本発明の磁気テープ駆動装置は、磁気テープに信号を記録再生可能な磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドに対する前記磁気テープの幅方向の位置を規制する磁気テープガイドとを備え、前記磁気テープガイドは、前記磁気テープの幅方向の一方のエッジに当接する第1規制部と、前記磁気テープの幅方向の他方のエッジに当接する第2規制部と、電気信号に応じて前記第1規制部の位置を前記磁気テープの幅方向に変動させて、前記第1規制部と前記第2規制部との間隔を所望の値に設定する可動手段とを備えている。
上記本発明の磁気テープ駆動装置は、磁気ヘッドに対する磁気テープの幅方向の位置を規制する磁気テープガイドの第1規制部と第2規制部との間隔を、可動手段により電気信号に応じて変更することができるため、磁気テープのテープ幅が変動しても第1規制部と第2規制部によって磁気テープの幅方向の位置を規制することができる。このため、磁気テープの走行時にテープが幅方向に振動する磁気テープの暴れを低減することができ、磁気ヘッドを磁気テープの幅方向の所定の位置に正しく当接させることができる。
上記本発明の磁気テープ駆動装置において、前記第1規制部と前記磁気テープとの接触により生じる前記第1規制部の振動を検出して、前記第1規制部と前記第2規制部との間隔を設定することが好ましい。磁気テープと磁気テープガイドの第1規制部が当接して生じる振動によって、磁気テープと第1規制部との当接状態が検出できるので、上記構成とすることで、磁気テープのテープ幅の変動に磁気テープガイドを精度よく追従させて規制することができる。
また、前記可変手段がピエゾ素子を用いた変位手段であることが好ましい。ピエゾ素子を用いることで、第1規制部の位置を電気的信号によって高速に、かつ、精度よく変動させることができ、第1規制部を磁気テープのエッジに当接させることができる。
さらに、前記変位手段のピエゾ素子によって前記第1規制部の振動を検出する構成とすることができる。
また、前記磁気ヘッドによって、前記磁気テープにサーボ信号を記録することが好ましい。このようにすることで、サーボ方式に求められる高い位置精度でのサーボ信号の磁気テープへの記録を実現することができる。
以下、本発明の磁気テープ駆動装置について、図面を参照して説明する。
なお、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の磁気テープ駆動装置について、本発明を説明するために必要な部分を中心として簡略化して示したものである。従って、本発明にかかる磁気テープ駆動装置は、参照する各図に示されていない任意の構成を備えることができる。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率を必ずしも忠実に表したものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施形態として、磁気テープ駆動装置が適用されたサーボライタの主たる構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態で示す磁気テープ駆動装置画適用されたサーボライタ100は、AC消去ヘッド1、第1のパルス発生部2、磁気ヘッドであるサーボ信号記録ヘッド3、第2のパルス発生部4、制御部5、テープ駆動部6、第1のリール7、第2のリール8、磁気テープガイド9、ガイドローラ10を備えている。
AC消去ヘッド1は、第1のパルス発生部2で発生するパルスに基づいて動作し、磁気テープ11の磁性層をAC消去する。第1のパルス発生部2は、制御部5からの制御により、AC消去ヘッド1を動作させるためのパルスを発生する。第1のパルス発生部2で発生するパルスは、任意に設定される所定のデューティ比を有している。なお、本実施の形態で示すサーボライタ100は、磁気テープ11にサーボ信号を記録する前に、所定のデューティ比の所定方向の磁界が残るように磁気テープをAC消去して、これとは逆方向の極性を有するサーボ信号を記録することによってサーボ信号の再生出力を向上させるものである。このため、サーボライタ100は、図1に示したように、AC消去ヘッド1を備えたものである。しかし、本発明の磁気テープ駆動装置が適用されるサーボライタ100は、図1に示した構成のものに限られず、サーボライタとしてAC消去ヘッドは、必須のものではない。
