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JP2014056831A - 有機薄膜パターニング用基板、有機電界発光素子、並びに有機el表示装置および有機el照明 - Google Patents

有機薄膜パターニング用基板、有機電界発光素子、並びに有機el表示装置および有機el照明 Download PDF

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Yasutsugu Yamauchi
康嗣 山内
Tomoyuki Ogata
朋行 緒方
Toshimitsu Nakai
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Mizuki Yamahira
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【課題】電荷輸送層上に形成したバンクを有する有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子において、駆動電圧が低く、かつ均一な発光が得られる有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】基板1上に、陽極層12、正孔注入層および正孔輸送層2aをこの順に有し、該正孔輸送層上にバンク11および該バンクによって区画された領域8を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、陽極層と正孔注入層の界面から正孔輸送層上のバンクが形成された領域における正孔輸送層とバンクの界面までの距離Aが、正孔輸送層上のバンクによって区画された領域表面までの距離Bよりも小さいことを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板およびこれを用いた有機電界発光素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機電界発光素子に用いられる有機薄膜パターニング用基板、およびこれを用いた有機電界発光素子ならびに有機EL表示装置および有機EL照明に関する。
近年、有機ELディスプレイの発達は著しく、需要も増加の傾向にあるが、さらなる普及のためには製造の簡易化が求められ、製造プロセスが簡略で歩留まりがよく、低コストであるインクジェット方式を利用して画素を形成させる方法が提案されている。インクジェット方式では、まず画素の塗り分けのためのバンク(隔壁)を基板上に形成して区画領域を形成し、この区画された領域内にRGB三原色それぞれの画素を形成するインクを吐出して、乾燥することにより画素を形成させて、有機電界発光素子を形成する。
しかしながら、有機電界発光素子は、正孔注入層、発光層などの複数の層をバンクで区画された領域に形成されなければならず、バンクで区画された領域に形成される各層の膜厚等の制御が困難であった。
そこで、例えば、特許文献1では、正孔注入層を基板の全面に形成し、正孔注入層上にバンクを形成する方法が開示されている。この方法によれば、従来のよりも簡易な工程で、かつ、バンクで区画された領域内に形成される各層の膜厚の不均一を生じにくい。しかしながら、このように正孔注入層などの電荷輸送層上にバンクを形成することにより製造された有機電界発光素子は、均一な発光が得られなかったり、駆動電圧が高くなってしまったりするという問題点があった。
特開2004−234901号公報
本発明は、電荷輸送層上に形成したバンクを有する有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子において、駆動電圧が低く、かつ均一な発光が得られる、長寿命な有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、バンクで区画された領域を制御することにより、上記課題が解決できることが分かり本発明に到達した。すなわち、本発明は、基板上に、陽極層、正孔注入層および正孔輸送層をこの順に有し、該正孔輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、陽極層と正孔注入層の界面から正孔輸送層上のバンクが形成された領域における正孔輸送層がバンクの界面までの距離Aと正孔輸送層上のバンクによって区画された領域表面までの距離Bよりも小さいことを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板に存する。
また、本発明は、上記有機薄膜パターニング用基板を使用して形成された有機電界発光素子、有機EL表示装置及び有機EL照明に存する。
本発明によれば、電荷輸送層上に形成したバンクを有する有機薄膜パターニング用基板
を用いた有機電界発光素子において、駆動電圧が低く、かつ均一な発光が得られる。
また、このような有機電界発光素子を用いた、高性能の有機EL表示装置および有機EL照明を得ることができる。
有機薄膜パターニング用基板の構造を示す模式的な断面図である。 有機薄膜パターニング用基板の製造手順と製造された有機薄膜パターニング用基板への有機薄膜の形成工程の実施の態様を示す模式的な断面図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
<有機薄膜パターニング用基板>
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上に、電極層および電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、電極層と電荷輸送層の界面から、電荷輸送層上のバンクが形成された領域における、電荷輸送層とバンクの界面までの距離Aと、電荷輸送層上のバンクによって区画された領域表面までの距離Bが異なることを特徴とする。
本発明の有機薄膜パターニング用基板の模式的断面図を図1に示す。電荷輸送層とバンクの界面までの距離Aと、電荷輸送層上のバンクによって区画された領域表面までの距離Bが異なっていればよく、図1(a)のように、距離Aが、距離Bよりも大きくてもよいし、図1(b)のように、距離Bが、距離Aよりも大きくてもよい。
距離Aと距離Bとが異なることにより、本発明の効果を奏する理由は、以下のように推測される。
すなわち、駆動電圧が低く、発光効率を高く保ち、長寿命な素子は、採用した材料系に対して、素子構造が最適化された素子によって提供することが可能である。ここで、素子構造とは、採用した材料系の層構成と構成している層の層厚、組成、各層におけるドープ量などを指す。
距離Bは、例えば、発光領域における電荷輸送層の厚さに相当する。この厚さは素子の特性、駆動電圧や電荷注入効率、発光効率などに極めて大きな影響を与えるパラメータである。したがって、従来の構造では、距離Aが決定される工程で、もしも距離Aが素子特性にとっての最適値と異なる値になってしまった場合、ずれたまま最終工程まで達して、結果として素子は最適値でない値を持つに至り、素子特性も最適値から外れたものになる。
そこで、本発明によれば、距離Aが最適値から外れていても、距離Aが決定される工程の後工程で調整した距離Bとすることにより、距離Bを最適値とすることができる。
また、例えばRGBフルカラー有機EL表示装置において、発光層の種類によって最適な電荷輸送層の厚さが異なる場合にも、距離Bを各発光層に応じた最適膜厚にすることによって、各発光層の種類に応じた素子特性の最適化が可能になる。
よって、本発明によれば、かかる効果によって、駆動電圧が低く、発光効率を高く保ち、長寿命な素子を提供することが可能となると推測される。
距離A及び距離Bについては、図1に示すパターニング用基板の断面図を用いて説明する。
距離Aは、電極層と電荷輸送層の界面から、電荷輸送層上のバンクが形成された領域における、電荷輸送層とバンクの界面までの距離を表す。
また、距離Bは、電極層と電荷輸送層の界面から、電荷輸送層上のバンクによって区画された領域表面までの距離を表す。
また、電極層と電荷輸送層との界面、電荷輸送層とバンクとの界面、および電荷輸送層上のバンクによって区画された領域表面を以下のように定義する。
電極層と電荷輸送層との界面は、電極層の構成成分と電荷輸送層の構成成分との物質境界面(物質の種類または物質の種類に依存した物理量が急峻に変化する点の集合として定義される、3次元空間の3つの自由度に1つの拘束条件を与えた数学的形式をとる3次元曲面)を定義とする。ここで、「急峻に変化する」とは、通常、物質を構成する最小単位としての原子の大きさの1000倍以下、好ましくは10倍以下の長さのスケールで変化することをいう。具体的には数nm以下の長さで物質の種類または関連する物理量が変化すれば、急峻に変化するといってよい。ただし、有限な長さの中で「急峻に変化する点」を定義する方法としては、着目する物理量について、急峻に変化する前後の値の平均値を与える空間点とすることが、通常行われる。
次に、物質の種類を決定する方法、または前記物理量として、例えば密度、または密度の関数としての他の物理量、例えば屈折率または弾性率を決定する方法を考える。一般に、物質の種類は分光学的測定から、屈折率は光学的測定から、弾性率は機械的測定から測定可能である。それらの測定方法を適用して、前記急峻に変化する点の集合を決定すれば、該電極層と電荷輸送層の界面を定義することができる。
電荷輸送層とバンクの界面とは、電荷輸送層を現に構成している組成物とバンクを現に構成している組成物の物質境界面を電荷輸送層とバンクの界面と定義する。
バンクを現像形成する前、あるいは現像形成した後であっても、前記方法によれば、電荷輸送層とバンクの界面を決定することができる。
電荷輸送層上のバンクによって区画された領域表面とは、電荷輸送層上のバンクによって区画された領域は、該電荷輸送層が部分的であっても表面として露出している領域である。ここで表面とは、物質と雰囲気または真空との境界を指す。
このような定義を基にして、物質の種類やそれに伴う物理量の変化が引き起こす別の物理的性質の変化を検出し前記の各界面を測定する具体的方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、およびそれらと分光学的測定方法、例えば、Auger電子分光法、蛍光X線分光法などを組み合わせた方法が挙げられる。その他に、2次イオン質量分析法(SIMS)およびイオン飛行時間分析を組み合わせた方法、分光偏光解析法(分光エリプソメトリー)、光学干渉式表面形状測定法(菱化システム社製VertScan)、触針光てこ式表面形状測定法、などが挙げられる。
次に、こうした測定方法を用いて、電荷輸送層とバンクの界面を決定し、距離Aを求める方法について述べる。
まず、電荷輸送層を形成する前の電極層表面について、その表面形状を前記表面形状測定法で測定する方法の1例を述べる。ここで表面形状とは、表面の相対的な高さの1次元または2次元分布を指す。また、該1次元または2次元分布から求められる距離を距離Aまたは距離Bとする。さらに、該距離を単に長さと表記することがある。相対的な長さや距離の分解能は、測定方法や測定装置の持つ精度および分解能に依存する。
相対的な高さの基準となる点は、一貫して再現性が出せる位置を選択する。例えば、測定器の測定台表面の原点に対して、基板の電極表面の面内の指定した1点を位置合わせして、その電極表面を平面的な位置の基準として用いる(基準位置と呼ぶ)ことができる。該基準位置の指定に関しては、前記長さの分解能を考慮した上で、はっきり他の点と区別できるように、位置合わせマークなどを設けることが好ましい。
測定した電極表面形状を記録し、次に電荷輸送層を形成する。形成した電荷輸送層を同様に表面形状測定する。記録した電極表面形状に対する電荷輸送層表面形状の相対値(差分)に対して、該基準位置での電荷輸送層の表面ならびに電極層と電荷輸送層との界面との距離、すなわち、距離Aに相当する距離の絶対値を加算すれば、距離Aに相当する距離が決定できる。
そこで、前記基準位置における、距離Aに相当する距離の絶対値を測定するには、前記方法、例えば、TEM、SPMまたはSIMS、分光エリプソメーター、VertScan、触針光てこ式表面形状測定法、などを用いることができる。
基準位置において、距離Aに相当する値を実際に求めるには、基準位置における断面を出して、例えばTEM等を用いて元素分析マッピングする方法を採用することができる。
ただし、実際の製造現場において、製品の断面を出すことが困難な場合は、たとえば、製品にしないダミー基板を一緒に流して、該ダミー基板において断面測定する、または、条件出しの段階で製造条件と距離Aに相当する値との相関をとる、などの方法で、距離Aに相当する値を決定してもよい。また、製造条件が安定しないならば、抜き取り検査としてもよい。
このように、電極表面の表面形状と電荷輸送層の表面形状を、基準位置を一致させた状態でそれぞれ測定し、基準位置での電荷輸送層の厚さを測定することにより、距離Aに相当する距離の分布を決定できることを述べた。
ただし、該分布は、距離Aに相当する距離としてよい。また、バンク形成後の電荷輸送層が露出した表面から、電荷輸送層と電極層の界面までの距離を距離Aに相当する距離として測定してもよい。
また、この後にバンク形成プロセスが存在しているが、工程を経て界面が変化する場合には、まだ距離Aとはしない。この場合は、すべてのバンク形成工程を終了した後に距離Aを決定するための測定を行うか、または、バンク形成工程の前後で距離Aが変化する量を確認してその変化量を加味すればよい。
距離Bについては、測定そのものは距離Aと同様の方法で測定できる。さらに、より簡便には、形成されたバンクの表面を基準に取ることによって、相対値である(距離A−距離B)に相当する距離の分布を測定し、それと距離Aに相当する分布との差分から距離Bに相当する分布を算出することも可能である。この場合、前記基準位置におけるバンク表面から電極層表面または電荷輸送層と電極層の界面までの距離の、各工程を経て変化した量を確認して加味すればよい。
複数の表面形状(例えば、距離Aに相当する分布と、距離Bに相当する分布)を比較する方法を次に述べる。
この問題に対しては、2つの分布が同じか違うかを問う検定の問題に帰着する。したがって、距離Aおよび距離Bに相当する値の分布に対して、その最尤値について統計処理を用いて算出し、比較することで解決する。
そこで、本発明においては、前記1次元または2次元分布そのものをもって距離Aおよび距離Bとするのではなく、該分布に対して適切な統計処理を行って算出された最尤値(通常は、平均化処理を行って算出された平均値)をもって距離Aおよび距離Bとする。
