JP2013215678A - 逆浸透膜の阻止率向上剤、阻止率向上方法、および逆浸透膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子量の異なる2種以上の有機化合物として、少なくとも分子量が60以上500未満のアミノ基を有する有機化合物と、タンニン酸とを含む逆浸透膜の阻止率向上剤において、前記アミノ基を有する有機化合物と前記タンニン酸とが、互いに異なる2つの粉体状薬剤として保管されることを特徴とする逆浸透膜の阻止率向上剤。
【選択図】図2
Description
本発明はまた、この阻止率向上剤を用いたRO膜の阻止率向上方法と、この阻止率向上剤により阻止率向上処理がなされたRO膜に関する。
しかし、これらの酸化剤は強力な酸化分解作用があるため、これらの酸化剤が添加された後、還元処理が不十分な状態で原水がRO膜に供給されると、RO膜が劣化することが知られている。
また、原水中の酸化剤を分解させるために、重亜硫酸ソーダなどの還元剤を原水に添加してRO膜に供給する場合も多いが、重亜硫酸ソーダが過剰に添加されている還元環境下では、原水中にCu、Coなどの金属が共存するとRO膜が劣化して阻止率が低下することも知られている
(特許文献1、非特許文献1)。
この方法は、劣化の少ないRO膜や未使用のRO膜に対して、特に電解質の阻止率を向上させる効果があるが、非電解質の阻止率の向上や、劣化の大きいRO膜の阻止率の向上に対しては効果が低い。
この方法は、非電解質の阻止率向上に対しても効果があるが、劣化の大きいRO膜の阻止率向上に対しては効果が低くなる場合があり、また、透過流束の低下の問題があり、未使用のRO膜と比較して透過流束を20%以上低下させることがある。
ノニオン界面活性剤の中にはポリアルキレングリコール鎖を含むものがあり、この場合は特許文献3に含まれるが、界面活性剤の性質上、界面活性剤は疎水基を有しており、これをRO膜に吸着させることで透過流束を大きく低下させてしまう。
この方法による阻止率向上効果も大きくはなく、例えば、劣化したRO膜であるES20(日東電工社製)、SUL−G20F(東レ社製)の脱塩率を本方法で改善しても、改善後の膜の透過水の溶質濃度を改善前の膜の透過水溶質濃度の1/2にすることはできない。
この方法では、タンニン酸だけによる方法よりも効果は改善されていると考えられるが、透過流束が平均的に20%程度低下し、また、その阻止率向上効果も、脱塩率が90.5%に低下したRO膜の脱塩率を92.5%にするなど、透過水の溶質濃度を1/2以下にできない場合もある。
即ち、芳香族ポリアミド系RO膜のイソプロピルアルコール(IPA)阻止率は80〜95%である。IPAの分子量は60であることから、非電解質に対するRO膜の分画分子量は60前後と考えることができる。RO膜の阻止率の低下が、RO膜の緻密層の間隙が広がったことによると考えると、広がったRO膜の緻密層の間隙を、分画分子量よりも若干大きい物質で埋めることが望ましいと考えられる。また、間隙の大きさはまちまちであると考えられることから、複数の分子量を持った物質を使用することがより望ましいとも考えられる。最終的にそれら低分子よりも比較的大きい分子量を有する物質を使用することで、低分子の定着が進むと考えられる。
本発明のRO膜の阻止率向上剤は、分子量の異なる2種以上の有機化合物を含む逆浸透膜の阻止率向上剤であって、該2種以上の有機化合物として、少なくとも分子量が60以上500未満のアミノ基を有する有機化合物と、タンニン酸とを含み、互いに異なる有機化合物を含む2つの粉体状薬剤として保管されることを特徴とするものである。
このように、水溶液としたときに、pH7以上のアルカリ性となる有機化合物と、pH7未満の酸性となる有機化合物とを別々の粉体状薬剤として保管し、各々水溶液を調製するようにすることにより、これらが反応することによる凝集物の生成を防止することができる。
本発明の阻止率向上剤において、2種以上の有機化合物を含む粉体状薬剤中の当該2種以上の有機化合物の含有割合は、阻止率向上剤としての使用時に好適な使用割合となるように、その使用割合に対応した粉体状薬剤中含有割合として調製すればよい。
