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JP2014051424A - 熱処理用部材およびこれを備えた熱処理用容器 - Google Patents

熱処理用部材およびこれを備えた熱処理用容器 Download PDF

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JP2014051424A
JP2014051424A JP2012198526A JP2012198526A JP2014051424A JP 2014051424 A JP2014051424 A JP 2014051424A JP 2012198526 A JP2012198526 A JP 2012198526A JP 2012198526 A JP2012198526 A JP 2012198526A JP 2014051424 A JP2014051424 A JP 2014051424A
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heat
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Keita Kubo
圭太 久保
Shinichi Yamaguchi
新一 山口
Yusuke Nishikawa
祐介 西川
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Abstract

【課題】熱処理を繰り返しても耐食層にクラックが生じにくい熱処理用部材およびこれを備えた熱処理用容器を提供する。
【解決手段】酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体1aと、基体1aの表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層1bとを備えてなり、耐食層1bを形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さい熱処理用部材1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、被焼成物を焼成するために用いられる熱処理用部材およびこれを備えた熱処理用容器に関する。
リチウムイオン2次電池の正極材(例えば、LiMnO,LiCoO,LiNiO)の熱処理において、耐熱衝撃性に優れたムライト−コージェライト質からなる熱処理用部材を用いた熱処理用容器が広く用いられている。
しかしながら、このような熱処理用容器は、正極材に含まれるリチウム化合物や遷移金属(例えば、Mn,Co,Ni)化合物によって浸食され、繰返して用いると熱処理用容器が短期間で劣化し、交換しなければならなかった。
それゆえ、熱処理用容器の劣化を抑制するにあたり、特許文献1では、コージェライト質焼結体の少なくとも1部以上が、中間緩衝結合層と反応防止のための電融マグネシア層とで覆われている電子部品焼成用治具が提案されている。このような電子部品焼成用治具は、電融マグネシア層(耐食層)に含まれる酸化マグネシウムの結晶粒子に、コージェライト質焼結体(基体)の平均気孔径より大きいものを用いた場合に、電融マグネシア層(耐食層)の結晶粒子が、コージェライト質焼結体(基体)表面にある開気孔内に、その結晶粒子の一部が嵌り込んで固定された状態で存在するものであった。
特開平1−176276号公報
しかしながら、上記酸化マグネシウムの結晶粒子の一部がコージェライト質焼結体(基体)の開気孔内に嵌り込んで固定された状態の電子部品焼成用治具を用いて熱処理を繰り返すと、コージェライト質焼結体(基体)に体積変化が生じ、この場合にコージェライト質焼結体(基体)に固定された酸化マグネシウムの結晶粒子と、固定されていない酸化マグネシウムの結晶粒子とでは、結晶粒子に加わる力の大きさがそれぞれで異なるため、固定された酸化マグネシウムの結晶粒子と固定されていない酸化マグネシウムの結晶粒子とが接する部位を起点として、電融マグネシア層(耐食層)にクラックが生じやすいという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑み、熱処理を繰り返しても耐食層にクラックが生じにくい熱処理用部材およびこれを備えた熱処理用容器を提供するものである。
