JP2013521760A - 人工多能性幹細胞の選別方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、人工多能性幹細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列を、該細胞内の核酸において網羅的に検出することを含む、安全性の高い人工多能性幹細胞を選別する方法、およびその方法に用いるキットを提供する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、人工多能性幹細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列を網羅的に検出することで、安全性の高い人工多能性幹細胞を選別する方法、およびその方法に用いるキットに関する。
近年、Yamanakaらは、マウスの線維芽細胞に、Oct3/4, Sox2, Klf4及びc-Myc遺伝子を導入し強制発現させることによって、iPS細胞を作製した(1, 2)。このiPS細胞は、治療対象となる患者由来の細胞を用いて作製することができるため、拒絶反応のない移植材料として期待されている。
一方、2002年のX連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)に対してレトロウイルスベクターを用いて行われた遺伝子治療において、白血病の発症による死亡例が報告されている。これは、導入した遺伝子が原因ではなく、染色体に非特異的に組み込まれたウイルスベクターが予期しない内在性の遺伝子を過剰に発現させてしまったことが原因と疑われている。従って、医療材料として用いるためには、遺伝子導入に用いた発現ベクターが断片として部分的にでも染色体に組み込まれていないことが望まれている。
このため、iPS細胞を樹立する際に、遺伝子が染色体へ組み込まれないように初期化因子を細胞内で発現させる様々な工夫が報告されている(3, 4)。しかし、この方法を用いたとしても、発現ベクターを用いている限り、導入した発現ベクターが必ず染色体に組み込まれていないと断定することはできない。
これまで、染色体への発現ベクターの組み込みを確認するためにPCR法が用いられている(3)。しかし、この方法を用いたとしても、PCR法で検出される増幅範囲以外の部分が断片化されて染色体へ組み込まれていた場合、その組み込みを確認することができない。
引用文献:
1. WO 2007/069666
2. Takahashi, K. and Yamanaka, S., Cell, 126: 663 (2006)
3. Okita K, et al., Science 322, 949 (2008)
4. WO 2009/133971
引用文献:
1. WO 2007/069666
2. Takahashi, K. and Yamanaka, S., Cell, 126: 663 (2006)
3. Okita K, et al., Science 322, 949 (2008)
4. WO 2009/133971
本発明の目的は、誘導に用いた発現ベクターが細胞内に残存していない人工多能性幹細胞(iPS細胞)を選別することである。したがって、本発明の課題は、誘導に用いた発現ベクターがその一部分であってもiPS細胞内に含有されているか否かを網羅的に調べる方法ならびにその方法に用いるキットを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列の一部分でもiPS細胞から抽出されたDNAに存在するかを調べるため、発現ベクターの配列から成るプローブにより構成されたタイリングアレイを用いてiPS細胞における発現ベクターの配列の存在を確認した。すると、染色体内に発現ベクターが組み込まれていることが既知であったiPS細胞においては、誘導に用いた発現ベクターの細胞内における存在が確認された。また、これまでの方法により発現ベクターがその細胞内に含有されていないとされていたiPS細胞は、断片化された発現ベクターが部分的にも細胞内に含有されていないことが確認された。
以上の結果から、本発明者らは、誘導に用いた発現ベクターの配列を用いて、網羅的にiPS細胞内にそのベクターが含有されているか否かを測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]人工多能性幹細胞を調べる方法であって、体細胞から樹立された人工多能性幹細胞内の核酸が、該体細胞のゲノムに内在する配列以外に多能性幹細胞を誘導するために用いた発現ベクターの配列を含有しているか否かを網羅的に検出する工程を含む、方法。
[2]該検出工程において、該発現ベクターの配列が検出されない人工多能性幹細胞を選択する工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]前記検出工程が、該発現ベクターの配列の一部を含むプローブより構成されたマイクロアレイを用いて行われる、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記マイクロアレイが、タイリングアレイである、[3]に記載の方法。
[5]前記プローブが、該発現ベクター中の、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列の一部から成る、[3]に記載の方法。
[6]前記核酸が、人工多能性幹細胞の染色体DNAである、[1]または[2]に記載の方法。