本発明のRO膜の阻止率向上方法は、上述のような2つの粉体状薬剤からなる本発明の阻止率向上剤を用いてRO膜の阻止率向上処理を行うものであり、具体的にRO膜に本発明の阻止率向上剤の水溶液を通水することにより、劣化したRO膜の阻止率を向上させる。以下、RO膜の阻止率向上処理のためにRO膜に通水する阻止率向上剤の水溶液を「阻止率向上処理水」と称す。
従って、2つの粉体状薬剤を用いて、まず、各有機化合物濃度が1〜200g/Lの高濃度水溶液を調製し、これらを用いて、RO膜への通水時には各々の有機化合物濃度が1〜200mg/Lの水溶液となるように、希釈混合することが好ましい。
(2) 粉体状薬剤Aを用いて有機化合物濃度(この有機化合物濃度は、粉体状薬剤Aが2種以上の有機化合物を含む場合、各々の有機化合物濃度をさす。)が1〜200g/Lの水溶液を調製し、一方、粉体状薬剤Bを用いて有機化合物濃度(この有機化合物濃度は、粉体状薬剤Bが2種以上の有機化合物を含む場合、各々の有機化合物濃度をさす。)が1〜200g/Lの水溶液を調製し、これらの水溶液をそれぞれ希釈し、希釈水溶液を混合して各有機化合物の濃度が0.1〜200mg/Lの阻止率向上処理水とする。
(3) 粉体状薬剤Aを用いて有機化合物濃度(この有機化合物濃度は、粉体状薬剤Aが2種以上の有機化合物を含む場合、各々の有機化合物濃度をさす。)が1〜200g/Lの水溶液を調製し、一方、粉体状薬剤Bを用いて有機化合物濃度(この有機化合物濃度は、粉体状薬剤Bが2種以上の有機化合物を含む場合、各々の有機化合物濃度をさす。)が1〜200g/Lの水溶液を調製し、これらをそれぞれ別の位置から、RO給水の供給配管にライン注入し、各有機化合物の濃度が0.1〜200mg/Lの阻止率向上処理水とする。
最小有機化合物接触量(mg/m2)=[最小有機化合物濃度(mg/L)×処理時間(hr)×処理時透過水量(m3/hr)/膜面積(m2)]×1000
(ここで、最小有機化合物濃度は、阻止率向上処理水中における有機化合物のうちの最も濃度が低い有機化合物の濃度である。)
膜単位面積当りの最小有機化合物接触量=[(Cmin)×処理時間(Hr)×処理時透過水量(m3/Hr)/膜面積(m2)]×1000
本発明において阻止率向上処理の処理対象となるRO膜の膜構造としては、非対称膜、複合膜などの高分子膜などを挙げることができる。RO膜の素材としては、例えば、芳香族系ポリアミド、脂肪族系ポリアミド、これらの複合材などのポリアミド系素材、酢酸セルロースなどのセルロース系素材などを挙げることができる。これらの中で、芳香族系ポリアミド素材のRO膜であって、劣化することによりC−N結合の分断でカルボキシル基を多く有するRO膜に、本発明の阻止率向上剤及び阻止率向上方法を特に好適に適用することができ、特に阻止率向上処理前のRO膜の脱塩率が95%以下、特に90%以下である場合、本発明方法を適用するのに好適である。
本発明の水処理方法は、本発明の阻止率向上剤又は阻止率向上方法により阻止率向上処理されたRO膜を用いるものであって、電子デバイス製造分野、半導体製造分野、その他の各種産業分野で排出される高濃度ないし低濃度TOC含有排水の回収・再利用のための水処理、あるいは工業用水や市水からの超純水製造、その他の分野の水処理に有効に適用される。
本発明に係るRO膜装置で処理される被処理水は特に限定されるものではないが、電解質含有水が好適であり、例えば電気伝導度2〜10000mS/m、好ましくは10〜7000mS/m程度の有機物含有水が好適である。このような有機物含有水としては電子デバイス製造工場排水、輸送機械製造工場排水、有機合成工場排水又は印刷製版・塗装工場排水など、あるいはそれらの一次処理水など挙げることができるが、これらに限定されない。
この平膜試験装置は、有底有蓋の円筒状容器1の高さ方向の中間位置に平膜セル2を設けて容器内を原水室1Aと透過水室1Bとに仕切り、この容器1をスターラー3上に設置し、ポンプ4で被処理水を配管11を介して原水室1Aに給水すると共に、容器1内の攪拌子5を回転させて原水室1A内を攪拌し、透過水を透過水室1Bより配管12を介して取り出すと共に、濃縮水を原水室1Aより配管13を介して取り出すものである。濃縮水取り出し配管13には圧力計6と開閉バルブ7が設けられている。
