JP2014064859A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【課題】押え足を交換した場合でも、布厚を正確に検出して送り歯の動作軌跡を変更できるミシンを提供する。
【解決手段】CPUは手動零位置設定処理を実行可能である。CPUは布厚0mm状態の指示メッセージを液晶パネルに表示する(S27)。メッセージを見た使用者は押え足を布厚0mm状態まで下げる。CPUは確定スイッチが押下したか否か判断する(S28)。確定スイッチが押下した場合(S28:YES)、CPUは現在の押え足高さを零位置に設定し、ホールセンサの出力電圧をEEPROMに記憶する(S29)。故に作業者は押え足を付け替えた場合に、押え足高さの零位置を設定できるので、縫製する布厚を正確に検出できる。従ってミシンは布厚に応じて送り歯の動作軌跡を適切に変更できるので、布厚に応じて適切な縫製を施すことができる。
【選択図】図21
【解決手段】CPUは手動零位置設定処理を実行可能である。CPUは布厚0mm状態の指示メッセージを液晶パネルに表示する(S27)。メッセージを見た使用者は押え足を布厚0mm状態まで下げる。CPUは確定スイッチが押下したか否か判断する(S28)。確定スイッチが押下した場合(S28:YES)、CPUは現在の押え足高さを零位置に設定し、ホールセンサの出力電圧をEEPROMに記憶する(S29)。故に作業者は押え足を付け替えた場合に、押え足高さの零位置を設定できるので、縫製する布厚を正確に検出できる。従ってミシンは布厚に応じて送り歯の動作軌跡を適切に変更できるので、布厚に応じて適切な縫製を施すことができる。
【選択図】図21
Description
本発明はミシンに関する。
従来のミシンは送り歯の動作軌跡を調整する機構を備える。作業者は布の厚さ、素材等に合わせて送り歯の動作軌跡を変更する。特許文献1が開示するミシンの上送り装置は、上送り歯、布厚検出手段、RAM、水平布送り変更手段を備える。布厚検出手段は加工布の布厚を検出する。RAMは布厚検出手段による布厚検出データに対応したパルスモータの作動量等を記憶する。パルスモータは上送り歯による送り量を調節する。水平布送り変更手段は、布厚検出手段が検出した布厚に対応するパルスモータの作動量を算出し、布厚に応じた上送り歯の水平布送り量を設定する。ミシンの製造者は出荷時に規定の押え足をミシンに装着した状態で押え足高さの校正を行う。故にミシンは布厚検出手段による布厚検出データに基づくパルスモータの作動量等を正確に設定できる。
使用者は押え足を交換する場合がある。押え足を交換すると、布のない(厚さ0mm)状態での押え足高さ位置は変化する可能性が高いので、押え足高さの校正が必要である。しかしながら、使用者は押え足高さの校正を行わずにミシンを使い続ける可能性がある。押え足高さ位置が変化すると、送り歯の動作軌跡は想定する布厚と違ったタイミングで変化する。該場合、針が加工布に刺さったまま送り歯が加工布を送る可能性がある。故にミシンは針折れと縫製不良が発生する可能性があった。
本発明の目的は、押え足を交換した場合でも、布厚を正確に検出して送り歯の動作軌跡を変更できるミシンを提供することである。
本発明の請求項1に係るミシンは、加工布をベッドに設けた針板上に押え付ける為の押え足と、前記押え足の上下方向位置を検出する第一位置検出手段と、前記第一位置検出手段が検出した前記上下方向位置に基づき、前記押え足が前記針板上に押え付けた前記加工布の布厚を検出する布厚検出手段と、前記布厚検出手段が検出した前記加工布の前記布厚に基づき、前記加工布を送る為の送り歯の動作軌跡を変更する変更手段とを備えたミシンであって、前記押え足が前記針板上に当接した状態で、前記第一位置検出手段が検出した前記上下方向位置を基準位置に設定する設定手段を備え、前記布厚検出手段は、前記設定手段が設定した前記基準位置と、前記針板上に前記加工布を押え付けた状態の前記押え足の前記上下方向位置である布押え位置とに基づき、前記布厚を検出することを特徴とする。ミシンは設定手段を備える。設定手段は押え足の基準位置を設定できる。使用者は押え足を他の押え足に付け替える場合がある。使用者は設定手段を用いて押え足の基準位置を正しく設定すれば、基準位置と布押え位置に基づき、加工布の布厚を正確に検出できる。変更手段は加工布の布厚に応じて送り歯の動作軌跡を適切に変更できる。故にミシンは加工布の布厚に応じて適切な縫製を施すことができる。
請求項2に係る発明のミシンは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記ミシンの主軸が停止中か否か判断する主軸停止判断手段と、前記主軸が停止中と前記主軸停止判断手段が判断した場合、前記押え足の上下方向位置を検出する第二位置検出手段と、前記第二位置検出手段が検出した前記上下方向位置が前記基準位置以下か否か判断する押え位置判断手段と、前記上下方向位置が前記基準位置以下と前記押え位置判断手段が判断した場合、前記基準位置を、前記第二位置検出手段が検出した前記上下方向位置に更新する第一基準位置更新手段とを備えたことを特徴とする。使用者は押え足を他の押え足に付け替えても基準位置を設定し忘れる場合がある。上軸停止中、押え足の上下方向位置が基準位置以下の場合、押え足は針板上に当接している可能性がある。ミシンは基準位置をその上下方向位置に設定できる。故にミシンは使用者が基準位置の設定を忘れた場合でも自動的に基準位置を設定できる。
請求項3に係る発明のミシンは、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記第一基準位置設定手段により前記基準位置を設定しない状態が、所定時間以上又は所定針数以上継続した場合、前記基準位置を予め設定した仮基準位置に設定する第二基準位置設定手段を備えたことを特徴とする。基準位置が設定しない状態が、所定時間以上又は所定針数以上継続した場合、押え足の上下方向位置がずれている可能性がある。上記状態が継続した場合、ミシンは基準位置を仮基準位置に設定できる。故にミシンは使用者が基準位置の設定を忘れた場合でも自動的に基準位置を設定できる。
請求項4に係る発明のミシンは、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記仮基準位置は、前記押え足の前記上下方向位置の最大値であることを特徴とする。仮基準位置を押え足の上下方向位置の最大値とすることで、ミシンは次回基準位置を設定する時に確実に基準位置を設定できる。故にミシンは押え足の上下方向位置がずれていた場合も基準位置を正しい位置に設定できる。
以下、本発明の第一実施形態のミシン1について図面を参照し説明する。図1〜図9を参照しミシン1の構成を説明する。図1の紙面上側、下側、右側、左側、表側、背面側は夫々ミシン1の上側、下側、右側、左側、前側、後側である。
