JP2013129030A - 硬質被覆層が高速断続切削ですぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下部層としてTi化合物層、中間層として(Al,Ti)2O3層、上部層としてα型Al2O3層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、下部層の最表面層には、その深さ方向500nmまでの領域にのみ0.5〜3原子%の酸素が含有されており、中間層において、(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の占める面積割合は15〜35面積%、かつ、(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は0.3〜1.0μmであり、また、(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒の占める面積割合は55〜75面積%であり、かつ、(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであり、上部層のAl2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであり、かつ、(0001)配向Al2O3結晶粒の占める面積割合は、70面積%以上である。
【選択図】なし
Description
(a)下部層が、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなるTi化合物層、
(b)上部層が、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有する酸化アルミニウム層(以下、Al2O3層で示す)、
以上(a)および(b)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆工具が知られている。
そこで、被覆層の剥離、チッピングを抑制するために、上部層あるいは下部層に改良を加えた各種の被覆工具が提案されている。
また、特許文献2には、上部層を構成するAl2O3層を、それぞれ下位層と上位層からなる2層構造とし、さらに電界放出型走査電子顕微鏡を用い、(0001)面の法線がなす傾斜角を測定し、上位層については0〜45度、下位層については45〜90度の範囲内で傾斜角度数分布グラフを作成した場合、前記上位層は、0〜15度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在し、該傾斜角区分内の度数合計が50%以上の割合を占め、一方、前記下位層は、75〜90度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在し、該傾斜角区分内の度数合計が50%以上の割合を占める2層構造とすることにより、耐チッピング性を改善した被覆工具が提案されている。
Ti化合物層からなる下部層と、Ti含有Al2O3層からなる中間層と、Al2O3層からなる上部層とを被覆形成した被覆工具において、下部層の最表面層直上のTi含有Al2O3結晶粒の配向性と粒径を制御することで、下部層と中間層、また、中間層と上部層の密着性を向上させ得るとともに、さらに、上部層全体のAl2O3結晶粒についての配向性と結晶粒径を制御することで、上部層全体の高温硬さと高温強度を維持することができるため、切刃に断続的・衝撃的負荷が作用する高速断続切削に用いた場合でも、下部層、中間層および上部層からなる硬質被覆層間でのチッピング、剥離等の異常損傷の発生が抑え、長期の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮する被覆工具を得られることを見出したのである。
「(1) 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層が、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)中間層が0.5〜2.0μmの平均層厚および化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有するTi含有α型Al2O3層(但し、原子比で、Ti/(Al+Ti+O)の比の値は0.0001〜0.001)、
(c)上部層が、1〜15μmの平均層厚を有し、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有するAl2O3層、
以上(a)〜(c)からなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具において、
(d)上記中間層を構成する結晶粒(以下、「Ti含有Al2O3結晶粒」という)について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるTi含有Al2O3結晶粒(以下、「(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒」という)の占める面積割合は、前記測定範囲の面積の15〜35面積%であり、かつ、該(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は0.3〜1.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有し、
(e)また、上記中間層のTi含有Al2O3結晶粒について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(11−20)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるTi含有Al2O3結晶粒(以下、「(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒」という)の占める面積割合は、前記測定範囲の面積の55〜75面積%であり、かつ、該(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有し、
