JP2014054931A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エコノミー運転モードに切り替えることによる消費エネルギ低減効果を効果的に得ることのできる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】乗員の空調感を優先するノーマル運転モードおよび空調のために消費されるエネルギの低減を優先させるエコノミー運転モードのうち実際に実行される実行運転モードを決定する実行運転モード決定手段が、車両システムの起動時には、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定する。これにより、乗員がエコノミースイッチ60aを操作してエコノミー運転モードの選択を行わなくてもエコノミー運転モードでの運転が実行されるので、消費エネルギ低減効果を効果的に得ることができる。
【選択図】図4
【解決手段】乗員の空調感を優先するノーマル運転モードおよび空調のために消費されるエネルギの低減を優先させるエコノミー運転モードのうち実際に実行される実行運転モードを決定する実行運転モード決定手段が、車両システムの起動時には、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定する。これにより、乗員がエコノミースイッチ60aを操作してエコノミー運転モードの選択を行わなくてもエコノミー運転モードでの運転が実行されるので、消費エネルギ低減効果を効果的に得ることができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、空調のために消費されるエネルギの低減を優先させる運転モードを有する車両用空調装置に関する。
従来、乗員の空調感の向上を優先させながら車室内の空調を行う運転モード(以下、ノーマル運転モードという)と、ノーマル運転モードよりも車室内空調のために消費されるエネルギの低減を優先させる運転モード(以下、エコノミー運転モードという)とを切替可能に構成された車両用空調装置が知られている。
例えば、特許文献1の車両用空調装置では、乗員の操作によってノーマル運転モードあるいはエコノミー運転モードを選択するエコノミースイッチを備えており、このエコノミースイッチによってエコノミー運転モードが選択された際には、暖房用熱源としてのエンジン冷却水を加熱するためにエンジンを作動させる頻度を低減させる等の手段によって、空調のために消費されるエネルギの低減を図っている。
しかしながら、特許文献1の車両用空調装置では、乗員がエコノミースイッチによってエコノミー運転モードを選択しなければ、ノーマル運転モードが継続されてしまうので、エコノミー運転モードに切り替えることによる省エネルギ効果を得ることができない。
そのため、例えば、特許文献1の車両用空調装置を電気自動車に搭載し、車載バッテリに蓄えられた電力を消費して空調を行うようにした場合、乗員がエコノミースイッチによるエコノミー運転モードの選択操作を行わないと、バッテリの蓄電残量が乗員の想定以上の速さで減少して車両航続距離が短くなってしまうことが懸念される。
上記点に鑑み、本発明では、空調のために消費されるエネルギの低減を優先させる運転モードに切り替えることによる省エネルギ効果を効果的に得ることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、車室内の空調を行うノーマル運転モードと、ノーマル運転モードに対して空調を行うために消費されるエネルギの低減を優先させるエコノミー運転モードとを切替可能に構成された車両用空調装置であって、
乗員の操作によって、ノーマル運転モードおよびエコノミー運転モードの一方を選択する運転モード選択手段(60a)と、ノーマル運転モードおよびエコノミー運転モードのうち実際に実行される実行運転モードを決定する実行運転モード決定手段(S5)とを備え、
実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定することを特徴とする。
乗員の操作によって、ノーマル運転モードおよびエコノミー運転モードの一方を選択する運転モード選択手段(60a)と、ノーマル運転モードおよびエコノミー運転モードのうち実際に実行される実行運転モードを決定する実行運転モード決定手段(S5)とを備え、
実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定することを特徴とする。
これによれば、車両システムの起動時には、実行運転モード決定手段(S5)が、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定するので、乗員が運転モード選択手段(60a)による選択操作を行わなくてもエコノミー運転モードでの運転が実行される。その結果、エコノミー運転モードに切り替えることによる消費エネルギ低減効果を効果的に得ることができる。
さらに、車両システムの起動後に運転モード選択手段(60a)が操作された際には、実行運転モード決定手段(S5)が、実行運転モードを運転モード選択手段(60a)によって選択された運転モードに決定するようにしてもよい。これによれば、車両システムの起動後に乗員の要求に応じて空調感の向上を優先させたノーマル運転モードでの運転を実行することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、図1〜図8により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、内燃機関(エンジン)EGおよび走行用電動モータの双方から車両走行用の駆動力を得ることのできるハイブリッド車両に適用されている。また、本実施形態のハイブリッド車両は、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力をバッテリBに充電することのできるプラグインハイブリッド車両として構成されている。
以下、図1〜図8により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、内燃機関(エンジン)EGおよび走行用電動モータの双方から車両走行用の駆動力を得ることのできるハイブリッド車両に適用されている。また、本実施形態のハイブリッド車両は、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力をバッテリBに充電することのできるプラグインハイブリッド車両として構成されている。
このプラグインハイブリッド車両は、車両走行開始前の車両停車時に外部電源からバッテリBに充電しておくことによって、走行開始時のようにバッテリBの蓄電残量SOCが予め定めた走行用基準残量以上になっているときには、主に走行用電動モータの駆動力によって走行するEV走行モードとなる。一方、車両走行中にバッテリBの蓄電残量SOCが走行用基準残量よりも低くなっているときには、主にエンジンEGの駆動力によって走行するHV走行モードとなる。
より詳細には、EV走行モードは、主に走行用電動モータが出力する駆動力によって車両を走行させる走行モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際にはエンジンEGを作動させて走行用電動モータを補助する。つまり、走行用電動モータから出力される走行用の駆動力(モータ側駆動力)がエンジンEGから出力される走行用の駆動力(内燃機関側駆動力)よりも大きくなる走行モードである。
一方、HV走行モードは、主にエンジンEGが出力する駆動力によって車両を走行させる走行モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際には走行用電動モータを作動させてエンジンEGを補助する。つまり、内燃機関側駆動力がモータ側駆動力よりも大きくなる走行モードである。
本実施形態のプラグインハイブリッド車両では、このようにEV走行モードとHV走行モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両に対してエンジンEGの燃料消費量を抑制して、車両燃費を向上させている。また、このようなEV走行モードとHV走行モードとの切り替えは、後述する駆動力制御装置70によって制御される。
さらに、エンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、発電機80を作動させるためにも用いられる。そして、発電機80にて発電された電力および外部電源から供給された電力は、バッテリBに蓄えることができ、バッテリBに蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
次に、図1、図2を用いて車両用空調装置1の詳細構成を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、車室内へ送風される送風空気の温度を調整する温度調整手段としてのヒートポンプサイクル(蒸気圧縮式の冷凍サイクル)10、このヒートポンプサイクル10によって温度調整された送風空気を車室内へ吹き出すための室内空調ユニット30、および車両用空調装置1の各種電動式の構成機器の作動を制御する空調制御装置50等を備えている。
まず、ヒートポンプサイクル10は、送風空気を加熱して車室内を暖房する暖房運転時の冷媒回路、送風空気を冷却して車室内を冷房する冷房運転時の冷媒回路、冷却して除湿した送風空気を再加熱して車室内を除湿暖房する除湿暖房運転時の冷媒回路、さらに、暖房運転時に冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する室外熱交換器16に着霜が生じた際に、これを除霜する除霜運転時の冷媒回路に切替可能に構成されている。
