などが挙げられる。これらの単量体は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。これらのなかでも、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
単量体混合物(a)中における、共重合可能な他の単量体の含有割合は、40〜80重量%であり、好ましくは50〜70重量%である。
また、本発明においては、単量体混合物(a)を構成する各単量体として、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびメタクリル酸を組み合わせて用いることが好ましく、これらの含有割合を、メチルメタクリレート35〜77重量%、ブチルアクリレート3〜15重量%およびメタクリル酸20〜50重量%とすることが好ましく、メチルメタクリレート42〜71重量%、ブチルアクリレート4〜13重量%、およびメタクリル酸25〜45重量%とすることがより好ましく、メチルメタクリレート45〜65重量%、ブチルアクリレート5〜12重量%およびメタクリル酸30〜43重量%とすることが特に好ましい。
また、単量体混合物(a)中には、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの架橋性単量体を配合してもよい。ただし、架橋性単量体の使用量が多すぎると、コア重合体層(A)内部の空隙の形成が困難となるため、その使用量は安定な空隙形成が維持できる範囲とすることが望ましい。単量体混合物(a)中の架橋性単量体の使用量は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
単量体混合物(a)の共重合は、通常、水性媒体中で行なわれる。そのため、共重合により得られるコア重合体は、通常、水性分散液の状態で得られる。水性媒体としては、通常、水が用いられ、製造時の重合体粒子の分散安定性を損なわない範囲で、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を併用してもよい。水性媒体の使用量は、単量体混合物(a)100重量部に対して、通常、100〜1000重量部、好ましくは200〜600重量部である。水性媒体の使用量が少なすぎると、重合時の凝集物発生量が増加する傾向にあり、水性媒体の使用量が多すぎると、中空重合体粒子の生産性が劣る傾向にある。
単量体混合物(a)の共重合方法は、特に限定されないが、通常、乳化重合法である。重合方式は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式でもよい。重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されず、公知の条件が採られる。乳化重合に際しては、乳化重合反応に一般に使用される、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、キレート剤、電解質、脱酸素剤などの各種添加剤を、重合用副資材として使用することができる。
乳化重合に用いる界面活性剤としては、一般に公知の界面活性剤を用いることができ、具体的には、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩;オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸;などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩;ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル又はアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性合成高分子物質;ゼラチン、水溶性でんぷん等の天然親水性高分子物質;カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質;などの分散安定剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。これらのなかでも、重合安定性が良好であるため、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
界面活性剤の使用量は、単量体混合物(a)の全量に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。界面活性剤の使用量が少なすぎると、重合時に凝集物が生成し易くなるおそれがあり、一方、多すぎると、得られる中空重合体粒子の空隙率が低くなり、各種特性が低下するおそれがある。
単量体混合物(a)の共重合は、シードの存在下で行うことが好ましく、シードを使用することにより、生成するコア重合体粒子の粒子径の制御を容易なものとすることができる。
乳化重合における単量体混合物(a)の重合転化率は、通常、90重量%以上、好ましくは97重量%以上である。また、生成する共重合体の組成は、通常、単量体混合物(a)の組成とほぼ同じものとなる。
また、乳化重合を行う際における、界面活性剤の添加方法は、特に限定されず、界面活性剤は、反応系に一括で、あるいは、分割して、または連続的に添加することができるが、重合時における凝集物の発生を抑制するという点より、反応系に連続的に添加する方法が好ましい。また、単量体混合物(a)と界面活性剤とは、混合して反応系に添加してもよいし、あるいは、別々に反応系に添加してもよいが、単量体混合物(a)と界面活性剤とを水性媒体とともに混合し、乳化物の状態として、反応系に添加することが好ましい。