(f)上記上部層のAl2O3結晶粒について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるAl2O3結晶粒の占める面積割合は、前記測定範囲の面積の70面積%以上であり、かつ、上部層のAl2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有する、
ことを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)上記下部層の最表面層が、少なくとも500nm以上の層厚を有するTi炭窒化物層からなり、該Ti炭窒化物層と上部層との界面から、該Ti炭窒化物層の層厚方向に500nmまでの深さ領域にのみ酸素が含有されており、かつ、該深さ領域に含有される平均酸素含有量は、該深さ領域に含有されるTi,C,N,Oの合計含有量の0.5〜3原子%であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。」
に特徴を有するものである。
下部層のTi化合物層:
Ti化合物層(例えば、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層およびTiCNO層)は、基本的にはAl2O3層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層が高温強度を具備するようになるほか、工具基体、Al2O3層のいずれにも密着し、硬質被覆層の工具基体に対する密着性を維持する作用を有するが、その合計平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴う高速重切削・高速断続切削では熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その合計平均層厚を3〜20μmと定めた。
この発明において、下部層上に中間層を形成するに先立って、例えば、下部層の最表面に以下のような処理を施すことにより、中間層のTi含有α型Al2O3に所定の配向性および横方向平均粒径を付与することができる。
即ち、まず、通常の化学蒸着装置を使用して、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなる種々のTi化合物層を蒸着形成(なお、TiCN層のみを蒸着形成することも勿論可能である)した後、同じく通常の化学蒸着装置を使用して、
反応ガス組成(容量%):TiCl4 2.5〜10%、CH3CN 0.5〜1.0%、N2 40〜60%、残部H2、
反応雰囲気温度:800〜900℃、
反応雰囲気圧力:6〜10kPa、
の条件で化学蒸着して、下部層の最表面層として、例えば、酸素を含有するTiCN(以下、酸素含有TiCNという)層を形成する。
この際、所定層厚を得るに必要とされる蒸着時間終了前の5分〜30分の間は、全反応ガス量に対して1〜5容量%となるようにCOガスを添加して化学蒸着を行うことにより、層厚方向に500nmまでの深さ領域にのみ0.5〜3原子%の酸素を含有する酸素含有TiCN層を蒸着形成する。
ここで、酸素含有TiCN層の500nmまでの深さ領域における平均酸素含有量を上記のように限定したのは、膜の深さ方向に500nmより深い領域において酸素が含有されていると、TiCN最表面の組織形態が柱状組織から粒状組織に変化するとともに、中間層のTi含有Al2O3結晶粒の配向性、横方向平均粒径を所望のものとできなくなるためである。
ただ、深さ領域500nmまでの平均酸素含有量が0.5原子%未満では、上部層と下部層TiCNの付着強度の向上を望むことはできないばかりか、中間層のTi含有Al2O3結晶粒の配向性、横方向平均粒径を満足させることはできず、一方、該深さ領域における平均酸素含有量が3原子%を超えると、中間層のTi含有A
l2O3において、(0001)配向Al2O3結晶粒の占める面積割合が少なくなり、上部層の高温強度が低下するからである。
ここで、平均酸素含有量は、下部層の最表面層を構成する上記TiCN層と上部層との界面から、該TiCN層の層厚方向に500nmまでの深さ領域におけるチタン(Ti),炭素(C),窒素(N)及び酸素(O)の合計含有量に占める酸素(O)含有量を原子%(=O/(Ti+C+N+O)×100)で表したものをいう。
即ち、まず、通常の化学蒸着装置を使用して、下部層として、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層およびTiCNO層のうちの1層または2層以上からなる種々のTi化合物層を蒸着形成した後、該蒸着形成した下部層の表面に対して、
反応ガス組成(容量%):CO 5〜10%、CO2 5〜10%、残部H2、
雰囲気温度:900〜970℃、
雰囲気圧力:5〜15kPa、
時間:1〜5min、
という条件でCOとCO2混合ガスによる酸化処理を行うことによって、α-Al2O3核生成に必要なAl化合物の核をTi化合物層最表面に均一分散させることで、Al2O3核生成前の工程において、Ti化合物層最表面にα-Al2O3核を均一分散させることができる。
本発明では、下部層と上部層との間に、0.5〜2.0μmの平均層厚および化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有するTi含有α型Al2O3層(但し、原子比で、Ti/(Al+Ti+O)の比の値は0.0001〜0.001)からなる中間層が介在形成することにより、下部層と中間層、さらには、中間層と上部層の密着性を向上することができ、その結果として、被覆工具の耐チッピング性、耐剥離性はさらに向上する。
中間層Ti含有α型Al2O3層の層厚が0.5μmよりも小さいと、(11−20)配向を有したTi含有α型Al2O3結晶粒を得ることが難しくなり、Ti含有α型Al2O3層の層厚が2.0μmよりも大きいと、上部層の(0001)配向Al2O3結晶粒の占める面積割合が、全体の70面積%以下になり、上部層Al2O3の高温強度が低下する。
つまり、Ti成分は、Ti含有Al2O3の結晶粒界面強度を向上させ、高温強度の向上に寄与するが、Ti成分の含有割合Xが0.0001未満では、このような作用を期待することはできず、一方、Ti成分の含有割合が0.001を超えた場合には、層中にTi酸化物の析出が始まるとによって粒界面強度が低下するため、Al成分との合量に占めるTi成分の含有割合Xは、0.0001〜0.001(但し、原子比)であることが必要である。