このとき、基準位置において、電荷輸送層を形成しない、または、形成された電荷輸送層をそこだけ除去することによれば、電荷輸送層が存在しない該基準位置を含む表面形状測定のみによって、前記電極表面の面内の指定した1点における電荷輸送層の厚さの(最
尤値の)推定が可能となるので、測定が簡便になり好ましい。
さらには、(距離A−距離B)の相対値が測定できれば距離Aと距離Bをそれぞれ測定する必要もない。そうした相対測定であれば、基準位置におけるバンク上面を基準高さとして、相対値(距離A−距離B)を測定することも可能である。
距離Aと距離Bは、距離Aが最適設計値にどれだけ近いかによって、距離Bが決定される。つまり、距離Bが最適設計値であれば、距離Aはどのような値をとってもよく、製造プロセスの設計上、自由度を高くすることができる。
電荷輸送層の厚さの最適設計値の1例としては、40nmを挙げることができるが、距離Bを40nmとすれば、距離Aは、全体の製造プロセス上最も効果が上がる異なる値を選択することができる。
このように、距離Aと距離Bとが異なるように有機薄膜パターニング用基板を製造する方法としては、以下のような方法が挙げられる。
(1)電荷輸送層上にバンクを形成した後、バンクで区画された領域の電荷輸送層表面の一部を剥離する方法
(2)電荷輸送層上にバンクを形成した後、バンクで区画された領域の電荷輸送層表面の一部またはすべてを剥離した後、該剥離領域に電荷輸送材料を成膜する方法
(3)電荷輸送層上にバンクを形成した後、バンクで区画された領域に電荷輸送材料を成膜する方法
(4)電荷輸送層上にバンクを形成した後、バンクで区画された領域に電荷輸送材料を成膜した後、該電荷輸送層表面の一部を剥離する方法
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上に、電極層および1層または2層以上の電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有するものであるが、該基板、電極層、電荷輸送層がこの順に形成されていればよく、これらの間に他の層を有していてもよいが、隣接して形成されていることが好ましい。該基板、電極層、電荷輸送層の具体例については、下記詳述するが、電極層は陽極であっても、陰極であってもよいし、単層からなるものであっても、積層構造からなるものであってもよい。また、電荷輸送層は、少なくとも1層有していればよく、2層以上が積層されてなるものであってもよい。通常は、電荷輸送層が、2層以上積層されていることが好ましい。
また、本発明の有機薄膜パターニング用基板該バンクが形成された領域の、電荷輸送層とバンクの界面における電荷輸送層を構成する材料と、該バンクによって区画された領域表面の電荷輸送層を構成する材料は、電荷が輸送されるときに電荷輸送層中で電荷輸送材料のイオン化ポテンシャルないしは電子親和力の段差無しに電荷輸送が行われる、即ち、電荷輸送層中で特段の電気抵抗を付加することなく電荷が輸送されるという点で同じであることが好ましく、また、電荷輸送層から発光層に電荷が注入される場合に電荷が感じるイオン化ポテンシャルないしは電子親和力の段差をできるだけ緩和するような電荷輸送層を形成する材料の選択という点で異なっていることが好ましい。
尚、同じ材料とは、同じ組成であることを意味する。
以下、本発明の有機薄膜パターニング用基板について、上記(1)、(3)の方法を例にとって説明する。まず、(1)および(3)の方法に共通となる、電荷輸送層上にバンクを形成するまでについて説明する。
<電荷輸送層の形成>
図2を参照にして、基板上に、電極層として陽極を形成し、第1の電荷輸送層として正孔注入層(図2A)、第2の電荷輸送層として正孔輸送層を形成し(図2B)、該第2の電荷輸送層上にバンクが形成された有機薄膜パターニング用基板を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない(尚、図2は、陽極を省略した図となっている
。また、距離Aおよび距離Bは図面上等しい大きさとなっている。)。本発明において、電荷輸送層は上記のとおり、正孔注入層や正孔輸送層以外であってもよいし、1層からなるものであってもよいし、3層以上が積層されてなるものであってもよい。また電極層は陰極であってもよい。
(基板)
基板としては、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより陽極を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極を形成したりすることもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極の厚さは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極の厚さは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚さは任意であり、陽極は基板と一体化されたものであってもよい。また、さらには、異なる導電材料が積層されたものであってもよい。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
前記基板において、パターニングされた陽極上に有機薄膜を形成して有機電界発光素子を作製した場合、該陽極の辺縁部における素子劣化が問題の1つに挙げられる。こうした素子劣化は、該辺縁部が後述の陰極と対向した部分において顕著に現れる。この原因として挙げられるのは、該陽極と陰極に挟まれた有機薄膜に掛かる局所的な電界強度と電流密度の関係が、辺縁部では中央の平坦部と比べて極端に異なることによる。つまり、辺縁部ではその断面形状の特殊性(段差の存在)からくる電界強度の上昇とそれに伴う電流密度の増加により、局所的に有機薄膜を構成する材料の劣化が促進され、もって素子寿命がさらに短縮される結果となる。
この問題を解決する1つの方法として、該陽極上に絶縁膜を設置し、辺縁部を覆って、
発光させたい領域をパターニングして電流が流れる開口を形成する方法が知られており、そうした開口を有する絶縁薄膜を「開口絶縁膜」と一般的に称している。こうすることにより辺縁部の形状特殊性からくる電界集中を排除し、電界が陽極から陰極に向かって一様に分布するようにできる。
前記絶縁膜としては、二酸化シリコン薄膜が一般的によく用いられているが、他に、酸化窒化シリコン薄膜や、ポリイミド薄膜に代表される有機薄膜を用いることもできる。
パターニングの方法としてはフォトリソグラフィー法が一般的に用いられている。また、開口を形成する方法としては、反応性イオンエッチング法の他、イオンミリング法、ウェットエッチング法などが用いられる。
さらに、開口を形成して陽極が露出した後の表面に紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは、好ましい。
しかしながら、こうした開口絶縁膜を形成することは、素子作製工程を増やし、歩留りの低下や製造コストの押し上げといったことに影響を与えることになり、できれば無い方が好ましい。これを可能にする方法の1つに、前記バンクを開口絶縁膜として用いる方法がある。それにはバンクの平面形状として前記陽極の辺縁部を覆うように設計することで実現可能である。
特に、基板上に電荷輸送層を全面に渡って形成した上にバンクを形成した場合には、該バンクがより有効に開口絶縁膜としての機能を果たす。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極上の全面(本発明において全面とは、全面およびほぼ全面であることを意味する)に形成される(図2A)。
本発明に係る正孔注入層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層を湿式成膜法により形成することが好ましい。正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
(湿式成膜法による正孔注入層の形成)
湿式成膜により正孔注入層を形成する場合、通常は、正孔注入層を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、陽極上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
ここで、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナ
クリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2014056831
(式(I)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2014056831
(上記各式中、Ar〜Ar16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
R1およびR2が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有して
いることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開第2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸
アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等
が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、陽極上に成膜し、乾燥することにより正孔注入層を形成する。
成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
成膜後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブンおよびホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
(真空蒸着法による正孔注入層の形成)
真空蒸着により正孔注入層を形成する場合には、正孔注入層の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極上に正孔注入層を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限
り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
尚、正孔注入層は、以下に説明する正孔輸送層の材料を用いて形成されるものであってもよい。例えば、正孔輸送性化合物として、以下に詳述するようなポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体を用いてもよいし、架橋性化合物を用いてもよい。また、熱または活性エネルギー線により解離する官能基を有する化合物を用いてもよい。活性エネルギー線については後述する。
(正孔輸送層)
正孔輸送層を正孔注入層上の全面に形成する(図2B)。
本発明に係る正孔輸送層の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。
このような正孔輸送層の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、ArまたはArが異なっているものであってもよい。
Figure 2014056831
(式(II)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、ArおよびArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ArおよびArの置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2014056831
(式(III−1)中、Ra、Rb、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。tおよびsは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。tまたはsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRaまたはRbは同一であっても
異なっていてもよく、隣接するRaまたはRb同士で環を形成していてもよい。)
Figure 2014056831
(式(III−2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、RまたはRと同義である。rおよびuは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。rまたはuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRおよびRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRまたはR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環または6員環を構成する原子または原子群を表す。)
Xの具体例としては、酸素原子、置換基を有していてもよいホウ素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいケイ素原子、置換基を有していてもよいリン原子、置換基を有していてもよいイオウ原子、置換基を有していてもよい炭素原子またはこれらが結合してなる基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、前記式(III−1)および/または前記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2014056831
(式(III−3)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。vおよびwは、それぞれ独立に0または1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例およびポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008-98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層を形成する場合は、上記正孔注入層の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層