本発明の熱処理用部材は、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体と、該基体の表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層とを備えてなる熱処理用部材であって、前記耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、前記多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さいことを特徴とするものである。
また、本発明の熱処理用容器は、上記熱処理用部材を備えてなることを特徴とするもの
である。
本発明の熱処理用部材によれば、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体と、基体の表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層とを備えてなり、耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さいことから、耐食層の酸化マグネシウムの結晶粒子全体が、基体表面に存在する開気孔内に保持されやすくなり、気孔内に結晶粒子の一部が嵌り込んで固定されることを回避することができる。したがって、熱処理によって基体の体積変化が生じたとしても、耐食層の酸化マグネシウムのそれぞれの結晶粒子において、基体の体積変化に伴って生じる力が均一に加わりやすいため、耐食層にクラックが生じにくくなる。
また、本発明の熱処理用容器によれば、本発明の熱処理用部材を備えてなることから、長期間に亘って使用することができる。
本実施形態の熱処理用容器の一例を示す斜視図である。 本実施形態の熱処理用容器の他の例を示す、(a)は斜視図であり、(b)はA−A’線における断面図である。 本実施形態の熱処理用容器のさらに他の例を示す、(a),(b)はそれぞれ斜視図,平面図であり、(c)はB−B’線における断面図である。
以下、本実施形態の熱処理用部材について詳述する。
本実施形態の熱処理用部材は、主にリチウムイオン2次電池の正極材を熱処理するときに用いることができ、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体と、基体の表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層とを備えてなり、耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さいことが重要である。
このような構成であると、耐食層の酸化マグネシウムの結晶粒子全体が、基体表面に存在する開気孔に保持されやすくなるため、開気孔内に結晶粒子の一部が嵌り込んで固定されることを回避できる。したがって、熱処理によって基体の体積変化が生じたとしても、耐食層の酸化マグネシウムのそれぞれの結晶粒子において、基体の体積変化に伴って生じる力が均一に加わりやすいため、耐食層にクラックが生じにくくなる。それゆえ、クラックからリチウムイオン2次電池の正極材を構成する成分(単に、浸食成分という。)が侵入することによる基体の浸食が抑制される。
また、耐食層の厚みは、基体表面を基準として10μm以上の厚みであることが好適で、この範囲であると、熱処理が繰り返されても、耐食層に応力が残留しにくくなり、耐食層全体としてクラックが生じにくくなる。
ここで、基体および耐食層の各主成分とは、それぞれを構成する成分のうち、含有量が最も多い成分をいい、基体および耐食層における主成分が、それぞれ60質量%以上、95質量%以上であることがより好適である。
また、基体の主成分が酸化アルミニウムであるとき、主成分以外の成分としては、例え
ば、酸化マグネシウム,酸化カルシウムおよび酸化珪素を含むことができる。
また、基体の主成分が金属酸マグネシウムであるとき、主成分以外の成分としては、例えば、酸化マグネシウムを含むことができる。
また、基体の主成分がムライトであるとき、主成分以外の成分としては、例えば、コージェライトを含むことができる。
また、基体の主成分がコージェライトであるとき、主成分以外の成分としては、例えば、アルミン酸マグネシウム,ムライト,酸化珪素および酸化アルミニウムを含むことができる。
また、耐食層の主成分以外の成分としては、例えば、カルシウム,マンガン、珪素および亜鉛を含むことができる。
また、基体および耐食層の含有成分は、X線回折法を用いて組成を同定することができ、基体または耐食層に含まれる各元素の量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって各元素の含有量を測定することによって求めることができる。
