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JP2014065233A - セルロースナノファイバー積層体の製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー積層体の製造方法 Download PDF

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JP2014065233A JP2012212880A JP2012212880A JP2014065233A JP 2014065233 A JP2014065233 A JP 2014065233A JP 2012212880 A JP2012212880 A JP 2012212880A JP 2012212880 A JP2012212880 A JP 2012212880A JP 2014065233 A JP2014065233 A JP 2014065233A
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Abstract

【課題】セルロースナノファイバーの配向性を高め、優れたガスバリア性を有するセルロースナノファイバー積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材の少なくとも片面に溝形状のパターンを加工する工程S10と、その加工された面にセルロースナノファイバーを含む塗液を塗工する工程S20と、塗液を塗工されて成る塗膜を乾燥させセルロースナノファイバー層とする工程S30と、を有する。また、基材上に溝形状のパターン加工する工程S10では、基材に溝型を押し当てて形成する。その溝形状は、幅0.1〜0.5μm、深さ0.1〜0.5μmのV溝形状である。そして、無機化合物からなる蒸着層を形成する工程を有する。さらに熱可塑性樹脂層を形成する工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルロースナノファイバーから形成される膜を備える積層体の製造方法に関する。
一般的に、食品や医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、酸素、水蒸気、におい、その他内容物を変質させる原因となる物質を遮断するバリア性を有することが重要である。特に食品包装においては、中身が外気中の酸素によって酸化され劣化することを防ぐことにより、保存期間を長くする目的から、酸素を遮断するガスバリア性が強く求められている。従来、このような包装材料としては、温度・湿度等による影響が少ない、アルミニウム等の金属からなる金属膜や、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やポリビニルアルコール(PVA)をバリア層としたものが用いられてきた。例えば、基材上に、PVA系樹脂を配合したコーティング剤をコーティングしてバリア層を形成した積層体が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、金属箔を用いた包装材料は、使用後の廃棄の際に不燃物として処理しなければならず、また、PVDC樹脂を用いた包装材料においても、焼却時にダイオキシンが発生するなど、環境汚染が指摘されていた。さらに、PVDC樹脂やPVA系樹脂においては、石油由来材料であり、将来においては石油資源の枯渇が懸念されている。
そのような中、環境への負荷が少なく石油資源に依存しないものとして、バイオマス材料である天然由来の澱粉やセルロース、キチンキトサンなどの各種天然多糖類とその誘導体が注目されている。これらの中でも、セルロースは地球上で最も多量に生産されており、繊維状で高い結晶性を有し、高強度、低線膨張率であり、化学的安定性や生体への安全性に優れることから、機能性材料として注目されている。特に、微細セルロース繊維は、近年、紙力増強剤、ろ過補助剤、食品添加物などに利用され、盛んに開発が進められている。
例えば、木材パルプ等の植物繊維を、酸化触媒として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)等のN−オキシル化合物を用いて酸化処理(TEMPO酸化処理)した材料をフィルム等に用いることが提案されている。TEMPO酸化処理では、セルロース分子中の1級水酸基(グルコピラノース環の6位の炭素原子に結合した水酸基)の部分が高い選択性で酸化され、−CHOHがホルミル基を経てカルボキシ基に変換される。例えば、特許文献2には、このような材料を用いたガスバリア材が開示されている。
また、近年、セルロースナノファイバーが注目されている。天然のセルロース繊維は、セルロース分子数十本〜数百本からなる幅約数nm〜数十nmのミクロフィブリルの集合体であり、各ミクロフィブリルが水素結合により強固に結合している。セルロースナノファイバーは、このようなセルロース繊維をナノオーダーにまで解繊したものであり、結晶性が高く、強度、耐熱性等に優れることから各種機能性材料への応用が期待されている。
セルロースナノファイバーとしては、例えば、バクテリアセルロースや、木材パルプなどのセルロース成分を機械的な処理を施すことにより解繊してナノファイバー化したものがある。しかしこれらのセルロースナノファイバーは、繊維幅が大きく、均一性にも劣るため、得られる膜の透明性やガスバリア性に劣るという問題がある。