[7]前記発現ベクターが、プラスミドである、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]体細胞から人工多能性幹細胞を誘導するために用いられる発現ベクターの配列の一部から成るプローブより構成されたマイクロアレイであって、該プローブは、該発現ベクターの配列のうち少なくとも該体細胞のゲノムに内在しない配列を網羅的に検出し得るものである、マイクロアレイ。
[9]前記プローブが、発現ベクター中の、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列の一部から成る、[8]に記載のマイクロアレイ。
[10][8]または[9]に記載のマイクロアレイを含む、前記発現ベクターを用いて誘導された人工多能性幹細胞を選別するためのキット。
[11]前記マイクロアレイを、人工多能性幹細胞を選別するために使用することができる、または使用すべきであることを記載した添付文書をさらに含む、[10]に記載のキット。
[12][2]〜[7]のいずれかに記載の方法で選別された人工多能性幹細胞。
[1]人工多能性幹細胞を調べる方法であって、体細胞から樹立された人工多能性幹細胞内の核酸が、該体細胞のゲノムに内在する配列以外に多能性幹細胞を誘導するために用いた発現ベクターの配列を含有しているか否かを網羅的に検出する工程を含む、方法。
[2]該検出工程において、該発現ベクターの配列が検出されない人工多能性幹細胞を選択する工程をさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]前記検出工程が、該発現ベクターの配列の一部を含むプローブより構成されたマイクロアレイを用いて行われる、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記マイクロアレイが、タイリングアレイである、[3]に記載の方法。
[5]前記プローブが、該発現ベクター中の、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列の一部から成る、[3]に記載の方法。
[6]前記核酸が、人工多能性幹細胞の染色体DNAである、[1]または[2]に記載の方法。
[7]前記発現ベクターが、プラスミドである、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]体細胞から人工多能性幹細胞を誘導するために用いられる発現ベクターの配列の一部から成るプローブより構成されたマイクロアレイであって、該プローブは、該発現ベクターの配列のうち少なくとも該体細胞のゲノムに内在しない配列を網羅的に検出し得るものである、マイクロアレイ。
[9]前記プローブが、発現ベクター中の、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列の一部から成る、[8]に記載のマイクロアレイ。
[10][8]または[9]に記載のマイクロアレイを含む、前記発現ベクターを用いて誘導された人工多能性幹細胞を選別するためのキット。
[11]前記マイクロアレイを、人工多能性幹細胞を選別するために使用することができる、または使用すべきであることを記載した添付文書をさらに含む、[10]に記載のキット。
[12][2]〜[7]のいずれかに記載の方法で選別された人工多能性幹細胞。
本発明を用いることで、細胞内に誘導に用いた発現ベクターが部分的にも組み込まれていない安全性の高いiPS細胞を選択することができる。このことより、iPS細胞の再生医療への応用において極めて有用である。
発明の詳細な説明
本発明は、人工多能性幹細胞内の核酸において、該人工多能性幹細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列を網羅的に検出する工程、および染色体内で該発現ベクターの配列が検出されない人工多能性幹細胞を選択する工程を含む、iPS細胞を選別する方法を提供する。
各工程ならびに本発明の方法に用いるキットの詳細を以下に示す。
I. iPS細胞の製造
iPS 細胞は、ある特定の核初期化物質を、核酸又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126: 663-676; K. Takahashi et al. (2007) Cell, 131: 861-872; J. Yu et al. (2007) Science, 318: 1917-1920; M. Nakagawa et al. (2008) Nat. Biotechnol., 26: 101-106; 国際公開WO 2007/069666)。本発明においては、少なくとも1つの核初期化物質は、核酸の形態で体細胞に導入することによって得られたiPS細胞である。
iPS 細胞は、ある特定の核初期化物質を、核酸又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126: 663-676; K. Takahashi et al. (2007) Cell, 131: 861-872; J. Yu et al. (2007) Science, 318: 1917-1920; M. Nakagawa et al. (2008) Nat. Biotechnol., 26: 101-106; 国際公開WO 2007/069666)。本発明においては、少なくとも1つの核初期化物質は、核酸の形態で体細胞に導入することによって得られたiPS細胞である。