ここで、金属酸マグネシウムとしては、例えば、アルミン酸マグネシウム,チタン酸マグネシウム,タンタル酸マグネシウムまたはタングステン酸マグネシウムを用いることができる。なお、アルミン酸マグネシウムは組成式がMgAlとして表され、MgOとAlとのモル比が1:1の定比であることが好適であるが、MgOとAlとのモル比は、例えば1:0.8〜1:1.2の範囲であれば何等差し支えない。また、チタン酸マグネシウムは組成式がMgTiOとして表され、MgOとTiOとのモル比が1:1の定比であることが好適であるが、MgOとTiOとのモル比は、例えば1:0.8
〜1:1.2の範囲であれば何等差し支えない。また、タンタル酸マグネシウムは組成式が
MgTaとして表され、MgOとTaとのモル比が4:1の定比であることが好適であるが、MgOとTaとのモル比は、例えば4:0.8〜4:1.2の範囲であれば何等差し支えない。さらに、タングステン酸マグネシウムは組成式がMgWOとして表され、MgOとWOとのモル比が1:1の定比であることが好適であるが、MgOとWOとのモル比は、例えば1:0.8〜1:1.2の範囲であれば何等差し支えない。
次に、本実施形態の熱処理用部材によれば、酸化マグネシウムの結晶粒子はナノ粒子であることが好適である。酸化マグネシウムの結晶粒子がナノ粒子であると、耐食層において結晶粒子同士がより緻密に配置されやすく、開気孔内における耐食層がより緻密になる。このような構成であると、一つ一つの粒子が微小となり応力が分散されやすくなり、また粒子間が狭くなっていることから浸食成分が浸透しにくくなるため、熱処理用部材は熱処理を繰り返しても、耐食層にクラックがさらに生じにくく、耐食性がより高くなる傾向がある。
なお、本実施形態におけるナノ粒子とは、JIS K 0216−2008に記載されている定義に基づき、その粒径は1nm以上100nm以下である。
酸化マグネシウムの結晶粒子がナノ粒子であるか否かは、以下に示す手順によって判定することができる。即ち、耐食層の表面に平行な面が観察面となるようにポリエステル系樹脂等の冷間埋込樹脂に埋め込んで試料を作製し、この試料の観察面側の表面を研磨する。なお、この研磨は耐食層が観察できる範囲で行なう。そして、走査型電子顕微鏡を用い、倍率を例えば25000倍として、試料の観察面の反射電子組成像を得る。
そして、上記反射電子組成像で観察される結晶粒子の成分をEPMA(Electron Probe
Micro Analyzer)等を用いて同定する。そして、反射電子組成像に写る結晶粒子が酸化
マグネシウムと同定された場合には、例えば、画像解析ソフト「IMAGE−PRO PLUS」(登録商標、MEDIA CYBERNETICS社製)を用いて解析し、酸化マグネシウムの結晶粒子について、サンプル数を30として任意に選択し、選択したサンプルの粒子径を円相当径で算出し、それらサンプルの値が1nm以上100nm以下の範囲内
にあれば、酸化マグネシウムの結晶粒子がナノ粒子であることを認定することができる。なお、酸化マグネシウムの各結晶粒子の平均粒径は、40nm以上60nm以下であることが好適である。
また、本実施形態の熱処理用部材によれば、耐食層側の基体の表層に酸化マグネシウムが存在していることが好適である。このような構成であると、耐食層が経時劣化して浸食成分が耐食層を浸食したとしても、基体の表面に酸化マグネシウムが存在しているため基体の浸食速度を低減することができるため、熱処理部材の耐食性をより長期に亘って保つことができる。ここで、基体の表層とは基体の表面を基準として内部に向かって100μm
までの領域に存在していればよい。また、基体の機械的強度の観点から考えると基体の表層に存在する酸化マグネシウムは前記上記領域内にのみ存在すると機械的強度を高く維持することができる。
基体の表層の酸化マグネシウムは、2次イオン質量分析法または電子線マイクロアナライザー法を用いて基体および耐食層が確認できる断面においてマグネシウムの存在比率を測定することでその存在および分布を判定できる。
また、本実施形態の熱処理用部材によれば、耐食層が酸化ジルコニウムを含むときには、繰り返し熱処理すると、理由は不明であるが、酸化ジルコニウムの結晶粒子内に微細なクラックが生じる。その微細なクラックによって、繰り返し熱処理をした際に生じ得る、耐食層の一方の主面から他方の主面にまで至るようなクラックの進行を抑制することができ、耐熱衝撃性を向上させることができる。また、酸化ジルコニウムは、結晶構造が正方晶および立方晶の少なくともいずれかであることが好適で、このような結晶構造であると、耐熱衝撃性が高く、繰り返し熱処理を加えて熱衝撃を与えても破損しにくい。酸化ジルコニウムは、薄膜X線回折法またはX線光電子分光法を用いて同定することができる。特に、酸化ジルコニウムの含有量は、耐食層100質量%に対して2質量%12質量%以下であ