サーボ信号記録ヘッド3は、第2のパルス発生部4で発生するパルスに基づいて動作し、磁気テープ11のサーボバンドにサーボ信号を磁気的に記録する。第2のパルス発生部4は、制御部5からの制御により、サーボ信号記録ヘッド3においてサーボ信号の記録動作を行うためのパルスを発生する。
制御部5は、第1のパルス発生部2、第2のパルス発生部4、および、テープ駆動部6それぞれの動作を制御する。具体的には、磁気テープ11にサーボ信号を書き込む際、第1のパルス発生部2に対して磁気テープ11に記録されている情報をAC消去する命令を出力し、第2のパルス発生部4に対してサーボ信号を記録する命令を出力し、テープ駆動部6に対して第2のリール8を回転駆動する命令を出力する。
テープ駆動部6は、制御部5からの制御信号に基づいて、第2のリール8を回転駆動する。第2のリール8を回転駆動することにより、磁気テープ11を図1中に矢印12として示す方向へ走行させることができる。
第1のリール7、および、第2のリール8は、それぞれ磁気テープ11の一端側と他端側が巻回されている。テープ駆動部6によって第2のリール8が回転駆動されることにより、第1のリール7から送り出された磁気テープ11は第2のリール8に巻回される。
磁気テープガイド9は、サーボ信号記録ヘッド3に対して、磁気テープ11の走行方向12における両側、すなわち、テープ入側およびテープ出側の双方に配置されている。なお、磁気テープガイド9の詳細に構成については、図2および図3を用いて後に詳述する。
ガイドローラ10は、一例としてAC消去ヘッド1およびサーボ信号記録ヘッド3のそれぞれのテープ入側および出側に回転自在に配されている。ガイドローラ10は、磁気テープ11が各ヘッドの摺動面上を走行するように、磁気テープ11の位置を規制している。本実施形態の磁気テープ駆動装置は、サーボ信号記録ヘッド3に摺接する位置における、磁気テープ11のテープ幅方向のより精密な位置規制を磁気テープガイド9で行う構成であるため、ガイドローラ10では、磁気テープ11の幅方向においては比較的粗い位置規制を行うようになっている。
図1に例示した本実施形態にかかるサーボライタ100における、磁気テープ11にサーボ信号を記録する際の手順を説明する。
まず、磁気テープ11を矢印12に示す方向へ走行させる。第1のリール7から引き出された磁気テープ11は、AC消去ヘッド1により、磁性層がAC消去される。具体的には、AC消去ヘッド1は、第1のパルス発生部2で発生する所定デューティ比のパルスに基づいて動作を行い、磁気テープ11の磁性層を所定の磁化方向に磁化する。
次に、AC消去ヘッド1によりAC消去された磁気テープ11は、サーボ信号記録ヘッド3により、所定のサーボバンドにサーボ信号が記録される。サーボ信号記録ヘッド3は、磁気テープ11におけるサーボバンドを、AC消去ヘッド1のデューティ比が大きい方の磁化方向に対して逆方向の磁化力で磁化して、サーボ信号を記録する。サーボ信号が記録された磁気テープ11は、巻き取りリール8に巻き取られる。
なお、上述したように、本実施形態で図1に例示したサーボライタ100は、サーボ信号を記録する前に、サーボ信号の磁化方向と逆方向の磁化力で消磁するものであるが、AC消去ヘッド1を備えないサーボライタの場合には、ACヘッドによるAC消去動作は行われない。なお、ACヘッドを用いてデューティ比が50:50の磁界により残留磁界を0とした後、サーボ信号を記録してもよい。
図2は、本実施形態にかかる磁気テープ駆動装置における、磁気ヘッドであるサーボ信号記録ヘッド3および磁気テープガイド9と、磁気テープ11との位置関係を説明する図である。
図2は、磁気テープ11の磁気記録面に対して垂直な方向から見た状態を示している。また、図2では、磁気テープガイド9の位置として磁気テープ11が存在していない状態を示していることから、図2において磁気テープ11は、相対的な位置を示す仮想のものであるとして点線で表示している。