核初期化物質は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子もしくはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、またはその遺伝子産物であれば良い。例えば、Oct3/4, Klf4, Klf1, Klf2, Klf5, Sox2, Sox1, Sox3, Sox15, Sox17, Sox18, c-Myc, L-Myc, N-Myc, TERT, SV40 Large T antigen, HPV16 E6, HPV16 E7, Bmil, Lin28, Lin28b, Nanog, EsrrbまたはEsrrgが例示される。これらの初期化物質は、iPS細胞樹立の際には、組み合わされて使用されてもよい。例えば、これらの初期化物質を、少なくとも1つ、2つもしくは3つ含む組み合わせが使用され得、好ましくは4つを含む組み合わせが使用され得る。
上記核初期化物質のマウスおよびヒトcDNAのヌクレオチド配列情報は、WO 2007/069666に記載のNCBI accession numbersを参照することにより取得できる。またL-Myc、Lin28、Lin28b、EsrrbおよびEsrrgのマウスおよびヒトのcDNA配列情報については、下記NCBI accession numbersを参照することにより取得できる。当業者は、当該cDNA配列またはアミノ酸配列情報に基づいて、常法により所望の核初期化物質を調製することができる。
遺伝子名 マウス ヒト
L-Myc NM_008506 NM_001033081
Lin28 NM_145833 NM_024674
Lin28b NM_001031772 NM_001004317
Esrrb NM_011934 NM_004452
Esrrg NM_011935 NM_001438
遺伝子名 マウス ヒト
L-Myc NM_008506 NM_001033081
Lin28 NM_145833 NM_024674
Lin28b NM_001031772 NM_001004317
Esrrb NM_011934 NM_004452
Esrrg NM_011935 NM_001438
これらの核初期化物質を、核酸の形態で体細胞へ導入する場合、発現ベクターを用いてもよい。本発明における、発現ベクターは、例えば、プラスミド、人工染色体ベクター、およびウイルスベクターが挙げられる。人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。また、ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(Proc. Jpn. Acad. Ser. B. Phys. Biol. Sci. 85, 348-62, 2009)などが例示される。また、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008およびWO 2009/032456)。本発明において発現ベクターは、プラスミド、人工染色体ベクターなどは、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクション、遺伝子銃法などの手法により体細胞内へ導入することができ、ウイルスベクターの場合は、感染により体細胞内へ導入することができる。発現ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、内部リボソーム進入部位(IRES)、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができる。
使用されるプロモーターとしては、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、MoMuLV LTR、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが挙げられる。
発現ベクターは、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などをさらに含むことができる。また、発現ベクターには、体細胞への導入後、核初期化物質をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する核初期化物質をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。別の好ましい一実施態様においては、トランスポゾンを用いて染色体に導入遺伝子を組み込んだ後に、プラスミドベクターもしくはアデノウイルスベクターを用いて細胞に転移酵素を作用させ、導入遺伝子を完全に染色体から除去する方法が用いられ得る。好ましいトランスポゾンとしては、例えば、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBac等が挙げられる(Kaji, K. et al., Nature, 458: 771-775 (2009)、Woltjen et al., Nature, 458: 766-770 (2009) 、WO 2010/012077)。またベクターは、染色体への組み込みがなくとも複製されて、エピソーマルに存在するように、リンパ指向性ヘルペスウイルス(lymphotrophic herpes virus)、BKウイルスおよび牛乳頭腫(Bovine papillomavirus)の起点とその複製に係る配列を含んでいてもよい。例えば、EBNA-1およびoriPもしくはLarge TおよびSV40ori配列を含むことができる(WO 2009/115295、WO 2009/157201およびWO 2009/149233)。また、複数の核初期化物質を同時に導入するために、ポリシストロニックに発現させる発現ベクターを用いてもよい。ポリシストロニックに発現させるためには、遺伝子をコードする配列は、IRESまたは口蹄病ウイルス(FMDV)2Aコード領域により結合されていてもよい(Science, 322:949-953, 2008; WO 2009/092042および2009/152529)。