最近、セルロースナノファイバーの調製方法として、TEMPO酸化処理を利用した方法が見出され、研究されている。TEMPO酸化処理したセルロース繊維は、水性媒体中で簡単な機械的処理を行うことで容易に解繊させることができる。これは、セルロース表面に導入されているカルボキシ基の静電反発によるものと考えられる。例えば、特許文献3には、上記のようにして調製された、平均繊維径200nm以下のセルロース繊維を含むガスバリア用材料からなる層を有するガスバリア性複合成形体が開示されている。
しかしながら、従来のセルロースナノファイバーによるガスバリア材は、セルロースナノファイバー単独ではガスバリア性が十分ではなく、特に高湿度下ではガスバリア性が低下する問題があった。そこで、特許文献4にセルロースナノファイバーの配向性を高め高湿度下でのガスバリア性を向上させる方法が提案されている。特許文献4に記載されたシートの製造方法によれば、セルロースのナノファイバーが配向することにより、緻密な膜が形成されガスバリア性が改善されるが、その効果は限定的であった。例えば、セルロースナノファイバーフィルムを一軸延伸する方法では、セルロースナノファイバーフィルムの延伸性は高くないため、延伸工程において膜にクラックを生じて不良となる場合があった。また、湿潤(Wet)状態の塗膜の表面に非極性溶媒を接触させる方法では、塗膜の表面近傍においては配向がおこるが、膜内部は非配向領域となっていた。また、乾燥後のセルロースナノファイバー膜に種々の配向処理を施す方法では、セルロースナノファイバーの動きが小さく、配向強度を十分に高めることは困難であった。このように、従来のセルロースナノファイバー積層体の製造方法において、セルロースナノファイバーの配向性を高め、優れたガスバリア性を実現するという課題があった。
特開平6−316025号公報 特開2001−334600号公報 特開2009−57552号公報 特開2011−202101号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、よりセルロースナノファイバーの配向性を高め、優れたガスバリア性を有するセルロースナノファイバー積層体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明における請求項1に記載した発明は、基材の少なくとも片面に溝形状のパターンを加工する工程(S10)と、前記加工された面にセルロースナノファイバーを含む塗液を塗工する工程(S20)と、前記塗液を塗工されて成る塗膜を乾燥させセルロースナノファイバー層とする工程(S30)と、を有することを特徴とするセルロースナノファイバー積層体の製造方法である。
次に、請求項2に記載した発明は、前記基材上に溝形状のパターン加工する工程(S10)では、前記基材に溝型を押し当てて形成することを特徴とする請求項1記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法である。
次に、請求項3に記載した発明は、前記溝形状は、幅0.1〜0.5μm、深さ0.1〜0.5μmのV溝形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法である。
次に、請求項4に記載した発明は、さらに無機化合物からなる蒸着層を形成する工程(S40)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法である。
次に、請求項5に記載した発明は、さらに熱可塑性樹脂層を形成する工程(S50)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法である。
本発明によれば、セルロースナノファイバーの配向性を高め、ガスバリア性に優れたセルロースナノファイバー積層体を製造する方法を提供できる。
本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー積層体の基本的な製造方法を説明するフローチャートを示す図である。 図1に示した製造方法に、無機化合物からなる蒸着層を形成する工程を加えたセルロースナノファイバー積層体の製造方法を説明するフローチャートを示す図である。 図2に示した製造方法に、熱可塑性樹脂層を形成する工程を加えたセルロースナノファイバー積層体の製造方法を説明するフローチャートを示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を説明する。
(基材)
本実施形態に係るセルロースナノファイバー積層体の製造方法には、一般的に使用されている種々のシート状またはフィルム状の基材を使用することができる。そして、それら種々の基材のなかから、用途に応じたものを適宜選択して使用することができる。したがって、特に限定された基材である必要はない。以下に、種々の基材を例示する。
このような基材として、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系樹脂(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ乳酸等の生分解性プラスチック、これらの高分子を構成するモノマーのいずれか2種以上の共重合体等が挙げられる。
また、基材の厚さは、用途等に応じて適宜設定できる。例えば、包装材料として用いられる場合、通常、10〜200μmの範囲内であり、10〜100μmが好ましい。基材は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