ることが好適である。
また、本実施形態の熱処理用部材を構成する基体である多孔質焼結体は、気孔径の累積分布曲線における累積25体積%の気孔径(d25)に対する累積75体積%の気孔径(d75)の比(d75/d25)が(以下、単に比(d75/d25)という。)1.1以上1.5以下であることが好適である。
上記の比(d75/d25)が1.1以上1.5以下であると、気孔径のばらつきが少なくなるので、耐熱衝撃性および機械的特性をともに高くすることができ、繰り返し熱処理を行なっても、多孔質焼結体にクラックを生じさせにくくすることができる。
また、多孔質焼結体の気孔の気孔径(d25)および(d75)は、例えば、多孔質焼結体の気孔径を以下の式(1)により求め、その累積分布曲線における累積25体積%および75体積%に相当する気孔径をそれぞれ気孔径(d25)および(d75)として求めればよい。なお、気孔径の累積分布曲線とは、2次元のグラフにおける横軸を気孔径、縦軸を気孔径の累積気孔体積の百分率とした場合、気孔径の累積分布を示す曲線をいい、気孔径の分布範囲を示すものである。
この多孔質焼結体の気孔の気孔径(d25)および(d75)については、水銀圧入法に準拠して求めればよい。具体的には、まず、基体から質量が2g以上3g以下となるように試料を切り出す。次に、水銀圧入型ポロシメータを用いて、試料の気孔に水銀を圧入し、水銀に加えられた圧力と、気孔内に浸入した水銀の体積とを測定する。
この水銀の体積は気孔の体積に等しく、水銀に加えられた圧力と気孔径には以下の式(1)(Washburnの関係式)が成り立つ。
d=−4σcosθ/P・・・(1)
但し、d:気孔径(m)
P:水銀に加えられた圧力(Pa)
σ:水銀の表面張力(0.485N/m)
θ:水銀と気孔の表面との接触角(130°)
式(1)から各圧力Pに対する各気孔径dが求められ、各気孔径dの分布および累積気孔体積を導くことができる。そして、累積気孔体積の百分率が25体積%および75体積%に相当するそれぞれの気孔径(d25),(d75)を求めればよい。
また、本実施形態の熱処理用部材によれば、耐食層は、さらに、リチウム,コバルト,マンガン,ニッケルおよびリンの少なくともいずれか1種を含むことが好適である。これらの成分のいずれか1種を含むときには、リチウムイオン2次電池用の正極材を熱処理する場合に、昇温すると、熱処理用部材の表面に上記成分を含む酸化膜が形成されて、浸食成分の拡散速度が遅くなるので、熱処理用部材が浸食されにくくなる。特に、リチウム,コバルト,マンガン,ニッケルおよびリンの各含有量は、いずれも3質量%以上5質量%以下であることがより好適である。なお、これら成分の含有量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって求めることができる。また、上記酸化膜は、薄膜X線回折法またはX線光電子分光法を用いて同定することができる。
また、本実施形態の熱処理用部材を構成する基体の主面は、算術平均粗さR,十点平均粗さRzJIS,スキューネスRskおよびクルトシスRkuがそれぞれ2〜6μm,14〜22μm,−1〜1,2〜5であることが好適である。特に、クルトシスRkuは3以上5以下であることが好適で、この範囲であると、主面における先鋭度が高くなるので、耐食層の基体に対する密着力が高くなる。
なお、算術平均粗さR,十点平均粗さRzJIS,スキューネスRskおよびクルトシスRkuは、JIS B 0601−2001に準拠して測定すればよく、測定長さおよびカットオフ値をそれぞれ5mmおよび0.8mmとし、触針式の表面粗さ計を用いて測定する場
合であれば、例えば、基体の主面に、触針先端半径が2μmの触針を当て、触針の走査速度は0.5mm/秒に設定し、この測定で得られた5箇所の平均値を算出すればよい。
つぎに、本実施形態の熱処理用容器について説明する。
本実施形態の熱処理用容器は、前述の本実施形態の熱処理用部材を備えることが好適である。
図1は、本実施形態の熱処理用容器の一例を示す斜視図である。
図1に示す例の熱処理用容器は、本実施形態の熱処理用部材1からなる熱処理用容器10であり、その形状はすり鉢状である。熱処理用部材1は、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体1a