また、乳化重合に際しては、反応系に無機塩を添加し、無機塩の存在下で共重合を行うようにしてもよく、特に、界面活性剤と無機塩とを併用すると、重合時における凝集物の生成を効果的に抑制することができ、粒径分布を狭くすることが可能となる。無機塩としては、特に限定されないが、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩;塩化カルシウム、硫酸バリウムなどのアルカリ土類金属塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。これらのなかでも、アルカリ金属塩が好ましく、トリポリリン酸ナトリウムがより好ましい。無機塩の使用量は、単量体混合物(a)の全量に対して、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。無機塩の使用量が少なすぎると、その添加効果が発現し難くなる傾向にあり、一方、使用量が多すぎると、重合時に凝集物が生じやすくなるおそれがある。また、無機塩の添加方法としては、特に限定されず、反応系に一括で、分割して、または連続的に添加することができる。
乳化重合により得られるコア重合体粒子の体積平均粒子径は、好ましくは100〜600nm、より好ましくは250〜500nmである。体積平均粒子径が小さすぎると、空隙率が高くかつ粒子径が大きい中空重合体粒子の製造が困難になる傾向がある。一方、体積平均粒子径が大きすぎると、シェル層(B)によるコア重合体粒子の被覆が困難になり、コア重合体粒子内における、空隙の形成が困難になる傾向がある。
そして、本発明においては、このようにして得られるコア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を、後述する中和工程により中和することによって、コア重合体層(A)を形成することができる。なお、中和工程の詳細については後述する。
シェル層(B)
シェル層(B)は、実質的にコア重合体層(A)を包囲する層であり、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜15重量%、芳香族ビニル単量体20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜80重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって形成される。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されず、上述したコア重合体層(A)と同様のものを用いることができるが、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
単量体混合物(b)中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体の含有割合は、0〜15重量%であり、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
芳香族ビニル単量体としては、特に限定されないが、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレンなどが挙げられるが、スチレンが好ましい。単量体混合物(b)中の芳香族ビニル単量体の含有割合は、20〜100重量%であり、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜99.9重量%である。芳香族ビニル単量体の含有割合が少なすぎると、中空重合体粒子の水性分散液の粘度が高くなり過ぎて取り扱い難くなる場合がある。一方、含有割合が多すぎると、乳化重合の際に粗大凝集物が多量に発生し,安定的に製造できなくなる場合がある。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体および芳香族ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、上述したコア重合体層(A)と同様のものを用いることができる。単量体混合物(b)中の共重合可能な他の単量体の含有割合は、0〜80重量%であり、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜19.9重量%である。
また、本発明においては、単量体混合物(b)を構成する各単量体として、メタクリル酸、およびスチレンを組み合わせて用いることが好ましく、これらの含有割合を、メタクリル酸0.1〜2重量%およびスチレン98〜99.9重量%からなるものとすることが好ましく、メタクリル酸0.1〜1重量%およびスチレン99〜99.9重量%からなるものとすることがより好ましい。
単量体混合物(b)を共重合し、実質的にコア重合体層(A)を包囲した状態で、シェル層(B)を形成する方法としては、特に限定されないが、上述した単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の存在下で、単量体混合物(b)を乳化重合する方法などが挙げられる。具体的には、コア重合体粒子の水性分散液中にて、単量体混合物(b)を乳化重合することにより、シェル層(B)が形成されたコア重合体粒子の水性分散液を得ることができる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式を用いてもよく、また、重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されず、公知の条件を採用することができる。
また、単量体混合物(b)の乳化重合に際しては、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の製造において例示された重合用副資材を使用することできる。