以下、図1〜図3を参照して本実施形態に係るセルロースナノファイバー積層体の製造方法の各工程について説明する。
図1は本発明の実施形態に係るセルロースナノファイバー積層体の基本的な製造方法を説明するフローチャートを示す図である。図1に示すように、セルロースナノファイバー積層体の基本的な製造方法には、基材の少なくとも片面に溝形状のパターンを加工する工程(S10)と、その加工された面にセルロースナノファイバーを含む塗液を塗工する工程(S20)と、その塗液を塗工されて成る塗膜を乾燥させセルロースナノファイバー層とする工程(S30)と、を有する。
(基材の表面加工)
工程S10に示すように、基材の少なくとも片面に溝形状のパターンを加工する。具体的には、基材表面へ溝加工を施した溝型をプレスし、基材の表面に微細な溝を形成する。すなわち、基材に溝型を押し当てて溝形状のパターンを形成する。なお、この工程S10において、基材および溝型は、シート状、ロール状いずれでも加工を行うことが可能である。このようにして、基材上に微細な溝を形成すると、後述する工程S20に示すセルロースナノファイバー分散液塗工の際、分散液中のセルロースナノファイバーが溝に沿って一軸配向し、高密度に充填される。
この工程S10において、基材上に形成する溝の形状は、幅0.1〜0.5μm、深さ0.1〜0.5μmのV溝形状であることが好ましい。以下にその根拠を説明する。
まず、溝形状は、V字形状、U字形状、ブレーズ形状などが挙げられるが、型の加工のしやすさからV字状が好ましい。
次に、溝の幅は、後述するセルロースナノファイバーの平均繊維幅よりも広く、繊維長よりも狭く設定する必要がある。したがって、バリア層として用いるセルロースナノファイバーのサイズを考慮し、幅0.1〜0.5μm、を目標にして適宜設定すればよい。設定された溝の幅が不適切な例として、セルロースナノファイバーの繊維幅よりも狭いと、溝に沿ってナノファイバーが配列することが困難となる。同様に、溝の幅が不適切な例として、セルロースナノファイバーの繊維幅よりも広いと、溝に対して直角方向に配列されるナノファイバーが生じてしまい、一軸配向が阻害される。
また、溝の深さは、セルロースナノファイバーの繊維幅よりも深く設定する必要がある。一方、セルロースナノファイバー層に対し溝が深すぎると、セルロースナノファイバー膜が凹凸に追従しきれなくなり膜の欠陥となりバリア性を発揮できなくなる。このため、溝の深さは、繊維幅と膜厚を鑑み、1μm以下に設定し、好ましくは、0.1〜0.5μmを目標とする。
溝の形成方向は一定方向であればよく、基材の長軸方向、短軸方向または斜め方向でもよい。また、溝は基材全面において連続的に形成されていることが好ましいが、一部溝が形成されない部分が生じてもよい。溝の形成されない部分においては、一軸配向が起こらないため、ガスバリア性は劣るが欠陥ではない。なお、基材上に形成した溝は、例えば、基材表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認できる。
このように工程S10において、基材上に形成する溝の形状を、幅0.1〜0.5μm、深さ0.1〜0.5μmのV溝形状にすることによって、好ましい結果を得られた。
溝型は、従来のリソグラフィ技術、エッチング技術を用いた微細加工技術により作製することができる。例えば、シリコンウェハに結晶異方性エッチング加工を施すことにより作製することができる。シリコンウェハは半導体工程などに用いられており、安価でかつ高い精度での加工が可能であり、好適である。
シリコンは結晶異方性エッチング加工に対して、面方位によって大きくエッチング速度が異なるため、V溝形状を容易に形成することができる。具体的には、半導体用途に一般的に用いられている表面が(100)面のシリコンウェハに対して、結晶異方性エッチングを施すことにより、エッチングの遅い(111)面が(100)面に対して54.7°度の角度で形成される。この角度はシリコンの持つ物性により必然的に決定される角度である。
(シリコンの異方性エッチング加工)
シリコンの異方性エッチング加工は以下のような工程で行う。
(1)シリコンウェハの表面に結晶異方性エッチング加工に対応した酸化膜マスクを形成する工程。
まず、シリコンウェハの両面に酸化処理を施して酸化膜を形成する。また、シリコンウェハには、例えば厚さ525μmの(100)面が表面となっているシリコンウェハを用いる。なお、酸化膜の形成には、例えば熱酸化法を用いる。また、ここで両面に酸化膜を形成する理由としては、後の工程の結晶異方性エッチングによる加工工程で、裏面がエッチングされるのを防ぐためである。
(2)酸化膜マスクをパターニングするために酸化膜の上にレジストマスクを形成する工程。
次に、酸化膜を形成したシリコンウェハの表側の面の酸化膜を所定の形状にパターニングするために、酸化膜の上にレジストマスクを塗布し、これをパターニングする。レジストマスクの形状は、長方形を呈する被覆部と開口部からなり、被覆部と開口部はその長辺を平行させて繰り返し並んでいる、ラインアンドスペース(L/S)パターンとする。レジスト幅およびレジスト同士の間隔は、V溝形状のピッチの1/2の距離とすると連続的にV溝形状が形成され好適である。
(3)酸化膜マスクをパターニングする工程。
次に、レジストのパターニングによって表面に露出した酸化膜を、レジストの形状に沿ってパターニングする。この酸化膜のパターニングには、例えばCFをエッチングガスとしたドライエッチングを用いるのが好適である。
(4)酸化膜のパターン形成のために設けたレジストマスクを除去する工程。