なお、図1では、暖房運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷媒の流れを白抜き矢印で示し、冷房運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷媒の流れを黒塗り矢印で示し、除湿暖房運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷媒の流れを斜線ハッチング付き矢印で示し、さらに、除霜運転時の冷媒回路に切り替えた際の冷媒の流れを網掛けハッチング付き矢印で示している。
ヒートポンプサイクル10は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機11、送風空気を加熱あるいは冷却する室内熱交換器としての室内凝縮器13および室内蒸発器18、冷媒を減圧膨張させる減圧手段としての暖房用固定絞り14および冷房用固定絞り17、並びに、冷媒回路切替手段としての開閉弁15aおよび三方弁20等を備えている。
また、このヒートポンプサイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、HFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、車室外となる車両ボンネット内に配置され、ヒートポンプサイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。固定容量型圧縮機構11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。
電動モータ11bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。また、インバータ61は、空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、この周波数(回転数)制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。従って、電動モータ11bは、圧縮機11の吐出能力変更手段を構成している。
圧縮機11の吐出口側には、室内凝縮器13の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器13は、室内空調ユニット30において車室内へ送風される送風空気の空気通路を形成するケーシング31内に配置されて、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させることで送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。
室内凝縮器13の冷媒出口側には、暖房運転時に冷媒を減圧させる暖房用固定絞り14を介して室外熱交換器16の冷媒入口側が接続されている。この暖房用固定絞り14としては、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用できる。もちろん、暖房運転時に冷媒を減圧させる機能を発揮できれば、固定絞りに限定されることなく全開機能付き電気式膨張弁等の可変絞り機構を採用してもよい。
さらに、本実施形態では、室内凝縮器13から流出した冷媒を、暖房用固定絞り14を迂回させて室外熱交換器16の冷媒入口側へ導くバイパス通路15が設けられている。このバイパス通路15には、バイパス通路15を開閉する開閉弁15aが配置されている。
開閉弁15aは、冷房運転時の冷媒回路、暖房運転時の冷媒回路、除湿暖房運転時の冷媒回路、および除霜運転時の冷媒回路を切り替える冷媒回路切替手段を構成するもので、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される電磁弁である。具体的には、本実施形態の開閉弁15aは、冷房運転時および除霜運転時に開き、暖房運転時および除湿暖房運転時に閉じる。
なお、開閉弁15aが開いた状態で冷媒がバイパス通路15を通過する際に生じる圧力損失は、開閉弁15aが閉じた状態で冷媒が暖房用固定絞り14を通過する際に生じる圧力損失に対して極めて小さい。従って、開閉弁15aが開いた状態では、室外熱交換器16から流出した冷媒のほぼ全流量がバイパス通路15を介して室外熱交換器16の冷媒入口側へ流れる。
室外熱交換器16は、車両ボンネット内に配置されて、内部を流通する室内凝縮器13下流側の冷媒と送風ファン16aから送風された車室外空気(外気)とを熱交換させるものである。送風ファン16aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風能力)が制御される電動式送風機である。
室外熱交換器16の冷媒出口側には、三方弁20が接続されている。この三方弁20は、開閉弁15aとともに上述した各運転時の冷媒回路を切り替える冷媒回路切替手段を構成しており、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される電気式の三方弁である。
具体的には、本実施形態の三方弁20は、冷房運転時および除湿暖房運転時には室外熱交換器16の冷媒出口側と冷房用固定絞り17とを接続する冷媒回路に切り替え、暖房運転時および除霜運転時には室外熱交換器16の冷媒出口側と圧縮機11の吸入口側に配置されたアキュムレータ19の冷媒入口側とを接続する冷媒回路に切り替える。
冷房用固定絞り17の基本的構成は暖房用固定絞り14と同様である。冷房用固定絞り17の出口側には、室内蒸発器18の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器18は、室内空調ユニット30のケーシング31内のうち、室内凝縮器13の送風空気流れ上流側に配置されて、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。
室内蒸発器18の冷媒出口側には、アキュムレータ19の入口側が接続されている。アキュムレータ19は、内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を蓄える気液分離器である。さらに、アキュムレータ19の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置され、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、前述の室内蒸発器18、室内凝縮器13、エアミックスドア34等を収容して構成されたものである。
ケーシング31は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されており、その内部に車室内へ送風される送風空気の空気通路を形成している。このケーシング31の送風空気流れ最上流側には、ケーシング31内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替手段としての内外気切替装置33が配置されている。
内外気切替装置33は、ケーシング31内へ内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を連続的に変化させるものである。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機(ブロワ)32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。従って、この電動モータは、送風機32の送風能力変更手段を構成している。
送風機32の空気流れ下流側には、前述の室内蒸発器18が配置されている。さらに、ケーシング31内の室内蒸発器18の空気流れ下流側には、室内蒸発器18通過後の空気を流す加熱用冷風通路35a、冷風バイパス通路35bといった空気通路、並びに、加熱用冷風通路35aおよび冷風バイパス通路35bから流出した空気を混合させる混合空間36が形成されている。
加熱用冷風通路35aには、室内蒸発器18通過後の空気を加熱するためのヒータコア46、前述の室内凝縮器13、およびPTCヒータ47が、送風空気流れ方向に向かってこの順に配置されている。ヒータコア46は、エンジンEGを冷却する冷却水(熱媒体)と室内蒸発器18通過後の送風空気とを熱交換させて、室内蒸発器18通過後の送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。
このヒータコア46とエンジンEGは、冷却水配管によって接続されて、ヒータコア46とエンジンEGとの間を冷却水が循環する冷却水回路40が構成されている。そして、この冷却水回路40には、冷却水を循環させるための水ポンプ45が配置されている。この水ポンプ45は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環流量)が制御される電動式の水ポンプである。
PTCヒータ47は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア46通過後の空気を加熱する補助加熱手段としての電気ヒータである。より具体的には、このPTCヒータ47は複数(本実施形態では、3本)のPTCヒータから構成されている。本実施形態では、通電本数を変化させることによりPTCヒータ47全体としての加熱能力を変化させている。
一方、冷風バイパス通路35bは、室内蒸発器18通過後の空気を、ヒータコア46およびPTCヒータ47を通過させることなく、混合空間36に導くための空気通路である。従って、混合空間36にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路35aを通過する空気、および冷風バイパス通路35bを通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、室内蒸発器18の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路35aおよび冷風バイパス通路35bの入口側に、加熱用冷風通路35aおよび冷風バイパス通路35bへ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア34を配置している。従って、エアミックスドア34は、混合空間36内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成している。