図2に示すように、本実施形態の磁気テープ駆動装置の磁気テープガイド9は、磁気テープ11の幅方向の一方のエッジ11aに当接するように配置された第1規制部9cと、磁気テープ11の幅方向の他方のエッジ11bに当接するように配置された、2つの第2規制部9a、9bとを有している。そして、2つの第2規制部9a、9bの内の一方の第2規制部9aが、サーボ信号記録ヘッド3に対する磁気テープ11の走行方向12においてテープ入側に配置され、第1規制部9cともう一つの第2規制部9bとが、サーボ信号記録ヘッド3に対する磁気テープ11の走行方向12においてテープ出側に配置されている。
本実施形態の磁気テープ駆動装置において、2つの第2規制部9a、9bは、いずれも磁気テープ駆動装置の主面上の所定位置に固定されている。したがって、第2規制部9aおよび9bの、第1規制部9cと対向する側の面が、磁気テープ11の他方のエッジ11bの位置を規制する。これに対し、第1規制部9cは、詳細は後述する可動手段であるピエゾアクチュエーターによって、入力される電気信号に応じてその位置が変化するようになっていて、第1規制部9cの第2規制部9a、9bと対向する側の面が、磁気テープ11の一方のエッジ11aの位置を規制する。すなわち、本実施形態の磁気テープ駆動装置では、第1規制部9cが磁気テープ11の幅方向、図2における上下方向に移動することで、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの互いに対向する面が、磁気テープ11の両側のエッジ11aおよび11bを外側から挟むように当接して、磁気テープ11の幅方向の位置を規制する。
なお、図2は、ピエゾアクチュエーターに電圧が印加されておらず、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔が最も狭くなっている状態を示している。上記のように、本実施形態の磁気テープ駆動装置では、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとで磁気テープの両端のエッジを挟むようにして磁気テープの位置規制を行うため、図2に示す第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔が最も狭い状態では、その間隔が磁気テープ11のテープ幅が取り得る最小の値よりも小さくすることが好ましい。このため、本実施形態の磁気テープ駆動装置では、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を、磁気テープ幅の設計上の所定値に対してマージンxだけ小さくなるように設定している。本実施形態では、一例としてマージンxを20μmとしているが、このマージンxの値は、磁気テープの幅の変動範囲や、第1規制部と第2規制部との間隔を変化させる可動手段の仕様等によって、適宜最適に設計されるべき値である。
図3は、本実施形態のテープ駆動装置のテープガイドにおける、第1規制部の位置を変動させる可動手段の構成について説明するためのブロック図である。
なお、図3では、磁気テープ11の幅方向の両方のエッジに第1規制部9cと第2規制部9a、9bとが当接している状態を示している。また、図3は、磁気テープ11をテープの進行方向から見た状態を示している。
図3に示すように、第1規制部9cは、可動手段であるピエゾ素子、より具体的にはピエゾアクチュエーター13の可動端側先端の保持部14に固着されている。このため、ピエゾアクチュエーター13が、入力される電気信号によってその高さを変化させると、第1規制部9cの、図3における高さ方向の位置が変化して、磁気テープ駆動装置の表面に固定されている第2規制部9a、9bとの間隔が変化する。
ピエゾアクチュエーター13には、その高さ、すなわち、図3の上下方向における長さを変化させるための、電気信号である所定の電圧を印加するD/Aコンバータ15が接続されている。D/Aコンバータ15には、バス17を介して制御部であるCPU18が接続されている。CPU18は、ピエゾアクチュエーター13の高さを所定の値とすることで第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を所望の値とするように、所定電圧がピエゾアクチュエーター13に印加されるように、D/Aコンバータ15を制御する。