の形成の場合と同様である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子受容性化合物、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖または側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接または連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解または分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤および重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を正孔注入層上に成膜後、加熱および/または光などの活性エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱したりするなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
活性エネルギー線の照射による場合、活性エネルギー線としては、化合物の化学結合に対してエネルギーを与え、その結合そのものやその化合物の高次構造に対して変化を与えうるエネルギー線、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、放射性同位元素の崩壊によるガンマ線、あるいは、電子線、イオン線、中性原子線、他の素粒子線、例えば、陽子線、中性子線、陽電子線等が挙げられる。その発生方法や照射方法は各種存在する。例えば、エネルギー線の発生源であれば、マグネトロン、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ、LED光源、レーザ光源、等の紫外・可視・赤外光源、金属ターゲットに高速電子線を照射するX線源、放射性同位元素の崩壊によるガンマ線源、シンクロトロン(放射光)、熱電子を高電圧で加速して得る高圧電子線源、FIB(収束イオンビーム)などがあり、照射方法も、光源から直接照射したり、狭い領域に収束させた活性エネルギー線を走査して広い領域に照射したり、活性エネルギー線を広い領域に拡大して同時に照射する方法も用いることができる。
より具体的には、前述の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。
条件としては、対象となる化合物に合わせて照射線の種類や中心エネルギーを選んだり、素子構造や膜厚に合わせて、照射領域や時間を適宜選定したりする。好ましくは、変化させたい結合の結合エネルギーに合わせて線源や照射エネルギー・時間を選定する。通常の照射時間としては、必要十分な架橋度を得るための条件を設定することが好ましいが、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱および光などの活性エネルギー線の照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
<バンクの形成>
上記正孔輸送層上に、バンクを形成する。バンクの形成方法は特に限定されるものではないが、フォトリソグラフィー法により形成されることが好ましく、正孔輸送層上に感光性組成物を成膜して、露光、現像することによりバンクを形成することが好ましい。また、現像後、バンクで区画された領域内に、感光性組成物の残渣が残ると、有機電界発光素子としたときの発光に影響を及ぼす場合があるため、感光性組成物を成膜する前に、親水性化合物含有組成物を成膜し下引き層を形成した後(図2C)、この上に感光性組成物を成膜し(図2D)、露光、現像に供することが好ましい(図2E)。これにより、バンクは、親水性化合物含有組成物により形成される下引き層、感光性組成物により形成される樹脂層の積層構造となる(図2F)。バンクは、このように2層または3層以上からなる積層体であってもよく、下引き層のない単層からなるものであってもよい。
(下引き層)
まず、親水性化合物含有組成物を用いて形成される下引き層について説明する。親水性
化合物含有組成物は、親水性化合物を含有し、通常、さらに溶剤を含有する。
なお、以下、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を含むことを意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」なども同様の意味である。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、当該「モノマー」と、その「ポリマー」との双方を含むことを意味し、「酸(無水物)」、「(無水)・・・酸」とは、「酸」とその「酸無水物」の双方を含むことを意味する。また、「酸(塩)基」とは、「酸基」とその「塩基」の双方を含むことを意味する。また、「(共)重合」とは「重合」と「共重合」の双方を含むことを意味する。また、本発明において、「全固形分」とは、組成物の構成成分のうち、溶剤を除くすべての成分を意味する。
また、本発明において、各種の樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
この下引き層の形成方法としては特に制限はないが、親水性化合物を含有する親水性化合物含有組成物を正孔輸送層上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。
親水性化合物含有組成物は、感光後に重合または硬化し、その後の現像工程における現像液に対して不溶若しくは難溶の性質を獲得する感光性組成物(いわゆるネガ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよいし、露光部が感光によって変化し、その後の現像工程における現像液に対して易溶の性質を獲得する組成物を含む感光性組成物(いわゆるポジ型フォトレジスト)を含有する親水性化合物含有組成物であってもよい。また、特に、無機系ネガ型感光性組成物を採用してもよい。その1例としては、ペルオキソポリタングステン酸水溶液が挙げられる。その調製方法としては、以下の文献に記載のものが挙げられる。Excimer laser exposure characteristics of inorganic resists based on peroxopolytungstic acids. Ishikawa, Akira;Okamoto, Hiroshi; Miyauchi, Katsuki; Kudo, Tetsuichi. Cent. Res. Lab., Hitachi, Ltd., Tokyo, Japan. Proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering (1989), 1086(Adv. Resist Technol. Process. 6), 180-5. このような無機系感光性組成物を用いたときには、バンクで区画された領域は、界面反応の痕跡を検出することができず、該バンクを形成する以前の表面と同様に良好に保たれる。
このように下引き層が感光性を有する場合には、通常、下記詳述するバンク用レジスト層とその感光型(ネガ型またはポジ型)が一致するようにする。
本発明において、親水性化合物とは、水に溶解または膨潤する化合物である。具体的には、分子内に、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸(塩)基、ホスホン酸(塩)基、アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基などの官能基を有する化合物であることが好ましい。特に、親水性化合物は、有機化合物であることが好ましく、耐性を確保するため、親水性樹脂であることが好ましい。ここで、親水性樹脂とは、上記官能基を有する樹脂であり、通常は、上記官能基を含有する単位(モノマーやポリマー)を重合や縮合して得られる樹脂をいい、重量平均分子量(Mw)が1000〜2,000,000程度の高分子材料をいう。
親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド、無水マレイン酸共重合体、アラビアゴム、水溶性大豆多糖類、ホワイトデキストリン、プルラン、カードラン、キトサン、アルギン酸、酵素分解エーテル化デキストリン等の他、以下親水性モノマーを用いて(共)重合された(共)重合体などが挙げられる。
親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルピロリドン、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基などから選ばれる親水性基を有するモノマーが挙げられる。
また、親水性樹脂以外の親水性化合物としては、上記親水性モノマーとして例示したものが挙げられ、これらが親水性化合物含有組成物中にモノマーのまま含有されることも好ましい。
親水性化合物としては、上記例示の中で、ビニルピロリドンの(共)重合体、(メタ)アクリル酸の(共)重合体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類などの親水性樹脂が好ましい。
本発明で用いる親水性化合物含有組成物は、これらの親水性化合物の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
親水性化合物は、親水性化合物含有組成物の全固形分中、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上で、100重量%以下含有されることが好ましい。
本発明に係る親水性化合物含有組成物には、上記親水性化合物の他、必要に応じて他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、エチレン性不飽和化合物やその他反応性化合物、界面活性剤、フィラー、基板密着増強剤、酸やアルコールなどの現像促進剤、色材、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤などが挙げられる。特に、親水性化合物含有組成物中に光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物を含有させることにより該組成物に感光性をもたせ、樹脂層と共に露光時に重合させることも、それぞれの界面での接着性を確保する意味で有用である。
この場合に用いられる光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物としては、例えば、後述の感光性組成物に含有される光重合開始剤やエチレン性不飽和化合物として例示するものなどを用いることができる。親水性化合物含有組成物が、光重合開始剤を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分中、通常0.01重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。親水性化合物含有組成物がエチレン性不飽和化合物を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
親水性化合物含有組成物に含有される溶剤としては、親水性化合物含有組成物の固形分が溶解若しくは分散可能で、均一な塗布を可能とするものであればよく特に限定されないが、水および/またはアルコール系溶剤を用いることが好ましく、特に、水および/またはアルコール系溶剤が、親水性化合物含有組成物に含まれる溶剤の主成分であることが好ましい。
親水性化合物含有組成物に用いられるアルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−n−プロポキシブタノール、3−メチル−3−イソプロポキシブタノール、3−メチル−3−n−ブトキシシブタノール、3−メチル−3−イソブトキシシブタノール、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノール、3−メチル−3−tert−ブトキシシブタノール、3−メトキシブタノール等のアルコキシアルコール類が挙げられる。
なお、親水性化合物含有組成物の溶剤としては、水、アルコール系溶剤以外の溶剤であってもよく、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン等のケトン類、3−メトキシブチルアセテート、ブチルジグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類などが挙げられる。これらは単独で用いても、水やアルコール系溶剤と混合して用いてもよい。
親水性化合物含有組成物に含まれる溶剤は、水、上述のアルコール系溶剤、およびその他の溶剤から選ばれる1種のみであってもよく、2種以上の混合溶剤であってもよい。
親水性化合物含有組成物中の、全固形分濃度は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上で、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
上記親水性化合物含有組成物を、正孔輸送層上のほぼ全面に、成膜することにより下引き層を形成する際の方法としては上記の湿式成膜法が挙げられる。また、成膜後の乾燥方法としては、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用して乾燥させる方法が好ましい。乾燥温度としては、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、通常200℃以下、好ましくは130℃以下の温度で加熱乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法であってもよく、また減圧乾燥と加熱乾燥との併用でもよい。
乾燥後に得られる下引き層の膜厚は、特に限定されないが、下引き層も含んだ出来上がりのバンク高さの1/3以下が好ましく、1/4以下であることが特に好ましく、また1/200以上であることが好ましく、1/50以上であることが特に好ましい。