一部の核初期化物質をタンパク質の形態で導入する場合、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチドとの結合、マイクロインジェクションなどによって体細胞内に導入してもよい。
核初期化に際して、iPS細胞の誘導効率を高めるために、上記の因子の他に、例えば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸 (VPA)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(登録商標) (Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば5’-azacytidine)[Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008)]、G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤[例えば、BIX-01294 (Cell Stem Cell, 2: 525-528 (2008)]等の低分子阻害剤、G9aに対するsiRNAおよびshRNA(例、G9a siRNA(human) (Santa Cruz Biotechnology)等)等の核酸性発現阻害剤など]、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644) (Cell Stem Cell, 3, 568-574 (2008))、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)(Cell Stem Cell, 3, 475-479 (2008))、Wnt signaling activator(例えばsoluble Wnt3a)(Cell Stem Cell, 3, 132-135 (2008)]、LIFまたはbFGFなどのサイトカイン、ALK5阻害剤(例えば、SB431542)[Nat Methods, 6: 805-8 (2009)]、mitogen-activated protein kinase signalling阻害剤、glycogen synthase kinase-3阻害剤[PloS Biology, 6(10), 2237-2247 (2008)]、miR-291-3p、miR-294、miR-295などのmiRNA [R.L. Judson et al., Nat. Biotechnol., 27:459-461 (2009)]、等を使用することができる。
iPS細胞誘導のための培養培地としては、例えば(1) 10〜15% FBSを含有するDMEM、DMEM/F12又はDME培地(これらの培地にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、puromycin、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを含むことができる)、(2) bFGF又はSCFを含有するES細胞培養用培地、例えばマウスES細胞培養用培地(例えばTX-WES培地、トロンボX社)又は霊長類ES細胞培養用培地[例えば霊長類(ヒト&サル)ES細胞用培地、リプロセル、京都、日本]、などが含まれる。このとき、iPS細胞の誘導効率を高めるために、低タンパク質培地もしくは細胞周期停止剤含有培地を用いても良い(WO 2010/004989)。
一培養法においては、例えば、10% FBS含有DMEM又はDMEM/F12培地上で体細胞と核初期化物質 (核酸又はタンパク質) を接触させ、約4〜約7日間、37℃、5% CO2存在下にて培養し、その後、細胞をフィーダー細胞 (例えば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等) 上にまきなおし、体細胞と核初期化物質の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培地で再び培養し、それにより該接触から約30〜約45日又はそれ以上ののちにiPS様コロニーを生じさせることができる。また、iPS細胞の誘導効率を高めるために、5-10%と低い酸素濃度の条件下で体細胞を培養してもよい(WO 2010/013845)。
あるいは、フィーダー細胞 (例えば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等) 上で10% FBS含有DMEM培地(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを含むことができる)で細胞を培養してもよく、それにより約25〜約30日又はそれ以上の後にES様コロニーを生じさせることができる。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培地と培地交換を行う。また、核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