なお、本発明においては、単量体混合物(b)を共重合し、シェル層(B)を形成する際には、シェル層(B)の形成に用いる単量体混合物(b)のうち一部を反応系に添加し、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の存在下で共重合させた後、後述する中和工程における中和処理を行い、次いで、シェル層(B)の形成に用いる単量体混合物(b)のうち残部を反応系に添加し、中和処理を行った重合体粒子の存在下で共重合させることが望ましい。この際における、中和処理前に共重合させる単量体混合物(b1)(以下、適宜、「前添加単量体混合物(b1)」とする。)の割合と、中和処理後に共重合させる単量体混合物(b2)(以下、適宜、「後添加単量体混合物(b2)」とする。)の割合とは、「前添加単量体混合物(b1):後添加単量体混合物(b2)」の重量比で、(100:70)〜(100:500)であり、好ましくは(100:80)〜(100:300)、より好ましくは(100:90)〜(100:200)である。本発明においては、これらの割合を上記範囲とすることにより、得られる中空重合体粒子の微細構造を、後述するように、空隙を包囲する層が、当該空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有する凹凸構造を形成する構成とすることができる。
また、前添加単量体混合物(b1)と後添加単量体混合物(b2)とは、含有される単量体組成を互いに同じものとしてもよく、あるいは、含有される単量体組成を互いに異なるものとしてもよいが、得られる中空重合体粒子の微細構造をより良好に制御することができるという点より、含有される単量体組成を互いに異なるものとすることが好ましく、前添加単量体混合物(b1)よりも、後添加単量体混合物(b2)の方が、芳香族ビニル単量体の含有割合を多いものとすることが特に好ましい。
なお、以下において、前添加単量体混合物(b1)により形成されるシェル層(B)を「内側シェル層(B1)」と表し、後添加単量体混合物(b2)により形成されるシェル層(B)を「外側シェル層(B2)」と表すことがある。
中間層(C)
また、本発明においては、コア重合体層(A)と、シェル層(B)との間に、実質的にコア重合体層(A)を包囲する中間層(C)をさらに設けてもよく、この場合には、本発明の中空重合体粒子は、内側から、コア重合体層(A)、中間層(C)およびシェル層(B)を有する三層構造となる。
中間層(C)は、たとえば、中間層(C)を形成するための単量体混合物(c)を、上述した単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の存在下で、共重合させることにより形成することができる。単量体混合物(c)としては、特に限定されないが、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%、およびこれと共重合可能な他の単量体90〜99重量%からなるものを用いることが好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、上述したコア重合体層(A)と同様のものを用いることができ、なかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。単量体混合物(c)中の不飽和カルボン酸単量体の含有割合は、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは3〜9重量%である。
また、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、上述したコア重合体層(A)と同様のものを用いることができ、なかでも、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。単量体混合物(c)中の共重合可能な他の単量体の含有割合は、好ましくは90〜99重量%であり、より好ましくは91〜97重量%である。
単量体混合物(c)を共重合し、実質的にコア重合体層(A)を包囲した状態で、中間層(C)を形成する方法としては、特に限定されないが、上述した単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の存在下で、単量体混合物(c)を乳化重合する方法などが挙げられる。具体的には、コア重合体粒子の水性分散液中にて、単量体混合物(c)を乳化重合することにより、中間層(C)が形成されたコア重合体粒子の水性分散液を得ることができる。重合方式としては、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式を用いてもよく、また、重合圧力、重合温度および重合時間は格別限定されず、公知の条件を採用することができる。
また、単量体混合物(c)の乳化重合に際しては、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の製造において例示された重合用副資材を使用することできる。
なお、中間層(C)を形成する場合には、上述したシェル層(B)は、コア重合体層(A)に加えて、中間層(C)をも実質的に包囲した層となる。そのため、この場合には、シェル層(B)を形成する際には、中間層(C)により包囲してなるコア重合体粒子の存在下で、単量体混合物(b)を乳化重合することが望ましい。
また、本発明において、コア重合体層(A)を形成するための単量体混合物(a)と、シェル層(B)を形成するための単量体混合物(b)との重量比率は、「単量体混合物(a)/単量体混合物(b)」の重量比で、好ましくは(5〜50)/(95〜50)であり、より好ましくは(5〜30)/(95〜70)、特に好ましくは(8〜20)/(92〜80)である。
また、さらに中間層(C)を形成する場合には、中間層(C)を形成するための単量体混合物(c)を加えた重量比率は、「単量体混合物(a)/単量体混合物(c)/単量体混合物(b)」の重量比で、(2〜25)/(2〜25)/(96〜50)であり、より好ましくは(3〜15)/(3〜15)/(94〜70)であり、特に好ましくは(6〜13)/(6〜13)/(88〜74)である。