下引き層の具体的な膜厚は、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましく、4μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。下引き層の膜厚がこの下限を下回ると、下引き層の効果が得られ難く、上限を上回ると、上述の如く、バンクで区画された領域内に有機薄膜が均一に形成され難くなる。また、下引き層に感光性を持たせない場合は、上層のバンク用レジスト層を保持することが難しくなる。
(樹脂層)
正孔輸送層上または上記下引き層上のほぼ全面に感光性組成物を成膜し、露光、現像することにより、バンクを形成する。本発明では、バンクのうち、感光性組成物により形成される部分を樹脂層という。すなわち、本発明では、露光現像前の感光性組成物により形成される層をバンク用レジスト層といい、バンク用レジスト層が露光現像により硬化し、バンクを形成した状態となっているものを樹脂層という。
まず、感光性組成物について説明する。感光性組成物は、通常、エチレン性不飽和化合
物、光重合開始剤および溶剤を含有する。さらに、バインダー樹脂、架橋剤、表面改質剤、撥インク性成分等を含有することが好ましい。また、着色剤、塗布性向上剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、その他の樹脂等を適宜配合することができる。
(エチレン性不飽和化合物)
本発明において、エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。重合性、架橋性、露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。特に、そのエチレン性不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
感光性組成物中のエチレン性不飽和化合物の含有割合は、全固形分に対して通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下である。下限を下回ると、露光の際に充分な感度が得られない恐れがあり、上限を上回ると好ましいバンク形状を確保できない恐れがある。
感光性組成物中に、エチレン性不飽和化合物は、1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、およびそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、および、(メタ)アクリル酸またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類またはヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類がより好ましく、中でもペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等5官能以上の不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類が特に好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、活性光線によりエチレン性不飽和化合物のエチレン性不飽和結合を重合させる化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
ここで、活性光線については、前記活性エネルギー線とは区別して用いているが、物理的には活性エネルギー線の範疇に含まれる。具体的には概略、紫外線を中心に分布する電磁波である。
感光性組成物中の光重合開始剤の含有割合としては、全固形分に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上であり、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。下限を下回ると、硬化性が低下する場合があり、上限を上回ると基板に対する密着性が低下する場合がある。
エチレン性不飽和化合物に対する光重合開始剤の配合比としては、(エチレン性不飽和化合物)/(光重合開始剤)(重量比)の値として、通常1/1〜100/1、好ましくは2/1〜50/1である。エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤との配合比がこの範囲を逸脱すると、密着性や硬化性が低下する場合がある。
感光性組成物中に、光重合開始剤は、1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
光重合開始剤として具体的には、ハロメチル化トリアジン誘導体、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、安息香酸エステル誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アンスロン誘導体、チタノセン誘導体、オキシムエステル系化合物などが挙げられる。
その他、本発明で用いることができる光重合開始剤としては、ファインケミカル、1991年3月1日号、Vol.20、No.4,p16〜p26や、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭58−40302号公報、特開平10−39503号公報等に記載されているものが挙げられる。
光重合開始剤には、感度向上を目的として、水素供与性化合物や熱重合開始剤を併用してもよい。この場合、感光性組成物中における、水素供与性化合物や熱重合開始剤の含有割合は、光重合開始剤の一部として考える。光重合開始剤と水素供与性化合物と熱重合開始剤との併用割合としては、光重合開始剤に対して、水素供与性化合物または熱重合開始剤を5〜300重量%とすることが好ましい。
水素供与性化合物としては、メルカプト基含有化合物、多官能チオール化合物、フェニルグリシン、フェニルアラニンなどのアンモニウム塩またはナトリウム塩誘導体、フェニルアラニンのエステル誘導体などが挙げられる。また、熱重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
(溶剤)
溶剤としては、特に制限はないが、水あるいは有機溶剤が挙げられる。溶剤は1種を単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。
有機溶剤としては、グリコールモノアルキルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類、グリコールアルキルエーテルアセテート類、グリコールジアセテート類、アルキルアセテート類、エーテル類、ケトン類、1価又は多価アルコール類、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、鎖状又は環状エステル類、アルコキシカルボン酸類、ハロゲン化炭化水素類、エーテルケトン類、ニトリル類等が挙げられる。
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
上記溶剤は、感光性組成物中の各成分を溶解または分散させることができるもので、感光性組成物の使用方法に応じて選択されるが、沸点が60〜280℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは70℃以上、260℃以下であり、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、イソプロパ
ノール等が好ましい。
溶剤は、感光性組成物溶液中の全固形分の割合が、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下となるように使用されることが好ましい。感光性組成物中の全固形分濃度がこの下限を下回ると、均一な塗膜が得られない恐れがあり、上限を上回ると必要な膜厚に制御できない恐れがある。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、現像液で現像可能な樹脂であれば特に限定されないが、現像液としてアルカリ現像液が好ましいため、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル酸系樹脂、エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂、変性ノボラック樹脂、カルボキシ基含有ウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性ノボラック樹脂、カルド樹脂、等が好適に用いられるが、各種エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂が特に好ましい。
バインダー樹脂の含有割合は、全固形分に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。下限を下回ると、バンクの形状確保が困難となる場合があり、上限を上回ると、感度や現像性の低下を招く場合がある。
感光性組成物中に、バインダー樹脂は、1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合は均一な塗布膜を得るのが難しく、また、100,000を超える場合は現像性が低下する傾向がある。
以下、アクリル酸系樹脂、エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂、変性ノボラック樹脂について説明する。
[A]アクリル酸系樹脂
アクリル酸系樹脂としては、アルカリ可溶性を確保するために側鎖または主鎖にカルボキシ基またはフェノール性水酸基を有する単量体由来の構成成分を含むことが好ましく、高アルカリ性溶液での現像が可能な樹脂が好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸系(共)重合体またはカルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸系樹脂(中でも(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体)であることが好ましい。これらのアクリル酸系樹脂は、種々の単量体と組合せて性能の異なる共重合体を得ることができ、かつ、製造方法が制御し易い利点がある。
[B]エチレン性不飽和基とカルボキシ基を含有する樹脂
エチレン性不飽和基とカルボキシ基とを含有する樹脂としては、公知のエチレン性不飽和基とカルボキシ基とを少なくとも一つずつ有する樹脂の1種または2種以上を用いることが好ましい。
このような樹脂としては、アルカリ現像性等の面から、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂、酸変性型エポキシ(メタ)アクリレートが好適である。
側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシ基含有ビニル系樹脂としては、カルボキシ基含有ビニル系樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物との反応生成物、2種以上の不飽和基を有する化合物と不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、E−R−N−T樹脂等が挙げられる。尚、E−R−N−T樹脂とは、(E)成分:
エポキシ基含有(メタ)アクリレートを5〜90モル%と、(R)成分:(E)成分と共重合し得る他のラジカル重合性化合物を10〜95モル%とを共重合し、得られた共重合体に含まれるエポキシ基の10〜100モル%に、(N)成分:不飽和一塩基酸を付加し、この(N)成分を付加したときに生成する水酸基の10〜100モル%に、(T)成分:多塩基酸無水物を付加して得られる樹脂である。
酸変性型エポキシ(メタ)アクリレートとしては、エポキシ樹脂のα,β−不飽和基含有カルボン酸付加体に、多価カルボン酸および/またはその無水物が付加された、不飽和基およびカルボキシ基含有エポキシ樹脂が挙げられる
[C]変性ノボラック樹脂
変性ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂の1種または2種以上と不飽和基含有エポキシ化合物の1種または2種以上を反応させ、この反応物の水酸基にさらに多塩基酸および/またはその無水物の1種または2種以上を付加させることで得られる樹脂である(ただし、ノボラック樹脂の代りにレゾール樹脂を用いてもよい。)。
(アミノ化合物)
アミノ化合物を架橋剤として用いることができる。感光性組成物中の架橋剤の含有割合としては、全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。また、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上である。上限を上回ると、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。また、下限を下回ると硬化促進効果が期待できない。アミノ化合物としては、例えば、官能基としてメチロール基、それを炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。
(表面改質剤、現像改良剤)
表面改質剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコン系界面活性剤を用いることができる。また、現像改良剤として、有機カルボン酸或いはその無水物など公知のものを用いることもできる。また、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
(撥インク性成分)
本発明において、撥インク性成分は、バンクで区画された領域内に形成される有機薄膜を形成するインクをはじく性質を有する成分であり、撥インク性成分を含有することにより、該インクのバンクに対する接触角が20°以上、より好ましくは30°以上、特に好ましくは45°以上となることである。撥インク性成分としては、バンクに撥インク性を持たせる効果があるものであればよく、特に限定されないが、フッ素含有化合物やシリコン含有化合物が挙げられるが、フッ素含有化合物が好ましい。