反応ガス組成:容量%で、AlCl3:1.5〜5%、TiCl4:0.1〜0.4%、CO2:1〜5%、HCl:1.5〜3%、H2:残り、
反応雰囲気温度:900〜970℃、
反応雰囲気圧力:5〜15kPa、
時間:5〜30min
の条件で蒸着することにより、α型の結晶構造を有するTi含有α型Al2O3層(但し、原子比で、Ti/(Al+Ti+O)の比の値は0.0001〜0.001)からなる中間層を形成し得る。
より具体的にいえば、上記で形成されたTi含有Al2O3層は、該中間層を構成するTi含有Al2O3結晶粒について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるTi含有Al2O3結晶粒(「(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒」)の占める面積割合は、測定範囲の面積の15〜35面積%であり、かつ、該(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の工具基体表面に平行方向(横方向)の平均粒径は0.3〜1.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有している。
(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の占める面積割合が、測定範囲の面積の15面積%以下である場合は、上部層の(0001)配向Al2O3結晶粒の占める面積割合が全体の70%以下になり、上部層Al2O3の高温強度が低下する。一方、(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の占める面積割合が、測定範囲の面積の35面積%以上である場合は、上部層Al2O3結晶粒の柱状組織が層厚方向に対して、傾斜した状態で形成され、所望の(0001)配向の面積割合を得ることができない。また、(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向の平均粒径が0.3μm未満の場合は、粒径が小さすぎて、下部層直上Ti化合物表面の凹凸との結合性が悪くなるため、上部層Al2O3結晶粒との付着強度が弱くなる。平均粒径が1.0μm以上の場合は、上部層のAl2O3結晶粒が粗粒化し、耐チッピング性が低下してしまう。
(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒の占める面積割合が55%未満である、または該Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径が1.0μm未満である場合、上部層Al2O3結晶粒の柱状組織が層厚方向に対して、傾斜した状態で形成され、所望の(0001)配向の面積割合を得ることができない。また、(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒の占める面積割合が75%以上である、または該Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径が2.0μm以上である場合、上部層(0001)配向Al2O3結晶粒の占める面積割合が全体の70%以下になり、上部層Al2O3の高温強度が低下する。
その結果、この発明の被覆工具は、高速断続切削加工時の断続的・衝撃的負荷に対してすぐれた耐チッピング性、耐剥離性を発揮するようになる。
Ti化合物層からなる下部層の最表面層に、例えば、0.5〜3原子%の酸素を含有する酸素含有TiCN層を形成し、該下部層の最表面層の上に、所定の配向性と横方向平均粒径を有するTi含有Al2O3層を中間層として介在形成し、この表面に、例えば、次のような条件でAl2O3を蒸着することによって、本発明で規定する配向性を備えた、また、制御された横方向平均粒径を備えた柱状結晶組織のAl2O3層からなる上部層が得られる。
上部層は、中間層の表面に、例えば、
反応ガス組成(容量%):AlCl3 1〜5%、CO2 5〜10%、HCl 1〜5%、H2S 0.5〜1%、残部H2、
反応雰囲気温度:960〜1040℃、
反応雰囲気圧力:5〜15kPa、
時間:(目標とする上部層層厚になるまで)
という条件で蒸着することにより、層厚方向とほぼ平行に成長した微細な縦長柱状Al2O3結晶粒で構成され、(0001)配向Al2O3結晶粒の面積割合が、上部層全体のAl2O3結晶粒に対して70面積%以上を占めるAl2O3層からなる上部層が形成される。
しかも、この上部層においては、Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有している。
ここで、「(0001)配向Al2O3結晶粒」とは、上部層のAl2O3結晶粒について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるAl2O3結晶粒のことをいう。
形成される(0001)配向Al2O3結晶粒の面積割合が、70面積%以上を占める場合に、上部層Al2O3の高温硬さ、高温強度が維持されることから、本発明では、上部層の(0001)配向Al2O3結晶粒の面積割合を、70面積%以上と定めた。
Al2O3結晶粒の横方向平均粒径が1.0μm未満では、上部層と下部層、あるいは、上部層と中間層の界面における結晶粒の結晶面の凹凸の結合性が悪くなり、付着強度の低下を招きやすくなるとともにポアが発生しやすくなる。一方、横方向平均粒径が2.0μmを超えると、相対的に上部層のAl2O3結晶粒のサイズが大きすぎて、上部層のAl2O3形成時にポアが形成されやすくなり、そのため上部層の硬さ、強度が低下するともに、上部層と中間層との付着強度が低下する。
そこで、この発明においては、上部層のAl2O3結晶粒の横方向平均粒径を1.0〜2.0μmの範囲に定めた。
(a)まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表5に示される目標層厚のTi化合物層を蒸着形成した。
(b)表4に示される条件にて、下部層の最表面層としての酸素含有TiCN層(即ち、該層の表面から500nmまでの深さ領域にのみ、0.5〜3原子%(O/(Ti+C+N+O)×100)の酸素が含有される)を表5に示される目標層厚で形成し、