また、本実施形態のテープガイド9では、第1規制部9cの位置を変化させる可動手段として、ピエゾ素子としてのピエゾアクチュエーター13を用いていることを利用して、磁気テープ11のエッジ部と第1規制部9cとの接触状態を、第1規制部9cの振動としてピエゾアクチュエーター13によって検出できるようにしている。ピエゾアクチュエーター13は、所定の電圧が印加されることによりその長さを変化させることができるが、同時に、外部から力が加わってピエゾアクチュエーター13の長さ方向が変化すると、その変化が、ピエゾアクチュエーター13に加えられている電圧の変化として現れる。この性質を利用することで、ピエゾアクチュエーター13への印加電圧にノイズとして加わる電気信号のAC成分を検出し、その振幅の大小から、磁気テープ11と第1規制部9cとがどのくらい強く接触しているかを検出することができる。
磁気テープ11のテープ幅は、テープ長さ方向に対して一定ではないため、磁気テープ11が走行することにより、磁気テープ11のエッジと第1規制部9cとの当接状態が変化する。例えば、第1規制部9cと第2規制部9a、9bの設定間隔よりも磁気テープ幅が広い場合には、磁気テープが走行することでテープエッジが強く接触し、第1規制部9cが大きく振動する。これに対し、第1規制部9cと第2規制部9a、9bの設定間隔よりも磁気テープ幅が狭い場合には、磁気テープが走行してもテープエッジが第1規制部9cに接触しないため、第1規制部9cはほとんど振動しない。したがって、第1規制部9cの振動が所定の範囲に収まるように、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を変化させることで、磁気テープ11がテープガイド9にほどよく接触した状態を保つことができ、テープ幅方向の位置を正しく規制することができる。
本実施形態の磁気テープ駆動装置では、例えば、テープガイド9の第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を、磁気テープ11のテープ幅の設計値よりも10μm狭い状態となるように、D/Aコンバータ15から所定の電圧をピエゾアクチュエーター13に印加に印加してテープ走行を開始させる。この状態で、磁気テープ11が走行して接触することによる第1規制部9cの振動を、ピエゾアクチュエーター13に印加する電圧の変動として現れる電気信号としてA/Dコンバータ16で検知し、その振動状態をバス17を介してCPU18にフィードバックする。A/Dコンバータ16で検知された第1規制部9cの振動が、所定の範囲よりも大きい場合には、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔が実際の磁気テープ幅に対して狭いと判断して、CPU18は、バス17を介してD/Aコンバータ15からピエゾアクチュエーター13に印加されている電圧を大きくする。一方、A/Dコンバータ16で検知された第1規制部9cの振動が、所定の範囲よりも小さい場合には、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔が実際の磁気テープ幅に対して広いと判断して、CPU18は、バス17を介してD/Aコンバータ15からピエゾアクチュエーター13に印加されている電圧を小さくする。このように、本実施形態の磁気テープ駆動装置では、磁気テープの幅方向の位置を規制するテープガイド自身によって、磁気テープとテープガイドの接触状態を検出することができるので、例えば光学的な磁気テープ幅の検出手段を設けることなく、磁気テープの幅方向の位置規制を適切に行うことができる。
上記、本実施形態の磁気テープ駆動装置での磁気テープ幅のフィードバック方法において、磁気テープのスタード時における、テープガイド9の第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を磁気テープ11のテープ幅の設計値よりも10μm狭い状態となるようにしたが、これはあくまで一例に過ぎない。テープ走行開始時の第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔は、さまざまな値に設定することができるが、実際の磁気テープ幅に対して広過ぎる場合には、磁気テープ11の走行開始時にテープ幅方向の規制ができず、また、第1規制部9cが振動しないためにテープ幅方向の位置規制のフィードバックが遅れることになりあまり好ましくはない。このため、磁気テープ11の走行開始時には、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を実際に想定される磁気テープ11の幅と同じとするか、もしくは、それよりも若干狭い幅とすることが好ましい。この観点から、本実施形態では、上記のように、磁気テープのスタード時における、テープガイド9の第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔を磁気テープ11のテープ幅の設計値よりも10μm狭い状態となるようにした。