中和工程
次いで、本発明の中空重合体粒子を製造する際における、中和工程について説明する。中和工程は、コア重合体粒子を含む水性分散液に対して、中和処理を行うことにより、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子中に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することにより、コア重合体粒子内部に少なくとも一つの空隙を形成する工程である。また、これと同時に、コア重合体粒子中に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることにより、その内部に少なくとも一つの空隙を有するコア重合体層(A)が形成されることとなる。
中和工程における、中和処理方法としては特に限定されないが、たとえば、コア重合体粒子を含む水性分散液に、塩基を添加する方法が好適に挙げられる。塩基としては、揮発性塩基および不揮発性塩基のいずれでもよいが、揮発性塩基の具体例としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。また、不揮発性塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属(重)炭酸塩;炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどの(重)炭酸アンモニウム塩などが挙げられる。これらのなかでも、揮発性塩基が好ましく、アンモニアおよび水酸化アンモニウムがより好ましい。
また、本発明においては、中和処理は、シェル層(B)を形成する単量体混合物(b)のうち、前添加単量体混合物(b1)を反応系に添加して、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子(中間層(C)が形成されたものも含む。)の存在下において、乳化重合させることにより得られた重合体粒子に対して行い、次いで、中和処理を行った後に、後添加単量体混合物(b2)を反応系に添加して、乳化重合させることが好ましい。すなわち、本発明においては、シェル層(B)を形成する単量体混合物(b)のうち、前添加単量体混合物(b1)を共重合させた段階で、塩基を添加して中和処理を行い、その後、残りの後添加単量体混合物(b2)を反応系に添加して、乳化重合させることにより、シェル層(B)を形成することが好ましく、本発明によれば、これにより得られる中空重合体粒子の微細構造を、後述するように空隙を包囲する層が所定の凹凸構造を有するような構成とすることができる。
そして、本発明においては、上述したように塩基を添加して中和処理を行い、後添加単量体混合物(b2)を反応系に添加して、乳化重合させることにより、コア重合体層(A)、およびシェル層(B)、ならびに必要に応じて中間層(C)を備える中空重合体粒子の水性分散液を得ることができる。
なお、中和工程における、塩基の使用量は、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子の酸性基の少なくとも一部を中和できるような量とすればよいが、重合体粒子を含有する水性分散液のpHが7以上となる量とすることが好ましい。そして、重合体粒子を含有する水性分散液のpHが12以下となる量とすることが好ましい。
また、塩基は、中和処理時における凝集物の発生を抑制するという観点より、水溶液の状態で添加することが好ましく、その濃度は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。また、中和工程においては、中和処理時における凝集物の発生を抑制するという観点より、塩基を添加する前に、アニオン界面活性剤および/または非イオン界面活性剤を添加してもよい。
また、中和工程における処理時間は、単量体混合物(a)を共重合することにより得られるコア重合体粒子内部に、塩基が十分に拡散するのに必要となる時間とすればよく、通常、5〜120分、好ましくは10〜90分間の範囲で適宜選択すればよい。また、中和工程における温度は、塩基の拡散性の観点から、コア重合体粒子が十分に軟化する温度以上とすることが好ましく、70〜95℃が特に好ましい。
中空重合体粒子の微細構造
本発明の中空重合体粒子は、コア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することによって形成された少なくとも1つの空隙を有し、かつ、この空隙を包囲する層が、空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有する凹凸構造を形成している。
なお、空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部の高さは、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
本発明においては、中空重合体粒子がその内部に空隙を有するものとし、かつ、該空隙を上記構成とすることにより、本発明の中空重合体粒子を、不透明度および吸水性に優れた塗被紙を与えるものとすることができる。
なお、本発明においては、空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部の有無を測定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、中空重合体粒子を完全に水分が抜けるまで乾燥させ、乾燥させた中空重合体粒子をクロスセクションポリッシャーなどを用いて研磨することで切断面を露出させ、露出させた切断面上に存在する突出部の高さを測定することにより求めることができる。なお、本発明においては、図1に示すように、突出部の立ち上がり位置間を結ぶ直線を基準線とし、該基準線から突出部の頂点までの長さを、突出部の高さとすることができる。