図1に示すように、ミシン1はベッド部2、脚柱部3、アーム部4を備える。ベッド部2はミシン1の土台である。ベッド部2はテーブル20の上面の凹部(図示略)に上方から装着する。脚柱部3はベッド部2の右端から鉛直上方に延びる。アーム部4は脚柱部3の上端から左方に延びる。アーム部4はベッド部2の上面に対向する。アーム部4は左端部下方に押え足17を装着する。押え足17は送り歯34(図2参照)に対向する。アーム部4は内部に針棒7を保持する。針棒7は下端に縫針8を装着する。針棒7と縫針8はメインモータ13の駆動に従って上下に往復移動する。アーム部4は左端部前方に天秤9を備える。天秤9は針棒7に連動して上下動する。アーム部4は上部に操作部10を備える。操作部10は前面に液晶パネル11を備える。作業者は液晶パネル11を見ながら操作部10を操作し各種指示をミシン1に入力する。
ミシン1はテーブル20の下面に制御装置25を備える。制御装置25はロッド21を介して踏み込み式のペダル22に接続する。作業者はペダル22をつま先側又は踵側に操作する。制御装置25はペダル22の操作方向と操作量に応じてミシン1の動作を制御する。ミシン1はテーブル20の下方に膝操作レバー23を備える。作業者は膝操作レバー23を操作して押え棒63(図6参照)を上下動して、押え足17を上下動する。
脚柱部3は右側面上部にメインモータ13を備える。アーム部4は内部に主軸14を備える。主軸14は回転可能な状態でアーム部4内部を左右方向に延びる。主軸14の右端はメインモータ13に接続する。主軸14の左端は針棒上下動機構(図示略)に接続する。メインモータ13は主軸14を駆動して針棒7と天秤9を上下動する。
ベッド部2は上面左端に針板15を備える。針板15は略中央部に針穴18を有する(図2参照)。縫針8の下端は下降時に針穴18を通過する。針板15は針穴18の左方、後方、右方、前方の夫々に送り歯穴19を備える(図2参照)。送り歯穴19は前後方向に長い長方形状である。ベッド部2は針板15の下方に釜機構(図示略)、布送り機構30(図2〜図4参照)を備える。布送り機構30は縫製の対象となる布を送る機構である。
図2を参照し布送り機構30の構成を説明する。図2の紙面上側、下側、右側、左側、左上側、右下側は夫々ミシン1の上側、下側、前側、後側、右側、左側である。図2に示すように、布送り機構30は送り台33、送り歯34、布送りモータ35、動力伝達機構40、中間作用腕38、上下動力機構47等を備える。
送り台33は針板15の下方に位置し且つ針板15に対して略平行である。送り台33は上面の中心近傍に四つの送り歯34を略水平に支持する。送り歯34の夫々は送り歯穴19の位置に対応する。送り歯34の夫々は前後方向に長い。送り歯34の前後方向の長さは送り歯穴19の長さより小さい。送り歯34は押え足17との間で布を挟む為の凹凸を上部に備える。送り歯34は、布を水平方向に移動する。
布送りモータ35は送り台33の右方に配置してある。布送りモータ35はステッピングモータである。布送りモータ35は送り台33を前後方向に移動する。布送りモータ35は左方に延びる駆動軸36を備える。布送りモータ35は駆動軸36を回動する。
動力伝達機構40は、送り腕41、送り腕42、連結部65を備える。送り腕41の一端は布送りモータ35の駆動軸36の先端に直交して取り付ける。送り腕41の他端は送り腕42の一端に回転可能に連結する。送り腕42の他端は中間作用腕38の後端に回動可能に連結する。送り腕41の他端と送り腕42の一端が連結する部分は連結部65である。送り腕42の他端と中間作用腕38の後端が連結する部分は連結部66である。中間作用腕38は前後方向に延び、連結部66と連結する部分の反対側の前端部を水平送り軸28の右端側に取り付ける。中間作用腕38は水平送り軸28の長手方向に直交し且つ後方側に延びる。水平送り軸28は布送りモータ35の左上方に回動可能に設ける。水平送り軸28は左右方向に延び、ベッド部2に支持してある。リンク部材50の下端は水平送り軸28の左端部に直交して取り付ける。リンク部材50の上端は送り台33の前端部に回動可能に連結する。
駆動軸36が回動範囲の一方向と逆方向に回動することで、連結部65は前後方向に水平往復移動し、連結部66は上下方向に往復移動する。連結部66の移動によって中間作用腕38は水平送り軸28を中心に回動する。中間作用腕38の回動と連動して水平送り軸28は回動する。水平送り軸28の回動によって送り台33は前後方向に移動する。
送り台33の後端には上下動力機構47を設ける。上下動力機構47は上下送り軸27、プーリ24、偏心部39、リンク部材51を備える。上下送り軸27は回転可能な状態で左右方向に延びる。上下送り軸27はベッド部2に支持してある。上下送り軸27は水平送り軸28に対して平行に位置する。上下送り軸27は右端部にプーリ24を固定する。プーリ24はタイミングベルト(図示略)を介して主軸14に連結する。上下送り軸27はメインモータ13の駆動により主軸14と同期を保持した状態で回転する。偏心部39は上下送り軸27の左端に設ける。偏心部39は上下送り軸27の軸心に対して偏心している。リンク部材51は送り台33の後端に回転可能に設ける。リンク部材51は偏心部39を回転可能に保持する。偏心部39は上下送り軸27の回転によりリンク部材51を介して送り台33を上下動させる。
図2〜図4を参照し、布送り機構30の送り台33への前後方向の動作の付与を説明する。布送り機構30は駆動軸36が回動範囲で一方向と逆方向に回動することで下記の第一〜第三の状態を繰り返し、送り台33を前後方向に移動する。図2〜図4のW1〜W3の各々は、送り台33の近傍を示す。
図2に示す第一の状態では、動力伝達機構40は送り腕41と送り腕42が上下方向に一直線上に位置している。連結部66は最上部且つ連結部65の上方に位置している。中間作用腕38は略水平である。送り台33は最前方に位置する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態である。本実施形態では、送り腕41と送り腕42が上下方向に一直線上になったときの連結部65の位置が中間位置である。
第一の状態から布送りモータ35が駆動すると、駆動軸36は左側面視時計回りに回動する。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って時計回りに回動する。連結部65は中間位置から前方位置に移動する。送り腕41と送り腕42は連結部65を基点に前方に向かって略L字に屈曲する。送り腕42は連結部65を中心に左側面視反時計回りに回動する。送り腕42の回動によって連結部66は下方に移動する。連結部66は中間作用腕38の先端を下方に引き込む。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に反時計回りに回動して先端が斜め下方に傾斜する。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は反時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して反時計回りに回動する。送り台33は後方に移動する。駆動軸36が回動可能範囲の一端部まで回動すると送り歯34は送り歯穴19の最後方に位置する。布送り機構30は第二の状態(図3参照)となる。