次に、酸化膜上に設けられたレジストマスクを除去する。ここでレジストマスクは、例えば酸素プラズマによるアッシングによって除去する。
(5)シリコンウェハに結晶異方性エッチングを施す工程。
次に、酸化膜マスクを設けた状態で、表面に露出したシリコンウェハに対して結晶異方性エッチングを施す。結晶異方性エッチングは、いわゆるウェットエッチングを行い、例えばTMAH溶液(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液)を用い、所定の深さまで加工する。上述したように、シリコンウェハには、表面が(100)面のものを用い、異方性エッチングにより(111)面がV溝形状の斜面となるようにする。TMAH液でエッチングをする場合には、酸化物マスク端部からエッチング速度の遅い(111)面が表面に現れ、(111)面同士がぶつかり合ったところでエッチング速度が急激に落ち、V字状の形状が維持される。
(6)酸化膜マスクを除去する工程。
次に、結晶異方性エッチングに対応して設けた酸化膜マスク11を除去する。この酸化膜マスクの除去には、例えばHF溶液を用いる。
以上によりV溝形状の溝型を作製することができる。
また、シリコンウェハを加工して形成した溝型を原版とし、金属からなる溝型を作製することも可能である。この場合、原版の全面にめっき法によって金属層を一様に形成し、 次いでシリコンからなる原版をKOHやTMAH等の熱アルカリ溶液によるウェットエッチングによって除去すればよい。
溝型は、他にも機械加工、レーザー加工などを用いて形成してもよい。このとき、機械加工としては例えばダイシングブレードを用いたダイシングが挙げられる。
溝型の材料としては例えば、シリコン、石英、ニッケル、SiC、その他シリコン化合物や、クロム、鉄、アルミなどの金属およびその化合物などが使用可能である。
溝の形成前あるいは溝形成後、基材表面に、アンカーコート処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。また、これらの処理は、例えば、コロナ処理後にアンカーコート処理等、複数組み合わされて施されてもよい。表面処理を施すことで、表面に積層される層(後述のセルロースナノファイバー層等)との密着性が向上する。これらの表面処理は公知の方法により実施できる。
(セルロースナノファイバー層の形成)
次に、バリア層としてセルロースナノファイバー層を形成する。セルロースナノファイバー層は、以下の3段階の工程により形成される。
(1)セルロースナノファイバー分散液の調製(不図示)
(2)セルロースナノファイバー分散液の塗工(不図示)
(3)セルロースナノファイバー塗膜の乾燥(図1〜図3に示す工程S30)
(1)セルロースナノファイバー分散液の調製
セルロースナノファイバーとは、セルロースまたはその誘導体の繊維幅3〜5nmのミクロフィブリルまたはミクロフィブリル集合体のことを指し、公知の製造方法により製造できる。製造方法としては、例えば、セルロースナノファイバー前駆体を、水等の分散媒中で解繊処理を施してナノファイバー分散液とする方法が挙げられる。ここで、セルロースナノファイバー前駆体は、解繊処理が施されていないセルロース類であり、ミクロフィブリルの集合体から構成される。
セルロースナノファイバー前駆体としては、酸化セルロースからなるものが好ましい。酸化セルロースは、酸化処理により、セルロース分子中のグルコピラノース環の少なくとも一部にカルボキシ基が導入されたものである。天然のセルロース原料(パルプ等)に含まれるセルロースは、ミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)により多束化しているが、酸化セルロースは、カルボキシ基の電気的反発作用によって凝集力が弱くなり、ナノファイバー化しやすくなる。すなわち、セルロースあるいは他のセルロース誘導体を用いる場合に比べて、少ないエネルギーでナノファイバー化することができるため、環境負荷が小さい。
セルロース原料としては、セルロースを含むものであれば特に限定されず、セルロースIの結晶構造を有する天然由来のセルロースを用いることができる。例えば、各種木材パルプ、非木材パルプ、バクテリアセルロース、古紙パルプ、コットン、バロニアセルロース、ホヤセルロース等が挙げられる。また、市販されている各種セルロース粉末や微結晶セルロース粉末を使用できる。
セルロースの酸化処理としては、一般的に知られている水酸基からホルミル基を経てカルボキシ基へと酸化する方法から適宜選択することができるが、触媒として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)等のN−オキシル化合物を用いた酸化処理(TEMPO酸化処理)が好適である。TEMPO酸化処理を行うと、セルロース分子中の1級水酸基(グルコピラノース環の6位の炭素原子に結合した水酸基)の部分が高い選択性で酸化され、−CHOHがホルミル基を経てカルボキシ基に変換される。TEMPO酸化処理によれば、カルボキシ基を、酸化処理の程度に応じて均一かつ効率よく導入できる。また、TEMPO酸化処理は、他の酸化処理に比べて、セルロースの結晶性を損ないにくい。そのため、TEMPO酸化処理により得られる酸化セルロースのミクロフィブリルは、天然のセルロースが有する高い結晶構造(I型結晶構造)を保持しており、この高い結晶構造により高いガスバリア性が得られる。