フッ素含有化合物としては、パーフルオロアルキル基を含む化合物(パーフルオロアルキル基含有化合物)が好ましく、例えば、特開平7−35916号公報、特開平11−281815号公報、国際公開第2004−042474号パンフレット、特開2005−60515号公報、特開2005−315984号公報、特開2006−171086号公報等に開示されている撥液性化合物などの他、BYK−340(ビッグケミー社製)、モディパーF200、F600、F3035(以上、日油社製)フタージェントMシリーズ、Sシリーズ、Fシリーズ、Gシリーズ、Dシリーズ、オリゴマーシリーズ(以上、ネオス社製)、ユニダイン(ダイキン工業社製)、トリフロロプロピルトリクロロシラン(信越シリコーン社製)、サーフロンS−386(AGCセイミケミカル社製)等の市販品や、パーフルオロ基含有アクリルモノマーを成分として共重合した樹脂等も挙げられる。
さらには安全性に懸念がある炭素数が6を超えるパーフルオロアルキル基を回避できるパーフルオロポリエーテル基などを含む化合物等も有効である。
また、フッ素含有化合物としては、フッ素化エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化ポリウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂およびそれらの変性樹脂なども用いることができる。
また、架橋性基を有するフッ素含有化合物も現像処理の際に流れ出る可能性が低いので好ましい。この架橋性基を有するフッ素含有化合物としては、例えばメガファックRS−101、RS−102、RS−105、RS−401、RS−402、RS−501、RS−502(以上、DIC社製)、オプツールDAC(ダイキン工業社製)、パーフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
感光性組成物中のフッ素含有化合物の含有割合は、フッ素含有化合物のフッ素含有量によっても異なり、フッ素含有量(フッ素含有化合物のフッ素濃度)が10重量%以上の場合は、感光性組成物の全固形分に対して、フッ素含有化合物の含有割合は0.001重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、10重量%以下が好ましく、6重量%以下がより好ましい。フッ素含有量が10重量%より少ない場合、フッ素含有化合物の含有割合は感光性組成物の全固形分に対して0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。下限を下回ると、バンクの撥液性が不十分で混色してしまう場合があり、上限を上回ると現像性の確保が困難となる場合がある。
感光性組成物中に、フッ素含有化合物は、1種のみ含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。2種以上が含まれる場合、上記含有割合は2種以上の合計を表す。
(着色剤)
着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いることができる。また、例えば、顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して感光性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されてもよい。特にバンクを黒色に着色することで、鮮明な画素が得られる効果がある。黒色着色剤としては黒色染料や、カーボンブラック、チタンブラックなどの他、有機顔料を混合させて黒く着色することも低反射率を持たせる効果として有効である。
着色剤の含有量としては感光性組成物の全固形分に対して、通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
(重合禁止剤、酸化防止剤)
感光性組成物には、安定性向上の観点等から、ハイドロキノン、メトキシフェノール等の重合禁止剤や、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)等のヒンダードフェノール系の酸化防止剤を含有する事が好ましい。その含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常5ppm以上1000ppm以下、好ましくは10ppm以上600ppm以下の範囲である。下限を下回ると、安定性が悪化する傾向となる。上限を上回ると、例えば光および/または熱による硬化の際に、硬化が不十分となる可能性がある。
(シランカップリング剤)
感光性組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系等種々の物が使用できる。その含有割合は、感光性組成物の全固形分に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
(エポキシ化合物)
感光性組成物には、硬化性や基板との密着性を改善するため、エポキシ化合物を添加することも好ましい。
エポキシ化合物としては、所謂エポキシ樹脂の繰返し単位を構成する、ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル化合物、ポリカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル化合物、および、ポリアミン化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシエポキシ化合物の含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。上限を上回ると、感光性組成物の保存安定性が悪化する可能性がある。
(感光性組成物の塗布)
上述のような感光性組成物を、下引き層上に塗布して、バンク用レジスト層を形成する際の塗布方法としては、上記湿式成膜法が挙げられる。中でも、ダイコート法が好ましい。
感光性組成物の塗布量は、乾燥膜厚として、下引き層も含めたバンクの高さが通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1μm以上、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは7μm以下のような膜厚となる量である。この際、乾燥膜厚あるいは最終的に形成されたバンクの高さが、基板全域に渡って均一であることが重要である。このばらつきが大きい場合には、有機薄膜をパターニングした基板にムラ欠陥を生ずることとなる。
(乾燥)
下引き層上に感光性組成物を塗布した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、またはコンベクションオーブンを使用することが好ましい。
乾燥条件は、感光性組成物の溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができ、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、通常130℃以下、好ましくは110℃以下の温度で乾燥する。また、乾燥時間としては、15秒以上が好ましく、30秒以上が好ましく、5分以下が好ましく、3分以下が好ましい。乾燥温度が低過ぎたり乾燥時間が短い場合には十分に乾燥を行うことができず感度が不安定となり、乾燥温度が高過ぎたり、乾燥時間が長過ぎると、生産性低下や、基板、その他の層の熱劣化の問題があり、好ましくない。
なお、乾燥は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う減圧乾燥法であってもよく、また加熱乾燥との併用でもよい。
{バンク形成工程}
上述のように下引き層の上に、撥インク性成分を含有する感光性組成物を全面塗布、乾燥することでバンク用レジスト層を形成した後、露光マスクを用いてバンクパターンを露光し、さらに非画像部を下引き層と共に現像処理で除去することにより、バンクを形成する。
(露光)
露光は、感光性組成物を塗布、乾燥して形成されたバンク用レジスト層上に、ネガの露光マスク(マスクパターン)を重ね、この露光マスクを介し、紫外線または可視光線等の光活性線の光源を照射して行う。このように露光マスクを用いて露光を行う場合には、露光マスクをバンク用レジスト層に近接させる方法や、露光マスクをバンク用レジスト層から離れた位置に配置し、該露光マスクを介した露光光を投影する方法によってもよい。また、露光マスクを用いないレーザー光による走査露光方式によってもよい。
この際、必要に応じ、酸素によるバンク用レジスト層の感度の低下を防ぐため、脱酸素
雰囲気下で行ったり、バンク用レジスト層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。
上記の露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
光学フィルタとしては、例えば薄膜で露光波長における光透過率を制御可能なタイプでもよく、その場合の材質としては、例えばCr化合物(Crの酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物など)、MoSi、Si、W、Al等が挙げられる。
露光量としては、通常、1mJ/cm以上、好ましくは5mJ/cm以上、より好ましくは10mJ/cm以上であり、通常300mJ/cm以下、好ましくは200mJ/cm以下、より好ましくは150mJ/cm以下である。 また、近接露光
方式の場合には、露光対象とマスクパターンとの距離としては、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは75μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。
(現像)
上記の露光を行った後、現像することで、画像パターンを形成することができる。現像に用いる現像液としては、限定されるものではないが、アルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤を用いることが好ましい。
現像液には、さらに界面活性剤、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−またはトリエタノールアミン、モノ−・ジ−またはトリメチルアミン、モノ−・ジ−またはトリエチルアミン、モノ−またはジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−またはトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
なお、本発明の有機薄膜パターニング用基板を有機電界発光素子に用いる場合は、素子性能への悪影響が少ない点で現像液として、有機アルカリ性化合物の水溶液を用いることが好ましい。
この場合、この有機アルカリ水溶液の有機アルカリ性化合物濃度は過度に高濃度であるとバンクにダメージを与える可能性があり、過度に低濃度であると充分な現像性が確保できない可能性がある。
有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよく、また水溶液として用いてもよい。
例えば、TMAH等の有機アルカリ0.05〜5重量%と、エチルアルコール等のアル
コール類0.1〜20重量%を含む水溶液として用いてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤:が挙げられる。
現像処理の方法については特に制限は無いが、通常10℃以上、好ましくは15℃以上、通常50℃以下、好ましくは45℃以下の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
現像の際、非画像部の下引き層はバンク用レジスト層とともに除去される。従って、非画像部にバンク用レジスト層及び下引き層は残留せず、非画像部には、下引き層の下層の基板または他の層が表出する。ここで、非画像部とは、露光、現像により除去される部分であって、バンクとして残る以外の部分をいう。また、露光する前の感光性組成物を成膜して得られる層をバンク用レジスト層とよび、露光後はこれを樹脂層とよぶ。
下引き層は樹脂層と基板との界面に存在し、下引き層と樹脂層は完全に一体化したバンクを形成するが、感光性組成物の塗布時に下引き層は膜を維持しており、通常は、バンク形成後も二層になっている様子が観察される。下引き層は、親水性化合物を含有することが好ましい。また、樹脂層は撥インク性成分を含有することが好ましく、この場合、撥インク性成分は樹脂層の内部にあってもよいが、撥インク性を示すためには、表面に存在していることが好ましい。
(追露光および熱硬化処理)
現像の後、必要により上記の露光方法と同様な方法により追露光を行ってもよく、また熱硬化処理を行ってもよい。
追露光の条件としては、上記露光条件と同様である。
熱硬化処理条件の温度は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、通常280℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下であり、時間は、通常5分以上、好ましくは20分以上、通常60分以下である。特に、撥液性の発現には、熱硬化処理を200〜240℃で20〜60分程度実施することが好ましい。
(1)電荷輸送層上にバンクを形成した後、バンクで区画された領域の電荷輸送層表面を剥離する方法
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を形成した後に、該バンクによって区画された領域の電荷輸送層の表面を剥離させることにより製造することができる(以下、表面剥離法という)。この方法は、バンクによって区画された領域表面に残ってしまった感光性組成物を除去できるため、均一な発光が得られる等の点からも好ましい。
この表面剥離法により得られる有機薄膜パターニング用基板は、通常、図1(a)のタイプの基板であり、距離Aが距離Bよりも大きい基板である。
ここで、表面剥離とは、電荷輸送層の表面から内部に向かう厚さの一部または全部を除去することを意味する。
表面剥離の方法としては、バンクを形成し乾燥した基板をスピンコーターの所定の位置に設置し、該基板上に、有機溶剤で基板の全面が覆われる量を滴下する。所定時間、静置してから、スピンコーターを回転させて該有機溶剤を振り切り、そのまま回転を継続し乾