と、基体1aの内側表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層1bとを備えてなる。熱処理用容器10の形状はすり鉢状以外、椀状であっても、四角形状であっても構わなく、容器内に被熱処理物を載置できる匣鉢の形状を有すれば特に限定されるものではない。
図2は、本実施形態の熱処理用容器の他の例を示す、(a)は斜視図であり、(b)はA−A’線における断面図である。
図2に示す例の熱処理用容器20は、本実施形態の熱処理用部材からなる支持体2と、支持体2上に載置された枠体3とを備え、枠体3で囲まれた支持体2上に被熱処理物を載置するための容器である。そして、支持体2は、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体2aと、基体2aの内側表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層2bとを備えてなる。また、枠体3の内面側壁の少なくとも下方側表面に、酸化マグネシウムを主成分とする耐食層4を備えることもでき、図2に示す熱処理用容器20においてはこの耐食層4を備える例を示している。
図3は、本実施形態の熱処理用容器のさらに他の例を示す、(a),(b)はそれぞれ斜視図,平面図であり、(c)はB−B’線における断面図である。
図3に示す例の熱処理用容器30は、本実施形態の熱処理用部材からなる支持体5と、支持体5を収容するキャビティ部6が設けられた枠体7とを備え、枠体7を構成する側壁の少なくとも下方側に酸化マグネシウムを主成分とする耐食層8を備えている。なお、枠体7は酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体を用いることができる。
ここで、支持体5は、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体5aと、基体5aの被熱処理物が載置される側の表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層5bとを備えてなる。
また、熱処理用容器30は、枠体7が、キャビティ部6内につながる貫通部9を有するとともに、一端が貫通部9内に位置し、かつ他端がキャビティ部6内に位置するように配置された、支持体5を上方からキャビティ部6に定置するための三角形状の板状体である定置部材11を備えている。この定置部材11の他端は支持体5よりも上方に位置しているので、枠体7を反転したり、動かしたりしても位置がずれないように支持体5を定置することができる。なお、定置部材11は三角形状に限定されるものではなく、例えば、四角形状であっても構わない。
また、枠体7の底面には、支持体5の下面と枠体7の底面との間に空間を設けるための間隙部材12が設けられている。このような構成であれば、熱処理用容器30を用いて、例えば、リチウムイオン2次電池用の正極材料を熱処理したとしても、熱処理後に熱処理用容器30が放冷される際に、支持体5の下面が枠体7の底面に接しているときよりも、支持体5が徐々に冷却されることとなり、強い熱衝撃を受けにくくなる。したがって、枠体7の底面と支持体5の下面との間に空間が形成されると、加熱、冷却を繰り返しても、支持体5に亀裂等の破損が生じにくくなるため好適である。なお、間隙部材12は、熱処理時にクラックが入りにくくするという観点から、枠体7または基体5aと同じ成分の部材を用いるのがよい。
ここで、熱処理用容器30は、定置部材11がセラミックスからなり、基体5aの気孔率が
、間隙部材12の気孔率よりも高いことが好適である。
基体5aの気孔率が間隙部材12の気孔率よりも高いときには、間隙部材12の強度を基体5aの強度に対して相対的に高くすることができ、被熱処理物を取り出すために枠体7の反転を繰り返しても間隙部材12に亀裂が生じにくいため好適である。また、基体5aの気孔率が相対的に高くなれば、支持体5の質量が軽くなるので、取り扱いの点でもより好適である。
なお、支持体5および定置部材11の気孔率は、十分な機械的強度を持つためにはそれぞれ30体積%以下であることが好適で、発生した亀裂がより進展しにくいようにするためには15体積%以上であることが好適である。
さらに、支持体5の気孔率と定置部材11の気孔率との差は、1体積%以上5体積%以下であることが好適である。支持体5の気孔率と定置部材11の気孔率との差がこの範囲であると、加熱、冷却を繰り返しても、支持体5および定置部材11のそれぞれの膨張、収縮挙動が略一致するため、耐食層5bの上面と定置部材11の下面との間隔を狭くすることがで