マーカー遺伝子として薬剤耐性遺伝子を含む遺伝子を用いた場合は、対応する薬剤を含む培地(選択培地)で培養を行うことによりマーカー遺伝子発現細胞を選択することができる。またマーカー遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合は蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、また発色酵素遺伝子の場合は発色基質を加えることによって、マーカー遺伝子発現細胞を検出することができる。
本発明において使用する「体細胞」としては、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、サル、ブタ、ラット等)由来の生殖細胞以外のいかなる細胞も用いることができる。例えば、角質化する上皮細胞(例、角質化表皮細胞)、粘膜上皮細胞(例、舌表層の上皮細胞)、外分泌腺上皮細胞(例、乳腺細胞)、ホルモン分泌細胞(例、副腎髄質細胞)、代謝・貯蔵用の細胞(例、肝細胞)、境界面を構成する内腔上皮細胞(例、I型肺胞細胞)、内鎖管の内腔上皮細胞(例、血管内皮細胞)、運搬能をもつ繊毛のある細胞(例、気道上皮細胞)、細胞外マトリックス分泌用細胞(例、線維芽細胞)、収縮性細胞(例、平滑筋細胞)、血液と免疫系の細胞(例、Tリンパ球)、感覚に関する細胞(例、桿細胞)、自律神経系ニューロン(例、コリン作動性ニューロン)、感覚器と末梢ニューロンの支持細胞(例、随伴細胞)、中枢神経系のニューロンとグリア細胞(例、星状グリア細胞)、色素細胞(例、網膜色素上皮細胞)、およびそれらの前駆細胞 (組織前駆細胞) 等が挙げられる。細胞の分化の程度や細胞を採取する動物の齢などに特に制限はなく、未分化な前駆細胞 (体性幹細胞も含む) であっても、最終分化した成熟細胞であっても、同様に本発明における体細胞の起源として使用することができる。ここで未分化な前駆細胞としては、例えば神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)が挙げられる。
本発明において、体細胞を採取する由来となる哺乳動物個体は特に制限されないが、好ましくはヒトである。
II. 染色体における発現ベクターの配列の網羅的検出方法
本発明においては、網羅的な検出とは、全てを残らず検出することである。詳細には、発現ベクターの所望する部分の配列において、25塩基配列以下の間隔で検出することを意味し、好ましくは隙間なく発現ベクターの所望する部分の全配列を検出することを意味する。
本発明においては、網羅的な検出とは、全てを残らず検出することである。詳細には、発現ベクターの所望する部分の配列において、25塩基配列以下の間隔で検出することを意味し、好ましくは隙間なく発現ベクターの所望する部分の全配列を検出することを意味する。
前述の方法で製造されたiPS細胞内の核酸において、該iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列を網羅的に検出するための核酸含有試料としては、例えば、該iPS細胞を溶解して得られた細胞溶解液を用いることができる。細胞を溶解する方法としては、特に限定されないが、例えば、フェノール/クロロホルムなどの有機溶剤、アルカリ溶液、ヨウ化ナトリウム、尿素、SDS等の従来公知のタンパク質変性剤を含む溶液を用いて細胞膜を溶解させる方法や超音波などを用いて機械的に細胞膜を破砕する方法が挙げられる。得られた細胞溶解液は、細胞内ヌクレアーゼを不活性化しておくことが望ましい。また、試料は、ハイブリダイズを阻害しない限り、他の物質が含有されていてもよい。好ましくは、細胞溶解液からDNAを精製し、水もしくは適当な緩衝液(例、TE緩衝液等)に溶解させたDNA溶液が望ましい。より好ましくは、iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの染色体への組み込みを検出するために、細胞溶解液から染色体DNAのみを抽出し、水もしくは適当な緩衝液(例、TE緩衝液等)に溶解させた染色体DNA溶液が望ましい。
細胞内の発現ベクターの配列を網羅的に検出するための方法としては、サザンブロッティング法、PCR法、リアルタイムPCR法、及びマイクロアレイ法などが例示される。好ましくは、マイクロアレイ法であり、より好ましくは、タイリングアレイ法である。
本発明において、タイリングアレイ法は、iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列情報に基づき、タイル状に(通常には、等間隔に)抽出した塩基配列を有する検出用プローブを基板上に固定したDNAマイクロアレイ(DNAチップ)を用いる。
本発明において、タイリングアレイの構成は、体細胞からiPS細胞を誘導に用いた発現ベクターの全配列のうち、少なくとも該体細胞のゲノムに内在しない配列を対象にして設計されたプローブを、プローブ間のギャップが平均で25塩基以下、又は、プローブ間のオーバーラップが平均でプローブ長の99%以下となるように設計する他は、通常のものでよい。プローブ間のオーバーラップがより長い方が、より細かく発現ベクターの配列を確認することができる。プローブ間でオーバーラップしない塩基が1塩基の場合、誘導に用いた発現ベクターの配列を1塩基単位で検出することができる。