布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は左側面視反時計回りに回動する。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って反時計回りに回動する。連結部65は前方位置から中間位置に移動する。送り腕41と送り腕42は上下方向に一直線上になる。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に時計回りに回動して略水平に戻る。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して時計回りに回動する。送り台33は前方に移動する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態(図2参照)に戻る。
駆動軸36は第一の状態から左側面視反時計回りに回動を続ける。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って反時計回りに回動を続ける。連結部65は中間位置から後方位置に移動する。送り腕41と送り腕42は連結部65を基点に第二の状態とは反対側である後方に向かって略L字に屈曲する。送り腕42は連結部65を中心に時計回りに回動する。送り腕42の回動によって連結部66は下方に移動する。連結部66は中間作用腕38の先端を下方に引き込む。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に反時計回りに回動して先端が斜め下方に傾斜する。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は反時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して反時計回りに回動する。送り台33は後方に移動する。駆動軸36が回動可能範囲の他端部まで回動すると送り歯34は送り歯穴19の最後方に位置する。布送り機構30は第三の状態(図4参照)となる。
布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転する。駆動軸36は時計回りに回動する。送り腕41は駆動軸36の回動に伴って時計回りに回動する。連結部65は後方位置から中間位置に移動する。送り腕41と送り腕42は上下方向に一直線上になる。中間作用腕38は水平送り軸28を中心に時計回りに回動して略水平に戻る。中間作用腕38の回動に連動して水平送り軸28は時計回りに回動する。リンク部材50は水平送り軸28に連動して時計回りに回動する。送り台33は最前方に移動する。送り歯34は送り歯穴19の最前方に位置する。布送り機構30は第一の状態(図2参照)に戻る。布送り機構30は第一〜第三の状態を繰り返し、送り台33を前後方向に移動する。
図5を参照し、布送り機構30が布を後方に向けて送る動作を説明する。布送り機構30は布送りモータ35の駆動による第一〜第三の状態の繰り返しと上述のメインモータ13の駆動による送り台33の上下動によって布を送る。布送り機構30が第一の状態の時(図2参照)、送り歯34が針板15上面と略一致する位置341にある。
メインモータ13が駆動すると、送り台33は偏心部39とリンク部材51により上方に移動して送り歯34が針板15上面から上方に突出する。布送りモータ35は駆動軸36を左側面視時計回りに回動する。送り台33は動力伝達機構40により後方に移動する。送り歯34は位置341より後方に移動し、針板15上面から上方に突出した位置342を通過する。故に、布送り機構30は布を後方に向けて送る。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33が偏心部39とリンク部材51により下方に移動し送り歯34が針板15上面と略一致する位置343に移動する。布送り機構30は布送りモータ35の駆動軸36が回動範囲の一端部まで時計回りに回動して第二の状態(図3参照)になる。布送り機構30は布を送るのを止める。
第二の状態の後、送り台33は偏心部39とリンク部材51により下方に移動して送り歯34が針板15上面から下方に下がる。布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転して左側面視反時計回りに回動する。送り台33は動力伝達機構40により前方に移動する。送り歯34は位置343より前方に移動し、針板15上面から下方に下がった位置344を通過する。送り歯34が針板15上面から下方に下がるので、布送り機構30は布を送らない。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33が偏心部39とリンク部材51により上方に移動し送り歯34が針板15上面と略一致する位置341に戻る。布送りモータ35が駆動軸36を左側面視反時計回りに回動するので、布送り機構30は第一の状態に戻る(図2参照)。
第一の状態の後、送り台33は偏心部39とリンク部材51により再度上方に移動して送り歯34が針板15上面から上方に突出する。布送りモータ35は駆動軸36が反時計回りの回動を続ける。送り台33は動力伝達機構40により移動方向が前方から後方に切り替わる。送り歯34は位置341より後方に移動し、針板15上面から上方に突出した位置342を通過する。布送り機構30は再度布を後方に向けて送る。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33が偏心部39とリンク部材51により下方に移動し送り歯34が針板15上面と略一致する位置343に移動する。布送り機構30は布送りモータ35の駆動軸36が回動範囲の他端部まで反時計回りに回動して第三の状態(図4参照)になる。布送り機構30は布を送るのを止める。
第三の状態の後、送り台33は偏心部39とリンク部材51により下方に移動して送り歯34が針板15上面から下方に下がる。布送りモータ35は駆動軸36の回動方向を反転して時計回りに回動する。送り台33は動力伝達機構40により前方に移動する。送り歯34は位置343より前方に移動し、針板15上面から下方に下がった位置344を通過する。送り歯34が針板15上面から下方に下がるので、布送り機構30は布を送らない。
メインモータ13が駆動を続けると、送り台33が偏心部39とリンク部材51により上方に移動し送り歯34が針板15上面と略一致する位置341に戻る。布送りモータ35が駆動軸36を時計回りに回動するので、布送り機構30は第一の状態に戻る。布送り機構30は上述の動作を繰り返し、布を後方に向けて送る。