より具体的には、エアミックスドア34は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動される回転軸と、その一端側に回転軸が連結された板状のドア本体部を有して構成される、いわゆる片持ちドアで構成されている。また、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング31の空気流れ最下流部には、室内凝縮器13を通過した送風空気あるいは室内凝縮器13を迂回させる冷風バイパス通路を通過した送風空気を、空調対象空間である車室内へ吹き出すための開口穴が設けられている。この開口穴としては、具体的に、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ開口穴37a、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口穴37b、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口穴37cが設けられている。
これらのデフロスタ開口穴37a、フェイス開口穴37bおよびフット開口穴37cの空気流れ下流側は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
また、デフロスタ開口穴37a、フェイス開口穴37bおよびフット開口穴37cの空気流れ上流側には、それぞれ、デフロスタ開口穴37aの開口面積を調整するデフロスタドア38a、フェイス開口穴37bの開口面積を調整するフェイスドア38b、フット開口穴37cの開口面積を調整するフットドア38cが配置されている。
これらのデフロスタドア38a、フェイスドア38bおよびフットドア38cは、吹出口モードを切替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、吹出口モード切替手段によって切り替えられる吹出口モードとしては、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出すフットモード、およびフット吹出口およびデフロスタ吹出口を同程度開口して、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の双方から空気を吹き出すフットデフロスタモードがある。
さらに、乗員が操作パネルに設けられた吹出口モード切替スイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
次に、図2により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50および駆動力制御装置70は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
駆動力制御装置70の出力側には、エンジンEGを構成する各種エンジン構成機器および走行用電動モータへ交流電流を供給する走行用インバータ等が接続されている。各種エンジン構成機器としては、具体的に、エンジンEGを始動させるスタータ、エンジンEGに燃料を供給する燃料噴射弁(インジェクタ)の駆動回路(いずれも図示せず)等が接続されている。
また、駆動力制御装置70の入力側には、バッテリBの端子間電圧VBを検出する電圧計、バッテリBへ流れ込む電流ABinあるいはバッテリBから流れる電流ABoutを検出する電流計、アクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ、車速Vvを検出する車速センサ(いずれも図示せず)等の種々のエンジン制御用のセンサ群が接続されている。
空調制御装置50の出力側には、送風機32、圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61、送風ファン16a、各種電動アクチュエータ62、63、64、PTCヒータ47、水ポンプ45等が接続されている。
また、空調制御装置50の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52(外気温検出手段)、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53、圧縮機11吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ54(吐出温度検出手段)、圧縮機11吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ55(吐出圧力検出手段)、室内蒸発器18からの吹出空気温度(蒸発器温度)TEを検出する蒸発器温度センサ56(蒸発器温度検出手段)、エンジンEGから流出した冷却水の冷却水温度TWを検出する冷却水温度センサ57、室外熱交換器16の室外器温度Toutを検出する室外熱交換器温度センサ58等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
なお、本実施形態の吐出冷媒圧力Pdは、冷房運転時には、圧縮機11の冷媒吐出口側から冷房用固定絞り17入口側へ至るサイクルの高圧側冷媒圧力となり、暖房運転時には、圧縮機11の冷媒吐出口側から暖房用固定絞り17入口側へ至るサイクルの高圧側冷媒圧力となる。
また、本実施形態の蒸発器温度センサ56は、具体的には、室内蒸発器18の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、蒸発器温度センサ56として、室内蒸発器18のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよいし、室内蒸発器18を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。このことは室外熱交換器温度センサ58についても同様である。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、オートスイッチ、運転切替スイッチ、吹出口モードの切替スイッチ、送風機32の風量設定スイッチ、エコノミースイッチ60a、車室内温度設定スイッチ60b、現在の車両用空調装置1の作動状態等を表示する表示部等が設けられている。
オートスイッチは、乗員の操作によって車両用空調装置1の自動制御を設定あるいは解除する自動制御設定手段である。車室内温度設定スイッチ60bは、乗員の操作によって車室内の目標温度である車室内設定温度Tsetを設定する目標温度設定手段である。運転切替スイッチは、乗員の操作によって暖房運転、冷房運転、除湿暖房運転を選択する運転切替手段である。
エコノミースイッチ60aは、乗員の操作によって、ノーマル運転モードおよびエコノミー運転モードの一方を選択する運転モード選択手段である。なお、ノーマル運転モードは、乗員の空調感の向上を優先させた空調を行う運転モードであり、エコノミー運転モードは、ノーマル運転モードに対して空調のために消費されるエネルギの低減を優先させる運転モードである。
また、空調制御装置50および駆動力制御装置70は、電気的に接続されて互いに通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号あるいは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。例えば、空調制御装置50が駆動力制御装置70へエンジンEGの作動要求信号を出力することによって、エンジンEGを作動させること、あるいは、エンジンEGの回転数を変化させることができる。
なお、空調制御装置50および駆動力制御装置70は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御手段を構成している。
例えば、本実施形態では、空調制御装置50のうち、吹出口モード切替手段を構成する各ドア38a〜38cを駆動する吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64の作動を制御する構成が、吹出口モード切替手段50aを構成している。さらに、本実施形態では、駆動力制御装置70と制御信号の送受信を行ってエンジンEGの作動要求信号を出力する構成が作動要求信号出力手段50bを構成している。
次に、図3〜図8により、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。図3は、本実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンとしての制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両用空調装置1の作動スイッチが投入さるとスタートする。なお、図3〜図8の各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現手段を構成している。
まず、図3のステップS1では、空調制御装置50の記憶回路によって構成されるフラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。なお、ステップS1のイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置の停止時や車両システム終了時に記憶された値が読み出されるものもある。