本発明において、発現ベクターの配列のうち、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列は、典型的には、初期化物質もしくはその一部をコードしない配列(以下、バックボーン配列ともいう。)である。例えば、プロモーター、エンハンサー、IRES、ターミネーター、ポリアデニル化サイト、LoxP配列、EBNA-1およびoriPまたはLarge TおよびSV40ori配列などの複製起点配列とその複製に係る配列、2A配列、発現ベクターを大腸菌等で増殖させるための複製起点配列とその複製に係る配列、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列、ウイルスベクターにおける、ウイルスの構造タンパク、プロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ、エンベロープ、およびエンハンサー、プロモーター、ポリアデニレーションシグナルなどのエレメントが含まれるLTRなど、もしくはこれらの機能的配列を結合するための無意味な配列(スペーサー)が挙げられる。但し、発現ベクターのプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、ポリアデニル化サイト等が、もとの体細胞に内在する配列を含む場合はこの限りではない。
プローブの長さは、ハイブリダイズ後のシグナル検出の効率などを考慮して選択することができる。通常には、20〜100塩基、好ましくは、40〜80塩基、より好ましくは約60塩基である。
プローブをプローブ間にギャップをおいて設計する場合には、プローブ間のギャップは平均で25塩基以下、好ましくは10塩基以下、さらに好ましくは0塩基である。プローブがオーバーラップするように設計する場合には、プローブ間のオーバーラップは、例えば平均でプローブ長の10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下、95%以下、または99%以下である。例えば、プローブ長が60塩基の場合は、オーバーラップは、5塩基、10塩基、20塩基等であり、より好ましくは、59塩基である。ギャップおよびオーバーラップはなくてもよく、この場合は、ギャップが0塩基であるか、又は、オーバーラップが0%である。
プローブは、通常の遺伝子発現解析において使用され得るハイブリダイゼーション条件の下で、iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列(センス鎖配列でもアンチセンス鎖配列でもよい。)とハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸であれば、特に制限されない。好ましくは、該プローブは、iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列を含む核酸である。「ストリンジェントな条件」とは、目的とする核酸配列に対して完全相補的な塩基配列と95%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列のみがハイブリダイズし得る条件を意味する。当業者は、ハイブリダイゼーション溶液の塩濃度、ハイブリダゼーション反応の温度、プローブ濃度、プローブの長さ、ミスマッチの数、ハイブリダイゼーション反応の時間、洗浄液の塩濃度、洗浄の温度等を適宜変更することにより、所望のストリンジェンシーを得るために、条件を容易に調節することができる。
これらのプローブは、市販のDNA/RNA自動合成機等を用いて化学的に合成することによっても得ることができる。また、シリコンやガラス等の固相上でプローブを直接in situ(on chip)合成することにより、プローブが固相化されたチップ(アレイ)を作製することもできる。
これらのプローブは、乾燥した状態もしくはアルコール沈澱の状態で、固体として提供することもできるし、水もしくは適当な緩衝液(例、TE緩衝液等)中に溶解した状態で提供することもできる。標識プローブとして用いられる場合、プローブは予め下記のいずれかの標識物質で標識した状態で提供することもできるし、標識物質とそれぞれ別個に提供され、用時標識して用いることもできる。
標識物質としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔32P〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、カルボシアニン誘導体(例えば、Cy3、Cy5)、フルオレセイン、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、アロフィコシアニンなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、プローブと標識剤との結合にビオチン-(ストレプト)アビジンシステムを用いることもできる。一方、プローブを固相上に固定化する場合には、試料中の核酸を上記と同様の標識剤を用いて標識することができる。
本発明の好ましい実施態様においては、本発明のプローブは、基板上に固定化されてなるマイクロアレイの形態で提供される。