透過流束[m3/(m2d)]=透過水量[m3/d]/膜面積[m2]×温度換算係数[−]
脱塩率[%]=(1−透過水の導電率[mS/m]/濃縮水の導電率[mS/m])×100
IPA除去率[%]=(1−透過水のTOC[mg/L]/濃縮水のTOC[mg/L])×100
平膜試験装置の平膜セル2の膜として次の劣化膜を用い、以下の阻止率向上剤、性能評価被処理水、性能評価条件で試験を行った。
劣化膜:日東電工社製超低圧逆浸透膜ES20を、過酸化水素を1重量%、塩化第二鉄を鉄分として1mg/L含む水溶液に24時間浸漬して加速劣化させたもの。この劣化膜の透過流束、脱塩率、IPA除去率はそれぞれ1.1m3/(m2・d)、90%、72%であり、オリジナル膜(新品の劣化していないES20膜)の透過流束、脱塩率、IPA除去率はそれぞれ0.8m3/(m2・d)、98%、88%である。
阻止率向上剤の構成成分:アルギニン(味の素ヘルシーサプライ製、分子量174)、アスパルテーム(味の素ヘルシーサプライ製、分子量294)、タンニン酸AL(以下タンニン酸、富士化学工業製、分子量500以上)、いずれも食品添加物
性能評価被処理水:NaCl500mg/L、IPA100mg/Lを超純水に溶解したもの
性能評価条件:運転圧力0.75MPa、温度24℃±2℃
阻止率向上剤の構成3成分を、それぞれ10g/Lとなるように粉体から直接純水に溶解させたところ、不溶性の凝集物が生成し、阻止率向上処理に供することができなかった。
アルギニンとアスパルテームを1:1の重量割合で粉体のまま混合し、タンニン酸とは別に各成分が10g/Lとなるように純水に溶解させた。アスパルテームはアルギニンと共存することで容易に溶解した。アスパルテーム及びアルギニン含有水溶液のpHは9.0で、タンニン酸含有水溶液のpHは3.7であった。
その後、各成分の濃度がそれぞれ50mg/Lとなるように、純水中にこれらの2つの水溶液を滴下して希釈混合したところ清澄な水溶液が得られた。
得られた混合水溶液を劣化膜に5時間通水して阻止率向上処理を行ったところ、処理後のRO膜の透過流束、脱塩率、IPA除去率はそれぞれ0.8m3/(m2・d)、98.5%、87%に回復した。
平膜試験装置の平膜セル2の膜として次の劣化膜を用い、以下の阻止率向上剤、性能評価被処理水、性能評価条件で試験を行った。
劣化膜:日東電工社製超低圧逆浸透膜ES20を、過酸化水素を1重量%、塩化第二鉄を鉄分として1mg/L含む水溶液に24時間浸漬して加速劣化させたもの。この劣化膜の透過流束、脱塩率、IPA除去率はそれぞれ0.95m3/(m2・d)、95%、81%である。オリジナル膜(新品の劣化していないES20膜)の透過流束、脱塩率、IPA除去率は前述の通りである。
阻止率向上剤の構成成分:グリシン(和光純薬製、分子量75)、アルギニン(味の素ヘルシーサプライ製、分子量174)、タンニン酸AL(以下タンニン酸、富士化学工業製、分子量500以上)
性能評価被処理水:NaCl500mg/L、IPA100mg/Lを超純水に溶解したもの
性能評価条件:運転圧力0.75MPa、温度24℃±2℃
グリシン、アルギニン、タンニン酸をそれぞれ30g/Lとなるように別々に純水に溶解させ、これらを混合して、それぞれの濃度が10g/Lになるようにしたところ、混合直後に凝集物が生成し、阻止率向上処理に供することができなかった。
グリシン、アルギニン、タンニン酸をそれぞれ30g/Lとなるように別々に溶解させ、各々−5℃で1ヶ月保管したところ、それぞれ凍結した。これらを常温に戻して融解させたところ、タンニン酸水溶液に沈殿が生成し、阻止率向上処理に供することができなかった。
グリシン、アルギニン、タンニン酸の等量を粉体の状態で混合した。得られた混合粉体を−5℃で1ヶ月保管したところ、粉末の状態に変化は見られなかったが、この混合粉体をそれぞれの濃度が10g/Lになるように純水に溶解させたところ、凝集物が生成し、阻止率向上処理に供することができなかった。