なお、磁気テープのテープ幅が最大限変化した場合でも、テープガイドによって磁気テープの幅方向の位置を規制するために、図2においてxとして示した第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔の磁気テープ幅の設計上の所定値に対するマージンの値は、磁気テープ11が最も狭くなってしまっても、第1規制部9cが磁気テープのエッジに当接できるような値として見込むことが好ましい。また、ピエゾアクチュエーター13の可動範囲は、第1規制部11cと第2規制部9a、9bとの間隔が、磁気テープ11の幅が最も広くなった場合よりも広い値となることができる範囲で設定することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の磁気テープ駆動装置においては、第1規制部の位置を変化させる可動手段としてピエゾ素子を用いることで、自己完結的に磁気テープの幅方向の位置を正確に規制することができる。
以下、本実施形態の磁気テープ駆動装置の効果について検証する。
テープガイドの効果を検証するに当たり、本明細書では、磁気テープの幅方向の変動の大小を示す指標として、PES(Position Error Signal)を用いる。PESは、本実施形態のテープ駆動装置を用いて実際にサーボ記録ヘッドから磁気テープにサーボ信号を記録した後、このサーボ信号をサーボ読み取りヘッドで読み取った際のトラッキング情報である。
本実施形態の磁気テープ駆動装置においては、磁気テープの長手方向に対して第1の方向に傾斜した第1のストライプ群と、第1の方向と反対方向である第2の方向に傾斜した第2のストライプ群と、第2のストライプ群に続いて形成された第3のストライプ群および第4のストライプ群とが、磁気テープの長手方向に繰り返して形成される。また、第1のストライプ群および第2のストライプ群は、それぞれ4本のストライプから構成され、第3のストライプ群および第4のストライプ群は、それぞれ5本のストライプから構成される。
第1のストライプ群21と第3のストライプ群とは、同一方向に同一角度傾斜し、第2のストライプ群22と第4のストライプ群とは、同一方向に同一角度傾斜している。このようなサーボストライプにおいて、PESは、ストライプの傾斜角をY(本実施の形態ではY=6°)、第1のサーボストライプ群におけるn番目(n=1〜4)のストライプと第2のサーボストライプ群におけるn番目(n=1〜4)のストライプとのテープ幅方向の中心における距離をAB(本実施の形態ではAB=50μm)、その時のストライプ間の距離をab、第1のサーボストライプ群21におけるn番目(n=1〜4)のストライプaと第3のサーボストライプ群におけるn番目(n=1〜4)のストライプcとの距離をacとした時、下記の数式1により算出することができる。
PES=(AB−(ab/ac)×100)/2tanY ・・・(数式1)
PESは、上記数式1に基づいて所定期間毎に算出され、サーボ方式によって、磁気ヘッドの磁気テープ幅方向の位置規制を行う磁気記録再生装置において、磁気テープの幅方向における磁気ヘッド位置を調整するための規制信号として利用される。
図4は、PESの値がどのくらいの度数として現れたかを示す度数分布であり、図5は、PESの値をボックスプロットした箱ひげ図である。
図4において実線で示し、図5において図中左側の箱ひげ図として示すAが、本実施形態のテープ駆動装置の実施例、すなわち、上記説明した本実施形態のテープガイドを備えたサーボライタによって磁気テープに記録された、サーボ信号におけるPESを示す。