セルロースに導入するカルボキシ基量(セルロースナノファイバー1g中に含まれるカルボキシ基のモル量)は、0.1〜3.5mmol/gが好ましく、0.5〜2.5mmol/gがより好ましく、1.0〜2.0mmol/gがさらに好ましい。カルボキシ基量が上記範囲の下限値以上であると、解繊処理の際、ナノファイバー化しやすくなり、得られるセルロースナノファイバー分散液の透明性も高い。また、該分散液を用いて形成される膜の透明性やガスバリア性も向上する。カルボキシ基量が上記範囲の上限値以下であると、該分散液を用いて形成される膜の耐水性や耐熱性が向上する。カルボキシ基量は酸化の際の反応条件(温度、時間、試薬量)により制御できる。
TEMPO酸化処理による酸化セルロースの製造は、例えば、パルプ等のセルロース原料を、水中にて、N−オキシル化合物の存在下で酸化処理することにより実施できる。このとき、N−オキシル化合物とともに、次亜ハロゲン酸塩や亜ハロゲン酸塩などを酸化剤として用いる手法が好ましい。酸化剤を用いる場合、反応系内においては、順次、N−オキシル化合物が酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩を生成し、該オキソアンモニウム塩により、セルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。
また、N−オキシル化合物および酸化剤とともに、さらに、N−オキシル化合物以外の他の触媒として、臭化物およびヨウ化物から選ばれる少なくとも1種を併用してもよい。
N−オキシル化合物の使用量は、触媒として適切な量であればよく、特に限定されない。通常、酸化処理するセルロース原料の固形分に対して、0.1〜10質量%の範囲内であり、0.5〜5質量%が好ましい。
酸化剤としては、臭素、塩素、ヨウ素等のハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。酸化剤の使用量は、酸化処理するセルロース原料の固形分に対して、1〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
臭化物としては、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属塩が挙げられる。
ヨウ化物としては、ヨウ化ナトリウム等のヨウ化アルカリ金属塩が挙げられる。
臭化物およびヨウ化物から選ばれる触媒の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択することができ、特に限定されない。通常、酸化処理するセルロース原料の固形分に対して、0〜100質量%の範囲内であり、5〜50質量%が好ましい。
TEMPO酸化の反応条件(温度、時間、pH等)は、特に限定されず、得ようとする酸化セルロースの所望のカルボキシ基量、平均繊維幅、平均繊維長、透過率、粘度等を考慮して適宜設定できる。
反応温度は、1級水酸基への酸化の選択性の向上、副反応の抑制等の点から、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。反応温度の下限は、特に限定されないが、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。
反応時間は、処理温度によっても異なるが、通常、0.5〜6時間の範囲内である。
反応中、反応系内のpHを、4〜11の範囲内に保つことが好ましい。特に酸化剤に次亜塩素酸塩を使用する場合、該pHは、8〜11がより好ましく、9〜11がさらに好ましく、9.5〜10.5が特に好ましい。該pHが11超であるとセルロースが分解してしまい低分子化する恐れがあり、酸性領域であると次亜塩素酸が分解し、塩素が発生する恐れがある。
ここで、本明細書において、pHは、20℃におけるpHである。
pHは、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、有機アルカリ等のアルカリを添加することにより調節できる。
反応は、反応液内にエタノール等のアルコールを添加することにより停止させることができる。酸化処理後、必要に応じて、反応液に酸を添加して中和処理を行ってもよい。上記酸化処理後の反応液中に含まれる酸化セルロースはカルボキシ基が塩型となっているが、中和処理を行うことにより酸型とすることができる。中和に用いる酸としては、酸化セルロース中の塩型のカルボキシ基を酸型とし得るものであればよく、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられるが安全性や入手のしやすさから塩酸が好ましい。
反応後の酸化セルロースは、ろ過等により反応液より回収できる。酸化セルロースは反応液中の触媒、不純物を除去するために洗浄処理を行うことが好ましい。洗浄処理は、例えば、ろ過により酸化セルロースを回収した後、水等の洗浄液で洗浄し、ろ別を繰り返すことにより実施できる。洗浄液としては、水系のものが好ましく用いられ、例えば、水、塩酸等が挙げられる。
前記TEMPO酸化処理により得られた酸化セルロース等のセルロースナノファイバー前駆体を分散媒に加え懸濁液とし、必要に応じてpH調節を行い、解繊処理(ナノファイバー化処理)することによりセルロースナノファイバーの分散液を調製できる。分散媒としては水、または水と有機溶剤との混合液が挙げられる。有機溶剤としては、水と均一に混和可能なものであればよく、例えば、エタノール等のアルコール、エーテル類、ケトン類等が挙げられる。