きる。この間隔が狭いと、被熱処理物を取り出すために枠体7を反転しても定置部材11にかかる衝撃力が小さくなるため、枠体7の反転を繰り返しても定置部材11に亀裂が生じにくくなる。なお、支持体5および定置部材11の各気孔率は、アルキメデス法に準拠して求めることができる。
また、基体5aおよび定置部材11の主成分は同じであることが好適で、この場合には、基体5aと定置部材11との収縮率の差が小さくなるため、耐食層5bの上面と定置部材11の下面との間隔をさらに狭くすることができる。
ここで、図2,3に示す耐食層4,8の主成分とは、それぞれを構成する成分のうち、含有量が最も多い成分をいい、耐食層4,8における主成分は、それぞれ95質量%以上であることがより好適である。
耐食層4,8の含有成分は、X線回折法を用いて組成を同定することができる。また、耐食層4,8に含まれる各元素の量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって求めることができる。
図1〜3に示す例の熱処理用容器10,20,30は、長期間に亘って耐食性が高い本実施形態の熱処理用部材1,2,5を備えてなることから、長期間に亘って使用することができる。
さらに、図2,3に示す例の熱処理用容器20,30は、それぞれ耐食層4,8が形成されていることから、枠体3,7の耐食性も高くなるので、熱処理の耐用回数をさらに上げることができる。
なお、図2,3に示す例の熱処理用容器20,30は、それぞれ耐食層4,8が形成されている熱処理用容器であるが、枠体3,7の耐食性に対する要求が厳しくない場合には、耐食層が形成されていなくても何等差し支えない。
また、上述した本実施形態の熱処理用部材は、上述した熱処理用容器以外、回転レトルト炉や回転熱処理炉を構成する部材として用いても好適である。
次に、本実施形態の熱処理用部材および熱処理用容器の製造方法について説明する。
まず、酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする、平均気孔径が、例えば、90μm以上100μm以下である多孔質焼結体からなる
基体を準備する。
被熱処理物が載置される側の基体の表面に、酸化マグネシウムを主成分とする粉末を4質量%以上6質量%以下含む、イオン交換水を溶媒とするスラリーを、例えば、刷毛塗り法によって塗布し、室温にて乾燥する。ここで、耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子がナノ粒子であるようにするには、粒径が1nm以上100nm以下である粉末を用
いればよい。また、塗布する回数を複数とし、量を適宜調整したスラリーを塗布し、乾燥するという作業を繰り返し行なうことで、酸化マグネシウム粒子が基体内部へ浸透しやすくなり、1回あたりの塗布量および塗布回数を適宜調整することで表層の上記範囲内に酸化マグネシウムを存在させることができる。
そして、塗布したスラリーが乾燥した後、温度および保持時間をそれぞれ1000℃以上1200℃以下,2時間以上3時間以下として熱処理することにより、本実施形態の熱処理用部材を得ることができる。
また、上記の方法以外にも、基体を積層体から構成してもよい。この場合、該積層体の内側表面側の層となる層を、酸化マグネシウムを含有させて作製し、それ以外の層を、酸化マグネシウムを含有しない層として、これらを順に積層して積層体としてもよい。
また、図1〜3に示す例の熱処理用容器10,20および30を得るには、まず、基体1aの内側表面および枠体3,7を構成する側壁の内面の少なくとも下方側に前記スラリーを、例えば、刷毛塗り法によって塗布し、室温にて乾燥する。
そして、塗布したスラリーが乾燥した後、温度および保持時間をそれぞれ1000℃以上1200℃以下,2時間以上3時間以下として基体1a,枠体3,7を熱処理することにより、それぞれ耐食層1b,4,8が形成される。ここで、以上の製造方法により熱処理用容器10を作製することができる。
そして、耐食層4が形成された枠体3を上述した方法によって得られた熱処理用部材(支持体)2上に載置することにより、熱処理用容器20を得ることができる。
また、耐食層5が形成された枠体8の底面に間隙部材12,熱処理用部材(支持体)5を順次載置した後、貫通部9に定置部材11を挿入することにより、熱処理用容器30を得ることができる。
そして、この様な製造方法で作製した、本実施形態の熱処理用部材1,2,5を用いた熱処理用容器10,20,30は、優れた耐食性を有するとともに、長期間に亘って使用することができる。