本実施形態では、具体的に、前回の車両システムの終了時に記憶された吹出口モードが読み出される。つまり、本実施形態の空調制御装置50の記憶回路は、車両システムの終了時における吹出口モードを記憶する吹出口モード記憶手段としての機能を果たす。
次に、ステップS2では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチ60bによって設定される車室内設定温度Tset、吸込口モードスイッチの設定信号、エコノミースイッチ60aの操作信号等がある。
次に、ステップS3では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜58等の検出信号を読み込む。また、このステップS3では、駆動力制御装置70の入力側に接続されたセンサ群の検出信号、および駆動力制御装置70から出力される制御信号等の一部も、駆動力制御装置70から読み込んでいる。
次に、ステップS4では、車室内へ吹き出される送風空気の目標温度としての目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、下記数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1) ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチ60bによって設定された車室内設定温度であり、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度(内気温)であり、Tamは外気センサ52によって検出された外気温であり、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1) ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチ60bによって設定された車室内設定温度であり、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度(内気温)であり、Tamは外気センサ52によって検出された外気温であり、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
次に、ステップS5では、運転モードおよび冷媒回路の決定を行う。より具体的には、ステップS5では、ノーマル運転モードあるいはエコノミー運転モードといった省エネルギ化に関する運転モードと、暖房運転時の冷媒回路、冷房運転時の冷媒回路、除湿暖房運転時の冷媒回路あるいは除霜運転時の冷媒回路といった冷媒回路の決定を行う。
ステップS5における消費エネルギに関する運転モードの決定については、基本的には、乗員がエコノミースイッチ60aにて選択した運転モードが、実際に実行される実行運転モードに決定されるが、本実施形態では、さらに、車両システムの起動時に、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定する。この制御フローについては、図4を用いて説明する。
まず、ステップS51では、車両システムのスタートスイッチ(IGスイッチ)が、乗員の操作によって非投入状態(OFF)から投入状態(ON)へ変更されたか否かが判定される。ステップS51にて、スタートスイッチがONに変更されたと判定されなかった場合は、実際に実行される実行運転モードを変更することなく、ステップS6へ進む。
一方、ステップS51にて、スタートスイッチがONに変更されたと判定された場合は、ステップS52へ進む。ステップS52では、カスタマイズキャンセルが設定されているか否かが判定される。カスタマイズキャンセルとは、車両システムの起動時に車両用空調装置1の運転モードがエコノミー運転モードになってしまうことをキャンセルする設定であり、この設定はカーディーラー等が有するカスタマイズツール等を用いて行われる。
ステップS52にて、カスタマイズキャンセルが設定されていると判定されない場合は、ステップS53へ進み、実際に実行される実行運転モードをエコノミー運転モードに決定して、ステップS6へ進む。一方、ステップS52にてカスタマイズキャンセルが設定されていると判定された場合は、実際に実行される実行運転モードを変更することなく、ステップS6へ進む。
上記説明から明らかなように、本実施形態の制御ステップS5は、ノーマル運転モードおよびエコノミー運転モードのうち実際に実行される実行運転モードを決定する実行運転モード決定手段を構成している。
また、図4には図示していないが、冷媒回路の決定については、基本的に、乗員が操作パネル60の運転切替スイッチによって選択された運転を実行する冷媒回路に決定される。
さらに、暖房運転時に室外熱交換器16に着霜が生じたと判定された際に、除霜運転の冷媒回路に切り替えることを決定する。なお、このような着霜の判定は、様々な手法を採用できる。例えば、室外熱交換器16の温度を検出する温度センサによって検出された温度が0℃以下に設定された予め定めた基準温度以下となった際に、室外熱交換器16に着霜が生じていると判定してもよい。
続くステップS6〜S14では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。まず、ステップS6では、送風機32により送風される空気の目標送風量を決定する。具体的には、送風機32の電動モータに印加するブロワ電圧(送風機電圧)を決定する。このステップS6の詳細については、図5を用いて説明する。
ステップS61では、操作パネル60のオートスイッチが投入されているか否かが判定される。ステップS61にてオートスイッチが投入されていないと判定された場合は、ステップS62へ進み、操作パネル60の風量設定スイッチによって設定された乗員の所望の風量となるブロワ電圧が決定されて、ステップS7へ進む。
具体的には、本実施形態の風量設定スイッチは、Lo→M1→M2→M3→Hiの5段階の風量を設定することができ、それぞれ4V→6V→8V→10V→12Vの順にブロワ電圧が高くなるように決定される。
一方、ステップS61にてオートスイッチが投入されていると判定された場合は、ステップS63へ進み、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、ステップS4で決定された目標吹出温度TAOに基づいて第1仮ブロワレベルf(TAO)を決定する。換言すると、空調熱負荷に基づいて送風機32の稼働率(送風能力)の上限値を決定する。
より具体的には、図5のステップS63に記載された制御特性図に示すように、TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)で第1仮ブロワレベルf(TAO)を最大値にして、送風機32の風量を最大風量付近に制御する。また、TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇すると、TAOの上昇に応じて第1仮ブロワレベルf(TAO)を低下させて、送風機32の風量を減少させる。
さらに、TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下すると、TAOの低下に応じて第1仮ブロワレベルf(TAO)を低下させて、送風機32の風量を減少させる。また、TAOが所定の中間温度域内に入ると、第1仮ブロワレベルf(TAO)を最小値にして送風機32の風量を最小値にする。
なお、図5の制御ステップS63の制御特性図では、操作パネル60のノーマル運転モードでの制御特性を太実線で示し、エコノミー運転モードでの制御特性を太破線で示している。この制御特性図から明らかなように、エコノミー運転モードでは、ノーマル運転モードよりも、第1仮ブロワレベルf(TAO)を低い値に設定するようにして車室内の空調を行うために消費されるエネルギ(電気エネルギ)の低減を図っている。
続くステップS64では、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、冷却水温度センサ57によって検出された冷却水温度TWに基づいて第2仮ブロワレベルf(TW)を決定する。より詳細には、このステップS64では、図5のステップS64に記載された制御特性図に示すように、冷却水温度TWの上昇に伴って、第2仮ブロワレベルf(TW)を増加させている。
なお、ステップS64では、PTCヒータ47の作動本数に応じて、冷却水温度TWと第2仮ブロワレベルf(TW)を変化させてもよい。例えば、PTCヒータ47の作動本数の増加に伴って、同じ冷却水温度TWにおける第2仮ブロワレベルf(TW)が低くなるように決定してもよい。
これにより、ヒータコア46を流通する冷却水の温度が低く、ヒータコア46にて送風空気を充分に加熱することができない場合に、送風機32の風量を低下させることができる。従って、暖房運転時等に充分に加熱されていない送風空気が車室内へ吹き出されて乗員の暖房フィーリングが悪化することを抑制できる。
続くステップS65では、後述するステップS8で決定された吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフロスタモードのいずれかであるか否かを判定する。ステップS65にて吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフロスタモードのいずれかであると判定された場合は、ステップS66へ進む。
ステップS66では、ステップS63にて決定された第1仮ブロワレベルf(TAO)と、ステップS64にて決定された第2仮ブロワレベルf(TW)とを比較して小さい方の値をブロワレベルに決定して、ステップS67へ進む。ステップS67では、ステップS66にて決定されたブロワレベルに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照してブロワ電圧を決定して、ステップS7へ進む。