燥させる。適切な有機溶剤を選定することによって、バンク部分の機能を損なわずにバンクで囲まれた領域内の電荷輸送層表面近傍の電荷輸送層を剥離することが可能である。もちろん、こうした有機溶剤とバンクで囲まれた領域内の電荷輸送層表面とが適切な雰囲気、温度、湿度の環境下で所定の時間、接触することが重要であり、接触させるための手段、方法は上記に述べた方法に限定されない。
他の方法としては、有機溶剤に基板ごと所定時間の間、浸漬、引き上げて乾燥する方法、基板を回転させながら有機溶剤を回転する基板に所定時間の間、吹き付け、そのまま回転を継続して乾燥する方法、有機溶剤の蒸気中に基板ごと所定時間の間、保持、引き上げて乾燥する方法などが挙げられる。
溶剤の種類は、電荷輸送層を適切に剥離できる有機溶剤であれば特に制限されるものではない。好ましくは、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族化合物;1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の含ハロゲン溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等のエステル系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで併用してもよい。その他の溶剤も用いることができ、例えば、トリフルオロメトキシアニソール、ペンタフルオロメトキシベンゼン、3−(トリフルオロメチル)アニソール、エチル(ペンタフルオロベンゾエート)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等を用いることも可能である。
また、バンクを形成し乾燥した基板を、間欠的にイオン化するパルスイオン化手段と、このパルスイオン化手段でイオン化されたイオンを一定方向に引き出す引出電極とを備えたパルスイオン化装置に設置し、該基板のバンクで囲まれた領域内の電荷輸送層表面近傍の電荷輸送層を該パルスイオン化手段でイオン化し、該引出電極で発生した該イオンを引き出すことにより、該組成物を基板表面からイオンとして剥離してもよい(例えば、特開昭63−318057号公報参照)。
また、バンクを形成し乾燥した基板を、液体窒素により微細に生成された氷粒を圧縮気体と同時に噴出せしめた微細氷粒含有気流、または液化二酸化炭素を大気圧あるいは減圧環境下に噴射することで得られる微細ドライアイス粒含有二酸化炭素気流に曝すことにより、該基板のバンクで囲まれた領域内の電荷輸送層を剥離してもよい。好ましい氷粒もしくはドライアイス粒の直径は、体積平均径(D50)で0.001〜10μm、より好ましくは、0.01〜0.1μmである。また気体としては、空気、もしくは、窒素やアルゴンなどの不活性ガス単体、あるいはそれらの混合気が好ましく、より好ましくは、氷粒を混合させる前の圧縮気体、またはドライアイス粒を生成させる前の液化二酸化炭素中の水分量が、所定の範囲に調整されているものを用いる。より好ましくは0.001ppm以上、1000ppm以下である。噴出速度は気体の吐出圧力とノズル形状で決まるが、基板の大きさや基板との距離を調整することで適切な範囲を見つけ出すことができる。
表面剥離の領域は、通常は、形成されたバンクに囲まれた領域を狙いとするが、剥離方法によっては、バンク表面を含んでしまってもやむを得ない。その場合も、除去した電荷
輸送層の厚さに比べてバンクは十分な厚さを有しているので、バンクの厚さが、除去した電荷輸送層の厚さ程度の量について減少してもその機能が阻害されることはない。
剥離する深さは、距離Aと最適な電荷輸送層の厚さの差が狙いとなるが、その前、あるいはその後に、バンクを形成した内側の領域に電荷輸送層を成膜する工程が配置されている場合はその値にとらわれることはない。
また、バンクによって区画された領域表面の全域に感光性組成物が残る場合がある点で、電荷輸送層を完全に剥離してもよい。
電荷輸送層を「完全」に剥離した状態とは、バンクと接する電荷輸送層の下層が露出している状態をいう。
より具体的には、電荷輸送層が1層で構成されている場合は、電極層上に電荷輸送層が形成されている。つまり、バンクと接する電荷輸送層の下層には、電極層が該当する。これより、電荷輸送層が1層で構成されている場合、電荷輸送層を「完全」に剥離した状態とは、電極層が露出している状態をいう。
また、電荷輸送層が2層以上で構成されている場合は、バンクと接する電荷輸送層(これを、「第一の電荷輸送層」と称する)の下層には、該第一の電荷輸送層と別の電荷輸送層(以下、「他の電荷輸送層」そ称する)又は電極層が該当する。これより、電荷輸送層が2層以上で構成されている場合、電荷輸送層を「完全」に剥離した状態とは、他の電荷輸送層又は電極層が露出している状態をいう。
上記の、電荷輸送層が「完全」に剥離されている状態の確認方法は、一般的な分析手法を用いることができるが、例えば、XPSやTOF−SIMS、AFMなどを用いて、バンクで区画された領域を確認する方法が挙げられる。
また、バンクと接する電荷輸送層の全部が完全に剥離された状態とは、上記測定機器によって、上記区画された領域を、プランビューで観察または測定した場合に、バンクと接する電荷輸送層が見えない、または検出されない状態をいう。
深さの測定方法は、各種存在するが、一般的には、探針法(原子間力顕微鏡やトンネル電子顕微鏡等)、触針法(光てこ法)、レーザー干渉法、光学干渉位相差検出式表面形状測定法(製品名:菱化システム社製 VertScan)などが深さを精度よく測定する方法として採用可能である。
剥離後の処理としては、通常、何も処理をせずに次工程に搬送されるか、あるいは、乾燥工程が配置される。
乾燥工程は、高圧気相中、大気中、減圧気相中、真空中、不活性ガス中などの各種環境下において実施され、温度・時間が適切に設定される。特に、不活性ガス中、例えば窒素中で加熱乾燥を行うことがより好ましい。
さらには、該乾燥工程の前に洗浄工程を配置してもよい。該洗浄工程は純水中でリンスする洗浄方法であってもよく、有機溶剤または水との混合液体を用いた洗浄方法でもよい。こうした液体中での洗浄では、気体を極めて細かい(一般的には直径が10μm以下)泡にして該液体に通して洗浄する、いわゆるマイクロバブル洗浄方法も採用可能である。または、常圧および高圧気相中、希薄気体中、真空中といった環境下で紫外光照射、プラズマ処理などの処理を行なう、いわゆるドライ洗浄法でもよい。
剥離後、さらに、剥離されたバンクによって区画された領域に、下記(3)の電荷輸送材料成膜法により、電荷輸送材料を成膜してもよい。この場合、距離Aと距離Bとが等しいものが作製される場合があるが、このような基板は上記の通り、バンクによって区画された領域表面に残ってしまった感光性組成物を除去できるため、均一な発光が得られる等の点から好ましい。また、この場合、距離Bが距離Aよりも大きい基板を作製することもできる。
特に、この方法によれば、発光層を形成する直前に、新たな電荷輸送層が形成されるた
め、電荷輸送層の、いわゆる「新鮮な」表面が発光層に接して形成される。このことによって、素子特性、特に寿命を劣化させることのない素子構造が提供できる。
(3)電荷輸送層上にバンクを形成した後、バンクで区画された領域に電荷輸送材料を成膜する方法
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、電荷輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を形成した後に、該バンクによって区画された領域に電荷輸送材料を成膜する方法により製造することができる(以下、電荷輸送材料成膜法という)。この方法は、バンクによって区画された領域表面に残ってしまった感光性組成物をおおい隠すことができるため、均一な発光が得られる等の点からも好ましい。特に電荷輸送材料を成膜する方法が湿式成膜法による場合、バンクによって区画された領域表面に残ってしまった感光性組成物を、湿式成膜法で用いられる溶剤が再溶解して希釈する効果も期待できる。こうして表面に残った残渣が、新たに形成した電荷輸送層中に分散することにより、表面に残った場合の悪影響を軽減して、素子特性を良化する方向に作用する。
この電荷輸送材料成膜法により得られる有機薄膜パターニング用基板は、通常、図1(b)のタイプの基板であり、距離Bが距離Aよりも大きい基板である。
ここで成膜される電荷輸送材料とは、少なくとも1種の電荷輸送性化合物を含有するものであり、1種の化合物からなるものであっても、2種以上の化合物からなるものであってもよい。
上記成膜される電荷輸送材料は、バンクによって区画された領域の表面を構成している電荷輸送層の材料と同様の性質を有する材料であれば特に制限はないが、電荷が輸送されるときに電荷輸送層中で電荷輸送材料のイオン化ポテンシャル又は電子親和力の段差無しに電荷輸送が行われる、即ち、電荷輸送層中で特段の電気抵抗を付加することなく電荷が輸送されるという点で同じであることが好ましい。
また、電荷が輸送されるときに電荷輸送層と発光層とで、イオン化ポテンシャル又は電子親和力の段差をできるだけ緩和するような電荷輸送層を形成する材料の選択がより可能な点で異なっていることが好ましい。
成膜方法としては、通常、(シャドウマスク)蒸着法、インクジェット法等が挙げられる。
蒸着法に用いられる装置は、真空チャンバーの中に、有機物を蒸着できる加熱源と、被蒸着物であるところの基板を過熱源の上部に保持することのできるホルダーとを有し、所定の真空度に引くことのできる真空ポンプを備えている。
基板を真空チャンバー内のホルダーに、蒸着物(電荷輸送層を形成するための組成物を構成する単体の化合物の各々)を加熱源に、セットし、真空ポンプで真空チャンバーを真空に引く。所定の真空度に達したら、加熱源にセットした蒸着物を加熱し所定の蒸着速度を保持しながら基板に蒸着する。このとき、バンクで区画された内部の領域だけを蒸着するようなメタルマスク等のマスクを基板の前面(すなわち、加熱源との間)に設置して、バンク上には蒸着されないように覆ってもよい。蒸着物が所定の膜厚に到達したら加熱源の加熱を停止し、真空をブレークして基板を取り出す。
蒸着時に、いわゆるシャドウマスクを基板と加熱源との間)に設置して、蒸着したくないところを覆ってしまう、いわゆるシャドウマスク法を採用し、バンクが形成された領域を区分けして、種類の異なる電荷輸送層を形成してもよい。
インクジェット法は、電荷輸送層を形成する組成物を、適切な(該組成物を溶質として、適切な溶解度を保持する)溶剤に溶解し、所定の固形分濃度の電荷輸送層形成用塗布液を調整した上で、該塗布液をインクジェット装置に仕込み、バンクで区画された内部の領
域のそれぞれに適切な液滴量で吐出した後、溶剤を乾燥して成膜する方法である。
インクジェット装置は微小な吐出ノズルを有する微小液滴吐出装置であり、通常はノズルあるいは被吐出対象となる基板に精密な位置決め搬送機構が備わっている装置である。液滴を吐出させる方式は各種あるが、一般的にはピエゾ素子を有する電圧波形吐出制御ノズルが用いられ、吐出量や吐出速度が設定される。
通常、吐出量は、バンクで囲まれた内側の領域とバンクの高さで決定される体積、バンクで囲まれた内側の領域の親液性とバンク自身の撥液性(溶剤に対する接触角)の関係で適切な量が選択される。
一方、吐出速度は用いた溶剤によって最適化を図り、液滴が吐出されて基板に着弾するまでの間に乾燥して溶質が析出しないような時間となるように選ばれる。
成膜の領域は、通常は、形成したバンクによって囲まれた領域を狙いとするが、成膜方法によっては、バンク表面を一部含んでしまってもやむを得ない。その場合も、成膜した電荷輸送層がバンク頂上部に堆積しないような方法をとることが好ましい。
成膜する厚さは、距離Aと最適な電荷輸送層の厚さの差が狙いとなるが、その前、あるいはその後に、バンクを形成した内側の領域において電荷輸送層を剥離する工程が配置されている場合はその値にとらわれることはない。
厚さの測定方法は、各種存在するが、一般的には、探針法(原子間力顕微鏡やトンネル電子顕微鏡等)、触針法(光てこ法)、レーザー干渉法、光学干渉位相差検出式表面形状測定法(製品名:菱化システム社製 VertScan)などが厚さを精度よく測定する方法として採用可能である。
成膜後の処理としては、通常、何も処理をせずに次工程に搬送されるか、あるいは、乾燥工程が配置される。乾燥工程は、高圧気相中、大気中、減圧気相中、真空中、不活性ガス中などの各種環境下において実施され、温度・時間が適切に設定される。なかでも、不活性ガス中、例えば窒素中で加熱乾燥を行うことは、好ましい。
さらには、該乾燥工程の前に洗浄工程を配置してもよい。該洗浄工程は純水中でリンスする洗浄方法であってもよく、有機溶剤または水との混合液体を用いた洗浄方法でもよい。こうした液体中での洗浄では、気体を極めて細かい(一般的には直径が10μm以下の)泡にして該液体に通して洗浄する、いわゆるマイクロバブル洗浄方法も採用可能である。または、常圧および高圧気相中、希薄気体中、真空中といった環境下で紫外光照射、プラズマ処理などの処理を行なう、いわゆるドライ洗浄法でもよい。
成膜後、さらに、成膜されたバンクによって区画された領域において、前記(1)の電荷輸送材料剥離法により、電荷輸送材料を剥離してもよい。この場合、距離Aと距離Bとが等しいものが作製される場合があるが、このような基板は上記の通り、バンクによって区画された領域表面に残ってしまった感光性組成物も共に除去できるため、均一な発光が得られる等の点から好ましい。また、この場合、距離Bが距離Aよりも小さい基板を作製することもできる。
<有機電界発光素子>
本発明は、上記有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子であって、該バンクによって区画された領域に、1層または2層以上の有機薄膜を有することを特徴とする。
バンク区画領域内に形成される有機薄膜は、1層であっても、2層以上であってもよいが、少なくとも1層は発光層であることが好ましい。また、発光層は、最下層、すなわち、バンクが形成された電荷輸送層に接する層であることが好ましい。
発光層以外の層としては、有機電界発光素子の電極層の間(すなわち、陽極と陰極の間)に形成される層であればよい。
また、発光層は、通常、バンク区画領域内にRGBなどの色ごとに区画されて形成されるが、その他の有機薄膜は、バンクとバンク区画領域とに連続して、基板に対して全面に形成されるものであってもよい。
(有機薄膜の形成)
本発明の有機薄膜パターニング用基板は、基板上のバンクによって区画された領域内(以下、バンク区画領域内という場合がある。)に有機薄膜を形成するために用いられる。