また、図4において細実線で示し、図5において、図中右側の箱ひげ図として示すBが、比較例である。図4、および、図5における比較例Bは、サーボライタにおけるテープガイドが、一定の間隔で固定された状態で磁気テープの両側を規制して磁気テープに記録されたサーボ信号のPESの値を示す。ここでは、いわゆるパンケーキとしてリールに巻き取られた状態から、所定幅と所定の長さに切断された磁気テープのうち、リールの外側からの取り位置が9本目である磁気テープのテープ幅を基準のテープ幅として、磁気テープの位置規制部材の間隔が、9本目の磁気テープ幅となるように固定した状態で磁気テープの位置規制を行ってサーボ信号を記録した場合を比較例Bとして用いている。
図4に示すように、本実施形態の磁気テープ駆動装置を用いて記録されたサーボ信号のPES(太実線A)は、80から90の値を中心に平均して分布し、PESが100を超える度合いは少ない。
これに対し、取り位置9本目の磁気テープ幅で磁気テープの幅方向規制部を固定した比較例の磁気テープのPES(細実線B)は、比較的大きな値であるPES90に大きなピークがあるとともに、PESの値自体が広い範囲に分布し、PESが100以上となる度合いも実施例であるAよりも大きい。
実測した磁気テープでは、PESの許容範囲として値110を設定しているのに対し、本実施形態の磁気テープ駆動装置を用いてサーボ信号を記録した場合には、ほぼ全数が良好な範囲に入るのに対し、比較例Bの場合には、PESが110を越える不良部分が存在することがわかる。
また、図5に示すボックスプロットにおいても、本実施形態の磁気テープ駆動装置を用いてサーボ信号を記録したAでは、ボックス部分がPES90よりも小さい値にあるとともに、PESが100以上と大きな値のものは極めて少ない。これに対し、比較例のテープBでは、ボックス部分が90前後であり、PES100以上となる数が多く、その分布もより大きな値の方向に対して広がっている。
以上の測定結果からわかるように、本実施形態の磁気テープ駆動方法を用いることで、サーボ信号を磁気テープに、より正確に記録することができることがわかる。
図6は、上記、PESの値を測定した磁気テープの、長さ方向におけるテープ幅の分布を示す図である。
図6に示すように、PESの分布を測定した磁気テープは、テープ幅の最小が12.6529mm、テープ幅の最大が12.6559mmであり、最大幅と最小幅とで30μmの相違を有している。そして、取り位置が1本目から5本目ぐらいまでにおけるテープ幅の値は、12.654mmで比較的狭いが、取り位置が後ろになるにつれて(パンケーキの巻芯側となるにつれて)テープ幅が広がり、取り位置が10本目を越えると、テープ幅が12.655μm以上となっている。このように、取り位置が後ろになるほどテープ幅が広がっているのは、取り位置がより後ろ側、すなわち、パンケーキの状態でリールの内側に位置する磁気テープは、磁気テープをリールに巻き付けるために加えられる張力と、巻芯に対する圧力が大きくなることにより、テープに幅方向の延びが生じているためと考えられる。
次に、図7は、上記PESの値を比較検討した際の比較例Bにおける、磁気テープの取り位置によるPESの値の分布を示したものである。
上記したように、比較例Bのテープでは、テープの幅方向の位置を規制するガイドの幅を取り位置9本目のテープの幅を基準とした。このため、図7に示すように、9本目の取り位置のテープのPESは、他の取り位置のテープと比べて最も小さな値となっている。取り位置が9本目よりも前の場合には、取り位置がより前のものほどPESの値が大きく、取り位置が9本目に近づくほど、PESの値が小さくなっている。これは、図6に示したように、取り位置が9本目よりも前のものは、パンケーキ外側からの圧力が小さいため、取り位置が9本目のものよりもテープ幅が狭くなる。取り位置が9本目のテープ幅で固定した位置規制では、磁気テープを幅方向に十分に規制できず、磁気テープが幅方向に暴れたことが原因であると考えられる。一方、取り位置が9本目の磁気テープのPESを最小として、取り位置が10本目、11本目となるにつれて、再びPESの値が大きくなっている。これは、取り位置が9本目よりも後ろ側の磁気テープの幅は、パンケーキ外側からの圧力が大きいため、9本目の磁気テープより広いため、テープ幅方向の位置規制部材の間隔内にテープが収まりきれず、磁気テープが湾曲する等変形した状態でサーボ信号が記録されたことに起因するものと考えられる。