図6〜図9を参照し、ベッド部2に載置した布の布厚を検出する機構を説明する。図6に示すように、アーム部4の左端部は、押え棒63、バネ71、糸調子機構(図示外)と、押え足駆動機構(図示外)等を内部に備える。押え棒63は、アーム部4内を上下方向に延びる。押え棒63の下端は、アーム部4の下端から下方に突出する。押え棒63は、下端に押え足17を備える。押え棒63は、上下方向の中央部に、押え棒抱き59を備える。押え棒63は、押え棒抱き59の上側にバネ71を備える。アーム部4の上端に設けた摘み部74は、バネ71の上端に当接する。バネ71は、押え棒抱き59を下方に付勢する。押え足駆動機構(図示外)は、膝操作レバー23(図1参照)に連結する。作業者が膝操作レバー23を右方に押すと、前記押え足駆動機構が押え棒抱き59を上方に移動する。故に、押え足17が上昇する。作業者が膝操作レバー23を右方に押すのを止めると、バネ71が押え棒抱き59を下方に押圧する。故に、押え棒63が下降する。故に、押え足17が下降する。押え足17は、ベッド部2の針板15上に載置された布100を下方に押圧する(図8参照)。
押え棒抱き59の左端部は、左側に板面を有する板状部位591である。押え棒抱き59の板状部位591は、左面の下部に磁石592を備える。アーム部4は、板状部位591の左面に対向する電気基板72を備える。電気基板72は、アーム部4左端の取付板401(図6参照)に固定する。電気基板72と板状部位591は互いに離間している。電気基板72は右面にホールセンサ73を実装している。ホールセンサ73は、駆動回路60、I/Oインターフェース(以下、I/Oという)48を介して、CPU44に接続する(図11参照)。駆動回路60(図11参照)は、ホールセンサ73を駆動する。駆動回路60は、ホールセンサ73による出力電圧を増幅等して、CPU44に入力する。
ホールセンサ73は、磁石592による磁界を検出する。押え足17と押え棒63の上下位置(昇降位置)が変化すると、磁石592の上下位置(昇降位置)が変化する。磁石592の上下位置が変化すると、ホールセンサ73が検出する磁界が変化する。故に、ホールセンサ73による出力電圧が変化する。CPU44は、該出力電圧の変化に応じて、押え棒63と押え足17の上下位置を検出する。
ミシン1は、後述する出荷時校正処理(図20参照)において、押え足17が針板15に当接する位置(図9参照)を原点位置として校正する。原点位置におけるホールセンサ73の出力電圧は基準値である。基準値は後述するEEPROM49(図11参照)に記憶する。ミシン1の出荷時、原点位置は押え足高さの零位置に設定する。押え足高さとは、針板15を基準とした押え足17の高さ(mm)である。CPU44は針板15と押え足17との間で布100を挟んだ状態(図8参照)のホールセンサ73による出力電圧と基準値とを比較して、押え足高さを検出する。このようにして、CPU44は押え足17と針板15との間の布100の布厚を検出する。尚、零位置は、後述する手動零位置設定処理(図21参照)と自動零位置設定処理(図22参照)によって設定する。
図10を参照し、押え足17の種類と押え足高さの関係を説明する。使用者は縫製する布の厚み、材質等によって、押え足17を付け替える場合がある。押え足17は種類によって厚みが異なる。押え足17Aの厚みをL1、押え足17Bの厚みをL2とした場合、L2はL1よりも厚い。故に押え足17Aを装着した場合と、押え足17Bを装着した場合とでは、押え足高さはL2とL1の差分だけ上下方向にずれる。例えば、押え足17Aを装着した状態で零位置を設定し、押え足17Bに付け替えると、押え足高さは上方にずれる。この場合、ミシン1は押え足17が針板15に接触した状態でも零位置よりも高い位置として検出してしまう。逆に、押え足17Bを装着した状態で零位置を設定し、押え足17Aに付け替えると、押え足高さは下方にずれる。この場合、ミシン1は押え足17が針板15に接触した状態では零位置よりも低い位置として検出してしまう。このような場合、CPU44は正確な布厚を検出できない。故に使用者が押え足17を付け替えた場合、ミシン1は零位置を再度設定する必要がある。
本実施形態のミシン1は、使用者自ら手動で零位置を設定できる手動零位置設定処理(図21参照)を実行可能である。しかし、使用者が押え足17を付け替えた場合であっても、手動での零位置の設定を忘れてしまう可能性がある。本実施形態のミシン1は、手動零位置設定処理に加え、自動零位置設定処理(図22参照)を実行可能である。自動零位置設定処理は零位置を自動で設定する処理である。手動零位置設定処理と自動零位置設定処理は後述する。
図11を参照し、ミシン1の電気的構成を説明する。ミシン1の制御装置25はCPU44を備える。CPU44はミシン1の制御を司る。CPU44はROM45、RAM46、EEPROM(登録商標)49、I/O48とバスを介して接続する。ROM45は後述する各種流れ図の処理を実行する為のプログラム等を記憶する。RAM46はプログラムを実行する為に必要な各種値を一時的に記憶する。EEPROM49は後述する校正値データ95(図12参照)、薄物用軌跡データ80(図13参照)、厚物用軌跡データ90(図14参照)等のデータと各種値を記憶する不揮発性の記憶装置である。
I/O48はペダル22、操作部10に接続する。CPU44はペダル22の操作方向と操作量を取得する。CPU44は操作部10から作業者による操作指示を取得する。作業者は液晶パネル11を確認しながら操作部10を操作する。I/O48は駆動回路52、53、60に接続する。
駆動回路52は液晶パネル11を駆動する。駆動回路53は、CPU44から入力するトルク指令信号に応じてメインモータ13を駆動する。ミシン1はメインモータ13の回転角位相(以下「上軸角」という。)と回転速度を検出する為のメインエンコーダ57を備える。メインエンコーダ57はメインモータ13の上軸角と回転速度の検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。
駆動回路54は、CPU44から入力する布送り駆動信号に応じて布送りモータ35を駆動する。CPU44は、布送りモータ35の駆動軸36の回転を制御し、送り歯34の動作軌跡を変更する。布送りモータ35はパルスモータである。布送りモータ35の布送り駆動信号はパルス信号である。ミシン1は布送りモータ35の回転角位相(以下、「布送り軸角」という。)と回転速度を検出する為の布送りエンコーダ58を備える。布送りエンコーダ58は布送りモータ35の布送り軸角と回転速度の検出結果をI/O48を介してCPU44に出力する。前述したように、駆動回路60は、ホールセンサ73を駆動する。駆動回路60は、ホールセンサ73による出力電圧を増幅等して、I/O48を介してCPU44に出力する。
図12を参照し、校正値データ95を説明する。校正値データ95は、ミシン1の出荷時において、押え足高さ0mmの時と、10mmの時のホールセンサ73の各出力電圧を含む。出荷時の押え足高さ0mmは原点位置である。出荷時の押え足高さ10mmは仮基準位置である。仮基準位置は後述する自動零位置設定処理(図22参照)で使用し、零位置として仮に設定する基準位置である。校正値データ95は、後述する出荷時校正処理(図20参照)で測定する。出荷時において、押え足高さ0mmのホールセンサ73の出力電圧は1.00Vである。押え足高さ10mmのホールセンサ73の出力電圧は4.00Vである。CPU44は校正値データ95の原点位置を押え足高さの零位置に設定し、EEPROM49に記憶する。CPU44は設定した零位置に基づき、針板15と押え足17との間に挟んだ布100の布厚を検出する。