また、本発明においては、中空重合体粒子は、空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有するものであればよいが、空隙を包囲する層の表面積全体に対する、高さ50nm以上の突出部の面積割合が、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。空隙を包囲する層の表面積全体に対する、高さ50nm以上の突出部の面積割合を上記範囲とすることにより、不透明度および吸水性の向上効果をより高めることができる。なお、空隙を包囲する層の表面積全体に対する、高さ50nm以上の突出部の面積割合は、上記と同様に、中空重合体粒子を完全に水分が抜けるまで乾燥させ、乾燥させた中空重合体粒子をクロスセクションポリッシャーなどを用いて研磨することで切断面を露出させ、露出させた切断面を通る領域における、高さ50nm以上の突出部の存在割合を求める操作を、100個の中空重合体粒子について行い、これを単純平均することにより求めることができる。
さらに、本発明においては、中空重合体粒子は、空隙内部に向かって突出した突出部(高さ50nm未満のものも含むが、5nm未満のものは含まない。)の平均高さが、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、上記平均高さは、200nm以下が好ましく、100nm以下が特に好ましい。
突出部の平均高さが上記範囲にあることにより、不透明度および吸水性の向上効果をより高めることができる。なお、突出部の平均高さは、乾燥させた中空重合体粒子をクロスセクションポリッシャーなどを用いて研磨することで切断面を露出させ、露出させた切断面上に存在する突出部の高さを測定し、これを単純平均することにより求めることができる。
また、本発明の中空重合体粒子の数平均粒子径は、好ましくは600〜1500nm、より好ましくは800〜1400nm、さらに好ましくは900〜1300nmである。数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による中空重合体粒子200個各々の最大粒子径を測定し、単純平均することにより求めることができる。
さらに、本発明の中空重合体粒子の空隙率は、好ましくは30〜80%、より好ましくは40〜70%、さらに好ましくは40〜60%である。中空重合体粒子の空隙率は、透過型電子顕微鏡により、中空重合体粒子200個各々の最大粒子径と空隙の最大径とを測定し、これらの値から計算により求められる空隙率を単純平均することにより求めることできる。
水性分散液
本発明の水性分散液は、本発明の中空重合体粒子が水に分散しているものである。本発明の水性分散液中の固形分濃度は、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。なお、本発明の水性分散液は、上述した方法で得ることができる。
塗被組成物
本発明の塗被組成物は、上述した本発明の中空重合体粒子と、無機顔料とを含有してなる組成物であり、通常は、水系分散液である。この場合における、水性媒体は、中空重合体粒子の水性分散液に含有される水性媒体を用いることができ、水性媒体は、必要に応じて、適宜、追加添加することができる。
本発明の塗被組成物中における、中空重合体粒子の含有割合は、無機顔料100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部であり、より好ましくは2〜15重量部である。中空重合体粒子の含有割合が少なすぎると、得られる塗被紙の白紙光沢、白色度、不透明度および嵩高性が低下する傾向にあり、一方、中空重合体粒子の含有割合が多すぎると、塗被組成物の流動性が低下する傾向にある。
無機顔料としては、特に限定されないが、たとえば、炭酸カルシウム、クレイ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、シリカ、雲母などが挙げられる。
また、本発明の塗被組成物には、必要に応じて、pH調整剤、分散剤、耐水化剤、消泡剤、染料、滑剤、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、導電処理剤、紫外線吸収剤、撥水剤などの任意配合剤を適宜配合することができる。
本発明の塗被組成物の調製方法は限定されないが、たとえば、攪拌機を備えた容器内で、無機顔料、および本発明の中空重合体粒子、ならびに必要に応じて用いられる任意配合剤などを混合する方法を用いればよい。
塗被紙
本発明の塗被紙は、上述した本発明の塗被組成物を、原紙に塗被して表面塗被層を形成させたものである。該表面塗被層は原紙に直に接する単層であってもよいし、他の下塗り層の上の最上層であってもよい。
原紙としては、特に限定されず、機械パルプ、化学パルプ、古紙パルプ等のパルプからなる原紙を用いることができる。また、原紙の坪量は特に限定されず、通常、40〜220g/mである。
塗被層の形成には、通常の塗被方式を用いればよく、たとえば、ブレードコーター、ロール転写コーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドゥエルコーター、カーテンコーター、ビルブレードコーター、ダイコーター等、従来公知の塗被手段を用いて原紙上に塗工することができる。これらの内、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、ビルブレードコーター等の高速塗被に適した塗工方式を用いることが好ましい。また、塗被量は、塗被組成物が固形分換算で片面あたり、好ましくは3〜30g/m、より好ましくは5〜25g/mになる範囲とする。