(c)ついで、表6に示される条件にて、中間層のTi含有Ti含有Al2O3層を目標層厚で形成し、
(d)ついで、表7に示される条件にて、上部層のAl2O3層を表8に示される目標層厚で形成することにより、
本発明被覆工具1〜13をそれぞれ製造した。
表5にこれらの値を示す。
より具体的にいえば、中間層のTi含有Al2O3結晶粒、(11−20)配向Ti含有Al2O3粒、上部層の(0001)配向Al2O3結晶粒の面積割合については、工具基体表面と平行方向に50μmの断面研磨面の上部層の測定範囲(0.3μm×50μm)を、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、それぞれの前記研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に照射して、工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線あるいは(11−20)がなす傾斜角を測定し、その傾斜角が0〜10度である結晶粒の面積割合を測定することによって求めた。
表8、表9にこれらの値を示す。
表8、表9にこれらの値を示す。
被削材:JIS・SCM445の長さ方向等間隔8本縦溝入り、
切削速度:400m/min.、
切り込み:2.5mm、
送り:0.32mm/rev.、
切削時間:5分、
の条件(切削条件Aという)での合金鋼の湿式高速断続切削試験(通常の切削速度は、200m/min.、)、
被削材:JIS・FCD500の長さ方向等間隔8本縦溝入り、
切削速度:420m/min.、
切り込み:3.0mm、
送り:0.40mm/rev.、
切削時間:5分、
の条件(切削条件Bという)でのダグタイル鋳鉄の乾式高速断続切削試験(通常の切削速度は、180m/min.、)、
を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
表10にこの測定結果を示した。
これに対して、比較被覆工具1〜13では、高速断続切削加工においては、硬質被覆層のチッピング発生、剥離発生により、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
Claims (2)
- 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層が、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、かつ、3〜20μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)中間層が0.5〜2.0μmの平均層厚および化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有するTi含有α型Al2O3層(但し、原子比で、Ti/(Al+Ti+O)の比の値は0.0001〜0.001)、
(c)上部層が、1〜15μmの平均層厚を有し、化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有するAl2O3層、
以上(a)〜(c)からなる硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆切削工具において、
(d)上記中間層を構成する結晶粒(以下、「Ti含有Al2O3結晶粒」という)について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるTi含有Al2O3結晶粒(以下、「(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒」という)の占める面積割合は、前記測定範囲の面積の15〜35面積%であり、かつ、該(0001)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は0.3〜1.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有し、
(e)また、上記中間層のTi含有Al2O3結晶粒について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(11−20)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるTi含有Al2O3結晶粒(以下、「(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒」という)の占める面積割合は、前記測定範囲の面積の55〜75面積%であり、かつ、該(11−20)配向Ti含有Al2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有し、
(f)上記上部層のAl2O3結晶粒について、電子線後方散乱回折装置を用いて、その断面研磨面の測定範囲内に存在する六方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記工具基体の表面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である(0001)面の法線がなす傾斜角を測定した場合、その傾斜角が0〜10度であるAl2O3結晶粒の占める面積割合は、前記測定範囲の面積の70面積%以上であり、かつ、上部層のAl2O3結晶粒の横方向平均粒径は1.0〜2.0μmであって、膜厚方向に成長した柱状結晶組織を有する、
ことを特徴とする表面被覆切削工具。 - 上記下部層の最表面層が、少なくとも500nm以上の層厚を有するTi炭窒化物層からなり、該Ti炭窒化物層と上部層との界面から、該Ti炭窒化物層の層厚方向に500nmまでの深さ領域にのみ酸素が含有されており、かつ、該深さ領域に含有される平均酸素含有量は、該深さ領域に含有されるTi,C,N,Oの合計含有量の0.5〜3原子%であることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
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