このように、磁気テープは、パンケーキとしてリールに巻かれている状態で、巻き取りのために加えられている張力やパンケーキ外側からの圧力などが原因で巻太りと呼ばれる幅方向の延びを有していて、長さ方向において一定の値とはなっていない。このため、サーボ信号を記録する際の磁気テープ駆動装置において、固定された規制幅を有するフランジ等を用いたテープ幅方向の位置規制を行った場合には、磁気テープ幅が所定幅よりも小さい場合と大きい場合のいずれの場合でも、PESの値が大きくなってしまう。したがって、テープ幅方向の規制を行う位置規制部の間隔を一定にする方法では、規制幅をどの値に設定しても、磁気テープの長さ方向における全ての部分に対して良好な位置規制を行うことは困難である。これに対し、第1規制部をテープ幅方向に変動させて、第2規制部との間隔を所定の値に設定できる本実施形態のテープ駆動装置では、磁気テープの幅が変化した場合でも、効果的に磁気テープの暴れを防止でき、正確に、かつ、より均一な位置にサーボ信号を記録することができる。このため本実施形態の磁気テープ駆動装置を用いたサーボライタによれば、磁気テープに記録されたサーボ信号から得られるPESの値を、より小さいレベルで、かつ、安定したものとすることができる。
なお、本実施形態の磁気テープ駆動装置においては、図2に示すように、テープガイド9が、1つの第1規制部9cと2つの第2規制部9a、9bとを備えた例を示した。このようにすることで、磁気テープがその長さ方向において湾曲している場合でも、磁気テープの幅方向の位置規制を良好に行うことができるからである。このことを、図8を用いて説明する。
図8は、磁気テープがその長さ方向において湾曲している場合に、図2で示した本実施形態のテープガイドによって、正確な位置規制が行えることを示すための模式図である。なお、図8は、本実施形態の磁気テープガイドにおけるテープ位置規制の効果をわかりやすく示すために、磁気テープの長さ方向における湾曲を誇張して示している。磁気テープは、そのエッジ部分が完全に直線状にならないだけではなく、長さ方向において湾曲する場合があるが、実際の湾曲の程度はごくわずかである。
図8において、図8(a)は、磁気テープ11が、図中上方に向かって凸となるように湾曲した状態を示す。また、図8(b)は、磁気テープが図中下方に向かって凸となるように湾曲した状態を示す。
図8(a)に示すように、磁気テープ11が上に凸となるように湾曲している場合には、第2規制部9aと9bの両外側部分に、図中下方側に示す磁気テープの他方のエッジ11bが接触する。このとき、図中上方に示す磁気テープの一方のエッジ11aには、第1規制部9cの左右方向の中央部分が接触する。この図8(a)の状態の場合に、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔が最大値W1となる。
これに対し、図8(b)に示すように、磁気テープ11が下に凸となるように湾曲している場合には、第2規制部9aと9bの両内側部分に磁気テープ11の他方のエッジ11bが接触する。磁気テープ11一方のエッジ11aには、第1規制部9cの左右方向両端部が接触する。この図8(b)の状態の場合に、第1規制部9cと第2規制部9a、9bとの間隔が最小値W2となる。
このように、磁気テープ11の幅が同じであった場合でも、磁気テープ11が長さ方向において湾曲している場合には、その湾曲方向によって、磁気テープ11の両端のエッジを良好に規制する位置規制部9の間隔が異なることがわかる。磁気テープ11の最大幅よりもテープガイド9の位置規制部の間隔を狭くすると、位置規制部に対して磁気テープ11のエッジが強く押しつけられることになり、磁気テープ11が幅方向に押圧されて表面の平坦性が崩れたり、エッジ部分の塗膜が剥がれて異物となったりする弊害が生じる。この弊害を避けるために、位置規制部9の間隔を最大幅W1に設定すると、磁気テープ11が図8(b)に示すように下に凸となるように湾曲した場合には、磁気テープ11と点線で示した第1規制部9c’との間に間隙が生じ、結果として磁気テープ11をその幅方向において位置規制することができなくなってしまう。