また、塗被層形成した後は、乾燥することが好ましく、乾燥方法としては、特に限定されず、蒸気乾燥、熱風乾燥、電気ヒーター乾燥等の方法を適宜採用することができる。乾燥温度、乾燥時間は、塗工速度等によって異なるが、通常、80〜180℃で、0.03〜10秒程度である。
また、このようにして得られた塗被紙は、必要に応じてカレンダー処理を経て仕上げられることにより、白紙光沢をより高くすることができる。カレンダー処理をする際の装置は特に限定されるものではなく、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等の各種カレンダー装置により処理される。カレンダーの条件は、特に限定されず、通常、30〜200℃、線圧50〜200kg/cmである。
本発明の塗被紙は、上述した本発明の中空重合体粒子を含有するものであるため、不透明度および吸水性に優れるものである。そのため、本発明の塗被紙は、このような特性を活かし、書籍、雑誌などの出版物やチラシ、パンフレット、ポスターなどの商業用印刷物用に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下において「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。
また、試験および評価は、下記の方法で行なった。
コア重合体粒子の体積平均粒子径
コア重合体粒子の体積平均粒子径は、動的光散乱法粒子測定装置(商品名「N4」、コールター社製)を用い、コア重合体粒子の体積基準の粒度分布に基いて、算術平均して計算される平均粒子径(「体積平均粒子径」という。)として求めた。
中空重合体粒子の数平均粒子径
中空重合体粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(商品名「H−7500」、日立製作所社製)により中空重合体粒子200個それぞれについて最大粒子径を測定し、測定結果を単純平均することにより求めた。
中空重合体粒子の空隙率
透過型電子顕微鏡(商品名「H−7500」、日立製作所社製)により、中空重合体粒子200個それぞれについて最大粒子径と空隙の最大径とを測定し、測定された値を用いて、下記式(1)により、各中空重合体粒子の空隙率を求め、これを単純平均した値を、中空重合体粒子の空隙率とした。
空隙率(%)={(空隙の最大径)/(最大粒子径)}×100 ・・・(1)
中空重合体粒子内部の空隙における凹凸構造の有無
イオン交換水を用いて固形分濃度20重量%に調整した中空重合体粒子の水性分散液7.5gをアルミ皿に入れ、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室内にて完全に水分が抜けるまで乾燥させた。次いで、乾燥させた中空重合体粒子をクロスセクションポリッシャー(商品名「SM−09010」、日本電子データム社製)を用いて切断面を露出させ、その切断面を走査型電子顕微鏡(商品名「S4700」、日立ハイテクノロジーズ社製)で倍率40000倍にて観察した。そして、クロスセクションポリッシャーにより切断された中空重合体粒子をランダムに100個観察し、切断面上にある突出部の高さを測定し、以下の基準で評価を行った。
高さ50nm以上の突出部が複数存在する:○
高さ50nm以上の突出部が1個だけ存在する:△
高さ50nm以上の凸部が存在しない:×
50nm以上の高さの突出部の面積割合
上記と同様にして、クロスセクションポリッシャーを用いて、中空重合体粒子の切断面を露出させ、その切断面を走査型電子顕微鏡(商品名「S4700」、日立ハイテクノロジーズ社製)で倍率40000倍にて観察した。そして、クロスセクションポリッシャーにより切断された中空重合体粒子をランダムに100個観察し、50nm以上の高さの突出部の面積割合を、1粒子当たりの中空重合体粒子内部の総面積に対する、1粒子当たりの中空重合体粒子内部に存在する50nm以上の高さの突出部の面積の割合を粒子ごとに算出し、単純平均することで、50nm以上の高さの突出部の面積割合を算出した。
突出部の平均高さ
上記と同様にして、クロスセクションポリッシャーを用いて、中空重合体粒子の切断面を露出させ、その切断面を走査型電子顕微鏡(商品名「S4700」、日立ハイテクノロジーズ社製)で倍率40000倍にて観察した。そして、クロスセクションポリッシャーにより切断された中空重合体粒子をランダムに100個観察し、1粒子当たりの中空重合体粒子内部に存在する突出部(高さが50nm未満のものも含むが、5nm未満のものは含まない。)の高さを計測し、単純平均することにより、突出部の平均高さを算出した。
不透明度
リン酸エステル化デンプン(商品名「MS−4600」、日本食品加工社製)2.5部、およびカルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名「Nipol LX407F」、日本ゼオン社製)9部、ならびに、カオリンクレイ((商品名「HG90」、ヒューバー社製):40部、(商品名「KCS」、イメリス社製):20部)60部および炭酸カルシウム(商品名「FMT90」、ファイマテック社製)40部からなる無機顔料100部を混合し、次いで、これに、各実施例および比較例において得られた中空重合体粒子8部を含む水性分散液、およびイオン交換水を添加し、撹拌、混合することで、固形分濃度61重量%の塗被紙用組成物を得た。
次いで、得られた塗被紙用組成物を、坪量65g/mの原紙片面に,14g/mの量(固形分換算)で塗布し、120℃で乾燥することにより、塗被紙を得た。
そして、得られた塗被紙の不透明度を、JIS P8138−1976に規定された方法に従い、分光色彩白色度計(商品名「PF10」、日本電色工業社製)を用いて測定した。数値が大きいほど、不透明度に優れていると判断することができる。
ドロップ吸水性