なお、本実施形態の熱処理用部材は、リチウムイオン2次電池の正極材の熱処理に好適にもちいることができるが、リチウム化合物や遷移金属(例えば、Mn,Co,Ni)化合物を含有するもの、例えば、バリスタ,サーミスタ,圧電素子またはセラミックコンデンサ等の電子部品や、リチウム化合物または遷移金属の原料そのものの熱処理に用いることができることはいうまでもない。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、表1および表2に示す酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム(アルミン酸マグネシウムとチタン酸マグネシウム),ムライトおよびコージェライトの含有量がコージェライトは90質量%、それ以外は60質量%とし、平均気孔径がいずれも95μmである多孔質焼結体からなる基体をそれぞれ準備した。そして、被熱処理物が載置される側の前記各基体の表面に、純度および平均粒径(D50)がそれぞれ99.98質量%,50nmである酸化マ
グネシウムの粉末と、純度および平均粒径(D50)がそれぞれ98質量%,50nmである酸化ジルコニウムの粉末とを、耐食層における酸化ジルコニウムの含有量が表1および表2に示す値となるようにしたスラリーを作製して基体に塗布し、室温にて乾燥した。なお、酸化マグネシウムの粉末の含有量は、スラリーに対して4質量%とした。また、スラリーの溶媒はイオン交換水を用いた。
そして、塗布したスラリーが乾燥した後、温度および保持時間をそれぞれ1100℃で2時間として基体を熱処理することにより、表1および表2に示す酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトおよびコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体に、結晶粒子の平均結晶粒径が、基体の平均気孔径よりも小さい、ナノ粒子の酸化マグネシウムを主成分とする耐食層が設けられた試料No.1〜6,8〜13,15〜20,22〜27および29〜34を作製した。
また、酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径を100μmとした以外は、試料No
.6,13,20,27および34と同様にして、表1および表2に示す酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトおよびコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体に、結晶粒子の平均結晶粒径が、基体の平均気孔径よりも大きい酸化マグネシウムを主成分とする耐食層が設けられた試料No.7,14,21,28および35を作製した。
各試料の耐食層における酸化マグネシウムおよび酸化ジルコニウムは、それぞれ薄膜X線回折法により同定し、酸化ジルコニウムの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によってジルコニウムの含有量を求め、その値を酸化物に換算した。
次に、各試料の耐熱衝撃性評価については、以下に示す方法でおこなった。各試料を焼成炉内にて高温で5時間保持した後、焼成炉外で急冷し、耐食層に初めて亀裂が観察されたときに保持した温度と室温との温度差を耐熱衝撃温度ΔTとした。なお、観察方法は、光学顕微鏡を用い、倍率を50倍として、耐食層を観察した。なお、酸化ジルコニウムの含有量および耐熱衝撃温度ΔTを表1および2に示す。
また、各試料の耐食性評価については、まず、酸化リチウムおよび酸化コバルトの各粉末を混合した粉末からなる円板状の成形体(浸食成分)を各試料の上面に載置し、その状態で、焼成炉内で最高温度および保持時間を1000℃,10時間として保持した。そして、保持終了後、400℃まで150℃/時間の降温速度で冷却し、その後、常温まで空冷した。
各試料の質量変化率を以下の式(2)に準拠して算出した。その算出した質量変化率の値を表1および2に示す。なお、質量変化率が小さいほど試料は浸食成分に浸食されにくいといえる。
(W−W)/W × 100 (%)・・・・・・・・・・・・・・(2)
(W:保持前の試料の質量(g) W:保持後の試料の質量(g))
Figure 2014051424
Figure 2014051424