一方、本実施形態の磁気テープ駆動装置では、可動手段であるピエゾアクチュエーター13によって、第1規制部9cの位置が変動して、磁気テープ11が下に凸に湾曲している図8(b)に示している状態でも、実線として示すように第1規制部9cが磁気テープ11の一方のエッジ11aに当接することができるため、磁気テープ11の湾曲方向にかかわらず、磁気テープ11の幅方向の位置を規制することができる。
上記の考察の結果から明らかなように、1つの第1規制部と2つの第2規制部とを備えることにより、磁気テープがその長さ方向において湾曲している場合でも、良好に幅方向の位置を規制することができる。しかし、本発明の磁気テープ駆動装置において、第1規制部と第2規制部の数は図2に示したものに限られない。例えば、第1規制部と第2規制部とが1つずつであってもよく、2つずつであってもよい。また、第1規制部および第2規制部のいずれか、もしくは両方が、3つ以上の場合であってもよい。
また、第1規制部と第2規制部とが、磁気ヘッドに対してテープ入側に配置されるかテープ出側に配置されるかという、規制部と磁気ヘッドの位置関係についても特に制限はなく、磁気テープの幅方向の位置が所望の精度で十分規制された状態で、磁気ヘッドが磁気テープに摺接できる範囲で、適切な形態に設計することができる。
なお、本実施形態の磁気テープ駆動装置におけるテープガイドでは、第1規制部が可動であり第2規制部が固定されているものを示したが、第2規制部の少なくとも一つ以上が可動手段により可動となっていてもよい。特に、第1規制部および第2規制部の配置個数を多くする場合には、磁気テープの幅が変動することで、位置規制部が配置されている領域内でも磁気テープの幅が変化することがあり得るため、磁気ヘッドに対して、基準となる1つの規制部を除いた他の規制部を全て可動とすることにより、磁気テープに対して不要な外力を加えない状態で磁気テープの幅方向の位置を規制することができる。
また、上記実施形態においては、可動手段としてピエゾ素子を用いたものを例示した。可動手段にピエゾ素子を用いることで、正確、かつ、迅速に第1規制部の位置を変更することができるので好ましいが、可動手段はピエゾ素子に限られるものではない。例えば、VCM(Voice Coil Motor)など、印加される電流に応じて第1規制部の位置を瞬時に変えることができる部材を用いることができる。
なお、図3に示したように、本実施形態の磁気テープ駆動装置では、第1規制部の位置を変動させる可動手段としてピエゾ素子を用いることで、テープガイド自体で磁気テープの幅の変化を検出して自己完結的にフィードバックして最適な間隔となるテープガイドを形成することができた。しかし、磁気テープに接触することによる第1規制部の振動を検出する手段は、ピエゾ素子に限られず、通常の振動センサ等を用いても実現することができる。また、磁気テープの幅に対応させてテープガイドの規制部の間隔を追従させる方法としては、ピエゾ素子を用いて自己完結的にフィードバックさせる方法の他に、例えば、光学的、もしくは、機械的に磁気テープのエッジ位置を監視する等して磁気テープの長さ方向におけるテープ幅の値の変化を検出し、制御部で検出された磁気テープの実際の幅の値に応じて求められるべきテープガイドの規制部の間隔を算出・制御して、規制部の間隔が所定の値となるように制御する方法を採ることもできる。
また、上記実施形態では、本発明の磁気テープ駆動装置をサーボライタに用いた例を示した。サーボライタにおけるサーボパターンの記録時には、磁気テープの幅方向にたいするサーボ信号の記録位置を十分に規制することが極めて重要であるため、本発明の磁気テープ駆動装置を用いることが好ましいからである。しかし、本発明の磁気テープ駆動装置が奏することができる、磁気テープ幅方向の位置規制を良好に行うことができるという効果は、サーボライタ以外の各種磁気記録再生装置に用いることができ、磁気ヘッドによるデータの記録再生時において、磁気ヘッドと磁気テープとの幅方向の相対位置を良好に規制できるという効果を発揮することができる。なお、本発明の磁気テープ駆動装置において、磁気テープに信号を記録再生可能な磁気ヘッドとは、磁気テープにデータを記録するだけの磁気ヘッド、磁気テープからデータを再生するだけのヘッド、磁気テープにデータを記録し、かつ、磁気テープのデータを再生することができるヘッド、のいずれのヘッドをも含むものである。