有機薄膜パターニング用基板の基板上のバンクで区画された領域内に有機薄膜を形成させるには、通常、有機薄膜の成分を溶剤に溶解または分散させたインクをバンク区画領域内に供給して乾燥させる(図2G)。
このインクをバンク区画領域内に供給させる方法は特に限定されないが、インクジェット法(液滴吐出法)やノズルプリント法(液流吐出法)といったインク吐出型の塗布法が好ましく(特開昭59−75205号公報、特開昭61−245106号公報、特開昭63−235901号公報)、特にインクジェット法が好ましい。
インク吐出型の塗布法に用いられるインクの溶剤としては、高沸点溶剤成分を比較的多く添加することにより、ノズルの乾燥を防止することが一般的に知られており、溶剤の選定にはこれらを考慮した上で最適な溶剤を選定することが好ましい。
また、特に、インクジェット法の場合、20plの液滴サイズで被塗布面に着滴させたとき、着滴後1分経過後の液滴径が100〜400μmのような溶剤であることが好ましく、さらに好ましくはこの液滴径は150〜300μmである。これにより、膜厚ムラやピンホールの発生を防止し、かつ端部の直線性を確保することができる。
バンク区画領域内にインクを供給した後は、乾燥工程によって有機薄膜を形成させるが、この乾燥条件は公知の方法を自由に選定することができ、例えばホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンなどが挙げられる。また、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法を組み合わせてもよい。またその環境は、形成させる有機薄膜の特性に応じて、大気中、Nガス中、減圧中などを選定できる。 本発明の有
機電界発光素子の製造方法においては、上記の方法で有機薄膜パターニング用基板を製造し、次いで該バンクで区画された領域内に直接または他の層を介して発光層を形成するが、発光層の膜厚の制御の観点からも直接形成されることが好ましい。
(発光層)
発光層は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。
(発光材料)
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶剤に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ム
ラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(正孔輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91, pp.209)等が挙げられる。
なお、発光層において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
(電子輸送性化合物)
発光層には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
発光層における電子輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層は上述のとおり、バンク区画領域内に形成され、特にインクジェット法により形成されることが好ましい。この場合、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。
発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
発光層を形成するための発光層形成用組成物に対する発光層用溶剤の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下、である。なお、発光層用溶剤として2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
(その他の層)
以下、上記説明した、正孔注入層、正孔輸送層および発光層以外の、有機電界発光素子の電極層の間(すなわち、陽極と陰極の間)に形成される層および陰極について説明する。電極層の間に形成される層は、有機薄膜パターニング用基板における電荷輸送層として用いられてもよいし、バンク区画領域内に形成される有機薄膜として用いられてもよい。
もちろん、正孔注入層、正孔輸送層および発光層もまた、有機薄膜パターニング用基板における電荷輸送層として用いられてもよいし、バンク区画領域内に形成される有機薄膜として用いられてもよい。
{正孔阻止層}
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせお
よび比率で併用してもよい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
{正孔緩和層}
正孔緩和層は、発光層の陰極側に隣接して形成される層であり、発光層と正孔緩和層界面への正孔の蓄積を緩和する働きをする層である。また、電子を効率よく発光層の方向へ輸送する役割も有する。正孔緩和層には、正孔輸送性のユニットを有する電子輸送性化合物(正孔緩和材料)が用いられる
{電子輸送層}
発光層と後述の電子注入層の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極または電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
{電子注入層}
電子注入層は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270
171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子注入層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
{陰極}
陰極は、発光層側の層に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
陰極の膜厚は、通常、陽極と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい
{電子阻止層}
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層または正孔輸送層と発光層との間に設けられ、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止することで、発光層内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層を本発明に係る有機層として湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で
形成することができる。
さらに陰極と発光層または電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率
を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices,1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest,pp.154等参照)。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
<有機EL照明>
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
<陽極>
ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ製膜品)を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。陽極を形成した基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン
洗浄を行なった。
<正孔注入層>
次に、正孔注入層形成用組成物の調製を行った。下記式(IV)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子量60000)2重量%と、下記式(A1)で表される電子受容性化合物0.4重量%を、溶剤として安息香酸エチルに溶解し、固形分濃度2.4重量%の正孔注入層形成用組成物とした。
Figure 2014056831
Figure 2014056831
上記陽極を形成した基板上に、上記正孔注入層形成用組成物を用いてスピンコート法にて成膜した。スピンコートは、気温23℃、相対湿度50%の大気中で行ない、スピナ回転数は1500rpm、スピナ時間は30秒とした。成膜後、ホットプレート上で80℃、1分間加熱乾燥した後、オーブン大気中で、230℃1時間ベークして上記ポリマーを架橋させ、膜厚30nmの正孔注入層を形成した。
<正孔輸送層>
次に、正孔輸送層形成用組成物の調製を行った。下記式(V)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子量95000)1.4重量%を、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンに溶解し、正孔輸送層形成用組成物とした。シクロヘキシルベンゼンは、市販品にモレキュラーシーブを入れて脱水したものを用い、正孔輸送層形成用組成物の調製は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行った。
Figure 2014056831
上記正孔注入層を形成した基板を窒素グローブボックスに入れ、正孔注入層上に、上記正孔輸送層形成用組成物を用いてスピンコート法にて成膜した。スピナ回転数は1500rpm、スピナ時間は30秒とした。成膜後、ホットプレート上で230℃1時間ベークして上記ポリマーを架橋させ、膜厚32nmの正孔輸送層を形成した。
陽極表面から、正孔輸送層表面までの距離をVertScan(菱化システム社製)により測定したところ、62nmであった(距離A)。
正孔輸送層形成用組成物の調製、スピンコート法による成膜、ベークのすべてを、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で大気暴露させずに行った。
<バンク>
まず、バンクを形成するための感光性組成物を調製した。
(感光性組成物)
(アルカリ可溶性樹脂の合成)
まず、感光性組成物のバインダー樹脂として用いるアルカリ可溶性樹脂(XXI)を次の
ようにして合成した。
プロピレングリコールモノメチルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここに、スチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製「FA−513M」)82重量部を滴下し、さらに140℃で2時間攪拌し続けた。次に、反応容器を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部と、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ、下記式で表されるアルカリ可溶性樹脂(XXI)
を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂(XXI)の重量平均分子量は8000であった。
Figure 2014056831
(感光性組成物の調製)
次に、感光性組成物の調製を行った。
まず、バインダー樹脂として上記合成したアルカリ可溶性樹脂(XXI)を48重量部、
エチレン性不飽和化合物として下記式(XII)の構造を有するジペンタエリスリトールヘ キサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)を24重量部、エチレン性不飽和化合物として下記式(XIII)の構造を有するデコナールアクリレートDA−314(ナガセケムテックス社製)を24重量部、エチレン性不飽和化合物として下記式(XX)の構造を有する化合物を5重量部、光重合開始剤として、下記式(XIV)の構造を有するイルガキュア
907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を1.5重量部、表面改質剤としてポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤BYK−330(ビックケミー社製、有効成分51%、溶剤メトキシプロピルアセテート)を0.2重量部、撥インク性成分としてメガファックRS−102(大日本インキ化学工業製、有効成分40wt%、溶剤としてMIBK:シクロヘキサノン=75:25)を1.63重量部を、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し、全固形分25重量%の感光性組成物を調製した。
Figure 2014056831
Figure 2014056831
Figure 2014056831
Figure 2014056831
(感光性組成物の成膜)
次に、紫外光をカットしたイエロールームにて、上記正孔輸送層上の全面に、上記調製した感光性組成物をスピンコート法にて成膜した。スピンコートは、気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。スピン条件は、400rpmで2秒間回転させた後、連続して650rpmで30秒間回転させた。成膜後、ホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥した。
(露光)
次に、露光を行なった。露光装置は、ウシオ電機製露光装置UX−1000SM−ACS01を用いた。露光マスクは、石英ガラスに開口部が1辺70μmの正方形、遮光部幅が30μmで、縦横に100μmピッチで並んでいる、メッシュ状にクロムメッキされたマスクを用いた。基板と露光マスクのギャップは100μmとした。露光条件は900mJとした。
(現像)
次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を0.48wt%、ノニオン系界面活性剤エマルゲンA−60(花王社製)を0.4wt%、エタノールを2wt%溶解させた水溶液を現像液として用い、現像処理を行なった。現像は、滝沢産業社製自動現像機を用いた。現像条件は、液温23℃、液圧0.1MPaにて30秒間シャワー現像し、続いて液温23℃、液圧0.1MPaにて30秒間シャワー水洗し、続いて液温23℃、液圧0.1MPaにて5秒間エタノールシャワー処理を実施し、最後に液温23℃、液圧0.1MPaにて30秒間シャワー水洗した。水洗後は、窒素ブローにて乾燥させた