図13〜図16を参照し、布厚の小さい布100(後述する閾値以下の布厚の布100)を縫製する為の薄物用軌跡データ80と送り歯34の動作軌跡を説明する。EEPROM49は薄物用軌跡データ80を記憶する。図13に示すように、薄物用軌跡データ80は、メインモータ13の上軸角と布送りモータ35の布送り軸角とを対応付ける。図13に示す薄物用軌跡データ80の上軸角と布送り軸角との対応関係は、図15の対応関係801である。CPU44は、メインモータ13と布送りモータ35を駆動制御し、上軸角と布送り軸角とが薄物用軌跡データ80に示す対応関係801になるように制御する。この場合、送り歯34は図16に示す薄物用軌跡802で駆動する。薄物用軌跡802の上下方向の移動は、CPU44がメインモータ13を駆動制御することで行う。薄物用軌跡802の前後方向の移動は、CPU44が布送りモータ35を駆動制御することで行う(後述する厚物用軌跡902も同様)。
図15に示すように、布送りモータ35の布送り軸角は、「−30°〜30°」の範囲である。即ち、駆動軸36の回動範囲は「−30°〜30°」である。布送り軸角が「0°」の時、第一の状態(図2)である。上軸角が「0°〜720°」に変化する間、布送り軸角は「−30°〜30°」の間で一往復する。即ち、メインモータ13の駆動軸(図示外)が2回転する間に、布送りモータ35の駆動軸36が一回往復回動する。この間、送り歯34は布100を2回搬送する。縫針8はメインモータ13が1回転すると1針分の縫製を行う。尚、駆動軸36の回動範囲「−30°〜30°」の両端の角度は、布100の搬送量(図16の距離L)に比例して可変である。
対応関係801上の符号802A、802B、802C、802D(図15参照)における上軸角と布送り軸角との対応関係にある場合、送り歯34は薄物用軌跡802上の位置802A、802B、802C、802D(図16参照)にある。CPU44が、対応関係801の符号802Aから符号802Bに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、針板15の下側を前方に向かって移動する(図16の矢印803)。送り歯34は針板15の下側に位置するので布100に接触しない。故に、送り歯34は布を送らない。
CPU44が対応関係801の符号802Bから符号802Cに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、針板15の上側を後方に向かって移動する(図16の矢印804)。送り歯34は針板15の上側に位置するので針板15上の布100に接触する。故に、送り歯34は布を後方に送る。同様に、CPU44が、符号802Cから符号802Dに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、矢印803の方向に移動する。CPU44が、符号802Dから符号802Aに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は矢印804の方向に移動し、布100を後方に送る。
図14〜図16を参照し、布厚の大きい布100(後述する閾値より大きい布厚の布100)を縫製する為の厚物用軌跡データ90と送り歯34の動作軌跡を説明する。EEPROM49は厚物用軌跡データ90を記憶する。図14に示すように、厚物用軌跡データ90は、メインモータ13の上軸角と、布送りモータ35の布送り軸角とを対応付ける。図14に示す厚物用軌跡データ90の上軸角と布送り軸角との対応関係は、図15の対応関係901である。CPU44は、メインモータ13と布送りモータ35を駆動制御し、上軸角と布送り軸角とが厚物用軌跡データ90に示す対応関係901になるように制御する。この場合、送り歯34は図16に示す厚物用軌跡902で駆動する。
図15に示すように、対応関係901上の符号902L、902Bの間、符号902C、902Eの間、符号902F、902Hの間、と符号902I、902Kの間で、布送り軸角が変化しない。即ち、駆動軸36は停止する。対応関係901上の符号902A〜902L(図15参照)における上軸角と布送り軸角との対応関係にある場合、送り歯34は厚物用軌跡902上の位置902A〜902L(図16参照)にある。
CPU44が、対応関係901の符号902Aから符号902Bに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の下側を下方向に移動する。CPU44は布送りモータ35が停止した状態に制御するので、送り歯34は前後方向に移動しない。CPU44が、対応関係901の符号902Bから符号902Cに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の下側を前方に向かって移動する(図16の矢印903)。送り歯34は針板15の下側に位置するので布100に接触しない。故に、送り歯34は布を送らない。
CPU44が、対応関係901の符号902C、符号902D、符号902Eの順に変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の下側から上側に向かって上方向に移動する。CPU44は布送りモータ35が停止した状態に制御するので、送り歯34は前後方向に移動しない。CPU44が、対応関係901の符号902Eから符号902Fに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は針板15の上側を後方に向かって移動する(図16の矢印904)。送り歯34は針板15の上側に位置するので針板15上の布100に接触する。故に、送り歯34は後方に布を送る。
CPU44が対応関係901の符号902Fから符号902Gに変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は下方向に移動する。CPU44は布送りモータ35が停止した状態に制御するので、送り歯34は前後方向に移動しない。CPU44が符号902G、902H、902I、902J、902K、902L、902Aの順に変化するようにメインモータ13と布送りモータ35を制御すると、送り歯34は、位置902A〜位置902Gに変化する場合と同じ動作軌跡で駆動する。
薄物用軌跡802では、送り歯34の布100を搬送する動作の開始タイミング(以下、単に「開始タイミング」という)は、送り歯34が位置802B、802Dにある時である。即ち、送り歯34の上下方向の位置が針板15と同じ位置にあるタイミングが開始タイミングである。厚物用軌跡902では、送り歯34の後方への動作の開始タイミングは、送り歯34が位置902E、902Kにある時である。故に、送り歯34の上下方向の位置が針板15より上側の位置にあるタイミングが、開始タイミングである。図15に示すように、送り歯34が位置902E、902Kにある時の上軸角は、送り歯34が位置802B、802Dにある時の上軸角よりも夫々大きい。即ち、厚物用軌跡902では、送り歯34の上下方向の動作に対する送り歯34の後方への動作の開始タイミングが、薄物用軌跡802に比べて遅い。