基体の主成分を表1に示す成分とし、耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、基体である多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さい試料No.1〜6,試料No.8〜13,試料No.15〜20,試料No.22〜27および試料No.29〜34は、いずれも耐熱衝撃温度ΔTが900℃以上となっており、耐食層を形成する酸化マグネシウム
の結晶粒子の平均結晶粒径が、基体である多孔質焼結体の平均気孔径よりも大きい試料No.7,試料No.14,試料No.21,試料No.28および試料No.35に比べて耐熱衝撃性が良好であると言える。いいかえると、耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径を、基体である多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さくすることで、熱処理を繰り返しても耐食層にクラックが生じにくいといえる。さらに、試料No.1〜6,試料No.8〜13,試料No.15〜20,試料No.22〜27および試料No.29〜34はいずれも質量変化率が0.4%以下となっており、試料No.8,試料No.15,試料No.22,試料No.29および試料No.36に比べて浸食成分に浸食されにくいといえる。
また、基体の主成分がそれぞれ酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム(アルミン酸マグネシウムとチタン酸マグネシウム),ムライト,コージェライトで、耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、基体である多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さい試料である試料No.1〜6,試料No.8〜13,試料No.15〜20,試料No.22〜27,試料No.29〜34において、耐食層が、酸化ジルコニウムを1質量%以上13質量%含有する試料No.1〜5,試料No.8〜12,試料No.15〜19,試料No.22〜26,試料No.29〜33は、耐熱衝撃温度ΔTが900℃以上となっており、酸化ジルコニ
ウムを含有しない試料No6,13,20,27,35に比べて耐熱衝撃性が高まっており、熱処
理を繰り返しても耐食層にクラックがより生じにくくなっているといえる。さらに、酸化ジルコニウムを2質量%以上12質量%以下含有する試料No.2〜4,試料No.9〜11
,試料No.16〜18,試料No.23〜25,試料No.30〜32は、耐熱衝撃温度ΔTが970
℃以上と熱処理を繰り返しても耐食層にクラックがさらに生じにくく、かつ質量変化率が0.3%以下となり耐食性も特に良好となることがわかった。
1:熱処理用部材
1a:基体
2,5:支持体(熱処理用部材)
3,7:枠体
1b,2b,4,8,5b:耐食層
6:キャビティ部
9:貫通部
11:定置部材
12:間隙部材
10,20,30:熱処理用容器

Claims (6)

  1. 酸化アルミニウム,金属酸マグネシウム,ムライトまたはコージェライトを主成分とする多孔質焼結体からなる基体と、
    該基体の表面の少なくとも一部に形成された酸化マグネシウムを主成分とする耐食層とを備えてなる熱処理用部材であって、
    前記耐食層を形成する酸化マグネシウムの結晶粒子の平均結晶粒径が、前記多孔質焼結体の平均気孔径よりも小さいことを特徴とする熱処理用部材。
  2. 酸化マグネシウムの結晶粒子がナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の熱処理用部材。
  3. 前記基体の前記耐食層側の表層に酸化マグネシウムが存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理用部材。
  4. 前記耐食層が、酸化ジルコニウムを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱処理用部材。
  5. 前記耐食層が、さらに、リチウム,コバルト,マンガン,ニッケルおよびリンの少なくともいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱処理用部材。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の熱処理用部材を備えてなることを特徴とする熱処理用容器。
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