一方、ステップS65にて吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフロスタモードのいずれでもないと判定された場合は、ステップS68へ進む。ステップS68では、ステップS63にて決定された第1仮ブロワレベルf(TAO)をブロワレベルと決定して、ステップS69へ進む。
ここで、ステップS65にて吹出口モードがフットモード、バイレベルモードおよびフットデフロスタモードのいずれでもないと判定された場合は、車室内の暖房が行われていないことを意味している。従って、ステップS68では、冷却水温度TWが低い時に乗員の暖房フィーリングが悪化してしまうことを抑制するために決定される第2仮ブロワレベルf(TW)を用いることなく、空調熱負荷に基づいて決定される第1仮ブロワレベルf(TAO)を用いてブロワレベルを決定している。
ステップS69では、ステップS67と全く同様に、ステップS68にて決定されたブロワレベルに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照してブロワ電圧を決定して、ステップS7へ進む。
次に、ステップS7では、吸込口モード、すなわち内外気切替ドア用の電動アクチュエータ62に出力される制御信号を決定する。吸込口モードは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。本実施形態では、基本的に外気を導入する外気モードが優先されるが、目標吹出温度TAOが極低温域となって高い冷房性能を得たい場合等には内気を導入する内気モードが選択される。
次に、ステップS8では、吹出口モード、ずなわち吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に出力される制御信号を決定する。吹出口モードは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。本実施形態では、目標吹出温度TAOが低温域から高温域へと上昇するに伴って、吹出口モードをフットモード→バイレベルモード→フェイスモードへと順次切り替える。従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択される。
次に、ステップS9では、エアミックスドア34の開度、すなわちエアミックスドア用の電動アクチュエータ63へ出力される制御信号を決定する。本実施形態では、暖房運転時には、室内蒸発器18通過後の送風空気の全風量が加熱用冷風通路35a側へ流入するようにエアミックスドア34を変位させ、除霜運転時には、室内蒸発器18通過後の送風空気の全風量が加熱用冷風通路35a側へ流入するようにエアミックスドア34を変位させる。
さらに、冷房運転時および除湿暖房運転時には、室内へ送風される送風空気の温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくようにエアミックスドア34を変位させる。なお、送風空気の温度TAVとして、蒸発器温度Teおよび吐出冷媒温度Tdから算出された値を用いることができる。もちろん、車室内へ吹き出される送風空気の温度を検出する送風空気温度検出手段を設け、これによって検出された値を送風空気温度TAVとしてもよい。
次に、ステップS10では、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の回転数を決定する。ここで、圧縮機11の基本的な回転数の決定手法を説明する。例えば、冷房運転時には、目標吹出温度TAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、室内蒸発器18における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Teの目標吹出温度TEOを決定する。
そして、この目標吹出温度TEOと吹出空気温度Teの偏差En(TEO−Te)を算出し、今回算出された偏差Enから前回算出された偏差En−1を減算した偏差変化率Edot(En−(En−1))とを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づいたファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数fCn−1に対する回転数変化量Δf_Cを求める。
また、暖房運転時には、目標吹出温度TAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、吐出側冷媒圧力(高圧側冷媒圧力)Pdの目標高圧PDOを決定する。
そして、この目標高圧PDOと吐出側冷媒圧力Pdの偏差Pn(PDO−Pd)を算出し、今回算出された偏差Pnから前回算出された偏差Pn−1を減算した偏差変化率Pdot(Pn−(Pn−1))とを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づいたファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数fHn−1に対する回転数変化量Δf_Hを求める。
このステップS10のより詳細な制御内容については、図6を用いて説明する。まず、ステップS101では、冷房運転時の回転数変化量Δf_Cを求める。図6のステップS101には、ルールとして用いるファジールール表を記載している。このルール表では、上述の偏差Enと偏差変化率Edotに基づいて室内蒸発器26の着霜が防止されるようにΔf_Cが決定される。
ステップS102では、暖房運転時および除湿暖房運転時の回転数変化量Δf_Hを求める。図6のステップS102には、ルールとして用いるファジールール表を記載している。このルール表では、上述の偏差Pnと偏差変化率Pdotに基づいて高圧側冷媒圧力Pdの異常上昇が防止されるようにΔf_Hが決定される。
次に、ステップS103では、ステップS5で決定された冷媒回路が冷房運転時の冷媒回路であるか否かが判定される。ステップS103にて、ステップS5で決定された冷媒回路が冷房運転時の冷媒回路であると判定された場合は、ステップS104へ進み、Δf_Cを圧縮機11の回転数変化量Δfに決定して、ステップS106へ進む。
一方、ステップS103にてステップS5で決定された冷媒回路が冷房運転時の冷媒回路でないと判定された場合は、ステップS105へ進み、Δf_Hを圧縮機11の回転数変化量Δfに決定して、ステップS106へ進む。ステップS106では、実行運転モードがエコノミー運転モードになっているか否かが判定される。
ステップS106にて、エコノミー運転モードになっていない場合は、ステップS107へ進み、圧縮機11の回転数の上限値(MAX回転数)を10000rpmとし、エコノミー運転モードになっている場合は、ステップS108へ進み、圧縮機11の回転数の上限値(MAX回転数)を7000rpmとする。つまり、本実施形態では、エコノミー運転モードでは、ノーマル運転モードよりも圧縮機11の回転数の上限値を低下させて車室内の空調を行うために消費されるエネルギ(電気エネルギ)を低減させている。
次のステップS109では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加えた値と圧縮機11の回転数の上限値(MAX回転数)とを比較して、小さい方の値を、今回の圧縮機回転数fnと決定して、ステップS11へ進む。なお、ステップS10における圧縮機回転数fnの決定は、図3のメインルーチンが繰り返される制御周期τ毎に行われるものではなく、所定の制御間隔(本実施形態では1秒)毎に行われる。
次に、ステップS11では、PTCヒータ47の作動本数を決定する。具体的には、PTCヒータ47の作動本数は、エアミックスドア34の目標開度SWが100%となっても、送風空気の温度が目標吹出温度TAOより低い場合に、冷却水温度TWに応じて決定する。
具体的には、冷却水温度TWが上昇過程にあるときは、冷却水温度TWの上昇に伴って作動本数が減少するように決定し、冷却水温度が下降過程にあるときは、冷却水温度TWの下降に伴って作動本数が増加するように決定する。もちろん、上昇過程および下降過程における作動本数を決める冷却水温度TWの基準温度にヒステリシス幅を設けることで、制御ハンチングの防止を図るようにしてもよい。
次に、ステップS12では、空調制御装置50から駆動力制御装置70へ出力される要求信号を決定する。この要求信号としては、エンジンEGの作動要求信号(ON要求信号)、エンジンEGの作動停止信号(OFF要求信号)等がある。
ここで、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両では、走行時に常時エンジンを作動させているので冷却水も常時高温となる。従って、通常の車両では冷却水をヒータコア46に流通させることで十分な暖房能力を発揮することができる。
これに対して、本実施形態のプラグインハイブリッド車両では、EV走行モードで走行している際に、走行用電動モータのみから走行用の駆動力を得て走行することがある。また、HV走行モードであっても走行用電動モータのアシスト量が増加してエンジンEGの出力が低下することがある。このため、高い暖房能力が必要な場合であっても、冷却水温度TWが暖房用の熱源として充分な温度となるまで上昇していないことがある。
そこで、本実施形態の車両用空調装置1では、高い暖房能力が必要であるにもかかわらず冷却水温度TWが暖房用の熱源として充分な温度となるまで上昇していないときは、冷却水温度TWを上昇させるために、空調制御装置50から駆動力制御装置70に対して、エンジンEGを所定の回転数で作動させるように要求信号を出力している。これにより、エンジンEGを作動させて冷却水温度TWを上昇させるようにしている。
ステップS12の詳細については、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、この制御ステップS11は、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が暖房運転時の冷媒回路に決定されている際に実行される。