基板の材料の例としては、シリコンなどの半導体、ガラス、ダイヤモンドなどの無機物、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の高分子物質を主成分とするフィルムなどが挙げられる。また基板の形状としては、スライドガラス、マイクロウェルプレート、マイクロビーズ、繊維型などが挙げられるが、それらに制限されない。
基板上にプローブを固定化する方法の例としては、予め核酸にアミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入しておき、固相上にも該核酸と反応し得る官能基(例、アルデヒド基、アミノ基、SH基、ストレプトアビジンなど)を導入し、両官能基間の共有結合で固相と核酸を架橋したり、ポリアニオン性の核酸に対して、固相をポリカチオンコーティングして静電結合を利用して核酸を固定化するなどの方法が挙げられるが、これらに限定されない。マイクロアレイの調製法の例としては、フォトリソグラフィー法を用いて核酸プローブを基板(ガラス、シリコンなど)上で1ヌクレオチドずつ合成するAffymetrix方式と、マイクロスポッティング法、インクジェット法、バブルジェット(登録商標)法などを用いて、予め調製された核酸プローブを基板上にスポッティングするStanford方式とが挙げられる。30mer以上のプローブを用いる場合にはStanford方式、あるいは両者を組み合わせた手法が好ましい。
前記のプローブと試料を混合させ、試料中に含有されるDNAとプローブがハイブリダイズした量を検出することで、試料中にプローブの配列を有するDNA配列が存在していることを確認することができる。ハイブリダイズした量は、自体公知の方法で検出することができ、例えば、標識されたプローブもしくは試料中の核酸の標識物質の量により検出することができる。
上記の方法によりiPS細胞内の核酸において、該iPS細胞の誘導に用いた発現ベクターの配列を検出することで、発現ベクターが組み込まれていないiPS細胞の選別することができる。選別に際しては、誘導に用いた発現ベクターの全配列もしくは該配列のうち、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列(例、バックボーン配列)が検出されないiPS細胞を選別することが望まれる。
本発明において、検出されないとは、核酸の断片が含まれていないことが既知である任意の細胞(例えば、iPS細胞を作製するために用いられた体細胞またはiPS細胞が挙げられるがこれらに限定されない。)において検出される値と比べて、同等もしくは、それ以下である場合を意味する。
III. 誘導に用いた発現ベクターが染色体へ組み込まれていないiPS細胞の選別用キット
本発明に係るiPS細胞を選別するための発現ベクターの配列を網羅的に検出するためのキットは、上述した発現ベクターの配列の一部から成るプローブより構成されたマイクロアレイが含まれる。
本発明に係るiPS細胞を選別するための発現ベクターの配列を網羅的に検出するためのキットは、上述した発現ベクターの配列の一部から成るプローブより構成されたマイクロアレイが含まれる。
本発明のキットには、判別分析手段、例えば、判別分析の手順を記載した書面や説明書、判別分析の手順をコンピューターに実行させるためのプログラム、当該プログラムリスト、当該プログラムを記録した、コンピューターに読み取り可能な記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、光ディスク、CD-ROM、CD-R、及びCD-RWなど)、判別分析を実行する装置又はシステム(コンピューターなど)を含んでもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
細胞
Okita K, et al., Science 322, 949, 2008に記載の方法で作成したiPS細胞(440A-1および440A-3)を用いた。簡潔には、Nanogのプロモーターで制御されたGFPを導入したレポーターマウス由来の線維芽細胞に、pCX-OKS-2A(8495 bp)およびpCX-cMyc(6131 bp)(図1)を1日おきに4回導入し、該GFPの発現を確認することで得られたiPS細胞である。ここで、440A-1はプラスミドが染色体に組み込まれているが、440A-3は組み込まれていないことが既に確認されている。
Okita K, et al., Science 322, 949, 2008に記載の方法で作成したiPS細胞(440A-1および440A-3)を用いた。簡潔には、Nanogのプロモーターで制御されたGFPを導入したレポーターマウス由来の線維芽細胞に、pCX-OKS-2A(8495 bp)およびpCX-cMyc(6131 bp)(図1)を1日おきに4回導入し、該GFPの発現を確認することで得られたiPS細胞である。ここで、440A-1はプラスミドが染色体に組み込まれているが、440A-3は組み込まれていないことが既に確認されている。
Tiling array