上記と同様にして得られた塗被紙を縦長2cm,横長10cmに切り取り、サンプル片を得た。次いで、得られたサンプル片の塗被紙用組成物が塗布された側に,イソプロピルアルコールを6重量%含有した水溶液を、マイクロシリンジを用いて5μl滴下した。そして、滴下した瞬間を開始点とし、イソプロピルアルコールを6重量%含有した水溶液が、サンプル片に完全に吸水されて無くなった時点を終了点とした。なお、イソプロピルアルコールを6重量%含有した水溶液が、サンプル片に完全に吸水されて無くなった時点の判断は目視にて行った。開始点から終了点までの時間(sec)をストップウォッチにて測定した。開始点から終了点までの時間(sec)が短いほど、吸水性に優れていると判断することができる。
実施例1
コア重合体粒子の製造
攪拌装置付き反応容器に、メタクリル酸メチル50部、アクリル酸ブチル10部、メタクリル酸40部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム0.9部、トリポリリン酸ナトリウム0.15部およびイオン交換水80部を仕込み、次いで、攪拌することで、コア重合体粒子形成用の単量体混合物(a−1)の乳化物を調製した。
次いで、上記とは別に、攪拌装置付き反応容器に、イオン交換水800部、メタクリル酸メチル100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部および過硫酸カリウム5部を仕込み、撹拌し、反応容器を80℃に昇温して重合反応を行なうことで、体積平均粒径82nmのシードラテックス(S−1)を得た。
そして、攪拌装置付き反応容器に、上記にて得られたシードラテックス(S−1)0.28部(固形分換算)およびイオン交換水40部を仕込み、撹拌することで、シードラテックス(S−1)の水性分散液を得た後、85℃に昇温した。次いで、反応容器に、3重量%の過硫酸カリウム水溶液1.63部を添加し、その後、反応温度を85℃に保ちながら、上記にて得られた単量体混合物(a−1)の乳化物の全量のうち、7重量%に相当する量を、3時間に亘り、反応容器に連続的に添加した後、さらに1時間反応させた。
次いで、反応容器に、イオン交換水250部および3重量%の過硫酸カリウム水溶液18.6部を添加し、反応温度を85℃に保ちながら、上記にて得られた単量体混合物(a−1)の乳化物の残部を、3時間に亘り、反応容器に連続的に添加した後、さらに2時間反応させた。その後、反応容器を室温まで冷却することで、コア重合体粒子を含む水性分散液が得た。なお、重合転化率は99重量%以上であり、コア重合体粒子の体積平均粒子径は420nmであった。
各単量体混合物の調製
攪拌装置付き反応容器に、モノマー100部(メタクリル酸メチル78重量%、アクリル酸ブチル16重量%、メタクリル酸6重量%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム0.2部およびイオン交換水160部を仕込み、次いで攪拌することにより、中間層(C)形成用の単量体混合物(c−1)の乳化物を調製した。
上記とは別に、攪拌装置付き反応容器に、モノマー100部(スチレン99.3重量%、メタクリル酸0.7重量%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリム0.44部およびイオン交換水144部を仕込み、次いで攪拌することにより、内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1−1)の乳化物を調製した。
さらに、上記とは別に、攪拌装置付き反応容器に、モノマー100部(スチレン99.7重量%、メタクリル酸0.3重量%)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリム0.44部およびイオン交換水144部を仕込み、次いで攪拌することにより、外側シェル層(B2)形成用の単量体混合物(b2−1)の乳化物を調製した。
中間層(C)、内側シェル層(B1)の形成
そして、攪拌装置付き反応容器に、イオン交換水130部、および上記にて得られたコア重合体粒子を含む水性分散液を、コア重合体粒子の重量が約10重量部となるように(使用した単量体混合物(a)の配合量が、10重量部となるように)仕込み、次いで85℃に昇温した。次いで、反応容器に、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、その後、85℃に保ちながら、中間層(C)形成用の単量体混合物(c−1)の乳化物10重量部(固形分換算)を、20分間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して中間層(C)を形成した。
次いで、85℃に保ちながら、反応容器に、内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1−1)の乳化物35重量部(固形分換算)を、45分間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して内側シェル層(B1)を形成した。
中和工程
上述した方法で内側シェル層(B1)を形成した後、反応容器に、5重量%アンモニア水25部を添加し、90℃で1時間の条件で中和処理を行うことにより、空隙の形成およびコア重合体層(A)の形成を行った。なお、反応液のpHは、中和処理中の1時間に渡って7以上12以下であった。
外側シェル層(B2)の形成
次いで、温度を85℃に戻し、反応容器に、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部、および外側シェル層(B2)形成用の単量体混合物(b2−1)の乳化物55重量部(固形分換算)を、75分間に亘り、反応器に連続的に添加することで、重合して外側シェル層(B2)を形成した。そして、反応容器を室温まで冷却することで、中空重合体粒子の水性分散液を得た。なお、使用した全単量体の重合転化率は99重量%以上であった。