(ベーク)
最後に、該基板を窒素グローブボックスに入れ、窒素グローブボックス中のホットプレート上で230℃、30分間ベークした。窒素グローブボックスは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmであった。
これにより、開口部が1辺70μmの正方形、バンク幅が30μmで、縦横に100μmピッチで並んでいる、メッシュ状のバンクを形成した。バンク高さは1.9μmであった。
(表面の剥離)
次に、上記バンクが形成された基板において、バンクで区画された領域(バンク開口部)の正孔輸送層表面を溶剤にて溶解することにより、正孔輸送層の表面を剥離させた。
バンクが形成された基板を大気中に取り出してスピナーにセットし、バンクが形成されている領域全体に1,3−ジメトキシベンゼンを垂らし、2分間静置したのち、スピンして1,3−ジメトキシベンゼンを振り切った。スピン条件は、500rpmで2秒間回転させた後、連続して1500rpmで10秒間回転させ、さらに連続して3000rpmで10秒間回転させた。その後、ホットプレート上で80℃、60秒間加熱乾燥させた。スピンは気温23℃、相対湿度50%の大気中で行なった。
最後に該基板を窒素グローブボックスに入れ、窒素グローブボックス中のホットプレート上で230℃、10分間ベークした。窒素グローブボックスは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmであった。
このとき、陽極表面から、正孔輸送層表面までの距離をVertScan(菱化システム社製)により測定したところ、56nmであった(距離B)。正孔輸送層の表面(バンクで区画された領域)は6nm膜厚が減少した。
(発光層)
次に、バンクで区画された領域に、有機薄膜として発光層を成膜するための発光層形成用組成物を調製した。
下記式(VI)で表される化合物100重量部および下記式(VII)で表される化合物1
0重量部を溶剤としてシクロヘキシルベンゼンに溶解させ、全固形分濃度3.1重量%の溶液とした。この溶液を、0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、発光層形成用組成物とした。発光層形成用組成物の調製は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行った。
Figure 2014056831
Figure 2014056831
バンクが形成された基板に、発光層形成用組成物を用いてスピンコート法にて発光層を成膜した。スピンコートは、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行い、スピナ回転数は1200rpm、スピナ時間は30秒とした。成膜後、ホットプレート上で130℃、1分間プレ乾燥した後、電極上の不要部分を拭き取り、次いで、ホットプレート上で130℃1時間真空加熱して乾燥し、膜厚77nmの発光層を形成した。
その後、この基板をグローブボックスに連結されている真空蒸着装置のチャンバー内に大気暴露させずに配置した。チャンバー内の真空度は、1.0×10−5Paであった。基板には、所定の領域に、蒸着用マスクを配置し、チャンバーにはあらかじめ必要な蒸着材料をそれぞれ別のモリブデン製ボートに入れて配置しておいた。
(正孔緩和層)
まず、下記式(VIII)で表される化合物を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、発光層が形成された基板上に蒸着し、正孔緩和層を形成した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は1.0×10−5Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、正孔緩和層を膜厚10nmで形成した。
Figure 2014056831
(電子輸送層)
次に、下記式(iv)で表される化合物(Alq)を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、正孔阻止層上に蒸着し、電子輸送層を形成した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は1.0×10−5Pa、蒸着速度1.0Å/sとし、電子輸送層を膜厚30nmで形成した。
Figure 2014056831
(電子注入層)
次に、該基板を大気暴露させずに別の真空チャンバーに設置し、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように配置した。チャンバー内の真空度は1×10-5Paであった。フッ化リチウム(L
iF)を入れたモリブデン製ボートを通電加熱し、電子輸送層の上に蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は1.0×10−5Pa、蒸着速度0.05Å/sとし、膜厚0.5nmで成膜した。
(陰極)
次に、アルミニウムを入れたモリブデン製ボートを通電加熱して陰極を蒸着した。蒸着条件は、蒸着時の真空度は3.0×10−5Pa、蒸着速度5.0Å/sとし、膜厚80nm成膜した。
(封止)
該基板を大気暴露させずに窒素置換されたグローブボックスに移した。窒素置換されたグローブボックス中では封止ガラス板の凹部に吸湿剤シートを貼り付け、封止ガラス板の凹部の周囲にUV硬化樹脂塗をディスペンサーにて塗布し、蒸着を行なった基板の蒸着部を封止ガラス板で密封するように密着させ、UVランプにてUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化させた。
以上の様にして、有機電界発光素子を得た。
(素子評価確認)
この素子に通電したところ、青色発光が得られ、顕微鏡観察により、バンク内全体で均一に発光していることを確認した。また、この素子に50mA/cmの電流密度で連続通電してフォトダイオードにて輝度変化を測定したところ、3時間後の輝度は、初期輝度の89%であった。
(実施例2)
バンクの形成の際、現像後230℃、30分間のベークを行わず、基板を1,3-ジメトキシベンゼンで正孔輸送層表面の剥離処理した後、ホットプレート上で80℃、60秒間の加熱乾燥後に、窒素グローブボックス中のホットプレート上で230℃、30分間ベークしたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
正孔輸送層表面の剥離処理前後における陽極表面から、正孔輸送層表面までの距離をVertScan(菱化システム社製)により測定したところ、正孔輸送層表面の剥離処理前は61nmであり(距離A)、正孔輸送層表面の剥離処理後は53nmであった(距離B)。正孔輸送層の表面(バンクで区画された領域)は8nm膜厚が減少した。
(素子評価確認)
この素子に通電したところ、青色発光が得られ、顕微鏡観察により、バンク内全体で均一に発光していることを確認した。また、この素子に50mA/cmの電流密度で連続
通電してフォトダイオードにて輝度変化を測定したところ、3時間後の輝度は、初期輝度の85%であった。
(比較例1)
正孔輸送層の表面の剥離を行わなかった以外は実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(素子評価確認)
この素子に通電したところ、青色発光が得られたが、顕微鏡観察により、バンク近傍のみで発光し、バンク開口領域内全体では発光していないことを確認した。これは、バンク開口領域内に残渣が残っているため、発光層インクが均一に塗布できなかったことが原因と推測される。
また、この素子に50mA/cmの電流密度で連続通電してフォトダイオードにて輝度変化を測定したところ、3時間後の輝度は、初期輝度の75%であった。
(実施例3)
実施例1の正孔輸送層と発光層を以下のように変更して有機電界発光素子を作製した。
(新成表面の形成)
実施例1のようにバンクを形成した後、正孔輸送層表面の形成を改めて行い、バンクが接していた正孔輸送層の表面を、新しい正孔輸送層(新成正孔輸送層)で形成した。
前記新成正孔輸送層を形成する為の正孔輸送材料としては、正孔輸送層の形成で用いたものと同様に、前記式(V)の繰り返し構造を有するポリマーを用いた。
上記正孔輸送層材料をシクロヘキシルベンゼン(CHB)に1.0%溶解したインクを用いたインクジェット装置で、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で吐出を行い、吐出速度は5m/sec、吐出量は1滴あたり10pl、1つのバンク区画内の塗布量は5滴とした。塗布領域としては、20x20のバンク区画を1辺2mmの正方形領域の中に持つパターンとした。1つのバンク区画の開口は、1辺70μmの正方形である。インクジェット塗布後、直ちに真空乾燥器に仕込んで、真空乾燥を行った。真空乾燥時の真空度は、100Pa以下とした。乾燥後、ホットプレート上で230℃1時間加熱して焼成し、膜厚2nmの新成正孔輸送層を形成した。
正孔輸送層表面の新成形成処理前後における、陽極表面から正孔輸送層表面までの距離をVertScan(菱化システム社製)により測定したところ、正孔輸送層表面の新成形成処理前は50nmであり(距離A)、正孔輸送層表面の剥離処理後は52nmであった(距離B)。正孔輸送層の表面(バンクで区画された領域)は2nm膜厚が増加した。
(発光層)
次に、バンクで区画された該新成正孔輸送層領域の表面上に有機薄膜として発光層を成膜するための発光層形成用組成物を調製した。
下記式(VIII)で表される化合物50重量部および下記式(IX)で表される化合物50重量部および下記式(IX)で表される化合物5重量部を溶剤としてシクロヘキシルベンゼンに溶解させ、全固形分濃度1.0重量%の溶液とした。この溶液を、0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、発光層形成用組成物とした。発光層形成用組成物の調製は、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で行った。
Figure 2014056831
Figure 2014056831
Figure 2014056831
バンクが形成された基板に、発光層形成用組成物を用いてインクジェット法にて発光層を成膜した。インクジェット装置で、酸素濃度1.0ppm、水分濃度1.0ppmの窒素グローブボックス中で吐出を行い、吐出速度は5m/sec、吐出量は1滴あたり10pl、1つのバンク区画内の塗布量は5滴とした。塗布領域としては、20x20のバンク区画を1辺2mmの正方形領域の中に持つパターンとした。1つのバンク区画の開口は、1辺70μmの正方形である。インクジェット塗布後、直ちに真空乾燥器に仕込んで、真空乾燥を行った。真空乾燥時の真空度は、100Pa以下とした。乾燥後、ホットプレート上で130℃、1分間プレ焼成した後、ホットプレート上で130℃1時間真空加熱して焼成し、膜厚60nmの発光層を形成した。
これ以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
(素子評価確認)
この素子に通電したところ、緑色発光が得られ、顕微鏡観察により、バンク内全体で均一に発光していることを確認した。また、この素子に50mA/cm2の電流密度で連続通電してフォトダイオードにて輝度変化を測定したところ、3時間後の輝度は、初期輝度の95%であった。
1.基板
2.電荷輸送層(第1)
2a.電荷輸送層
2b.電荷輸送層
3.電荷輸送層(第2)
4.下引き層
5.バンク用レジスト層
6.露光マスク
7.活性光線
8.バンクで区画された領域
9.樹脂層
10.有機薄膜
11.バンク
12.電極層
13.距離A
14.距離B

Claims (9)

  1. 基板上に、陽極層、正孔注入層および正孔輸送層をこの順に有し、該正孔輸送層上にバンクおよび該バンクによって区画された領域を有する有機電界発光素子用の有機薄膜パターニング用基板であって、
    陽極層と正孔注入層の界面から、正孔輸送層上のバンクが形成された領域における、正孔輸送層がバンクの界面までの距離Aと、正孔輸送層上のバンクによって区画された領域表面までの距離Bよりも小さいことを特徴とする、有機薄膜パターニング用基板。
  2. 該バンクが形成された領域の、正孔輸送層とバンクの界面における正孔輸送層を構成する材料と、
    該バンクによって区画された領域表面の正孔輸送層を構成する材料が、正孔輸送層を構成する材料で使用される材料と同じ繰り返し構造を有する材料及び/又は異なる材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の有機薄膜パターニング用基板。
  3. 該正孔輸送層の材料が、架橋性基が結合した架橋性アリールアミン誘導体を含有する組成物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機薄膜パターニング用基板。
  4. 該バンクは、撥インク性成分を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
  5. 該バンクは、下引き層と該下引き層上の樹脂層を含む積層構造であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板。
  6. 該下引き層が親水性化合物を含有し、該樹脂層が撥インク性成分を含有することを特徴とする、請求項5に記載の有機薄膜パターニング用基板。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜パターニング用基板を用いた有機電界発光素子であって、該バンクによって区画された領域に、発光層を含む有機薄膜を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
  8. 請求項7に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL表示装置。
  9. 請求項7に記載の有機電界発光素子を用いた、有機EL照明。
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