MEF(mouse embryonic fibroblast)、440A-3および440A-1から定法に従って、genomic DNAを抽出した。(1)MEFのgenomic DNA溶液(1.5 μg:約2.8x105個の細胞のgenomic DNAに相当)、(2)440A-3のgenomic DNA溶液(1.5 μg)、(3)440A-1のgenomic DNA溶液(1.5 μg)および(4)440A-3のgenomic DNA溶液(1.5 μg)へpCX-OKS-2AおよびpCX-cMycを1細胞あたり各1コピー分(pCX-OKS-2A:2.5 pg:約2.8x105コピーに相当、pCX-cMyc:1.8 pg:約2.8x105コピーに相当)加えた溶液の4種について、バックボーンとなるプラスミド部分pCX(図1A)、さらにpCX-OKS-2AおよびpCX-cMycの遺伝子領域のDNA配列(図1Bおよび1C)を60bpの長さで、1塩基ずつずらした配列から作製されたプローブ(pCXバックボーン(図1A部位):4736 個、OKS-2A(図1B部位):3759 個、c-Myc(図1C部位):1395 個)のスタンフォード型マイクロアレイを用いて、DNA溶液中に含まれる各プローブ配列の含有量を測定した。(1)から(4)までのDNAに含有される図1のAからCまでの領域における各プローブの相対含有値を図2に示した。
MEF(mouse embryonic fibroblast)、440A-3および440A-1から定法に従って、genomic DNAを抽出した。(1)MEFのgenomic DNA溶液(1.5 μg:約2.8x105個の細胞のgenomic DNAに相当)、(2)440A-3のgenomic DNA溶液(1.5 μg)、(3)440A-1のgenomic DNA溶液(1.5 μg)および(4)440A-3のgenomic DNA溶液(1.5 μg)へpCX-OKS-2AおよびpCX-cMycを1細胞あたり各1コピー分(pCX-OKS-2A:2.5 pg:約2.8x105コピーに相当、pCX-cMyc:1.8 pg:約2.8x105コピーに相当)加えた溶液の4種について、バックボーンとなるプラスミド部分pCX(図1A)、さらにpCX-OKS-2AおよびpCX-cMycの遺伝子領域のDNA配列(図1Bおよび1C)を60bpの長さで、1塩基ずつずらした配列から作製されたプローブ(pCXバックボーン(図1A部位):4736 個、OKS-2A(図1B部位):3759 個、c-Myc(図1C部位):1395 個)のスタンフォード型マイクロアレイを用いて、DNA溶液中に含まれる各プローブ配列の含有量を測定した。(1)から(4)までのDNAに含有される図1のAからCまでの領域における各プローブの相対含有値を図2に示した。
その結果、(3)および(4)には、2A、rabbit-β-globin pA配列、SV40 ori配列、pUC ori配列、Ampicilliin耐性遺伝子配列およびCMV IEエンハンサー配列が、含有されていることが確認された。また、(3)では、Oct3/4, Sox2, Klf4及びc-Mycの遺伝子配列が含有されていることが確認された。
以上より、Tiling arrayを用いることで、iPS細胞の樹立に用いたプラスミドの配列のうち少なくともその細胞のゲノムに内在する遺伝子配列以外の部分は、iPS細胞の樹立過程でその断片が部分的に染色体に組み込まれていたとしても1コピーから検出できることが示された。
本出願は、2010年3月10日付で出願された米国仮特許出願第61/312,536号を基礎としており、ここで言及することにより、その内容は本明細書に包含される。
Claims (12)
- 人工多能性幹細胞を調べる方法であって、体細胞から樹立された人工多能性幹細胞内の核酸が、該体細胞のゲノムに内在する配列以外に多能性幹細胞を誘導するために用いた発現ベクターの配列を含有しているか否かを網羅的に検出する工程を含む、方法。
- 該検出工程において、該発現ベクターの配列が検出されない人工多能性幹細胞を選択する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記検出工程が、該発現ベクターの配列の一部を含むプローブより構成されたマイクロアレイを用いて行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記マイクロアレイが、タイリングアレイである、請求項3に記載の方法。
- 前記プローブが、該発現ベクター中の、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列の一部から成る、請求項3に記載の方法。
- 前記核酸が、人工多能性幹細胞の染色体DNAである、請求項1または2に記載の方法。
- 前記発現ベクターが、プラスミドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 体細胞から人工多能性幹細胞を誘導するために用いられる発現ベクターの配列の一部から成るプローブより構成されたマイクロアレイであって、該プローブは、該発現ベクターの配列のうち少なくとも該体細胞のゲノムに内在しない配列を網羅的に検出し得るものである、マイクロアレイ。
- 前記プローブが、発現ベクター中の、もとの体細胞のゲノムに内在しない配列の一部から成る、請求項8に記載のマイクロアレイ。
- 請求項8または9に記載のマイクロアレイを含む、前記発現ベクターを用いて誘導された人工多能性幹細胞を選別するためのキット。
- 前記マイクロアレイを、人工多能性幹細胞を選別するために使用することができる、または使用すべきであることを記載した添付文書をさらに含む、請求項10に記載のキット。
- 請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法で選別された人工多能性幹細胞。
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