そして、得られた中空重合体粒子を用いて、上述した各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
内側シェル層(B1)を形成する際における、内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1−1)の乳化物の添加量を35部から45部(固形分換算)に変更し、該乳化物を反応容器に連続的に添加する際の時間を45分間から60分間に変更した点、および、外側シェル層(B2)を形成する際における、外側シェル層(B2)形成用の単量体混合物(b2−1)の乳化物の添加量を55部から45部(固形分換算)に変更し、該乳化物を反応容器に連続的に添加する際の時間を75分間から60分間に変更した点以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
攪拌装置付き反応容器に、イオン交換水130部、および実施例1と同様にして得られたコア重合体粒子を含む水性分散液を、コア重合体粒子の重量が約10重量部となるように(使用した単量体混合物(a)の配合量が、10重量部となるように)仕込み、次いで85℃に昇温した。次いで、反応容器に、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、その後、85℃に保ちながら、実施例1と同様にして得られた中間層(C)形成用の単量体混合物(c−1)の乳化物10重量部(固形分換算)を、20分間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して中間層(C)を形成した。
次いで、85℃に保ちながら、反応容器に、実施例1と同様にして得られた内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1−1)の乳化物90重量部(固形分換算)を、2時間に亘り、反応容器に連続的に添加することで、重合して内側シェル層(B1)を形成した。
次いで、内側シェル層(B1)を形成した後、反応容器に、5重量%アンモニア水25部を添加し、90℃で1時間の条件で中和処理を行うことにより、空隙の形成およびコア重合体層(A)の形成を行った。なお、反応液のpHは、中和処理中の1時間に渡って7以上12以下であった。
その後、温度を85℃に戻し、反応容器に、4重量%の過硫酸カリウム水溶液10部を添加し、さらに2時間反応させた。そして、反応容器を室温まで冷却することで、中空重合体粒子の水性分散液を得た。なお、使用した全単量体の重合転化率は99重量%以上であった。
そして、得られた中空重合体粒子を用いて、上述した各評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
内側シェル層(B1)を形成する際における、内側シェル層(B1)形成用の単量体混合物(b1−1)の乳化物の添加量を35部から65部(固形分換算)に変更し、該乳化物を反応容器に連続的に添加する際の時間を45分間から87分間に変更した点、および、外側シェル層(B2)を形成する際における、外側シェル層(B2)形成用の単量体混合物(b2−1)の乳化物の添加量を55部から25部(固形分換算)に変更し、該乳化物を反応容器に連続的に添加する際の時間を75分間から33分間に変更した点以外は、実施例1と同様にして、中空重合体粒子を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014070078
表1より、中空重合体粒子が、内部に空隙を有し、かつ、空隙を包囲する層に、高さ50nm以上の突出部を複数有し、凹凸構造を形成している場合には、得られる塗被紙は、不透明度およびドロップ吸水性のいずれも優れる結果となった(実施例1,2)。
一方、中空重合体粒子が、内部に空隙を有するものの、空隙を包囲する層に、高さ50nm以上の突出部が形成されていない場合には、得られる塗被紙は、不透明度およびドロップ吸水性に劣るものであった(比較例1,2)。
なお、図2(A)に、実施例1の中空重合体粒子のSEM写真を、図2(B)に、比較例1の中空重合体粒子のSEM写真を、それぞれ示す。図2(A)、図2(B)からも明らかなように、実施例1では、中空重合体粒子の空隙に凹凸構造が複数形成されている一方で、比較例2では、このような凹凸構造は形成されていないことが確認できる。

Claims (4)

  1. エチレン性不飽和カルボン酸単量体20〜60重量%、およびこれと共重合可能な他の単量体40〜80重量%からなる単量体混合物(a)を共重合してなるコア重合体粒子に含まれる酸性基の少なくとも一部を中和することによって形成されたコア重合体層(A)および少なくとも1つの空隙と、
    エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜15重量%、芳香族ビニル単量体20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体0〜80重量%からなる単量体混合物(b)を共重合することによって形成され、実質的に前記コア重合体層(A)を包囲する少なくとも1層のシェル層(B)とを有し、
    前記空隙を包囲する層が、前記空隙内部に向かって突出した高さ50nm以上の突出部を複数有し、凹凸構造を形成していることを特徴とする中空重合体粒子。
  2. 請求項1に記載の中空重合体粒子が水性溶媒に分散している水性分散液。
  3. 請求項1に記載の中空重合体粒子と、無機顔料とを含有してなる塗被組成物であって、
    無機顔料100重量部に対する、前記中空重合体粒子の含有割合が1〜30重量部である塗被組成物。
  4. 請求項3に記載の塗被組成物を原紙に塗被してなる塗被紙。
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