まず、ステップS121では、冷却水温度TWに基づくエンジンEGの作動要求信号あるいは作動停止信号の出力を行うか否かの判定に用いる判定閾値を決定する。具体的には、作動要求信号を出力することを決定する判定基準となる閾値としてエンジンON水温、および作動停止信号を出力することを決定する判定基準となる閾値としてエンジンOFF水温を決定する。
換言すると、エンジンOFF水温は、駆動力制御装置70がエンジンEGを作動させて冷却水温度TWを昇温させる際の上限温度となる値である。つまり、駆動力制御装置70は、冷却水温度TWを昇温させる際に、冷却水温度TWがエンジンOFF水温となるまでエンジンEGを作動させることになる。
具体的には、エンジンOFF水温は、車両用空調装置1が充分な暖房能力を発揮するために望ましい冷却水温度TWDと、予め定められた基準温度(本実施形態では70℃)のうち小さい方の値に決定する。
ここで、車両用空調装置1が充分な暖房能力を発揮するために望ましい冷却水温度TWDは、以下の数式F2を用いて算出する。
TWD={(TAO−ΔTptc)−(TE×0.2)}/0.8…(F2)
なお、ΔTptcは、PTCヒータ47の作動による吹出温上昇量、すなわち、各吹出口24〜26から車室内へ吹き出される空気の温度(吹出温)のうち、PTCヒータ47の発熱分が寄与した温度上昇量である。このΔTptcは、PTCヒータ47の作動本数の増加に伴って高い値が設定される。例えば、PTCヒータ47の作動本数が0本であればΔTptc=0℃、作動本数が1本であればΔTptc=3℃、作動本数が2本であればΔTptc=6℃、作動本数が3本であればΔTptc=9℃となるように設定されている。
TWD={(TAO−ΔTptc)−(TE×0.2)}/0.8…(F2)
なお、ΔTptcは、PTCヒータ47の作動による吹出温上昇量、すなわち、各吹出口24〜26から車室内へ吹き出される空気の温度(吹出温)のうち、PTCヒータ47の発熱分が寄与した温度上昇量である。このΔTptcは、PTCヒータ47の作動本数の増加に伴って高い値が設定される。例えば、PTCヒータ47の作動本数が0本であればΔTptc=0℃、作動本数が1本であればΔTptc=3℃、作動本数が2本であればΔTptc=6℃、作動本数が3本であればΔTptc=9℃となるように設定されている。
一方、エンジンON水温は、頻繁にエンジンがON/OFFするのを防止するため、エンジンOFF水温よりも所定値(本実施形態では、5℃)だけ低く決定されている。つまり、この所定値は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
続くステップS122では、冷却水温度TWに応じて、エンジンEGの作動要求信号あるいは作動停止信号を出力するか否かの仮要求信号フラグf(TW)を決定する。具体的には、冷却水温度TWがステップS121で決定されたエンジンON水温より低ければ、仮要求信号フラグf(TW)=ONとしてエンジンEGの作動要求信号を出力することを仮決定し、冷却水温度TWがエンジンOFF水温より高ければ、仮要求信号フラグf(TW)=OFFとしてエンジンEGの作動停止信号を出力することを仮決定する。
続くステップS123では、消費エネルギに関する運転モード(実行運転モード)、目標吹出温度TAO、仮要求信号フラグf(TW)、車室内設定温度Tsetに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、駆動力制御装置70へ出力される要求信号を決定する。
具体的には、図7のステップS123に記載されているように、エコノミー運転モード以外の運転モード(すなわち、ノーマル運転モード)となっており、目標吹出温度TAOが予め定めた基準目標温度KTAO(本実施形態では、20℃)以上となっており、さらに、仮要求信号フラグf(TW)がONになっている場合は、車室内設定温度Tsetによらず、駆動力制御装置70へエンジンEGの作動を要求するON要求信号を出力することを決定する。
また、エコノミー運転モードとなっており、目標吹出温度TAOが基準温度KTAO(本実施形態では、20℃)以上となっており、仮要求信号フラグf(TW)がONになっており、さらに、車室内設定温度Tsetが予め定めた基準設定温度KTset(本実施形態では、28℃)以上となっている場合は、駆動力制御装置70へエンジンEGの作動を要求するON要求信号を出力することを決定する。
そして、これ以外では、駆動力制御装置70へエンジンEGの停止を要求するOFF要求信号を出力することを決定して、ステップS13へ進む。
つまり、制御ステップS123では、エコノミー運転モードになっているときは、車室内設定温度Tsetが基準設定温度KTset以上となっている場合に、ON要求信号を出力することを決定するようにして、ノーマル運転モードになっているときよりもON要求信号を出力する頻度を低下させている。これにより、空調のために消費されるエネルギを低減させている。
次に、ステップS13では、冷却水回路40にてヒータコア46とエンジンEGとの間で冷却水を循環させる水ポンプ45を作動させるか否かを決定する。このステップS13の詳細については、図8のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS131では、冷却水温度TWが吹出空気温度TEより高いか否かを判定する。
ステップS131にて、冷却水温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合は、ステップS134へ進み、水ポンプ45を停止(OFF)させることを決定する。その理由は、冷却水温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合に冷却水をヒータコア46へ流すと、ヒータコア46を流れる冷却水が室内蒸発器18通過後の空気を冷却してしまうことになるため、かえって吹出口からの吹出空気温度を低くしてしまうからである。
一方、ステップS131にて、冷却水温度TWが吹出空気温度TEより高い場合は、ステップS132へ進む。ステップS132では、送風機32が作動しているか否かが判定される。ステップS132にて、送風機32が作動していないと判定された場合は、ステップS134に進み、省動力化のために水ポンプ45を停止(OFF)させることを決定する。
一方、ステップS132にて送風機32が作動していると判定された場合は、ステップS133へ進み、水ポンプ45を作動(ON)させることを決定する。これにより、水ポンプ45が作動して、冷却水が冷媒回路内を循環するので、ヒータコア46を流れる冷却水とヒータコア46を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
次に、ステップS14では、冷媒回路切替手段の作動状態、すなわち開閉弁15aおよび三方弁20の作動状態が決定される。具体的には、前述の如く、本実施形態の開閉弁15aは、冷房運転時および除霜運転時に開き、暖房運転時および除湿暖房運転時に閉じる。
また、三方弁20は、冷房運転時および除湿暖房運転時には室外熱交換器16の冷媒出口側と冷房用固定絞り17とを接続する冷媒回路に切り替え、暖房運転時および除霜運転時には室外熱交換器16の冷媒出口側と圧縮機11の吸入口側に配置されたアキュムレータ19の冷媒入口側とを接続する冷媒回路に切り替える。
ステップS15では、上述のステップS6〜S14で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種空調用構成機器11(61)、15a、20、16a、32、62〜64に対して制御信号および制御電圧が出力される。続くステップS16では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2へ戻る。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く制御処理が実行されるので、暖房運転、冷房運転、除湿暖房運転および除霜運転では、それぞれ以下のように作動する。
(a)暖房運転
暖房運転時には、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の白抜き矢印で示すように、圧縮機11→室内凝縮器13→暖房用固定絞り14→室外熱交換器16(→三方弁20)→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、室内凝縮器13を放熱器として機能させ、室外熱交換器16を蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
暖房運転時には、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の白抜き矢印で示すように、圧縮機11→室内凝縮器13→暖房用固定絞り14→室外熱交換器16(→三方弁20)→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、室内凝縮器13を放熱器として機能させ、室外熱交換器16を蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
従って、暖房運転時のヒートポンプサイクル10では、圧縮機11にて圧縮された冷媒は、室内凝縮器13にて送風機32から送風された送風空気に放熱する。これにより、送風空気が、ヒータコア46→室内凝縮器13→PTCヒータ47を通過する際に加熱されて、車室内の暖房が実現される。また、室内凝縮器13から流出した冷媒は、暖房用固定絞り14にて減圧されて室外熱交換器16へ流入する。