懸濁液の解繊処理前のpHは、特に限定されないが、前記の酸化セルロースをセルロースナノファイバー前駆体として用いる場合には、pH4〜12で解繊処理を行うのが好ましく、特に、pHをpH7以上pH12以下のアルカリ性とし、カルボン酸塩を形成するのが好ましい。これにより、カルボキシ基同士の電気的反発が起こりやすくなるため、分散性が向上しセルロースナノファイバーを得やすくなる。ここで、pH4未満でも解繊処理によりナノファイバー化することは可能であるが、解繊処理により長時間・高エネルギーを要し、分散液の透明性も劣る。一方、pH12を超えると解繊処理中に酸化セルロースのβ脱離反応による低分子量化が促進されるため、製膜後の膜強度が劣る。
解繊処理は、特に限定されず、超音波ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、対向衝突型ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、遊星ミル、高速回転ミキサー、グラインダー磨砕等を用いた機械的処理により実施できる。
本実施形態に用いられるセルロースナノファイバーの平均繊維幅は3〜50nmであることが好ましく、3〜30nmであることがより好ましい。セルロースナノファイバーは、非常に細い繊維幅に対して非常に長い繊維長(例えば、1μm以上)を有している。本実施形態に用いられるセルロースナノファイバーの平均繊維長は、配向させやすさ、製膜後の強度等を考慮すると、0.05〜3.0μmが好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましい。例えば、TEMPO酸化セルロースを解繊処理して得られるセルロースナノファイバーは、平均繊維幅3〜10nm、平均繊維長0.5〜1.5nmである。
上述たように工程S10において、基材上に形成する溝の幅は、セルロースナノファイバーの平均繊維幅3〜50nmよりも広く、繊維長1μmよりも狭く設定する必要がある。また、溝の深さは、セルロースナノファイバーの繊維幅よりも、やや深くする必要があることと、膜厚を鑑み、1μm以下に設定し、好ましくは、0.1〜0.5μmを目標とする。したがって、工程S10において、基材上に形成する溝の形状は、幅0.1〜0.5μm、深さ0.1〜0.5μmのV溝形状にすることによって、好ましい結果が得られた。
ナノファイバー分散液中のセルロースナノファイバーの固形分濃度は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。該固形分濃度が5質量%以下、特に3質量%以下であると、分散性、透明性が良好である。該固形分濃度の下限は特に限定されず、0質量%超であればよい。塗液を乾燥させて膜を形成させる際のエネルギー効率あるいは乾燥後の膜厚の観点からは0.1質量%以上が好ましい。
セルロースナノファイバー分散液には、必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、セルロースナノファイバーおよびpH調整に用いた成分以外のほかの成分を配合してもよい。他の成分としては、特に限定されず、用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、レベリング剤、消泡剤、水溶性高分子、合成高分子、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。
これらのうち、有機金属化合物またはその加水分解物は、セルロースナノファイバー表面のカルボキシ基と反応して複合化し、膜の耐水性、耐湿性、ガスバリア性等を向上させるため好ましい。また、無機層状化合物は、膜の面配向を促進する上、耐水性、耐湿性、ガスバリア性等を向上させるため好ましい。
無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物を意味し、無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は特に限定されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
無機層状化合物として具体的には、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物が挙げられる。これらのうち、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等が挙げられる。これらの中でも、組成物中での分散安定性、組成物の塗工性等の点から、モンモリロナイトが好ましい。
無機層状化合物は、分散液に直接配合してもよく、予め水等の媒体に分散させてから配合してもよい。
(2)セルロースナノファイバーの塗工
次にセルロースナノファイバー分散液を前述の基材上に塗工する。塗工前にセルロースナノファイバー分散液にアルコール等を添加してもよい。特に、アルコールを添加すると、分散液の粘度が下がり塗工しやすくなる、分散液の脱泡が容易になる、後述の乾燥工程において少ない熱量で乾燥が可能になるなどの効果がある。
セルロースナノファイバー分散液の塗工方法は特に限定されず、コーティング法、キャスト法等の公知の方法が利用できる。コーティング法としては、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、エアナイフコート法、バーコート法、メイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法等が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。特に、高速(リバース)グラビアコート法など、高シェア塗工法により塗工すると、セルロースナノファイバーの配向が促進され好ましい。