グリシンとアルギニンを1:1の重量割合で粉体の状態で混合し、タンニン酸は単独で粉体の状態とした。各粉体状薬剤を温度−5℃で1ヶ月保管した。その後、2つの粉体状薬剤を、各成分の濃度が10g/Lになるように別々に純水に溶解させた。グリシンとアルギニンを含む水溶液のpHは9.6で、タンニン酸水溶液のpHは3.7であった。このグリシン・アルギニン水溶液とタンニン酸水溶液を用いて、以下の方法で劣化膜の阻止率向上処理を行った。
即ち、被処理水の流量に対して、それぞれの水溶液の流量が1/5000、即ち、被処理水と合流した後の各成分の濃度が2mg/Lとなるように調整して、被処理水の流路にグリシン・アルギニン水溶液とタンニン酸水溶液を別々にライン注入した。注入開始後、劣化膜の性能は変化し、72時間後には、透過流束、脱塩率、IPA除去率はそれぞれ0.8m3/(m2・d)、98.7%、89%となった。
以上の結果から次のことが分かる。
(1) アルギニンとアスパルテームを混合して粉体状薬剤とし、一方、タンニン酸をそのまま粉体状薬剤とし、それぞれを高濃度水溶液した後、これらを希釈混合することにより、凝集物を生成させることなく、RO膜の阻止率向上処理に有効に用いることができる。
(2) グリシンとアルギニンを混合して粉体状薬剤とし、一方、タンニン酸をそのまま粉体状薬剤としてそれぞれ保管すると、その後、水に溶解させた時に凝集物を生成させることなく、均一かつ安定な水溶液を調製することができ、これらをライン注入により希釈混合することにより、凝集物を生成させることなく、RO膜の阻止率向上処理に有効に用いることができる。
1A 原水室
1B 透過水室
2 平膜セル
3 スターラー
Claims (7)
- 分子量の異なる2種以上の有機化合物を含む逆浸透膜の阻止率向上剤であって、該2種以上の有機化合物として、少なくとも分子量が60以上500未満のアミノ基を有する有機化合物と、タンニン酸とを含む逆浸透膜の阻止率向上剤において、前記アミノ基を有する有機化合物と前記タンニン酸とが、互いに異なる2つの粉体状薬剤として保管されることを特徴とする逆浸透膜の阻止率向上剤。
- 請求項1において、前記2つの粉体状薬剤を、それぞれ、各有機化合物の濃度が1〜200g/Lの水溶液としたとき、前記アミノ基を有する有機化合物を含む一方の粉体状薬剤の水溶液のpHが7以上で、前記タンニン酸を含む他方の粉体状薬剤の水溶液のpHが7未満であることを特徴とする逆浸透膜の阻止率向上剤。
- 請求項1又は2に記載の阻止率向上剤の水溶液を用いて逆浸透膜を処理する逆浸透膜の阻止率向上方法であって、前記2つの粉体状薬剤のうちの少なくとも一方の粉体状薬剤を水に溶解させて有機化合物濃度(この有機化合物濃度は、該粉体状薬剤が2種以上の有機化合物を含む場合、各々の有機化合物濃度をさす)が1〜200g/Lの水溶液を調製する工程と、該水溶液の有機化合物濃度(この有機化合物濃度は、該粉体状薬剤が2種以上の有機化合物を含む場合、各々の有機化合物濃度をさす)が0.1〜200mg/Lとなるように該水溶液を希釈する工程とを含むことを特徴とする逆浸透膜の阻止率向上方法。
- 請求項1又は2に記載の阻止率向上剤の水溶液を用いて逆浸透膜を処理する逆浸透膜の阻止率向上方法であって、前記2つの粉体状薬剤をそれぞれ水に溶解させ、得られた水溶液を混合することにより、各有機化合物の濃度が1〜200mg/Lの水溶液を調製する工程を含むことを特徴とする逆浸透膜の阻止率向上方法。
- 請求項1又は2に記載の阻止率向上剤の水溶液を用いて逆浸透膜を処理する逆浸透膜の阻止率向上方法であって、前記2つの粉体状薬剤をそれぞれ水に溶解させて得られた水溶液を、それぞれ別の位置からライン注入して希釈混合する工程を含むことを特徴とする逆浸透膜の阻止率向上方法。
- 請求項1又は2に記載の阻止率向上剤を用いて阻止率向上処理された逆浸透膜。
- 請求項3ないし5のいずれか1項に記載の阻止率向上方法により阻止率向上処理された逆浸透膜。
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