室外熱交換器16へ流入した冷媒は、送風ファン16aから送風された車室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器16から流出した冷媒は、三方弁20を介してアキュムレータ19へ流入する。アキュムレータ19にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
(b)冷房運転
冷房運転時には、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の黒塗り矢印で示すように、圧縮機11→室内凝縮器13(→バイパス通路15)→室外熱交換器16(→三方弁20)→冷房用固定絞り17→室内蒸発器18→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、室内凝縮器13および室外熱交換器16を冷媒に放熱させる放熱器として機能させ、室内蒸発器18を冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
冷房運転時には、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の黒塗り矢印で示すように、圧縮機11→室内凝縮器13(→バイパス通路15)→室外熱交換器16(→三方弁20)→冷房用固定絞り17→室内蒸発器18→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、室内凝縮器13および室外熱交換器16を冷媒に放熱させる放熱器として機能させ、室内蒸発器18を冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
従って、冷房運転時のヒートポンプサイクル10では、圧縮機11にて圧縮された高圧高温冷媒が、室内凝縮器13にて室内蒸発器18通過後の送風空気の一部と熱交換して送風空気の一部が加熱される。さらに、室内蒸発器18から流出した冷媒は、バイパス通路15を介して室外熱交換器16へ流入し、室外熱交換器16にて送風ファン16aから送風された外気と熱交換して放熱する。
室外熱交換器16から流出した冷媒は、三方弁20を介して冷房用固定絞り17へ流入し、冷房用固定絞り17にて減圧膨張される。冷房用固定絞り17にて減圧された低圧冷媒は室内蒸発器18へ流入し、送風機32から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。この冷媒の吸熱作用により、室内蒸発器18を通過する送風空気が冷却される。
そして、前述の如く、室内蒸発器18にて冷却された送風空気の一部がヒータコア46、室内凝縮器13、PTCヒータ47にて加熱されることによって、車室内へ送風される送風空気が目標吹出温度TAOに近づくように調整され、車室内の冷房が実現される。また、室内蒸発器18から流出した冷媒は、アキュムレータ19へ流入する。アキュムレータ19にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
(c)除湿暖房運転
除湿暖房運転時には、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の斜線ハッチング付き矢印で示すように、圧縮機11→室内凝縮器13→暖房用固定絞り14→室外熱交換器16(→三方弁20)→冷房用固定絞り17→室内蒸発器18→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、室内凝縮器13および室外熱交換器16を冷媒に放熱させる放熱器として機能させ、室内蒸発器18を冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
除湿暖房運転時には、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の斜線ハッチング付き矢印で示すように、圧縮機11→室内凝縮器13→暖房用固定絞り14→室外熱交換器16(→三方弁20)→冷房用固定絞り17→室内蒸発器18→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、室内凝縮器13および室外熱交換器16を冷媒に放熱させる放熱器として機能させ、室内蒸発器18を冷媒を蒸発させる蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
従って、除湿暖房運転時のヒートポンプサイクル10では、圧縮機11にて圧縮された高圧高温冷媒が、室内凝縮器13にて室内蒸発器18通過後の送風空気の一部と熱交換して送風空気の一部が加熱される。さらに、室内蒸発器18から流出した冷媒は、暖房用固定絞り14にて減圧されて室外熱交換器16へ流入する。室外熱交換器16へ流入した冷媒は送風ファン16aから送風された外気と熱交換して放熱する。
室外熱交換器16から流出した冷媒は、三方弁20を介して冷房用固定絞り17へ流入し、冷房用固定絞り17にて減圧膨張される。冷房用固定絞り17にて減圧された低圧冷媒は室内蒸発器18へ流入し、送風機32から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。この冷媒の吸熱作用により、室内蒸発器18を通過する送風空気が冷却されて除湿される。以降の作動は冷房運転と同様である。
上記の如く、除湿暖房運転では、冷房運転と同様に、室内蒸発器18にて冷却された送風空気を室内凝縮器13にて加熱して車室内へ吹き出すことで、車室内の除湿暖房を行うことができる。この際、除湿暖房運転では、開閉弁15aを閉じるので、冷房運転よりも室外熱交換器16へ流入する冷媒の圧力および温度を低下させることができる。
従って、室外熱交換器16における冷媒の温度と外気温との温度差を縮小して、室外熱交換器16における冷媒の放熱量を低減できる。これにより、除湿暖房運転では、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、冷房運転よりも室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
(d)除霜運転
除霜運転は、暖房運転中に、室外熱交換器16に着霜が生じたことが判定されるとに実行される。なお、本実施形態では、一旦、除霜運転が開始されると、予め定めた所定時間(本実施形態では、5分間)が経過するまでは他の運転に切り替えられることはない。
除霜運転は、暖房運転中に、室外熱交換器16に着霜が生じたことが判定されるとに実行される。なお、本実施形態では、一旦、除霜運転が開始されると、予め定めた所定時間(本実施形態では、5分間)が経過するまでは他の運転に切り替えられることはない。
除霜運転では、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路が、図1の網掛けハッチング付き矢印で示すように、圧縮機11(→室内凝縮器13→バイパス通路15)→室外熱交換器16(→三方弁20)→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環するホットガスサイクルが構成される。
なお、除霜運転では、送風空気の全風量が室内凝縮器13を迂回するようにエアミックスドア34の作動が制御されているので、室内凝縮器13では冷媒は殆ど放熱しない。このため、室内凝縮器13にて送風空気が加熱されることはない。
従って、除霜運転時のヒートポンプサイクル10では、圧縮機11にて圧縮された高圧高温冷媒が、室外熱交換器16へ流入して放熱する。これにより、室外熱交換器16が加熱されて室外熱交換器16の除霜が実現される。室外熱交換器16から流出した冷媒は、三方弁20を介してアキュムレータ19へ流入する。アキュムレータ19にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入される。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動して、車室内の冷房、暖房および除湿暖房を実現することができるとともに、室外熱交換器16に着霜が生じた際に、除霜運転に切り替えることによって室外熱交換器16を除霜することもできる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、実行運転モード決定手段を構成する制御ステップS5にて説明したように、車両システムの起動時には、カスタマイズキャンセルがなされていなければ、実行運転モードがエコノミー運転モードに決定される。従って、乗員がエコノミースイッチ60aによる選択操作を行わなくてもエコノミー運転モードでの運転を実行できる。その結果、エコノミー運転モードに切り替えることによる消費エネルギ低減効果を効果的に得ることができる。
また、車両システムの起動後にエコノミースイッチ60aが操作された際には、実行運転モードがエコノミースイッチ60aによって選択された運転モードに決定される。従って、車両システムの起動後には、乗員の要求に応じて空調感の向上を優先させたノーマル運転モードでの運転を実行することができる。
(第2実施形態)
上述の実施形態では、暖房運転、冷房運転、除湿暖房運転および除霜運転の冷媒回路を切替可能に構成されたヒートポンプサイクル10を採用した例を説明したが、本実施形態では、図9に示すように、冷媒回路の切替機能を有していない冷凍サイクル10aを採用している。なお、図9では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
上述の実施形態では、暖房運転、冷房運転、除湿暖房運転および除霜運転の冷媒回路を切替可能に構成されたヒートポンプサイクル10を採用した例を説明したが、本実施形態では、図9に示すように、冷媒回路の切替機能を有していない冷凍サイクル10aを採用している。なお、図9では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