(3)セルロースナノファイバー塗膜の乾燥
次に塗工したセルロースナノファイバー分散液を乾燥させ膜を形成する(S30)。ここで、塗工から乾燥までの時間が短いとセルロースナノファイバーの配向が促進されないため、一定時間塗膜を静置した後、乾燥させるとよい。このとき、静置温度は、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。静置時間は、配向の促進と製造効率を考慮すると、1分以上3時間以下が好ましい。
塗膜の乾燥条件は、基材やセルロースナノファイバー分散液の固形分濃度、分散媒の種類、添加剤の種類、乾燥時間等を考慮して適宜設定すればよく、塗膜中の分散媒を除去できれば特に限定されない。塗膜中に分散媒が残存すると、膜の緻密化が不十分となり、セルロースナノファイバー層のガスバリア性が低下するため、乾燥温度は、80℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。また、乾燥時間は、30秒間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。
セルロースナノファイバー層の厚さ(乾燥厚さ)は、0.1〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。該厚さが5μmを超えると屈曲性が悪くなり、0.1μm未満であると、基材表面の凹凸の影響を受けて、膜に欠損を生じガスバリア性が低下するおそれがある。
本実施形態の製造方法においては、さらに公知の配向処理を組み合わせて行ってもよい。例えば、溝形成を行った基材にセルロースナノファイバー分散液を塗工(S20)し、乾燥後ラビング処理を行ってもよい。
図2は図1に示した製造方法に、無機化合物からなる蒸着層を形成する工程を加えたセルロースナノファイバー積層体の製造方法を説明するフローチャートを示す図である。図2に示すように、積層体には、さらに無機化合物からなる蒸着層を形成(S40)してもよい。蒸着層は、積層体のいずれの位置に形成されてもよく、これにより、ガスバリア性がさらに向上する。無機化合物としては、特に限定されず、従来、ガスバリア材等において蒸着膜を形成するために用いられているものが利用できる。例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化スズ等の無機酸化物が挙げられるが、特に、酸素ガスや水蒸気に対するバリア性に優れることから、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素が好ましい。これらは、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
蒸着層の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には数nm〜500nmの範囲内、好ましくは5〜300nmの範囲内で、所望のガスバリア性等を考慮して適宜選択される。この蒸着層の厚さが薄すぎると蒸着膜に欠損が生じやすくなり、反対に厚すぎると可撓性が低下し、クラックが発生しやすくなって、蒸着層のガスバリア性が充分に発揮されないおそれがある。
蒸着層は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の公知の方法により形成できる。
基材上に蒸着層を形成する場合、該基材の蒸着層を形成する面に、工程S10において、基材の少なくとも片面に溝形状パターンの加工を施すような表面処理を施してもよい。
図3は図2に示した製造方法に、熱可塑性樹脂層を形成する工程を加えたセルロースナノファイバー積層体の製造方法を説明するフローチャートを示す図である。図3に示すように、積層体には、さらに、熱溶着可能な熱可塑性樹脂層を形成する(S50)ことが好ましい。かかるシートは、ヒートシールによる加工、密封等が可能であることから、包装材料として有用である。
熱溶着可能な熱可塑性樹脂層としては、例えば、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)等のポリプロピレンフィルム;低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)等のポリエチレンフィルム;等が挙げられる。
該熱可塑性樹脂層は、通常、押し出し成形によって、または接着剤層を介して、セルロースナノファイバー層上に積層される。
積層体は、上記のほか、必要に応じて、印刷層、中間フィルム層等を設けてもよい。例えば、中間フィルム層を設けたシートの構成例として、基材/セルロースナノファイバー層/接着層/中間フィルム層/接着層/ヒートシール層との構成が挙げられる。
さらに、積層体には、必要に応じて、印刷層、接着層、帯電防止層、反射防止層、防眩層、偏光層、位相差層、傷防止や防汚のための保護層等を設けてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
なお、以下の各例において、pHは、自動滴定装置(平沼産業社製「自動滴定装置COM−1700」)を用い、20℃におけるpHを測定した。
<セルロースナノファイバー分散液の調製>
[セルロースのTEMPO酸化]
セルロースとして汎用的に入手可能な針葉樹漂白パルプを用いた。