薄物用軌跡802では、送り歯34の布100を搬送する動作の終了タイミング(以下、単に「終了タイミング」という)は、送り歯34が位置802A、802Cにある時である。即ち、送り歯34の上下方向の位置が針板15と同じ位置にあるタイミングが終了タイミングである。厚物用軌跡902では、送り歯34の後方への動作の終了タイミングは、送り歯34が位置902F、902Lにある時である。故に、送り歯34の上下方向の位置が針板15より上側の位置にあるタイミングが、終了タイミングである。図15に示すように、送り歯34が位置902F、902Lにある時の上軸角は、送り歯34が位置802A、802Cにある時の上軸角よりも夫々小さい。即ち、厚物用軌跡902では、送り歯34の上下方向の動作に対する送り歯34の後方への動作の終了タイミングが、薄物用軌跡802に比べて早い。
送り歯34を上下方向に移動するメインモータ13の駆動軸の回転速度は、薄物用軌跡802と厚物用軌跡902とで同じである。故に、送り歯34が、薄物用軌跡802における位置802A、802Cと、位置802B、802Dとの間で移動する時間は、厚物用軌跡902における位置902A、902Gと、位置902D、902Jとの間で移動する時間と同じである。ここで、布100を搬送する距離Lは、薄物用軌跡802と厚物用軌跡902とで同じである。しかし、前述したように、厚物用軌跡902は、薄物用軌跡802に比べて開始タイミングが遅く、終了タイミングが早い。故に、厚物用軌跡902で駆動する送り歯34は、薄物用軌跡802の場合に比べて短い時間で距離L分移動する。故に、布100を距離L分移動させる送り歯34の動作の速度は、薄物用軌跡802の場合より厚物用軌跡902の方が速い。
図17と図18を参照し、送り歯34が薄物用軌跡802で移動する場合と、厚物用軌跡902で移動する場合の、縫針8と布100の位置関係等を説明する。縫針8はメインモータ13の駆動に従って上下に往復移動する。縫針8は、送り歯34が布100を後方に送る時に、上方から下方に向かって下降する。図17に示す縫針8の先端8Aの位置は、送り歯34が薄物用軌跡802で移動した場合の終了タイミングにおける先端8Aの高さ位置である。布100が薄く、布100の上面が高さ位置100Aにある場合、送り歯34が布100の搬送を終了した時点で、縫針8は布100に刺さっていない。故に、ミシン1は、正常に縫製をできる。
布100が厚く、布100の上面が高さ位置100Bにある場合、送り歯34が薄物用軌跡802で布100の搬送を終了した時点で、縫針8は、布100に刺さっている。即ち、送り歯34が布100の搬送を終了する前に、縫針8が布100に刺さる。この場合、縫製品質が悪化したり、縫針8が刺さった状態で布100が移動して縫針8が曲がり、針板15に接触して縫針8の折れが発生したりする可能性がある。この問題点を解決できるように、本実施形態は布100が厚い場合に、厚物用軌跡データ90を用いて布100を送る。
図18に示す縫針8の先端8Aの位置は、送り歯34が厚物用軌跡902で移動した場合の終了タイミングにおける先端8Aの高さ位置を示している。前述したように、厚物用軌跡902では、送り歯34の上下方向の動作に対する送り歯34の布100を搬送する動作の終了タイミングが、薄物用軌跡802に比べて早い。故に、厚物用軌跡902の終了タイミングでは、縫針8の先端8Aの位置は、薄物用軌跡802の終了タイミングにおける位置(図17参照)に比べ、高い位置にある。故に、布100が厚く、布100の上面が高さ位置100Bにある場合でも、縫針8は、布100に刺さっていない。即ち、布100の移動が終了する前に、縫針8が布100に刺さることを防止している。故に、ミシン1は、縫製品質の悪化を防止できる。ミシン1は、縫針8の曲がり、折れが発生することを防止できる。
図19を参照し、布送り処理を説明する。布送り処理は、布厚に応じて送り歯34の動作軌跡を変更して布100を送る処理である。ミシン1の電源がオンすると、CPU44は布送り処理を開始する。CPU44は、押え足17の上下位置の閾値を設定する(S11)。即ち、布厚の閾値を設定する。この閾値は予めEEPROM49に記憶されている閾値を用いてもよいし、作業者が閾値を設定してもよい。閾値は、例えば5mmである。
CPU44はメインエンコーダ57が出力する上軸角を取得する(S12)。CPU44は駆動回路60が出力するホールセンサ73の出力電圧から押え足17の高さを取得する(S13)。即ち、布100の布厚を取得する。CPU44は、S13で取得した布厚がS11で設定した閾値より大きいか否かを判断する(S14)。CPU44は、布厚が閾値より大きくない場合(S14:NO)、薄物用軌跡データ80(図13参照)から、S12で取得した上軸角に対応する布送り軸角を取得する(S15)。例えば、CPU44は、S12で取得した上軸角が「1°」であれば、布送り軸角「15.226°」を取得する。CPU44は、布送りモータ35を制御して、S15又はS16(後述)で取得した布送り軸角になるように、駆動軸36を回動する(S17)。
CPU44は、上軸角に変化があるか否かを判断する(S18)。CPU44は、メインエンコーダ57が出力する上軸角を監視することで、S18の判断を行う。CPU44は、上軸角が変化しない場合(S18:NO)、S18の処理を繰り返す。CPU44は、上軸角が変化した場合(S18:YES)、S12に戻る。
例えば、布厚が閾値以下の場合に作業者が縫製を継続すると、CPU44は、S12〜S15、S17、S18の処理を繰り返す。即ち、CPU44は、薄物用軌跡データ80(図13参照)に従って送り歯34を駆動する。故に、送り歯34は薄物用軌跡802(図16参照)で駆動する。
例えば、布厚が変化して閾値より大きくなる場合がある。この場合、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断し(S14:YES)、厚物用軌跡データ90(図14参照)から、S12で取得した上軸角に対応する布送り軸角を取得する(S16)。例えば、CPU44は、S12で取得した上軸角が「1°」であれば、布送り軸角「11.480°」を取得する。処理はS17に進む。
例えば、布厚が閾値より大きい場合に作業者が縫製を継続すると、CPU44はS12〜S14、S16〜S18を繰り返す。即ち、CPU44は、厚物用軌跡データ90(図14参照)に従って送り歯34を駆動する。故に、送り歯34は、厚物用軌跡902(図16参照)で駆動する。布送り処理はミシン1の電源がオフとなると終了する。