具体的には、本実施形態の冷凍サイクル10aは、圧縮機11、室外熱交換器16、室外熱交換器16にて凝縮した冷媒の気液を分離して余剰液冷媒を蓄えるレシーバ19a、レシーバ19aから流出した液相冷媒を減圧させる温度式膨張弁27、室内蒸発器18をこの順で環状に接続したもので、車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。つまり、上述の実施形態における冷房モードを実現可能に構成されている。
さらに、本実施形態の作動は、基本的に第1実施形態の図6に示す制御フローに基づいて実行されるが、本実施形態では、冷媒回路切替手段を構成する開閉弁15aおよび三方弁20が廃止されているので、制御ステップS5における冷媒回路の決定および制御ステップS14の冷媒回路切替手段の作動状態の決定等の制御は廃止されている。
また、例えば、第1実施形態の図6のS103等の冷房モードであるか否かの判定は実施されない。具体的には、図6の制御ステップS102、S103、S105等は廃止してもよいし、制御ステップS103の判定時に、常時、冷房モードであると判定されるようにすればよい。
従って、本実施形態のように、送風機車室内へ送風される送風空気を冷却する冷房モードを実現する機能に特化された冷凍サイクル10を採用する車両用空調装置1であっても、上述の実施形態に記載された制御態様を適用することで、上述の実施形態に記載された効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、車両システムの起動時に、カスタマイズキャンセルがなされていなければ、実行運転モードがエコノミー運転モードに決定される例を説明した。つまり、この例では、車両システムの起動時には原則として実行運転モードをエコノミー運転モードとし、カスタマイズキャンセルがなされているときを例外としている。このような例外はカスタマイズキャンセルに限定されない。
例えば、吹出口モード記憶手段によって記憶された前回の車両システムの終了時における吹出口モードがデフロスタモードであるときを例外としてもよい。換言すると、実行運転モード決定手段(S5)が、車両システムの起動時には、吹出口モード記憶手段によって記憶された吹出口モードがデフロスタモード以外になっているときに、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定するようになっていてもよい。
これによれば、吹出口モード記憶手段によって記憶された吹出口モードがデフロスタモードになっているときのように、車両窓ガラスに曇りが発生しやすい場合には、起動時からノーマル運転モードで車両用空調装置1を作動させることができるので、乗員の安全性(視認性)を向上できる。
また、車室内温度設定スイッチ60bによって設定された車室内設定温度Tsetと予め定めた基準目標温度(例えば、25℃)との差の絶対値が予め定めた基準目標温度差(例えば、5℃)以上であるときを例外としてもよい。換言すると、実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、車室内設定温度Tsetと基準目標温度との差の絶対値が基準目標温度差以下であるときに、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定するようになっていてもよい。
これによれば、乗員の所望の車室内温度が基準目標温度から基準目標温度差以上に大きく乖離している場合には、起動時からノーマル運転モードで車両用空調装置1を作動させることができるので、即効空調を実現できる。
また、車室内温度設定スイッチ60bによって設定された車室内設定温度Tsetと内気温Trとの差の絶対値が予め定めた基準温度差(例えば、5℃)より大きいときを例外としてもよい。換言すると、実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、車室内設定温度Tsetと内気温Trとの差の絶対値が予め定めた基準温度差以下であるときに、実行運転モードをエコノミー運転モードに決定するようになっていてもよい。
これによれば、乗員の所望の車室内温度と実際の内気温Trが基準温度差以上に大きく乖離している場合には、起動時からノーマル運転モードで車両用空調装置1を作動させることができるので、即効空調を実現できる。
(2)上述の第1実施形態では、制御ステップS5にて説明したように、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路を、乗員が操作パネル60の運転切替スイッチによって選択した冷媒回路に切り替える例を説明したが、ヒートポンプサイクル10の冷媒回路の切り替えは、これに限定されない。例えば、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、冷房運転→除湿暖房運転→暖房運転に順に切り替えるようにしてもよい。
(3)上述の実施形態では、一旦、除霜運転に切り替えられると、予め定めた所定時間が経過するまで除霜運転での運転が継続される例を説明したが、除霜運転から通常モードへの切り替えは、これに限定されない。例えば、室外器温度Toutが予め定めた切替用基準温度以上となった際に、除霜運転から通常モードへ切り替えるようにしてもよい。
(4)上述の実施形態では、本発明の車両用空調装置1をプラグインハイブリッド車両に適用した例を説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、内燃機関(エンジン)から車両走行用の駆動力を得て走行する通常の車両、走行用電動モータから駆動力を得て走行する電気自動車(燃料電池車両を含む)に適用してもよい。
10 ヒートポンプサイクル
30 室内空調ユニット
50 空調制御装置
60a エコノミースイッチ
60b 車室内温度設定スイッチ
30 室内空調ユニット
50 空調制御装置
60a エコノミースイッチ
60b 車室内温度設定スイッチ
Claims (5)
- 車室内の空調を行うノーマル運転モードと、前記ノーマル運転モードに対して前記空調を行うために消費されるエネルギの低減を優先させるエコノミー運転モードとを切替可能に構成された車両用空調装置であって、
乗員の操作によって、前記ノーマル運転モードおよび前記エコノミー運転モードの一方を選択する運転モード選択手段(60a)と、
前記ノーマル運転モードおよび前記エコノミー運転モードのうち実際に実行される実行運転モードを決定する実行運転モード決定手段(S5)とを備え、
前記実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、前記実行運転モードを前記エコノミー運転モードに決定することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動後に前記運転モード選択手段(60a)が操作された際には、前記実行運転モードを前記運転モード選択手段(60a)によって選択された運転モードに決定することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記車室内に送風される送風空気の空気通路を形成するとともに、前記車室内へ前記送風空気を吹き出す複数の開口穴(37a〜37c)が形成されたケーシング(31)と、
前記複数の開口穴(37a〜37c)を開閉して吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段(38a〜38c)と、
車両システムの終了時における吹出口モードを記憶する吹出口モード記憶手段とを備え、
前記複数の開口穴(37a〜37c)として、少なくとも車両窓ガラス側に向けて前記送風空気を吹き出すデフロスタ開口穴(37a)が含まれており、
さらに、前記吹出口モードとして、少なくともデフロスタ開口穴(37a〜37c)から車両窓ガラスに向けて前記送風空気を吹き出すデフロスタモードが設けられており、
前記実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、前記吹出口モード記憶手段によって記憶された吹出口モードがデフロスタモード以外になっているときに、前記実行運転モードを前記エコノミー運転モードに決定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。 - 乗員の操作によって車室内設定温度(Tset)を設定する目標温度設定手段(60b)を備え、
前記実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、前記車室内設定温度(Tset)と予め定めた基準目標温度との差の絶対値が予め定めた基準目標温度差以下であるときに、前記実行運転モードを前記エコノミー運転モードに決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 乗員の操作によって車室内設定温度(Tset)を設定する目標温度設定手段(60b)を備え、
前記実行運転モード決定手段(S5)は、車両システムの起動時には、前記車室内設定温度(Tset)と前記車室内の内気温(Tr)との差の絶対値が予め定めた基準温度差以下であるときに、前記実行運転モードを前記エコノミー運転モードに決定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
Priority Applications (1)
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| JP2012201230A JP2014054931A (ja) | 2012-09-13 | 2012-09-13 | 車両用空調装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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