セルロース30g(絶乾質量換算)を蒸留水600gに加え撹拌し、膨潤させた後ミキサーにより分散した。ここに蒸留水1200gと、予め蒸留水200gに溶解させたTEMPOを0.3g、臭化ナトリウム3gの溶液を加え、2mol/L濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液86gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に20℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5NのNaOH水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。そして、3時間反応させた時点で、エタノール30gを添加し、反応を停止した。続いて反応液に0.5NのHClを滴下しpHを2まで低下させた。ナイロンメッシュを用いてこの反応液をろ過し、固形分をさらに水で数回洗浄し、反応試薬や副生成物を除去し、固形分濃度7%の水を含有した酸化セルロースを得た。
[酸化パルプのカルボキシ基量の測定]
絶乾質量換算で0.2gの湿潤酸化セルロースをビーカーに量りとり蒸留水を加えて60gとした。0.1MのNaCl水溶液を0.5mL加え、0.5Mの塩酸でpHを3とした後0.5MのNaOH水溶液を滴下して伝導度測定を行った。測定はpHが11程度になるまで続けた。弱酸の中和段階に相当する部分がカルボキシ基量となるので、得られた伝導度曲線からNaOHの添加量を読み取ると、カルボキシ基量は1.6mmol/gであった。
[酸化パルプの解繊処理]
上記により調整した固形分濃度7%の酸化セルロース57.14g(固形分4g)に蒸留水を加え400gの酸化セルロース懸濁液とした。水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8に調整した。調製した懸濁液を回転刃つきミキサーにて60分間処理し、セルロースナノファイバー分散液を得た。
<実施例1>
基材として、表面をコロナ処理した膜厚25μmのPETフィルムを用意した。基材のコロナ処理面上に、400nmピッチ、深さ400nmでV溝形状を形成したSi型を押し当て、140℃で10分プレスし、V溝形状のパターンを加工した。続いて、上記により製造したセルロースナノファイバー分散液を、バーコーターを用いて塗工した。塗工後、室温にて2時間静置した後、120℃で15分間乾燥処理することにより膜厚約800nmのセルロースナノファイバー層を形成し、セルロースナノファイバー積層体を得た。
<比較例1>
基材として、表面をコロナ処理した膜厚25μmのPETフィルム用意した。続いて、上記により製造したセルロースナノファイバー分散液を、バーコーターを用いて塗工した。塗工後、直ちに120℃で15分間乾燥処理することにより膜厚約800nmのセルロースナノファイバー層を形成し、セルロースナノファイバー積層体を得た。
実施例1、比較例1で得た積層体フィルムについて、それぞれ、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」)にて積層体のセルロースナノファイバー側表面を観察した。その結果、実施例1の積層体においては、比較例1の積層体に比べ、積層体表面のセルロースナノファイバーが溝を形成した方向に沿って一軸配向していることが観察できた。
実施例1、比較例1で得た積層体について、それぞれ、30℃、40%RH雰囲気下での酸素透過度(cm/m・day)を、酸素透過度測定装置MOCON OX−TRAN 2/21(モダンコントロール社製)を用いて測定した。
その結果、該酸素透過度は、実施例1の積層体が4.1cm/m・day、比較例1の積層体が5.7cm/m・dayであり、実施例1の積層体の方が、酸素ガスバリア性が高いことが確認できた。
上記結果から、本実施形態に係るセルロースナノファイバー積層体の製造方法によれば、セルロースナノファイバーの配向性を高め、ガスバリア性を向上させる効果が得られることを確認できた。特に、基材の少なくとも片面に溝形状パターンの加工を施したことが、顕著な効果を奏する結果につながった。

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも片面に溝形状のパターンを加工する工程と、
    前記加工された面にセルロースナノファイバーを含む塗液を塗工する工程と、
    前記塗液を塗工されて成る塗膜を乾燥させセルロースナノファイバー層とする工程と、
    を有することを特徴とするセルロースナノファイバー積層体の製造方法。
  2. 前記基材上に溝形状のパターン加工する工程では、前記基材に溝型を押し当てて形成することを特徴とする請求項1記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法。
  3. 前記溝形状は、幅0.1〜0.5μm、深さ0.1〜0.5μmのV溝形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法。
  4. さらに無機化合物からなる蒸着層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法。
  5. さらに熱可塑性樹脂層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースナノファイバー積層体の製造方法。
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