上記のように、本実施形態のミシン1は縫製する布の布厚に応じて送り歯34の動作軌跡を変更するので、布厚を正確に検出する必要がある。布厚を正確に検出するには、出荷時に押え足高さの校正を正確に行い、且つ押え足高さの零位置をミシン1に装着する押え足17の種類に応じて随時設定する必要がある。CPU44は後述する出荷時校正処理(図20参照)、手動零位置設定処理(図21参照)、自動零位置設定処理(図22参照)を夫々実行することで、ミシン1に装着する押え足17の種類に応じた零位置を設定できる。
図20を参照し、出荷時校正処理を説明する。ミシン1の製造者は、上記ミシン1の出荷時に押え足高さの校正を行う。製造者はアーム部4の左端部下方に押え足17を装着する。製造者はミシン1の電源をオンし、操作部10を操作して出荷時校正機能を選択する。CPU44はROM45に記憶した出荷時校正プログラムを呼び出して本処理を実行する。
先ず、CPU44は布厚0mm状態の指示メッセージを液晶パネル11に表示する(S21)。布厚0mm状態の指示メッセージは、製造者に押え足17を布厚0mm状態まで下げることを指示するメッセージである。メッセージを見た製造者は押え足17を布厚0mm状態まで下げる。布厚0mm状態は前述の押え足高さ0mmと同じである。製造者は原点位置を確定する為に確定スイッチを押下する。CPU44は操作部10の確定スイッチ(図示略)が押下したか否か判断する(S22)。確定スイッチが押下するまでは(S22:NO)、CPU44はS22に戻り、待機状態となる。確定スイッチが押下した場合(S22:YES)、現在の押え足高さを原点位置に設定し、ホールセンサ73の出力電圧を校正値データ95(図12参照)として、EEPROM49に記憶する(S23)。
次いで、CPU44は、仮基準位置を設定する為に、布厚10mm状態の指示メッセージを液晶パネル11に表示する(S24)。布厚10mm状態の指示メッセージは、製造者に押え足17を布厚10mm状態まで下げることを指示するメッセージである。メッセージを見た製造者は押え足17を布厚10mm状態まで下げる。布厚10mm状態は前述の押え足高さ10mmと同じである。製造者は仮基準位置を確定する為に確定スイッチを押下する。CPU44は確定スイッチが押下したか否か判断する(S25)。確定スイッチが押下するまでは(S25:NO)、CPU44はS25に戻り、待機状態となる。確定スイッチが押下した場合(S25:YES)、現在の押え足高さを仮基準位置に設定し、ホールセンサ73の出力電圧を、校正値データ95(図12参照)として、EEPROM49に記憶する(S26)。CPU44は本処理を終了し出荷時校正が完了する。ミシン1の出荷時、押え足高さの原点位置は押え足高さの零位置としてEEPROM49に記憶する。
図21を参照し、手動零位置設定処理を説明する。ミシン1の使用者は、押え足17を付け替えた場合、押え足高さがずれるので、押え足高さの零位置を設定する必要がある。使用者はミシン1の電源をオンし、操作部10を操作して手動零位置設定機能を選択する。CPU44はROM45に記憶した手動零位置設定プログラムを呼び出して本処理を実行する。
先ず、CPU44は布厚0mm状態の指示メッセージを液晶パネル11に表示する(S27)。布厚0mm状態の指示メッセージは、使用者に押え足17を布厚0mm状態まで下げることを指示するメッセージである。メッセージを見た使用者は押え足17を布厚0mm状態まで下げる。使用者は零位置を確定する為に確定スイッチを押下する。CPU44は操作部10の確定スイッチ(図示略)が押下したか否か判断する(S28)。CPU44は確定スイッチが押下するまでは(S28:NO)、S28に戻り、待機状態となる。確定スイッチが押下した場合(S28:YES)、CPU44は現在の押え足高さを零位置に設定し、ホールセンサ73の出力電圧をEEPROM49に記憶する(S29)。CPU44は本処理を終了する。作業者は押え足17を付け替えた場合に、押え足高さの零位置を設定できるので、ミシン1は布厚を正確に検出できる。
図22を参照し、自動零位置設定処理を説明する。ミシン1の電源がオンすると、CPU44はROM45に記憶した自動零位置設定プログラムを読み出して本処理を定期的に実行する。尚、使用者が操作部10を操作して自動零位置設定機能を選択した場合に、本処理を定期的に実行するようにしてもよい。
先ず、CPU44は主軸14が停止中か否か判断する(S31)。主軸14が回転中の場合(S31:NO)、縫製中であるので、CPU44は本処理を終了する。主軸14が停止中の場合(S31:YES)、CPU44は現在の押え足高さを測定する(S32)。CPU44は測定した押え足高さが現在の零位置以下か否か判断する(S33)。押え足高さが零位置以下である場合(S33:YES)、使用者が押え足17を厚みの厚い押え足17Bから薄い押え足17Aに付け替えた可能性がある。CPU44は測定した押え足高さを零位置に設定する(S35)
押え足高さが零位置より大きい場合(S33:NO)、CPU44は押え足高さの最後の設定から所定時間以上経過したか否か判断する(S34)。例えば、使用者が押え足17を厚みの薄い押え足17Aから厚い押え足17Bに付け替えた場合、S33で零位置以下を検出できない。故に零位置の設定が所定時間以上継続するような場合でも、押え足17を付け替えた可能性がある。そこで、CPU44は、押え足高さの最後の設定から所定時間以上経過した場合(S34:YES)、EEPROM49に記憶した校正値データ95に基づき、一旦、押え足高さ10mmの仮基準位置を零位置に設定する(S36)。押え足高さの最後の設定は、CPU44がS29(図21参照)又はS35の処理を実行し押え足高さの零位置を設定した時である。所定時間は、予め設定してあり、縫製中の時間を考慮するのが好ましく、例えば60分である。CPU44は、主軸14が停止中のみの時間を計測してもよい。該場合、所定時間は、縫製中の時間を考慮せずに設定した時間でよい。
CPU44はS31に戻り、主軸14が停止中であれば(S31:YES)、押え足高さを測定する(S32)。現在の零位置は仮基準位置である10mmである。CPU44は押え足高さが10mm以下か否か判断する(S33)。押え足高さが10mm以下であれば(S33:YES)、CPU44は現在の押え足高さを零位置に設定する(S35)。尚、EEPROM49に記憶する仮基準位置は、押え足17の上下方向位置の最大値に設定するのが好ましい。この場合、S33において、押え足高さは確実に零位置以下になるので(S33:YES)、現在の押え足高さを零位置に確実に更新できる(S35)。CPU44はS31に戻り、処理を繰り返す。故に作業者が押え足17を付け替えた場合に、押え足高さの零位置を設定し忘れた場合でも、自動で零位置を設定し直すことができる。故にミシン1は布厚を正確に検出できるので、上記布送り処理(図19参照)を良好に実行できる。
以上説明にて、図7に示すホールセンサ73と磁石592を用いて押え足17の上下方向位置を検出するCPU44が本発明の第一位置検出手段に相当する。図19のS13の処理を実行するCPU44が本発明の布厚検出手段に相当する。S14〜S16の処理を実行するCPU44が本発明の変更手段に相当する。図20のS23、図21のS29の処理を実行するCPU44が本発明の設定手段に相当する。図22のS31の処理を実行するCPU44が本発明の上軸停止判断手段に相当する。S32処理を実行するCPU44が本発明の第二位置検出手段に相当する。S33の処理を実行するCPU44が本発明の押え位置判断手段に相当する。S35の処理を実行するCPU44が本発明の第一基準位置更新手段に相当する。S36の処理を実行するCPU44が本発明の第二基準位置更新手段に相当する。
以上説明したように、本実施形態のミシン1のCPU44は布送り処理を行う。CPU44は布厚を検出する。布厚が閾値より大きいと判断しなかった場合、送り歯34を薄物用軌跡802で駆動する。CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断した場合、送り歯34を厚物用軌跡902で駆動する。送り歯34が厚物用軌跡902で駆動する場合、薄物用軌跡802で駆動する場合に比べて、終了タイミングが早い。即ち、CPU44は、布厚が閾値より大きいと判断した場合、終了タイミングを、布厚が閾値より大きいと判断しなかった場合の終了タイミングより早くするように布送りモータ35を駆動制御する。故に、ミシン1は、布厚が閾値より大きい場合に自動で終了タイミングを早くできる。よって、作業者がミシン1の縫製動作を止めて終了タイミングの調整を行う必要がない。故に、ミシン1は作業者の縫製作業の効率を向上できる。
本実施形態は特に、CPU44は手動零位置設定処理を実行可能である。CPU44は、押え足17が針板15上に当接した状態の押え足高さを零位置に設定できる。故に使用者が押え足17を付け替えた場合、押え足17に応じた零位置を設定し直すことができる。ミシン1は布の布厚を正確に検出できる。故にミシン1は布厚に応じて送り歯の動作軌跡を適切に変更できるので、布厚に応じて適切な縫製を施すことができる。
本実施形態は更に、主軸14の停止中、押え足17の上下方向位置が零位置以下の場合、零位置を更新できる。故に使用者が押え足17を付け替えたにも関わらず、零位置の設定を忘れた場合でも、ミシン1は自動的に零位置を設定し直すことができる。
本実施形態は更に、零位置を更新しない状態が、所定時間継続した場合、零位置を予め設定した仮基準位置に更新する。零位置を更新しない状態が所定時間以上継続した場合、押え足17の厚みが薄い押え足17Aから厚い押え足17Bに付け替えている可能性がある。零位置を更新しない状態が継続した場合、ミシン1は零位置を仮基準位置に更新する。故にミシン1は使用者が零位置の更新を忘れた場合でも零位置を自動で確実に更新できる。
本実施形態は更に、仮基準位置を押え足17の上下方向位置の最大値とすることによって、ミシン1は次回零位置を更新する時に確実に零位置を更新できる。故にミシン1は押え足17の上下方向位置がずれていた場合も零位置を正しい位置に更新できる。
尚、本発明は上記実施形態に限定するものでなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態は、自動零位置設定処理(図22参照)において、最後の設定から所定時間以上経過している場合は(S34:YES)、仮基準位置を零位置に設定するが(S36)、例えば、最後の設定から所定針数以上継続した場合に、仮基準位置を零位置に設定してもよい。該場合、CPU44は縫製中にメインエンコーダ57が出力する上軸角に基づき縫針8の上下動の回数である針数を得る。CPU44は該針数が予め設定した所定針数以上か否か判断し、仮基準位置を零位置に設定する。零位置を更新しない状態が所定針数以上継続した場合、押え足17の厚みが薄い押え足17Aから厚い押え足17Bに付け替えた状態で縫製をしている可能性がある。故にミシン1は使用者が零位置の更新を忘れた場合でも零位置を自動で確実に更新できる。
上記実施形態では、自動零位置設定処理(図22参照)は、現在の押え足高さが零位置と同じである場合も(S33:YES)、現在の押え足高さを零位置に設定し直しているが(S35)、現在の押え足高さが零位置と同じである場合は何もせずにそのままS31に戻るようにしてもよい。
上記実施形態では、布送り処理は1つの閾値で送り歯34の動作軌跡を切り替えて布を搬送する処理であるが、例えば、2つ以上の閾値で送り歯34の動作軌跡を切り替えて布を搬送してもよい。布送り処理は、閾値を用いずに布厚に応じて送り歯34の動作軌跡を算出してもよい。
上記実施形態では、仮基準位置は押え足17の上下方向位置の最大値であったが、最大値でなくてもよく、原点位置である押え足高さ0mmよりも十分大きい値であればよい。
1 ミシン
2 ベッド部
14 主軸
15 針板
17 押え足
30 布送り機構
44 CPU
49 EEPROM
73 ホールセンサ
80 薄物用軌跡データ
90 厚物用軌跡データ
2 ベッド部
14 主軸
15 針板
17 押え足
30 布送り機構
44 CPU
49 EEPROM
73 ホールセンサ
80 薄物用軌跡データ
90 厚物用軌跡データ
Claims (4)
- 加工布をベッドに設けた針板上に押え付ける為の押え足と、
前記押え足の上下方向位置を検出する第一位置検出手段と、
前記第一位置検出手段が検出した前記上下方向位置に基づき、前記押え足が前記針板上に押え付けた前記加工布の布厚を検出する布厚検出手段と、
前記布厚検出手段が検出した前記加工布の前記布厚に基づき、前記加工布を送る為の送り歯の動作軌跡を変更する変更手段と
を備えたミシンであって、
前記押え足が前記針板上に当接した状態で、前記第一位置検出手段が検出した前記上下方向位置を基準位置に設定する設定手段を備え、
前記布厚検出手段は、前記設定手段が設定した前記基準位置と、前記針板上に前記加工布を押え付けた状態の前記押え足の前記上下方向位置である布押え位置とに基づき、前記布厚を検出することを特徴とするミシン。 - 前記ミシンの主軸が停止中か否か判断する主軸停止判断手段と、
前記主軸が停止中と前記主軸停止判断手段が判断した場合、前記押え足の上下方向位置を検出する第二位置検出手段と、
前記第二位置検出手段が検出した前記上下方向位置が前記基準位置以下か否か判断する押え位置判断手段と、
前記上下方向位置が前記基準位置以下と前記押え位置判断手段が判断した場合、前記基準位置を、前記第二位置検出手段が検出した前記上下方向位置に更新する第一基準位置更新手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミシン。 - 前記第一基準位置更新手段により前記基準位置を更新しない状態が、所定時間以上又は所定針数以上継続した場合、前記基準位置を予め設定した仮基準位置に更新する第二基準位置更新手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
- 前記仮基準位置は、前記押え足の前記上下方向位置の最大値であることを特徴とする請求項3に記載のミシン。
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